(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100611
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240719BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240719BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/304 644A
H01L21/304 622L
H01L21/304 622Q
H01L21/304 622R
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004722
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】杉山 光徳
【テーマコード(参考)】
5F057
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F057AA12
5F057BA11
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5F157CB13
5F157CB14
5F157CC03
(57)【要約】
【課題】自動運転時に各種のイベントが発生した場合でも基板処理装置の処理効率の低下を抑制することを可能とする情報処理装置を提供する。
【解決手段】
情報処理装置3Aは、基板処理装置2にて所定の枚数の基板に対して各処理を順次行うときの各処理の開始タイミングを計算する計算処理部301と、各処理のいずれかの実行に影響を与えるイベントの発生状況を示すイベント情報を受け付けるイベント受付部302と、計算処理部301により計算された各処理の開始タイミングに従って基板処理装置2が各処理を実行中に、イベント受付部302によりイベント情報が受け付けられたとき、当該イベント情報が示すイベントの発生状況に基づいて、各処理の開始タイミングを再計算する再計算処理部303とを備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットを備える基板処理装置にて所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの前記各処理の開始タイミングを計算する計算処理部と、
前記各処理のいずれかの実行に影響を与えるイベントの発生状況を示すイベント情報を受け付けるイベント受付部と、
前記計算処理部により計算された前記各処理の開始タイミングに従って前記基板処理装置が前記各処理を実行中に、前記イベント受付部により前記イベント情報が受け付けられたとき、当該イベント情報が示す前記イベントの発生状況に基づいて、前記各処理の開始タイミングを再計算する再計算処理部とを備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記イベント情報は、
前記研磨処理が行われた前記基板に対して前記研磨処理を再度行うこと、又は、前記仕上げ処理が行われた前記基板に対して前記仕上げ処理を再度行うことを示すリワークに関する情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記イベント情報は、
前記計算処理部により前記各処理の開始タイミングが計算されたときの前記基板に含まれていない割込基板に対して前記各処理を行うことを示すホットロットに関する情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記イベント情報は、
前記研磨ユニットに対して前記基板を搬送する前記搬送処理が行われたときに当該基板が前記研磨ユニットに到着したこと、又は、前記仕上げユニットに対して前記基板を搬送する前記搬送処理が行われたときに当該基板が前記仕上げユニットに到着したことを示すユニット到着に関する情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記イベント情報は、
前記研磨ユニット、前記仕上げユニット、又は、前記搬送ユニットに故障が発生したことを示すユニット故障に関する情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記イベント情報は、
前記研磨処理の処理内容を定めるレシピ情報が変更されたこと、又は、前記仕上げ処理の処理内容を定めるレシピ情報が変更されたことを示すレシピ変更に関する情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記計算処理部又は前記再計算処理部により計算又は再計算された前記各処理の開始タイミングで定められる基板処理スケジュールを作成するスケジュール作成部と、
前記スケジュール作成部により作成された前記基板処理スケジュールに基づいて、前記各処理の開始タイミングを指示することにより前記研磨ユニット、前記仕上げユニット、及び、前記搬送ユニットを制御する集中制御処理部とを備える、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記研磨ユニットに対して前記基板を搬送する前記搬送処理が行われたときに当該基板が前記研磨ユニットに到着したタイミングに合わせて、前記計算処理部又は前記再計算処理部により計算又は再計算された前記研磨処理の開始タイミングを前記研磨ユニットに指示することにより前記研磨ユニットを制御するとともに、前記仕上げユニットに対して前記基板を搬送する前記搬送処理が行われたときに当該基板が前記仕上げユニットに到着したタイミングに合わせて、前記計算処理部又は前記再計算処理部により計算又は再計算された前記仕上げ処理の開始タイミングを前記仕上げユニットに指示することにより前記仕上げユニットを制御する分散制御処理部を備える、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットを備える基板処理装置にて所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの前記各処理の開始タイミングを計算する計算処理工程と、
前記各処理のいずれかの実行に影響を与えるイベントの発生状況を示すイベント情報を受け付けるイベント受付工程と、
前記計算処理工程により計算された前記各処理の開始タイミングに従って前記基板処理装置が前記各処理を実行中に、前記イベント受付工程により前記イベント情報が受け付けられたとき、当該イベント情報が示す前記イベントの発生状況に基づいて、前記各処理の開始タイミングを再計算する再計算処理工程とを備える、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ等の基板に対して各種の処理を行う基板処理装置の1つとして、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理を行う基板処理装置が知られている。このような基板処理装置は、例えば、基板の研磨処理を行う研磨ユニットと、研磨処理後の基板の仕上げ処理(例えば、洗浄処理や乾燥処理)を行う仕上げユニットと、各ユニット間で基板を搬送する搬送処理を行う搬送ユニットとを備え、各ユニットを順次動作させることで、一連の処理を実行するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処理効率の向上のため、基板処理装置は、複数の研磨ユニットと、複数の仕上げユニットと、複数の搬送ユニットとを備えて構成される。そのため、基板処理装置において、所定の枚数の基板を処理対象として各ユニットを順次動作させるように自動運転を行う場合、全ての基板に対する各処理が終了する時間が最短になるように、各処理の開始タイミングを事前に計画(最適化)するための計算処理が行われる。そして、基板処理装置は、その計算処理の計算結果に従って各ユニットを順次動作させることで、各ユニットの待機時間を削減し、基板処理装置全体として処理効率を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、実際の自動運転時には、例えば、基板処理装置の状態、基板の状態、ユーザの操作等に起因して各種のイベント(事象)が発生することにより、事前のスケジュール通りに各処理が進行しない場合がある。そのため、自動運転時に各種のイベントが発生したような状況にも関わらず、事前のスケジュールに従って各ユニットを動作させた場合には、基板処理装置の処理効率が低下するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、自動運転時に各種のイベントが発生した場合でも基板処理装置の処理効率の低下を抑制することを可能とする情報処理装置、及び、情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、
基板の研磨処理を並行して行う複数の研磨ユニット、前記研磨処理後の前記基板の仕上げ処理を仕上げ工程順に行う複数の仕上げユニット、及び、前記基板を搬送する搬送処理を行う複数の搬送ユニットを備える基板処理装置にて所定の枚数の前記基板に対して各処理を順次行うときの前記各処理の開始タイミングを計算する計算処理部と、
前記各処理のいずれかの実行に影響を与えるイベントの発生状況を示すイベント情報を受け付けるイベント受付部と、
前記計算処理部により計算された前記各処理の開始タイミングに従って前記基板処理装置が前記各処理を実行中に、前記イベント受付部により前記イベント情報が受け付けられたとき、当該イベント情報が示す前記イベントの発生状況に基づいて、前記各処理の開始
タイミングを再計算する再計算処理部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理装置によれば、再計算処理部が、計算処理部により計算された各処理の開始タイミングに従って基板処理装置が各処理を実行中にイベント情報が受け付けられたとき、当該イベント情報が示すイベントの発生状況に基づいて、各処理の開始タイミングを再計算する。したがって、自動運転時に各種のイベントが発生した場合でも、イベントの発生状況に基づいて各処理の開始タイミングが再計算されるので、基板処理装置の処理効率の低下を抑制することができる。
【0009】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】基板処理システム1の一例を示す全体構成図である。
【
図2】基板処理装置2の一例を示す概略平面図である。
【
図3】第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bの一例を示す斜視図である。
【
図4】ロールスポンジ洗浄処理を行う第1の仕上げユニット23Aの一例を示す斜視図である。
【
図5】ペンスポンジ洗浄処理を行う第2の仕上げユニット23Bの一例を示す斜視図である。
【
図6】乾燥処理を行う第3の仕上げユニット23Cの一例を示す斜視図である。
【
図7】基板処理装置2の一例を示すブロック図である。
【
図8】コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図9】第1の実施形態に係る情報処理装置3Aの一例を示すブロック図である。
【
図10】第1の実施形態に係る情報処理装置3Aの一例を示す機能説明図である。
【
図11】初期の基板処理スケジュール13Aの一例を示す図である。
【
図12】リワークイベント情報が受け付けられたときに作成された基板処理スケジュール13Bの一例を示す図である。
【
図13】ホットロットイベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により作成された基板処理スケジュール13Cの一例を示す図である。
【
図14】ユニット到着イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により作成された基板処理スケジュール13Dの一例を示す図である。
【
図15】ユニット故障イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により作成された基板処理スケジュール13Eの一例を示す図である。
【
図16】ユニット故障イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により作成された基板処理スケジュール13Fの一例を示す図である。
【
図17】レシピ変更イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により作成された基板処理スケジュール13Gの一例を示す図である。
【
図18】第1の実施形態に係る情報処理装置3Aによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図19】第2の実施形態に係る情報処理装置3Bの一例を示すブロック図である。
【
図20】第2の実施形態に係る情報処理装置3Bの一例を示す機能説明図である。
【
図21】第2の実施形態に係る情報処理装置3Bによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術による
ものとする。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、基板処理システム1の一例を示す全体構成図である。本実施形態に係る基板処理システム1は、その主要な構成として、基板処理装置2と、情報処理装置3Aとを備え、有線又は無線のネットワーク4に接続されて、各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、基板処理装置2及び情報処理装置3Aの数やネットワーク4の接続構成は、
図1の例に限られず、適宜変更してもよい。
【0013】
基板処理装置2は、半導体ウェハ等の基板(以下、「ウェハ」という)Wに対して各種の処理を行う複数の処理ユニット(詳細は後述)を備える。基板処理装置2は、各処理ユニットを動作させることで、ウェハWに対して化学機械研磨処理(以下、「研磨処理」という)、仕上げ処理、搬送処理等を行う装置である。その際、基板処理装置2は、各処理ユニットにそれぞれ設定された複数の装置パラメータからなる装置設定情報10と、研磨処理や仕上げ処理の動作を定める基板レシピ情報11とを参照しつつ、情報処理装置3Aにより作成される基板処理スケジュール13に従って各処理を実行する。
【0014】
情報処理装置3Aは、例えば、サーバ型又はクラウド型の装置で構成されて、基板処理装置2やユーザ端末装置(不図示)と連携して動作する。情報処理装置3Aは、例えば、基板レシピ情報11や、各処理に要する処理時間を示す処理時間情報12等に基づいて、基板処理装置2において所定の枚数のウェハWに対して各処理を順次行うときの各処理の開始タイミングを計算することにより基板処理スケジュール13を作成する。また、情報処理装置3Aは、基板処理装置2が基板処理スケジュール13に従って各処理を実行中に、各処理のいずれかの実行に影響を与えるイベントが発生したとき、各処理の開始タイミングを再計算し、その再計算した結果に基づいて、基板処理スケジュール13を更新する。そして、情報処理装置3Aは、基板処理スケジュール13に基づいて各処理の開始タイミングを基板処理装置2に指示することにより、各処理ユニットの動作を制御する。
【0015】
(基板処理装置)
図2は、基板処理装置2の一例を示す概略平面図である。基板処理装置2は、平面視で略矩形状のハウジング20の内部に、ロード/アンロード部21と、研磨部22と、仕上げ部23と、基板搬送部24と、制御ユニット25とを備えて構成される。
【0016】
(ロード/アンロード部)
ロード/アンロード部21は、多数のウェハWを上下方向に収納可能なウェハカセット(FOUP等)が載置される第1及び第2のフロントロード部210A、210Bと、ウェハカセットに収納されたウェハWの収納方向(上下方向)及び第1及び第2のフロントロード部210A、210Bの並び方向(ハウジング20の短手方向)に沿って移動可能な搬送ユニットとしての搬入/搬出ロボット211とを備える。
【0017】
搬入/搬出ロボット211は、基板搬入位置PS、第1の基板受け渡し位置PD1、仕上げ部23(具体的に、後述の最下流工程の仕上げユニット23C)、及び、基板搬出位置PEに対してアクセス可能に構成される。搬入/搬出ロボット211は、ウェハWを受け渡すための上下二段のハンド(不図示)を備える。下側ハンドは、処理前のウェハWを受け渡すときに使用され、上側ハンドは、処理後のウェハWを受け渡すときに使用される。
【0018】
基板搬入位置PS及び基板搬出位置PEは、第1及び第2のフロントロード部210A、210Bの各々に載置されるウェハカセットの位置である。搬入/搬出ロボット211は、ウェハWの搬送処理として、基板搬入位置PSとしてのウェハカセットから第1の基
板受け渡し位置PD1にウェハWを搬入する搬入処理と、仕上げ部23から基板搬出位置PEとしてのウェハカセットに仕上げ処理後のウェハWを搬出する搬出処理とを行う。なお、基板搬入位置PS及び基板搬出位置PEは、同じ位置でもよいし、異なる位置でもよい。
【0019】
(研磨部)
研磨部22は、ウェハWの研磨処理をそれぞれ行う複数(本実施形態では、2つ)の研磨ユニット22A、22Bを備える。本実施形態では、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bは、ハウジング20の長手方向に沿って並べられて配置され、研磨処理を並行して行う。
【0020】
図3は、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bの一例を示す斜視図である。本実施形態では、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bの基本的な構成や機能は共通するものとして説明する。
【0021】
第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bの各々は、研磨面を有する研磨パッド2200を回転可能に支持する研磨テーブル220と、ウェハWを回転可能に保持し、かつウェハWを研磨テーブル220上の研磨パッド2200に押圧しながら研磨するためのトップリング(基板保持部)221と、研磨パッド2200に研磨流体を供給する研磨流体供給部222と、ドレッサディスク2230を回転可能に支持するとともにドレッサディスク2230を研磨パッド2200の研磨面に接触させて研磨パッド2200をドレッシングするドレッサ223と、研磨パッド2200に洗浄流体を噴射するアトマイザ224とを備える。
【0022】
研磨テーブル220は、研磨テーブルシャフト220aにより支持されて、その軸心周りに研磨テーブル220を回転駆動させる回転移動機構部220bと、研磨パッド2200の表面温度を調節する温調機構部220cとを備える。
【0023】
トップリング221は、上下方向に移動可能なトップリングシャフト221aに支持されて、その軸心周りにトップリング221を回転駆動させる回転移動機構部221cと、トップリング221を上下方向に移動させる上下移動機構部221dと、支持シャフト221bを旋回中心にしてトップリング221を旋回(揺動)移動させる揺動移動機構部221eとを備える。回転移動機構部221c、上下移動機構部221d及び揺動移動機構部221eは、研磨パッド2200とウェハWの被研磨面との相対位置を移動させる基板移動機構部として機能する。
【0024】
研磨流体供給部222は、研磨パッド2200の研磨面に研磨流体を供給する研磨流体供給ノズル222aと、支持シャフト222bに支持されて、支持シャフト222bを旋回中心にして研磨流体供給ノズル222aを旋回移動させる揺動移動機構部222cと、研磨流体の流量を調節する流量調節部222dと、研磨流体の温度を調節する温調機構部222eとを備える。研磨流体は、研磨液(スラリー)又は純水であり、さらに、薬液を含むものでもよいし、研磨液に分散剤を添加したものでもよい。
【0025】
ドレッサ223は、上下方向に移動可能なドレッサシャフト223aに支持されて、その軸心周りにドレッサ223を回転駆動させる回転移動機構部223cと、ドレッサ223を上下方向に移動させる上下移動機構部223dと、支持シャフト223bを旋回中心にしてドレッサ223を旋回移動させる揺動移動機構部223eとを備える。
【0026】
アトマイザ224は、支持シャフト224aに支持されて、支持シャフト224aを旋回中心にしてアトマイザ224を旋回移動させる揺動移動機構部224bと、洗浄流体の
流量を調節する流量調節部224cとを備える。洗浄流体は、液体(例えば、純水)と気体(例えば、窒素ガス)の混合流体又は液体(例えば、純水)である。
【0027】
ウェハWは、トップリング221の下面に吸着保持されて、研磨テーブル220上の所定の研磨位置PP1、PP2に移動された後、研磨流体供給ノズル222aから研磨流体が供給された研磨パッド2200の研磨面に対してトップリング221により押圧されることで研磨される。
【0028】
(仕上げ部)
仕上げ部23は、ウェハWの仕上げ処理をそれぞれ行う複数(本実施形態では、3つ)の仕上げユニット23A~23Cと、研磨処理後のウェハWが待機可能なウェハステーション23Dとを備える。第1乃至第3の仕上げユニット23A~23C及びウェハステーション23Dは、ハウジング20の長手方向に沿って並べられて配置されて、第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cは、その並び順(仕上げ工程順)に仕上げ処理をそれぞれ行う。
【0029】
本実施形態では、第1の仕上げユニット23Aは、最上流工程の仕上げ処理として、ロールスポンジ2300を用いて研磨処理後のウェハWを洗浄するロールスポンジ洗浄処理を行う。第2の仕上げユニット23Bは、ペンスポンジ2301を用いてロールスポンジ洗浄処理後のウェハWを洗浄するペンスポンジ洗浄処理を行う。第3の仕上げユニット23Cは、最下流工程の仕上げ処理として、ペンスポンジ洗浄処理後のウェハWを乾燥させる乾燥処理を行う。ウェハステーション23Dは、研磨処理用トランスポータ240(詳細は後述)から受け渡された研磨処理後のウェハWを保持し、その研磨処理後のウェハWを仕上げ処理用トランスポータ241(詳細は後述)に受け渡すまで待機させる待機処理を行う。なお、仕上げ処理は、例えば、ロールスポンジ洗浄処理を省略して、ペンスポンジ洗浄処理から開始してもよい。
【0030】
なお、仕上げ部23は、第1及び第2の仕上げユニット23A、23Bのいずれかに代えて又は加えて、バフを用いてウェハWを洗浄するバフ洗浄処理を行う仕上げユニット(不図示)を備えるようにしてもよいし、第1及び第2の仕上げユニット23A、23Bのいずれかを省略してもよい。また、本実施形態では、第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cは、ウェハWを水平置きで保持(水平保持)するものとして説明するが、ウェハWを垂直保持又は斜め保持するものでもよい。
【0031】
図4は、ロールスポンジ洗浄処理を行う第1の仕上げユニット23Aの一例を示す斜視図である。第1の仕上げユニット23Aは、ウェハWを保持する基板保持部231と、ウェハWに基板洗浄流体を供給する洗浄流体供給部232と、ロールスポンジ2300を回転可能に支持するとともにロールスポンジ2300をウェハWに接触させてウェハWを洗浄する基板洗浄部230と、ロールスポンジ2300を洗浄具洗浄流体にて洗浄(セルフクリーニング)する洗浄具洗浄部233とを備える。基板洗浄流体は、純水(リンス液)及び薬液のいずれでもよく、液体でもよいし、液体及び気体を混合させた二流体でもよいし、ドライアイスのような固体を含むものでもよい。洗浄具洗浄流体は、純水(リンス液)及び薬液のいずれでもよい。
【0032】
第1の仕上げユニット23Aによるロールスポンジ洗浄処理では、ウェハWは、基板保持部231により第1の仕上げ位置PC1に保持された状態で回転される。そして、洗浄流体供給部232からウェハWの被洗浄面に基板洗浄流体が供給された状態で、基板洗浄部230により軸心周りに回転されたロールスポンジ2300がウェハWの被洗浄面に摺接することでウェハWは洗浄される。
【0033】
図5は、ペンスポンジ洗浄処理を行う第2の仕上げユニット23Bの一例を示す斜視図である。第2の仕上げユニット23Bは、ウェハWを保持する基板保持部231と、ウェハWに基板洗浄流体を供給する洗浄流体供給部232と、ペンスポンジ2301を回転可能に支持するとともにペンスポンジ2301をウェハWに接触させてウェハWを洗浄する基板洗浄部230と、ペンスポンジ2301を洗浄具洗浄流体にて洗浄(セルフクリーニング)する洗浄具洗浄部233とを備える。
【0034】
第2の仕上げユニット23Bによるペンスポンジ洗浄処理では、ウェハWは、基板保持部231により第2の仕上げ位置PC2に保持された状態で回転される。そして、洗浄流体供給部232からウェハWの被洗浄面に基板洗浄流体が供給された状態で、基板洗浄部230により軸心周りに回転されたペンスポンジ2301がウェハWの被洗浄面に摺接することでウェハWは洗浄される。
【0035】
図6は、乾燥処理を行う第3の仕上げユニット23Cの一例を示す斜視図である。第3の仕上げユニット23Cは、ウェハWを保持する基板保持部231と、ウェハWに基板乾燥流体を供給する乾燥流体供給部235とを備える。基板乾燥流体は、例えば、IPA蒸気及び純水(リンス液)であり、液体でもよいし、液体及び気体を混合させた二流体でもよいし、ドライアイスのような固体を含むものでもよい。
【0036】
第3の仕上げユニット23Cによる乾燥処理では、ウェハWは、基板保持部231により第3の仕上げ位置PC3に保持された状態で回転される。そして、乾燥流体供給部235からウェハWの被洗浄面に基板乾燥流体が供給された状態で、乾燥流体供給部235がウェハWの側縁部側(径方向外側)に移動される。その後、ウェハWは、高速回転されることでウェハWが乾燥される。
【0037】
(基板搬送部)
基板搬送部24は、
図2に示すように、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bの並び方向(ハウジング20の長手方向)に沿って移動可能であるとともに、第2の基板受け渡し位置PD2としてのウェハステーション23Dに移動可能な搬送ユニットとしての研磨処理用トランスポータ240と、ウェハステーション23D及び第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cの並び方向(ハウジング20の長手方向)に沿って移動可能な搬送ユニットとしての仕上げ処理用トランスポータ241とを備える。
【0038】
研磨処理用トランスポータ240は、第1の基板受け渡し位置PD1、第1及び第2の搬送位置PT1、PT2、並びに、第2の基板受け渡し位置PD2に対してアクセス可能に構成される。したがって、研磨処理用トランスポータ240は、ウェハWの搬送処理として、第1の基板受け渡し位置PD1から第1及び第2の研磨ユニット22A、22B(本実施形態では、第1及び第2の搬送位置PT1、PT2)にウェハWを搬送する研磨前搬送処理と、第1及び第2の研磨ユニット22A、22B(本実施形態では、第1及び第2の搬送位置PT1、PT2)から第2の基板受け渡し位置PD2に研磨処理後のウェハWを搬送する研磨後搬送処理とを行う。
【0039】
第1の基板受け渡し位置PD1は、搬入/搬出ロボット211と研磨処理用トランスポータ240との間でウェハWを受け渡す位置である。第1の基板受け渡し位置PD1は、研磨処理用トランスポータ240の移動範囲において搬入/搬出ロボット211側に設定された位置であり、搬入/搬出ロボット211が移動することでアクセスされる。
【0040】
第1及び第2の搬送位置PT1、PT2は、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bと研磨処理用トランスポータ240との間でウェハWをそれぞれ受け渡す位置である。第1及び第2の搬送位置PT1、PT2は、研磨処理用トランスポータ240の移動範囲
に所定の間隔を空けて設置されるとともに、第1及び第2の研磨ユニット22A、22Bのトップリング221が揺動移動することでアクセスされる。
【0041】
仕上げ処理用トランスポータ241は、第2の基板受け渡し位置PD2、及び、第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cに対してアクセス可能に構成される。したがって、仕上げ処理用トランスポータ241は、ウェハWの搬送処理として、第2の基板受け渡し位置PD2から最上流工程の仕上げユニット23Aに研磨処理後のウェハWを搬送する仕上げ前搬送処理と、第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cの間で仕上げ処理中のウェハWを仕上げ工程順に搬送する仕上げ中搬送処理とを行う。本実施形態では、仕上げ処理用トランスポータ241は、仕上げ中搬送処理として、第1の仕上げユニット23Aから第2の仕上げユニット23Bに仕上げ処理中のウェハWを搬送する第1の仕上げ中搬送処理と、第2の仕上げユニット23Bから第2の仕上げユニット23Cに仕上げ処理中のウェハWを搬送する第2の仕上げ中搬送処理とを行う。
【0042】
第2の基板受け渡し位置PD2は、研磨処理用トランスポータ240と仕上げ処理用トランスポータ241との間でウェハWをそれぞれ受け渡す位置である。第2の基板受け渡し位置PD2は、ウェハステーション23Dの内部に設定された位置であり、研磨処理用トランスポータ240及び仕上げ処理用トランスポータ241がそれぞれ移動することでアクセスされる。
【0043】
(制御ユニット)
図7は、基板処理装置2の一例を示すブロック図である。制御ユニット25は、各部21~24と電気的に接続されて、各部21~24を統括的に制御する制御部として機能する。以下では、基板搬送部24の制御系(モジュール、センサ、シーケンサ)を例にして説明するが、ロード/アンロード部21、研磨部22及び仕上げ部23も基本的な構成や機能は共通するため、説明を省略する。
【0044】
基板搬送部24は、各搬送ユニット(例えば、研磨処理用トランスポータ240、仕上げ処理用トランスポータ241)にそれぞれ配置されて、制御対象となる複数のモジュール247と、複数のモジュール247にそれぞれ配置されて、各モジュール247の制御に必要なデータ(検出値)を検出する複数のセンサ248と、各センサ248の検出値に基づいて各モジュール247の動作を制御するシーケンサ249とを備える。基板搬送部24のモジュール247には、各搬送ユニットに設けられた回転モータ、リニアモータ、エアアクチュエータ、油圧アクチュエータ等が含まれる。また、基板搬送部24のセンサ248には、例えば、エンコーダセンサ、リニアセンサ、リミットセンサ、ウェハWの有無を検出する非接触センサ等が含まれる。
【0045】
制御ユニット25は、制御部250、通信部251、入力部252、出力部253、及び、記憶部254を備える。制御ユニット25は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図8参照)で構成される。
【0046】
通信部251は、ネットワーク4に接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。入力部252は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部253は、表示画面、シグナルタワー点灯、ブザー音を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。
【0047】
記憶部254は、基板処理装置2の動作で使用される各種のプログラム(オペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム、ウェブブラウザ等)やデータ(装置設定情報10、基板レシピ情報11等)を記憶する。装置設定情報10及び基板レシピ情報11は、表示画面を介してユーザにより編集可能なデータである。
【0048】
制御部250は、複数のシーケンサ219、229、239、249(以下、「シーケンサ群」という)を介して複数のセンサ218、228、238、248(以下、「センサ群」という)の検出値を取得するとともに、複数のモジュール217、227、237、247(以下、「モジュール群」という)を連携して動作させる。そして、基板処理装置2は、制御部250により各部21~24を制御し、ウェハカセット内の複数のウェハWに対して研磨処理、仕上げ処理、搬送処理等を順次行うことで、自動運転を実行する。
【0049】
(各装置のハードウエア構成)
図8は、コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。基板処理装置2の制御ユニット25、及び、情報処理装置3Aの各々は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0050】
コンピュータ900は、
図8に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0051】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、NPU(Neural Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0052】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0053】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(
図1のネットワーク4と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置、メモリカードスロット、USBコネクタで構成され、DVD、CD、メモリカード、USBメモリ等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0054】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0055】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよいし、例えば、制御盤、コントローラ(マイコン、プログラマブルロジックコントローラ、シーケンサを含む)等と呼ばれる組込型コンピュータでもよい。コンピュータ900は、基板処理装置2及び情報処理装置3A以外の装置にも適用されてもよい。
【0056】
(情報処理装置)
図9は、第1の実施形態に係る情報処理装置3Aの一例を示すブロック図である。
図10は、第1の実施形態に係る情報処理装置3Aの一例を示す機能説明図である。
【0057】
情報処理装置3Aは、制御部30、通信部31、記憶部32、入力部33、及び、出力部34を備える。
図9に示す各部30~34の具体的なハードウエア構成は、
図8に示す汎用又は専用のコンピュータ900で構成されるため、詳細な説明を省略する。
【0058】
制御部30は、情報取得部300、計算処理部301、イベント受付部302、再計算処理部303、スケジュール作成部304、及び、集中制御処理部305として機能する。通信部31は、ネットワーク4を介して外部装置(例えば、基板処理装置2)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。記憶部32は、情報処理装置3Aの動作で使用される各種のプログラム(オペレーティングシステムや情報処理プログラム等)やデータ(装置設定情報10、基板レシピ情報11、処理時間情報12、基板処理スケジュール13)等を記憶する。入力部33は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部34は、表示画面や音声を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。
【0059】
情報取得部300は、例えば、通信部31を介して基板処理装置2との間でデータを送受信したり、記憶部32を参照したりすることで、基板レシピ情報11と、処理時間情報12とを取得する。なお、基板レシピ情報11及び処理時間情報12は、ユーザの入力操作に基づくものでもよいし、外部の生産管理装置(不図示)から取得してもよい。
【0060】
基板レシピ情報11は、研磨処理及び仕上げ処理の処理内容を示す情報である。研磨処理の処理内容としては、例えば、研磨テーブル220によるテーブル回転速度、トップリング221によるトップリング押付時間、ウェハ押付荷重、ウェハ回転速度、研磨流体供給部222による研磨流体の供給量、供給タイミング、ドレッサ223によるドレッサ動作時間、アトマイザ224によるアトマイザ動作時間等が含まれる。仕上げ処理の処理内容としては、例えば、ロールスポンジ洗浄処理でのロールスポンジ動作時間、ロールスポ
ンジ回転速度、ウェハ回転速度、基板洗浄流体の供給量、供給タイミング、ペンスポンジ洗浄処理でのペンスポンジ動作時間、ペンスポンジ回転速度、ウェハ回転速度、基板洗浄流体の供給量、供給タイミング、ウェハ回転速度、乾燥処理での乾燥動作時間、ウェハ回転速度、基板乾燥流体の供給量、供給タイミング等が含まれる。なお、基板レシピ情報11は、ウェハWの1枚毎に設定されていてもよいし、ロットを構成する複数枚毎に設定されていてもよい。
【0061】
処理時間情報12は、研磨処理に要する研磨時間TPと、仕上げ処理に要する仕上げ時間TCと、搬送処理に要する搬送時間TTとをそれぞれ示す情報である。情報取得部300は、基板レシピ情報11が示す研磨処理の処理内容のうち、研磨時間に関する設定値に基づいて、研磨時間TPとして、例えば、第1の研磨ユニット22Aによる研磨処理に要する研磨時間TP_A、及び、第2の研磨ユニット22Bによる研磨処理に要する研磨時
間TP_Bを取得する。情報取得部300は、基板レシピ情報11が示す仕上げ処理の処
理内容のうち、仕上げ時間に関する設定値に基づいて、仕上げ時間TCとして、例えば、ロールスポンジ洗浄処理に要する仕上げ時間TC1、ペンスポンジ洗浄処理に要する仕上げ時間TC2、及び、乾燥処理に要する仕上げ時間TC3を取得する。情報取得部300は、搬送時間TTとして、例えば、搬入処理、研磨前搬送処理、研磨後搬送処理、仕上げ前搬送処理、仕上げ中搬送処理(本実施形態では、第1及び第2の仕上げ中搬送処理)、及び、搬出処理の各々に要する搬送時間TT1~TT7を取得する。
【0062】
なお、処理時間(上記の研磨時間TP_A、TP_B、仕上げ時間TC1~TC3、及び、搬送時間TT1~TT7)は、例えば、研磨ユニット22A、22B、仕上げユニット23A~23C、搬送ユニット(例えば、搬入/搬出ロボット211、研磨処理用トランスポータ240、仕上げ処理用トランスポータ241)が実際に動作したときの時間を計測した実測値を考慮したものでもよい。その際、例えば、実測値が基板処理装置2や外部の生産管理装置に記憶されている場合には、情報取得部300は、基板処理装置2や外部の生産管理装置からその実測値を処理時間として取得してもよいし、その実測値に基づいて、基板レシピ情報11から算出した処理時間を補正してもよい。また、処理時間は、各ユニットの仕様から算出された理論値でもよく、装置設定情報10に各ユニットの移動速度が含まれる場合には、情報取得部300は、基板処理装置2又は記憶部32から装置設定情報10を取得し、装置設定情報10に基づいて算出してもよい。さらに、処理時間情報12は、ウェハWの1枚毎に設定されていてもよいし、ロットを構成する複数枚毎に設定されていてもよい。
【0063】
計算処理部301は、基板処理装置2にて所定の枚数のウェハWに対して各処理を順次行うときの各処理の開始タイミングを計算する。基板処理装置2の自動運転では、各処理を行う順序を守りつつ、各処理のうち同時に可能な処理を並列的に行い、各処理のうち同時に不可能な処理を直列的に行うようにして、各処理が行われる。そこで、計算処理部301は、情報取得部300により取得された基板レシピ情報11及び処理時間情報12に基づいて、最終枚目の仕上げ処理後のウェハWが基板搬出位置PEに搬出される最終処理終了時間が最短になるように、各処理の開始タイミングを計算する。計算処理部301は、最終処理終了時間が最短になることに代えて又は加えて、研磨処理の終了タイミングから最上流工程の仕上げ処理の開始タイミングまでの研磨後仕上げ開始時間が均一で最小になるように、各処理の開始タイミングを計算するようにしてもよい。
【0064】
なお、計算処理部301が各処理の開始タイミングを計算するための計算手法は、各種の計算手法を用いることができる。
【0065】
例えば、計算処理部301は、本願出願人による特願2022-125311号に記載されているように、最適化問題に定式化し、その最適解を探索することで各処理の開始タ
イミングを計算するようにしてもよい。数理最適化の手法は、例えば、混合整数線形計画法(MIP)を用いればよく、最適解の探索手法は、厳密解法、近似解法、発見的解法等の任意の探索アルゴリズムを用いることができる。
【0066】
数理最適化では、例えば、各処理を行う順序を定める処理順序条件と、各処理のうち同時に可能又は不可能な処理を定める同時処理条件とを数理最適化の制約条件とし、各処理に要する処理時間を変数に含む最終処理終了時間を最短にすることを数理最適化の目的関数として、各処理の開始タイミングを数理最適化の決定変数として決定する数理最適化を行うことで、各処理の開始タイミングを計算する。本実施形態に係る基板処理装置2では、処理順序条件としては、搬入処理(TT1)、研磨前搬送処理(TT2)、研磨処理(TP)、研磨後搬送処理(TT3)、待機処理(WS)、仕上げ前搬送処理(TT4)、ロールスポンジ洗浄処理(TC1)、第1の仕上げ中搬送処理(TT5)、ペンスポンジ洗浄処理(TC2)、第2の仕上げ中搬送処理(TT7)、乾燥処理(TC3)、搬出処理(TT7)の順序で定められる。また、同時処理条件としては、第1の研磨ユニット22Aによる研磨処理(TP_A)と、第2の研磨ユニット22Bによる研磨処理(TP_B)とは、同時に可能な処理として定められ、仕上げ前搬送処理(TT4)と、第1の仕上げ中搬送処理(TT5)と、第2の仕上げ中搬送処理(TT6)とは、同時に不可能な処理として定められる。
【0067】
また、計算処理部301は、本願出願人による特願2022-130013に記載されているように、基板処理装置2にウェハWを投入する投入順序を入れ替えた処理パターン毎に各処理の開始タイミングを定めた時刻表を作成し、その中で最終処理終了時間が最短となる処理パターンを選択することで、各処理の開始タイミングを計算するようにしてもよい。
【0068】
イベント受付部302は、各処理のいずれかの実行に影響を与えるイベントの発生状況を示すイベント情報を受け付ける。イベント情報としては、例えば、リワーク、ホットロット、ユニット到着、ユニット故障、レシピ変更に関する情報が挙げられるが、各処理のいずれかの実行に影響を与えるものであればよく、これらの情報に限られない。
【0069】
リワークに関するイベント情報(以下、「リワークイベント情報」という)は、研磨処理が行われたウェハWに対して研磨処理を再度行うこと、又は、仕上げ処理が行われたウェハWに対して仕上げ処理を再度行うことを示すものである。リワークイベント情報には、例えば、リワークの対象となる割込ウェハ(割込基板)を識別するためのウェハID、その割込ウェハWに対する処理内容(基板レシピ情報11でもよい)等が含まれる。リワークイベント情報は、例えば、基板処理装置2の内部又は外部に設置された検査装置(不図示)の検査結果(例えば、膜厚等)に基づいて生成されて、検査装置から受け付けられる。
【0070】
ホットロットに関するイベント情報(以下、「ホットロットイベント情報」という)は、計算処理部301により各処理の開始タイミングが計算されたときのウェハWに含まれていない割込ウェハ(割込基板)に対して各処理を行うことを示すものである。ホットロットイベント情報には、例えば、ホットロットの対象となる割込ウェハを識別するためのウェハID、その割込ウェハに対する処理内容(基板レシピ情報11でもよい)等が含まれる。ホットロットイベント情報は、例えば、外部の生産管理装置(不図示)から受け付けられる。
【0071】
ユニット到着に関するイベント情報(以下、「ユニット到着イベント情報」という)は、研磨ユニット22A、22Bに対してウェハWを搬送する搬送処理が行われたときに当該ウェハWが研磨ユニット22A、22Bに到着したこと、又は、仕上げユニット23A
~23Cに対してウェハWを搬送する搬送処理が行われたときに当該ウェハWが仕上げユニット23A~23Cに到着したことを示すものである。ユニット到着イベント情報には、例えば、対象となるウェハWを識別するためのウェハID、そのウェハWが到着したユニット(研磨ユニット22A、22B、仕上げユニット23A~23C)を識別するためのユニットID、そのウェハWがそのユニットに到着した到着時刻等が含まれる。ユニット到着イベント情報は、例えば、基板処理装置2が備えるセンサ218、228、238、248の検出結果に基づいて生成されて、基板処理装置2から受け付けられる。
【0072】
ユニット故障に関するイベント情報(以下、「ユニット故障イベント情報」という)は、研磨ユニット22A、22B、仕上げユニット23A~23C、又は、搬送ユニット(例えば、搬入/搬出ロボット211、研磨処理用トランスポータ240、仕上げ処理用トランスポータ241)に故障(予兆を含む)が発生したことを示すものである。ユニット故障イベント情報には、例えば、対象となるユニット(研磨ユニット22A、22B、仕上げユニット23A~23C、搬送ユニット)を識別するためのユニットID、その故障が発生した故障発生時刻、その故障の内容を示す故障内容等が含まれる。ユニット故障イベント情報は、例えば、基板処理装置2が備えるセンサ218、228、238、248の検出結果に基づいて生成されて、基板処理装置2から受け付けられる。また、メンテナンス等により故障の原因が取り除かれて故障から復旧した場合には、その故障が復旧したことを示すユニット故障イベント情報が受け付けられる。
【0073】
レシピ変更に関するイベント情報(以下、「レシピ変更イベント情報」という)は、研磨処理の処理内容を定める基板レシピ情報11が変更されたこと、又は、仕上げ処理の処理内容を定める基板レシピ情報11が変更されたことを示すものである。レシピ変更イベント情報には、例えば、対象となるウェハWを識別するためのウェハID、そのウェハWに対する変更後の処理内容(変更後の基板レシピ情報11でもよい)等が含まれる。レシピ変更イベント情報は、例えば、基板処理装置2、外部の生産管理装置(不図示)、ユーザ端末装置(不図示)から受け付けられる。
【0074】
再計算処理部303は、計算処理部301により計算された各処理の開始タイミングに従って基板処理装置2が各処理を実行中に、イベント受付部302によりイベント情報が受け付けられたとき、当該イベント情報が示すイベントの発生状況に基づいて、各処理の開始タイミングを再計算する。再計算処理部303が各処理の開始タイミングを再計算するための計算手法は、計算処理部301と同様の計算手法を用いてもよいし、計算処理部301とは異なる計算手法を用いてもよい。その際、再計算処理部303は、情報取得部300により取得された基板レシピ情報11及び処理時間情報12のうち差計算に必要な情報を参照するようにすればよい。
【0075】
スケジュール作成部304は、計算処理部301により計算された各処理の開始タイミングで定められる初期の基板処理スケジュール13(後述の
図11参照)を作成する。また、スケジュール作成部304は、再計算処理部303により再計算された各処理の開始タイミングで定められる更新後の基板処理スケジュール13(後述の
図12乃至
図17参照)を作成する。なお、スケジュール作成部304は、基板処理スケジュール13を評価し、その評価結果として基板処理スケジュール13の評価指標を算出するようにしてもよい。基板処理スケジュール13の評価指標としては、例えば、単位時間当たりのウェハWの処理枚数(WPH)、各処理のタクトタイム、各処理のうち最も処理時間を要する律速処理、研磨後仕上げ開始時間のばらつき度合い等が挙げられる。
【0076】
図11は、初期の基板処理スケジュール13Aの一例を示す図である。
図11に示す初期の基板処理スケジュール13Aは、基板処理装置2が各処理を実行する前に計算処理部301により計算された各処理の開始タイミングで定められる。なお、
図11では、4枚
のウェハWについて各処理の開始タイミングを図示しているが、5枚目以降のウェハWについても同様に各処理の開始タイミングが定められる。
【0077】
図12は、リワークイベント情報が受け付けられたときに作成された基板処理スケジュール13Bの一例を示す図である。
図12に示す基板処理スケジュール13Bは、リワークイベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により再計算された各処理の開始タイミングで定められる。
図12では、リワークイベント情報が、リワーク対象のウェハWに対して研磨処理及び仕上げ処理を再度行うことを示すものであり、1枚目のウェハWと、2枚目のウェハWの間に、リワーク対象の割込ウェハに対する研磨処理及び仕上げ処理を実行するように、各処理の開始タイミングが再計算された場合が図示されている。その際、リワーク対象の割込ウェハに対する研磨処理の研磨時間TPは、他のウェハWよりも短く設定された場合が図示されている。
【0078】
図13は、ホットロットイベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により作成された基板処理スケジュール13Cの一例を示す図である。
図13に示す基板処理スケジュール13Cは、ホットロットイベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により再計算された各処理の開始タイミングで定められる。
図13では、1枚目のウェハWと、2枚目のウェハWの間に、ホットロット対象の割込ウェハに対する研磨処理及び仕上げ処理を実行するように、各処理の開始タイミングが再計算された場合が図示されている。
【0079】
図14は、ユニット到着イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により作成された基板処理スケジュール13Dの一例を示す図である。
図14に示す基板処理スケジュール13Dは、ユニット到着イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により再計算された各処理の開始タイミングで定められる。
図14では、ユニット到着イベント情報が、1枚目のウェハWを第1の研磨ユニット22Aに搬送する搬送処理が行われたときに、1枚目のウェハWが第1の研磨ユニット22Aに到着した到着時刻が遅延したことを示す場合が図示されている。
【0080】
図15は、ユニット故障イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により作成された基板処理スケジュール13Eの一例を示す図である。
図15に示す基板処理スケジュール13Eは、ユニット故障イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により再計算された各処理の開始タイミングで定められる。
図15では、ユニット故障イベント情報が、1枚目のウェハWに対する研磨処理が終了した後、第1の研磨ユニット22Aに故障が発生したことを示すものであり、2枚目以降のウェハWに対する研磨処理を第2の研磨ユニット22Bで実行するように、各処理の開始タイミングが再計算された場合が図示されている。
【0081】
図16は、ユニット故障イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により作成された基板処理スケジュール13Fの一例を示す図である。
図16に示す基板処理スケジュール13Fは、ユニット故障イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により再計算された各処理の開始タイミングで定められる。
図16では、ユニット故障イベント情報が、2枚目のウェハWを第2の研磨ユニット22Bに搬送する搬送処理が行われたときに搬入/搬出ロボット211に故障が発生し、さらに、搬入/搬出ロボット211の故障が復旧したことを示すものであり、2枚目以降のウェハWに対する各処理を再開するように、各処理の開始タイミングが再計算された場合が図示されている。
【0082】
図17は、レシピ変更イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部303により作成された基板処理スケジュール13Gの一例を示す図である。
図17に示す基板処理スケジュール13Gは、レシピ変更イベント情報が受け付けられたときに再計算処理部30
3により再計算された各処理の開始タイミングで定められる。
図17では、レシピ変更イベント情報が、2枚目のウェハWに対する基板レシピ情報11において研磨処理の処理内容が変更されたことを示すものであり、2枚目のウェハWに対する研磨処理を変更後の処理内容にて実行するように、各処理の開始タイミングが再計算された場合が図示されている。
【0083】
集中制御処理部305は、スケジュール作成部304により作成された基板処理スケジュール13(13A~13G)に基づいて、各処理の開始タイミングを指示することにより各処理ユニットを制御する。本実施形態では、各処理ユニットには、研磨ユニット22A、22B、仕上げユニット23A~23C、及び、搬送ユニット(例えば、搬入/搬出ロボット211、研磨処理用トランスポータ240、仕上げ処理用トランスポータ241)が含まれる。
【0084】
(情報処理方法)
図18は、第1の実施形態に係る情報処理装置3Aによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0085】
まず、ステップS100において、ユーザが、例えば、情報処理装置3Aに対して基板処理スケジュール13の作成条件(自動運転の対象とするウェハWのロット番号や処理枚数等)を指定し、基板処理スケジュール13の作成指示を入力することにより、情報処理装置3Aは、その作成指示を受け付ける。
【0086】
次に、ステップS110において、情報取得部300は、ステップS100にて受け付けた入力操作に基づいて、基板レシピ情報11と、処理時間情報12とを取得する。例えば、ロット番号が指示された場合には、そのロット番号に対応付けられた基板レシピ情報11を取得するとともに、その基板レシピ情報11に基づいて処理時間情報12を取得する。
【0087】
次に、ステップS120において、計算処理部301は、ステップS110にて取得された基板レシピ情報11及び処理時間情報12に基づいて、最終枚目の仕上げ処理後のウェハWが基板搬出位置PEに搬出される最終処理終了時間が最短になるように、各処理の開始タイミングを計算する。
【0088】
次に、ステップS130において、スケジュール作成部304は、ステップS120にて計算された各処理の開始タイミングで定められる初期の基板処理スケジュール13(例えば、
図11に示す初期の基板処理スケジュール13A)を作成する。
【0089】
そして、基板処理装置2の自動運転が開始された場合(ステップS140:Yes)、ステップS150において、集中制御処理部305は、ステップS130にて作成された基板処理スケジュール13に基づいて、各処理の開始タイミングを指示することにより、各処理ユニット(研磨ユニット22A、22B、仕上げユニット23A~23C、及び、搬送ユニット)を制御する。
【0090】
次に、S160において、イベント受付部302は、自動運転の実行中に、各処理のいずれかの実行に影響を与えるイベントが発生したかどうかを監視する。すなわち、イベント受付部302は、ステップS120にて計算された各処理の開始タイミングに従って基板処理装置2が各処理を実行中にイベント情報を受け付けたかどうかを監視する。
【0091】
そして、イベント受付部302が、基板処理装置2が自動運転中に、イベント受付部302にてイベント情報を受け付けると(S160:Yes)、S170(再計算処理工程
)において、再計算処理部303は、そのイベント情報が示すイベントの発生状況に基づいて、各処理の開始タイミングを再計算する。
【0092】
次に、ステップS180において、スケジュール作成部304は、ステップS170にて再計算された各処理の開始タイミングで定められる更新後の基板処理スケジュール13(例えば、
図12乃至
図17に示す更新後の基板処理スケジュール13B~13G)を作成する。
【0093】
次に、ステップS190において、集中制御処理部305は、ステップS180にて作成された更新後の基板処理スケジュール13に基づいて、各処理の開始タイミングを指示することにより、各処理ユニットを制御する。
【0094】
そして、基板処理装置2の自動運転が終了されず、継続される場合(ステップS200:No)、ステップS160に戻る。ステップS160において、イベント情報が受け付けられる毎に、上記のステップS170~S190が繰り返し実行されることにより、
図18に示す一連の情報処理方法が実行される。なお、上記の情報処理方法において、ステップS110が情報取得工程、ステップS120が計算処理工程、ステップS130、S180がスケジュール作成工程、ステップS160がイベント受付工程、ステップS170が再計算処理工程、ステップS150、S190が集中制御処理工程に相当する。
【0095】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置3A及び情報処理方法によれば、再計算処理部303が、計算処理部301により計算された各処理の開始タイミングに従って基板処理装置2が各処理を実行中にイベント情報が受け付けられたとき、当該イベント情報が示すイベントの発生状況に基づいて、各処理の開始タイミングを再計算する。したがって、自動運転時に各種のイベントが発生した場合でも基板処理装置2の処理効率の低下を抑制することができる。その際、集中制御処理部305が、基板処理装置2を集中制御することにより、再計算された各処理の開始タイミングに従って各ユニットを動作させることができる。
【0096】
(第2の実施形態)
図19は、第2の実施形態に係る情報処理装置3Bの一例を示すブロック図である。
図20は、第2の実施形態に係る情報処理装置3Bの一例を示す機能説明図である。
【0097】
第2の実施形態に係る情報処理装置3Bは、スケジュール作成部304及び集中制御処理部305に代えて、分散制御処理部306を備える点で第1の実施形態に係る情報処理装置3Aと相違する。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、同一符号を振って詳細な説明を省略する。
【0098】
制御部30は、情報取得部300、計算処理部301、イベント受付部302、再計算処理部303、及び、分散制御処理部306として機能する。
【0099】
分散制御処理部306は、研磨ユニット22A、22Bに対してウェハWを搬送する搬送処理が行われたときに当該ウェハWが研磨ユニット22A、22Bに到着したタイミングに合わせて、計算処理部301又は再計算処理部303により計算又は再計算された研磨処理の開始タイミングを研磨ユニット22A、22Bに指示することにより研磨ユニット22A、22Bを制御する。
【0100】
また、分散制御処理部306は、仕上げユニット23A~23Cに対してウェハWを搬送する搬送処理が行われたときに当該ウェハWが仕上げユニット23A~23Cに到着したタイミングに合わせて、計算処理部301又は再計算処理部303により計算又は再計
算された仕上げ処理の開始タイミングを仕上げユニット23A~23Cに指示することにより仕上げユニット23A~23Cを制御する。
【0101】
(情報処理方法)
図21は、第2の実施形態に係る情報処理装置3Bによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0102】
第2の実施形態に係る情報処理装置3Bによる情報処理方法は、ステップS151、S191において、分散制御処理部306が、計算処理部301又は再計算処理部303により計算又は再計算された各処理の開始タイミングを各処理ユニット(研磨ユニット22A、22B、仕上げユニット23A~23C、及び、搬送ユニット)に指示することにより各処理ユニットを制御する分散制御処理工程を行う点で第1の実施形態に係る情報処理装方法(
図18に示すフローチャート)と相違する。その他のステップは、第1の実施形態と同様であるため、同一符号を振って詳細な説明を省略する。
【0103】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置3B及び情報処理方法によれば、再計算処理部303が、計算処理部301により計算された各処理の開始タイミングに従って基板処理装置2が各処理を実行中にイベント情報が受け付けられたとき、当該イベント情報が示すイベントの発生状況に基づいて、各処理の開始タイミングを再計算する。したがって、自動運転時に各種のイベントが発生した場合でも基板処理装置2の処理効率の低下を抑制することができる。その際、分散制御処理部306が、基板処理装置2を分散制御することにより、再計算された各処理の開始タイミングに従って各ユニットを動作させることができる。
【0104】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0105】
上記実施形態では、基板処理装置2及び情報処理装置3A、3Bは、別々の装置で構成されたものとして説明したが、単一の装置で構成されていてもよく、例えば、情報処理装置3A、3Bが、基板処理装置2の制御ユニット25に組み込まれていてもよい。また、情報処理装置3A、3Bが備える機能の一部が、基板処理装置2の制御ユニット25で実現されていてもよく、例えば、基板処理装置2の制御ユニット25が、計算処理部301、イベント受付部302、再計算処理部303、及び、スケジュール作成部304として機能するようにしてもよいし、集中制御処理部305又は分散制御処理部306として機能するようにしてもよい。
【0106】
上記実施形態では、基板処理装置2が、研磨処理として化学機械研磨処理を行うものとして説明したが、基板処理装置2は、化学機械研磨処理に代えて、物理機械研磨処理を行うものでもよい。
【0107】
上記実施形態では、基板処理装置2が、
図2に示すように、各処理ユニット(研磨ユニット、仕上げユニット、搬送ユニット)を備える場合につて説明したが、各処理ユニットの構成として、各処理の数、配置、上流・下流の関係、並列関係、直列関係は、
図2の例に限れられず、適宜変更してもよい。例えば、研磨ユニットの数を3つ以上にしてもよいし、搬送ユニットとして、複数の研磨処理用トランスポータ240又は複数の仕上げ処理用トランスポータ241を備えることで、搬送処理を並列的に行うように構成してもよいし、仕上げ処理ユニットとして、第1乃至第3の仕上げユニット23A~23Cを1組として、これらを複数組備えることで、仕上げ処理を並列的に行うように構成してもよい。
また、各処理ユニットの間でウェハWを受け渡す位置や、ウェハWを一時的に待機させる位置等を適宜変更してもよいし、それらの数を適宜追加してもよい。上記のような場合には、各処理ユニットの構成に合わせて、計算処理部301及び再計算処理部303における各処理の開始タイミングを計算する際の計算手法を変更すればよい。
【0108】
(情報処理プログラム)
本発明は、情報処理装置3A、3Bが備える各部としてコンピュータ900を機能させるためのプログラム(情報処理プログラム)や、上記実施形態に係る情報処理方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(情報処理プログラム)の態様で提供することもできる。
【符号の説明】
【0109】
1…基板処理システム、2…基板処理装置、3A、3B…情報処理装置、
4…ネットワーク、10…装置設定情報、11…基板レシピ情報、
12…処理時間情報、13、13A~13G…基板処理スケジュール、
20…ハウジング、21…ロード/アンロード部、
22…研磨部、22A、22B…研磨ユニット、
23…仕上げ部、23A~23C…仕上げユニット、23D…ウェハステーション、
24…基板搬送部、25…制御ユニット、
30…制御部、31…通信部、32…記憶部、33…入力部、34…出力部、
210A…第2のフロントロード部、210B…第2のフロントロード部、
211…搬出ロボット、220…研磨テーブル、221…トップリング、
222…研磨流体供給部、223…ドレッサ、224…アトマイザ、
230…基板洗浄部、231…基板保持部、232…洗浄流体供給部、
233…洗浄具洗浄部、235…乾燥流体供給部、
240…研磨処理用トランスポータ、241…仕上げ処理用トランスポータ、
250…制御部、251…通信部、252…入力部、253…出力部、254…記憶部、300…情報取得部、301…計算処理部、302…イベント受付部、
303…再計算処理部、304…スケジュール作成部、
305…集中制御処理部、306…分散制御処理部、