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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101849
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H01L21/78 F
H01L21/78 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006011
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】對馬 健夫
(72)【発明者】
【氏名】岩城 智
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA04
5F063AA48
5F063BA45
5F063DE12
5F063DE23
5F063DE33
(57)【要約】
【課題】 ウェハの欠陥を安定的に検出することができ、チップの加工品質を向上させることが可能な測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】 測定装置は、ワークの表面に形成された加工溝の撮像画像と、加工溝の周辺の回路パターン領域の少なくとも一部を含む周辺領域の撮像画像と、ワークの種類を示すワーク情報と、により判定された加工溝の良否を示す良否データがラベルされる教師データに基づいて、加工溝の加工結果の良否の判定を行う判定部の教師あり学習を行う機械学習部と、加工対象のワークに加工溝を加工した後の表面の加工溝及び加工溝の周辺の回路パターン領域の少なくとも一部を含む周辺領域の撮像画像と、加工対象のワークのワーク情報と、の入力を受け付ける入力部と、入力部により受け付けた撮像画像及びワーク情報に基づいて、判定部による良否判定の結果を出力する出力部とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表面に形成された加工溝の撮像画像と、前記加工溝の周辺の回路パターン領域の少なくとも一部を含む周辺領域の撮像画像と、前記ワークの種類を示すワーク情報と、により判定された前記加工溝の良否を示す良否データがラベルされる教師データに基づいて、前記加工溝の加工結果の良否の判定を行う判定部の教師あり学習を行う機械学習部と、
加工対象のワークに加工溝を加工した後の表面の前記加工溝及び前記加工溝の周辺の回路パターン領域の少なくとも一部を含む周辺領域の撮像画像と、前記加工対象のワークのワーク情報と、の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により受け付けた前記撮像画像及び前記ワーク情報に基づいて、前記判定部による良否判定の結果を出力する出力部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記入力部により受け付けた前記撮像画像のうち前記加工溝の撮像画像に基づいて前記加工溝の良否を判定し、前記加工溝の良否の判定結果が不良の場合に、前記入力部により受け付けた前記撮像画像のうち前記周辺領域の撮像画像に基づいて、前記加工溝の加工の良否を判定する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記機械学習部は、前記加工溝の加工後洗浄前における前記加工溝及び前記周辺領域の撮像画像と、前記加工溝の加工後洗浄後における前記加工溝及び前記周辺領域の撮像画像を入力とし、前記加工溝の良否判定の結果を示す良否データをラベルとする教師データにより、前記加工溝の加工結果の良否を予測して判定を行う判定部の教師あり学習を行う、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記教師あり学習に使用する前記加工溝の撮像画像と、前記周辺領域の撮像画像は、前記ワークの加工中の撮像画像である、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記ワークの加工を行う加工装置とは独立した外部ユニットである、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項6】
ワークの表面に形成された加工溝の撮像画像と、前記加工溝の周辺の回路パターン領域の少なくとも一部を含む周辺領域の撮像画像と、前記ワークの種類を示すワーク情報と、により判定された前記加工溝の良否を示す良否データがラベルされる教師データに基づいて、前記加工溝の加工結果の良否の判定を行う判定部の教師あり学習を行うステップと、
加工対象のワークに加工溝を加工した後の表面の前記加工溝及び前記加工溝の周辺の回路パターン領域の少なくとも一部を含む周辺領域の撮像画像と、前記加工対象のワークのワーク情報と、の入力を受け付けるステップと、
前記入力を受け付けた前記撮像画像及び前記ワーク情報に基づいて、前記判定部による良否判定の結果を出力するステップと、
を備える測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定装置及び測定方法に係り、特に半導体装置又は電子部品が形成されたウェハを個々のチップに分割するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置又は電子部品のデバイスパターンが形成されたウェハを個々のチップに分割するダイシング装置としては、ブレードダイサとレーザダイサがある。これらのダイシング装置により、ウェハに対してダイシング加工を行う際には、切削ラインの品質及びダイシング加工溝の加工状況(例えば、位置精度及び欠陥の有無等)を確認するために、加工領域の測定(カーフチェック)が行われる。カーフチェックでは、例えば、ダイシング加工時の画像データ(例えば、濃淡画像等)を用いて、加工溝の位置の検出及び欠陥の検出等が行われる。
【0003】
画像データを用いたカーフチェックでは、例えば、ストリートの視認性の変化、加工後の品質不良による形状変化又は加工時の用力(例えば、水等)による視認性の変化等により検出結果が不安定になる場合がある。カーフチェックのための画像処理アルゴリズムを適切に動作させ、検出結果を安定させるためには、カーフチェックの実施の都度、習熟度の高いエンジニアが画像処理アルゴリズムの調整を実施する必要があった。このため、カーフチェックによる検出結果は、画像処理アルゴリズムの調整を行うエンジニアの習熟度という人的要因の影響を受けることになる。そして、このような人的要因も、カーフチェックによる検出結果の不安定要因となり得る。
【0004】
上記のような不安定要因をできるだけ除去して、カーフチェックによる検出結果を安定させるための手法としては、機械学習を用いるものが考えられる。特許文献1には、加工溝及び加工溝の近傍に存在する膜剥がれ及び汚れを検出して、加工品質が不良であることを示すラベリングを行う例が記載されている(特に、特許文献1の段落[0033]参照)。特許文献1に記載の加工装置は、加工溝を撮像した画像を機械学習部に入力し、入力した画像から加工溝の「良」及び「不良」を判別するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-016154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際には、加工溝及び加工溝の近傍から欠陥が検出されなかった場合であっても、加工溝及び加工溝の近傍以外の領域に不具合が発生することがある。加工溝及び加工溝の近傍以外の領域に発生した不具合もチップの加工品質に影響を与え得る。
【0007】
加工溝及び加工溝の近傍以外の領域に発生した不具合を検出するためには、例えば、ウェハの表面と裏面を含むすべての領域について機械学習を行うことが考えられる。しかしながら、ウェハの表面と裏面を含むすべての領域について、教師データを作成して機械学習を行うことは、多大な処理時間を要するため困難である。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ウェハの欠陥を安定的に検出することができ、チップの加工品質を向上させることが可能な測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る測定装置は、ワークの表面に形成された加工溝の撮像画像と、加工溝の周辺の回路パターン領域の少なくとも一部を含む周辺領域の撮像画像と、ワークの種類を示すワーク情報と、により判定された加工溝の良否を示す良否データがラベルされる教師データに基づいて、加工溝の加工結果の良否の判定を行う判定部の教師あり学習を行う機械学習部と、加工対象のワークに加工溝を加工した後の表面の加工溝及び加工溝の周辺の回路パターン領域の少なくとも一部を含む周辺領域の撮像画像と、加工対象のワークのワーク情報と、の入力を受け付ける入力部と、入力部により受け付けた撮像画像及びワーク情報に基づいて、判定部による良否判定の結果を出力する出力部とを備える。
【0010】
本発明の第2の態様に係る測定装置は、第1の態様において、判定部は、入力部により受け付けた撮像画像のうち加工溝の撮像画像に基づいて加工溝の良否を判定し、加工溝の良否の判定結果が不良の場合に、入力部により受け付けた撮像画像のうち周辺領域の撮像画像に基づいて、加工溝の加工の良否を判定する。
【0011】
本発明の第3の態様に係る測定装置は、第1又は第2の態様において、機械学習部は、加工溝の加工後洗浄前における加工溝及び周辺領域の撮像画像と、加工溝の加工後洗浄後における加工溝及び周辺領域の撮像画像を入力とし、加工溝の良否判定の結果を示す良否データをラベルとする教師データにより、加工溝の加工結果の良否を予測して判定を行う判定部の教師あり学習を行う。
【0012】
本発明の第4の態様に係る測定装置は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、教師あり学習に使用する加工溝の撮像画像と、周辺領域の撮像画像は、ワークの加工中の撮像画像である。
【0013】
本発明の第5の態様に係る測定装置は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、ワークの加工を行う加工装置とは独立した外部ユニットである。
【0014】
本発明の第6の態様に係る測定方法は、ワークの表面に形成された加工溝の撮像画像と、加工溝の周辺の回路パターン領域の少なくとも一部を含む周辺領域の撮像画像と、ワークの種類を示すワーク情報と、により判定された加工溝の良否を示す良否データがラベルされる教師データに基づいて、加工溝の加工結果の良否の判定を行う判定部の教師あり学習を行うステップと、加工対象のワークに加工溝を加工した後の表面の加工溝及び加工溝の周辺の回路パターン領域の少なくとも一部を含む周辺領域の撮像画像と、加工対象のワークのワーク情報と、の入力を受け付けるステップと、入力を受け付けた撮像画像及びワーク情報に基づいて、判定部による良否判定の結果を出力するステップとを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、加工溝と加工溝の近傍だけではなく、例えば、ストリートに沿う回路パターン領域の一部を含む周辺領域を機械学習の対象とするので、周辺領域に生じた不具合を発見することが可能になる。これにより、ウェハの欠陥を安定的に検出することができ、チップの加工品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係るカーフチェックの概要を示すブロック図である。
図2図2は、ウェハの加工例を示す平面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係る測定システムを示すブロック図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る測定装置により判定を行う手順を示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の第1の実施形態に係る測定装置における学習又は追加学習の手順を示すフローチャートである。
図6図6は、複数の加工装置に対して1台の測定装置を接続する例を示すブロック図である。
図7図7は、欠陥とワーク情報と欠陥に対する対処例の関係を示すテーブルである。
図8図8は、欠陥の種類を示す平面図である。
図9図9は、欠陥の種類を示す平面図である。
図10図10は、欠陥の種類を示す平面図である。
図11図11は、欠陥の種類を示す平面図及び断面図である。
図12図12は、欠陥の種類を示す平面図である。
図13図13は、本発明の第2の実施形態に係るカーフチェックの概要を示すブロック図である。
図14図14は、本発明の第2の実施形態に係る測定装置における学習又は追加学習の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に従って測定装置及び測定方法の実施の形態について説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るカーフチェックの概要を示すブロック図であり、図2は、カーフの例を示す平面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る測定装置10は、加工対象のワーク(例えば、半導体ウェハ)Wに対する加工溝の加工結果を画像処理により認識するための画像処理システムとは独立した機械学習システムを構成する装置である。
【0020】
本実施形態に係る測定装置10は、入力部14を介して、撮像画像D10と、ワークWに関するワーク情報D20の入力を加工装置100(図3参照)から受け付ける。ここで、撮像画像D10は、ワークWに形成された加工溝C1及び加工溝C1の近傍に加えて、ストリートST及び回路パターン領域DRの一部の周辺領域A1を含む画像である。ここで、周辺領域A1の範囲は、例えば、ワークWの種類又はデバイスパターンの材質、加工方法(ブレードダイシングであるか、レーザダイシングであるか)等に応じて、後述の周辺領域A1に生じ得る欠陥(図7参照)が生じやすい範囲として実験的かつ統計的に決定されるようにしてもよい。
【0021】
なお、撮像画像D10は、撮像画像D10に加えて、撮像位置又は視野範囲を示す座標情報を含んでいてもよい。
【0022】
また、ワーク情報D20は、例えば、ワークWの材質(例えば、シリコンウェハ、基板又は透過性ワーク(ガラス等))に関する情報を含んでいる。なお、ワーク情報D20は、ウェハの形状又はサイズに関する情報を含んでいてもよい。
【0023】
測定装置10は、機械学習部18において学習済みの判定部iを用いて、加工溝及び加工溝の近傍領域、ストリートST及び回路パターン領域DRの一部の領域A1の加工結果の良否判定を行う。さらに、測定装置10は、良否判定の結果が「不良」の場合に、学習済みの判定部iを用いて、不良種別及び原因のラベリングを行う。
【0024】
良否判定及びラベリングの結果は、出力部16を介して、測定装置10のオペレータが確認可能な形式で出力(例えば、モニタ出力)される。また、良否判定及びラベリングの結果は、出力部16を介して、撮像画像D10の入力元の加工装置100(図3参照)に出力されるようにしてもよく、この場合、出力内容の不良種別・原因によって、その後の処理内容(例えば、ダイシング加工の加工条件等)を変更するようにしてもよい。この処理内容の変更は、出力内容の不良種別・原因に基づいて、加工装置100の装置制御部110により自動的に行われるようにしてもよいし、加工装置100のオペレータが確認可能な形式で出力(例えば、モニタ出力)して、加工装置100のオペレータに処理内容の変更を促すようにしてもよい。
【0025】
具体的には、例えば、不良種別・原因がブレード状態不適のためのチッピング等の場合には、ブレードのドレス、摩耗量によってブレード交換、又は加工速度の調整や加工ライン数に応じて段階的に速度を変更(オーバーライド、変速切削)する。また、不良種別・原因がウェハ上の汚れの場合には、洗浄条件の強化、加工部の洗浄機能の起動又は加工部の洗浄機能の条件変更を行う。また、不良種別・原因が水残りによる検査不良の場合には、水を飛ばして再検査、又は加工中の水除去ブロー時間調整を行う。
【0026】
本実施形態に係る測定装置10によれば、機械学習済みの判定部iを用いて、加工溝の加工結果の良否判定と不良種別及び原因のラベリングを行うことができる。さらに、ラベリングの結果を加工装置100に出力することにより、ワークWの加工条件を改善することができる。
【0027】
測定装置10における機械学習は、以下のように行われる。上記の通り、測定装置10は、加工装置100において加工溝C1の加工結果を画像処理により認識するための画像処理システムとは独立した機械学習システムを構成する装置である。測定装置10における機械学習では、加工装置100から収集して蓄積した教師データD1を用いて機械学習(教師あり学習(Supervised Learning))を行う。ここで、教師データD1は、加工溝C1及び加工溝C1の近傍の撮像画像D12又は回路パターン領域DRの表面状態の撮像画像D14と、ワーク情報D20を入力とし、画像処理システムを用いた良否判定の結果を示す良否データと、不良種別及び原因のラベリングの結果を示すラベリングデータを含む正解データD30をラベル(出力)とするデータである。機械学習部18では、加工装置100から収集して蓄積した教師データD1を用いて、判定部iの機械学習を行う。
【0028】
本実施形態によれば、ダイシング加工中に得られたデータを教師データD1として蓄積して使用するので、機械学習プロセスの効率化を実現することができる。
【0029】
なお、測定装置10は、加工装置100の装置制御部110(図3参照)等を構成するコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等)とは別のコンピュータ(外部ユニット)として設けられていてもよいし、同じコンピュータの別のプロセス・スレッドとして設けられていてもよい。また、測定装置10は、ネットワーク又はクラウド上のコンピュータとして設けられていてもよく、この場合、複数の異なる加工装置100又は複数の異なる工場に設置された加工装置100から機械学習のためのデータの蓄積を可能としてもよい。
【0030】
図3は、測定装置10を含む測定システム1を示すブロック図である。なお、以下では、説明の簡略化のため、測定装置10と加工装置100が一対一対応の例について説明する。
【0031】
図3に示すように、本実施形態に係る測定システム1は、測定装置10及び加工装置100を含んでいる。
【0032】
加工装置100は、加工ユニット102、XYZθ軸104、モニタ106及び顕微鏡108並びに装置制御部110を含んでいる。
【0033】
加工ユニット102は、ワークWの表面に加工溝C1を形成するための装置である。加工装置100がブレードダイサの場合には、加工ユニット102はブレード及びスピンドルを含んでいる。一方、加工装置100がレーザダイサの場合には、加工ユニット102はレーザ照射装置(例えば、レーザ光源及び集光レンズを含む。)を含んでいる。
【0034】
XYZθ軸104は、加工ユニット102と、ワークWが吸着保持されるテーブルをXYZ軸に沿って相対的に移動させるための直線運動機構(例えば、ボールねじ又はラック・アンド・ピニオン等)、加工ユニット102とテーブルとをZ軸周りに相対回転させるための回転機構(例えば、モータ等)を含んでいる。XYZθ軸104を用いて、加工ユニット102とワークWとを相対移動及び相対回転させることにより、ワークWの表面のストリートSTに沿って加工溝C1を形成することができる。ここで、相対移動及び相対回転とは、それぞれ、加工ユニット102とテーブルの少なくとも一方を他方に対して移動及び回転させることをいう。
【0035】
モニタ106は、例えば、液晶モニタであり、加工装置100による測定結果、加工装置100の操作のためのGUI(Graphical User Interface)、測定装置10からの出力(例えば、良否判定及びラベリングの結果、処理内容の変更指示等)を表示する。
【0036】
顕微鏡108は、加工ユニット102によって加工されたワークWの表面の画像を拡大して観察するための装置である。顕微鏡108は、ワークWの表面の画像を撮像するためのカメラ(例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ)を含んでいる。
【0037】
装置制御部110は、加工装置100の各部を制御するための装置であり、各種の演算を行うプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit))及びメモリ(例えば、RAM(Random Access Memory)等)を含んでいる。装置制御部110は、オペレータの操作等にしたがって、XYZθ軸104の軸制御、ダイシング加工のシーケンス制御、顕微鏡108により撮像された撮像画像D12及びD14(図1参照)の画像処理及びモニタ106へのGUI出力等を行う。
【0038】
装置制御部110は、撮像画像D12及びD14の良否判定及び不良種別及び原因のラベリングを行うための画像処理システムを構成する。教師データD1の蓄積を行う場合には、装置制御部110は、撮像画像D12及びD14の画像処理(画像認識を行い、良否判定及び不良種別及び原因のラベリングの正解データD30を付与した教師データD1を作成して測定装置10に転送する。
【0039】
一方、測定装置10により良否判定及び不良種別及び原因のラベリングを行う場合には、装置制御部110は、顕微鏡108により撮像された撮像画像D10を所定の形式に変換して測定装置10に転送する。これにより、測定装置10において撮像画像D10の良否判定及び不良種別及び原因のラベリングが行われる。
【0040】
測定装置10は、制御部12、入力部14、出力部16、機械学習部18及びストレージ20を含んでいる。
【0041】
制御部12は、測定装置10の各部を制御するための装置であり、プロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit))及びメモリ(例えば、RAM(Random Access Memory)等)を含んでいる。制御部12は、撮像画像D10の良否判定及び不良種別及び原因のラベリングを行うための判定部i(i=1,2,…)を含んでいる。
【0042】
入力部14は、加工装置100からのデータの入力を受け付けるためのインターフェイスであり、例えば、教師データD1、撮像画像D10及びワーク情報D20の入力を受け付ける。
【0043】
出力部16は、加工装置100へのデータの出力のためのインターフェイスであり、例えば、良否判定及び不良種別及び原因のラベリングの結果を出力する。
【0044】
機械学習部18は、判定部iの機械学習(教師あり学習(Supervised Learning))を行うための装置である。判定部iとしては、例えば、ニューラルネットワーク又は深層学習(Deep Learning)等を用いることができる。
【0045】
なお、制御部12と機械学習部とは同一のプロセッサにより実現されてもよいし、別々のプロセッサであってもよい。
【0046】
ストレージ20は、データを格納するための装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)を含んでいる。ストレージ20には、例えば、測定装置10の制御プログラム、撮像画像D10~D14を格納する画像データベース(画像DB)及び教師データD1が格納される。
【0047】
教師データD1は、例えば、加工装置100におけるアライメント登録又はカーフチェック等の環境登録を行う際に、撮像画像(D12及びD14)と、ワーク情報D20と、装置制御部110の画像処理システムを用いた認識結果(正解データD30)を測定装置10に転送して蓄積する。それまでの教師データD1に含まれていない異常のケース等が発生した場合、ストレージ20内の過去の蓄積データを検索し、異常のケースに関する撮像画像(D12及びD14)、ワーク情報D20及び正解データD30を再登録することで異常ケース分類の教師情報として利用(再学習)することも可能である。
【0048】
測定装置10では、教師データD1が一定量(1あるいはそれ以上)蓄積された場合、機械学習部18において再学習プロセスを自動起動するようにしてもよい。そして、判定部iの汎化性能及び正解率がしきい値を越えた場合に運用可能と自動判断し、加工装置100からの問い合わせに応答可能とする。具体的には、撮像画像D10に対して、良否判定と不良種別及び原因のラベリングを行い、その結果が装置制御部110の画像処理システムによる判定結果と比較して正解率がしきい値を越えた場合に、画像処理システムによる判定から測定装置10による判定に切り替えるようにしてもよい。
【0049】
また、データ蓄積に伴い汎化性能が低下する場合は、学習プログラムをワーク情報D20に応じて、ワークWに専用のものと差し替えてもよい。この場合、加工装置100から測定装置10に対して、判定に使用する判定部iの識別子(学習プログラムID)を通知することで、ワークWの加工のレシピ単位で切り替えることも可能である。また、データ蓄積に伴い汎化性能が低下する場合は、画像処理システムによる判定に切り替えてもよい。
【0050】
本実施形態によれば、ダイシング加工中に得られたデータを教師データD1として蓄積して使用することができるので、機械学習プロセスの効率化を実現することができ、所望の汎化性能及び正解率を実現することが可能になる。
【0051】
図4は、測定装置10により判定を行う手順を示すフローチャートである。
【0052】
まず、加工装置100のテーブルにワークWがロードされて(ステップS10)、加工ユニット102とのアライメントが行われる(ステップS12)。そして、XYZθ軸104により、加工ユニット102とワークWとの相対移動が行われ、ワークWの表面に加工溝C1が形成される(ステップS14)。ステップS14では、加工対象のワークWの種類に応じて、加工条件(例えば、ブレードの種類又はレーザの照射条件等)等を含むレシピが選択され、このレシピに基づいて加工が行われる。
【0053】
次に、カーフチェック(ステップS16)において、ワークWに形成された加工溝C1及び加工溝C1の近傍に加えて、ストリートST及び回路パターン領域DRの一部の領域A1を含む領域の画像である撮像画像D10が顕微鏡108により撮像される(図2参照)。また、ワークWの種類及びレシピに応じてワーク情報D20が取得される。そして、撮像画像D10と、加工中のワークWに関するワーク情報D20は、測定装置10の入力部14を介して機械学習部18に転送される。
【0054】
次に、測定装置10において周辺部の欠陥判定が行われる(ステップS18)。ステップS18では、例えば、ワーク情報D20に基づいて、制御部12により判定に用いる判定部iが選択される。そして、選択された判定部iを用いて、欠陥判定(良否判定及び不良種別及び原因のラベリング)が行われる。
【0055】
この欠陥判定の結果は、出力部16を介して加工装置100に出力され、モニタ106により確認可能となる。
【0056】
ステップS18における判定は複数の段階に分けて行われてもよい。例えば、判定部iは、まず、入力部14により受け付けた撮像画像D10のうち加工溝C1の撮像画像に基づいて加工溝C1の良否を判定する。そして、判定部iは、加工溝C1の良否の判定結果が不良の場合に、撮像画像D10のうち周辺領域の撮像画像に基づいて、加工溝C1の加工プロセス全体の良否を判定するようにしてもよい。
【0057】
図5は、測定装置10における学習又は追加学習の手順を示すフローチャートである。
【0058】
まず、加工装置100のテーブルにワークWがロードされて(ステップS30)、加工ユニット102とのアライメントが行われる(ステップS32)。そして、XYZθ軸104により、加工ユニット102とワークWとの相対移動が行われ、ワークWの表面に加工溝C1が形成される(ステップS34)。
【0059】
次に、装置制御部110の画像処理システムによりカーフチェック(欠陥判定)が行われる(ステップS36)。そして、加工溝C1及び加工溝C1の近傍の撮像画像D12又は回路パターン領域DRの表面状態の撮像画像D14と、ワーク情報D20と、画像処理システムを用いた良否判定の結果を示す良否データと、不良種別及び原因のラベリングの結果を示すラベリングデータが、装置制御部110から測定装置10に転送される(ステップS38:正解教示)。
【0060】
次に、測定装置10の機械学習部18において、判定部iの学習又は再学習が行われる(ステップS40)。ステップS40では、加工溝C1及び加工溝C1の近傍の撮像画像D12又は回路パターン領域DRの表面状態の撮像画像D14と、ワーク情報D20を入力とし、上記良否データ及びラベリングデータを含む正解データD30をラベル(出力)とする教師データD1を用いる。なお、ステップS40以降の工程は、ストレージ20に蓄積された教師データD1が一定量蓄積された場合に実施されるようにしてもよい。または、ステップS40以降の工程は、例えば、加工装置100の一定の稼働期間(例えば、1ヶ月)ごと、又は一定枚数のワークWの加工ごとに実施されるようにしてもよい。
【0061】
ステップS40では、判定部iを制御部12から機械学習部18の判定部Trainに複製する。そして、機械学習部18において、教師データD1を用いて、判定部Trainに複製された判定部iの学習を行う。
【0062】
判定部Trainに複製された判定部iの学習が終了すると、撮像画像D10に対して、学習済みの判定部iにより良否判定とラベリングを行う。そして、学習済みの判定部iによる良否判定とラベリングの結果が装置制御部110の画像処理システムによる判定結果と比較して正解率がしきい値を越えた場合に、制御部12は汎化性能・正解率達成と判断し(ステップS42のYes)、学習済みの判定部iを判定部Trainから制御部12の判定部iに複製する。この学習済みの判定部iは、測定装置10による以降の欠陥判定に使用される。
【0063】
一方、正解率がしきい値以下の場合には、制御部12は汎化性能・正解率未達成と判断し(ステップS42のNo)、学習済みの判定部iを判定部Trainから制御部12の判定部iとは別のサブ判定部i-1として複製する。ここで、サブ判定部i-1は、機械学習部18内に複製されるようにしてもよい。そして、サブ判定部i-1の再学習を繰り返して、汎化性能・正解率を達成した段階で、制御部12の判定部iとして複製されるようにしてもよい。
【0064】
また、ワークWまたはチップのチェック等の後工程からフィードバックがあった場合、画像DB内の問題発生時の撮像画像D10と、フィードバックに含まれる良否判定及びラベリングの結果を利用して再学習を実施してもよい(ステップS44)。
【0065】
本実施形態によれば、上記の判定と学習又は再学習を繰り返すことにより、所望の汎化性能及び正解率を実現することが可能になる。
【0066】
なお、上記の例では、測定装置10と加工装置100が一対一対応の例を示したが、本発明はこれに限定されない。図6に示すように、複数の加工装置100-1~100-Nに対して1台の測定装置10が設けられるようにしてもよい。この場合、測定装置10と複数の加工装置100-1~100-Nとは専用線により接続されていてもよい。また、加工装置100-1~100-Nがそれぞれ異なる工場に設置されている場合には、VPN(Virtual Private Network)、インターネットVPN又はIP-VPN(Internet Protocol-VPN)を介して接続されていてもよい。この場合、複数の加工装置100-1~100-Nから教師データD1を収集することができるので、機械学習プロセスのさらなる効率化を実現することができる。
【0067】
図7は、欠陥とワーク情報と欠陥に対する対処例の関係を示すテーブルである。図8図12は、欠陥の種類を示す図である。
【0068】
図7に示す例では、欠陥の症状の例として、「Yズレ」、「表面チッピング」、「バリ」、「膜剥がれ」、「シェルクラック」、「ワークの汚れ」、「表面側で観察される裏面側欠陥」、「表面側から観察されるブレード倒れ」、「異物付着」、「打痕、スクラッチ」及び「水滴による検査不可」が列挙されている。
【0069】
「Yズレ」は、ストリートSTに対する加工溝C1の形成位置(ストリートSTに垂直なY方向の形成位置)にズレが生じる場合である。図8の左上の図は、ストリートSTに対して適切なY方向位置に加工溝C1が形成された例を示している(良否判定が「良」)。図8の右上の図は、ストリートSTに対して加工溝C1のY方向位置が+Y側にずれた例を示している(良否判定が「不良」)。図8の左下の図は、ストリートSTに対して適切なY方向位置に加工溝C1が形成されているが、顕微鏡108のY方向位置がずれた例を示している(良否判定が「良」)。図8の左下の図は、加工結果(「Yズレ」)に関する良否判定は「良」となっているものの、ストリートSTの上下のチップのアンバランスさ(例えば、サイズの相違又は形状の非対称性等)から、装置状態としては「不良」と判断することができる例である。図8の右下の図は、ストリートSTに対して加工溝C1のY方向位置が+Y側にずれており、かつ、顕微鏡108のY方向位置がずれた例を示している(良否判定が「不良」)。
【0070】
「表面チッピング」は、例えば、ブレードダイサの場合に、ブレードの状態等に起因して生じるワークW表面の欠損である(図9の符号E1~E2参照。なお、図9の符号E2は、観察視野に入らない大きなチッピングである。
【0071】
「バリ」は、例えば、ブレードダイサの場合に、ブレードの状態等に起因して加工面に生じる突起等である(図9の符号E3~E4参照。なお、図9の符号E4は、切削水圧により剥離又は分離したバリである。
【0072】
「膜剥がれ」は、例えば、ブレードダイサの場合に、ブレードの状態等に起因して生じる保護膜等の欠落である(図10の符号E5~E6参照)。なお、図9の符号E2は、観察視野に入らない広範囲にわたる膜剥がれである。
【0073】
「シェルクラック」は、例えば、ブレードダイサの場合に、ブレードの状態等に起因して生じる加工溝C1の周囲に生じる弧状のクラックである(図10の符号E7)。
【0074】
「ワークの汚れ」は、例えば、切削水圧により加工溝C1の内部から飛散したコンタミネーションの付着等の汚れである(図10の符号E8)。
【0075】
「表面側で観察される裏面側欠陥」は、例えば、表面側から透過観察可能な裏面側のチッピング(図11の符号E9)、表面側から透過観察可能なワークWの内部のクラック(図11の符号E10)である。
【0076】
「表面側から観察されるブレード倒れ」は、ワークWの表面に対してブレードが傾斜して切り込んだことで生じた加工溝C1のワークWの表面に対する傾きであり、表面側から透過観察可能なものである(図11の符号E11)。「表面側から観察されるブレード倒れ」は、ワークWの裏面側の不所望なクラックが発生する要因となり得るし、切削水による物理的接触の要因ともなり得る。
【0077】
「異物付着」は、ブレード、切削水圧又はレーザ照射によりワークWを切削加工中に発生したテープ等の屑又は金属屑がワークWの表面に付着することをいう(図12の符号E12)。
【0078】
「打痕、スクラッチ」は、例えば、ブレード、切削水圧又はレーザ照射によりダイシングテープから剥離して飛散したワークWの個片により生じたワークWの表面のダメージである(図12の符号E14)。また、散乱したレーザ光が回路パターン領域DRに照射されてダメージが生じることもあり得る。
【0079】
「水滴による検査不可」は、ワークWの表面、特に加工溝C1に水滴が付着することにより(図12の左下図参照)。
【0080】
図7のワーク情報の項には、ワークの種類(シリコンウェハ、基板及び透過性ワーク)ごとに各欠陥が発生する場合には「○」が記載されている。また、欠陥ごとに対処例が記載されている。測定装置10は、このような対処例を参照することにより、加工装置100における加工条件にフィードバックすることが可能になる。なお、欠陥の症状の例及び対処例は、図7に例示したものに限定されない。
【0081】
上記に例示したように、加工溝C1又は加工溝C1の近傍が正常(「良」)と判定された場合であっても、ストリートST又は回路パターン領域DRに不具合が発生することがある。特許文献1に記載の方法では、上記のような異常事態は加工溝C1又は加工溝C1の近傍を検出対象とするだけでは発見することができない。本実施形態では、加工溝C1と加工溝C1の近傍だけではなく、ストリートST及び回路パターン領域DRの一部を測定対象とするので、ストリートST又は回路パターン領域DRに生じた不具合を発見することが可能になる。さらに、ストリートSTの上下のチップのアンバランスさを確認することで、装置状態の異常を発見することが可能になる。
【0082】
[第2の実施形態]
図13は、本発明の第2の実施形態に係るカーフチェックの概要を示すブロック図である。以下の説明において、上記の実施形態と同様の構成については、同一又は添字を付した符号を付して説明を省略する場合がある。
【0083】
通常のカーフチェックでは、「不良」と判定されてしまうような異物又は汚れであっても、洗浄によって除去が可能なものは「良」であると判定する方が生産性を高める上で有効である。そのため、本実施形態に係る測定装置10Aでは、機械学習は以下のように行われる。
【0084】
すなわち、教師データD2として、ワークWに関するワーク情報D20A、加工後洗浄前の画像D52及び加工後洗浄後の画像D54を入力とし、洗浄後の画像に基づく良否判定の結果を示す良否データと、不良種別及び原因のラベリングの結果を示すラベリングデータを含む正解データD70をラベル(出力)とするものを使用する。機械学習部18は、加工装置100から収集して蓄積した教師データD2を用いて、判定部iの機械学習(教師あり学習(Supervised Learning))を行う。
【0085】
次に、ワークWの加工時には、カーフチェック実行時のワーク情報D20Aと、加工後洗浄前の画像D50から洗浄後の状態を判定部iにより推定して、その良否判定及びラベリングデータを行う。
【0086】
良否判定及びラベリングの結果は、出力部16を介して、測定装置10Aのオペレータが確認可能な形式で出力(例えば、モニタ出力)される。また、良否判定及びラベリングの結果は、出力部16を介して、撮像画像D10の入力元の加工装置100に出力されるようにしてもよく、この場合、出力内容の不良種別・原因によって、その後の処理内容(例えば、ダイシング加工の加工条件等)を変更するようにしてもよい。
【0087】
図14は、測定装置における学習又は追加学習の手順を示すフローチャートである。
【0088】
まず、加工装置100のテーブルにワークWがロードされて(ステップS60)、加工ユニット102とのアライメントが行われる(ステップS62)。そして、XYZθ軸104により、加工ユニット102とワークWとの相対移動が行われ、ワークWの表面に加工溝C1が形成される(ステップS64)。ステップS64では、加工対象のワークWの種類に応じて、加工条件(例えば、ブレードの種類又はレーザの照射条件等)等を含むレシピが選択され、このレシピに基づいて加工が行われる。
【0089】
次に、カーフチェック(ステップS66)において、ワークWに形成された加工溝C1及び加工溝C1の近傍に加えて、ストリートST及び回路パターン領域DRの一部の領域A1を含む領域の画像である撮像画像であって、加工後洗浄前の撮像画像D52が顕微鏡108により撮像される。また、ワークWの種類及びレシピに応じてワーク情報D20Aが取得される。そして、撮像画像D50と、加工中のワークWに関するワーク情報D20Aは、装置制御部110から測定装置10Aの入力部14を介して機械学習部18に転送される。
【0090】
次に、加工装置100において、ワークWの洗浄が行われた後(ステップS68)、再度カーフチェックが行われる(ステップS70)。すなわち、加工後洗浄後の撮像画像D54が顕微鏡108により撮像された後、撮像画像D54に対して装置制御部110の画像処理システムを用いた良否判定の結果を示す良否データと、不良種別及び原因のラベリングの結果を示すラベリングデータ(正解データD70)が作成され、装置制御部110から測定装置10の機械学習部18に転送される。
【0091】
これにより、機械学習部18は、加工後洗浄前の撮像画像D52、加工後洗浄後の撮像画像D54及びワーク情報D20Aと、正解データD70を順次取得する(ステップS72~S76)。機械学習部18は、これらの情報を相互に紐づけることにより、ワークWに関するワーク情報D20A、加工後洗浄前の画像D52及び加工後洗浄後の画像D54を入力とし、洗浄後の画像に基づく良否判定の結果を示す良否データと、不良種別及び原因のラベリングの結果を示すラベリングデータを含む正解データD70をラベル(出力)とする教師データD2を取得することができる。このような教師データD2を使用して機械学習を行うことにより、洗浄によって除去が可能なものは「良」であると予測して判定することができ、加工装置100の加工プロセスの生産性を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0092】
10…測定装置、12…制御部、14…入力部、16…出力部、18…機械学習部、100…加工装置
図1
図2
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図4
図5
図6
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図10
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図13
図14