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特開2024-102試験管理システム、試験管理プログラム、及び試験管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000102
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】試験管理システム、試験管理プログラム、及び試験管理方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/00 20060101AFI20231225BHJP
   G01M 15/02 20060101ALI20231225BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20231225BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20231225BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20231225BHJP
【FI】
G01M17/00
G01M15/02
G01M17/007 Z
G06Q10/00 300
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098659
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】三十木 努
【テーマコード(参考)】
2G087
5L049
【Fターム(参考)】
2G087BB01
5L049AA06
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】法規に従った試験を始める際に、その試験に用いられる複数の試験設備の全体が法規適合状態であるか否かを把握できるようにする。
【解決手段】試験室R1に設けられた複数の試験設備Dを用いて法規に従った試験をするための試験管理システムであって、試験設備Dそれぞれの状態が、法規に定められている状態である法規適合状態であるか否かを判断する状態判断部2と、状態判断部2の判断結果に基づいて、試験室が法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示する表示部3とを備えるようにした。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験室に設けられた複数の試験設備を用いて法規に従った試験をするための試験管理システムであって、
前記試験設備それぞれの状態が、前記法規に定められている状態である法規適合状態であるか否かを判断する状態判断部と、
前記状態判断部の判断結果に基づいて、前記試験室が前記法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示する表示部とを備える、試験管理システム。
【請求項2】
複数種類の法規それぞれに従った試験をするための試験管理システムであり、
前記表示部が、それぞれの法規の種別ごとに、前記状態判断部の判断結果に基づいて、前記試験室がその法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示する、請求項1記載の試験管理システム。
【請求項3】
複数の試験室それぞれにおいて法規に従った試験をするため試験管理システムであり、
前記表示部が、前記状態判断部の判断結果に基づいて、前記試験室それぞれが前記法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示する、請求項1又は2記載の試験管理システム。
【請求項4】
前記試験設備それぞれに対して前記法規に定められている1又は複数の検査項目と、前記試験設備それぞれに応じた前記検査項目の検査結果とを関連付けた法規検査データが保存される法規検査データ保存部をさらに備え、
前記状態判断部が、前記法規検査データに基づいて、前記試験設備それぞれが前記法規適合状態であるか否かを判断する、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の試験管理システム。
【請求項5】
前記法規検査データには、前記検査結果が得られた検査日が含まれており、
前記状態判断部が、前記検査結果及び前記検査日に基づいて、前記試験設備それぞれが前記法規適合状態であるか否かを判断する、請求項4記載の試験管理システム。
【請求項6】
法規適合状態にある前記試験設備が満たすべき条件である適合条件を記憶する適合条件格納部をさらに備え、
前記状態判断部が、前記適合条件に基づいて、前記試験設備それぞれが法規適合状態であるか否かを判断する、請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の試験管理システム。
【請求項7】
法規に従って試験した試験結果及びこの試験結果の演算に用いられた生データを前記複数の試験設備から取得する結果取得部と、
前記法規で定められている演算規則を示す演算規則データを格納した演算規則データ格納部と、
前記生データ及び前記演算規則データを用いて前記試験結果を再計算する再計算部とを備える、請求項1乃至6のうち何れか一項に記載の試験管理システム。
【請求項8】
前記試験結果と、前記再計算部の計算結果である再計算結果とを比較可能に出力する出力部をさらに備える、請求項7記載の試験管理システム。
【請求項9】
前記試験結果と前記再計算結果とを比較して、前記試験結果が前記演算規則に従って演算されたものであるか否かを検証する結果検証部をさらに備える、請求項8記載の試験管理システム。
【請求項10】
試験車両又はその一部の供試体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
複数の前記試験室それぞれに対応する試験室表示欄を画面に出力するとともに、前記位置情報に基づいて、前記供試体が配置されている前記試験室に対応する前記試験室表示欄に前記供試体を示すマーカを表示する表示部とを備えている、請求項1乃至9のうち何れか一項に記載の試験管理システム。
【請求項11】
前記試験室に設けられているリーダを用いて前記供試体の識別タグを読み取ることで、その識別タグの識別子と、前記リーダが設けられている前記試験室を示す試験室識別子とが結び付けられて出力される、請求項10記載の試験管理システム。
【請求項12】
試験室に設けられた複数の試験設備を用いて法規に従った試験をするための試験管理プログラムであって、
前記試験設備それぞれの状態が、前記法規に定められている状態である法規適合状態であるか否かを判断する状態判断部と、
前記状態判断部の判断結果に基づいて、前記試験室が前記法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示する表示部としての機能をコンピュータに発揮させる、試験管理プログラム。
【請求項13】
試験室に設けられた複数の試験設備を用いて法規に従った試験をするための試験管理方法であって、
前記試験設備それぞれの状態が、前記法規に定められている状態である法規適合状態であるか否かを判断する状態判断ステップと、
前記状態判断ステップの判断結果に基づいて、前記試験室が前記法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示する表示ステップとを備える、試験管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験管理システム、試験管理プログラム、及び試験管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の試験管理システムとしては、特許文献1に示すように、例えば試験車両の温度などのトレーサビリティを取得することで、法規に従った試験が実施されていることを担保できるように図ったものがある。
【0003】
ここで、法規に従った試験を実施するためには、その試験に用いられる複数の試験設備が法規で定められている手順で定期的に検査されていることなどが必要である。
【0004】
しかしながら、現状では、設備担当者が定期的に試験設備を検査したとしても、その検査結果が設備担当者側でのみ保存していたり、或いは、紙面に印字されて保管されていたりして、試験結果を管理する管理担当者からすると、試験の際に試験設備の定期検査がなされていることのエビデンスを確認することが難しい。
【0005】
そのうえ、近年では、法規が多様化しており、しかも1つの法規に定められている検査手順も多くなっていることから、設備担当者にとっても全ての設備を常に保全しておくことが難しくなってきている。
【0006】
その結果、試験時に法規不適合な試験設備を使ってしまい、そのことが後から遡って問題になることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-118671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するものであり、法規に従った試験を始める際に、その試験に用いられる複数の試験設備の全体が法規適合状態であるか否かを把握できるようにすることを課題するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る試験管理システムは、試験室に設けられた複数の試験設備を用いて法規に従った試験をするための試験管理システムであって、前記試験設備それぞれの状態が、前記法規に定められている状態である法規適合状態であるか否かを判断する状態判断部と、前記状態判断部の判断結果に基づいて、前記試験室が前記法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示する表示部とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
このように構成された試験管理システムによれば、複数の試験設備が設けられている試験室が全体として法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示するので、試験を始める際にその表示内容を確認することで、その試験に用いられる複数の試験設備が全体として法規適合状態であるか否かを把握することができる。
【0011】
複数種類の法規それぞれに従った試験をするための試験管理システムであり、前記表示部が、それぞれの法規の種別ごとに、前記状態判断部の判断結果に基づいて、前記試験室がその法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示することが好ましい。
これならば、それぞれの法規の種別ごとに、それらの試験に用いられる複数の試験設備が全体として法規適合状態であるか否かを把握することができる。
【0012】
複数の試験室それぞれにおいて法規に従った試験をするため試験管理システムであり、前記表示部が、前記状態判断部の判断結果に基づいて、前記試験室それぞれが前記法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示することが好ましい。
これならば、複数の試験室それぞれに対して、法規に従った試験を実施可能であるか否かを把握することができる。
【0013】
前記試験設備それぞれに対して前記法規に定められている1又は複数の検査項目と、前記試験設備それぞれに応じた前記検査項目の検査結果とを関連付けた法規検査データが保存される法規検査データ保存部をさらに備え、前記状態判断部が、前記法規検査データに基づいて、前記試験設備それぞれが前記法規適合状態であるか否かを判断することが好ましい。
これならば、法規に定められている検査項目の検査結果を、試験設備が法規適合状態であることのエビデンスとして用いることができ、試験結果の管理に資する。
【0014】
前記法規検査データには、前記検査結果が得られた検査日が含まれており、前記状態判断部が、前記検査結果及び前記検査日に基づいて、前記試験設備それぞれが前記法規適合状態であるか否かを判断することが好ましい。
これならば、法規検査データに検査結果が得られた検査日が含まれているので、試験設備それぞれに対して、法規で定められている定期検査がなされていることのエビデンスが得られる。
【0015】
試験設備が法規適合状態であるかを判断するための具体的な実施態様としては、法規適合状態にある前記試験設備が満たすべき条件である適合条件を記憶する適合条件格納部をさらに備え、前記状態判断部が、前記適合条件に基づいて、前記試験設備それぞれが法規適合状態であるか否かを判断する態様を挙げることができる。
【0016】
ところで、試験設備を用いて最終的に得られる試験結果は、その試験で得られた生データを法規で定められている演算規則に従って演算されたものである必要がある。
しかしながら、法規の改定に伴って演算規則が変わっており、改定前の演算規則が用いられるままであると、最終的に得られる試験結果は法規に従ったものとはならず、しかもそのことに気付かなければ、後から遡って問題になることがある。
【0017】
そこで、法規に従って試験した試験結果及びこの試験結果の演算に用いられた生データを前記複数の試験設備から取得する結果取得部と、前記法規で定められている演算規則を示す演算規則データを格納した演算規則データ格納部と、前記生データ及び前記演算規則データを用いて前記試験結果を再計算する再計算部とを備えることが好ましい。
これならば、試験結果と再計算部の再計算結果とを比較することで、これらの結果が一致していれば、試験結果が法規で定められている演算規則に従って演算されたものであることが分かり、逆に、これらの結果が不一致であれば、試験結果の演算に法規で定められている演算規則が用いられていないことに気付くことができる。
従って、何れの場合においても、最終的には法規に従った試験結果を得ることができる。
【0018】
前記試験結果と、前記再計算部の計算結果である再計算結果とを比較可能に出力する出力部をさらに備えることが好ましい。
これならば、試験結果と再計算結果との一致又は不一致を一見して把握することができる。
【0019】
前記試験結果と前記再計算結果とを比較して、前記試験結果が前記演算規則に従って演算されたものであるか否かを検証する結果検証部をさらに備えることが好ましい。
これならば、試験結果は法規に従ったものであるかを客観的に検証させることができる。
【0020】
車両又はその一部の供試体の位置情報を取得する位置情報取得部と、複数の前記試験室それぞれに対応する試験室表示欄を画面に出力するとともに、前記位置情報に基づいて、前記供試体が配置されている前記試験室に対応する前記試験室表示欄に前記供試体を示すマーカを表示する表示部とを備えていることが好ましい。
このように構成によれば、供試体を示すマーカが、その供試体が配置されている試験室に対応する試験室表示欄に表示されるので、どの供試体の位置や、その検査を行っているかなどの検査状況を確認することができ、その結果、検査工程の抜けや検査中に発生した異常に気づくことが可能となる。
【0021】
より具体的な実施態様としては、前記試験室に設けられているリーダを用いて前記供試体の識別タグを読み取ることで、その識別タグの識別子と、前記リーダが設けられている前記試験室を示す試験室識別子とが結び付けられて出力される態様を挙げることができる。
【0022】
本発明に係る試験管理プログラムは、試験室に設けられた複数の試験設備を用いて法規に従った試験をするためのプログラムであって、前記試験設備それぞれの状態が、前記法規に定められている状態である法規適合状態であるか否かを判断する状態判断部と、前記状態判断部の判断結果に基づいて、前記試験室が前記法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示する表示部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするものである。
【0023】
本発明に係る試験管理方法は、試験室に設けられた複数の試験設備を用いて法規に従った試験をするための方法であって、前記試験設備それぞれの状態が、前記法規に定められている状態である法規適合状態であるか否かを判断する状態判断ステップと、前記状態判断ステップの判断結果に基づいて、前記試験室が前記法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示する表示ステップとを備えることを特徴とする方法である。
【0024】
上述した試験管理プログラム及び試験管理方法によれば、上述した試験管理システムと同様の作用効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0025】
以上に述べた本発明によれば、法規に従った試験を始める際に、その試験に用いられる複数の試験設備の全体が法規適合状態であるか否かを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態における試験管理システムを示す模式図。
図2】同実施形態の試験管理システムの機能を示す機能ブロック図。
図3】同実施形態の試験管理システムに用いられる法規検査データを説明する図。
図4】同実施形態の試験管理システムの動作を説明するフローチャート。
図5】同実施形態の表示部による表示内容を示す模式図。
図6】同実施形態の表示部により表示される詳細画面を示す模式図。
図7】第2実施形態の試験管理システムの機能を示す機能ブロック図。
図8】第3実施形態の試験管理システムの機能を示す機能ブロック図。
図9】第4実施形態の試験管理システムの機能を示す機能ブロック図。
図10】第4実施形態の表示部による表示内容を示す模式図。
図11】第4実施形態の表示部による表示内容を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る試験管理システムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
試験管理システムは、複数の試験設備を用いて法規に従った試験をするためのものであり、かかる試験としては、例えば車両或いはその一部の性能試験、工場や排水処理施設等における上水或いは下水の水質試験、又は、大気に含まれる種々の成分を分析する環境試験などを挙げることができる。
【0029】
この試験管理システム100は、図1に示すように、複数の試験設備Dが設けられている試験室R1とは別の管理室R2に設けられている。
【0030】
試験室R1について簡単に説明すると、本実施形態の試験室R1は、車両又はその一部の供試体を試験する部屋であり、供試体としては、車両、エンジン、モータ、又は、パワートレイン(車両駆動系)等を挙げることができる。
【0031】
この試験室R1には、例えばエンジンを備える供試体から排出される排ガスの分析、バッテリを備える供試体の電力消費量(電費)の計測、又は、燃料電池を備える供試体の水素消費量の計測などに用いられる複数の試験設備Dが設けられている。かかる試験設備Dとしては、車両が搭載されるシャシダイナモメータ、エンジン又はモータの出力軸に連結される駆動系ダイナモメータ、或いは、車両のパワートレインを試験するためのパワートレイン用ダイナモメータ、供試体から排出される排ガスをサンプリングする排ガスサンプリング装置、供試体を運転する自動運転ロボット、排ガス中の測定対象成分を分析する1又は複数のガス分析装置、供試体の消費する電力消費量を計測する電力計測装置、供試体の電力充電量を計測する充電量計測試験、供試体の消費する水素消費量を計測する水素消費量計測装置、又は、これらの装置及びロボットを制御しながら所定の試験スケジュールに基づいて排ガス試験を実行する制御装置などを挙げることができる。
【0032】
所定の試験スケジュールは、例えば各国の法規に対応した排ガス認証試験を含み、コールドスタート試験、トランジェント試験、ホットスタート試験、ランニングロス蒸散ガス試験、ホットソーク蒸散ガス試験、ダイアナル蒸散ガス試験、電力消費量の計測試験、電力充電量の計測試験、又は、水素消費量の計測試験等を含ませることができる。この試験スケジュールは、予めオペレータにより設定される。
【0033】
ここでは、1又は複数の建屋に複数の試験室R1が設けられており、各試験室R1には、複数種類のうちの一部又は全部の法規それぞれに従った試験のための試験設備Dが用意されている。
【0034】
試験管理システム100は、図1に示すように、試験室R1に設けられた複数の試験設備Dと通信可能なものであり、これらの試験設備Dから種々のデータを取得するものである。
【0035】
然して、この試験管理システム100は、CPUやメモリ等を備え、前記メモリに記憶されている試験管理プログラムに従ってCPUやその周辺機器が協働することにより、図2に示すように、法規検査データ保存部1、状態判断部2、及び表示部3としての機能を発揮するものである。
以下、各部の機能について説明する。
【0036】
法規検査データ保存部1は、前記メモリの所定領域に設定されており、試験設備Dを法規に従って検査又は校正することにより得られる法規検査データが保存されるものである。
【0037】
本実施形態では、各試験設備Dの検査又は校正を終えた際に、各試験設備Dから法規検査データを構成する情報が試験管理システム100に自動的に送られるとともに、その法規検査データが法規検査データ保存部1に自動的に保存されるように構成されている。
【0038】
この法規検査データは、図3に示すように、試験設備Dそれぞれに対して法規に定められている1又は複数の検査項目と、試験設備Dそれぞれに応じた検査項目の検査結果とを関連付けたものである。ここでは、検査結果が得られた検査日もが関連付けられている。
【0039】
具体的にこの法規検査データは、試験設備Dの名称、試験設備Dに対して法規で定められている複数の検査項目、各検査項目に対する直近の検査結果、又は、その直近の検査結果が得られた検査日などを含むテーブルなどである。
【0040】
なお、検査結果は、検査時又は校正時に試験設備Dから出力される出力値、或いは、検査時又は校正時に試験設備Dを計測して得られる計測値などである。
【0041】
また、検査日としては、検査結果が得られた年月日を示すものであっても良いし、検査結果が得られた時間又は時分をも示すものであっても良い。
【0042】
状態判断部2は、試験設備Dそれぞれの状態が、法規に定められている状態である法規適合状態であるか否かを判断するものである。
【0043】
この状態判断部2は、上述した法規検査データ保存部1から法規検査データを取得するとともに、その法規検査データに基づいて、試験設備Dそれぞれが法規適合状態であるか否かを判断する。
【0044】
より具体的に説明すると、本実施形態の試験管理システム100は、図2に示すように、法規適合状態にある試験設備Dが満たすべき条件である適合条件を記憶する適合条件格納部4をさらに備えている。
【0045】
適合条件は、ユーザが法規を参照しながら予め適合条件格納部4に記憶させたものである。具体的にこの適合条件には、試験設備Dを検査又は校正するべき定期的な期間、すなわち試験設備Dが検査又は校正されてから次の検査又は校正が必要となるまでの期間(以下、有効期間ともいう)が少なくとも含まれており、その他、検査結果たる出力値又は計測値に対する合格範囲が含まれていても良い。
【0046】
状態判断部2は、図4に示すように、上述した法規検査データに含まれる検査結果及び/又は検査日と、適合条件とを比較するとともに、それらが適合条件を満たしているか否かを判断する(S1)。
【0047】
そして、S1において、検査結果が合格範囲に収まっており、且つ、直近の検査日から現在までの期間が有効期間内である場合に、状態判断部2は、試験設備Dが法規適合状態であると判断する(S2)。
【0048】
一方、S1において、検査結果が合格範囲から外れている、又は、検査日から現在までの期間が有効期間を過ぎている場合に、状態判断部2は、試験設備Dが法規非適合状態であると判断する(S3)。
【0049】
なお、状態判断部2としては、S1において、検査結果たる出力値又は計測値が合格範囲に収まっているとの前提のもと、検査日から現在までの期間と有効期間との比較のみによって、試験設備Dが法規適合状態である法規非適合状態であるかを判断しても良い。
【0050】
また、状態判断部2としては、検査日から現在までの期間が有効期間内であるものの、例えば所定日数の経過後に有効期限に到達する場合、試験設備Dが法規非適合状態となる前の要検査状態であると判断しても良い。
【0051】
本実施形態では、上述した通り、1つの試験室R1で複数種類の法規それぞれに従った試験をすることができるようにしてあるところ、状態判断部2は、それぞれの法規種別ごとに、各試験設備Dが法規適合状態であるか、法規非適合状態であるかを判断するように構成されている。
【0052】
そして、表示部3が、状態判断部2の判断結果に基づいて、試験室R1が法規に従った試験を実施可能であるか否かを識別可能に表示する(S4)。
【0053】
本実施形態では、上述した通り、複数の建屋が設けられており、各建屋に複数の試験室R1が設けられているところ、表示部3は、図5に示すように、複数の建屋それぞれに対応する建屋表示欄X1をディスプレイに表示するとともに、この建屋表示欄X1の欄内に複数の試験室R1それぞれに対応する試験室表示欄X2を表示する。
【0054】
さらに、各試験室R1では複数種類の法規それぞれに従った試験をすることができるようにしてあるところ、表示部3は、試験室表示欄X2の欄内に複数種類の法規それぞれに対応する法規名表示欄X3を表示する。
【0055】
かかる構成において、本実施形態の表示部3は、それぞれの試験室R1が法規に従った試験を実施可能であるか否かを、それぞれの法規種別ごとに表示する。
【0056】
より具体的に説明すると、表示部3は、試験室R1に設けられている複数の試験設備Dの全てが状態判断部2により法規適合状態であると判断された場合に、その試験室R1の表示態様を、法規に従った試験を実施可能であることを示す表示態様(以下、適合表示A1ともいう)とする。
【0057】
一方、試験室R1に設けられている複数の試験設備Dの少なくとも1つが状態判断部2により法規非適合状態であると判断された場合に、その試験室R1の表示態様を、法規に従った試験を実施することができないことを示す表示態様(以下、非適合表示A2ともいう)とする。
【0058】
本実施形態では、状態判断部2がそれぞれの法規種別ごとに、各試験設備Dが法規適合状態又は法規非適合状態であるかを判断することから、表示部3は、法規種別ごとに、試験室R1の表示態様を適合表示A1又は非適合表示A2に切り替える。
【0059】
具体的にこの表示部3は、図5に示すように、試験室R1の表示態様として、試験室表示欄X2に表示されている法規名表示欄X3の表示態様を適合表示A1又は非適合表示A2に切り替えるように構成されており、具体的には適合表示A1と非適合表示A2とで色、模様、又は、明るさなどが異なるようにしてある。
【0060】
なお、表示部3としては、試験室R1に設けられている複数の試験設備Dの少なくとも1つが状態判断部2により要検査状態であると判断された場合に、その試験室R1の表示態様を、適合表示A1とも非適合表示A2とも別の表示態様(以下、コーション表示A3ともいう)に切り替えるように構成されていても良い。なお、コーション表示A3としては、適合表示A1とも非適合表示A2とも色、模様、又は、明るさなどが異なる表示を挙げることができる。
【0061】
また、上述した法規名表示欄X3において適合表示A1又は非適合表示A2で表示されている法規種別は、それぞれ選択可能に表示されており、表示部3は、図6に示すように、選択された法規種別の詳細画面Zを表示する。
【0062】
詳細画面Zは、選択された法規に従った試験に用いられる試験設備Dそれぞれが法規適合状態であるか否かを示すものであり、少なくとも、試験設備Dを示すID又は設備名などの設備識別表示Z1と、それらの試験設備Dが適合状態であるか非適合状態であるかを示すステータスZ2とが表示される。
【0063】
この実施形態では、試験室R1の全体の状態が、複数の試験設備Dを示す設備識別表示D1と、それぞれの試験設備Dの保全詳細情報Z0とを用いて階層化されており、これらをツリー表示できるようにしてある。
【0064】
より具体的に説明すると、このツリー表示において、上述した設備識別表示D1の下位階層たる保全詳細情報D0として、複数の検査の名称Z3、それらの検査が行われるラインZ4、それらの検査の対象となる成分Z5、それらの検査が行われるレンジZ6、及び、それぞれの検査の結果を示すステータスZ2が含まれており、これらが互いに対応付けられて一覧表示されている。
【0065】
なお、保全詳細情報Z0としては、必ずしも、上述した名称Z3、ラインZ4、成分Z5、レンジZ6、及び、ステータスZ2の全てが含まれている必要はなく、少なくとも名称Z3及びステータスZ2が含まれていることが好ましい。
【0066】
このように構成された試験管理システム100によれば、複数の試験設備Dそれぞれが法規適合状態であるか否かを判断するとともに、それらの判断結果に基づいて、複数の試験設備Dが設けられている試験室R1が全体として法規に従った試験を実施可能であるか否かを表示するので、試験を始める際にその表示内容を確認することで、その試験に用いられる複数の試験設備Dが全体として法規適合状態であるか否かを把握することができる。
【0067】
また、試験室R1に設けられている複数の試験設備Dの少なくとも1つが状態判断部2により要検査状態であると判断された場合に、表示部3が、その試験室R1の表示態様をコーション表示A3に切り替えるので、必要に応じて要検査状態にある試験設備Dの検査又は校正を実施することが可能となる。
【0068】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る試験管理システム100の第2実施形態について述べる。
【0069】
第2実施形態の試験管理システム100は、図7に示すように、結果取得部5、演算規則データ格納部6、及び再計算部7としての機能を備えている。
【0070】
結果取得部5は、試験に適用した法規種別、法規に従って試験した試験結果、及びこの試験結果の演算に用いられた生データを複数の試験設備Dから取得するものである。
【0071】
具体的にこの結果取得部5は、法規に従って試験した試験結果として、第1実施形態で述べた種々の試験設備Dから出力される種々の出力信号を用いて演算された演算結果を取得する。
【0072】
かかる演算結果としては、例えば燃費、排ガスに含まれる測定対象成分を定量分析した結果(例えば、測定対象成分の濃度、質量、或いは、密度)、電力消費量(電費)、電力充電量、又は水素消費量などを挙げることができる。
【0073】
一方で、結果取得部5は、試験結果の演算に用いられた生データとして、例えば排ガス分析などに用いられる試験設備Dであり、シャシダイナモメータ等の負荷装置、供試体から排出される排ガスをサンプリングする排ガスサンプリング装置、供試体を運転する自動運転ロボット、排ガス中の測定対象成分を分析するガス分析装置、電力消費量を計測する電力計測装置、電力充電量を計測する充電量計測試験、又は、水素消費量を計測する水素消費量計測装置などから出力される種々の信号の大きさを取得する。
【0074】
かかる生データとしては、例えばエンジン回転数、モータ回転数、ホイール回転数、トルク、エンジンオイル温度、吸気温度、排ガス量、排ガス成分、排ガス温度、触媒温度、冷却水温、シャフトトルク、タイヤ温度、電力消費量、電力充電量、バッテリ温度、周囲温度、気圧、室温、又は、水素消費量などを挙げることができる。
【0075】
演算規則データ格納部6は、前記メモリの所定領域に設定されており、法規種別ごとに定められている演算規則を示す演算規則データを格納するものである。
【0076】
この演算規則データは、ユーザが法規を参照しながら予め演算規則データ格納部6に格納させたものであり、例えば試験結果を演算するための算出式や、その算出式に含まれるパラメータ又は係数などを含む。
【0077】
再計算部7は、試験に適用した法規種別、生データ、及び、前記法規種別に対して定められている演算規則データを用いて試験結果を再計算するものである。
【0078】
具体的にこの再計算部7は、結果取得部5により取得された生データの示す値を、上述した演算規則データの示す算出式に代入するなどして、試験結果を再計算する。
【0079】
さらに、ここでの試験管理システム100は、図7に示すように、出力部8と、結果検証部9としての機能をさらに備えている。
【0080】
出力部8は、結果取得部5により取得された試験結果と、再計算部7の計算結果である再計算結果とを比較可能に出力するものである。
【0081】
具体的にこの出力部8は、例えばディスプレイの同一画面上に、試験結果として得られた値と、再計算結果として得られた値とを同時に表示する。
【0082】
これにより、試験結果と再計算部7の再計算結果とを比較することで、これらの結果が一致していれば、試験結果が法規で定められている演算規則に従って演算されたものであることが分かる。
一方で、試験結果と再計算結果とが不一致であれば、試験結果の演算に法規で定められている演算規則が用いられていないことに気づくことができる。
【0083】
結果検証部9は、試験結果と再計算結果とを比較して、試験結果が演算規則に従って演算されたものであるか否かを検証するものである。
【0084】
具体的には、計算結果として得られた値と再計算結果として得られた値との差又は比率を算出し、その差又は比率と所定の閾値と比較する。
【0085】
そして、結果検証部9は、その差又は比率が所定の閾値以下の場合に、試験結果が法規に定められている演算規則に従って演算されたものであると判断し、例えばそのことをディスプレイに表示するなどしてユーザに報知する。
【0086】
一方で、結果検証部9は、上述した差又は比率が所定の閾値を超えている場合に、試験結果の演算に法規で定められている演算規則が用いられていないと判断し、例えばそのことをディスプレイに表示するなどしてユーザに報知する。
【0087】
このように構成された試験管理システム100によれば、試験結果と再計算部7の再計算結果とを比較することで、これらの結果が一致していれば、試験結果が法規で定められている演算規則に従って演算されたものであることが分かり、逆に、これらの結果が不一致であれば、試験結果の演算に法規で定められている演算規則が用いられていないことに気づくことができる。
これにより、何れにしても最終的には法規に従った試験結果を得ることができる。
【0088】
また、結果検証部9に試験結果を検証させているので、試験結果が法規に従った正しい演算規則により得られたものであるかを客観的に検証させることができる。
【0089】
なお、本第2実施形態の試験管理システム100としては、結果取得部5が取得した種々の生データの中から、法規毎に定められている演算規則に必要な生データを抜き取って再計算部7に出力する機能を備えていても良い。
【0090】
かかる機能の具体例としては、結果取得部5が取得した種々の生データを、所定の並び順に従って並び替える、或いは、単位を揃えるなどする標準化部としての機能を挙げることができる。
【0091】
そして、この標準化部は、並び替えた生データの中から、結果取得部5が取得した法規種別に基づいて必要な生データを取捨選択し、それらを再計算部7に出力するように構成されていても良い。なお、標準化部としては、必要な生データが揃っていない場合に、そのことを示すエラーを表示出力するように構成されていても良い。
【0092】
<第3実施形態>
次に、本発明に係る試験管理システム100の第3実施形態について述べる。
【0093】
第1実施形態でも述べた通り、試験管理システム100と複数の試験設備Dとの間で直接種々の情報を授受する構成であると、例えば1つの試験設備Dの更新時に試験管理システム100に問題が発生して動作しなくなるなどの問題が生じ得る。
【0094】
かといって、試験管理システム100のシステム構成を、更新された試験設備Dに対応するように変更すれば、そのシステム変更が別の試験設備Dに影響を及ぼす場合があり、この場合には、結果としてシステムを全体的に改造することになり、試験設備Dの更新時におけるシステム改造に多大なコストがかかる。
【0095】
そこで、第3実施形態の試験管理システム100は、図8に示すように、試験設備Dから出力される複数のデータを取得するとともに、それらのデータを所定の規則に従ったフォーマットに揃えて出力するデータ標準化部10としての機能を備えている。
【0096】
具体的にこのデータ標準化部10は、例えば試験設備Dを法規に従って検査又は校正することにより得られるデータ、及び/又は、試験設備Dを用いて供試体の性能を試験して得られるデータなどを取得する。
【0097】
そして、このデータ標準化部10は、取得したデータを所定のフォーマットに揃えて出力し、例えば前記第1実施形態で述べた法規検査データ保存部1などのメモリ内の所定領域に記憶させるものである。
【0098】
なお、所定のフォーマットとしては、例えばデータに含まれる複数の要素の並び順、及び/又はそれぞれの要素の表現方法(例えば整数であるか或いは文字列であるかなど)などを挙げることができる。
【0099】
このように構成された試験管理システム100によれば、それぞれの試験設備Dから取得した情報がデータ標準化部10により標準化されたデータとなるので、試験設備Dの更新におけるインターフェイスの変更をデータ標準化部10により吸収することができ、試験設備Dの更新時におけるシステム改造のコストを大幅に抑えることができる。
これにより、試験管理システム100の複雑化や高コスト化を抑えつつも、複数の試験設備Dを一元管理することが可能となる。
【0100】
<第4実施形態>
次に、本発明に係る試験管理システム100の第4実施形態について述べる。
【0101】
従来、自動車等の車両の検査において、検査場への車両搬入から検査完了までに数日を要するために、検査の高効率化を図るべく、複数の車両を並行して同時に検査を実施している。
【0102】
かかる検査において、車両を複数の試験室R1に順次搬入しながら検査を進める場合、例えばどの試験室R1にどの車両を搬入するかなどの工程管理は、ボードへの手書きにより行われており、工程ごとの開始時刻や終了時刻があいまいである。
【0103】
その結果、上述した管理方法では、現場に出向かないと車両の位置や検査状況を確認することができないといった問題があり、ひいては、検査工程の抜けや検査中に発生した異常に気づかないなどの問題がある。
【0104】
そこで、第4実施形態の試験管理システム100は、図9に示すように、車両又はその一部の供試体の位置情報を取得する位置情報取得部11と、複数の試験室R1それぞれに対応する試験室表示欄X2を画面に出力するとともに、前記位置情報に基づいて、前記供試体が配置されている試験室R1に対応する前記試験室表示欄X2に前記供試体を示すマーカM1を表示する表示部12とを備えていることを特徴とするものである。
【0105】
このように構成された試験管理システム100によれば、供試体を示すマーカM1が、その供試体が配置されている試験室R1に対応する試験室表示欄X2に表示されるので、どの供試体の位置や、その検査を行っているかなどの検査状況を確認することができ、その結果、検査工程の抜けや検査中に発生した異常に気づくことが可能となる。
なお、供試体としては、車両、エンジン、モータ、又は、パワートレイン(車両駆動系)等を挙げることができ、以下では、試験車両とも称する。
【0106】
より具体的に説明すると、この実施形態では、それぞれの試験車両に識別タグを備えつけておき、この識別タグに格納されている車両識別子の読取手段(以下、リーダrともいう)を各試験室R1に設けてある。
【0107】
かかる構成において、例えば試験室R1に搬入した試験車両の検査開始時に、その試験室R1のリーダrを用いて試験車両の識別タグを読み取ることで、その識別タグの車両識別子と、リーダrが設けられている試験室R1を示す試験室識別子とが結び付けられて位置情報取得部11に出力される。
【0108】
そして、位置情報取得部11は、上述した試験室識別子を試験車両の位置情報として取得する。
【0109】
なお、試験室R1における検査終了時には、再び試験車両の識別タグを読み取ることで、その試験室R1での試験結果が車両識別子と結び付けられて、例えば試験管理システム100のメモリ内に記録される。
【0110】
本実施形態では、表示部12が、図10に示すように、複数の試験室R1それぞれに対応する試験室表示欄X2を画面に表示するとともに、それぞれの試験室R1に配置されている1又は複数の試験車両を示すマーカM1を、それぞれの試験室R1に対応する試験室表示欄X2の欄内に表示する。なお、ここでのマーカM1には、試験車両を識別するための識別子が含まれている。
【0111】
また、表示部12としては、何れの試験室R1にも搬入されていない試験車両のマーカM1を、試験室表示欄X2の欄外に表示しても良いし、さらには、試験室R1に対応して設けられているリーダrの位置を示すリーダマーカM2を、試験室表示欄X2に対応させて表示しても良い。
【0112】
この表示部12は、図11に示すように、例えば予め選択された法規に定められている複数の工程を、それぞれの試験車両に対応する工程表示欄X4に一覧表示するとともに、上述した試験車両の位置情報に基づいて、それぞれの試験車両の実施中の工程を認識可能に表示する。
【0113】
この実施形態の表示部12は、複数の試験車両それぞれに対して、実施済みの工程、実施中の工程、及び実施予定の工程それぞれを識別可能に表示している。具体的には実施済みの工程を示す実施済み表示A4、実施中の工程を示す実施中表示A5、及び実施予定の工程を示す実施予定表示A6それぞれが、互いに異なる色、模様、又は明るさなどの表示態様で表示されている。
【0114】
なお、実施済みの工程を選択することで、その工程の試験結果が閲覧できるようにしても良い。
【0115】
この表示部12による表示内容は、試験車両を予め選択された法規に定められている工程に従って複数の試験室R1に順次搬入するたびに切り替えられて更新される。
【0116】
このようにして、最終検査工程の完了時に全工程に抜けがないかを確認し、抜けがなければ、検査を終了して識別タグを返却する。
【0117】
このように構成された試験管理システム100によれば、試験車両の検査工程及び位置情報が記録されるので、工程の抜けや工程中に発生した異常などを後から遡って確認することが可能となる。
【0118】
また、識別タグをリーダrで読み取る構成であるので、安価な構成で試験車両の位置をトラッキングすることができる。
【0119】
<その他の実施形態>
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0120】
100・・・試験管理システム
D ・・・試験設備
R1 ・・・試験室
R2 ・・・管理室
1 ・・・法規検査データ保存部
2 ・・・状態判断部
3 ・・・表示部
4 ・・・適合条件格納部
5 ・・・結果取得部
6 ・・・演算規則格納部
7 ・・・再計算部
8 ・・・出力部
9 ・・・結果検証部
10 ・・・データ標準化部
11 ・・・位置情報取得部
12 ・・・表示部
X1 ・・・建屋表示欄
X2 ・・・試験室表示欄
X3 ・・・法規名表示欄
A1 ・・・適合表示
A2 ・・・非適合表示
A3 ・・・コーション表示
M1 ・・・車両マーカ
M2 ・・・リーダマーカ
r ・・・リーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11