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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101716
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】熱分解装置
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/12 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
C08J11/12 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005791
(22)【出願日】2023-01-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角谷 英則
(72)【発明者】
【氏名】安富 陽一
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA17
4F401AC01
4F401AD07
4F401BA06
4F401CA70
4F401CB18
4F401FA11X
(57)【要約】      (修正有)
【課題】(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体にかかるケミカルリサイクルを実施する際に、スクラップの不純物の量を低減させる熱分解装置を提供する。
【解決手段】熱分解装置は、スクラップの前処理部と、熱分解してガス化する熱分解部とを備えており、前処理部が、下記構成(1)または(2)を有している。構成(1):第1投入部と、第1投入部から投入されたスクラップを洗浄する洗浄機と、洗浄機により洗浄されたスクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、金属成分が含まれる部材を除去する第1除去部と、スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。構成(2):第1投入部と、投入されたスクラップ中の金属成分を検出する前記第1金属探知機と、前記第1除去部と、残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、洗浄されたスクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有している、熱分解装置。
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
【請求項2】
前記前処理部が前記構成(1)を有している、請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項3】
前記構成(1)において、前記洗浄機が、洗浄された前記スクラップを乾燥する乾燥器、および/または、洗浄された前記スクラップを脱水する脱水機をさらに有する、請求項2に記載の熱分解装置。
【請求項4】
前記前処理部が前記構成(2)を有している、請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項5】
前記構成(2)において、前記洗浄機が、洗浄された前記スクラップを乾燥する乾燥器、および/または、洗浄された前記スクラップを脱水する脱水機をさらに有する、請求項4に記載の熱分解装置。
【請求項6】
前記前処理部が、前記粉砕機により粉砕された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第2金属探知機と、該第2金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第2除去部とをさらに有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項7】
前記第2金属探知機が、前記第1金属探知機よりも、金属成分が含まれる部材の検出精度が高い金属探知機である、請求項6に記載の熱分解装置。
【請求項8】
前記第1金属探知機が電磁誘導方式の金属探知機であり、前記第2金属探知機がX線方式の金属探知機である、請求項7に記載の熱分解装置。
【請求項9】
前記洗浄機が、水洗浄機能およびエアー洗浄機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの洗浄機能を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項10】
前記熱分解部が、前記前処理装置により前処理された前記スクラップを投入するための第2投入部と、前記スクラップが熱分解されたガスを抜き出すためのガス抜き出し部を有している、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項11】
前記熱分解部が、押出機、ニーダーまたは流動床加熱機である、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項12】
前記熱分解部が押出機である、請求項11に記載の熱分解装置。
【請求項13】
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有している、熱分解システム。
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解装置に関し、特に(メタ)アクリル酸エステルを再生するための熱分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリル酸エステルを代表する例えば(メタ)アクリル酸メチル(MMA)を重合した重合体であるポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)は、透明性に優れており、さらには耐候性にも優れている。よって、ポリ(メタ)アクリル酸メチルは、自動車用部品、看板標識、表示装置、弾球遊技用樹脂基板等を構成する部材の材料として、広く用いられている。
【0003】
そして、近年の資源価格の高騰、さらには環境問題に対する意識の高まりに伴って、上記のとおりの種々の用途に用いられたポリ(メタ)アクリル酸メチルを含む製品(成形体)は回収されてリサイクル(再資源化)が図られている。
【0004】
ポリ(メタ)アクリル酸メチルのリサイクルの方法としては、例えば、回収された成形体に対し、再度、成形工程を実施して新たな成形体を製造するマテリアルリサイクル、回収された成形体を熱処理して、ポリ(メタ)アクリル酸メチルを熱分解(解重合)することにより(メタ)アクリル酸メチルを回収し、回収された(メタ)アクリル酸メチル(再生MMAという場合がある。)を用いて新たな成形体を製造するケミカルリサイクル、および回収された成形体を燃料として燃焼させ、燃焼エネルギーを直接的に熱源として、さらには燃焼エネルギーを用いて発電して利用するサーマルリサイクルが挙げられる。
【0005】
ポリ(メタ)アクリル酸メチルは、300℃程度の比較的低い温度で加熱して熱分解することによって、(メタ)アクリル酸メチルを高収率で回収することができ、不純物の低減が可能であるため、ケミカルリサイクルによりリサイクルされることが好ましい。
【0006】
通常、回収された成形体については、再生される前に、洗浄等の前処理が行われる。例えば、このような前処理の例として、(A)粉砕異物を、金属探知装置により金属を選択的に除去する工程、(B)粉砕異物を、光照射により明度を測定し、明度の低い異物を選択的に除去する工程、(C)洗浄する工程、および(D)比重により選別する工程を含む方法が知られており(特許文献1参照。)、さらには(A)廃プラスチックフィルム回収束を、走行させながら異物除去装置により異物を除去しながら巻取り装置に巻き取り、予め決められた巻量になったときに寸法切り刃で寸法切りを行った後、荒切断機で幅方向に適宜な間隔で複数に切断し、次いで金属探知器で金属を除去し、第1ロータリ式水洗装置で水洗し、さらに一次破砕機で破砕せしめる前処理破砕工程、(B)一次破砕された一次破砕物を第2ロータリ式水洗装置で水洗して循環沈澱浄化槽を経て、二次破砕機で破砕せしめた後、水洗式定量供給機に供給して水洗せしめる粗洗浄破砕工程、(C)二次破砕された二次破砕物を、超音波洗浄装置により超音波洗浄を行った後に比重分離槽で浮遊物を分離せしめ、定量供給圧送装置に送られる超音波洗浄工程、(D)超音波洗浄工程の定量供給圧送装置により脱水機へ送られて脱水処理を行う脱水工程、(E)脱水物をロータリ式乾燥機で乾燥を行う乾燥工程、(F)乾燥物を粉砕機でさらに細かく粉砕する粉砕選別回収工程を含む方法が知られている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-307436号公報
【特許文献2】特開2004-202758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体にかかるケミカルリサイクルを実施するにあたっても、通常、熱分解の前に、回収された成形体またはスクラップに対して、洗浄等の前処理を行うことが好ましい。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1および2にかかる技術によっては、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体に適用する場合には、特に金属成分が含まれる部材の除去および洗浄が必ずしも十分とはいえない場合があり、結果として、再生された(メタ)アクリル酸エステル(以下、再生(メタ)アクリル酸エステルという場合がある。)に混入する不純物の量が増大してしまったり、用いられる熱分解装置におけるメンテナンスの頻度が増大してしまい、結果として、製造効率が低下してしまったりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、前処理のための所定の構成を熱分解装置に設けることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、下記〔1〕~〔13〕を提供する。
〔1〕 (メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有している、熱分解装置。
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
〔2〕 前記前処理部が前記構成(1)を有している、〔1〕に記載の熱分解装置。
〔3〕 前記構成(1)において、前記洗浄機が、洗浄された前記スクラップを乾燥する乾燥器、および/または、洗浄された前記スクラップを脱水する脱水機をさらに有する、〔2〕に記載の熱分解装置。
〔4〕 前記前処理部が前記構成(2)を有している、〔1〕に記載の熱分解装置。
〔5〕 前記構成(2)において、前記洗浄機が、洗浄された前記スクラップを乾燥する乾燥器、および/または、洗浄された前記スクラップを脱水する脱水機をさらに有する、〔4〕に記載の熱分解装置。
〔6〕 前記前処理部が、前記粉砕機により粉砕された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第2金属探知機と、該第2金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第2除去部とをさらに有する、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の熱分解装置。
〔7〕 前記第2金属探知機が、前記第1金属探知機よりも、金属成分が含まれる部材の検出精度が高い金属探知機である、〔6〕に記載の熱分解装置。
〔8〕 前記第1金属探知機が電磁誘導方式の金属探知機であり、前記第2金属探知機がX線方式の金属探知機である、〔7〕に記載の熱分解装置。
〔9〕 前記洗浄機が、水洗浄機能およびエアー洗浄機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの洗浄機能を有する、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の熱分解装置。
〔10〕 前記熱分解部が、前記前処理装置により前処理された前記スクラップを投入するための第2投入部と、前記スクラップが熱分解されたガスを抜き出すためのガス抜き出し部を有している、〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の熱分解装置。
〔11〕 前記熱分解部が、押出機、ニーダーまたは流動床加熱機である、〔1〕~〔10〕のいずれか1つに記載の熱分解装置。
〔12〕 前記熱分解部が押出機である、〔11〕に記載の熱分解装置。
〔13〕 (メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有している、熱分解システム。
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量を効果的に低減することができ、さらには熱分解装置(熱分解システム)のメンテナンスの頻度を低減し、再生(メタ)アクリル酸エステルの製造効率をより向上させることができる。
具体的には、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体にかかるケミカルリサイクルを実施する際に、ケミカルリサイクルに供される成形体が、屋外で長期間使用又は保管されたことにより、異物や金属粉が付着している場合、また成形体が弾球遊技用樹脂基板として使用されていたことにより、基板に釘が残存している場合、さらに成形体がランプカバーや導光板として使用されていたことにより、成形体の分解後に電気通信回線などが残存している場合などに、成形体に含まれうる金属成分などによる熱分解装置の汚染又は損傷が生じたり、また含まれる金属成分が触媒として機能するなどして意図せぬ反応を引き起こすことに起因する製造効率の低下、さらには安全性の低下が懸念されるが、本発明によればこれらを回避して、上記の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態の熱分解装置の構成例を示す概略的な図である。
図2図2は、第2実施形態の熱分解装置の構成例を示す概略的な図である。
図3図3は、第3実施形態の熱分解システムの構成例を示す概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、各図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、それぞれの構成要素は本発明の要旨から逸脱しない範囲で改変可能である。図面において、同一の符号を付した同一の構成要素については重複する説明を省略する場合がある。
【0015】
本発明の熱分解装置は、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有している。
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄器により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
【0016】
<第1実施形態>
1.熱分解装置
図1を参照して、第1実施形態の熱分解装置の構成例について説明する。図1は、第1実施形態の熱分解装置の構成例を示す概略的な図である。
【0017】
図1に示されるように、第1実施形態の熱分解装置1は、
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部10と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する熱分解部20とを備えており、
前記前処理部10が、下記構成(1)を有している。
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部11と、該第1投入部11から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機12Aと、該洗浄器12Aにより洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機13と、該第1金属探知機13により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部14と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機15とを有している。
【0018】
(1)用語の説明
「(メタ)アクリル」には、アクリル、メタクリルおよびこれらの組み合わせが含まれる。
「(メタ)アクリル酸エステル」には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸(2-エチルヘキシル)、(メタ)アクリル酸(tert-ブチルシクロヘキシル)、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸(2,2,2-トリフルオロエチル)が含まれる。
【0019】
「(メタ)アクリル系重合体組成物」は、(メタ)アクリル系重合体を主成分として含み、さらにその他の成分を含みうる組成物である。
【0020】
「(メタ)アクリル系重合体」は、(メタ)アクリル基を有するモノマーに由来する単量体単位を有する重合体である。
【0021】
ここで、(メタ)アクリル系重合体としては、例えば、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルに由来する単量体単位のみを含む(メタ)アクリル単独重合体;炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルに由来する単量体単位を、85質量%以上100質量%未満と、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルに由来する単量体単位と共重合可能な他のビニル単量体に由来する単量体単位を0質量%を超えて15質量%以下とを有する(メタ)アクリル共重合体が挙げられる。
【0022】
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル」とは、例えばCH=C(CH)COOR(Rは炭素原子数1~4のアルキル基である。)で表される化合物である。
【0023】
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと共重合可能なビニル単量体とは、炭素原子数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルと共重合可能であり、かつビニル基を有する単量体である。
【0024】
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、およびメタクリル酸イソブチルが挙げられる。炭素原子数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルは、好ましくはメタクリル酸メチルである。
【0025】
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと共重合可能なビニル単量体としては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロールなどのメタクリル酸エステル(ただし、炭素原子数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルを除く。);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール等のアクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸又はこれらの酸無水物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有モノマー;アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有単量体;スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体が挙げられる。
【0026】
(メタ)アクリル系重合体の製造方法としては、例えば、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと、必要に応じて、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと共重合可能なビニル単量体とを、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法で重合されていてよい。
【0027】
(メタ)アクリル系重合体組成物が含みうる「その他の成分」には、例えば、所定の特性を有する成形体を製造するために添加されうる従来公知の任意好適な、離型剤、重合調節剤、重合開始剤、紫外線吸収剤および着色剤が含まれる。
【0028】
「スクラップ」とは、通常、(メタ)アクリル系重合体組成物を従来公知の任意好適な射出成形工程などにより種々の形状に成形して製造され、所定の用途に使用された後に廃材として回収された使用済みの成形体であって、本発明において原料として用いることができる形状、サイズに調整された成形体である。また、「スクラップ」は、成形時の不良品を回収し、本発明において原料として用いることができる形状、サイズに調整された成形体であってもよいし、成形時や研磨加工など後工程で発生する端材を回収し、原料として用いることができる形状、サイズに調整された成形体であってもよい。
【0029】
以下、第1実施形態の熱分解装置1を構成しうる構成要素について具体的に説明する。
【0030】
(2)前処理部
前処理部10は、原料であるスクラップを投入するための第1投入部11を有している。第1投入部11は、前処理部10に原料であるスクラップを導入するための機能部である。第1投入部11の形状、サイズ等は原料であるスクラップの性状に応じた従来公知の任意好適な形状、サイズ等とすることができる。第1実施形態においては、第1投入部11は、洗浄機12に設けられている。洗浄機12は、第1投入部11から投入されたスクラップを洗浄する機能部である。洗浄機12としては、本技術分野において通常用いられている従来公知の任意好適な洗浄機を採用することができる。洗浄機12としては、具体的には例えば、日本シーム社製の縦型洗浄脱水機「エルガタ」、横型洗浄脱水機「ツイスター」、および横型洗浄脱水機「プラウォッシャー」が挙げられる。
【0031】
洗浄機12は、水洗浄機能およびエアー洗浄機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの洗浄機能を有する洗浄機であることが好ましい。
【0032】
図1に示されるとおり、洗浄機12は、スクラップを洗浄する洗浄部12Aと、洗浄部12Aに接続されており洗浄部12Aにおいて洗浄されたスクラップを脱水する脱水機12Bおよび/または、脱水機12Bに接続されており、洗浄部12Aにおいて洗浄されたスクラップを乾燥する乾燥器12Cをさらに有することが好ましい。
【0033】
図示例において、乾燥器12Cは、脱水機12Bに接続される態様として示したがこれに限定されず、乾燥器12Cは、洗浄部12Aに接続され、洗浄部12Aにより洗浄されたスクラップを直接的に導入して乾燥できるように構成してもよい。脱水機12Bおよび乾燥器12Cは、本技術分野において通常用いられている従来公知の任意好適な構成を採用することができる。乾燥器12Cとしては、具体的には例えば、ヤスジマ社製の攪拌乾燥機「YVD真空撹拌乾燥機」、および徳寿工作所社製の真空回転乾燥機「真空回転乾燥機WDV型」が挙げられる。
【0034】
第1実施形態において、洗浄機12には、洗浄機12により洗浄されたスクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機13が接続されている。図1に示されるとおり、この構成例では、第1金属探知機13は、既に説明した乾燥器12Cに接続されている。
【0035】
第1金属探知機13は、本技術分野において通常用いられている従来公知の任意好適な構成を採用することができる。第1金属探知機13は、電磁誘導方式(交流型)の金属探知機であることが好ましい。第1金属探知機13を電磁誘導方式(交流型)の金属探知機とすれば、真鍮、黄銅、銅、アルミニウムといった非磁性体である金属成分を含む部材であっても効果的に検出することができる。第1金属探知機13としては、具体的には例えば、日本金属探知機製造株式会社製の全金属対応金属探知機「ATTER-V8AMi2w」が挙げられる。
【0036】
第1金属探知機13には、第1除去部14が接続されている。第1除去部14は、第1金属探知機13により検出された金属成分が含まれる部材を除去する機能部である。第1除去部14として、本技術分野において通常用いられている従来公知の任意好適な構成を採用することができる。第1除去部14においては、比較的サイズが大きく、かつ重量が重い部材を除去することが想定されている。よって、第1除去部14にかかる好適な方式としては、例えば、フリッパ方式、ドロップアウト方式、アップアウト方式、トリップ方式、プッシャー方式、ターニング方式、キャリア方式が挙げられる。
【0037】
図1に示されるとおり、熱分解装置1の前処理部10は、第1除去部14により金属成分が含まれる部材が除去された残余のスクラップを粉砕する粉砕機15とを有している。粉砕機15としては、本技術分野において通常用いられている従来公知の任意好適な構成を採用することができる。粉砕機15は、導入されたスクラップを粉砕して、後述する熱分解部20による熱分解工程に供するのに適したサイズに調節することができる機能部である。粉砕機15としては、具体的には例えば、ホーライ社製の粉砕機Vシリーズ、U-COMシリーズ、Zエースシリーズが挙げられる。
【0038】
粉砕機15は、既に説明した第1除去部14に接続されており、第1除去部14によって金属成分が含まれる部材が除去された残余のスクラップを導入することができるように構成されている。
【0039】
図1に示されるとおり、熱分解装置1の前処理部10は、既に説明した粉砕機15により粉砕されたスクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第2金属探知機16と、第2金属探知機16により検出された金属成分が含まれる部材を除去する第2除去部17とをさらに有することが好ましい。
【0040】
第2金属探知機16は、本技術分野において通常用いられている従来公知の任意好適な構成を採用することができる。第2金属探知機16は、既に説明した第1金属探知機13よりも、金属成分が含まれる部材の検出精度が高い金属探知機であることが好ましい。
【0041】
具体的には、例えば、既に説明した第1金属探知機13を電磁誘導方式の金属探知機とし、第2金属探知機16をX線方式の金属探知機とすることが好ましい。
【0042】
第2金属探知機16をX線方式の金属探知機とすれば、真鍮、黄銅、銅、アルミニウムといった非磁性体である金属成分を含む部材のみならず、ガラスなどの異物であっても効果的に検出することができる。
【0043】
第2金属探知機16には、第2除去部17が接続されている。第2除去部17は、第2金属探知機16により検出された金属成分が含まれる部材を除去する機能部である。第2除去部17として、本技術分野において通常用いられている従来公知の任意好適な構成を採用することができる。第2除去部17においては、粉砕後の比較的サイズが小さく、かつ重量が軽い部材を除去することが想定されている。よって、第2除去部17にかかる好適な方式としては、例えば、エアージェット方式、およびシュート方式が挙げられる。
【0044】
熱分解装置1が第2金属探知機16および第2除去部17をさらに含む構成とすれば、より効果的に精度よく金属成分を含む部材、さらには熱分解の対象となり得ない異物を事前に除去をすることができるので、再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量を効果的に低減することができ、さらには再生(メタ)アクリル酸エステルの製造効率をより向上させることができる。
【0045】
(3)熱分解部
熱分解装置1は、熱分解部20を含んでいる。熱分解部20としては、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル樹脂組成物を成形した成形体のスクラップを熱分解して、(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを生成することができることを条件として、従来公知の任意好適な構成を採用することができる。熱分解部20は、既に説明した前処理部10、より具体的には、既に説明した粉砕機15または第2除去部17に接続されており、前処理部10によって前処理されたスクラップを投入して熱分解することにより、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル樹脂組成物を成形した成形体のスクラップを熱分解して、(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを生成する機能部である。
【0046】
本実施形態において、熱分解部20の例としては、押出機、ニーダー、および流動床加熱器が挙げられる。
【0047】
本実施形態において、熱分解部20は、押出機により構成することが好ましい。熱分解部20を構成しうる押出機の好適な例としては、二軸同方向回転押出機および二軸異方向回転押出機などの二軸押出機が挙げられる。
【0048】
本実施形態において、熱分解部20として好適に適用できるニーダーとしては、例えば、米国特許第10301235号明細書に記載のものが挙げられる。
【0049】
本実施形態において、熱分解部20として好適に適用できる流動床加熱器としては、例えば、特開2009-112902号公報に記載のものが挙げられる。
【0050】
以下、熱分解部20の構成例について、二軸押出機の構成を例にとって説明する。
二軸押出機である場合の熱分解部20は、前処理部10において前処理されたスクラップを加熱処理するためのシリンダであって、投入されたスクラップを延在方向に移動させつつ内部において加熱処理を行うためのシリンダと、シリンダの内部に配置されたスクリューとを含みうる。
【0051】
熱分解部20には、既に説明した前処理部10において前処理されることにより製造されたスクラップを熱分解部20に供給するための第2投入部22が設けられている。第2投入部22は二軸押出機におけるホッパー(フィーダー)に相当する構成である。第2投入部22であるホッパーは、通常、熱分解部20であるシリンダの上流側の端部近傍において、シリンダ内に、前処理部10により前処理されて導出されたスクラップを供給できるように設けられている。
【0052】
熱分解部20には、熱分解されて生成したガスを抜き出すための1以上のガス抜き出し部(ベント)24が設けられている。1以上のガス抜き出し部24の配置(位置)は特に限定されず、設計に対応した任意好適な配置とすることができる。ガス抜き出し部24は、例えば、生成した(再生)(メタ)アクリル酸エステルを含むガスの抜き出し効率を向上させる観点から、既に説明した第2投入部22とは反対側の熱分解部20の下流側の端部近傍であって、熱分解部20の上端側に設けられていることが好ましい。
【0053】
熱分解部20のガス抜き出し部24には、ガス導出用配管30が接続されている。ガス導出用配管30は、(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを熱分解部20から導出するための配管である。ガス導出用配管30は、従来公知の任意好適な例えばステンレス鋼製の配管により構成することができる。
【0054】
ガス導出用配管30には、ガス抜き出し部24から抜き出されたガスを処理するための図示されていないガス処理装置が接続されうる。ガス処理装置の例としては、熱分解部20から抜き出された(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを精製するための精製器、熱分解装置10から抜き出された(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを冷却するための冷却器、(メタ)アクリル酸エステルを含むガスから不純物を吸着除去するための吸着器などが挙げられる。本実施形態において、ガス処理装置40としては、精製器および冷却器からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むガス処理装置を適用することが好ましい。
【0055】
上記の構成を有する第1実施形態の熱分解装置1によれば、金属探知機による金属の除去と、脱水及び乾燥による水の除去とができるので、特に熱分解時にスクラップに金属成分が含まれるために引き起こされうる触媒作用による意図せぬ異常な反応の防止、熱分解装置における金属片の噛み込みによる損傷の防止、熱分解により生じた熱分解物が水を含むことによる精製エネルギーの上昇の防止、異物の混入に起因する収率低下の抑制、熱分解後に実施される工程における負荷の低減という効果を得ることができる。
【0056】
また、第1実施形態の熱分解装置1によれば、粉砕後にさらに第2金属探知機による検出を行うことができるので、それまでの工程における金属成分の混入による汚染も検知することができ、より安全に熱分解部にスクラップを供給できる。
【0057】
さらに、第1実施形態の熱分解装置1によれば、洗浄、脱水、乾燥を先に実施することができるので、例えば、屋外に長期間保管されて、ホコリ、異物、さびなどの汚れが表面に付着したスクラップであっても事前に洗浄することができるため、第1金属探知機による誤検知を低減し、より効率的に前処理工程、さらには熱分解工程を実施することができる。
【0058】
2.熱分解方法
第1実施形態にかかる熱分解方法は、
既に説明した図1に示される熱分解装置1を準備する工程と、
第1投入部11に、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを投入する工程と、
第1投入部11から洗浄機12に含まれる洗浄部12Aに導入されたスクラップを洗浄部12Aにおいて洗浄する工程と、
洗浄機12(洗浄部12A)により洗浄されたスクラップを第1金属探知機13に導入して、スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する工程と、
第1金属探知機13に探知(検出)された金属成分が含まれる部材を、第1除去部14により除去する工程と、
第1除去部14によって金属成分が含まれる部材が除去された残余のスクラップを、粉砕機15に導入して粉砕する工程と、
粉砕機15により粉砕されたスクラップを、第2投入部22から熱分解部20に導入し、熱分解してガス化することによって再生(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを生成させる工程と、
熱分解部20において生成した再生(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを、ガス抜き出し部24から、ガス導出用配管30に導出する工程とを含む。
【0059】
熱分解部20による再生(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを生成させる工程(熱分解工程)の実施条件は、例えば、対象となるスクラップの性状、組成等を考慮して、任意好適な実施条件とすることができる。
【0060】
ここで、熱分解部20が押出機である場合の熱分解工程の実施条件(例えば、圧力(MPa)、シリンダ温度(℃)、スクリュー回転数(rpm)、スクラップ供給量(原料供給速度)(kg/時間))について説明する。
【0061】
熱分解工程における圧力は、空気の系内への漏れ込み防止および分解ガスの系外への漏洩防止の観点から、好ましくは0.005MPa~1.5MPaであり、より好ましくは0.01MPa~0.3MPaである。
【0062】
熱分解工程におけるシリンダ温度は、ビニル系単量体ガス通常400℃~500℃とすればよく、例えばスクラップが純粋なポリ(メタ)アクリル酸メチルである場合には、好ましくは450℃~470℃である。
【0063】
熱分解工程におけるスクリュー回転数は、通常500rpm~1500rpmとすればよく、例えばスクラップが純粋なポリ(メタ)アクリル酸メチルである場合には、好ましくは500rpm~1000rpmである。
【0064】
熱分解工程におけるスクラップ供給量は、シリンダ径によって異なり、通常10kg/時間~5000kg/時間とすればよく、例えばシリンダ径が47mmである場合には、好ましくは40kg/時間~90kg/時間である。
【0065】
第1実施形態にかかる熱分解方法によれば、第1金属探知機13による金属成分の検知に先行して洗浄、脱水、乾燥を先に実施するので、例えば、屋外に長期間保管されて、ホコリ、異物、さびなどの汚れが表面に付着したスクラップであっても、第1金属探知機による誤検知を低減して金属成分を効率的に除去することができ、ひいては再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量を効果的に低減することができ、さらには再生(メタ)アクリル酸エステルの製造効率をより向上させることができる。
【0066】
洗浄機12において洗浄する工程は、洗浄部12Aにおいて洗浄されたスクラップを脱水機12Bおよび/または乾燥器12Cに導入して、脱水および/または乾燥させるステップをさらに含み、
第1金属探知機13による検出する工程を、脱水機12Bおよび/または乾燥器12Cにて、脱水および/または乾燥させたスクラップを、第1金属探知機13に導入して検出する工程としてもよい。
【0067】
このようにすれば、より効果的に金属成分が含まれる部材の検出精度を向上させることができ、再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量をより効果的に低減することができる。
【0068】
第1実施形態にかかる熱分解方法は、粉砕機15を用いてスクラップを粉砕する工程の後に、第1金属探知機13よりも金属成分が含まれる部材の検出精度が高い第2金属探知機16に破砕されたスクラップを導入して、スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する工程、および第2金属探知機16に探知(検出)された金属成分が含まれる部材を、第2除去部17により除去する工程をさらに含みうる。
【0069】
このように、第2金属探知機16および第2除去部17を用いる工程をさらに実施すれば、より効果的に精度よく金属成分を含む部材、さらには熱分解の対象となり得ない異物を事前に除去をすることができるので、再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量を効果的に低減することができ、さらには再生(メタ)アクリル酸エステルの製造効率をより向上させることができる。
【0070】
<第2実施形態>
1.熱分解装置
図2を参照して、第2実施形態の熱分解装置の構成例について説明する。図2は、第2実施形態の熱分解装置の構成例を示す概略的な図である。
【0071】
図2に示されるように、第2実施形態の熱分解装置1は、
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部10と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する熱分解部20とを備えており、
前記前処理部10が、下記構成(2)を有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部11と、該第1投入部11から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機13と、該第1金属探知機13により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部14と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機12と、該洗浄機12により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機15とを有している。
【0072】
以下、第2実施形態の熱分解装置1を構成しうる構成要素について具体的に説明する。なお、既に説明した第1実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0073】
(1)前処理部
前処理部10は、原料であるスクラップを投入するための第1投入部11を有している。第1投入部11の形状、サイズ等は原料であるスクラップの性状に応じた従来公知の任意好適な形状、サイズ等とすることができる。
【0074】
図2に示されるとおり、第2実施形態の熱分解装置1においては、第1投入部11は、第1金属探知機13に設けられている。第1金属探知機13は、本技術分野において通常用いられている従来公知の任意好適な構成を採用することができる。第1金属探知機13は、電磁誘導方式(交流型)の金属探知機であることが好ましい。第1金属探知機13を電磁誘導方式(交流型)の金属探知機とすれば、真鍮、黄銅、銅、アルミニウムといった非磁性体である金属成分を含む部材であっても効果的に検出することができる。
【0075】
第1金属探知機13には、第1除去部14が接続されている。第1除去部14においては、比較的サイズが大きく、かつ重量が重い部材を除去することが想定されている。よって、第1除去部14にかかる好適な方式としては、例えば、フリッパ方式、ドロップアウト方式、アップアウト方式、トリップ方式、プッシャー方式、ターニング方式、キャリア方式が挙げられる。
【0076】
第2実施形態においては、第1除去部14に、洗浄機12が接続されている。洗浄機12は、水洗浄機能およびエアー洗浄機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの洗浄機能を有する洗浄機であることが好ましい。
【0077】
図2に示されるとおり、洗浄機12は、導入されたスクラップを洗浄する洗浄部12と、洗浄部12Aに接続されており洗浄部12Aにおいて洗浄されたスクラップを脱水する脱水機12Bおよび/または、脱水機12Bに接続されており、洗浄部12Aにおいて洗浄されたスクラップを乾燥する乾燥器12Cをさらに有することが好ましい。
【0078】
図2に示されるとおり、熱分解装置1の前処理部10は、洗浄機12(洗浄部12A、脱水機12Bおよび/または乾燥器12C)により洗浄されたスクラップを粉砕する粉砕機15とを有している。
【0079】
粉砕機15は、既に説明したに洗浄機12接続されており、洗浄機12によって洗浄(洗浄、脱水および/または乾燥)されたスクラップを導入することができるように構成されている。
【0080】
図2に示されるとおり、熱分解装置1の前処理部10は、既に説明した粉砕機15により粉砕されたスクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第2金属探知機16と、第2金属探知機16により検出された金属成分が含まれる部材を除去する第2除去部17とをさらに有することが好ましい。
【0081】
第2金属探知機16は、既に説明した第1金属探知機13よりも、金属成分が含まれる部材の検出精度が高い金属探知機であることが好ましい。
【0082】
具体的には、例えば、既に説明した第1金属探知機13を電磁誘導方式の金属探知機とし、第2金属探知機16をX線方式の金属探知機とすることが好ましい。
【0083】
第2金属探知機16をX線方式の金属探知機とすれば、真鍮、黄銅、銅、アルミニウムといった非磁性体である金属成分を含む部材のみならず、ガラスなどの異物であっても効果的に検出することができる。
【0084】
第2金属探知機16には、第2除去部17が接続されている。第2除去部17として、本技術分野において通常用いられている従来公知の任意好適な構成を採用することができる。第2除去部17においては、粉砕後の比較的サイズが小さく、かつ重量が軽い部材を除去することが想定されている。よって、第2除去部17にかかる好適な方式としては、例えば、エアージェット方式、およびシュート方式が挙げられる。
【0085】
熱分解装置1が第2金属探知機16および第2除去部17をさらに含む構成とすれば、より効果的に精度よく金属成分を含む部材、さらには熱分解の対象となり得ない異物を事前に除去をすることができるので、再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量を効果的に低減することができ、さらには再生(メタ)アクリル酸エステルの製造効率をより向上させることができる。
【0086】
(2)熱分解部
熱分解装置1は、熱分解部20を含んでいる。熱分解部20は、既に説明した前処理部10、より具体的には、既に説明した粉砕機15または第2除去部17に接続されており、前処理部10によって前処理されたスクラップを投入して熱分解することにより、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル樹脂組成物を成形した成形体のスクラップを熱分解して、(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを生成する機能部である。
【0087】
熱分解部20の例としては、押出機、ニーダー、および流動床加熱器が挙げられる。熱分解部20は、押出機により構成することが好ましい。
【0088】
熱分解部20には、既に説明した前処理部10において前処理されることにより製造されたスクラップを熱分解部20に供給するための第2投入部22が設けられている。第2投入部22は二軸押出機におけるホッパー(フィーダー)に相当する構成である。第2投入部22であるホッパーは、通常、熱分解部20であるシリンダの上流側の端部近傍において、シリンダ内に、前処理部10により前処理されて導出されたスクラップを供給できるように設けられている。
【0089】
熱分解部20には、熱分解されて生成したガスを抜き出すための1以上のガス抜き出し部(ベント)24が設けられている。
【0090】
熱分解部20のガス抜き出し部24には、ガス導出用配管30が接続されている。ガス導出用配管30は、(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを熱分解部20から導出するための配管である。
【0091】
ガス導出用配管30には、ガス抜き出し部24から抜き出されたガスを処理するための図示されていないガス処理装置が接続されうる。
【0092】
上記の構成を有する第2実施形態の熱分解装置1によれば、金属探知機による金属の除去と、脱水及び乾燥による水の除去とができるので、特に熱分解時にスクラップに金属成分が含まれるために引き起こされうる触媒作用による意図せぬ異常な反応の防止、熱分解装置における金属片の噛み込みによる損傷の防止、熱分解により生じた熱分解物が水が含むことによる精製エネルギーの上昇の防止、異物の混入に起因する収率低下の抑制、熱分解後に実施される工程における負荷の低減という効果を得ることができる。
【0093】
また第2実施形態の熱分解装置1によれば、粉砕後にさらに第2金属探知機による検出を行うことができるので、例えば、それまでの工程における金属成分の混入による汚染も検知することができ、より安全に熱分解部にスクラップを供給できる。
【0094】
さらに、第2実施形態の熱分解装置1によれば、まず第1金属検知機13による検知を実施し、第1除去部14により金属成分を予め除去することができるので、電線屑や釘などよりサイズが大きい金属部材が混入しているスクラップを適用する場合に有効であり、用いられうる洗浄部、脱水機、乾燥器における金属部材(金属成分)による損傷をより効果的に防止することができる。
【0095】
2.熱分解方法
第2実施形態にかかる熱分解方法は、
既に説明した図2に示される熱分解装置1を準備する工程と、
第1投入部11に、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを投入する工程と、
第1投入部11から、スクラップを第1金属探知機13に導入して、スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する工程と、
第1金属探知機13に探知(検出)された金属成分が含まれる部材を、第1除去部14により除去する工程と、
第1除去部14によって金属成分が含まれる部材が除去された残余のスクラップを、洗浄機12に含まれる洗浄部12Aに導入し、洗浄部12Aにおいて洗浄する工程と、
洗浄機12(洗浄部12A)において洗浄されたスクラップを粉砕機15に導入して粉砕する工程と、
粉砕機15により粉砕されたスクラップを、第2投入部22から熱分解部20に導入し、熱分解してガス化することによって再生(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを生成させる工程と、
熱分解部20において生成した再生(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを、ガス抜き出し部24から、ガス導出用配管30に導出する工程とを含む。
【0096】
第2実施形態にかかる熱分解方法によれば、まず第1金属検知機13による検知を実施して、第1除去部14により金属成分を予め除去することができるので、電線屑や釘などよりサイズが大きい金属部材が混入しているスクラップを適用する場合であっても、用いられうる洗浄部、脱水機、乾燥器における金属部材(金属成分)による損傷をより効果的に防止しつつ金属部材(金属成分)を効率的に除去することができ、ひいては再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量を効果的に低減することができ、さらには再生(メタ)アクリル酸エステルの製造効率をより向上させることができる。
【0097】
洗浄機12において洗浄する工程は、洗浄部12Aにおいて洗浄されたスクラップを脱水機12Bおよび/または乾燥器12Cに導入して、脱水および/または乾燥させるステップをさらに含み、
粉砕機15による粉砕する工程を、脱水機12Bおよび/または乾燥器12Cにて、脱水および/または乾燥させたスクラップを、粉砕機15に導入して粉砕する工程としてもよい。
【0098】
このようにすれば、再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量をより効果的に低減することができる。
【0099】
第2実施形態にかかる熱分解方法は、粉砕機15を用いてスクラップを粉砕する工程の後に、第1金属探知機13よりも金属成分が含まれる部材の検出精度が高い第2金属探知機16に破砕されたスクラップを導入して、スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する工程、および第2金属探知機16に探知(検出)された金属成分が含まれる部材を、第2除去部17により除去する工程をさらに含みうる。
【0100】
このように、第2金属探知機16および第2除去部17を用いる工程をさらに実施すれば、より効果的に精度よく金属成分を含む部材、さらには熱分解の対象となり得ない異物を事前に除去をすることができるので、再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量をより効果的に低減することができ、さらには再生(メタ)アクリル酸エステルの製造効率をより向上させることができる。
【0101】
<第3実施形態>
1.熱分解装置
図3を参照して、第3実施形態の熱分解システムの構成例について説明する。図3は、第3実施形態の熱分解システムの構成例を示す概略的な図である。第3実施形態の熱分解システム1は、前処理部10による処理後であって、熱分解部20による処理の前に、前処理部10により処理されたスクラップを一旦貯留して、前処理部10による処理と熱分解部20による処理を断続的に実施できるように構成されている点に特徴を有している。
【0102】
第3実施形態の熱分解システムは、既に説明した第1および第2実施形態の構成とほぼ同様の構成を有している。よって、第1および第2実施形態の構成と異なる点について詳細に説明し、同様の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0103】
なお、第3実施形態にかかる以下の説明においては、既に説明した第2実施形態の熱分解装置の構成(2)を備える態様に基づいて説明するが、第3実施形態の熱分解システム1は、既に説明した第1実施形態の熱分解装置の構成(1)を備える態様に基づいても構成することができる。
【0104】
図3に示されるように、第3実施形態の熱分解システム1は、
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部10と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する熱分解部20とを備えており、
前記前処理部10が、下記構成(2)を有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部11と、該第1投入部11から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機13と、該第1金属探知機13により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部14と、該第1除去部14により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機12と、該洗浄機12により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機15と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
【0105】
(1)前処理部
前処理部10は、原料であるスクラップを投入するための第1投入部11を有している。第1投入部11の形状、サイズ等は原料であるスクラップの性状に応じた従来公知の任意好適な形状、サイズ等とすることができる。また、前処理部10が1つの装置として構成されていてもよい。
【0106】
図3に示されるとおり、第3実施形態の熱分解システム1においては、第1投入部11は、第1金属探知機13に設けられている。第1金属探知機13は、電磁誘導方式(交流型)の金属探知機であることが好ましい。第1金属探知機13を電磁誘導方式(交流型)の金属探知機とすれば、真鍮、黄銅、銅、アルミニウムといった非磁性体である金属成分を含む部材であっても効果的に検出することができる。
【0107】
第1金属探知機13には、第1除去部14が接続されている。第1除去部14においては、比較的サイズが大きく、かつ重量が重い部材を除去することが想定されている。よって、第1除去部14にかかる好適な方式としては、例えば、フリッパ方式、ドロップアウト方式、アップアウト方式、トリップ方式、プッシャー方式、ターニング方式、キャリア方式が挙げられる。
【0108】
第3実施形態においては、第1除去部14に、洗浄機12が接続されている。洗浄機12は、水洗浄機能およびエアー洗浄機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの洗浄機能を有する洗浄機であることが好ましい。
【0109】
図3に示されるとおり、洗浄機12は、導入されたスクラップを洗浄する洗浄部12と、洗浄部12Aに接続されており洗浄部12Aにおいて洗浄されたスクラップを脱水する脱水機12Bおよび/または、脱水機12Bに接続されており、洗浄部12Aにおいて洗浄されたスクラップを乾燥する乾燥器12Cをさらに有することが好ましい。
【0110】
図3に示されるとおり、熱分解装置1の前処理部10は、洗浄機12(洗浄部12A、脱水機12Bおよび/または乾燥器12C)により洗浄されたスクラップを粉砕する粉砕機15とを有している。
【0111】
粉砕機15は、既に説明した洗浄機12に接続されており、洗浄機12によって洗浄(洗浄、脱水および/または乾燥)されたスクラップを導入することができるように構成されている。
【0112】
図3に示されるとおり、熱分解装置1の前処理部10は、既に説明した粉砕機15により粉砕されたスクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第2金属探知機16と、第2金属探知機16により検出された金属成分が含まれる部材を除去する第2除去部17とをさらに有することが好ましい。
【0113】
第2金属探知機16は、既に説明した第1金属探知機13よりも、金属成分が含まれる部材の検出精度が高い金属探知機であることが好ましい。
【0114】
具体的には、例えば、既に説明した第1金属探知機13を電磁誘導方式の金属探知機とし、第2金属探知機16をX線方式の金属探知機とすることが好ましい。
【0115】
第2金属探知機16には、第2除去部17が接続されている。第2除去部17においては、粉砕後の比較的サイズが小さく、かつ重量が軽い部材を除去することが想定されている。よって、第2除去部17にかかる好適な方式としては、例えば、エアージェット方式、およびシュート方式が挙げられる。
【0116】
熱分解装置1が第2金属探知機16および第2除去部17をさらに含む構成とすれば、より効果的に精度よく金属成分を含む部材、さらには熱分解の対象となり得ない異物を事前に除去をすることができるので、再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量を効果的に低減することができ、さらには再生(メタ)アクリル酸エステルの製造効率をより向上させることができる。
【0117】
第3実施形態の熱分解システム1は、既に説明したとおり、前処理部10による処理後であって、熱分解部20による処理の前に、前処理部10により処理されたスクラップを一旦貯留して、前処理部10による処理と熱分解部20による処理を断続的に実施できるように構成される。
【0118】
具体的には、図3に示されるように前処理部10が構成(2)の態様を有する場合、さらには既に説明した第1実施形態にかかる構成(1)の態様を有する場合には、粉砕機15あるいは第2除去部17、または後述する熱分解部20が前処理済みのスクラップを貯留して保管することができる構成(前処理済スクラップ保管部)をさらに含むことが好ましい。前処理済スクラップ保管部は、例えば、従来公知の任意好適なサイロ、ホッパーおよびフレキシブルコンテナ、オクタビンボックスにより構成することができる。
【0119】
なお、前処理済スクラップ保管部は、前処理済みのスクラップを貯留して保管することができ、熱分解部20に前処理済みのスクラップを熱分解部20に供給できることを条件として、粉砕機15、第2除去部17、または熱分解部20からは独立した構成であってもよい。
【0120】
(2)熱分解部
熱分解システム1は、熱分解部20を含んでいる。前処理部10によって前処理されたスクラップを投入して熱分解することにより、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル樹脂組成物を成形した成形体のスクラップを熱分解して、(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを生成する機能部である。第3実施形態の熱分解システム1においては、前処理部10を構成する粉砕機15または第2除去部17と熱分解部20とは、互いに接続されていても、互いに離間して接続されていなくてもよい。この場合、熱分解部20が1つの装置として構成されていてもよい。すなわち、熱分解システム1は、前処理部10で構成される装置と、熱分解部20で構成される装置とを含む形態であってもよい。
【0121】
熱分解部20の例としては、押出機、ニーダー、および流動床加熱器が挙げられる。熱分解部20は、押出機により構成することが好ましい。
【0122】
熱分解部20には、既に説明した前処理部10において前処理されることにより製造されたスクラップを熱分解部20に供給するための第2投入部22が設けられている。第2投入部22は二軸押出機におけるホッパー(フィーダー)に相当する構成である。第2投入部22であるホッパーは、通常、熱分解部20であるシリンダの上流側の端部近傍において、シリンダ内に、前処理部10により前処理されたスクラップを供給できるように設けられている。
【0123】
熱分解部20には、熱分解されて生成したガスを抜き出すための1以上のガス抜き出し部(ベント)24が設けられている。
【0124】
熱分解部20のガス抜き出し部24には、ガス導出用配管30が接続されている。ガス導出用配管30は、(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを熱分解部20から導出するための配管である。
【0125】
ガス導出用配管30には、ガス抜き出し部24から抜き出されたガスを処理するための図示されていないガス処理装置が接続されうる。
【0126】
上記の構成を有する第3実施形態の熱分解システム1によれば、前処理済みのスクラップを貯留して保管することができる前処理済スクラップ保管部をさらに含むので、既に説明した第1および第2実施形態の熱分解装置1により得ることができる作用効果に加えて、前処理部10による前処理と、熱分解部20による熱熱分解とを時間をおいて断続的に実施することができるので、ケミカルリサイクルによる(メタ)アクリル酸エステルの再生を任意のタイミングでより柔軟に実施することができる。
【0127】
また、第3実施形態の熱分解システム1によれば、洗浄後の乾燥が不十分であったとしても、前処理済スクラップ保管部において貯留して保管することで自然乾燥によるさらなる水分の除去を行うことできるため、熱分解の効率をより向上させることができ、熱分解により生じたガスにおける水分の混入を効果的に抑制することができる結果として、(メタ)アクリル酸エステルの収率をより向上させることができる。
【0128】
2.熱分解方法
図3に示した構成(2)を有する第3実施形態にかかる熱分解方法は、
既に説明した図3に示される熱分解システム1を準備する工程と、
第1投入部11に、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを投入する工程と、
第1投入部11から、スクラップを第1金属探知機13に導入して、スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する工程と、
第1金属探知機13に探知(検出)された金属成分が含まれる部材を、第1除去部14により除去する工程と、
第1除去部14によって金属成分が含まれる部材が除去された残余のスクラップを、洗浄機12に含まれる洗浄部12Aに導入し、洗浄部12Aにおいて洗浄する工程と、
洗浄機12(洗浄部12A)において洗浄されたスクラップを粉砕機15に導入して粉砕する工程と、
粉砕機15により粉砕されたスクラップを、図示されていない前処理済スクラップ保管部に貯留して保管する工程と、
前記前処理済スクラップ保管部に保管されていたスクラップを第2投入部22から熱分解部20に導入し、熱分解してガス化することによって再生(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを生成させる工程と、
熱分解部20において生成した再生(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを、ガス抜き出し部24から、ガス導出用配管30に導出する工程とを含む。
【0129】
既に説明した構成(1)を有する第3実施形態にかかる熱分解方法は、
既に説明した構成(1)を備える熱分解システム1を準備する工程と、
第1投入部11に、(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを投入する工程と、
第1投入部11から洗浄機12に含まれる洗浄部12Aに導入されたスクラップを洗浄部12Aにおいて洗浄する工程と、
洗浄機12(洗浄部12A)により洗浄されたスクラップを第1金属探知機13に導入して、スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する工程と、
第1金属探知機13に探知(検出)された金属成分が含まれる部材を、第1除去部14により除去する工程と、
第1除去部14によって金属成分が含まれる部材が除去された残余のスクラップを、粉砕機15に導入して粉砕する工程と、
粉砕機15により粉砕されたスクラップを、前処理済スクラップ保管部に貯留して保管する工程と、
前記前処理済スクラップ保管部に保管されていたスクラップを第2投入部22から熱分解部20に導入し、熱分解してガス化することによって再生(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを生成させる工程と、
熱分解部20において生成した再生(メタ)アクリル酸エステルを含むガスを、ガス抜き出し部24から、ガス導出用配管30に導出する工程とを含む。
【0130】
第3実施形態にかかる熱分解方法によれば、前処理が済んだスクラップを前処理済スクラップ保管部に貯留して保管する工程をさらに含むので、既に説明した第1および第2実施形態の熱分解方法により得ることができる作用効果に加えて、前処理部10による前処理にかかる工程と、熱分解部20による熱分解にかかる工程とを時間をおいて断続的に実施することができるので、ケミカルリサイクルによる(メタ)アクリル酸エステルの再生を任意のタイミングでより柔軟に実施することができる。
【0131】
また、第3実施形態にかかる熱分解方法によれば、洗浄工程後の乾燥が不十分であったとしても、前処理済スクラップ保管部において貯留して保管することで自然乾燥によるさらなる水分の除去を行うことができるため、熱分解工程における熱分解の効率をより向上させることができ、熱分解工程により生じたガスにおける水分の混入を効果的に抑制することができる結果として、(メタ)アクリル酸エステルの収率をより向上させることができる。
【0132】
洗浄機12において洗浄する工程は、洗浄部12Aにおいて洗浄されたスクラップを脱水機12Bおよび/または乾燥器12Cに導入して、脱水および/または乾燥させるステップをさらに含み、
粉砕機15による粉砕する工程を、脱水機12Bおよび/または乾燥器12Cにて、脱水および/または乾燥させたスクラップを、粉砕機15に導入して粉砕する工程としてもよい。
【0133】
このようにすれば、再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量をより効果的に低減することができる。
【0134】
第3実施形態にかかる熱分解方法は、粉砕機15を用いてスクラップを粉砕する工程の後に、第1金属探知機13よりも金属成分が含まれる部材の検出精度が高い第2金属探知機16に破砕されたスクラップを導入して、スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する工程、および第2金属探知機16に探知(検出)された金属成分が含まれる部材を、第2除去部17により除去する工程をさらに含みうる。
【0135】
このように、第2金属探知機16および第2除去部17を用いる工程をさらに実施すれば、より効果的に精度よく金属成分を含む部材、さらには熱分解の対象となり得ない異物を事前に除去をすることができるので、再生(メタ)アクリル酸エステルに混入する不純物の量を効より果的に低減することができ、さらには再生(メタ)アクリル酸エステルの製造効率をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0136】
1 熱分解装置(熱分解システム)
10 前処理部
11 第1投入部
12 洗浄機
12A 洗浄部
12B 脱水部
12C 乾燥器
13 第1金属探知機
14 第1除去部
15 粉砕機
16 第2金属探知機
17 第2除去部
20 熱分解部
22 第2投入部
24 ガス抜き出し部
30 ガス導出用配管
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する押出機である熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有している、熱分解装置。
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
【請求項2】
前記前処理部が前記構成(1)を有している、請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項3】
前記構成(1)において、前記洗浄機が、洗浄された前記スクラップを乾燥する乾燥器、および/または、洗浄された前記スクラップを脱水する脱水機をさらに有する、請求項2に記載の熱分解装置。
【請求項4】
前記前処理部が前記構成(2)を有している、請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項5】
前記構成(2)において、前記洗浄機が、洗浄された前記スクラップを乾燥する乾燥器、および/または、洗浄された前記スクラップを脱水する脱水機をさらに有する、請求項4に記載の熱分解装置。
【請求項6】
前記前処理部が、前記粉砕機により粉砕された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第2金属探知機と、該第2金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第2除去部とをさらに有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項7】
前記第2金属探知機が、前記第1金属探知機よりも、金属成分が含まれる部材の検出精度が高い金属探知機である、請求項6に記載の熱分解装置。
【請求項8】
前記第1金属探知機が電磁誘導方式の金属探知機であり、前記第2金属探知機がX線方式の金属探知機である、請求項7に記載の熱分解装置。
【請求項9】
前記洗浄機が、水洗浄機能およびエアー洗浄機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの洗浄機能を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項10】
前記熱分解部が、前記前処理装置により前処理された前記スクラップを投入するための第2投入部と、前記スクラップが熱分解されたガスを抜き出すためのガス抜き出し部を有している、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項11】
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する押出機である熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有している、熱分解システム。
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する押出機である熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有しており、
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
前記前処理部が、前記粉砕機により粉砕された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第2金属探知機と、該第2金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第2除去部とをさらに有しており、
前記第2金属探知機が、前記第1金属探知機よりも、金属成分が含まれる部材の検出精度が高い金属探知機であり、
前記第1金属探知機が電磁誘導方式の金属探知機であり、前記第2金属探知機がX線方式の金属探知機である、熱分解装置。
【請求項2】
前記前処理部が前記構成(1)を有している、請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項3】
前記構成(1)において、前記洗浄機が、洗浄された前記スクラップを乾燥する乾燥器、および/または、洗浄された前記スクラップを脱水する脱水機をさらに有する、請求項2に記載の熱分解装置。
【請求項4】
前記前処理部が前記構成(2)を有している、請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項5】
前記構成(2)において、前記洗浄機が、洗浄された前記スクラップを乾燥する乾燥器、および/または、洗浄された前記スクラップを脱水する脱水機をさらに有する、請求項4に記載の熱分解装置。
【請求項6】
前記洗浄機が、水洗浄機能およびエアー洗浄機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの洗浄機能を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項7】
前記熱分解部が、前記前処理装置により前処理された前記スクラップを投入するための第2投入部と、前記スクラップが熱分解されたガスを抜き出すためのガス抜き出し部を有している、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項8】
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する押出機である熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有しており、
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
前記前処理部が、前記粉砕機により粉砕された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第2金属探知機と、該第2金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第2除去部とをさらに有しており、
前記第2金属探知機が、前記第1金属探知機よりも、金属成分が含まれる部材の検出精度が高い金属探知機であり、
前記第1金属探知機が電磁誘導方式の金属探知機であり、前記第2金属探知機がX線方式の金属探知機である、熱分解システム。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する押出機である熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有しており、
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機とを有している。
前記前処理部が、前記粉砕機により粉砕された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第2金属探知機と、該第2金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第2除去部とをさらに有しており、
前記第2金属探知機が、前記第1金属探知機よりも、金属成分が含まれる部材の検出精度が高い金属探知機であり、
前記第1金属探知機が電磁誘導方式の金属探知機であり、前記第2金属探知機がX線方式の金属探知機である、熱分解装置。
【請求項2】
前記前処理部が前記構成(1)を有している、請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項3】
前記構成(1)において、前記洗浄機が、洗浄された前記スクラップを乾燥する乾燥器、および/または、洗浄された前記スクラップを脱水する脱水機をさらに有する、請求項2に記載の熱分解装置。
【請求項4】
前記前処理部が前記構成(2)を有している、請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項5】
前記構成(2)において、前記洗浄機が、洗浄された前記スクラップを乾燥する乾燥器、および/または、洗浄された前記スクラップを脱水する脱水機をさらに有する、請求項4に記載の熱分解装置。
【請求項6】
前記洗浄機が、水洗浄機能およびエアー洗浄機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの洗浄機能を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項7】
前記熱分解部が、前記前処理により前処理された前記スクラップを投入するための第2投入部と、前記スクラップが熱分解されたガスを抜き出すためのガス抜き出し部を有している、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解装置。
【請求項8】
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを前処理する前処理部と、
前処理された前記スクラップを熱分解してガス化する押出機である熱分解部とを備えており、
前記前処理部が、下記構成(1)または(2)を有しており、
構成(1):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余の前記スクラップを粉砕する粉砕機と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
構成(2):
前記スクラップを投入するための第1投入部と、該第1投入部から投入された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第1金属探知機と、該第1金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第1除去部と、該第1除去部により金属成分が含まれる前記部材が除去された残余のスクラップを洗浄する洗浄機と、該洗浄機により洗浄された前記スクラップを粉砕する粉砕機と、前処理済みのスクラップを貯留して保管するための前処理済スクラップ保管部とを有している。
前記前処理部が、前記粉砕機により粉砕された前記スクラップに金属成分が含まれる部材が存在するか否かを検出する第2金属探知機と、該第2金属探知機により検出された金属成分が含まれる前記部材を除去する第2除去部とをさらに有しており、
前記第2金属探知機が、前記第1金属探知機よりも、金属成分が含まれる部材の検出精度が高い金属探知機であり、
前記第1金属探知機が電磁誘導方式の金属探知機であり、前記第2金属探知機がX線方式の金属探知機である、熱分解システム。