(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102085
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】熱履歴が低減された三次元NANDメモリ
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240723BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240723BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240723BHJP
H10B 43/40 20230101ALI20240723BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
H01L27/092 G
H10B43/40
H01L21/316 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063768
(22)【出願日】2024-04-11
(62)【分割の表示】P 2022502426の分割
【原出願日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】62/876,120
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, ソンヘ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】CMOSアンダーアレイ(CuA)設計を有し、NAND層のアニールによるNAND層下の集積回路層の劣化を低減する三次元NANDメモデバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ブロック層にMgOを含むことで、低い熱履歴を有し、少ない加熱を経験するメモリセルの製造方法は、MgOの堆積後にアニールすることを含む。アニールは、900℃未満または800℃未満の温度で行われる。ブロック層は、SiO
2からなる第1のブロック層およびMgOからなる第2のブロック層からなる。メモリセルは、CMOSアンダーアレイ(CuA)構造を有してもよいし、三次元NANDメモリデバイスの一部でもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NANDメモリデバイスを製造する方法は、
チャネル層を堆積することと、
トンネル誘電体層を堆積することと、
トラップ層を堆積することと、
SiO2を備える第1のブロック層を堆積することと、
前記第1のブロック層上にMgOを備える第2のブロック層を堆積することと、
前記第2のブロック層をアニールすることと、
前記第2のブロック層上にバリアメタルを堆積することと、
前記バリアメタル上にワード線材料を堆積することと
を含む。
【請求項2】
前記チャネル層が集積回路の上方に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記集積回路が、前記NANDメモリデバイスの周辺回路である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記NANDメモリデバイスが三次元NANDメモリデバイスである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記NANDメモリデバイスの温度が、前記方法中に900℃を超えない、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記NANDメモリデバイスの温度が、前記第2のブロック層のアニール中に800℃を超えない、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のブロック層をアニールすることが急速熱アニールまたは炉アニールのうちの1つを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のブロック層を堆積することが、固相Mg前駆体または液相Mg前駆体を提供することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のブロック層がSiO2からなり、前記第2のブロック層がMgOからなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のブロック層を堆積することがSiO2の原子層堆積を含み、前記第2のブロック層を堆積することがMgOの原子層堆積を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のブロック層をアニールした後、前記MgOが、10または約10のk値および7eVまたは約7eVのバンドギャップを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
下地集積回路と
前記下地集積回路の上方に配置された複数のメモリセルであって、前記メモリセルのそれぞれが、
トラップ層と、
SiO2を備える第1のブロック層と、
前記第1のブロック層上に配置された、MgOを備える第2のブロック層と、
前記第2のブロック層上に配置されたバリアメタルと
を含む複数のメモリセルと
を含む、三次元NAND(3D NAND)メモリデバイス。
【請求項13】
前記第2のブロック層がシリカを含まない、請求項12に記載の3D NANDメモリデバイス。
【請求項14】
前記第2のブロック層がMgOからなる、請求項12または13に記載の3D NANDメモリデバイス。
【請求項15】
前記MgOが、結晶化MgOである、請求項12から14のいずれか一項に記載の3D NANDメモリデバイス。
【請求項16】
MgOの結晶性が、900℃以下の温度でのアニールによって改善される、請求項15に記載の3D NANDメモリデバイス。
【請求項17】
MgOの結晶性が、800℃以下の温度でのアニールによって改善される、請求項15に記載の3D NANDメモリデバイス。
【請求項18】
前記MgOが、10または約10のk値および7eVまたは約7eVのバンドギャップを有する、請求項12から17のいずれか一項に記載の3D NANDメモリデバイス。
【請求項19】
前記メモリセルの各々が、チャネル層およびトンネル誘電体層をさらに含む、請求項12から18のいずれか一項に記載の3D NANDメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月19日に出願された米国仮特許出願第62/876,120号の35 USC 119に基づく利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、製造プロセスおよびNANDフラッシュメモリユニットに含まれるブロック層を対象とし、詳細には、CMOSアンダーアレイ設計を有する三次元NANDフラッシュメモリユニットにおけるMgOブロック層の使用を対象とする。
【背景技術】
【0003】
多くのNANDフラッシュメモリは、電荷トラップメモリセルを使用して不揮発性記憶装置を提供する。三次元NAND(3D NAND)フラッシュメモリデバイスは、通常、メモリセルの複数の積層を使用して、密度を向上させ、コストのスケーリングを制御する電荷トラップフラッシュメモリデバイスである。3D NANDメモリは、ワード線階段部などの回路の対応に割く大きなスペースが必要である。
【0004】
CMOSアンダーアレイ(CuA)は、3D NANDフラッシュメモリデバイスのメモリセルなどの他の層の下に、NANDメモリユニットの周辺回路などの集積回路を含む半導体デバイス用の構造である。CuA構造は、ビットコストを低減し、チップ効率を高め、性能を向上させることができる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、製造プロセスおよびNANDフラッシュメモリユニットに含まれるブロック層を対象とし、詳細には、CMOSアンダーアレイ設計を有する三次元NANDフラッシュメモリユニットにおけるMgOブロック層の使用を対象とする。
【0006】
3D NANDデバイスの1つの有望な構造は、CMOSアンダーアレイ(CuA)であり、このデバイスの少なくともいくつかの集積回路は、NANDセル層の真下の層に含まれる。これらの集積回路はNANDセル層に近接して配置されるため、ブロック層内の高誘電率(high-k)酸化物の堆積後のアニールなどのNANDセル層の処理が、3D NANDデバイスの周辺回路などのNAND層の下の集積回路層の劣化をもたらす可能性がある。
【0007】
3D NANDデバイスのブロック層内のアルミナを酸化マグネシウム(MgO)で置き換えることにより、電荷トラップメモリ内のブロック層として効果的に機能するのに必要なバンドギャップおよび誘電特性を引き続き保持しながら、必要とされる堆積後のアニール温度を、CuA回路を損なう可能が低いレベルまで低下させることができる。これにより、製造中の温度をより低くすることができるため、製造プロセス中の周辺回路の劣化も低減される。
【0008】
NANDメモリデバイスを製造するための方法の一実施形態は、チャネル層を堆積することと、トンネル誘電体層を堆積することと、トラップ層を堆積することと、SiO2を備える第1のブロック層を堆積することと、第1のブロック層上にMgOを備える第2のブロック層を堆積することと、第2のブロック層をアニールすることと、第2のブロック層上にバリアメタルを堆積することと、バリアメタル上にワード線材料を堆積することとを含む。
【0009】
一実施形態では、チャネル層は集積回路上方に堆積される。一実施形態では、集積回路はNANDメモリデバイスの周辺回路である。
【0010】
一実施形態では、NANDメモリデバイスは三次元NANDメモリデバイスである。
【0011】
一実施形態では、NANDメモリデバイスの温度は、本方法中に900℃を超えない。一実施形態では、NANDメモリデバイスの温度は、第2のブロック層のアニール中に800℃を超えない。
【0012】
一実施形態では、第2のブロック層をアニールすることは、急速熱アニールまたは炉アニールを含む。
【0013】
一実施形態では、第2のブロック層を堆積することは、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウムのような固相Mg前駆体またはビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウムもしくはジエチルマグネシウムのような液相Mg前駆体を提供することを含む。
【0014】
一実施形態では、第1のブロック層はSiO2からなり、第2のブロック層はMgOからなる。
【0015】
一実施形態では、第1のブロック層を堆積することはSiO2の原子層堆積を含み、第2のブロック層を堆積することはMgOの原子層堆積を含む。
【0016】
一実施形態では、第2のブロック層をアニールした後、MgOは、10または約10のk値および7eVまたは約7eVのバンドギャップを有する。
【0017】
一実施形態では、第2のブロックをアニールした後、MgOは、任意の適切なウェットケミカルにより目標の厚さにトリミングされる。
【0018】
一実施形態では、三次元NAND(3D NAND)メモリデバイスは、下地集積回路、および下地集積回路の上方に配置された複数のメモリセルを含む。メモリセルは各々、トラップ層と、トラップ層上に配置されたSiO2を備える第1のブロック層と、第1のブロック層上に配置されたMgOを備える第2のブロック層と、第2のブロック層上に配置されたバリアメタルとを含む。
【0019】
一実施形態では、第2のブロック層はシリカを含まない。一実施形態では、第2のブロック層はMgOからなる。
【0020】
一実施形態では、MgOは結晶化MgOである。一実施形態では、MgOの結晶性が、900℃以下の温度での急速熱アニールにより、非晶相または低結晶相から改善される。一実施形態では、MgOの結晶性が、800℃以下の温度での急速熱アニールまたは炉アニールにより、非晶相または低結晶相から改善される。
【0021】
一実施形態では、MgOは、10または約10のk値および7eVまたは約7eVのバンドギャップを有する。
【0022】
一実施形態では、メモリセルの各々は、チャネル層およびトンネル誘電体層をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施形態によるNANDデバイスを製造する方法のフローチャートを示す。
【
図2】一実施形態によるNANDデバイスのメモリセルの断面図を示す。
【
図3】一実施形態による3D NANDデバイスの概略図を示す。
【
図4】様々な温度でアニールされた2nmおよび4nmの厚さで堆積されたMgOの間接的に結晶性を反映するウェットエッチング速度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、製造プロセスおよびNANDフラッシュメモリユニットに含まれるブロック層を対象とし、詳細には、CMOSアンダーアレイ(CuA)設計を有する三次元NAND(3D NAND)フラッシュメモリユニットにおけるMgOブロック層の使用を対象とする。
【0025】
図1は、一実施形態によるNANDデバイスを製造する方法100のフローチャートを示す。方法100は、102で下地回路を形成することを含むことができる。方法100は、104でセルアレイの積層を形成することと、106でワード線階段部を形成することと、108でチャネルホールをパターン化することとをさらに任意に含むことができる。方法100は、110で第1のブロック層を堆積することを含む。方法110は、110で堆積された第1のブロック層上に、112でトラップ層を堆積することをさらに含む。方法110は、114でトンネル誘電体を堆積することと、116でチャネル層を堆積することとをさらに含む。任意に、より高く積層するために、シーケンス104~116または104~118を、2回以上実施してもよい。任意に、方法100は、118でワード線スロットをパターン化することを含む。方法100はまた、110で堆積された第1のブロック層上に、122でMgOを含有する第2のブロック層を堆積することを含む。方法100は、124で第2のブロック層をアニールすることをさらに含む。方法100はまた、126で第2のブロック層上にバリアメタルを堆積することを含むことができ、任意に、126で堆積されたバリアメタル上に、128でワード線材料を堆積することをさらに含むことができる。
【0026】
任意に、方法100は、102で下地回路を形成することを含む。102で形成された下地回路は、集積回路でもよい。一実施形態では、下地回路は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を含む。次いで、NANDデバイスのメモリセルを、下地回路の上方に堆積して、結果として例えば、
図3に示され、以下に説明する構造にすることができる。下地回路は、温度に敏感な1つまたは複数の要素を含むことがある。一実施形態では、先の1つまたは複数の温度に敏感な要素は、方法100によって形成されたNANDデバイスの周辺回路を含む。温度に敏感な要素は、例えば、900℃を超える温度で分解または凝集しやすい場合がある。
【0027】
方法100は、104でセルアレイの積層を形成することと、106でワード線階段部を形成することと、108でチャネルホールをパターン化することとを任意にさらに含むことができる。104においてセルアレイの積層を形成することは、交互の誘電体層、例えばSiO2層とSiN層の誘電体対を堆積して、それらの交互の誘電体層の積層を形成することを含んでもよい。ワード線階段部は、任意に106において形成されてもよい。106で形成されたワード線階段部は、3D NANDメモリデバイス内の複数の垂直に積層されたメモリセルのワード線への接続を提供することができる。任意に、108において、1つまたは複数のチャネルホールをパターン化することができる。108でのチャネルホールのパターン化により、104で形成されたセルアレイの積層内で1つまたは複数の円筒孔が生成されてもよい。108での1つまたは複数のチャネルホールのパターン化は、任意の適切なパターン化方法により、例えばドライエッチングによるものでもよい。一実施形態では、108でパターン化された1つまたは複数のチャネルホールは、104で形成されたセルアレイの積層の層の平面に垂直でよい。104で堆積されたセルアレイの積層、ならびに、第1のブロック層、トラップ層、トンネル誘電体、およびチャネル層を含む、セルアレイの積層中に108でパターン化されたチャネル中に形成された各メモリセルの層を、102において形成された下地回路の上方の位置に配置することができる。下地回路の上方の位置は、下地回路の垂直上方の任意の位置、例えば、追加の材料の層によって下地回路から分離された位置を含むことができる。
【0028】
第1のブロック層が110で堆積される。第1のブロック層は、108でパターン化することによって形成された1つまたは複数のチャネルホール内に堆積されてもよい。第1のブロック層は、酸化物でもよい。一実施形態では、110で堆積された第1のブロック層はSiO2である。一実施形態では、第1のブロック層は、110でALDにより堆積される。
【0029】
112でトラップ層が堆積される。112で堆積されるトラップ層は、非導電性材料でもよい。112で堆積されたトラップ層は、窒化シリコンなどの電荷トラップ材料を含むことができる。トラップ層は、任意の適切な堆積方法、例えば原子層堆積(ALD)によって112で堆積されてもよい。トラップ層は、110で堆積された第1のブロック層上に堆積されてもよい。
【0030】
トンネル誘電体層が114で堆積される。114で堆積されたトンネル誘電体層は非導電性であり、SiO2またはSiOxNyなどの少なくとも1つの誘電体材料を含む。一実施形態では、トンネル誘電体層はSiOxNyである。トンネル誘電体層は、トラップ層からの直接トンネルを防止するような厚さを有することができる。例えば、114で堆積されたトンネル誘電体層は、50オングストロームまたは約50オングストローム~70オングストロームまたは約70オングストロームの厚さを有することができる。トンネル誘電体層は、例えばALDによって106で堆積されてもよい。
【0031】
チャネル層が、116で堆積される。チャネル層は、102で形成された下地回路の上方に形成されたチャネルホール内に堆積されてもよい。116において堆積されたチャネル層は、NANDメモリセル用の任意の適切な導電性材料でよい。一実施形態では、チャネル層は導電性ポリシリコン材料である。116で堆積されたチャネル層は、任意の適切な堆積技術、例えば低圧化学気相成長(LPCVD)によって堆積されてもよい。
【0032】
任意に、方法100は、118でワード線スロットをパターン化することを含む。ワード線スロットを118でパターン化することは、104で形成されたセルアレイの積層内にトレンチをパターン化することを含む。一実施形態では、118でパターン化されるワード線スロットは、106で形成されたワード線階段部の上方に形成されるトレンチである。118でパターン化されたワード線スロットは、任意の適切なパターン化方法を使用して、例えばドライエッチングによってパターン化することができる。一実施形態では、ワード線スロットは、108でパターン化された1つまたは複数のチャネルホールに平行である。
【0033】
任意に、118でワード線スロットをパターン化した後、104で形成されたセルアレイの積層の犠牲層を120で除去することができる。犠牲層は、任意の適切なパターン化方法、例えばウェットエッチングによって除去することができる。
【0034】
第2のブロック層が122で堆積される。122で堆積された第2のブロック層は、110で堆積された第1のブロック層上に堆積されてもよい。110で堆積された第2のブロック層は、MgOを含むことができる。一実施形態では、122で堆積された第2のブロック層は完全にMgOで構成される。一実施形態では、112で堆積された第2のブロック層はAl2O3を含まない。一実施形態では、122で堆積された第2のブロック層はSiO2を含まない。第2のブロック層は、122でALDによって堆積されてもよい。第2のブロック層は、122で固体のMg前駆体または液体のMg前駆体を使用するプロセスによって堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、固相Mg前駆体は、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウムでよい。いくつかの実施形態では、液相Mg前駆体は、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウムまたはジエチルマグネシウムでよい。
【0035】
第2のブロック層が124でアニールされる。124でのアニールは、任意の適切なアニール方法、例えば、急速熱アニール(RTA)または炉アニールでもよい。アニールは、所定の時間、目標温度まで第2のブロック層を加熱することにより実施されてもよい。目標温度は、900℃未満でもよい。一実施形態では、目標温度は、800℃未満でもよい。別の実施形態では、目標温度は600℃未満でもよい。124でのアニールにより、第2のブロック層中のMgOの結晶化が可能となり、アモルファスMgOのk値よりも高い目標k値を実現することができる。124でのアニールおよび結果として生じる結晶化により、アモルファスMgOのバンドギャップよりも広い目標バンドギャップも実現することができる。一実施形態では、目標k値(すなわち、目標誘電率)および目標バンドギャップは、Al2O3のk値およびバンドギャップと同様である。一実施形態では、目標k値は10または約10である。一実施形態では、目標バンドギャップは、7eVまたは約7eVである。任意に、第2のブロックのアニール後、膜が目標値よりも厚く堆積された後で、任意の適切なウェットケミカルによりMgOは、目標の厚さにトリミングされてもよい。
【0036】
方法100は、122で堆積された第2のブロック層上に126でバリアメタルを堆積することをさらに含むことができる。一実施形態では、バリアメタルは、124で第2のブロック層をアニールした後126で堆積される。126で堆積されたバリアメタルは、任意の適切な材料、またはTaN、TiNなどの回路内のゲート用の材料を含むことができる。一実施形態では、バリアメタルはTiNである。一実施形態では、バリアメタルはALDにより126で堆積される。
【0037】
任意に、方法100は、128でワード線材料を堆積することをさらに含むことができる。ワード線材料は、126で堆積されたバリアメタルと接触するように、118で堆積されてもよい。ワード線材料は、タングステン、モリブデン、コバルト、およびルテニウムのうちの1つまたは複数を含むことができる。一実施形態では、128において堆積されるワード線材料はタングステンである。一実施形態では、ワード線材料はALDにより128で堆積される。
【0038】
図2は、一実施形態によるNANDデバイスのメモリセル200の断面図を示す。
図2に示す実施形態では、メモリセル200は円筒形であり、層は互いに同心である。
図2に示す実施形態では、中心は酸化物充填202である。チャネル層204は、酸化物充填202を取り囲む。トンネル誘電体206はチャネル層204を取り囲む。トラップ層208は、トンネル誘電体206を取り囲む。第1の酸化物バリア層210はトラップ層208を取り囲む。第2の酸化物バリア層212は第1の酸化物バリア層210を取り囲む。バリアメタル214は第2の酸化物バリア層212を取り囲む。ワード線材料216はバリアメタル214と接触する。メモリセル200は、NANDデバイス内に形成されたチャネルホールの内部またはそれを通して配置されてもよい。チャネルは、交互の導電層と誘電体層の積層に対して垂直に形成されてもよい。一実施形態では、メモリセル200は、チャネルの外側から内側に形成されてもよく、その結果、各層はその外側の層上に堆積される。一実施形態では、連続する層は、その外側の層の内側に堆積され、その結果、層はそのすぐ周囲の層の内側に堆積される。
【0039】
酸化物充填202は、メモリセル200の中心を形成することができる。酸化物充填202は、メモリセル200の形成中にチャネル層204上に堆積されてもよい。酸化物充填202は、1つまたは複数の非導電性材料、例えばSiO2を含むことができる。
【0040】
チャネル層204は、酸化物充填202を取り囲む。チャネル層204は、導電性材料でよい。一実施形態では、チャネル層204は導電性ポリシリコン材料である。チャネル層204は、トンネル誘電体206に近接して電流の伝導を可能にするように構成することができる。チャネル層204は、メモリセル200の形成中にトンネル誘電体206上に堆積されてもよい。
【0041】
トンネル誘電体206はチャネル層204を取り囲む。トンネル誘電体は誘電体材料である。トンネル誘電体206は、例えば、酸化物などの非導電性材料でもよい。一実施形態では、トンネル誘電体206は、1つまたは複数の酸化物材料を含むことができる。一実施形態では、トンネル誘電体206はSiO2を含むことができる。トンネル誘電体206は、トンネル誘電体206を通る直接トンネルを防止するのに十分な厚さを有することができる。一実施形態では、トンネル誘電体の厚さは、50オングストロームまたは約50オングストローム~70オングストロームまたは約70オングストロームである。トンネル誘電体206は、メモリセル200の形成中にトラップ層208上に形成されてもよい。
【0042】
トラップ層208はトンネル誘電体206を取り囲む。トラップ層208は、例えば窒化シリコンなどの電荷トラップ材料を含むことができる。一実施形態では、電荷トラップ材料は非導電性材料を含む。一実施形態では、トラップ層208は窒化シリコンからなる。一実施形態では、トラップ層208は、書き込み動作がメモリセル200に対して実行されている間にトンネル誘電体206を通ってトンネルする電子を蓄積する。トラップ層208は、メモリセル200の形成中に第1のブロック層210上に堆積されてもよい。
【0043】
第1のブロック層210は、トラップ層208を取り囲む。第1のブロック層210は、1つまたは複数の酸化物を含んでいてもよい。一実施形態では、第1のブロック層210はSiO2を含む。一実施形態では、第1のブロック層210はすべてSiO2である。第1のブロック層210は、第2のブロック層212と共に、トラップ層208とバリアメタル214およびワード線材料216によって形成されたゲート電極との間に非導電性バリアを形成する。第1のブロック層210は、メモリセル200の形成中に形成されるチャネルの内部に形成されてもよい。
【0044】
第2のブロック層212は、第1のブロック層210を取り囲む。第2のブロック層212は、MgOを含む。一実施形態では、第2のブロック層212はすべてMgOである。一実施形態では、第2のブロック層212はAl2O3を含まない。一実施形態では、第2のブロック層212はSiO2を含まない。一実施形態では、第2のブロック層212は、高誘電率(high-k)誘電体層であり、第1のブロック層210と組み合わされて、トラップ層208とバリアメタル214およびワード線材料216によって形成されたゲート電極との間にメモリセル200のブロック構造を形成する。第2のブロック層212は、第1のブロック層210上に形成されてもよい。
【0045】
第2のブロック層212は、第2のブロック層のアニールによって実現される結晶構造を有してもよい。結晶構造は、第2のブロック層内のMgOの急速熱アニール(RTA)から生じ得る。結晶構造は、第2のブロック層212がメモリセル200のブロック構造においてhigh-k層としての機能に適し得る特性を実現することができる。一実施形態では、MgOの結晶構造は、900℃未満の温度でのRTAまたは炉アニールから生じ得る。一実施形態では、MgOの結晶構造は、800℃未満の温度でのRTAから生じ得る。別の実施形態では、MgOの結晶構造は、600℃未満の温度でのRTAから生じ得る。MgOの結晶構造は、10または約10のk値の誘電率を実現することができる。MgOの結晶構造は、7eVもしくは約7eV、または8eVもしくは約8eVのバンドギャップを実現することができる。
【0046】
バリアメタル214は、第2のブロック層212を取り囲む。バリアメタル214は、任意の適切な材料、またはTaN、TiNなどの回路内のゲート用の材料を含むことができる。一実施形態では、バリアメタル214はTiNを含む。一実施形態では、バリアメタル214は、すべてTiNからなる。
【0047】
ワード線材料216はバリアメタル214と接触する。ワード線材料216は、例えばタングステンを含んでもよい。一実施形態では、ワード線材料216はタングステンである。ワード線材料216は、メモリセル200がNANDデバイスの記憶機能の一部としてアクセスおよび読み出すことができる情報の保存を実現するようNANDデバイスの配線に接続する。
【0048】
図3は、一実施形態による3D NANDデバイス300の概略図を示す。3D NANDデバイス300は、CuA構造を有する。NANDデバイス300は、下地回路302と、複数のメモリセル200とを含む。メモリセル200は、交互の誘電体層306と導電層308からなる層構造304内に配置されてもよい。
【0049】
下地回路302は、1つまたは複数の集積回路を含むことができる。一実施形態では、1つまたは複数の集積回路はCMOS回路を含む。下地回路302は、3D NANDデバイス300のメモリセル200の内容を制御または解釈するための1つまたは複数の回路を含むことができる。一実施形態では、下地回路302は、3D NANDデバイスの1つまたは複数の周辺回路を含む。一実施形態では、下地回路302は、感熱性の1つまたは複数の要素、例えば900℃を超える温度で凝集しやすい1つまたは複数の要素を含むことがある。一実施形態では、1つまたは複数の感熱性の要素は、NANDデバイス300の周辺回路を含む。
【0050】
複数のメモリセル200は、
図2の断面図に示し、上述したメモリセルである。複数のメモリセル200の各々は、形状が円筒であり、下地回路302から離れて延びる。
図3に示す実施形態では、メモリセル200は、下地回路302の平面に対して垂直に延びる。複数のメモリセル200が、下地回路302により制御されるかまたはその内容が解釈され得るように、複数のメモリセル200を下地回路302に機能的に接続することができる。
【0051】
複数のメモリセル200は、層構造304を通るチャネル内に配置されてもよい。層構造304は、交互の誘電体層306と導電層308からなる。一実施形態では、誘電体層306はSiO2である。一実施形態では、導電層308はタングステンである。一実施形態では、導電層308は、3D NANDデバイス300内のメモリセル200の制御ゲートとして機能する。
【0052】
例
2nmまたは4nmの厚さのMgOの膜を、いくつかのシリコン基板上に250℃で堆積させた。次いで、
図4のグラフに示すように、膜を約400℃~約800℃の範囲の温度で加熱することによってアニールした。アニール後、エッチング前後のMgO膜の厚さを測定することにより、MgO膜のエッチング速度を測定した。エッチング速度を測定したのは、エッチング速度が、低いエッチング速度のMgO膜が一般に高い結晶性を有するという結晶性の間接的な測定値であるためである。高い結晶性が、大きい誘電率k値および大きいバンドギャップをもたらすと考えられる。
図4に示す相対的なエッチング速度の結果は、4nmのMgO膜が約600℃のアニール温度で開始すると高く結晶化され、2nmのMgO膜が約800℃のアニール温度で開始すると高く結晶化されることを示している。
【0053】
態様:
態様1~11のいずれかを態様12~19のいずれかと組み合わせることができることが理解される。
【0054】
態様1.NANDメモリデバイスを製造する方法は、
チャネル層を堆積することと、
トンネル誘電体層を堆積することと、
トラップ層を堆積することと、
SiO2を備える第1のブロック層を堆積することと、
第1のブロック層上にMgOを備える第2のブロック層を堆積することと、
第2のブロック層をアニールすることと、
第2のブロック層上にバリアメタルを堆積することと、
バリアメタル上にワード線材料を堆積することと
を含む。
【0055】
態様2.チャネル層が集積回路の上方に堆積される、態様1に記載の方法。
【0056】
態様3.集積回路が、NANDメモリデバイスの周辺回路である、態様2に記載の方法。
【0057】
態様4.NANDメモリデバイスが三次元NANDメモリデバイスである、態様1~3のいずれかに記載の方法。
【0058】
態様5.NANDメモリデバイスの温度が方法中に900℃を超えない、態様1~4のいずれかに記載の方法。
【0059】
態様6.NANDメモリデバイスの温度が、第2のブロック層のアニール中に800℃を超えない、態様1~5のいずれかに記載の方法。
【0060】
態様7.第2のブロック層をアニールすることが急速熱アニールまたは炉アニールのうちの1つを含む、態様1~6のいずれかに記載の方法。
【0061】
態様8.第2のブロック層を堆積することが、固相Mg前駆体または液相Mg前駆体を提供することを含む、態様1~7のいずれかに記載の方法。
【0062】
態様9.第1のブロック層がSiO2からなり、第2のブロック層がMgOからなる、態様1~8のいずれかに記載の方法。
【0063】
態様10.第1のブロック層を堆積することがSiO2の原子層堆積を含み、第2のブロック層を堆積することがMgOの原子層堆積を含む、態様1~9のいずれかに記載の方法。
【0064】
態様11.第2のブロック層をアニールした後、MgOが、10または約10のk値および7eVまたは約7eVのバンドギャップを有する、態様1~10のいずれかに記載の方法。
【0065】
態様12. 下地集積回路と
下地集積回路の上方に配置された複数のメモリセルであって、メモリセルのそれぞれが、
トラップ層と、
SiO2を備える第1のブロック層と、
第1のブロック層上に配置された、MgOを備える第2のブロック層と、
第2のブロック層上に配置されたバリアメタルと
を含む複数のメモリセルと
を含む、三次元NAND(3D NAND)メモリデバイス。
【0066】
態様13.第2のブロック層がシリカを含まない、態様12に記載の3D NANDメモリデバイス。
【0067】
態様14.第2のブロック層がMgOからなる、態様12~13のいずれかに記載の3D NANDメモリデバイス。
【0068】
態様15.MgOが、結晶化MgOである、態様12~14のいずれかに記載の3D NANDメモリデバイス。
【0069】
態様16.MgOの結晶性が、900℃以下の温度でのアニールによって改善される、態様15に記載の3D NANDメモリデバイス。
【0070】
態様17.MgOの結晶性が、800℃以下の温度でのアニールによって改善される、態様15に記載の3D NANDメモリデバイス。
【0071】
態様18.MgOが、10または約10のk値および7eVまたは約7eVのバンドギャップを有する、態様12~17のいずれかに記載の3D NANDメモリデバイス。
【0072】
態様19.メモリセルの各々が、チャネル層およびトンネル誘電体層をさらに含む、態様12~18のいずれかに記載の3D NANDメモリデバイス。
【0073】
本出願で開示される実施例は、すべての点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本発明の範囲は、前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と同等の意味および範囲内にあるすべての変更は、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル層を堆積することと、
トンネル誘電体層を堆積することと、
トラップ層を堆積することと、
SiO2を備える第1のブロック層を堆積することと、
第1のブロック層上にMgOを備える第2のブロック層を堆積することと、
第2のブロック層をアニールすることと、
第2のブロック層上にバリアメタルを堆積することと、
バリアメタル上にワード線材料を堆積することと
を含む、NANDメモリデバイスを製造する方法。
【外国語明細書】