(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001023
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】L-グルホシネートの精製方法
(51)【国際特許分類】
C07F 9/30 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
C07F9/30
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023148298
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2020502197の分割
【原出願日】2018-07-17
(31)【優先権主張番号】62/533,944
(32)【優先日】2017-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/653,736
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィールズ、 スティーブン クレーグ
(72)【発明者】
【氏名】オーバーホルツァー、 マシュー リチャード
(72)【発明者】
【氏名】グリーン、 ブライアン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ、 サミール
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、 ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス、 パトリシア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物からL-グルホシネートを単離するための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】相当量のグルタメートをピログルタメートに変換してL-グルホシネートの単離を促進させることにより、L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物からL-グルホシネートを精製する方法であって、L-グルホシネート及びグルタメートを含むL-グルホシネート組成物を高温で十分な時間反応させて、グルタメートの大部分をピログルタメートに変換することと、ピログルタメート及び組成物の他の成分からL-グルホシネートを単離して、実質的に精製された(L-グルホシネート、グルタメート、及びピログルタメートの合計の90%以上である)L-グルホシネートの組成物を得ることとを含む、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相当量のグルタメートをピログルタメートに変換してL-グルホシネートの単離を促進させることにより、L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物からL-グルホシネートを精製する方法であって、
L-グルホシネート及びグルタメートを含むL-グルホシネート組成物を高温で十分な時間反応させて、グルタメートの大部分をピログルタメートに変換することと、
ピログルタメート及び組成物の他の成分からL-グルホシネートを単離して、実質的に精製された(L-グルホシネート、グルタメート、及びピログルタメートの合計の90%以上である)L-グルホシネートの組成物を得ることと
を含む、方法。
【請求項2】
組成物中の、始めにあるグルタメートの一部を、先ず、結晶化及び濾過によってL-グルホシネートから分離し、後続して組成物中のグルタメートをピログルタメートに変換する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分離されたグルタメートを、D-アミノ酸オキシダーゼ及びトランスアミナーゼ並びにグルタメートを使用してD-グルホシネートをL-グルホシネートに変換する酵素反応にリサイクルさせる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ピログルタメートからのL-グルホシネートの単離が、イオン交換を用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
高温が、120℃から180℃の温度である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
十分な時間が、少なくとも2時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
十分な時間が、2時間から18時間である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
過剰のグルタメートをピログルタメートに変換してL-グルホシネートの単離を促進させることを含む、グルタメートを含有する組成物からL-グルホシネートを精製する方法であって、
L-グルホシネート及びグルタメートを含むL-グルホシネート組成物を、グルタミニル-ペプチドシクロトランスフェラーゼの存在下で十分な時間反応させて、グルタメートの大部分をピログルタメートに変換することと、
ピログルタメート及び組成物の他の成分からL-グルホシネートを単離して、実質的に精製された(L-グルホシネート、グルタメート、及びピログルタメートの合計の90%以上である)L-グルホシネートの組成物を得ることと
を含む、方法。
【請求項9】
十分な時間が、少なくとも2時間である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
十分な時間が、2時間から18時間である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ピログルタメートからのL-グルホシネートの単離が、イオン交換を用いて実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
L-グルホシネートを作製する方法からの副生成物としての2-オキソグルタル酸を精製する方法であって、
グルタメートのアミン基を使用して、トランスアミナーゼ(TA)酵素によりPPOをL-グルホシネートにアミノ化することと、
イオン交換によって組成物から2-オキソグルタル酸を単離して、実質的に精製された2-オキソグルタル酸の組成物を得ることと、
実質的に精製された2-オキソグルタル酸を過酸化水素と接触させて、実質的に精製されたコハク酸の組成物を得ることと
を含む、方法。
【請求項13】
組成物中の、始めにあるグルタメートの一部を、先ず、結晶化及び濾過によってL-グルホシネートから分離し、後続してグルタメートをピログルタメートに変換する、請求項1又は8に記載の方法。
【請求項14】
酸を添加して、グルタメートの結晶化を生じさせる、請求項1又は8に記載の方法。
【請求項15】
前記酸が、硫酸、塩酸、リン酸、ギ酸、及び酢酸からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記酸の添加の前、添加中、又は添加の後に、組成物が高温に加熱される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記酸が、硫酸、塩酸、及びリン酸からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
pHが、約pH3~約pH4に調節される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
グルタメートをピログルタメートに変換してL-グルホシネートの単離を促進させることによって、L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物からL-グルホシネートを精製する方法であって、
硫酸を添加して組成物をpH3.7にしてグルタメートを結晶化させ、固形グルタメートを組成物から除去することと、
組成物を高温で十分な時間反応させて、残留グルタメートの大部分をピログルタメートに変換することと、
組成物の体積を減少させることと、
組成物のpHがpH6からpH7の間になるまで水酸化ナトリウムを添加することと、
組成物を5℃~混合物の凝固点(約-10~-20℃)の温度まで冷却し、その際に硫酸ナトリウムを析出させることと、
組成物から硫酸ナトリウム結晶を濾過することと、
組成物をイオン交換樹脂と接触させてピログルタミン酸を除去し、実質的に精製されたL-グルホシネートの組成物を得ることと、
実質的に精製されたL-グルホシネートの組成物の体積を減少させることと
を含む、方法。
【請求項20】
実質的に精製されたL-グルホシネートの組成物の体積を、固形物になるまで減少させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
実質的に精製されたL-グルホシネートの組成物の体積を、除草製剤中での使用に適した量まで濃縮する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記固形グルタメートを、濾過又は遠心分離によって組成物から除去する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
組成物の体積を、真空蒸留、膜分離、蒸発、薄膜蒸発、又はワイプドフィルム蒸発によって減少させる、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記硫酸ナトリウム結晶が、濾過又は遠心分離によって組成物から濾過される、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
イオン交換を用いて単離したL-グルホシネートをメタノールと接触させて、無機塩を析出させることを更に含む、請求項4、請求項11、又は請求項19に記載の方法。
【請求項26】
Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、10.1、10.8、16.8、17.2、18.3、20.0、20.2、21.2、21.5、24.1、24.3、25.1、25.6、26.9、28.6、29.0、29.7、29.9、31.9、33.4、33.7、34.5、34.9、35.4、35.7、36.1、36.7、37.1、37.5、38.2、及び39.8°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、L-グルホシネートアンモニウム形態A。
【請求項27】
XRPDパターンが、10.1、16.8、18.3、21.2、24.1、24.3、25.6、26.9、28.6、29.0、及び34.5°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含む、請求項26に記載のL-グルホシネートアンモニウム形態A。
【請求項28】
XRPDパターンが、10.1、16.8、18.3、21.2、24.1、24.3、25.6、26.9、28.6、29.0、及び34.5°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含む、請求項26に記載のL-グルホシネートアンモニウム形態A。
【請求項29】
XRPDパターンが、実質的に
図1によるものである、請求項26に記載のL-グルホシネートアンモニウム形態A。
【請求項30】
Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、10.0、11.4、12.5、16.5、17.4、18.1、19.6、20.0、21.8、22.9、23.6、24.0、25.1、25.5、26.1、26.3、26.4、27.9、28.2、28.4、28.7、29.2、30.2、30.9、31.6、31.7、32.7、33.0、33.3、34.3、35.2、36.7、37.2、37.4、37.8、38.3、38.7、及び39.3°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、L-グルホシネート形態B。
【請求項31】
XRPDパターンが、10.0、12.5、16.5、17.4、18.1、19.6、20.0、21.8、22.9、23.6、24.0、25.5、26.3、26.4、29.2、34.3、35.2、及び37.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含む、請求項30に記載のL-グルホシネート形態B。
【請求項32】
XRPDパターンが、10.0、12.5、16.5、17.4、18.1、19.6、20.0、21.8、22.9、23.6、24.0、25.5、26.3、26.4、29.2、34.3、35.2、及び37.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含む、請求項30に記載のL-グルホシネート形態B。
【請求項33】
XRPDパターンが、実質的に
図3によるものである、請求項30に記載のL-グルホシネート形態B。
【請求項34】
Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、9.1、10.9、16.1、16.8、17.3、18.3、20.1、21.4、21.8、22.4、22.7、24.1、24.9、25.4、25.6、26.1、26.6、27.7、28.3、28.9、30.8、31.9、32.6、33.6、33.9、35.1、36.6、37.1、37.5、38.3、38.9、及び39.7°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、L-グルホシネートアンモニウム形態C。
【請求項35】
XRPDパターンが、9.1、16.1、16.8、17.3、21.8、24.1、24.9、25.6、26.1、28.3、及び28.9°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含む、請求項34に記載のL-グルホシネートアンモニウム形態C。
【請求項36】
XRPDパターンが、9.1、16.1、16.8、17.3、21.8、24.1、24.9、25.6、26.1、28.3、及び28.9°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含む、請求項34に記載のL-グルホシネートアンモニウム形態C。
【請求項37】
XRPDパターンが、実質的に
図5によるものである、請求項34に記載のL-グルホシネートアンモニウム形態C。
【請求項38】
Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、9.1、11.6、13.1、14.1、14.4、16.2、17.7、18.2、18.9、19.3、19.7、21.2、21.8、22.4、23.2、23.5、25.3、25.8、26.2、27.2、28.6、29.1、30.0、30.6、31.1、31.6、32.7、33.5、34.4、34.7、35.4、35.9、36.4、及び37.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、L-グルホシネート形態D。
【請求項39】
XRPDパターンが、9.1、17.7、18.2、18.9、22.4、23.2、23.5、26.2、33.5、及び36.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含む、請求項38に記載のL-グルホシネート形態D。
【請求項40】
XRPDパターンが、9.1、17.7、18.2、18.9、22.4、23.2、23.5、26.2、33.5、及び36.4°2θ±0.2°2θのピークを含む、請求項38に記載のL-グルホシネート形態D。
【請求項41】
XRPDパターンが、実質的に
図7によるものである、請求項38に記載のL-グルホシネート形態D。
【請求項42】
Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、13.1、16.8、18.2、19.4、20.5、20.9、21.4、22.5、23.4、25.3、26.2、26.5、26.9、27.8、28.1、30.2、31.2、31.5、32.3、33.8、34.4、35.3、35.7、36.3、36.9、37.8、38.2、38.8、及び39.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、塩酸L-グルホシネート形態E。
【請求項43】
XRPDパターンが、16.8、18.2、20.5、21.4、22.5、22.9、23.4、25.3、30.2、及び31.2°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含む、請求項42に記載の塩酸L-グルホシネート形態E。
【請求項44】
XRPDパターンが、16.8、18.2、20.5、21.4、22.5、22.9、23.4、25.3、30.2、及び31.2°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含む、請求項42に記載の塩酸L-グルホシネート形態E。
【請求項45】
XRPDパターンが、実質的に
図9によるものである、請求項42に記載の塩酸L-グルホシネート形態E。
【請求項46】
X線非晶質である、固体L-グルホシネートアンモニウム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月18日出願の米国仮特許出願第62/533,944号及び2018年4月6日出願の米国仮特許出願第62/653,736号に基づく優先権を主張するものであり、これらの出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書では、L-グルホシネートの精製方法を記載する。
【背景技術】
【0003】
除草剤グルホシネートは、毒物学的又は環境的観点から最も安全な除草剤の1つであると考えられている、非選択的な葉面施用(foliarly-applied)の除草剤である。グルホシネートに関する現在の商業的な化学的合成方法は、L-及びD-グルホシネートのラセミ混合物を産出する(Duke et al. 2010 Toxins 2:1943-1962)。しかしながら、L-グルホシネート(ホスフィノトリシン又は(S)-2-アミノ-4-(ヒドロキシ(メチル)ホスホノイル)ブタン酸としても知られる)は、D-グルホシネートよりもはるかに強力である(Ruhland et al. (2002) Environ. Biosafety Res. 1:29-37)。
【0004】
したがって、活性L-グルホシネートの形態のみを生成する、又は該形態を主に生成する方法が必要である。これまで、純粋なL-グルホシネートを産生する、又はL-グルホシネートが富化されたD-及びL-グルホシネートの混合物を産生する有効な方法は利用できなかった。
【発明の概要】
【0005】
L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物からL-グルホシネートを単離するための組成物及び方法を提供する。この方法は、グルタメートをピログルタメートに変換した後、ピログルタメート及び組成物の他の成分からL-グルホシネートを単離して、実質的に精製されたL-グルホシネートを得ることを含む。一実施形態において、L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物を高温に十分な時間さらして、グルタメートをピログルタメートに変換させ、後続して、ピログルタメート及び組成物の他の成分からL-グルホシネートを単離して、実質的に精製されたL-グルホシネートを得る。別の実施形態において、酵素作用による変換によってグルタメートをピログルタメートに変換した後、イオン交換によって組成物からピログルタメートを除去して、実質的に精製されたL-グルホシネートを含む組成物を得る。組成物の体積を減少させて、濃縮されたL-グルホシネート溶液、又は固形のL-グルホシネート粉末を得てもよい。一実施形態において、精製L-グルホシネートは、L-グルホシネート、グルタメート、及びピログルタメートの合計の70%以上、80%以上、又は90%以上の濃度で最終組成物中に存在する。一部の実施形態において、グルタメートをピログルタメートに変換する前に、結晶化工程によって出発組成物中のグルタメートの一部をL-グルホシネートから分離する。また、本明細書では、L-グルホシネートを取り出した後、組成物から2-オキソグルタル酸(本明細書では2-オキソグルタレートとも呼ばれる)を単離する方法も提供する。2-オキソグルタル酸を、例えばイオン交換によって取り出し、実質的に純粋な2-オキソグルタル酸の組成物を得ることができ、次いで、この実質的に純粋な2-オキソグルタル酸は、実質的に純粋なコハク酸へ容易に変換することができる。
【0006】
本明細書に記載の方法は、実質的に純粋なL-グルホシネートの組成物を生成する。更なる実施形態において、方法は、実質的に純粋な2-オキソグルタル酸の組成物を生成する。L-グルホシネート物質の結晶形態も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】L-グルホシネートアンモニウム形態Aの、Cu-Kα放射線によって収集したXRPDパターンを示す。
【
図2】L-グルホシネートアンモニウム形態Aの、熱重量分析(上線)及び示差走査熱量測定(下線)によって収集した温度データを示す。
【
図3】L-グルホシネート形態Bの、Cu-Kα放射線によって収集したXRPDパターンを示す。
【
図4】L-グルホシネート形態Bの、熱重量分析(上線)及び示差走査熱量測定(下線)によって収集した温度データを示す。
【
図5】L-グルホシネートアンモニウム形態Cの、Cu-Kα放射線によって収集したXRPDパターンを示す。
【
図6】L-グルホシネートアンモニウム形態Cの、熱重量分析(上線)及び示差走査熱量測定(下線)によって収集した温度データを示す。
【
図7】L-グルホシネート形態Dの、Cu-Kα放射線によって収集したXRPDパターンを示す。
【
図8】L-グルホシネート形態Dの、熱重量分析(上線)及び示差走査熱量測定(下線)によって収集した温度データを示す。
【
図9】塩酸L-グルホシネート形態Eの、Cu-Kα放射線によって収集したXRPDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
L-グルホシネート(ホスフィノトリシン又は(S)-2-アミノ-4-(ヒドロキシ(メチル)ホスホノイル)ブタン酸としても知られる)の実質的に精製された組成物を生成するための組成物及び方法を提供する。参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月28日出願の米国特許出願第15/445,254号(「'254出願」)は、L-グルホシネートを生成するための組成物及び方法に関するものである。この方法は、D-グルホシネートからPPO(2-オキソ-4-(ヒドロキシ(メチル)ホスフィノイル)酪酸)への酸化的脱アミノ反応と、後続する、1種以上のアミン供与体のアミン基を使用したPPOからL-グルホシネートへの特異的アミノ化とが関わるものである。これらの2つの反応を組み合わせることによって、ラセミグルホシネート混合物中のL-グルホシネートの比率を実質的に増加させることができる。したがって、'254出願の方法は、ラセミD-/L-グルホシネート混合物を出発混合物として使用することができ、不活性D型を活性L型に変換することができる。'254方法の方法は、L-グルホシネート、PPO、及びD-グルホシネートの混合物を含む組成物を産生し、L-グルホシネート、PPO、及びD-グルホシネートの混合物の中でもL-グルホシネートが主要の化合物となる。グルタミン酸(L-グルタミン酸、D-グルタミン酸、又はこれら2つの組合せを指す)としても知られるグルタメート(L-グルタメート、D-グルタメート、又はこれら2つの組合せを指す)は、PPOからL-グルホシネートへのアミノ化におけるアミン供与体としてグルタメート又はL-グルタメートを使用するとき、組成物中に存在し得る。
【0009】
反応後の混合物中の2-オキソグルタレート、PPO、及びグルタミン酸からのL-グルホシネートの分離は、典型的には、複数の操作を要するが、その理由は、これらの成分の化学構造及び化学的性質が非常に類似しているためである。L-グルタミン酸は、L-グルホシネートと比べて高濃度で存在し、L-グルホシネートと構造が類似しているため、主要の課題をもたらす。
【0010】
I. 精製方法
本明細書では、L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物からL-グルホシネートを精製する方法を提供する。この方法は、グルタメートをピログルタメートに変換して、L-グルホシネートの単離を促進させることを含む。組成物を高温に十分な時間さらしてグルタメートの大部分をピログルタメート(本明細書ではピログルタミン酸とも称する)に変換させることによって、グルタメートをピログルタメートに変換することができる。例えば、PCT 2010/013242、U.S. 2003/0018202、Corma et al. (2007) Chem. Rev. 107:2411-2502、Purwaha et al. (2014) Anal. Chem. 86(12):5633-5637、Dubourg et al. (1956) Bulletin de la Societe Chimique de France 1351-1355、及びHelv. Chim. Acta (1958) 181(これら全ては、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。或いは、酵素変換反応によってグルタメートをピログルタメートに変換することができる。結果として得られた混合物を陽イオン交換樹脂に曝露させると、グルホシネート(及び、もし存在するならグルタメート)は、典型的には、ピログルタミン酸より強力に吸着する。結果として得られた混合物を陰イオン交換樹脂に曝露させると、ピログルタミン酸は、典型的には、グルホシネートより強力に吸着する。
【0011】
グルタミン酸からピログルタミン酸への非酵素的変換の場合、酸性のpHが好ましい。反応混合物がもとから酸性でない場合、酸を使用して反応混合物のpHを調節することができる。pHを調節するために使用することができる好適な酸には、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、酢酸、又はpKa<5の任意の他の物質が挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるDE 3920570 C2を参照されたい。pHは、約0.4~約7の値、約1.0~約6.0の値、約2.0~約5.0の値、又は約2.5~約3.5の値に調節することができる。
【0012】
示されたように、組成物を高温に十分な時間さらして、大部分のグルタメートをピログルタメートに変換することによって、グルタメートをピログルタメートに変換することができる。高温は、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃、少なくとも150℃、少なくとも160℃、少なくとも170℃、少なくとも180℃、又は少なくとも190℃であってもよい。典型的には、高温は、約120℃~約180℃の範囲であってもよい。上記のように物質の温度を高温まで上昇させるのに適した任意の方法が用いられ得、本明細書に記載の方法中に包含される。例えば、中程度の圧力下のオートクレーブ中で混合物若しくは組成物を加熱すること、マントルヒーター、煮沸板、油浴若しくはシリコーン浴を使用してニート若しくは高沸点不活性溶媒中で加熱すること、ジャケット反応容器中で流体を再循環すること、又は当業者に公知の、熱を与えるために使用される任意の他の方法によって、高温を達成することができる。ヒートガン及び開炎(open flame)の使用も、これらの方法中に包含される。
【0013】
本明細書で使用する場合、成分の「大部分」という用語は、少なくともその成分の50重量%の量を指す。例えば、用語「大部分」は、成分の50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、又は99重量%以上を指し得る。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「実質的に純粋な」又は「実質的に精製された」は、特定の成分に関連して、その成分が、組成物中に存在する全成分の合計の70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上の量で組成物中に存在することを意味する。
【0015】
グルタメートからピログルタメートへの変換は、大部分のグルタメートがピログルタメートに変換されるように十分な時間進行させる。一般的に、大部分のグルタメートは、約2時間~約20時間(例えば、約2時間~約15時間)で変換される。すなわち、高温下での変換時間は、約2時間以上、約3時間以上、約4時間以上、約5時間以上、約6時間以上、約7時間以上、約8時間以上、約9時間以上、約10時間以上、約11時間以上、約12時間以上、約13時間以上、約14時間以上、約15時間以上、約16時間以上、約17時間以上、約18時間以上、約19時間以上、又は約20時間であってもよい。
【0016】
グルタミン酸からピログルタミン酸への変換の前又は後に、反応混合物を濃縮することができる。当業者に公知の任意の濃縮手段(真空蒸留を含む蒸留、薄膜蒸発、ワイプドフィルム蒸発、パーベーパレーション、逆浸透等)を使用することができる。濃縮によって除去された水及び他の揮発性物質は、所望に応じて、プロセス中で使用するためにリサイクルすることができる。任意選択により、反応混合物から水蒸気及び他の揮発性物質を除去することによって、グルタミン酸からピログルタミン酸に変換する間に反応混合物を濃縮することができるが、この操作モードは、時間及びエネルギーを最も効率的に利用する。
【0017】
グルタミン酸からピログルタミン酸への変換の後、反応混合物を吸着剤又は他の固形物質で処理して、L-グルホシネートを損失せずに色を減少又は除去することができる。好適な吸着剤としては、活性チャコール(活性炭としても知られる)、骨炭等が挙げられる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,950,332号に記載されるもの等のポリマー材料、又は他のイオン交換樹脂は、反応混合物の脱色のための商業的操作において特に有用であり得る。当業者に公知の他の処理を使用して反応混合物を脱色することができる。
【0018】
一例において、ピログルタミン酸への変換後、種々の量の活性炭を、同じ反応混合物の一部に添加してもよい。室温で約20分間混合した後、予め洗浄しておいたCelite(登録商標)床の上部で活性炭を濾過することができる。次いでフィルターケークを、濾液と合わせた水及びケーク洗浄液で洗浄する。この例において、次いで、ピログルタミン酸を内部標準として使用して、未処理の試料に対するL-グルホシネートの回収率に関して濾液をチェックしたとき、以下の表は、回収率及び色の観察を示す。
【0019】
【0020】
一実施形態において、グルタミン酸からピログルタミン酸への変換後、反応混合物を20℃未満の温度まで冷却してもよい。好ましい実施形態において、反応に先立ち、硫酸を使用して反応混合物を約pH3に調節し、次いでグルタミン酸からピログルタミン酸への変換後に水酸化ナトリウムで約pH6に調節し、次いで反応混合物の凝固点のすぐ上の温度(例えば、約5℃以下)まで冷却する。任意選択により、上記のように反応生成物を濃縮且つ/又は脱色した後に冷却する。この手順の利点は、硫酸ナトリウムが反応混合物から析出又は結晶化することである。無水又は水和形態であり得る固形硫酸ナトリウムは、実質的に純粋であり、濾過、遠心分離、又は固形物を液体から分離する当業者に公知の任意の他の好適な手段によって、反応混合物から除去することができる。任意選択により、無水又は水和の硫酸ナトリウムの種晶を混合物に添加して、結晶化を開始させることができる。
【0021】
蒸発濃縮、冷却結晶化及び濾過の組合せによって実現される塩の除去は、膜分離法と比較したとき、特に効率的ではない。技術の大きな発達に伴い、いろいろな分離を実現するために多くの産業で膜分離器が用いられており、一般的な技術の説明は、"Unit Operations of Chemical Engineering", W. L. McCabe, J. C. Smith and P. Harriott, sixth edition; McGraw-Hill, 2001; ISBN: 0070393664に見出すことができる。"Ultrafiltration Handbook", M. Cheryan, Technomic Publishing, 1986; ISBN: 0877624569に記載の逆浸透及び限外濾過は、工業規模で実践される膜分離の例である。用語「ナノ濾過」は、逆浸透膜の細孔より大きいが限外濾過膜の細孔より小さい細孔を有する膜を使用する分離を記述するために用いられる。多くの用途において、膜は、混合物の成分をそれらのサイズの違いに応じて分離するように選択されるため、膜の細孔径は重要なパラメーターである。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,447,635号は、塩及び他の低分子量溶質を、X線造影剤のイオパミドール水溶液から除去し、同時にイオパミドール溶液を濃縮する、膜分離法を開示している。膜分離法を、他の単位操作と併用して、生成物流の純度を最適化することができる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,811,581号は、先ず、イオパミドールを含有する水流をクロマトグラフ分離によって精製した後に膜分離法を行うプロセスを開示し、実施例は、組み合わせた技術を用いて、イオパミドールを高純度及び高収率で得ることができることを教示している。
【0022】
グルタミン酸からピログルタミン酸への変換の前又は後のいずれかで、膜を使用して、無機塩及び幾らかの水をL-グルホシネート混合物から除去してもよい。L-グルホシネートを含有する混合物を、膜分離器にポンプで通してもよく、その際、無機塩及び幾らかの水が、膜を通って、L-グルホシネート混合物から離れていく。塩としては、グルタミン酸の変換に先立ってpHを調節するのに使用される酸のナトリウム塩を挙げることができ、例えば、pHの調節に硫酸が使用される場合は硫酸ナトリウム、又はpHの調節に塩酸が使用される場合には塩化ナトリウムである。選択された膜は、塩及び水と共に、一部のグルタミン酸及び/又はピログルタミン酸を通過させ得る。
【0023】
好適な膜は、セルロース、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリ乳酸、ポリアクリルアミド、ポリビニリジン等を含むがこれらに限定されない天然又は合成ポリマーで作製されていてもよい。ポリマーは、所望に応じて、化学的に修飾されてもよい。或いは、セラミック膜を使用してもよい。米国特許第3,556,305号、同第3,556,992号、同第3,628,669号、及び同第3,950,255号は、膜の作製方法及び分離法におけるそれらの使用を開示している。膜分離用の標準的な備品を膜分離のために使用することができる。当業者は、板枠式構成の平坦シート又はシェルアンドチューブ式構成の中空繊維管を含むがこれらに限定されない多数の構成において膜を使用することができることを認識している。この目的のために使用する場合、螺旋巻き膜モジュールが特に効率的になり得る。米国特許第3,228,876号、同第3,401,798号、及び同第3,682,317号は、商業的操作に適した幾つかの膜構成を開示している。
【0024】
L-グルホシネート混合物を、単一通過又は何回かの通過で膜分離器にポンプにより通して、所望のレベルの脱塩化及び濃縮に到達させることができる。結果として得られた脱塩及び濃縮L-グルホシネート混合物は、所望に応じて、更に精製することができる。
【0025】
L-グルホシネートを、ピログルタメート及び組成物の他の成分から単離して、実質的に精製されたL-グルホシネートの組成物を得ることができる。用語「実質的に精製されたL-グルホシネート」又は「実質的に純粋なL-グルホシネート」は、最終組成物中のL-グルホシネートの量が、最終組成物中のL-グルホシネート、グルタメート、ピログルタメート、及び他の成分の合計の70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上であることを示すために用いられる。
【0026】
場合により、酵素変換反応によってグルタメートをピログルタメートに変換することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,086,916号を参照されたい。このやり方において、グルタミニル-ペプチドシクロトランスフェラーゼ(例えば、E.C. 2.3.2.5)を、L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物に十分な時間添加して、グルタメートからピログルタメートに変換させることができる。変換に十分な時間の量は、反応に使用される酵素の活量及び濃度によって変わってくる。一般的に、この時間は、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、又はそれ以上になる。
【0027】
一部の実施形態において、残留するグルタメートをピログルタメートに変換する前に、結晶化工程を用いてグルタメートの一部を除去することができる。このやり方において、第1の工程では、グルタメートの一部を結晶化し、濾過、遠心分離、又は当業者に公知の任意の他の好適な固液分離法によって出発組成物から除去することができる。例えば、存在するグルタメートの0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、又は20重量%以上を結晶化し、出発組成物から除去することができる。結晶化したグルタメートは、例えば、後続のD-グルホシネートの酵素変換反応において再利用することができる。
【0028】
結晶化では、酸を添加して、組成物のpHを約3~約5(例えば、約3.5~約4.5、約3.5~約3.8、又は約3.7~約4.2)に調節することができる。pHの調節に適した酸には、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、酢酸、又はpKa<5の任意の他の物質が挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるDE 3920570 C2を参照されたい。
【0029】
一部の例において、組成物の温度が注意深く制御される。このやり方において、組成物を約30℃、約35℃、約40℃等の温度に加熱することができ、後続して、酸を添加する。酸、例えば、濃縮塩酸又は硫酸を、反応混合物を収容した好適な容器に、連続的に又は緩やかな速度で数回に分けてのいずれかで添加する。酸の添加中に混合物を撹拌することが好ましく、これは任意の好適な手段により達成され得る。混合物のpHが約pH5を超えると、一般にpH5超では析出又は結晶化が観察されないため、十分に混合した上での混合物への酸の添加は、一般的に、添加速度に影響されにくい。実験室では、好適な設備を使用して、pH5未満における酸の添加を滴下速度で実施するが、滴下速度とは、数秒毎に0.1mL未満、0.2mL未満、0.3mL未満、0.4mL未満の部分を意味し、これにより、濃縮塩酸又は硫酸の添加が終わる前にグルタミン酸の結晶化が開始する。例えば、実験室で実施する場合、体積が約1Lのバッチに約35mL~40mLの10M硫酸を一定時間(例えば、15~20分)にわたって滴下により添加することができる。
【0030】
次いで反応混合物を約35℃~約90℃(例えば、約40℃~約80℃、約50℃~約70℃、又は約55℃~約65℃)の高温に加熱し、少なくとも約20分間(例えば、少なくとも約25分間又は少なくとも約30分間)高温で保持してもよい。一部の例において、酸の添加に付随する熱のいくらかはすぐには除去されず、反応混合物をゆっくり自己発熱させる。上記のように高温で保持した後、結果として得られた組成物を次いでゆっくり経時的に0℃まで冷却する。任意選択により、組成物を数分から数日の継続時間にわたって0℃まで冷却してもよく、反応生成物を濾過する前に、少なくとも約30分間、約45分間、約50分間、約60分間にわたって、数時間にわたって、又は数日間にわたって保持することができる。
【0031】
上記の温度の制御の一利点は、濾過が容易な高純度のグルタメート結晶を生成することである。任意選択により、結晶化方法は、グルタミン酸の種晶(例えば、酸の添加中に混合物に添加されるグルタミン酸結晶、先のバッチから残留したグルタミン酸結晶、又は連続晶析装置中に存在するグルタミン酸結晶)の存在下で実施して、容易な濾過に適したサイズに結晶を成長させるのを補助することができる。
【0032】
上記の温度の制御、より具体的には室温より低い温度への低下の別の利点は、より多くのグルタミン酸が結晶化し、したがって濾液中に残留するグルタミン酸の量が減少することである。任意選択により、水混和性溶媒を添加して、混合物中のグルタミン酸の溶解度を更に低下させることができる。また、水混和性溶媒の添加は、混合物を凍結させずに、より低い温度を達成させる。
【0033】
反応生成物又は出発組成物からグルタミン酸を結晶化させる本方法は、溶液中のグルタミン酸の量を大幅に減少させる。反応混合物又は組成物中の残留グルタミン酸は、上記の高温でピログルタミン酸に変換することができる。結果として得られたピログルタミン酸は、単一イオン交換工程(すなわち、陽イオン又は陰イオン交換のいずれかであり、陽イオン交換工程及び陰イオン交換工程の両方は必要としない)、又は他の分離手法でL-グルホシネートから容易に分離され、これにより、グルタミン酸レベルが低い高純度のL-グルホシネートが得られる。
【0034】
一実施形態において、陰イオン交換樹脂を使用して、周囲温度又は高温で若干塩基性、中性、又は酸性のpHにて、ピログルタミン酸、2-オキソグルタレート、及びPPOからL-グルホシネートを精製する。一部の例において、L-グルホシネートと陰イオン交換樹脂との間の相互作用は、陰イオン交換樹脂と2-オキソグルタレート、PPO、及びピログルタメートそれぞれとの間の相互作用ほど強力でないことがある。この相互作用挙動の違いを用いて、L-グルホシネートの精製を達成することができる。この手順において、陰イオン交換樹脂を、タンク又はカラム等の好適な容器に充填してもよい。一部の例において、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の好適な無機塩基の水溶液を使用して、陰イオン交換樹脂をヒドロキシの形態に変換する。一部の例において、硫酸又は無機硫酸塩若しくは重硫酸塩を使用して、陰イオン樹脂を硫酸塩又は重硫酸塩の形態に変換する。次いで、外部加熱を通して(例えば、容器のジャケット中に熱伝導流体を流す)若しくは所望の温度で流体を容器にポンプで通すことによって又はその両方によって、所望の温度で樹脂を平衡化する。希酸、希塩基、及び/又は水を使用して樹脂を所望のpHで平衡化する。反応混合物を、グルタミン酸結晶化工程から得ることができ、任意選択により上記のように濃縮してもよく且つ/又は任意選択により上記の手順に従って脱色してもよく、樹脂と同じpHに調節することができる。また、反応混合物を樹脂と同じ温度に調節して、ポンプにより容器中の陰イオン交換樹脂に(典型的には下降流で)通してもよい。容器を出る排出液を部分ごとに集めてもよい。大部分のL-グルホシネートを含有する排出液部分を合わせて、実質的に精製されたL-グルホシネートの溶液を形成することができる。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、ピログルタミン酸、2-オキソグルタル酸、PPO、及び他の不純物は、これらの成分がL-グルホシネートとは異なる速度でカラムを通って移動するように陰イオン交換樹脂と相互作用し、それによって、実質的に精製されたL-グルホシネートを別の溶液中で集めることを可能にする。
【0035】
上記のような実質的に精製されたL-グルホシネートを調製するために、多種の市販の陰イオン交換樹脂を使用することができる。好適な樹脂の例としては、架橋コポリマー骨格(例えば、スチレン、アクリレート等のモノビニルモノマー、及びジビニルベンゼン等のポリビニル架橋剤で作製されるもの)から構成されるものが挙げられる。両方とも参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,458,976号及び同第6,924,317号は、好適なコポリマー骨格物質を生成するために使用することができる他のモノビニルモノマー及びポリビニル架橋剤を開示している。ミクロ多孔性及びマクロ多孔性等の様々な多孔性で作製された樹脂を使用してもよい。用語「ミクロ多孔性」及び「マクロ多孔性」は、固形粒子中の孔の孔径範囲を指す。孔径を決定するための2つの一般的な方法は、窒素吸脱着法及び水銀ポロシメトリーである(W. C. Connor et al. 1986 Langmuir 2(2):151-154を参照)。当業者は、マクロ多孔性物質が、マクロ孔及びメソ孔の両方を含有し、メソ孔のサイズは約20オングストローム~約500オングストロームの範囲であり、マクロ孔のサイズは約500オングストローム超であることを理解している。ミクロ多孔性物質は、サイズが20オングストローム未満であるミクロ孔を有する。参照により本明細書に組み込まれるPCT/US2016/063219を参照されたい。米国特許第4,256,840号及び同第5,244,926号(両方とも参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるもの等のゲルタイプの樹脂は、ミクロ多孔性であると考えられ、同様に使用可能である。球形又はほぼ球形を意味するビーズの形態の樹脂粒子は、本方法において特に有用である。ビーズは、粒径分布において均一(「単分散」としても知られる)、ガウス、又は多分散であってもよい。「均一」又は「単分散」は、ビーズの少なくとも90体積%が、体積平均粒径の約0.8~約1.2、より好ましくは0.85~1.15倍の粒径を有することを意味する。参照により本明細書に組み込まれるPCT/US2016/063220を参照されたい。
【0036】
樹脂は、1つ以上のタイプのアミンで官能化することによって陰イオン交換樹脂に変換することができる。樹脂を官能化できる一方法は、米国特許第6,924,317号に記載するように、コポリマーをクロロメチル化反応させた後、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノアルコール、ポリアミン、又はアンモニアと反応させるものである。ASTM D2187-94(2004年に再承認された)に従って測定される陰イオン容量が約0.1~約4ミリ当量/グラムである陰イオン交換樹脂が、本方法における使用に適している。1級及び2級アミンで官能化した樹脂は、弱塩基陰イオン樹脂として当業者に公知である。3級アミン及び4級ポリアミンで官能化された樹脂は、当業者に強塩基陰イオン交換樹脂として公知であり、本方法における使用に特に適している。一実施形態において、強塩基陰イオン交換樹脂と弱塩基陰イオン交換樹脂の混合物を使用して、実質的に精製されたL-グルホシネートを生成する。
【0037】
樹脂粒子のサイズは、イオン交換プロセスに使用される器具中で許容される圧力降下のもとで精製を実現するように選択することができる。本方法で使用される樹脂粒子の好ましい体積平均粒径の中央値は、約10ミクロン~約2000ミクロンの範囲であり、特に有用な範囲の中位径は、約100ミクロン~約1000ミクロンである。好適な樹脂の例としては、これらに限定されないが、DOWEX(商標)MARATHON(商標)A、DOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)550A、DOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)MSA、DOWEX(商標)XUR-1525-L09-046、実験用ゲルタイプの均一粒径が300ミクロンの範囲の強塩基陰イオン樹脂(タイプI)(the Dow Chemical Companyから入手される塩化物形態のトリメチルアミン第4級アンモニウム)、及び当業者に公知の他のものが挙げられる。
【0038】
一部の例において、分離に高温を利用する。カラムに供給した反応混合物及びカラム自体を、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、約35℃~約40℃、約45℃~約50℃、約50℃~約55℃、約55℃~約60℃、約60℃~約65℃、又は約65℃~約70℃の温度で維持することができる。カラムの温度は、ジャケットカラム中に加熱流体を流すこと、カラム壁に適用されたマントルヒーターを使用すること、加熱された筐体内にカラムを維持すること、又は当業者に公知の他の任意の加熱手段によって維持することができる。
【0039】
分離は、約pH0.4~pH8の範囲、すなわち、約pH0.4、約pH0.6、約pH1、約pH2、約pH3、約pH4、約pH5、約pH6、約pH7、又は約pH8のpHで実施することができる。pHの調節に使用できる酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。pHの調節に使用できる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等が挙げられる。
【0040】
イオン交換分離の分野で公知のように、樹脂は再利用するために再生することができる。例えば、米国特許第3,458,439号は、陰イオン樹脂の再生方法を記載している。このような再生プロセスにおいて、樹脂を1種以上の溶液で処理し、先に吸着された成分を樹脂から脱着させ、分離に好ましい形態に樹脂を戻す。典型的には、溶液は、酸又は塩基のいずれか及び任意選択の塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の無機塩を含有する。一実施形態において、陰イオン交換樹脂は、腐食性ブライン(すなわち、水酸化ナトリウムと塩化ナトリウムの混合物)、酸性ブライン(すなわち、塩酸と水酸化ナトリウムの混合物)、塩化ナトリウムを伴う若しくは伴わない硫酸、又は塩化ナトリウム単独を用いて再生することができる。腐食性ブラインの有用な組成物は、濃度が約0.01M~約0.5Mの水酸化ナトリウム及び濃度が約0.1M~約1.5Mの塩化ナトリウムを含む。酸性ブラインの有用な組成物は、濃度が約0.01M~約0.5Mの塩酸及び濃度が約0.1M~約1.5Mの塩化ナトリウムを含む。一部の例において、酸性ブラインは、濃度が約0.1M~約1.5Mの硫酸及び濃度が約0.1M~約1.5Mの塩化ナトリウムを含む。任意選択により、硫酸でpH1に調節した水を使用してもよい。
【0041】
ある特定の再生方法は、本明細書に記載の方法の実践において使用すると、有利になり得る。実質的に精製されたL-グルホシネートを生成するために用いる方法は、陰イオン交換樹脂再生方法と合わせたとき、実質的に精製された2-オキソグルタル酸(本明細書では、2-オキソグルタレートとも呼ばれる)を生成するために使用することもできる。実質的に精製された2-オキソグルタレート又は実質的に純粋な2-オキソグルタレートとは、最終組成物中の2-オキソグルタレートの量が、最終組成物中の2-オキソグルタル酸、L-グルホシネート、グルタメート、コハク酸、及びピログルタメートの合計の70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上であることを意図する。実質的に精製された2-オキソグルタル酸は、本方法を用いて単離された後、容易に且つ効率的にコハク酸(食品添加物及び栄養補助食品として使用される)に変換することができる。
【0042】
一部の例において、実質的に精製された2-オキソグルタレートは、本明細書に記載の方法に従ってL-グルホシネートを精製することによって高濃度で得ることができる。例えば、水酸化ナトリウム及び塩化ナトリウムの水溶液(例えば、0.1MのNaOH及び1.5MのNaClの水溶液)を、カラムクロマトグラフィー方法(例えば、陰イオン交換樹脂を使用する)における溶離液として使用することは、実質的に純粋な2-オキソグルタレートを高濃度で得ることを可能にする。2-オキソグルタレートは、PPOのアミノ化の副生成物であり、'254出願に記載のプロセスでは再利用できない。カラムから出る画分中に集めた2-オキソグルタレートは、室温で2-オキソグルタレートを過剰の希釈過酸化水素と接触させることによって、コハク酸に変換することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるA. Lopalco and V. J. Stella (2016) J. Pharm. Sci. 105:2879-2885を参照されたい。
【0043】
コハク酸は、広範囲の市販製品中の成分、又は広範囲の市販製品のための出発物質として大量に使用されている。この方法で生成される実質的に精製されたコハク酸は、所望に応じて、当業者に公知の手段によって更に精製、濃縮且つ/又は単離することができる。実質的に精製されたコハク酸又は実質的に純粋なコハク酸とは、最終組成物中のコハク酸の量が、最終組成物中のコハク酸、L-グルホシネート、グルタメート、2-オキソグルタレート、及びピログルタメートの合計の70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上であることを意図する。
【0044】
別の実施形態において、陽イオン交換樹脂を使用して、ピログルタミン酸、2-オキソグルタレート、及びPPOからL-グルホシネートを精製してもよい。この実施形態において、手順は2工程で実施してもよい。第1の工程では、グルタミン酸の環化工程からの反応混合物を、好適な酸を使用して水素形態に変換しておいた陽イオン交換樹脂と混合することができる。このような酸としては、これらに限定されないが、濃縮塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。同様に、グルタミン酸の環化工程からの反応混合物を酸性のpH、すなわち、約7.0未満(例えば、約0.5~約1.0、約1.0~約2.0、約2.0~約3.0、約3.0~約4.0、約4.0~約5.0、約5.0~約6.0、又は約6.0~約6.9のpH)のpHに調節する。任意選択により、グルタミン酸の環化工程からの反応混合物を、陽イオン樹脂と混合する前に、上記のように濃縮且つ/又は脱色してもよい。樹脂と混合すると、L-グルホシネート及び残留グルタミン酸は、樹脂上に吸着し、一方、2-オキソグルタレート、PPO、及びピログルタメートは吸着しない。好適な一定時間の後、不純物を含有する液体を、L-グルホシネートを含有する樹脂から分離することができる。任意選択により、L-グルホシネートの吸着が完了した後、樹脂を水等の好適な液体で洗浄してもよく、これにより、樹脂からL-グルホシネートを除去することなく、不純物を含有する残留液を取り除く。
【0045】
第2の工程では、L-グルホシネートを含有する樹脂を水溶性塩基と混合してもよく、それにより、L-グルホシネートを樹脂から脱着させて、実質的に精製されたL-グルホシネートの溶液を形成する。陽イオン樹脂からL-グルホシネートを除去するのに適した塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、イソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。この手順は、上記のようにバッチモードで樹脂を溶液と接触させるか、又はフローモード(樹脂は、容器中に固定されて保持され、溶液がそれを通過する)で操作することができる。この手順は、好適な温度、例えば、約20℃~約70℃で実施することができる。すなわち、約25℃~約65℃、約30℃~約60℃、又は約40℃~約50℃の範囲の温度である。樹脂は、上記のように、好適な酸(塩酸、硫酸等)又は酸と無機塩の混合物と接触させることによって再生することができる。
【0046】
多くの異なるタイプの市販の陽イオン交換樹脂を、上記の精製に使用することができる。陽イオン交換樹脂としての使用に適した樹脂は、様々な多孔性、すなわち、ミクロ多孔性又はミクロ多孔性のコポリマー骨格で構成され得る。ゲルタイプの陽イオン交換樹脂も好適である。好適な樹脂は、均一、ガウス、又は多分散粒径分布を有し得る。ビーズ形及び均一粒径分布を有するものが、本方法に好適であり得る。本方法において使用される樹脂粒子の好ましい体積平均径の平均値は、約10ミクロン~約2000ミクロンの範囲であり、特に有用な中位径の範囲は、約100ミクロン~約1000ミクロンである。
【0047】
樹脂は、スルホン化反応を受けさせることによって、強酸陽イオン交換樹脂に変換することができる。スルホン化は、樹脂を、三酸化硫黄、濃縮硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸等の種々のスルホン化剤と接触させると生じる(全て参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,500,149号、同第2,527,300号、及び同第2,597,439号を参照)。幾つかの樹脂、例えばカルボン酸モノマーを含むものは、弱酸陽イオン樹脂として機能することができる(両方とも参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,062,817号及び同第4,614,751号を参照)。ASTM D2187-94(2004年に再承認された)によって測定される陽イオン容量が約0.1~約4ミリ当量/グラムである陽イオン交換樹脂が、本方法における使用に適している。好適な樹脂の例としては、DOWEX(商標)50WX8、DOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)99K/350、DOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)C、DOWEX(商標)MARATHON(商標)MSC、及び当業者に公知の他のものが挙げられる。
【0048】
当業者は、米国特許第4,001,113号で開示されるもの等の、樹脂を含む複数の容器が、並列又は直列操作のいずれかのフローモードの効率的な操作のために使用できることを認識しているであろう。並列操作は、それぞれイオン交換樹脂を含む幾つかの同様の容器中の反応混合物の同時精製を可能にする。直列操作では、樹脂の容器から出る、望ましくない純度の部分的に精製されたL-グルホシネート溶液を、新しい又は再生された樹脂を含む後続の容器に供給し、精製プロセスを継続する。部分的に精製されたL-グルホシネート溶液を後続の容器に供給した直後、樹脂と混合させなかった反応混合物を同じ容器に供給する。この方法で、反応混合物の位置が、後続の容器に移動する。このプロセスを、直列した他の容器で繰り返す。一部の例において、使用した樹脂を幾つかの容器中で再生する一方で、部分的に精製されたL-グルホシネート溶液を他の容器中の新しい又は再生された樹脂に供給する。この方法は、連続的操作に特に適している。
【0049】
任意選択により、実質的に純粋なL-グルホシネートを含有する、イオン交換工程から出る特定体積の溶液を、水混和性有機溶媒と接触させて、無機塩の析出を生じさせることができる。この目的に有用であり得る溶媒には、アセトン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1-メチル-2-プロパノール、1,2-プロパンジオール、及び1,2-エタンジオールが挙げられる。メタノールは、数多くの実施形態において特に有用であり得る。一部の実施形態において、イオン交換工程から得られた特定体積の溶液を1倍体積以上(例えば、4倍体積)のメタノールと接触させ、したがって硫酸ナトリウム析出物が形成される。L-グルホシネートをほとんど含有しない又はL-グルホシネートを全く含有しない析出物を、容易に除去することができる。
【0050】
サイズ排除又はゲル濾過クロマトグラフィーとして知られる、分子のサイズに基づくクロマトグラフ方法も、反応混合物からL-グルホシネートを精製するために使用し得る。サイズ排除クロマトグラフィーでは、溶液を、特定の細孔径分布を有する樹脂を含む容器に通過させる。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、樹脂の細孔に入るには大きすぎる溶質は、容器を比較的迅速に通過し、これらの溶質は、樹脂粒子中に入るのを排除される。細孔に入るのに十分に小さな溶質は、樹脂粒子中に入り、したがって、長時間、容器中に留まる。溶質のサイズに加えて、他の要因、例えば、溶質構造、濃度、塩の存在、溶液pH等も、得られる分離度に影響し得る。溶質の分離は、樹脂との多重モードの相互作用、すなわち、サイズ排除と吸着若しくはイオン交換のいずれか又は両方との組合せによって生じ得ることが可能である。この技術の説明は、"Modern Size Exclusion Chromatography: Practice of Gel Permeation and Gel Filtration", second edition, A. M. Striegel, et al., John Wiley and Sons, Inc., 2009; ISBN 9780471201724に見出すことができる。
【0051】
L-グルホシネート混合物を好適なサイズ排除樹脂の容器に通過させることによって精製することができる。サイズがより小さく形状がよりコンパクトな混合物の成分は、L-グルホシネートと比べて、容器中での滞留時間がより長くなる。混合物中の全てのL-グルホシネート又はL-グルホシネートの一部は、他の成分(無機塩、ピログルタミン酸、及び/又はグルタミン酸を含む)の前にカラムから溶出する。
【0052】
サイズ排除クロマトグラフィーに有用な樹脂は、官能化あり又はなしで、イオン交換樹脂について上述したように調製することができる。米国特許第3,857,824号及び同第4,314,032号並びに英国特許第GB1135302A号は、サイズ排除クロマトグラフィー用の樹脂ビーズを調製するための追加の方法を開示している。好適な樹脂は、幾つかの製造業者から工業規模で入手可能であり、それはToyopearl(登録商標)HW-40(Tosoh Bioscienceの製品);SEPABEADS(商標)SP825L、DIAION(商標)HP20SS及びDIAION(商標)HP2MGL(Mitsubishi Chemical Companyの製品);並びにSephadex(登録商標)G-10(GE Life Sciencesの製品)を含むがこれらに限定されない。
【0053】
疑似移動床クロマトグラフィー(「SMB」)の技術を、イオン交換樹脂又はサイズ排除樹脂と組み合わせて使用して、実質的に精製されたL-グルホシネートを生成することができる。SMBは、"Simulated Moving Bed Technology: Principles, Design and Process Applications", A. Rodriguez; Butterworth-Heinemann, 2015; ISBN:978-0128020241並びに米国特許第2,985,589号、同第4,182,633号、同第4,319,929号、同第4,412,866号、同第5,102,553号、同第7,229,558号、及び同第7,931,751号(これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる)等、多数の刊行物に記載されている。SMB操作は、樹脂並びに液体流、例えば、未精製供給流及び溶離液流を効率的に利用する。SMBの別の利点は、工業規模での反応混合物の連続的精製に本方法を使用できることである。SMB技術において、幾つかの容器を直列に接続して、連続したループを形成する。各容器は、成分の分離に適した樹脂を含む。各容器へ入る又は各容器から出る少なくとも4つの異なるタイプの流体の通過のために、バルブ及びパイプが各容器に接続され、この目的のために使用されるバルブの例は、米国特許第6,431,202号に記載されている。これらの流体は、精製される混合物、溶離液、実質的に精製された高速移動成分(複数可)流及び実質的に精製された遅速移動成分(複数可)流で構成される。精製される混合物及び溶離液は、プロセスへのインプットであるが(別個の容器に個別に供給されることを意味する)が、高速移動する成分及び遅速移動する成分はプロセスから引き出される。SMBで使用される樹脂、溶離液、温度、及び流量は、高速移動成分流又は遅速移動成分流のいずれかの中で実質的に精製された生成物が得られるように選択される。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、この技術は、混合物中の成分と樹脂との特異的な相互作用を利用し、その結果、連続的ループを通じた成分の並進の速度が異なってくる。結果として、樹脂をより高い効率で利用することができ、溶離液の体積を減少することができる。同じやり方で、L-グルホシネートが高速移動する成分又は遅速移動する成分になり得るように方法を設計することができる。
【0054】
一実施形態において、SMB分離を、SMB操作に先立って混合物を吸着剤と接触させることによって混合物の1種以上の成分を除去する前処理工程と組み合わせてもよい。このような除去される成分には、PPO、2-オキソグルタレート、及び着色体が挙げられる。
【0055】
別の実施形態において、SMB分離を、上記の膜分離手順と組み合わせる。膜分離工程は、所望に応じて、溶液から無機塩及び/又は水を除去するために用いることができる。膜分離手順は、SMB分離の前又は後に実施することができる。
【0056】
本明細書に記載の方法は、1H-NMRによって決定した場合、約80%以上(例えば、約85%以上、約87%以上、又は約90%以上)の未反応グルタミン酸を除去するが、パーセンテージの決定にHPLC及び他の分析方法も用いることもできる。
【0057】
この方法によって実質的に純粋なL-グルホシネートが単離される。したがって、この方法は、実質的に純粋なL-グルホシネート組成物を生成する。L-グルホシネートの形態は、結晶、液体、油、又は非晶質固体であってもよい。例えば、実質的に純粋なL-グルホシネート組成物は、純度70%超のL-グルホシネートである材料、或いは30%未満の、D-グルホシネート、PPO、2-オキソグルタレート、ピログルタメート、グルタメート、又は、出発物質中に存在し、材料の反応中、加熱中若しくは冷却中に混入する他の不純物であって水以外のもので汚染されている材料;純度80%超のL-グルホシネートである材料、或いは20%未満の、D-グルホシネート、PPO、2-オキソグルタレート、ピログルタメート、グルタメート、又は、出発物質中に存在し、材料の反応中、加熱中若しくは冷却中に混入する不純物であって水以外のもので汚染されている材料;純度85%超のL-グルホシネートである材料、或いは15%未満の、D-グルホシネート、PPO、2-オキソグルタレート、ピログルタメート、グルタメート、又は、出発物質中に存在し、材料の反応中、加熱中若しくは冷却中に混入する他の不純物であって水以外のもので汚染されている材料;純度90%超のL-グルホシネートである材料、或いは10%未満の、D-グルホシネート、PPO、2-オキソグルタレート、ピログルタメート、グルタメート、又は、出発物質中に存在し、材料の反応中、加熱中若しくは冷却中に混入する他の不純物であって水以外のもので汚染されている材料;或いは純度95%超のL-グルホシネートである材料、或いは5%未満の、D-グルホシネート、PPO、2-オキソグルタレート、ピログルタメート、グルタメート、又は、出発物質中に存在し、材料の反応中、加熱中若しくは冷却中に混入する他の不純物であって水以外のもので汚染されている材料を含む。
【0058】
一実施形態において、実質的に純粋なL-グルホシネートを含有する、イオン交換工程から出る特定体積の溶液を、除草製品に直接配合できる濃縮物まで低減することができる。当業者に公知の任意の濃縮手段、例えば蒸留(真空蒸留を含む)、薄膜蒸発、ワイプドフィルム蒸発、及び膜を利用した方法(パーベーパレーション、逆浸透、ナノ濾過、限外濾過等)を用いてもよい。濃縮によって除去された水及び溶媒は、所望に応じて、プロセスにリサイクルすることができる。
【0059】
別の実施形態において、上記の方法のいずれかを用いて、析出又は結晶化が生じるまで、濃縮L-グルホシネート溶液を更に濃縮することができる。任意選択により、溶媒又は溶媒混合物をプロセス中に任意の時点で添加して、水の蒸発を助けること、固形L-グルホシネートの純度を高めること、実質的に精製されたL-グルホシネートの収率を上げること、又は固形粒子のサイズ及び/若しくは形状を変更することができる。水中の溶解度が少なくとも10重量%である溶媒が、この目的に特に適している。有用な溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1-メチル-2-プロパノール、1,2-プロパンジオール、1,2-エタンジオール、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、及び水酸化アンモニウムが挙げられる。析出又は結晶化によって生成される固形物質を濾過し乾燥して、実質的に純粋なL-グルホシネートを含有する固形物を得ることができる。所望に応じて、濾液をプロセスに戻してリサイクルすることができる。任意の好適な濾過装置及び乾燥装置を、この目的のために使用してもよい。濃縮によって除去された水及び溶媒は、所望に応じて、プロセス中にリサイクルすることができる。
【0060】
別の実施形態において、実質的に精製されたL-グルホシネートを含有する、イオン交換工程から出る特定体積の溶液を、析出又は結晶化が生じるまで濃縮してもよく、次いで、存在する水及び他の揮発性物質の蒸発を、実質的に乾燥した固形物が得られるまで継続してもよい。このプロセスの利用の一利点は、濾過工程が不要なことである。任意選択により、水と共沸混合物を形成するもの(トルエン、1-ブタノール、t-アミルアルコール等を含む)のような溶媒又は溶媒混合物を任意の時点で添加して、水の蒸発を補助することができる。任意選択により、上記のように、固形粒子のサイズ及び/又は形状を改変するために成分を添加してもよい。実質的に精製されたL-グルホシネートを含有する固形物は、粉末、顆粒状粒子、大きな塊、又はこれらの混合物として得ることができる。この手順を実施するのに適した任意の装置(ロータリーエバポレーター(rotovap)、平鍋型撹拌乾燥機、水平軸撹拌乾燥機等を含む)を使用してもよい。乾燥固形物の均質化を、所望に応じて行ってもよい。プロセス中に除去された水及び溶媒は、所望に応じて、リサイクルすることができる。
【0061】
別の実施形態において、実質的に精製されたL-グルホシネートを含有する、イオン交換工程から出る特定体積の溶液を、噴霧乾燥機に移すことができる。溶液を、噴霧乾燥機に移す前に部分的に濃縮してもよく、部分的に濃縮された混合物は、溶液の形態、或いは、析出又は結晶化が生じた場合には、スラリーの形態であってもよい。噴霧乾燥後に得られる固形物は、粉末又は顆粒の形態であってもよく、実質的に純粋なL-グルホシネートを含有する。別の実施形態において、乾燥粒子又は他の成分の流動性を改善することができる作用剤を、噴霧乾燥に先立って、濃縮された溶液又はスラリー中に混合させてもよい。別の実施形態において、配合成分等の他の材料を、噴霧乾燥に先立って、溶液又は部分的に濃縮された混合物中に混合させてもよい。
【0062】
II. 固体形態
多数のL-グルホシネートの固体形態(結晶形態及び非晶質形態を含む)も、本明細書において提供する。
【0063】
一部の実施形態において、L-グルホシネートアンモニウム形態Aを提供する。一部の実施形態において、形態Aは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、10.1、10.8、16.8、17.2、18.3、20.0、20.2、21.2、21.5、24.1、24.3、25.1、25.6、26.9、28.6、29.0、29.7、29.9、31.9、33.4、33.7、34.5、34.9、35.4、35.7、36.1、36.7、37.1、37.5、38.2、及び39.8°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。例えば、形態AのXRPDパターンは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又は31個の該ピークを含むことができる。
【0064】
一部の実施形態において、形態Aは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、10.1、16.8、18.3、21.2、24.1、24.3、25.6、26.9、28.6、29.0、及び34.5°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、形態Aは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、10.1、16.8、18.3、21.2、24.1、24.3、25.6、26.9、28.6、29.0、及び34.5°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、形態Aは、実質的に
図1によるXRPDパターンによって特徴付けられる。下記のように、形態Aを、イオンクロマトグラフィーによって分析し、約1.4:1のグルホシネート:アンモニウム比を示した。一部の実施形態において、形態Aは、およそ119~およそ123℃の範囲で開始する吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態において、DSC曲線は、実質的に
図2に示すDSC曲線による。
【0065】
L-グルホシネートアンモニウム形態Aは、下記の方法に従って調製することができる。一部の実施形態において、L-グルホシネートアンモニウム形態Aの調製は、L-グルホシネートアンモニウムと極性溶媒(例えば、イソプロパノール又はメタノール)又は極性溶媒と水の混合物を合わせることと、結果として得られたスラリーを、1時間~14日の範囲の期間、約20℃~約50℃の範囲の温度で維持することと、スラリーから形態Aを単離することとを含む。
【0066】
一部の実施形態において、L-グルホシネート形態Bを提供する。一部の実施形態において、形態Bは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、10.0、11.4、12.5、16.5、17.4、18.1、19.6、20.0、21.8、22.9、23.6、24.0、25.1、25.5、26.1、26.3、26.4、27.9、28.2、28.4、28.7、29.2、30.2、30.9、31.6、31.7、32.7、33.0、33.3、34.3、35.2、36.7、37.2、37.4、37.8、38.3、38.7、及び39.3°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。例えば、形態BのXRPDパターンは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、又は38個の該ピークを含むことができる。
【0067】
一部の実施形態において、形態Bは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、10.0、12.5、16.5、17.4、18.1、19.6、20.0、21.8、22.9、23.6、24.0、25.5、26.3、26.4、29.2、34.3、35.2、及び37.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、形態Bは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、10.0、12.5、16.5、17.4、18.1、19.6、20.0、21.8、22.9、23.6、24.0、25.5、26.3、26.4、29.2、34.3、35.2、及び37.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、形態Bは、実質的に
図3によるXRPDパターンによって特徴付けられる。下記のように、形態Bを、イオンクロマトグラフィーによって分析し、約5.3:1のグルホシネート:アンモニウム比を示した。一部の実施形態において、形態Bは、およそ123℃で開始する吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態において、DSC曲線は、実質的に
図4に示すDSC曲線による。
【0068】
L-グルホシネート形態Bは、下記の方法に従って調製することができる。一部の実施形態において、L-グルホシネート形態Bの調製は、L-グルホシネートアンモニウムを、極性溶媒と水の混合物と合わせることと、結果として得られたスラリーを、1時間~14日の範囲の期間、約20℃~約50℃の範囲の温度で維持することと、スラリーから形態Bを単離することとを含む。
【0069】
一部の実施形態において、L-グルホシネートアンモニウム形態Cを提供する。一部の実施形態において、形態Cは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、9.1、10.9、16.1、16.8、17.3、18.3、20.1、21.4、21.8、22.4、22.7、24.1、24.9、25.4、25.6、26.1、26.6、27.7、28.3、28.9、30.8、31.9、32.6、33.6、33.9、35.1、36.6、37.1、37.5、38.3、38.9、及び39.7°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。例えば、形態CのXRPDパターンは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、又は34個の該ピークを含むことができる。
【0070】
一部の実施形態において、形態Cは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、9.1、16.1、16.8、17.3、21.8、24.1、24.9、25.6、26.1、28.3、及び28.9°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、形態Cは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、9.1、16.1、16.8、17.3、21.8、24.1、24.9、25.6、26.1、28.3、及び28.9°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、形態Cは、実質的に
図5によるXRPDパターンによって特徴付けられる。下記のように、形態Cを、イオンクロマトグラフィーによって分析し、約1.4:1のグルホシネート:アンモニウム比を示した。一部の実施形態において、形態Cは、およそ100℃で開始する吸熱及び/又はおよそ131℃で開始する吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態において、DSC曲線は、実質的に
図6に示すDSC曲線による。
【0071】
L-グルホシネートアンモニウム形態Cは、下記の方法に従って調製することができる。一部の実施形態において、L-グルホシネートアンモニウム形態Cの調製は、1時間~14日の範囲の期間、約20℃~約30℃の範囲の温度で、L-グルホシネートアンモニウムを溶媒蒸気(例えば、メタノール蒸気)と接触させることと、形態Cを単離することとを含む。
【0072】
一部の実施形態において、L-グルホシネート形態Dを提供する。一部の実施形態において、形態Dは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、9.1、11.6、13.1、14.1、14.4、16.2、17.7、18.2、18.9、19.3、19.7、21.2、21.8、22.4、23.2、23.5、25.3、25.8、26.2、27.2、28.6、29.1、30.0、30.6、31.1、31.6、32.7、33.5、34.4、34.7、35.4、35.9、36.4、及び37.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。例えば、形態DのXRPDパターンは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、又は34個の該ピークを含むことができる。
【0073】
一部の実施形態において、形態Dは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、9.1、17.7、18.2、18.9、22.4、23.2、23.5、26.2、33.5、及び36.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、形態Dは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、9.1、17.7、18.2、18.9、22.4、23.2、23.5、26.2、33.5、及び36.4°2θ±0.2°2θのピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、形態Dは、実質的に
図7によるXRPDパターンによって特徴付けられる。下記のように、形態Dを、イオンクロマトグラフィーによって分析し、約3.9:1のグルホシネート:アンモニウム比を示した。一部の実施形態において、形態Dは、およそ140℃で開始する広範な吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態において、DSC曲線は、実質的に
図8に示すDSC曲線による。
【0074】
L-グルホシネート形態Dは、下記の方法に従って調製することができる。一部の実施形態において、L-グルホシネート形態Dの調製は、L-グルホシネートアンモニウムを、溶媒(例えば、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、イソプロパノール、アセトン、ジメチルアセトアミド等であり、これらは任意選択により無水である)の混合物と合わせることと、結果として得られたスラリーを、1時間~14日の範囲の期間、約50℃~約60℃の範囲の温度で維持することと、スラリーから形態Dを単離することとを含む。
【0075】
一部の実施形態において、塩酸L-グルホシネート形態Eを提供する。一部の実施形態において、形態Eは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、13.1、16.8、18.2、19.4、20.5、20.9、21.4、22.5、23.4、25.3、26.2、26.5、26.9、27.8、28.1、30.2、31.2、31.5、32.3、33.8、34.4、35.3、35.7、36.3、36.9、37.8、38.2、38.8、及び39.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。例えば、形態EのXRPDパターンは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又は31個の該ピークを含むことができる。
【0076】
一部の実施形態において、形態Eは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、16.8、18.2、20.5、21.4、22.5、22.9、23.4、25.3、30.2、及び31.2°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、形態Eは、Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、16.8、18.2、20.5、21.4、22.5、22.9、23.4、25.3、30.2、及び31.2°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。一部の実施形態において、形態Eは、実質的に
図9によるXRPDパターンによって特徴付けられる。下記のように、形態Eを、イオンクロマトグラフィーによって分析し、L-グルホシネート及び塩化物の化学量論量を示した。
【0077】
塩酸L-グルホシネート形態Eは、下記の方法に従って調製することができる。一部の実施形態において、塩酸L-グルホシネート形態Eの調製は、L-グルホシネートアンモニウムを、水及び塩酸と合わせることと、結果として得られた混合物に溶媒(例えば、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、イソプロパノール、アセトン、ジメチルアセトアミド等)を添加することと、混合物を、1時間~14日の範囲の期間、約20℃~約30℃の範囲の温度で維持することと、混合物から形態Eを単離することとを含む。
【0078】
III. 組成物
また、上記のL-グルホシネートを含む組成物も本明細書において記載する。一部の実施形態において、組成物は、実質的に、L-グルホシネート、及び許容される陽イオン又は陰イオン塩の形態、例えばナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、又はイソプロピルアンモニウム塩を含む。組成物は、追加的に、L-グルホシネート、PPO、及びD-グルホシネートの混合物を含み得、L-グルホシネートが主要な化合物である。言い換えれば、L-グルホシネートは、約50重量%超(例えば、約55重量%超、約60重量%超、約65重量%超、約70重量%超、約75重量%超、約80重量%超、約85重量%超、約90重量%超、又は約95重量%超)の量で組成物中に存在する。
【0079】
本明細書に記載の精製されたL-グルホシネートは、雑草の防止又は抑制のための作物の農地への適用に有用な組成物中で使用することができる。組成物は、農地での噴霧用の液体として配合されてもよい。L-グルホシネートは、有効な量で組成物中に含まれる。本明細書で用いる場合、有効な量とは、1ヘクタール当たり約10グラムの活性成分~1ヘクタール当たり約1500グラムの活性成分、例えば、約50グラム~約400グラム又は約100グラム~約350グラムを意味する。一部の実施形態において、活性成分は、L-グルホシネートである。例えば、組成物中のL-グルホシネートの量は、1ヘクタール当たり約10グラム、約50グラム、約100グラム、約150グラム、約200グラム、約250グラム、約300グラム、約350グラム、約400グラム、約450グラム、約500グラム、約550グラム、約600グラム、約650グラム、約700グラム、約750グラム、約800グラム、約850グラム、約900グラム、約950グラム、約1000グラム、約1050グラム、約1100グラム、約1150グラム、約1200グラム、約1250グラム、約1300グラム、約1350グラム、約1400グラム、約1450グラム、又は約1500グラムのL-グルホシネートであってもよい。
【0080】
本明細書に記載の除草組成物(植物への適用前に希釈を要する濃縮物を含む)は、L-グルホシネート(すなわち、活性成分)、任意選択の一部の残留D-グルホシネート及び/又はPPO、並びに液体又は固形物形態の1種以上の助剤成分を含有する。
【0081】
組成物は、活性成分と1種以上の助剤(希釈剤、増量剤、キャリア、界面活性剤、有機溶媒、保湿剤、又はコンディショニング剤等)とを混合し、微細化された微粒子状固形物、ペレット、溶液、分散体、又はエマルションの形態の組成物を生成することによって、調製される。したがって、活性成分は、微細化された固形物、有機液体、水、湿潤剤、分散剤、乳化剤、又はこれらの任意の好適な組合せ等の助剤と併用することができる。経済性及び利便性の観点から、水は好ましい希釈剤である。しかしながら、全ての化合物が加水分解に耐性ではなく、当業者は、場合により、このことが非水性溶媒媒体の使用を決定付け得ることを理解している。
【0082】
任意選択により、1種以上の追加の成分を組成物に添加して、配合された除草組成物を生成することができる。このような配合組成物は、L-グルホシネート、キャリア(例えば、希釈剤及び/又は溶媒)、及び他の成分を含んでもよい。配合組成物は、有効な量のL-グルホシネートを含む。任意選択により、L-グルホシネートは、L-グルホシネートアンモニウムの形態で存在することができる。L-グルホシネートアンモニウムは、配合組成物の10重量%~30重量%の範囲の量で存在することができる。例えば、L-グルホシネートアンモニウムは、配合組成物の10重量%、12重量%、14重量%、16重量%、18重量%、20重量%、22重量%、24重量%、26重量%、28重量%、又は30重量%の量で存在することができる。任意選択により、L-グルホシネートアンモニウムは、配合組成物の12.25重量%又は24.5重量%の量で存在する。
【0083】
一部の例において、配合組成物は、1種以上の界面活性剤を含むことができる。配合組成物中の使用に適した界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。界面活性剤は、配合組成物の10重量%~40重量%の量で存在することができる。例えば、界面活性剤は、配合組成物の10重量%、12重量%、14重量%、16重量%、18重量%、20重量%、22重量%、24重量%、26重量%、28重量%、30重量%、32重量%、34重量%、36重量%、38重量%、又は40重量%の量で存在することができる。任意選択により、アルキルエーテル硫酸ナトリウムは、配合組成物の11.05重量%、15.8重量%、22.1重量%、又は31.6重量%の量で存在する。
【0084】
配合組成物は、任意選択により、1種以上の溶媒(例えば、有機溶媒)を含んでもよい。任意選択により、溶媒は、1-メトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、及びこれらの混合物であってもよい。1種以上の溶媒が、配合組成物の0.5重量%~20重量%の範囲の量で存在していてもよい。例えば、組成物中の溶媒の総量は、配合組成物の0.5重量%~18重量%、5重量%~15重量%、又は7.5重量%~10重量%の量で存在することができる。
【0085】
任意選択により、溶媒は、2種の溶媒の組合せを含む。例えば、配合物中の溶媒は、1-メトキシ-2-プロパノール及びジプロピレングリコールを含むことができる。1-メトキシ-2-プロパノールは、例えば、配合組成物の0.5重量%~2重量%の量で存在することができる。例えば、1-メトキシ-2-プロパノールは、配合組成物の0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、又は2.0重量%の量で存在することができる。任意選択により、1-メトキシ-2-プロパノールは、配合組成物の0.5重量%又は1.0重量%の量で存在する。ジプロピレングリコールは、配合組成物の4重量%~18重量%の量で存在することができる。例えば、ジプロピレングリコールは、配合組成物の4重量%、6重量%、8重量%、10重量%、12重量%、14重量%、16重量%、又は18重量%の量で存在することができる。任意選択により、ジプロピレングリコールは、配合組成物の4.3重量%又は8.6重量%の量で存在する。
【0086】
配合組成物は、1種以上の多糖類系保湿剤も含むことができる。好適な多糖類系保湿剤の例としては、例えば、アルキル多糖類、ペントース、高フルクトースコーンシロップ、ソルビトール、及びモラセスが挙げられる。アルキル多糖類等の多糖類系保湿剤は、配合組成物の4重量%~20重量%の範囲の量で配合組成物中に存在することができる。例えば、組成物中の多糖類系保湿剤の総量は、配合組成物の4重量%~18重量%、4.5重量%~15重量%、又は5重量%~10重量%であってもよい。一部の例において、配合組成物中に存在するアルキル多糖類等の多糖類系保湿剤の総量は、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、又は18%であってもよい。任意選択により、アルキル多糖類は、配合組成物の3.2重量%、4.9重量%、6.2重量%、又は9.8重量%の量で存在することができる。
【0087】
また、希釈剤も配合組成物中に含めることができる。好適な希釈剤としては、水及び他の水性成分が挙げられる。任意選択により、希釈剤は、包装又は使用がすぐに可能な組成物を生成するために必要な量で存在する。
【0088】
一例において、配合組成物は、配合物の12.25重量%の量のL-グルホシネートアンモニウム、配合物の31.6重量%の量のアルキルエーテル硫酸ナトリウム、配合物の1重量%の量の1-メトキシ-2-プロパノール、配合物の8.6重量%の量のジプロピレングリコール、配合物の9.8重量%の量のアルキル多糖類、及び水を含む。一部の実施形態において、配合組成物は、配合物の36.75重量%の量の水を含む。
【0089】
別の例において、配合組成物は、配合物の24.5重量%の量のL-グルホシネートアンモニウム、配合物の31.6重量%の量のアルキルエーテル硫酸ナトリウム、配合物の1重量%の量の1-メトキシ-2-プロパノール、配合物の8.6重量%の量のジプロピレングリコール、配合物の9.8重量%の量のアルキル多糖類、及び水を含む。一部の実施形態において、配合組成物は、配合物の36.75重量%の量の水を含む。
【0090】
別の例において、配合組成物は、配合物の12.25重量%の量のL-グルホシネートアンモニウム、配合物の15.8重量%の量のアルキルエーテル硫酸ナトリウム、配合物の0.5重量%の量の1-メトキシ-2-プロパノール、配合物の4.3重量%の量のジプロピレングリコール、配合物の4.9重量%の量のアルキル多糖類、及び水を含む。一部の実施形態において、配合組成物は、配合物の62.25重量%の量の水を含む。
【0091】
別の例において、配合組成物は、配合物の24.5重量%の量のL-グルホシネートアンモニウム、配合物の22.1重量%の量のアルキルエーテル硫酸ナトリウム、配合物の1重量%の量の1-メトキシ-2-プロパノール、配合物の6.2重量%の量のアルキル多糖類、及び水を含む。一部の実施形態において、配合組成物は、配合物の46.2重量%の量の水を含む。
【0092】
別の例において、配合組成物は、配合物の12.25重量%の量のL-グルホシネートアンモニウム、配合物の22.1重量%の量のアルキルエーテル硫酸ナトリウム、配合物の1重量%の量の1-メトキシ-2-プロパノール、配合物の6.2重量%の量のアルキル多糖類、及び水を含む。一部の実施形態において、配合組成物は、配合物の58.45重量%の量の水を含む。
【0093】
別の例において、配合組成物は、配合物の12.25重量%の量のL-グルホシネートアンモニウム、配合物の11.05重量%の量のアルキルエーテル硫酸ナトリウム、配合物の0.5重量%の量の1-メトキシ-2-プロパノール、配合物の3.1重量%の量のアルキル多糖類、及び水を含む。一部の実施形態において、配合組成物は、配合物の73.1重量%の量の水を含む。
【0094】
水の総量は、変動し得、配合組成物中の他の成分の数及び量に部分的に依存する。本明細書で挙げる配合組成物中の使用に適した更なる成分は、米国特許第4,692,181号及び同第5,258,358号に記載され、これらは両方とも、全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0095】
本明細書に記載の配合組成物、特に液体及び可溶性粉末は、更なる助剤成分として、1種以上の界面活性剤を、所与の組成物を水中又は油中で容易に分散可能にするのに十分な量で含有することができる。界面活性剤を組成物中に取り入れることは、その効力を顕著に強化する。本明細書で用いる場合、界面活性剤は、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、及び乳化剤を含む。陰イオン性、陽イオン性、及び非イオン性の作用剤は、それぞれ同等に使用することができる。
【0096】
好適な湿潤剤としては、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホネート、硫酸化脂肪アルコール、アミン又は酸アミド、ナトリウムイソチオネートの長鎖酸エステル、スルホコハク酸ナトリウムエステル、スルホン酸石油の硫酸化又はスルホン化脂肪酸エステル、スルホン化植物油、ジ-tert-アセチレングリコール、アルキルフェノール(特にイソオクチルフェノール及びノニルフェノール)のポリオキシエチレン誘導体、並びにヘキシトール無水物(例えば、ソルビタン)のモノ高級脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体が挙げられる。例示的な分散剤としては、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、リグニンスルホン酸ナトリウム、高分子アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ポリメチレンビスナフタレンスルホン酸塩、及びN-メチル-N-(長鎖酸)ラウリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0097】
1種以上の活性成分、不活性固形増量剤、並びに1種以上の湿潤剤及び分散剤を含有する水分散性粉末組成物を作製することができる。不活性固形増量剤は、通常、天然粘土、珪藻土、及びシリカ等に由来する合成鉱物等の鉱物起源である。このような増量剤の例としては、カオリナイト、アタパルジャイト粘土、及び合成ケイ酸マグネシウムが挙げられる。本明細書に記載の水分散性粉末は、任意選択により、約5~約95重量部の活性成分(例えば、約15~30重量部の活性成分)、約0.25~25重量部の湿潤剤、約0.25~25重量部の分散剤、及び4.5~約94.5重量部の不活性固形増量剤を含有することができ、ここで全ての部は、全組成物の重量による。必要に応じて、約0.1~2.0重量部の固形不活性増量剤を、腐食防止剤若しくは消泡剤又は両方に置き換えることができる。
【0098】
水性懸濁液は、溶解又は一緒に混合し、分散剤の存在下で水不溶性活性成分の水性スラリーを粉砕して、微細化された粒子の濃縮スラリーを得ることによって調製することができる。結果として得られた濃縮水性懸濁液は、その極度に小さな粒子サイズによって特徴付けられ、したがって、希釈して噴霧したとき、被覆が非常に均一である。
【0099】
乳化油は、通常、水に不混和性又は部分的に水に不混和性の溶媒中で活性成分と界面活性剤を一緒にした溶液である。本明細書に記載の活性成分に適した溶媒としては、炭化水素、及び水に不混和性のエーテル、エステル、又はケトンが挙げられる。乳化油組成物は、一般的に、約5~95部の活性成分、約1~50部の界面活性剤、及び約4~94部の溶媒を含有し、ここで全ての部は乳化油の総重量に基づく重量による。
【0100】
本明細書に記載の配合組成物は、助剤として又は上記の助剤のいずれかとの組合せとして使用される他の添加剤、例えば、肥料、植物有害物質及び植物成長調節物質、殺虫剤等も含有することができる。本明細書に記載の配合組成物は、他の物質、例えば、肥料、他の植物有害物質等と混合することもでき、単独適用で適用することもできる。
【0101】
本明細書に記載の各配合タイプ、例えば、液体及び固形配合において、活性成分の濃度は同じであってもよい。
【0102】
一部の実施形態において、組成物は、主要成分として2-オキソグルタレートを含むことができる。2-オキソグルタレートは、重要なジカルボン酸であり、トリカルボン酸サイクル及びアミノ酸代謝において鍵となる中間体の1つである。2-オキソグルタレートは、参照により本明細書に組み込まれる仏国特許第07199号に記載されるような方法によって反応混合物から単離することができる。2-オキソグルタレート組成物は、医薬品賦形剤及びキャリア、食品添加物、又は生体材料を形成するために使用される成分と共に配合することができる。2-オキソグルタレート組成物は、Li et al., Bioprocess Biosyst Eng, 39:967-976 (2016)に記載するように、薬剤、食品添加物、及び生体材料の合成等、多種多様な用途において使用することができる。
【0103】
配合された除草組成物は、他の除草剤と併用できることが認識される。本明細書に記載の除草組成物は、多くの場合、より多様な不要植物を抑制するために、1種以上の他の除草剤と併せて適用される。他の除草剤と併用される場合、本願クレームに係る化合物は、他の1種以上の除草剤と共に配合されるか、他の1種以上の除草剤とタンク混合されるか、又は他の1種以上の除草剤と順次適用され得る。本明細書に記載の配合された除草組成物と併用できる除草剤としては、アミド除草剤(アリドクロル、6-アリールピコリネート、ベフルブタミド、ベンザドクス、ベンジプラム、ブロモブチド、カフェンストロール、CDEA、クロルチアミド、6-シクロプロピルピコリネート、シプラゾール、ジメテナミド、ジメテナミド-P、ジフェナミド、エプロナズ、エトニプロミド、フェントラザミド、フルポキサム、ホメサフェン、ハロサフェン、イソカルバミド、イソキサベン、ナプロパミド、ナプタラム、ペトキサミド、プロピザミド、キノナミド及びテブタム等)、アニリド除草剤(クロラノクリル、シスアニリド、クロメプロップ、シプロミド、ジフルフェニカン、エトベンザニド、フェナシュラム、フルフェナセット、フルフェニカン、メフェナセット、メフルイジド、メタミホップ、モナリド、ナプロアニリド、ペンタノクロル、ピコリナフェン及びプロパニル等)、アリールアラニン除草剤(ベンゾイルプロップ、フラムプロップ及びフラムプロップ-M等)、クロルアセトアニリド除草剤(アセトクロール、アラクロール、ブタクロール、ブテナクロール、デラクロール、ジエタチル、ジメタクロール、メタザクロール、メトラクロール、S-メトラクロール、プレチラクロール、プロパクロール、プロピソクロール、プリナクロール、テルブクロール、テニルクロール及びキシラクロール等)、スルホンアニリド除草剤(ベンゾフルオル、ペルフルイドン、ピリミスルファン及びプロフルアゾール等)、スルホンアミド除草剤(アスラム、カルバスラム、フェナシュラム及びオリザリン等)、抗生物質除草剤(ビアラホス等)、安息香酸除草剤(クロランベン、ジカンバ、2,3,6-TBA及びトリカンバ等)、ピリミジニルオキシ安息香酸除草剤(ビスピリバック及びピリミノバック等)、ピリミジニルチオ安息香酸除草剤(ピリチオバック等)、フタル酸除草剤(クロルタール等)、ピコリン酸除草剤(アミノピラリド、クロピラリド及びピクロラム等)、キノリンカルボン酸除草剤(キンクロラック及びキンメラック等)、ヒ素系除草剤(カコジル酸、CMA、DSMA、ヘキサフルレート、MAA、MAMA、MSMA、亜ヒ酸カリウム及び亜ヒ酸ナトリウム等)、ベンゾイルシクロヘキサンジオン除草剤(メソトリオン、スルコトリオン、テフリルトリオン及びテンボトリオン等)、ベンゾフラニルアルキルスルホネート除草剤(ベンフレセート及びエトフメセート等)、カルバメート系除草剤(アスラム、カルボキサゾールクロルプロカルブ、ジクロルメート、フェナシュラム、カルブチレート及びテルブカルブ等)、カルバニレート除草剤(バルバン、BCPC、カルバスラム、カルベタミド、CEPC、クロルブファム、クロルプロファム、CPPC、デスメディファム、フェニソファム、フェンメジファム、フェンメジファムエチル、プロファム及びスウェプ等)、シクロヘキセンオキシム除草剤(アロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、クロプロキシジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム及びトラルコキシジム等)、シクロプロピルイソオキサゾール除草剤(イソキサクロルトール及びイソキサフルトール等)、ジカルボキシイミド除草剤(ベンズフェンジゾン、シニドンエチル、フルメジン、フルミクロラック、フルミオキサジン及びフルミプロピン等)、ジニトロアニリン系除草剤(ベンフルラリン、ブトラリン、ジニトラミン、エタルフルラリン、フルクロラリン、イソプロパリン、メタルプロパリン、ニトラリン、オリザリン、ペンディメタリン、プロジアミン、プロフルラリン及びトリフルラリン等)、ジニトロフェノール系除草剤(ジノフェネート、ジノプロップ、ジノサム、ジノセブ、ジノテルブ、DNOC、エチノフェン及びメジノテルブ等)、ジフェニルエーテル系除草剤(エトキシフェン等)、ニトロフェニルエーテル系除草剤(アシフルオルフェン、アクロニフェン、ビフェノックス、クロメトキシフェン、クロミトロフェン、エトニプロミド、フルオロジフェン、フルオログリコフェン、フルオロニトロフェン、ホメサフェン、フリロキシフェン、ハロサフェン、ラクトフェン、ニトロフェン、ニトロフルオルフェン及びオキシフルオルフェン等)、ジチオカルバメート系除草剤(ダゾメット及びメタム等)、ハロゲン化脂肪族系除草剤(アロラック、クロロポン、ダラポン、フルプロパネート、ヘキサクロロアセトン、ヨードメタン、臭化メチル、モノクロロ酢酸、SMA及びTCA等)、イミダゾリノン系除草剤(イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン及びイマゼタピル等)、無機除草剤(スルファミン酸アンモニウム、ホウ砂、塩素酸カルシウム、硫酸銅、硫酸鉄、アジ化カリウム、シアン酸カリウム、アジ化ナトリウム、塩素酸ナトリウム及び硫酸等)、ニトリル系除草剤(ブロモボニル、ブロモキシニル、クロロキシニル、ジクロベニル、ヨードボニル、イオキシニル及びピラクロニル等)、有機リン系除草剤(アミプロホスメチル、アニロホス、ベンスリド、ビアラホス、ブタミホス、2,4-DEP、DMPA、EBEP、ホサミン、グリホセート及びピペロホス等)、フェノキシ系除草剤(ブロモフェノキシム、クロメプロップ、2,4-DEB、2,4-DEP、ジフェノペンテン、ジスル、エルボン、エトニプロミド、フェンテラコール及びトリホプシム等)、フェノキシ酢酸系除草剤(4-CPA、2,4-D、3,4-DA、MCPA、MCPA-チオエチル及び2,4,5-T等)、フェノキシ酪酸系除草剤(4-CPB、2,4-DB、3,4-DB、MCPB及び2,4,5-TB等)、フェノキシプロピオン酸系除草剤(クロプロップ、4-CPP、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ-P、3,4-DP、フェノプロップ、メコプロップ及びメコプロップ-P等)、アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤(クロラジホップ、クロジナホップ、クロホップ、シハロホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ-P、フェンチアプロップ、フルアジホップ、フルアジホップ-P、ハロキシホップ、ハロキシホップ-P、イソキサピリホップ、メタミホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ-P及びトリホップ等)、
フェニレンジアミン系除草剤(ジニトラミン及びプロジアミン等)、ピラゾリル系除草剤(ベンゾフェナップ、ピラゾレート、ピラスルホトール、ピラゾキシフェン、ピロキサスルホン及びトプラメゾン等)、ピラゾリルフェニル系除草剤(フルアゾレート及びピラフルフェン等)、ピリダジン系除草剤(クレダジン、ピリダフォル及びピリデート等)、ピリダジノン系除草剤(ブロムピラゾン、クロリダゾン、ジミダゾン、フルフェンピル、メトフルラゾン、ノルフルラゾン、オキサピラゾン及びピダノン等)、ピリジン系除草剤(アミノピラリド、クリオジネート、クロピラリド、ジチオピル、フルロキシピル、ハロキシジン、ピクロラム、ピコリナフェン、ピリクロール、チアゾピル及びトリクロピル等)、ピリミジンジアミン系除草剤(イプリミダム及びチオクロリム等)、第4級アンモニウム系除草剤(シペルコート、ジエタムコート、ジフェンゾクワット、ジクワット、モルファムクワット及びパラコート等)、チオカルバメート系除草剤(ブチレート、シクロエート、ジアレート、EPTC、エスプロカルブ、エチオレート、イソポリネート、メチオベンカルブ、モリネート、オルベンカルブ、ペブレート、プロスルホカルブ、ピリブチカルブ、スルファレート、チオベンカルブ、チオカルバジル、トリアレート及びバーナレート等)、チオ炭酸系除草剤(ジメクサノ、EXD及びプロキサン等)、チオ尿素系除草剤(メチウロン等)、トリアジン系除草剤(ジプロペトリン、トリアジフラム及びトリヒドロキシトリアジン等)、クロロトリアジン系除草剤(アトラジン、クロラジン、シアナジン、シプラジン、エグリナジン、イパジン、メソプラジン、プロシアジン、プログリナジン、プロパジン、セブチラジン、シマジン、テルブチラジン及びトリエタジン等)、メトキシトリアジン系除草剤(アトラトン、メトメトン、プロメトン、セクブメトン、シメトン及びテルブメトン等)、メチルチオトリアジン系除草剤(アメトリン、アジプロトリン、シアナトリン、デスメトリン、ジメタメトリン、メトプロトリン、プロメトリン、シメトリン及びテルブトリン等)、トリアジノン系除草剤(アメトリジオン、アミブジン、ヘキサジノン、イソメチオジン、メタミトロン及びメトリブジン等)、トリアゾール系除草剤(アミトロール、カフェンストロール、エプロナズ及びフルポキサム等)、トリアゾロン系除草剤(アミカルバゾン、ベンカルバゾン、カルフェントラゾン、フルカルバゾン、プロポキシカルバゾン、スルフェントラゾン及びチエンカルバゾンメチル等)、トリアゾロピリミジン系除草剤(クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、ペノキススラム及びピロクススラム等)、ウラシル系除草剤(ブタフェナシル、ブロマシル、フルプロパシル、イソシル、レナシル及びテルバシル等)、3-フェニルウラシル、尿素系除草剤(ベンズチアズロン、クミルロン、シクルロン、ジクロラール尿素、ジフルフェンゾピル、イソノルロン、イソウロン、メタベンズチアズロン、モニソウロン及びノルロン等)、フェニル尿素系除草剤(アニスロン、ブツロン、クロルブロムロン、クロレツロン、クロロトルロン、クロロクスロン、ダイムロン、ジフェノキスロン、ジメフロン、ジウロン、フェヌロン、フルオメツロン、フルオチウロン、イソプロツロン、リニュロン、メチウロン、メチルダイムロン、メトベンズロン、メトブロムロン、メトキスロン、モノリニュロン、モニュロン、ネブロン、パラフルロン、フェノベンズロン、シズロン、テトラフルロン及びチジアズロン等)、ピリミジニルスルホニル尿素系除草剤(アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、メソスルフロン、ニコスルフロン、オルトスルファムロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン及びトリフロキシスルフロン等)、トリアジニルスルホニル尿素系除草剤(クロルスルフロン、シノスルフロン、エタメツルフロン、ヨードスルフロン、メツルフロン、プロスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフルスルフロン及びトリトスルフロン等)、チアジアゾリル尿素系除草剤(ブチウロン、エチジムロン、テブチウロン、チアザフルロン及びチジアズロン等)、並びに未分類系除草剤(アクロレイン、アリルアルコール、アミノシクロピラクロル、アザフェニジン、ベナゾリン、ベンタゾン、ベンゾビシクロン、ブチダゾール、カルシウムシアナミド、カンベンジクロル、クロルフェナック、クロルフェンプロップ、クロルフルラゾール、クロルフルレノール、シンメチリン、クロマゾン、CPMF、クレゾール、オルトジクロロベンゼン、ジメピペレート、エンドタール、フルオロミジン、フルリドン、フルロクロリドン、フルルタモン、フルチアセット、インダノファン、メタゾール、イソチオシアン酸メチル、ニピラクロフェン、OCH、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサジクロメホン、ペンタクロロフェノール、ペントキサゾン、酢酸フェニル水銀、ピノキサデン、プロスルファリン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、キノクラミン、ロデタニル、スルグリカピン、チジアジミン、トリジファン、トリメツロン、トリプロピンダン及びトリタック等)が挙げられる。本発明の除草組成物は、更に、グリホサート耐性、ジカンバ耐性、又は2,4-D耐性の作物に、グリホサート、ジカンバ、又は2,4-Dと併せて使用することができる。一般的に、本明細書に記載の組成物を、処置される作物に対して選択的な除草剤であって、その用いられる適用率においてこれらの組成物によって抑制される雑草の範囲を補完する除草剤と組み合わせて使用することが好ましい。更に一般的には、本明細書に記載の組成物と他の補完的除草剤を、複合製剤として又はタンク混合としてのいずれかで、同時に適用することが好ましい。
【0104】
IV. 使用方法
本明細書に記載の組成物は、農地又は他の場所(例えば、鉄道線路、芝地、ゴルフ場、及び雑草の抑制が望まれる他の場所を含む)の雑草を選択的に抑制する方法において使用することができる。任意選択により、農地その他の場所は、植えられた種の作物、又はグルホシネートに耐性の作物を含むことができる。この方法は、有効な量の本明細書に記載のL-グルホシネートを含む組成物を農地に適用することを含んでもよい。
【0105】
本明細書に記載の組成物は、雑草の防止又は抑制のための、作物の農地への適用に有用である。組成物は、農地での噴霧用の液体として配合されてもよい。L-グルホシネートは、有効な量で、組成物中に含まれる。本明細書で用いる場合、有効な量とは、1ヘクタール当たり約10グラムの活性成分~1ヘクタール当たり約1500グラムの活性成分、例えば約50グラム~約400グラム又は約100グラム~約350グラムを意味する。一部の実施形態において、活性成分は、L-グルホシネートである。例えば、組成物中のL-グルホシネートの量は、1ヘクタール当たり約10グラム、約50グラム、約100グラム、約150グラム、約200グラム、約250グラム、約300グラム、約350グラム、約400グラム、約500グラム、約550グラム、約600グラム、約650グラム、約700グラム、約750グラム、約800グラム、約850グラム、約900グラム、約950グラム、約1000グラム、約1050グラム、約1100グラム、約1150グラム、約1200グラム、約1250グラム、約1300グラム、約1350グラム、約1400グラム、約1450グラム、又は約1500グラムのL-グルホシネートであってもよい。
【0106】
V. 例示的実施形態
非限定的な実施形態は、以下を含む:
1. グルタメートをピログルタメートに変換してL-グルホシネートの単離を促進させることにより、L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物からL-グルホシネートを精製する方法であって、
L-グルホシネート及びグルタメートを含むL-グルホシネート組成物を高温で十分な時間反応させて、グルタメートの大部分をピログルタメートに変換することと、
ピログルタメート及び組成物の他の成分からL-グルホシネートを単離して、実質的に精製された(L-グルホシネート、グルタメート、及びピログルタメートの合計の90%以上である)L-グルホシネートの組成物を得ることと
を含む、方法。
2. 組成物中の、始めにあるグルタメートの一部を、先ず、結晶化及び濾過によってL-グルホシネートから分離し、後続してグルタメートをピログルタメートに変換する、実施形態1の方法。
3. 分離したグルタメートを、D-アミノ酸オキシダーゼ及びトランスアミナーゼを合わせる酵素反応にリサイクルする、実施形態2の方法。
4. ピログルタメートからのL-グルホシネートの単離が、イオン交換を用いて実行される、実施形態1の方法。
5. イオン交換を用いて単離したL-グルホシネートをメタノールと接触させて、無機塩を析出させることを更に含む、実施形態4の方法。
6. ピログルタメートからのL-グルホシネートの単離が、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて実行される、実施形態1の方法。
7. 高温が、120℃から180℃の温度である、実施形態1の方法。
8. 十分な時間が、少なくとも2時間である、実施形態1の方法。
9. 十分な時間が、2時間から18時間である、実施形態8の方法。
10. 過剰のグルタメートをピログルタメートに変換してL-グルホシネートの単離を促進させることを含む、L-グルホシネートを精製する方法であって、
L-グルホシネート及びグルタメートを含むL-グルホシネート組成物を、グルタミニル-ペプチドシクロトランスフェラーゼの存在下で十分な時間反応させて、グルタメートの大部分をピログルタメートに変換することと、
ピログルタメート及び組成物の他の成分からL-グルホシネートを単離して、実質的に精製された(L-グルホシネート、グルタメート、及びピログルタメートの合計の90%以上である)L-グルホシネートの組成物を得ることと
を含む、方法。
【0107】
11. 十分な時間が、少なくとも2時間である、実施形態10の方法。
12. 十分な時間が、2時間から18時間である、実施形態11の方法。
13. ピログルタメートからのL-グルホシネートの単離が、イオン交換を用いて実行される、実施形態10の方法。
14. イオン交換を用いて単離したL-グルホシネートをメタノールと接触させて、無機塩を析出させることを更に含む、実施形態13の方法。
15. ピログルタメートからのL-グルホシネートの単離が、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて実行される、実施形態10の方法。
16. L-グルホシネートを作製する方法からの副生成物としての精製されたコハク酸を得る方法であって、
組成物中に存在するグルタミン酸のアミン基を使用して、トランスアミナーゼ(TA)酵素によりPPOをL-グルホシネートにアミノ化することによって、2-オキソグルタル酸副生成物を生成することと、
L-グルホシネート、グルタメート、及び2-オキソグルタル酸を含むL-グルホシネート組成物を高温で十分な時間反応させて、グルタメートの大部分をピログルタメートに変換させることと、
イオン交換によって組成物から2-オキソグルタル酸を単離して、実質的に精製された2-オキソグルタル酸の組成物を得ることと、
実質的に精製された2-オキソグルタル酸を過酸化水素と接触させて、実質的に精製されたコハク酸の組成物を得ることと
を含む、方法。
17. 組成物中の、始めにあるグルタメートの一部を、先ず、結晶化及び濾過によってL-グルホシネートから分離し、後続してグルタメートをピログルタメートに変換する、実施形態10又は16の方法。
18. 酸を添加してグルタメートを結晶化させる、実施形態17の方法。
19. 前記酸が、硫酸、塩酸、リン酸、ギ酸、及び酢酸からなる群から選択される、実施形態18の方法。
20. 前記酸の添加の前、添加中、又は添加の後に、組成物が高温に加熱される、実施形態18の方法。
【0108】
21. 前記高温が、約35℃~約90℃の範囲である、実施形態20の方法。
22. 前記高温が、約40℃~約80℃の範囲である、実施形態20の方法。
23. 前記高温が、約50℃~約70℃の範囲である、実施形態20の方法。
24. 加熱後に組成物を25℃未満の温度まで冷却する、実施形態20の方法。
25. 前記温度が、約-5℃~約15℃の範囲である、実施形態24の方法。
26. 前記温度が、約0℃~約10℃の範囲である、実施形態24の方法。
27. 分離したグルタメートを、D-アミノ酸オキシダーゼ及びトランスアミナーゼを合わせる酵素反応にリサイクルする、実施形態17の方法。
28. 高温が、120℃から180℃の温度である、実施形態1又は16の方法。
29. 十分な時間が、少なくとも2時間である、実施形態10又は16の方法。
30. 十分な時間が、2時間から18時間である、実施形態29の方法。
【0109】
31. 高温に加熱する前に、酸を添加することによって組成物をpH<7に調節する、実施形態1又は16の方法。
32. 前記酸が、硫酸、塩酸、及びリン酸からなる群から選択される、実施形態31の方法。
33. pHを、約pH1~約pH6に調節する、実施形態31の方法。
34. pHを、約pH2~約pH5に調節する、実施形態31の方法。
35. pHを、約pH3~約pH4に調節する、実施形態31の方法。
36. イオン交換工程に先立って、塩基を前記組成物に添加する、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
37. L-グルホシネートを作製する方法からの副生成物としての精製されたコハク酸を得る方法であって、
組成物中に存在するグルタミン酸のアミン基を使用して、トランスアミナーゼ(TA)酵素によりPPOをL-グルホシネートにアミノ化することによって、2-オキソグルタル酸副生成物を生成することと、
L-グルホシネート、グルタメート、及び2-オキソグルタル酸を含むL-グルホシネート組成物を高温で十分な時間反応させて、グルタメートの大部分をピログルタメートに変換させることと、
サイズ排除クロマトグラフィーによって組成物から2-オキソグルタル酸を単離して、実質的に精製された2-オキソグルタル酸の組成物を得ることと、
実質的に精製された2-オキソグルタル酸を過酸化水素と接触させて、実質的に精製されたコハク酸の組成物を得ることと
を含む、方法。
38. サイズ排除工程に先立って、塩基を前記組成物に添加する、実施形態37の方法。 39. 前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化アンモニウムからなる群から選択される、実施形態36又は実施形態38の方法。
40. 前記組成物のpHを、約pH2から約pH8に調節する、実施形態36又は実施形態38の方法。
【0110】
41. 前記組成物のpHを、約pH3から約pH7に調節する、実施形態36又は実施形態38の方法。
42. 前記組成物のpHを、約pH4から約pH6に調節する、実施形態36又は実施形態38の方法。
43. 結果として得られた組成物を膜分離器に通して処理する、実施形態36又は実施形態38の方法。
44. 前記組成物を約25℃未満の温度まで冷却し、十分な時間保持し、次いで濾過する、実施形態36又は実施形態38の方法。
45. 前記温度が、約20℃以下である、実施形態44の方法。
46. 前記温度が、約10℃以下である、実施形態44の方法。
47. 前記温度が、約5℃以下である、実施形態44の方法。
48. 前記温度が、約0℃以下である、実施形態44の方法。
49. 前記十分な時間が、少なくとも1時間である、実施形態44の方法。
50. 前記十分な時間が、1時間から24時間である、実施形態49の方法。
【0111】
51. 前記イオン交換が、組成物と、陰イオン交換樹脂又は陽イオン交換樹脂のいずれかとを接触させることによって実施される、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
52. 前記イオン交換樹脂が、モノビニルモノマー及びポリビニル架橋剤から作製されたポリマー系架橋基質で構成される、実施形態51の方法。
53. 前記モノビニルモノマーがスチレンであり、ポリビニル架橋剤がジビニルベンゼンである、実施形態52の方法。
54. 前記イオン交換樹脂の多孔性が、ミクロ多孔性、メソ多孔性、又はマクロ多孔性である、実施形態52の方法。
55. 前記イオン交換樹脂が、ゲルタイプの樹脂である、実施形態52の方法。
56. 前記イオン交換樹脂が、10ミクロン~2000ミクロンの粒径中央値を有する、実施形態52の方法。
57. 前記イオン交換樹脂が、100ミクロン~1000ミクロンの粒径中央値を有する、実施形態52の方法。
58. イオン交換樹脂が、均一粒径分布を有するビーズの形態である、実施形態52の方法。
59. 前記イオン交換樹脂が、強陰イオン交換樹脂である、実施形態51から58のいずれかの1つ又はそれ以上の方法。
60. 前記陰イオン交換樹脂が、DOWEX(商標)MARATHON(商標)A、DOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)550A、DOWEX(登録商標)MONOSPHERE(商標)MSA、及びDOWEX(商標)XUR-1525-L09-046、実験用ゲルタイプの300ミクロン範囲の均一粒径の強塩基陰イオン交換樹脂、並びにタイプI(塩化物形態のトリメチルアミン第4級アンモニウム)からなる群から選択される、実施形態59の方法。
【0112】
61. 前記陰イオン交換樹脂はヒドロキシ形態で使用される、実施形態59の方法。
62. 前記イオン交換プロセスが、3~8のpH範囲で実施される、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
63. 前記イオン交換プロセスが、4~8のpH範囲で実施される、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
64. 前記イオン交換プロセスが、5~8のpH範囲で実施される、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
65. 前記イオン交換プロセスが、6~7のpH範囲で実施される、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
66. イオン交換プロセスが、20℃~70℃の範囲の温度で実施される、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
67. イオン交換プロセスが、30℃~60℃の範囲の温度で実施される、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
68. イオン交換プロセスが、40℃~50℃の範囲の温度で実施される、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
69. 前記イオン交換樹脂が、強陽イオン交換樹脂である、実施形態51から58のいずれか1つ又はそれ以上の方法。
70. 前記陽イオン交換樹脂が、水素形態で使用される、実施形態69の方法。
【0113】
71. 前記陽イオン交換樹脂が、DOWEX(商標)50WX8、DOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)99 K/350、DOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)C、及びDOWEX(商標)MARATHON(商標)MSCからなる群から選択される、実施形態69の方法。
72. 前記イオン交換プロセスが、0.4~7のpH範囲で実施される、実施形態69の方法。 73. 前記交換プロセスが、0.6~7のpH範囲で実施される、実施形態69の方法。
74. イオン交換プロセスが、1~6のpH範囲で実施される、実施形態69の方法。
75. イオン交換プロセスが、1~4.5のpH範囲で実施される、実施形態69の方法。
76. イオン交換プロセスが、20℃~70℃の範囲の温度で実施される、実施形態69の方法。
77. イオン交換プロセスが、30℃~60℃の範囲の温度で実施される、実施形態69の方法。
78. イオン交換プロセスが、40℃~50℃の範囲の温度で実施される、実施形態69の方法。
79. 前記イオン交換に先立って、組成物の濃縮若しくは脱色又は両方を行う、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
80. 組成物を、活性チャコール又は活性炭で脱色する、実施形態79の方法。
【0114】
81. 組成物を、ポリマー材料で脱色する、実施形態79の方法。
82. 組成物及びイオン交換樹脂をバッチモードで接触させる、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
83. 組成物及びイオン交換樹脂をフローモードで接触させる、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
84. 前記フローモードが、疑似移動床クロマトグラフィーの技術を使用する、実施形態83の方法。
85. 組成物に前処理吸着工程を施し、組成物の1種以上の成分を除去した後で、疑似移動床クロマトグラフィーを行う、実施形態84の方法。
86. 実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法において使用される樹脂を再生する方法であって、樹脂を、酸、塩基、水、及び無機塩のうちの1つ以上を含む組成物と接触させる、方法。
87. 塩基が水酸化ナトリウムである、実施形態86の方法。
88. 無機塩が、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、及び硫酸アンモニウムで構成される群から選択される、実施形態86の方法。
89. 酸が硫酸である、実施形態86の方法。
90. 組成物が、0.5M以下の水酸化ナトリウム及び1.5M以下の塩化ナトリウムを含む、実施形態86の方法。
【0115】
91. 組成物が、0.1M以下の水酸化ナトリウム及び1.5M以下の塩化ナトリウムを含む、実施形態86の方法。
92. 組成物が、0.5M以下の塩化ナトリウムを含む、実施形態86の方法。
93. 組成物が、0.5M以下の硫酸ナトリウムを含む、実施形態86の方法。
94. 前記再生が、実質的に精製された2-オキソグルタル酸の溶液を生成する、実施形態86の方法。
95. 実質的に精製された2-オキソグルタル酸の溶液を過酸化水素と接触させて、実質的に精製されたコハク酸を生成する、実施形態94の方法。
96. 実質的に精製されたL-グルホシネートを、直接除草製品に製剤化することができる濃縮物にまで低減させる、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
97. 前記実質的に精製されたL-グルホシネートを、結晶化又は析出が生じる点を通り越して濃縮し、結果として得られた固形物を濾過し、乾燥する、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
98. 前記濃縮の前、濃縮中、又は濃縮後に、溶媒を添加する、実施形態97の方法。
99. 溶媒が、アセトン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1-メチル-2-プロパノール、1,2-プロパンジオール、1,2-エタンジオール、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、及び水酸化アンモニウムで構成される群から選択される、実施形態98の方法。
100. 実質的に精製されたL-グルホシネートを濃縮して、乾燥固形物を生成する、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
【0116】
101. 実質的に精製されたL-グルホシネートを噴霧乾燥する、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
102. 実質的に精製されたL-グルホシネートを部分的に濃縮した後に、噴霧乾燥する、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
103. 配合成分を、実質的に精製されたL-グルホシネートと混合した後に、噴霧乾燥させる、実施形態1、10、及び16のいずれか1つの方法。
104. グルタメートをピログルタメートに変換してL-グルホシネートの単離を促進させることによって、L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物からL-グルホシネートを精製する方法であって、
硫酸を添加して組成物をpH3.7にしてグルタメートを結晶化し、固形グルタメートを組成物から除去することと、
組成物を高温で十分な時間反応させて、残留グルタメートの大部分をピログルタメートに変換することと、
組成物の体積を減少させることと、
組成物のpHがpH6からpH7の間になるまで水酸化ナトリウムを添加することと、
組成物を、5℃から混合物の凝固点(約-10~-20℃)までの間の温度に冷却し、その際に硫酸ナトリウムを析出させることと、
組成物から硫酸ナトリウム結晶を濾過することと、
組成物をイオン交換樹脂と接触させてピログルタミン酸を除去し、実質的に精製されたL-グルホシネートの組成物を得ることと、
実質的に精製されたL-グルホシネートの組成物の体積を減少させることと
を含む、方法。
105. 実質的に精製されたL-グルホシネートの組成物の体積を、固形物になるまで減少させる、実施形態104の方法。
106. 実質的に精製されたL-グルホシネートの組成物の体積を、除草製剤での使用に適した量まで濃縮する、実施形態104の方法。
107. 前記固形グルタメートを、濾過又は遠心分離によって、組成物から除去する、実施形態104の方法。
108. 組成物の体積を、真空蒸留、膜分離、蒸発、薄膜蒸発、又はワイプドフィルム(wiped film)蒸発によって減少させる、実施形態104の方法。
109. 前記硫酸ナトリウム結晶が、濾過又は遠心分離によって組成物から濾過される、実施形態104の方法。
110. Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、10.1、10.8、16.8、17.2、18.3、20.0、20.2、21.2、21.5、24.1、24.3、25.1、25.6、26.9、28.6、29.0、29.7、29.9、31.9、33.4、33.7、34.5、34.9、35.4、35.7、36.1、36.7、37.1、37.5、38.2、及び39.8°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、L-グルホシネートアンモニウム形態A。
【0117】
111. XRPDパターンが、10.1、16.8、18.3、21.2、24.1、24.3、25.6、26.9、28.6、29.0、及び34.5°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含む、実施形態110によるL-グルホシネートアンモニウム形態A。
112. XRPDパターンが、10.1、16.8、18.3、21.2、24.1、24.3、25.6、26.9、28.6、29.0、及び34.5°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含む、実施形態110によるL-グルホシネートアンモニウム形態A。
113. XRPDパターンが、実質的に
図1によるものである、実施形態110によるL-グルホシネートアンモニウム形態A。
114. Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、10.0、11.4、12.5、16.5、17.4、18.1、19.6、20.0、21.8、22.9、23.6、24.0、25.1、25.5、26.1、26.3、26.4、27.9、28.2、28.4、28.7、29.2、30.2、30.9、31.6、31.7、32.7、33.0、33.3、34.3、35.2、36.7、37.2、37.4、37.8、38.3、38.7、及び39.3°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、L-グルホシネート形態B。
115. XRPDパターンが、10.0、12.5、16.5、17.4、18.1、19.6、20.0、21.8、22.9、23.6、24.0、25.5、26.3、26.4、29.2、34.3、35.2、及び37.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含む、実施形態114によるL-グルホシネート形態B。
116. XRPDパターンが、10.0、12.5、16.5、17.4、18.1、19.6、20.0、21.8、22.9、23.6、24.0、25.5、26.3、26.4、29.2、34.3、35.2、及び37.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含む、実施形態114によるL-グルホシネート形態B。
117. XRPDパターンが、実質的に
図3によるものである、実施形態114によるL-グルホシネート形態B。
118. Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、9.1、10.9、16.1、16.8、17.3、18.3、20.1、21.4、21.8、22.4、22.7、24.1、24.9、25.4、25.6、26.1、26.6、27.7、28.3、28.9、30.8、31.9、32.6、33.6、33.9、35.1、36.6、37.1、37.5、38.3、38.9、及び39.7°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、L-グルホシネートアンモニウム形態C。
119. XRPDパターンが、9.1、16.1、16.8、17.3、21.8、24.1、24.9、25.6、26.1、28.3、及び28.9°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含む、実施形態118によるL-グルホシネートアンモニウム形態C。
120. XRPDパターンが、9.1、16.1、16.8、17.3、21.8、24.1、24.9、25.6、26.1、28.3、及び28.9°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含む、実施形態118によるL-グルホシネートアンモニウム形態C。
【0118】
121. XRPDパターンが、実質的に
図5によるものである、実施形態118によるL-グルホシネートアンモニウム形態C。
122. Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、9.1、11.6、13.1、14.1、14.4、16.2、17.7、18.2、18.9、19.3、19.7、21.2、21.8、22.4、23.2、23.5、25.3、25.8、26.2、27.2、28.6、29.1、30.0、30.6、31.1、31.6、32.7、33.5、34.4、34.7、35.4、35.9、36.4、及び37.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、L-グルホシネート形態D。
123. XRPDパターンが、9.1、17.7、18.2、18.9、22.4、23.2、23.5、26.2、33.5、及び36.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含む、実施形態122によるL-グルホシネート形態D。
124. XRPDパターンが、9.1、17.7、18.2、18.9、22.4、23.2、23.5、26.2、33.5、及び36.4°2θ±0.2°2θのピークを含む、実施形態122によるL-グルホシネート形態D。
125. XRPDパターンが、実質的に
図7によるものである、実施形態122によるL-グルホシネート形態D。
126. Cu-Kα放射線を使用した回折計で決定した場合、13.1、16.8、18.2、19.4、20.5、20.9、21.4、22.5、23.4、25.3、26.2、26.5、26.9、27.8、28.1、30.2、31.2、31.5、32.3、33.8、34.4、35.3、35.7、36.3、36.9、37.8、38.2、38.8、及び39.4°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも3個のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、塩酸L-グルホシネート形態E。
127. XRPDパターンが、16.8、18.2、20.5、21.4、22.5、22.9、23.4、25.3、30.2、及び31.2°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも6個のピークを含む、実施形態126による塩酸L-グルホシネート形態E。
128. XRPDパターンが、16.8、18.2、20.5、21.4、22.5、22.9、23.4、25.3、30.2、及び31.2°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも10個のピークを含む、実施形態126による塩酸L-グルホシネート形態E。
129. XRPDパターンが、実質的に
図9によるものである、実施形態126による塩酸L-グルホシネート形態E。
130. X線非晶質である、固体L-グルホシネートアンモニウム。
【0119】
以下の実施例は、限定目的ではなく例示目的で記載するものである。
【実施例0120】
例1: 3Lの反応規模における、ラセミD/L-グルホシネートの脱ラセミ化
この例では、3Lのジャケット付き撹拌反応容器中で反応を行った。以下の試薬:900mMのD,L-グルホシネート、2700mMのグルタメート、及び2535グラムの水を反応の開始時に添加した。30℃に加熱した後、約45グラムの3N NaOHを使用してpHを7.8に調節した。反応容器に、0.30グラムの消泡性AF204(Sigma-Aldrich)、及び水10mLに溶解した0.60グラムのカタラーゼを添加した。6gのAC302 DAAO及び0.9gのE. coli gab Tトランスアミナーゼが固定化された188グラムのプラスチックビーズで反応容器を充填した後、400グラムの水で充填した。撹拌反応過程の間、酸素富化空気(35%のO2、65%のN2)を、2つのステンレス鋼製スパージングストーンを介して1.7VVM(1分当たりの反応混合物の体積当たりのガスの体積)で導入した。反応のHPLC解析は、D-グルホシネートに対するL-グルホシネートの鏡像体過剰率が99%超でありL-グルホシネート対PPOの比率が90%対10%である平衡状態が10時間以内に達成されたことを実証した。この結果は、より大きな規模におけるRgDAAO/EcgabT酵素カップルによるD/L-グルホシネートからL-グルホシネートへの効率的な脱ラセミ化を示す。
【0121】
例2:濃縮塩酸を使用したグルタミン酸の結晶化
例1と同様の手順に後続して、ビーズを濾過により除去し、濾液を35℃に加熱した。pHが3.7に達するまで、濃縮塩酸をバッチにゆっくり添加した。バッチを加熱浴中で60℃に加熱し、60分間保持した。加熱浴のスイッチを切り、バッチを終夜周囲温度まで冷却した。バッチを0℃まで冷却し1時間保持した。白色の析出物を濾過により除去した。濾液中のL-グルホシネートとグルタミン酸のモル比を、NMR解析により88:12であると決定した。
【0122】
例3:濃縮硫酸を使用したグルタミン酸の結晶化
例1と同様の手順に後続して、ビーズを濾過により除去し、濾液を35℃に加熱した。pHが3.7に達するまで濃縮硫酸をバッチにゆっくり添加した。バッチを加熱浴中で60℃に加熱し、60分間保持した。加熱浴のスイッチを切り、バッチを終夜周囲温度まで冷却した。バッチを0℃まで冷却し1時間保持した。白色の析出物を濾過により除去した。濾液中のL-グルホシネートとグルタミン酸のモル比を、NMR解析により85:15であると決定した。
【0123】
例4:ピログルタミン酸の形成
例2と同様の手順に後続して、濾液の一部をオートクレーブ中で3.5時間140℃に加熱した。反応生成物の試料のNMR解析は、L-グルホシネートとグルタミン酸のモル比が95:5であることを示した。NMR解析はまた、ピログルタミン酸の存在も確認した。NMRの結果においてL-グルホシネートの分解の証拠は観察されなかった。
【0124】
例5:ピログルタミン酸の形成
例3と同様の手順に後続して、硫酸を使用して濾液の一部をpH3.0に更に調節した。pH調節前のL-グルホシネートの濃度は約310mMだった。次いで、液体をオートクレーブ中で18時間125℃に加熱した。反応生成物の試料のNMR解析は、L-グルホシネートとグルタミン酸のモル比が98:2であることを示した。NMR解析はまた、ピログルタミン酸の存在も確認した。NMRの結果においてL-グルホシネートの分解の証拠は観察されなかった。
【0125】
例6:反応生成物の濃縮に後続するピログルタミン酸の形成
例3と同様の手順に後続して、真空蒸留によって、濾液を、L-グルホシネートの濃度が約412mMになるまで濃縮した。濃縮液の一部を、硫酸を使用してpH3.0に更に調節した。次いで、この液体をオートクレーブ中で18時間125℃に加熱した。反応生成物の試料のNMR解析は、L-グルホシネートとグルタミン酸のモル比が98:2であることを示した。NMR解析はまた、ピログルタミン酸の存在も確認した。NMRの結果においてL-グルホシネートの分解の証拠は観察されなかった。
【0126】
例7:反応生成物の濃縮に後続する冷却及び硫酸ナトリウムの析出
例5と同様の手順に後続して、環化反応後の反応生成物を、真空蒸留によって、L-グルホシネートの濃度が約404mMになるまで濃縮し、次いで室温まで冷却した。濃縮液の300mL分をビーカーに移し、11.7グラムの固体水酸化ナトリウム(97%、Sigma-Aldrich)を添加することによってpHを6.2に調節した。ビーカーを-20℃の冷凍庫内に約4時間置き、その間、混合物全体が凍結した。ビーカーを冷凍庫から取り出し、約0℃の氷浴中に約4時間置いた。この時間のあいだ、定期的に、内容物を手で穏やかに混合した。予め約4℃まで冷却しておいたブフナー漏斗を使用して、ビーカーの内容物を濾紙上で濾過した。濾液の重量は247グラムであり、濾液の体積は215mLだった。L-グルホシネートの濃度は、約550mMだった。全ての液体を排出した後の結晶の総重量は115グラムであり、結晶のHPLC解析は、僅かな量のL-グルホシネート及び他の有機不純物しか示さなかった。乾燥結晶10グラム分をビーカーに移し、該ビーカーを45℃に加熱したインキュベーター中に置いた。その後間もなく、ほぼ全ての結晶が融解するのが観察された。硫酸ナトリウム十水和物の融点は、Handbook of Chemistry and Physics (63rd Ed. (1982), R. C. Weast, Ed.; CRC Press, Inc., Boca Raton, FL; page B-150)によれば、32.38℃である。ビーカーをインキュベーターから取り出し、ウォーターバス中に置いた。ウォーターバスを沸騰させた。最終的には、ビーカー中の液体は消失し、固形物が残った。蒸発により全ての液体がビーカーから除去された後、ビーカーを冷却し、残留固形物を秤量した。約4.2グラムの固形物がビーカー中に残っていた。
【0127】
例8:ピログルタミン酸の形成及び陽イオン交換樹脂(バッチモード)による精製
例1と同様の手順に後続して、ビーズを濾過によって除去し、pHが4.0に達するまで濃縮HClをバッチにゆっくり添加した。白色の析出物を濾過により除去した。次いで、濾液の一部をオートクレーブ中で4時間140℃に加熱した。反応生成物の試料のNMR解析は、94%超のグルタミン酸がピログルタミン酸へ変換したことを示した。
【0128】
室温まで冷却した後、37%のHClを添加して、溶液をpH1に調節した。溶液を、予め洗浄しておいたDOWEX(商標)50WX8陽イオン交換樹脂を用いて処理した。この処理においては、溶液を樹脂と30分間混合させ、その後、樹脂をフィルター上で単離した。次いで、樹脂を水で洗浄し、次いで4MのNH4OHで溶出した。溶離液を真空下で濃縮して、90~98%の純粋なL-グルホシネート及び2~10%のグルタミン酸(両方とも、それらのモノアンモニウム塩であるとNMRで決定された)を含有する固形物を得た。
【0129】
例9:カラム中の陰イオン交換樹脂を使用した精製(フローモード)
ジャケット付きガラスカラム(直径1インチ及び長さ24インチ)を、ヒドロキシ形態に変換しておいた強塩基陰イオン交換樹脂(DOWEX(商標)XUR-1525-L09-046、実験用ゲルタイプの均一粒径が300ミクロンの範囲の強塩基陰イオン樹脂(タイプI)(the Dow Chemical Companyから入手される塩化物形態のトリメチルアミン第4級アンモニウム))で充填した。樹脂のカラムを約60℃に加熱し、排出液のpHが約pH6になるまで水で流した。カラムに、例5と同様の手順に従って調製された溶液270mLをポンプ投入し、溶液をNaOHでpH6に調節し、約60℃に加熱した。流量は、約10.5mL/minだった。反応混合物のカラムへの供給が完了したとき、pH6に調節した約900mLの水をカラムに供給した。約100mLのカラム排出液を集め、空隙容量(void volume)として廃棄した後、それぞれ約12mLの画分65個を、分取装置を使用して集めた。画分をHPLC/UVによって分析し、以下の表1は、L-グルホシネート及び他の成分の濃度を示す。
【0130】
【0131】
表1の最後の行は、画分7~22を合わせて、実質的に精製されたL-グルホシネートの単一溶液にした後のHPLC結果を示す。
【0132】
例10:カラム中の陰イオン交換樹脂を使用した濃縮反応生成物の精製(フローモード) 真空蒸留によって溶液を濃縮したことを除き、例5と同様の手順に従って溶液を調製した。溶液の体積を約2.3倍低減させた。溶液を、NaOHを使用してpH6.7に調節し、約60℃に加熱した。例8と同様の手順に後続して、270mLの溶液を、ヒドロキシ形態に変換しておいた強塩基陰イオン樹脂(DOWEX(商標)XUR-1525-L09-046、実験用ゲルタイプの均一粒径が300ミクロンの範囲の強塩基陰イオン樹脂(タイプI)(the Dow Chemical Companyから入手される塩化物形態のトリメチルアミン第4級アンモニウム))に供給した。溶液を供給する前に、樹脂のカラムを約60℃に加熱し、排出液のpHが約pH6になるまで水で流した。流量は、約10.5mL/minだった。反応混合物のカラムへの供給が完了したとき、pH6に調節した約900mLの水をカラムに供給した。約100mLのカラム排出液を集め、空隙容量として廃棄した後、それぞれ約15mLの画分66個を、分取装置を使用して集めた。画分をHPLC/UVによって分析し、以下の表2は、L-グルホシネート及び他の成分の濃度を示す。
【0133】
【0134】
表2の最後の行は、画分6~19を合わせて、実質的に精製されたL-グルホシネートの単一溶液にした後のHPLC結果を示す。
【0135】
例11:35℃におけるカラム中の陰イオン交換樹脂を使用した濃縮反応生成物の精製(フローモード)
例5と同様の手順に従って溶液を調製した。溶液を、NaOHを使用してpH6.2に調節し、約35℃に加熱した。例8と同様の手順に後続して、270mLの溶液を、強塩基陰イオン樹脂(ヒドロキシ形態のDOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)550A、the Dow Chemical Companyの製品)に供給した。溶液を供給する前に、樹脂のカラムを約35℃に加熱し、排出液のpHが約pH7になるまで水で流した。流量は、約5.5mL/minだった。反応混合物のカラムへの供給が完了したとき、pH7に調節した約1000mLの水をカラムに供給した。約100mLのカラム排出液を集め、空隙容量として廃棄した後、それぞれ約15mLの画分44個を、分取装置を使用して集めた。画分をHPLC/UVによって分析し、以下の表3は、L-グルホシネート及び他の成分の濃度を示す。
【0136】
【0137】
表3の最後の行は、画分5~15を合わせて、実質的に精製されたL-グルホシネートの単一溶液にした後のHPLC結果を示す。
【0138】
例12:25℃にて直列で操作される2本のカラム中の陰イオン交換樹脂を使用した反応生成物の精製(フローモード)
2本の24インチカラムを、ヒドロキシ形態に変換しておいた強塩基陰イオン樹脂(DOWEX(商標)XUR-1525-L09-046、実験用ゲルタイプの均一粒径が300ミクロンの範囲の強塩基陰イオン樹脂(タイプI)(the Dow Chemical Companyから入手される塩化物形態のトリメチルアミン第4級アンモニウム))で充填した。カラムを約25℃の温度で維持した。反応混合物、pH6の水、又は樹脂再生液を個別に添加できるように、管類及びマルチポートバルブを各カラムの入口に接続した。第1のカラムから出る流体を、分取装置によって集めるか、又は第2のカラムの入口へ移すかのいずれかを可能にするように管類及びマルチポートバルブを第1のカラムの出口に接続した。排出液のpHが約pH6になるまで、両方のカラムを約pH6の水で流した。反応混合物を、例5と同様の手順に従って調製し、約pH6.4に調節した。約270mLの反応混合物を、約10.5mL/minの流量で、第1のカラムへポンプ投入した。反応混合物を供給した後、約210mLのpH6の水をカラムに供給し、したがって、第1のカラムへ供給した全体積は480mLだった。第1のカラムから出た合計330mLの流体を、それぞれ約15mLの画分に集めた。最後の画分を集めた後、第1のカラムから出る次の150mLを第2のカラムの入口へポンプ投入するようにバルブを設定した。第1のカラムから第2のカラムへの供給の後、約270mLの反応混合物を第2のカラムの入口へ供給し、その後、600mLのpH6の水を供給した。したがって、全体積1020mLを第2のカラムへ供給した。第2のカラムを出る全ての流体を、約15mLの画分に集めた。両方のカラムから集めた画分をHPLCによって分析した。以下の表4は、第1のカラムから集めた画分を示す。
【0139】
【0140】
表4の最後の行は、画分7~15を合わせて、実質的に精製されたL-グルホシネートの単一溶液にした後のHPLC結果を示す。
【0141】
以下の表5は、第2のカラムから集めた画分を示す。
【0142】
【0143】
表5の最後の行は、画分12~22を合わせて、実質的に精製されたL-グルホシネートの単一溶液にした後のHPLC結果を示す。
【0144】
例13:陰イオン交換精製及び樹脂再生後に得られた精製2-オキソグルタル酸の生成
例8と同様の手順に後続して、pH6に調節した水のカラムへの供給を完了した後、0.1Mの水酸化ナトリウム及び1.5塩化ナトリウムの溶液を、約60℃にて、約10.5mL/minでカラムに供給し、それぞれ15mLの画分88個を集めた。画分のHPLC解析は、以下の表6に示す非常に狭い範囲の画分にわたって2-オキソグルタル酸が溶出したことを示した。
【0145】
【0146】
2-オキソグルタレートは、画分44にも、画分44の後に集められ分析のために選択された他の画分中にも検出されなかった。この実験における2-オキソグルタレートの量は、単一イオン交換実験で予測された量を超える。理論に束縛されるものではないが、この実験の前に樹脂が十分に再生されなかった可能性がある。
【0147】
例14:陰イオン交換精製及び樹脂再生後に得られた2-オキソグルタル酸からのコハク酸の生成
例12と同様の手順に後続して、180mMの2-オキソグルタレートを含有する画分を生成した。この画分の試料0.266mLを1.5モル当量の過酸化水素(0.128M)と合わせ、容器中で全体積0.5mLまで希釈した。容器を30℃で振盪し、HPLC解析のために約5分毎にサンプリングした。10分後、約70%の2-オキソグルタミン酸が、コハク酸に変換されていた。
【0148】
例15:グルタミン酸からピログルタミン酸に変換した後に得られた反応混合物の脱色
様々な量(0.25重量%、0.5重量%、1.0重量%、3.0重量%、及び5.0重量%)の活性炭を、上記のグルタミン酸からピログルタミン酸への変換から生じた反応混合物の一部に添加した。室温で約20分間混合した後、予め洗浄しておいたCelite(登録商標)床の上部で活性炭を濾過した。次いで、結果として得られたフィルターケークを水で洗浄し、ケークを濾液と合わせた。次いで、内部標準としてピログルタミン酸を使用して、未処理試料に対するL-グルホシネート回収率について、濾液を検査した。以下の表7は、回収率及び色の観察記録を示す。
【0149】
【0150】
例16:L-グルホシネート多形体の調製及び特徴付け
2つのロットのL-グルホシネートアンモニウムを受領し、下記の研究で使用した。2ロットのうちの片方のXRPD解析は、その試料がX線非晶質であることを確認した。他方のロットのIC解析は、試料のアンモニウム含量が化学量論的量未満であることを示した。
【0151】
L-グルホシネートアンモニウムの溶解度レベルが決定され、材料が水中で非常に溶解しやすく、ほとんどの有機溶媒には溶解しにくいことが示された。有機/水性混合物は、油形成を起こす傾向があった。ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、及びN-メチル-2-ピロリドン等の溶媒において有機溶解度は概して低いままだった。トリフルオロエタノール(TFE)は、唯一、2mg/mL超の溶解度を示した有機溶媒だった。
【0152】
種々の結晶化技術を使用して、核形成及び成長の条件を変化させて熱力学的及び動力学的条件の両方を調べながらL-グルホシネートアンモニウムの多形スクリーニングを実施した。結晶化技術は、室温及び高温下のスラリー化、蒸発、貧溶媒添加/析出、並びに冷却を含んでいた。冷却速度、蒸発速度、又は貧溶媒添加速度等の動力学的因子を、これらの実験中に変動させた。蒸気応力及びL-グルホシネートアンモニウム非晶質材料のガラス転移温度超の加熱等の非溶媒系技術も利用した。
【0153】
多形スクリーン中に利用される溶媒系を変動させる試みをしたが、ほとんどの有機溶媒系において溶解度が限定されていたため、多くの場合、水又はTFEを添加して溶解度を改善させた。ニート溶媒の実験は、一般的に、室温又は高温下の長時間のスラリーからなっていた。水和物の形成も、水及び可変水分活性がある水性有機系の中で実施する結晶化実験を通して検査したが、これらの溶媒系の多くでゲル及び油が観察された。無水条件下で新しい形態が生成され得るかを決定するために、無水条件も検査した。これらの実験では、L-グルホシネートアンモニウム出発物質を乾燥剤上で予乾燥して、出発物質から一切の可能な残留水分を除去した。
【0154】
出発物質の一部に化学量論的量未満のアンモニウムが観察されたため、過剰の水酸化アンモニウムを利用して、選択された結晶化実験を実施した。同様に、少数の実験を、HClを用いた酸性条件下で実施した。
【0155】
スクリーニング中に5つの固有の結晶L-グルホシネート材料が観察され、形態A、形態B、形態C、形態D、及び形態Eと称した。形態A及び形態Cは、形態Bに変換する傾向があるL-グルホシネートアンモニウムの準安定型であると見られる。形態B及び形態Dは、L-グルホシネート遊離形態の無水結晶形態であると見られる。形態Eは、L-グルホシネートHCl塩であると見られる。
【0156】
クラッシュ冷却(CC: Crash Cooling):L-グルホシネートアンモニウムの溶液を、高温下で、選択された溶媒又は溶媒混合物中で調製した。目視観察後に透明な溶液が得られたら、溶液を0.2μm又は0.45μmのシリンジフィルターに通して、予熱したバイアル中に濾過した。次いでバイアルの蓋を閉め、すぐに周囲温度未満で予冷した反応容器中に置いた。遠心又は真空濾過によって固形物を集め、分析した。
【0157】
変換スラリー(Conversion Slurry):追加のピークを有する形態Bを、1日間、周囲温度下、エタノール/水(95/5 v/v)中でスラリー化させた。追加のピークを有するBIPXAZの種(Cambridge Structrural Database, Version 5.38、2016年11月)及び形態Dを添加し、混合物を周囲温度下で、延長された期間の間、スラリー化させた。固形物を遠心濾過によって集め、次いで分析した。
【0158】
急速冷却(FC: Fast Cooling):L-グルホシネートアンモニウムの溶液を、高温下で、選択された溶媒又は溶媒混合物中で調製した。目視観察後に透明な溶液が得られたら、溶液を0.2μm又は0.45μmのシリンジフィルターに通して、予熱したバイアル中に濾過した。次いでバイアルの蓋を閉め、すぐに周囲温度下に置いた。遠心又は真空濾過によって固形物を集め、分析した。
【0159】
急速蒸発(FE: Fast Evaporation):L-グルホシネートアンモニウムの溶液を、周囲温度下で、選択された溶媒又は溶媒混合物中で調製した。目視観察後に透明な溶液が得られたら、溶液を0.2μm又は0.45μmのシリンジフィルターに通して清潔なバイアル中に濾過した。次いで溶液を周囲温度下で蒸発させた。固形物を密閉バイアル中に集め、次いで分析した。
【0160】
回転蒸発(Rotary Evaporation):L-グルホシネートアンモニウムの溶液を、周囲温度下で、種々の溶媒中で調製した。溶液を清潔なバイアル中に濾過し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去した。固形物を密閉バイアル中に集め、次いで分析した。
【0161】
徐冷(Slow Cooling):L-グルホシネートアンモニウムの溶液を、金属ブロック中、高温下で、種々の溶媒又は溶媒混合物中で調製した。目視観察後に透明な溶液が得られたら、溶液を0.2μm又は0.45μmのシリンジフィルターに通して、予熱したバイアル中に濾過した。次いで溶液を周囲温度までゆっくり冷却させた。遠心又は真空濾過によって固形物を集め、次いで分析した。
【0162】
スラリー(Slurry):未溶解の固形物が存在するように周囲温度又は高温下で所与の溶媒又は溶媒混合物に十分な固形物を添加することによって、L-グルホシネートアンモニウムのスラリーを調製した。次いで混合物を、延長された時間の間、周囲温度、周囲温度未満又は高温下にて、密閉バイアル中で撹拌した。遠心又は真空濾過によって固形物を集め、次いで分析した。
【0163】
蒸気応力(VS: Vapor Stress):L-グルホシネートアンモニウムの固体を1ドラムのバイアルに移し、次いでそれを、溶媒を含む20mLバイアルの中に置いた。1ドラムのバイアルは蓋を開けたままにして、20mLバイアルの蓋を閉め、蒸気加圧を生じさせた。蒸気加圧実験は、周囲温度下で実施した。デカンテーションによって固形物を単離し、分析した。
【0164】
蒸気拡散(VD: Vapor Diffusion):L-グルホシネートアンモニウムの濃縮溶液を、金属ブロック中、周囲温度下で、種々の溶媒又は溶媒混合物中で調製した。目視観察後に透明な溶液が得られたら、溶液を0.2μm又は0.45μmのナイロンシリンジフィルターに通して清潔なバイアル中に濾過した。このバイアルを、蓋を開けたまま、貧溶媒を含むより大きなバイアル中に置いた。大きなバイアルの蓋を閉め、蒸気拡散を生じさせた。デカンテーションによって固形物を単離し、密閉バイアル中に集め、次いで分析した。
【0165】
示差走査熱量測定(DSC: Differential Scanning Calorimetry):DSCは、Mettler Toledo TGA/DSC 3+を使用して実行した。温度較正は、NIST追跡型インジウム金属を使用して実行した。温度較正は、アダマンタン、サリチル酸フェニル、インジウム、スズ、及び亜鉛を使用して実行した。試料をアルミニウムDSC平皿中に置き、蓋で覆い、重量を正確に記録した。試料平皿として構成され秤量されたアルミニウム平皿を、セルの対照側に置いた。試料分析に先立って、平皿の蓋に穴をあけておいた。周囲温度~350℃の範囲にわたって10℃/minの加熱速度を用いて、又は周囲温度から-30℃~250℃にサイクルさせて、データを入手した。
【0166】
変調DSCデータを、冷凍冷却システム(RCS:refrigerated cooling system)を備えたTA Instruments Q2000示差走査熱量計上で入手した。温度較正は、NIST追跡型インジウム金属を使用して実行した。試料をアルミニウムDSC平皿中に置き、重量を正確に記録した。平皿を、レーザーピンホールで穴をあけた蓋で覆い、蓋を圧着させた。秤量した圧着アルミニウム平皿を、セルの対照側に置いた。周囲温度から300℃への基本加熱速度2℃/分で、振幅変調±0.08℃及び時間60秒を用いてデータを入手した。記録したガラス転移温度は、逆熱流対温度の曲線における階段状変化の変曲点から得られる。
【0167】
熱重量(TG: Thermogravimetric)分析:TG分析は、Mettler Toledo TGA/DSC3+分析器又はTA Instruments Q5000 IR熱重量分析器を使用して実行した。Q5000 IR。温度較正は、サリチル酸フェニル、インジウム、スズ、及び亜鉛を使用して実行した。試料をアルミニウム平皿の中に置いた。試料を密閉し、蓋に穴をあけ、次いでTG炉内に入れた。炉を窒素下で加熱した。周囲温度~350℃の範囲にわたって10℃/minの加熱速度を用いて、データを入手した。
【0168】
核磁気共鳴(NMR: Nuclear Magnetic Resonance)分光法:溶液NMRスペクトルは、SSCIでAgilent DD2-400分光計を用いて獲得した。少量の試料をD2O/TSP-d2中に溶解することによって試料を調製した。追加のデータは、D2O/TSP-d2又はCF3CD2OD中、Spectral Data Services, Inc.(Champaign, Illinois)で獲得した。データ獲得パラメーターは、この報告書のデータの項の最初のスペクトルの各プロットに示す。
【0169】
偏光顕微鏡法(PLM: Polarized Light Microscopy):偏光顕微鏡法は、直交偏光子を有する光学顕微鏡又は一次赤色補償器を有する実体顕微鏡を使用して実行した。
【0170】
X線粉末回折(XRPD: X-ray Powder Diffraction)反射モード:XRPDパターンは、長手の高精度焦点ソース及びニッケルフィルターを使用して作製されるCu Kα放射線の入射ビームを使用したPANalytical X'Pert PRO MPD回折計で収集した。回折計は、対称Bragg-Brentano型を使用して構成されていた。分析に先立って、シリコン標本(NIST SRM 640e)を分析して、Si 111ピークの観測位置がNIST認定位置と一致するかを検証した。試料の標本を、シリコンゼロバックグラウンド(zero-background)基質の中心にある環状薄層として調製した。散乱防止スリット(SS)を使用して、空気によって生じるバックグラウンドを最小化した。入射回折ビーム用のソーラースリットを使用して軸発散からの広がりを最小化した。試料から240mmに位置する走査型位置敏感検出器(X'Celerator)及びデータコレクターソフトウェアv. 2.2bを使用して回折パターンを収集した。
【0171】
XRPD伝送モード:XRPDパターンは、Optix長手の高精度焦点ソースを使用して作製されるCu放射線の入射ビームを使用したPANalytical X'Pert PRO MPD回折計で収集した。楕円形漸変多層膜鏡(elliptically graded multilayer mirror)を使用して、Cu Kα X線を標本に通して検出器上にフォーカスさせた。分析に先立って、シリコン標本(NIST SRM 640e)を分析して、Si 111ピーク観測位置がNIST認定位置と一致するかを検証した。試料の標本を、3μm厚の膜の間に挟み入れ、透過幾何学において分析した。ビームストップ、短散乱防止エクステンション、散乱防止ナイフエッジを使用して、空気によって生じるバックグラウンドを最小化した。入射回折ビーム用のソーラースリットを使用して、軸発散からの広がりを最小化した。標本から240mmに位置する走査型位置敏感型検出器(X'Celerator)及びデータコレクターソフトウェアv. 2.2bを使用して回折パターンを収集した。
【0172】
1. 形態A
先ず、水溶液から抜き取られた材料のIPAスラリーから、L-グルホシネートアンモニウム形態Aを調製した。形態Aは、試験中に調製される、最も頻繁に観察される材料であったが、形態D、形態C、又はX線非晶質材料との混合物として観察されることが多かった。形態Aは、高温又は室温における幾つかの長期間スラリーから生成された。
【0173】
一例において、形態Aは、93/7 v/vのメタノール/水中の7日間スラリーから単離された。試料のXRPDパターンは、試料が、主に単結晶相で構成されていたことを示した(
図1)。追加の微小ピークが、約19.0°の回折角で観測された。材料の
1H NMRスペクトルは、L-グルホシネートと一致しており、メタノールと一致する化学シフトを含んでいた。イオンクロマトグラフィー分析は、6.4重量%のアンモニウム含量を示し、これは、理論的なモノアンモニウム塩(9.1重量%)に予測され得るより少なく、受け取ったままの材料(7.0重量%)より若干少ない。材料の熱分析は、無水/非溶媒和形態と一致していた。約123℃(開始)での大きな吸熱の前にDSCの有意な事象は観測されなかった。この温度周辺でTGAの勾配に有意な変化が観測され、潜在的な溶解/分解事象が示唆される。この試料の熱挙動が、L-グルホシネート形態Bと非常に類似していることが認められた。試料を再度XRPDによって分析し、乾燥剤上で保存した際に、形態Aが形態Bに変換され、追加の微小ピークがあることが判明した。この結果は、形態Aが準安定性であり、変換の傾向があることを示唆する。
【0174】
形態Aの新規の試料を、メタノール中の受け取ったままのL-グルホシネートアンモニウムを約1モル過剰の水酸化アンモニウムと共にスラリー化することによって調製した。しかし、この試料の熱分析(
図2)は、前述の分析と一致しており、約116℃における有意な重量損失が開始する前に微小の重量損失が示されたが、これは材料の分解開始に起因すると思われる。約119℃に開始する単一の吸熱が観測された。データは、溶解/分解事象を示唆している。
【0175】
2. 形態B
L-グルホシネートの形態Bは、IPA/水中でL-グルホシネートアンモニウムをスラリー化してゲルを形成することと、室温でアセトン中でゲルを再スラリー化することとが関わる多段階結晶化で最初に観察された。形態Bは、典型的により高い水分活性を有する有機-水混合物を含む幾つかのスラリーから回収された。形態BのXRPDパターンが成功裏に割り出された(
図3)が、幾つかの追加の微小ピークがパターン中に観測された。実際、形態Bは、典型的に追加の微小ピークと共に観察された。
【0176】
形態Bは、
1H NMR、IC、DSC、及びTGAによって特徴付けられた。
1H NMRスペクトルは、L-グルホシネートと一致しており、残留有機溶媒を一切示さなかった。異なる形態Bの試料のイオンクロマトグラフィー分析は、ごく少量のアンモニウム含量(0.17重量%)しか示さず、形態Bが、アンモニウム塩ではなく、L-グルホシネート双性イオンの結晶形態であることを示唆する。試料の熱分析(
図4)は、非溶媒和/無水結晶形態と一致していた。123℃の大きな吸熱(開始)の前に有意な熱事象は観測されなかった。この温度付近で、TGAの勾配における有意な変化も観測され、これが溶解/分解事象であると考えられることを示唆している。乾燥剤上で47日間保存した際、試料のXRPDパターンに有意な変化は観測されなかった。
【0177】
3. 形態C
少量の形態Aを伴う形態Cが、L-グルホシネートアンモニウムとMeOH蒸気の応力を介して調製された。形態CのXRPDパターンを割り出したが、形態Aと一致するピークが幾つか観測された(
図5)。
1H NMRスペクトルは、L-グルホシネートと一致していたが、イオンクロマトグラフィーは、アンモニウム含量が、化学量論的量未満(理論的単塩9.1重量%及び受け取ったままの材料7.0重量%と比較して6.3重量%)だったことを示した。
【0178】
少量の形態Aを伴う形態Cの試料を、乾燥剤下で36日間保存し、試料のXRPD分析は、少量の形態Aを伴う形態Bへの変換及び若干の追加の微小ピークを示した。IC分析も、経時的なアンモニウム含量の有意な損失(初期の6.3重量%に対して3.2重量%)を示した。結果は、形態Cが、準安定性であり、乾燥剤下で長期間保存するとアンモニウム塩の変換/解離を形成する傾向があることを示唆する。
【0179】
少量の形態Aを伴う形態Cが、MeOHによる蒸気応力を介して成功裏に再調製された。新規試料の
1H NMR解析は、L-グルホシネートの化学構造と一致していた。熱分析は、100℃及び131℃における2つの重複する広範囲吸熱を示した(
図6)。約10重量%の重量損失が吸熱で観測された後、継続される加熱で漸進的な重量損失が観測された。
【0180】
4. 形態D
形態Dは、典型的には形態Aとの混合物として、多形スクリーニング中で幾つかの室温又は高温スラリーから調製された。形態A及び形態Dの混合物は、1H NMR解析により、L-グルホシネートの化学構造と一致していることが判明した。乾燥剤上で保存した際、形態D試料+少量の形態AのXRPDパターンに有意な変化は観測されなかった。
【0181】
形態Dを、50/50 v/vのTFE/アセトン中、60℃での3日間スラリーから単離した。形態DのXRPDパターン(
図7)は、主に又は独占的に単結晶相で構成されることを示した。イオンクロマトグラフィー分析は、理論的なモノアンモニウム塩で予測される(9.1重量%)より有意に少ない2.3重量%のアンモニウム含量を示した。存在するアンモニウムが化学量論的量未満であることに基づいて、形態Dは、L-グルホシネート双性イオンの結晶形態であると考えられる。試料の熱分析(
図8)は、一貫した漸進的重量損失、及び分解の開始を示唆するおよそ151℃における勾配の変化を示した。非常に広範囲の吸熱が、約140℃の開始で観測され、溶解/分解事象が示唆される。
【0182】
5. 形態E
形態Eは、初期スクリーニング中に、受け取ったままの試料として、また、水性アセトンとHClから結晶化した試料として観察された。形態Eの1H NMRスペクトルは、L-グルホシネートと一致し、ピークシフトは、潜在的なイオン化の違いを示唆する。IC分析は、化学量論的量未満の塩化物と共に、微量のアンモニウムのみを示した。結果は、形態Eが、L-グルホシネートアンモニウムの形態ではなくL-グルホシネートHClの形態であることを示唆する。
【0183】
6. 非晶質材料
X線非晶質材料は、長期間(例えば、12日間)、50℃~60℃の範囲の温度で維持していたN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、及び2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)等の溶媒中のスラリーから回収された。非晶質L-グルホシネートアンモニウムの1H NMR解析は、当該構造と一致しており、少量の未知のピークの存在を示した。材料の熱分析は、約55℃における見掛け上のガラス転移Tgを明らかにした。
【0184】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するだけのためのものであり、限定することは意図していないことを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。別段の指定がない限り、本明細書で使用する全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。値の範囲が列挙される場合、別段明確な指示がない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の十分の一までの各介在値、及びこの規定の範囲内の他の規定値又は介在値が、本発明の範囲内に包含されることを理解されたい。これらの小範囲の上限及び下限は、独立に、これらの小範囲内に含めることができ、また、規定範囲内の特に排除された限界に従って、本発明の範囲内に包含される。規定範囲が限界値の片方又は両方を含む場合、含まれる限界値のいずれか又は両方を排除した範囲も本発明に含まれる。特定の範囲は、本明細書において、数値の前に用語「約(about)」又は用語「およそ(around)」を付けて提示される。用語「約」及び「およそ」は、本明細書において、先行する正確な数値、並びに用語が先行する数値付近の数値又は用語が先行する数値の近似値に、文言的サポートを与えるために用いられる。ある数値が、具体的に列挙されている数値付近の数値又は近似値であるかを決定する上で、付近又は近似の列挙されていない数値は、提示される趣旨の範囲内で、具体的に列挙された数値と実質的に同等となる数値であり得る。「X」が、「約」又は「およそ」によって修飾された値である場合、「約X」又は「およそX」は、一般的に、0.95X~1.05Xの値(例えば、0.98X~1.02X又は0.99X~1.01Xを含む)を示す。「約X」又は「およそX」へのいずれの言及も、少なくともX、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、及び1.05Xの値を特定的に示す。したがって、「約X」及び「およそX」は、例えば「0.98X」というクレーム限定についての記載的サポートを教示し提供することを意図する。
【0185】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、又は特許出願が、具体的に且つ個別に参照により組み込まれると示される場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。更に、引用されるそれぞれの刊行物、特許、又は特許出願は、参照により本明細書に組み込まれ、刊行物の引用と関連して主題を開示及び説明する。あらゆる刊行物の引用は、本出願日前のその開示についてのものであり、それが先の発明という理由で、本明細書に記載の発明が該刊行物に先行する資格がないと認めることとして解釈されてはならない。更に、提供された刊行日は、実際の刊行日とは異なる場合があり、これは独立に確認する必要があり得る。
【0186】
特許請求の範囲は、一切の任意選択の要素を排除するように草案され得ることに留意されたい。したがって、この表明は、特許請求の範囲の要素の列挙と関連付けた「単独で」、「~のみ」等の排他的な用語の使用、又は「負の」限定の使用に関する文言的根拠として働くことを意図する。本開示を読んだ当業者には明らかであるように、本明細書に記載され、例示される個々の実施形態は各々、個別の構成要素及び特徴を有し、これらは、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の幾つかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分けることができ、又は他の幾つかの実施形態のいずれかの特徴と容易に組み合わせることができる。列挙する方法はいずれも、列挙する事象の順に実施してもよいが、論理的に可能な他の任意の順序で実施してもよい。本明細書に記載のものと同様の又は同等の任意の方法及び材料も、本発明の実践又は試験において使用され得るが、代表的な例示的方法及び材料がここで記述されている。
相当量のグルタメートをピログルタメートに変換してL-グルホシネートの単離を促進させることにより、L-グルホシネート及びグルタメートを含む組成物からL-グルホシネートを精製する方法であって、
L-グルホシネート及びグルタメートを含むL-グルホシネート組成物を高温で十分な時間反応させて、グルタメートの大部分をピログルタメートに変換することと、
ピログルタメート及び組成物の他の成分からL-グルホシネートを単離して、実質的に精製された(L-グルホシネート、グルタメート、及びピログルタメートの合計の90%以上である)L-グルホシネートの組成物を得ることと
を含む、方法。