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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101724
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H05H1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005812
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】平山 昌樹
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084BB23
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD20
2G084DD23
2G084DD66
2G084FF15
2G084FF38
2G084FF39
(57)【要約】
【課題】共振器の一部を構成する上部電極を共振器から電気的に分離する技術を提供する。
【解決手段】開示されるプラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持部、放出部、上部電極、及び導波部を備える。基板支持部は、チャンバ内に設けられている。放出部は、プラズマ生成空間に電磁波を放出するように設けられている。上部電極は、プラズマ生成空間の上方に設けられている。導波部は、放出部に電磁波を供給するように構成されている。導波部は、導波路を提供する共振器を含む。共振器の導波路は、部分的に上部電極から構成されている。共振器は、第1端、第2端、及び絶縁部を含む。第2端は、放出部に電磁的に結合されている。第2端は、第1端と該第2端との間で電磁波が共振するように設けられている。絶縁部は、上部電極を、第1端と導通している共振器の導体壁から電気的に分離している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
プラズマ生成空間に電磁波を放出するように設けられた放出部と、
前記プラズマ生成空間の上方に設けられた上部電極と、
前記放出部に前記電磁波を供給するように構成された導波部と、
を備え、
前記導波部は、導波路を提供する共振器を含み、
前記共振器の前記導波路は、部分的に前記上部電極から構成されており、
前記共振器は、
第1端と、
前記放出部に電磁的に結合された第2端であり、前記第1端と該第2端との間で電磁波が共振するように設けられている、該第2端と、
前記上部電極を、前記第1端と導通している該共振器の導体壁から電気的に分離する絶縁部と、
を含む、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記共振器の前記第1端と前記絶縁部との間の前記導波路の長さは、該導波路における前記電磁波の波長の1/4に実質的に等しい、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記放出部は、前記プラズマ生成空間の中心軸線の周りで周方向に延在しており、
前記第1端及び前記第2端は、前記中心軸線の周りで周方向に延在しており、
前記第2端を含む前記共振器の前記導波路の第2端は、前記第1端の下方に配置されており、且つ、前記放出部に電磁的に結合されており、
前記共振器の前記導波路は、
前記中心軸線の周りで前記第2端に向けて前記中心軸線に対して径方向に延びる下部と、
前記下部の上方且つ前記中心軸線の周りで、前記第1端から前記径方向に対して反対方向に延びる上部と、
を含む層構造を有し、前記中心軸線の周りで前記第1端から前記第2端まで蛇行するように前記径方向と前記反対方向とに交互に延びている、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記共振器の前記導波路は、
それらの中心が前記中心軸線上に位置するように配置された複数の環状導体板と、
導体から形成された、前記径方向おける該共振器の外周部と、
前記径方向における該共振器の内周部と、
から構成されており、
前記複数の環状導体板は、
その外縁が前記外周部に固定されており、その内縁が前記内周部から離れている第1の環状導体板と、
その外縁が前記外周部から離れており、その内縁が前記内周部に固定された第2の環状導体板と、
を含む、
請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記内周部は、環状の板である前記絶縁部を含む、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記内周部は、前記中心軸線の周りで周方向に沿って配列された複数の支柱を含み、
前記複数の支柱の各々の一部は、前記絶縁部である、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第1端と前記絶縁部との間において、前記外周部の一部は、前記第1端と前記絶縁部との間での前記共振器の前記導波路の長さを調整するよう、該外周部の他の部分の半径と異なる半径を有する、請求項4~6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記上部の垂直方向における長さは、前記第1端と前記絶縁部との間での前記共振器の前記導波路の長さを調整するよう、前記共振器の前記導波路の前記垂直方向における長さと異なる、請求項4~6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記電磁波を前記共振器の前記導波路に導入するためのコネクタを更に備え、
前記コネクタは、前記中心軸線から径方向に離れた位置で前記上部に結合されている、
請求項3~6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記チャンバは、その内部において処理空間を提供しており、
前記処理空間は、前記プラズマ生成空間を含む、
請求項1~6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記処理空間上に配置されたシャワープレートを更に備え、
前記放出部は、前記シャワープレートを囲むように延在している、
請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記共振器の前記導波路に電気的に結合されており、その周波数が可変である高周波電力を発生して、前記電磁波を該導波路内に供給するように構成された高周波電源を更に備える、請求項1~6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置が基板の処理において用いられている。プラズマ処理装置の一種として、VHF波又はUHF波である高周波を用いてガスを励起させるものが知られている。下記の特許文献1は、そのようなプラズマ処理装置を開示している。特許文献1のプラズマ処理装置は、処理容器、ステージ、上部電極、導入部、及び導波部を備える。ステージは、処理容器内に設けられている。上部電極は、ステージの上方に処理容器内の空間を介して設けられている。導入部は、高周波の導入部である。導入部は、空間の横方向端部に設けられており、処理容器の中心軸線の周りで周方向に延在している。導波部は、導入部に高周波を供給するように構成されている。導波部は、導波路を提供する共振器を含む。共振器の導波路は、中心軸線の周りで周方向に延び、中心軸線が延在する方向に延び、導入部に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-92031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、共振器の一部を構成する上部電極を共振器から電気的に分離する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持部、放出部、上部電極、及び導波部を備える。基板支持部は、チャンバ内に設けられている。放出部は、プラズマ生成空間に電磁波を放出するように設けられている。上部電極は、プラズマ生成空間の上方に設けられている。導波部は、放出部に電磁波を供給するように構成されている。導波部は、導波路を提供する共振器を含む。共振器の導波路は、部分的に上部電極から構成されている。共振器は、第1端、第2端、及び絶縁部を含む。第2端は、放出部に電磁的に結合されている。第2端は、第1端と該第2端との間で電磁波が共振するように設けられている。絶縁部は、上部電極を、第1端と導通している共振器の導体壁から電気的に分離している。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、共振器の一部を構成する上部電極が共振器から電気的に分離される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器及びコネクタを示す部分拡大断面図である。
図3】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器及びコネクタを示す部分拡大平面図である。
図4】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
図5】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。図1に示すプラズマ処理装置1は、チャンバ10、基板支持部12、上部電極14、放出部16、及び導波部18を備えている。
【0010】
チャンバ10は、その内部において処理空間10sを提供している。プラズマ処理装置1では、基板Wは、処理空間10sの中で処理される。チャンバ10は、アルミニウムのような金属から形成されており、接地されている。チャンバ10は、側壁10aを有しており、その上端において開口されている。チャンバ10及び側壁10aは、略円筒形状を有し得る。処理空間10sは、側壁10aの内側に提供されている。チャンバ10、側壁10a、及び処理空間10sの各々の中心軸線は、軸線AXである。チャンバ10は、その表面に耐腐食性を有する膜を有していてもよい。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウム膜、酸化フッ化イットリウム膜、フッ化イットリウム膜、酸化イットリウム、又はフッ化イットリウム等を含むセラミック膜であり得る。
【0011】
チャンバ10の底部は、排気口10eを提供している。排気口10eには、排気装置が接続される。排気装置は、ドライポンプ及び/又はターボ分子ポンプのような真空ポンプと自動圧力制御弁を含み得る。
【0012】
基板支持部12は、処理空間10sの中に設けられている。基板支持部12は、その上面の上に載置された基板Wを略水平に支持するように構成されている。基板支持部12は、略円盤形状を有している。基板支持部12の中心軸線は、軸線AXである。
【0013】
上部電極14は、基板支持部12の上方に処理空間10sを介して設けられている。上部電極14は、金属(例えばアルミニウム)のような導体から形成されており、略円盤形状を有している。上部電極14の中心軸線は、軸線AXである。
【0014】
放出部16は、そこからプラズマ生成空間に電磁波を放出するために設けられている。プラズマ処理装置1において、プラズマ生成空間は、処理空間10sに含まれており、その中心軸線は軸線AXである。プラズマ処理装置1では、放出部16から処理空間10sに放出される電磁波により、処理空間10s内のガスが励起されて、プラズマが生成される。放出部16から処理空間10sに放出される電磁波は、VHF波又はUHF波のような高周波であり得る。放出部16は、石英、窒化アルミニウム、又は酸化アルミニウムのような誘電体から形成されている。放出部16は、処理空間10sの横方向端部に設けられており、軸線AXの周りで周方向に延在している。放出部16は、環形状を有していてもよい。
【0015】
導波部18は、放出部16に電磁波を供給するように構成されている。電磁波は、後述する高周波電源24によって発生される。電磁波は、導波部18を介して放出部16に伝搬し、放出部16から処理空間10s内に導入される。導波部18は、共振器20を含んでいる。共振器20の詳細については、後述する。
【0016】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、シャワープレート22を更に含んでいてもよい。シャワープレート22は、アルミニウムのような金属から形成されていてもよい。放出部16は、シャワープレート22を囲むように延在している。放出部16及びシャワープレート22は、チャンバ10の上端の開口を閉じるように配置されている。シャワープレート22は、複数のガス孔22hを提供している。複数のガス孔22hは、シャワープレート22の厚さ方向(鉛直方向)に延びており、シャワープレート22を貫通している。
【0017】
シャワープレート22は、上部電極14の下に設けられている。シャワープレート22と上部電極14は、それらの間にガス拡散空間14dを画成している。ガス拡散空間14dの中心軸線は、軸線AXであり得る。ガス拡散空間14dには、シャワープレート22の複数のガス孔22hが接続している。また、上部電極14は、入口14hを提供している。入口14hは、軸線AX上で延在していてもよい。入口14hは、ガス拡散空間14dに接続している。ガス拡散空間14dには、ガス供給部26が接続されている。ガス供給部26から出力されるガスは、入口14h、ガス拡散空間14d、及び複数のガス孔22hを介して処理空間10sに供給される。
【0018】
プラズマ処理装置1は、高周波電源24を更に備えていてもよい。高周波電源24は、共振器20の導波路に電気的に結合されており、その周波数が可変である高周波電力を発生するように構成されている。チャンバ10内に導入される電磁波は、高周波電源24によって発生される高周波電力に基づいて発生する。高周波電源24は、同軸線路28を用いて共振器20の導波路に直結されていてもよい。即ち、高周波電源24は、インピーダンス整合用の整合器を介さずに、共振器20の導波路20wに結合されていてもよい。
【0019】
共振器20は、導波路20wを提供している。導波路20wは、金属のような導体から形成された壁(以下、「導体壁」という)によって囲まれた空洞を提供していてもよい。導波路20wの導体壁は、アルミ合金、銅、ニッケル、又はステンレス等から形成されていてもよく、銀、金、又はロジウム等の低抵抗材料で被覆されていてもよい。
【0020】
共振器20は、第1端201及び第2端202を含んでいる。第1端201は、共振器20の導波路20wの一端を構成している。一実施形態において、第1端201は、軸線AXの周りで周方向に沿って延在していてもよい。
【0021】
第2端202は、共振器20の導波路20wの他端を構成している。共振器20の導波路20wの他端は、放出部16に電磁的に結合されている。図1に示す例では、共振器20の導波路20wの他端は、導波部18の導波路18wを介して放出部16に接続されている。導波路18wは、上部電極14とチャンバ10の側壁10aとの間に提供されていてもよく、軸線AXの周りで延在してもよい。導波路18wは、誘電体で埋められていてもよい。
【0022】
共振器20では、共振周波数を有する電磁波の基本波が、第1端201と第2端202において反射されて、第1端201と第2端202との間で共振する。一実施形態において、第2端202は、第1端201と第2端202との間で電磁波(基本波)を共振させるために、当該電磁波の周波数(共振周波数)において導波路20wを短絡させる静電容量を有する。一実施形態において、第2端202は、軸線AXの周りで周方向に沿って設けられていてもよい。
【0023】
第1端201と第2端202との間での共振器20の共振器長L(第1端201と第2端202とを導波路20wに沿って結んだ距離)は、下記の式(1)を満たしていてもよい。
nλg/2<L<(n+0.2)λg/2 …(1)
式(1)において、λgは、導波路20wにおける電磁波の波長である。また、nは、整数である。第2端202のリアクタンスは容量性であるので、共振器長Lは、式(1)で表されるように、nλg/2よりも僅かに大きい値に設定され得る。
【0024】
一実施形態において、共振器20の導波路20wは、上部20a及び下部20bを含む層構造を有していてもよい。下部20bは、軸線AXの周りで共振器20の第2端202に向けて軸線AXに対して径方向に延びている。上部20aは、下部20bの上方且つ軸線AXの周りで、第1端201から径方向に対して反対方向に延びている。即ち、上部20aは、第1端201から軸線AXに近付く方向に延びている。導波路20wは、軸線AXの周りで第1端201から第2端202まで蛇行するように径方向とその反対方向とに交互に延びている。
【0025】
一実施形態において、導波路20wは、中間部20cを更に含んでいてもよい。中間部20cは、上部20aと下部20bとの間に設けられている。即ち、中間部20cは、上部20aの下、且つ、下部20bの上に設けられている。中間部20cの一端は、上部20aにおける内側の端部、即ち、第1端201に対して内側の上部20aの端部に接続している。中間部20cの他端は、下部20bにおける内側の端部、即ち、第2端202に対して内側の下部20bの端部に接続している。中間部20cは、軸線AXの周りで蛇行するように径方向とその反対方向とに交互に延びていてもよい。
【0026】
一実施形態において、共振器20の導波路20wは、上述の層構造を構成するために、複数の環状導体板210、外周部214、及び内周部216から構成されていてもよい。複数の環状導体板210、外周部214、及び内周部216の各々は、共振器20の導体壁を構成している。なお、共振器20の下部20bの下側の導体壁は、上部電極14によって構成されている。
【0027】
複数の環状導体板210は、それらの中心(又は中心軸線)が軸線AX上に位置するように配置されている。外周部214は、導体から形成されており、軸線AXに対して径方向において共振器20の外周を構成している。外周部214は、略円筒形状を有している。内周部216は、軸線AXに対して径方向において共振器20の内周を構成している。内周部216は、略円筒形状を有している。内周部216は、外周部214に対して内側に設けられている。内周部216は、後述する絶縁部250を含んでいる。内周部216は、絶縁部250以外の部分において導体から形成されている。
【0028】
一実施形態において、複数の環状導体板210は、一つ以上の第1の環状導体板211及び一つ以上の第2の環状導体板212を含んでいてもよい。図1に示す例では、複数の環状導体板210は、複数の第1の環状導体板211及び複数の第2の環状導体板212を含んでいる。
【0029】
複数の第1の環状導体板211の各々の外縁は、外周部214に固定されている。複数の第1の環状導体板211の各々の内縁は、内周部216から離れている。複数の第2の環状導体板212の各々の外縁は、外周部214から離れている。複数の第2の環状導体板212の各々の内縁は、内周部216に固定されている。複数の第1の環状導体板211と複数の第2の環状導体板212は、軸線AXが延びる方向(以下、鉛直方向という)に沿って交互に配列されている。
【0030】
かかる層構造を有する共振器20において共振周波数を有する電磁波の伝搬方向は、軸線AXに対して径方向及び当該径方向に対して反対方向を含む。また、共振器20において共振周波数を有する電磁波の伝搬方向は、内周部216に沿った領域及び外周部214に沿った領域では、鉛直方向を含む。
【0031】
一実施形態において、第2端202は、誘電体から形成さていてもよく、下部20bを構成する上側導体壁と下側導体壁(図1の例では上部電極14)との間に介在する環状の板であってもよい。電磁波を第1端201と第2端202との間で共振させるために、第2端202は、電磁波に対して下部20bにおける導波路20wのインピーダンスよりも低いインピーダンスを有しており、したがって、大きな静電容量を有する。このため、第2端202を構成する環状の板の厚さHは、軸線AXが延びる垂直方向における下部20bの長さH(又は下部20bの高さ)よりも小さい。なお、長さHは、下部20bにおける導波路20wの垂直方向における長さであり、下部20bを構成する一対の導体壁(上側導体壁と下側導体壁)の間の鉛直方向における距離である。
【0032】
一実施形態において、厚さH及び長さHは、下記の式(2)又は式(3)を満たしてもよい。
【数1】

【数2】

なお、εは、第2端202を構成する誘電体の比誘電率である。
【0033】
共振器20では、共振器20の第2端202から電磁波を放出部16に供給し、且つ、第1端201と第2端202で電磁波を共振させる。このため、第2端202の反射係数Γは、1よりも小さく、且つ、1に近い大きい値を有する。反射係数Γは、第1端201より下側からの反射がないと仮定すると、近似的に下記の式(4)で表される。反射係数Γの絶対値が、1よりも小さく、0.8よりも大きい場合には、式(4)から式(2)が導かれる。反射係数Γの絶対値が、1よりも小さく、0.9よりも大きい場合には、式(4)から式(3)が導かれる。
【数3】
【0034】
一実施形態において、長さHは、垂直方向における中間部20cの長さH(又は中間部20cの高さ)よりも長くてもよい。長さHは、中間部20cにおける導波路20wの垂直方向における長さであり、中間部20cにおいて導波路20wを構成する一対の導体壁(上側導体壁と下側導体壁)の間の鉛直方向における距離である。この実施形態においては、厚さHが大きくても、長さHに対して厚さHを相対的に小さくすることができる。したがって、第2端202のインピーダンスを下部20bにおける導波路20wの特性インピーダンスよりも低いインピーダンスに設定しつつ、第2端202を構成する環状の板の厚さを確保することができる。
【0035】
一実施形態において、放出部16において処理空間10sに露出している領域の径方向の長さL16は、厚さHよりも大きくてもよい。この場合には、プラズマ着火前後における電磁波の共振周波数の変化を小さくすることが可能である。
【0036】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、電磁波を導波路20wに導入するためにコネクタ40を更に備えていてもよい。コネクタ40は、同軸線路28の一部である。高周波電源24は、同軸線路28及びコネクタ40を介して、上部20aに結合されている。コネクタ40は、軸線AXから径方向に離れた位置で上部20aに結合されていてもよい。
【0037】
以下、図1と共に図2及び図3を参照して、コネクタ40の構造の例について説明する。図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器及びコネクタを示す部分拡大断面図である。図3は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器及びコネクタを示す部分拡大平面図である。図3においては、一対の押さえ部材のうち一方が部分的に破断された状態が示されている。
【0038】
コネクタ40は、上述したように上部20aにおいて導波路20wと結合されている。コネクタ40は、軸線AXに対して径方向に沿って移動可能に構成されていてもよい。この場合には、コネクタ40が共振器20に結合する位置を、電磁波の反射を抑制することが可能な位置(例えば、無反射の位置)に調整することが可能である。
【0039】
一実施形態において、コネクタ40は、同軸コネクタであってもよい。この場合において、コネクタ40は、中心導体41、外側導体42、スペーサ43、結合ロッド44、及び一つ以上のコンタクト部材45を含んでいてもよい。
【0040】
中心導体41は、棒状をなしている。中心導体41は、高周波電源24に電気的に接続される。外側導体42は、円筒形状を有している。中心導体41は、外側導体42と同軸状に設けられている。スペーサ43は、ポリテトラフルオロエチレンのような絶縁体材料から形成されている。スペーサ43は、中心導体41と外側導体42との間に介在している。
【0041】
上部20aの上側導体壁203aには、上部20aの空洞に接続する貫通孔203hが形成されている。貫通孔203hは、軸線AXに対して径方向に長く延びている。上側導体壁203aは、貫通孔203hの両側に支持面203sを提供している。支持面203sは、上方を向いている。
【0042】
結合ロッド44は、中心導体41の下端に結合している。結合ロッド44は、貫通孔203hを通って下方に延びている。一つ以上のコンタクト部材45は、結合ロッド44の下端に設けられている。一つ以上のコンタクト部材45は、上部20aの下側導体壁203b(即ち、後述の複数の第1の環状導体板211のうち最も高い位置で延在する第1の環状導体板211)に弾性的に接触し得る。一実施形態において、コネクタ40は、一つ以上のコンタクト部材45が結合ロッド44から脱落することを防止するために、マグネット46を結合ロッド44内に内蔵していてもよい。
【0043】
一実施形態において、コネクタ40は、一つ以上のコンタクト部材45として、複数のコンタクトプローブを含んでいてもよい。複数のコンタクトプローブの各々は、バレル、当該バレルの内孔の中に配置されたスプリング、当該バレルの内孔から下方に延び当該スプリングによって下方に付勢されるプランジャを含む。複数のコンタクトプローブは、結合ロッド44の中心軸線の周りで周方向に沿って配列されていてもよい。或いは、コネクタ40は、一つ以上のコンタクト部材45として、スパイラルスプリングガスケット又は斜め巻コイルスプリングを有していてもよい。
【0044】
外側導体42は、支持面203sに接触している。外側導体42は、支持面203s上で径方向に沿って移動可能である。したがって、コネクタ40は、高周波電力の反射を抑制するよう、その径方向における上部20aとの結合位置を調整することが可能である。
【0045】
コネクタ40の径方向における位置が設定された状態で、外側導体42は、支持面203sと一対の押さえ部材50の各々との間で挟持されてもよい。一対の押さえ部材50の各々は、例えば板状をなしている。一対の押さえ部材50は、複数のボルトを用いて上側導体壁203aに固定される。また、貫通孔203hからの電磁波の漏れを防止すべく一つ以上のカバー52が、貫通孔203hを覆うように配置されてもよく、支持面203sと一対の押さえ部材50の各々との間で挟持されてもよい。
【0046】
一実施形態において、外側導体42は、第1部材42a及び第2部材42bを含んでいてもよい。第1部材42aは、第2部材42b上に設けられており、第2部材42bに固定されている。第1部材42aは、筒形状を有している。スペーサ43は、第1部材42aと中心導体41との間に設けられている。第2部材42bは、板状をなしており、第1部材42aの内孔に連続する貫通孔を提供している。第2部材42bは、支持面203sと一対の押さえ部材50の各々との間で挟持される。
【0047】
上述したように、共振器20は、絶縁部250を含んでいる。絶縁部250は、樹脂、石英、又はセラミックのような絶縁性材料から形成されている。絶縁部250は、上部電極14を、第1端201と導通している共振器20の導体壁から電気的に分離している。プラズマ処理装置1においては、絶縁部250は、環状の板であり、鉛直方向において内周部216の一部を構成している。内周部216において、絶縁部250の上側の部分及び下側の部分は、導体から形成されている。
【0048】
プラズマ処理装置1では、絶縁部250により、上部電極14が共振器20から電気的に分離される。したがって、上部電極14に、高周波電源24とは別の電源を接続することが可能である。一実施形態では、電源25が、上部電極14に電気的に接続されている。電源25は、バイアス電源であってもよい。バイアス電源は、パルス電源、低周波電源、又は直流電源等であってもよい。電源25は、フィルタ(高周波電源24の周波数に対するフィルタ)を介することなく上部電極14に接続され得る。
【0049】
一実施形態において、第1端201と絶縁部250との間の導波路20wの長さは、導波路20wにおける電磁波の波長(共振周波数を有する基本波)の1/4に実質的に等しくてもよい。この場合には、共振器20の壁面に沿って流れる電流は、絶縁部250が設けられている場所で最小となる。したがって、この場合には、絶縁部250からの電磁波の漏洩が抑制される。なお、第1端201と絶縁部250との間の導波路20wの長さは、絶縁部250から漏洩する電磁波の強度が許容可能な強度であれば、電磁波の波長の1/4よりも大きくても小さくてもよい。
【0050】
一実施形態において、共振器20は、第1端201と絶縁部250との間の導波路20wの長さを電磁波の波長の1/4に実質的に等しい長さに調整するための構造を含んでいてもよい。この構造は、外周部214において提供されていてもよい。図1に示す例では、第1端201と絶縁部250との間において、外周部214の一部は、外周部214の他の部分の半径と異なる半径を有していてもよい。図1に示す例では、中間部20cにおける外周部214の半径は、上部20a及び下部20bの各々における外周部214の半径よりも小さくなっている。
【0051】
外周部214の上記構造に代えて、或いは、これに加えて、第1端201と絶縁部250との間の導波路20wの長さを電磁波の波長の1/4に実質的に等しい長さに調整するための構造は、上部20aにおいて提供されていてもよい。図1に示す例では、軸線AXが延びる方向、即ち垂直方向における上部20aの長さH(又は上部20aの高さ)が導波路20wの他の部分の垂直方向における長さと異なっている。上部20aの長さHは、導波路20wの他の部分の垂直方向における長さより長くてもよい。具体的には、長さHは、長さH及び長さHよりも長くてもよい。なお、長さHは、上部20aの一対の導体壁(上側導体壁と下側導体壁)の間の鉛直方向における距離である。上部20aのリアクタンスは、上部20aの長さHにより変化する。したがって、上部20aの長さHに応じて、第1端201と絶縁部250との間の導波路20wの長さを調整することができる。
【0052】
以上説明したプラズマ処理装置1では、第1端201と第2端202との間で電磁波の共振が促進される。また、第1端201と第2端202によれば、周方向に均一な電磁波の共振が促進される。共振した電磁波は、共振器20の第2端202を通って放出部16から処理空間10sに放出される。したがって、プラズマ処理装置1によれば、第1端201と第2端202との間で共振した電磁波により、プラズマが効率的に生成される。
【0053】
なお、第2端202は、軸線AXの周りで周方向に沿って配列された複数のコンデンサから構成されていてもよい。複数のコンデンサの各々は、その一対の電極のうち一方が、下部20bの上側導体壁に接続され、且つ、その一対の電極のうち他方が、下部20bの下側導体壁に接続されるように、配置される。複数のコンデンサは、等間隔に配置されていてもよい。或いは、第2端202は、軸線AXの周りで周方向に沿って複数の間隙と交互に配列される導体から構成されていてもよい。また、絶縁部250は、内周部216ではなく、外周部214の一部として構成されていてもよい。内周部216の一部は、内周部216の他の部分の半径と異なる半径を有していてもよい。
【0054】
以下、図4を参照して、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。図4は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。以下、図4に示すプラズマ処理装置1Bについて、プラズマ処理装置1に対する相違点の観点から説明する。
【0055】
プラズマ処理装置1Bにおいて、上部電極14は、第1電極31及び蓋体33を含んでいる。また、プラズマ処理装置1Bは、第2電極32を更に備えている。
【0056】
第1電極31は、処理空間10sの上方に設けられている。第1電極31は、金属(例えばアルミニウム)のような導体から形成されており、略円盤形状を有している。第1電極31の中心軸線は、軸線AXである。第1電極31は、後述するプラズマ生成空間PSにガスを導入するための複数のガス孔31hを提供していてもよい。複数のガス孔31hは、第1電極31の厚さ方向(鉛直方向)に延びており、第1電極31を貫通している。
【0057】
第2電極32は、処理空間10sの上方且つ第1電極31の下方に設けられている。第2電極32は、第1電極31と略平行に延在していてもよい。第2電極32は、金属(例えばアルミニウム)のような導体から形成されており、略円盤形状を有している。第2電極32の中心軸線は、軸線AXである。第2電極32は、チャンバ10の上端開口を閉じている。即ち、第2電極32は、処理空間10sを上方から画成している。
【0058】
第2電極32は、第1電極31と第2電極32との間にプラズマ生成空間PSを提供している。プラズマ生成空間PSの中心軸線は、軸線AXである。プラズマ生成空間PSでは、放出部16から放出される電磁波によりガスからプラズマが生成される。第2電極32は、プラズマ生成空間PS内のプラズマから活性種を処理空間10sに導くために、複数の貫通孔32hを提供している。複数の貫通孔32hは、第2電極32の厚さ方向(鉛直方向)に延びており、第2電極32を貫通している。複数の貫通孔32hの断面積は、活性種が複数の貫通孔32hを通過するときに失活することを抑制するよう設定されており、比較的大きい。
【0059】
プラズマ処理装置1Bにおいて、放出部16は、プラズマ生成空間PSにおけるプラズマの生成のために、プラズマ生成空間PSに電磁波を放出するように構成されている。放出部16は、プラズマ生成空間PSを囲むように軸線AXの周りで周方向に延在していてもよい。放出部16は、リング形状を有していてもよい。放出部16は、第1電極31の周縁部と第2電極32の周縁部との間で挟持されていてもよい。プラズマ処理装置1Bにおいて、電磁波は、共振器20を通って放出部16に伝搬し、放出部16からプラズマ生成空間PS内に導入される。
【0060】
蓋体33は、第1電極31上に設けられている。蓋体33は、アルミニウムのような導体から形成されており、略円盤形状を有している。蓋体33の中心軸線は、軸線AXである。
【0061】
蓋体33は、第1電極31と蓋体33との間に、ガス拡散空間33dを提供している。ガス拡散空間33dには、ガス供給部26が接続されている。ガス供給部26から出力されるガスは、ガス拡散空間33d及び複数のガス孔31hを介してプラズマ生成空間PSに供給される。
【0062】
プラズマ処理装置1Bにおいても、電源25は、上部電極14に電気的に接続されている。図4に示すように、電源25は、蓋体33に電気的に接続されていてもよい。
【0063】
プラズマ処理装置1Bにおいても、導波部18は共振器20を含んでいる。プラズマ処理装置1Bにおいて、共振器20の第2端202は、放出部16と共振器20の導波路20wの境界である。
【0064】
以下、図5を参照して更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。図5は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。以下、図5に示すプラズマ処理装置1Cについて、プラズマ処理装置1に対する相違点の観点から説明する。
【0065】
プラズマ処理装置1Cにおいて、外周部214は、複数の支柱214pを含んでいる。複数の支柱214pは、金属のような導体から形成されている。複数の支柱214pは、軸線AXが延びる方向(即ち、鉛直方向)に沿って延びている。複数の支柱214pは、軸線AXの周りで周方向に沿って間隔をもって配列されている。複数の支柱214pのうち周方向において隣り合う任意の二つの支柱の間の間隙の周方向に沿った長さは、共振器20において共振する電磁波(共振周波数を有する基本波)の波長の1/100以下であり得る。
【0066】
複数の支柱214pの各々は、鉛直方向に沿って整列された複数の部位に分割されている。複数の支柱214pの各々の複数の部位は、鉛直方向に沿って複数の第1の環状導体板211と交互に配列されている。複数の支柱214pの各々の複数の部位、複数の第1の環状導体板211、及び上側導体壁203aは、互いに導通するように固定されている。
【0067】
一実施形態において、複数の支柱214pの各々の複数の部位の各々は筒形状を有している。複数の支柱214pの各々の複数の部位の中には、ボルト214bが通されている。ボルト214bの下端は、複数の第1の環状導体板211のうち最も低い位置で延在する第1の環状導体板211に形成されたねじ穴に螺合されている。ボルト214bの上端は、上側導体壁203aの上方に位置している。ボルト214bの上端には、ナット214nが螺合されている。ナット214nは、上側導体壁203aを、ワッシャ214wを介して押圧して、複数の支柱214pの各々の複数の部位、複数の第1の環状導体板211、及び上側導体壁203aを互いに固定している。
【0068】
プラズマ処理装置1Cにおいて、内周部216は、複数の支柱216pを含んでいる。複数の支柱216pは、軸線AXが延びる方向(即ち、鉛直方向)に沿って延びている。複数の支柱216pは、軸線AXの周りで周方向に沿って間隔をもって配列されている。複数の支柱216pのうち周方向において隣り合う任意の二つの支柱の間の間隙の周方向に沿った長さは、共振器20において共振する電磁波(共振周波数を有する基本波)の波長の1/100以下であり得る。
【0069】
複数の支柱216pの各々の長手方向における一部は、絶縁部250である。複数の支柱216pの各々において、絶縁部250の上側の部分及び下側の部分は、金属のような導体から形成されている。
【0070】
複数の支柱216pの各々は、鉛直方向に沿って整列された複数の部位に分割されている。複数の支柱216pの各々の複数の部位は、鉛直方向に沿って複数の第2の環状導体板212と交互に配列されている。複数の支柱216pの各々の複数の部位、複数の第2の環状導体板212、及び上側導体壁203aは、互いに導通するように固定されている。
【0071】
一実施形態において、複数の支柱216pの各々の複数の部位の各々は筒形状を有している。複数の支柱216pの各々の複数の部位の中には、ボルト216bが通されている。ボルト216bの下端は、上部電極14に形成されたねじ穴に螺合されている。ボルト216bの上端は、上側導体壁203aの上方に位置している。ボルト216bの上端には、ナット216nが螺合されている。ナット216nは、上側導体壁203aを、ワッシャ216wを介して押圧して、複数の支柱216pの各々の複数の部位、複数の第2の環状導体板212、及び上側導体壁203aを互いに固定している。
【0072】
プラズマ処理装置1Cにおいても、共振器20は、第1端201と絶縁部250との間の導波路20wの長さを電磁波の波長の1/4に実質的に等しい長さに調整するための構造を含んでいてもよい。この構造は、外周部214において提供されていてもよい。図5に示す例では、外周部214は、複数の支柱214pCを更に含んでいる。複数の支柱214pCは、中間部20cにおいて軸線AXの周りで周方向に沿って間隔をもって配列されている。複数の支柱214pCのうち周方向において隣り合う任意の二つの支柱の間の間隙の周方向に沿った長さは、共振器20において共振する電磁波(共振周波数を有する基本波)の波長の1/100以下であり得る。複数の支柱214pCの各々と軸線AXとの間の径方向の距離は、複数の支柱214pの各々と軸線AXとの間の径方向の距離よりも短い。
【0073】
複数の支柱214pCは、中間部20cにおいて、二つの第1の環状導体板211に導通するように保持されている。複数の支柱214pCの各々は、筒形状を有していてもよい。この場合に、複数の支柱214pCの各々は、その中を通るねじ214mにより、中間部20cを構成する二つの第1の環状導体板211の間で固定されていてもよい。
【0074】
なお、プラズマ処理装置1Cにおいては、外周部214は、複数の支柱214pではなく、プラズマ処理装置1と同様に略円筒形状の導体壁から構成されていてもよい。また、絶縁部250は、支柱216pではなく、支柱214pの一部として構成されていてもよい。複数の支柱214pCは、外周部214ではなく、内周部216に含まれていてもよい。
【0075】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0076】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E12]に記載する。
【0077】
[E1]
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
プラズマ生成空間に電磁波を放出するように設けられた放出部と、
前記プラズマ生成空間の上方に設けられた上部電極と、
前記放出部に前記電磁波を供給するように構成された導波部と、
を備え、
前記導波部は、導波路を提供する共振器を含み、
前記共振器の前記導波路は、部分的に前記上部電極から構成されており、
前記共振器は、
第1端と、
前記放出部に電磁的に結合された第2端であり、前記第1端と該第2端との間で電磁波が共振するように設けられている、該第2端と、
前記上部電極を、前記第1端と導通している該共振器の導体壁から電気的に分離する絶縁部と、
を含む、
プラズマ処理装置。
【0078】
[E2]
前記共振器の前記第1端と前記絶縁部との間の前記導波路の長さは、該導波路における前記電磁波の波長の1/4に実質的に等しい、E1に記載のプラズマ処理装置。
【0079】
[E3]
前記放出部は、前記プラズマ生成空間の中心軸線の周りで周方向に延在しており、
前記第1端及び前記第2端は、前記中心軸線の周りで周方向に延在しており、
前記第2端を含む前記共振器の前記導波路の第2端は、前記第1端の下方に配置されており、且つ、前記放出部に電磁的に結合されており、
前記共振器の前記導波路は、
前記中心軸線の周りで前記第2端に向けて前記中心軸線に対して径方向に延びる下部と、
前記下部の上方且つ前記中心軸線の周りで、前記第1端から前記径方向に対して反対方向に延びる上部と、
を含む層構造を有し、前記中心軸線の周りで前記第1端から前記第2端まで蛇行するように前記径方向と前記反対方向とに交互に延びている、
E1又はE2に記載のプラズマ処理装置。
【0080】
[E4]
前記共振器の前記導波路は、
それらの中心が前記中心軸線上に位置するように配置された複数の環状導体板と、
導体から形成された、前記径方向おける該共振器の外周部と、
前記径方向における該共振器の内周部と、
から構成されており、
前記複数の環状導体板は、
その外縁が前記外周部に固定されており、その内縁が前記内周部から離れている第1の環状導体板と、
その外縁が前記外周部から離れており、その内縁が前記内周部に固定された第2の環状導体板と、
を含む、
E3に記載のプラズマ処理装置。
【0081】
[E5]
前記内周部は、環状の板である前記絶縁部を含む、E4に記載のプラズマ処理装置。
【0082】
[E6]
前記内周部は、前記中心軸線の周りで周方向に沿って配列された複数の支柱を含み、
前記複数の支柱の各々の一部は、前記絶縁部である、E4に記載のプラズマ処理装置。
【0083】
[E7]
前記第1端と前記絶縁部との間において、前記外周部の一部は、前記第1端と前記絶縁部との間での前記共振器の前記導波路の長さを調整するよう、該外周部の他の部分の半径と異なる半径を有する、E4~E6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0084】
[E8]
前記上部の垂直方向における長さは、前記第1端と前記絶縁部との間での前記共振器の前記導波路の長さを調整するよう、前記共振器の前記導波路の前記垂直方向における長さと異なる、E4~E6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0085】
[E9]
前記電磁波を前記共振器の前記導波路に導入するためのコネクタを更に備え、
前記コネクタは、前記中心軸線から径方向に離れた位置で前記上部に結合されている、
E3~E8の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0086】
[E10]
前記チャンバは、その内部において処理空間を提供しており、
前記処理空間は、前記プラズマ生成空間を含む、
E1~E9の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0087】
[E11]
前記処理空間上に配置されたシャワープレートを更に備え、
前記放出部は、前記シャワープレートを囲むように延在している、
E10に記載のプラズマ処理装置。
【0088】
[E12]
前記共振器の前記導波路に電気的に結合されており、その周波数が可変である高周波電力を発生して、前記電磁波を該導波路内に供給するように構成された高周波電源を更に備える、E1~E11の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0089】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0090】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、12…基板支持部、14…上部電極、16…放出部、18…導波部、20…共振器、250…絶縁部。
図1
図2
図3
図4
図5