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特開2024-101549分析装置、接合システムおよび分析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101549
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】分析装置、接合システムおよび分析方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240722BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20240722BHJP
【FI】
H01L21/02 B
G01N27/62 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000085
(22)【出願日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】18/097,505
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三村 勇之
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041AA08
2G041CA01
2G041EA05
2G041FA03
2G041FA05
2G041GA03
2G041GA15
2G041GA22
(57)【要約】
【課題】基板の接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための情報を得ることができる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による分析装置は、基板保持部と、挿入部と、ガス分析部と、を備える。基板保持部は、第1基板と第2基板とが接合された重合基板を保持する。挿入部は、基板保持部に保持された重合基板における第1基板の接合面と第2基板の接合面との間に挿入可能である。ガス分析部は、第1基板の接合面と第2基板の接合面との間から噴出したガスの成分を分析する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板とが接合された重合基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記重合基板における前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面との間に挿入可能である挿入部と、
前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面との間から噴出したガスの成分を分析するガス分析部と、
を備える分析装置。
【請求項2】
前記基板保持部に保持された前記重合基板を収容するチャンバと、
前記チャンバを排気路を介して排気する排気機構と、
をさらに備え、
前記ガス分析部は、前記排気路に接続される
請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記チャンバを別の排気路を介して排気する別の排気機構と、
各部を制御する制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記別の排気機構を制御して、前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面との間からガスを噴出させる前に、あらかじめ所与の圧力以下まで前記チャンバを排気する
請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記基板保持部または前記挿入部を、前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面との間の挿入位置と、前記挿入位置から離れた離間位置との間で相対的に移動させる移動機構、をさらに備え、
前記制御部は、
前記別の排気機構で前記チャンバを排気した後に、前記排気機構で前記チャンバを排気しながら、前記移動機構で前記基板保持部または前記挿入部を前記離間位置から前記挿入位置に移動させる
請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記別の排気機構は、前記排気機構よりも排気速度が大きい
請求項4に記載の分析装置。
【請求項6】
前記チャンバは、内部の前記挿入位置を視認可能であるカメラを有する
請求項4または5に記載の分析装置。
【請求項7】
前記排気路は、箱状の滞留部を有し、
前記ガス分析部は、前記滞留部に接続される
請求項3~5のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項8】
前記チャンバを加熱する加熱機構、をさらに備える
請求項3~5のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項9】
前記ガス分析部は、質量分析計である
請求項1~5のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項10】
前記第1基板と前記第2基板とを接合して前記重合基板を形成する接合装置と、
請求項1~5のいずれか一つに記載の分析装置と、
前記接合装置と前記分析装置との間で前記重合基板を搬送する搬送装置と、
を備える接合システム。
【請求項11】
第1基板と第2基板とが接合された重合基板を保持する基板保持工程と、
前記基板保持工程にて保持された前記重合基板における前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面との間に挿入部を挿入する挿入工程と、
前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面との間から噴出したガスの成分を分析するガス分析工程と、
を含む分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分析装置、接合システムおよび分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハなどの基板同士を接合する手法として、基板の接合される表面を改質し、改質された基板の表面を親水化し、親水化された基板同士をファンデルワールス力および水素結合(分子間力)によって接合する手法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-147944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための情報を得ることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による分析装置は、基板保持部と、挿入部と、ガス分析部と、を備える。基板保持部は、第1基板と第2基板とが接合された重合基板を保持する。挿入部は、前記基板保持部に保持された前記重合基板における前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面との間に挿入可能である。ガス分析部は、前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面との間から噴出したガスの成分を分析する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る接合システムの構成を示す模式平面図である。
図2図2は、実施形態に係る接合システムの構成を示す模式側面図である。
図3図3は、実施形態に係る重合基板の模式側面図である。
図4図4は、実施形態に係る分析装置の構成を示す模式側面図である。
図5図5は、実施形態に係る基板保持部の模式平面図である。
図6図6は、実施形態に係る分析装置が実行する分析処理の処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る剥離処理を説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係る剥離処理を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る剥離処理を説明するための図である。
図10図10は、表面改質処理でのプラズマ条件と各重合基板の接合強度との関係について示す図である。
図11図11は、表面改質処理でのプラズマ条件と実施形態に係る分析処理によって測定された総検出ガス量との関係について示す図である。
図12図12は、表面改質処理でのプラズマ条件と実施形態に係る分析処理によって測定されたそれぞれのガス種の検出ガス量との関係について示す図である。
図13図13は、処理ガスに窒素を用いた重合基板における接合メカニズムの解析結果を説明するための図である。
図14図14は、処理ガスに酸素を用いた重合基板における接合メカニズムの解析結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する分析装置、接合システムおよび分析方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
従来、半導体ウェハなどの基板同士を接合する手法として、基板の接合される表面を改質し、改質された基板の表面を親水化し、親水化された基板同士をファンデルワールス力および水素結合(分子間力)によって接合する手法が知られている。
【0010】
一方で、基板の接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムの詳細については、解析するための情報自体がほとんど得られていないため、解析が進んでいないのが現状である。
【0011】
そこで、上述の問題点を克服し、基板の接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための情報を得ることができる技術の実現が期待されている。
【0012】
<接合システムの構成>
まず、実施形態に係る接合システム1の構成について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る接合システム1の構成を示す模式平面図であり、図2は、同模式側面図である。また、図3は、実施形態に係る重合基板Tの模式側面図である。なお、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きをZ軸の正方向とする直交座標系を示す場合がある。
【0013】
図1に示す接合システム1は、第1基板W1と第2基板W2とを接合することによって重合基板Tを形成する。
【0014】
第1基板W1は、たとえばシリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体基板に複数の電子回路が形成された基板である。また、第2基板W2は、たとえば電子回路が形成されていないベアウェハである。第1基板W1と第2基板W2とは、略同径を有する。なお、第2基板W2に電子回路が形成されていてもよい。
【0015】
以下では、第1基板W1を「上ウェハW1」と記載し、第2基板W2を「下ウェハW2」と記載する。すなわち、上ウェハW1は第1基板の一例であり、下ウェハW2は第2基板の一例である。
【0016】
また、以下では、図3に示すように、上ウェハW1の板面のうち、下ウェハW2と接合される側の板面を「接合面W1j」と記載し、接合面W1jとは反対側の板面を「非接合面W1n」と記載する。また、下ウェハW2の板面のうち、上ウェハW1と接合される側の板面を「接合面W2j」と記載し、接合面W2jとは反対側の板面を「非接合面W2n」と記載する。
【0017】
図1に示すように、接合システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2および処理ステーション3は、X軸正方向に沿って、搬入出ステーション2および処理ステーション3の順番で並べて配置される。また、搬入出ステーション2および処理ステーション3は、一体的に接続される。
【0018】
搬入出ステーション2は、載置台10と、搬送領域20とを備える。載置台10は、複数の載置板11を備える。各載置板11には、複数枚(たとえば、25枚)の基板を水平状態で収容するカセットC1、C2、C3がそれぞれ載置される。たとえば、カセットC1は上ウェハW1を収容するカセットであり、カセットC2は下ウェハW2を収容するカセットであり、カセットC3は重合基板Tを収容するカセットである。
【0019】
搬送領域20は、載置台10のX軸正方向側に隣接して配置される。かかる搬送領域20には、Y軸方向に延在する搬送路21と、この搬送路21に沿って移動可能な搬送装置22とが設けられる。
【0020】
搬送装置22は、Y軸方向だけでなく、X軸方向にも移動可能かつZ軸周りに旋回可能である。そして、搬送装置22は、載置板11に載置されたカセットC1~C3と、後述する処理ステーション3の第3処理ブロックG3との間で、上ウェハW1、下ウェハW2および重合基板Tの搬送を行う。
【0021】
なお、載置板11に載置されるカセットC1~C3の個数は、図示のものに限定されない。また、載置板11には、カセットC1、C2、C3以外に、不具合が生じた基板を回収するためのカセットなどが載置されてもよい。
【0022】
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数の処理ブロック、たとえば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられる。たとえば、処理ステーション3の正面側(図1のY軸負方向側)には、第1処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のY軸正方向側)には、第2処理ブロックG2が設けられる。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1のX軸負方向側)には、第3処理ブロックG3が設けられる。
【0023】
第1処理ブロックG1には、表面改質装置30と、分析装置31とが配置される。表面改質装置30は、上ウェハW1の接合面W1jおよび下ウェハW2の接合面W2jを処理ガスのプラズマによって改質する。
【0024】
表面改質装置30は、上ウェハW1の接合面W1jおよび下ウェハW2の接合面W2jにおけるSiOの結合を切断して単結合のSiOとすることで、その後親水化されやすくするように当該接合面W1j、W2jを改質する。
【0025】
なお、表面改質装置30では、たとえば、減圧雰囲気下において所与の処理ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。そして、かかる処理ガスに含まれる元素のイオンが、上ウェハW1の接合面W1jおよび下ウェハW2の接合面W2jに照射されることにより、接合面W1j、W2jがプラズマ処理されて改質される。
【0026】
分析装置31は、後述する接合装置33で形成された重合基板Tから、上ウェハW1を剥離可能に構成されると共に、剥離する際に上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとの間から噴出するガスG(図8参照)の成分を分析することができる。かかる分析装置31の詳細については後述する。
【0027】
第2処理ブロックG2には、表面親水化装置32と、接合装置33とが配置される。表面親水化装置32は、たとえば純水によって上ウェハW1の接合面W1jおよび下ウェハW2の接合面W2jを親水化するとともに、接合面W1j、W2jを洗浄する。
【0028】
表面親水化装置32では、たとえばスピンチャックに保持された上ウェハW1または下ウェハW2を回転させながら、当該上ウェハW1または下ウェハW2上に純水を供給する。これにより、上ウェハW1または下ウェハW2上に供給された純水が上ウェハW1の接合面W1jまたは下ウェハW2の接合面W2j上を拡散し、接合面W1j、W2jが親水化される。
【0029】
接合装置33は、上ウェハW1と下ウェハW2とを接合する。接合装置33では、たとえば、親水化された接合面W1jと接合面W2jとが向かい合うように上ウェハW1および下ウェハW2を近づけ、向かい合う接合面同士の一部(たとえば中央部)を接触させることで、互いに接合する部位が全面に広がる。これにより、接合面同士の全体が接合されることから、上ウェハW1および下ウェハW2から重合基板Tが形成される。
【0030】
第3処理ブロックG3には、図2に示すように、上ウェハW1、下ウェハW2および重合基板Tのトランジション(TRS)装置42、43が下から順に2段に設けられる。
【0031】
また、図1に示すように、第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3に囲まれた領域には、搬送領域40が形成される。搬送領域40には、搬送装置41が配置される。搬送装置41は、たとえば鉛直方向、水平方向および鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有する。
【0032】
かかる搬送装置41は、搬送領域40内を移動し、搬送領域40に隣接する第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3内の所与の装置に上ウェハW1、下ウェハW2および重合基板Tを搬送する。
【0033】
また、接合システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、接合システム1の動作を制御する。かかる制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部5および記憶部6を備える。記憶部6には、接合処理などの各種処理を制御するプログラムが格納される。制御部5は、記憶部6に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって接合システム1の動作を制御する。
【0034】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置4の記憶部6にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0035】
上記のように構成された接合システム1では、まず、搬送装置22が、搬入出ステーション2に載置されたカセットC1から上ウェハW1を取り出し、取り出した上ウェハW1を第3処理ブロックG3のトランジション装置42、43へ搬入する。
【0036】
つづいて、上ウェハW1は、搬送装置41によってトランジション装置42、43から取り出されて、表面改質装置30へ搬入される。そして、表面改質装置30が、上ウェハW1に対して表面改質処理を行う。かかる表面改質処理により、上ウェハW1の接合面W1jが改質される。
【0037】
つづいて、上ウェハW1は、搬送装置41によって表面改質装置30から取り出されて、表面親水化装置32へ搬入される。そして、表面親水化装置32が、上ウェハW1に対して表面親水化処理を行う。かかる表面親水化処理により、上ウェハW1の接合面W1jが親水化される。
【0038】
つづいて、上ウェハW1は、搬送装置41によって表面親水化装置32から取り出されて、接合装置33へ搬入される。
【0039】
また、ここまで説明した上ウェハW1への処理と並行して、搬送装置22は、搬入出ステーション2に載置されたカセットC2から下ウェハW2を取り出し、取り出した下ウェハW2を第3処理ブロックG3のトランジション装置42、43へ搬入する。
【0040】
つづいて、下ウェハW2は、搬送装置41によってトランジション装置42、43から取り出されて、表面改質装置30へ搬入される。そして、表面改質装置30が、下ウェハW2に対して表面改質処理を行う。かかる表面改質処理により、下ウェハW2の接合面W2jが改質される。
【0041】
つづいて、下ウェハW2は、搬送装置41によって表面改質装置30から取り出されて、表面親水化装置32へ搬入される。そして、表面親水化装置32が、下ウェハW2に対して表面親水化処理を行う。かかる表面親水化処理により、下ウェハW2の接合面W2jが親水化される。
【0042】
つづいて、下ウェハW2は、搬送装置41によって表面親水化装置32から取り出されて、接合装置33へ搬入される。
【0043】
そして、接合装置33に搬入された上ウェハW1および下ウェハW2は、接合装置33において接合され、重合基板Tが形成される。この重合基板Tは、搬送装置41、トランジション装置42、43および搬送装置22を介して、カセットC3に搬送される。
【0044】
また、制御部5は、接合装置33で形成された重合基板Tを、搬送装置41によって分析装置31に搬送することで、重合基板Tの分析処理を行うこともできる。
【0045】
<分析装置の構成>
次に、第1処理ブロックG1に設置される分析装置31の構成について、図4および図5を参照しながら説明する。図4は、実施形態に係る分析装置31の構成を示す模式側面図である。
【0046】
図4に示すように、分析装置31は、チャンバ90を備える。チャンバ90の側面には、搬入出口(図示せず)が設けられる。分析装置31は、基板保持部50と、移動部60と、基板保持部70と、剥離誘引部80とを備え、これらはチャンバ90の内部に配置される。
【0047】
分析装置31は、重合基板Tの上ウェハW1側を基板保持部50によって上方から吸着保持し、重合基板Tの下ウェハW2側を基板保持部70によって下方から吸着保持する。そして、分析装置31は、移動部60により、上ウェハW1を下ウェハW2の板面から離す方向へ移動させる。
【0048】
これにより、第1保持部に保持された上ウェハW1が、その一端から他端へ向けて下ウェハW2から連続的に剥離する。以下、各構成要素について具体的に説明する。
【0049】
基板保持部50は、弾性部材51と、複数の吸着部52とを備える。弾性部材51は、薄板状の部材であり、たとえば板金などの金属で形成される。かかる弾性部材51は、上ウェハW1の上方において上ウェハW1と対向配置される。
【0050】
複数の吸着部52は、弾性部材51における上ウェハW1との対向面に設けられる。各吸着部52は、弾性部材51に固定される本体部52aと、この本体部52aの下部に設けられる吸着パッド52bとを備える。
【0051】
各吸着部52は、吸気管52cを介して真空ポンプなどの吸気装置52dに接続される。基板保持部50は、吸気装置52dが発生させる吸引力により、複数の吸着部52で上ウェハW1の非接合面W1n(図3参照)を吸着する。これにより、上ウェハW1は、基板保持部50に吸着保持される。
【0052】
なお、吸着部52が備える吸着パッド52bとしては、変形量の少ないタイプのものが好ましい。これは、後述する移動部60が基板保持部50を引っ張った際に吸着パッド52bが大きく変形すると、かかる変形に伴って上ウェハW1の被吸着部分が大きく変形し、上ウェハW1あるいは下ウェハW2がダメージを受けるおそれがあるためである。
【0053】
具体的には、吸着パッド52bとしては、たとえば、吸着面にリブを有するものや、空間の高さが0.5mm以下のフラットパッドなどを用いることが好ましい。
【0054】
ここで、基板保持部50の構成について図5を参照しながらより具体的に説明する。図5は、実施形態に係る基板保持部50の模式平面図である。
【0055】
図5に示すように、基板保持部50が備える複数の吸着部52は、弾性部材51に対して円環状に並べて配置されており、上ウェハW1の外周部と対向し、上ウェハW1の外周部をそれぞれ吸着する。ここでは、弾性部材51に対して8個の吸着部52が設けられる場合の例を示したが、弾性部材51に設けられる吸着部52の個数は、8個に限定されない。
【0056】
これら複数の吸着部52のうち、剥離の最も起点側(ここでは、X軸負方向側)に配置される吸着部52は、後述する剥離誘引部80(図4参照)の刃部81(図4参照)が当接する部位に近接する位置に配置される。換言すると、剥離誘引部80の刃部81は、X軸負方向側に配置される吸着部52の近傍で重合基板Tの側面に当接する。
【0057】
弾性部材51は、本体部51aと、延在部51bとを備える。本体部51aは、外径が上ウェハW1と略同径であり、かつ、中央部が中空である円環状の枠体である。複数の吸着部52は、かかる本体部51aの下面すなわち上ウェハW1との対向面に、本体部51aの形状に沿って円環状に並べられる。
【0058】
延在部51bは、本体部51aの外周部のうち、剥離の最も起点側に位置する外周部(ここでは、X軸負方向側の外周部)の一部を剥離の進行方向とは反対側(X軸負方向側)へ向けて延在させた部位である。そして、かかる延在部51bの先端に移動部60の支柱部材61が接続される。
【0059】
図4に戻り、分析装置31のその他の構成について説明する。移動部60は、支柱部材61と、駆動機構62と、ロードセル63とを備える。
【0060】
支柱部材61は、鉛直方向(Z軸方向)に延在する部材であり、一端部が弾性部材51の延在部51b(図5参照)に接続され、他端部が上側ベース部93を介して駆動機構62に接続される。
【0061】
駆動機構62は、上側ベース部93の上部に固定され、下部に接続される支柱部材61を鉛直方向に移動させる。ロードセル63は、支柱部材61にかかる負荷を検出する。
【0062】
かかる移動部60は、駆動機構62を用いて支柱部材61を鉛直上方に移動させることにより、支柱部材61に繋がった基板保持部50を引っ張り上げる。この際、移動部60は、ロードセル63による検出結果に基づき、上ウェハW1に加わる力を制御しながら、基板保持部50を引っ張ることができる。
【0063】
ここで、図5に示すように、引き上げの力点となる支柱部材61は、引き上げの支点となる吸着部52、すなわち、剥離の最も起点側(ここでは、X軸負方向側)に配置される吸着部52よりも剥離の進行方向の反対側に配置される。
【0064】
したがって、引き上げの作用点となる重合基板Tの側面(剥離の起点となる部位)には、図4において時計回りの回転力(モーメント)が発生する。これにより、移動部60は、上ウェハW1をその外縁部からめくり上げるようにして引っ張ることができ、上ウェハW1を下ウェハW2から効率的に剥離させることができる。
【0065】
なお、基板保持部50は、図4に示すように、移動部60によって支持され、移動部60は、上側ベース部93によって支持される。また、上側ベース部93は、チャンバ90の天井部に取り付けられた固定部材91に支柱92を介して支持される。
【0066】
基板保持部70は、基板保持部50の下方に配置され、重合基板Tの下ウェハW2側を吸着保持する。かかる基板保持部70は、円板形状の本体部71と、本体部71を支持する支柱部材72とを備える。
【0067】
本体部71は、たとえば、アルミニウムなどの金属部材で形成される。かかる本体部71の上面には、吸着面73が設けられる。吸着面73は、多孔質体であり、たとえばPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)などの樹脂部材で形成される。
【0068】
本体部71の内部には、吸着面73を介して外部と連通する吸引空間74が形成される。吸引空間74は、吸気管71aを介して真空ポンプなどの吸気装置71bと接続される。かかる基板保持部70は、吸気装置71bの吸気によって発生する負圧を利用し、下ウェハW2の非接合面W2n(図3参照)を吸着面73に吸着させることによって、重合基板Tを吸着保持する。
【0069】
また、下ウェハW2との吸着面に溝などの非吸着部が形成されていると、かかる非吸着部において下ウェハW2にクラックが発生するおそれがある。そこで、本体部71の吸着面73は、溝などの非吸着部を有しない平坦面とした。これにより、下ウェハW2にクラックが発生することを防止することができる。
【0070】
さらに、吸着面73をPCTFEなどの樹脂部材で形成することとしたため、下ウェハW2へのダメージをさらに抑えることができる。
【0071】
基板保持部70は、チャンバ90の床面に固定された回転昇降機構94によって支持される。回転昇降機構94は、支柱部材72を鉛直軸回りに回転させることにより、基板保持部70を回転させる。また、回転昇降機構94は、支柱部材72を鉛直方向に移動させることにより、基板保持部70を昇降させる。
【0072】
基板保持部70の外方には、剥離誘引部80が配置される。かかる剥離誘引部80は、上ウェハW1が下ウェハW2から剥離される起点となる部位を重合基板Tの側面に形成する。
【0073】
剥離誘引部80は、刃部81と、移動機構82と、移動機構83とを備える。刃部81は、挿入部の一例である。刃部81は、たとえば平刃であり、刃先が重合基板Tへ向けて突出するように移動機構82に支持される。
【0074】
移動機構82は、X軸方向に延在するレールに沿って刃部81を水平方向に移動させる。移動機構83は、たとえば上側ベース部93に固定され、移動機構82を鉛直方向に移動させる。この移動機構83によって、刃部81の高さ位置、すなわち、重合基板Tの側面への当接位置が調節される。
【0075】
剥離誘引部80は、移動機構83を用いて刃部81の高さ位置を調節した後、移動機構82を用いて刃部81を水平方向(ここでは、X軸正方向)へ移動させる。さらに剥離誘引部80は、刃部81を重合基板Tの側面に露出する上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとの間に当接させる。これにより、重合基板Tに、上ウェハW1を下ウェハW2から剥離する起点となる部位が形成される。
【0076】
また、チャンバ90には、かかるチャンバ90の内部を排気する第1排気部100および第2排気部110が接続される。第1排気部100は、第1排気路101と、バルブ102と、ポンプ103とを有する。第1排気路101は別の排気路の一例であり、ポンプ103は別の排気機構の一例である。
【0077】
第1排気路101は、チャンバ90の内部とエキゾースト部EXHとの間を接続する。バルブ102は、チャンバ90の内部からの排気のオンおよびオフを調整するバルブである。
【0078】
ポンプ103は、第1排気路101においてバルブ102よりも下流側に位置する。ポンプ103は、チャンバ90の内部を排気して、排気した気体をエキゾースト部EXHに送る。
【0079】
第2排気部110は、第2排気路111と、バルブ112と、滞留部113と、ポンプ114とを有する。第2排気路111は排気路の一例であり、ポンプ114は排気機構の一例である。
【0080】
第2排気路111は、上述の第1排気路101とは別の経路でチャンバ90の内部とエキゾースト部EXHとの間を接続する。バルブ112は、チャンバ90の内部からの排気のオンおよびオフを調整するバルブである。
【0081】
滞留部113は、第2排気路111においてバルブ112よりも下流側に位置する。滞留部113は、内部に空間を有する箱状の部材である。
【0082】
ポンプ114は、第2排気路111において滞留部113よりも下流側に位置する。ポンプ114は、チャンバ90の内部を排気して、排気した気体をエキゾースト部EXHに送る。
【0083】
また、第2排気部110の滞留部113には、ガス分析部120が接続される。ガス分析部120は、たとえばQMS(Quadrupole Mass Spectrometer:四重極型質量分析計)であり、滞留部113に流れ込んだガスの種類、および各ガス種の量などを検出することができる。
【0084】
また、チャンバ90には、減圧されているチャンバ90の内部を大気圧に開放するためのガスを供給するガス供給部130が接続される。ガス供給部130は、供給路131と、ガス供給源132と、バルブ133とを有する。
【0085】
供給路131は、ガス供給源132とチャンバ90の内部との間を接続する。ガス供給源132は、たとえば、チャンバ90の内部を大気圧に開放するためのガス(たとえば、窒素ガスなど)を貯留するタンクである。バルブ133は、ガス供給源132からのガス供給のオンおよびオフを調整するバルブである。
【0086】
また、チャンバ90には、内部を撮像可能なカメラ140が設けられる。かかるカメラ140は、たとえば、基板保持部50、70に保持される重合基板TよりもX軸負方向側に位置し、重合基板Tの側面に露出する上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとの間を撮像可能である。
【0087】
さらに、チャンバ90には、図示しない加熱機構が設けられる。かかる加熱機構は、チャンバ90を加熱することができる。
【0088】
<分析処理の詳細>
次に、分析装置31による分析処理の詳細について、図6図9を参照しながら説明する。図6は、実施形態に係る分析装置31が実行する分析処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、分析装置31は、制御装置4(図1参照)の制御部5(図1参照)の制御に基づき、図6に示す各処理手順を実行する。
【0089】
まず、制御部5は、バルブ102およびバルブ112を閉状態にした後、バルブ133を閉状態から開状態に変更することで、ガス供給源132からチャンバ90の内部にガスを供給し、チャンバ90の内部を大気圧に開放する(ステップS101)。なお、チャンバ90の内部が大気圧に開放された後、バルブ133は閉状態に戻る。
【0090】
次に、制御部5は、搬送装置41などを制御して、接合装置33で形成された重合基板Tを、接合装置33から搬入出口を経由してチャンバ90の内部に搬入する(ステップS102)。そして、制御部5は、基板保持部50および基板保持部70などを制御して、重合基板Tを上下から保持する(ステップS103)。
【0091】
なお、チャンバ90に搬入されて分析される重合基板Tは、接合装置33で形成された直後の重合基板Tに限られず、搬入出ステーション2から別途搬入された重合基板Tなどであってもよい。
【0092】
次に、制御部5は、バルブ102を閉状態から開状態に変更して、第1排気部100でチャンバ90の内部を真空排気する(ステップS104)。そして、チャンバ90の内部が所与の圧力(たとえば、1Pa)以下となった後、制御部5は、チャンバ90に設けられる加熱機構でチャンバ90を所与の温度(たとえば、120(℃)程度)に加熱する(ステップS105)。
【0093】
これにより、チャンバ90における壁の内表面や壁の内部に残留、溶存している気体分子をチャンバ90の内部空間に放出することができる。したがって、実施形態によれば、かかる気体分子が後の分析処理においてノイズとして検出されることを抑制できるため、分析精度を向上させることができる。
【0094】
なお、このステップS105の処理は、チャンバ90を加熱するだけでなく、第1排気路101におけるバルブ102よりも上流側、第2排気路111におけるバルブ112よりも上流側、および供給路131におけるバルブ133よりも下流側を加熱してもよい。
【0095】
このように、チャンバ90の大気開放処理ではチャンバ90の内部と同様に大気圧に開放されるとともに、チャンバ90の真空排気処理ではチャンバ90の内部と同様に真空排気される部位を加熱することで、分析精度をさらに向上させることができる。
【0096】
図6の説明に戻る。ステップS105の処理を所与の時間(たとえば、3時間程度)実施した後、制御部5は、バルブ102を開状態から閉状態に変更するとともに、バルブ112を閉状態から開状態に変更する。これにより、制御部5は、第2排気部110でチャンバ90の内部を真空排気する(ステップS106)。
【0097】
次に、制御部5は、重合基板Tから上ウェハW1を剥離する(ステップS107)。かかる剥離処理の詳細について、図7図9を用いて説明する。図7図9は、実施形態に係る剥離処理を説明するための図である。
【0098】
まず、制御部5は、図7に示すように、剥離誘引部80を制御して、重合基板Tの側面に刃部81を押し付けて、かかる重合基板Tにおける上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとの間に刃部81を挿入する。
【0099】
この際、制御部5は、X軸負方向側に配置される吸着部52の近傍に位置する重合基板Tの側面に刃部81を押し付ける。また、制御部5は、挿入位置である接合面W1jと接合面W2jとの間に刃部81が当接しているか否かを、カメラ140を用いて視認しながら判定する。
【0100】
すなわち、制御部5は、刃部81をX軸負方向側の待機位置から重合基板Tの側面に位置するX軸正方向側の挿入位置に移動させて、かかる挿入位置から接合面W1jと接合面W2jとの間に刃部81を挿入する。
【0101】
また、制御部5は、刃部81を挿入する処理と並行して、基板保持部50の外周部の一部、具体的には、弾性部材51の延在部51b(図4参照)を基板保持部70から離す方向に移動させる。
【0102】
これにより、刃部81を挿入した部位の近傍に配置される吸着部52が上方に引っ張られる。すると、図8に示すように、刃部81が挿入された部位を起点として上ウェハW1が重合基板Tから剥離し始める。
【0103】
ここで、実施形態では、チャンバ90の内部が第2排気部110で真空排気されているため、上ウェハW1が剥離し始めると、接合面W1jと接合面W2jとの間から、かかる接合面W1jと接合面W2jとの間に存在していたガスGが噴出する。
【0104】
その後、制御部5は、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとの間に刃部81を挿入するとともに、移動部60を動作させて基板保持部50をさらに引っ張り上げる。
【0105】
これにより、上ウェハW1におけるX軸負方向側の端部からX軸正方向側の端部へ向けて剥離が連続的に進行していき、最終的には、図9に示すように、上ウェハW1が重合基板T(図8参照)から剥離する。これにより、一連の剥離処理が終了する。
【0106】
図6の説明に戻る。ここまで説明した上ウェハW1の剥離処理と並行して、制御部5は、ガス分析部120を制御して、接合面W1jと接合面W2jとの間から噴出したガスGの成分を分析する(ステップS108)。
【0107】
ここで、実施形態では、第2排気部110でチャンバ90の内部を真空排気しながら上ウェハW1の剥離処理を行っているため、重合基板Tから噴出したガスGは滞留部113を経由してエキゾースト部EXHに排出される。そのため、滞留部113に接続されるガス分析部120は、重合基板Tから噴出したガスGを精度よく分析することができる。
【0108】
このように、実施形態では、剥離処理とガス分析処理とを並行して行うことで、上ウェハW1と下ウェハW2との界面に存在するガスGを精度よく分析することができる。そして、このガスGの少なくとも一部は、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応に起因して、上ウェハW1と下ウェハW2との界面に存在していると推測される。
【0109】
したがって、実施形態によれば、この界面に存在するガスGを精度よく分析することで、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための情報を得ることができる。
【0110】
また、実施形態では、ガス分析部120が、第2排気部110の第2排気路111に接続されるとよい。このように、噴出したガスGが集まって排気される第2排気路111にガス分析部120を接続することで、重合基板Tから噴出したガスGをより多く検出できることから、ガスGを精度よく分析することができる。
【0111】
したがって、実施形態によれば、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0112】
また、実施形態では、ガス分析部120が、箱状の滞留部113に接続されてもよい。これにより、管状の第2排気部110に直接ガス分析部120を接続する場合と比べて、噴出したガスGをより多くガス分析部120に導入することができる。
【0113】
したがって、実施形態によれば、重合基板Tから噴出したガスGをより多く分析できるため、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0114】
なお、本開示では、ガス分析部120が箱状の滞留部113に接続される場合に限られない。たとえば、ガス分析部120は、別の形状の滞留部113に接続されていてもよいし、管状の第2排気路111に直接接続されていてもよい。
【0115】
また、実施形態では、重合基板Tの接合部からガスGを噴出させる前に、第2排気部110とは異なる第1排気部100を用いて、チャンバ90の内部をあらかじめ所与の圧力以下まで排気してもよい。
【0116】
このように、ガス分析処理の際に用いられる第2排気部110とは別に、チャンバ90の内部を必要な圧力まで排気する専用の第1排気部100を設けることで、第2排気路111の内部(例えば、ガス分析部120等)が大気に曝されることを防ぐことができる。
【0117】
したがって、実施形態によれば、重合基板Tから噴出したガスGを精度よく分析できるため、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0118】
また、実施形態では、第1排気部100でチャンバ90の内部を排気した後に、続けて第2排気部110でチャンバ90の内部を排気しながら、移動機構82、83を制御して刃部81を挿入位置に移動させてもよい。
【0119】
このように、第1排気部100でチャンバ90の内部から不純物ガスを可能な限り排気した後に、第2排気部110でチャンバ90の内部を排気しながら重合基板Tの剥離処理を行うことで、不純物ガスが少ない環境下でガスGの分析処理を行うことができる。
【0120】
したがって、実施形態によれば、重合基板Tから噴出したガスGを精度よく分析できるため、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0121】
また、実施形態では、ポンプ103の排気速度がポンプ114の排気速度よりも大きくてもよい。このように、ガス分析処理の際に用いられるポンプ114よりも、チャンバ90の内部を大気圧から所与の圧力まで排気するポンプ103の排気速度を大きくすることで、より短時間でチャンバ90の内部を所与の圧力以下まで排気することができる。
【0122】
したがって、実施形態によれば、分析処理をより効率よく実施することができる。
【0123】
また、実施形態では、チャンバ90が、内部の挿入位置を視認可能であるカメラ140を有してもよい。これにより、接合面W1jと接合面W2jとの間に刃部81が当接しているか否かを、カメラ140によって視認しながら剥離処理を行うことができるため、分析処理を効率よく実施することができる。
【0124】
また、実施形態では、ガス分析部120が、QMSなどの質量分析計であってもよい。これにより、重合基板Tから噴出したガスGの種類、および各ガス種の量などを精度よく検出することができる。
【0125】
したがって、実施形態によれば、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0126】
また、実施形態では、ドリルのような部材で重合基板Tを破壊しながらガスGを分析するのではなく、平刃のような刃部81で重合基板Tを割断しながらガスGを分析してもよい。これにより、重合基板Tの内部に存在する気体の中から、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとの間に存在するガスGに絞って質量分析を行うことができる。
【0127】
したがって、実施形態によれば、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0128】
また、実施形態では、分析装置31が、接合システム1に設けられてもよい。これにより、接合システム1の接合装置33で形成された重合基板Tをインラインで分析することができる。
【0129】
なお、本開示では、分析装置31が接合システム1に設けられる場合に限られず、分析装置31がその他のシステムの内部に組み込まれてもよいし、分析装置31が1つの装置として独立していてもよい。
【0130】
図6の説明に戻る。ステップS107およびステップS108の処理が終了した後、制御部5は、上述のステップS101の処理と同じ手順で、チャンバ90の内部を大気圧に開放する(ステップS109)。なお、チャンバ90の内部が大気圧に開放された後、バルブ133は閉状態に戻る。
【0131】
最後に、制御部5は、大気圧に開放されたチャンバ90から、上ウェハW1および下ウェハW2を搬出し(ステップS110)、一連の分析処理を終了する。
【0132】
上記の実施形態では、刃部81を移動機構82、83で挿入位置に移動させながら重合基板Tの剥離処理を行う例について示したが、本開示はかかる例に限られない。たとえば、本開示では、基板保持部50、70を駆動して、かかる基板保持部50、70に保持される重合基板Tを刃部81に向けて移動させながら、重合基板Tの剥離処理を実施してもよい。
【0133】
さらに、本開示では、刃部81および重合基板Tをいずれも移動させながら、重合基板Tの剥離処理を実施してもよい。これらによっても、剥離処理とガス分析処理とを並行して行うことができる。
【0134】
また、本開示では、ガス分析処理において、噴出したガスGの時間推移を測定してもよい。これにより、重合基板Tの各部位(たとえば、周縁部および中央部)における化学反応や接合メカニズムの違いを詳細に解析することができる。
【0135】
また、本開示では、重合基板Tを水平に保持しながら剥離処理およびガス分析処理を実施する例について示したが、本開示はかかる例に限られず、たとえば、重合基板Tを垂直に保持しながら剥離処理およびガス分析処理を実施してもよい。
【0136】
また、本開示では、重合基板Tの全体に対して剥離処理およびガス分析処理を実施する例について示したが、本開示はかかる例に限られず、たとえば重合基板Tの破片に対して剥離処理およびガス分析処理を行ってもよい。
【0137】
これにより、重合基板Tの各部位における化学反応や接合メカニズムの違いを詳細に解析することができる。
【0138】
<接合メカニズムの解析結果の一例>
つづいて、実施形態に係る分析装置31を用いた、重合基板Tの接合メカニズムの解析結果の一例について説明する。なお、本開示の解析は、表面改質装置30において、接合面W1j、W2jの改質に用いられる処理ガスのプラズマを様々に変化させた複数種類の重合基板Tを用いて行っている。
【0139】
具体的には、本開示では、処理ガスとして窒素(N)または酸素(O)が用いられ、さらにそれぞれの処理ガスでプラズマを発生させる際の投入電力が低い値(Low)または高い値(High)に制御されている。
【0140】
図10は、表面改質処理でのプラズマ条件と各重合基板Tの接合強度との関係について示す図である。図10に示すように、処理ガスに窒素を用いた重合基板Tと、処理ガスに酸素を用いた重合基板Tとの比較では、処理ガスに窒素を用いた重合基板Tのほうが上ウェハW1と下ウェハW2との接合強度が高いことがわかる。
【0141】
また、処理ガスに窒素を用いた場合において、プラズマを発生させる際の投入電力が低い重合基板Tと、かかる投入電力が高い重合基板Tとの比較では、投入電力が低い重合基板Tのほうが上ウェハW1と下ウェハW2との接合強度が高いことがわかる。
【0142】
図11は、表面改質処理でのプラズマ条件と実施形態に係る分析処理によって測定された総検出ガス量との関係について示す図である。図11に示すように、処理ガスに窒素を用いた場合において、プラズマを発生させる際の投入電力が低い重合基板Tと、投入電力が高い重合基板Tとの比較では、投入電力が高い重合基板TのほうがガスGの総検出量が多いことがわかる。
【0143】
図12は、表面改質処理でのプラズマ条件と実施形態に係る分析処理によって測定されたそれぞれのガス種の検出ガス量との関係について示す図である。
【0144】
図12に示すように、処理ガスに窒素を用いた重合基板Tでは、ガスGに含まれるガス種として水素(H)および窒素が検出されていることがわかる。一方で、処理ガスに酸素を用いた重合基板Tでは、ガスGに含まれるガス種として、水素および窒素に加えて、酸素および水蒸気(HO)が検出されていることがわかる。
【0145】
ここまで得られた分析結果に基づいて、処理ガスに窒素を用いた重合基板Tにおける接合メカニズムの解析結果と、処理ガスに酸素を用いた重合基板Tにおける接合メカニズムの解析結果とについて、以下に説明する。
【0146】
図13は、処理ガスに窒素を用いた重合基板Tにおける接合メカニズムの解析結果を説明するための図である。図13の(a)に示すように、接合処理直前の上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとには、シリコン(Si)の表面に酸化膜(SiO)が形成される。
【0147】
また、接合面W1j、W2jには、処理ガスに窒素を用いたプラズマ処理によって、酸化膜の表面にダメージを受けたアモルファス状の窒化酸化膜(SiON)が形成される。さらに、接合面W1j、W2jの最表面には、プラズマ処理後の表面親水化処理によって、多数のシラノール基(Si-OH)が形成される。
【0148】
そして、接合面W1jと接合面W2jとの間には、不純物ガスなどに起因する水蒸気が存在する。かかる水蒸気は、たとえば、表面の窒化酸化膜の内部などに拡散する。
【0149】
次に、図13の(b)に示すように、接合面W1jと接合面W2jとが接触すると、互いの最表面に位置するシラノール基によって以下の化学式(1)で示す化学反応が生じ、接合面W1jと接合面W2jとの間にシロキサン結合(Si-O-Si)が形成される。
(Si-OH)+(Si-OH)⇔(Si-O-Si)+HO ・・・(1)
【0150】
かかるシロキサン結合は非常に強固な結合であることから、接合面W1jと接合面W2jとの間にシロキサン結合が形成されることで、上ウェハW1と下ウェハW2とが強固に接合される。
【0151】
一方で、上記の化学式(1)は可逆反応であることから、接合面W1jと接合面W2jとの界面に水蒸気が存在すると、逆反応によってシロキサン結合はシラノール基に戻る。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2との接合強度が低下する。
【0152】
また、図13の(b)に示す状態では、窒化酸化膜に含まれるシリコン窒化物(SiN)と、窒化酸化膜の内部に存在する水蒸気とが、以下の化学式(2)に示す化学反応によって、シリコン酸化物、窒素および水素に変化する。なぜなら、シリコン窒化物に含まれるシリコン原子は、窒素原子よりも酸素原子に対して結合しやすいからである。
2SiN+2HO→2SiO+N+2H ・・・(2)
【0153】
そして、上記の化学式(2)で生成された窒素および水素は、たとえば、接合面W1jと接合面W2jとの間に拡散する。
【0154】
次に、図13の(c)に示すように、上記の化学式(1)によって接合面W1jと接合面W2jとの間のシロキサン結合が十分に形成されると、上ウェハW1と下ウェハW2とが接合して重合基板Tが形成される。
【0155】
そして、処理ガスに窒素を用いた重合基板Tでは、上記の化学式(2)で生成された窒素および水素によって、接合面W1jと接合面W2jとの間に空孔Vが形成される。すなわち、かかる空孔Vには、窒素および水素が存在する。
【0156】
そして、上ウェハW1と下ウェハW2との界面においてこの空孔Vが形成される領域は上ウェハW1と下ウェハW2との接合には寄与しないため、界面に空孔Vが多いほど上ウェハW1と下ウェハW2との接合強度は低下する。
【0157】
そのため、図10および図11に示したように、ガスGの総検出量が多かった投入電力が高い重合基板Tのほうが、界面に空孔Vが多く形成されていることから、接合強度が低下したと推測できる。
【0158】
また、投入電力が高い重合基板TのほうがガスGの総検出量が多い理由としては、高密度の窒素プラズマによって接合面W1j、W2jの最表面により多くのシリコン窒化物が形成されるため、上記の化学式(2)の反応が促進したためと推測できる。
【0159】
図14は、処理ガスに酸素を用いた重合基板Tにおける接合メカニズムの解析結果を説明するための図である。図14の(a)に示すように、接合処理直前の上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとには、シリコン(Si)の表面に酸化膜(SiO)が形成される。
【0160】
また、接合面W1j、W2jには、処理ガスに酸素を用いたプラズマ処理によって、酸化膜の表面にダメージを受けたアモルファス状の酸化膜(以下、ダメージ酸化膜(d-SiO)とも呼称する。)が形成される。さらに、接合面W1j、W2jの最表面には、プラズマ処理後の表面親水化処理によって、多数のシラノール基(Si-OH)が形成される。
【0161】
そして、接合面W1jと接合面W2jとの間には、不純物ガスなどに起因する水蒸気が存在する。かかる水蒸気は、たとえば、最表面のダメージ酸化膜の内部などに拡散する。
【0162】
次に、図14の(b)に示すように、接合面W1jと接合面W2jとが接触すると、互いの最表面に位置するシラノール基から上記の化学式(1)で示す化学反応が生じ、接合面W1jと接合面W2jとの間にシロキサン結合(Si-O-Si)が形成される。
【0163】
また、図14の(b)に示す状態では、ダメージ酸化膜に含まれる励起したシリコン原子(Si*)と、ダメージ酸化膜の内部に存在する一部の水蒸気とが、以下の化学式(3)に示す化学反応によって、シリコン酸化物および水素に変化する。
Si*+HO→SiO+H ・・・(3)
【0164】
そして、上記の化学式(3)で生成された水素と、反応しないままダメージ酸化膜の内部に残る水蒸気とは、たとえば、接合面W1jと接合面W2jとの間に拡散する。
【0165】
次に、図14の(c)に示すように、上記の化学式(1)によって接合面W1jと接合面W2jとの間のシロキサン結合が十分に形成されると、上ウェハW1と下ウェハW2とが接合して重合基板Tが形成される。
【0166】
そして、処理ガスに酸素を用いた重合基板Tでは、上記の化学式(3)で生成された水素と、不純物ガスなどに起因する水蒸気とによって、接合面W1jと接合面W2jとの間に空孔Vが形成される。すなわち、かかる空孔Vには、水素および水蒸気が少なくとも存在する。
【0167】
そして、上ウェハW1と下ウェハW2との界面に水蒸気が存在する場合、上記の化学式(1)の逆反応によって、シロキサン結合はシラノール基に戻る。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2との接合強度が低下する。
【0168】
すなわち、図10および図12に示したように、処理ガスに酸素を用いた重合基板Tのほうが、ガスGに水蒸気が含まれるため、接合強度が低下したと推測できる。
【0169】
ここまで説明したように、実施形態では、上ウェハW1と下ウェハW2との界面に存在するガスGを分析することで、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための情報を得ることができる。
【0170】
実施形態に係る分析装置31は、基板保持部50、70と、挿入部(刃部81)と、ガス分析部120と、を備える。基板保持部50、70は、第1基板(上ウェハW1)と第2基板(下ウェハW2)とが接合された重合基板Tを保持する。挿入部(刃部81)は、基板保持部50、70に保持された重合基板Tにおける第1基板(上ウェハW1)の接合面W1jと第2基板(下ウェハW2)の接合面W2jとの間に挿入可能である。ガス分析部120は、第1基板(上ウェハW1)の接合面W1jと第2基板(下ウェハW2)の接合面W2jとの間から噴出したガスGの成分を分析する。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための情報を得ることができる。
【0171】
また、実施形態に係る分析装置31は、基板保持部50、70に保持された重合基板Tを収容するチャンバ90と、チャンバ90を排気路(第2排気路111)を介して排気する排気機構(ポンプ114)と、をさらに備える。また、ガス分析部120は、排気路(第2排気路111)に接続される。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0172】
また、実施形態に係る分析装置31は、チャンバ90を別の排気路(第1排気路101)を介して排気する別の排気機構(ポンプ103)と、各部を制御する制御部5と、をさらに備える。また、制御部5は、別の排気機構(ポンプ103)を制御して、第1基板(上ウェハW1)の接合面W1jと第2基板(下ウェハW2)の接合面W2jとの間からガスGを噴出させる前に、あらかじめ所与の圧力以下までチャンバ90を排気する。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0173】
また、実施形態に係る分析装置31は、移動機構82、83をさらに備える。移動機構82、83は、基板保持部50または挿入部(刃部81)を、第1基板(上ウェハW1)の接合面W1jと第2基板(下ウェハW2)の接合面W2jとの間の挿入位置と、挿入位置から離れた離間位置との間で相対的に移動させる。また、制御部5は、別の排気機構(ポンプ103)でチャンバ90を排気した後に、排気機構(ポンプ114)でチャンバ90を排気しながら、移動機構82、83で基板保持部50、70または挿入部(刃部81)を離間位置から挿入位置に移動させる。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0174】
また、実施形態に係る分析装置31において、別の排気機構(ポンプ103)は、排気機構(ポンプ114)よりも排気速度が大きい。これにより、分析処理をより効率よく実施することができる。
【0175】
また、実施形態に係る分析装置31において、チャンバ90は、内部の挿入位置を視認可能であるカメラ140を有する。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0176】
また、実施形態に係る分析装置31において、排気路(第2排気路111)は、箱状の滞留部113を有する。また、ガス分析部120は、滞留部113に接続される。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0177】
また、実施形態に係る分析装置31は、チャンバ90を加熱する加熱機構、をさらに備える。これにより、ガスGの分析精度を向上させることができる。
【0178】
また、実施形態に係る分析装置31において、ガス分析部120は、質量分析計である。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための精度のよい情報を得ることができる。
【0179】
また、実施形態に係る接合システム1は、接合装置33と、上記に記載の分析装置31と、搬送装置41とを備える。接合装置33は、第1基板(上ウェハW1)と第2基板(下ウェハW2)とを接合して重合基板Tを形成する。搬送装置41は、接合装置33と分析装置31との間で重合基板Tを搬送する。これにより、接合システム1の接合装置33で形成された重合基板Tをインラインで分析することができる。
【0180】
また、実施形態に係る分析方法は、基板保持工程(ステップS103)と、挿入工程(ステップS107)と、ガス分析工程(ステップS108)と、を含む。基板保持工程(ステップS103)は、第1基板(上ウェハW1)と第2基板(下ウェハW2)とが接合された重合基板Tを保持する。挿入工程(ステップS107)は、基板保持工程(ステップS103)にて保持された重合基板Tにおける第1基板(上ウェハW1)の接合面W1jと第2基板(下ウェハW2)の接合面W2jとの間に挿入部(刃部81)を挿入する。ガス分析工程(ステップS108)は、第1基板(上ウェハW1)の接合面W1jと第2基板(下ウェハW2)の接合面W2jとの間から噴出したガスGの成分を分析する。これにより、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に起きている化学反応や接合のメカニズムを解析するための情報を得ることができる。
【0181】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0182】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0183】
1 接合システム
5 制御部
31 分析装置
33 接合装置
41 搬送装置
50 基板保持部
70 基板保持部
81 刃部(挿入部の一例)
82 移動機構
83 移動機構
90 チャンバ
100 第1排気部
101 第1排気路(別の排気路の一例)
103 ポンプ(別の排気機構の一例)
110 第2排気部
111 第2排気路(排気路の一例)
113 滞留部
114 ポンプ(排気機構の一例)
120 ガス分析部
140 カメラ
T 重合基板
W1 上ウェハ(第1基板の一例)
W1j 接合面
W2 下ウェハ(第2基板の一例)
W2j 接合面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14