(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101819
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】洗浄ガン
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20240723BHJP
B05B 1/12 20060101ALI20240723BHJP
B05B 1/30 20060101ALI20240723BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20240723BHJP
B05B 7/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B08B3/02 G
B08B3/02 E
B05B1/12
B05B1/30
B05B12/00 Z
B05B7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005969
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 武臣
【テーマコード(参考)】
3B201
4F033
4F035
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB52
3B201BB22
3B201BB32
3B201BB62
3B201BB88
3B201BB92
4F033AA04
4F033BA01
4F033BA03
4F033CA11
4F033DA01
4F033EA01
4F033GA03
4F033GA11
4F033LA09
4F033QA09
4F033QB02X
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QD02
4F033QD14
4F033QE06
4F033QE19
4F033QF12X
4F033QF21X
4F033QF21Y
4F033QK16X
4F033QK16Y
4F033QK22X
4F033QK22Y
4F033QK26X
4F033QK26Y
4F035BA05
4F035BA11
4F035BA22
4F035BC06
(57)【要約】
【課題】加工装置に付設されて加工装置や被加工物を洗浄する洗浄ガンにおいて、気体、液体、混合流体のそれぞれを噴出することができ、なおかつ、それぞれが噴出する量を調整できる洗浄ガンを提供すること。
【解決手段】洗浄ガン1は、気体供給源18に接続された気体供給路14と、液体供給源19に接続された液体供給路15と、気体又は液体もしくは気体と液体との混合流体からなる流体を噴出する噴出口13に連なる噴出路16と、を有し、把持部12を備えた洗浄ガン本体10と、噴出口13から流体を噴出させ、流体の流量の調整をする調整部20と、を備える。洗浄ガン本体10は、噴出路16と気体供給路14又は液体供給路15もしくは気体供給路14及び液体供給路15とを選択的に連結するスイッチ機構30を有し、スイッチ機構30によって選択された流体の流量を調整部20によって調整して噴出させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置に付設されて加工装置や被加工物を洗浄する洗浄ガンであって、
気体を供給する気体供給源に接続された気体供給路と、液体を供給する液体供給源に接続された液体供給路と、該気体又は該液体もしくは該気体と該液体との混合流体からなる流体を噴出する噴出口に連なる噴出路と、を有し、把持部を備えた洗浄ガン本体と、
該噴出口から該流体を噴出させ、該流体の流量の調整をする調整部と、を備え、
該洗浄ガン本体は、該噴出路と該気体供給路又は該液体供給路もしくは該気体供給路及び該液体供給路とを選択的に連結するスイッチ機構を有し、
該スイッチ機構によって選択された該流体の流量を該調整部によって調整して噴出させることを特徴とする洗浄ガン。
【請求項2】
該調整部は、該洗浄ガン本体に対して回動可能に取り付けられた引き金であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄ガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に付設されて加工装置や被加工物を洗浄する洗浄ガンに関する。
【背景技術】
【0002】
切削装置や研削装置等の各種の加工装置は、搬送ユニットや洗浄ユニットを備えた所謂フルオートタイプと、搬送ユニットや洗浄ユニットを備えず、加工ユニットのみを備える所謂マニュアルタイプとに大別できる。通常、マニュアルタイプの加工装置では、作業者が被加工物を加工ユニットへと搬入し、加工ユニットで所定の加工を施してから加工ユニットから搬出する。マニュアルタイプの加工装置では一般的に洗浄ユニットを備えていないため、加工が施された被加工物は作業者によって独立した洗浄装置へと搬送されて、加工によって被加工物に付着した加工屑が洗浄される。
【0003】
しかし、作業者が加工終了後の被加工物を加工装置から搬出して、別に設けた洗浄装置へと搬送するのに相当時間が経過し、被加工物が乾燥してしまうことがある。被加工物に付着した加工屑は、一度乾燥してしまうと、その後に洗浄しても落とすことが難しいという問題がある。そのため、加工終了後の被加工物を加工装置から搬出してすぐに洗浄することが可能な、マニュアルタイプの加工装置に付設できる簡易的な洗浄ガンが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、第1開閉スイッチ手段を作動させると噴出口から液体が噴出され、第2開閉スイッチ手段を作動させると噴出口から気体が噴出され、第1開閉スイッチ手段および第2開閉スイッチ手段を作動させると液体と気体とからなる混合流体が噴出される。この洗浄ガンによって、マニュアルタイプの加工装置で加工された被加工物に対して、加工後すぐに簡易的に液体または混合流体によって洗浄し、その後、気体の噴出によって被加工物を乾燥させることができた。しかし、この洗浄ガンでは液体や気体、混合流体それぞれの流量を調整することができないため、液体の流量が少ない場合は被加工物を洗浄しきれないことや、液体の流量が多い場合は被加工物に噴出された後、加工装置の周囲に液体を飛び散らせてしまう等の問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工装置に付設されて加工装置や被加工物を洗浄する洗浄ガンにおいて、気体、液体、混合流体のそれぞれを噴出することができ、なおかつ、それぞれが噴出する量を調整できる洗浄ガンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の洗浄ガンは、加工装置に付設されて加工装置や被加工物を洗浄する洗浄ガンであって、気体を供給する気体供給源に接続された気体供給路と、液体を供給する液体供給源に接続された液体供給路と、該気体又は該液体もしくは該気体と該液体との混合流体からなる流体を噴出する噴出口に連なる噴出路と、を有し、把持部を備えた洗浄ガン本体と、該噴出口から該流体を噴出させ、該流体の流量の調整をする調整部と、を備え、該洗浄ガン本体は、該噴出路と該気体供給路又は該液体供給路もしくは該気体供給路及び該液体供給路とを選択的に連結するスイッチ機構を有し、該スイッチ機構によって選択された該流体の流量を該調整部によって調整して噴出させることを特徴とする。
【0008】
該調整部は、該洗浄ガン本体に対して回動可能に取り付けられた引き金であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、スイッチ機構により、噴出路と、気体供給路又は液体供給路もしくは気体供給路及び液体供給路とを選択的に連結することで、噴出口から噴出する流体の種類を、気体又は液体もしくは混合流体の中から選択でき、なおかつ、調整部により、噴出口から流体を噴出させるか否か、及び、噴出口から噴出させる流体の量を調整できるため、加工装置に付設されて加工装置や被加工物を洗浄する洗浄ガンにおいて、気体、液体、混合流体のそれぞれを噴出することができ、なおかつ、それぞれが噴出する量を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る洗浄ガンの外観を示す側面概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の洗浄ガンの構成例を示す部分断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の洗浄ガンの切替連結部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の洗浄ガンの切替連結部を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図1の洗浄ガンの切替連結部を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図1の洗浄ガンの動作処理の第1例を説明する図である。
【
図7】
図7は、
図1の洗浄ガンの動作処理の第2例を説明する図である。
【
図8】
図8は、
図1の洗浄ガンの動作処理の第3例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る洗浄ガン1を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る洗浄ガン1の外観を示す側面概略図である。
図2は、
図1の洗浄ガン1の構成例を示す部分断面図である。実施形態に係る洗浄ガン1は、加工装置に付設されて加工装置や被加工物を洗浄する装置であり、
図1に示すように、洗浄ガン本体10と、調整部20と、を備える。
【0013】
洗浄ガン本体10は、
図1及び
図2に示すように、本体部11と、把持部12と、を備える。本体部11は、洗浄ガン本体10の銃身部に相当する部分であり、一方向に延びて形成されている。本体部11は、先端に、洗浄ガン本体10の銃口に相当し、流体を噴出する噴出口13が形成されており、基端部に、洗浄ガン1を使用する作業者が把持する把持部12が設けられている。洗浄ガン本体10は、本体部11と把持部12とが一体に形成されている。ここで、洗浄ガン本体10の本体部11の噴出口13から噴出する流体は、気体41(
図3及び
図6参照)又は液体42(
図4及び
図7参照)もしくは気体41と液体42との混合流体43(
図5及び
図8参照)からなる。
【0014】
洗浄ガン本体10は、
図2に示すように、気体供給路14と、液体供給路15と、噴出路16と、を有する。気体供給路14は、洗浄ガン本体10の把持部12の内部に設けられており、一端14-1が気体41を供給する気体供給源18と接続及び連通され、他端14-2がスイッチ機構30の切替連結部31の他方側と接続されている。液体供給路15は、洗浄ガン本体10の把持部12の内部に設けられており、一端15-1が液体42を供給する液体供給源19と接続及び連通され、他端15-2がスイッチ機構30の切替連結部31の他方側と接続されている。噴出路16は、洗浄ガン本体10の本体部11の内部から把持部12の内部にわたって設けられており、一端16-1が洗浄ガン本体10の噴出口13に連なっており、他端16-2がスイッチ機構30の切替連結部31の一方側と接続されている。
【0015】
気体供給路14には、逆止弁14-3が設けられている。逆止弁14-3は、気体供給路14において、流体が一端14-1側から他端14-2側に向かって流れることを許容し、流体が他端14-2側から一端14-1側に向かって流れる逆流を防止する。液体供給路15には、逆止弁15-3が設けられている。逆止弁15-3は、液体供給路15において、流体が一端15-1側から他端15-2側に向かって流れることを許容し、流体が他端15-2側から一端15-1側に向かって流れる逆流を防止する。このため、特に、噴出路16と気体供給路14及び液体供給路15とを連結する際に、逆止弁14-3が、液体供給路15から供給された液体42が気体供給路14を逆流することを防止でき、逆止弁15-3が、気体供給路14から供給された気体41が液体供給路15を逆流することを防止できる。なお、逆止弁14-3及び逆止弁15-3は、
図2、
図6、
図7及び
図8では、洗浄ガン本体10の外側に描かれているが、本発明ではこれに限定されず、洗浄ガン本体10内に設けられていても、洗浄ガン本体10外に設けられていてもよい。
【0016】
共に切替連結部31の他方側と接続されている気体供給路14の他端14-2と液体供給路15の他端15-2とは、後述するスイッチ機構30の切替連結部31の移動方向に沿って配列されている。気体供給路14の他端14-2と液体供給路15の他端15-2との間には、スイッチ機構30の切替連結部31の移動方向に沿って所定の間隔51が設けられている。
【0017】
気体供給源18及び液体供給源19は、洗浄ガン本体10の外部に設けられており、それぞれ、気体供給路14の一端14-1及び液体供給路15の一端15-1と接続されている。気体供給源18及び液体供給源19は、例えば、洗浄ガン1が付設される加工装置に使用されているものを使用することができる。気体供給源18が供給する気体41は、本実施形態では、例えば、加圧エア等である。液体供給源19が供給する液体42は、本実施形態では、例えば、純水等である。
【0018】
洗浄ガン本体10は、
図1及び
図2に示すように、スイッチ機構30を有する。スイッチ機構30は、切替連結部31と、スイッチ32と、付勢部33と、を有する。切替連結部31は、
図2に示すように、洗浄ガン本体10の把持部12の内部に設けられている。
【0019】
スイッチ32は、
図1に示すように、洗浄ガン本体10の把持部12の外周に設けられており、作業者が操作することにより、切替連結部31を所定の移動方向に、所定の移動範囲内で移動させる。切替連結部31の所定の移動方向は、本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、本体部11の延びる方向に概ね直交する方向であり、把持部12の延びる方向に概ね沿った方向であり、
図1及び
図2の紙面の上下方向である。本明細書では、以下において、切替連結部31の所定の移動方向のうち、本体部11に近づく方向を上方向、本体部11から遠ざかる方向を下方向と称する。
【0020】
付勢部33は、洗浄ガン本体10の把持部12の内部に設けられており、切替連結部31を所定の移動範囲内の中央である中央位置に付勢する。付勢部33は、本実施形態では、切替連結部31の移動方向の両端に設けられた一対のバネであり、作業者がスイッチ32の操作を解除した際に切替連結部31を所定の移動範囲内の中央位置に復帰させるスプリングリターンとして機能する。洗浄ガン1は、作業者がスイッチ32を操作することにより、切替連結部31を、付勢部33により付勢された中央位置に対して、所定の移動方向に沿って、最大で所定の間隔51の0.5倍(半分)の移動量52(
図1参照)だけ上方向もしくは下方向に移動させることができる。また、洗浄ガン1は、作業者がスイッチ32の操作を解除することにより、切替連結部31は、付勢部33により付勢された中央位置に自動で戻る。
【0021】
図3、
図4及び
図5は、いずれも、
図1の洗浄ガン1の切替連結部31を示す断面図である。切替連結部31は、
図3、
図4及び
図5に示すように、噴出路16の他端16-2が接続されている一方側に、切替連結部31の移動方向に沿って配列されて、本体部11に近い方(
図3、
図4及び
図5の紙面の上側)から順に、3箇所の流路接続部34,35,36が形成されている。切替連結部31は、
図3、
図4及び
図5に示すように、気体供給路14の他端14-2及び液体供給路15の他端15-2が接続されている他方側に、切替連結部31の移動方向に沿って配列されて、本体部11に近い方から順に、3箇所の流路接続部37,38,39が形成されている。切替連結部31の6箇所全ての流路接続部34,35,36,37,38,39は、
図3、
図4及び
図5に示すように、切替連結部31の一方側と他方側との間の中央部で互いに連結されている。
【0022】
一方側に形成された3箇所の流路接続部34,35,36は、
図3、
図4及び
図5に示すように、切替連結部31の移動方向に沿って、間隔51の0.5倍で移動量52と等しい間隔53で等間隔に配列されている。すなわち、流路接続部34と流路接続部35との間、及び、流路接続部35と流路接続部36との間には、それぞれ切替連結部31の移動方向に沿って間隔53が設けられている。
【0023】
他方側に形成された3箇所の流路接続部37,38,39は、
図3、
図4及び
図5に示すように、切替連結部31の移動方向に沿って配列されている。流路接続部37と流路接続部38との間には、切替連結部31の移動方向に沿って、間隔51と等しく、移動量52及び間隔53の2倍の間隔54が設けられている。流路接続部38と流路接続部39との間には、切替連結部31の移動方向に沿って、間隔51の0.5倍で移動量52及び間隔53と等しい間隔55が設けられている。
【0024】
スイッチ機構30は、作業者がスイッチ32の操作を解除している際には、
図3に示すように、噴出路16の他端16-2と流路接続部35とを接続及び連通するとともに、気体供給路14の他端14-2と流路接続部39とを接続及び連通することにより、噴出路16と気体供給路14とを連結する。スイッチ機構30は、作業者がスイッチ32を移動量52だけ上方向に操作して切替連結部31を移動量52だけ上方向に移動させている際には、
図4に示すように、噴出路16の他端16-2と流路接続部36とを接続及び連通するとともに、液体供給路15の他端15-2と流路接続部38とを接続及び連通することにより、噴出路16と液体供給路15とを連結する。
【0025】
スイッチ機構30は、作業者がスイッチ32を移動量52だけ下方向に操作して切替連結部31を移動量52だけ下方向に移動させている際には、
図5に示すように、噴出路16の他端16-2と流路接続部34とを接続及び連通するとともに、気体供給路14の他端14-2と流路接続部38とを接続及び連通し、なおかつ、液体供給路15の他端15-2と流路接続部37とを接続及び連通することにより、噴出路16と気体供給路14及び液体供給路15とを連結する。
【0026】
スイッチ機構30は、このように、スイッチ32を操作して切替連結部31の位置を変更することにより、噴出路16と、気体供給路14又は液体供給路15もしくは気体供給路14及び液体供給路15とを選択的に連結できる。なお、スイッチ機構30の切替連結部31は、気体供給路14の他端14-2及び液体供給路15の他端15-2は、3箇所の流路接続部34,35,36のいずれとも切替連結部31の移動方向における位置が合わなかった場合には封止される構造となっており、噴出路16の他端16-2は、3箇所の流路接続部37,38,39のいずれとも切替連結部31の移動方向における位置が合わなかった場合には封止される構造となっている。このため、スイッチ機構30は、作業者がスイッチ32を中途半端に移動量52に満たない移動量だけ操作した場合には、噴出路16と、気体供給路14又は液体供給路15もしくは気体供給路14及び液体供給路15とを連結しないで、気体供給路14、液体供給路15及び噴出路16をいずれも封止する。
【0027】
調整部20は、
図1及び
図2に示すように、ガイド穴21と、スライドバー22と、付勢部23と、引き金24と、回動軸25と、を有する。ガイド穴21は、洗浄ガン本体10の把持部12の内部に、噴出路16を横切るように、本体部11の延びる方向に沿って筒状に形成されている。スライドバー22は、棒状に形成されており、ガイド穴21に隙間なく挿入されて、ガイド穴21にさらに深く挿入する挿入方向、及び、ガイド穴21から抜き出す抜出方向に、スライド可能に設けられている。スライドバー22は、一端22-1がガイド穴21内で付勢部23に接触して設けられており、付勢部23により抜出方向に付勢されており、他端22-2がガイド穴21から突出して引き金24の中央部24-2に接触して設けられており、引き金24により付勢部23による付勢力に抵抗する挿入方向に力を付与することが可能である。
【0028】
スライドバー22は、引き金24により挿入方向に力が付与されていない際に噴出路16よりも抜出方向に位置付けられ、なおかつ、引き金24により挿入方向に力が付与されてガイド穴21にさらに深く挿入された際に噴出路16を連通させることが可能な位置に、噴出路16に沿う方向に貫通し、噴出路16よりも幅が広い貫通孔26が形成されている。スライドバー22は、引き金24により挿入方向に力が付与されていない際の
図2に示す位置を基準位置としたときに、基準位置からの挿入深さが第1長さ61に到達するまでは、貫通孔26が噴出路16を連通させないため、噴出路16が貫通孔26を通じて流すことが可能な流体の流量は0となる。スライドバー22は、挿入深さが第1長さ61に到達すると、貫通孔26が噴出路16を連通させ始めるため、噴出路16が貫通孔26を通じて流すことが可能な流体の流量は0より大きくなる。スライドバー22は、挿入深さが第1長さ61以上であり、第1長さ61より噴出路16の内径分だけ長い第2長さ62に到達するまでは、挿入深さが深くなるに従って貫通孔26によって開口する噴出路16の開口面積が大きくなることにより、噴出路16が貫通孔26を通じて流すことが可能な流体の流量が大きくなる。スライドバー22は、挿入深さが第2長さ62以上では、噴出路16が貫通孔26を通じて流すことが可能な流体の流量は最大となる。ここで、噴出路16が貫通孔26を通じて流すことが可能な流体の流量は、例えば、所定の単位時間あたりに流すことが可能な流体の体積で表される。
【0029】
付勢部23は、ガイド穴21の底部に、スライドバー22の一端22-1に接触して設けられ、スライドバー22の他端22-2がガイド穴21から突出して、力が付与されていない引き金24の中央部24-2に接触した基準位置に付勢する。付勢部23は、本実施形態では、例えばバネである。
【0030】
引き金24は、概ね一方向に延びて形成されており、当該一方向が概ね把持部12の延びる方向に向けられている。回動軸25は、引き金24の一端24-1に、洗浄ガン本体10の本体部11の延びる方向及び把持部12の延びる方向に対して直交する方向に沿って設けられている。引き金24は、回動軸25によって、洗浄ガン本体10の本体部11の把持部12が設けられた側とは反対側の位置に、洗浄ガン本体10に対して回動軸25回りに回動可能に取り付けられている。
【0031】
引き金24は、中央部24-2が、スライドバー22の他端22-2と接触して設けられており、把持部12に近い他端部24-3が、把持部12を把持する作業者によって操作されて、把持部12に接近する方向に力が付与される。引き金24は、作業者によって操作されて、他端部24-3が把持部12に接近する方向に力が付与されることにより、回動軸25回りに回動し、これにより中央部24-2がスライドバー22の他端22-2に対し挿入方向に力を付与することにより、スライドバー22を挿入方向に押し込む。また、引き金24は、作業者が操作を解除することにより、スライドバー22を、付勢部23により付勢された基準位置に自動で戻る。
【0032】
調整部20は、このように、作業者が引き金24を操作する際に引き金24の他端部24-3に付与する力を調整することにより、スライドバー22の挿入深さを調整して、噴出路16が貫通孔26を通じて流すことが可能な流体の流量を調整することができる。調整部20は、これにより、噴出口13から流体を噴出させるか否か、及び、噴出口13から噴出させる流体の量を調整できる。
【0033】
以上のような構成を有する実施形態に係る洗浄ガン1の動作処理の一例を説明する。
図6は、
図1の洗浄ガン1の動作処理の第1例を説明する図である。
図7は、
図1の洗浄ガン1の動作処理の第2例を説明する図である。
図8は、
図1の洗浄ガン1の動作処理の第3例を説明する図である。
【0034】
図6に示す第1例は、作業者がスイッチ32の操作を解除しているとともに、引き金24を深く操作している例である。第1例では、作業者がスイッチ32の操作を解除しているので、
図3及び
図6に示すように、切替連結部31が中央位置に位置付けられるため、スイッチ機構30により噴出路16と気体供給路14とが連結されて、気体供給源18から供給される気体41が、気体供給路14及び切替連結部31を通じて噴出路16に供給される。また、第1例では、
図6に示すように、作業者が引き金24を深く操作しているので、スライドバー22が深くまで挿入されて、噴出路16が貫通孔26を通じて流すことが可能な流体の流量が最大となっている。これにより、第1例では、洗浄ガン1は、
図6に示すように、気体供給源18から供給される気体41を、気体供給路14、切替連結部31及び噴出路16を通じて、噴出口13から噴出する。
【0035】
図7に示す第2例は、作業者がスイッチ32を移動量52だけ上方向に操作しているとともに、引き金24を深く操作している例である。第2例では、作業者がスイッチ32を移動量52だけ上方向に操作しているので、
図4及び
図7に示すように、切替連結部31が中央位置よりも移動量52だけ上方向に位置付けられるため、スイッチ機構30により噴出路16と液体供給路15とが連結されて、液体供給源19から供給される液体42が、液体供給路15及び切替連結部31を通じて噴出路16に供給される。また、第2例では、
図7に示すように、作業者が引き金24を深く操作しているので、スライドバー22が深くまで挿入されて、噴出路16が貫通孔26を通じて流すことが可能な流体の流量が最大となっている。これにより、第2例では、洗浄ガン1は、
図7に示すように、液体供給源19から供給される液体42を、液体供給路15、切替連結部31及び噴出路16を通じて、噴出口13から噴出する。
【0036】
図8に示す第3例は、作業者がスイッチ32を移動量52だけ下方向に操作しているとともに、引き金24を深く操作している例である。第3例では、作業者がスイッチ32を移動量52だけ下方向に操作しているので、
図5及び
図8に示すように、切替連結部31が中央位置よりも移動量52だけ下方向に位置付けられるため、スイッチ機構30により噴出路16と気体供給路14及び液体供給路15とが連結される。このため、第3例では、気体供給源18から気体供給路14を通じて供給される気体41及び液体供給源19から液体供給路15を通じて供給される液体42が、切替連結部31において混合されて混合流体43となって、噴出路16に供給される。また、第3例では、
図8に示すように、作業者が引き金24を深く操作しているので、スライドバー22が深くまで挿入されて、噴出路16が貫通孔26を通じて流すことが可能な流体の流量が最大となっている。これにより、第3例では、洗浄ガン1は、
図8に示すように、気体41と液体42との混合流体43を、噴出路16を通じて、噴出口13から噴出する。
【0037】
以上のような構成を有する実施形態に係る洗浄ガン1は、スイッチ機構30により、噴出路16と、気体供給路14又は液体供給路15もしくは気体供給路14及び液体供給路15とを選択的に連結することで、噴出口13から噴出する流体の種類を、気体41又は液体42もしくは混合流体43の中から選択でき、なおかつ、調整部20により、噴出口13から流体を噴出させるか否か、及び、噴出口13から噴出させる流体の量を調整できる。このため、実施形態に係る洗浄ガン1は、加工装置に付設されて加工装置や被加工物を洗浄する洗浄ガンにおいて、気体41、液体42、混合流体43のそれぞれを噴出することができ、なおかつ、それぞれが噴出する量を調整できるという作用効果を奏する。
【0038】
また、実施形態に係る洗浄ガン1は、調整部20が、洗浄ガン本体10に対して回動可能に取り付けられた引き金24であるので、作業者が引き金24の引き具合で噴出口13から噴出させる流体の量を感覚的に調整できる。
【0039】
また、実施形態に係る洗浄ガン1は、スイッチ機構30において、付勢部33が切替連結部31を、噴出路16と気体供給路14とを連結して、気体供給源18から供給される気体41が噴出路16に供給される位置に付勢する。このため、実施形態に係る洗浄ガン1は、作業者の操作ミス等に起因して、液体42や混合流体43が切替連結部31に漏れてしまう恐れや、液体42や混合流体43が噴出口13から噴出されてしまう恐れを抑制できる。
【0040】
〔変形例〕
本発明の実施形態の変形例に係る洗浄ガン1を説明する。変形例に係る洗浄ガン1は、実施形態において、スイッチ機構30を変更したものであり、その他の構成は実施形態と同様である。変形例に係る洗浄ガン1のスイッチ機構30は、付勢部33に代えて、スイッチ32を中央位置、並びに、中央位置から移動量52だけ上方向及び下方向に操作された各位置に位置決めする位置決め機構が設けられたものである。この位置決め機構は、例えば、位置決めされる各位置にスイッチ32が嵌る凹凸構造等である。
【0041】
変形例に係る洗浄ガン1のスイッチ機構30は、この位置決め機構により、スイッチ32を中央位置、並びに、中央位置から移動量52だけ上方向及び下方向に操作された各位置に位置決めすることで、切替連結部31を中央位置、並びに、中央位置から移動量52だけ上方向及び下方向に操作された各位置に位置決めすることができる。このため、変形例に係る洗浄ガン1は、スイッチ機構30の位置決め機構により、切替連結部31を、噴出路16と、気体供給路14又は液体供給路15もしくは気体供給路14及び液体供給路15とをそれぞれ確実に連結する各位置に位置決めすることで、作業者が好適に噴出する流体の種類を選択できるとともに、選択した流体を安定して噴出口13から噴出できる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 洗浄ガン
10 洗浄ガン本体
12 把持部
13 噴出口
14 気体供給路
15 液体供給路
16 噴出路
18 気体供給源
19 液体供給源
20 調整部
24 引き金
30 スイッチ機構
31 切替連結部
41 気体
42 液体
43 混合流体