(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101304
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】有機光電変換素子
(51)【国際特許分類】
H10K 30/60 20230101AFI20240722BHJP
H10K 30/20 20230101ALI20240722BHJP
H10K 30/85 20230101ALI20240722BHJP
【FI】
H10K30/60
H10K30/20
H10K30/85
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005208
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】今村 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】堺 俊克
(72)【発明者】
【氏名】宮川 和典
(72)【発明者】
【氏名】為村 成亨
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘人
【テーマコード(参考)】
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
5F149AB11
5F149BA05
5F149CB05
5F149CB06
5F149DA28
5F149DA30
5F149FA04
5F149GA02
5F149XA01
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5F849GA02
5F849XA02
5F849XA14
(57)【要約】
【課題】暗電流を低減することを可能とした有機光電変換素子を提供する。
【解決手段】少なくとも有機光電変換膜4と透明電極7との間に、有機光電変換膜4側から順に、有機バッファ層5と、無機ブロッキング層6とが積層して設けられている。有機バッファ層5の最低空準位(LUMO)が有機光電変換膜4のLUMOよりも大きく、有機バッファ層5のLUMOが無機ブロッキング層6の伝導帯準位よりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも有機光電変換膜と透明電極との間に、前記有機光電変換膜側から順に、有機バッファ層と、無機ブロッキング層とが積層して設けられていることを特徴とする有機光電変換素子。
【請求項2】
前記有機バッファ層の最低空準位(LUMO)が前記有機光電変換膜のLUMOよりも大きく、前記有機バッファ層のLUMOが前記無機ブロッキング層の伝導帯準位よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換素子。
【請求項3】
前記無機ブロッキング層が正孔ブロッキング層であることを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換素子。
【請求項4】
前記有機光電変換膜が一対の透明電極の間に挟み込まれた構造を有することを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換素子。
【請求項5】
基板の上に、前記透明電極と、前記有機光電変換膜と、前記有機バッファ層と、前記無機ブロッキング層と、前記透明電極とが、順に積層して設けられていることを特徴とする請求項4に記載の有機光電変換素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高解像度及び高感度が要求される放送用TVカメラでは、レンズを通してカメラに入射された光を色分解プリズムで青・緑・赤の3原色に分けた後、各色光に対応した3枚の撮像素子で受光する、いわゆる3板式のカラー撮像素子が採用されている。
【0003】
しかしながら、3板式のカラー撮像素子を採用した場合、色分解プリズムと3枚の撮像素子とを搭載することによりカメラのサイズが大きくなる。また、撮像レンズを含めたカメラ全体の小型軽量化が困難となる。
【0004】
したがって、カメラの小型軽量化を実現するためには、色分解プリズムが不要で、撮像素子が1枚で済む単板式の撮像素子が望まれる。
【0005】
カメラの小型軽量化を実現する手法として、1枚の撮像素子の画素上に3色又は4色の微小なカラーフィルタをモザイク状に配置した単板式のカラー撮像素子がある。家庭用のビデオカメラやデジタルカメラでは、この単板式が主流になっている。
【0006】
単板式の代表的な色配列としては、赤、緑、青の原色フィルタを用いたベイヤー配列がある。しかしながら、3板式と比較すると、赤、緑、青の何れか1色のみで1画素を形成するため、解像度が劣り、加えて入射光のうち所望の色光以外の色光がカラーフィルタに吸収されてしまい、光の利用効率が低くなる。
【0007】
一方、ベイヤー配列などの単板式で問題となる低い解像度は、光の進入方向に3層のシリコンフォトダイオードを積層した垂直色分離型イメージセンサを採用することで改善が可能である(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0008】
これは、シリコン基板内部への光の進入深さが波長毎に異なることを利用し、光の照射面から最も浅い位置にあるシリコンフォトダイオードで青色光を、中間に位置するシリコンフォトダイオードで緑色光を、最も深い位置にあるシリコンフォトダイオードで赤色光を検知するものである。
【0009】
しかしながら、この構成では、受光部にシリコンフォトダイオードを用いるため、青色光検知用のフォトダイオードにおいても、緑色光や赤色光を一定の割合で吸収してしまい、色分解特性が不十分となる。さらに、信号読み出し部が受光面と同一平面上に形成されるため、受光面に対する受光部の比率(開口率)が100%に至らず、光の利用効率も十分ではない。
【0010】
このような課題を解決すべく、波長選択性を有する光電変換膜を積層した垂直色分離型の撮像素子が提案されている(例えば、下記特許文献2~4を参照。)。すなわち、この垂直色分離型の撮像素子では、光の3原色のうち、青色光のみに光感度を有する光電変換膜と、緑色光のみに光感度を有する光電変換膜と、赤色光のみに光感度を有する光電変換膜とを積層することで、単板式でありながら、光の利用効率が高く、高解像度の撮像が可能である。
【0011】
また、光電変換膜に有機材料を用いた場合、有機材料は特定の波長域のみを吸収するといった特徴を付加できる。このため、青、緑、赤の3原色にそれぞれ吸収を持つように分子設計を行うことにより、それぞれの有機材料からなる光電変換膜を積層することで、単板式の撮像素子を構築することが可能である。また、この方式を採用した場合、原理的に3板式と同等の色分解特性及び光の利用効率が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5965875号明細書
【特許文献2】特開2002-217474号公報
【特許文献3】特開2005-051115号公報
【特許文献4】特開2012-160619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上述した有機光電変換膜を用いた有機光電変換素子では、有機光電変換膜に電圧を印加し、この有機光電変換膜の内部で発生した光電荷を有機光電変換膜の外部へと取り出す必要がある。このため、有機光電変換素子は、一対の電極の間に有機光電変換膜が挟み込まれた構造を有している。
【0014】
しかしながら、従来の有機光電変換素子では、電極から有機光電変換膜への電荷注入が発生すると、有機発光素子などの電荷注入型の素子であれば問題にならないが、この外部からの電荷注入がノイズ成分の一種である暗電流となる。
【0015】
このため、電極の仕事関数よりも最高被占軌道(HOMO)の大きい有機膜が電荷注入を防ぐブロッキング層として光電変換膜と電極との間に設けられている。
【0016】
一方、有機光電変換膜が複数積層された有機光電変換素子では、下段の有機光電変換膜まで光を通過させて光利用効率を高めるために、有機光電変換膜を挟み込む一対の電極に透明電極を適用することが望ましい。透明電極としては、一般的に酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム-酸化亜鉛系酸化物(IZO)などの透明導電材料が使用されることが多い。
【0017】
一方、有機光電変換膜を挟み込む一対の電極に透明電極を適用した場合、アルミニウムなどの不透明な金属電極よりも仕事関数が大きくなる。この場合、HOMOが大きい有機膜をブロッキング層として配置しても、印加電圧の増加に伴って電荷注入成分が増すことになる。
【0018】
これを防ぐためには、価電子帯準位が大きい無機膜をブロッキング層として用いることがエネルギーレベルの観点からは有効である。
【0019】
しかしながら、有機光電変換膜の上に無機ブロッキング層を直接積層する場合、一般に有機材料に比べて材料をより高い温度に加熱して蒸着する必要がある。このため、有機光電変換膜に成膜ダメージが入ってしまい、有機光電変換膜中で発生する暗電流が増加するといった問題が発生してしまう。
【0020】
また、有機光電変換膜の上に無機ブロッキング層を直接積層する場合、無機ブロッキング層を構成する粒子が有機光電変換膜の内部に不純物として入り込むため、暗電流の増加など光電変換特性を劣化させる課題もある。
【0021】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、暗電流を低減することを可能とした有機光電変換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 少なくとも有機光電変換膜と透明電極との間に、前記有機光電変換膜側から順に、有機バッファ層と、無機ブロッキング層とが積層して設けられていることを特徴とする有機光電変換素子。
〔2〕 前記有機バッファ層の最低空準位(LUMO)が前記有機光電変換膜のLUMOよりも大きく、前記有機バッファ層のLUMOが前記無機ブロッキング層の伝導帯準位よりも小さいことを特徴とする前記〔1〕に記載の有機光電変換素子。
〔3〕 前記無機ブロッキング層が正孔ブロッキング層であることを特徴とする前記〔1〕に記載の有機光電変換素子。
〔4〕 前記有機光電変換膜が一対の透明電極の間に挟み込まれた構造を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の有機光電変換素子。
〔5〕 基板の上に、前記透明電極と、前記有機光電変換膜と、前記有機バッファ層と、前記無機ブロッキング層と、前記透明電極とが、順に積層して設けられていることを特徴とする前記〔4〕に記載の有機光電変換素子。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、暗電流を低減することを可能とした有機光電変換素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る有機光電変換素子の構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す有機光電変換素子を構成する各層のエネルギー準位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0026】
本発明の一実施形態として、例えば
図1及び
図2に示す有機光電変換素子1について説明する。
なお、
図1は、有機光電変換素子1の構成を示す断面図である。
図2は、有機光電変換素子1を構成する各層のエネルギー準位を示す図である。
【0027】
本実施形態の有機光電変換素子1は、
図1に示すように、基板2の上に、下部透明電極3と、有機光電変換膜4と、有機バッファ層5と、無機ブロッキング層6と、上部透明電極7とが、この順で積層された構造を有している。
【0028】
基板2としては、例えば、ガラス基板などの透明基板を用いることができる。
【0029】
下部透明電極3及び上部透明電極7としては、例えば、ITOやIZO、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO2)などの透明導電材料を用いることができる。本実施形態では、下部透明電極3が負極を構成し、上部透明電極7が正極を構成している。
【0030】
各透明電極3,7の厚みは、透過率と導電率の良好な電極特性を得るために、5~100nmであることが好ましく、より好ましくは、10~30nmである。各透明電極3,7の形成方法としては、例えば、真空蒸着法やスパッタ法、CVD法、電子ビーム(EB)蒸着法などの種々の手法を用いることができる。
【0031】
また、有機光電変換膜4としては、上述した有機光電変換材料を単層で用いてもよく、2種類以上の有機光電変換材料を混合、若しくは2層以上の有機光電変換材料を積層して用いてもよい。
【0032】
有機光電変換材料については、例えば、クマリン誘導体やポルフィリン誘導体、キナクリドン誘導体やペリレン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体を挙げることができる。有機光電変換膜4の厚みは、10nm~1μmであることが好ましい。
【0033】
本実施形態の有機光電変換素子1では、下部透明電極3から有機光電変換膜4への電荷注入を防ぐために、下部透明電極3と有機光電変換膜4との間に、電子ブロッキング層を配置した構成としてもよい。電子ブロッキング層の厚みは、5~1000nmであることが好ましい。
【0034】
有機バッファ層5としては、例えば、4,6-Bis(3,5-di(pyridin-3-yl)phenyl)-2-methylpyrimidine(B3PYMPM)、4,6-Bis(3,5-di(pyridin-4-yl)phenyl)-2-methylpyrimidine(B4PYMPM)、tris (8-hydroxyquinolinato)aluminium(Alq3)などの有機材料を用いることができる。
【0035】
また、有機バッファ層5としては、上述した有機材料を単層で用いてもよく、2種類以上の有機材料を混合、若しくは2層以上の有機材料を積層して用いてもよい。
【0036】
例えば、有機バッファ層5として、異なる有機材料を2層以上積層する場合、有機光電変換膜4の上にブロッキング性能に優れた有機材料と、その上に無機材料の成膜に対して構造的に強い有機材料とを積層することによって、2層目の有機材料により1層目の有機バッファ層5の劣化を防止して、有機光電変換膜4からの信号電荷をより効率的に取り出すことが期待できる。
【0037】
有機バッファ層5は、有機光電変換膜4からの信号電荷を効率的に取り出すために、有機光電変換膜4のLUMOとの差、及び、無機ブロッキング層6の伝導帯準位との差が、それぞれ0.1eV以上であることが好ましく、より好ましくは、0.3eV以上である。
【0038】
無機ブロッキング層6は、上部透明電極7から有機光電変換膜4への正孔注入を防ぐための正孔ブロッキング層である。無機ブロッキング層としては、例えば、ZnOやSiO、Ga2O3などの金属酸化物からなる無機材料を用いることができる。
【0039】
また、無機ブロッキング層6としては、上述した無機材料を単層で用いてもよく、2種類以上の無機材料を混合、若しくは2層以上の無機材料を積層して用いてもよい。
【0040】
無機ブロッキング層6の厚みは、5~100nmであることが好ましく、より好ましくは、10~30nmである。無機ブロッキング層6の形成手法としては、例えば、真空蒸着法やスパッタ法、CVD法、EB蒸着法などの種々の手法を用いることができる。
【0041】
無機ブロッキング層6の価電子帯準位は、上部透明電極7の仕事関数と比べて2eV以上大きいことが好ましく、3eV以上大きいことがより好ましい。
【0042】
以上のような構成を有する本実施形態の有機光電変換素子1では、上述した一対の透明電極3,7の間に有機光電変換膜4が挟み込まれた構造を有し、少なくとも有機光電変換膜4と上部透明電極7との間に、有機光電変換膜4側から順に、有機バッファ層5と、無機ブロッキング層6とが積層して設けられている。
【0043】
また、本実施形態の有機光電変換素子1では、
図2に示すように、有機バッファ層5のLUMOが有機光電変換膜4のLUMOよりも大きく、有機バッファ層5のLUMOが無機ブロッキング層6の伝導帯準位よりも小さくなっている。
【0044】
この場合、無機ブロッキング層6を構成する無機粒子が有機バッファ層5の内部に入り込むものの、有機光電変換膜4まで達することがない。
【0045】
これにより、本実施形態の有機光電変換素子1では、光電変換特性の劣化を防ぎつつ、上部透明電極7から有機光電変換膜4への注入成分による暗電流を効果的に抑制することが可能である。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、有機光電変換膜4が一対の透明電極3,7の間に挟み込まれた構造を有する有機光電変換素子1を例示しているが、波長選択性を有する複数の光電変換素子を積層した垂直色分離型の撮像素子に本発明を適用することも可能である。
【0047】
また、有機光電変換膜4を挟み込む一対の電極に透明電極3,7を適用したもの限らず、正極となる上部透明電極7側から光が照射される場合、負極として、下部透明電極3の代わりに、例えばアルミニウムなどの不透明な金属電極を適用することも可能である。
【実施例0048】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0049】
(実施例1)
実施例1では、上記
図1に示す構成の有機光電変換素子を作製した。
【0050】
具体的には、ITOからなる下部透明電極が設けられたガラス基板の上に、有機光電変換膜を形成した。有光電変換膜としては、下部透明電極側から順に、Tris(phenylpyrazole)iridium (Ir(ppz)3):膜厚30nm)と、Boron subphthalocyanine chloride (SubPC:膜厚150nm)とを形成した。その後、有機光電変換膜の上に、B4PYMPM(膜厚70nm)からなる有機バッファ層と、ZnO(膜厚30nm)からなる無機ブロッキング層とを順次積層し、最後にITOからなる上部透明電極を形成した。
【0051】
このうち、有機光電変換膜及び有機バッファ層の形成には、真空蒸着法を用い、無機ブロッキング層及び上部透明電極の形成には、EB蒸着法を用いて、真空一貫で形成した。
【0052】
(比較例1)
比較例1では、上記
図1に示す構成のうち、有機バッファ層を省略した以外は、上記実施例1と同様の条件で有機光電変換素子を作製した。
【0053】
そして、これら実施例1及び比較例1の有機光電変換素子について、10Vの電圧を印加した時の電流密度を測定した。その測定結果を下記表1に示す。
【0054】
また、光電流については、波長550nm、50μW/cm2の単色光をガラス基板側から照射して測定した。なお、光電流は、全ての有機光電変換素子で同じオーダーの値となっている。
【0055】
【0056】
表1に示すように、実施例1の有機光電変換素子は、比較例1の有機光電変換素子に比べて、暗電流が低減されたことがわかる。
【0057】
以上の測定結果から、一対の透明電極の間に有機光電変換膜が挟み込まれた有機光電変換素子において、少なくとも有機光電変換膜と上部透明電極との間に、有機光電変換膜側から順に、有機バッファ層と、無機ブロッキング層とを積層して設けることによって、上部透明電極から有機光電変換膜への注入成分に起因する暗電流を低減できることが明らかとなった。
1…有機光電変換素子 2…基板 3…下部透明電極(負極) 4…有機光電変換膜 5…有機バッファ層 6…無機ブロッキング層(正孔ブロッキング層) 7…上部透明電極(正極)