(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100749
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】バッテリの電気化学モデルを用いてバッテリの内部状態を推定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/367 20190101AFI20240719BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20240719BHJP
G01R 31/385 20190101ALI20240719BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240719BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01R31/367
G01R31/382
G01R31/385
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003939
(22)【出願日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】10-2023-0006305
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】田 昌潤
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA07
2G216CB11
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA09
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】バッテリの電気化学モデルを用いてバッテリの内部状態を推定する方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明によるバッテリ内部状態推定方法は、バッテリの少なくとも1つのパラメータを測定することにより生成されるデータに基づき、バッテリの内部状態を推定するプロセッサを用いてバッテリの内部状態を推定する方法において、少なくとも1つのパラメータを獲得する段階、及び少なくとも1つのパラメータに基づき、バッテリの正極電極及び負極電極に係わる単一粒子モデルに基づいて算出された電気化学モデルを用いてバッテリの内部状態を推定する段階を含み、電気化学モデルは、バッテリの正極電極及び負極電極のリチウムイオンの拡散差を考慮し、正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算し、正極電極と負極電極との内部リチウムイオン濃度差を用いてバッテリの内部状態を推定するモデルである、バッテリ内部状態推定方法を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの少なくとも1つのパラメータを測定することで生成されるデータに基づいてバッテリの内部状態を推定するプロセッサを用いてバッテリの内部状態を推定する方法において、
前記少なくとも1つのパラメータを獲得する段階と、
前記少なくとも1つのパラメータに基づき、前記バッテリの正極電極及び負極電極に係わる単一粒子モデルに基づいて算出された電気化学モデルを用いて前記バッテリの内部状態を推定する段階と、を含み、
前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極のリチウムイオンの拡散差を考慮し、前記正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算し、前記正極電極と負極電極との内部リチウムイオン濃度差を用いて前記バッテリの内部状態を推定するモデルである、バッテリ内部状態推定方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記バッテリの電圧、電流及び温度を含む、請求項1に記載のバッテリ内部状態推定方法。
【請求項3】
前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極に係わる前記単一粒子モデルを、それぞれ複数層を有する球に離散化し、前記バッテリの正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算するモデルである、請求項1に記載のバッテリ内部状態推定方法。
【請求項4】
前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極の濃度分布による拡散係数を用いて前記バッテリの正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算するモデルであり、
前記拡散係数は、前記バッテリの正極電極及び負極電極の前記単一粒子モデルの前記複数層で各層の濃度及び温度によって決定される、請求項3に記載のバッテリ内部状態推定方法。
【請求項5】
前記電気化学モデルは、前記バッテリの測定電圧と前記バッテリの開放電圧との差である過電位の値に基づいてバッテリの電圧を推定するモデルである、請求項3に記載のバッテリ内部状態推定方法。
【請求項6】
前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極の前記単一粒子モデルの前記複数層で最外郭層のリチウムイオン濃度に係わる情報、前記バッテリの正極電極及び負極電極の平均リチウムイオン濃度に係わる情報、及び前記バッテリの電圧降下情報を用いて予測過電位の値を算出し、
前記予測過電位の値と既定の過電位比例係数を用いて前記過電位の値を算出するモデルである、請求項5に記載のバッテリ内部状態推定方法。
【請求項7】
前記既定の過電位比例係数は、前記予測過電位の値と前記過電位の値との関係をバトラー・ボルマー方程式でカーブフィッティングを用いて模写する実験値である、請求項6に記載のバッテリ内部状態推定方法。
【請求項8】
コンピュータ装置を用いて請求項1~7のうちいずれか1項の方法を実行させるために記録媒体に保存された、コンピュータプログラム。
【請求項9】
バッテリの少なくとも1つのパラメータを測定することで生成されるデータを保存するメモリと、
前記少なくとも1つのパラメータに基づき、前記バッテリの正極電極及び負極電極に係わる単一粒子モデルに基づいて算出された電気化学モデルを用いて前記バッテリの内部状態を推定するプロセッサと、を含み、
前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極のリチウムイオンの拡散差を考慮して前記正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算し、前記正極電極と負極電極との内部リチウムイオン濃度差を用いて前記バッテリの内部状態を推定するモデルである、バッテリ内部状態推定装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記バッテリの電圧、電流及び温度を含む、請求項9に記載のバッテリ内部状態推定装置。
【請求項11】
前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極に係わる前記単一粒子モデルを、それぞれ複数層を有する球に離散化し、前記バッテリの正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算するモデルである、請求項9に記載のバッテリ内部状態推定装置。
【請求項12】
前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極の濃度分布による拡散係数を用いて前記バッテリの正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算するモデルであり、
前記拡散係数は、前記バッテリの正極電極及び負極電極の前記単一粒子モデルの前記複数層で各層の濃度及び温度によって決定される、請求項11に記載のバッテリ内部状態推定装置。
【請求項13】
前記電気化学モデルは、前記バッテリの測定電圧と前記バッテリの開放電圧との差である過電位の値に基づいてバッテリの電圧を推定するモデルである、請求項11に記載のバッテリ内部状態推定装置。
【請求項14】
前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極の前記単一粒子モデルの前記複数層で最外郭層のリチウムイオン濃度に係わる情報、前記バッテリの正極電極及び負極電極の平均リチウムイオン濃度に係わる情報、及び前記バッテリの電圧降下情報を用いて予測過電位の値を算出し、
前記予測過電位の値と既定の過電位比例係数とを用いて、前記過電位の値を算出するモデルである、請求項13に記載のバッテリ内部状態推定装置。
【請求項15】
前記既定の過電位比例係数は、前記予測過電位の値と前記過電位の値との関係をバトラー・ボルマー方程式でカーブフィッティングを用いて模写する実験値である、請求項14に記載のバッテリ内部状態推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの電気化学モデルを用いてバッテリの内部状態を推定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリの内部状態推定は、バッテリ管理及び制御において最も重要な考慮要素の1つである。例えば、充電状態(SOC: State Of Charge)、健康状態(SOH: State Of Health)及び出力状態(StateOfPower)などに係わる推定は、バッテリの性能をリアルタイムでモニタリングし、保持するのに非常に重要である。
【0003】
バッテリの内部状態推定において、リチウムイオン二次電池を数値的にモデル化してリチウムイオン二次電池でなされる移動現象を定量的かつ理論的な方式で理解しようとする試みがされてきた。また、最近では、バッテリ研究においてSPM(single particle model)のような電気化学モデルが用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、バッテリの電気化学モデルを用いてバッテリの内部状態を推定する方法及び装置を提供することである。しかし、そのような課題は、一例示に過ぎず、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一側面によるバッテリ内部状態の推定方法は、バッテリの少なくとも1つのパラメータを測定することで生成されるデータに基づいてバッテリの内部状態を推定するプロセッサを用いてバッテリの内部状態を推定する方法において、前記少なくとも1つのパラメータを獲得する段階、及び前記少なくとも1つのパラメータに基づき、前記バッテリの正極電極及び負極電極に係わる単一粒子モデルに基づいて算出された電気化学モデルを用いて前記バッテリの内部状態を推定する段階を含み、前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極のリチウムイオンの拡散差を考慮し、前記正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算し、前記正極電極と負極電極との内部リチウムイオン濃度差を用いて前記バッテリの内部状態を推定するモデルである、バッテリ内部状態推定方法を提供する。
【0006】
一例によれば、前記少なくとも1つのパラメータは、前記バッテリの電圧、電流及び温度を含みうる。
【0007】
他の例によれば、前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極に係わる前記単一粒子モデルを、それぞれ複数層を有する球(sphere)に離散化(discretization)し、前記バッテリの正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算するモデルでもある。
【0008】
さらに他の例によれば、前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極の濃度分布による拡散係数(diffusion coefficient)を用いて前記バッテリの正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算するモデルであり、
前記拡散係数は、前記バッテリの正極電極及び負極電極の前記単一粒子モデルの前記複数層で各層の濃度及び温度によって決定されうる。
【0009】
さらに他の例によれば、前記電気化学モデルは、前記バッテリの測定電圧と前記バッテリの開放電圧(open-circuit voltage)との差である過電位(overpotential)の値に基づいてバッテリの電圧を推定するモデルでもある。
【0010】
さらに他の例によれば、前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極の前記単一粒子モデルの前記複数層において最外郭層のリチウムイオン濃度に係わる情報、前記バッテリの正極電極及び負極電極の平均リチウムイオン濃度に係わる情報、及び前記バッテリの電圧降下情報を用いて予測過電位の値を算出し、
前記予測過電位の値と既定の過電位比例係数を用いて前記過電位の値を算出するモデルでもある。
【0011】
さらに他の例によれば、前記既定の過電位比例係数は、前記予測過電位の値と前記過電位の値との関係をバトラー・ボルマー方程式(BulterVolmer equation)でカーブフィッティング(curve fitting)を用いて模写する実験値でもある。
【0012】
上述した技術的課題を達成するための技術的手段として、コンピューティング装置を用いて上述した方法を実行させるために記録媒体に保存されたコンピュータプログラムが提供される。
【0013】
上述した技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一側面によるバッテリ内部状態推定装置は、バッテリの少なくとも1つのパラメータを測定することで生成されるデータを保存するメモリ、及び前記少なくとも1つのパラメータに基づき、前記バッテリの正極電極及び負極電極に係わる単一粒子モデルに基づいて算出された電気化学モデルを用いて前記バッテリの内部状態を推定するプロセッサを含み、前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極のリチウムイオンの拡散差を考慮し、前記正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算し、前記正極電極と負極電極との内部リチウムイオン濃度差を用いて前記バッテリの内部状態を推定するモデルである、バッテリ内部状態推定装置を提供する。
【0014】
一例によれば、前記少なくとも1つのパラメータは、前記バッテリの電圧、電流及び温度を含みうる。
【0015】
他の例によれば、前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極に係わる前記単一粒子モデルを、それぞれ複数層を有する球(sphere)に離散化(discretization)し、前記バッテリの正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算するモデルでもある。
【0016】
さらに他の例によれば、前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極の濃度分布による拡散係数(diffusion coefficient)を用いて前記バッテリの正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算するモデルであり、
前記拡散係数は、前記バッテリの正極電極及び負極電極の前記単一粒子モデルの前記複数層において各層の濃度及び温度によって決定されうる。
【0017】
さらに他の例によれば、前記電気化学モデルは、前記バッテリの測定電圧と前記バッテリの開放電圧(open-circuit voltage)との差である過電位(overpotential)の値に基づいてバッテリの電圧を推定するモデルでもある。
【0018】
さらに他の例によれば、前記電気化学モデルは、前記バッテリの正極電極及び負極電極の前記単一粒子モデルの前記複数層において最外郭層のリチウムイオン濃度に係わる情報、前記バッテリの正極電極及び負極電極の平均リチウムイオン濃度に係わる情報、及び前記バッテリの電圧降下情報を用いて予測過電位の値を算出し、前記予測過電位の値と既定の過電位比例係数とを用いて前記過電位の値を算出するモデルでもある。
【0019】
さらに他の例によれば、前記既定の過電位比例係数は、前記予測過電位の値と前記過電位の値との関係をバトラー・ボルマー方程式(BulterVolmer equation)でカーブフィッティング(curve fitting)を用いて模写する実験値でもある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バッテリの正極と負極の活物質を1つの球体で表現した単一粒子モデル(single particle model, SPM)に基づき、既存の短所であった、電流が大きい領域で電解質のリチウムイオン濃度によって発生するセル電圧模写の限界を克服しつつ、バッテリの内部状態を保持することができる。もちろん、そのような効果によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例によるバッテリパックを概略的に示す図面である。
【
図2】本発明の一実施例によるバッテリの単一粒子モデル(single particle model, SPM)を説明するための例示的な図面である。
【
図3】本発明の一実施例によるバッテリのリチウムイオン濃度の変化を説明するための図面である。
【
図4】本発明の一実施例によるバッテリの単一粒子モデルを離散化する方法を説明するための図面である。
【
図5】本発明の一実施例によるバトラー・ボルマー方程式(BulterVolmer equation)を説明するための図面である。
【
図6】本発明の一実施例によるバッテリ内部状態推定方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に基づいて本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施可能なように多様な実施例を詳細に説明する。しかし、本開示の技術的思想は、多様な形態に変形されて具現されうるので、本明細書において説明する実施例に制限されない。本明細書に開示された実施例を説明するに当たり、関連した公知技術を具体的に説明することが、本開示の技術的思想の要旨を曖昧にしうると判断される場合、その公知技術に係わる具体的な説明を省略する。同一または類似の構成要素は、同じ参照番号を付し、それに係わる重複説明は省略する。
【0023】
本明細書においてある要素が他の要素と「連結」されていると記述されるとき、これは、「直接連結」されている場合のみならず、その中間に他の要素を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。ある要素が他の要素を「含む」とするとき、これは、特に反対となる記載がない限り、他の要素以外にさらに他の要素を排除するものではなく、さらに他の要素をさらに含むことを意味する。
【0024】
一部実施例は、機能的なブロック構成及び多様な処理段階によって説明されうる。そのような機能ブロックの一部または全部は、特定機能を行う多様な個数のハードウェア及び/またはソフトウェア構成によって具現されうる。例えば、本開示の機能ブロックは、1つ以上のマイクロプロセッサによって具現されるか、所定の機能のための回路構成によって具現されうる。本開示の機能ブロックは、多様なプログラミングまたはスクリプト言語によって具現されうる。本開示の機能ブロックは、1つ以上のプロセッサで実行されるアルゴリズムによって具現される。本開示の機能ブロックの遂行する機能は、複数の機能ブロックによって遂行されるか、本開示において複数の機能ブロックが遂行する機能は、1つの機能ブロックによって遂行されうる。また、本開示は、電子的な環境設定、信号処理、及び/または、データ処理のために、従来技術を採用することができる。
【0025】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリパックを概略的に示す図面である。
【0026】
図1を参照すれば、バッテリパック100は、バッテリ110、プロセッサ150、メモリ160、電圧測定部120、電流測定部130、及び温度測定部140を含みうる。
【0027】
バッテリ110は、少なくとも1つのバッテリセルを含み、バッテリ110は、充電可能な二次電池でもある。例えば、バッテリ110は、リチウム-イオン電池(lithium ion battery)を含みうる。
【0028】
バッテリ110に含まれるバッテリセルの個数及び連結方式は、バッテリパック100に要求される電力量及び電圧などに基づいて決定されうる。例えば、バッテリセルは、互いに並列に連結されるか、直列及び並列に連結されうる。
図1には、単に概念的な目的により、バッテリパック100が1つのバッテリ110を含むように図示されているが、直列、並列または直列と並列に連結される複数のバッテリ110を含みうる。バッテリ110は、ただ1つのバッテリセルを含みうる。
【0029】
バッテリ110は、それぞれ複数のバッテリセルによって構成される複数のバッテリモジュールを含みうる。また、バッテリパック100は、電気負荷または充電装置が連結される1対のパック端子101、102を含みうる。
【0030】
本明細書において、バッテリの内部状態を推定する対象としてバッテリは、バッテリ110でもあり、バッテリ110に含まれる少なくとも1つのバッテリセルそれぞれでもある。本明細書においては、1つのバッテリの内部状態を推定する方法について説明するが、バッテリ110に含まれる複数のバッテリセルそれぞれの内部状態を推定する方法にも同一に適用されうる。
【0031】
本発明の一実施例によるバッテリパックは、スイッチを含みうる。スイッチは、バッテリ110とパック端子101、102のうち1つ(例えば、101)の間に連結されうる。スイッチは、プロセッサ150によって制御されうる。
図1に図示されていないが、バッテリパック100は、バッテリ保護回路、ヒューズ、電流センサーなどをさらに含みうる。
【0032】
本発明の一実施例によるバッテリの内部状態を推定する装置は、プロセッサ150及びメモリ160を含む。
【0033】
プロセッサ150は、バッテリの内部状態を推定する装置の全般的な動作を制御する。例えば、プロセッサ150は、上述した動作を遂行するために、当業界に知られたプロセッサ、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム及び/または、データ処理装置などを選択的に含む形態によっても具現される。
【0034】
プロセッサ150は、基本的な算術、ロジック及び入出力演算を遂行し、例えば、メモリ160に保存されたプログラムコードを実行することができる。プロセッサ150は、データをメモリ160に保存するか、メモリ160に保存されたデータをローディングすることができる。
【0035】
メモリ160は、プロセッサ150が判読可能な記録媒体であって、RAM、ROM及びディスクドライブのような非消滅性大容量記録装置(permanent mass storage device)を含みうる。メモリ160には、運用体制(OS)と少なくとも1つのプログラムまたはアプリケーションコードが保存されうる。メモリ160には、本発明の一実施例によってバッテリの内部状態を推定するためのプログラムコードが保存されうる。例えば、メモリ160には、バッテリ110の少なくとも1つのパラメータを測定することで生成されるデータが保存されうる。また、メモリ160には、バッテリ110の固有容量が保存されうる。また、メモリ160には、バッテリ110のSOC-OCV(Open Circuit Voltage)データが保存されうる。例えば、前記データは、バッテリの充放電電流、端子電圧及び/または温度を含みうる。また、前記データは、バッテリの放電率を含みうる。メモリ160には、バッテリ110の少なくとも1つのパラメータを測定することで生成されるデータを用いてバッテリのSOCを推定するためのプログラムコード、SOC-OCVデータが保存されうる。バッテリ110の少なくとも1つのパラメータは、バッテリ110の端子電圧、充放電電流、及び/または周辺温度のような要素(component)または変数(variable)を意味する。
【0036】
バッテリの内部状態を推定する装置は、バッテリ110の少なくとも1つのパラメータを測定するための電圧測定部120、電流測定部130、及び温度測定部140をさらに含みうる。バッテリの内部状態を推定する装置は、車両の電子制御装置、充電装置のコントローラのような他の装置と通信するための通信モジュールをさらに含みうる。
【0037】
電圧測定部120は、バッテリ110の電圧を測定するように構成されうる。例えば、
図1の構成に図示されたように、電圧測定部120は、バッテリ110の両端と電気的に連結されうる。また、電圧測定部120は、電気的信号を送受信するように、プロセッサ150と電気的に連結されうる。また、電圧測定部120は、プロセッサ150の統制下に、時間間隔を置いてバッテリ110の両端電圧を測定し、測定された電圧の大きさを示す信号をプロセッサ150に出力することができる。この際、プロセッサ150は、電圧測定部120から出力される信号からバッテリ110の電圧を決定しうる。例えば、電圧測定部120は、当業界で一般的に使用される電圧測定回路を用いて具現されうる。
【0038】
また、電流測定部130は、バッテリの電流を測定するように構成されうる。例えば、
図1の構成に図示されたように、電流測定部130は、バッテリ110の充放電経路上に備えられた電流センサーと電気的に連結されうる。また、電流測定部130は、電気的信号を送受信可能なようにプロセッサ150と電気的に連結されうる。また、電流測定部130は、プロセッサ150の統制下に、時間間隔を置いてバッテリ110の充電電流または放電電流の大きさを反復測定し、測定された電流の大きさを示す信号をプロセッサ150に出力することができる。この際、プロセッサ150は、電流測定部130から出力される信号から電流の大きさを決定することができる。例えば、電流センサーは、当業界で一般的に使用されるホールセンサーまたはセンス抵抗を用いて具現されうる。
【0039】
温度測定部140は、バッテリの温度を測定するように構成されうる。例えば、
図1の構成に図示されたように、温度測定部140は、バッテリ110と連結されてバッテリ110に備えられた二次電池の温度を測定することができる。また、温度測定部140は、電気的信号を送受信可能なようにプロセッサ150と電気的に連結されうる。また、温度測定部140は、時間間隔を置いて二次電池の温度を反復測定し、測定された温度の高さを示す信号をプロセッサ150に出力することができる。この際、プロセッサ150は、温度測定部140から出力される信号から二次電池の温度を決定することができる。例えば、温度測定部140は、当業界で一般的に使用される熱電対(thermocouple)を用いて具現されうる。
【0040】
また、プロセッサ150は、電圧測定部120、電流測定部130、及び温度測定部140から受信したバッテリ110に係わる電圧測定値、電流測定値及び温度測定値のうち少なくとも1つ以上を用いて、バッテリ110の内部状態を推定することができる。例えば、プロセッサ150は、バッテリ110の充電状態(SOC: State Of Charge)を推定することができる。ここで、SOCは、0%~100%範囲でバッテリ110の残存量と対応する数値に算出されうる。
【0041】
本発明の一側面において、プロセッサ150は、バッテリ110の充放電電流を積算してバッテリ110のSOCを推定することができる。ここで、バッテリ110の充電または放電が始まるとき、充電状態の初期値は、充電または放電が始まる前に測定したバッテリ110の開放電圧(OCV: Open Circuit Voltage)を用いて決定することができる。そのために、プロセッサ150は、開放電圧別に充電状態を定義したSOC-OCVデータに基づき、SOC-OCVデータからバッテリ110の開放電圧に対応する充電状態をマッピングしうる。
【0042】
本発明の他の側面において、プロセッサ150は、拡張カルマンフィルタを用いてバッテリ110のSOCを推定することができる。拡張カルマンフィルタ(Extended Kalman filter)は、二次電池の電圧、電流及び温度を用いて二次電池の充電状態を適応的に推定する数学的アルゴリズムを言う。
【0043】
バッテリ110のSOCは、前述した電流積算法または拡張カルマンフィルタ以外にも二次電池の電圧、電流及び温度を選択的に活用して充電状態を推定することができる他の公知の方法によっても決定されうる。
【0044】
図2は、本発明の一実施例によるバッテリの単一粒子モデル(single particle model, SPM)を説明するための例示的な図面である。また、
図3は、本発明の一実施例によるバッテリのリチウムイオン濃度の変化を説明するための図面である。
【0045】
図2及び
図3を参照すれば、バッテリの負極は、バッテリ充電時、リチウムイオン(Li-ion)がインターカレーション(intercalation)されて最外郭から濃度が上昇し、逆に、正極は、リチウムイオン(Li-ion)が抜け出つつ、最外郭から濃度が低くなる。ここで、バッテリの単一粒子モデル(Single particlemodel)の正極と負極に印加される電流情報(境界条件(boundary condition))は、同一なので、単一粒子モデル(SPM)内部の正極から抜け出たリチウムイオン(Li-ion)量と負極内部に入り込まれたリチウムイオン(Li-ion)量は同一である。
【0046】
また、バッテリの負極の充電されたリチウムイオン(Li-ion)濃度を単一粒子モデル(SPM)に入りうる最大濃度であるC
s,maxで除算して正規化(normalization)させれば、SOC(State Of Charge)になる。但し、バッテリの正極では、リチウムイオン(Li-ion)が抜け出すので、SOCが高くなるほど、濃度が低くなる形態に模写されねばならないが、
図3に図示されたように、本発明では、バッテリの正極でも、リチウムイオン(Li-ion)の流出量を基準に定義し、充電が多くなるほど、リチウムイオン(Li-ion)の流出量が多くなるとも見られるので、負極と同一であると見なされうる。すなわち、バッテリの負極では、濃度が増加量を基準として定義し、バッテリの正極では、濃度減少量を基準としてC
sを定義しうる。ここで、C
sは、リチウムイオン濃度を示し、C
s,pは、正極電極リチウムイオン濃度(mol m
-3)を示し、C
s,nは、負極電極リチウムイオン濃度(mol m
-3)を示しうる。
【0047】
例えば、バッテリの正極は、LiCoO
2、バッテリの負極は、Cからなるバッテリを仮定する場合、充電時にSOCが0%から100%になるとき、負極では、Li
xC
6がx=0からx=1に大きくなり、バッテリの正極では、Li
yCoO
2のy=1からy=0に減少する。本発明の単一粒子モデル(SPM)では、電解液にリチウムイオン(Li-ion)濃度を考慮せず、正極と負極のリチウムイオン(Li-ion)濃度の総和は保存されるので、y=1-xと示しうる。したがって、x側面で正極と負極とを展開すれば、同じ数式を正極と負極との拡散(diffusion)差のみを考慮すれば良い。また、単一粒子モデルで使用する具体構造内の平均濃度を計算すれば、正極と負極に印加される電流が同一なので、平均値である
【数1】
と
【数2】
の値は、SOCと同一である。ここで、
【数3】
は、正極電極の平均リチウム濃度(mol m
-3)を示し、
【数4】
は、負極電極の平均リチウム濃度(mol m
-3)を示しうる。
【0048】
また、バッテリの正極と負極それぞれの拡散(diffusion)程度は異なるので、多様なSOC、温度によって拡散差が広くなり、セル電圧や単一粒子(Single particle)内部濃度勾配差が示し、それを拡張して利用すれば、アノード・セパレータ(anode-separator)部位の電解質の濃度や電位を予測するのに使用することができる。
【0049】
図4は、本発明の一実施例によるバッテリの単一粒子モデルを離散化する方法を説明するための図面である。
【0050】
図4を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリの正極電極及び負極電極に係わる単一粒子モデルについて複数層を有する球(sphere)に離散化(discretization)された図面が図示されている。
【0051】
【数5】
【数6】
ここで、C
s,pは、正極電極リチウムイオン濃度(mol m
-3)を示し、C
s,nは、負極電極リチウムイオン濃度(mol m
-3)を示す。また、D
s,pは、正極電極粒子の拡散係数(m
2s
-1)を示し、D
s,nは、負極電極粒子の拡散係数(m
2s
-1)を示す。
【0052】
例えば、
図4に図示されたように、C
s,pC
s,nそれぞれに対して前記数式1と数式2の数式を展開してバッテリの内部状態(state)を推定するとき、バッテリの単一粒子モデルは、N層の層(layer)を有する球(sphere)に分けられ、それぞれ下記数式3~数式7のように離散化(discretization)されうる。具体的に、数式1及び2が数式3のように離散化され、数式3を解くためには、層(layer)の両端における境界条件(boundary condition)を確認せねばならない。また、最初の層(layer)ではさらに内側へ拡散が展開され得ないので、数式4のように、N番目層(layer)(最外郭層(layer))での球外部の境界条件(boundary conditon)によって濃度が異なるので、数式5のような表記が可能である。すなわち、外部から流入される電流と容量の関係によって数式6の関係が影響を及ぼすので、数式6を数式5に代入すれば、数式7で表現されうる。
【0053】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
ここで、Iは、バッテリ電流(A)を示し、Rは、電極粒子の半径(m)を示し、Aは、電極の面積(m
2)、δは、電極の厚さ(m)、Fは、ファラデー定数(C/mol)、εは、活物質の体積分率を示す。
【0054】
前記数式1と数式2は、数式3~数式7のように離散化(discretization)して正極及び負極それぞれに対して数式が展開されうる。また、Ds,rkは、正極と負極の濃度分布による拡散係数(diffusion coefficient)であり、当該位置の濃度と温度によって決定される値である。
【0055】
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
ここで、R
oは、抵抗(Ohm)を示し、Tは、バッテリの温度(℃またはK)を示し、OCPは、開放電位(open-circuit potential)を示し、OCP
pは、正極電極のOCP、OCP
nはm負極電極のOCPを示し、C
s,p,surfaceは、正極最外郭層(layer)のリチウム濃度(mol m
-3)、C
s,n,surfaceは、負極最外郭層(layer)のリチウム濃度(mol m
-3)を示す。また、
【数16】
は、正極電極の平均リチウム濃度(mol m
-3)を示し、
【数17】
は、負極電極の平均リチウム濃度(mol m
-3)を示しうる。また、K
Rは、過電位(overpotential)比例係数を示しうる。
【0056】
ηは、過電位(overpotential)を示す。過電位(overpotential)は、前記数式8においてセル電圧Vと開放電圧(OCV)との差であり、数式8に数式9を代入すれば、セル電圧を予測することができる。しかし、本発明による電気化学モデルで計算された予測過電位の値(priori overpotential)η
-は、実際過電位の値ηと差が発生するが、その理由は、バトラー・ボルマー(butler-volmer)関係のためである。例えば、
図5を共に参照すれば、バトラー・ボルマー(butler-volmer)関係が図示されている。
【0057】
本発明では、本発明による電気化学モデルで計算された前記数式10と数式8で実際測定されたセル電圧とOCVとの差を用いてバトラー・ボルマー(butler-volmer)関係を模写する数式11の形態に予測過電位の値(priori overpotential)η-と実際過電位の値ηの関係を一般化した。例えば、過電位比例係数KRは、実験を通じて導出された実験値であり、カーブフィッティング(curve fitting)を用いた一例である。本発明によれば、予測過電位の値(priori overpotential)η-と実際過電位の値ηの関係を用いて電流密度と過電位(overpotential)との繰り返し(iteration)なしに関係を導出することができる。
【0058】
前記数式10は、バッテリの正極電極及び負極電極の最外郭濃度と正極電極及び負極電極の平均リチウム濃度情報、電圧降下(IR drop)情報を用いて導出され、前記数式8で測定された電圧Vと正極電極及び負極電極の平均リチウム濃度情報をOCPに変形して実際過電位の値ηとの関係と前記数式11のようにカーブフィッティング(curve fitting)を通じて導出されうる。
【0059】
数式8~数式11において、下記数式12を参照すれば、正極OCPと負極OCPとのSOCを差し引くと、意味上SOCによるOCVが導出されうる。
【0060】
【数18】
ここで、
【数19】
は、正極から抜け出た平均リチウムイオン濃度/最大濃度なので、正極のSOCを示す。また、
【数20】
は、負極に流入された平均リチウムイオン濃度/最大濃度なので、負極のSOCを示す。また、SOC
p=SOC
n=SOCにおいて正極と負極がいずれも単一粒子(single particle)なので、正極及び負極SOCは、SOCと同一である。
【0061】
数式8において、η(過電位(overpotential))は、測定したセル電圧Vと安定化されたときの電圧OCVとの差によって定義すれば、過電位(overpotential)は、測定したセル電圧VからOCVの電圧を差し引いて求めることができ、該過電位(overpotential)と数式10の予測過電位の値(priori overpotential)η-との関係を、実験を通じてグラフで示してバトラー・ボルマー方程式(BulterVolmer equation)を模写するように、カーブフィッティング(curve fitting)を遂行すれば、数式12のような数式とKR(過電位比例係数)が算出されうる。例えば、過電位比例係数は、シグモイド関数、ロジスティック関数、双曲線正接、逆正接、代数関数などを用いて算出されうる。
【0062】
図6は、本発明の一実施例によるバッテリ内部状態推定方法を説明するためのフローチャートである。本発明の一実施例によるバッテリの内部状態を推定する方法は、
図1に図示されたプロセッサ150によって遂行されうる。ここで、プロセッサ150は、バッテリの少なくとも1つのパラメータに基づき、バッテリの正極電極及び負極電極に係わる単一粒子モデルに基づいて算出された電気化学モデルを用いてバッテリの内部状態を推定することができる。
【0063】
図6を参照すれば、段階S110において、プロセッサ150は、バッテリの少なくとも1つのパラメータを獲得することができる。例えば、本発明の一実施例による少なくとも1つのパラメータは、バッテリの電圧、電流及び温度を含みうる。
【0064】
段階S120において、プロセッサ150は、バッテリの少なくとも1つのパラメータに基づき、バッテリの正極電極及び負極電極に係わる単一粒子モデルに基づいて算出された電気化学モデルを用いてバッテリの内部状態を推定することができる。
【0065】
本発明の一実施例による電気化学モデルは、バッテリの正極電極及び負極電極のリチウムイオンの拡散差を考慮して正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算し、正極電極と負極電極との内部リチウムイオン濃度差を用いてバッテリの内部状態を推定するモデルでもある。
【0066】
また、本発明の一実施例による電気化学モデルは、バッテリの正極電極及び負極電極に係わる単一粒子モデルを、それぞれ複数層を有する球(sphere)に離散化(discretization)してバッテリの正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算するモデルでもある。
【0067】
また、本発明の一実施例による電気化学モデルは、バッテリの正極電極及び負極電極の濃度分布による拡散係数(diffusion coefficient)を用いてバッテリの正極電極及び負極電極の内部リチウムイオン濃度を計算するモデルでもある。
【0068】
本発明の一実施例による拡散係数は、バッテリの正極電極及び負極電極の単一粒子モデルの複数層で各層の濃度及び温度によって決定されうる。
【0069】
また、本発明の一実施例による電気化学モデルは、バッテリの測定電圧とバッテリの開放電圧(open-circuit voltage)との差である過電位(overpotential)の値に基づいてバッテリの電圧を推定するモデルでもある。
【0070】
また、本発明の一実施例による電気化学モデルは、バッテリの正極電極及び負極電極の単一粒子モデルの複数層で最外郭層のリチウムイオン濃度に係わる情報、バッテリの正極電極及び負極電極の平均リチウムイオン濃度に係わる情報、及びバッテリの電圧降下情報を用いて予測過電位の値を算出するモデルでもある。
【0071】
また、本発明の一実施例による電気化学モデルは、予測過電位の値と既定の過電位比例係数を用いて過電位の値を算出するモデルでもある。
【0072】
また、本発明の一実施例による既定の過電位比例係数は、予測過電位の値及び過電位の値との関係をバトラー・ボルマー方程式(BulterVolmer equation)でカーブフィッティング(curve fitting)を用いて模写する実験値でもある。
【0073】
本発明によれば、本発明によるバッテリモデルは、単一粒子(Single particle)形態の電気化学モデルであって、電解質(電解液)の拡散(diffusion)より固体粒子(solid particle)内部の拡散が主に影響を及ぼす計算量を減少させたモデル(reduce order model)であり、パラメータは、正極と負極の拡散(diffusion)と抵抗で表現されうる。
【0074】
また、本発明によるバッテリモデルは、等価モデルの場合にも、電気化学モデルの表面Li濃度(surface Li-density)を計算することと類似した概念である表面SOC(surface SOC)を導出するモデルである。
【0075】
また、本発明によるバッテリモデルは、正極/負極間拡散(Diffusion)差を考慮して正極と負極内部のLi濃度(Li-density)情報を導出するモデルである。
【0076】
また、本発明によるバッテリモデルは、正/負極の拡散(diffusion)差で発生する正/負極内部のLi濃度(Li-density)分布、正/負極間Li濃度(Li-density)情報差を用いて電解質の濃度、電位を予測し、それを通じて特定位置の電位を予測するモデル(例:アノード・セパレータ(anode-separator)部位のアノード電位(anode potential))に拡張が可能である。
【0077】
前述した多様な実施例は、一例示であって、互いに区別されて独立して実施されねばならないものではない。本明細書において説明された実施例は、互いに組み合わせられた形態にも実施される。
【0078】
前述した多様な実施例は、コンピュータ上で多様な構成要素を通じて実行されうるコンピュータプログラムの形態によって具現され、そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータで読取り可能な媒体に記録されうる。この際、媒体は、コンピュータで実行可能なプログラムを保存し続けるか、実行またはダウンロードのために臨時保存するものでもある。また、媒体は、単一または複数のハードウェアが結合された形態の多様な記録手段または保存手段でもあるが、あるコンピュータシステムに直接接続される媒体に限定されず、ネットワーク上に分散存在するものでもある。媒体の例示としては、ハードディスク、フロッピィーディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM及びDVDのような光記録媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気-光媒体(magneto-optical medium)、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどを含み、プログラム命令語が保存されるように構成されたものもある。また、他の媒体の例示として、アプリケーションを流通するアプリストアやその他の多様なソフトウェアを供給ないし流通するサイト、サーバなどで管理する記録媒体ないし保存媒体も挙げられる。
【0079】
本明細書において、「部」、「モジュール」などは、プロセッサまたは回路のようなハードウェア構成(hardware component)、及び/またはプロセッサのようなハードウェア構成によって実行されるソフトウェア構成(software component)でもある。例えば、「部」、「モジュール」などは、ソフトウェア構成要素、客体指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素及びタスク構成要素のような構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウエア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ及び変数によっても具現される。
【0080】
前述した本発明の説明は、一例示に過ぎず、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解するであろう。したがって、以上で記述した実施例は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解せねばならない。例えば、単一型と説明されている各構成要素は、分散されて実施されもし、同様に分散されていると説明されている構成要素も結合された形態に実施されうる。
【0081】
本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導出されるあらゆる変更または変形された形態が、本発明の範囲に含まれると解釈されねばならない。
【符号の説明】
【0082】
100 バッテリパック
110 バッテリ
120 電圧測定部
130 電流測定部
140 温度測定部
150 プロセッサ
160 メモリ