(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101159
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】基板処理装置、及び基板処理装置のメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240722BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01L21/304 651Z
H01L21/304 648A
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004941
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】梅▲崎▼ 翔太
(72)【発明者】
【氏名】林田 貴大
(72)【発明者】
【氏名】中島 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】安永 尚史
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131BB23
5F131CA45
5F131DB02
5F131DB57
5F131DB72
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB13
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5F157AB48
5F157AB51
5F157AB64
5F157CB14
5F157CB26
5F157CF22
5F157CF42
5F157CF44
5F157DC21
(57)【要約】
【課題】乾燥ユニットのメンテナンス性を向上する、技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、水平な基板の上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥する乾燥ユニットを備える。前記乾燥ユニットは、前記基板を乾燥する乾燥室を内部に形成する圧力容器と、前記圧力容器の開口を塞ぐ蓋体と、を有する。前記基板処理装置は、前記開口に対して平行な第1方向と前記第1方向とは反対方向である第2方向の両方向に前記蓋体を移動可能に支持する支持部材を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な基板の上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥する乾燥ユニットを備える、基板処理装置であって、
前記乾燥ユニットは、前記基板を乾燥する乾燥室を内部に形成する圧力容器と、前記圧力容器の開口を塞ぐ蓋体と、を有し、
前記基板処理装置は、前記開口に対して平行な第1方向と前記第1方向とは反対方向である第2方向の両方向に前記蓋体を移動可能に支持する支持部材を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記蓋体を案内する直動ガイドを有する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記乾燥ユニットは、前記蓋体から前記第2方向に突出する回転軸と、前記回転軸が分離可能に嵌合される中空軸と前記中空軸を回転自在に支持する軸受とを含む軸受ホルダと、を備える、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記圧力容器に対して取外し可能に連結される、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記乾燥ユニットから、前記基板を搬出する方向にはみ出さないように設けられる、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
水平な前記基板に前記液膜を形成する液膜形成ユニットと、前記液膜形成ユニットと前記乾燥ユニットとに隣接する第1搬送領域と、前記第1搬送領域において前記基板を搬送する第1搬送装置と、を備え、
前記圧力容器は、前記開口を前記第1搬送領域に向けて設けられており、
前記支持部材は、前記乾燥ユニットから前記第1搬送領域にはみ出さないように設けられる、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
水平な基板の上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥する乾燥ユニットを備える、基板処理装置であって、
前記乾燥ユニットは、前記基板を乾燥する乾燥室を内部に形成する圧力容器と、前記圧力容器の開口を塞ぐ蓋体と、を有し、
前記基板処理装置は、前記圧力容器の前記開口を塞ぐ閉塞位置と、前記蓋体のメンテナンスが行われるメンテナンス位置との間で前記蓋体を移動可能に支持する支持部材を備える、基板処理装置。
【請求項8】
前記支持部材は、前記圧力容器の前記開口に対して接離する方向に前記蓋体を案内する直動ガイドを有する、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記蓋体の移動に伴って転動する転動体を有する、請求項7または8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記支持部材は、前記圧力容器に対して連結される第1回転軸を中心に回転するガイドアームを有する、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記ガイドアームは、前記第1回転軸と平行な第2回転軸を中心に回転自在に前記蓋体を支持する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記ガイドアームは、前記蓋体が取付けられる第1アームと、前記第1回転軸が取付けられる第2アームと、を有し、
前記第1アームと前記第2アームは、分離可能に嵌合される、請求項10または11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
水平な基板の上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥する乾燥ユニットを備える、基板処理装置のメンテナンス方法であって、
前記乾燥ユニットは、前記基板を乾燥する乾燥室を内部に形成する圧力容器と、前記圧力容器の開口を塞ぐ蓋体と、を有し、
前記メンテナンス方法は、前記蓋体を支持部材で支持しながら、前記開口に対して平行な第1方向と前記第1方向とは反対方向である第2方向の両方向に前記蓋体を移動させることを有する、基板処理装置のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、及び基板処理装置のメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の基板処理装置は、水平な基板の上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、基板を乾燥する乾燥ユニットを備える。乾燥ユニットは、処理容器と、処理容器の開口を閉塞する蓋部と、を備える。特許文献2にも、同様の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-125472号公報
【特許文献2】特開2013-33962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、乾燥ユニットのメンテナンス性を向上する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る基板処理装置は、水平な基板の上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥する乾燥ユニットを備える。前記乾燥ユニットは、前記基板を乾燥する乾燥室を内部に形成する圧力容器と、前記圧力容器の開口を塞ぐ蓋体と、を有する。前記基板処理装置は、前記開口に対して平行な第1方向と前記第1方向とは反対方向である第2方向の両方向に前記蓋体を移動可能に支持する支持部材を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、乾燥ユニットのメンテナンス性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る基板処理装置の平面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図3(A)は蓋体の待機位置の一例を示す断面図、
図3(B)は蓋体の開放位置の一例を示す断面図、
図3(C)は蓋体の閉塞位置の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4(A)は乾燥ユニットの基板処理時の状態の一例を示す側面図、
図4(B)は
図4(A)のB-B線に沿った断面図である。
【
図5】
図5(A)は乾燥ユニットの基板搬入出時の状態の一例を示す側面図、
図5(B)は
図5(A)のB-B線に沿った断面図である。
【
図6】
図6は、乾燥ユニットの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7(A)は軸受ホルダに回転軸を嵌合した状態の一例を示す断面図、
図7(B)は軸受ホルダから回転軸を分離した状態の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図7(A)に示す支持部材をX軸正方向から見た図である。
【
図9】
図9(A)はスライダに軸受ホルダを連結した状態の一例を示す平面図、
図9(B)はスライダから軸受ホルダを分離した状態の一例を示す平面図である。
【
図11】
図11(A)はガイドアームの動作の一例を示す断面図であって蓋体が閉塞位置にある状態の一例を示す断面図、
図11(B)は
図11(A)に続いてガイドアームの動作の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12(A)は
図11(B)に続いてガイドアームの動作の一例を示す断面図、
図12(B)は
図12(A)に続いてガイドアームの動作の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。本明細書において、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。
【0009】
先ず、
図1を参照して、実施形態の基板処理装置1について説明する。
図1に示すように、基板処理装置1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3と、制御装置9と、を備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは、この順番で、X軸負方向側からX軸正方向側に並ぶ。
【0010】
搬入出ステーション2は、載置台21と、第2搬送領域22と、第2搬送装置23と、トランジションユニット24と、を備える。載置台21は、複数のキャリアCが載置されるものである。複数のキャリアCは、それぞれ、水平な基板Wを鉛直方向に間隔をおいて複数枚収容する。
【0011】
基板Wは、シリコンウェハ若しくは化合物半導体ウェハ等の半導体基板、又はガラス基板を含む。基板Wは、半導体基板又はガラス基板の表面に形成される電子回路などのデバイスを更に含んでもよい。基板Wは、その表面に凹凸パターンを有してもよい。
【0012】
第2搬送領域22は、載置台21に隣接して設けられる。第2搬送装置23は、第2搬送領域22において基板Wを搬送する。第2搬送装置23は、基板Wを保持する第2搬送アームを含む。第2搬送アームは、水平方向(X軸方向及びY軸方向の両方向)及び鉛直方向への移動、並びに鉛直軸を中心とする旋回が可能である。第2搬送アームの数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0013】
トランジションユニット24は、第2搬送領域22を基準として載置台21とは反対側に設けられ、第2搬送領域22に隣接して設けられる。トランジションユニット24は、基板Wを一時的に収容する。複数のトランジションユニット24が鉛直方向に段積みされてもよい。トランジションユニット24の配置及び数は、特に限定されない。
【0014】
処理ステーション3は、第1搬送領域31と、第1搬送装置32と、液膜形成ユニット33と、乾燥ユニット34と、メンテナンス領域35と、を備える。第1搬送領域31は、トランジションユニット24を基準として第2搬送領域22とは反対側に設けられ、トランジションユニット24に隣接して設けられる。
【0015】
第1搬送装置32は、第1搬送領域31において基板Wを搬送する。第1搬送装置32は、基板Wを保持する第1搬送アームを含む。第1搬送アームは、水平方向(X軸方向及びY軸方向の両方向)及び鉛直方向への移動、並びに鉛直軸を中心とする旋回が可能である。第1搬送アームの数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0016】
液膜形成ユニット33は、水平な基板Wの上面に液体を供給する。液膜形成ユニット33は、例えば、基板Wを水平に保持するスピンチャックと、基板Wの上面に液体を吐出するノズルとを含む。ノズルは、回転する基板Wの上面の中心に液体を供給する。液体は、遠心力によって基板Wの上面の中心から周縁に向けて濡れ広がる。液体として、例えば薬液と、リンス液と、乾燥液とが、この順番で供給される。複数種類の薬液が供給されてもよく、一の薬液の供給と別の薬液の供給との間にもリンス液が供給されてもよい。
【0017】
液膜形成ユニット33は、例えば、水平な基板Wの上面に薬液の液膜を形成し、続いて薬液の液膜をリンス液の液膜に置換し、次いでリンス液の液膜を乾燥液の液膜に置換する。薬液は、例えばSC1(アンモニアと過酸化水素の水溶液)、又はDHF(希フッ酸)等である。リンス液は、例えばDIW(脱イオン水)等である。乾燥液は、例えばIPA(イソプロピルアルコール)等の有機溶剤である。
【0018】
液膜形成ユニット33は、第1搬送領域31に隣接して設けられる。液膜形成ユニット33は、
図1に示すように、第1搬送領域31の片側(例えばY軸負方向側)に、X軸方向に沿って複数設けられてもよい。また、複数の液膜形成ユニット33が鉛直方向に段積みされてもよい。
【0019】
乾燥ユニット34は、水平な基板Wの上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、基板Wを乾燥する。超臨界流体は、臨界温度以上の温度と、臨界圧力以上の圧力下におかれた流体であり、液体と気体の区別がつかない状態の流体である。乾燥液等の液膜を超臨界流体に置換することにより、表面張力による基板Wの凹凸パターンの倒壊を抑制できる。
【0020】
乾燥ユニット34は、基板Wを乾燥する乾燥室を内部に形成する圧力容器52と、圧力容器52の開口を塞ぐ蓋体54、56と、圧力容器52の内部に流体を供給する供給機構57と、を備える。供給機構57は、流体として例えばCO2を圧力容器52の内部に供給する。
【0021】
乾燥ユニット34は、第1搬送領域31に隣接して設けられる。乾燥ユニット34は、
図1に示すように、第1搬送領域31を基準として液膜形成ユニット33とは反対側(例えばY軸正方向側)に、X軸方向に沿って複数設けられてもよい。また、複数の乾燥ユニット34が鉛直方向に段積みされてもよい。
【0022】
メンテナンス領域35は、乾燥ユニット34のメンテナンス時に作業者が進入する領域である。メンテナンス領域35は、第1搬送領域31を基準として乾燥ユニット34とは同じ側(例えばY軸正方向側)に設けられる。メンテナンス領域35は、X軸方向に隣り合う2つの乾燥ユニット34の間に設けられる。
【0023】
制御装置9は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)などの演算部91と、メモリなどの記憶部92と、を備える。記憶部92には、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御装置9は、記憶部92に記憶されたプログラムを演算部91に実行させることにより、基板処理装置1の動作を制御する。基板処理装置1を構成するユニットごとにユニットの動作を制御するユニット制御部が設けられ、複数のユニット制御部を統括制御するシステム制御部が設けられてもよい。ユニット制御部とシステム制御部とで制御装置9が構成されてもよい。
【0024】
次に、
図2を参照して、一実施形態に係る基板処理方法について説明する。
図2に示すステップS101~S104は、制御装置9による制御下で実施される。先ず、第2搬送装置23が、キャリアCから基板Wを取り出し、取り出した基板Wをトランジションユニット24に搬送する。続いて、第1搬送装置32が、トランジションユニット24から基板Wを取り出し、取り出した基板Wを液膜形成ユニット33に搬送する。
【0025】
次に、液膜形成ユニット33が、水平な基板Wの上面に薬液を供給する(ステップS101)。薬液は、回転する基板Wの上面の中心に供給され、遠心力によって上面の径方向全体に広がり、液膜を形成する。
【0026】
次に、液膜形成ユニット33が、水平な基板Wの上面にリンス液を供給する(ステップS102)。リンス液は、回転する基板Wの上面の中心に供給され、遠心力によって上面の径方向全体に広がり、液膜を形成する。薬液の液膜がリンス液の液膜に置換される。
【0027】
次に、液膜形成ユニット33が、水平な基板Wの上面に乾燥液を供給する(ステップS103)。乾燥液は、回転する基板Wの上面の中心に供給され、遠心力によって上面の径方向全体に広がり、液膜を形成する。リンス液の液膜が乾燥液の液膜に置換される。
【0028】
次に、第1搬送装置32が、液膜形成ユニット33から基板Wを取り出し、取り出した基板Wを乾燥ユニット34に搬送する。
【0029】
次に、乾燥ユニット34が、水平な基板Wの上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、基板Wを乾燥する(ステップS104)。乾燥液等の液膜を超臨界流体に置換すれば、基板Wの凹凸パターンに液体と気体の界面が現れるのを抑制できる。その結果、表面張力の発生を抑制でき、凹凸パターンの倒壊を抑制できる。
【0030】
最後に、第1搬送装置32が、乾燥ユニット34から基板Wを取り出し、取り出した基板Wをトランジションユニット24に搬送する。続いて、第2搬送装置23が、トランジションユニット24から基板Wを取り出し、取り出した基板WをキャリアCに収納する。
【0031】
次に、
図3~
図5を参照して、乾燥ユニット34の一例について説明する。乾燥ユニット34の説明では、第1搬送領域31から乾燥ユニット34への基板Wの搬入方向(例えばY軸正方向)を前方とし、乾燥ユニット34から第1搬送領域31への基板Wの搬出方向(例えばY軸負方向)を後方として説明する。
【0032】
乾燥ユニット34は、基板Wを乾燥する乾燥室51を内部に形成する圧力容器52と、圧力容器52の開口53を塞ぐ蓋体54と、圧力容器52の開口55を塞ぐ蓋体56と、圧力容器52の内部で基板Wを水平に支持する支持体58と、を備える。開口53は、基板Wを通過させる搬入出口であって、圧力容器52の後面に形成される。一方、開口55は、圧力容器52の前面に形成される。圧力容器52は、開口53を第1搬送領域31に向けて設けられている。基板Wは、開口53を介して乾燥室51に搬入され、乾燥室51で乾燥された後、開口53を介して乾燥室51から搬出される。
【0033】
蓋体54は、閉塞位置(
図3(C)参照)と開放位置(
図3(B)参照)との間で進退させられる。閉塞位置は、蓋体54が開口53を閉塞する位置である。開放位置は、閉塞位置の後方であって、蓋体54が開口53を開放する位置である。また、蓋体54は開放位置と待機位置(
図3(A)参照)との間で回動させられる。待機位置は、基板Wの搬入出経路から外れた位置である。基板Wの搬入出の際に、蓋体54は待機位置で待機する。これにより、第1搬送装置32が乾燥室51に進入しやすい。
【0034】
特許文献1では、支持体58は、圧力容器52に対して固定されずに蓋体54に対して固定され、蓋体54と共に進退する。そうして、圧力容器52の外部において、第1搬送装置32と支持体58とが基板Wを受け渡す。従って、圧力容器52の外部に、基板Wを受け渡すエリアが設けられる。
【0035】
本実施形態によれば、支持体58は、圧力容器52に対して固定され、蓋体54と共に進退しない。圧力容器52の内部において、第1搬送装置32と支持体58とが基板Wを受け渡す。従って、圧力容器52の外部に、基板Wを受け渡すエリアを設けずに済むので、乾燥ユニット34を小型化できる。
【0036】
図4及び
図5に示すように、乾燥ユニット34は、圧力容器52を支持する支持フレーム59を備える。支持フレーム59は、例えば、水平なベース板591と、ベース板591から上方に突出する複数本の柱592と、複数本の柱592の上面に固定される水平板593とを有する。水平板593は、例えば四角形の枠状に組み立てられる。水平板593の上に圧力容器52が固定される。
【0037】
乾燥ユニット34は、直動機構60と回転機構61を備える。直動機構60は、蓋体54を閉塞位置と開放位置との間で進退させる。回転機構61は、蓋体54を開放位置と待機位置との間で回動させる。乾燥ユニット34は、蓋体54からX軸正方向とX軸負方向に突出する一対の回転軸69を備える。回転機構61は、例えば、回転軸69を回転させることで蓋体54を回転させる。
【0038】
直動機構60は、例えば、回転軸69の軸受を保持する軸受ホルダ601と、軸受ホルダ601が取外し可能に連結されるスライダ602と、を含む。軸受ホルダ601は、蓋体54を挟んでX軸方向両側に設けられる。スライダ602は、水平板593に敷設されるガイド604に沿って移動させられる。スライダ602とガイド604は、圧力容器52を挟んでX軸方向両側に設けられる。
【0039】
直動機構60は、スライダ602をY軸方向に進退させる直動アクチュエータ603を含む。直動アクチュエータ603は、例えば空気圧シリンダであり、圧縮空気の圧力で蓋体54を圧力容器52に押し付ける。蓋体54が後述するロックキー62の上昇を妨げるのを防止できる。なお、直動アクチュエータ603は、回転モータと、回転モータの回転運動を蓋体54の直線運動に変換するボールねじとを含んでもよい。
【0040】
直動アクチュエータ603は、例えば、圧力容器52の片側に配置され、圧力容器52よりもメンテナンス領域35の近くに配置される。直動アクチュエータ603のメンテナンスが容易である。直動アクチュエータ603は、一対のスライダ602のうち、メンテナンス領域35に近いスライダ602を押し引きすることで、蓋体54を進退させる。直動アクチュエータ603は、水平板593に固定される。
【0041】
回転機構61は、例えばロータリーアクチュエータを含み、空気圧によって回転力を生み出す。なお、回転機構61は、回転モータを含んでもよい。回転機構61は、例えば、圧力容器52の片側に配置され、圧力容器52よりもメンテナンス領域35の近くに配置される。回転機構61のメンテナンスが容易である。回転機構61は、一対の軸受ホルダ601のうち、メンテナンス領域35に近い軸受ホルダ601に固定され、軸受ホルダ601と共に進退させられる。
【0042】
乾燥ユニット34は、
図3に示すように、蓋体54を後方から押さえるロックキー62を備える。圧力容器52は、その後面に開口53を挟んで上下一対の凸部を有する。上下一対の凸部を上下方向に貫通するように、上下一対の嵌合穴63が形成される。ロックキー62は、圧力容器52の上下一対の嵌合穴63に嵌め込まれ、蓋体54を押さえる。乾燥室51の圧力を上昇させても、流体のリークを抑制できる。
【0043】
また、乾燥ユニット34は、蓋体56を前方から押さえるロックキー64を備える。圧力容器52は、その前面に開口55を挟んで上下一対の凸部を有する。上下一対の凸部を上下方向に貫通するように、上下一対の嵌合穴65が形成される。ロックキー64は、圧力容器52の上下一対の嵌合穴65に嵌め込まれ、蓋体56を押さえる。乾燥室51の圧力を上昇させても、流体のリークを抑制できる。
【0044】
乾燥ユニット34は、ロックキー62をロック位置(
図4(B)参照)とロック解除位置(
図5(B)参照)との間で昇降させる昇降機構66を備える。ロック位置は、ロックキー62が蓋体54の後退を制限する位置であり、ロックキー62が上下一対の嵌合穴63の両方に嵌め込まれる位置である。ロック解除位置は、ロックキー62が蓋体54の後退を許容する位置であり、ロックキー62が上側の嵌合穴63から下方に引き抜かれた位置である。ロック解除位置は、ロックキー62と基板Wとの干渉を防止すべく、基板Wの搬入出経路よりも下方に設定される。
【0045】
昇降機構66は、例えば、複数のロックキー62が載置される昇降台661と、昇降台661を昇降させる直動アクチュエータ662とを含む。直動アクチュエータ662は、例えば空気圧シリンダであり、昇降台661を昇降させることにより、複数のロックキー62を昇降させる。直動アクチュエータ662は、回転モータと、回転モータの回転運動を昇降台661の直線運動に変換するボールねじとを含んでもよい。
【0046】
次に、
図6を参照して、乾燥ユニット34の動作の一例について説明する。
図6に示すステップS201~S205は、制御装置9による制御下で実施される。先ず、第1搬送装置32が、乾燥液の液膜Fが形成された基板Wを水平に保持し、圧力容器52の内部の乾燥室51に基板Wを搬入する(ステップS201)。次に、乾燥室51に固定された支持体58が、第1搬送装置32から基板Wを受け取り、受け取った基板Wを水平に支持する。続いて、第1搬送装置32が、圧力容器52の開口53から外部に退出する。
【0047】
次に、回転機構61が、蓋体54を待機位置から開放位置に回動させる。続いて、直動機構60が、蓋体54を開放位置から閉塞位置に前進させる。その結果、蓋体54が、圧力容器52の開口53を塞ぐ。次に、昇降機構66が、ロックキー62をロック解除位置からロック位置に上昇させる。ロックキー62は、蓋体54を後方から押さえ、蓋体54の後退を制限する。
【0048】
次に、供給機構57が、CO2などの流体を乾燥室51に供給し、乾燥室51の圧力を上昇させる(ステップS202)。流体は、乾燥室51の圧力を上昇させる間、乾燥室51から排出されずに、乾燥室51に溜められる。乾燥室51の圧力は、臨界圧力以上の設定圧力まで上昇させられる。
【0049】
次に、供給機構57が流体を乾燥室51に供給すると共に、不図示の排出機構が流体を乾燥室51から排出し、乾燥室51の圧力を設定圧力に維持しながら、超臨界状態の流体に溶解した乾燥液をパージする(ステップS203)。その結果、液膜Fが超臨界流体に置換される。
【0050】
次に、供給機構57が流体を乾燥室51に供給するのを止め、不図示の排出機構が流体を乾燥室51から排出し、乾燥室51の圧力を減少させる(ステップS204)。排出機構は、減圧時間を短縮すべく、真空ポンプ又はエジェクタ等を含んでもよい。乾燥室51の圧力は、大気圧程度まで減少させられる。
【0051】
次に、昇降機構66が、ロックキー62をロック位置からロック解除位置に下降させる。次に、直動機構60が、蓋体54を閉塞位置から開放位置に後退させる。続いて、回転機構61が、蓋体54を開放位置から待機位置に回動させる。最後に、第1搬送装置32が、圧力容器52の内部の乾燥室51に進入し、支持体58から基板Wを受け取り、受け取った基板Wを搬出する(ステップS205)。
【0052】
次に、
図1及び
図7~
図10を参照して、乾燥ユニット34のメンテナンスの一例について説明する。
図1に示すように、X軸方向に隣り合う2つの乾燥ユニット34の間には、大気で満たされたメンテナンス領域35が設けられる。作業者は、メンテナンス領域35に進入した状態で、乾燥ユニット34のメンテナンスを行う。乾燥ユニット34のメンテナンスは、例えば蓋体54に取付けられたシール部材の掃除または交換を含む。作業者は、第1搬送領域31に進入せずに済み、酸素マスクなどを着用せずに済む。
【0053】
また、作業者が第1搬送領域31に進入しないので、制御装置9が第1搬送装置32の動作を完全に停止せずに済む。制御装置9は、メンテナンス対象の乾燥ユニット34に対する基板Wの搬送を禁止すればよく、残りの乾燥ユニット34に対する基板Wの搬送を許容する。一の乾燥ユニット34のメンテナンス中に別の乾燥ユニット34で基板Wの乾燥を行うことができ、基板処理装置1の稼働率の低下を抑制できる。
【0054】
制御装置9は、乾燥ユニット34ごとに、乾燥ユニット34のメンテナンスを促す報知を行う。報知は、画面表示または音声出力などを含む。報知を行うタイミングは、前回のメンテナンスからの経過時間、または基板Wの処理枚数などで決定される。報知の後で、作業者が予め設定された入力操作を行うと、制御装置9は乾燥ユニット34に対する基板Wの搬送を禁止するメンテナンスモードを実施する。制御装置9は、乾燥ユニット34ごとにメンテナンスモードを実施するか否かを選択する。
【0055】
図7に示すように、基板処理装置1は、支持部材67を備える。支持部材67は、開口53に対して平行な第1方向(例えばX軸負方向)と、第1方向とは反対方向である第2方向(例えばX軸正方向)の両方向に蓋体54を移動可能に支持する。重量物である蓋体54を支持部材67で支持することで、作業者の負担を軽減できる。よって、メンテナンス性を向上できる。なお、支持部材67は、本実施形態では蓋体54を移動可能に支持するが、別の蓋体56を移動可能に支持してもよい。
【0056】
支持部材67が蓋体54を支持した状態で、蓋体54は開口53に対して平行な方向に移動させられる。開口53の近傍に開口53と対向するパネルがあっても、パネルと平行に蓋体54を移動させることで、パネルと圧力容器52の隙間から蓋体54を引き出すことができ、蓋体54のメンテナンスが可能になる。なお、蓋体54の移動方向は、開口53に対して平行な方向であればよく、水平方向には限定されず、垂直方向であってもよいし、水平方向と垂直方向に対して傾斜した方向であってもよい。
【0057】
開口53は、基板Wを通過させる搬入出口である。支持部材67が蓋体54を支持した状態で、蓋体54は基板Wの搬入方向(例えばY軸正方向)および搬出方向(例えばY軸負方向)に対して垂直な方向に移動させられる。支持部材67は、
図1に示すように、乾燥ユニット34から、基板Wを搬出する方向(Y軸負方向)にはみ出さないように設けられる。言い換えると、支持部材67は、乾燥ユニット34から第1搬送領域31にはみ出さないように設けられる。これにより、第1搬送装置32の動作を完全に停止せずに済み、基板処理装置1の稼働率の低下を抑制できる。
【0058】
図7に示すように、支持部材67は、例えば、蓋体54を案内する直動ガイド671を有する。直動ガイド671は、例えば、蓋体54を載せる水平板672と、蓋体54を第1方向および第2方向に案内する一対のガード673(
図8参照)と、蓋体54の第1方向における移動範囲を制限するストッパ674を有する。一対のガード673とストッパ674は、水平板672の上面に設けられる。
【0059】
蓋体54は、転動体68を有する。転動体68は、ボールまたはコロ(本実施形態ではボール)である。転動体68は、支持部材67に接触しながら転動することで、蓋体54と支持部材67の摩擦を低減し、小さな力で蓋体54の移動を可能にする。なお、転動体68は、本実施形態では蓋体54に設けられるが、支持部材67に設けられてもよい。
【0060】
蓋体54は、図示しないシール部材が設けられる第1面541と、第1面541とは反対向きの第2面542と、を有する(
図7及び
図8参照)。シール部材は、開口53を取り囲むようにリング状に設けられ、乾燥室51を密閉する。転動体68は、第2面542に設けられる。蓋体54は、回転軸69を中心に回転する。
【0061】
図4(B)に示すように蓋体54が第1回転位置(閉塞位置)にあるときに、転動体68は後方に向けて配置され、ロックキー62と干渉しない位置、例えばX軸方向に間隔をおいて並ぶ2つのロックキー62の間に配置される。一方、
図5(B)に示すように蓋体54が第2回転位置(待機位置)にあるときに、転動体68は下方に向けて配置される。
【0062】
作業者は、
図7(A)に示すように、ロックキー62をロック解除位置で停止させ、蓋体54を第2回転位置(待機位置)で停止させた状態で、蓋体54の下に水平板672を差し込む。その後、作業者は、蓋体54を待機位置(
図7(A)参照)からメンテナンス位置(
図7(B))まで第1方向(
図7において左方向)に引き抜く。
【0063】
その結果、蓋体54から第2方向(
図7において右方向)に突出する回転軸69が、
図7において右側の軸受ホルダ601から分離する。
図7において右側の軸受ホルダ601は、回転軸69が分離可能に嵌合される中空軸601aと、中空軸601aを回転自在に支持する軸受601bと、を有する。回転軸69には、図示しないOリングが設けられてもよい。Oリングは回転軸69と中空軸601aのすべりを抑制し、中空軸601aは回転軸69と共に回転する。
【0064】
なお、
図7において左側の軸受ホルダ601は、中空軸601aを有しない。蓋体54から第1方向(
図7において左方向)に突出する回転軸69は、
図7において左側の軸受ホルダ601の軸受の内輪に固定されており、
図7において左側の軸受ホルダ601から分離しない。
【0065】
作業者は、
図7に示すように、蓋体54だけではなく左側の軸受ホルダ601も第1方向に移動させてもよい。左側の軸受ホルダ601とスライダ602との連結は、予め解除される。左側の軸受ホルダ601には回転機構61が固定されており、回転機構61も第1方向に移動させられる。そこで、空気圧を送る配管(または電力を送る配線)は、予め回転機構61から取外される。
【0066】
作業者は、ストッパ674によって蓋体54をメンテナンス位置に停止させた状態で、蓋体54に取付けられたシール部材の掃除または交換などを行う。このとき、シール部材が設けられる第1面541は上向きであるので、シール部材の掃除または交換が容易である。
【0067】
その後、作業者は、蓋体54をメンテナンス位置から待機位置まで第2方向(
図7において右方向)に押し戻す。その結果、蓋体54から第2方向に突出する回転軸69が中空軸601aに嵌合される。回転軸69が中空軸601aの穴に差し込まれることで、回転軸69の芯出しが完了する。回転軸69又は中空軸601aの穴は、第2方向に向けて先細り状のテーパーを有してもよい。
【0068】
その後、作業者は、支持部材67を圧力容器52から取外す。これにより、蓋体54の下方に空間が形成され、蓋体54が回転軸69を中心に回転可能になり、蓋体54が待機位置(第2回転位置)から開放位置(第1回転位置)に回転可能になる。支持部材67は、圧力容器52に対して取外し可能に連結される。
【0069】
なお、回転機構61が無い場合、支持部材67は圧力容器52に対して取外し不能に連結されてもよい。その場合、支持部材67は、圧力容器52の一部として設けられてもよい。あるいは、支持部材67は、ロックキー62の一部(例えば上部)として設けられてもよい。
【0070】
乾燥ユニット34は、
図9に示すように、蓋体54が所望の位置(例えば待機位置)に位置することを検出する位置センサ75を有してもよい。位置センサ75は、例えば光電センサである。光電センサは、例えば、投光部と、投光部から照射された光を受光する受光部とを有する。投光部と受光部との間に検出体76が挿入されると、受光部で受光する光の強さが低下する。なお、位置センサ75は、本実施形態では光電センサであるが、近接センサまたはリミットスイッチなどであってもよい。
【0071】
位置センサ75は、例えば、スライダ602に設けられる。スライダ602は、軸受ホルダ601が取外し可能に連結される連結板602aを有する。連結板602aは、軸受ホルダ601が当接する面602bと、位置センサ75が設けられる面602cとの間に段差を有してもよい。
【0072】
検出体76は、例えば、回転軸69と共に回転する回転盤77に設けられる。蓋体54が待機位置(第2回転位置)に位置するときに、位置センサ75が検出体76の存在を検出する。制御装置9は、位置センサ75によって蓋体54が待機位置に位置することを確認する。これにより、蓋体54がメンテナンス位置から待機位置に戻ったことを確認できる。
【0073】
乾燥ユニット34は、
図10に示すように、蓋体54が開放位置(第1回転位置)に位置することを検出する位置センサ78を有してもよい。位置センサ78の検出体79は、回転盤77に設けられる。蓋体54が開放位置に位置するときに、位置センサ78が検出体79の存在を検出する。
【0074】
次に、
図11~
図12を参照して、蓋体56を支持する支持部材80の一例について説明する。支持部材80は、圧力容器52の開口55を塞ぐ閉塞位置(
図11(A)参照)と、蓋体56のメンテナンスが行われるメンテナンス位置(
図12(B)参照)との間で蓋体56を移動可能に支持する。重量物である蓋体56を支持部材80で支持することで、作業者の負担を軽減できる。よって、メンテナンス性を向上できる。
【0075】
支持部材80は、例えば、圧力容器52に対して連結される第1回転軸81を中心に回転するガイドアーム83を有する。第1回転軸81を中心に蓋体56を回転させることで、蓋体56を圧力容器52から引き出すことができる。蓋体56は、圧力容器52から第1搬送領域31とは反対側に引き出される。
【0076】
第1回転軸81は、例えば支持フレーム59の水平板593の下面に設けた支持片84に取付けられる。支持片84は、回転ストッパ841を有する。回転ストッパ841は、ガイドアーム83の突起831に当接することで、ガイドアーム83の回転範囲を制限する。
【0077】
第1回転軸81は、X軸方向に延びている。第1回転軸81とガイドアーム83は、X軸方向に間隔をおいて一対設けられる。なお、ガイドアーム83は、本実施形態では蓋体56を支持する支持部材80として使用するが、別の蓋体54を支持する支持部材67として使用することも可能である。
【0078】
蓋体56は、図示しないノズルと図示しないシール部材が設けられる第1面561と、第1面561とは反対向きの第2面562と、を有する。ノズルは、シール部材の内側に設けられ、乾燥室51にCO2などの流体を供給する。シール部材は、開口55を取り囲むようにリング状に設けられ、乾燥室51を密閉する。
【0079】
ガイドアーム83は、第1回転軸81と平行な第2回転軸82を中心に回転自在に蓋体56を支持する。蓋体56の第1面561の向きを変更できる。蓋体56の第2面562には、回転ストッパ563、564が設けられる。回転ストッパ563、564は、ガイドアーム83の突起832を挟んで設けられる。回転ストッパ563、564は、突起832に当接することで、蓋体56の回転範囲を制限する。蓋体56が自重で回転するのを制限できる。
【0080】
ガイドアーム83は、蓋体56が取付けられる第1アーム833と、第1回転軸81が取付けられる第2アーム834と、を有する。第1アーム833と第2アーム834とは分離可能に嵌合される。第1アーム833を第2アーム834と分離することで、第1アーム833と共に蓋体56を取外すことができ、メンテナンス性をさらに向上できる。
【0081】
ガイドアーム83は、例えばU字状の形状を有する。第1アーム833と第2アーム834は、それぞれ、例えばL字状の形状を有する。第1アーム833の一端には蓋体56が取付けられ、第1アーム833の他端には凸部が設けられる。一方、第2アーム834の一端には第1回転軸81が取付けられ、第2アーム834の他端には凹部が設けられる。第1アーム833の凸部と第2アーム834の凹部とが嵌合される。
【0082】
なお、本実施形態では第1アーム833が凸部を有し、第2アーム834が凹部を有するが、凸部と凹部の配置は逆でもよい。第1アーム833が凹部を有し、第2アーム834が凸部を有し、第1アーム833の凹部と第2アーム834の凸部とが嵌合されてもよい。
【0083】
作業者は、
図11(A)に示すように蓋体56を閉塞位置で停止させた状態で、ロックキー64(
図3等参照)を上下一対の嵌合穴65から上方に引き抜く。その後、作業者は、
図11(B)に示すようにガイドアーム83を引き出す。このとき、
図11(B)に示すように回転ストッパ563が突起832に当接するまで、蓋体56は自重で第2回転軸82を中心に回転する。
【0084】
作業者は、
図12(A)に示すようにガイドアーム83をさらに引き出す。ガイドアーム83は第1回転軸81を中心に回転し、突起831が回転ストッパ841に当接することで、ガイドアーム83の回転が停止する。その後、作業者は、
図12(B)に示すように、回転ストッパ564が突起832に当接するまで、第2回転軸82を中心に蓋体56を回転させ、蓋体56の第1面561を上向きにする。
【0085】
蓋体56の第2面562は下向きになる。蓋体56の第2面562にはロッド85が突設されており、ロッド85の先端(
図12(B)において下端)にはインデックスプランジャ86が設けられている。作業者は、インデックスプランジャ86のピンを伸ばし、ピンをガイドアーム83の側面に当接させることで、蓋体56が自重で回転するのを防止する。
【0086】
作業者は、蓋体56をメンテナンス位置に停止させた状態で、蓋体56の第1面561に設けたノズルまたはシール部材の掃除または交換などを行う。このとき、ノズルまたはシール部材が設けられる第1面561は上向きであるので、ノズルまたはシール部材の掃除または交換が容易である。
【0087】
その後、作業者は、逆の手順で、蓋体56をメンテナンス位置から閉塞位置に戻し、ロックキー64を上下一対の嵌合穴65に嵌め込む。
【0088】
なお、支持部材80は、図示しないが、直動ガイドを有してもよい。直動ガイドは、圧力容器52の開口55に対して接離する方向(例えばY軸正方向およびY軸負方向)に蓋体56を案内する。また、支持部材80は、蓋体56の移動に伴って転動する転動体を有してもよい。
【0089】
乾燥ユニット34は、
図3に示すように、ロックキー64がロック位置に位置することを検出する位置センサ89を有してもよい。ロック位置は、ロックキー64が蓋体56を圧力容器52の開口55とは反対側から押さえる位置である。また、ロック位置は、ロックキー64が上下一対の嵌合穴65の両方に嵌め込まれる位置である。位置センサ89はロックキー64ごとに設けられる。制御装置9は、供給機構57で圧力容器52の内部を加圧する前に、位置センサ89によって全てのロックキー64がロック位置に位置することを確認する。
【0090】
同様に、乾燥ユニット34は、ロックキー62がロック位置に位置することを検出する図示しない位置センサを有してもよい。ロック位置は、ロックキー62が蓋体54を圧力容器52の開口53とは反対側から押さえる位置である。また、ロック位置は、ロックキー62が上下一対の嵌合穴63の両方に嵌め込まれる位置である。位置センサはロックキー62ごとに設けられる。制御装置9は、供給機構57で圧力容器52の内部を加圧する前に、位置センサによって全てのロックキー62がロック位置に位置することを確認する。
【0091】
また、乾燥ユニット34は、蓋体54が閉塞位置に位置することを検出する図示しない位置センサを有してもよい。閉塞位置は、蓋体54が圧力容器52の開口53を閉塞する位置である。制御装置9は、供給機構57で圧力容器52の内部を加圧する前に、位置センサによって蓋体54が閉塞位置に位置することを確認する。
【0092】
以上、本開示に係る基板処理装置、及び基板処理装置のメンテナンス方法の実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0093】
1 基板処理装置
34 乾燥ユニット
52 圧力容器
53 開口
54 蓋体
67 支持部材