IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱レイヨン株式会社の特許一覧

特開2024-101102シートモールディングコンパウンドの製造方法
<>
  • 特開-シートモールディングコンパウンドの製造方法 図1
  • 特開-シートモールディングコンパウンドの製造方法 図2
  • 特開-シートモールディングコンパウンドの製造方法 図3
  • 特開-シートモールディングコンパウンドの製造方法 図4
  • 特開-シートモールディングコンパウンドの製造方法 図5
  • 特開-シートモールディングコンパウンドの製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101102
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】シートモールディングコンパウンドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 11/16 20060101AFI20240722BHJP
   B29C 70/50 20060101ALI20240722BHJP
   B29C 70/18 20060101ALI20240722BHJP
   B29K 105/12 20060101ALN20240722BHJP
【FI】
B29B11/16
B29C70/50
B29C70/18
B29K105:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004830
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】水鳥 由貴廣
(72)【発明者】
【氏名】轡田 満
【テーマコード(参考)】
4F072
4F205
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA07
4F072AB10
4F072AB27
4F072AD23
4F072AD34
4F072AD38
4F072AE01
4F072AG03
4F072AH02
4F072AH12
4F072AH13
4F072AH24
4F072AH25
4F072AH44
4F072AH49
4F072AJ22
4F072AJ34
4F072AJ40
4F072AL02
4F205AA36
4F205AD16
4F205AG01
4F205AR15
4F205HA06
4F205HA26
4F205HA33
4F205HA36
4F205HA47
4F205HB02
4F205HC06
4F205HK22
4F205HM04
(57)【要約】
【課題】製造中にSMCの目付が変動することを防ぐ技術に関する改良を提供すること。
【解決手段】第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がキャリアフィルム支持材と接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、を含むSMCの製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がキャリアフィルム支持材と接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法。
【請求項2】
前記キャリアフィルム支持材が長尺で、その長手方向が前記第一キャリアフィルムの幅方向に平行であり、かつ、その長さが前記第一キャリアフィルムの幅よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリアフィルム支持材が、プレート、ロッドまたはパイプである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がガイドロールと接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法。
【請求項5】
更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚の測定結果を、前記第一塗工機の塗工条件にフィードバックすることを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第一塗工機がドクターブレードを有し、前記塗工条件が前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フィードバックに基づいて前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第一キャリアフィルムとの距離を変更しない、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第二キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がキャリアフィルム支持材と接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法。
【請求項9】
前記キャリアフィルム支持材が長尺で、その長手方向が前記第二キャリアフィルムの幅方向に平行であり、かつ、その長さが前記第二キャリアフィルムの幅よりも大きい、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記キャリアフィルム支持材が、プレート、ロッドまたはパイプである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第二キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がガイドロールと接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法。
【請求項12】
更に、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚の測定結果を、前記第二塗工機の塗工条件にフィードバックすることを含む、請求項8~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第二塗工機がドクターブレードを有し、前記塗工条件が前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記フィードバックに基づいて前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第二キャリアフィルムとの距離を変更しない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚と前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚の合計厚の測定結果を、前記第一塗工機および前記第二塗工機のいずれか一方の塗工条件にのみフィードバックすることを含む、方法。
【請求項16】
前記合計厚の測定結果が前記第一塗工機の塗工条件にのみフィードバックされる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記合計厚の測定結果と前記合計厚の設計値との差が所定範囲を超えたとき、前記差が前記所定範囲内に収まるように前記第一塗工機の塗工条件が変更される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第一塗工機がドクターブレードを有し、前記塗工条件が前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記フィードバックに基づいて前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第一キャリアフィルムとの距離を変更しない、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記合計厚の測定結果が前記第二塗工機の塗工条件にのみフィードバックされる、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記合計厚の測定結果と前記合計厚の設計値との差が所定範囲を超えたとき、前記差が前記所定範囲内に収まるように前記第二塗工機の塗工条件が変更される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第二塗工機がドクターブレードを有し、前記塗工条件が前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記フィードバックに基づいて前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第二キャリアフィルムとの距離を変更しない、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一塗工機がドクターブレードを有しており、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を変更するために前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを変更することを含む、方法。
【請求項25】
前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第一キャリアフィルムとの距離を変更しない、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記塗布厚の変更が、前記塗布厚の測定結果と設計値の間のずれを解消するために行われる、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第二塗工機がドクターブレードを有しており、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を変更するために前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを変更することを含む、方法。
【請求項28】
前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第二キャリアフィルムとの距離を変更しない、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記塗布厚の変更が、前記塗布厚の測定結果と設計値の間のずれを解消するために行われる、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記熱硬化性樹脂組成物が増粘剤を含有し、前記含浸ランダムマットに含まれる前記ペーストを増粘させることを更に含む、請求項1~29のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化プラスチック(FRP)からなる物品の製造方法のひとつに、シートモールディングコンパウンド(SMC)のようなプリプレグを用いる方法がある。
シートモールディングコンパウンドは、典型的には、図1に基本構成を示す製造装置を用いて、以下に述べる手順で製造される。
【0003】
複数の連続繊維束1が繊維パッケージPから引き出され、チョッパー10に送られる。
連続繊維束1はチョッパー10により切断されてチョップド繊維束2となる。
チョッパー10は、第一キャリアフィルム5の走行路の上方に配置されている。第一キャリアフィルム5には、ドクターブレード21を備える第一塗工機20で、熱硬化性樹脂と硬化剤と増粘剤が配合されたペースト4が所定の厚さに塗布される。
チョップド繊維束2は、走行する第一キャリアフィルム5の、ペースト4が塗布された面に向かって落下する。落下したチョップド繊維束2が第一キャリアフィルム5上に降り積もることによってランダムマット3が形成される。
【0004】
第二キャリアフィルム6には、第一キャリアフィルム5に塗布されるものと同じペースト4が、ドクターブレード31を備える第二塗工機30で所定の厚さに塗布される。第一キャリアフィルム5と第二キャリアフィルム6が、ランダムマット3を挟んで、ペースト4が塗布された面同士が向かい合うように貼り合わされることにより、ラミネート7が形成される。
ラミネート7を含浸機40で加圧することによって、ランダムマット3がペースト4で含浸されて含浸ランダムマットとなる。含浸ランダムマットはボビンに巻き取られる。ボビンに巻き取る代わりに、含浸ランダムマットを折り重ねてコンテナに収納してもよい。
含浸ランダムマットに含まれるペースト4が、配合された増粘剤の働きで増粘することにより、シートモールディングコンパウンドが完成する。
【0005】
第一キャリアフィルム5に対するペースト4の塗布厚は、第一キャリアフィルム5と第一塗工機20のドクターブレード21との間隔d1(図2参照)に依存する。第二キャリアフィルム6に対するペースト4の塗布厚は、第二キャリアフィルム6と第二塗工機30のドクターブレード31との間隔d2(図3参照)に依存する。
間隔d1と間隔d2は、製造すべきシートモールディングコンパウンドの目付(単位面積当たりの重量)に基づいて定められるペースト4の塗布厚の目標値を考慮して設定される。
第一キャリアフィルム5に対するペースト4の塗布厚が目標値からずれるのを防ぐために、これを1測定箇所あたり2個のレーザ測長センサ51、52を備える第一の厚さ計側部50で測定し、その測定結果に基づいて間隔d1を修正すること、および、第二キャリアフィルム6に対するペースト4の塗布厚が目標値からずれるのを防ぐために、これを1測定箇所あたり2個のレーザ測長センサ61、62を備える第二の厚さ計側部60で測定し、その測定結果に基づいて間隔d2を修正することを含む、シートモールディングコンパウンドの製造方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-74435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主たる目的は、製造中にシートモールディングコンパウンドの目付が変動することを防ぐ技術に関する改良を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がキャリアフィルム支持材と接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法が提供される。
【0009】
本発明の他の一態様によれば、シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がガイドロールと接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法が提供される。
【0010】
本発明の更に他の一態様によれば、シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第二キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がキャリアフィルム支持材と接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法が提供される。
【0011】
本発明の更に他の一態様によれば、シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第二キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がガイドロールと接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法が提供される。
【0012】
本発明の更に他の一態様によれば、シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚と前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚の合計厚の測定結果を、前記第一塗工機および前記第二塗工機のいずれか一方の塗工条件にのみフィードバックすることを含む、方法が提供される。
【0013】
本発明の更に他の一態様によれば、シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一塗工機がドクターブレードを有しており、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を変更するために前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを変更することを含む、方法が提供される。
【0014】
本発明の更に他の一態様によれば、シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第二塗工機がドクターブレードを有しており、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を変更するために前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを変更することを含む、方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
製造中にシートモールディングコンパウンドの目付が変動することを防ぐ技術に関する改良が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、シートモールディングコンパウンド製造装置の基本構成を示す模式図である。
図2図2は、図1に示すシートモールディングコンパウンド製造装置に含まれる第一塗工機を示す模式図である。
図3図3は、図1に示すシートモールディングコンパウンド製造装置に含まれる第二塗工機を示す模式図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る方法でシートモールディングコンパウンドを製造するときに好ましく使用し得るシートモールディングコンパウンド製造装置を示す模式図である。
図5図5は、図4に示すシートモールディングコンパウンド製造装置に含まれる第一の厚さ計側部を示す模式図である。
図6図6は、図4に示すシートモールディングコンパウンド製造装置に含まれる第二の厚さ計側部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のいくつかの実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。図面に
おける寸法比は、説明の便宜上のものであり、実際のものとは異なる場合がある。また、
図面において同一の構成については同じ符号を用いて示し、重複する構成について説明を
省略することがある。
【0018】
実施形態に係る方法は、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせて、ラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させることを含む。
この方法によるシートモールディングコンパウンドの製造は、例えば、図1に基本構成を示す製造装置を用いて行うことができる。
【0019】
第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムの材料の例には、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル樹脂およびポリアミドが含まれる。第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムは、それぞれ、多層フィルムであってもよい。
第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムは、例えば、10μm以上500μm以下の範囲内の厚さを有し得る。第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムは、例えば、0.5m以上1.5m以下の範囲内の幅を有し得る。
【0020】
一例において、熱硬化性樹脂組成物からなるペーストには、液状エポキシ樹脂、エポキシ硬化剤、増粘剤および任意成分が配合される。任意成分の例には、低収縮剤、内部離型剤、着色剤、難燃剤および酸化防止剤の他、ゴム、エラストマーまたは熱可塑性樹脂からなる改質剤が含まれる。
他の一例において、熱硬化性樹脂組成物からなるペーストには、ビニルエステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂の少なくともいずれかが、反応性希釈剤、重合開始剤、増粘剤および任意成分と共に配合される。反応性希釈剤は液状のビニル化合物であり、その例にはスチレンおよび各種の(メタ)アクリレートが含まれる。任意成分の例には、重合禁止剤、低収縮剤、内部離型剤、着色剤、難燃剤および酸化防止剤の他、ゴム、エラストマーまたは熱可塑性樹脂からなる改質剤が含まれる。
【0021】
ペーストの粘度は、好ましくは、25℃において1~30Pa・sの範囲内となるように調整される。
ペーストは、第一キャリアフィルムには第一塗工機を用いて、第二キャリアフィルムには第二塗工機を用いて、厚さが例えば0.5~2mmの範囲内となるように塗布される。
第一塗工機および第二塗工機は、それぞれドクターブレードを有しており、各キャリアフィルムに対するペーストの塗布厚は、ドクターブレードとキャリアフィルムの間隔に依存する。
【0022】
第一キャリアフィルム上のペーストの塗布厚(以下「第一厚」ともいう)と第二キャリアフィルム上のペーストの塗布厚(以下「第二厚」ともいう)が、それぞれ第一の厚さ計側部と第二の厚さ計側部で測定される。第一厚は、第一キャリアフィルムの幅方向の複数箇所で測定された厚さの平均値であってもよい。同様に、第二厚は、第二キャリアフィルムの幅方向の複数箇所で測定された厚さの平均値であってもよい。
【0023】
第一厚と第二厚の測定には、基材上に塗布した樹脂ペーストの厚さ測定に従来から使用されている方法を適宜使用することができる。一例では、前述の特許文献1に記載されるように、1測定箇所あたり2個のレーザ測長センサを用いる方法を採用し得る。
好適例では、図4~6に例示するように、1測定箇所に使用されるレーザ測長センサがひとつで足りるよう、キャリアフィルムの位置がその厚さ方向に沿って変動しない箇所が測定箇所として選択される。
【0024】
図4および図5を参照すると、第一の厚さ計側部50には第一キャリアフィルムを支持する部材として長尺プレート53が設けられており、第一キャリアフィルム5のペースト4が塗布されない側に接触している。長尺プレート53は、長手方向が第一キャリアフィルム5の幅方向に平行となるように固定されており、第一キャリアフィルム5の幅よりも長尺である。
【0025】
レーザ測長センサ51は、第一キャリアフィルム5のペースト4が塗布される面の側に配置され、第一キャリアフィルム5のペースト4が塗布されない側が長尺プレート53に接触する箇所で、第一厚が測定される。かかる箇所では、レーザ測長センサ51から第一キャリアフィルム5までの距離d11が常に一定であり、その理由は、レーザ測長センサ51から長尺プレート53までの距離が一定であり、かつ、第一キャリアフィルム5の厚さが一定だからである。ペースト4を塗布する前にレーザ測長センサ51から第一キャリアフィルム5までの距離d11を測定しておき、ペースト4の塗布開始後に測定されるレーザ測長センサ51からペースト4の表面までの距離d12を、距離d11から引き算すれば、第一厚t41を求めることができる。
長尺プレート53は、同じ働きをするロッドまたはパイプに置き換えることが可能である。
【0026】
図4および図6を参照すると、第二の厚さ計側部60では、第二キャリアフィルム6のペースト4が塗布されない側がガイドロール63に接する箇所が、測定箇所として選ばれている。ガイドロール63は固定されているので、この箇所では第二キャリアフィルム6がガイドロール63の半径方向に動かない。加えて、第二キャリアフィルム6の厚さは一定である。従って、レーザ測長センサ61から第二キャリアフィルム6までの距離d21は常に一定である。ペースト4を塗布する前にレーザ測長センサ61から第二キャリアフィルム6までの距離d21を測定しておき、ペースト4の塗布開始後に測定されるレーザ測長センサ61からペースト4の表面までの距離d22を、距離d21から引き算すれば、第二厚t42が求められる。
【0027】
ガイドロール63を通過するとき、ガイドロール63における第二キャリアフィルム6の抱き角θと同じ角度だけ第二キャリアフィルム6の走行方向が変化する。抱き角θは0度より大きければよいが、好ましくは30度以上、より好ましくは45度以上、更に好ましくは90度以上であり、例えば180度であってもよい。
【0028】
第一キャリアフィルムは、片面にペーストを塗布された後、そのペーストが塗布された面を上向きにしてチョッパーの下方を通過する。該チョッパーによって連続繊維束が切断されて生じるチョップド繊維束が、下方を通過する第一キャリアフィルム上に降り積もってランダムマットを形成する。チョップド繊維束における繊維長は例えば5~100mm、好ましくは5~60mm、より好ましくは10~30mmの範囲内である。
連続繊維束はガラス繊維束であってもよいが、好ましくは炭素繊維束である。
【0029】
第一キャリアフィルム上にランダムマットが形成された後、そのランダムマットを挟んで、ペーストが塗布された面同士が向かい合うように、第一キャリアフィルムと第二キャリアフィルムが貼り合わされて、ラミネートが形成される。このラミネートを、例えば圧縮ローラーを用いて加圧することで、ランダムマットがペーストで含浸され、含浸ランダムマットとなる。
含浸ランダムマットはボビンに巻き取られるか、あるいは、折り重ねられてコンテナに収納された後、配合された増粘剤の働きでペーストが増粘するまで熟成される。増粘によってペーストの粘度は、例えば、2000~100000Pa・sの範囲内となる。
【0030】
製造中にシートモールディングコンパウンドの目付が変動するのを防ぐために、第一の厚さ計側部と第二の厚さ計側部でそれぞれ測定される第一厚(第一キャリアフィルム上のペーストの塗布厚)と第二厚(第二キャリアフィルム上のペーストの塗布厚)が、第一塗工機の塗工条件と第二塗工機の塗工条件にそれぞれフィードバックされ得る。
好適例においては、第一厚と第二厚の合計値(以下「合計厚」ともいう)が、第一塗工機の塗工条件と第二塗工機の塗工条件のいずれか一方にのみフィードバックされる。この例によれば、第一塗工機と第二塗工機の両方をフィードバック制御する場合と比べ、製造装置および/または作業手順を簡素化できる。
【0031】
具体的には、第一厚と第二厚が測定され、その結果から得られる合計厚をその設計値と比較し、両者の差が所定範囲を超えているときは、この差が該所定範囲内に収まるように、第一塗工機と第二塗工機のどちらか一方の塗工条件のみが変更される。第一厚と第二厚のどちらか一方のみが修正されると言い換えてもよい。
例えば、第一塗工機の塗工条件のみを変更する場合であれば、合計厚がその設計値に対し過大となったときは、第一厚が減少するように第一塗工機の塗工条件が変更され、合計厚がその設計値に対し過小となったときは、第一厚が増加するように第一塗工機の塗工条件が修正される。
【0032】
第一厚および第二厚の測定と、それに基づく合計厚の算出は、連続的または断続的に行われる。ある一定の時間が経過する間の合計厚の平均値が算出され、設計値と比較される。合計厚の平均値は、マニュアルで算出されてもよいし、自動で算出されてもよい。
一例では、合計厚が設計値に対して過大または過小になると自動的に第一塗工機または第二塗工機の塗工条件が変更されるようにすることもできる。
一例では、合計厚の変化を予測することによって、合計厚が設計値に対して過大または過小とならないように、第一塗工機または第二塗工機の塗工条件が変更されるようにすることもできる。
【0033】
合計厚を第一厚と第二厚のいずれか一方のみにフィードバックすれば十分である理由は、製造中に生じ得る第一厚と第二厚の変化量が、第一厚と第二厚の絶対値と比べるとそれ程大きくないからである。合計厚を第一厚と第二厚のいずれか一方のみにフィードバックした結果、製造中に第一厚と第二厚のバランスが変化したとしても、出来上がるシートモールディングコンパウンドの品質に実質的な影響は無い。
【0034】
ペーストの塗布厚を変更するために変化させ得る塗工条件には、ドクターブレードとキャリアフィルムの距離の他、塗工機へのペーストの供給レートが含まれる。
塗工機へのペーストの供給レートを上げると、ドクターブレードの上流側に形成されるペースト溜りの体積が増加し、ひいてはペーストの塗布厚が増加する。反対に、塗工機へのペーストの供給レートを下げると、ドクターブレードの上流側に形成されるペースト溜りの体積が減少し、ひいてはペーストの塗布厚が減少する。
好適例においては、ドクターブレードとキャリアフィルムの距離を一定に保持したまま、塗工機へのペーストの供給レートを増減させることによって塗布厚が変更される。
【0035】
ドクターブレードとキャリアフィルムの距離を変更したとき、ペーストの塗布厚は急激に変化するが、この変化は一時的であり、時間と共に塗布厚の変化幅は減少し、該変更の前の値に近づく傾向がある。
それに対し、塗工機へのペーストの供給レートを変化させたときは、ペースト溜りの体積が急激に変化しないので、ペーストの塗布厚の変化量は時間と共に徐々に増加する。そのため、ドクターブレードとキャリアフィルムの距離を変更する方法よりも、ペーストの塗布厚を制御し易い。
【0036】
まとめると、本発明の実施形態は以下を含むが、これらに限定されるものではない。
[実施形態1]シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がキャリアフィルム支持材と接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法。
[実施形態2]前記キャリアフィルム支持材が長尺で、その長手方向が前記第一キャリアフィルムの幅方向に平行であり、かつ、その長さが前記第一キャリアフィルムの幅よりも大きい、実施形態1に係る方法。
[実施形態3]前記キャリアフィルム支持材が、プレート、ロッドまたはパイプである、実施形態2に係る方法。
[実施形態4]シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がガイドロールと接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法。
[実施形態5]更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚の測定結果を、前記第一塗工機の塗工条件にフィードバックすることを含む、実施形態1~4のいずれかに係る方法。
[実施形態6]前記第一塗工機がドクターブレードを有し、前記塗工条件が前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを含む、実施形態5に係る方法。
[実施形態7]前記フィードバックに基づいて前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第一キャリアフィルムとの距離を変更しない、実施形態6に係る方法。
【0037】
[実施形態8]シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第二キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がキャリアフィルム支持材と接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法。
[実施形態9]前記キャリアフィルム支持材が長尺で、その長手方向が前記第二キャリアフィルムの幅方向に平行であり、かつ、その長さが前記第二キャリアフィルムの幅よりも大きい、実施形態8に係る方法。
[実施形態10]前記キャリアフィルム支持材が、プレート、ロッドまたはパイプである、実施形態9に係る方法。
[実施形態11]シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を、前記第二キャリアフィルムの前記ペーストが塗布されない側がガイドロールと接触する箇所で、1測定箇所あたり1個のレーザ測長センサを用いて測定することを含む、方法。
[実施形態12]更に、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚の測定結果を、前記第二塗工機の塗工条件にフィードバックすることを含む、実施形態8~11のいずれかに係る方法。
[実施形態13]前記第二塗工機がドクターブレードを有し、前記塗工条件が前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを含む、実施形態12に係る方法。
[実施形態14]前記フィードバックに基づいて前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第二キャリアフィルムとの距離を変更しない、実施形態13に係る方法。
【0038】
[実施形態15]シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚と前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚の合計厚の測定結果を、前記第一塗工機および前記第二塗工機のいずれか一方の塗工条件にのみフィードバックすることを含む、方法。
[実施形態16]前記合計厚の測定結果が前記第一塗工機の塗工条件にのみフィードバックされる、実施形態15に係る方法。
[実施形態17]前記合計厚の測定結果と前記合計厚の設計値との差が所定範囲を超えたとき、前記差が前記所定範囲内に収まるように前記第一塗工機の塗工条件が変更される、実施形態16に係る方法。
[実施形態18]前記第一塗工機がドクターブレードを有し、前記塗工条件が前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを含む、実施形態16または17に係る方法。
[実施形態19]前記フィードバックに基づいて前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第一キャリアフィルムとの距離を変更しない、実施形態18に係る方法。
[実施形態20]前記合計厚の測定結果が前記第二塗工機の塗工条件にのみフィードバックされる、実施形態15に係る方法。
[実施形態21]前記合計厚の測定結果と前記合計厚の設計値との差が所定範囲を超えたとき、前記差が前記所定範囲内に収まるように前記第二塗工機の塗工条件が変更される、実施形態20に係る方法。
[実施形態22]前記第二塗工機がドクターブレードを有し、前記塗工条件が前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを含む、実施形態20または21に係る方法。
[実施形態23]前記フィードバックに基づいて前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第二キャリアフィルムとの距離を変更しない、実施形態22に係る方法。
【0039】
[実施形態24]シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第一塗工機がドクターブレードを有しており、前記第一キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を変更するために前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを変更することを含む、方法。
[実施形態25]前記第一塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第一キャリアフィルムとの距離を変更しない、実施形態24に係る方法。
[実施形態26]前記塗布厚の変更が、前記塗布厚の測定結果と設計値の間のずれを解消するために行われる、実施形態24または25に係る方法。
【0040】
[実施形態27]シートモールディングコンパウンドを製造する方法であって、第一キャリアフィルムおよび第二キャリアフィルムにそれぞれ第一塗工機および第二塗工機を用いて同一組成の熱硬化性樹脂組成物からなるペーストを塗布すること、前記第一キャリアフィルムの前記ペーストが塗布された面上にチョップド繊維束を降り積もらせてランダムマットを形成すること、前記第一キャリアフィルムと前記第二キャリアフィルムを、前記ランダムマットを挟んで前記ペーストが塗布された面同士が向かい合うように貼り合わせてラミネートを形成すること、および、前記ラミネートを加圧して前記ランダムマットを前記ペーストで含浸させて含浸ランダムマットを得ることを含み、更に、前記第二塗工機がドクターブレードを有しており、前記第二キャリアフィルム上の前記ペーストの塗布厚を変更するために前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを変更することを含む、方法。
[実施形態28]前記第二塗工機への前記ペーストの供給レートを変更するときに、前記ドクターブレードと前記第二キャリアフィルムとの距離を変更しない、実施形態27に係る方法。
[実施形態29]前記塗布厚の変更が、前記塗布厚の測定結果と設計値の間のずれを解消するために行われる、実施形態27または28に係る方法。
[実施形態30]前記熱硬化性樹脂組成物が増粘剤を含有し、前記含浸ランダムマットに含まれる前記ペーストを増粘させることを更に含む、実施形態1~29のいずれかに係る方法。
【産業上の利用可能性】
【0041】
実施形態に係る方法を用いて製造されるシートモールディングコンパウンドは、例えば、自動車、船舶、鉄道車両、有人航空機および無人航空機を含む各種の輸送機器に用いられるFRP部品の製造に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 連続繊維束
2 チョップド繊維束
3 ランダムマット
4 ペースト
4a、4b ペースト溜り
5 第一キャリアフィルム
6 第二キャリアフィルム
7 ラミネート
10 チョッパー
20 第一塗工機
21 ドクターブレード
30 第二塗工機
31 ドクターブレード
40 含浸機
50 第一の厚さ計側部
51、52 レーザ測長センサ
53 長尺プレート
60 第二の厚さ計側部
61、62 レーザ測長センサ
63 ガイドロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6