(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100746
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】冷媒供給システム
(51)【国際特許分類】
E02D 3/115 20060101AFI20240719BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
E02D3/115
F25B1/00 399Y
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003744
(22)【出願日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2023004548
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(71)【出願人】
【識別番号】390002233
【氏名又は名称】ケミカルグラウト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂口 学
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 史
(72)【発明者】
【氏名】相馬 啓
(72)【発明者】
【氏名】塩屋 祐太
(72)【発明者】
【氏名】福岡 美則
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043CA14
(57)【要約】
【課題】土壌凍結管と冷凍機とが比較的離れている場合であっても冷媒の総量を抑制できる冷媒供給システムを提供する。また、地上の冷凍機と凍結管の位置が比較的高い場合であっても冷媒の飽和温度を低温側に抑制でき、冷媒と土壌との温度差を大きくとれるため、凍土造成時間の短縮に寄与する。
【解決手段】少なくとも一実施形態に係る冷媒供給システムは、冷凍機と、冷凍機よりも低所に設置され、土壌凍結管に供給される冷媒を貯留する第1レシーバと、冷凍機で液化された冷媒を第1レシーバに送る送り配管と、第1レシーバの気相部分からガス状の冷媒を冷凍機側に戻す戻り配管と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍機と、
前記冷凍機よりも低所に設置され、土壌凍結管に供給される冷媒を貯留する第1レシーバと、
前記冷凍機で液化された前記冷媒を前記第1レシーバに送る送り配管と、
前記第1レシーバの気相部分からガス状の前記冷媒を前記冷凍機側に戻す戻り配管と、
を備える
冷媒供給システム。
【請求項2】
前記第1レシーバよりも高所に配置され、前記第1レシーバに供給される前記冷媒を貯留する第2レシーバ、
を備える
請求項1に記載の冷媒供給システム。
【請求項3】
前記戻り配管は、前記第1レシーバの気相部分からガス状の前記冷媒を前記第2レシーバに戻すための配管を含む、
請求項2に記載の冷媒供給システム。
【請求項4】
前記送り配管は、前記第2レシーバの液相部分から液状の前記冷媒を前記第1レシーバに送るための配管を含む、
請求項2又は3に記載の冷媒供給システム。
【請求項5】
前記送り配管に設けられていて、前記第1レシーバに貯留される液状の前記冷媒の液面高さを調節するための調節弁、
を備える
請求項2又は3に記載の冷媒供給システム。
【請求項6】
前記第1レシーバに貯留された液状の前記冷媒を前記土壌凍結管に供給するための送液ポンプ、
を備える
請求項2又は3に記載の冷媒供給システム。
【請求項7】
前記冷凍機で液化された前記冷媒が前記送り配管を介して、且つ、ポンプを介さずに、前記第1レシーバに供給可能に構成されている、
請求項1又は2に記載の冷媒供給システム。
【請求項8】
前記送り配管は、鉛直方向に延在し、ガス状の前記冷媒と前記第1レシーバに供給される液状の前記冷媒とを貯留可能な縦管を含む
請求項1に記載の冷媒供給システム。
【請求項9】
前記送り配管に設けられていて、前記第1レシーバに貯留された液状の前記冷媒の液面高さを調節するための調節弁と、
少なくとも前記調節弁を制御するための制御装置と、
を備え、
前記冷凍機は、地上に設置され、
前記第1レシーバ、及び、制御装置は、地下に設けられている
請求項2又は3に記載の冷媒供給システム。
【請求項10】
前記第1レシーバは、地下空間内に配置され、
前記戻り配管は、前記地下空間内における少なくとも一部の領域において、前記戻り配管を覆う断熱材が設けられていない断熱材非施工領域を有する、
請求項1乃至3、又は8の何れか一項に記載の冷媒供給システム。
【請求項11】
前記地下空間は、横坑を含み、
前記戻り配管は、前記横坑内における少なくとも一部の領域において、前記断熱材非施工領域を有する、
請求項10に記載の冷媒供給システム。
【請求項12】
前記送り配管は、前記送り配管の上流側から下流側に至る全域にわたって前記送り配管を覆う断熱材が設けられている、
請求項10に記載の冷媒供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
施工地盤の安定化、遮水、その他の目的で、所定領域の土壌を凍結する工法が知られている。この工法では、凍結するべき土壌に土壌凍結管を配置して、土壌凍結管内に冷媒を流すことにより、土壌から熱量を奪って対象とする土壌を凍結させている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、土壌凍結管と冷凍機とが比較的離れている場合、土壌凍結管から冷凍機へ冷媒を戻す戻り配管内の液相の冷媒量が増えるため、冷媒の総量が増えてしまう。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、土壌凍結管と冷凍機とが比較的離れている場合であっても冷媒の総量を抑制できる冷媒供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る冷媒供給システムは、
冷凍機と、
前記冷凍機よりも低所に設置され、土壌凍結管に供給される冷媒を貯留する第1レシーバと、
前記冷凍機で液化された前記冷媒を前記第1レシーバに送る送り配管と、
前記第1レシーバの気相部分からガス状の前記冷媒を前記冷凍機側に戻す戻り配管と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、土壌凍結管と冷凍機とが比較的離れている場合であっても冷媒の総量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】幾つかの実施形態に係る冷媒供給システムの一例としての土壌凍結装置の全体構成図である。
【
図2】幾つかの実施形態に係る冷媒供給システムの他の一例としての土壌凍結装置の全体構成図である。
【
図3】冷媒供給システムの比較例としての土壌凍結装置の全体構成図である。
【
図4】
図1に示した二次冷媒循環系統における断熱材の施工範囲の一例を示す図である。
【
図5】
図1に示した二次冷媒循環系統における断熱材の施工範囲の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0010】
(土壌凍結装置1の全体構成)
図1は、幾つかの実施形態に係る冷媒供給システムの一例としての土壌凍結装置の全体構成図である。
図2は、幾つかの実施形態に係る冷媒供給システムの他の一例としての土壌凍結装置の全体構成図である。
幾つかの実施形態に係る土壌凍結装置1は、一次冷媒循環系統3を有する冷凍機5と、一次冷媒循環系統3と熱交換器4を介して接続される二次冷媒循環系統10とを備えている。
幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10では、冷媒(二次冷媒)は、例えばCO
2冷媒である。
【0011】
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10には、二次冷媒循環系統10の冷媒循環路20に、土壌9を凍結させるために土壌9に埋設された複数の土壌凍結管15(以下、単に凍結管15とも称する)と、冷凍機5よりも低所に設置され、複数の凍結管15に供給される冷媒を貯留する第1レシーバ11と、冷凍機5で液化された冷媒を第1レシーバ11に送る送り配管21と、第1レシーバ11の気相部分からガス状の冷媒を冷凍機5側に戻す戻り配管51とが設けられている。
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10には、第1レシーバ11に貯留された液状の冷媒を複数の土壌凍結管15に供給するための送液ポンプ13(以下、地下ポンプ13とも称する)と、複数の凍結管15に液状の冷媒を分配するための液ヘッダ17と、複数の凍結管15からガス状及び液状の冷媒を集めるためのガスヘッダ19とが設けられている。
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10では、第1レシーバ11、地下ポンプ13、液ヘッダ17、及びガスヘッダ19は、地下空間8内に配置されている。
【0012】
図1に示す二次冷媒循環系統10には、第1レシーバ11よりも高所に配置され、第1レシーバ11に供給される冷媒を貯留する第2レシーバ12と、第2レシーバ12に貯留された液状の冷媒を第1レシーバ11に供給するための送液ポンプ14(以下、地上ポンプ14とも称する)とが設けられている。
図1に示す二次冷媒循環系統10では、第2レシーバ12、及び地上ポンプ14は、地上7に配置されている。
【0013】
(送り配管21)
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10では、送り配管21は、地上7に配置された地上配管21aと、地下空間8に配置された地下配管21bと、地上配管21aと地下配管21bとを接続し、鉛直方向に延在する縦管21cとを含んでいる。
【0014】
図1に示す二次冷媒循環系統10では、地上配管21aは、熱交換器4と第2レシーバ12の液相部分とを接続する配管22と、第2レシーバ12の液相部分と縦管21cの上端とを接続し、地上ポンプ14が途中に設けられているポンプ配管23と、第2レシーバ12の液相部分と縦管21cの上端とを接続し、地上ポンプ14をバイパスし、バイパス弁33が途中に設けられているバイパス配管24とを含んでいる。
【0015】
図2に示す二次冷媒循環系統10では、地上配管21aは、熱交換器4と縦管21cの上端とを接続している。
【0016】
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10では、地下配管21bは、縦管21cの下端と第1レシーバ11とを接続している。
【0017】
(戻り配管51)
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10では、戻り配管51は、地下空間8に配置された地下配管51bと、地上7に配置された地上配管51aと、地下配管51bと地上配管51aとを接続し、鉛直方向に延在する縦管51cとを含んでいる。
【0018】
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10では、地下配管51bは、第1レシーバ11の気相部分と縦管51cの下端とを接続している。
【0019】
図1に示す二次冷媒循環系統10では、地上配管51aは、縦管51cの上端と第2レシーバ12の気相部分とを接続する配管52と、第2レシーバ12の気相部分と熱交換器4とを接続する配管53とを含んでいる。
【0020】
図2に示す二次冷媒循環系統10では、地上配管51aは、縦管51cの上端と熱交換器4とを接続している。
【0021】
(その他の配管について)
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10には、第1レシーバ11の液相部分と液ヘッダ17とを接続し、地下ポンプ13が途中に設けられているポンプ配管26と、ガスヘッダ19と、第1レシーバ11の気相部分とを接続する配管27が設けられている。
【0022】
(土壌凍結装置1の各部を制御するための構成について)
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10には、送り配管21の内の地下配管21bに設けられていて、第1レシーバ11に貯留される液状の冷媒の液面高さを調節するための調節弁31と、第1レシーバ11に貯留される液状の冷媒の液面高さを検出するための第1レベルセンサ41とが設けられている。
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10には、地下配管21b内の圧力(縦管21cの下部の内部圧力)を検出するための下部圧力センサ43と、第1レシーバ11内の圧力を検出するための圧力センサ44と、地下ポンプ13の吐出圧力を検出するための圧力センサ45とが設けられている。
【0023】
図1に示す二次冷媒循環系統10には、第2レシーバ12に貯留される液状の冷媒の液面高さを検出するための第2レベルセンサ42と、第2レシーバ12内の圧力を検出するための圧力センサ46と、地上ポンプ14の吐出圧力を検出するための圧力センサ47とが設けられている。
【0024】
図2に示す二次冷媒循環系統10には、地上配管21a内の圧力(縦管21cの上部の内部圧力)を検出するために上部圧力センサ48が設けられている。
【0025】
(制御装置90)
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1は、土壌凍結装置1を制御するための制御装置90を備えている。
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、制御装置90は、地下空間8内に配置された地下制御盤91に設けられている地下制御装置92と、地上7に配置された地上制御盤93に設けられている地上制御装置94とを含んでいる。
地下制御装置92及び地上制御装置94は、それぞれ各種演算処理を実行する不図示のプロセッサと、プロセッサによって処理される各種データを非一時的または一時的に記憶する不図示のメモリとを備える。プロセッサは、CPU、GPU、MPU、DSP、これら以外の各種演算装置、又はこれらの組み合わせなどによって実現される。メモリは、ROM、RAM、フラッシュメモリ、またはこれらの組み合わせなどによって実現される。
地下制御装置92及び地上制御装置94の制御内容については、後で詳述する。
【0026】
(二次冷媒循環系統10における二次冷媒の流れについて)
このように構成された
図1に示す土壌凍結装置1では、熱交換器4を介して冷凍機5で冷却された液状の冷媒(二次冷媒)は、第2レシーバ12に貯留される。第2レシーバ12に貯留された液状の冷媒は、地上ポンプ14によって第1レシーバ11に供給される。
なお、例えば第1レシーバ11が地下の比較的深い位置に設けられている場合、第2レシーバ12と第1レシーバ11とのヘッド差が比較的大きいため、地上ポンプ14によらず、バイパス弁33を開くことでヘッド差を利用して、第2レシーバ12に貯留された液状の冷媒を第1レシーバ11に供給する。
【0027】
図2に示す土壌凍結装置1では、熱交換器4を介して冷凍機5で冷却された液状の冷媒(二次冷媒)は、送り配管21を介して第1レシーバ11に供給される。
図2に示す土壌凍結装置1では、凍結管15の周囲の土壌9がある程度凍結して凍結管15の熱的負荷が比較的安定する時期において、縦管21c内に規定の範囲内の液面高さHで液状の冷媒が存在するように二次冷媒循環系統10内の冷媒の量が設定されている。すなわち、
図2に示す土壌凍結装置1では、土壌凍結装置1が安定的に運転されている場合には、縦管21cには液状の冷媒とガス状の冷媒とが貯留されることとなる。
なお、
図2に示す土壌凍結装置1では、上述した規定の範囲内の液面高さHは、調節弁31が開いたときに縦管21c内の冷媒が十分な流量で第1レシーバ11に供給されるのに必要な圧力ヘッドを確保できる液面高さである。
図2に示す土壌凍結装置1では、下部圧力センサ43で検出した縦管21cの下部の内部圧力と、上部圧力センサ48で検出した縦管21cの上部の内部圧力とに基づいて、地下制御装置92は縦管21c内の冷媒の液面高さを把握可能である。
【0028】
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、第1レシーバ11に貯留される液状の冷媒の量は、第1レベルセンサ41で検出される第1レシーバ11の液面レベルに基づいて調節弁31の開度が地下制御装置92で制御されることによって、規定の液面レベルに保たれるようになっている。
なお、
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、調節弁31は膨張弁としての役割も果たす。
【0029】
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、第1レシーバ11に貯留された液状の冷媒は、地下ポンプ13によって液ヘッダ17に供給され、液ヘッダ17から複数の凍結管15に供給される。
複数の凍結管15に供給された冷媒は、複数の凍結管15内で蒸発する際に複数の凍結管15の周囲の土壌から熱を奪う。これにより、複数の凍結管15の周囲の土壌は凍結する。
複数の凍結管15内で蒸発したガス状の冷媒、及び複数の凍結管15内で蒸発しきれなかった液状の冷媒は、ガスヘッダ19で集められて第1レシーバ11に戻る。
【0030】
図1に示す土壌凍結装置1では、第1レシーバ11内の冷媒の内の液相の冷媒は、第1レシーバ11内に留まり、第1レシーバ11内の冷媒の内の気相の冷媒は、第2レシーバ12に戻り、熱交換器4で冷却されて液化し、液状の冷媒として第2レシーバ12に戻る。
【0031】
図2に示す土壌凍結装置1では、第1レシーバ11内の冷媒の内の液相の冷媒は、第1レシーバ11内に留まり、第1レシーバ11内の冷媒の内の気相の冷媒は、戻り配管51を介して熱交換器4に戻り、熱交換器4で冷却されて液化し、液状の冷媒として第1レシーバ11に戻る。
【0032】
(地下制御装置92及び地上制御装置94の制御内容について)
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、土壌凍結の実施に際し、地上制御装置94は、冷凍機5を運転するように冷凍機5の各部を制御する。これにより、冷凍機5は、地上配管51aを介して熱交換器4に戻されたガス状の冷媒を冷却して液化する。液化された冷媒は、
図1に示す土壌凍結装置1では配管22を介して第2レシーバ12に送られ、
図2に示す土壌凍結装置1では地上配管21aを介して縦管21cに送られる。
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、土壌凍結の実施に際し、冷凍機5の運転が継続される。
【0033】
具体的には、
図1に示す土壌凍結装置1では、地上制御装置94は、冷凍機5の運転開始から第2レベルセンサ42で検出される第2レシーバ12の液面レベルが規定の液面レベルに到達するまでバイパス弁33を閉じ、地上ポンプ14を停止するようにバイパス弁33及び地上ポンプ14を制御する。
そして、地上制御装置94は、第2レベルセンサ42で検出される第2レシーバ12の液面レベルが規定の液面レベルに到達したと判断すると、バイパス弁33を開き、地上ポンプ14による最低流量を確保した状態で地上ポンプ14の運転を継続するよう、バイパス弁33及び地上ポンプ14を制御する。
【0034】
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、地下制御装置92は、土壌凍結装置1の運転開始後、第1レベルセンサ41で検出される第1レシーバ11の液面レベルが規定の液面レベルに到達するまで調節弁31を規定の開度で開くように調節弁31を制御する。
そして、地下制御装置92は、第1レベルセンサ41で検出される第1レシーバ11の液面レベルが規定の液面レベルに到達したと判断すると、該液面レベルが規定の範囲内に収まるように調節弁31の開度をフィードバック制御により制御する。
【0035】
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、地下制御装置92は、土壌凍結装置1の運転開始後、第1レベルセンサ41で検出される第1レシーバ11の液面レベルが規定の液面レベルに到達するまで地下ポンプ13を停止するように地下ポンプ13を制御する。
そして、地下制御装置92は、第1レベルセンサ41で検出される第1レシーバ11の液面レベルが規定の液面レベルに到達したと判断すると、例えば以下で説明するように、圧力センサ44で検出される第1レシーバ11内の圧力、及び圧力センサ45で検出される地下ポンプ13の吐出圧力に基づいて地下ポンプ13の運転及び停止するように地下ポンプ13を制御する。
【0036】
例えば土壌凍結の開始後の比較的早い時期には、凍結管15の周囲の土壌9の温度が比較的高いため過負荷になり易く、第1レシーバ11内の圧力が上昇し易い。
そこで、地下制御装置92は、圧力センサ44で検出される第1レシーバ11内の圧力が規定の圧力範囲を超えた場合、地下ポンプ13を停止するように地下ポンプ13を制御し、その後、圧力センサ44で検出される第1レシーバ11内の圧力が規定の閾値を下回ると地下ポンプ13を運転するように地下ポンプ13を制御する。
【0037】
例えば第1レシーバ11の液面レベルが不所望に低下して地下ポンプ13がキャビテーションを起こしてしまうと、圧力センサ44で検出される第1レシーバ11内の圧力と、圧力センサ45で検出される地下ポンプ13の吐出圧力との差圧が低下する。
そこで、地下制御装置92は、圧力センサ44で検出される第1レシーバ11内の圧力と、圧力センサ45で検出される地下ポンプ13の吐出圧力との差圧が規定値を下回ると、地下ポンプ13を停止するように地下ポンプ13を制御し、その後、第1レベルセンサ41で検出される第1レシーバ11の液面レベルが規定の液面レベルに到達したと判断すると、地下ポンプ13を運転するように地下ポンプ13を制御する。
【0038】
このように、
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、地上制御装置94は、地上7に設置された制御対象の装置である冷凍機5や地上ポンプ14、バイパス弁33を制御し、地下制御装置92は、地下空間8内に配置された制御対象の装置である調節弁31や地下ポンプ13を制御する。
【0039】
(比較例について)
図3は、冷媒供給システムの比較例としての土壌凍結装置の全体構成図である。なお、
図3では、土壌凍結装置1Xの制御に関する構成の記載を省略している。
図3に示す土壌凍結装置1Xは、
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1と同様に一次冷媒循環系統3を有する冷凍機5と、一次冷媒循環系統3と熱交換器4を介して接続される二次冷媒循環系統10Xとを備えている。
図3に示す土壌凍結装置1Xに係る二次冷媒循環系統10Xでは、
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1と同様に冷媒(二次冷媒)は、例えばCO
2冷媒である。
【0040】
図3に示す二次冷媒循環系統10Xには、二次冷媒循環系統10Xの冷媒循環路20Xに、凍結管15と、複数の凍結管15に供給される冷媒を貯留する、地上7に配置された地上レシーバ12Xと、冷凍機5で液化された冷媒を後述する送りヘッダ17Xに送る送り配管21Xと、後述する戻りヘッダ19Xからガス及び液状の冷媒を地上レシーバ12Xに戻す戻り配管51Xとが設けられている。
図3に示す二次冷媒循環系統10Xには、地上レシーバ12Xに貯留された液状の冷媒を送りヘッダ17Xに供給するための、地上7に配置された送液ポンプ14X(以下、地上ポンプ14Xとも称する)と、複数の凍結管15に液状の冷媒を分配するための送りヘッダ17Xと、複数の凍結管15からガス及び液状の冷媒を集めるための戻りヘッダ19Xとが設けられている。
【0041】
(送り配管21X)
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、送り配管21Xは、地上7に配置された地上配管21aと、地下空間8に配置された地下配管21bと、地上配管21aと地下配管21bとを接続し、鉛直方向に延在する縦管21cとを含んでいる。
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、地上配管21aは、地上レシーバ12Xの液相部分と縦管21cの上端とを接続している。
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、地下配管21bは、縦管21cの下端と送りヘッダ17Xとを接続している。
【0042】
(戻り配管51X)
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、戻り配管51Xは、地下空間8に配置された地下配管51bと、地上7に配置された地上配管51aと、地下配管51bと地上配管51aとを接続し、鉛直方向に延在する縦管51cとを含んでいる。
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、地下配管51bは、戻りヘッダ19Xと縦管51cの下端とを接続している。
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、地上配管51aは、縦管51cの上端と地上レシーバ12Xの気相部分とを接続している。
【0043】
(幾つかの実施形態に係る冷媒供給システムと比較例との比較)
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、戻りヘッダ19Xからガス状及び液状の冷媒が地上レシーバ12Xに戻ることとなる。そのため、
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、戻り配管51X内には、ガス状の冷媒だけでなく液状の冷媒も存在することとなる。
これに対し、
図1及び
図2に示す幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10では、ガスヘッダ19からのガス状及び液状の冷媒が一旦第1レシーバ11に回収された後、第1レシーバ11内の気相の冷媒が第2レシーバ12、又は冷凍機5の熱交換器4に戻ることとなる。そのため、
図1及び
図2に示す幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10では、戻り配管51内には、ガス状の冷媒だけが存在することとなる。
したがって、
図1及び
図2に示す幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10の戻り配管51内に存在する冷媒の量は、
図3に示す二次冷媒循環系統10Xの戻り配管51X内に存在する冷媒の量と比べて大幅に少なくなる。そのため、凍結管15と冷凍機5とが比較的離れている場合であっても冷媒の総量を抑制できる。
【0044】
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、凍結管15と地上レシーバ12Xとが比較的離れているため、冷却負荷の変動による影響が地上レシーバ12Xに表れ難くなる。そのため、例えば冷却負荷が大きくなった時に比較的早い段階で凍結管15への冷媒の供給量を減らすなどの対応がとり難く、地上レシーバ12Xの過度の圧力上昇を抑制し難くなる。
これに対し、
図1及び
図2に示す幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10では、第1レシーバ11を凍結管15の比較的近くに配置することで、冷却負荷の変動による影響が第1レシーバ11に表れ易くなる。これにより、例えば冷却負荷が大きくなった時に比較的早い段階で凍結管15への冷媒の供給量を減らすなどの対応がとり易くなるため、第1レシーバ11の過度の圧力上昇を抑制し易くなる。
【0045】
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、凍結管15が比較的地下の深い場所に設置されている場合、地上レシーバ12Xから供給される液状の冷媒の凍結管15における圧力は、地上レシーバ12Xと凍結管15との高さの差による圧力ヘッドの分だけ高くなる。そのため、
図3に示す二次冷媒循環系統10Xでは、凍結管15における冷媒の飽和圧力が上昇し、飽和温度も上昇してしまう。
その点、
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10によれば、第1レシーバ11が冷凍機5よりも低所に設置されており、上述したように戻り配管51はガス状の冷媒で満たされるため、送り配管21から第1レシーバ11への冷媒の流入を制御することで第1レシーバ11内の圧力が上記圧力ヘッドの影響を受けにくくすることができる。そのため、凍結管15における冷媒の飽和圧力の上昇を抑制し、飽和温度の上昇を抑制できる。
なお、
図1及び
図2に示す二次冷媒循環系統10では、上述したように第1レシーバ11に貯留される液状の冷媒の量は調節弁31で調節されることで、送り配管21から第1レシーバ11への冷媒の流入が制御される。
【0046】
(配管の断熱材について)
図4は、
図1に示した二次冷媒循環系統10における断熱材81の施工範囲の一例を示す図である。
図5は、
図1に示した二次冷媒循環系統10における断熱材81の施工範囲の他の一例を示す図である。
上述した
図1から
図3では、二次冷媒循環系統10、10Xにおける各配管の外周に設けた断熱材81の記載を省略していたが、例えば、
図1に示した土壌凍結装置1では、
図4に示すように断熱材81は、土壌9中の配管を除いて二次冷媒循環系統10の全域にわたって配管の外周に設けられているとよい。
これにより、二次冷媒循環系統10を流通する冷媒が二次冷媒循環系統10の周囲の雰囲気温度の影響を受け難くなるので、冷凍機5における負荷の上昇を低減できる。
【0047】
図5に示すように、幾つかの実施形態に係る土壌凍結装置1では、二次冷媒循環系統10における断熱材81は、戻り配管51の延在領域の少なくとも一部において、戻り配管51を覆う断熱材81が設けられていない断熱材非施工領域83を有していてもよい。
戻り配管51には、第1レシーバ11の気相部分からのガス状の冷媒が流通するため、戻り配管51の外周に断熱材81が設けられていないために戻り配管51を流通する冷媒の温度が上昇したとしても、冷凍機5における負荷の上昇は冷媒の顕熱の上昇分だけで済む。
一方で、冷凍機5側と第1レシーバ11との距離が長い場合、戻り配管51の上流側から下流側までの全域にわたって断熱材81を設けると、断熱材81の施工コストが比較的大きくなる。
【0048】
図5に示すように、幾つかの実施形態に係る土壌凍結装置1では、戻り配管51の延在領域の少なくとも一部において断熱材非施工領域83を設けることで、冷凍機5における負荷の上昇を比較的小さくしつつ、断熱材81の施工コストを抑制できる。
【0049】
例えば
図5に示す例では、地下空間8内における少なくとも一部の領域において断熱材非施工領域83を設けている。
地下空間8内の雰囲気温度は、季節によらず比較的安定しており、地下空間8内における少なくとも一部の領域において断熱材非施工領域83を設けても、戻り配管51を流通する冷媒の温度が過度に上昇することがない。
よって、
図5に示した一実施形態に係る土壌凍結装置1によれば、冷凍機5における負荷の上昇を一層小さくしつつ、断熱材81の施工コストを抑制できる。
【0050】
なお、地上7における戻り配管51である地上配管51aの延在領域の少なくとも一部において断熱材非施工領域83を設けてもよい。すなわち、
図5において断熱材非施工領域83を図示している範囲は一例であり、以下で説明するように
図5に示した範囲に限定されない。
【0051】
図1から
図5に示す例では、地下空間8は、横坑8Aと立坑8Bとを含んでいる。
例えば
図5に示す例では、戻り配管51は、横坑8A内における少なくとも一部の領域において、断熱材非施工領域83を有する。
横坑8Aの延在距離は、立坑8Bの延在距離よりも大きくなることが一般的である。また、横坑8Aの雰囲気温度は、横坑8Aの延在方向に沿った位置の影響を受け難くい上に一年を通して比較的安定している。
よって、幾つかの実施形態に係る土壌凍結装置1によれば、横坑8Aにおける戻り配管51の少なくとも一部の領域において断熱材非施工領域83を設けることで、比較的長い断熱材非施工領域83を確保し易くなるので、冷凍機5における負荷の上昇を比較的小さくしつつ、断熱材81の施工コストを一層抑制できる。
なお、断熱材非施工領域83は大きい方が断熱材81の施工コストを低減できるので、例えば
図5に示すように横坑8Aにおける戻り配管51の全域にわたって断熱材非施工領域83を設けてもよいが、横坑8Aにおける戻り配管51の一部の領域にだけ断熱材非施工領域83を設けてもよい。
【0052】
なお、立坑8Bにおける戻り配管51の延在領域の少なくとも一部において断熱材非施工領域83を設けてもよい。上述したように断熱材非施工領域83は大きい方が断熱材81の施工コストを低減できるので、例えば立坑8Bにおける戻り配管51の全域にわたって断熱材非施工領域83を設けてもよいし、横坑8A及び立坑8Bの全域、すなわち地下空間8内の戻り配管51の全域にわたって断熱材非施工領域83を設けてもよいし、地上配管51aの延在領域も含めて戻り配管51の上流側から下流側までの全域にわたって断熱材非施工領域83を設けてもよい。
なお、図示してはいないが、
図2に示した二次冷媒循環系統10において、上述したように断熱材非施工領域83を設けてもよい。
【0053】
ここで、断熱材非施工領域83の大きさと冷凍機5における負荷の上昇とについて発明者らが検討した結果の一例について説明する。
例えば、冷凍機5の冷凍能力が70kWであり、戻り配管51を流通するCO2冷媒の流通量が0.21kg/sec(11L/min)である場合に、断熱材非施工領域83の大きさの違い、すなわち戻り配管51が断熱材81で覆われておらずにむき出しになっている部分の戻り配管51の延在方向への距離の違いによる、冷媒の温度上昇と、該温度上昇に伴う冷凍機5の負荷の増分は次の通りである。
なお、第1レシーバ11の出口における戻り配管51内の冷媒温度が-44℃であり、断熱材非施工領域83の周囲の雰囲気温度が18℃であるものとする。
【0054】
断熱材非施工領域83の大きさが1mの場合、第2レシーバ12の入口における戻り配管51内の冷媒温度は-43℃であり、冷凍機5の負荷の増分は0.3kWである。
断熱材非施工領域83の大きさが10mの場合、第2レシーバ12の入口における戻り配管51内の冷媒温度は-32℃であり、冷凍機5の負荷の増分は2.4kWである。
断熱材非施工領域83の大きさが100mの場合、第2レシーバ12の入口における戻り配管51内の冷媒温度は12℃であり、冷凍機5の負荷の増分は10.7kWである。
断熱材非施工領域83の大きさが300mの場合、第2レシーバ12の入口における戻り配管51内の冷媒温度は18℃であり、冷凍機5の負荷の増分は11.9kWである。
【0055】
このように、発明者らが検討した結果の一例では、断熱材非施工領域83の大きさが200mの場合に、第2レシーバ12の入口における戻り配管51内の冷媒温度が断熱材非施工領域83の周囲の雰囲気温度と一致する。すなわち、上記の検討における条件下では、断熱材非施工領域83の大きさが300mを超えても配管51内の冷媒温度及び冷凍機5の負荷は、それ以上大きくならない。
【0056】
上述したように、断熱材非施工領域83は大きい方が断熱材81の施工コストを低減できるので、上記の検討結果を踏まえると、比較的温度が安定している横坑8A内で、断熱材非施工領域83を300m以上設けることで、断熱材81の施工コストを低減する効果がより大きくなる。
なお、横坑8A内で断熱材非施工領域83を300m以上設けるにあたって、断熱材非施工領域83は連続して300m以上設けるのではなく、延在する戻り配管51に沿って複数箇所に断続的に設けられていて、断熱材非施工領域83の戻り配管51に沿った距離の合計(複数箇所の断熱材非施工領域83の大きさの合計)が300m以上となるようにしてもよい。
【0057】
なお、送り配管21には、液相の冷媒が流れるため、送り配管21を流通している冷媒の温度が上昇すると冷媒の潜熱が奪われて気化してしまい、凍結管15への送液に影響を与えてしまうとともに、冷凍機5における負荷の上昇が比較的大きくなってしまう。
そのため、
図5に示すように、送り配管21は、送り配管21の上流側から下流側に至る全域にわたって送り配管21を覆う断熱材81が設けられているとよい。
これにより、冷凍機5における負荷の上昇を抑制できる。
【0058】
(幾つかの実施形態に係る冷媒供給システムについてのまとめ)
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)幾つかの実施形態に係る冷媒供給システム、すなわち
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1は、冷凍機5と、冷凍機5よりも低所に設置され、凍結管15に供給される冷媒を貯留する第1レシーバ11と、冷凍機5で液化された冷媒を第1レシーバ11に送る送り配管21と、第1レシーバ11の気相部分からガス状の冷媒を冷凍機5側に戻す戻り配管51と、を備える。
【0059】
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、第1レシーバ11を凍結管15の比較的近くに配置することで、第1レシーバ11と冷凍機5とが比較的離れていても戻り配管51内の冷媒がガス状の冷媒であるため、戻り配管51に液状の冷媒が存在する場合と比べて戻り配管51内の冷媒量を抑制できる。これにより、凍結管15と冷凍機5とが比較的離れている場合であっても冷媒の総量を抑制できる。
また、
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1によれば、第1レシーバ11を凍結管15の比較的近くに配置することで、冷却負荷の変動による影響が第1レシーバ11に表れ易くなる。これにより、例えば冷却負荷が大きくなった時に比較的早い段階で凍結管15への冷媒の供給量を減らすなどの対応がとり易くなるため、第1レシーバ11の過度の圧力上昇を抑制し易くなる。
【0060】
例えば冷凍機5が地上に設置され、凍結管15が比較的地下の深い場所に設置されている場合に、第1レシーバ11が冷凍機5と同様に地上に設置されていると、第1レシーバ11から供給される液状の冷媒の凍結管15における圧力は、第1レシーバ11と凍結管15との高さの差による圧力ヘッドの分だけ高くなる。そのため、凍結管15における冷媒の飽和圧力が上昇し、飽和温度も上昇してしまう。
その点、
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1によれば、第1レシーバ11が冷凍機5よりも低所に設置されており、戻り配管51にはガス状の冷媒で満たされるため、送り配管21から第1レシーバ11への冷媒の流入を制御することで第1レシーバ11内の圧力が上記圧力ヘッドの影響を受けにくくすることができる。そのため、凍結管15における冷媒の飽和圧力の上昇を抑制し、飽和温度の上昇を抑制できる。
なお、
図1及び
図2に示す土壌凍結装置1では、上述したように第1レシーバ11に貯留される液状の冷媒の量は調節弁31で調節されることで、送り配管21から第1レシーバ11への冷媒の流入が制御される。
【0061】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、第1レシーバ11よりも高所に配置され、第1レシーバ11に供給される冷媒を貯留する第2レシーバ12を備えていてもよい。
【0062】
上記(2)の構成によれば、第1レシーバ11における冷媒の液面を安定化し易くなる。
【0063】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、戻り配管51は、第1レシーバ11の気相部分からガス状の冷媒を第2レシーバ12に戻すための配管である地下配管51b、縦管51c、及び縦管51cの上端と第2レシーバ12の気相部分とを接続する配管52を含むとよい。
【0064】
上記(3)の構成によれば、第1レシーバ11を凍結管15の比較的近くに配置し、第2レシーバ12を冷凍機5の比較的近くに配置することで、第1レシーバ11と冷凍機5とが比較的離れていても、第1レシーバ11から第2レシーバ12に冷媒を戻すための配管(地下配管51b、縦管51c、及び配管52)内の冷媒がガス状の冷媒であるため、該配管に液状の冷媒が存在する場合と比べて該配管内の冷媒量を抑制できる。これにより、凍結管15と冷凍機5とが比較的離れている場合であっても冷媒の総量を抑制できる。
【0065】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、送り配管21は、第2レシーバ12の液相部分から液状の冷媒を第1レシーバ11に送るための配管であるポンプ配管23又はバイパス配管24、縦管21c、及び地下配管21bを含むとよい。
【0066】
上記(4)の構成によれば、第2レシーバ12に貯留された液状の冷媒を第1レシーバ11に供給できる。
【0067】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(4)の何れかの構成において、送り配管21(地下配管21b)に設けられていて、第1レシーバ11に貯留される液状の冷媒の液面高さを調節するための調節弁31を備えているとよい。
【0068】
上記(5)の構成によれば、第1レシーバ11に貯留される冷媒の液面高さが制御可能となるので、凍結管15に供給される冷媒の供給量を安定化できる。
また、送り配管21から第1レシーバ11への冷媒の流入が調節弁31で制御されるので、縦管21cの圧力ヘッドが第1レシーバ11の内部圧力に及ぼす影響を抑制できる。
【0069】
(6)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(5)の何れかの構成において、第1レシーバ11に貯留された液状の冷媒を凍結管15に供給するための送液ポンプ13を備えているとよい。
【0070】
上記(6)の構成によれば、凍結管15に供給される冷媒の供給量を安定的に確保できる。
【0071】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、冷凍機5で液化された冷媒が送り配管21を介して、且つ、ポンプ(送液ポンプ14)を介さずに、第1レシーバ11に供給可能に構成されていてもよい。すなわち、土壌凍結装置1において、
図1に示すようにバイパス配管24を設け、ポンプ(送液ポンプ14)を運転せずに液化された冷媒を第1レシーバ11に供給するようにしてもよく、
図2に示すように、地上配管21aによって熱交換器4と縦管21cの上端とを接続してもよい。
【0072】
上記(7)の構成によれば、第1レシーバ11に供給される冷媒を貯留するための他のレシーバが不要となり、冷媒の総量を減らすことができるとともに、装置構成が簡素化できる。
【0073】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、送り配管21は、鉛直方向に延在し、ガス状の冷媒と第1レシーバに供給される液状の冷媒とを貯留可能な縦管21cを含んでいてもよい。
【0074】
上記(8)の構成によれば、縦管21cを第1レシーバ11に供給される冷媒を貯留するためのレシーバとして利用できる。これにより、第1レシーバ11に供給される冷媒を貯留するための他のレシーバが不要となり、冷媒の総量を減らすことができるとともに、装置構成が簡素化できる。
【0075】
(9)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(6)の何れかの構成において、送り配管21(地下配管21b)に設けられていて、第1レシーバ11に貯留された液状の冷媒の液面高さを調節するための調節弁31と、少なくとも調節弁31を制御するための制御装置90(地下制御装置92)とを備えているとよい。冷凍機5は、地上に設置され、第1レシーバ11、及び、制御装置(地下制御装置92)は、地下に設けられているとよい。
【0076】
上記(9)の構成によれば、例えば地下の第1レシーバ11と、地上の冷凍機5とが比較的離れている場合、制御装置(地下制御装置92)を地上の冷凍機5の近くに設置するよりも、地下の第1レシーバ11の近くに設置することで、制御装置(地下制御装置92)と制御装置(地下制御装置92)による制御対象である調節弁31とを接続する配線の長さを短くすることができる。これにより、制御装置(地下制御装置92)による制御対象である調節弁31の動作の確実性を向上できる。
【0077】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、第1レシーバ11は、地下空間8内に配置されているとよい。戻り配管51は、地下空間8内における少なくとも一部の領域において、戻り配管51を覆う断熱材81が設けられていない断熱材非施工領域83を有するとよい。
【0078】
上記(10)の構成によれば、地下空間8内における少なくとも一部の領域において断熱材非施工領域83を設けることで、冷凍機5における負荷の上昇を比較的小さくしつつ、断熱材81の施工コストを抑制できる。
【0079】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の構成において、地下空間8は、横坑8Aを含んでいてもよい。戻り配管51は、横坑8A内における少なくとも一部の領域において、断熱材非施工領域83を有するとよい。
【0080】
上記(11)の構成によれば、横坑8Aにおける少なくとも一部の領域において断熱材非施工領域83を設けることで、比較的長い断熱材非施工領域83を確保し易くなるので、冷凍機5における負荷の上昇を比較的小さくしつつ、断熱材81の施工コストを一層抑制できる。
【0081】
(12)幾つかの実施形態では、上記(10)又は(11)の構成において、送り配管21は、送り配管21の上流側から下流側に至る全域にわたって送り配管21を覆う断熱材81が設けられているとよい。
【0082】
上記(12)の構成によれば、送り配管21の上流側から下流側に至る全域にわたって断熱材81を設けることで冷凍機5における負荷の上昇を抑制できる。
【0083】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した幾つかの実施形態に係る冷媒供給システムでは、冷却対象は土壌9であった。しかし、幾つかの実施形態に係る冷媒供給システムは、土壌以外の冷却や冷凍等を行うための他の冷却負荷を冷却するものであってもよい。
また、例えば、上述した幾つかの実施形態では、第1レシーバ11は冷凍機5よりも低所である地下空間8に設けられていた。しかし、第1レシーバ11は、冷凍機5から比較的離れた場所に設置されるのであれば、冷凍機5と同様に地上に設けてもよい。すなわち、冷凍機5から冷却負荷まで冷媒を比較的長距離輸送する必要がある場合、第1レシーバ11は、冷却負荷に比較的近い地上に設けてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 土壌凍結装置
4 熱交換器
5 冷凍機
7 地上
8 地下空間
8A 横坑
8B 立坑
10 二次冷媒循環系統
11 第1レシーバ
12 第2レシーバ
13 送液ポンプ(地下ポンプ)
14 送液ポンプ(地上ポンプ)
15 土壌凍結管(凍結管)
21 送り配管
21a 地上配管
21b 地下配管
21c 縦管
23 ポンプ配管
24 バイパス管
31 調節弁
33 バイパス弁
43 下部圧力センサ
48 上部圧力センサ
51 戻り配管
51a 地上配管
51b 地下配管
51c 縦管
52 配管
81 断熱材
83 断熱材非施工領域
90 制御装置
92 地下制御装置