(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100634
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】距離測定のための装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/495 20060101AFI20240719BHJP
G01S 17/894 20200101ALI20240719BHJP
【FI】
G01S7/495
G01S17/894
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022163
(22)【出願日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2023-0005512
(32)【優先日】2023-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】310024033
【氏名又は名称】エスケーハイニックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung-daero,Bubal-eub,Icheon-si,Gyeonggi-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢田 悠介
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AD02
5J084BA04
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA40
5J084CA08
5J084CA10
5J084CA12
5J084DA01
5J084DA08
5J084DA09
5J084EA24
(57)【要約】
【課題】TOFモジュールが測定する距離の正確性を向上させる。
【解決手段】距離測定装置10は、複数の変調周波数から選択された第1変調周波数、複数の変調周波数に基づいて決められたコード当たりの長さ、及びコードごとに含まれ第1変調周波数に対応するパルスの反転有無を決める擬似ランダム(pseudo noise)コードのコード数に基づいて変調光制御信号を生成する制御部130と、変調光制御信号に応じて変調光を出力する光源110と、変調光制御信号に基づいて決められた第1変調電圧が印加される第1タップ310、及び第1変調電圧が反転した第2変調電圧が印加される第2タップ320を含む単位画素PXと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の変調周波数から選択された第1変調周波数、上記複数の変調周波数に基づいて決められたコード当たりの長さ、及び上記コードごとに含まれ上記第1変調周波数に対応するパルスの反転有無を決める擬似ランダム(pseudo noise)コードのコード数に基づいて変調光制御信号を生成する制御部と、
上記変調光制御信号に応じて変調光を出力する光源と、
上記変調光制御信号に基づいて決められた第1変調電圧が印加される第1タップ、及び上記第1変調電圧が反転した第2変調電圧が印加される第2タップを含む単位画素と、を含むことを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
上記コード当たりの長さは、
上記複数の変調周波数から選択された変調周波数に関わらず一定の値を有することを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
上記制御部は、
上記コードが0であるか、または1であるかによって上記パルスの反転有無を決めることを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項4】
上記コード数は、
2n-1であり、nは2以上の自然数であることを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項5】
上記制御部は、
上記コード当たりの長さ及び上記コード数に基づいて上記単位画素の露光時間を決めることを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項6】
上記制御部は、
上記複数の変調周波数から選択された上記第1変調周波数に基づいて上記単位画素を介して第1フレームを取得し、
上記複数の変調周波数から選択された第2変調周波数に基づいて上記単位画素を介して上記第1フレームに続く第2フレームを取得することを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項7】
上記第1変調電圧は、
上記変調光制御信号と0度、90度、180度、または270度の何れか1つの位相差を有するように決められることを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項8】
上記単位画素は、
上記変調光が外部物体に反射された反射光に基づいて光電荷を生成し、
上記第1タップ及び上記第2タップに印加される上記第1変調電圧及び上記第2変調電圧によって上記単位画素内に画素電流を発生させ、
上記第1タップ及び上記第2タップを介して上記画素電流に応じて移動する上記光電荷をキャプチャーすることを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項9】
上記第1タップ及び上記第2タップから上記キャプチャーされた光電荷に対応する画素データを取得するためのリードアウト回路と、
上記画素データに基づいて上記外部物体との距離を識別する距離測定モジュールと、をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の距離測定装置。
【請求項10】
複数の変調周波数から選択された第1変調周波数、上記複数の変調周波数に基づいて決められたコード当たりの長さ、及び上記コードごとに含まれ上記第1変調周波数に対応するパルスの反転有無を決める擬似ランダムコードのコード数に基づいて第1変調光制御信号を生成し、上記複数の変調周波数から選択された第2変調周波数、上記コード当たりの長さ、及び上記コード数に基づいて第2変調光制御信号を生成する制御部と、
上記第1変調光制御信号に応じて第1変調光を出力する第1光源、及び上記第1変調光制御信号に関連する変調電圧がそれぞれ印加されるタップを含む第1単位画素を含む第1TOF(time ofFlight)モジュールと、
上記第2変調光制御信号に応じて第2変調光を出力する第2光源、及び上記第2変調光制御信号に関連する変調電圧がそれぞれ印加されるタップを含む第2単位画素を含む第2TOFモジュールと、を含むことを特徴とする距離測定装置。
【請求項11】
上記制御部は、
上記第1光源と上記第2光源を非同期的に制御することを特徴とする請求項10に記載の距離測定装置。
【請求項12】
上記コード当たりの長さは、
上記第1変調光制御信号及び上記第2変調光制御信号において同じ値を有することを特徴とする請求項10に記載の距離測定装置。
【請求項13】
選択可能な複数の変調周波数に基づいてコード当たりの長さを決める段階と、
上記複数の変調周波数から第1変調周波数を選択する段階と、
擬似ランダムコードのコード数を決める段階と、
上記コード当たりの長さ、上記第1変調周波数、及び上記コード数に基づいて、上記コードごとに上記第1変調周波数に対応するパルスを含み、上記擬似ランダムコードによって上記パルスの反転有無が決まる変調光制御信号を生成する段階と、
上記変調光制御信号に基づいて第1変調電圧を生成し、上記第1変調電圧が反転した第2変調電圧を生成する段階と、
光源を介して上記変調光制御信号による変調光を出力する段階と、
単位画素に含まれた第1タップ及び第2タップに上記第1変調電圧及び上記第2変調電圧をそれぞれ印加して、上記変調光が外部物体によって反射された反射光に基づいて上記外部物体との距離を識別する段階と、を含むことを特徴とする距離測定方法。
【請求項14】
上記コード当たりの長さを決める段階は、
上記複数の変調周波数から選択される上記第1変調周波数に関わらず一定の値を有するように上記コード当たりの長さを決める段階を含むことを特徴とする請求項13に記載の距離測定方法。
【請求項15】
上記第1変調周波数を選択する段階は、
上記単位画素を介して取得するフレームごとに上記複数の変調周波数からランダムに何れか1つの変調周波数である上記第1変調周波数を選択する段階を含むことを特徴とする請求項13に記載の距離測定方法。
【請求項16】
上記変調光制御信号を生成する段階は、
上記コードが0であるか、または1であるかによって上記パルスの反転有無を決める段階を含むことを特徴とする請求項13に記載の距離測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はTOF(time ofFlight)方式を用いて外部物体との距離を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティ、医療機器、自動車、ゲーム機、VR/AR、モバイル機器などの多様な分野で外部物体との距離を測定するイメージセンサに対する需要が増加している。距離を測定する方式には三角測量(triangulation)方式、飛行時間距離測定(time ofFlight、以下、TOF)方式、及び干渉法(interferometry)などが含まれる。そのうち、TOF方式は光または信号などの飛行時間、即ち、光または信号を出力した後、外部物体から反射して返ってくる時間を測定して距離を計算する方式であり、活用範囲が広くて処理速度が速く、コストの面でも有利であるというメリットがある。
【0003】
TOF方式の中でも間接(interferometry)TOF方式は光源を介して変調された光波(modulated light wave、以下、変調光)を放出し、変調光は正弦波、パルストレイン、または他の周期的な波形を有することができる。TOFセンサは観測された場面内の表面から上記変調光が反射された反射光を検出する。電子装置は放出された変調光と受信した反射光との位相差を測定し、TOFセンサと上記場面内の外部物体との物理的距離(または深度)を算出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つ以上のTOFモジュール(例えば、TOFモジュールA、B)を一緒に利用して外部物体の距離を測定する場合、TOFモジュールは互いに非同期(asynchronous)の変調光AとBをそれぞれ出力する。従って、何れか1つのTOFモジュール(例えば、TOFモジュールA)は変調光Aが外部物体によって反射された反射光A、及び変調光Bが上記外部物体によって反射された反射光Bの両方を受信するようになり、反射光Aに対応する電荷量及び反射光Bに対応する電荷量に基づいて上記外部物体の距離を測定する。このとき、TOFモジュールAで測定された距離には反射光Bによる電荷量に対応する誤差が含まれる。即ち、2つ以上のTOFモジュールを用いる場合には互いの変調光による干渉が発生し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施例による距離測定装置は、複数の変調周波数から選択された第1変調周波数、上記複数の変調周波数に基づいて決められたコード当たりの長さ、及び上記コードごとに含まれ上記第1変調周波数に対応するパルスの反転有無を決める擬似ランダム(pseudo noise)コードのコード数に基づいて変調光制御信号を生成する制御部と、上記変調光制御信号に応じて変調光を出力する光源と、上記変調光制御信号に基づいて決められた第1変調電圧が印加される第1タップ、及び上記第1変調電圧が反転した第2変調電圧が印加される第2タップを含む単位画素と、を含んでもよい。
【0006】
本開示の実施例による距離測定装置は、複数の変調周波数から選択された第1変調周波数、上記複数の変調周波数に基づいて決められたコード当たりの長さ、及び上記コードごとに含まれ上記第1変調周波数に対応するパルスの反転有無を決める擬似ランダムコードのコード数に基づいて第1変調光制御信号を生成し、上記複数の変調周波数から選択された第2変調周波数、上記コード当たりの長さ、及び上記コード数に基づいて第2変調光制御信号を生成する制御部と、上記第1変調光制御信号に応じて第1変調光を出力する第1光源、及び上記第1変調光制御信号に関連する変調電圧がそれぞれ印加されるタップを含む第1単位画素を含む第1TOFモジュールと、上記第2変調光制御信号に応じて第2変調光を出力する第2光源、及び上記第2変調光制御信号に関連する変調電圧がそれぞれ印加されるタップを含む第2単位画素を含む第2TOFモジュールと、を含んでもよい。
【0007】
本開示の実施例による距離測定方法は、選択可能な複数の変調周波数に基づいてコード当たりの長さを決める段階と、上記複数の変調周波数から第1変調周波数を選択する段階と、擬似ランダムコードのコード数を決める段階と、上記コード当たりの長さ、上記第1変調周波数、及び上記コード数に基づいて、上記コードごとに上記第1変調周波数に対応するパルスを含み、上記擬似ランダムコードによって上記パルスの反転有無が決まる変調光制御信号を生成する段階と、上記変調光制御信号に基づいて第1変調電圧を生成し、上記第1変調電圧が反転した第2変調電圧を生成する段階と、光源を介して上記変調光制御信号による変調光を出力する段階と、単位画素に含まれた第1タップ及び第2タップに上記第1変調電圧及び上記第2変調電圧をそれぞれ印加して、上記変調光が外部物体によって反射された反射光に基づいて上記外部物体との距離を識別する段階と、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、2つ以上のTOFモジュールを一緒に用いて外部物体の距離を測定する場合でも互いの変調光による干渉を減少させることができ、これにより、TOFモジュールが測定する距離の正確性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例による装置の構成を概略的に説明するための図である。
【
図2】本発明の実施例による2つのTOFモジュールを含む装置の構成を概略に説明するための図である。
【
図3】本発明の実施例による単位画素を説明するための図である。
【
図4】2つのTOFモジュールを介して外部物体の距離を測定する場合に生じる干渉を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施例による擬似ランダムコードによって反転されたパルスを有する変調光制御信号の例を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施例による擬似ランダムコードを用いる場合のTOFモジュール間の干渉が減少する効果を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施例による擬似ランダムコードを用いる場合のTOFモジュール間の干渉が減少する効果を説明するための図である。
【
図8】本発明の実施例による周波数ホッピングを用いる場合のTOFモジュール間の干渉が減少する原理を説明するための図である。
【
図9】本発明の実施例による周波数ホッピングを用いる場合のTOFモジュール間の干渉が減少する効果を説明するための図である。
【
図10】本発明の実施例による擬似ランダムコード及び周波数ホッピングを用いる場合の第1変調光制御信号及び第2変調光制御信号の例を説明するための図である。
【
図11】本発明の実施例による擬似ランダムコード及び周波数ホッピングを用いる場合のTOFモジュール間の干渉が減少する効果を説明するための図である。
【
図12】本発明の実施例によるTOFモジュール間の干渉を減少させる方法の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書または出願に開示されている本発明の概念による実施例に対する特定の構造的または機能的説明は本発明の概念による実施例を説明する目的でのみ例示されており、本発明の概念による実施例は様々な形態で実施することができ、本明細書または出願に説明された実施例に限定されると解釈べきではない。
【0011】
以下では、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施できる程度に詳細に説明するために、本発明の実施例を添付の図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の実施例による装置の構成を概略的に説明するための図である。
【0013】
図1を参照すると、装置10は光源110、画素アレイ120、制御部130、行走査回路(row scanning circuit)140、及び列走査回路(column scanning circuit)150を含んでもよい。装置10はTOF方式を用いて外部物体1との距離、または外部物体1の深度を測定することができる。TOF方式は外部物体1に向けて変調光を照射(emit)し、外部物体1から反射して入射する反射光を検知し、変調光と反射光との位相差(phase difference)に基づいて間接的(indirect)に装置10と外部物体1との距離を測定する方式であってもよい。本開示における装置10は距離測定装置と称することができる。また、本開示では、装置10が外部物体1との距離を測定する方法を距離測定方法と称することもできる。
【0014】
光源110は制御部130から提供される変調光制御信号に応答して外部物体1に光を照射することができる。光源110は特定波長帯域の光(例えば、近赤外線、赤外線、可視光)を発するレーザダイオード(Laser Diode、LD)、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)、近赤外線レーザ(Near Infrared Laser、NIR)、ポイント光源、白色ランプとモノクロメータ(monochromator)が組み合わさった単色(monochromatic)照明源、または他のレーザ光源の組み合わせであってもよい。例えば、光源110は800nm~1000nmの波長を有する赤外線を発光することができる。光源110から照射される光は指定された変調周波数(modulationFrequency)に変調された変調光(modulated light)であってもよい。本開示では、光源110が出力する変調光は制御部130から受信する変調光制御信号と同期したものと理解することができる。
【0015】
画素アレイ120は2次元マトリックス構造で連続的に配列された複数の単位画素PXを含んでもよい。例えば、画素アレイ120は行(row)方向及び列(column)方向に連続して配列された単位画素PXを含んでもよい。単位画素PXは画素アレイ120上で同じ形状が繰り返し配列される最小単位であってもよい。単位画素PXはそれぞれ2つのタップを含んでもよい。単位画素PXの内部構造については
図3を参照して後述する。
【0016】
制御部130は変調光制御信号を生成して光源110が変調光を出力するように制御することができる。また、制御部130は行走査回路140を利用して単位画素PXに第1変調電圧と第2変調電圧を印加することができる。変調光制御信号、第1変調電圧、及び第2変調電圧については
図5、
図8、及び
図10を参照して後述する。
【0017】
制御部130は光源110に変調光制御信号を提供することができる。光源110は変調光制御信号に対応する変調光を出力することができる。
【0018】
制御部130は行走査回路140を介して単位画素PXに変調電圧を印加することができる。行走査回路140は制御部130の制御に応じて単位画素PXの基板内に画素電流(pixel current)を発生させるための変調電圧を出力することができる。例えば、制御部130は第1変調電圧及び第2変調電圧を生成して行走査回路140に提供することができ、行走査回路140は制御部130から受信した第1変調電圧と第2変調電圧を単位画素PXに印加することができる。他の例としては、制御部130は変調光制御信号の位相に関する制御信号を行走査回路140に提供することができ、行走査回路140は上記制御信号に応じて第1変調電圧と第2変調電圧を生成して単位画素PXに印加することもできる。
【0019】
行走査回路140は画素アレイ120の複数の行ライン(row lines)のうち少なくとも1つの行ラインを選択及び制御できる制御信号を生成することができる。上記制御信号はリセットトランジスタを制御するリセット信号(reset signal)、検出領域に蓄積された光電荷の伝達を制御する伝送信号(transfer signal)、選択トランジスタを制御する選択信号(select signal)のうち少なくとも一部を含んでもよい。
【0020】
制御部130は列走査回路150が画素アレイ120から画素データを取得するように制御することができる。列走査回路150は画素アレイ120から出力される画素信号を処理してデジタル信号の形態の画素データを生成することができる。列走査回路150はリードアウト回路(readout circuit)と称することもできる。
【0021】
列走査回路150は画素アレイ120から出力された画素信号に対してCDS(correlated double sampling)を行うことができる。装置10はCDSによって上記画素信号に含まれたリードアウトノイズを減少させることができる。また、列走査回路150はCDSが行われた出力信号をデジタル信号に変換するためのADC(analog-digital converter)を含んでもよい。また、列走査回路150はADCから出力される画素データを一時保存し、外部に出力するためのバッファ回路を含んでもよい。
【0022】
装置10は画素アレイ120を介して取得した画素データに基づいて外部物体1との距離(または外部物体1の深度)を識別する距離測定モジュールをさらに含んでもよい。例えば、光源110が装置10が撮影する場面に向けて予め定められた周波数に変調された変調光を照射し、装置10は場面内の外部物体1から反射された反射光(または入射光)を検知すると、変調光と反射光の間には装置10と外部物体1との距離に応じた時間遅延(time delay)が存在するようになる。距離測定モジュールは変調光と反射光との位相差に基づいて外部物体1との距離を識別することができる。装置10は変調光と反射光との位相差を用いて各単位画素PXごとの深度情報を含む深度画像を生成することができる。
【0023】
図2は本発明の実施例による2つのTOFモジュールを含む装置の構成を概略に説明するための図である。
図2の装置10は
図1の装置10に対応することができる。
【0024】
図2を参照すると、装置10は第1TOFモジュール100及び第2TOFモジュール200を含んでもよい。第1TOFモジュール100は光源110、画素アレイ120、行走査回路140、及び列走査回路150を含んでもよい。第2TOFモジュール200は光源210、画素アレイ220、行走査回路240、及び列走査回路250を含んでもよい。
図1で説明した光源110、画素アレイ120、行走査回路140、及び列走査回路150に対する内容は光源210、画素アレイ220、行走査回路240、及び列走査回路250にも適用することができる。
【0025】
第1TOFモジュール100は光源110を介して第1変調光を出力し、第1変調光が外部物体1によって反射された第1反射光を画素アレイ120の単位画素PXを介して受信することができる。また、第2TOFモジュール200は光源210を介して第2変調光を出力し、第2変調光が外部物体1によって反射された第2反射光を画素アレイ220の単位画素PXを介して受信することができる。制御部130は第1TOFモジュール100及び第2TOFモジュール200をそれぞれ制御することができる。
【0026】
2つのTOFモジュール(例えば、第1TOFモジュール100、第2TOFモジュール200)を含む装置10は外部物体1の距離を測定するために少なくとも1つのTOFモジュールを利用することができる。例えば、装置10は第1TOFモジュール100を用いて外部物体1の距離を識別するか、または第2TOFモジュール200を用いて外部物体1の距離を識別するか、または第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200の両方を用いて外部物体1の距離を識別することができる。
【0027】
装置10が第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200の両方を用いて外部物体1の距離を識別する場合、光源110から出力される第1変調光と光源210から出力される第2変調光によって干渉が発生し得る。例えば、第1TOFモジュール100の画素アレイ120には第1反射光だけでなく、第2反射光も入射することができる。従って、第1TOFモジュール100で識別された外部物体1の距離には第2反射光による電荷量に対応する誤差が含まれることができる。ただし、本開示によると、上記干渉による誤差が減少することができる。2つのTOFモジュール間に生じる干渉及び誤差については
図4を参照して後述する。
【0028】
図2では、装置10が2つのTOFモジュール、すなわち第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200とを含むように示され説明されているが、これは一例として本開示の権利範囲を限定しない。 例えば、装置10は、3つのTOFモジュール、すなわち第1TOFモジュール100、第2TOFモジュール200、および第3TOFモジュール(図示せず)を含むことができる、あるいは、4つ以上のTOFモジュールを含み得る。
【0029】
また、
図2では、1つの制御部130が第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200を一緒に制御するように示されているが、これは一例として本開示の権利範囲を限定しない。
図2に示すように、制御部130は、装置10に含まれるTOFモジュールごとに別々の制御部に分けられてもよい。 例えば、制御部130は、第1TOFモジュール100と電気的に接続される第1制御部と、第2TOFモジュール200と電気的に接続される第2制御部とを含むことができる。
【0030】
図3は本発明の実施例による単位画素を説明するための図である。
【0031】
図3に示す単位画素PXは、第1TOFモジュール100の画素アレイ120に含まれた単位画素PXであるか、第2TOFモジュール200の画素アレイ220に含まれた単位画素PXであると理解することができる。
【0032】
図3を参照すると、単位画素PXは第1タップ310及び第2タップ320を含んでもよい。本開示におけるタップ(tap)は、変調電圧が印加されることにより基板内に画素電流を発生させるノードであって復調ノード(demodulation node)と称することもできる。
【0033】
各単位画素PXはCAPD(Current-Assisted Photonic Demodulator)画素であり、入射光によって基板内で生成された光電荷を電界のポテンシャル差を利用してキャプチャーすることができる。例えば、単位画素PXに入射光(例えば、変調光が外部物体1によって反射された反射光)が入射すると、光電変換領域(例えば、基板、フォトダイオード)を介して入射光に対応する光電荷が生成されることができる。単位画素PXに含まれた第1タップ310及び第2タップ320にはそれぞれ第1変調電圧と第2変調電圧が印加されてもよく、上記印加される変調電圧により単位画素PX内には画素電流が生成されることができる。装置10は第1タップ310と第2タップ320を介して上記画素電流によって移動する光電荷をキャプチャーすることができる。
【0034】
第1タップ310に印加される第1変調電圧と第2タップ320に印加される第2変調電圧は互いに反転した位相を有することができる。例えば、第2変調電圧は第1変調電圧と180度の位相差を有することができる。第1変調電圧及び第2変調電圧については
図5、
図8及び
図10を参照して後述する。
【0035】
装置10は単位画素PXを介して取得した画素データに基づいて外部物体1との距離を識別することができる。例えば、装置10は第1タップ310と第2タップ320を介して取得した電荷量に基づいて外部物体1との距離を測定することができる。装置10は以下の数式1を利用して装置10と外部物体1との距離Dを計算することができる。数式1において、第1変調電圧が変調光と0度の位相差を有し、第2変調電圧が変調光と180度の位相差を有する場合、第1タップ310を介して取得した電荷量はS0、第2タップ320を介して取得した電荷量はS180と称することができる。また、第1変調電圧が変調光と90度の位相差を有し、第2変調電圧が変調光と270度の位相差を有する場合、第1タップ310を介して取得した電荷量はS90、第2タップ320を介して取得した電荷量はS270と称することができる。
【0036】
【0037】
即ち、装置10は、単位画素PXの第1タップ310及び第2タップ320を介して取得した電荷量に基づいて外部物体1との距離Dを識別することができる。ただし、装置10が第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200を一緒に駆動する場合、第1TOFモジュール100の画素アレイ120に含まれた単位画素PXには光源110による第1変調光及び光源210による第2変調光が全て入射することができる。従って、S0、S180、S90、及びS270には第1変調光による電荷量であるS0A、S180A、S90A、及びS270Aだけでなく、第2変調光による電荷量であるS0B、S180B、S90B、及びS270Bが含まれることができる。そのため、第1TOFモジュール100の単位画素PXを介して測定された距離Dには第2変調光による電荷量であるS0B、S180B、S90B、及びS270Bに該当する誤差が含まれることができる。同様に、第2TOFモジュール200の単位画素PXを介して測定された距離Dには第1変調光による電荷量であるS0A、S180A、S90A、及びS270Aに該当する誤差が含まれることができる。ただし、
図4以下では、説明の便宜上、第1TOFモジュール100が第2TOFモジュール200によって干渉を受ける場合を基準に説明する。
【0038】
図4は2つのTOFモジュールを介して外部物体の距離を測定する場合に生じる干渉を説明するための図である。
【0039】
図4を参照すると、Aは第1TOFモジュール100の光源110から出力される第1変調光、Bは第2TOFモジュール200の光源210から出力される第2変調光を示すことができる。
図4では、第2変調光によって第1TOFモジュール100が干渉を受ける場合を基準に説明するため、Aは干渉を受ける光(interfered light)、Bは干渉光(interference light)と称することができる。
図4に関する説明において、単位画素PX、第1タップ310、及び第2タップ320は第1TOFモジュール100に含まれた構成であってもよい。
図4では、第1TOFモジュール100が第2TOFモジュール200の光源210によって干渉を受ける場合を基準に説明するが、逆の場合も以下の内容を適用することができる。
【0040】
図4において、Pは第1TOFモジュール100を介して取得した光の強度、P
Aは第1TOFモジュール100を介して取得した光のうち、第1TOFモジュール100の光源110を介して出力された第1変調光の強度、P
Bは第1TOFモジュール100を介して取得した光のうち、第2TOFモジュール200の光源210を介して出力された第2変調光の強度を示すことができる。
【0041】
図4のグラフを参照すると、第1TOFモジュール100を介して取得した光の強度Pは、P
A、P
Bと数式2の関係を有することができる。
【0042】
【0043】
数式2を参照すると、第1TOFモジュール100を介して取得した光の強度PにはPBに対応する誤差が含まれ得る。即ち、第1TOFモジュール100は第2TOFモジュール200が放出した第2変調光の強度PBに干渉を受けることができる。
【0044】
ただし、本開示による装置10は第2TOFモジュール200による干渉を減らすためにPB値を減少させることができる。例えば、光の強度Pは数式3によって計算されるが、装置10は第1タップ310によりキャプチャーされる第2変調光による電荷量と第2タップ320によりキャプチャーされる第2変調光による電荷量との差を減少させることで、PBを減少させることができる。
【0045】
【0046】
即ち、装置10はP
Bを減少させるために、第1変調光の強度P
Aは高く保持しながらも第2変調光による電荷量は第1タップ310と第2タップ320に均等に分配されるようにすることができる。例えば、装置10はP
Bを減少させるためにS0BとS180Bとの差を減少させるか、またはS90BとS270Bとの差を減少させることができる。第1TOFモジュール100の単位画素PXに含まれた第1タップ310と第2タップ320に第2変調光による電荷量を均等に分配するために、制御部130は
図5~
図12で説明する方法を用いてもよい。
【0047】
図5は本発明の実施例による擬似ランダムコードによって反転されたパルスを有する変調光制御信号の例を説明するための図である。
【0048】
装置10(例えば、制御部130)は擬似ランダムコード(pseudo noise code、以下、PNコード)を用いて変調光制御信号を生成することができる。また、装置10(例えば、制御部130)はPNコードを用いて第1変調電圧及び第2変調電圧を決めることができる。例えば、制御部130はPNコード同士が互いに完全に同期した場合は相関特性が高いが、非同期の場合には相関特性の低いM系列(M sequence)のPNコードを用いることができる。
図5はPNコードによる変調タイミングチャートであることができる。
【0049】
図5を参照すると、制御部130はコード数(number of codes)が15個のPNコードを用いてもよい。制御部130はコード数が2
n-1で、nは2以上の自然数になるようにコード数Nを決めることができる。例えば、コード数Nは3、7、または15であってもよい。
【0050】
制御部130はPNコードによって変調光制御信号の反転有無を決めることができる。制御部130はPNコードが0であるか、または1であるかによって変調光制御信号の反転有無を決めることができる。例えば、制御部130は、PNコードが1のときは変調光制御信号を反転させず、PNコードが0のときは変調光制御信号を反転させることができる。他の例として、制御部130は、PNコードが0のときは変調光制御信号を反転させず、PNコードが1のときは変調光制御信号を反転させることができる。
図5を参照すると、PNコードが1の場合とPNコードが0の場合、変調光制御信号が互いに反転した位相を有することができる。
【0051】
制御部130はPNコードの1コードごとに指定された変調周波数Fによるパルスを含む変調光制御信号を生成することができる。例えば、制御部130はコードごとにM個のパルスを含む変調光制御信号を生成してもよい。
【0052】
装置10は変調光制御信号に基づいて第1変調電圧及び第2変調電圧を決めることができる。装置10は第1変調電圧と第2変調電圧とが互いに反転した位相を有するように決めることができる。例えば、装置10は第1変調電圧が変調光制御信号と0度、90度、180度、または270度の何れか1つの位相差を有するように決め、第2変調電圧が上記決められた第1変調電圧と反転した位相を有するように決めてもよい。本開示において、反転した位相を有する第1変調電圧と第2変調電圧とは、第1変調電圧が活性化電圧を有する時点で第2変調電圧は非活性化電圧を有し、第1変調電圧が非活性化電圧を有する時点で第2変調電圧は活性化電圧を有することを示すことができる。
【0053】
図5を参照すると、コードの長さはPNコードのコード数N、コードごとに含まれたパルスの数M、及び変調周波数Fによって決められてもよい。コードの長さはNxM/Fによって決められてもよい。例えば、コードの長さは15、コード当たりのパルス数は30、変調周波数は40MHzの場合、コードの長さは11.25usであってもよい。装置10は上記コードの長さに基づいて単位画素PXの露光時間(exposure time)を決めることができる。例えば、装置10は単位画素PXの露光時間が上記コードの長さ以上になるように決めることができる。即ち、単位画素PXが少なくとも上記コードの長さだけの時間の間露出されなければ、他のTOFモジュールによる干渉が減少しない
【0054】
図6は本発明の実施例による擬似ランダムコードを用いる場合のTOFモジュール間の干渉が減少する効果を説明するための図である。
【0055】
図6はコード数が15個のPNコードに基づいて決められた変調光制御信号によって互いに異なるTOFモジュール間の干渉が減少する効果を示すグラフである。
図6のグラフにおいて、x軸は第1変調光と第2変調光の同期がずれた程度を示し、y軸は第1TOFモジュール100を介して取得した光のうち、第1変調光の強度P
Aに基づいて第2変調光の強度P
Bの比率を示すことができる。
図6に関する説明において、第1変調光は第1TOFモジュール100の光源110に提供される第1変調光制御信号と同期しており、第2変調光は第2TOFモジュール200の光源210に提供される第2変調光制御信号と同期していると理解することができる。従って、
図6に関する説明において、第1変調光と第2変調光に対する説明は第1変調光制御信号と第2変調光制御信号に対するものと理解することができる。
【0056】
図6を参照すると、第1変調光と第2変調光が同期している場合(例えば、第1変調光と第2変調光の同期がずれた程度が0の場合、15の場合)、P
Aに対するP
Bの強度比は1であり、第2変調光の強度P
Bは最大であることができる。第1変調光と第2変調光の同期がずれるほど強度比は減少することができる。また、第1変調光と第2変調光が1コードだけずれると、強度比は1/15に減少することができる。従って、第1変調光と第2変調光が同期していない場合は、第1TOFモジュール100が第2TOFモジュール200の第2変調光によって干渉を受ける程度が1/15に減少することができる。
【0057】
装置10は第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200を別途で制御するため、第1TOFモジュール100の光源110と第2TOFモジュール200の光源210は互いに非同期的に駆動されることができる。即ち、一般的な状況では、第1変調光と第2変調光は非同期的であるため、装置10はPNコードを用いることによって他のTOFモジュールによる干渉を1/N(ただし、Nはコード数)に減少させることができる。
【0058】
装置10はPNコードのコード数Nを15より大きい数に決めることによって第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200が互いに干渉する確率、及び他のTOFモジュールによる干渉光の強度をさらに減少させることができる。
【0059】
図7は本発明の実施例による擬似ランダムコードを用いる場合のTOFモジュール間の干渉が減少する効果を説明するための図である。
【0060】
図7に関して、干渉を受けるモジュール(interfered module)は第1TOFモジュール100であり、干渉光(interference light)は第2TOFモジュール200の第2変調光であることを前提として説明する。
【0061】
一実施例による装置10はコードの長さ(code length)の2倍に該当する統合時間(integration time)の間、画素アレイ120の単位画素PXを介して入射光に対応する電荷量を取得することができる。
図7を参照すると、装置10は第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200を非同期的に制御するため、第2変調光が出力される時間の一部は第1TOFモジュール100が駆動される統合時間と重複しなくてもよい。例えば、第1TOFモジュール100の単位画素PXは第2TOFモジュール200の光源210が出力する第2変調光の一部を受信しなくてもよい。
【0062】
コードの長さ(code length)702に該当する第2変調光は第1TOFモジュール100の単位画素PXで1/Nに干渉強度が減少することができるが、残りのコードの長さ(residual code length)701に該当する第2変調光は第1TOFモジュール100の単位画素PXで完全に相殺されず、1/Nより高い干渉強度を有することができる。
【0063】
グラフ700は残りのコードの長さ701による干渉強度の比率を示すことができる。グラフ700を参照すると、残りのコードの長さ701がコードの長さ702(例えば、15)と同じである場合、干渉強度比は1であり、それ以外の場合は、第2変調光が第1TOFモジュール100に及ぼす干渉強度を平均10%に減少することができる。
【0064】
図5~
図7に関連して説明した内容を参照すると、装置10はPNコードによってパルスの反転有無が決まる変調光制御信号を生成することによって、第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200との間に発生する干渉を減少させることができる。ただし、
図6のグラフと
図7のグラフ700を参照すると、第1変調光と第2変調光が同期する場合には、干渉強度が十分に減少しないことがある。従って、装置10は、
図8及び
図9で説明する周波数ホッピングを一緒に用いて互いの変調光による干渉をさらに減少させることができる。
【0065】
図8は本発明の実施例による周波数ホッピングを用いる場合のTOFモジュール間の干渉が減少する原理を説明するための図である。
【0066】
装置10(例えば、制御部130)は周波数ホッピング(frequency hopping)を用いて変調光制御信号を生成することができる。装置10は複数の変調周波数から第1変調周波数F1と第2変調周波数F2を選択し、第1変調周波数F1に基づいて第1変調光制御信号を、第2変調周波数F2に基づいて第2変調光制御信号を生成することができる。例えば、装置10は第1TOFモジュール100の単位画素PXまたは第2TOFモジュール200の単位画素PXを介して取得するそれぞれのフレームごとに変調周波数をランダムに設定することができる。
【0067】
図8では、第1変調周波数F
1と第2変調周波数F
2が異なる場合の第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200との干渉が減少する原理を説明する。例えば、
図8では、F
1:F
2=4:3の場合を前提として説明する。
【0068】
図4に関して説明した内容を参照すると、第1TOFモジュール100に入射する第2変調光または第2TOFモジュール200に入射する第1変調光によって第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200間の干渉が発生し得る。従って、装置10は、第1TOFモジュール100に入射する第2変調光が第1TOFモジュール100の第1タップ811と第2タップ812に均等に分配されるようにするか、または第2TOFモジュール200に入射する第1変調光が第2TOFモジュール200の第1タップ821と第2タップ822に均等に分配させることで、TOFモジュール間の干渉を減少させることができる。
【0069】
図8を参照すると、装置10は第1変調周波数F
1による位相を有する第1変調光を出力することができる。装置10は第2TOFモジュール200の第1タップ821と第2タップ822に第2変調周波数F
2に対応する変調電圧をそれぞれ印加することができる。第2TOFモジュール200の第1タップ821は第1変調光に対応する電荷量Q1を取得し、第2TOFモジュール200の第2タップ822は第1変調光に対応する電荷量Q2を取得することができる。
【0070】
同様に、装置10は第2変調周波数F2による位相を有する第2変調光を出力することができる。装置10は第1TOFモジュール100の第1タップ811と第2タップ812に第1変調周波数F1に対応する変調電圧をそれぞれ印加することができる。第1TOFモジュール100の第1タップ811は第2変調光に対応する電荷量Q1’を取得し、第1TOFモジュール100の第2タップ822は第2変調光に対応する電荷量Q2’を取得することができる。
【0071】
図8を参照すると、特定周期T
Pの間、第2TOFモジュール200の第1タップ821と第2タップ822が第1変調光に基づいてそれぞれ取得した電荷量Q1とQ2は互いに同じ値を有することができる。また、特定周期T
Pの間、第1TOFモジュール100の第1タップ811と第2タップ812が第2変調光に基づいてそれぞれ取得した電荷量Q1’とQ2’は互いに同じ値を有することができる。
【0072】
従って、装置10が周波数ホッピングを用いる場合、特定周期TPを利用すると、第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200間の干渉がないか、または無視できる程度に非常に少なくなることができる。例えば、装置10は単位画素PXの露光時間をTPの倍数と決めることができる。さらに、装置10は単位画素PXの最小露光時間をTPと決めることができる。TOFモジュール間の干渉が取り消される特定周期TPは数式4により計算することができる。装置10は数式4を満たすF1、F2、及びTPを利用してTOFモジュール間の干渉を取り消すことができる。
【0073】
【0074】
例えば、装置10は40、40.1、40.2、及び40.3Mhzなど0.1Mhz間隔の複数の変調周波数からF1とF2をランダムに決めることができる。装置10は0.1Mhz間隔の複数の変調周波数に基づいて数式4を満たすTPを10usと決めることができる。
【0075】
装置10は予め指定された複数の変調周波数からF1とF2をランダムに選択することによって、第1TOFモジュール100と第2TOFモジュール200間の干渉を減少させることができる。さらに、選択可能な複数の変調周波数の数が多いほど、TOFモジュール間の干渉はさらに減少することができる。
【0076】
図9は本発明の実施例による周波数ホッピングを用いる場合のTOFモジュール間の干渉が減少する効果を説明するための図である。
【0077】
図9のグラフは干渉光が入射する時間に応じた干渉光の光強度比率を示すことができる。例えば、第2TOFモジュール200の第2変調光によって第1TOFモジュール100の単位画素PXが干渉を受ける場合を基準として説明すると、
図9のグラフのx軸は第1TOFモジュール100に第2変調光が入射する時間、y軸は第1TOFモジュール100に入射する第1変調光に対する第2変調光の強度比率を示すことができる。
【0078】
図9を参照すると、第1変調光に対する第2変調光の強度は最大31%であってもよい。即ち、装置10は周波数ホッピングを用いることによりTOFモジュール間の干渉を31%以下に減少させることができる。
【0079】
図10は本発明の実施例による擬似ランダムコード及び周波数ホッピングを用いる場合の第1変調光制御信号及び第2変調光制御信号の例を説明するための図である。
【0080】
装置10は
図5~
図7で説明したPNコード、及び
図9及び
図10で説明した周波数ホッピングを一緒に用いてTOFモジュール間の干渉を減少させることができる。装置10がPNコードを用いることによりTOFモジュール間の干渉が減少することはできるが、第1変調光と第2変調光が同期する場合には上記干渉が十分に解消されないことがある。さらに、装置10が周波数ホッピングを用いることによりTOFモジュール間の干渉が減少することはできるが、選択可能な変調周波数の数には制限があるため、3つ以上のTOFモジュール間の干渉は十分に解消されない可能性がある。しかし、本開示による装置10はPNコードと周波数ホッピングを一緒に用いることで、TOFモジュール間で生じ得る干渉の強度を下げるか、または干渉が発生する確率を下げることができる。
【0081】
図10を参照すると、装置10は選択可能な複数の変調周波数から第1変調周波数F
1と第2変調周波数F
2を選択することができる。装置10は選択可能な複数の変調周波数に基づいて数式4を満たすT
Pを決めることができる。T
Pは
図10のコード当たりの長さ(length per code)と称することができる。装置10は上記複数の変調周波数からF
1及びF
2がランダムに選択されてもコード当たりの長さは一定に保持されるように上記コード当たりの長さを決めることができる。さらに、装置10は第1変調光(または第1変調光制御信号)のコード当たりの長さと第2変調光(または第2変調光制御信号)のコード当たりの長さが同じ値を有するように決めることができる。
【0082】
図10において、コードの長さ(code length)は上記コード当たりの長さにコード数(例えば、15)を掛けた値を示すことができる。例えば、装置10が40、41、42など1Mhz間隔の複数の変調周波数からF
1及びF
2を選択する場合、コード当たりの長さは1usであってもよい。このとき、コード数が15の場合、コードの長さは15usであることができる。
【0083】
選択可能な複数の変調周波数によってコード当たりの長さが決まる具体的な例は以下の通りである。
【0084】
選択可能な複数の変調周波数(またはサブホッピング周波数)は装置10の設計者によって多様に設定されてもよい。例えば、複数の変調周波数は2MHz間隔の36、38、40、及び42などを含むか、または0.1Mhz間隔の39.7、39.8、39.9、40、及び40.1などを含んでもよい。他の例として、複数の変調周波数は間隔が一定ではない39.8、39.9、42、42.2、及び44などを含んでもよい。
【0085】
装置10は複数の変調周波数に基づいてコード当たりの長さを決めることができる。例えば、選択可能な複数の変調周波数が40、40.1、40.21、40.3、及び40.54Mhzの場合を前提とする。装置10は上記複数の変調周波数間の差分値を計算することができる。複数の変調周波数が40、40.1、40.21、40.3、及び40.54Mhzの場合、変調周波数間の差は0.1、0.11、0.09、及び0.24Mhzであることができる。装置10は変調周波数間の差分値の最大公約数を計算することができる。変調周波数間の差が0.1、0.11、0.09、及び0.24Mhzの場合、最大公約数は0.01Mhzであることができる。複数の変調周波数を上記最大公約数で割ると、コードごとに含まれたパルスの数であることができる。変調周波数が40Mhzの場合、コードごとに含まれたパルス数は40/0.01=4000個であることができる。従って、コード当たりの長さは4000/40Mhz=100usであることができる。同様に、変調周波数が40.1Mhzの場合、コードごとに含まれたパルス数は40.1/0.01=4010個であることができる。従って、コード当たりの長さは4010/40.1Mhz=100usであることができる。即ち、選択される変調周波数に関わらずコード当たりの長さは100usと一定であることができる。
【0086】
他の例として、選択可能な複数の変調周波数が20.3、20.5、20.9、及び23.1Mhzである場合を前提とする。複数の変調周波数間の差は0.2、0.4、及び2.2Mhzであり、それらの最大公約数は0.2であることができる。ただし、コードごとに含まれたパルス数を計算すると、変調周波数が20.3Mhzの場合、コード当たりのパルス数は20.3Mhz/0.2Mhz=101.5個であることができる。また、変調周波数が20.5Mhzの場合、コード当たりのパルス数が20.5Mhz/0.2Mhz=102.5個であることができる。即ち、コード当たりのパルス数が小数点以下の値を含んでもよい。コード当たりのパルス数が小数点以下を含む場合、装置10は最大公約数ではない他の公約数0.1で同じ計算を行うことができる。変調周波数が20.3Mhzの場合、コード当たりのパルス数は20.3Mhz/0.1Mhz=203個であることができる。また、変調周波数が20.5Mhzの場合、コード当たりのパルス数は20.5Mhz/0.1Mhz=205個であることができる。従って、コード当たりの長さは203/20.3Mhz=10usであることができる。
【0087】
図11は本発明の実施例による擬似ランダムコード及び周波数ホッピングを用いる場合のTOFモジュール間の干渉が減少する効果を説明するための図である。
【0088】
図11のグラフは装置10がPNコードを適用し、周波数ホッピングは用いない場合に比べて、PNコードと周波数ホッピングの両方を用いた場合に干渉が減少する程度を示すことができる。
図11のグラフのx軸は第1TOFモジュール100に干渉光である第2変調光が入射した時間、y軸は第1TOFモジュール100に入射する第1変調光の強度に対する第2変調光の強度の比率を示すことができる。
【0089】
図11のグラフを参照すると、第1TOFモジュール100の第1変調光と第2TOFモジュール200の第2変調光が同期する場合、PNコードのみを適用すると、高い干渉強度を有することができるが、本開示のようにPNコードと周波数ホッピングの両方を適用すると、1/5以下に減少した干渉強度を有することができる。また、PNコードのみを適用しても比較的低い干渉強度を有する場合でも、PNコードと周波数ホッピングの両方を適用すると、干渉強度がさらに低くなることができる。
【0090】
図12は本発明の実施例によるTOFモジュール間の干渉を減少させる方法の流れを説明するための図である。
図12で説明する段階は、装置10または装置10に含まれた制御部130によって行われると理解することができる。
【0091】
段階S1210では、装置10(例えば、制御部130)は選択可能な複数の変調周波数に基づいてコード当たりの長さを決めることができる。複数の変調周波数に基づいてコード当たりの長さを決める方法については
図10に関して説明した内容を参照する。装置10は選択可能な複数の変調周波数に基づいてコード当たりの長さを決めるため、段階S1220で選択される変調周波数に関わらずコード当たりの長さは一定の値を有することができる。
【0092】
段階S1220では、装置10(例えば、制御部130)は複数の変調周波数から第1変調周波数を選択することができる。装置10は単位画素PXを介して取得するフレームごとにランダムに変調周波数を選択することができる。例えば、制御部130は複数の変調周波数から選択された第1変調周波数(例えば、40Mhz)に基づいて単位画素PXを介して第1フレームを取得し、複数の変調周波数から選択された第2変調周波数(例えば、40.1Mhz)に基づいて単位画素PXを介して第1フレームに続く第2フレームを取得することができる。
【0093】
段階S1230では、装置10(例えば、制御部130)は擬似ランダムコード(PNコード)のコード数を決めることができる。装置10はコード数が2n-1であり、nが2以上の自然数になるように決めることができる。コード数は設計者が具現できる範囲、またはTOFモジュールが用いられるアプリケーションの要求に基づいて決められてもよい。例えば、装置10がTOFモジュール(例えば、100、200)を介して測定しようとする距離が6mである場合、装置10は最大測定可能距離が6mである変調周波数25MHz以下の変調周波数を利用することができる。コード数は電力及び画素飽和を考慮して決められてもよい。例えば、装置10は単位画素PXが飽和しないように単位画素PXの最大露光時間を決めることができる。最大露光時間が100usで、コード当たりの長さが10usの場合、コード数は10個以下でなければならず、コード数は2n-1に制限されるため、装置10はコード数を3または7に決めることができる。PNコードの数が多いほど、相関特性が減少することができるため、装置10はコード数を7と決め、10us×7=70usをコードの長さと決めることができる。
【0094】
段階S1240では、装置10(例えば、制御部130)はコード当たりの長さ、第1変調周波数、及びコード数に基づいてコードごとに第1変調周波数に対応するパルスを含み、擬似ランダムコードによってパルスの反転有無が決まる変調光制御信号を生成することができる。例えば、装置10はPNコードが0であるか、または1であるかによってパルスの反転有無を決めることができる。
【0095】
段階S1250では、装置10(例えば制御部130)は変調光制御信号に基づいて第1変調電圧を生成し、第1変調電圧が反転した第2変調電圧を生成することができる。制御部130は第1変調電圧が上記変調光制御信号と0度、90度、180度、または270度の何れかの1つの位相差を有するように決めることができる。
【0096】
段階S1260では、装置10(例えば、制御部130)は光源110を介して変調光制御信号による変調光を出力することができる。
【0097】
段階S1270では、装置10(例えば、制御部130)は単位画素PXに含まれた第1タップ310及び第2タップ320に第1変調電圧及び第2変調電圧をそれぞれ印加して、変調光が外部物体1によって反射された反射光に基づいて外部物体1との距離を識別することができる。
【符号の説明】
【0098】
10 装置
1 外部物体
110 光源
120 画素アレイ
130 制御部
140 行走査回路
150 列走査回路