(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101738
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】スピンナ洗浄ユニット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005838
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小木 智史
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA99
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157CF16
5F157CF32
5F157DB02
5F157DB46
(57)【要約】
【課題】スピンナ洗浄ユニットにおける洗浄時間を短縮する。
【解決手段】スピンナテーブル20の上方のケース29の天板295に取込口296を設けるとともに、スピンナテーブル20の下方のケース29の底板292に、吸引源80に連結された吸引口297を有している。このため、ウェーハ100の洗浄中に、取込口296から吸引口297へと下方向に向かう気流によって、洗浄液の噴霧を含む流体を吸引口297に導いて、ケース29から迅速に排出することができる。したがって、発生した洗浄液の噴霧がケース29内に飛散すること、この噴霧が洗浄後のウェーハ100に付着すること、および、噴霧がケース29内に滞留することを、良好に抑制することが可能である。このため、ウェーハ100の洗浄時間を短縮することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを洗浄するスピンナ洗浄ユニットであって、
ウェーハを保持するスピンナテーブルと、
該スピンナテーブルを回転させる回転機構と、
該スピンナテーブルに保持されたウェーハに洗浄液を噴射する洗浄液ノズルと、
該スピンナテーブルを収容するケースと、
該ケース内で該スピンナテーブルの外周を囲む筒状の飛散防止カバーと、
該飛散防止カバーの内側で該スピンナテーブルの下方に配置され、流体を吸引する吸引口と、
該ケースの天井における該スピンナテーブルの直上に配置され、ケース内に外気を取り込むための取込口と、を備える、
スピンナ洗浄ユニット。
【請求項2】
該吸引口は、複数配置されており、
複数の該吸引口は、該スピンナテーブルの中心を中心とする円に沿って等間隔に配置されている、
請求項1記載のスピンナ洗浄ユニット。
【請求項3】
複数の該吸引口と吸引源との間に配設され、該吸引口によって吸引された流体を合流させる合流部をさらに備え、
該吸引口は、気体と洗浄液とを吸引し、
該合流部は、気液分離機構を備える、
請求項2記載のスピンナ洗浄ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンナ洗浄ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および2に開示のように、ウェーハを洗浄するスピンナ洗浄ユニットは、ウェーハを保持したスピンナテーブルを回転させ、ウェーハに洗浄液を噴射して洗浄を実施している。そのため、スピンナテーブルの回転による遠心力を受けた洗浄液が、スピンナテーブルから外に飛散して噴霧になる。この噴霧が洗浄後のウェーハに付着して、ウェーハの洗浄が不十分になることがある。
【0003】
そのため、特許文献3および4に開示のように、スピンナ洗浄ユニットは、テーブルを収容するケースと、ケース内の空気を吸引する吸引口と、ケースに外気を取り込む取込口とを備えて、ケース内に気流を形成している。そして、この気流によって、洗浄液の噴霧をケース内から排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-034719号公報
【特許文献2】特開2017-224749号公報
【特許文献3】特開2019-192853号公報
【特許文献4】特開2019-186497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、洗浄後にもケースの角などに噴霧が滞留しているため、すべての噴霧がケース内から排出されるのを待ってから、ケースを開け、洗浄したウェーハをケース内から取り出している。そのため、スピンナ洗浄ユニットからウェーハを取り出すまでに時間がかかり、スピンナ洗浄ユニットにおける洗浄時間が長くなる。
【0006】
したがって、本発明の目的は、スピンナ洗浄ユニットにおける洗浄時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスピンナ洗浄ユニット(本スピンナ洗浄ユニット)は、ウェーハを洗浄するスピンナ洗浄ユニットであって、ウェーハを保持するスピンナテーブルと、該スピンナテーブルを回転させる回転機構と、該スピンナテーブルに保持されたウェーハに洗浄液を噴射する洗浄液ノズルと、該スピンナテーブルを収容するケースと、該ケース内で該スピンナテーブルの外周を囲む筒状の飛散防止カバーと、該飛散防止カバーの内側で該スピンナテーブルの下方に配置され、流体を吸引する吸引口と、該ケースの天井における該スピンナテーブルの直上に配置され、ケース内に外気を取り込むための取込口と、を備える。
【0008】
本スピンナ洗浄ユニットでは、該吸引口は、複数配置されていてもよく、複数の該吸引口は、該スピンナテーブルの中心を中心とする円に沿って等間隔に配置されていてもよい。
【0009】
本スピンナ洗浄ユニットは、複数の該吸引口と吸引源との間に配設され、該吸引口によって吸引された流体を合流させる合流部をさらに備えてもよく、該吸引口は、気体と洗浄液とを吸引してもよく、該合流部は、気液分離機構を備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本スピンナ洗浄ユニットでは、スピンナテーブルの上方に取込口を配置するとともに、スピンナテーブルの下方に吸引口を配置している。このため、ウェーハの洗浄中に、取込口から吸引口へと下方向に向かう気流によって、洗浄液の噴霧を含む流体を吸引口に導いて、ケースから迅速に排出することができる。したがって、発生した洗浄液の噴霧がケース内に飛散すること、この噴霧が洗浄後のウェーハに付着すること、および、噴霧がケース内に滞留することを、良好に抑制することが可能である。このため、ウェーハの洗浄時間を短縮することができる。
【0011】
さらに、本スピンナ洗浄ユニットでは、吸引口が、飛散防止カバーの内側に設けられている。このため、飛散防止カバーの内側で受け止められた洗浄液の噴霧を、吸引口に向かって良好に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】スピンナ洗浄ユニットの構成を示す説明図である。
【
図2】クランプ部材および仮置き部の配置状態を示す説明図である。
【
図6】スピンナ洗浄ユニットの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すスピンナ洗浄ユニット1は、ウェーハ100を洗浄する装置である。スピンナ洗浄ユニット1は、たとえば、研削ユニットや切削ユニットなどの加工ユニットによって加工されたウェーハ100を洗浄して加工屑を除去するために用いられる。
【0014】
スピンナ洗浄ユニット1は、略円板状のウェーハ100を保持するスピンナテーブル20を備えている。また、
図2に示すように、スピンナ洗浄ユニット1は、スピンナテーブル20の外周側に、ウェーハ100が仮置きされる3つの仮置き部22と、3つのクランプ部材21とを有している。クランプ部材21は、仮置き部22に仮置きされたウェーハ100の外周をクランプして保持するためのものである。
なお、仮置き部22およびクランプ部材21は、各々3つ以上を有していてもよい。
【0015】
クランプ部材21は、
図2に示すように、スピンナテーブル20の周方向に沿って等間隔に配設されている。また、仮置き部22は、隣り合うクランプ部材21の中間に配設されており、スピンナテーブル20の上面から上方に突出している。なお、
図1は、
図2に示したAA線矢視断面図である。
【0016】
クランプ部材21は、
図3に示すように、スピンナテーブル20に固定されたベース部26と、クランプアーム27とを備えている。クランプアーム27の上端部には、ウェーハ100の外周をクランプする部分である保持部271が形成されている。
【0017】
クランプアーム27は、ベース部26によって、軸部260を中心として回転することが可能なように支持されている。そして、クランプアーム27は、クランプアーム27とベース部26との間に設けられたバネ部28により、保持部271がウェーハ100を保持できるように、矢印501によって示す方向に付勢されている。
【0018】
また、クランプアーム27の下方には、外周側に突出している作用部272が形成されている。作用部272が下方に向けて押し下げられることにより、クランプアーム27は、保持部271がウェーハ100から離れるように、矢印502によって示す方向に回転される。
【0019】
また、
図1に示すように、スピンナ洗浄ユニット1は、スピンナテーブル20の上方に、スピンナテーブル20に保持されたウェーハ100に洗浄液を噴射する第1洗浄液ノズル41を有している。第1洗浄液ノズル41は、洗浄液を貯留している第1タンク40に連結されており、第1タンク40からの洗浄液を下方に向けて噴出するように構成されている。
【0020】
また、スピンナ洗浄ユニット1は、スピンナテーブル20の下方に、スピンナテーブル20を回転させる回転機構3を有している。回転機構3は、回転シャフト30およびモータ31を有している。回転シャフト30は、スピンナテーブル20の下面の中心に連結されており、Z軸方向(鉛直方向)に延びている。モータ31は、回転シャフト30の下端に連結されている。回転機構3では、モータ31が回転シャフト30を回転させることにより、スピンナテーブル20を回転駆動する。なお、モータ31には、電源310およびエンコーダ311が接続されている。
【0021】
回転シャフト30の内部には、洗浄液を通すための液路300が形成されている。液路300の下端には、液体導入口301が連結されている。この液体導入口301には、洗浄液を貯留している第2タンク305が連結されている。さらに、液路300の上端には、スピンナテーブル20の中心から上方に開口されている第2洗浄ノズル200が設けられている。第2洗浄ノズル200は、液体導入口301および液路300を介して供給された第2タンク305からの洗浄液を、上方に向けて噴射するように構成されている。
【0022】
また、スピンナ洗浄ユニット1は、ケース29内でスピンナテーブル20の外周を囲む筒状の飛散防止カバー5を備えている。飛散防止カバー5は、昇降ガイド24に固定される被固定部51と、被固定部51に設けられたカバー部材としての飛散防止部50とを備えている。
【0023】
飛散防止部50は、スピンナテーブル20を外周側から囲繞する円筒状に形成されており、内周側に向けて上昇する傾斜を有している。飛散防止部50の先端には、飛散防止カバー5が下降した際にクランプアーム27の作用部272(
図3参照)を押し下げる押下げ部52が形成されている。
【0024】
また、
図1に示すように、スピンナ洗浄ユニット1は、スピンナテーブル20を収容するとともに、スピンナテーブル20を支持するケース29を備えている。ケース29は、円形に立設された内周壁290および外周壁291と、外周壁291の上端側を塞ぐ円板状の天板295と、内周壁290の下端と外周壁291の下端とを連結するリング状の底板292と、を有している。内周壁290と外周壁291と底板292とによって囲まれた空間は、凹部293を形成している。
【0025】
内周壁290の上端には、スピンナテーブル20を回転可能に下方から支持する支持台298が設けられている。
【0026】
ケース29は、外周壁291に、ケース29内に対してウェーハ100を搬入および搬出するための開口部90を備えている。さらに、ケース29は、外周壁291における開口部90の近傍に、開口部90を閉じるためのカバー91、および、カバー91を駆動して開口部90を開閉するための開閉機構92を備えている。
【0027】
ケース29の天井となる天板295の中央には、取込口296が設けられている。取込口296は、ケース29の天板295におけるスピンナテーブル20の直上に配置されている。取込口296は、たとえばフィルタ状の構造を有しており、ケース29内に外気を取り込むために用いられる。
なお、取込口296には、HEPAフィルタまたはULPAフィルタを配置してもよい。
【0028】
ケース29の底板292には、昇降ガイド24が貫通している。昇降ガイド24の上端には、飛散防止カバー5の被固定部51が固定されている。一方、昇降ガイド24の下端には、昇降板23が連結されている。昇降板23には、昇降機構6が連結されている。昇降機構6は、昇降板23に連結されたロッド60と、ロッド60を昇降させるシリンダ61とを有する。昇降板23は、この昇降機構6によって、Z軸方向に沿って昇降されることが可能となっている。
【0029】
本実施形態では、昇降機構6が昇降板23を昇降させることにより、昇降板23に連結された昇降ガイド24、および、昇降ガイド24の上端に固定された飛散防止カバー5が、Z軸方向に沿って昇降する。
【0030】
また、スピンナ洗浄ユニット1は、ケース29の底板292に、吸引口297を有している。吸引口297は、底板292における、飛散防止カバー5の内側であってスピンナテーブル20の下方となる位置に配置されている。吸引口297は、ケース29内の流体としての気体(空気および洗浄液の噴霧を含む)と洗浄液(液体)とを吸引するために用いられる。本実施形態では、ケース29内の気体は、洗浄液の噴霧を含み、吸引口297に連通された吸引源80の吸引力によって、吸引口297からケース29の外部に排出される。また、ケース29内の洗浄液は、自重によって、吸引口297からケース29の外部に排出される。
【0031】
本実施形態では、3つの吸引口297が飛散防止カバー5の内側で底板292に配置されている。3つの吸引口297は、スピンナテーブル20の中心を中心とする円に沿って、底板292に等間隔に配置されている(
図2参照)。
また、
図2に示すように、吸引口297の中心は、飛散防止カバー5の内周とスピンナテーブル20の外周との間の直下になるように配置されているとよい。
【0032】
本実施形態では、これら3つの吸引口297は、合流部70を介して吸引源80に連結されている。合流部70は、複数の吸引口297と吸引源80との間に配設され、3つの吸引口297によって吸引された気体と洗浄液とを合流させるために用いられる。
【0033】
合流部70は、
図4に示すように、3本の吸引管71、これら3本の吸引管71の下端に連結された筐状の本体部72、および、本体部72の下流側の気液分離機構73を有している。3本の吸引管71は、3つの吸引口297のそれぞれに連結されており、吸引口297から排出された流体の流路となっている。すなわち、3つの吸引口297から排出された流体は、3本の吸引管71を介して本体部72に導入されて合流され、その後、気液分離機構73に導入される。
【0034】
気液分離機構73は、
図5に示すように、主通路74、主通路74よりも上側に配置されて吸引源80に連結されている気体通路75、および、主通路74よりも下側に配置されている液体通路76を有している。
【0035】
気液分離機構73では、本体部72から導入された気体と洗浄液は、吸引源80の吸引力によって主通路74を流れる。そして、気体は、
図5に矢印505によって示すように、吸引源80に連結されている上側の気体通路75に導入される。一方、洗浄液は、矢印506によって示すように、自重のために主通路74の底部を流れており、そのまま液体通路76に導入される。洗浄液は、たとえば、液体通路76に連結されている洗浄液回収装置81によって回収される。
【0036】
また、スピンナ洗浄ユニット1は、その内部に、スピンナ洗浄ユニット1の制御のための制御部7を有している(
図1参照)。制御部7は、制御プログラムに従って演算処理を行うCPU、および、メモリ等の記憶媒体等を備えている。制御部7は、各種の処理を実行し、スピンナ洗浄ユニット1の各構成要素を統括制御する。たとえば、制御部7は、スピンナ洗浄ユニット1の上述した各構成要素を制御して、ウェーハ100に対する洗浄を実行する。
【0037】
以下に、制御部7によって制御されるスピンナ洗浄ユニット1における洗浄動作について説明する。
【0038】
(1)搬入工程
この工程では、制御部7は、ケース29内のスピンナテーブル20に、洗浄対象のウェーハ100を搬入する。具体的には、制御部7は、まず、
図6に示すように、昇降機構6を用いて、昇降板23、昇降ガイド24および飛散防止カバー5を下降させる。これにより、
図3に示すように、飛散防止カバー5における飛散防止部50の押下げ部52が、クランプアーム27の作用部272を押し下げる。このため、クランプアーム27が、矢印502によって示す方向に回転されて、スピンナテーブル20のクランプ部材21が開いた状態となる。
【0039】
次に、制御部7は、
図6に示すように、開閉機構92によってカバー91を駆動することにより、開口部90を開放する。そして、制御部7は、洗浄対象のウェーハ100を搬送ロボット95を用いて保持し、開口部90を介してケース29内に搬送ロボット95を進入させて、スピンナテーブル20の仮置き部22上にウェーハ100を載置する。
【0040】
その後、制御部7は、搬送ロボット95をケース29の外部に出し、
図1に示すように、開閉機構92によってカバー91を駆動することにより、開口部90を閉じる。そして、制御部7は、昇降機構6を用いて、昇降板23、昇降ガイド24および飛散防止カバー5を上昇させる。これにより、飛散防止カバー5における飛散防止部50の押下げ部52が、クランプアーム27の作用部272から離れて、圧縮ばねであるバネ部28の反発力によって、軸部260を軸にクランプアーム27が矢印501によって示す方向に回転されて(
図3参照)、クランプ部材21が閉じた状態となる。その結果、スピンナテーブル20の仮置き部22に載置されていたウェーハ100が、クランプアーム27の保持部271によって保持される。このようにして、ウェーハ100が、スピンナテーブル20によって保持される。
【0041】
(2)洗浄工程
次に、制御部7は、回転機構3におけるモータ31を用いて回転シャフト30を回転させることにより、ウェーハ100を保持しているスピンナテーブル20を、所定の回転速度で回転させる。さらに、制御部7は、第1洗浄液ノズル41および第2洗浄ノズル200から、スピンナテーブル20に保持されているウェーハ100の上面および下面に向けて洗浄液を噴射する。これにより、ウェーハ100の両面が洗浄される。なお、ウェーハ100を洗浄するための洗浄液としては、たとえば、薬液(酸性あるいはアルカリ性の洗浄液)や純水を用いることができる。
【0042】
この洗浄工程では、スピンナテーブル20とともに回転するウェーハ100に洗浄液が噴射されることにより、洗浄液にスピンナテーブル20の遠心力が付与され、洗浄液がウェーハ100から外に飛散する。そして、スピンナ洗浄ユニット1では、この飛散した洗浄液の噴霧は、飛散防止カバー5の飛散防止部50によって受けとめられる。
【0043】
また、この洗浄工程では、制御部7は、合流部70を介して吸引口297に連結されている吸引源80を駆動する。これにより、ケース29の天板295の中央に設けられた取込口296から、飛散防止カバー5の内側の下方の底板292に設けられた吸引口297に向かって、
図1に矢印508によって示すような、上から下に向かう気流が発生する。このため、飛散防止カバー5の飛散防止部50よって受けとめられた噴霧を含む気体が、その下方の吸引口297に導かれる。また、スピンナテーブル20に保持されたウェーハ100から流下する洗浄液は、自重によって吸引口297に導かれる。そして、これらの気体および洗浄液は、合流部70に導入される。合流部70に導入された気体と洗浄液は、合流部70の気液分離機構73によって気体と洗浄液とに分離されて回収される。
【0044】
(3)搬出工程
ウェーハ100の洗浄後、制御部7は、ケース29内のスピンナテーブル20から、ウェーハ100を搬出する。具体的には、制御部7は、まず、
図6に示すように、昇降機構6を用いて、昇降板23、昇降ガイド24および飛散防止カバー5を下降させる。これにより、飛散防止カバー5における飛散防止部50の押下げ部52がクランプアーム27の作用部272を押し下げて、スピンナテーブル20のクランプ部材21が開いた状態となる。その結果、ウェーハ100が、クランプアーム27の保持部271から開放されて、仮置き部22に載置された状態となる。
【0045】
次に、制御部7は、開閉機構92によってカバー91を駆動することにより、開口部90を開放する。そして、制御部7が、開口部90を介してケース29の内部に搬送ロボット95を進入させて、この搬送ロボット95によって、スピンナテーブル20の仮置き部22上のウェーハ100を保持して、ケース29の外部に搬出する。
【0046】
以上のように、本実施形態では、スピンナ洗浄ユニット1は、スピンナテーブル20の上方のケース29の天板295に取込口296を有するとともに、スピンナテーブル20の下方のケース29の底板292に、吸引源80に連結された吸引口297を有している。このため、ウェーハ100の洗浄中に、取込口296から吸引口297へと下方向に向かう気流を形成し、この気流によって、洗浄液の噴霧を含む気体を吸引口297に導いて、ケース29から迅速に排出することができる。
【0047】
したがって、本実施形態では、発生した洗浄液の噴霧がケース29内に飛散すること、この噴霧が洗浄後のウェーハ100に付着すること、および、噴霧がケース29内に滞留することを、良好に抑制することが可能である。このため、ウェーハ100をケース29に搬入してから搬出するまでの時間、すなわち、ウェーハ100の洗浄時間を短縮することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、吸引口297が、ケース29の底板292における飛散防止カバー5の内側に配置されている。このため、飛散防止カバー5の内側で受け止められた洗浄液の噴霧を、吸引口297に向かって良好に導くことができる。
【0049】
また、本実施形態では、3つの吸引口297が、スピンナテーブル20の中心を中心とする円に沿って、底板292に等間隔に配置されている。このため、飛散防止カバー5の内側において、取込口296から吸引口297に向かう気流が、上から下に向かってほぼ直線的に流れる。したがって、この気流に乗った噴霧が乱流となることを良好に抑制することができるので、噴霧がケース29内に溜まることを、より良好に防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、吸引口297から排出された洗浄液を含む流体を、合流部70の気液分離機構73によって気体と洗浄液とに分離して回収している。したがって、洗浄液として薬液を用いる場合でも、洗浄液がスピンナ洗浄ユニット1の外部に漏出することを良好に防止することが可能である。
【0051】
なお、本実施形態では、ケース29の底板292に、3つの吸引口297が設けられている。これに関し、吸引口297の数は、1つでもよいし、3以外の複数であってもよい。
【0052】
また、本実施形態では、スピンナテーブル20が、クランプ部材21によってウェーハ100を保持するように構成されている。これに関し、スピンナテーブル20は、ウェーハ100を吸引保持することの可能な保持面によってウェーハ100を保持するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1:スピンナ洗浄ユニット、3:回転機構、5:飛散防止カバー、6:昇降機構、
7:制御部、20:スピンナテーブル、21:クランプ部材、22:仮置き部、
23:昇降板、24:昇降ガイド、26:ベース部、27:クランプアーム、
28:バネ部、29:ケース、30:回転シャフト、31:モータ、40:第1タンク、
41:第1洗浄液ノズル、50:飛散防止部、51:被固定部、52:押下げ部、
60:ロッド、61:シリンダ、70:合流部、71:吸引管、72:本体部、
73:気液分離機構、74:主通路、75:気体通路、76:液体通路、80:吸引源、
81:洗浄液回収装置、90:開口部、91:カバー、92:開閉機構、
95:搬送ロボット、100:ウェーハ、200:第2洗浄ノズル、260:軸部、
271:保持部、272:作用部、290:内周壁、291:外周壁、292:底板、
293:凹部、295:天板、296:取込口、297:吸引口、300:液路、
301:液体導入口、305:第2タンク、310:電源、311:エンコーダ