(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101532
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層、およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
G03F7/11 503
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193593
(22)【出願日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2023-0006893
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金 尚 美
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲せい▼ 煥
【テーマコード(参考)】
2H225
【Fターム(参考)】
2H225AN11N
2H225AN21N
2H225AN28N
2H225AN29N
2H225AN39N
2H225AN42N
2H225BA01N
2H225CA12
(57)【要約】
【課題】ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含むハードマスク組成物。
上記化学式1の定義は、明細書に記載したとおりである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含むハードマスク組成物:
【化1】
前記化学式1中、
R
1およびR
3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
R
2およびR
4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の芳香族複素環基、置換もしくは非置換の一価の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項2】
前記化学式1中のR1およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~20の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1中のR2およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~24の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~24の芳香族複素環基、置換もしくは非置換の一価の炭素数3~24の不飽和脂環式炭化水素基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項3】
前記化学式1中のR1およびR3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基であり、
前記化学式1中のR2およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項4】
前記化学式1中のR1およびR3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基であり、
前記化学式1中のR2およびR4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項5】
前記化学式1中のR
1およびR
3は、それぞれ独立して、下記グループ1およびグループ2から選択される置換もしくは非置換のモイエティのうちのいずれか1つであり、
前記化学式1中のR
2およびR
4は、それぞれ独立して、下記グループ1~グループ3から選択される置換または非置換のモイエティのうちのいずれか1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化2】
【化3】
【化4】
前記グループ2中、
Z
1およびZ
2は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NR
a-(ここで、R
aは、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせである。
【請求項6】
前記化学式1中のR
1~R
4は、それぞれ独立して、下記グループ1-1から選択される置換または非置換のモイエティのうちのいずれか1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化5】
【請求項7】
前記化学式1で表される化合物は、対称構造を有する、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項8】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~下記化学式1-5で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化6】
【化7】
前記化学式1-1~前記化学式1-5中、
R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであり、
mおよびnは、それぞれ独立して、0~9の整数のうちの1つである。
【請求項9】
前記化合物の分子量は、300g/mol~5,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
前記化合物は、前記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項11】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層。
【請求項13】
基板の上に材料層を提供する段階、
前記材料層の上に請求項1~11のいずれか1項に記載のハードマスク組成物を塗布する段階、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、
前記フォトレジストパターンを利用して前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出する段階、ならびに
前記材料層の露出された部分をエッチングする段階、
を含む、パターン形成方法。
【請求項14】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃の温度で熱処理する段階を含む、請求項13に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、該ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および該ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は、数百ナノメートルサイズのパターンから数~数十ナノメートルサイズのパターンを有する超微細技術へと発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板の上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像してフォトレジストパターンを形成した後、該フォトレジストパターンをマスクとして材料層をエッチングする工程を含む。
【0004】
近年、形成しようとするパターンのサイズが減少することによって、上述した典型的なリソグラフィック技法だけでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成し難いことがある。そのため、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間に、いわゆるハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を形成して微細パターンを形成する技術の開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2023-0137101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む。
【0010】
【0011】
上記化学式1中、
R1およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
R2およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の芳香族複素環基、置換もしくは非置換の一価の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、またはこれらの組み合わせである。
【0012】
上記化学式1中のR1およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~20の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
R2およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~24の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~24の芳香族複素環基、置換もしくは非置換の一価の炭素数3~24の不飽和脂環式炭化水素基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0013】
上記化学式1中のR1およびR3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基であり、
R2およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0014】
上記化学式1中のR1およびR3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基であり、
R2およびR4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基であってもよい。
【0015】
上記化学式1のR1およびR3は、それぞれ独立して、下記グループ1および下記グループ2から選択される置換または非置換のモイエティのうちのいずれか1種であり、
R2およびR4は、それぞれ独立して、下記グループ1~グループ3から選択される置換または非置換のモイエティのうちのいずれか1つであってもよい。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
上記グループ2中、
Z1およびZ2は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NRa-(ここで、Raは、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせである。
【0020】
上記化学式1中のR1~R4は、それぞれ独立して、下記グループ1-1から選択される置換または非置換のモイエティのうちのいずれか1つであってもよい。
【0021】
【0022】
上記化学式1で表される化合物は、対称構造を有することが好ましい。
【0023】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~下記化学式1-5で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
【0025】
【0026】
上記化学式1-1~上記化学式1-5中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであり、mおよびnは、それぞれ独立して、0~9の整数のうちの1つである。
【0027】
上記化合物の分子量は、300g/mol~5,000g/molであることが好ましい。
【0028】
上記化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%の含有量で含まれることが好ましい。
【0029】
上記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、またはエチル3-エトキシプロピオネートであることが好ましい。
【0030】
本発明の他の実施形態によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0031】
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、基板の上に材料層を提供する段階、上記材料層の上に上述したハードマスク組成物を塗布する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出する段階、ならびに上記材料層の露出された部分をエッチングする段階、を含むパターン形成方法を提供する。
【0032】
上記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃の温度で熱処理する段階を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物が提供されうる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0035】
本明細書で別途の定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸もしくその塩の基、ビニル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数9~30のアリルアリール基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、およびこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0036】
また、上記置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸もしくその塩の基、ビニル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数9~30のアリルアリール基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、または炭素数2~30のヘテロ環基の中の隣接した2つの置換基は、結合して環を形成することもできる。
【0037】
本明細書で別途の定義がない限り、「芳香族炭化水素」は、炭化水素芳香族モイエティを1つ以上有する基を意味し、非縮合芳香族炭化水素環、縮合芳香族炭化水素環だけでなく、炭化水素芳香族モイエティが単結合で連結された形態と炭化水素芳香族モイエティが直接または間接的に縮合された非芳香族縮合環形態、またはこれらの組み合わせを含む。
【0038】
より具体的に、置換または非置換の芳香族炭化水素環は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合された形態であり得るが、これらに制限されない。
【0039】
本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、SeおよびPからなる群より選択されるヘテロ原子を1個以上含有するものを意味する。
【0040】
本明細書で別途の定義がない限り、「芳香族複素族環」とは、芳香族炭化水素環内に炭素(C)の代わりにN、O、S、SeおよびPから選択されたヘテロ原子を1個以上含有するものを意味する。2個以上の芳香族複素環がシグマ結合を通じて直接連結され得、2個以上の芳香族複素環は互いに縮合され得る。芳香族複素環が縮合環である場合、縮合環全体またはそれぞれの環がヘテロ原子を1~3個含むことができる。
【0041】
本明細書で、重合体は、オリゴマー(oligomer)と重合体(polymer)を全て含むことができる。
【0042】
本明細書で特に言及しない限り、「重量平均分子量」は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社製の1200seriesゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を利用して測定(カラムはShodex社製のLF-804、標準試料はShodex社製のポリスチレンを使用)したものである。
【0043】
半導体産業でチップのサイズを減少させる要求が絶えずに持続しており、これに対応するためにリソグラフィ技術でパターニングされるレジストの線幅が、数十ナノメートルのサイズを有しなければならない。したがって、レジストパターンの線幅に耐えることができる高さが制限され、レジストがエッチング段階で十分な耐性を有することができない場合が発生する。これを補完するために、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間に、いわゆるハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を使用する。このようなハードマスク層は、選択的エッチングを通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たすため、ハードマスク層は、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えることができるように耐エッチング性が要求される。
【0044】
既存のハードマスク層は、化学的または物理的蒸着法で形成したが、これは設備規模が大きく、工程単価が高くて経済性が低下するという問題がある。そこで、最近、スピンコーティング法でハードマスク層を形成する技術が開発されている。スピンコーティング法は、従来の方法に比べて工程が容易であり、これから製造されるハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性がより優れるようになり得るが、ハードマスク層に要求される耐エッチング性は多少低下する傾向を示す。したがって、スピンコーティング法を適用することができるハードマスク組成物でありつつ、これから形成されたハードマスク層が化学的または物理的蒸着法で形成されたハードマスク層と同等な耐エッチング性を有することが要求される。
【0045】
そこで、ハードマスク層の耐エッチング性を改善するために、ハードマスク組成物が含有する炭素含有量を極大化する研究が活発に行われている。しかし、ハードマスク組成物に含まれる化合物の炭素含有量が極大化するほど、溶媒に対する溶解度が低下する傾向がある。したがって、ハードマスク組成物に含まれる化合物の炭素含有量を極大化して、それから形成されるハードマスク層の耐エッチング性が改善しながらも、上記化合物の溶媒に対する溶解度が低下しないことが要求される。
【0046】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、一分子内に芳香族炭化水素環または芳香族複素環を多数含む化合物を含むことによって炭素含有量を高めることができる。よって、上記組成物から得られるハードマスク層は、耐エッチング性が改善され得る。また、上記化合物は、上記芳香族炭化水素環または芳香族複素環が特定の官能基を含むことによって、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を多数含む化合物の溶媒に対する溶解性を改善することができる。
【0047】
具体的に、本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む。
【0048】
【0049】
上記化学式1中、
R1およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
R2およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の芳香族複素環基、置換もしくは非置換の一価の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、またはこれらの組み合わせである。
【0050】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物に含まれる上記化学式1で表される化合物は、2個の炭素-炭素三重結合が炭素-炭素二重結合に連結された構造を含むことによって、化合物内の炭素含有量を高めることができる。それだけでなく、上記化合物は、二重結合および三重結合に、それぞれ独立して、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、または飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基が連結されることによって、化合物内の炭素含有量を高めることができる。
【0051】
また、上記化合物を含む組成物を熱処理すれば、上記化合物内の電子移動による炭素環が追加的に形成され得る。したがって、上記組成物から製造されるハードマスク層内の炭素含有量を極大化することができ、上記ハードマスク層は優れた耐エッチング性を発揮することができる。
【0052】
上記化学式1中のR1およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~20の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、例えば置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基であり、例えば置換または非置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基であり、これらに制限されない。
【0053】
上記化学式1中のR1およびR3が、置換された芳香族炭化水素またはヘテロ芳香族環基である場合、置換は、例えば、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、チオール基、またはこれらの組み合わせでなされ、一例として、ヒドロキシ基、メトキシ基、またはエトキシ基で置換され得るが、これらに制限されない。R1およびR3が上記のような置換基で置換されると、化合物の溶媒に対する溶解性をより改善することができる。
【0054】
一実施形態で、上記化学式1中のR1およびR3は、それぞれ独立して、下記グループ1およびグループ2から選択される置換または非置換のモイエティのうちのいずれか1つであり得るが、これらに制限されない。
【0055】
【0056】
【0057】
上記グループ2中、Z1およびZ2は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NRa-(ここで、Raは、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせである。
【0058】
上記化学式1中のR2およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~24の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~24の芳香族複素環基、置換もしくは非置換の一価の炭素数3~24の不飽和脂環式炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、例えば置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、例えば置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基であり、これらに制限されない。
【0059】
一実施形態で、上記化学式1中のR2およびR4は、それぞれ独立して、上記グループ1、グループ2、および下記グループ3から選択される置換または非置換のモイエティのうちのいずれか1つであり得るが、これらに制限されない。
【0060】
【0061】
一例として、上記化学式1中のR1~R4は、それぞれ独立して、下記グループ1-1から選択される置換または非置換のモイエティのうちのいずれか1つであり得るが、これらに制限されない。
【0062】
【0063】
上記化学式1中のR1~R4は、互いに異なっても同一であってもよく、例えば、R1~R4のうちの2つが同一であるか、R1~R4の全てが同一であってもよい。一例として、R1~R4のうちのR1およびR3が互いに同一であると共に、R2およびR4が互いに同一であってもよく、この場合、上記化学式1で表される化合物は、対称構造を有することができる。R1~R4のうちのR1およびR3が互いに異なるか、またはR2およびR4が互いに異なってもよく、この場合、上記化学式1で表される化合物は、非対称の構造を有することができる。
【0064】
一例として、上記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-5で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0065】
【0066】
【0067】
上記化学式1-1~化学式1-5中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであり得、mおよびnは、それぞれ独立して、0~9の整数のうちの1つである。
【0068】
上記化合物は、300g/mol~5,000g/molの分子量を有することができる。例えば、300g/mol~4,500g/mol、例えば、300g/mol~4,000g/mol、例えば、400g/mol~4,500g/mol、例えば、400g/mol~4,000g/mol、例えば,500g/mol~5,000g/mol、例えば,500g/mol~4,500g/mol、例えば,500g/mol~4,000g/mol、例えば,500g/mol~3,500g/molの分子量を有することができ、これらに制限されない。上記範囲の分子量を有することによって、上記化合物を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0069】
上記化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%の含有量で含まれ得る。例えば、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1質量%~25質量%、例えば、1質量%~20質量%であり得、これらに制限されない。上記の含有量の範囲で化合物が含まれることによって、ハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化程度などを容易に調節することができる。
【0070】
なお、上記化合物は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0071】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、溶媒を含むことができる。溶媒の具体例としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトンおよびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができ、これらに制限されない。上記溶媒は、上記化合物に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば特に制限されない。
【0072】
本発明のハードマスク組成物は、追加的に、界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0073】
界面活性剤としては、例えばフルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第四級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに制限されない。
【0074】
架橋剤の種類としては、例えばメラミン系、置換尿素系、またはこれらポリマー系などが挙げられる。架橋剤は、好ましくは少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0075】
また、架橋剤としては、耐熱性が高い架橋剤を使用することができる。耐熱性が高い架橋剤としては、分子内に芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0076】
熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物および/または2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに制限されない。
【0077】
本発明の他の実施形態によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0078】
以下、上述したハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0079】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板の上に材料層を提供する段階、上記材料層の上に上述した化合物および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出する段階、ならびに上記材料層の露出された部分をエッチングする段階、を含む。
【0080】
上記基板は、例えばシリコンウェーハ、ガラス基板または高分子基板であり得る。材料層は、最終的にパターンしようとする材料であり、例えばアルミニウム、銅などの金属層、シリコンなどの半導体層、または酸化ケイ素、窒化ケイ素などのような絶縁層であり得る。材料層は、例えば化学気相蒸着法で形成され得る。
【0081】
ハードマスク組成物は、上述したとおりであり、溶液の形態で製造されてスピンコーティング法で塗布され得る。この際、ハードマスク組成物の塗布厚さは特に限定されないが、例えば50~200,000Åの厚さに塗布され得る。
【0082】
ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃の温度で10秒~1時間の間行うことができる。一例として、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0083】
一実施形態で、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1000℃の温度で10秒~1時間行われる1つの熱処理段階を含むことができ、一例として、熱処理段階は、空気雰囲気下または窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0084】
一実施形態で、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、150℃~400℃の温度条件で、30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる1次熱処理段階を含む。
【0085】
また、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~600℃の温度条件で、30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。一例として、1次熱処理段階および2次熱処理段階は、空気雰囲気下または窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0086】
ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも1つの段階を200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続の工程で露出されるエッチングガスおよび化学液に耐えることができる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0087】
一実施形態で、ハードマスク層を形成する段階は、紫外・可視光硬化段階および/または近赤外光硬化段階を含むことができる。
【0088】
一実施形態で、ハードマスク層を形成する段階は、1次熱処理段階、2次熱処理段階、紫外・可視光硬化段階、および近赤外硬化段階のうちの少なくとも1つの段階を含むか、または2つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0089】
一実施形態で、ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。シリコン含有薄膜層は、例えば、SiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質で形成することができる。
【0090】
一実施形態で、フォトレジスト層を形成する段階の前に、シリコン含有薄膜層上部またはハードマスク層上部に、下層反射防止膜(bottom anti-reflective coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0091】
一実施形態で、フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArF、KrFまたはEUVなどを使用して行うことができる。また、露光後、100℃~700℃で熱処理する工程を行うことができる。
【0092】
一実施形態で、材料層の露出された部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えば、N2/O2、CHF3、CF4、Cl2、BCl3およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0093】
エッチングされた材料層は、複数のパターンで形成され得、複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様なパターンとすることができ、例えば半導体集積回路デバイス内の多様なパターンとして適用され得る。
【実施例0094】
以下、実施例を通じて前述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0095】
[化合物の合成]
(合成例1)
攪拌機および冷却管を備えた100mLの丸底フラスコに、窒素雰囲気下でジエチル亜鉛 1.5mol(2.33g)、1-フェニルアセチレン 3mol(3.79g)、およびトルエン12gを投入した後、120℃で5時間攪拌した。系内を0℃に冷却した後、1-ピレンカルボキシアルデヒド 0.5mol(1.45g)を20分にわたって徐々に投入した後、常温で12時間攪拌した。反応が終結したものを薄層クロマトグラフィー(Thin Layer Chromatography、TLC)で確認した後、中間生成物に飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを入れ、酢酸エチルで抽出して、有機層を、硫酸ナトリウムを使用して乾燥させた。その後、カラムクロマトグラフィーで精製して、下記化学式Aで表される化合物Aを得た。
【0096】
【0097】
攪拌機を備えた100mLの丸底フラスコに0℃、窒素雰囲気下で、四塩化チタン 2mol(2.13g)、トリエチルアミン 3mol(1.7g)、およびジクロロメタン 89gを投入して攪拌した。その後、上記化合物A 2mol(5.13g)を投入して常温で10時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液 25gを投入して10分間攪拌した。有機層を分離した後、ジクロロメタンを利用して水層を抽出した。混合された有機層は、飽和塩化ナトリウム水溶液を利用して洗浄した後、硫酸ナトリウムで溶媒を除去して、残余物は溶離液ヘキサンでシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、下記化学式A-1で表される化合物1を得た。
【0098】
【0099】
(合成例2)
1-ピレンカルボキシアルデヒドの代わりに、6-ヒドロキシピレン-2-カルバアルデヒド1.55gを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式Bで表される化合物Bを得た。
【0100】
【0101】
化合物Aの代わりに、上記で得られた化合物Bを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式B-1で表される化合物2を得た。
【0102】
【0103】
(合成例3)
1-ピレンカルボキシアルデヒドの代わりにコロネンカルボキシアルデヒド 2.07gを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式Cで表される化合物Cを得た。
【0104】
【0105】
化合物Aの代わりに、上記で得られた化合物Cを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式C-1で表される化合物3を得た。
【0106】
【0107】
(合成例4)
1-フェニルアセチレンの代わりに、1-エチニルピレン 8.54gを使用し、1-ピレンカルボキシアルデヒドの代わりに、6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド 1.08gを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式Dで表される化合物Dを得た。
【0108】
【0109】
化合物Aの代わりに、上記で得られた化合物Dを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式D-1で表される化合物4を得た。
【0110】
【0111】
(合成例5)
1-フェニルアセチレンの代わりに、1-エチニルピレン 8.54gを使用し、1-ピレンカルボキシアルデヒドの代わりに、6-ヒドロキシ-2-ピレンカルボキシアルデヒド 1.55gを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式Eで表される化合物Eを得た。
【0112】
【0113】
化合物Aの代わりに、上記で得られた化合物Eを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式E-1で表される化合物5を得た。
【0114】
【0115】
(比較合成例1)
攪拌機および冷却管を備えた100mLの丸底フラスコを氷浴に入れた後、フラスコに1-メトキシピレン 0.011mol(2.44g)、ピレン-1-カルボニルクロリド 0.022mol(5.56g)、および1,2-ジクロロメタン 32.00gを投入して攪拌した。窒素雰囲気下で、アルミニウムクロリド 2.87gを10分間隔で3回に分けて投入した。氷浴から取り出して常温で10時間が経った後、反応を終了させた(Mw=689Da)。フラスコを再び氷浴に移動させた後、反応液にテトラヒドロフラン(THF)と蒸留水(DIW)を少量滴加して攪拌して、HClガスを除去した。反応液を分液漏斗で移して、酢酸エチルと蒸留水とを利用して触媒を除去した後、有機層だけを分離して減圧乾燥して溶媒を除去した。テトラヒドロフラン 40gに溶かした化合物を、ノルマルヘキサン400mLに徐々に滴下して沈殿させた後、フィルターで精製して乾燥し、化合物を粉末形態で6.02g得た。得られた粉末を、40℃真空オーブンで乾燥して溶媒を完全に除去した。250mLの丸底フラスコに、上記の粉末と、1-ドデカンチオール 0.027mol(11.45g)、水酸化カリウム 0.036mol(4.231g)、および1-メチル-2-ピロリジン 34.11gを投入して攪拌した。90℃まで昇温後、8時間後に反応を終了させた(Mw=675Da)。50℃まで冷却後、ノルマルヘキサン 20gを投入して、30分間攪拌し、3時間静置した。上澄み液を除去後、反応液を分液漏斗で移して、1,2-ジクロロメタン、蒸留水、および5質量%HCl水溶液を利用して触媒を除去した後、pHが6になれば有機層だけを分離し、減圧乾燥して溶媒を除去した。テトラヒドロフラン 40gに溶かした化合物を、ノルマルヘキサン 400mLに徐々に滴下して沈殿させた後、フィルターで精製して乾燥し、化合物を粉末形態で4.89g得た。得られた粉末を、テトラヒドロフラン 19.56gと共に100mLの丸底フラスコに投入し、氷浴で攪拌した。別途のPPボトルに、ナトリウムボロハイドライド(NaBH4)0.056mol(2.19g)を蒸留水(DIW)19.56gに溶かした後、3回に分けて投入した。フラスコをオイルバスに移した後、10分間安定させ、50℃に昇温する。4時間後に反応を終了させた(Mw=679Da)。冷却後、その前段階と同様に分液漏斗で移して、1,2-ジクロロメタン、蒸留水、および5質量%HCl水溶液を利用して触媒を除去した。テトラヒドロフラン 40gに溶かした化合物を、ノルマルヘキサン 400mLに徐々に滴下して沈殿させた後、フィルターで精製して乾燥し、下記化学式Fで表される比較化合物1を得た。
【0116】
【0117】
(比較合成例2)
1-メトキシピレンおよびピレン-1-カルボニルクロリドの代わりに、1,4-ベンゼンジカルボニルジクロリドおよびピレンを使用したことを除いては、比較合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式Gで表される比較化合物2を得た。
【0118】
【0119】
[ハードマスク組成物の製造]
(実施例1)
合成例1で得られた化学式A-1で表される化合物1 3.5gを、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよびシクロヘキサノンが7:3の体積比で混合された溶媒10gに溶かした後、シリンジフィルター(syringe filter)で濾過して、ハードマスク組成物を製造した。
【0120】
(実施例2)
化学式A-1で表される化合物の代わりに、化学式B-1で表される化合物2を使用したことを除いては、上記実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0121】
(実施例3)
化学式A-1で表される化合物の代わりに、化学式C-1で表される化合物3を使用したことを除いては、上記実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0122】
(実施例4)
化学式A-1で表される化合物の代わりに、化学式D-1で表される化合物4を使用したことを除いては、上記実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0123】
(実施例5)
化学式A-1で表される化合物の代わりに、化学式E-1で表される化合物5を使用したことを除いては、上記実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0124】
(比較例1)
化学式A-1で表される化合物の代わりに、化学式Fで表される比較化合物1を使用したことを除いては、上記実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0125】
(比較例2)
化学式A-1で表される化合物の代わりに、化学式Gで表される比較化合物2を使用したことを除いては、上記実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0126】
(評価1:耐エッチング性の評価)
実施例および比較例による組成物を、それぞれシリコンウェーハの上にスピンコーティング法でコーティングし、60秒間200℃でベーキングして厚さ1,500Åのハードマスク層を形成させた。形成されたそれぞれのハードマスク層の上に、ArF用フォトレジストをコーティングして、110℃で60秒間ベーキングした後、ASML社製の露光装置(XT:1450G、NA0.93)を使用してそれぞれ露光した。その後、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)2.38質量%水溶液でそれぞれ現像して、60nmのライン・アンド・スペース(line and space)パターンを得た。フォトレジストパターンを、110℃で60秒間さらに硬化させ、フォトレジストパターンおよびCHF3/CF4混合ガスを使用して、ハードマスク層に対してそれぞれ20秒間ドライエッチングを行い、FE-SEMで断面をそれぞれ観察してエッチング速度を測定して、ハロゲンプラズマに対する耐エッチング性を評価した。耐エッチング性の評価基準は以下のとおりであり、評価結果を下記表1に示した:
<耐エッチング性の評価基準>
◎:エッチング速度 10Å/sec未満
○:エッチング速度 10Å/sec以上11Å/sec未満
△:エッチング速度 11Å/sec以上12Å/sec未満
×:エッチング速度 12Å/sec以上。
【0127】
【0128】
上記表1を参照すれば、実施例1~実施例5によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層は、エッチング速度が10Å/sec未満であり、比較例1および2によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層のエッチング速度が10Å/sec以上であることに比べて低いことを確認した。つまり、実施例1~実施例5によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層の耐エッチング性が、比較例に比べて優れていることを確認できる。
【0129】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、以下に記載された特許請求の範囲で定義している発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本願発明の権利範囲に属する。