(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101980
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240723BHJP
H01P 7/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H05H1/46 B
H01P7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112408
(22)【出願日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2023005798
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】平山 昌樹
【テーマコード(参考)】
2G084
5J006
【Fターム(参考)】
2G084CC04
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD04
2G084DD23
2G084DD42
2G084FF04
2G084FF15
2G084FF32
2G084FF38
5J006HA02
5J006HA14
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理装置の共振器における電磁波の共振を促進する技術を提供する。
【解決手段】開示されるプラズマ処理装置において、基板支持部は、チャンバ内の処理空間内に設けられている。上部電極は、基板支持部の上方に処理空間を介して設けられている。電磁波を放出するための放出部は、チャンバの中心軸線の周りで周方向に延在する。導波部は、共振器を含み、放出部に電磁波を供給する。共振器は、その導波路の一端を構成する第1の短絡部並びに該導波路の他端を構成する複数の第2の短絡部又は壁面で構成され該他端を構成する第2の短絡部に沿って配置された複数の梁を含む。複数の第2の短絡部又は複数の梁は、中心軸線の周りで周方向に沿って軸対称に配列されている。複数の第2の短絡部又は複数の梁と放出部に電磁的に結合される複数の間隙とが、周方向に沿って交互に配列されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部において処理空間を提供するチャンバと、
前記処理空間内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部の上方に前記処理空間を介して設けられた上部電極と、
プラズマ生成空間に電磁波を放出するように設けられており、前記チャンバ及び前記処理空間の中心軸線の周りで周方向に延在する放出部と、
前記放出部に前記電磁波を供給するように構成された導波部と、
を備え、
前記導波部は、導波路を提供する共振器を含み、
前記共振器は、該共振器の前記導波路の一端を構成する第1の短絡部並びに該共振器の前記導波路の他端を構成する複数の第2の短絡部又は壁面で構成され該他端を構成する第2の短絡部に沿って設けられた複数の梁を含み、
前記複数の第2の短絡部又は前記複数の梁は、前記中心軸線の周りで周方向に沿って軸対称に配列されており、
前記複数の第2の短絡部又は前記複数の梁と前記放出部に電磁的に結合される複数の間隙とが、前記中心軸線の周りで前記周方向に沿って交互に配列されている、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記複数の第2の短絡部のうち前記周方向において隣り合う二つの任意の第2の短絡部の間又は前記複数の梁のうち前記周方向において隣り合う二つの任意の梁の間の該周方向における距離dは、下記の式(1)を満たし、
0.05λg<d<0.3λg …(1)
ここで、λgは、前記共振器の前記導波路における前記電磁波の波長である、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の短絡部と前記第2の短絡部又は前記複数の第2の短絡部との間での前記共振器の共振器長Lは、下記の式(2)を満たし、
(n-0.2)λg/2<L<nλg/2 …(2)
ここで、λgは前記共振器の前記導波路における前記電磁波の波長であり、nは整数である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記共振器の前記導波路は、前記中心軸線の周りで前記複数の第2の短絡部又は前記複数の梁に向けて前記中心軸線に対して径方向に延びる下部を含む、請求項1~3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第1の短絡部は、前記中心軸線の周りで前記周方向に沿って延在しており、
前記共振器の前記導波路は、
前記下部の上方且つ前記中心軸線の周りで、前記第1の短絡部から前記径方向に対して反対方向に延びる上部を含み、
前記中心軸線の周りで前記第1の短絡部から前記第2の短絡部又は前記複数の第2の短絡部まで蛇行するように前記径方向と前記反対方向とに交互に延びている、
請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記電磁波を前記共振器の前記導波路に導入するためのコネクタを更に備え、
前記コネクタは前記上部に結合されている、
請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記中心軸線が延びる垂直方向における前記上部の長さは、前記共振器の前記導波路の他の部分の前記垂直方向における長さよりも長い、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記コネクタは、前記中心軸線から径方向に離れた位置で前記上部に結合されている、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記複数の第2の短絡部の各々は、金属から形成されており、前記下部を構成する一対の導体壁の間で延びる柱状部材である、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記上部電極は、前記複数の間隙として前記放出部の上方に設けられており前記中心軸線の周りで前記周方向に沿って配列された複数のスロットを提供しており、前記複数の梁は、前記複数のスロットと前記周方向に沿って交互に配列されている、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記上部電極の下に配置されたシャワープレートを更に備え、
前記放出部は、前記シャワープレートを囲むように延在している、
請求項1~3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記共振器の前記導波路に電気的に結合されており、その周波数が可変である高周波電力を発生して、前記電磁波を該導波路内に供給するように構成された高周波電源を更に備える、請求項1~3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記複数の間隙の個数は、奇数個である、請求項1~3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置が基板の処理において用いられている。プラズマ処理装置の一種として、VHF波又はUHF波である高周波を用いてガスを励起させるものが知られている。下記の特許文献1は、そのようなプラズマ処理装置を開示している。特許文献1のプラズマ処理装置は、処理容器、ステージ、上部電極、導入部、及び導波部を備える。ステージは、処理容器内に設けられている。上部電極は、ステージの上方に処理容器内の空間を介して設けられている。導入部は、高周波の導入部である。導入部は、空間の横方向端部に設けられており、処理容器の中心軸線の周りで周方向に延在している。導波部は、導入部に高周波を供給するように構成されている。導波部は、導波路を提供する共振器を含む。共振器の導波路は、中心軸線の周りで周方向に延び、中心軸線が延在する方向に延び、導入部に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマ処理装置の共振器における電磁波の共振を促進する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持部、上部電極、放出部、及び導波部を含む。チャンバは、その内部において処理空間を提供している。基板支持部は、処理空間内に設けられている。上部電極は、基板支持部の上方に処理空間を介して設けられている。放出部は、プラズマ生成空間に電磁波を放出するように設けられており、チャンバ及び処理空間の中心軸線の周りで周方向に延在する。導波部は、放出部に電磁波を供給するように構成されている。導波部は、導波路を提供する共振器を含む。共振器は、共振器の導波路の一端を構成する第1の短絡部及び共振器の導波路の他端を構成する複数の第2の短絡部又は壁面で構成され該他端を構成する第2の短絡部に沿って設けられた複数の梁を含む。複数の第2の短絡部又は複数の梁は、中心軸線の周りで周方向に沿って軸対称に配列されている。複数の第2の短絡部又は複数の梁と放出部に電磁的に結合される複数の間隙とが、中心軸線の周りで周方向に沿って交互に配列されている。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、プラズマ処理装置の共振器における電磁波の共振が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
【
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器における下部を示す図である。
【
図3】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器及びコネクタを示す部分拡大断面図である。
【
図4】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器及びコネクタを示す部分拡大平面図である。
【
図5】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
【
図6】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器における下部を示す図である。
【
図7】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器における下部を示す図である。
【
図8】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器における下部を示す図である。
【
図9】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
【
図10】
図9のX-X線に沿ってとった断面図である。
【
図11】
図9のXI-XI線に沿ってとった断面図である。
【
図12】
図9のXII-XII線に沿ってとった断面図である。
【
図13】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
【
図14】
図13のXIV-XIV線に沿ってとった断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
図1に示すプラズマ処理装置1は、チャンバ10、基板支持部12、上部電極14、放出部16、及び導波部18を備えている。
【0010】
チャンバ10は、その内部において処理空間10sを提供している。処理空間10sはプラズマ生成空間を含んでいる。プラズマ処理装置1では、基板Wは、処理空間10sの中で処理される。チャンバ10は、アルミニウムのような金属から形成されており、接地されている。チャンバ10は、側壁10aを有しており、その上端において開口されている。チャンバ10及び側壁10aは、略円筒形状を有し得る。処理空間10sは、側壁10aの内側に提供されている。チャンバ10、側壁10a、及び処理空間10sの各々の中心軸線は、軸線AXである。チャンバ10は、その表面に耐腐食性を有する膜を有していてもよい。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウム膜、酸化フッ化イットリウム膜、フッ化イットリウム膜、酸化イットリウム、又はフッ化イットリウム等を含むセラミック膜であり得る。
【0011】
チャンバ10の底部は、排気口10eを提供している。排気口10eには、排気装置が接続される。排気装置は、ドライポンプ及び/又はターボ分子ポンプのような真空ポンプと自動圧力制御弁を含み得る。
【0012】
基板支持部12は、処理空間10sの中に設けられている。基板支持部12は、その上面の上に載置された基板Wを略水平に支持するように構成されている。基板支持部12は、略円盤形状を有している。基板支持部12の中心軸線は、軸線AXである。
【0013】
上部電極14は、基板支持部12の上方に処理空間10sを介して設けられている。上部電極14は、金属(例えばアルミニウム)のような導体から形成されており、略円盤形状を有している。上部電極14の中心軸線は、軸線AXである。上部電極14は、後述するシャワープレート22と共に励起電極を構成している。
【0014】
放出部16は、そこからプラズマ生成空間に電磁波を放出するために設けられている。プラズマ処理装置1において、プラズマ生成空間は、処理空間10s内且つ励起電極の直下、即ちシャワープレート22の直下の空間である。プラズマ処理装置1では、放出部16からプラズマ生成空間に放出される電磁波により、処理空間10s内のガスが励起されて、プラズマが生成される。放出部16からプラズマ生成空間に放出される電磁波は、VHF波又はUHF波のような高周波であり得る。放出部16は、石英、窒化アルミニウム、又は酸化アルミニウムのような誘電体から形成されている。放出部16は、処理空間10sの横方向端部に設けられており、軸線AXの周りで周方向に延在している。放出部16は、環形状を有していてもよい。
【0015】
導波部18は、放出部16に電磁波を供給するように構成されている。電磁波は、後述する高周波電源24によって発生される。電磁波は、導波部18を介して放出部16に伝搬し、放出部16から処理空間10s内に導入される。導波部18は、共振器20を含んでいる。共振器20の詳細については、後述する。
【0016】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、シャワープレート22を更に含んでいてもよい。シャワープレート22は、アルミニウムのような金属から形成されていてもよい。放出部16は、シャワープレート22を囲むように延在している。放出部16及びシャワープレート22は、チャンバ10の上端の開口を閉じるように配置されている。シャワープレート22は、複数のガス孔22hを提供している。複数のガス孔22hは、シャワープレート22の厚さ方向(鉛直方向)に延びており、シャワープレート22を貫通している。
【0017】
シャワープレート22は、上部電極14の下に設けられている。シャワープレート22は、上述のプラズマ生成空間上で延在している。シャワープレート22と上部電極14は、それらの間にガス拡散空間14dを画成している。ガス拡散空間14dの中心軸線は、軸線AXであり得る。ガス拡散空間14dには、シャワープレート22の複数のガス孔22hが接続している。また、上部電極14は、入口14hを提供している。入口14hは、軸線AX上で延在していてもよい。入口14hは、ガス拡散空間14dに接続している。ガス拡散空間14dには、ガス供給部26が接続されている。ガス供給部26から出力されるガスは、入口14h、ガス拡散空間14d、及び複数のガス孔22hを介して処理空間10sに供給される。
【0018】
プラズマ処理装置1は、高周波電源24を更に備えていてもよい。高周波電源24は、共振器20の導波路に電気的に結合されており、その周波数が可変である高周波電力を発生するように構成されている。プラズマ生成空間に導入される電磁波は、高周波電源24によって発生される高周波電力に基づいて発生する。高周波電源24は、同軸線路28を用いて共振器20の導波路に直結されていてもよい。即ち、高周波電源24は、インピーダンス整合用の整合器を介さずに、共振器20の導波路に結合されていてもよい。
【0019】
以下、
図1と共に
図2を参照する。
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器における下部を示す図である。
図2は、
図1のII-II線に沿ってとった断面図である。共振器20は、導波路20wを提供している。導波路20wは、金属のような導体から形成された壁(以下、「導体壁」という)によって囲まれた空洞を提供していてもよい。導波路20wの導体壁は、アルミニウム合金、銅、ニッケル、又はステンレス等から形成されていてもよく、銀、金、又はロジウム等の低抵抗材料で被覆されていてもよい。
【0020】
共振器20は、第1の短絡部201及び複数の第2の短絡部202を含んでいる。第1の短絡部201は、共振器20の導波路20wの一端(第1端)を構成している。一実施形態において、第1の短絡部201は、軸線AXの周りで周方向に沿って延在していてもよい。
【0021】
複数の第2の短絡部202は、共振器20の導波路20wの他端(第2端)を構成している。複数の第2の短絡部202は、軸線AXの周りで周方向に沿って軸対称に配列されている。複数の第2の短絡部202は、周方向において等間隔に配列されていてもよい。
図1及び
図2に示す例において、複数の第2の短絡部202の各々は、金属から形成されており、後述する下部を構成する一対の導体壁(上側導体壁と下側導体壁)の間で延びる柱状部材である。
【0022】
共振器20は、複数の間隙20gを提供している。複数の間隙20gは、軸線AXの周りで周方向に沿って複数の第2の短絡部202と交互に配列されている。即ち、共振器20の第2端は、複数の第2の短絡部202と複数の間隙20gを含んでいる。複数の間隙20gは、放出部16に電磁的に結合されている。
図1及び
図2に示す例では、複数の間隙20gは、導波部18の導波路18wを介して放出部16に接続されている。導波路18wは、上部電極14とチャンバ10の側壁10aとの間に提供されていてもよく、軸線AXの周りで延在してもよい。
【0023】
複数の第2の短絡部202のうち周方向において隣り合う二つの任意の第2の短絡部の間の周方向における距離dは、下記の式(1)を満たしていてもよい。
0.05λg<d<0.3λg …(1)
ここで、λgは、導波路20wにおける電磁波の波長である。式(1)が満たされる場合には、共振器20は、導波路20wを伝搬する電磁波の一部を放出部16に供給可能であり、且つ、共振器20内の他端において適度に大きい電磁波の反射係数を有することができる。
【0024】
第1の短絡部201と複数の第2の短絡部202との間での共振器20の共振器長L(第1の短絡部201と複数の第2の短絡部202とを導波路20wに沿って結んだ距離)は、下記の式(2)を満たしていてもよい。
(n-0.2)λg/2<L<nλg/2 …(2)
上述したように、λgは、導波路20wにおける電磁波の波長である。また、nは、1以上の整数である。複数の間隙20gにおけるリアクタンスは、誘導性である。したがって、共振器長Lは、式(2)を満たすように、nλg/2よりも僅かに小さい値に設定され得る。
【0025】
一実施形態において、共振器20の導波路20wは、上部20a及び下部20bを含む層構造を有していてもよい。下部20bは、軸線AXの周りで複数の第2の短絡部202に向けて軸線AXに対して径方向に延びている。上部20aは、下部20bの上方且つ軸線AXの周りで、第1の短絡部201から径方向に対して反対方向に延びている。即ち、上部20aは、第1の短絡部201から軸線AXに近付く方向に延びている。導波路20wは、軸線AXの周りで第1の短絡部201から複数の第2の短絡部202まで蛇行するように径方向とその反対方向とに交互に延びている。
【0026】
一実施形態において、導波路20wは、中間部20cを更に含んでいてもよい。中間部20cは、上部20aと下部20bとの間に設けられている。即ち、中間部20cは、上部20aの下、且つ、下部20bの上に設けられている。中間部20cの一端は、上部20aにおける内側の端部、即ち、第1の短絡部201に対して内側の上部20aの端部に接続している。中間部20cの他端は、下部20bにおける内側の端部、即ち、複数の第2の短絡部202に対して内側の下部20bの端部に接続している。中間部20cは、軸線AXの周りで蛇行するように径方向とその反対方向とに交互に延びていてもよい。
【0027】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、電磁波を導波路20wに導入するためにコネクタ40を更に備えていてもよい。コネクタ40は、同軸線路28の一部である。高周波電源24は、同軸線路28及びコネクタ40を介して、上部20aに結合されている。コネクタ40は、軸線AXから径方向に離れた位置で上部20aに結合されていてもよい。コネクタ40の詳細については後述する。
【0028】
軸線AXが延びる方向、即ち垂直方向における上部20aの長さH
a(又は上部20aの高さ)は、導波路20wの他の部分の垂直方向における長さより長くてもよい。
図1に示す例では、長さH
aは、下部20bの垂直方向における長さH
b(又は下部20bの高さ)及び中間部20cにおける垂直方向における長さH
c(又は中間部20cの高さ)よりも長い。なお、長さH
aは、上部20aの一対の導体壁(上側導体壁と下側導体壁)の間の鉛直方向における距離である。長さH
bは、下部20bの一対の導体壁(上側導体壁と下側導体壁)の間の鉛直方向における距離である。また、長さH
cは、中間部20cの一対の導体壁(上側導体壁と下側導体壁)の間の鉛直方向における距離である。上部20aのリアクタンスは、上部20aの長さH
aにより変化する。したがって、上部20aの長さH
aに応じて、共振器長Lを調整することが可能である。
【0029】
以下、
図1と共に
図3及び
図4を参照して、コネクタ40の構造の例について説明する。
図3は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器及びコネクタを示す部分拡大断面図である。
図4は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器及びコネクタを示す部分拡大平面図である。
図4においては、一対の押さえ部材のうち一方が部分的に破断された状態が示されている。
【0030】
コネクタ40は、上述したように上部20aにおいて導波路20wと結合されている。コネクタ40は、軸線AXに対して径方向に沿って移動可能に構成されていてもよい。この場合には、コネクタ40が共振器20に結合する位置を、電磁波の反射を抑制することが可能な位置(例えば、無反射の位置)に調整することが可能である。
【0031】
一実施形態において、コネクタ40は、同軸コネクタであってもよい。この場合において、コネクタ40は、中心導体41、外側導体42、スペーサ43、結合ロッド44、及び一つ以上のコンタクト部材45を含んでいてもよい。
【0032】
中心導体41は、棒状をなしている。中心導体41は、高周波電源24に電気的に接続される。外側導体42は、円筒形状を有している。中心導体41は、外側導体42と同軸状に設けられている。スペーサ43は、ポリテトラフルオロエチレンのような絶縁体材料から形成されている。スペーサ43は、中心導体41と外側導体42との間に介在している。
【0033】
上部20aの上側導体壁203aには、上部20aの空洞に接続する貫通孔203hが形成されている。貫通孔203hは、軸線AXに対して径方向に長く延びている。上側導体壁203aは、貫通孔203hの両側に支持面203sを提供している。支持面203sは、上方を向いている。
【0034】
結合ロッド44は、中心導体41の下端に結合している。結合ロッド44は、貫通孔203hを通って下方に延びている。一つ以上のコンタクト部材45は、結合ロッド44の下端に設けられている。一つ以上のコンタクト部材45は、上部20aの下側導体壁203bに弾性的に接触し得る。一実施形態において、コネクタ40は、一つ以上のコンタクト部材45が結合ロッド44から脱落することを防止するために、マグネット46を結合ロッド44内に内蔵していてもよい。
【0035】
一実施形態において、コネクタ40は、一つ以上のコンタクト部材45として、複数のコンタクトプローブを含んでいてもよい。複数のコンタクトプローブの各々は、バレル、当該バレルの内孔の中に配置されたスプリング、当該バレルの内孔から下方に延び当該スプリングによって下方に付勢されるプランジャを含む。複数のコンタクトプローブは、結合ロッド44の中心軸線の周りで周方向に沿って配列されていてもよい。或いは、コネクタ40は、一つ以上のコンタクト部材45として、スパイラルスプリングガスケット又は斜め巻コイルスプリングを有していてもよい。
【0036】
外側導体42は、支持面203sに接触している。外側導体42は、支持面203s上で径方向に沿って移動可能である。したがって、コネクタ40は、高周波電力の反射を抑制するよう、その径方向における上部20aとの結合位置を調整することが可能である。
【0037】
コネクタ40の径方向における位置が設定された状態で、外側導体42は、支持面203sと一対の押さえ部材50の各々との間で挟持されてもよい。一対の押さえ部材50の各々は、例えば板状をなしている。一対の押さえ部材50は、複数のボルトを用いて上側導体壁203aに固定される。また、貫通孔203hからの電磁波の漏れを防止すべく一つ以上のカバー52が、貫通孔203hを覆うように配置されてもよく、支持面203sと一対の押さえ部材50の各々との間で挟持されてもよい。
【0038】
一実施形態において、外側導体42は、第1部材42a及び第2部材42bを含んでいてもよい。第1部材42aは、第2部材42b上に設けられており、第2部材42bに固定されている。第1部材42aは、筒形状を有している。スペーサ43は、第1部材42aと中心導体41との間に設けられている。第2部材42bは、板状をなしており、第1部材42aの内孔に連続する貫通孔を提供している。第2部材42bは、支持面203sと一対の押さえ部材50の各々との間で挟持される。
【0039】
以上説明したプラズマ処理装置1では、第1の短絡部201と複数の第2の短絡部202との間で電磁波の共振が促進される。また、第1の短絡部201と複数の第2の短絡部202によれば、周方向に均一な電磁波の共振が促進される。共振した電磁波は、複数の第2の短絡部202の間の複数の間隙20gを通って放出部16から処理空間10sに放出される。したがって、プラズマ処理装置1によれば、第1の短絡部201と複数の第2の短絡部202との間で共振した電磁波により、プラズマが効率的に生成される。
【0040】
以下、
図5及び
図6を参照して、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。
図5は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
図6は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器における下部を示す図である。
図6は、
図5のVI-VI線に沿ってとった断面図である。以下、
図5及び
図6に示すプラズマ処理装置1Bについて、プラズマ処理装置1に対する相違点の観点から説明する。
【0041】
プラズマ処理装置1Bは、上部電極14に代えて、上部電極14Bを備えている。上部電極14Bは、複数のスロット14sを提供しており、複数の梁14bを含んでいる。複数のスロット14sは、放出部16の上方に配置されている。複数のスロット14sは、上部電極14Bをその厚さ方向(鉛直方向)に沿って貫通しており、周方向に長く延びている。複数のスロット14sは、互いに離間しており、軸線AXの周りで周方向に沿って配列されている。複数のスロット14sは、等間隔に配列されていてもよい。複数の梁14bは、軸線AXの周りで周方向に沿って複数のスロット14sと交互に配列されている。複数の梁14bは、上部電極14Bの内側部分と外側部分を互いに連結している。
【0042】
プラズマ処理装置1Bの共振器20においては、複数のスロット14sが、複数の間隙20gを構成している。また、複数のスロット14s及び複数の梁14bは、壁面20wbで構成され且つ導波路20wの他端を構成する第2の短絡部の近傍に又は該第2の短絡部に沿って設けられている。
【0043】
プラズマ処理装置1Bでは、第1の短絡部201と壁面20wbとの間で、電磁波の共振が生じる。共振器200において共振した電磁波は、複数の間隙20g、即ち複数のスロット14sを通って放出部16に供給される。放出部16に供給された電磁波は、放出部16から処理空間10sに放出される。
【0044】
以下、
図7を参照する。
図7は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器における下部を示す図である。
図7に示す実施形態は、
図1~
図4に示すプラズマ処理装置の変形例である。
図2に示す例では、複数の間隙20gの個数は、8個であり、偶数個である。また、複数の第2の短絡部202の個数も、8個であり、偶数個である。複数の間隙20gの個数及び複数の第2の短絡部202の個数の各々は、8個以外の偶数個であってもよい。
図7に示す実施形態では、複数の間隙20gの個数は、5個であり、奇数個である。また、複数の第2の短絡部202の個数も、5個であり、奇数個である。複数の間隙20gの個数及び複数の第2の短絡部202の個数の各々は、5個以外の他の奇数個であってもよい。複数の間隙20gの個数が、奇数個である場合には、プラズマ生成空間における軸線AX周りでの2回回転対称な電界強度分布(又はプラズマ密度分布)の生成が、複数の間隙20gの個数が偶数個である場合に比べて、抑制される。なお、
図7に示すプラズマ処理装置の他の構成は、
図1~
図4に示すプラズマ処理装置1の対応の構成と同一である。
【0045】
以下、
図8を参照する。
図8は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の共振器における下部を示す図である。
図8に示す実施形態は、
図5~
図6に示すプラズマ処理装置の変形例である。
図6に示す例では、複数の間隙20g(即ち複数のスロット14s)の個数は、8個であり、偶数個である。また、複数の梁14bの個数も、8個であり、偶数個である。複数の間隙20gの個数及び複数の梁14bの個数の各々は、8個以外の偶数個であってもよい。
図8に示す実施形態では、複数の間隙20g(即ち複数のスロット14s)の個数は、7個であり、奇数個である。また、複数の梁14bの個数も、7個であり、奇数個である。複数の間隙20gの個数及び複数の梁14bの個数の各々は、7個以外の他の奇数個であってもよい。複数の間隙20gの個数が、奇数個である場合には、プラズマ生成空間における軸線AX周りでの2回回転対称な電界強度分布(又はプラズマ密度分布)の生成が、複数の間隙20gの個数が偶数個である場合に比べて、抑制される。なお、
図7に示すプラズマ処理装置の他の構成は、
図5~
図6に示すプラズマ処理装置1Bの対応の構成と同一である。
【0046】
以下、
図9~
図12を参照して、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。
図9は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
図10は、
図9のX-X線に沿ってとった断面図である。
図11は、
図9のXI-XI線に沿ってとった断面図である。
図12は、
図9のXII-XII線に沿ってとった断面図である。以下、
図9~
図12に示すプラズマ処理装置1Cについて、プラズマ処理装置1Bに対する相違点の観点から説明する。
【0047】
プラズマ処理装置1Cは、ガス管64を更に備えている。ガス管64は、後述する共振器20Cの内側部31iの内側で鉛直方向に延びている。ガス管64の中心軸線は、軸線AX上に位置している。ガス管64は、ガス拡散空間14dとガス供給部26との間で接続されている。
【0048】
プラズマ処理装置1Cは、共振器20に代えて、共振器20Cを含んでいる。共振器20Cは、励起電極13上に設けられている。励起電極13は、上部電極14及びシャワープレート22を含んでいる。共振器20Cは、共振器20と同様に、導波路20wを画成する導体部31を含んでいる。導体部31は、金属のような導電性材料から形成されている。導体部31を形成する導電性材料は、アルミニウム、ステンレス、銅、又は真鍮等を含み得る。
【0049】
共振器20Cは、第1端301及び第2端302である壁31wbを含む。第1端301は、上述の第1の短絡部201と同じであり、導波路20wの一端を構成しており、軸線AXの周りで周方向に沿って延在している。第2端302、即ち壁31wbは、導波路20wの他端である。壁31wbの近傍に又は壁31wbに沿って、複数の梁202b及び複数の間隙20g(即ち、複数のスロット302s)が配置されている。複数の梁202bと複数の複数のスロット302sは、周方向に沿って交互に配列されている。複数のスロット302sは、周方向に長く延びており、放出部16に電磁的に結合されている。複数のスロット302sは、互いに離間しており、軸線AXの周りで周方向に沿って配列されている。複数のスロット302sは、等間隔に配列されていてもよい。
【0050】
コネクタ40は、導波路20wの後述する複数の層320のうち最上層(即ち上部20a)から共振器20C内に電磁波を導入するよう、共振器20Cに接続されている。コネクタ40の内導体は、最上層を下方から画成する後述の導体板31pに接続され、コネクタ40の外導体は、最上層を上方から画成する導体板31p(上壁31u)に接続される。
【0051】
一実施形態において、導波路20wは、プラズマ処理装置1及び1Bの共振器の導波路と同様に、複数の折り返し部を含む折り返し構造を有している。一実施形態において、導波路20wは、軸線AXに対して軸対称又は回転対称に構成されていてもよい。また、一実施形態において、導体部31は、共振器20の導体部と同様に、内側部31i(又は内周部)、外側部31o(又は外周部)、及び複数の導体板31pを含んでいてもよい。内側部31i及び外側部31oは、軸線AXに対して同軸状に延在している。複数の導体板31pは、軸線AXに対して放射方向に延在しており、軸線AXが延びる方向である鉛直方向に沿って互いに平行に配列されている。
【0052】
共振器20Cの導波路20wは、共振器20の導波路20wと同様に、複数の層320を含んでいてもよい。複数の層320は、内側部31iと外側部31oとの間で軸線AXに対して放射方向に延びており、且つ、複数の導体板31pと交互に配列されている。複数の層320の各々は、複数の層320のうちその上の層と内側部31i又は外側部31oに沿った複数の折り返し部のうちの一つにおいて接続されている。
【0053】
一実施形態において、第1端301は、第2端302である壁31wbに対して上方に設けられている。第1端301は、外側部31oによって提供されている。第1端301は、複数の層320のうち最上層(即ち上部20a)を囲んでいる。第2端302は、複数の層320のうち最下層(下部20b)を囲む壁31wbから構成されている。第2端302は、放出部16の上方で軸線AX周りに周方向に延在している。また、複数のスロット302s及び複数の梁202bは、複数の導体板31pのうち最下層を下方から画成する最下部の導体板31bに設けられている。導体板31bは、上部電極14の上方で延在している。一実施形態において、軸線AXと複数のスロット302sそれぞれの外縁との間の径方向の距離は、壁31wbの多角形の内接円の半径と略同一であってもよい。この共振器20Cでは、電磁波が第2端302である壁31wbから第1端301に向けて反射される。また、共振器20Cにおいて伝搬する電磁波の一部は、複数のスロット302sを通って放出部16に結合される。
【0054】
プラズマ処理装置1Cにおいて、内側部31iは、その中心軸線が軸線AXである略円筒形状を有し得る。内側部31iは、鉛直方向において隣り合う導体板31pの間で延びる筒状(例えば円筒状)の導体壁から形成されていてもよい。
【0055】
外側部31oは、略筒形状を有しており、軸線AXをその中心軸線として有する。外側部31oは、複数の壁31wを含んでいてもよい。複数の壁31wの各々は、鉛直方向において隣り合う対応の導体板31pの間で延びており、略筒形状を有している。複数の壁31wのうち少なくとも最下層(下部20b)を囲む壁31wbは、軸線AXに直交する断面において多角形の辺に沿って延在している。複数の壁31wのうち二つ以上又は全ての壁31wが、軸線AXに直交する断面において多角形の辺に沿って延在していてもよい。一実施形態においては、壁31wbは、多角筒形状(polygonal tube shape)を有していてもよい。また、複数の壁31wのうち二つ以上又は全ての壁31wの各々が、多角筒形状をなしていてもよい。なお、図示された例では、多角形は、正九角形であるが、他の多角形であってもよい。
【0056】
一実施形態において、壁31wbは、複数の板状体311から形成されていてもよい。また、複数の壁31wのうち二つ以上の各々又は全ての壁31wの各々が、複数の板状体311から形成されていてもよい。複数の板状体311の各々は、上述の金属から形成されている。複数の板状体311の各々は、平板であってもよい。複数の板状体311の各々は、軸線AXに直交する断面において上述の多角形の対応の辺に沿って延在する。
【0057】
共振器20Cでは、導体板31bにおいて軸線AXに対して径方向に流れる電流の大きさは、軸線AXから上述の多角形の角に向かう方向において最小であり、上述の多角形の各辺の中心において最大である周方向の分布を有する。したがって、複数のスロット302sの各々においては、周方向において電界の強度分布が調整される。
【0058】
一実施形態において、複数のスロット302sの個数と上記の多角形の複数の角の個数は同数であってもよい。また、上記の多角形の複数の角の各々の位置と複数のスロット302sのうち対応のスロットの周方向における中心位置は、軸線AXに対して径方向において整列していてもよい。通常、導体板31bにおいてスロット302sの各々の中心に向けて径方向に流れる電流の大きさは最大になる。一方、共振器20Cでは、導体板31bにおいて径方向に流れる電流の大きさは、複数のスロット302sの各々の中心において弱められ、隣り合うスロット302sの間において強められる周方向の分布を有する。したがって、複数のスロット302sの各々において、周方向における電界強度の分布の均一性が高くなる。
【0059】
複数の板状体311は、上述の多角形の角に間隙を提供するように互いから離間していてもよい。複数の板状体311が上述の多角形の角に間隙を提供するように互いから離間している場合には、多角形の角に向けて径方向に流れる電流の大きさが、より低減される。なお、複数の板状体311の各々の鉛直方向に延びる縁は、複数の板状体311のうち対応する他の板状体の鉛直方向に延びる縁と上述の多角形の対応の角において接続されていてもよい。
【0060】
共振器20Cにおいて、スロット302sの個数は、9個である。即ち、スロット302sの個数は、奇数個である。スロット302sの個数が奇数個である場合には、プラズマ生成空間における軸線AX周りでの2回回転対称な電界強度分布(又はプラズマ密度分布)の生成が、スロット302sの個数が偶数個である場合に比べて、抑制される。なお、スロット302sの個数は、5個以上であれば、9個以外の奇数個であってもよい。なお、共振器20Cにおけるスロット302sの個数は、偶数個であってもよい。
【0061】
プラズマ処理装置1Cにおいて、複数のスロット302sの個数と上述の多角形の複数の角の個数は同数であってもよい。したがって、プラズマ処理装置1Cでは、上述の多角形の角の個数は、奇数個であってもよい。図示された例では、上述したように、多角形は、正九角形である。
【0062】
また、共振器20Cは、外側部31oの何れかの壁31wにおいて、導波路32と共振器20Cの外部とを互いに接続する複数の入口31hを提供していてもよい。複数の入口31hは、周方向に沿って配列されていてもよい。一実施形態では、複数の入口31hは、壁31wbにおいて提供されており、導波路20wの複数の層320のうち最下層(下部20b)と共振器20Cの外部とを接続している。
【0063】
励起電極13(例えば上部電極14)は、加熱機構143を内蔵していてもよい。加熱機構143は、抵抗加熱素子のようなヒータであってもよい。この場合には、加熱機構143は、ヒータ電源に接続される。ヒータ電源の電力は、温度センサによる励起電極13の温度の測定値と目標値との差に応じて制御部によって制御されてもよい。
【0064】
プラズマ処理装置1Cにおいて、上部電極14は、複数のスロット14sを提供している。複数のスロット14sは、複数のスロット302sの直下にそれぞれ設けられている。また、上部電極14は、複数のスロット302sの各々と放出部16との間に導波路14wを提供している。導波路14wは、軸線AX中心に周方向に延在しており、平面視では環形状を有している。プラズマ処理装置1Cでは、複数のスロット302sから放出された電磁波は、複数のスロット14s及び導波路14wを経由して放出部16に供給される。
【0065】
また、上部電極14は、導波路14wの内側且つ上部電極14と共振器20Cとの間に、空洞421を提供している。空洞421は、複数の連通孔14cを介して導波路14wに接続されている。複数の連通孔14cは、周方向に沿って配列されている。プラズマ処理装置1Cにおいて、空洞421は、入口31h、導波路20w、複数のスロット302s、複数のスロット14s、導波路14w、及び複数の連通孔14cを介して、共振器20Cの外部の空間と繋がっている。
【0066】
プラズマ処理装置1Cは、ヒートシンク71及びファン72を更に備えていてもよい。ヒートシンク71は、共振器20Cの上方で、支持体70上に配置されている。ファン72は、支持体70によって支持されており、ヒートシンク71内の流路と接続されている。また、プラズマ処理装置1Cにおいて、共振器20Cの内側部31iとガス管64との間には、空洞422が設けられている。空洞422は、空洞421とヒートシンク71の流路との間で接続されている。空洞421とヒートシンク71は、カバー73によって覆われている。
【0067】
プラズマ処理装置1Cでは、共振器20Cの外部の気体(例えば大気)が、入口31h、導波路20w、複数のスロット302s、複数のスロット14s、導波路14w、及び複数の連通孔14cを通って、空洞421に供給される。空洞421に供給された気体は、上部電極14の上面に沿って流れて上部電極14、即ち励起電極13と熱交換を行う。しかる後に、気体は、空洞422を通ってヒートシンク71内の流路に供給され、ヒートシンク71において冷却されて、ファン72から外部に排出される。
【0068】
以下、
図13及び14を参照して、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。
図13は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
図14は、
図13のXIV-XIV線に沿ってとった断面図である。以下、
図13及び
図14に示すプラズマ処理装置1Dについて、プラズマ処理装置1Cに対する相違点の観点から説明する。
【0069】
プラズマ処理装置1Dは、電極60を更に備えている。電極60は、別の励起電極である。電極60は、略円盤形状を有しており、チャンバ10の上端の開口を閉じるように配置されている。電極60は、複数の孔60hを提供している。複数の孔60hは、電極60を厚さ方向に貫通している。励起電極13は、電極60の上方に配置されている。励起電極13と電極60は、それらの間にプラズマ生成空間60pを形成している。プラズマ処理装置1Dにおいて、プラズマ生成空間60pは、処理空間10sから離れて、処理空間10sの上方に設けられている。
【0070】
放出部16は、プラズマ生成空間60pを囲んでおり、励起電極13と電極60との間で挟持されている。プラズマ処理装置1Dにおいて、ガス供給部26からのガスは、ガス拡散空間14dを介して複数のガス孔22hからプラズマ生成空間60pに吐出される。プラズマ生成空間60p内のガスは、放出部16からプラズマ生成空間60pに放出される電磁波により励起される。その結果、プラズマ生成空間60pにおいて、プラズマが生成される。プラズマ生成空間60p内で生成されたプラズマ中の活性種は、複数の孔60hから処理空間10sに供給される。
【0071】
プラズマ処理装置1Dは、共振器20Cに代えて共振器20Dを備えている。共振器20Dにおいて、導体部31の外側部31oは、軸線AXを中心とする略円筒形状を有していてもよい。また、共振器20Dにおいて、導体部31の導体板31bは、上部電極14であってもよい。即ち、共振器20Dにおいて、複数のスロット302s及び複数の梁202bは、上部電極14に形成されていてもよい。
【0072】
共振器20Dにおいて、スロット302sの個数は、7個である。即ち、共振器20Dにおいて、スロット302sの個数は、奇数個である。スロット302sの個数は、7個以外の奇数個であってもよい。共振器20Dにおけるスロット302sの個数は、偶数個であってもよい。なお、プラズマ処理装置1Dの他の構成は、プラズマ処理装置1Cの対応の構成と同一である。
【0073】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0074】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E13]に記載する。
【0075】
[E1]
その内部において処理空間を提供するチャンバと、
前記処理空間内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部の上方に前記処理空間を介して設けられた上部電極と、
プラズマ生成空間に電磁波を放出するように設けられており、前記チャンバ及び前記処理空間の中心軸線の周りで周方向に延在する、放出部と、
前記放出部に前記電磁波を供給するように構成された導波部と、
を備え、
前記導波部は、導波路を提供する共振器を含み、
前記共振器は、該共振器の前記導波路の一端を構成する第1の短絡部及び該共振器の前記導波路の他端を構成する複数の第2の短絡部又は壁面で構成され該他端を構成する第2の短絡部に沿って設けられた複数の梁を含み、
前記複数の第2の短絡部又は前記複数の梁は、前記中心軸線の周りで周方向に沿って軸対称に配列されており、
前記複数の第2の短絡部又は前記複数の梁と前記放出部に電磁的に結合される複数の間隙とが、前記中心軸線の周りで前記周方向に沿って交互に配列されている、
プラズマ処理装置。
【0076】
[E2]
前記複数の第2の短絡部のうち前記周方向において隣り合う二つの任意の第2の短絡部の間又は前記複数の梁のうち前記周方向において隣り合う二つの任意の梁の間の該周方向における距離dは、下記の式(1)を満たし、
0.05λg<d<0.3λg …(1)
ここで、λgは、前記共振器の前記導波路における前記電磁波の波長である、
E1に記載のプラズマ処理装置。
【0077】
[E3]
前記第1の短絡部と前記第2の短絡部又は前記複数の第2の短絡部との間での前記共振器の共振器長Lは、下記の式(2)を満たし、
(n-0.2)λg/2<L<nλg/2 …(2)
ここで、λgは、前記共振器の前記導波路における前記電磁波の波長であり、nは整数である、E1又はE2に記載のプラズマ処理装置。
【0078】
[E4]
前記共振器の前記導波路は、前記中心軸線の周りで前記複数の第2の短絡部又は前記複数の梁に向けて前記中心軸線に対して径方向に延びる下部を含む、E1~E3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0079】
[E5]
前記第1の短絡部は、前記中心軸線の周りで前記周方向に沿って延在しており、
前記共振器の前記導波路は、
前記下部の上方且つ前記中心軸線の周りで、前記第1の短絡部から前記径方向に対して反対方向に延びる上部を含み、
前記中心軸線の周りで前記第1の短絡部から前記第2の短絡部又は前記複数の第2の短絡部まで蛇行するように前記径方向と前記反対方向とに交互に延びている、
E4に記載のプラズマ処理装置。
【0080】
[E6]
前記電磁波を前記共振器の前記導波路に導入するためのコネクタを更に備え、
前記コネクタは前記上部に結合されている、
E5に記載のプラズマ処理装置。
【0081】
[E7]
前記中心軸線が延びる垂直方向における前記上部の長さは、前記共振器の前記導波路の他の部分の前記垂直方向における長さよりも長い、E6に記載のプラズマ処理装置。
【0082】
[E8]
前記コネクタは、前記中心軸線から径方向に離れた位置で前記上部に結合されている、E6又はE7に記載のプラズマ処理装置。
【0083】
[E9]
前記複数の第2の短絡部の各々は、金属から形成されており、前記下部を構成する一対の導体壁の間で延びる柱状部材である、E4~E8の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0084】
[E10]
前記上部電極は、前記複数の間隙として前記放出部の上方に設けられており前記中心軸線の周りで前記周方向に沿って配列された複数のスロットを提供しており、前記複数の梁は、前記複数のスロットと前記周方向に沿って交互に配列されている、E4~E8の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0085】
[E11]
前記上部電極の下に配置されたシャワープレートを更に備え、
前記放出部は、前記シャワープレートを囲むように延在している、
E1~E10の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0086】
[E12]
前記共振器の前記導波路に電気的に結合されており、その周波数が可変である高周波電力を発生して、前記電磁波を該導波路内に供給するように構成された高周波電源を更に備える、E1~E11の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0087】
[E13]
前記複数の間隙の個数は、奇数個である、E1~12の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0088】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0089】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、12…基板支持部、14…上部電極、16…放出部、18…導波部、20…共振器、20w…導波路、201…第1の短絡部、202…第2の短絡部。