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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101313
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】窒素含有有機排水の生物処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20230101AFI20240722BHJP
   C02F 3/08 20230101ALI20240722BHJP
【FI】
C02F3/34 101A
C02F3/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005234
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】藤島 繁樹
【テーマコード(参考)】
4D003
4D040
【Fターム(参考)】
4D003AA12
4D003AB02
4D003BA02
4D003CA08
4D003EA14
4D003EA15
4D003EA17
4D003EA19
4D003EA21
4D003EA22
4D003EA30
4D003FA01
4D040BB01
4D040BB23
4D040BB24
4D040BB25
4D040BB42
4D040BB52
4D040BB82
4D040BB91
4D040BB93
(57)【要約】
【課題】薬品使用量の低減や汚泥発生量の低減を実現することができる窒素含有有機排水の生物処理方法を提供する。
【解決手段】CODCr/N比が20以下の窒素含有有機排水を処理する方法において、該窒素含有有機排水を、汚泥返送を行わない一過式の流動床担体方式の好気性生物処理槽1及び硝化槽2で有機物を分解及び硝化処理し、この硝化処理水をSS/NOx-N比が4以下の状態で、担体を添加しない脱窒槽3で脱窒し、脱窒槽3からの脱窒処理水を再曝気槽4で再曝気処理し、再曝気処理水を固液分離し、分離した汚泥の一部を余剰汚泥として引き抜き、残部の汚泥を脱窒槽3に返送する窒素含有有機排水の生物処理方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CODCr/N比が20以下の窒素含有有機排水を処理する方法において、
該窒素含有有機排水を、汚泥返送を行わない一過式の流動床担体方式の好気性生物処理槽で有機物を分解及び硝化処理し、
この硝化処理水をSS/NOx-N比が4以下の状態で、担体を添加しない脱窒槽で脱窒し、
脱窒槽からの脱窒処理水を再曝気槽で再曝気処理し、
再曝気処理水を固液分離し、
分離した汚泥の一部を余剰汚泥として引き抜き、残部の汚泥を脱窒槽に返送する
窒素含有有機排水の生物処理方法。
【請求項2】
前記好気性生物処理槽での有機物の分解及び硝化処理により、90%以上の溶解性有機物を除去し、溶解性窒素の90%以上をNOx-Nに変換する、請求項1の窒素含有有機排水の生物処理方法。
【請求項3】
前記好気性生物処理槽が、直列に配置された2槽以上の生物処理槽よりなり、
最上流側の第1生物処理槽の担体充填率がその下流側の第2生物処理槽より低い、請求項1の窒素含有有機排水の生物処理方法。
【請求項4】
前記脱窒槽及び再曝気槽では、SRTが1~20日の浮遊法型生物処理を行う請求項1の窒素含有有機排水の生物処理方法。
【請求項5】
前記脱窒槽及び再曝気槽では、MLSSが3000~8000mg/Lの浮遊法型生物処理を行う請求項1の窒素含有有機排水の生物処理方法。
【請求項6】
前記脱窒槽の窒素除去負荷が1kg-N/m/d以下である請求項1~5のいずれかの窒素含有有機排水の生物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活排水、下水、食品工場排水、化学工場排水等の窒素含有有機排水の生物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性汚泥(生物沈殿)処理や膜式生物処理等の浮遊汚泥による生物処理方法は、良好な水質を得ることができる反面、広い設置スペースが必要であり、また、汚泥性状の安定維持が容易ではない。なお、汚泥性状が悪化すると、生物処理装置への通水が困難になる。
【0003】
流動床担体を用いた生物処理方法では、汚泥が担体に付着し、必要な汚泥量を維持できるため、高負荷運転が可能で、運転管理が容易な排水処理方式である。しかし、処理水に汚泥(SS)が含まれるため、放流水質によっては、生物処理後の凝集固液分離が必要となり、ここでの薬品使用量が、運転費の1/3以上を占める場合もある。また、汚泥発生量も浮遊汚泥方式より多い。
【0004】
窒素を多く含む有機性排水の生物処理では、硝化・脱窒・再曝気による処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-46572号公報
【特許文献2】特開2008-36580号公報
【特許文献3】特開2011-143365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、薬品使用量の低減や汚泥発生量の低減を実現することができる窒素含有有機排水の生物処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] CODCr/N比が20以下の窒素含有有機排水を処理する方法において、
該窒素含有有機排水を、汚泥返送を行わない一過式の流動床担体方式の好気性生物処理槽で有機物を分解及び硝化処理し、
この硝化処理水をSS/NOx-N比が4以下の状態で、担体を添加しない脱窒槽で脱窒し、
脱窒槽からの脱窒処理水を再曝気槽で再曝気処理し、
再曝気処理水を固液分離し、
分離した汚泥の一部を余剰汚泥として引き抜き、残部の汚泥を脱窒槽に返送する
窒素含有有機排水の生物処理方法。
【0008】
[2] 前記好気性生物処理槽での有機物の分解及び硝化処理により、90%以上の溶解性有機物を除去し、溶解性窒素の90%以上をNOx-Nに変換する、[1]の窒素含有有機排水の生物処理方法。
【0009】
[3] 前記好気性生物処理槽が、直列に配置された2槽以上の生物処理槽よりなり、
最上流側の第1生物処理槽の担体充填率がその下流側の第2生物処理槽より低い、[1]の窒素含有有機排水の生物処理方法。
【0010】
[4] 前記脱窒槽及び再曝気槽では、SRTが1~20日の浮遊法型生物処理を行う[1]の窒素含有有機排水の生物処理方法。
【0011】
[5] 前記脱窒槽及び再曝気槽では、MLSSが3000~8000mg/Lの浮遊法型生物処理を行う[1]の窒素含有有機排水の生物処理方法。
【0012】
[6] 前記脱窒槽の窒素除去負荷が1kg-N/m/d以下である[1]~[5]のいずれかの窒素含有有機排水の生物処理方法。
【発明の効果】
【0013】
窒素含有有機排水の脱窒処理を行うと、沈降性の良い汚泥が生成するので、後段の固液分離の処理水へのSS(懸濁固形物)混入量が少なくなる。また、固液分離で使用する凝集剤量も低減できる。
【0014】
本発明の一態様では、有機物分解、硝化までを流動床方式で実施し、その後の脱窒-再曝気に浮遊法型生物処理を適用する。これにより、生物処理装置の設置スペースが少なくて足りるようになり、また、運転管理が容易となる。加えて、凝集剤使用量や汚泥発生量も、すべての処理を流動床方式で行う場合に比べ少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係る窒素含有有機排水の生物処理方法を示すフロー図である。
図2】実施の形態に係る窒素含有有機排水の生物処理方法を示すフロー図である。
図3】実施の形態に係る窒素含有有機排水の生物処理方法を示すフロー図である。
図4】比較例のフロー図である。
図5】比較例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明方法が処理対象とする窒素含有排水は、CODCr/N比が20以下、望ましくは10以下、例えば2~10の窒素含有有機排水である。窒素含有有機排水のCODCr濃度は、500~5000mg/L、特に500~3000mg/L程度であることが好ましい。窒素含有有機排水の具体例としては、生活排水、下水、食品工場排水、化学工場排水等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
図1は第1の実施の形態を示すものである。原水(窒素含有有機排水)を好ましくはBOD容積負荷1kg/m/d以上例えば1~5kg/m/d(CODCr負荷の場合はこの2倍の負荷)で有機性排水を生物処理槽1に導入し、散気管1aで曝気して好気性生物処理し、有機成分(溶解性BOD、CODMn、CODCr、TOC)の90%以上を酸化分解する。
【0018】
生物処理槽1からの生物処理水を硝化槽2に導入し、散気管2aで曝気し、硝化処理する。硝化槽2の窒素負荷(排水のT-N(全窒素)で算出)は1.0kg-N/m/d以下、望ましくは0.1~0.7kg-N/m/d(15℃~25℃の場合)とする。生物処理槽1及び硝化槽2での処理により、溶解性窒素の90%以上をNOx-Nへ変換することが好ましい。
【0019】
生物処理槽1及び硝化槽2での処理は、担体を添加した流動床による一過式処理とし、汚泥返送は行わないものとする。
【0020】
流動床担体の形状は、球状、ペレット状、中空筒状、糸状、板状、角型等の任意であり、大きさ(径、一辺)は0.1~10mm程度である。担体の材料は、天然素材、無機素材、高分子素材等任意であり、ゲル状物質を用いても良いが、望ましい材質はポリウレタンフォームで一辺が5mm以下の角型とする。担体充填率は50%以下、望ましくは30~40%とする。
【0021】
硝化槽2からの処理水(硝化処理水)は、処理により生じたSSを含んでいる。硝化処理水中のSSが多い場合、後段の浮遊法型脱窒-再曝気処理で汚泥の維持ができなくなるので、硝化処理水中のSS/NOx-N比が、4.5以下、望ましくは3以下、更に望ましくは0.5~2.0となるように、排水種毎に生物処理槽1及び硝化槽2の容積負荷を設定するのが好ましい。これは、排水毎に汚泥転換率が異なるためである。
【0022】
なお、汚泥転換率が低い排水の場合は、容積負荷を高くすることができるが、汚泥転換率が高い排水の場合、容積負荷を低くする必要があり、生物処理槽1及び硝化槽2の設置スペースが広くなってしまう。
【0023】
硝化槽2からの硝化処理水は、流動床担体を用いない浮遊法型の脱窒槽3で脱窒処理された後、散気管4aを有する浮遊法型の再曝気槽4に導入され、脱窒処理水中の有機物の好気性処理を行う。これらの処理により、窒素除去と、処理水SSのフロック化が行われる。
【0024】
脱窒槽3の窒素負荷(排水のT-Nで算出)は、1kg-N/m/d以下、特に0.7kg-N/m/d以下、とりわけ0.2~0.7kg-N/m/dが好ましい。脱窒槽3での混合方法は、攪拌羽根、水中攪拌機、低流量曝気(水面下1mでのDO<0.5mg/L、ORP=-150~50mV)などのいずれでも良い。
【0025】
脱窒槽3へのSSを含めた有機物負荷を1~5kg-CODCr/m/d(0.4~2kg-BOD/m/d)とし、槽内のMLSSを3000~8000mg/L(MLVSSは2000~7000mg/L)、特に3000~6000mg/L(MLVSSは2000~5000mg/L)とすることが好ましい。
【0026】
また、汚泥令が長くなると沈降性が悪化するため、余剰汚泥はSRT=20日以下、特に15日以下、例えば5~15日で引き抜くことが好ましい。
【0027】
脱窒反応の炭素源には原水中の有機物を用いてもよく、メタノール、酢酸等の炭素源を用いてもよい。
【0028】
脱窒槽3に添加する炭素源のC/NOx-N比は1.1以下、特に0.65~0.95が好ましい。C/N比が一般的な脱窒より低いのは、高負荷流動床型処理の代謝物をC(炭素)源に使うことができるためでる。この方式により、溶解性有機物の除去率がさらに向上する。
【0029】
再曝気槽4は、過剰に添加した炭素源の除去のための設備であり、HRTを0.5時間以上、特に0.5~4時間、とりわけ0.5~2時間程度に設定するのが好ましい。このHRTを長く設定すると、汚泥の沈降性が悪化する恐れがある。再曝気槽4内のMLSSは3000~8000mg/Lとすることが好ましい。なお、目標とする処理水窒素濃度によっては、脱窒槽-曝気槽-脱窒槽-曝気槽のように、脱窒槽と再曝気槽とを複数設置しても良い。この場合、脱窒槽に挟まれる曝気槽のHRTは硝化に必要な負荷で設定されるのが好ましい。
【0030】
再曝気槽4からの再曝気処理水を沈殿槽5に導入し、汚泥を沈降させ、上澄水を処理水として取り出す。沈降した汚泥の一部は脱窒槽3に返送し、残部は余剰汚泥として排出する。沈殿槽5でのLvを1m/d以下、特に0.3~0.5m/dに設定することが好ましい。
【0031】
SSが沈殿槽5の処理水にリークする場合は、後処理として凝集加圧浮上や凝集沈殿池を設置しても良い。沈澱池や膜で分離された汚泥の一部は返送汚泥として脱窒槽へ返送し、余剰汚泥を系外に排出する。処理悪化時、再立ち上げ時以外では、生物処理槽1や硝化槽2に返送しない。
【0032】
図2は第2の実施の形態を示すフローである。食品排水のように栄養が豊富で汚泥転換率が高い排水が対象の場合は、有機物を除去する生物処理槽を図2のように2槽以上(図2では第1生物処理槽1Aと第2生物処理槽1Bとの2槽)に分けても良い。第1及び第2生物処理槽1A,1Bを直列に配置し、通水は、一過式とする。第1生物処理槽1Aと第2生物処理槽1Bの容積比率は1:1~1:6、特に1:2~1:4が好ましい。
【0033】
第1生物処理槽1AのBOD容積負荷を1kg/m/d以上、例えば1~20kg/m/d、HRT(原水滞留時間)を24h以下、好ましくは8h以下、例えば0.5~8hとすることにより、分散性細菌が優占化した処理水を得ることができ、また、HRTを短くすることでBOD濃度の低い排水を高負荷で処理することができる。
【0034】
第1生物処理槽1Aに添加する担体の充填率が高い場合、分散菌は殆ど生成せず、細菌は担体に付着するか、糸状性細菌が増殖する。そこで、流動床担体の場合、第1生物処理槽1Aに添加する担体の充填率を10%以下、望ましくは5~10%とする。これにより、濃度変動に影響されず、捕食されやすい分散菌の生成量が多くなる。第1生物処理槽1Aの溶存酸素(DO)濃度を1mg/L以下、特に0.01~0.5mg/Lとして、糸状性細菌の増殖を抑制しても良い。
【0035】
第2生物処理槽1Bの担体充填率は50%以下、望ましくは30~40%とする。
【0036】
第1生物処理槽1Aの処理水(第1生物処理水)を、後段の第2生物処理槽1Bに通水し、散気管1bで曝気し、残存している有機成分の好気性生物処理による酸化分解を行うとともに、分散性細菌の自己分解及び微小動物の捕食により、発生汚泥の減量化を行う。これにより、硝化処理水のSS/溶解性N比を所定の範囲内に収めることができる。
【0037】
図2のフローのその他の構成は図1の場合と同様である。
【0038】
なお、図2のフローの生物処理装置において、第2生物処理槽1Bで硝化が進行する場合には、第2生物処理槽1Bと硝化槽3を一体化させて、硝化槽3を省略してもよい。硝化槽3を省略した場合のフローを図3に示す。図3の各符号は図2と同一部分を示している。
【実施例0039】
[実施例1]
図1に示すフローを有し、下記構成の生物処理装置によって下記の原水を下記の運転条件によって処理した。
【0040】
<生物処理装置の構成>
生物処理槽1:容積4L、一辺2mmの立方体のポリウレタン製の流動担体40%充填
硝化槽2:容積0.9L、上記流動担体を40%充填
脱窒槽3:浮遊法、容積0.9L
再曝気槽4:浮遊法、容積0.28L
沈殿槽5:容積0.5L
【0041】
<原水>
食品製造排水
CODCr=2000mg/L(S.CODCr=1900mg/L)
BOD=1000mg/L
T-N=150mg-N/L
pH=6.5
原水流量:6L/d
【0042】
<運転条件>
生物処理槽1のCODCr容積負荷:3kg-CODCr/m/d
硝化槽2のN容積負荷:1kg-N/m/d
脱窒槽3のN容積負荷:1kg-N/m/d
脱窒槽3及び再曝気槽4の槽内汚泥濃度:MLSS=5000mg/L(MLVSS=4500mg/L)
硝化処理水:S.CODCr=100mg/L、S.T-N=110mg-N/L、NOx-N=100mg-N/L、SS=380mg/L
汚泥引き抜き量:0.168L/d
汚泥返送量:6L/d
SRT(脱窒槽+再曝気槽)=7日
種汚泥:運転開始時に各槽に以下の通り別系統からの活性汚泥を添加した。
【0043】
生物処理槽1:汚泥を4L
硝化槽2:汚泥を0.9L
脱窒槽3:汚泥を0.28L
再曝気槽4:汚泥を0.5L
【0044】
[結果]
上記条件で60日間運転したところ、汚泥転換率は0.19kg-SS/kg-CODCrとやや高いが、沈澱槽処理水はCODCr=30mg/L、SS<20mg/L、T-N=8mg-N/Lと良好な処理水質を得ることができた。槽1~4の合計容積は6.08Lとコンパクトであった。
【0045】
[実施例2]
図3のフローを有する生物処理装置を用い、下記の運転条件にて実施例1と同一の原水を処理した。流動担体は実施例1と同一である。
【0046】
生物処理槽1A:容積1.2L、流動担体5%充填
生物処理槽1B:容積2.8L、流動担体40%充填
硝化槽:なし
脱窒槽3、再曝気槽4及び沈殿槽5:実施例1と同一
原水:実施例1と同一
原水量:6L/d(実施例1と同一)
生物処理槽1A及び1BのCODCr容積負荷:3kg-CODCr/m/d
脱窒槽3のN容積負荷:1kg-N/m/d
脱窒槽3及び再曝気槽4の槽内汚泥濃度:MLSS=5000mg/L(MLVSS=4400mg/L)
硝化処理水:S.CODCr=105mg/L、S.T-N=130mg-N/L、NOx-N=110mg-N/L、SS=190mg/L
汚泥引き抜き量:0.08L/d
SRT=15日
【0047】
[結果]
上記条件で60日間運転したところ、汚泥転換率は0.098kg-SS/kg-CODCrと低く、沈澱槽処理水はCODCr=33mg/L、SS<20mg/L、T-N=10mg-N/Lと良好な処理水質を得ることができた。槽1A,1B,3,4の合計容積は5.18Lであり、コンパクトであった。
【0048】
[比較例1]
図4に示す、生物処理槽1、硝化槽2及び脱窒槽3を浮遊法(流動担体なし)とし、沈殿槽5の汚泥の一部を生物処理槽1に返送する生物処理装置を下記条件で運転した。
【0049】
生物処理槽(浮遊法)1:容積8L
硝化槽(浮遊法)2:容積2L
脱窒槽(浮遊法)3:容積0.9L
再曝気槽4:0.28L
沈殿池槽5:実施例1と同一
原水:実施例1と同一
原水量:6L/d(実施例1と同一)
生物処理槽1のCODCr容積負荷:1.5kg-CODCr/m/d
硝化槽2のN容積負荷:0.45kg-N/m/d
脱窒槽3のN容積負荷:1kg-N/m/d
脱窒槽3及び再曝気槽4の平均槽内汚泥濃度:MLSS=4000mg/L(MLVSS=3500mg/L)
汚泥引き抜き量:0.44L/d
SRT=25日
【0050】
[結果]
上記条件で60日間運転したところ、汚泥転換率は0.15kg-SS/kg-CODCrと標準的で、沈澱池処理水はCODCr=25mg/L、SS<20mg/L、T-N=9mg-N/Lと良好な処理水質を得ることができた。しかし、槽1~4の合計容積は11.18Lと非常に大きい。
【0051】
[比較例2]
図5に示すように、再曝気槽4の後段かつ沈殿槽5の前後に、無機凝集剤による第1凝集槽6と、ポリマー凝集剤による第2凝集槽7を設置したフローの生物処理装置であって、脱窒槽3に流動担体を充填したこと以外は実施例1と同一構成の生物処理装置を、下記条件で運転した。担体は実施例1と同一である。
【0052】
生物処理槽1:容積4L、流動担体40%充填
硝化槽2:容積0.9L、流動担体40%充填
脱窒槽3:容積0.44L、流動担体25%充填
再曝気槽4:容積0.28L
第1凝集槽6の容積:0.05L
第2凝集槽7の容積:0.025L
沈殿槽5:実施例1と同一
原水:実施例1と同一
水量:6L/d(実施例1と同一)
生物処理槽1のCODCr容積負荷:3kg-CODCr/m/d
硝化槽2のN容積負荷:1kg-N/m/d
脱窒槽3のN容積負荷:2kg-N/m/d
硝化処理水:S.CODCr=100mg/L、S.T-N=110mg-N/L、NOx-N=100mg-N/L、SS=380mg/L
再曝気処理水:S.CODCr=45mg/L、S.T-N=10mg-N/L、SS=450mg/L
【0053】
[結果]
上記条件で60日間運転したところ、汚泥転換率は0.225kg-SS/kg-CODCrと高かった。凝集沈澱池処理水はCODCr=35mg/L、SS<20mg/L、T-N=9mg-N/Lと良好な処理水質を得ることができたが、通水量に対し、500mg/Lの38%塩化第二鉄と1mg/Lのアニオンポリマー凝集剤の添加が必要となった。槽1~4の合計容積は5.62Lと非常に小さい。
【符号の説明】
【0054】
1,1A,1B 生物処理槽
2 硝化槽
3 脱窒槽
4 再曝気槽
5 沈殿槽
6 第1凝集槽
7 第2凝集槽
図1
図2
図3
図4
図5