(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101962
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電極製造装置、電極製造システム、電極製造方法、プログラム、電極、電気化学素子及び蓄電デバイス製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20240723BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240723BHJP
H01M 4/86 20060101ALN20240723BHJP
H01M 4/88 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/139
H01M4/86 M
H01M4/88 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006217
(22)【出願日】2023-01-18
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.BLU―RAY DISC
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕行
(72)【発明者】
【氏名】濱口 昌也
【テーマコード(参考)】
5H018
5H050
【Fターム(参考)】
5H018AA01
5H018HH03
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA14
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA03
5H050CA05
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB18
5H050DA09
5H050GA22
5H050GA29
(57)【要約】
【課題】従来の技術では、集電体上にマーク(所定の情報の一例)を印刷する場合、当該マークを印刷する工程と、当該マーク以外の画像を印刷する工程とを異ならせる必要があるため生産性が低い、という課題がある。
【解決手段】電極製造装置3の生成部37を含む制御部300は、層形成部330が電極合材層322a上又は集電体320上に機能層を形成する際に、機能層と、所定の情報を示す画像を構成する層と、を形成するよう、層形成部330を制御する(ステップS24)。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
前記集電体上に設けられた電極合材層と、
前記電極合材層上に設けられた機能層と、
所定の情報を示す層と、
を有する電極を製造するための電極製造装置であって、
前記電極合材層上又は前記集電体上に層を形成する層形成手段と、
前記層形成手段が前記層を形成する際に、前記機能層と前記所定の情報を示す画像を構成する層と、を形成するよう、前記層形成手段を制御する制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする電極製造装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記所定の情報を示す画像を前記機能層の形成に用いられる絶縁性材料を含む液体組成物を用いて形成するよう、前記層形成手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極製造装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記所定の情報を示す画像を前記機能層の領域内、前記機能層の領域端部、前記機能層の領域外の少なくとも一方に形成するよう、前記層形成手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極製造装置。
【請求項4】
前記層形成手段が前記所定の情報を示す画像を形成する場合、
前記制御手段は、前記機能層が前記電極合材層を覆うように前記機能層を形成させるとともに、前記所定の情報を示す画像を前記機能層の領域内、前記機能層の領域端部、前記機能層の領域外の少なくとも一方に形成するよう、前記層形成手段を制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電極製造装置。
【請求項5】
前記所定の情報を示す画像には、バーコード等で示される一次元コード情報、QRコード等で示される二次元コード情報、任意の桁数の数字列、2進数で表される所定のコード情報のうち少なくとも一つ以上が含まれる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極製造装置。
【請求項6】
前記層形成手段が前記所定の情報を示す画像を前記機能層の領域外に形成する場合、前記制御手段は、前記二次元コード情報及び前記数字列のうち少なくとも一方を形成するよう、前記層形成手段を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電極製造装置。
【請求項7】
前記2進数で表される所定のコード情報に含まれる一の情報は、少なくとも1ビットの情報で構成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の電極製造装置。
【請求項8】
前記電極合材層が前記集電体の搬送方向に対して所定の間隔で分割された複数の領域を有する場合、
前記制御手段は、分割された前記領域のそれぞれと前記集電体との境界を覆うように前記機能層を形成するよう、前記層形成手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極製造装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記機能層に含まれる前記所定の情報を示す画像を、分割された前記領域のそれぞれの端部に形成するよう、前記層形成手段を制御する、
ことを特徴とする請求項8に記載の電極製造装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記機能層に含まれる前記所定の情報を示す画像を、分割した前記領域のうち最も長い領域の端部から所定距離だけ離間させて形成するよう、前記層形成手段を制御する、
ことを特徴とする請求項8に記載の電極製造装置。
【請求項11】
前記所定の情報を示す画像を構成する単位矩形における縦横の長さが変更可能である、
ことを特徴とする請求項8に記載の電極製造装置。
【請求項12】
前記所定の情報を示す画像と、前記領域のそれぞれの端部からと、の距離が変更可能である、
ことを特徴とする請求項11に記載の電極製造装置。
【請求項13】
集電体と、
前記集電体上に設けられた電極合材層と、
前記電極合材層を隔離するための機能層と、
所定の情報を示す層と、
を有する電極を製造するための電極製造装置と、
前記電極製造装置に係る情報を管理する情報管理装置と、を有し、
前記電極製造装置は、
前記電極合材層上又は前記集電体上に前記機能層を形成する層形成手段と、
前記層形成手段が前記層を形成する際に、前記機能層と前記所定の情報を示す画像を構成する層と、を形成するよう、前記層形成手段を制御する制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする電極製造システム。
【請求項14】
集電体と、
前記集電体上に設けられた電極合材層と、
前記電極合材層を隔離するための機能層と、
所定の情報を示す層と、
前記電極合材層上又は前記集電体上に層を形成する層形成手段と、
を有する電極を製造するための電極製造装置により行われる電極の製造方法であって、
前記電極製造装置は、
前記電極合材層上又は前記集電体上に層を形成する層形成工程と、
前記層形成手段が前記層を形成する際に、前記機能層と前記所定の情報を示す画像を構成する層と、を形成するよう、前記層形成手段を制御する制御工程と、を実行する、
ことを特徴とする電極の製造方法。
【請求項15】
集電体と、
前記集電体上に設けられた電極合材層と、
前記電極合材層を隔離するための機能層と、
所定の情報を示す層と、
前記電極合材層上又は前記集電体上に層を形成する層形成手段と、
を有する電極を製造するための電極製造装置に、
前記電極合材層上又は前記集電体上に層を形成する層形成工程と、
前記層形成手段が前記層を形成する際に、前記機能層と前記所定の情報を示す画像を構成する層と、を形成するよう、前記層形成手段を制御する制御工程と、
を実行させるプログラム。
【請求項16】
集電体と、
前記集電体上に設けられた電極合材層と、
前記電極合材層上に設けられた機能層と、
所定の情報を示す層と、
を備え、
前記機能層と、前記所定の情報を示す層と、は同じ材料から構成される、
ことを特徴とする電極。
【請求項17】
前記材料は、絶縁性材料である、
ことを特徴とする請求項16に記載の電極。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の電極を有する電気化学素子。
【請求項19】
請求項1又は2に記載の電極製造装置を有する、
ことを特徴とする蓄電デバイス製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極製造装置、電極製造システム、電極製造方法、プログラム、電極、電気化学素子及び蓄電デバイス製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット技術を用いて、自由な形状でリチウムイオン二次電池用電極などの電気化学素子用部材を製造する技術が知られている。
【0003】
また二次電池の製造方法であって、レーザにより、電極活物質が塗工されているロール材料の所定の位置に、位置座標が認識可能なマークを形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、集電体上にマーク(所定の情報の一例)を印刷する場合、当該マークを印刷する工程と、当該マーク以外の画像を印刷する工程とを異ならせる必要があるため生産性が低い、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明は、集電体と、前記集電体上に設けられた電極合材層と、前記電極合材層上に設けられた機能層と、所定の情報を示す層と、を有する電極を製造するための電極製造装置であって、前記電極合材層上又は前記集電体上に層を形成する層形成手段と、前記層形成手段が前記層を形成する際に、前記機能層と前記所定の情報を示す画像を構成する層と、を形成するよう、前記層形成手段を制御する制御手段と、を備える、ことを特徴とする電極製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように本発明によれば、集電体上にマーク(所定の情報の一例)を印刷する際の生産性を向上させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】電極を構成する層構造の一例を示す図である。
【
図3】電極製造装置の全体構成(側面図)の一例を示す図である。
【
図4】電極製造装置の全体構成(平面図)の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る検知器の構成の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る検知器が備える光センサの構成の一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る電極製造システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る情報管理装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る電極製造装置の制御部を含むハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図10A】実施形態に係る電極製造システムの機能構成の一例を示す図であり、特に情報管理装置の機能構成を示す図である。
【
図10B】実施形態に係る電極製造システムの機能構成の一例を示す図であり、特に電極製造装置の機能構成を示す図である。
【
図11】実施形態に係るエッジ位置管理テーブルの一例を示す概念図である。
【
図12】実施形態に係る電極製造処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図13】第1の実施形態に係るマーク画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】実施形態に係る操作部の構成の一例を示す図である。
【
図15】実施形態に係るマーク画像データ(マーク画像及び文字画像)の一例を示す図である。
【
図16】第1の実施形態に係るコード画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】実施形態に係る樹脂層の端部(エッジ)に付加されるコード画像の構成を示す図であり、(a)は最小ドットの構成が1×1の状態の図、(b)は最小ドットの構成が2×2の状態の図、(c)は最小ドットの構成が1×4の状態の図である。
【
図18】第1の実施形態に係る電極製造及びマーク画像(コード画像)生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】実施形態に係るマーク付き画像データの一例を示す図であり、(a)は印刷開始及び印刷終了時のマーク付き画像データの一例を示す図、(b)は電極合材(活物質)層間のマーク付き画像データ一例を示す図である。
【
図20】実施形態に係る電極合材層の一例を示す図である。
【
図21】実施形態に係るエッジ検出位置と生成される画像の一例を示す図であり、(a)は電極合材層の条数に応じて検出されるエッジの位置を示す図、(b)は結合検知情報に基づいて生成された画像データの例を示す図である。
【
図22】第1の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層と、集電体上に形成されたコード画像と、が印刷された一例を示す図である。
【
図23】第1の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層と、集電体上に形成されたコード画像と、電極合材層上に形成されたコード画像と、が印刷された一例を示す図である。
【
図24】第1の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層と、電極合材層上に形成されたコード画像と、が印刷された一例を示す図である。
【
図25】第1の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層の一例を示す図である。
【
図26】第1の実施形態に係る樹脂層の端部(エッジ)に付加されたコード画像を拡大した状態の一例を示す図である。
【
図27】実施形態に係る樹脂層の端部(エッジ)に付加されたコード画像を拡大した状態の一例を示す図であり、(a)は樹脂層とコード画像が接している状態の図、(b)は樹脂層とコード画像が所定距離離間している状態の図、(c)はコード画像がY方向に伸ばされた状態の図である。
【
図28】第1の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層及び付加されるコード情報のバリエーションを示す図である。
【
図29】第2の実施形態に係る電極合材層のY方向へのズレを模式的に示した図である。
【
図30】第2の実施形態に係るY方向にずれた電極合材層と電極合材層上に形成された樹脂層との位置関係の一例を示す図である。
【
図31】第2の実施形態に係る電極製造装置による樹脂層形成の一例を示す図である。
【
図32】第2の実施形態に係る複数に分割された各樹脂層のY方向の長さを示す図である。
【
図33】第2の実施形態に係る複数のマーク画像データの一例を示す図である。
【
図34】第2の実施形態に係る複数のコード画像データの一例を示す図である。
【
図35】第2の実施形態に係る電極製造及びマーク画像(コード画像)生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図36】第2の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層及び樹脂層の端部(エッジ)に付加されたコード画像を上面から見た状態の一例を示す図である。
【
図37】転写方式を採用した形成部の一例を示す図であり、(a)はドラム状の中間転写体を用いた印刷部を示す図、(b)は無端ベルト状の中間転写体を用いた印刷部を示す図である。
【
図38】液体吐出ヘッドの一例を示す概略分解図である。
【
図39】液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す説明図である。
【
図40】液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す断面斜視図である。
【
図41】平行四辺形状のノズル板を備えたヘッドの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて、発明を実施するための形態について説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する部分があればその説明を省略する。
【0009】
〔第1の実施形態〕
〔電極を構成する層構造〕
実施形態では、電極製造装置の一例として電極印刷装置について説明する。但し、以降の説明においては、電極製造装置として記載する。電極製造装置は、集電体と、集電体上に設けられた電極合材層と、電極合材層上に設けられた機能層と、所定の情報を示す層と、を有する電極を製造するための装置である。具体的には、電極製造装置は、樹脂層又は無機層を形成するための液体組成物を用いて、電極基体B(以下、集電体と呼ぶ)の表面上に形成された電極合材層L1の表面における一部または全体に機能層L2としての樹脂層又は無機層を形成するものである。なお、電極合材層L1は活物質を含み、集電体と、当該集電体上に形成された電極合材層L1と、を有する電極は液体吐出対象に対応する。電極合材層L1は第1の膜領域に対応し、樹脂層又は無機層を含む機能層L2は第2の膜領域に対応する。また、電極を構成する機能層及び所定の情報を示す層は、同じ材料から構成される。また、この材料は、例えば絶縁性材料である。なお本明細書及び特許請求の範囲において機能層とは、電極又は上述した電極を有する電気化学素子としたときに、絶縁性や電気化学素子特性、例えば出力特性やサイクル特性等に寄与する機能を発現する層である。
【0010】
なお、液体を吐出することで電極基体上に機能層(樹脂層又は無機層)を形成するとは、液体を吐出することのみで電極基体上に機能層(樹脂層又は無機層)を形成する場合だけでなく、液体を吐出することで機能層前駆体(樹脂層前駆体又は無機層前駆体)が形成され、その後の工程(例えば、加熱工程等)で機能層(樹脂層又は無機層)が形成される場合等も含む。以下、電極を構成する各構成要素について説明する。
【0011】
<電極基体>
電極基体は、集電体と、当該集電体上に設けられた電極合材層と、を有する。
【0012】
<集電体>
集電体は、例えばアルミ箔、銅箔などで構成される。
【0013】
<電極合材層>
電極合材層L1は、集電体上に設けられた活物質を含む層である。電極合材層L1は、粉体状の活性物質や触媒組成物を液体中に分散及び又は溶解し、この液体を集電体B上に塗布、固定、乾燥することによって形成されている。電極合材層L1を形成するには、スプレー、ディスペンサ、ダイコータや引き上げ塗工等を用いられ、塗布後に乾燥して電極合材層を形成する。
【0014】
更に電極合材層L1は、例えば電子写真方式や、液体現像型電子写真等のオンデマンド印刷によって形成される場合、電極形状が自由に変えられることに加えて、更に、集電体がアルミ箔のような薄い導電性箔である場合、非接触で特定のパターンを位置制御して印刷できることから、液体吐出ヘッドを用いたインクジェット法や、ディスペンサ、ジェットノズル等、液体吐出系の手法で印刷することが好ましく、特にインクジェット法は好ましいものとなる。
【0015】
正極活物質は、アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵及び放出できる材料であれば特に限定されない。典型的には、アルカリ金属含有遷移金属化合物を正極用活物質として使用できる。例えばリチウム含有遷移金属化合物として、コバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄及びバナジウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素とリチウムとを含む複合酸化物が挙げられる。例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属酸化物、LiFePO4等のオリビン型リチウム塩、二硫化チタン、二硫化モリブデン等のカルコゲン化合物、二酸化マンガン等が挙げられる。
【0016】
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属とを含む金属酸化物又は該金属酸化物中の遷移金属の一部が異種元素によって置換された金属酸化物である。異種元素としては、例えばNa、Mg、Se、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、B等が挙げられ、なかでもMn、Al、Co、Ni及びMgが好ましい。異種元素は、1種でもよく又は2種以上でもよい。これらの正極活物質は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ニッケル水素電池における上記活物質としては水酸化ニッケル等が挙げられる。
【0017】
負極活物質は、アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵及び放出できる材料であれば特に限定されない。典型的には、結晶構造を有するグラファイトを含む炭素材料を負極活物質として使用できる。そのような炭素材料としては、天然黒鉛、球状又は繊維状の人造黒鉛、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)等が挙げられる。炭素材料以外の材料としては、チタン酸リチウムが挙げられる。また、リチウムイオン電池のエネルギー密度を高める観点から、シリコン、錫、シリコン合金、錫合金、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化錫等の高容量材料も負極活物質として好適に使用できる。
【0018】
ニッケル水素電池における上記活物質としては水素吸蔵合金としては、Zr-Ti-Mn-Fe-Ag-V-Al-WやTi15Zr21V15Ni29Cr5Co5Fe1Mn8等で代表されるAB2系或いはA2B系の水素吸蔵合金が例示される。
【0019】
正極又は負極の結着剤には、例えばPVDF、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース等が使用可能である。また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエンより選択された2種以上の材料の共重合体を用いてもよい。また、これらのうちから選択された2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
電極に含ませる導電剤には、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維や金属繊維等の導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウム等の金属粉末類、酸化亜鉛やチタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物、フェニレン誘導体、グラフェン誘導体等の有機導電性材料等が用いられる。
【0021】
燃料電池での活物質は、一般に、カソード電極やアノード電極の触媒として、白金、ルテニウム或いは白金合金等の金属微粒子をカーボン等の触媒担体に担持させたものを用いる。触媒担体の表面に触媒粒子を担持させるには、例えば触媒担体を水中に懸濁させ、触媒粒子の前駆体を添加、(塩化白金酸、ジニトロジアミノ白金、塩化第二白金、塩化第一白金、ビスアセチルアセトナート白金、ジクロロジアンミン白金、ジクロロテトラミン白金、硫酸第二白金塩化ルテニウム酸、塩化イリジウム酸、塩化ロジウム酸、塩化第二鉄、塩化コバルト、塩化クロム、塩化金、硝酸銀、硝酸ロジウム、塩化パラジウム、硝酸ニッケル、硫酸鉄、塩化銅等の合金成分を含むものを用い)懸濁液中に溶解させアルカリを加え金属の水酸化物を生成させると共に、触媒担体表面に担持させた触媒担体を得る。かかる触媒担体を電極上に塗布し、水素雰囲気下等で還元させることで、表面に触媒粒子(活物質)が塗布された電極を得る。
【0022】
<樹脂層及び無機層>
樹脂層又は無機層は、集電体上に形成されている電極合材層に、液体吐出ヘッドにより液体組成物を吐出することにより形成される機能層の一例である。本実施形態に係る機能層は、蓄電デバイスとしたときに電極同士を物理的に絶縁し、短絡の発生を抑制する絶縁層としての機能を有するが、絶縁層としての機能を奏する範囲であれば、絶縁層としての機能以外の機能を更に有していてもよい。なお、集電体に、まず、比較的正確な精度をもつ塗工方法、例えばスクリーン印刷やグラビア塗工、インクジェット塗工やディスペンサ描画等によって、絶縁性枠状等の所望の電極形状のパターンの樹脂層又は無機層を形成してもよい。この場合、樹脂層又は無機層を形成した後、上記活物質をスラリー状にしたものを上記パターン上に塗布し、乾燥する。これにより、電極合材層の形成速度を極端に上昇させたり、或いは粘度の限られたスラリーから比較的厚い膜を形成したりする場合にも、後の乾燥工程での所望のサイズ幅の活物質が、集電体上に常に接する状態を作れることにより、結果として目的とする塗工寸法が常に実現できるため、好ましいものとなる。
【0023】
従って、かかる樹脂層又は無機層に要求される性能は、集電体に対して、正確に塗布乾燥できることと、上記活物質や、最終的にデバイスにしたときに用いられる電解液に対して反応又は溶解しないものであることが好ましい。即ち、電極合材層の周辺部の樹脂層又は無機層は、絶縁性膜であることを特徴とするものである。ここでいう絶縁性膜は、通常厚さ方向で、メガオーム[/cm]以上の絶縁性を有するものであることが好ましい。また、デバイスの中において長く絶縁性を保つ必要があるため、上記電解液に溶解しにくい必要がある。従って、通常の有機溶媒に溶解した樹脂のみではこれらの性能を達成することは難しく、塗布した後に、熱や電離放射線等によって架橋不要化性能等を有する樹脂群が好ましい。或いは、無機材料は絶縁性を有する微粒子であり、微粒子が溶媒に分散していて、塗布後に乾燥させ絶縁性を有する膜であることが好ましい。また、無機材料は固体電解質材料や半固体電解質材料であってもよい。更に、この樹脂層又は無機層は、電極加工の過程で、最大250[kN]程度の線圧によるプレス工程等が存在するため、上記線圧に対して耐性を有することが好ましい。
【0024】
なお集電体上において電極合材層を形成する領域の周囲(枠領域)に先に樹脂層又は無機層を形成しておき、枠領域に樹脂層又は無機層が形成されている集電体上に活物質をスラリー状にしたものを塗布し、乾燥させてもよい。これにより、電極合材層の形成速度を極端に上昇させたり、或いは粘度の限られたスラリーから比較的厚い膜を形成したりする場合にも、後の乾燥工程における所望のサイズ幅の活物質が、集電体上に常に接する状態を作ることができる。その結果、目的とする塗工寸法が常に実現できるため、好ましいものとなる。従って、樹脂層又は無機層に要求される性能は、集電体に対して、正確に塗布乾燥できることと、活物質や、最終的にデバイスにしたときに用いられる電解液に対して溶解しないものであることが好ましい。即ち、電極合材層の周辺部の樹脂層又は無機層は、上述したように絶縁性膜で構成される。
【0025】
<樹脂形成用液体組成物>
【0026】
次に、上述の樹脂層を形成するため液体組成物である、樹脂及び該樹脂の前駆体(モノマー)の少なくとも何れか一方(樹脂又は該樹脂の前駆体)と、溶媒と、を含む樹脂層形成用液体組成物を先に説明する。
【0027】
樹脂及び該樹脂の前駆体としては、分子内に電離放射線や赤外線(熱)によって架橋性の構造を保有する樹脂類やオリゴマー類を液体である有機溶剤(有機溶媒)に溶解せしめたものが好ましい。樹脂及び該樹脂の前駆体としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂のうち低分子量のオリゴマー前駆体や、その一部に例えば脂肪族不飽和結合を有する炭化水素基で修飾したものが好ましく、例えばアクリル系共重合体の一部の側鎖にアリル基、アリルオキシ基、アクリロイル基、ブテニル基、シンナミル基、シンナモイル基、クロトメイル基、シクロヘキサジェニル基、インプロペニル基、メタクリロイル基、ペンテニル基、プロペニル基、スチリル基、ビニル基、ブタジェニル基等の不飽和結合を有するもの等が好ましい。
【0028】
更にポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリルニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、及びセルロース等についても分子量1万以下の比較的低分子量の分散前駆体やセルロースナノファイバーを用い、それらを電離放射線や赤外線によって加熱することにより定着後の不溶性及び架橋性を高めることができる。
【0029】
更にこれらの前駆体は、架橋性を高めるために最大30重量部程度のアジド化合物を含有させても構わない。例えば、3.3′-ジクロロ-4.4′-ジアジドジフェニルメタン、4.4′-ジアジドジフェニルエーテル、4.4′-ジアジドジフェニルジスルフィド、4.4′-ジアジドジフェニルスルフィド、4.4′-ジアジドジフェニルスルホン、4-アジドカルコン、4-アジド-4′-ヒドロキシカルコン、4-アジド-4′-メトキシカルコン、4-アジド-4′-モルホリノカルコン、4-ジメチルアミノ-4′-アジドカルコン、2.6-ビス(4′-アジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、2.6-ビス(4′-アジドベンザル)-シクロヘキサノン、シンナミリデン-4-アジドアセトフェノン、4-アジドシンナミリデンアセトフェノン、4-アジド-4′-ジメチルアミノシンナミリデンアセトフェノン、シンナミリデン-4-アジドシンナミリデンアセトン、2.6-ビス(4′-アジドシンナミリデン)-4-メチルシクロヘキサノン、2.6-ビス(4′-アジドシンナミリデン)-シクロヘキサノン、1.4′-アジドベンジリデンインデン、1.4′-アジドベンジリデンインデン、1.4′-アジドベンジリデン-3-α-ヒドロキシ-4″-アジドベンジルインデン、9.4′-アジドベンジリデンフルオレン、9.4′-アジドシンナミリデンフルオレン、4.4′-ジアジドスチルベン-2.2′-ジスルホニル-N-(p-メトキシフェニル)アミド、4.4′-ジアジドスチルベン-2.2′-ジスルホニル-N-(p-ヒドロキシエチルフェニル)アミド、4.4′-ジアジドスチルベン-2.2′-ジスルホニル-N-(p-ヒドロキシフェニル)アミド、4.4′-ジアジドスチルベン-2.2′-ジスルホニルアミド、4.4′-ジアジドベンゾフェノン、4.4′-ジアジドスチルベン、4.4′-ジアジドカルコン、4.4′-ジアジドベンザルアセトン、6-アジド-2-(4'-アジドスチリル)ベンゾイミダゾール、3-アジドベンジリデンアニリン-N-オキシp~(4-アジドベンジリデンアミド)安息香酸、1.4-ビス(3′-アジ1ζスチリル)ベンゼン、3.3′-ジアジドジフェニルスルホン、4.4′-ジアジドジフェニルメタン等が挙げられる。
【0030】
なかでも特に2.6-ビス-(4′アジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン等を好適に用いることができる。これらの材料が溶解される溶媒は特に規定されるものではないが、上記化合物が溶解できて沸点や表面張力が後の塗布や乾燥工程に対して好適なものを単独又は混合して調整し用いることができる。
【0031】
<無機層形成用液体組成物>
次に、上述の無機層を形成するため液体組成物である、無機粒子と、溶媒と、を含む無機層形成用液体組成物を説明する。
【0032】
無機粒子を構成する無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、チタン酸バリウム、二酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化マンガン、二酸化バナジウム、二酸化ケイ素、ゼオライトなどの鉱物資源由来物質、またはこれらの人造物等が挙げられる。中でも、電気抵抗の大きさや安定性の観点から、酸化アルミニウム、二酸化チタンが好ましく、酸化アルミニウムがより好ましく、α-アルミナがさらに好ましい。
【0033】
溶媒としては、上述した無機酸化物を分散可能な溶媒であることが好ましい。
【0034】
また、無機層形成用液体組成物は、必要に応じて無機粒子同士を結着するバインダーを含んでいてもよい。
【0035】
<電気化学素子の構成>
続いて、電気化学素子(電池)の構成について説明する。
図2は、電気化学素子の構成の一例を示す図である。電気化学素子100が液系の電気化学素子である場合は、電極素子140に電解質水溶液又は非水電解質を注入することにより電解質層151が形成されており、外装152により封止されている。電気化学素子100において、引き出し線141及び142は、外装152の外部に引き出されている。また電気化学素子100が固体電気化学素子である場合は、セパレータを固体電解質又はゲル電解質に置き換えればよい。
【0036】
なお、電気化学素子100の形状としては特に制限はない。電気化学素子100の形状は、例えば、ラミネートタイプ、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダタイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダタイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。
【0037】
<電気化学素子の用途>
また、電気化学素子の用途としても特に制限はない。例えば、車両、スマートフォン、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤ、携帯電話、携帯ファクシミリ、携帯コピー、携帯プリンタ、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナ、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバ、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダ、ラジオ、バックアップ電源、モータ、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等の電気機器などが挙げられる。これらの中でも、車両、電気機器が特に好ましい。車両としては、例えば、普通自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車、トラック、大型自動二輪車、普通自動二輪車などが挙げられる。
【0038】
●用語について●
本実施形態における「所定の情報を示す画像」とは、所定の情報が含まれるマーク画像を含む画像である。また、マーク画像には、バーコード等で示される一次元コード情報、QRコード等で示される二次元コード情報、任意の桁数の数字列、2進数で表される所定のコード情報、が含まれる。
【0039】
〔電極製造装置の装置構成〕
続いて、
図3及び
図4を用いて、実施形態に係る電極製造装置の装置構成について説明する。
【0040】
まず電極製造装置の全体構成について説明する。
図3は、電極製造装置の全体構成(側面図)の一例を示す図である。
図4は、電極製造装置の全体構成(上面図)の一例を示す図である。
図3は、XYZ軸の-Y方向側からみた電極製造装置3の側面図であり、
図4は、XYZ軸の+Z方向側から視た電極製造装置3の上面図である。以下、
図3、
図4を用いて説明する。
【0041】
電極製造装置3は、制御部300と、搬送機構340と、操作部390と、を備えている。搬送機構340は、検知器335と、液体吐出ヘッド350と、光源360及びヒータ370を含む。また搬送機構340は、駆動ローラ340aと従動ローラ340bとにより、集電体320又は集電体320と、集電体320上に設けられた電極合材層322aと、を有する電極基体を+X方向に搬送する。検知器335及び液体吐出ヘッド350は、+X方向における上流側から下流側にこの順で配置されている。また+X方向における液体吐出ヘッド350の下流側には、光源360及びヒータ370がこの順で設けられている。
【0042】
制御部300は、搬送機構340、検知器335、液体吐出ヘッド350、光源360及びヒータ370等の動作を制御すると共に、検知器335により出力される複数の検知情報等を処理する。制御部300は、電極製造装置3との間において信号又はデータの送受が可能であれば、電極製造装置3の内部又は外部のいずれに配置されていてもよいし、電極製造装置3から離れた遠隔場所に配置されていてもよい。
【0043】
集電体320は、X方向に沿って延伸する長尺シート状の導電性箔である。導電性箔は、例えばアルミ箔、銅箔である。集電体320と、集電体320上に設けられた電極合材層322aと、を有する電極基体は、集電体上に、性状が異なる点を+X方向と交差するY方向に沿って複数有する。この性状には、電極基体の厚み、色及び反射率等が挙げられるが、これらの少なくとも一つが含まれることが好ましい。具体的には、集電体320上には電極合材層322aが形成されている。そのため、電極基体において、電極合材層322aが形成されている領域と形成されていない領域との間では厚み、色及び反射率の少なくとも一つが異なっている。性状が異なる点は、電極合材層322aが形成されている領域と、電極合材層322aが形成されていない領域と、の境界に含まれる点である。
【0044】
搬送機構340は、電極基体が検知器335、液体吐出ヘッド350、光源360及びヒータ370の正面を順次通過するように電極基体を搬送する。搬送機構340は更に、駆動ローラ340aと、従動ローラ340bと、駆動ローラ340aの回転角度信号を出力するエンコーダ380と、駆動ローラ340aを駆動させるモータと、を含んでいる。電極基体は、少なくとも駆動ローラ340a及び従動ローラ340bに架け回されており、駆動ローラ340aの回転に従って+X方向に走行することによって搬送される。なお、搬送機構340は、電極基体の移動を補助するガイド部材等を更に備えてもよい。
【0045】
検知器335は、電極基体における少なくとも上記の性状が異なる点を時系列に検知した複数の検知情報を出力する検知手段の一例である。電極製造装置3は、検知器335により出力される複数の検知情報に基づいて集電体320上に形成された電極合材層322aの位置情報を取得することができる。なお、検知器335については、後述の
図5及び
図6を参照して説明する。
【0046】
液体吐出ヘッド350は、+X方向に搬送される電極基体が有する集電体320上に形成されている電極合材層322a上に液体組成物を吐出して付与することにより、電極基体上に機能層としての樹脂層を形成する液体吐出手段の一例である。液体吐出ヘッド350は、+X方向において検知器335から設置距離Mを離れた位置に設置されている。
【0047】
液体吐出ヘッド350は、機能層としての樹脂層を形成するための元データとなる画像データと、検知器335による複数の検知情報が結合された結合検知情報と、に基づいて液体組成物を吐出し、樹脂層の前駆状態である樹脂前駆層を形成する。
【0048】
液体吐出ヘッド350としては、Y方向における電極基体の幅以上の幅を有するライン状に並べたヘッドを使用することができる。液体吐出ヘッド350から液体組成物を吐出する圧力発生手段及び駆動方法には特に制限はない。例えば、発熱体の熱により発生する蒸気の圧力を利用して液体組成物滴を飛翔させるサーマルアクチュエータ、圧電素子によって発生する機械的な圧力パルスを利用して液体組成物滴を飛翔させる圧電アクチュエータ、或いは、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータ等を使用することができる。液体吐出ヘッド350は更に、必要に応じて液体組成物の供給系を圧力オンオフすることにより液体組成物を飛翔させてもよい。
【0049】
光源360は、電極基体上に形成された液体組成物層(樹脂前駆層)に光を照射し、樹脂前駆層に含まれるモノマーの重合を促進させることで、液体組成物層を樹脂層に硬化させる。光源360としては、例えば、低、中、高圧水銀ランプのような水銀ランプ、タングステンランプ、アーク灯、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、高出力UV-LED、YAGレーザ、レーザと非線形光学結晶とを組み合わせたレーザシステム、高周波誘起紫外線発生装置、EBキュア等の電子線照射装置、X線照射装置等を使用することができる。但し、システムを簡便化できる観点では、高周波誘起紫外線発生装置、高・低圧水銀ランプ、半導体レーザ等を使用することが好ましい。また、光源360に集光用ミラーや走査光学系を設けてもよい。
【0050】
光源360の例として、例えばライトハンマーシリーズ(フュージョンUVシステムズ社製)等が例示される。また、日亜化学工業株式会社に代表されるLEDメーカから1W以上の高輝度のUV-LEDやレーザーダイオード等が販売されており、これらを線又は平面上に並べることによって好適に用いることができる。また、活物質粉体の隙間にしみ込んだり(入り込んだり)して光が届きにくい場合には、電子線、X線照射装置等を光源として用いることができる。この場合、例えば岩崎電気株式会社製の小型EB射装置等が好適に用いられる。
【0051】
ヒータ370は、電極基体上に形成された樹脂層形成用液体組成物の吐出によって形成される樹脂前駆層を加熱することにより、硬化の促進、溶媒の除去、乾燥等を行う。ヒータ370としては、例えば、赤外ランプ、発熱体を内蔵したローラ(熱ローラ)、温風又は熱風を吹き出すブロワ、水蒸気等を用いたボイラー型熱風を導入した炉等を使用することができる。
【0052】
なお、ヒータ370は、熱源として知られ制御可能なものであればいかなるものでもよい。例えば、光源360として、可視光に加えて赤外光を発生し得るものを使用した場合には、光照射と同時に加熱を行うことができる。この場合にはヒータ370は硬化、即ち樹脂前駆層に含まれるモノマーの重合を促進させることができるため、より好ましい。なお、樹脂前駆層に光を照射すると、光源360から発生する熱によって樹脂前駆層が加熱されるため、加熱手段は、ヒータ370のように必ずしも独立した部材として設ける必要はない。しかし、光源360からの熱のみにより常温で放置して樹脂前駆層を完全に硬化させるには長時間を要する。したがって、常温放置は、完全硬化までに充分に長い時間を確保できる用途に適用することが望まれる。
【0053】
エンコーダ380は、上述したように駆動ローラ340aの回転角度信号を出力する。
【0054】
電極製造装置3は更に、操作部390を備えている。操作部390は、タッチパネル等により構成されており、電極製造装置3のユーザ(利用者)による電極製造装置3への操作入力を受け付けると共に、電極製造装置3の状態情報、設定情報等を操作部390の画面上に表示する。
【0055】
なお、本実施形態に係る電極製造装置3は、必要に応じて液体吐出ヘッド350の前段又は後段に各種工程を実行する装置を備えることで蓄電デバイス製造装置としてもよい。
【0056】
上述の蓄電デバイス製造装置は、電極基体に液体を付与する電極製造装置3を有し、更に、例えば、樹脂層又は無機層が形成された電極基体をセル(電池)化に向けて加工する電極基体加工部などを含む。
【0057】
<電極基体加工部>
電極基体加工部は、液体吐出ヘッド350よりも下流において、樹脂層又は無機層が形成された電極基体を加工する。電極基体加工部は、裁断、折畳み、及び貼合せの少なくとも一つを実施してもよい。電極基体加工部は、例えば、樹脂層又は無機層が形成された電極基体を裁断し、電極基体積層体を作製することができる。電極基体加工部は、樹脂層又は無機層が形成された電極基体を巻回又は積層することができる。絶縁層が融点又はガラス転移点を有する材料を含む場合、電極基体加工部では、例えば、一の電極基体積層体と他の電極基体積層体は、加熱により少なくとも一部が接着される。
【0058】
電極基体加工部は、例えば、電極基体加工装置を有し、樹脂層又は無機層が形成された電極基体の裁断やつづら折り、積層や巻回、積層や巻回後の電極基体間の熱接着等を目的の電池形態に応じて実施する。電極基体加工部において樹脂層又は無機層が形成された電極基体の加工が行われるときは、加工後の電極基体にシワ等のダメージを低減させることが可能となる理由から、電極基体の搬送速度は比較的遅いことが好ましい。
【0059】
電極基体加工部によって行われる電極基体加工工程は、例えば、液体吐出ヘッド350よりも下流において、樹脂層又は無機層が形成された電極基体を加工する工程である。電極基体加工工程は、裁断工程、折畳み工程、及び貼合せ工程の少なくとも一つを含んでもよい。
【0060】
<検知器の構成及び検知情報>
次に、
図5及び
図6を用いて、実施形態に係る検知器の構成について説明する。
図5は、実施形態に係る検知器の構成の一例を示す図である。
図6は、実施形態に係る検知器が備える光センサの構成の一例を示す図である。
図5において、電極合材層322aは、Y方向に沿って電極合材層領域3221から電極合材層領域3223の三つの電極合材層領域を含んでいる。電極合材層領域3221及び電極合材層領域3223それぞれは、平面視が長方形状であり、X方向に沿って延伸する領域である。電極合材層領域3222は、それぞれ平面視が長方形状である七つに分離した領域が、X方向に沿って配列している領域である。
【0061】
検知器335は、光センサ3351から光センサ3359の9個の光センサを含んでいる。なお、光センサ3351から光センサ3359は、配置されている位置、検知領域又は検知領域面における光の形状が異なっている。以降で区別しない場合には、光センサ335と総称表記する。
【0062】
図6に示すように、光センサ3350は、半導体レーザ等の発光素子3350aと、フォトダイオード等の受光素子3350bと、を含んでいる。発光素子3350aの波長は、集電体320に対する吸光度と、電極合材層322aに対する吸光度と、の差が2倍以上となる波長であることが好ましい。また、基体が銅を含む集電体である場合、発光素子3350aから発光される光の波長は530~630nmの範囲、すなわち600nm近傍の近赤外線であることが好ましい。
【0063】
検知領域面において、発光素子3350aから照射された光を受光する領域(光スポット)の形状はY方向が長手方向であり、X方向が短手方向となるようなライン形状であることが好ましい。Y方向を長手方向とすることにより、ダイコータなどのスラリーを塗布することで電極合材層を形成した場合に、形成される凹凸形状をY方向で平均化することが可能となる。そのため、より正確に検知することができる。また、X方向を短手方向とすることにより、タイミング検知誤差を小さくすることができる。なお、発光素子3350aから照射された光の検知領域面における形状は、略円形であってもよい。
【0064】
光センサ3350は、電極基体に向けて、電極基体の性状が異なる点が光スポット内に含まれるように発光素子40aから光スポットを照射し、電極基体により反射された光を受光素子により受光する。光スポットの最大径は、集電体320と電極合材層322aの境界における、電極合材層322aの形状変化の最小周期以上に大きいことが好ましい。
【0065】
また、光センサ3350は、設置角度は可変な構成であること、即ち発光素子3350aから照射された光の電極基体における入射角度、又は電極基体において反射された光の受光素子への入射角度は可変とできる構成であることが好ましい。例えば、吸光度の大きい集電体320及び吸光度の大きい電極合材層322aを検知対象とする場合、
図6において電極基体に対する半導体レーザ等の発光素子3350aの角度と、フォトダイオード等の受光素子3350bの角度と、が略同じとなるよう配置されると、発光素子3350aから射出された光が正反射した光が受光素子3350bに入りやすくなり、SN比が小さくなってしまう。光センサ3350の設置角度を可変にすると、
図6において電極基体に対する半導体レーザ等の発光素子3350aの角度と、フォトダイオード等の受光素子3350bの角度と、が異なるように配置できる。これにより、発光素子3350aの正反射光(入射角と反射角が同一である光)が受光素子3350bに入りづらい配置とすることができ、SN比を大きくすることができる。この結果、検知したときに大きな落差が見えるため、エッジ部分の検知精度を向上させることができる。
【0066】
一方、吸光度の小さい集電体320と、吸光度の大きい電極合材層322aと、を検知対象とする場合、
図6において電極基体に対する半導体レーザ等の発光素子3350aの角度と、フォトダイオード等の受光素子3350bの角度と、が異なるように配置されると、発光素子3350aから射出された光が正反射した光が受光素子3350bに入りにくくなるため、SN比が小さくなってしまう。光センサ3350の設置角度を可変にすると、
図6において電極基体に対する半導体レーザ等の発光素子3350aの角度と、フォトダイオード等の受光素子3350bの角度と、が略同じとなるように配置できる。これにより、発光素子3350aから射出された光が正反射した光(入射角と反射角が同一である光)が受光素子3350bに入りやすい構成とすることができ、SN比を大きくすることができる。この結果、検知したときに大きな落差が見えるため、エッジ部分の検知精度を向上することができる。
【0067】
上述したように、光センサ3350の設置角度を可変にする機構を設けることにより、集電体320及び電極合材層322aの性状による変化へ対応可能とすることが望ましい。
【0068】
光センサ3350は、電極基体による反射光の光強度に応じた時系列の電気信号を出力する。なお、レンズ3350cは、発光素子3350aにより発せられた光を集光照射するためのレンズである。
【0069】
図5において、9個の光センサ3350を示す白丸は、光センサ3350が照射する光スポットの形状が円形である場合を表している。本実施形態では、光センサ3350は、電極基体上において、電極合材層322aが形成されていない領域と電極合材層322aが形成されている領域との間の境界を、性状が異なる点として検知可能に配置されている。電極合材層322aは集電体320と比較して反射率が異なるため、例えば、電極合材層322aに比べ集電体320の反射率が大きい場合、電極基体の+X方向への搬送に応じ、光スポット内において電極合材層322aが形成されていない領域に対して電極合材層322aが形成されている領域の比率が大きくなると、反射光の光強度が低くなるように変化する。
【0070】
上述した検知器335は、電極基体の+X方向への搬送に伴う反射光の光強度に応じた時系列の電気信号を検知情報として出力する。電極製造装置3は、検知器335による検知情報に基づき、電極基体の+X方向への搬送に応じた境界位置の変化を検知できる。境界を検出可能な位置は、例えば、液体吐出ヘッド350の位置である。具体的には、検知器335は、液体吐出ヘッド350に設けられており液体組成物を吐出するノズルの位置を基準にして、検出可能な位置を定めることができる。
【0071】
図5に示すように、光センサ3351は、Y方向における電極合材層領域3221の中央近傍に配置され、電極合材層領域3221のX方向における境界を検知する。光センサ3352は、Y方向における電極合材層領域3222の中央近傍に配置され、電極合材層領域3222のX方向における境界を検知する。光センサ3353は、Y方向における電極合材層領域3223の中央近傍に配置され、電極合材層領域3223のX方向における境界を検知する。なお、中央近傍とは、電極合材層領域のY方向に沿った辺の中央より電極合材層領域のY方向に沿った辺長の10%以内の範囲である。
【0072】
光センサ3354は、電極合材層領域3221の+Y方向側における集電体320との境界を検知可能に配置されている。光センサ3355は、電極合材層領域3321の-Y方向側における集電体320との境界を検知可能に配置されている。光センサ3356は、電極合材層領域3323の+Y方向側における集電体320との境界を検知可能に配置されている。
【0073】
光センサ3357は、光センサ3354から+X方向側にずれた位置において、電極合材層領域3221の+Y方向側における集電体320との境界を検知可能に配置されている。光センサ3358は、光センサ3355から+X方向側にずれた位置において、電極合材層領域3221の-Y方向側における集電体320との境界を検知可能に配置されている。光センサ3359は、光センサ3356から+X方向側にずれた位置において、電極合材層領域3223の+Y方向側における集電体320との境界を検知可能に配置されている。
【0074】
光センサ3354から光センサ3359は、電極基体の+X方向への搬送に応じたY方向における各境界位置の変化を検知する。
【0075】
光センサ3354から光センサ3359は、電極合材層領域と集電体320との間におけるX方向に延伸する一つの境界線のみを光スポット内に含む(一つの境界線を光スポットが跨ぐ)ように配置されることが好ましい。光スポット内に複数の境界線が含まれず、一つの境界線のみが含まれていることにより、光センサ3350は、境界の変化をより正確に検知することができる。Y方向における光スポットの幅は、Y方向における電極合材層同士の間隔以下、換言すると、電極合材層同士の間において電極合材層が形成されていない集電体320の幅以下であることが好ましい。これにより、光スポットは、X方向に延伸する一つの境界線のみを含むことができる。
【0076】
〔電極製造システムの全体構成〕
図7は、実施形態に係る電極製造システムの全体構成の一例を示す図である。
図7に示されているように、電極製造システム1は、情報管理装置2及び上述した電極製造装置3を有している。更に、電極製造システム1では、情報管理装置2及び電極製造装置3は、通信ネットワーク150を介してそれぞれ互いに接続されている。
【0077】
通信ネットワーク150は、不特定多数の通信が行われる通信ネットワークであり、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。なお、通信ネットワーク150には、有線通信だけでなく、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信による通信ネットワークが含まれてもよい。なお、情報管理装置2及び電極製造装置3は、専用の有線ケーブルで直接接続されていてもよい。
【0078】
ここで、情報管理装置2の役割について説明する。電池電極製造に係る本実施形態では、インクジェット印刷における吐出剤の作成情報であるインク(液体組成物)作成情報、電極塗工情報及び機能膜印刷情報等に関連付けられたロット番号とシリアル番号とに基づいて、バッテリモジュール性能検査情報、完成品性能検査情報をそれぞれ関連付ける(紐付ける)ことを可能にする。このような関連付けでは、例えば、電池を製造する電池メーカ社内のデータ連携に、本実施形態の情報管理装置2が利用されてよい。この情報管理装置2は、上述したロット番号、シリアル番号及びバッテリモジュール性能検査情報の各情報を、通信ネットワーク(例えば、通信ネットワーク150)を介した各サーバ(クラウド上の各サーバ)で管理し、電池メーカ社内のデータと連携させてもよい。
【0079】
また、完成品性能検査情報に関しては、電池メーカ社外の横断的なデータ連携として、国内のみならず海外の各メーカとの連携を行ってもよい。
【0080】
つまり、情報管理装置2は、電池メーカ社内でのデータ連携を司る管理装置としての機能を果たすことが可能である。更に、情報管理装置2は、
図7に示した電極製造システム1における電極製造装置3の各種データ(情報)の一括管理を行うことも可能である。したがって、後述するように、電極製造システム1は、情報管理装置2が、電極製造装置3で管理されるデータテーブル及び各種画像データを一括管理するようなシステムとして構築されてもよい。
【0081】
上述したような電極製造システムを構築することにより、本実施形態では、従来のように高価なレーザや有機材料によるマーキング装置を別途設けることなく、品質管理等のためのマーク画像を電池材料に付加する電極製造システム又は電極製造装置を提供する。
【0082】
〔ハードウエア構成〕
続いて、
図8及び
図9を用いて、実施形態に係る情報処理システムを構成する通信端末又は装置のハードウエア構成について説明する。なお、
図8及び
図9に示されている各装置のハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加又は削除されてもよい。
【0083】
<情報管理装置のハードウエア構成>
図8は、実施形態に係る情報管理装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図8に示されているように、情報管理装置2は、例えばコンピュータによって構築されており、CPU201、ROM202、RAM203、EEPROM204、HD(Hard Disk)205、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ206、ディスプレイ207、近距離通信I/F208、CMOSセンサ209、撮像素子I/F210を備えている。情報管理装置2は更に、ネットワークI/F211、キーボード212、ポインティングデバイス213、メディアI/F215、外部機器接続I/F216、音入出力I/F217、マイク218、スピーカ219及びバスライン220を備えている。
【0084】
これらのうち、CPU201は、情報管理装置2全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201の駆動に用いられるプログラム等を記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。EEPROM204は、CPU201の制御にしたがって、アプリ等の各種データの読出し又は書込みを行う。HD205は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ206は、CPU201の制御にしたがってHD205に対する各種データの読出し又は書込みを制御する。ここで、情報管理装置2は、HD205及びHDDコントローラ206に代えて、SSD(Solid State Drive)を搭載したハードウエア構成であってもよい。ディスプレイ207は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字又は画像などの各種情報を表示する。本実施形態において、ディスプレイ207は、表示手段の一例として機能する。近距離通信I/F208は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標。以下省略)、Wi-Fi(登録商標。以下省略)等の無線通信インターフェイスを備える通信装置又は通信端末等とデータ通信を行うための通信回路である。CMOSセンサ209は、CPU201の制御にしたがって被写体を撮像して画像データ又は動画データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、撮像手段は、CMOSセンサではなく、CCD(Charge Coupled Device)センサ等で構成される撮像手段であってもよい。撮像素子I/F210は、CMOSセンサ209の駆動を制御する回路である。
【0085】
ネットワークI/F211は、通信ネットワーク150を利用してデータ通信をするためのインターフェイスである。キーボード212は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。なお、キーボード212に代えて又は加えて、所定のボタン、アイコン等を操作するタッチパネル等の入力手段を用いてもよい。ポインティングデバイス213は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。メディアI/F215は、フラッシュメモリ等の記録メディア214に対するデータの読出し又は書込み(記憶)を制御する。外部機器接続I/F216は、各種の外部機器を接続するためのインターフェイスであり、電極製造装置3と専用の有線ケーブルを用いて接続される。なお、外部機器は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。音入出力I/F217は、CPU201の制御にしたがってマイク218及びスピーカ219との間で音信号の入出力を処理する回路である。マイク218は、音を電気信号に変える内蔵型の回路であり、外部のスピーカ等から発する音声や音波を取得し電気信号を用いた情報を取得する。スピーカ319は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。バスライン220は、CPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0086】
<電極製造装置のハードウエア構成>
図9は、実施形態に係る電極製造装置の制御部を含むハードウエア構成の一例を示す図である。電極製造装置3は、例えばコンピュータによって構築されており、制御部300、層形成部330、検知器335及び操作部390を備えている。制御部300はCPU301、RAM302、ROM303、HDD304、I/F305、バスライン310を備えている。層形成部330は、搬送機構340、液体吐出ヘッド350、光源360及びヒータ370を備えている。
【0087】
これらのうち、CPU301は、電極製造装置3全体の動作を制御する。RAM302は、CPU301のワークエリアとして使用される。ROM303は、CPU301の駆動に用いられるプログラム等を記憶する。HDD304は、CPU301の制御にしたがって、アプリ等の各種データの読出し又は書込みを行う。I/F305は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標。以下省略)、Wi-Fi(登録商標。以下省略)等の無線通信インターフェイスを備える通信装置又は通信端末等とデータ通信を行うための通信回路である。I/F305は更に、専用の有線ケーブルを介して接続された装置(情報管理装置2)とデータ通信を行うための通信回路である。
【0088】
検知器335、搬送機構340、液体吐出ヘッド350、光源360、ヒータ370及び操作部390の各ハードウエア構成は、電極製造装置の装置構成において説明したとおりであるため、ここでの説明を省略する。
【0089】
なお、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録、又はネットワークを介してダウンロードを行い流通させるようにしてもよい。記録媒体の例として、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray Disc(Blu-rayは登録商標。以下省略)、SDカード、USBメモリ等が挙げられる。また、記録媒体は、プログラム製品(Program Product)として、国内又は国外へ提供されることができる。例えば、電極製造装置3は、本発明に係るプログラムが実行されることで、本発明に係る電極製造方法を実現する。
【0090】
〔電極製造システムの機能構成〕
次に、
図10及び
図11を用いて、本実施形態の機能構成について説明する。
図10は、実施形態に係る電極製造システムの機能構成の一例を示す図であり、(a)は情報管理装置の機能構成の一例を示す図、(b)は電極製造装置の機能構成の一例を示す図である。なお、
図10は、
図7に示されている情報管理装置2又は電極製造装置3のうち、後述する処理又は動作に関連するものを示す。
【0091】
<情報管理装置の機能構成>
次に、情報管理装置の機能構成について説明する。
図10Aに示されているように、情報管理装置2は、送受信部21、操作受付部22、取得部23、表示制御部24、生成部27及び記憶読出部29を有する。これら各機能部は、
図8に示された各ハードウエア資源のいずれかが、ROM202、EEPROM204、HD205及び記録メディア214のうち少なくとも一つからRAM203に展開された情報管理装置2用のプログラムに従ったCPU201からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。また、情報管理装置2は、
図8に示されているROM202、EEPROM204、HD205及び記録メディア214のうち少なくとも一つにより構築される記憶部2000を有している。更に、記憶部2000には、電極製造装置3と通信ネットワーク150を介して通信を行うための通信プログラム(通信アプリ)、ブラウザアプリ等が記憶されている。
【0092】
<<情報管理装置の各機能構成>>
次に、情報管理装置2の各機能構成について詳細に説明する。
図10Aに示されている情報管理装置2の送受信部21は、主に、ネットワークI/F211及び近距離通信I/F208に対するCPU201の処理によって実現され、通信ネットワーク150を介して電極製造装置3との間で各種データ(又は情報)の送受信を行う。また、送受信部21は、電極製造装置3が送信したシリアル番号取得要求に含まれる印刷条件に基づいて生成したシリアル番号を、シリアル番号取得応答に含めて電極製造装置3に対して送信する。本実施形態において送受信部21は、第1の送信手段及び第1の受信手段のうち少なくとも一方の手段の一例として機能する。
【0093】
操作受付部22は、主に、ディスプレイ207、キーボード212及びポインティングデバイス213のうち少なくとも一方が受け付けた各種操作により生成された信号をCPU201が処理することによって実現される。なお、操作受付部22は、ディスプレイ207及びポインティングデバイス213に代えて、タッチパネル等の入力手段が受け付けた各種操作により生成された信号が用いられてもよい。本実施形態において操作受付部22は、受付手段の一例として機能する。
【0094】
取得部23は、主に、CPU201の処理によって実現され、送受信部21によって受信されたシリアル番号取得要求に含まれる印刷条件等の各種情報を取得する。本実施形態において取得部23は、取得手段の一例として機能する。
【0095】
表示制御部24は、主に、ディスプレイ207に対するCPU201の処理によって実現され、情報管理装置2における各種画面及び情報(データ)の表示制御を行う。また、表示制御部24は、例えば、ブラウザを用いて、HTML等により生成された表示画面を、ディスプレイ207に表示させる。本実施形態において表示制御部24は、表示制御手段の一例として機能する。
【0096】
生成部27は、主に、CPU201の処理によって実現され、情報管理装置2における各種情報を生成する。また、生成部27は、電極製造装置3が送信した印刷条件に基づいて、電極製造装置3のシリアル番号を生成する。本実施形態において生成部27は、生成手段の一例として機能する。
【0097】
記憶読出部29は、主に、ROM202、EEPROM204、HD205及び記録メディア214のうち少なくとも一つに対するCPU201の処理によって実現され、記憶部2000に各種データ(又は情報)を記憶したり、記憶部2000から各種データ(又は情報)を読み出したりする。また、記憶読出部29は、生成部27が生成したシリアル番号と印刷条件関連付けデータとを記憶部に記憶させる。本実施形態において記憶読出部29は、記憶読出手段の一例として機能する。
【0098】
<電極製造装置の機能構成>
続いて、電極製造装置の機能構成について説明する。
図10Bに示されているように、電極製造装置3は、制御部300に、送受信部31、計測部32、受付取得部33、判定部35、補正変換部36、生成部37及び記憶読出部39を有する。また、電極製造装置3は、制御部300に、層形成制御部40を有する。層形成制御部40は更に、搬送制御部41、吐出制御部42、照射制御部43、加熱制御部44、操作制御部49を有する。これら各機能部は、
図9に示された各ハードウエア資源のいずれかが、ROM303及びHDD304のうち少なくとも一つからRAM302に展開された電極製造装置3用のプログラムに従ったCPU301からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。また、電極製造装置3は、
図9に示されているROM303及びHDD304のうち少なくとも一つにより構築される記憶部3000を有している。更に、記憶部3000には、情報管理装置2と通信ネットワーク150を介して通信を行うための通信プログラム(通信アプリ)、ブラウザアプリ等が記憶されている。
【0099】
<<電極製造装置の各機能構成>>
次に、電極製造装置3の各機能構成について詳細に説明する。
図10Bに示されている電極製造装置3の制御部300は、電極合材層上又は集電体320上に機能層を形成する際に、機能層と所定の情報を示す画像を構成する層と、を形成するよう、層形成部330を制御する。また、制御部300は、所定の情報を示す画像を機能層の形成に用いられる絶縁性材料を含む液体組成物を用いて形成するよう、層形成部330を制御する。また、制御部300は、所定の情報を示す画像を機能層の領域内、機能層の領域端部、機能層の領域外の少なくとも一方に形成するよう、層形成部330を制御する。また、所定の情報を示す画像を形成させる場合に、制御部300は、電極合材層322aを覆うように機能層を形成させるとともに、所定の情報を示す画像を機能層の領域内、機能層の領域端部、機能層の領域外の少なくとも一方に形成するよう、層形成部330を制御する。なお、本実施形態では、所定の情報を示す画像として、バーコード等で示される一次元コード情報、QRコード等で示される二次元コード情報、任意の桁数の数字列、2進数で表される所定のコード情報を含む情報を扱う。層形成部330が、所定の情報を示す画像を機能層の領域外に形成させる場合、制御部300は、QRコード等の二次元コード情報及び数字列のうち少なくとも一方を形成するよう、層形成部330を制御する。また、制御部300は、集電体320の搬送方向に対して集電体320の面を含み直行する方向に電極合材層322aを所定の間隔で複数に分割した領域において、制御部300は、分割した領域のそれぞれと集電体320との境界を覆うように機能層を形成するよう、層形成部330を制御する。また、制御部300は、機能層に含まれる所定の情報を示す画像を、分割した領域のそれぞれの端部に形成するよう、層形成部330を制御する。また、制御部300は、機能層に含まれる所定の情報を示す画像を、分割した領域のうち最も長い領域の端部から所定距離だけ離間させて形成するよう、層形成部330を制御する。制御部300は更に、分割した領域を矩形(単位矩形)とした場合の縦横の長さと、所定の情報を示す画像を形成する領域のそれぞれの端部からの距離と、をそれぞれ変更する。制御部300は更に、所定の情報を示す画像と、領域のそれぞれの端部からと、の距離を変更可能である。
【0100】
一方、層形成制御部40は、層形成部330を制御して電極合材層上又は集電体320上に機能層を形成する。本実施形態において層形成制御部40は、層形成制御手段の一例として機能する。
【0101】
以下、制御部300に含まれる各機能について説明する。送受信部31は、主に、I/F305に対するCPU301の処理によって実現され、通信ネットワーク150を介して情報管理装置2との間で各種データ(又は情報)の送受信を行う。本実施形態において送受信部31は、第2の送信手段及び第2の受信手段のうち少なくとも一方の手段の一例として機能する。
【0102】
計測部32は、主に、CPU301の処理によって実現され、CPU301のクロックをカウントすることにより時間を計測し、時間計測結果を得る。計測部32は更に、エンコーダ380から入力した駆動ローラ340aの回転角度信号に基づき、電極基体が搬送された距離(走行した距離)を計測し、搬送距離計測結果を受付取得部33に出力することもできる。本実施形態において計測部32は、計測手段の一例として機能する。
【0103】
受付取得部33は、主に、CPU301の処理によって実現され、検知器335から入力した複数の検知情報(始点情報、終点情報)を結合することにより一つの結合検知情報を取得する。例えば、受付取得部33は、判定部35による判定結果に基づき、所定の時間が経過したと判定された場合、或いは電極基体が所定の搬送距離を搬送されたと判定された場合に、複数の検知情報を結合することにより一つの結合検知情報を取得する。このとき、複数の検知情報は、後述するエッジ情報管理テーブルを参照する。また、受付取得部33は、取得した結合検知情報を層形成制御部40に出力する。また受付取得部33は、結合検知情報を取得するにあたり、搬送機構340に設けられたエンコーダ380により検出された駆動ローラ340aの回転角度情報を用いることもできる。また、受付取得部33は、集電体320(メディア)の搬送方向の位置を検出する。これは、樹脂層の印刷工程の検査装置で検出した欠陥と、その印刷位置と、を関連付けて記憶しておくことで、後工程で集電体320を切断する工程において、欠陥部分を排除するための機能である。また、受付取得部33は、後工程で集電体320がカットされている状態でも、電池材料に位置情報が付加されているので、この位置情報と品質管理情報とを直ちに関連付けることを可能にする機能でもある。受付取得部33は更に、ユーザによる操作部390を用いた操作入力を受け付ける。本実施形態において受付取得部33は、受付手段の一例、取得手段の一例として機能する。
【0104】
判定部35は、主に、CPU301の処理によって実現され、電極製造装置3における各種判定、判断を行う。また、判定部35は、計測部32による時間計測結果に基づき、所定の時間が経過したか否かを判定し、判定結果を受付取得部33に出力する。或いは、判定部35は、計測部32による搬送距離計測結果に基づき、電極基体が所定の搬送距離を搬送されたか否かを判定し、判定結果を受付取得部33に出力することもできる。所定の時間及び所定の搬送距離は、記憶部3000により記憶されているマーク画像データ、コード画像データ等を含む画像データのX方向に対応する大きさに応じて予め定められている。本実施形態において判定部35は、判定手段の一例として機能する。
【0105】
補正変換部36は、主に、CPU301の処理によって実現され、受付取得部33により取得された結合検知情報に基づき、記憶部3000に記憶されている画像データを補正し、補正後の画像データを制御部15に出力する。本実施形態において補正変換部36は、補正手段の一例として機能する。
【0106】
生成部37は、主に、CPU301の処理によって実現され、マーク画像を示すマーク画像データ、コード画像を示すコード画像データ等を生成する。本実施形態において生成部37は、生成手段の一例として機能する。
【0107】
記憶読出部39は、主に、ROM303及びHDD304のうち少なくとも一つに対するCPU301の処理によって実現され、記憶部3000に各種データ(又は情報)を記憶したり、記憶部3000から各種データ(又は情報)を読み出したりする。本実施形態において記憶読出部39は、記憶読出手段の一例として機能する。
【0108】
次に、層形成制御部40の各機能について説明する。搬送制御部41は、主に、CPU301の処理によって実現され、搬送機構340による電極基体の搬送を制御する。本実施形態において搬送制御部41は、搬送制御手段の一例として機能する。
【0109】
吐出制御部42は、主に、CPU301の処理によって実現され、液体吐出ヘッド350による吐出条件を制御する制御手段の一例である。吐出制御部42は、補正変換部36から入力した補正後の画像データに基づいて、液体吐出ヘッド350による吐出条件を制御する。本実施形態において吐出制御部42は、吐出制御手段の一例として機能する。
【0110】
照射制御部43は、主に、CPU301の処理によって実現され、光源360による樹脂前駆層への光の照射を制御する。本実施形態において照射制御部43は、照射制御手段の一例として機能する。
【0111】
加熱制御部44は、主に、CPU301の処理によって実現され、ヒータ370による樹脂前駆層への加熱を制御する。本実施形態において加熱制御部44は、加熱制御手段の一例として機能する。
【0112】
操作制御部49は、主に、CPU301の処理によって実現され、操作部390に対する各種操作により生成された信号をCPU301が処理することによって実現される。本実施形態において操作制御部49は、操作制御手段の一例として機能する。
【0113】
また、上述した層形成制御部40によって制御される層形成部330は、搬送機構340、液体吐出ヘッド350、光源360及びヒータ370をそれぞれ制御して、電極合材層上又は集電体上に層を形成する。本実施形態において層形成部330は、層形成手段の一例として機能する。
【0114】
●エッジ位置管理テーブル●
図11は、エッジ位置管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。記憶部3000には、
図11に示されているようなエッジ位置管理テーブルによって構成されたエッジ位置管理DB3001が構築されている。エッジ位置情報管理テーブルでは、電極(電極合材層)の条数ごとに、エッジ位置(原点からの距離):EP*が関連付けられて記憶、管理されている。これらのうち、電極(電極合材層)の条数は、集電体320に形成(印刷)される電極(電極合材層)の数を表す。エッジ位置(原点からの距離)は、後述するように原点から集電体320上に形成(印刷)されるそれぞれの電極(電極合材層)の始点及び終点までの距離を表し、[mm]単位で示される。なお、
図12では、各条数における始点を示すエッジ位置(EP1)と、終点を示すエッジ位置(EP2,EP4,EP6)が同じ位置を示しているが、必ずしも同じ位置でなくてもよい。本実施形態では、後述する結合検知情報を、エッジ位置情報管理テーブルで管理される各エッジ位置情報を用いて算出する。
【0115】
本実施形態においてエッジ位置管理テーブル(エッジ位置管理DB3001)は、エッジ位置管理手段の一例として機能する。
【0116】
〔実施形態の処理又は動作〕
次に、
図12乃至
図28を用いて、第1の実施形態に係る電極製造システムにおける各処理又は動作を説明する。
【0117】
<電極製造処理のシーケンス>
ここで、実施形態に係る電極製造シーケンスについて説明する。
図12は、実施形態に係る電極製造処理の一例を示すシーケンス図である。まず、電極製造装置3の送受信部31は、情報管理装置2に対してシリアル番号取得要求を送信する(ステップS11)。これにより、情報管理装置2の送受信部21は、電極製造装置3が送信したシリアル番号取得要求を受信する。このとき、シリアル番号取得要求には、例えば、電極印刷を行うための印刷条件が含まれる。
【0118】
次に、情報管理装置2の生成部27は、シリアル番号を生成する(ステップS12)。具体的には、生成部27は、ステップS11で受信した印刷条件に基づいて、所定のシリアル番号を生成する。
【0119】
次に、記憶読出部29は、シリアル番号と印刷条件関連付けデータを記憶する(ステップS13)。具体的には、記憶読出部29は、生成したシリアル番号と印刷条件関連付けデータを記憶部2000の所定領域に記憶させる。
【0120】
次に、送受信部21は、シリアル番号取得要求に対する応答としてのシリアル番号取得応答を、電極製造装置3に対して送信する(ステップS14)。これにより、電極製造装置3の送受信部31は、情報管理装置2が送信したシリアル番号取得応答を受信する。このとき、シリアル番号取得応答には、ステップS12で生成されたシリアル番号が含まれる。
【0121】
続いて、電極製造装置3の記憶読出部39は、シリアル番号を記憶する(ステップS21)。具体的には、記憶読出部39は、ステップS13で情報管理装置2から受信したシリアル番号を記憶部3000の所定領域に記憶させる。以上の処理により、電極製造装置3は、シリアル番号を取得し、取得したシリアル番号を自装置に記憶させることができる。
【0122】
<マーク画像生成処理>
次に、電極製造装置3において実行されるマーク画像の生成処理について説明する。電極製造装置3の生成部37は、マーク画像生成処理を行う(ステップS22)。この処理の詳細を、以下のフローチャートにて説明する。
【0123】
<<マーク画像生成処理の詳細>>
図13は、第1の実施形態に係るマーク画像生成処理の一例を示すフローチャートである。なお、以降に示すフローチャートは、本実施形態を説明するための一例であり、これに限らない。電極製造装置3の受付取得部33は、ユーザによる操作部390を用いた画像生成操作に係る操作入力を受け付ける(ステップS22-1)。その後、電極製造装置3は、操作入力を受け付けたタイミングにおいて、マーク画像を生成する動作を開始する。
【0124】
●操作部の構成●
図14は、実施形態に係る操作部の構成の一例を示す図である。操作部390では、印刷に係る実行、非実行を選択するボタン、ロット番号を表示するロット番号表示欄、印字位置を選択する印字位置選択ボタン、印字種類を選択する印字種類選択ボタン、コードサイズを選択するコードサイズ選択ボタン、及び、文字サイズを選択する文字サイズ選択ボタンがそれぞれ配置されている。これらのうち、印字位置選択ボタンには、印字位置として先端、後端、左側、右側をそれぞれ選択するボタンが含まれる。印字種類選択ボタンには、印字種類としてQRコード、バーコード、文字、エッジをそれぞれ選択するボタンが含まれる。コードサイズ選択ボタンには、コードサイズとしての大、中、小をそれぞれ選択するボタンが含まれる。文字サイズ選択ボタンには、文字サイズとしての大、中、小をそれぞれ選択するボタンが含まれる。ユーザは、これらの各ボタンを任意に選択して所望のマーク画像、コード画像を印字させることができる。なお、操作部390における各種ボタンは、各種アイコンに置き換えられてもよい。
【0125】
図13に戻り、受付取得部33は、操作部390に表示されたロット番号から埋め込む埋込データを取得する(ステップS22-2)。
【0126】
次に、補正変換部36は、取得した埋込データをビットマップ画像に変換する(ステップS22-3)。具体的には、補正変換部36は、ステップS22-2で取得したロット番号を含む埋込データを、QRコード又はバーコード等のコード情報を含むビットマップ画像に変換する。文字を印刷する場合は、補正変換部36は生成部37と協働して、文字のフォントデータからビットマップに展開された文字画像を生成する。なお、生成部37は、コード画像を生成する際に、コードサイズ指定によりコードの最小ドットを構成する画素の数を変更することで、生成するマーク画像のサイズを可変にすることができる。
【0127】
<コード情報の構成例>
ステップS22-3で変換されるビットマップ画像は、例えば、
図15に示したような実施形態に係るマーク画像データ(QRコード等のコード情報を含むマーク画像及び数字列を含む文字画像)で示される。このQRコードに埋め込まれる情報(上述の埋込データ)は、ロット番号、集電体320(メディア)がカットされる単位ごとに付与されるシリアル番号、集電体320(メディア)上の印刷位置情報、又は、これらの番号及び情報のいずれかの組合せによる情報(データ)である。これにより、ロット番号と、集電体320をカットする位置にシリアル番号のマークを付加することで、品質管理情報と関連付けることを可能にしている。
【0128】
再び
図13に戻り、記憶読出部39は、後述するマーク画像(QRコード等のコード情報を含むマーク画像及び文字画像)を記憶部3000で管理される画像データ領域に記憶(格納)してこのフローを抜ける(ステップS22-4)。ここで生成したマーク画像は、操作部390で指定された印字位置に配置される。
【0129】
なお、生成部37は、電極製造装置3による集電体320への樹脂層の形成を行う前の時期であれば、特段の制限なく任意の時期にマーク画像を生成することができる。なお、生成部37は、ロット番号のように同じ印刷ロット内で同じマーク画像を使用する場合は1種類だけでよいが、シリアル番号のように切断される単位ごとに印刷する場合はその必要な数だけのマーク画像を生成する。この場合、画像データを印刷する前であれば、マーク画像を画像データに合成するタイミングはいつでもよい。
【0130】
<コード画像生成処理>
図12に戻り、電極製造装置3において実行されるコード画像の生成処理について説明する。電極製造装置3の生成部37は、コード画像生成処理を行う(ステップS23)。この処理の詳細を、以下のフローチャートにて説明する。
【0131】
<<コード画像生成処理の詳細>>
図16は、第1の実施形態に係るコード画像生成処理の一例を示すフローチャートである。なお、以降に示すフローチャートは、本実施形態を説明するための一例であり、これに限らない。電極製造装置3の受付取得部33は、ユーザによる操作部390を用いた画像生成操作に係る操作入力を受け付ける(ステップS23-1)。その後、電極製造装置3は、操作入力を受け付けたタイミングにおいて、マーク画像を生成する動作を開始する。
【0132】
次に、受付取得部33は、操作部390に表示されたロット番号から埋め込む埋込データを取得する(ステップS23-2)。
【0133】
次に、補正変換部36は、取得した埋込データをシリアル化する(ステップS23-3)。具体的には、補正変換部36は、ステップS22-2で取得した埋込データを、2進数で現れた0と1のデータに変換する。例えば、補正変換部36は、埋込データが「0123456789」であれば、これをはじめに16進数に0x075BCD15に変換する。続いて補正変換部36はこれを2進数の「0000 0111 0101 1011 1100 1101 0001 0101」に変換する。 続いて、補正変換部36は、シリアル化した埋込データに、スタートビット、パリティビット、ストップビットを追加する(ステップS23-4)。具体的には、補正変換部36は、スタートビット0を先頭、ストップビット1をデータの最後に追加し、「0 0000 0111 0101 1011 1100 1101 1」の26bitとする。このとき、補正変換部36は、データの信頼性を高くしたい場合に、エラー訂正のパリティビットを付加してもよい。次に、生成部37は、コード情報データを生成する(ステップS23-5)。
具体的には、生成部37は、0と1で表されたデータからビットマップに変換し、後述するコード情報データを生成する(右側が上位ビット)。
【0134】
<コード情報の構成例>
図17は、実施形態に係る樹脂層の端部(エッジ)に付加されるコード画像の構成を示す図であり、(a)は最小ドットの構成が1×1の状態の図、(b)は最小ドットの構成が2×2の状態の図、(c)は最小ドットの構成が1×4の状態の図である。マーク画像の一例としてのコード画像を構成する最小のドットが1画素×1画素で精度よく印刷されない場合は、ユーザは操作部390のコードサイズ選択ボタンに対する操作により
図17(b)に示したように最小のドットの構成を2画素×2画素に変更させることができる。この場合、ユーザは、コードサイズ選択ボタンの「中」を選択することにより実現してもよい。ユーザは更に、
図17(b)に示したように最小のドットの構成を1画素×4画素の矩形に変更させることもできる。この場合、ユーザは、コードサイズ選択ボタンの「大」を選択することにより実現してもよい。これにより、マークを構成する最小のドットについては、以下のことが可能になる。すなわち、ドットが小さすぎる場合のドット再現性の低下に伴うマーク読取精度の低下、あるいはドットが大きすぎる場合のマーク秘匿性の低下に対して、使用者の要望によりドットのサイズを変更できるようにすることで、マークの読取精度の低下低減、あるいはマーク秘匿性を自在に調整することが可能になる。
【0135】
なお、
図17に示した例では、各画素を「1」、「0」、「F」、「0」で示したが、生成部37は、例えば、「0」から「F」の間の任意の値(任意の多値データ)を生成するようにしてもよい。
【0136】
図16に戻り、記憶読出部39は、コード画像を示すコード画像データを記憶部3000で管理される画像データ領域に記憶(格納)してこのフローを抜ける(ステップS23-6)。ここで生成したコード画像データに係るコード画像は、操作部390で指定された印字位置に配置される。
【0137】
なお、生成部37は、電極製造装置3による集電体320への樹脂層の形成を行う前の時期であれば、特段の制限なく任意の時期にコード画像を生成することができる。この場合、画像データを印刷する前であれば、マーク画像を画像データに合成するタイミングはいつでもよい。
【0138】
更に、
図12で上述したステップS22及びステップS23の各処理は、どちらが先に実行されてもよいし、並行に実行されてもよい。
【0139】
〔情報の付加処理〕
再度
図12に戻り、電極製造装置3の生成部37(制御部300)は、層形成制御部40を介して層形成部330を制御することにより、電極製造及びマーク画像(コード画像)生成処理を実行する(ステップS24)。具体的には、生成部37を含む制御部300は、層形成部330が電極合材層322a上又は集電体320上に機能層を形成する際に、機能層と、所定の情報を示す画像を構成する層と、を形成するよう、層形成部330を制御する。このステップS24の処理の詳細については、以降のフローチャートで詳細に説明する。
【0140】
本実施形態に係る電極製造システムでは、例えば、上述したステップS11及びS14の処理が通信ネットワーク150を介して実行される場合、情報管理装置2と電極製造装置3との間に他の装置等が存在してもよい。つまり、情報管理装置2と電極製造装置3との間で送受信される各情報(データ)は、一度他の装置等を介して送受信されるような構成であってもよい。上述した構成は、情報管理装置2と電極製造装置3との間に他の処理ステップが存在した場合でも適用することが可能である。
【0141】
<<電極製造及びマーク画像(コード画像)生成処理の詳細>>
図18は、第1の実施形態に係る電極製造及びマーク画像(コード画像)生成処理の一例を示すフローチャートである。なお、以降に示すフローチャートは、本実施形態を説明するための一例であり、これに限らない。
図18では、制御手段の一例としての層形成制御部40は、集電体320上に機能層を形成する際に、機能層の一例としての樹脂層と所定の情報を示す画像とを、層形成手段の一例としての層形成部330に含まれるそれぞれのハードウエア資源に形成させる。以下、機能層の一例としての樹脂層と所定の情報を示す画像との形成処理について説明する。
【0142】
まず、受付取得部33は、電極製造開始操作を受け付ける(ステップS24-1-1)。具体的には、受付取得部33は、ユーザによる操作部390に対する電極印刷開始の操作入力を受け付ける。
【0143】
次に、電極製造装置3の搬送制御部41は、搬送機構340を駆動させることによって、集電体320を+X方向に向けて搬送開始する(ステップS24-1-2)。この場合の電極基体の搬送速度は、例えば、0.1[m/min]から数100[m/min]の範囲内である。電極製造装置3は、電極基体を停止させるまで、電極基体を搬送機構340により搬送し続ける。
【0144】
続いて、計測部32は、CPU301のクロックのカウントを開始することによって時間計測を開始する(ステップS24-1-3)。
【0145】
続いて、受付取得部33は、検知情報の入力(取得)を開始する(ステップS24-1-4)。具体的には、受付取得部33は、集電体320と電極合材層322aとの境界の検知器335による検知情報の取得を開始する。より具体的には、受付取得部33は、集電体320上に形成された電極合材層322aのX方向の両端のエッジ(始点及び終点)を原点からの各距離として、電極合材層322aの条数に応じて取得する。その後、受付取得部33は、記憶読出部39を介してエッジ位置管理DB3001(
図11参照)の対応する項目に記憶させる。そして、電極製造装置3は、検知器335よる検知情報の取得を停止させるまで検知情報を入力し続ける。
【0146】
続いて、判定部35は、計測部32による時間計測結果に基づき、所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS24-1-5)。
【0147】
所定の時間が経過していないと判定された場合(ステップS24-1-5:No)、受付取得部33は、ステップS24-1-4の処理を再度行う。
【0148】
他方、所定の時間が経過した場合(ステップS24-1-5:Yes)、受付取得部33は、エッジ位置管理DB3001に記憶された各条数に対応する複数の検知情報を一つに結合して結合検知情報を取得する(ステップS24-1-6)。なお、エッジ位置(原点からの距離)を示す検知情報は、エッジ位置管理DB3001に限らず、記憶部3000の所定領域に一時記憶されるものであってもよい。
【0149】
続いて、計測部32は、時間計測結果をリセットする(ステップS24-1-7)。なお、ステップS24-1-6とステップS24-1-7の処理は、互いの処理順序を入れ替えてもよいし、並行に実行されてもよい。
【0150】
続いて、補正変換部36は、記憶部3000の画像データ領域に格納されているマーク画像データ及びコード画像データを含む画像データを読み出し、受付取得部33により取得された結合検知情報に基づいて、読み出した画像データを補正する(ステップS24-1-8)。その後、補正変換部36は、補正後の画像データを層形成制御部40に出力すると共に、記憶読出部39を介して記憶部3000に一時保持された複数の検知情報を消去する。
【0151】
続いて、吐出制御部42は、電極基体上に形成されている電極合材層322aが液体吐出ヘッド350に向き合う位置に到達したタイミングにおいて、補正後の画像データに基づき、液体吐出ヘッド350を駆動させることによって、液体組成物を吐出する(ステップS24-1-9)。これにより、電極合材層322a上に液体組成物が塗布され、液体組成物層が形成される。
【0152】
続いて、照射制御部43は、液体組成物層が形成された電極合材層322aが光源360に向き合う位置に到達したタイミングにおいて、光源360を駆動させることによって、液体組成物層に向けて光を照射し、樹脂前駆層を硬化させる(ステップS24-1-10)。なお、液体組成物層表面の位置ごとでの照射光強度は、使用する光源の波長等に応じて異なるが、数[mW/cm2]から1[KW/cm2]の範囲内である。液体組成物層への光の照射時間は、液体組成物の感度や電極基体の搬送速度等に応じて適宜設定することができる。
【0153】
続いて、加熱制御部44は、硬化状態にある樹脂前駆層を担持した電極合材層322aがヒータ370に向き合う位置又はその近傍に到達したタイミングにおいて、ヒータ370を駆動させる。そして加熱制御部44は、電極合材層322aに形成された樹脂前駆層を加熱して、樹脂前駆層内での架橋反応を促進する(ステップS24-1-11)。なお、電極製造装置3においては、ヒータ370による加熱時間は数[秒]から数10[秒]程度と比較的短い。従って、ヒータ370により樹脂前駆層の硬化をほぼ完全に進行させる場合には、電極製造装置3は、最高到達温度が例えば200[℃]程度以下、好ましくは80[℃]から200[℃]或いは60[℃]から180[℃]程度の比較的高い温度となるように加熱を行う。なお、ステップS24-1-9乃至ステップS24-1-11までの処理は、既存のインクジェット方式を採用した画像形成部(印刷部)による画像形成処理(印刷処理又は塗工処理)が行われるものとする。
【0154】
続いて、判定部35は、電極印刷を終了するか否かを判定する(ステップS24-1-12)。例えば、ユーザによって操作部390に対する電極印刷終了を示す操作入力がなされた場合に、判定部35は、電極印刷を終了すると判定する。
【0155】
電極印刷を終了しないと判定された場合(ステップS24-1-12:No)、電極製造装置3は、ステップS24-1-3以降の動作を再度行う。
【0156】
他方、電極印刷を終了すると判定された場合(ステップS24-1-12:Yes)、電極製造装置3は、受付取得部33は、検知器355による検知情報の取得を停止する(ステップS24-1-13)。
【0157】
続いて、搬送制御部41は、搬送機構340を停止させることによって、集電体320の搬送を停止してこのフローを抜ける(ステップS24-1-14)。
【0158】
このようにして、電極製造装置3は、集電体320上に形成されている電極合材層322aを覆うように機能層の一例としての樹脂層を形成することができる。
【0159】
<マーク付き画像データ>
図19は、実施形態に係るマーク付き画像データの一例を示す図である。
図19(a)は、印刷開始及び印刷終了時のマーク付き画像データの一例を示す図で、例えば印刷が開始された直後又は印刷が終了する直前の状態を表す。
図19(b)は、電極合材(活物質)層間のマーク付き画像データ一例を示す図で、電極基盤間の電極基体(集電体320)に印刷する画像データの一例を示す図である。この場合のように、生成部37は、画像データ3100a,3100bの中にマーク画像322m及び文字画像322nが収まるように配置する。その際のマーク画像322m及び文字画像322nの位置は問わない。なお、印刷する際は、画像データの黒色で示した領域が機能層としての絶縁層を形成する樹脂層を形成するための樹脂層形成用液体組成物と同じ液体組成物を用いて印刷される。このとき、画像データ3100aは、電極製造装置3が電極基体(集電体320)に樹脂層を形成する動作に先立ち、生成部37により生成され、記憶部3000の所定領域に格納される。
【0160】
<形成される電極合材層>
図20は、実施形態に係る電極合材層の一例を示す図である。
図20では、集電体320の搬送方向(X軸方向)に対して複数(条数=3)の電極合材層322aが形成されている状態が示されている。以下、電極合材層322aが電極基体(集電体320)上の予め定められた位置に、予め定められたパターンで形成されている状態について説明する。
【0161】
なお、
図20乃至
図25では、Z軸方向から集電体320全体を俯瞰した状態の図が示されている。
図20乃至
図25を含む以降に示す図において、X軸、Y軸及びZ軸により方向を示す場合がある。例えば、X軸に沿うX方向は、電極製造装置3が集電体320を搬送する方向を示すものとする。また、Y軸に沿うY方向は、集電体320上でX方向に直交する方向を示すし、Z軸に沿うZ方向は、X方向及びY方向の両方に直交する方向を示すものとする。X方向は所定の方向の一例であり、Y方向は所定の方向に交差する方向の一例である。X方向で矢印が向いている方向を+X方向又は+X側、+X方向の反対方向を-X方向又は-X側と表記する。同様に、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向又は+Y側、+Y方向の反対方向を-Y方向又は-Y側と表記する。またZ方向で矢印が向いている方向を+Z方向又は+Z側、+Z方向の反対方向を-Z方向又は-Z側と表記する。
【0162】
<条数に応じて検出されるエッジの位置と生成される画像>
ここで、電極(電極合材層)の条数に応じて検出されるエッジの位置と生成される画像について説明する。
図21は、実施形態に係るエッジ検出位置と生成される画像の一例を示す図であり、(a)は電極合材層の条数に応じて検出されるエッジの位置を示す図、(b)は結合検知情報に基づいて生成された画像データの例を示す図である。
図21(a)では、集電体320上の電極合材層322aの条数に応じた原点からのエッジ位置(EP1,EP2,・・・)が示されている。電極合材層322aが1条の場合は、一つの電極合材層322aの始点(EP1)と終点(EP2)とが、それぞれのエッジ位置となる。電極合材層322aが2条の場合は、二つの電極合材層322aの始点(EP1,EP3)と終点(EP2,EP4)とが、それぞれのエッジ位置となる。電極合材層322aが3条の場合は、三つの電極合材層322aの始点(EP1,EP3,EP5)と終点(EP2,EP4,EP6)とが、それぞれのエッジ位置となる。
【0163】
図21(b)では、エッジ位置に基づいて得られた結合検知情報により生成された画像データのX方向の幅の違いが示されている。なお、
図21(b)では集電体320及び電極合材層322aの各符号を省略しているが、
図21(a)に示したものと同様である。
【0164】
<形成されるマーク画像(コード情報を含むマーク画像)>
続いて、電極合材層上又は集電体320上に形成されるマーク画像(コード情報を含むマーク画像)の一例について説明する。以下、
図22乃至
図24では、電極合材層322a上に形成される樹脂層(322b。以下、単に樹脂層322bと記載する)と、指定した位置に樹脂層と同じ液体組成物により形成されたマーク画像(バーコード、QRコードなどのコード情報322c、文字記号322d)を有する電極が示されている。そのため、予め定められた位置に予め定められたパターンで樹脂層322bを形成することにより、破線で示した樹脂層322bは、電極合材層322aを覆うことができる。その結果、樹脂層322bは樹脂層322bの絶縁性等の効果を好適に発揮することができる。また、マーク画像は樹脂層322bを形成するための液体組成物と同じ液体組成物により形成されていることから、機能層の形成に用いられる液体吐出ヘッドと同じ液体吐出ヘッドを用いて形成可能であり、また機能層の形成と略同時でのマーク画像の形成も可能となることから、電極の生産性を向上させることができる。また、当該マーク画像は、機能層としての絶縁層と同機能を有することから、マーク画像の付与に伴う短絡などの発生を抑制することができる。なお、上述したように、樹脂層及び無機層の取扱いは同じであり、樹脂層は無機層であってもよい。そのため、以降では説明を簡略化するために、特に区別する場合を除いて樹脂層又は無機層を、樹脂層に統一表記して説明する。
【0165】
図22は、第1の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層と、集電体上に形成されたコード画像と、が印刷された一例を示す図である。
図22では、電極合材層322a間の集電体320にコード画像が形成されている。コード画像の形成位置は、電極合材層322a間の集電体320上であれば特に限定されないが、コード画像が複数形成される場合、X方向、即ち搬送方向と略並行な方向に複数のマーク画像が列を成すよう形成されることが好ましい。このように複数のマーク画像が形成されることで、後工程においてマーク画像を読み取る際に用いるセンサを小型化することができ、またセンサによる読み取り精度を向上させることができる。
【0166】
図23は、第1の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層と、集電体上に形成されたコード画像と、電極合材層上に形成されたコード画像と、が印刷された一例を示す図である。
図24は、第1の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層と、電極合材層上に形成されたコード画像と、が印刷された一例を示す図である。
図23、
図24では、印刷を開始した位置や印刷を終了した位置の電極合材層322a上のように、次工程で切断されて電池として使用しないことが予めわかっている電極合材層322a上にコード画像を形成する場合の例が示されている。電極製造装置3は、コードや文字として埋め込まれた情報を、印刷条件や電極合材層の塗工条件など品質管理の情報と関連付けたデータベースを構築して利用する。なお、
図23では、QRコード画像を示す322c、文字情報を示す322dは使用条件等によっては印刷されなくてもよい。また、
図24では、タブ側にマーク画像を残すことにより、電極製造装置3で製造された電極が他の設備で使用される場合にシリアル番号を把握しやすくなることが考えられる。但し、シリアル番号を把握されにくくするために、タブ以外の辺にマーク画像、コード情報を残すような印刷形態をとってもよい。
【0167】
図22、
図23に示されるような場合においてもコード画像の形成位置は、効果を奏する限り特に限定されないが、コード画像が複数形成される場合、X方向、即ち搬送方向と略並行な方向に複数のマーク画像が列を成すよう形成されることが好ましい。このように複数のマーク画像が形成されることで、後工程においてマーク画像を読み取る際に用いるセンサを小型化することができ、またセンサによる読み取り精度を向上させることができる。
【0168】
図25は、第1の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層の一例を示す図である。
図26は、第1の実施形態に係る樹脂層の端部(エッジ)に付加されたコード画像を拡大した状態の一例を示す図であり、
図25の矩形で囲まれた樹脂層のエッジを拡大した図である。なお、
図26の右側で電極合材層322aが樹脂層から露出した図になっているが、これは構成を説明する上で便宜上図示したもので実際には樹脂層で覆われていてもよい。
【0169】
図26では、データビットとして埋め込みたいデータを例えば2進数で表し、+Y方向にはみだし量Pだけ電極合材層322aからはみ出した樹脂層のエッジ部に、2進数で表した「0」を樹脂層のドットあり、「1」を樹脂層のドットなしのマーク画像としてマークが付加された状態が示されている。更にデータビットのエラー訂正のためのパリティビット、データビットの開始を表すスタートビット、データの終わりを表すストップビットが付加されてもよい。なお、ドットの形状は必ずしも正方形である必要はなく、縦横比が異なる長方形であってもよい。更に、マークの位置は必ずしもエッジに直接隣接させる必要はなく、次工程で電極基体(集電体320)にリード線を溶接する領域のように電池性能に影響を与えない領域に達しない範囲で、はみだし量Pの樹脂層のエッジ位置からドットで形成されているマーク画像322eが一定の距離だけ+Y方向に離した位置に形成されてもよい。また樹脂層に形成されるマークのドット再現性が低い場合に備えて、樹脂層のドットのサイズを変更できる手段を予め設けてもよい。その場合、電極製造装置3は、コードや文字として埋め込まれた情報を印刷条件や電極合材層の塗工条件、印刷時の検査工程の結果と位置情報等の品質管理の情報と関連付けられたデータベースを構築して利用してもよい。
【0170】
図27は、実施形態に係る樹脂層の端部(エッジ)に付加されたコード画像を拡大した状態の一例を示す図であり、(a)は樹脂層とコード画像が接している状態の図、(b)は樹脂層とコード画像が所定距離離間している状態の図、(c)はコード画像がY方向に伸ばされた状態の図である。
図27(a)は、樹脂層322bのエッジに隣接してマーク画像を付加した場合の一例である。
図27(b)は、樹脂層322bのエッジから一定の距離にマーク画像を付加した場合の一例である。
図27(c)は、樹脂層322bのエッジにドットを長方形に変更したマーク画像を付加した場合の一例である。このように、電池印刷の品質管理に必要な情報としてのマーク画像を、樹脂層(機能膜)のはみだし領域のエッジ又はエッジから一定の位置(リード線の溶接に使用しない領域など樹脂層で被覆しても電池製造の歩留まりに影響を与えない領域)に、樹脂層のドットで表したマーク画像を埋め込む。これにより、マーキング手段を別途設けることなく所望の情報を埋め込むことができるとともに、従来技術のようなマークの埋込みを単にレーザから樹脂層に置き換えたときに生じる電池として使用できない部分を削減できる。また、有機材料などを用いたマーキング装置を使う場合であっても、本実施形態は電極合材層を被覆する樹脂層と同じ工程でマーク画像を同じ樹脂層の印刷で形成する。これにより、同様に専用のマーキング装置が不要になる。更に、はみだし量のエッジ部にマーク画像を構成するドットを隣接させることで、目視によるマークの視認性を低下させ、情報付加の秘匿性を高めることができる。これにより、模造品と区別しやすくなり、トレーサビリティの信頼性を向上させることが可能になる。
【0171】
上述したように、本実施形態に係る電極製造装置は、マーク画像を、樹脂層322bを形成するための液体組成物と同じ液体組成物により形成する。これにより、機能層の形成に用いられる液体吐出ヘッドと同じ液体吐出ヘッドを用いて形成することが可能となる。また、機能層の形成と略同時でのマーク画像の形成も可能となることから、電極の生産性を向上させることができる。また、当該マーク画像は、機能層としての絶縁層と同機能を有することから、マーク画像の付与に伴う短絡などの発生を抑制することができる。本実施形態に係る電極製造装置は更に、マーク画像を樹脂層(機能膜)のはみだし領域のエッジ又はエッジから一定の位置に、樹脂層のドットで表したマーク画像を埋め込むことにより、電池材料の無駄の低減と、情報付加の秘匿性の向上に伴うトレーサビリティの信頼性を向上させることができる。
【0172】
図28は、第1の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層及び付加されるコード情報のバリエーションを示す図である。
図28では、コード情報は、樹脂膜のエッジの片側若しくは両側、又は先端若しくは後端に付加される。コード情報は、はみだし量Pより外側に付加されているため、マーク画像G1aが電極合材層322a上になることはなく、電極合材層322aが樹脂膜に覆われず露出することもない。またマーク画像はリード線を溶接する領域より内側になるので、リード線の溶接にも影響を与えない。
図28のように、連続塗工と間欠塗工とを組み合わせて印刷を行う場合、利用目的等に応じてマーク画像、コード情報をどこに印刷するかを制御してもよい。例えば、連続塗工の場合であれば、上下方向の辺にマーク画像等を印刷し、間欠塗工の場合であれば、距離に対するデータ密度が高いため、前後方向にマーク画像等を印刷することが考えられる。
【0173】
〔第1の実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、電極製造装置3の制御部300は、層形成部330が電極合材層322a上又は集電体320上に機能層を形成する際に、機能層と、所定の情報を示す画像を構成する層と、を形成するよう、層形成部330を制御する(ステップS24)。これにより、集電体上にマーク(所定の情報の一例)を印刷する際の生産性を向上させることが可能になるという効果を奏する。
【0174】
〔第2の実施形態〕
続いて、
図29乃至
図36を用いて、第2の実施形態に係る電極製造システムにおける各処理又は動作を説明する。第2の実施形態では、電極基体(集電体320)の搬送に伴い発生する電極基体(集電体320)の蛇行により、集電体320上に形成された電極合材層322aが、集電体320の搬送方向(X軸方向)と垂直なY軸方向にずれる現象に対する処理を示すものである。
【0175】
第2の実施形態では、第1の実施形態に係る電極製造システム1を構成する情報管理装置2及び電極製造装置3の各ハードウエア構成、並びに機能構成を共通に実施することができるため、これらの説明を省略する。
【0176】
図29は、第2の実施形態に係る電極合材層のY方向へのズレを模式的に示した図である。三つの電極合材層322aは、理想的には平面視形状がX方向を長手とする長方形状のものとなる。しかし、
図29では、集電体320の蛇行による位置ズレにより、Y方向における電極合材層322aの幅が幅w1から幅w2の範囲で変動している状態が示されている。例えば、X方向における電極合材層322aの長さLが2000.0[mm]の場合において幅w1と幅w2の差が1.0[mm]程度となる。
【0177】
図30は、第2の実施形態に係るY方向にずれた電極合材層と電極合材層上に形成された樹脂層との位置関係の一例を示す図である。
図30では、電極合材層322aが集電体320上の予め定められたパターン(点線枠)からずれている。そのため、予め定められたパターンで樹脂層322bを形成すると、電極合材層322aのズレに応じて、電極合材層322a上に樹脂層322bにより覆われていない非被覆領域320cが生じる。その結果、非被覆領域320cにおいて、電気的な短絡(ショート)等の不具合が発生する場合がある。
【0178】
一方、電極合材層322aのズレの影響を考慮して、電極合材層322aよりも大きい領域を有する樹脂層322bを形成すると、必要以上に大きい領域を樹脂層322bにより覆ってしまうため、集電体320から導電性の領域を切り出して使用する場合等に、集電体320の領域を有効活用できなくなる可能性が高まる。
【0179】
したがって、集電体320上における電極合材層322aの位置、パターン等の変化に応じて液体吐出ヘッド350による吐出を制御することにより、樹脂層322bの形成位置を制御可能にすることが求められる。以下に説明する実施形態に係る電極製造装置3は、例えば上述した要求に応えることが可能になる。
【0180】
図31は、第2の実施形態に係る電極製造装置による樹脂層形成の一例を示す図である。
図31では、電極製造装置3による樹脂層322bの形成結果の一例が示されている。
図31において、破線で示した樹脂層322bを構成する複数の矩形領域3220は、一つの画像データに基づき形成される樹脂層322bの領域を示している。具体的には、電極合材層322aのY方向における幅の変化に応じて、矩形領域3220のY方向における幅が補正され、変化している。つまり、X方向に対して見たとき、矩形領域3220のY方向の端部は、隣接する矩形領域3220の端部に対して階段状に変化することになる。なお、矩形領域3220のX方向の幅は、集電体320の蛇行によるズレ量の傾向などから適宜算出されるようにしてもよい。これにより、非被覆領域をなくし、電極合材層322aの全体が樹脂層322bにより覆われることに加えて、集電体320の無駄な領域を可能な限り発生させない状態を得ることが可能になる。
【0181】
図32は、第2の実施形態に係る複数に分割された各樹脂層のY方向の長さを示す図である。
図32では、複数の画像データである画像データ3291、画像データ3292及び画像データ3293(以下、「画像データ3291,3292,3293」と記す)の一例を示す図である。幅L1はY方向における画像データ3291の幅であり、幅L2はY方向における画像データ3292の幅であり、幅L3はY方向における画像データ3293の幅である。上述したように、幅L1、幅L2及び幅L3は階段状に異なっている。これらの画像データ3291,3292,3293は、補正変換部36が、受付取得部33により取得された結合検知情報に基づいて、Y方向における幅が適正になるように基準とする画像データを補正する処理を行うことにより得られた画像データである。
【0182】
図33は、第2の実施形態に係る複数のマーク画像データの一例を示す図である。
図33では、複数のマーク付き画像データである画像データ3291a、画像データ3292a及び画像データ3293aの一例を示す図である。幅L1、幅L2及び幅L3は前述のとおりである。マーク画像322m、文字画像322nは、画像データ3291a,3292a,3293aの画像内で、Y方向に最も幅が広い樹脂層322b(L3)のエッジ(端部)より一定の距離dだけ離れた位置に配置した場合の例である。また、それぞれの樹脂層322bのエッジから距離dだけ離れた位置に配置してもよいが、後工程においてマーク画像を画像認識する際の精度が向上できる点で、Y方向に最も幅が広い樹脂層322b(L3)のエッジ(端部)より一定の距離dだけ離れた位置に配置した場合、即ちX方向と略並行な方向にマーク画像が列を成す場合が好ましい。なお、画像データ3291a、画像データ3292a及び画像データ3293aは、電極製造装置3cが集電体320に樹脂層322bを形成する動作に先立ち、生成部37により生成され、記憶読出部39により記憶部3000の所定領域に記憶されるようにしてもよい。
【0183】
図34は、第2の実施形態に係る複数のコード画像データの一例を示す図である。
図34では、マーク画像が付加された画像データ3291b、画像データ3292b及び画像データ3293bの一例を示す図である。
図34では更に、幅L1、幅L2及び幅L3の説明は前述のとおりであり、マーク画像322pを、画像データ3291b,3292b,3293bのエッジ(端部)に隣接するように配置した場合の例が示されている。このとき、幅L1、幅L2及び幅L3の幅違いの3つの画像データに付加するマーク画像322pはすべて同じ(同じ埋込データ)である。電極製造装置3は、埋め込むデータが位置情報の場合やシリアル番号の場合は、それぞれマークを印刷するタイミングに応じてマーク画像を更新し、画像データに合成する。画像データ91b、画像データ92b及び画像データ93bは、電極製造装置3が集電体320に樹脂層322bを形成する動作に先立ち、生成部37により生成され、記憶読出部39により記憶部3000の所定領域に記憶されるようにしてもよい。なお、マーク画像322pは、前述のようにY方向に最も幅が広い樹脂層322b(L3)のエッジ(端部)より一定の距離dだけ離れた位置に配置してもよい。
【0184】
<<電極製造及びマーク画像(コード画像)生成処理の詳細>>
図35は、第2の実施形態に係る電極製造及びマーク画像(コード画像)生成処理の一例を示すフローチャートである。なお、以降に示すフローチャートは、本実施形態を説明するための一例であり、これに限らない。
図35に示した処理のうち、ステップS24-2-1からステップS24-2-7までの処理は、
図18に示したステップS24-1-1からステップS24-1-7までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0185】
続いて、補正変換部36は生成部37とともに画像データを生成する(ステップS24-2-8)。具体的には、補正変換部36は生成部37とともに、受付取得部33により取得された結合検知情報に基づいて、Y方向における幅を適正化した画像データを生成する。このときの結合検知情報は、第1の実施形態で上述した、エッジ位置管理DB3001(
図11参照)に記憶された電極(電極合材層)の条数に対応した複数の検知情報に基づいて得られた情報である。ステップS24-2-8では、補正変換部36は、画像データを生成すると共に、記憶部3000に一時保持された複数の検知情報を消去するようにしてもよい。
【0186】
その後、記憶読出部39は、画像データを記憶(格納)する(ステップS24-2-9)。具体的には、記憶読出部39は、マーク画像データ及びコード画像データを含む生成された画像データと、結合検知情報と、を対応付けて記憶部3000の画像データ領域に記憶させる。このとき、記憶読出部39は、結合検知情報を、エッジ位置管理DB3001(
図11参照)の対応する条数の項目に新たに追加記憶させるようにしてもよい。
【0187】
なお、補正変換部36は、記憶部3000に予め記憶された基準となる画像データを読み出し、受付取得部33により取得された結合検知情報に基づいて、基準となる画像データのY方向における幅を補正することにより、Y方向における幅を適正化した画像データを生成してもよい。
【0188】
続いて、判定部35は、画像データの生成を終了するか否かを判断する(ステップS24-2-10)。画像データの生成を終了しない場合(ステップS24-2-10:NO)、ステップS24-2-3以降の処理を再度行う。
【0189】
他方、画像データの生成を終了する場合(ステップS24-2-10:YES)、以降のステップS24-2-11及びステップS24-2-12の処理を実行してこのフローを抜ける。なお、S24-2-11及びステップS24-2-12の処理は、
図18に示したステップS24-1-11及びステップS24-1-12の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0190】
<形成される機能層(樹脂層)及びコード画像>
図36は、第2の実施形態に係る電極合材層上に形成された樹脂層及び樹脂層の端部(エッジ)に付加されたコード画像を上面から見た状態の一例を示す図である。
図36では、電極製造装置3による樹脂層322bのエッジにマーク画像G1(0),G1(1)…G1(x)の形成結果が示されている。電極製造装置3は、マーク画像G1(0),G1(1)…G1(x)にそれぞれ違うデータを埋め込む場合は、同じマーク画像としない。電極製造装置3は、マーク画像から埋込データを復調する際にエラー発生の有無の確認をするために、マーク画像を埋め込んだエッジの反対側のエッジに同じデータを埋め込んで比較することで、パリティデータよりも精度よくエラーの発生を検知することができる。また埋め込むデータ量を増やしたい場合は、電極製造装置3は、違うデータを埋め込むことで埋め込みデータ数を増やすこともできる。
【0191】
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態で示した各マーク画像、コード画像のバリエーションを適用することが可能である。
【0192】
〔第2の実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、電極製造装置3は、受付取得部33により取得された結合検知情報に基づいて、Y方向における幅を適正化した画像データを生成し(ステップS24-2-8)、マーク画像データ及びコード画像データを含む生成された画像データと、結合検知情報と、を対応付けて記憶部3000の画像データ領域に記憶させ、それらの画像データを含む機能層(樹脂層)を、対応する電極合材層上又は集電体上に形成させる。これにより、集電体320の搬送に伴い発生する蛇行に対しても、電池性能低下の抑制、並びに、電池製造の歩留まりへの影響低減を実現することが可能になる
という効果を奏する。
【0193】
〔その他の実施形態〕
次に、その他の実施形態について
図37乃至
図42を用いて説明する。
【0194】
<転写方式を採用した印刷部>
図37は、転写方式を採用した印刷部の一例を示す構成図であり、(a)は、ドラム状の中間転写体を用いた印刷部を示す図、(b)は、無端ベルト状の中間転写体を用いた印刷部を示す図である。
【0195】
図37(a)に示した印刷部400´は、中間転写体4001を介して基材に液体組成物を転写することで基材の表面に機能層を形成する、インクジェットプリンタである。
【0196】
印刷部400´は、インクジェット部420、転写ドラム4000、前処理ユニット4002、吸収ユニット4003、加熱ユニット4004及び清掃ユニット4005を備える。
【0197】
インクジェット部420は、複数のヘッド101を保持したヘッドモジュール422を備える。ヘッド101は、転写ドラムに4000に支持された中間転写体4001に液体インクを吐出し、中間転写体4001上にインク層を形成する。各ヘッド101は、ラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの基材の記録領域の幅をカバーする範囲にノズルが配列されている。ヘッド101は、その下面に、ノズルが形成されたノズル面を有しており、ノズル面は、微小間隙を介して中間転写体4001の表面と対向している。本実施形態の場合、中間転写体4001は円軌道上を循環移動する構成であるため、複数のヘッド101は、放射状に配置される。
【0198】
転写ドラム4000は、圧胴621と対向し、転写ニップ部を形成する。前処理ユニット4002は、ヘッド101によるインクの吐出前に、例えば、中間転写体4001上に、インクの粘度を高めるための反応液を付与する。吸収ユニット4003は、転写前に、中間転写体4001上のインク層から液体成分を吸収する。加熱ユニット4004は、転写前に、中間転写体4001上のインク層を加熱する。インク層を加熱することで、インク層中の樹脂が溶融し、基材への転写性が向上する。清掃ユニット4005は、転写後に中間転写体4001上を清掃し、中間転写体4001上に残留したインクやごみ等の異物を除去する。
【0199】
圧胴621の外周面は、中間転写体4001に圧接しており、圧胴621と中間転写体4001との転写ニップ部を基材が通過するときに、中間転写体4001上のインク層が基材に転写される。なお、圧胴621は、その外周面に基材の先端部を保持するグリップ機構を少なくとも一つ備えた構成としてもよい。
【0200】
図37(b)に示した印刷部400´´は、中間転写ベルト4006を介して基材に液体組成物を転写することで基材の表面に機能層を形成する、インクジェットプリンタである。
【0201】
印刷部400´´は、インクジェット部420に設けた複数のヘッド101からインク滴を吐出して、中間転写ベルト4006の外周表面上にインク層を形成する。中間転写ベルト4006に形成されたインク層は、乾燥ユニット4007によって乾かされ、インク層は中間転写ベルト4006上で膜化する。
【0202】
中間転写ベルト4006が転写ローラ622と対向する転写ニップ部において、中間転写ベルト4006上の膜化したインク層は基材に転写される。転写後の中間転写ベルト4006の表面は、清掃ローラ4008によって清掃される。
【0203】
中間転写ベルト4006は、駆動ローラ4009a、対向ローラ4009b、複数(本例では4つ)の形状維持ローラ4009c,4009d,4009e,4009f、及び複数(本例では4つ)の支持ローラ4009gに架け渡され、図中矢印方向に移動する。ヘッド101に対向して設けられる支持ローラ4009gは、ヘッド101からインク滴が吐出される際の中間転写ベルト4006の引張状態を維持する。
【0204】
<液体吐出ヘッドの一例を示す概略分解図>
次に、
図38乃至
図40を用いて液体吐出ヘッドの構成を説明する。
図38は、液体吐出ヘッドの一例を示す概略分解図、
図39は、液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す説明図、
図40は、液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す断面斜視図である。ヘッド3601は、ノズル板3510、流路板(個別流路部材)3520、振動板部材3530、共通流路部材3550、ダンパ部材3560、フレーム部材3580及び駆動回路3604を実装した基板(フレキシブル配線基板)3605などを備える。
【0205】
ノズル板3510は、インクを吐出する複数のノズル3537を備え、複数のノズル3537は、ノズル板短手方向及びこれと直交するノズル板長手方向に二次元状に並んで配置されている。
【0206】
流路板3520には、複数のノズル3537に各々連通する複数の液室(個別圧力室)3526と、複数の液室3526に各々通じる複数の供給流路(個別供給流路)3527及び回収流路(個別回収流路)3528とが設けられている。なお、以降の説明では便宜上、一つの液室3526と、当該液室3526に通じる供給流路3527及び回収流路3528と、を併せて個別流路3525とも称する。
【0207】
振動板部材3530は、液室3526の変形が可能な壁面である振動板3535を形成し、振動板3535には圧電素子3536が一体に設けられている。振動板部材3530には、供給流路3527に通じる供給側開口3532と、回収流路3528に通じる回収側開口3533と、が形成されている。圧電素子3536は、振動板3535を変形させて液室26内のインクを加圧する。
【0208】
なお、流路板3520と振動板部材3530は、別部材であることに限定されるものではない。例えばSOI(Silicon on Insulator)基板を使用して流路板3520及び振動板部材3530を同一部材で一体に形成することも可能である。
【0209】
つまり、シリコン基板上に、シリコン酸化膜、シリコン層、シリコン酸化膜の順に成膜されたSOI基板を使用し、シリコン基板を流路板3520とし、シリコン酸化膜、シリコン層及びシリコン酸化膜で振動板3535を形成できる。この構成では、SOI基板のシリコン酸化膜、シリコン層及びシリコン酸化膜の層構成が振動板部材3530となる。このように、振動板部材3530は流路板3520の表面に成膜された材料で構成されるものを含む。
【0210】
共通流路部材3550は、2以上の供給流路27に通じる複数の共通供給流路支流52と、2以上の回収流路3528に通じる複数の共通回収流路支流3553とを、ノズル板長手方向において交互に隣接して形成している。共通流路部材3550には、供給流路3527の供給側開口3532と共通供給流路支流3552を通じる供給口3554となる貫通孔と、回収流路3528の回収側開口3533と共通回収流路支流3553を通じる回収口3555となる貫通孔が形成されている。
【0211】
共通流路部材3550は、複数の共通供給流路支流3552に通じる1又は複数の共通供給流路本流3556と、複数の共通回収流路支流3553に通じる1又は複数の共通回収流路本流3557を形成している。
【0212】
ダンパ部材3560は、共通供給流路支流3552の供給口3554と対面する供給側ダンパ3562と、共通回収流路支流3553の回収口3555と対面する回収側ダンパ3563を備える。共通供給流路支流3552及び共通回収流路支流3553は、同じ部材である共通流路部材3550に交互に並べて配列された溝部を、ダンパ部材3560の供給側ダンパ3562又は回収側ダンパ3563で封止することで構成している。なお、ダンパ部材3560のダンパ材料としては、有機溶剤に強い金属薄膜又は無機薄膜を用いることが好ましい。ダンパ部材3560の供給側ダンパ3562、回収側ダンパ3563の部分の厚みは10μm以下が好ましい。
【0213】
共通供給流路支流3552と共通回収流路支流3553の内壁面、及び共通供給流路本流3556と共通回収流路本流3557との内壁面には、流路内を流れるインクに対して内壁面を保護するための保護膜が形成されている。例えば、共通供給流路支流3552と共通回収流路支流3553との内壁面、及び共通供給流路本流3556と共通回収流路本流3557との内壁面は、Si基板が熱処理されることで、表面に酸化シリコン膜が形成される。酸化シリコン膜の上にはインクに対してSi基板の表面を保護するタンタルシリコン酸化膜が形成される。
【0214】
フレーム部材3580は、その上部に供給ポート3581と排出ポート3582を備える。供給ポート3581は共通供給流路本流3556にインクを供給し、排出ポート3582は共通回収流路本流3557より排出されるインクを排出する。
【0215】
上述のようにヘッド3601は、インクを吐出するノズル3537、ノズル3537に通じる液室3526、液室3526にインクを供給する供給流路3527、及び液室3526からインクを回収する回収流路3528を有する。ここで、ヘッド3601は「液体吐出ヘッド」の一例、液室3526は「液室」の一例、供給流路3527は「供給流路」の一例、回収流路3528は「回収流路」の一例である。
【0216】
なお、ヘッド3601の構成として、ノズル板3510のノズル面(ノズル3537が形成された面)の形状は長方形に限らず、台形、ひし形、平行四辺形など、長方形以外の形状であってもよい。その一例を、
図41及び
図42を用いて説明する。
図41は、平行四辺形状のノズル板を備えたヘッドの一例を示す構成図、
図42は、
図41のヘッドを複数並べた状態を示す説明図である。ヘッド1001Rは、ノズル板短手方向に対して角度θ傾斜した外形(稜線)を有し、ヘッド1001Rの液体吐出部1101R及びノズル板1010Rもこの稜線に沿う形状に形成されている。つまり、液体吐出部1101Rは、外形形状が平行四辺形をしたノズル板1010Rを有し、ノズル板1010Rには複数のノズル37Rが規則的に二次元状に配列されている。ノズル37Rの配列は、例えば、N個のノズル37Rによって1列のノズル列37Nが構成され、このノズル列37Nを、上述の稜線と平行に、且つノズル板短手方向と直交するノズル板長手方向に複数列設けた配列となっている。
【0217】
上述した構成のヘッド101Rは、
図42に示すように複数のヘッド1001Ra,1001Rbをノズル板長手方向に1列に並べることが可能であり、これにより、使用する基材の記録幅に合わせて、所望の長さのラインヘッドを得ることができる。
【0218】
実施形態に係る液体吐出装置は、電極製造装置に限定されるものではない。例えば、実施形態に係る液体吐出装置は、用紙等の記録媒体に画像を形成する画像形成装置等であってもよい。
【0219】
〔実施形態の補足〕
上述した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウエアによって各機能を実行するようプログラミングされたデバイスを含むものとする。このデバイスとは、例えば、プロセッサ、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)、SOC(System on a chip)、GPU(Graphics Processing Unit)、及び従来の回路モジュール等をいう。
【0220】
これまで本発明の一実施形態に係る電極製造装置、電極製造システム、電極製造方法、プログラム、電極、電気化学素子及び蓄電デバイス製造装置について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態の追加、変更又は削除等、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。なお、上述した各構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。
【0221】
■まとめ■
本発明に係る態様は、例えば、以下のとおりである。
【0222】
<第1態様>
第1態様としての電極製造装置(電極製造装置3。以下省略)は、集電体320と、集電体320上に設けられた電極合材層322aと、電極合材層322aに設けられた機能層と、所定の情報を示す層と、を有し、電極合材層322a上又は集電体320上に機能層を形成する層形成部330(層形成手段の一例。以下省略)と、層形成部330が層を形成する際に、機能層と所定の情報を示す画像を構成する層と、を形成するよう、層形成部330を制御する制御部300(制御手段の一例。以下省略)と、を備える。
【0223】
第1態様によれば、集電体上にマーク(所定の情報の一例)を印刷する際の生産性を向上させることが可能になる。
【0224】
<第2態様>
第2態様としての制御部300は、第1態様において、所定の情報を示す画像を機能層の形成に用いられる絶縁性材料を用いて形成するよう、層形成部330を制御する。
【0225】
第2態様によれば、第1態様による効果に加えて、更に、吐出剤を吐出する吐出装置の簡略化、低コスト化、電池材料の無駄の低減、及び情報付加の秘匿性の向上に伴うトレーサビリティの信頼性の向上を実現させることが可能になる。
【0226】
<第3態様>
第3態様としての制御部300は、第1態様又は第2態様において、所定の情報を示す画像を機能層の領域内、機能層の領域端部、機能層の領域外の少なくとも一方に形成するよう、層形成部330を制御する。
【0227】
第3態様によれば、第1態様又は第2態様による効果に加えて、マークの視認性向上を実現することが可能になる。
【0228】
<第4態様>
第4態様としての制御部300は、第3態様において、層形成部330が所定の情報を示す画像を形成する場合、機能層が電極合材層322aを覆うように機能層を形成させるとともに、所定の情報を示す画像を機能層の領域内、機能層の領域端部、機能層の領域外の少なくとも一方に形成するよう、層形成部330を制御する。
【0229】
第4態様によれば、電極合材層322aの非被覆領域における電気的な短絡(ショート)の防止を含む安全性向上とマークの視認性向上とを実現することが可能になる。
【0230】
<第5態様>
第5態様としての所定の情報を示す画像には、第1態様乃至第4態様のいずれかにおけるバーコード等で示される一次元コード情報、QRコード等で示される二次元コード情報、任意の桁数の数字列、2進数で表される所定のコード情報が含まれる。
【0231】
第5態様によれば、第4態様による効果に加えて、ロット番号と、集電体320をカットする位置にシリアル番号のマークを付加することで、品質管理情報と関連付けることが可能になる。
【0232】
<第6態様>
第6態様としての制御部300は、第5態様において、層形成部330が所定の情報を示す画像を機能層の領域外に形成する場合、二次元コード情報及び数字列のうち少なくとも一方を形成するよう、層形成部330を制御する。
【0233】
第6態様によれば、第5態様による効果に加えて、他の設備で使用される場合にマークを把握しやすくすることが可能になる。
【0234】
<第7態様>
第7態様としての2進数で表される所定のコード情報に含まれる一の情報は、第5態様における所定のコード情報が少なくとも1ビットの情報で構成される。
【0235】
第7態様によれば、マークの読取精度の低下低減、あるいはマーク秘匿性を自在に調整することが可能になる。
【0236】
<第8態様>
第8態様としての制御部300は、第1態様乃至第7態様のいずれかにおいて、電極合材層322aが集電体320の搬送方向に対して所定の間隔で分割された複数の領域を有する場合、分割された領域のそれぞれと集電体320との境界を覆うように機能層を形成するよう、前記層形成手段を制御する。
【0237】
第8態様によれば、集電体320の搬送に伴い発生する蛇行に対しても、電池性能低下を抑制することが可能になる。
【0238】
<第9態様>
第9態様としての制御部300は、第8態様において、機能層に含まれる所定の情報を示す画像を、分割した領域のそれぞれの端部に形成するよう、層形成部330を制御する。
【0239】
第9態様によれば、第8態様による効果に加えて、電池製造の歩留まりへの影響を低減させることも可能になる。
【0240】
<第10態様>
第10態様としての制御部300は、第8態様において、機能層に含まれる所定の情報を示す画像を、分割した領域のうち最も長い領域の端部から所定距離だけ離間させて形成するよう、層形成部330を制御する。
【0241】
第10態様によれば、第8態様及び第9態様による効果に加えて、マーク画像の視認性を向上させることが可能になる。
【0242】
<第11態様>
第11態様としての制御部300は、第8態様乃至第10態様のいずれかにおいて、所定の情報を示す画像を構成する単位矩形における縦横の長さが変更可能である。
【0243】
第11態様によれば、マーク画像の視認性の調整による情報付加の秘匿性を向上させることができるともに、トレーサビリティの信頼性を向上させることも可能になる。
【0244】
<第12態様>
第12態様としての電極製造装置3は、第11態様において、領域のそれぞれの端部からと、の距離が変更可能である。
【0245】
第12態様によれば、第11態様と同様に、マーク画像の視認性の調整による情報付加の秘匿性を向上させることができるともに、トレーサビリティの信頼性を向上させることも可能になる。
【0246】
<第13態様>
第13態様としての電極製造システム1(電極製造システムの一例。以下省略)は、集電体320と、集電体320上に設けられた電極合材層322aと、電極合材層322aを隔離するための機能層と、所定の情報を示す層と、を有する電極を製造するための電極製造装置3(電極製造装置の一例。以下省略)と、電極製造装置3に係る情報を管理する情報管理装置2(情報管理装置の一例。以下省略)と、を有し、電極製造装置3は、電極合材層322a上又は集電体320上に機能層を形成する層形成部330(層形成手段の一例。以下省略)と、層形成部330が機能層を形成する際に、機能層と所定の情報を示す画像とを形成するよう、層形成部330を制御する制御部300(制御手段の一例。以下省略)と、を備える。
【0247】
第13態様によれば、第1態様と同様に、集電体上にマーク(所定の情報の一例)を印刷する際の生産性を向上させることが可能になる。
【0248】
<第14態様>
第14態様としての電極製造装置3(電極製造装置の一例。以下省略)が実行する電極印刷方法は、電極製造装置3が、集電体320と、集電体320上に設けられた電極合材層322aと、電極合材層322aを隔離するための機能層と、所定の情報を示す層と、を有し、電極合材層322a上又は集電体320上に層を形成する層形成工程と、層形成部330(層形成手段の一例。以下省略)が層を形成する際に、機能層と所定の情報を示す画像とを、形成するよう、層形成部330を制御する制御工程と、を実行する。
【0249】
第14態様によれば、第1態様と同様に、集電体上にマーク(所定の情報の一例)を印刷する際の生産性を向上させることが可能になる。
【0250】
<第15態様>
第15態様としてのプログラムは、集電体320と、集電体320上に設けられた電極合材層322aと、電極合材層322aを隔離するための機能層と、所定の情報を示す層と、を有する電極を製造するための電極製造装置3(電極製造装置の一例。以下省略)に、電極合材層322a上又は集電体320上に層を形成する層形成工程と、層形成部330(層形成手段の一例。以下省略)が層を形成する際に、機能層と所定の情報を示す画像とを、形成するよう、層形成部330を制御する制御工程と、を実行させる。
【0251】
第15態様によれば、第1態様と同様に、集電体上にマーク(所定の情報の一例)を印刷する際の生産性を向上させることが可能になる。
【0252】
<第16態様>
第16態様としての電極は、集電体320と、集電体320上に設けられた電極合材層322aと、電極合材層322aを隔離するための機能層と、所定の情報を示す層と、を備え、機能層と、所定の情報を示す層と、は同じ材料から構成される。
【0253】
第16態様によれば、集電体上にマーク(所定の情報の一例)を印刷する際の生産性が向上された電極を提供することが可能になる。
【0254】
<第17態様>
第17態様としての電極は、第16態様において、材料は、絶縁性材料である。
【0255】
第17態様によれば、第16態様と同様の効果を得ることが可能になる。
【0256】
<第18態様>
第18態様としての電気化学素子は、第16態様又は第17態様における電極を有する。
【0257】
第18態様によれば、第16態様、第17態様と同様の効果を得ることが可能になる。
【0258】
<第19態様>
第19態様としての蓄電デバイス製造装置は、第1態様乃至第11態様のいずれかにおいて、電極製造装置を有する。
【0259】
第19態様によれば、第1態様と同様に、集電体上にマーク(所定の情報の一例)を印刷する際の生産性を向上させる蓄電デバイス製造装置を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0260】
1 電極製造システム
2 情報管理装置
3 電極製造装置
21 送受信部(第1の送信手段の一例、第1の受信手段の一例)
31 送受信部(第2の送信手段の位置、第2の受信手段の一例)
32 計測部(計測手段の一例)
33 受付取得部(受付手段の一例、取得受付手段の一例)
35 判定部(判定手段の一例)
37 生成部(生成手段の一例)
40 層形成制御部(層形成制御手段の一例)
300 制御部(制御手段の一例)
330 層形成部(形成手段の一例)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0261】