(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100621
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240719BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01L21/31 E
H01L21/316 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004743
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹島 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】中山 雅則
(72)【発明者】
【氏名】坪田 康寿
(72)【発明者】
【氏名】井川 博登
(72)【発明者】
【氏名】山角 宥貴
(72)【発明者】
【氏名】岸本 宗樹
【テーマコード(参考)】
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
5F045AA08
5F045AA20
5F045AB32
5F045AB34
5F045AC01
5F045AC11
5F045AC16
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5F045BB02
5F045BB08
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5F045DQ10
5F045DQ17
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5F045EN04
5F045GB01
5F045GB04
5F045GB11
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5F058BA06
5F058BA20
5F058BC02
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5F058BF07
5F058BF23
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF73
5F058BF74
5F058BG01
5F058BG02
5F058BG03
5F058BG04
(57)【要約】
【課題】基板処理装置の運用に伴う経時的な基板処理結果の変動を抑制する。
【解決手段】基板を搬送する搬送室と、基板の処理条件に従い、基板を処理する処理室と、基板の処理開始前及び処理終了後のそれぞれで基板の質量を測定する測定部と、測定した質量の差分から基板の膜厚値を算出する算出部と、算出した膜厚値の異常を判定する判定部と、処理条件を設定する設定部と、膜厚値が異常であると判定された場合に設定部にて処理条件の変更を行うよう制御することが可能なよう構成される制御部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する搬送室と、
前記基板の処理条件に従い、前記基板を処理する処理室と、
前記基板の処理開始前及び処理終了後のそれぞれで前記基板の質量を測定する測定部と、
測定した前記質量の差分から前記基板の膜厚値を算出する算出部と、
算出した前記膜厚値の異常を判定する判定部と、
前記処理条件を設定する設定部と、
前記膜厚値が異常であると判定された場合に前記設定部にて前記処理条件の変更を行うよう制御することが可能なよう構成される制御部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項2】
前記測定部は、前記搬送室に設けられた重量計により、前記基板の処理開始前、及び処理終了後の前記基板の質量を測定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記搬送室に設けられた反り量計測計により、前記基板の処理開始前、及び処理終了後の前記基板の質量を測定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記差分を記憶する記憶部を有し、前記差分を記憶する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記差分と前記基板の面積より、前記基板処理時に変化した膜厚値を算出する、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、算出した前記膜厚値が予め定義された閾値以上となった場合は異常と判定する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記判定部が異常と判定した場合の前記膜厚値を記憶する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記設定部は、算出した前記膜厚値と前記閾値より前記処理条件を変更する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
変更する前記処理条件は、前記処理室に設けられたヒータの出力設定値である、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記設定部は算出した膜厚値と前記閾値よりヒータの出力設定値の変更を行う、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記測定部が前記質量を測定するタイミングは、前記基板の処理によって異なる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記測定部が前記質量を測定するタイミングは、パラメータとして記憶部に記憶されている、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記測定部は、in situで前記質量の測定を行う、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記測定部は、減圧下で前記質量の測定を行う、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記質量の測定は、前記基板の処理毎に行う、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記質量の測定は、予め定義されたタイミングでの前記基板の処理時に行う、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項17】
基板の搬送を行う工程と、
前記基板の処理条件に従い、前記基板の処理を行う工程と、
基板の処理開始前及び処理終了後のそれぞれで前記基板の質量を測定する工程と、
測定した前記質量の差分から前記基板の膜厚値を算出する工程と、
算出した前記膜厚値の異常を判定する工程と、
前記処理条件の設定を行う工程と、
前記膜厚値が異常であると判定された場合に前記処理条件を変更する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
基板の搬送を行う手順と、
前記基板の処理条件に従い、前記基板の処理を行う手順と、
基板の処理開始前及び処理終了後のそれぞれで前記基板の質量を測定する手順と、
測定した前記質量の差分から前記基板の膜厚値を算出する手順と、
算出した前記膜厚値の異常を判定する手順と、
前記処理条件の設定を行う手順と、
前記膜厚値が異常であると判定された場合に前記処理条件を変更する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
窒素、酸素等のガス雰囲気中で基板に対してプラズマ処理を実施するための基板処理装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板処理装置では、ヒータを有する基板載置台のカバー(サセプタカバー)が使用されることがある。基板処理を行うことで、サセプタカバーの熱放射率が変化し、基板に対する処理結果に影響を及ぼすことがある。具体的には、基板に形成される膜について経時的な膜厚上昇が見られることがある。
【0005】
本開示は、基板処理装置の運用に伴う経時的な基板処理結果の変動を抑制することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、基板を搬送する搬送室と、前記基板の処理条件に従い、前記基板を処理する処理室と、前記基板の処理開始前及び処理終了後のそれぞれで前記基板の質量を測定する測定部と、測定した前記質量の差分から前記基板の膜厚値を算出する算出部と、算出した前記膜厚値の異常を判定する判定部と、前記処理条件を設定する設定部と、前記膜厚値が異常であると判定された場合に前記設定部にて前記処理条件の変更を行うよう制御することが可能なよう構成される制御部と、を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板処理装置の運用に伴う経時的な基板処理結果の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の平面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るPM1の断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系を示すブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る基板処理工程を示すフロー図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る基板処理工程における質量の取得から基板の処理条件の変更までの流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。特段の断りが無い限り、各要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
本実施形態に係る基板処理装置1について、
図1から
図5を用いて以下に説明する。基板処理装置100は、搬送室の一例としての真空搬送室TMと、処理室201と、測定部31cと、算出部226と、判定部228と、設定部227と、制御部10と、を有している。
図1は、本実施形態に係る基板処理装置の平面図である。
【0011】
図1に示す基板処理装置100は、減圧状態で基板(例えばシリコン等からなるウエハ200)を取り扱う真空側の構成と、大気圧状態においてウエハ200を取り扱う大気圧側の構成とを備えている。真空側の構成は、主に、真空搬送室TMと、ロードロック室LM1,LM2と、ウエハ200を処理する処理モジュール(処理機構)PM1~PM4とを備える。大気圧側の構成は、主に、大気圧搬送室EFEMと、ロードポートLP1~LP3とを備える。ロードポートLP1~LP3には、ウエハ200を収納したキャリアCA1~CA3が、基板処理装置外部から搬送されて載置され、また、基板処理装置外部へ搬送される。このような構成により、例えば、ロードポートLP1上のキャリアCA1から未処理のウエハ200が取り出され、ロードロック室LM1を経て、処理モジュールPM1へ搬入されて処理された後、処理済みのウエハ200は、その逆の手順で、ロードポートLP1上のキャリアCA1へ戻される。このように、ウエハ200は、真空側の搬送室で搬送されると共に、大気圧側の搬送室で搬送され、また真空側の搬送室と大気圧側の搬送室との間でも搬送される。
【0012】
(真空側の構成)
真空搬送室TMは、真空状態などの大気圧未満の負圧(減圧)に耐えることが出来る真空気密可能な構造に構成されている。なお、本実施形態においては、真空搬送室TMの筐体は、平面視が五角形で、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。ロードロック室LM1,LM2、処理モジュールPM1~PM4は、真空搬送室TMの外周を囲むように配置されている。なお、処理モジュールPM1~PM4を総称又は代表する場合は、処理モジュールPMと称する。ロードロック室LM1,LM2を総称又は代表する場合は、ロードロック室LMと称する。その他の構成(後述する真空ロボットVR、アームVRA等)についても同様のルールとする。
【0013】
真空搬送室TM内には、減圧状態でウエハ200を搬送する搬送手段としての真空ロボットVRが例えば1台設けられている。真空ロボットVRは、ウエハ200を基板載置部である2組の基板支持アーム(以下、アーム)VRAに載せることで、ロードロック室LM及び処理モジュールPMとの間で、ウエハ200の搬送を行なう。真空ロボットVRは、真空搬送室TMの気密性を維持しつつ昇降できるように構成される。また、2組のアームVRAは、上下方向に離間して設けられ、それぞれ水平方向に伸縮でき、係る水平面内で回転移動できるように構成されている。
【0014】
処理モジュールPMは、ウエハ200が載置される基板載置部をそれぞれ備え、例えばウエハ200を1枚ずつ減圧状態で処理する枚葉式の処理室として構成されている。すなわち、処理モジュールPMは、それぞれが例えばプラズマ等を用いたエッチングやアッシング、化学反応による成膜など、ウエハ200に付加価値を与える処理室として機能する。
【0015】
処理モジュールPMは、開閉弁としてのゲートバルブPGVにより真空搬送室TMにそれぞれ連接されている。したがって、ゲートバルブPGVを開けることにより、真空搬送室TMとの間で減圧下にてウエハ200の搬送を行うことが可能である。また、ゲートバルブPGVを閉じることにより、処理モジュールPM内の圧力や処理ガス雰囲気を保持したまま、ウエハ200に対して各種の基板処理を行うことが可能である。
【0016】
ロードロック室LMは、真空搬送室TM内へウエハ200を搬入する予備室として、あるいは真空搬送室TM内からウエハ200を搬出する予備室として機能する。ロードロック室LMの内部には、ウエハ200を搬入搬出する際、ウエハ200を一時的に支持する基板載置部としてのバッファステージ(図示せず)が、それぞれ設けられている。バッファステージは、複数枚(例えば2枚)のウエハ200を保持する多段型スロットとして構成されていてもよい。
【0017】
また、ロードロック室LMは、開閉弁としてのゲートバルブLGVにより真空搬送室TMにそれぞれ連接されており、また、開閉弁としてのゲートバルブLDにより後述する大気圧搬送室EFEMにそれぞれ連接されている。したがって、真空搬送室TM側のゲートバルブLGVを閉じたまま、大気圧搬送室EFEM側のゲートバルブLDを開けることにより、真空搬送室TM内の真空気密を保持したまま、ロードロック室LMと大気圧搬送室EFEMとの間で、大気圧下にてウエハ200の搬送を行うことが可能である。
【0018】
また、ロードロック室LMは、真空状態などの大気圧未満の減圧に耐えることが出来る構造に構成されており、その内部をそれぞれ真空排気することが可能となっている。したがって、大気圧搬送室EFEM側のゲートバルブLDを閉じてロードロック室LMの内部を真空排気した後で、真空搬送室TM側のゲートバルブLGVを開けることにより、真空搬送室TM内の真空状態を保持したまま、ロードロック室LMと真空搬送室TMとの間で、減圧下にてウエハ200の搬送を行うことが可能である。 このように、ロードロック室LMは、大気圧状態と減圧状態とを切換え可能に構成されている。
【0019】
(大気圧側の構成)
一方、基板処理装置の大気圧側には、上述の通り、ロードロック室LM1,LM2に接続されたフロントモジュールである大気圧搬送室EFEM(Equipment Front End Module)と、大気圧搬送室EFEMに接続され、例えば1ロット分、25枚のウエハ200をそれぞれ収納したウエハ収納容器としてのキャリアCA1~CA3を載置するキャリア載置部としてのロードポートLP1~LP3と、が設けられている。このようなキャリアCA1~CA3としては、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)が使用される。ここで、ロードポートLP1~LP3を総称又は代表する場合は、ロードポートLPと称する。キャリアCA1~CA3を総称又は代表する場合は、キャリアCAと称する。真空側の構成と同様に大気圧側の構成(後述するキャリアドアCAH1~CAH3、キャリアオープナCP1~CP3等)についても同様のルールとする。
【0020】
大気圧搬送室EFEM内には、搬送手段としての大気圧ロボットARが例えば1台設けられている。大気圧ロボットARは、ロードロック室LM1とロードポートLP1上のキャリアCAとの間でウエハ200の搬送を行なう。大気圧ロボットARも、真空ロボットVRと同様に基板載置部である2組のアームARAを有する。
【0021】
キャリアCA1には、キャリアCAのキャップ(蓋)であるキャリアドアCAHが設けられている。ロードポートLP上に載置されたキャリアCAのドアCAHが開放された状態で、基板搬入搬出口CAA1を通して、大気圧ロボットARによりキャリアCA内にウエハ200が収納され、また、キャリアCA内のウエハ200が大気圧ロボットARにより搬出される。
【0022】
また、大気圧搬送室EFEM内には、それぞれキャリアドアCAHを開閉するためのキャリアオープナCPが、それぞれロードポートLPに隣設されている。つまり、大気圧搬送室EFEM内は、キャリアオープナCPを介してロードポートLPに隣接して設けられている。
【0023】
キャリアオープナCPは、キャリアドアCAHと密着可能なクロージャと、クロージャを水平及び鉛直方向に動作させる駆動機構とを有する。キャリアオープナCPは、キャリアドアCAHにクロージャを密着した状態で、クロージャをキャリアドアCAHとともに水平及び鉛直方向に動かすことにより、キャリアドアCAHを開閉する。
【0024】
また、大気圧搬送室EFEM内には、基板位置修正装置として、ウエハ200の結晶方位の位置合わせ等を行うオリフラ合わせ装置であるアライナーAUが設けられている。また、大気圧搬送室EFEMには、大気圧搬送室EFEMの内部にクリーンエアを供給するクリーンエアユニット(図示せず)が設けられている。
【0025】
ロードポートLPは、ロードポートLP上に、複数枚の基板Wを収納したキャリアCA1~CA3をそれぞれ載置するように構成される。それぞれのキャリアCA内には、ウエハ200をそれぞれ収納する収納部としてのスロット(図示せず)が例えば1ロット分、25スロット設けられている。各ロードポートLPはキャリアCAが載置されると、キャリアCAに付され、キャリアCAを識別するキャリアIDを示すバーコード等を読み取って記憶するよう構成される。
【0026】
次に、基板処理装置を統括的に制御する制御部10は、基板処理装置の各部を制御するよう構成される。制御部10は、搬送制御部としての搬送系制御部31と、後述する処理制御部としてのプロセス系制御部221と、を少なくとも含む。
【0027】
制御部10は、操作部222及び表示部222a(
図3)を有し、操作部222及び表示部222aを介して操作員による操作や指示を受け付けるよう構成される。表示部222aには、操作画面や各種データ等の情報が表示される。表示部222aに表示されるデータは、記憶部221c(
図3)に記憶される。
【0028】
搬送系制御部31は、真空ロボットVRや大気圧ロボットARを制御するロボットコントローラを含み、ウエハ200の搬送制御や操作員から指示された作業の実行を制御するよう構成される。ロボットコントローラは、例えば搬送制御部31a、回転制御部31bを含む。また、搬送系制御部31は、ウエハ200の処理開始前及び処理終了後のそれぞれのウエハ200の質量を測定する測定部31c(後述)を含む。
【0029】
搬送系制御部31は、例えば操作部222を介して操作員により作成又は編集されて作成された搬送レシピに基づいて、ウエハ200を搬送する際の制御データ(制御指示)を、真空ロボットVRや大気圧ロボットAR、各種バルブ、スイッチ等に対して出力し、基板処理装置内におけるウエハ200の搬送制御を行う。
【0030】
図2に示されるように、プロセス系制御部221は、信号線Aを通じてAPC242、バルブ243b及び真空ポンプ246を、信号線Bを通じてサセプタ昇降機構268を、信号線Cを通じてヒータ電力調整機構276及びインピーダンス可変機構275を、信号線Dを通じてゲートバルブ244を、信号線Eを通じてRFセンサ272、高周波電源273及び整合器274を、信号線Fを通じてMFC252a~252c及びバルブ253a~253c,243aを、それぞれ制御するように構成されている。
【0031】
プロセス系制御部221は、例えば操作部222を介して操作員により作成又は編集されて作成された処理レシピに基づいて、ウエハ200の処理を行う際の制御データ(制御指示)を、各種バルブ、各種機構、MFC等に対して出力し、基板処理装置内におけるウエハ200の基板処理制御を行う。
【0032】
制御部10は、
図1に示すように基板処理装置内に設けるだけでなく、基板処理装置外に設けられていても良い。また、制御部10や搬送系制御部31や処理モジュールPMを制御する処理制御部としてのプロセス系制御部221は、例えばパソコン(パーソナルコンピュータ)等の一般的な汎用コンピュータとして構成されていてもよい。この場合、各種プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(USBメモリ、DVD等)を用いて汎用コンピュータにプログラムをインストールすることにより、各コントローラを構成することができる。
【0033】
また、上述の処理を実行するプログラムを供給するための手段は、任意に選択できる。上述のように所定の記録媒体を介して供給するほか、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給することができる。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して、当該プログラムを搬送波に重畳して供給してもよい。そして、このようにして提供されたプログラムを起動し、基板処理装置のOS(Operating System)の制御下、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【0034】
(処理室)
図2は、本実施形態に係る基板処理装置における処理モジュールPM1の断面図である。処理モジュールPM2~PM4も、処理モジュールPM1と同様の構成を有している。処理モジュールPM1は、基板としてのウエハ200をプラズマ処理する処理炉202を備えている。処理炉202には、処理室201を構成する処理容器203が設けられている。処理室201では、ウエハ200の処理条件に従い、ウエハ200が処理される。処理容器203は、第1の容器であるドーム型の上側容器210と、第2の容器である碗型の下側容器211とを備えている。上側容器210が下側容器211の上に被さることにより、処理室201が形成される。上側容器210は、例えば酸化アルミニウム(Al2O
3)または石英(SiO
2)等の非金属材料で形成されており、下側容器211は、例えばアルミニウム(Al)で形成されている。
【0035】
また、下側容器211の下部側壁には、ゲートバルブ244(
図1のPGVに相当)が設けられている。ゲートバルブ244は、開いているとき、搬送機構(
図1の真空ロボットVR)を用いて、搬入出口245を介して、処理室201内へウエハ200を搬入できる。または、搬送機構(
図1の真空ロボットVR)を用いて、搬入出口245を介して、処理室201外へとウエハ200を搬出することができるように構成されている。ゲートバルブ244は、閉まっているときには、処理室201内の気密性を保持する仕切弁となるように構成されている。
【0036】
処理室201は、後述するように周囲にコイル212が設けられているプラズマ生成空間201aと、プラズマ生成空間に連通し、ウエハ200が処理される基板処理空間201bを有する。プラズマ生成空間201aはプラズマが生成される空間であって、処理室の内、コイル212の下端(一点鎖線)より上方の空間を言う。一方、基板処理空間201bは基板が処理される空間であって、コイル212の下端より下方の空間を言う。
【0037】
(サセプタ)
処理室201の底側中央には、ウエハ200を載置する基板載置部としてのサセプタ217が配置されている。サセプタ217は例えば窒化アルミニウム(AlN)、セラミックス、石英等の非金属材料から形成されており、ウエハ200上に形成される膜等の金属汚染を低減することができるように構成されている。
【0038】
サセプタ217の内部には、加熱機構としてのヒータ217bが一体的に埋め込まれている。ヒータ217bは、電力が供給されると、ウエハ200表面を例えば25℃から700℃程度まで加熱することができるように構成されている。
【0039】
サセプタ217は、下側容器211とは電気的に絶縁されている。サセプタ217内部にはインピーダンス調整電極217cが装備されている。インピーダンス調整電極217cは、インピーダンス調整部としてのインピーダンス可変機構275を介して接地されている。インピーダンス可変機構275はコイルや可変コンデンサから構成されており、コイルのインダクタンス及び抵抗並びに可変コンデンサの容量値を制御することにより、インピーダンスを約0Ωから処理室201の寄生インピーダンス値の範囲内で変化させることができるように構成されている。これによって、インピーダンス調整電極217c及びサセプタ217を介して、ウエハ200の電位(バイアス電圧)を制御できる。
【0040】
サセプタ217には、サセプタを昇降させるサセプタ昇降機構268が設けられている。そしてサセプタ217には貫通孔217aが設けられ、一方、下側容器211の底面にはウエハ突上げピン266が設けられている。貫通孔217aとウエハ突上げピン266とは互いに対向する位置に、少なくとも3箇所設けられている。サセプタ昇降機構268によりサセプタ217が下降させられたときには、ウエハ突上げピン266がサセプタ217とは非接触な状態で、貫通孔217aを突き抜けるように構成されている。
【0041】
主に、サセプタ217及びヒータ217b、電極217cにより、本実施形態に係る基板載置部が構成されている。サセプタ217の上には、例えば炭化シリコン(SiC)の円板であるサセプタカバー229が配置され、ウエハ200はこのサセプタカバー229の上に載置される。
【0042】
(ガス供給部)
処理室201の上方、つまり上側容器210の上部には、シャワーヘッド236が設けられている。シャワーヘッド236は、キャップ状の蓋体233と、ガス導入口234と、バッファ室237と、開口238と、遮蔽プレート240と、ガス吹出口239とを備え、反応ガスを処理室201内へ供給できるように構成されている。バッファ室237は、ガス導入口234より導入される反応ガスを分散する分散空間としての機能を持つ。
【0043】
ガス導入口234には、酸素含有ガスとしての酸素(O2)ガスを供給する酸素含有ガス供給管232aの下流端と、水素含有ガスとしての水素(H2)ガスを供給する水素含有ガス供給管232bの下流端と、不活性ガスとしてのアルゴン(Ar)ガスを供給する不活性ガス供給管232cと、が合流するように接続されている。酸素含有ガス供給管232aには、上流側から順に、O2ガス供給源250a、流量制御装置としてのマスフローコントローラ(MFC)252a、開閉弁としてのバルブ253aが設けられている。水素含有ガス供給管232bには、上流側から順に、H2ガス供給源250b、流量制御装置としてのMFC252b、開閉弁としてのバルブ253bが設けられている。不活性ガス供給管232cには、上流側から順に、Arガス供給源250c、流量制御装置としてのMFC252c、開閉バルブとしての253cが設けられている。酸素含有ガス供給管232aと水素含有ガス供給管232bと不活性ガス供給管232cとが合流した下流側には、バルブ243aが設けられ、ガス導入口234の上流端に接続されている。バルブ253a、253b、253c、243aを開閉させることによって、MFC252a、252b、252cによりそれぞれのガスの流量を調整しつつ、ガス供給管232a、232b、232cを介して、酸素含有ガス、水素ガス含有ガス、不活性ガス等の反応ガスを処理室201内へ供給できるように構成されている。
【0044】
主に、シャワーヘッド236(蓋体233、ガス導入口234、バッファ室237、開口238、遮蔽プレート240、ガス吹出口239)、酸素含有ガス供給管232a、水素含有ガス供給管232b、不活性ガス供給管232c、MFC252a,252b,252c、バルブ253a,253b,253c,243aにより、本実施形態に係るガス供給部が構成されている。
【0045】
また、シャワーヘッド236(蓋体233、ガス導入口234、バッファ室237、開口238、遮蔽プレート240、ガス吹出口239)、酸素含有ガス供給管232aMFC252aバルブ253a,243aにより、本実施形態に係る酸素含有ガス供給系が構成されている。
【0046】
さらに、シャワーヘッド236(蓋体233、ガス導入口234、バッファ室237、開口238、遮蔽プレート240、ガス吹出口239)、水素含有ガス供給管232b、MFC252b、バルブ253b,243aにより、本実施形態に係る水素ガス供給系が構成されている。
【0047】
さらに、シャワーヘッド236(蓋体233、ガス導入口234、バッファ室237、開口238、遮蔽プレート240、ガス吹出口239)、不活性ガス供給管232c、MFC252c、バルブ253c,243aにより、本実施形態に係る不活性ガス供給系が構成されている。
【0048】
尚、ガス供給部として、O2ガス供給源250a、H2ガス供給源250b、Arガス供給源250cを含めても良い。また、酸素含有ガス供給系としてO2ガス供給源250aを含めても良い。また、水素含有ガス供給系としてH2ガス供給源250bを含めても良い。また、不活性ガス供給系としてArガス供給源250cを含めても良い。
【0049】
(排気部)
下側容器211の側壁には、処理室201内から反応ガスを排気するガス排気口235が設けられている。ガス排気口235には、ガス排気管231の上流端が接続されている。ガス排気管231には、上流側から順に圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)242、開閉弁としてのバルブ243b、真空排気装置としての真空ポンプ246が設けられている。
【0050】
主に、ガス排気口235、ガス排気管231、APC242、バルブ243bにより、本実施形態に係る排気部が構成されている。尚、真空ポンプ246を排気部に含めても良い。
【0051】
(プラズマ生成部)
処理室201の外周部、すなわち上側容器210の側壁の外側には、処理室201を囲うように、第1の電極としての、螺旋状の共振コイル212が設けられている。共振コイル212には、RFセンサ272、高周波電源273と周波数整合器274が接続される。
【0052】
高周波電源273は、共振コイル212に高周波電力を供給するものである。RFセンサ272は高周波電源273の出力側に設けられている。RFセンサ272は、供給される高周波の進行波や反射波の情報をモニタするものである。周波数整合器274は、RFセンサ272でモニタされた反射波の情報に基づいて、反射波が最小となるよう、高周波電源273を制御するものである。
【0053】
共振コイル212は、所定の波長の定在波を形成するため、一定波長モードで共振するように巻径、巻回ピッチ、巻数が設定される。すなわち、共振コイル212の電気的長さは、高周波電源273から供給される電力の所定周波数における1波長の整数倍(1倍、2倍、…)に相当する長さに設定される。 例えば、13.56MHzの場合1波長の長さは約22メートル、27.12MHzの場合1波長の長さは、約11メートル、54.24MHzの場合1波長の長さは約5.5メートルになる。共振コイル212は、絶縁性材料にて平板状に形成され且つベースプレート(図示せず)の上端面に鉛直に立設された複数のサポートによって支持される。
【0054】
共振コイル212の両端は電気的に接地されるが、共振コイル212の少なくとも一端は、装置の最初の設置の際又は処理条件の変更の際に当該共振コイルの電気的長さを微調整するため、可動タップ213を介して接地される。
図2中の符号214は他方の固定グランドを示す。さらに、装置の最初の設置の際又は処理条件の変更の際に共振コイル212のインピーダンスを微調整するため、共振コイル212の接地された両端の間には、可動タップ215によって給電部が構成される。
【0055】
すなわち、共振コイル212は、電気的に接地されたグランド部を両端に備え且つ高周波電源273から電力供給される給電部を各グランド部の間に備えている。しかも、少なくとも一方のグランド部は、位置調整可能な可変式グランド部とされ、そして、給電部は、位置調整可能な可変式給電部とされる。共振コイル212が可変式グランド部及び可変式給電部を備えている場合には、後述するように、処理室201の共振周波数及び負荷インピーダンスを調整するにあたり、より一層簡便に調整することができる。
【0056】
遮蔽板223は、共振コイル212の外側への電磁波の漏れを遮蔽するとともに、共振回路を構成するのに必要な容量成分を共振コイル212との間に形成するために設けられる。遮蔽板223は、一般的には、アルミニウム合金、銅又は銅合金などの導電性材料を使用して円筒状に形成される。遮蔽板223は、共振コイル212の外周から、例えば5から150mm程度隔てて配置される。
【0057】
高周波電源273の出力側にはRFセンサ272が設置され、進行波、反射波等をモニタしている。RFセンサ272によってモニタされた反射波電力は、周波数整合器274に入力される。周波数整合器274は、反射波が最小となるよう周波数を制御する。
【0058】
主に、共振コイル212、RFセンサ272、周波数整合器274により、本実施形態に係るプラズマ生成部が構成されている。尚、プラズマ生成部として高周波電源273を含めても良い。共振コイル212は、所定の波長の定在波を形成するため、全波長モードで共振する様に巻径、巻回ピッチ、巻数が設定される。すなわち、共振コイル212の電気的長さは、高周波電源273から与えられる電力の所定周波数における1波長の整数倍(1倍,2倍,…)に設定される。
【0059】
具体的には、印加する電力や発生させる磁界強度または適用する装置の外形などを勘案し、共振コイル212は、例えば、800kHzから50MHz、0.5KWから5KWの高周波電力によって0.01ガウスから10ガウス程度の磁場を発生し得る様に、50mm2から300mm2 の有効断面積であって且つ200mmから500mmのコイル直径とされ、プラズマ生成空間を形成する部屋の外周側に2から60回程度巻回される。なお、共振コイル212を構成する素材としては、銅パイプ、銅の薄板、アルミニウムパイプ、アルミニウム薄板、ポリマーベルトに銅またはアルミニウムを蒸着した素材などが使用される。
【0060】
また、共振コイル212の一端または両端は、当該共振コイルの電気的長さを設置の際に微調整し、共振特性を高周波電源273と略等しくするため、通常は可動タップを介して接地される。更に、位相及び逆位相電流が共振コイル212の電気的中点に関して対称に流れる様に、共振コイル212の一端(若しくは他端または両端)には、コイル及びシールドから成る波形調整回路が挿入される。波形調整回路は、共振コイル212の端部を電気的に非接続状態とするか又は電気的に等価の状態に設定することにより開路に構成する。また、共振コイル212の端部は、チョーク直列抵抗によって非接地とし、固定基準電位に直流接続されてもよい。
【0061】
遮蔽板223は、共振コイル212の外側の電界を遮蔽すると共に、共振回路を構成するのに必要な容量成分(C成分)を共振コイル212との間に形成するために設けられる。遮蔽板223は、一般的には、アルミニウム合金、銅または銅合金などの導電性材料を使用して円筒状に構成される。遮蔽板223は、共振コイル212の外周から5から150mm程度隔てて配置される。そして、通常、遮蔽板223は共振コイル212の両端と電位が等しくなる様に接地されるが、共振コイル212の共振数を正確に設定するため、遮蔽板223の一端または両端は、タップ位置を調整可能とする。あるいは、共振数を正確に設定するために、共振コイル212と遮蔽板223の間にトリミングキャパシタンスを挿入しても良い。
【0062】
高周波電源273は、発振周波数及び出力を規定するための高周波発振回路並びにプリアンプを含む電源制御手段(コントロール回路)と、所定の出力に増幅するための増幅器(出力回路)とを備えている。電源制御手段は、操作パネルを通じて予め設定された周波数及び電力に関する出力条件に基づいて増幅器を制御し、増幅器は、上記の共振コイル212に伝送線路を介して一定の高周波電力を供給する。
【0063】
ところで、共振コイル212によって構成されるプラズマ発生回路はRLCの並列共振回路で構成される。高周波電源273の波長と共振コイル212の電気的長さが同じ場合、共振コイル212の共振条件は、共振コイル212の容量成分や誘導成分によって作り出されるリアクタンス成分が相殺され、純抵抗になることである。しかしながら、上記プラズマ発生回路においては、プラズマを発生させた場合、共振コイル212の電圧部とプラズマとの間の容量結合、プラズマ生成空間とプラズマの間の誘導結合の変動や、プラズマの励起状態により、実際の共振周波数が僅かながら変動する。
【0064】
そこで、本実施形態においては、プラズマ発生時の共振コイル212における共振のずれを電源側で補償するため、周波数整合器274は、プラズマが発生した際の共振コイル212からの反射波電力を検出して出力を補完する機能を有する。斯かる構成により、本開示の共振装置では、共振コイル212において一層正確に定在波を形成でき、容量結合の極めて少ないプラズマを発生させ得る。
【0065】
すなわち、上記の周波数整合器274は、プラズマが発生した際の前記の共振コイル212からの反射波電力を検出し、反射波電力が最小となる様に前記の所定周波を増加または減少させる。具体的には、周波数整合器274には、予め設定された発振周波数を補正する周波数制御回路が構成され、かつ、増幅器の出力側には、伝送線路における反射波電力を検出し、その電圧信号を周波数制御回路にフィードバックする周波数整合器274の一部としての反射波パワーメータが介装される。
【0066】
周波数制御回路は、反射波パワーメータからの電圧信号が入力され且つ当該電圧信号を周波数信号にデジタル変換するA/Dコンバータ、変換された反射波に相当する周波数信号の値と予め設定記憶された発振周波数の値とを加減算処理する演算処理回路、加減算処理して得られた周波数の値を電圧信号にアナログ変換するD/Aコンバータ、及び、D/Aコンバータからの印加電圧に応じて発振する電圧制御発振器によって構成される。従って、周波数制御回路は、プラズマ点灯前は共振コイル212の無負荷共振周波数で発振し、プラズマ点灯後は反射電力が最小となる様に前記所定周波数を増加または減少させた周波数を発振し、結果的には、伝送線路における反射波がゼロとなる様に周波数信号を増幅器に与える。
【0067】
本実施形態においては、プラズマ生成空間の内部を例えば0.01から50Torrに減圧した後、前記の真空度を維持しつつプラズマ生成空間にプラズマ用ガス(本実施形態においては酸素含有ガス)を供給する。そして、高周波電源273から共振コイル212に例えば27.12MHz、2KWの高周波電力を供給すると、プラズマ生成空間の内部に誘導電界が生じ、その結果、供給されたガスがプラズマ生成空間においてプラズマ状態となる。
【0068】
高周波電源273に付設された周波数整合器274は、発生したプラズマの容量結合や誘導結合の変動による共振コイル212における共振点のずれを高周波電源273側で補償する。すなわち、周波数整合器274のRFセンサ272は、プラズマの容量結合や誘導結合の変動による反射波電力を検出し、反射波電力が最小となる様に、反射波電力の発生要因である共振周波数のずれに相当する分だけ前記の所定周波を増減させ、プラズマ条件下における共振コイル212の共振周波数の高周波を増幅器に出力させる。
【0069】
換言すれば、本開示の共振装置においては、プラズマ発生時及びプラズマ生成条件の変動時の共振コイル212の共振点のずれに応じて、正確に共振する周波数の高周波を出力するため、共振コイル212で一層正確に定在波を形成できる。すなわち、
図2に示す様に、共振コイル212においては、プラズマを含む当該共振器の実際の共振周波数の送電により、位相電圧と逆位相電圧が常に相殺される状態の定在波が形成され、コイルの電気的中点(電圧がゼロのノード)に最も高い位相電流が生起される。従って、上記の電気的中点において励起された誘導プラズマは、処理室壁や基板載置台との容量結合が殆どなく、プラズマ生成空間中には、電気的ポテンシャルの極めて低いドーナツ状のプラズマを形成できる。
【0070】
(制御部)
図3に示されるように、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)221a、RAM(Random Access Memory)221b、記憶部221c、I/Oポート221dを備えたコンピュータに接続され、又はこのコンピュータとして構成されている。RAM221b、記憶部221c、I/Oポート221dは、内部バス221eを介して、CPU221aとデータ交換可能なように構成されている。制御部10には、例えばタッチパネルやディスプレイ等として構成された入出力装置としての操作部222及び表示部222aが接続されている。内部バス221eには、外部通信部224、外部記憶部225、算出部226、設定部227、判定部228が接続されている。
【0071】
記憶部221cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶部221c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプログラムレシピ等が読み出し可能に格納されている。プロセスレシピ(処理レシピ)や、後述する前処理レシピとしてのチャンバコンディションレシピ等の各種プログラムレシピは、各手順を制御部10に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプログラムレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プログラムレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM221bは、CPU221aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0072】
I/Oポート221dは、プロセス系制御部221と搬送系制御部31に接続されている。プロセス系制御部221は、例えば温度制御部300、圧力制御部302及びガス流量制御部304を有している。
図2に示されるように、温度制御部300は、信号線Cを通じてインピーダンス可変機構275、ヒータ電力調整機構276等に接続されている。圧力制御部302は、信号線Aを介してバルブ243b、APCバルブ242、真空ポンプ246等に接続され、信号線Dを介してゲートバルブ244に接続されている。ガス流量制御部304は、信号線Fを通じてMFC252a~252c、バルブ253a~253c、243aに接続されている。また、プロセス系制御部221は、信号線Eを通じてRFセンサ272、高周波電源273、整合器274に接続され、信号線Bを介してサセプタ昇降機構268等にも接続されている。
【0073】
CPU221aは、記憶部221cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、操作部222からの操作コマンドの入力等に応じて記憶部221cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU221aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、I/Oポート221d、プロセス系制御部221及び信号線Aを通じてAPCバルブ242の開度調整動作、バルブ243bの開閉動作、及び真空ポンプ246の起動・停止を、信号線Bを通じてサセプタ昇降機構268の昇降動作を、信号線Cを通じてヒータ電力調整機構276によるヒータ217bへの供給電力量調整動作(温度調整動作)や、インピーダンス可変機構275によるインピーダンス値調整動作を、信号線Dを通じてゲートバルブ244の開閉動作を、信号線Eを通じてRFセンサ272、整合器274及び高周波電源273の動作を、信号線Fを通じてMFC252a~252cによる各種ガスの流量調整動作、及びバルブ253a~253c、243aの開閉動作、等を制御するように構成されている。
【0074】
制御部10は、外部記憶装置(例えば、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)224に格納された上述のプログラムをコンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶部221cや外部記憶部225は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部221c単体のみを含む場合、外部記憶部225単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合が有る。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶部225を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0075】
(測定部、算出部と、判定部、設定部)
図3において、測定部31cでは、ウエハ200の処理開始前及び処理終了後のそれぞれの質量を測定する。この質量は、例えば重量計32により測定されるウエハ200の質量、又はウエハ200の反り量より算出されるウエハ200の質量を対象とする。
【0076】
質量がウエハ200の重量より測定される場合、測定部31cは、例えば真空搬送室TMに設けられた重量計32(
図1)により、ウエハ200の処理開始前、及び処理終了後のウエハ200の質量を測定する。なお、
図2に示されるように、重量計32は、処理室201の下側のウエハ突上げピン266の下方に配置されていてもよい。サセプタ217が下降してウエハ200がウエハ突上げピン266に支持される。このときに、ウエハ200の重量がウエハ突上げピン266を介して重量計32に伝わるようになっている。
【0077】
一方、質量がウエハ200の反り量より算出される場合、測定部31cは、真空搬送室TMに設けられた反り量計測計34により、ウエハ200の処理開始前、及び処理終了後のウエハ200の質量を測定する。反り量計測計34は、ウエハ200の反り量を光学的に計測する計測器であり、例えば真空搬送室TMにおける重量計32と同様の位置に設けられる(
図1)。
【0078】
測定部31cが質量を測定するタイミングは、ウエハ200の処理によって異なる。この測定タイミングは、例えば温度感度が高いレシピと、温度感度が低いレシピとで異なる。また、このタイミングは、パラメータとして記憶部221cに記憶されている。
【0079】
測定部31cは、in situで質量の測定を行ってもよい。具体的には、測定部31cは、上記のように、真空搬送室TM内又は処理室201内、換言すれば、減圧下で質量の測定を行ってもよい。
【0080】
質量の測定は、ウエハ200の処理毎に行ってもよく、また予め定義されたタイミングでのウエハ200の処理時に行ってもよい。例えば複数回の基板処理の後に測定してもよい。測定された質量は、例えば記憶部221cに記憶される。
【0081】
算出部226では、ウエハ200の処理を少なくとも2回行い、質量の差分を算出してもよい。換言すれば、あるウエハ200の処理と、他のウエハ200の処理においてそれぞれ質量の測定を行い、算出部226がその差分を算出してもよい。また、算出部226は、質量とウエハ200の面積より、基板処理時に変化した膜厚値を算出してもよく、酸化量を算出してもよい。
【0082】
判定部228は、算出部226で算出した膜厚値の異常を判定する。一例として、判定部228は、算出した膜厚値が予め定義された閾値以上となった場合は異常と判定する。記憶部221cは、判定部228が異常と判定した場合の膜厚値を記憶する。
【0083】
設定部227は、処理条件を設定する部位である。設定部227は、算出した膜厚値と閾値より処理条件を変更する。変更する処理条件は、例えば処理室201に設けられたヒータ(例えばヒータ217b)の出力設定値である。設定部227は、算出した膜厚値と閾値よりヒータの出力設定値の変更を行ってもよい。
【0084】
制御部10は、判定部228において膜厚値が異常であると判定された場合に、設定部227にて処理条件の変更を行うよう制御することが可能なよう構成されている。
【0085】
(2)基板処理工程
次に、
図4、
図5において、本実施形態に係る基板処理工程について説明する。本実施形態に係る基板処理工程は、例えばフラッシュメモリ等の半導体デバイスの製造工程の一工程として、上述の基板処理装置100により実施される。なお以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作は、制御部10により制御される。なお、本実施形態に係る基板処理工程では、ウエハ200の表面に対して例えば酸化処理を行う。ウエハ200の直径は例えば300mmであるが、200mmや450mmであってもよい。
【0086】
図4において、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、基板の搬送を行い、基板の処理開始前での基板の質量を測定する工程(基板搬入工程S110)と、基板の処理条件に従い、基板の処理を行う工程(基板処理工程S120)と、基板を搬出し、基板の処理終了後での基板の質量を測定する工程(基板搬出工程S130)と、膜厚値の確認を行う工程(膜厚値確認工程S140)を有する。
【0087】
膜厚値確認工程S140は、
図5に示されるフローにしたがって進められる。具体的には、この工程S140は、S110、S130の基板の処理前後に取得した質量の差分から膜厚値を算出する工程S141,S142、S143と、膜厚値の異常を判定する工程S144と、処理条件の設定を行う工程(図示せず)と、膜厚値が異常であると判定された場合に処理条件を変更する工程S145,S146と、を有する。
【0088】
(基板搬入工程S110)
まずは、
図1において、例えばロードロック室LM1,LM2より真空ロボットVRにてウエハ200を取り出し、重量計32に置く。これにより、基板処理開始前の質量、具体的にはウエハ200の質量を測定する。測定後、真空ロボットVRにてウエハ200を真空搬送室TMから任意の処理モジュール(例えば処理モジュールPM1)の処理室201に搬入する。
【0089】
図2において、サセプタ昇降機構268がウエハ200の搬送位置までサセプタ217を下降させて、サセプタ217の貫通孔217aにウエハ突上げピン266を貫通させる。その結果、ウエハ突き上げピン266が、サセプタ217表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。
【0090】
続いて、ゲートバルブ244(
図1のPGVに相当)を開き、搬送機構である真空ロボットVR(
図1)を用いて処理室201に隣接する真空搬送室TM(
図1)から処理室201内にウエハ200を搬入する。その結果、ウエハ200は、サセプタ217の表面から突出したウエハ突上げピン266上に水平姿勢で支持される。処理室201内にウエハ200を搬入したら、搬送機構である真空ロボットVR(
図1)を処理室201外へ退避させ、ゲートバルブ244を閉じて処理室201内を密閉する。そして、サセプタ昇降機構268が、共振コイル212の下端203aと搬入出口245の上端245aの間の所定の位置となるよう、サセプタ217を上昇させる。その結果、ウエハ200はサセプタ217の上面に支持される。なお、基板搬入工程S110は、処理室201内を不活性ガス等でパージしながら行ってもよい。
【0091】
(基板処理工程S120)
基板処理工程S120は、例えば昇温・真空排気工程、反応ガス供給工程、プラズマ処理工程及び真空排気工程を有する。
【0092】
(昇温・真空排気工程)
続いて、処理室201内に搬入されたウエハ200の昇温を行う。ヒータ217bは予め加熱されており、ヒータ217bが埋め込まれたサセプタ217上に、搬入されたウエハ200を保持することで、例えば150℃以上650℃以下の範囲内の所定値にウエハ200を加熱する。例えば、ここでは、ウエハ200の温度が600℃となるよう加熱する。また、ウエハ200の昇温を行う間、真空ポンプ246によりガス排気管231を介して処理室201内を真空排気し、処理室201内の圧力を0.1Pa以上1000Pa以下の範囲内の所定値とする。例えば200Paに調整される。真空ポンプ246は、少なくとも後述の基板搬出工程S130が終了するまで作動させておいてもよい。
【0093】
(反応ガス供給工程)
次に、反応ガスとしてのO2ガスの供給を開始する。具体的には、バルブ253aを開け、MFC252aにて流量制御しながら、バッファ室237を介して処理室201内へのO2ガスの供給を開始する。このとき、O2ガスの流量を、例えば100sccm以上1000sccm以下の範囲内の所定値とする。また、処理室201内の圧力が、例えば1Pa以上1000Pa以下の範囲内の所定圧力となるように、APC242の開度を調整して処理室201内を排気する。このように、処理室201内を適度に排気しつつ、後述のプラズマ処理工程の終了時までO2ガスの供給を継続する。
【0094】
(プラズマ処理工程)
処理室201内の圧力が安定したら、共振コイル212に対して高周波電源273から整合器274を介して、高周波電力の印加を開始する。
【0095】
これにより、プラズマ生成空間内に高周波電界が形成され、係る電界で、プラズマ生成空間の共振コイル212の電気的中点に相当する高さ位置にドーナツ状の誘導プラズマが励起される。プラズマ状のO2ガスは解離し、酸素(O)を含む酸素活性種、イオン等の反応種を生成する。
【0096】
前述したように、位相電圧と逆位相電圧が常に相殺される状態の定在波が形成され、コイルの電気的中点(電圧がゼロのノード)に最も高い位相電流が生起される。従って、上記の電気的中点において励起された誘導プラズマは、処理室壁や基板載置台との容量結合が殆どなく、プラズマ生成空間中には、電気的ポテンシャルの極めて低いドーナツ状のプラズマを形成できる。
【0097】
さらに、上述の様に、高周波電源273に付設された電源制御手段がプラズマの容量結合や誘導結合の変動による共振コイル212における共振点のずれを補償し、一層正確に定在波を形成すため、容量結合が殆どなく、より確実に電気的ポテンシャルの極めて低いプラズマをプラズマ生成空間中に形成できる。
【0098】
電気的ポテンシャルが極めて低いプラズマが生成されることから、プラズマ生成空間の壁や、基板載置台上におけるシースの発生を防ぐことができる。したがって、プラズマ中のイオンは加速されない。
【0099】
基板処理空間201bで基板載置台217上に保持されているウエハ200には、酸素ラジカルと加速されない状態のイオンが供給され、シリコン膜をステップカバレッジの高いシリコン酸化膜に改質する。更には、加速によるイオンアタックを防止できるので、イオンによるウエハダメージを抑制することができる。
【0100】
また、イオンの加速が防止されるため、プラズマ生成空間の周壁に対するスパッタリング作用がなく、プラズマ生成空間の周壁に損傷を与えることもない。その結果、装置の寿命を向上させることが出来、しかも、プラズマ生成空間等の部材成分がプラズマ中に混入してウエハを汚染するという不具合も防止し得る。
【0101】
また、高周波電源273に付設された電源制御手段が共振コイル212で発生するインピーダンスの不整合による反射波電力を高周波電源273側で補償し、実効負荷電力の低下を補完するため、共振コイル212に対して常に初期のレベルの高周波電力を確実に供給でき、プラズマを安定させることが出来る。従って、基板処理空間で保持されたウエハを一定のレートで且つ均一に処理できる。
【0102】
その後、所定の処理時間、例えば10秒から300秒が経過したら、高周波電源273からの電力の出力を停止して、処理室201内におけるプラズマ放電を停止する。また、バルブ253aを閉めて、O2ガスの処理室201内への供給を停止する。以上により、プラズマ処理工程が終了する。
【0103】
(真空排気工程)
所定の処理時間が経過してO2ガスの供給を停止したら、ガス排気管231を用いて処理室201内を真空排気する。これにより、処理室201内のO2ガスや、O2ガスが反応した排ガス等を処理室201外へと排気する。その後、APC242の開度を調整し、処理室201内の圧力を処理室201に隣接する真空搬送室(ウエハ200の搬出先。図示せず)と同じ圧力(例えば100Pa)に調整する。
【0104】
(基板搬出工程S130)
処理室201内が所定の圧力となったら、サセプタ217をウエハ200の搬送位置まで下降させ、ウエハ突上げピン266上にウエハ200を支持させる。そして、ゲートバルブ244を開き、真空ロボットVRを用いてウエハ200を処理室201から真空搬送室TMへ搬出する。なお、処理室201内を不活性ガス等でパージしながらウエハ200の搬出を行ってもよい。ウエハ200を重量計32に置いて、基板処理後の質量、具体的にはウエハ200の質量を測定する。
【0105】
(膜厚値確認工程S140)
算出部226が基板処理前後の質量の差分から膜厚値を算出する(S141,S142、S143)。具体的には、算出部226が、質量の差分とウエハ200の面積より、基板処理時に増加した膜厚値を算出する。この膜厚値は、記憶部221cに記憶される。これにより、判定部228が記憶部221cから膜厚値を取得することができる。
【0106】
判定部228は、この膜厚値が予め定義された閾値以上となっているかどうかを判定する。膜厚値が閾値以上となっている場合、判定部228は異常と判定する。制御部10は、異常と判定された処理室201を一時的に待機状態とし、設定部227を制御して、パラメータ等によりあらかじめ定義されている酸化量(膜厚値)とヒータ217b(
図2)の出力補正値に従い(工程S145)ヒータ217bの出力制御を行って、処理室201内の温度を変化させる(工程S146)。処理室201内の温度が目的の温度となったら待機状態を解除し、ウエハ200の処理を再開する。このため、異常と判定された処理室201内の温度を制御している間、基板処理が行われることを抑制できる。
【0107】
異常を判定する工程S144において、膜厚値が閾値未満の場合、判定部228は正常と判定するので、処理条件の変更は行われない。
【0108】
(3)プログラム
本実施形態に係るプログラムは、基板の搬送を行う手順と、基板の処理条件に従い、基板の処理を行う手順と、基板の処理開始前及び処理終了後のそれぞれで基板の質量を測定する手順と、測定した質量の差分から基板の膜厚値を算出する手順と、算出した膜厚値の異常を判定する手順と、処理条件の設定を行う手順と、膜厚値が異常であると判定された場合に処理条件を変更する手順と、をコンピュータによって基板処理装置100に実行させるプログラムである。
【0109】
なお、上記プログラムは、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として提供されてもよい。また、上記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムであってもよい。
【0110】
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。基板処理前後に測定した基板の質量の差分から、当該基板処理により基板に形成された被膜の厚さ(膜厚値)を算出できる。また、この膜厚値により異常の有無を判定できる。異常があると判定された場合、自動でヒータ217bの補正を行うことで、作業員による誤設定を防止することができる。また、自動でヒータ217bの補正を行うことで、サセプタカバー229の経時的な熱放射率の変化があっても、目標の酸化量(膜厚値)を得ることができる。
【0111】
[他の実施形態]
以上、本開示の実施形態の一例について説明したが、本開示の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0112】
例えば、本開示は、酸化処理のみならず、酸化と窒化とを一緒に行う酸窒化処理、拡散処理、成膜(膜の堆積)処理、エッチング処理等にも本開示が適用可能である。例えば酸窒化処理には、酸素(O2)ガス等の酸素含有ガス単体や、酸素含有ガスに窒素含有ガス、水素(H2)ガス等の水素含有ガスや希ガス等を添加した混合ガスを用い、成膜処理にはモノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガス等のシリコン(Si)含有ガスを酸素含有ガスや窒素含有ガス等と組み合わせて用いるなど、使用する反応ガスは各処理内容に応じて適宜選択することができる。これにより、上記の異方性・等方性の酸化処理のように異方性・等方性の窒化処理や酸窒化処理、拡散処理、成膜処理、エッチング処理を行うことができる。混合ガスを供給する場合は、2つのガスを供給管内で混合(プリミックス)させた後に、処理室201内へ供給するようにしてもよく、2つのガスを異なる供給管より別々に処理室201内へ供給し、処理室201内で混合(ポストミックス)させるようにしてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本開示はこれに限定されず、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置を用いて成膜する場合にも、好適に適用できる。これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態と同様なシーケンス、処理条件にて成膜を行うことができる。
【0114】
これらの各種薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理の内容に応じて、複数のプロセスレシピの中から、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体(外部記憶部225)を介して、基板処理装置が備える記憶部221c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU121aが、記憶部221c内に格納された複数のプロセスレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0115】
また、本開示は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本開示に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本開示に係るプロセスレシピに変更したりすることも可能である。
【0116】
本明細書における温度とは、ウエハ200の温度または処理室201内の温度のことを意味し、圧力とは処理室201内の圧力のことを意味する。また、処理時間とは、その処理を継続する時間を意味する。
【0117】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体」を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面」を意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0118】
また、上述の実施形態では、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の実施形態に限定されず、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0119】
上述の実施形態は、各構成要素を適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の実施形態や変形例の処理手順、処理条件と同様とすることができる。これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の実施形態や変形例と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0120】
10 制御部
31c 測定部
100 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室
226 算出部
227 設定部
228 判定部
TM 真空搬送室(搬送室)