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特開2024-101470電子部品収容構造及びハウジング体への電子部品の取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101470
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電子部品収容構造及びハウジング体への電子部品の取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20240722BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20240722BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240722BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240722BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K5/00 C
H05K5/03 A
B60R16/02 610A
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005474
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智治
(72)【発明者】
【氏名】郡 智之
【テーマコード(参考)】
4E360
5E021
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AB12
4E360BA01
4E360BA11
4E360BB20
4E360BB22
4E360BC04
4E360BC05
4E360EA03
4E360EA18
4E360EA25
4E360EC04
4E360ED28
4E360GA08
4E360GA12
4E360GB91
5E021FA03
5E021FA14
5E021FC31
5E021FC32
5E021FC38
5E021HA07
5E021KA02
5G361BA07
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】 電子部品の装着時に、端子の破損等を抑制することが可能な電子部品収容構造等を提供する。
【解決手段】 電子部品5には、一対の端子部9が設けられる。また、電子部品5にはカバー体7が固定される。カバー体7を電子部品5に固定した状態においてカバー体7の挿入補助部13と電子部品5の端子部9とが同一方向に向けて突出する。端子部9及び挿入補助部13の突出方向が、ハウジング体3への電子部品5の挿入方向となる。電子部品5をハウジング体3に収容する際、端子部9が端子挿入部29に挿入されるより先に、挿入補助部13が補助ガイド部27に挿入することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子部と被保持部を有する電子部品と、
前記電子部品に固定されるカバー体と、
前記電子部品を収容可能な電子部品収容部と、前記端子部が挿入される端子挿入部とを有するハウジング体と、を備え、
前記カバー体は、前記被保持部に係合する保持部と、前記ハウジング体に設けられた補助ガイド部に挿入される挿入補助部と、を具備し、
前記電子部品を前記ハウジング体に収容する際、前記端子部が前記端子挿入部に挿入されるより先に前記挿入補助部を前記補助ガイド部に挿入することが可能であることを特徴とする電子部品収容構造。
【請求項2】
前記カバー体は、前記ハウジング体への前記電子部品の挿入方向に直交する面である押圧部を具備することを特徴とする請求項1記載の電子部品収容構造。
【請求項3】
前記カバー体と前記ハウジング体は、それぞれ半嵌合検出部を備え、
前記カバー体の前記ハウジング体への挿入高さの位置によって、半嵌合かどうか検出が可能であることを特徴とする請求項1記載の電子部品収容構造。
【請求項4】
前記カバー体は、前記ハウジング体と係合可能な第1係合部を備え、
前記ハウジング体は、前記第1係合部と係合可能な第2係合部を備えることを特徴とする請求項1記載の電子部品収容構造。
【請求項5】
前記被保持部は前記端子部に配置されることを特徴とする請求項1記載の電子部品収容構造。
【請求項6】
前記挿入補助部は、前記端子部と比べ、前記電子部品の挿入方向に対して長いことを特徴とする請求項1記載の電子部品収容構造。
【請求項7】
前記挿入補助部と前記補助ガイド部は、挿入初期においてクリアランスが大きく、挿入するにつれてクリアランスが小さくなる誘導機構を具備することを特徴とする請求項1記載の電子部品収容構造。
【請求項8】
前記カバー体は、少なくとも一対の前記挿入補助部を有し、
それぞれの前記挿入補助部は、前記カバー体の中心に対して回転対称な形態ではなく、
前記カバー体の挿入の向きを誤ると、前記挿入補助部を挿入することが規制される誤挿入規制構造を有することを特徴とする請求項1記載の電子部品収容構造。
【請求項9】
カバー体が固定された電子部品のハウジング体への取り付け方法であって、
前記電子部品は、端子部と被保持部とを有し、
前記カバー体は、前記被保持部と係合可能な保持部と、挿入補助部とを有し、
前記ハウジング体は、前記電子部品を収容可能な電子部品収容部と、前記挿入補助部が挿入される補助ガイド部と、前記端子部が挿入される端子挿入部とを有し、
前記被保持部に前記保持部を係合して前記カバー体を前記電子部品に固定し、
前記端子部より先に前記挿入補助部を前記補助ガイド部に挿入して、前記カバー体を前記ハウジング体へ位置決めし、
その後、前記端子部を前記端子挿入部に挿入することを特徴とするハウジング体への電子部品の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車において、電源と接続される電源分配ボックス等における電子部品収容構造等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車における電源分配ボックスには、ヒューズやリレー等の多くの電子部品が装着される。このような電子部品は端子を有し、電子部品をハウジング体に装着する際には、電子部品に設けられた端子がハウジング体に設けられた端子挿入部に挿入される。
【0003】
このような構造としては、電子部品本体に対して電気的に接続された電子を備えた電子部品が、電子部品本体を収容する第1収容室、及び、電子部品の端子を収容する第2収容室を有する電子部品の収容空間を備えた収容部材(ハウジング体)に収容される電子部品の収容構造が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-40976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電子部品の端子は電子部品本体と比較して小さく、また、端子を収容する収容室も端子のサイズに応じたサイズとなるため、端子を端子挿入部に挿入する際に、端子を収容室以外の部位に接触させてしまう恐れがある。このように、端子を他の部位に接触させてしまうと、端子が変形し、接触不良や電子部品の破損の恐れもある。
【0006】
また、特許文献1のように電子部品が略直方体の場合には、挿入作業も容易であるが、電子部品の本体が円柱形など、上面が曲面で構成される場合、電子部品を収容部に押し込んで装着する際に、電子部品が傾いた状態で押し込まれる恐れがある。このため、電子部品が完全に装着されない場合や、端子の破損の恐れがある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、電子部品の装着時に、端子の破損等を抑制することが可能な電子部品収容構造等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達するために第1の発明は、端子部と被保持部を有する電子部品と、前記電子部品に固定されるカバー体と、前記電子部品を収容可能な電子部品収容部と、前記端子部が挿入される端子挿入部とを有するハウジング体と、を備え、前記カバー体は、前記被保持部に係合する保持部と、前記ハウジング体に設けられた補助ガイド部に挿入される挿入補助部と、を具備し、前記電子部品を前記ハウジング体に収容する際、前記端子部が前記端子挿入部に挿入されるより先に前記挿入補助部を前記補助ガイド部に挿入することが可能であることを特徴とする電子部品収容構造である。
【0009】
前記カバー体は、前記ハウジング体への前記電子部品の挿入方向に直交する面である押圧部を具備することが望ましい
【0010】
前記カバー体と前記ハウジング体は、それぞれ半嵌合検出部を備え、前記カバー体の前記ハウジング体への挿入高さの位置によって、半嵌合かどうか検出が可能であることが望ましい。
【0011】
前記カバー体は、前記ハウジング体と係合可能な第1係合部を備え、前記ハウジング体は、前記第1係合部と係合可能な第2係合部を備えることが望ましい。
【0012】
前記被保持部は前記端子部に配置されることが望ましい。
【0013】
前記挿入補助部は、前記端子部と比べ、前記電子部品の挿入方向に対して長くてもよい。
【0014】
前記挿入補助部と前記補助ガイド部は、挿入初期においてクリアランスが大きく、挿入するにつれてクリアランスが小さくなる誘導機構を具備してもよい。
【0015】
前記カバー体は、少なくとも一対の前記挿入補助部を有し、それぞれの前記挿入補助部は、前記カバー体の中心に対して回転対称な形態ではなく、前記カバー体の挿入の向きを誤ると、前記挿入補助部を挿入することが規制される誤挿入規制構造を有してもよい。
【0016】
第1の発明によれば、ハウジング体へ電子部品を取り付ける際に、端子部が端子挿入部に挿入されるより先に挿入補助部が補助ガイド部に挿入されるため、端子部が端子挿入部に挿入される際には、挿入補助部と補助ガイド部とによって確実に端子部の位置と挿入角度を決めることができる。このため、端子部が端子挿入部以外の部位に接触して変形等が生じることを抑制することができる。
【0017】
また、カバー体に、ハウジング体への電子部品の挿入方向に直交する面である押圧部を設けることで、電子部品の上面が曲面であっても、より確実にまっすぐに電子部品を挿入することができる。
【0018】
また、カバー体とハウジング体に、カバー体がハウジング体に対して半嵌合かどうかを検出が可能な半嵌合検出部を設けることで、電子部品がハウジング体へ確実に嵌合していることを容易に把握することができる。
【0019】
また、カバー体の第1係合部と、ハウジング体の第2係合部とを係合させることで、確実に電子部品をハウジングに固定することができる。
【0020】
また、カバー体の保持部が固定される被保持部を電子部品の端子部に配置することで、電子部品本体へ被保持部を形成する必要がなく、取り扱いも容易である。
【0021】
また、電子部品の挿入方向に対して、挿入補助部を端子部と比べて長くすることで、挿入補助部を端子部よりも先にハウジングに挿入するのが容易である。
【0022】
また、挿入補助部と補助ガイド部とのクリアランスを、挿入初期が大きく、挿入するにつれて小さくなるようにすることで、挿入初期では挿入補助部を補助ガイド部に挿入するのが容易となり、また、挿入後は、より精度よく位置決め等を行うことが可能となる。
【0023】
また、カバー体に少なくとも一対の挿入補助部を設け、それぞれの挿入補助部の形態を変えることで、カバー体(電子部品)の挿入の向きを規制する誤挿入規制構造として機能させることができる。
【0024】
第2の発明は、カバー体が固定された電子部品のハウジング体への取り付け方法であって、前記電子部品は、端子部と被保持部とを有し、前記カバー体は、前記被保持部と係合可能な保持部と、挿入補助部とを有し、前記ハウジング体は、前記電子部品を収容可能な電子部品収容部と、前記挿入補助部が挿入される補助ガイド部と、前記端子部が挿入される端子挿入部とを有し、前記被保持部に前記保持部を係合して前記カバー体を前記電子部品に固定し、前記端子部より先に前記挿入補助部を前記補助ガイド部に挿入して、前記カバー体を前記ハウジング体へ位置決めし、その後、前記端子部を前記端子挿入部に挿入することを特徴とするハウジング体への電子部品の取り付け方法である。
【0025】
第2の発明によれば、まず電子部品にカバー体を固定することで、電子部品の取り扱いが容易である。例えば、従来のように、電子部品をハウジング体へ装着してからカバー体を装着する方法では、電子部品単体での取り扱いが必要であるが、本発明ではカバー体を用いて取り付け作業を行うことができるため作業性が良好である。また、電子部品にあらかじ一体で保持部を形成する方法では、専用の電子部品が必要となるが、本発明では、電子部品に対して脱着可能なカバー体を用いることで、複数種類の電子部品を一つのカバー体で対応することも可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電子部品の装着時に、端子の破損等を抑制することが可能な電子部品収容構造等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】電子部品収容構造1の分解斜視図。
図2】電子部品収容構造1の組立斜視図。
図3】カバー体7と電子部品5の分解斜視図。
図4】カバー体7と電子部品5の組立斜視図。
図5】(a)はカバー体7の平面図、(b)は挿入補助部13と端子部9の位置関係を示す概略図。
図6】(a)はハウジング体3の部分平面図、(b)は(a)のA部拡大図。
図7】ハウジング体3への電子部品5等の装着工程を示す図。
図8】ハウジング体3への電子部品5等の装着工程を示す図。
図9】ハウジング体3への電子部品5等の装着工程を示す図。
図10】ハウジング体3への電子部品5等の装着工程を示す図。
図11】(a)、(b)は、挿入補助部13と補助ガイド部27との挿入部近傍の拡大図。
図12】(a)は、挿入補助部13の形態を示す図、(b)はハウジング体3の補助ガイド孔27aの形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、電子部品収容構造1の分解斜視図であり、図2は組立斜視図である。電子部品収容構造1は、例えば自動車における電源分配ボックス等であって、ヒューズやリレーなどの複数の電子部品が接続されて使用される。なお、以下の説明では、電子部品5が装着される例について説明し、他の電子部品等の図示は省略する。電子部品収容構造1は、ハウジング体3、電子部品5、カバー体7等から構成される。
【0029】
ハウジング体3には、複数の電子部品収容部11が設けられる。電子部品収容部11には、それぞれ電子部品5を収容可能である。図示した例では、電子部品収容部11は、周囲を側壁11aで囲まれた空間である。
【0030】
電子部品5には、一対の端子部9が設けられる。また、電子部品5にはカバー体7が固定される。図3は、電子部品5とカバー体7との分解下方斜視図であり、図4は組立斜視図である。電子部品5のそれぞれの端子部9の一部には、被保持部19が設けられる。一対の端子部9は、電子部品本体の両端からそれぞれ突出し、下方に向けて互いに平行に屈曲して形成される。被保持部19は、端子部9に設けられた孔であり、例えば図示したように屈曲部近傍に形成される。
【0031】
カバー体7には、電子部品5の被保持部19を保持することが可能な保持部17が設けられる。保持部17が被保持部19に挿入されて固定されることで、電子部品5にカバー体7が固定される。また、カバー体7には、電子部品5側に突出する挿入補助部13が設けられる。図示した例では、一対の挿入補助部13が、カバー体7の対角位置にそれぞれ設けられる。
【0032】
また、カバー体7の側面側には、半嵌合検出部21aが設けられる。また、カバー体7の両側部には、第1係合部15が設けられる。第1係合部15は、ハウジング体3に対して固定する際に使用される部位である。カバー体7のハウジング体3への固定方法及び、挿入補助部13と半嵌合検出部21aの機能については後述する。
【0033】
ここで、図4に示すように、カバー体7を電子部品5に固定した状態においてカバー体7の挿入補助部13と電子部品5の端子部9とが同一方向に向けて突出する。端子部9及び挿入補助部13の突出方向が、ハウジング体3への電子部品5の挿入方向となる。この際、図示した例では、電子部品の挿入方向に対して、端子部9の方が、挿入補助部13よりも長いが、端子部9と比べて挿入補助部13の方を長くしてもよい。
【0034】
図5(a)は、電子部品5に固定されたカバー体7の平面図である。カバー体7の上面側(電子部品5が配置される側とは逆側の表面)には、押圧部23が設けられる。押圧部23は、ハウジング体3への電子部品5の挿入方向に直交する平面で構成される。このように押圧部23を設けることで、電子部品5にカバー体7を固定した状態で、カバー体7を、電子部品5を挿入する方向に押圧するのが容易となる。
【0035】
例えば、カバー体7の上面が曲面のみで構成されると、カバー体7(電子部品5)を斜めに押してしまう恐れがあるが、平坦面で構成されるため、挿入方向に対して電子部品5をまっすぐに押圧することができる。また、カバー体7の上面の押圧する部位が明確となるため、偏った位置を押圧することで、電子部品5が傾いてしまうことを抑制することができる。
【0036】
図5(b)は、カバー体7の上面部分を透視して、挿入補助部13と端子部9の配置及び形態を示す概略図である。前述したように、端子部9は電子部品5(図示省略)の両端部にそれぞれ配置される。また、挿入補助部13は、カバー体7の対角位置にそれぞれ配置される。挿入補助部13は、例えば略L字状の断面形状である。なお、本実施形態では、一対の挿入補助部13は同一の形状である。このため、平面視において、カバー体7の中心に対して、一対の挿入補助部13は互いに回転対称の配置となる。
【0037】
次に、ハウジング体3について説明する。図6(a)は、ハウジング体3の部分平面図である。前述したように、ハウジング体3には、側壁11aで囲まれた電子部品収容部11が設けられる。電子部品収容部11の内部であって、電子部品収容部11の両端部には、電子部品5の一対の端子部9がそれぞれ挿入される端子挿入部29が設けられる。
【0038】
また、電子部品収容部11の両側部には、第2係合部25が設けられる。第2係合部25は、カバー体7に設けられた第1係合部15と係合する部位である。
【0039】
図6(b)は、図6(a)のA部拡大図である。電子部品収容部11を囲む側壁11aの角部の内面形状は、挿入補助部13(点線)の外面形状に対応した形態である。すなわち、カバー体7の対角位置に配置された略L字状の一対の挿入補助部13の外面形状は、電子部品収容部11を形成する側壁11aの対角位置の内面形状に相当する。カバー体7の挿入補助部13が挿入される側壁11aの角部が、ハウジング体3の補助ガイド部27となる。このように、補助ガイド部27は、挿入補助部13が挿入される部位となる。
【0040】
なお、補助ガイド部27の下方(電子部品収容部11の底面側)には、補助ガイド孔27aが設けられる。補助ガイド孔27aは、補助ガイド部27の一部であり、電子部品5を電子部品収容部11に完全に挿入した際に、挿入補助部13の先端が電子部品収容部11の底面と干渉しないように形成される。すなわち、補助ガイド孔27aは、挿入補助部13に対応した形状である。なお、挿入補助部13の長さによっては、補助ガイド孔27aは必ずしも必須ではない。
【0041】
次に、カバー体7が固定された電子部品5のハウジング体3への取り付け方法について説明する。前述したように、予め、カバー体7の保持部17を電子部品5の被保持部19に係合させて、カバー体7を電子部品5に固定する。図7は、カバー体7が固定された電子部品5をハウジング体3の電子部品収容部11の上方に配置した状態を示す図である。なお、以下、ハウジング体3の挿入口側を上方として説明する。
【0042】
ここで、電子部品収容部11の周囲の側壁11aの上端は、端子挿入部29よりも高い位置に形成される。すなわち、端子挿入部29は、電子部品収容部11の挿入口から見て低い位置に配置され、補助ガイド部27の上部(挿入口側)は、端子挿入部29よりも上方に位置する。
【0043】
この状態から、図8に示すように、電子部品5を電子部品収容部11へ挿入していくと、まず、挿入補助部13の先端が補助ガイド部27に挿入される。前述したように、補助ガイド部27は挿入補助部13に対応した形状である。この際、端子部9は、まだ端子挿入部29には挿入されていない状態である。すなわち、電子部品5をハウジング体3に収容する際、端子部9が端子挿入部29に挿入されるより先に、挿入補助部13が補助ガイド部27に挿入することができる。このように、端子部9より先に挿入補助部13を補助ガイド部27に挿入することで、カバー体7(電子部品5)をハウジング体3へ位置決めすることができる。
【0044】
その後、この状態からさらにカバー体7を押し込むことで、図9に示すように、端子部9の先端を端子挿入部29に挿入することができる。この際、カバー体7の押圧部23を押圧することで、電子部品5をまっすぐに押し込むことができ、電子部品5の傾き等を抑制することができる。
【0045】
図10は、カバー体7を押し込んで、完全に電子部品5を電子部品収容部11に収容した状態を示す図である。この状態では、カバー体7に設けられた半嵌合検出部21aとハウジング体3に設けられた半嵌合検出部21bとが略同一面上に配置される。すなわち、半嵌合検出部21aと半嵌合検出部21bとの挿入高さの位置によって、完全に電子部品5が電子部品収容部11に挿入されたことを確認することができ、半嵌合状態(不完全挿入状態)を検出することができる。
【0046】
なお、この状態においてはカバー体7の第1係合部15とハウジング体3の第2係合部25とを係合させることができる。このため、電子部品5をハウジング体3へ確実に固定することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、端子部9が端子挿入部29に挿入されるより先に、挿入補助部13が補助ガイド部27に挿入される。このため、端子部9が端子挿入部29に挿入される際には、端子部9と端子挿入部29との位置決めがなされた状態となる。このため、端子部9の先端を、端子挿入部29の周辺に接触させてしまい、端子部9の変形や電子部品5の破損等を抑制することができる。
【0048】
また、予めカバー体7を電子部品5に固定することができるため、電子部品5の取り扱いが容易である。この際、電子部品5の被保持部19を電子部品本体ではなく端子部9に設けることで、電子部品本体への加工が不要である。また、カバー体7の上面に押圧部23を設けることで、カバー体7を押し込む際に、挿入方向に対してまっすぐに電子部品5を押し込むことができる。また、カバー体7の挿入時の荷重が、電子部品5に加わることがなく、ハウジング体3への挿入時における電子部品5の破損を防ぐことが可能である。
【0049】
なお、図3図4に示すように、それぞれの端子部9の幅方向の両側に突起部8を設けてもよい。突起部8は、他の部位と比較して端子部9の幅が広くなるように形成される。この場合、電子部品5の端子部9を端子部端子挿入部29の挿入する際、突起部8によって幅が広い端子部9を端子部挿入部29に圧入するようにしてもよい。このように、端子部9を端子部挿入部29へ圧入する場合、突起部8がない場合(端子部9を端子挿入部29へ圧入しない場合)よりも挿入に必要な荷重が高くなる。しかし、この場合でも、電子部品5自体を直接押さず、カバー体7を押すことが可能であるため、直接電子部品5に荷重がかからず、電子部品5の破損を抑制することができる。
【0050】
また、カバー体7とハウジング体3に半嵌合検出部21a、21bを設けることで、電子部品5が完全に挿入されているかどうかを目視で容易に確認することができ、半嵌合状態を把握することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、半嵌合検出部21a、21bがほぼ同一面となることで、完全に電子部品5が挿入されたことを検知可能としたが、この構造には限定されない。例えば、半嵌合検出部としては、カバー体7とハウジング体3にそれぞれ設けられたマーク等の位置が一致した状態で嵌合状態を知ることができてもよい。又は、カバー体7とハウジング体3の一方の半嵌合検出部によって、他方の半嵌合検出部が見えなくなるまで挿入することで、嵌合状態を知ることができてもよい。
【0052】
また、端子部9よりも先に挿入補助部13を補助ガイド部27に挿入可能であり、位置決めが可能であれば、その形態は特に限定されない。例えば、本実施形態では、補助ガイド部27を端子挿入部29よりも高い位置(挿入口側)に形成することで、端子部9よりも先に挿入補助部13が補助ガイド部27に挿入されたが、補助ガイド部27と端子挿入部29が同じ高さであっても、挿入補助部13の長さを端子部9よりも長くすることで、同様の効果を得ることができる。
【0053】
ここで、挿入補助部13と補助ガイド部27のクリアランスが大きすぎると、端子部9の位置決め効果が小さくなるが、挿入補助部13と補助ガイド部27とのクリアランスが小さすぎると、挿入補助部13を補助ガイド部27へ挿入するのが困難となる。
【0054】
このため、例えば、図11(a)に示すように、挿入補助部13の先端をテーパ形状などの先細り形状として、補助ガイド部27への挿入補助部13の挿入を容易としてもよい。同様に、図11(b)に示すように、補助ガイド部27の先端をテーパ形状などで拡径させて、補助ガイド部27への挿入補助部13の挿入を容易としてもよい。すなわち、挿入補助部13と補助ガイド部27に、挿入初期において互いのクリアランスが大きく、挿入するにつれてクリアランスが小さくなるような誘導機構を設けることが望ましい。
【0055】
また、上述した実施形態では、挿入補助部13と補助ガイド部27は、それぞれ回転対称に配置され、電子部品5の装着方向は限定されていなかったが、電子部品5に装着方向性を有する場合には、誤挿入規制構造を設けてもよい。
【0056】
例えば、図12(a)に示す例では、一対の挿入補助部13がカバー体7の対角位置の角部に配置されるが、その形状がカバー体7の中心に対して回転対称ではない。例えば、一方の挿入補助部13は、カバー体7の長辺側が長いL字状であり、他方の挿入補助部13は、カバー体7の短辺側が長いL字状である。
【0057】
一方、図12(b)に示すように、ハウジング体3には、補助ガイド部27の一部として補助ガイド孔27aが設けられる。この際、補助ガイド孔27aは、挿入補助部13に対応した形状であるため、正しい向きであれば、それぞれの挿入補助部13が補助ガイド孔27aに挿入可能であるが、誤った向きでは、挿入補助部13を補助ガイド孔27aに挿入することができない。このため、電子部品5を完全に電子部品収容部11に挿入することができず、例えば半嵌合状態となる。
【0058】
このように、カバー体7に少なくとも一対の挿入補助部13を設け、それぞれの挿入補助部13を、平面視においてカバー体7の中心に対して回転対称な形態とせずに、ハウジング体3の補助ガイド部27をそれぞれの挿入補助部13に対応した形状とすることで、カバー体7(電子部品5)の挿入の向きを誤ると、挿入補助部13を挿入することが規制される誤挿入規制構造として機能させることができる。
【0059】
なお、誤挿入規制構造としては、図示した例には限られず、挿入補助部13と補助ガイド部27の形態や配置を向きによって変えることで、正しい向きでのみ、挿入補助部13を補助ガイド部27(補助ガイド孔27a)に挿入可能とすることができれば他の構造であってもよい。
【0060】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0061】
1………電子部品収容構造
3………ハウジング体
5………電子部品
7………カバー体
9………端子部
11………電子部品収容部
11a………側壁
13………挿入補助部
15………第1係合部
17………保持部
19………被保持部
21a、21b………半嵌合検出部
23………押圧部
25………第2係合部
27………補助ガイド部
27a………補助ガイド孔
29………端子挿入部
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