(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102645
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】光軸制御機構、パターン検査装置、及び光軸調整方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20240724BHJP
G03F 1/00 20120101ALI20240724BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G03F1/00 V
H01L21/30 502V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006670
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】山下 靖裕
【テーマコード(参考)】
2G051
2H195
【Fターム(参考)】
2G051AA56
2G051AB02
2G051AC21
2G051BA10
2G051BB11
2G051BC04
2G051CA03
2G051CB02
2H195BD02
2H195BD13
2H195BD15
2H195BD20
2H195BD26
2H195BD27
2H195BD28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ノイズ成分光が存在する場合であっても、使用したい本来のレーザ光の光軸調整をより高精度に行うことが可能な光軸制御機構を提供する。
【解決手段】光軸制御機構172は、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を受光する第1の位置計測センサ212と、第1の位置計測センサの手前であって第1の位置計測センサとの間に構造物を挟まない位置に配置され、レーザ光の一方の少なくとも一部を通過させる第1の絞り232と、第1の絞りを光路上と光路外との間で移動させる第1の駆動機構242と、第1の位置計測センサにより受光されたレーザ光の第1の重心位置を演算する第1の重心位置演算回路132と、第1の絞りが光路外に配置された状態で、第1の位置計測センサにより受光されたレーザ光の重心位置が第1の重心位置になるように、第1のミラーの反射面の位置を制御する第1のミラー制御部121と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から発生するレーザ光を反射して、レーザ光の光軸を調整する、反射面の位置を変更可能な第1のミラーと、
前記第1のミラーで反射された前記レーザ光を分割するハーフミラーと、
前記ハーフミラーで分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を受光する第1の位置計測センサと、
光路上に配置される場合に、前記第1の位置計測センサの手前であって前記第1の位置計測センサとの間に構造物を挟まない位置に配置され、前記レーザ光の一方の少なくとも一部を通過させる第1の絞りと、
前記第1の絞りを光路上と光路外との間で移動させる第1の駆動機構と、
前記第1の絞りが光路上に配置された場合に前記第1の位置計測センサにて最大光量が受光される位置に前記第1のミラー反射面の位置が調整された状態で、かつ前記第1の絞りが光路外に配置された状態で、前記第1の位置計測センサにより受光された前記レーザ光の第1の重心位置を演算する第1の重心位置演算回路と、
前記第1の絞りが光路外に配置された状態で、前記第1の位置計測センサにより受光された前記レーザ光の重心位置が前記第1の重心位置になるように、前記第1のミラーの反射面の位置を制御する第1のミラー制御部と、
を備え、
前記ハーフミラーで分割されたレーザ光の他方を、パターンが形成された被検査試料に照明することを特徴とする光軸制御機構。
【請求項2】
前記光源から発生する前記レーザ光を前記第1のミラーに続いて反射して、前記レーザ光の光軸を調整する、反射面の位置を変更可能な第2のミラーと、
パターンが形成された被検査試料に照明する照明光学系と共役な位置に配置され、前記レーザ光の一方の他の一部を受光する第2の位置計測センサと、
光路上に配置される場合に、前記第2の位置計測センサの手前であって前記第2の位置計測センサとの間に構造物を挟まない位置に配置され、前記レーザ光の一方の他の少なくとも一部を通過させる第2の絞りと、
前記第2の絞りを光路上と光路外との間で移動させる第2の駆動機構と、
前記第2の絞りが光路上に配置された場合に前記第2の位置計測センサにて最大光量が受光される位置に前記第2のミラー反射面の位置が調整された状態で、かつ前記第2の絞りが光路外に配置された状態で、前記第2の位置計測センサにより受光された前記レーザ光の第2の重心位置を演算する第2の重心位置演算回路と、
前記第2の絞りが光路外に配置された状態で、前記第2の位置計測センサにより受光された前記レーザ光の重心位置が前記第2の重心位置になるように、前記第2のミラーの反射面の位置を制御する第2のミラー制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の光軸制御機構。
【請求項3】
前記第1の位置計測センサとして、受光する光を第1から第4象限の4つの面で独立に受光する4分割面以上の複数の面を有する分割センサと、2次元PSD(位置検出素子)と、のうち一方が用いられることを特徴とする請求項1記載の光軸制御機構。
【請求項4】
前記第1の位置計測センサが前記分割センサである場合に、前記第1の絞りは、前記第1の絞りの開口部の中心と前記第1から第4象限の4つの面の中心とが一致するように配置されることを特徴とする請求項3記載の光軸制御機構。
【請求項5】
前記第1の絞りは、開口径を可変する機構を有することを特徴とする請求項1記載の光軸制御機構。
【請求項6】
前記レーザ光を撮像した画像から得らえるビーム径に応じて、前記第1の絞りの開口径は調整されることを特徴とする請求項5記載の光軸制御機構。
【請求項7】
請求項1記載の光軸制御機構と、
前記光軸制御機構によって、光軸が調整された前記レーザ光を用いて、前記被検査試料のパターンの光学画像を取得する光学画像取得機構と、
参照画像を入力し、前記光学画像と前記参照画像とを比較する比較回路と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項8】
光路上、第1の位置計測センサの手前であって前記第1の位置計測センサとの間に構造物を挟まない位置に第1の絞りを搬送する工程と、
前記第1の絞りが光路上に配置された状態で、第1のミラーの反射面の位置を可変に変えながら、光源から発生するレーザ光を前記第1のミラーで反射し、前記第1のミラーで反射された前記レーザ光をハーフミラーで分割し、前記ハーフミラーで分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を前記第1の絞りを介して前記第1の位置計測センサで受光する工程と、
前記第1のミラーの反射面の位置を可変に変えた位置毎に、前記第1の絞りが光路上に配置された状態で前記第1の位置計測センサで受光された光量を計測する工程と、
前記第1の絞りが光路上に配置された状態で前記第1の位置計測センサで受光される光量が最大となる位置に前記第1のミラーの反射面の位置を設定する工程と、
前記第1の絞りを光路外に搬出する工程と、
前記第1の絞りが光路外に搬出された状態で、前記光源から発生するレーザ光を前記第1のミラーで反射し、前記第1のミラーで反射された前記レーザ光をハーフミラーで分割し、前記ハーフミラーで分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を前記第1の位置計測センサで受光し、前記第1の位置計測センサにより受光された前記レーザ光の一方の少なくとも一部の第1の重心位置を演算する工程と、
前記第1の絞りが光路外に搬出された状態で、前記第1の位置計測センサにより受光された前記レーザ光の重心位置が前記第1の重心位置になるように、前記第1のミラーの反射面の位置を制御する工程と、
を備え、
前記第1のミラーの反射面の位置が制御された状態で、前記ハーフミラーで分割されたレーザ光の他方で、パターンが形成された被検査試料が照明されることを特徴とする光軸調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸制御機構、パターン検査装置、及び光軸調整方法に係り、例えば、半導体製造に用いる試料を照明する照明光の光軸制御の手法に関する。
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。これらの半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスク或いはレチクルともいう。以下、マスクと総称する)を用いて、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。よって、かかる微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細な回路パターンを描画することができるパターン描画装置を用いる。かかるパターン描画装置を用いてウェハに直接パターン回路を描画することもある。例えば、電子ビームやレーザビームを用いて描画される。
【0003】
そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになろうとしている。歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
【0004】
マスクパターンの微細化・高集積化に伴い、検査装置は高い分解能が要求され、検査装置の照明光の波長も短いものとなっている。例えば、266nm以下の深紫外光が用いられる。そして、かかる照明光となるレーザ光をレーザ光源装置から発振している。そして、かかるレーザ光の光軸を調整して検査装置内部へと照明している。
【0005】
しかしながら、かかるレーザ光源から発生するレーザ光には、本来使用したいメインのレーザ光以外に、ノイズ成分光が一緒に発生する場合があり、かかるノイズ成分光によって、使用したい本来のレーザ光の光軸調整に誤差が生じてしまうといった問題があった。かかる問題に対して、ノイズ成分光の方向と光量を測定して、これらを用いてレーザ光の重心位置を調整するといった手法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来、レーザ光源から発生するレーザ光と一緒に発生するノイズ成分光によって、使用したい本来のレーザ光の光軸調整に誤差が生じてしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明の一態様は、ノイズ成分光が存在する場合であっても、使用したい本来のレーザ光の光軸調整をより高精度に行うことが可能な光軸制御機構および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の光軸制御機構は、
光源から発生するレーザ光を反射して、レーザ光の光軸を調整する、反射面の位置を変更可能な第1のミラーと、
第1のミラーで反射されたレーザ光を分割するハーフミラーと、
ハーフミラーで分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を受光する第1の位置計測センサと、
光路上に配置される場合に、第1の位置計測センサの手前であって第1の位置計測センサとの間に構造物を挟まない位置に配置され、レーザ光の一方の少なくとも一部を通過させる第1の絞りと、
第1の絞りを光路上と光路外との間で移動させる第1の駆動機構と、
第1の絞りが光路上に配置された場合に第1の位置計測センサにて最大光量が受光される位置に第1のミラー反射面の位置が調整された状態で、かつ第1の絞りが光路外に配置された状態で、第1の位置計測センサにより受光されたレーザ光の第1の重心位置を演算する第1の重心位置演算回路と、
第1の絞りが光路外に配置された状態で、第1の位置計測センサにより受光されたレーザ光の重心位置が第1の重心位置になるように、第1のミラーの反射面の位置を制御する第1のミラー制御部と、
を備え、
ハーフミラーで分割されたレーザ光の他方を、パターンが形成された被検査試料に照明することを特徴とする。
【0010】
また、光源から発生するレーザ光を第1のミラーに続いて反射して、レーザ光の光軸を調整する、反射面の位置を変更可能な第2のミラーと、
パターンが形成された被検査試料に照明する照明光学系と共役な位置に配置され、レーザ光の一方の他の一部を受光する第2の位置計測センサと、
光路上に配置される場合に、第2の位置計測センサの手前であって第2の位置計測センサとの間に構造物を挟まない位置に配置され、レーザ光の一方の他の少なくとも一部を通過させる第2の絞りと、
第2の絞りを光路上と光路外との間で移動させる第2の駆動機構と、
第2の絞りが光路上に配置された場合に第2の位置計測センサにて最大光量が受光される位置に第2のミラー反射面の位置が調整された状態で、かつ第2の絞りが光路外に配置された状態で、第2の位置計測センサにより受光されたレーザ光の第2の重心位置を演算する第2の重心位置演算回路と、
第2の絞りが光路外に配置された状態で、第2の位置計測センサにより受光されたレーザ光の重心位置が第2の重心位置になるように、第2のミラーの反射面の位置を制御する第2のミラー制御部と、
をさらに備えると好適である。
【0011】
また、第1の位置計測センサとして、受光する光を第1から第4象限の4つの面で独立に受光する4分割面以上の複数の面を有する分割センサと、2次元PSD(位置検出素子)と、のうち一方が用いられると好適である。
【0012】
また、第1の位置計測センサが分割センサである場合に、第1の絞りは、第1の絞りの開口部の中心と第1から第4象限の4つの面の中心とが一致するように配置されると好適である。
【0013】
また、第1の絞りは、開口径を可変する機構を有すると好適である。
【0014】
また、レーザ光を撮像した画像から得らえるビーム径に応じて、第1の絞りの開口径は調整されると好適である。
【0015】
本発明の一態様のパターン検査装置は、
上述した光軸制御機構と、
光軸制御機構によって、光軸が調整されたレーザ光を用いて、被検査試料のパターンの光学画像を取得する光学画像取得機構と、
参照画像を入力し、光学画像と参照画像とを比較する比較回路と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様の光軸調整方法は、
光路上、第1の位置計測センサの手前であって第1の位置計測センサとの間に構造物を挟まない位置に第1の絞りを搬送する工程と、
第1の絞りが光路上に配置された状態で、第1のミラーの反射面の位置を可変に変えながら、光源から発生するレーザ光を第1のミラーで反射し、第1のミラーで反射されたレーザ光をハーフミラーで分割し、ハーフミラーで分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を第1の絞りを介して第1の位置計測センサで受光する工程と、
第1のミラーの反射面の位置を可変に変えた位置毎に、第1の絞りが光路上に配置された状態で第1の位置計測センサで受光された光量を計測する工程と、
第1の絞りが光路上に配置された状態で第1の位置計測センサで受光される光量が最大となる位置に第1のミラーの反射面の位置を設定する工程と、
第1の絞りを光路外に搬出する工程と、
第1の絞りが光路外に搬出された状態で、光源から発生するレーザ光を第1のミラーで反射し、第1のミラーで反射されたレーザ光をハーフミラーで分割し、ハーフミラーで分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を第1の位置計測センサで受光し、第1の位置計測センサにより受光されたレーザ光の一方の少なくとも一部の第1の重心位置を演算する工程と、
第1の絞りが光路外に搬出された状態で、第1の位置計測センサにより受光されたレーザ光の重心位置が第1の重心位置になるように、第1のミラーの反射面の位置を制御する工程と、
を備え、
第1のミラーの反射面の位置が制御された状態で、ハーフミラーで分割されたレーザ光の他方で、パターンが形成された被検査試料が照明されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ノイズ成分光が存在する場合であっても、使用したい本来のレーザ光の光軸調整をより高精度に行うことができる。よって、かかる光軸が調整されたレーザ光を照明光として用いてパターン検査を行うことで高精度な検査ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1におけるパターン検査装置の一部の構成を示す概念図である。
【
図2】実施の形態1におけるパターン検査装置の残りの構成を示す概念図である。
【
図3】実施の形態1におけるレーザ光の重心位置が光軸からずれた場合の一例を説明するための図である。
【
図4】実施の形態1におけるレーザ光の強度分布の一例を示す図である。
【
図5】実施の形態1におけるパターン検査方法の要部工程の一部を示すフローチャート図である。
【
図6】実施の形態1におけるパターン検査方法の要部工程の残部を示すフローチャート図である。
【
図7】実施の形態1における絞りを外した状態で受光されるレーザ光の受光位置の一例を示す図である。
【
図8】実施の形態1における絞りと位置計測センサとの位置関係を示す図である。
【
図9】実施の形態1における絞りの開口径の調整の仕方の一例を説明するための図である。
【
図10】実施の形態1におけるレーザ光の光強度分布と絞りとの位置関係の一例を示す図である。
【
図11】実施の形態1におけるレーザ光の光強度分布と絞りとの位置関係の他の一例を示す図である。
【
図12】実施の形態1におけるレーザ光の光強度分布と絞りとの位置関係の他の一例を示す図である。
【
図13】実施の形態1におけるレーザ光の受光位置と重心目標との一例を示す図である。
【
図14】実施の形態1における光学画像の取得手順を説明するための図である。
【
図15】実施の形態2における光軸調整機構の構成の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の一部の構成を示す概念図である。
図2は、実施の形態1におけるパターン検査装置の残りの構成を示す概念図である。
図1,2において、マスク等の基板を試料として、かかる試料のパターン欠陥を検査する検査装置100は、光源103と光軸制御機構172と光学画像取得機構150と制御系回路160を備えている。
【0020】
光軸制御機構172は、ミラー202,204、ハーフミラー230,231、ミラー233、駆動機構222,224、絞り232,234、駆動機構242,244、及び位置計測センサ212,214を備えている。
【0021】
光学画像取得機構150は、照明光学系170、XYθテーブル102、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、センサ回路106、レーザ測長システム122、及びオートローダ130を備えている。
【0022】
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、データ伝送路となるバス120を介して、位置回路107、比較回路108、展開回路111、参照回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、プリンタ119、ミラー制御回路121,122、測定回路124,126、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置140、絞り1駆動制御回路128、絞り2駆動制御回路129、絞り1径制御回路130、絞り2径制御回路131、重心演算回路132,134、重心目標設定回路135、光軸調整回路136、総光量演算回路142,143、及び判定回路144に接続されている。
【0023】
また、位置計測センサ212の入射面は、ミラー204の反射面と共役な関係となる位置に配置される。位置計測センサ214の入射面は、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の他方をパターンが形成された被検査試料101に照明する照明光学系170への入射面と共役な関係となる位置に配置される。位置計測センサ212(第1の位置計測センサ)は、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を受光し、受光されたレーザ光の一方の少なくとも一部の位置を計測する。位置計測センサ214(第2の位置計測センサ)は、レーザ光の一方の他の少なくとも一部を受光し、受光されたレーザ光の一方の他の少なくとも一部の位置を計測する。具体的には、レーザ光源103から発生したレーザ光は、ミラー202で反射され、続いてミラー204で反射される。反射されたレーザ光は、ハーフミラー230で分割され、分割された一部がハーフミラー231へと入射される。分割された残りが照明光学系170へと入射される。ハーフミラー230で分割された(分岐された)レーザ光の一部の光線は、さらに、ハーフミラー231で分岐され、一部の光線が位置計測センサ212で受光される。ハーフミラー231を通過した残りの光線はミラー233で反射され位置計測センサ214で受光される。
【0024】
また、位置計測センサ212として、例えば、受光する光を第1から第4象限の4つの面で独立に受光する4分割面以上の複数の面を有する分割センサと、2次元PSD(位置検出素子)と、のうち一方が用いられる。分割センサとして、例えば、4分割センサを用いると好適である。
【0025】
同様に、位置計測センサ214として、例えば、受光する光を第1から第4象限の4つの面で独立に受光する4分割面以上の複数の面を有する分割センサと、2次元PSD(位置検出素子)と、のうち一方が用いられる。分割センサとして、例えば、4分割センサを用いると好適である。
【0026】
また、ミラー202(第1のミラー)は、反射面の位置(例えば角度)を変更可能に構成され、レーザ光源103から発生するレーザ光を反射して、レーザ光の光軸を調整する。ミラー204(第2のミラー)は、反射面の位置(例えば角度)を変更可能に構成され、レーザ光源103から発生するレーザ光をミラー202に続いて反射して、レーザ光の光軸を調整する。具体的には、ミラー202の反射面は、サーボモータ等を用いた駆動機構222によって例えば2軸方向に移動させられるように構成される。同様に、ミラー204の反射面は、サーボモータ等を用いた駆動機構224によって例えば2軸方向に移動させられるように構成される。ミラー202,204の反射面の角度を制御することで、照明光学系170に入射するレーザ光の光軸がずれないように調整する。
【0027】
また、絞り232(第1の絞り)は、駆動回路242(第1の駆動機構)によって光路上と光路外との間で移動させられる。絞り232は、光路上に配置される場合に、位置計測センサ212の手前であって位置計測センサ212との間に構造物を挟まない位置に配置され、レーザ光の一方の少なくとも一部を通過させる。具体的には、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一部の光線がハーフミラー231で分岐され、分岐された一部の光線が絞り232を通過する。
【0028】
また、絞り234(第2の絞り)は、駆動回路244(第2の駆動機構)によって光路上と光路外との間で移動させられる。絞り234は、光路上に配置される場合に、位置計測センサ214の手前であって位置計測センサ214との間に構造物を挟まない位置に配置され、レーザ光の一方の他の一部を通過させる。具体的には、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一部の光線がハーフミラー231で分岐され、分岐された残部の光線がミラー233で反射され、絞り234を通過する。
【0029】
また、XYθテーブル102は、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータにより駆動される。
図1,2では、本実施の形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。パターン検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
【0030】
図3は、実施の形態1におけるレーザ光の重心位置が光軸からずれた場合の一例を説明するための図である。
図3において、レーザ光源103から発生するレーザ光は、設計上の光軸からずれる場合がある。かかる場合に、ミラー202とミラー204での調整が行われない場合、レーザ光は、照明光学系107のレンズ中心からずれてしまう。さらにずれた場合には、レーザ光は、照明光学系107のレンズから外れてしまう。そのため、ミラー202は、レーザ光源103から発生するレーザ光がミラー204の中心に入射するように反射面の角度を調整する。そして、ミラー204は、レーザ光が照明光学系170のレンズ中心に入射するように反射面の角度を調整する。これにより、レーザ光の光軸を調整できる。
【0031】
位置計測センサ212は、ミラー204と共役な位置関係にあるため、位置計測センサ212が分割センサである場合に、位置計測センサ212の第1から第4象限の4つの面の中心は、ミラー204の反射面の中心と共役な位置関係となる。言い換えれば、位置計測センサ212の第1から第4象限の4つの面の中心が光軸と一致するように位置計測センサ212は配置される。よって、位置計測センサ212で受光するレーザ光の重心位置を位置計測センサ212の第1から第4象限の4つの面の中心に合わせるようにミラー202の角度を制御することで、レーザ光をミラー204の反射面の中心に入射させることができる。
なお、位置計測センサ212が2次元PSDである場合、レーザ光をミラー204の反射面の中心に入射させた場合のレーザ光の重心位置の2次元PSDの受光位置を予め計測しておき、かかる位置(光軸と一致)に位置計測センサ212で受光するレーザ光の重心位置を合わせるようにミラー202の角度を制御することで、レーザ光の重心位置をミラー204の反射面の中心に入射させることができる。
【0032】
また、位置計測センサ214は、照明光学系170と共役な位置関係にあるため、位置計測センサ214が分割センサである場合に、位置計測センサ214の第1から第4象限の4つの面の中心は、照明光学系170のレンズ中心(照明光学系170が複数のレンズから構成される場合には、例えば1番目のレンズのレンズ中心)と共役な位置関係となる。言い換えれば、位置計測センサ214の第1から第4象限の4つの面の中心が光軸と一致するように位置計測センサ214は配置される。よって、位置計測センサ214で受光するレーザ光の重心位置を位置計測センサ214の第1から第4象限の4つの面の中心に合わせるようにミラー204の角度を制御することで、レーザ光を照明光学系170のレンズ中心に入射させることができる。
なお、位置計測センサ214が2次元PSDである場合、レーザ光を照明光学系170のレンズ中心に入射させた場合のレーザ光の重心位置の2次元PSDの受光位置を予め計測しておき、かかる位置(光軸と一致)に位置計測センサ214で受光するレーザ光の重心位置を合わせるようにミラー204の角度を制御することで、レーザ光の重心位置を照明光学系170のレンズ中心に入射させることができる。
【0033】
図4は、実施の形態1におけるレーザ光の強度分布の一例を示す図である。
図4において、縦軸は光強度、横軸は位置を示している。光源103から発生するレーザ光には、本来使用したい主となるレーザ光20(メインビーム)以外に、ノイズ成分光10(サテライトビーム)が一緒に発生する場合がある。レーザ光20とノイズ成分光10を区別せずに光軸を調整しようとすると、レーザ光20とノイズ成分光10の合成光の重心を光軸に合わせる結果となってしまう。そのため、本来使用したいレーザ光20の重心が光軸からずれてしまい、以降の光学系に入射した際にレーザ光20の一部が照明に使用されなくなってしまう(或いは、光がけられてしまうともいう)。その結果、光量のロスや照明光のむらが生じる。そこで、実施の形態1では、本来使用したい主となるレーザ光20の重心を光軸に調整する。
【0034】
図5は、実施の形態1におけるパターン検査方法の要部工程の一部を示すフローチャート図である。
図6は、実施の形態1におけるパターン検査方法の要部工程の残部を示すフローチャート図である。
図5及び
図6において、実施の形態1におけるパターン検査方法は、重心合わせ工程(S102)と、絞り1,2光路搬入工程(S104)と、絞り径設定工程(S104)と、ミラー1のx軸仮設定工程(S110)と、センサ1の総光量計測工程(S112)と、判定工程(S114)と、ミラー1のx軸設定工程(S116)と、ミラー1のy軸仮設定工程(S120)と、センサ1の総光量計測工程(S122)と、判定工程(S124)と、ミラー1のy軸設定工程(S126)と、ミラー2のx軸仮設定工程(S130)と、センサ2の総光量計測工程(S132)と、判定工程(S134)と、ミラー2のx軸設定工程(S136)と、ミラー2のy軸仮設定工程(S140)と、センサ2の総光量計測工程(S142)と、判定工程(S144)と、ミラー2のy軸設定工程(S146)と、絞り1,2光路から搬出工程(S150)と、重心位置計測工程(S152)と、重心目標値設定工程(S154)と、光軸制御工程(S156)と、パターン検査工程(S160)と、いう一連の各工程を実施する。
【0035】
なお、
図5及び
図6の例では、ミラー202(ミラー1)のx軸を調整した後に、y軸を調整する順序を示したが、これに限るものではない。ミラー202(ミラー1)のy軸を調整した後に、x軸を調整する順序にしても構わない。同様に、ミラー204(ミラー2)のx軸を調整した後に、y軸を調整する順序を示したが、これに限るものではない。ミラー204(ミラー2)のy軸を調整した後に、x軸を調整する順序にしても構わない。
【0036】
重心合わせ工程(S102)として、絞り232,234が光路外に配置された状態で、位置計測センサ212及び位置計測センサ214で受光されるレーザ光の重心位置が位置計測センサ212及び位置計測センサ214の受光面の所定の位置(例えば、第1から第4象限の4つの面の中心位置)になるようにミラー202,204の反射面の角度を合わせる。具体的には、以下のように動作する。
【0037】
絞り232が光路外に配置された状態で、位置計測センサ212は、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方の一部を受光する。具体的には、レーザ光源103から発生したレーザ光は、ミラー202で反射され、続いてミラー204で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方のうちハーフミラー232で分岐されたレーザ光の一部の光線が位置計測センサ212で受光される。
【0038】
そして、重心演算回路132は、位置計測センサ212による受光されたレーザ光の重心位置を算出する。
【0039】
図7は、実施の形態1における絞りを外した状態で受光されるレーザ光の受光位置の一例を示す図である。
図7の例では、位置計測センサ212(214)が4分割センサである場合を示している。位置計測センサ212は、縦横2×2の配列で4つの受光素子30,32,34,36が並ぶように構成される。4つの受光素子30,32,34,36の中心が光軸と一致するように位置計測センサ212が配置される。4つの受光素子30,32,34,36は、第1から第4象限の4つの面で独立に光を受光する。そして、受光素子30は、位置計測センサ212の中心を基準位置(x,y=0)として、-x,+yの正の領域(第2象限:Aで示す領域)の面に入射する光の光量を受光する。受光素子32は、-x,-yの正の領域(第3象限:Bで示す領域)の面に入射する光の光量を受光する。受光素子34は、+x,+yの正の領域(第1象限:Cで示す領域)の面に入射する光の光量を受光する。受光素子36は、+x,-yの正の領域(第4象限:Dで示す領域)の面に入射する光の光量を受光する。
【0040】
同様に、位置計測センサ214は、縦横2×2の配列で4つの受光素子40,42,44,46が並ぶように構成される。4つの4つの受光素子40,42,44,46の中心が光軸と一致するように位置計測センサ214が配置される。4つの受光素子40,42,44,46は、第1から第4象限の4つの面で独立に光を受光する。そして、受光素子40は、位置計測センサ214の中心を基準位置(x,y=0)として、-x,+yの正の領域(第2象限:Aで示す領域)の面に入射する光の光量を受光する。受光素子42は、-x,-yの正の領域(第3象限:Bで示す領域)の面に入射する光の光量を受光する。受光素子44は、+x,+yの正の領域(第1象限:Cで示す領域)の面に入射する光の光量を受光する。受光素子46は、+x,-yの正の領域(第4象限:Dで示す領域)の面に入射する光の光量を受光する。
【0041】
重心演算回路132は、位置計測センサ212で受光されたレーザ光の重心位置を算出する。具体的には、位置計測センサ212で受光されたレーザ光のx方向の重心G1xとy方向の重心G1yを演算する。レーザ光のx方向の重心G1xは、位置計測センサ212の第1と第4象限面(C,D)で受光した各光量の和(Lc+Ld)から第2と第3象限面(A,B)で受光した各光量の和(La+Lb)を引いた値を第1から第4象限面(A,B,C,D)で受光した各光量の総光量(La+Lb+Lc+Ld)で除した値で定義され、以下の式(1)で表現できる。レーザ光のy方向の重心G1yは、位置計測センサ212の第3と第4象限面(B,D)で受光した各光量の和(Lb+Ld)から第1と第2象限面(C,A)で受光した各光量の和(La+Lc)を引いた値を第1から第4象限面(A,B,C,D)で受光した各光量の総光量(La+Lb+Lc+Ld)で除した値で定義され、以下の式(2)で表現できる。
(1) G1x={(Lc+Ld)-(La+Lb)}/(La+Lb+Lc+Ld)
(2) G1y={(Lb+Ld)-(La+Lc)}/(La+Lb+Lc+Ld)
【0042】
そして、光軸調整回路136は、ミラー1制御回路121を制御して、駆動機構222にミラー202の反射面の角度を移動させる。具体的には、G1x=0及びG1y=0になるようにミラー202の反射面の角度を設定する。
【0043】
次に、絞り234が光路外に配置された状態で、位置計測センサ214は、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方の残部を受光する。具体的には、レーザ光源103から発生したレーザ光は、ミラー202で反射され、続いてミラー204で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方のうちハーフミラー231を通過した残りの光線がミラー233で反射され位置計測センサ214で受光される。
そして、重心演算回路134は、位置計測センサ214による受光されたレーザ光の重心位置を算出する。
【0044】
同様に、重心演算回路134は、位置計測センサ214で受光されたレーザ光の重心位置を算出する。具体的には、位置計測センサ214で受光されたレーザ光のx方向の重心G2xとy方向の重心G2yを演算する。レーザ光のx方向の重心G2xは、位置計測センサ214の第1と第4象限面(C,D)で受光した各光量の和(Lc+Ld)から第2と第3象限面(A,B)で受光した各光量の和(La+Lb)を引いた値を第1から第4象限面(A,B,C,D)で受光した各光量の総光量(La+Lb+Lc+Ld)で除した値で定義され、以下の式(3)で表現できる。レーザ光のy方向の重心G2yは、位置計測センサ214の第3と第4象限面(B,D)で受光した各光量の和(Lb+Ld)から第1と第2象限面(C,A)で受光した各光量の和(La+Lc)を引いた値を第1から第4象限面(A,B,C,D)で受光した各光量の総光量(La+Lb+Lc+Ld)で除した値で定義され、以下の式(4)で表現できる。
(3) G2x={(Lc+Ld)-(La+Lb)}/(La+Lb+Lc+Ld)
(4) G2y={(Lb+Ld)-(La+Lc)}/(La+Lb+Lc+Ld)
【0045】
そして、光軸調整回路136は、ミラー2制御回路122を制御して、駆動機構224にミラー204の反射面の角度を移動させる。具体的には、G2x=0及びG2y=0になるようにミラー204の反射面の角度を設定する。
【0046】
これにより、
図7に示すように、主となるレーザ光20とノイズ成分光10の合成光の重心を光軸に合わせるができる。かかる動作により、レーザ光20の軌道を位置計測センサ212,214の受光範囲内に合わせることができる。しかしながら、このままでは、上述したように、レーザ光20の重心が光軸からずれた状態になってしまう。
【0047】
そこで、実施の形態1では、ノイズ成分光10を除いた状態で、主となるレーザ光20の重心位置を算出する。以下、具体的に説明する。
【0048】
絞り1,2光路搬入工程(S104)として、光路上、位置計測センサ212の手前であって位置計測センサ212との間に構造物を挟まない位置に絞り232を搬送する。同様に、光路上、位置計測センサ214の手前であって位置計測センサ214との間に構造物を挟まない位置に絞り234を搬送する。具体的には、以下のように動作する。絞り1駆動制御回路128は、駆動機構242を制御して、駆動機構242により絞り232を光路上に移動させる。同様に、絞り2駆動制御回路129は、駆動機構244を制御して、駆動機構244により絞り234を光路上に移動させる。
【0049】
図8は、実施の形態1における絞りと位置計測センサとの位置関係を示す図である。
図8の例では、位置計測センサ212,214として、共に、例えば、4分割センサを用いた場合を示している。
【0050】
位置計測センサ212が分割センサである場合に、絞り232は、光路上において、絞り232の開口部50の中心と位置計測センサ212の第1から第4象限の4つの面の中心とが一致するように配置される。位置計測センサ212が2次元PSDである場合、レーザ光をミラー204の反射面の中心に入射させた場合のレーザ光の重心位置の2次元PSDの受光位置を予め計測しておき、絞り232は、光路上において、絞り232の開口部の中心とかかる位置とが一致するように配置される。言い換えれば、絞り232の開口部の中心が光軸と一致するように配置される。また、絞り232は、開口部50以外からレーザ光が位置計測センサ212に入射しないサイズで形成される。
図8の例では、絞り232は、遮光部分が例えば矩形に形成される場合を示している。但しこれに限るものではない。遮光部分が矩形以外の形状であっても構わない。例えば円形であっても構わない。
【0051】
また、位置計測センサ214が分割センサである場合に、絞り234は、光路上において、絞り234の開口部50の中心と位置計測センサ214の第1から第4象限の4つの面の中心とが一致するように配置される。位置計測センサ214が2次元PSDである場合、レーザ光を照明光学系170のレンズ中心に入射させた場合のレーザ光の重心位置の2次元PSDの受光位置を予め計測しておき、絞り234は、光路上において、絞り234の開口部の中心とかかる位置とが一致するように配置される。言い換えれば、絞り234の開口部の中心が光軸と一致するように配置される。また、絞り234は、開口部50以外からレーザ光が位置計測センサ214に入射しないサイズで形成される。
図8の例では、絞り234は、遮光部分が例えば矩形に形成される場合を示している。但しこれに限るものではない。遮光部分が矩形以外の形状であっても構わない。例えば円形であっても構わない。
【0052】
絞り径設定工程(S104)として、絞り1径制御回路130は、絞り232の開口部50の開口径を設定する。同様に、絞り2径制御回路131は、絞り234の開口部50の開口径を設定する。
【0053】
図9は、実施の形態1における絞りの開口径の調整の仕方の一例を説明するための図である。絞り232,234は、開口部50の開口径を可変する調整機構52を有する。
図9の例では、調整機構52が所定の円周方向(例えば右回り)に駆動すると開口径が大きくなり、反対方向(例えば左回り)に駆動すると開口径が小さくなる。レーザ光を撮像した画像から得られるビーム径に応じて、絞り232,234の開口径は調整される。具体的には、ノイズ成分光10を除いた主となるレーザ光50のビーム範囲のサイズに設定されると好適である。
図7に示すように、主となるレーザ光50のビーム形状が楕円形である場合、レーザ光50の短径以下に絞り232,234の開口径が調整されると好適である。これにより、レーザ光50の重心位置が開口部50の中心に位置する場合に、レーザ光50とノイズ成分光10との両方が絞り232,234を通過することを排除できる。
【0054】
図10は、実施の形態1におけるレーザ光の光強度分布と絞りとの位置関係の一例を示す図である。
図11は、実施の形態1におけるレーザ光の光強度分布と絞りとの位置関係の他の一例を示す図である。
図12は、実施の形態1におけるレーザ光の光強度分布と絞りとの位置関係の他の一例を示す図である。
図10の例では、ノイズ成分光10の強度のピーク付近の位置が位置計測センサ212のセンサ中心(絞り232の開口部の中心)に位置する場合を示している。よって、位置計測センサ212には、主にノイズ成分光10の光量と主たるレーザ光20の一部の光量が位置計測センサ212によって受光される。
図11の例では、主たるレーザ光20の強度が減衰し、ほぼゼロになる位置が位置計測センサ212のセンサ中心(絞り232の開口部の中心)に位置する場合を示している。よって、位置計測センサ212には、主たるレーザ光20の一部の光量が位置計測センサ212によって受光される。
これに対して、
図12の例では、主たるレーザ光20の強度のピーク位置が位置計測センサ212のセンサ中心(絞り232の開口部の中心)に位置する場合を示している。位置計測センサ212には、ノイズ成分光10を除いた主たるレーザ光20の大部分の光量が位置計測センサ212によって受光される。ノイズ成分光10の光量は、主たるレーザ光20の光量に比べて少ない。よって、
図10の例および
図11の例で示す位置ではなく、
図12の例に示すように、主たるレーザ光20の強度のピーク位置が位置計測センサ212のセンサ中心(絞り232の開口部の中心)に位置する場合に最大光量が得られる。
【0055】
よって、ミラー202のx軸の角度をx軸の角度を可変にした場合に最大光量が得られる角度に設定する。また、ミラー202のy軸の角度をy軸の角度を可変にした場合に最大光量が得られる角度に設定する。これにより、ノイズ成分光10を除いた主たるレーザ光20の重心位置を位置計測センサ212のセンサ中心に合わせることができる。
【0056】
そこで、絞り232が光路上に配置された状態で、ミラー202の反射面の角度を可変に変えながら、光源103から発生するレーザ光をミラー202で反射し、ミラー202で反射されたレーザ光をハーフミラー230で分割し、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を絞り232を介して位置計測センサ212で受光する。
そして、ミラー202の反射面の角度を可変に変えた位置毎に、絞り232が光路上に配置された状態で位置計測センサ212で受光された光量を計測する。具体的には、以下のように動作する。
【0057】
まず、ミラー1のx軸仮設定工程(S110)として、ミラー1制御回路121による制御の下、駆動機構222は、ミラー202のx軸の角度(位置)を仮設定する。例えば、重心合わせ工程(S102)で設定されたx軸の角度を中心に前後に複数の角度を設定する。そして、そのうちの1つの角度に仮設定する。例えば、設定された複数の角度のうち、最小の角度に仮設定する。そして、順に大きい角度に仮設定し直すと良い。ミラー202のy軸の角度、及びミラー204のx軸及びy軸の角度は、例えば、重心合わせ工程(S102)で設定された角度をそのまま用いれば良い。
【0058】
そして、センサ1の総光量計測工程(S112)として、絞り232が光路上に配置された状態で、位置計測センサ212は、x軸の角度が仮設定されたミラー202で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を絞り232を介して受光する。具体的には、レーザ光源103から発生したレーザ光は、ミラー202で反射され、続いてミラー204で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方のうちハーフミラー231で分岐されたレーザ光の一部の光線が絞り232を介して位置計測センサ212で受光される。
そして、総光量演算回路142は、位置計測センサ212にて受光されるレーザ光の総光量を算出する。位置計測センサ212が4分割センサの場合、総光量は、以下の式(5)で算出できる。これにより、位置計測センサ212(センサ1)の総光量I1が計測できる。
(5) I1=La+Lb+Lc+Ld
【0059】
そして、判定工程(S114)として、判定回路144は、x軸の角度を可変にした場合に現在仮設定されたx軸の角度において算出された位置計測センサ212(センサ1)の総光量I1が他のx軸の角度に仮設定される場合と比較して、最大光量かどうかを判定する。例えば、続けて複数回総光量が増えた後に減った場合には前回の仮設定されたx軸の角度において最大光量であったと判定すればよい。例えば続けて2回以上光量が増えた後に減った場合には前回の仮設定されたx軸の角度において最大光量であったと判定すればよい。よって、1回目の判定では最大光量ではないと判定すればよい。位置計測センサ212(センサ1)の総光量I1が、最大光量ではない場合、ミラー1のx軸仮設定工程(S110)に戻り、位置計測センサ212(センサ1)の総光量I1が、最大光量になるまで、ミラー1のx軸仮設定工程(S110)から判定工程(S114)を繰り返す。或いは、設定された複数の角度について順にすべて仮設定して、それぞれにおける総光量I1を算出し、その中から最大光量となる角度を判定しても良い。
【0060】
ミラー1のx軸設定工程(S116)として、ミラー1制御回路121は、絞り232が光路上に配置された場合に位置計測センサ212にて最大光量が受光されるx軸の角度(位置)にミラー202の反射面のx軸の角度(位置)を設定する。そして、ミラー1制御回路121による制御のもと駆動機構222は、絞り232が光路上に配置された場合に位置計測センサ212にて最大光量が受光されるx軸の角度(位置)にミラー202の反射面のx軸の角度(位置)を調整する。
【0061】
次に、ミラー202のy軸の角度について、x軸の角度と同様に設定する。以下、具体的に説明する。
【0062】
ミラー1のy軸仮設定工程(S120)として、ミラー1制御回路121による制御の下、駆動機構222は、ミラー202のy軸の角度(位置)を仮設定する。例えば、重心合わせ工程(S102)で設定されたy軸の角度を中心に前後に複数の角度を設定する。そして、そのうちの1つの角度に仮設定する。例えば、設定された複数の角度のうち、最小の角度に仮設定する。そして、順に大きい角度に仮設定し直すと良い。ミラー204のx軸及びy軸の角度は、例えば、重心合わせ工程(S102)で設定された角度をそのまま用いれば良い。ミラー202のx軸の角度は既に設定されている。
【0063】
センサ1の総光量計測工程(S122)として、絞り232が光路上に配置された状態で、位置計測センサ212は、y軸の角度が仮設定されたミラー202で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を絞り232を介して受光する。具体的には、レーザ光源103から発生したレーザ光は、ミラー202で反射され、続いてミラー204で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方のうちハーフミラー231で分岐されたレーザ光の一部の光線が絞り232を介して位置計測センサ212で受光される。
そして、総光量演算回路142は、位置計測センサ212にて受光されるレーザ光の総光量を算出する。位置計測センサ212が4分割センサの場合、総光量は、式(5)で算出できる。
【0064】
判定工程(S124)として、判定回路144は、y軸の角度を可変にした場合に現在仮設定されたy軸の角度において算出された位置計測センサ212(センサ1)の総光量I1が他のy軸の角度に仮設定される場合と比較して、最大光量かどうかを判定する。位置計測センサ212(センサ1)の総光量I1が、最大光量ではない場合、ミラー1のy軸仮設定工程(S120)に戻り、位置計測センサ212(センサ1)の総光量I1が、最大光量になるまで、ミラー1のy軸仮設定工程(S120)から判定工程(S124)を繰り返す。或いは、設定された複数の角度について順にすべて仮設定して、それぞれにおける総光量I1を算出し、その中から最大光量となる角度を判定しても良い。
【0065】
ミラー1のy軸設定工程(S126)として、ミラー1制御回路121は、絞り232が光路上に配置された場合に位置計測センサ212にて最大光量が受光されるy軸の角度(位置)にミラー202の反射面のy軸の角度(位置)を設定する。そして、ミラー1制御回路121による制御のもと駆動機構222は、絞り232が光路上に配置された場合に位置計測センサ212にて最大光量が受光されるy軸の角度(位置)にミラー202の反射面のy軸の角度(位置)を調整する。
【0066】
次に、ミラー202の角度設定と同様、ミラー204のx軸の角度をx軸の角度を可変にした場合に最大光量が得られる角度に設定する。また、ミラー204のy軸の角度をy軸の角度を可変にした場合に最大光量が得られる角度に設定する。これにより、ノイズ成分光10を除いた主たるレーザ光20の重心位置を位置計測センサ214のセンサ中心に合わせることができる。
【0067】
そこで、絞り234が光路上に配置された状態で、ミラー204の反射面の角度を可変に変えながら、光源103から発生するレーザ光をミラー202で反射し、ミラー204で反射されたレーザ光をハーフミラー230で分割し、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方の残部を絞り234を介して位置計測センサ214で受光する。
そして、ミラー204の反射面の角度を可変に変えた位置毎に、絞り234が光路上に配置された状態で位置計測センサ214で受光された光量を計測する。具体的には、以下のように動作する。
【0068】
ミラー2のx軸仮設定工程(S130)として、ミラー2制御回路122による制御の下、駆動機構224は、ミラー204のx軸の角度(位置)を仮設定する。例えば、重心合わせ工程(S102)で設定されたx軸の角度を中心に前後に複数の角度を設定する。そして、そのうちの1つの角度に仮設定する。例えば、設定された複数の角度のうち、最小の角度に仮設定する。そして、順に大きい角度に仮設定し直すと良い。ミラー204のy軸の角度は、例えば、重心合わせ工程(S102)で設定された角度をそのまま用いれば良い。ミラー202のx軸とy軸の角度は既に設定されている。
【0069】
センサ2の総光量計測工程(S132)として、絞り234が光路上に配置された状態で、位置計測センサ214は、x軸の角度が仮設定されたミラー204で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を絞り234を介して受光する。具体的には、レーザ光源103から発生したレーザ光は、ミラー202で反射され、続いてミラー204で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方のうちハーフミラー231を通過し、ミラー233で反射されたレーザ光の残部の光線が絞り234を介して位置計測センサ214で受光される。
そして、総光量演算回路143は、位置計測センサ214にて受光されるレーザ光の総光量を算出する。位置計測センサ214が4分割センサの場合、総光量は、式(5)のI1をI2と読み替えた上で算出できる。
【0070】
判定工程(S134)として、判定回路144は、x軸の角度を可変にした場合に現在仮設定されたx軸の角度において算出された位置計測センサ214(センサ2)の総光量I2が他のx軸の角度に仮設定される場合と比較して、最大光量かどうかを判定する。位置計測センサ214(センサ2)の総光量I2が、最大光量ではない場合、ミラー2のx軸仮設定工程(S130)に戻り、位置計測センサ214(センサ2)の総光量I2が、最大光量になるまで、ミラー2のx軸仮設定工程(S130)から判定工程(S134)を繰り返す。或いは、設定された複数の角度について順にすべて仮設定して、それぞれにおける総光量I2を算出し、その中から最大光量となる角度を判定しても良い。
【0071】
ミラー2のx軸設定工程(S136)として、ミラー2制御回路122は、絞り234が光路上に配置された場合に位置計測センサ214にて最大光量が受光されるx軸の角度(位置)にミラー204の反射面のx軸の角度(位置)を設定する。そして、ミラー2制御回路122による制御のもと駆動機構224は、絞り234が光路上に配置された場合に位置計測センサ214にて最大光量が受光されるx軸の角度(位置)にミラー204の反射面のx軸の角度(位置)を調整する。
【0072】
次に、ミラー204のy軸の角度について、x軸の角度と同様に設定する。以下、具体的に説明する。
【0073】
ミラー2のy軸仮設定工程(S140)として、ミラー2制御回路122による制御の下、駆動機構224は、ミラー204のy軸の角度(位置)を仮設定する。例えば、重心合わせ工程(S102)で設定されたy軸の角度を中心に前後に複数の角度を設定する。そして、そのうちの1つの角度に仮設定する。例えば、設定された複数の角度のうち、最小の角度に仮設定する。そして、順に大きい角度に仮設定し直すと良い。ミラー202のx軸とy軸の角度、及びミラー204のx軸の角度は既に設定されている。
【0074】
センサ2の総光量計測工程(S142)として、絞り234が光路上に配置された状態で、位置計測センサ214は、y軸の角度が仮設定されたミラー204で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方の少なくとも一部を絞り234を介して受光する。具体的には、レーザ光源103から発生したレーザ光は、ミラー202で反射され、続いてミラー204で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方のうちハーフミラー231を通過し、ミラー233で反射されたレーザ光の残部の光線が絞り234を介して位置計測センサ214で受光される。
そして、総光量演算回路143は、位置計測センサ214にて受光されるレーザ光の総光量を算出する。位置計測センサ214が4分割センサの場合、総光量は、式(5)のI1をI2と読み替えた上で算出できる。
【0075】
判定工程(S144)として、判定回路144は、y軸の角度を可変にした場合に現在仮設定されたy軸の角度において算出された位置計測センサ214(センサ2)の総光量I2が他のy軸の角度に仮設定される場合と比較して、最大光量かどうかを判定する。位置計測センサ214(センサ2)の総光量I2が、最大光量ではない場合、ミラー2のy軸仮設定工程(S140)に戻り、位置計測センサ214(センサ2)の総光量I2が、最大光量になるまで、ミラー2のy軸仮設定工程(S140)から判定工程(S144)を繰り返す。或いは、設定された複数の角度について順にすべて仮設定して、それぞれにおける総光量I2を算出し、その中から最大光量となる角度を判定しても良い。
【0076】
ミラー2のy軸設定工程(S146)として、ミラー2制御回路122は、絞り234が光路上に配置された場合に位置計測センサ214にて最大光量が受光されるy軸の角度(位置)にミラー204の反射面のy軸の角度(位置)を設定する。そして、ミラー2制御回路122による制御のもと駆動機構224は、絞り234が光路上に配置された場合に位置計測センサ214にて最大光量が受光されるy軸の角度(位置)にミラー204の反射面のy軸の角度(位置)を調整する。
【0077】
以上により、ノイズ成分光10を除いたレーザ光20の重心位置が位置計測センサ212,214のセンサ中心にくるミラー202,204の角度の設定ができる。
【0078】
絞り1,2光路から搬出工程(S150)として、絞り232を光路外に搬出する。同様に、絞り234を光路外に搬出する。具体的には、以下のように動作する。絞り1駆動制御回路128は、駆動機構242を制御して、駆動機構242により絞り232を光路外に移動させる。同様に、絞り2駆動制御回路129は、駆動機構244を制御して、駆動機構244により絞り234を光路外に移動させる。
【0079】
重心位置計測工程(S152)として、重心演算回路132(第1の重心位置演算回路)は、絞り232が光路上に配置された場合に位置計測センサ212にて最大光量が受光される位置にミラー202の反射面の角度が調整された状態、かつ絞り232が光路外に配置された状態で、位置計測センサ212により受光されるレーザ光の一方の少なくとも一部の重心位置(G1dx、G1dy)(第1の重心位置)を演算する。
同様に、重心演算回路134(第2の重心位置演算回路)は、絞り234が光路上に配置された場合に位置計測センサ214にて最大光量が受光される位置にミラー204の反射面の角度が調整された状態、かつ絞り234が光路外に配置された状態で、位置計測センサ214により受光されるレーザ光の一方の他の一部(残部)の重心位置(G2dx、G2dy)(第2の重心位置)を演算する。具体的には、以下のように動作する。
【0080】
ミラー202,204の反射面の角度が調整された状態で、レーザ光源103から発生したレーザ光は、ミラー202で反射され、続いてミラー204で反射され、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一方のうちハーフミラー231で分岐されたレーザ光の一部の光線が位置計測センサ212で受光される。そして、ハーフミラー231を通過し、ミラー233で反射されたレーザ光の残部の光線が位置計測センサ214で受光される。
【0081】
そして、位置計測センサ212で受光されたレーザ光のx方向の重心G1dxとy方向の重心G1dyを演算する。レーザ光のx方向の重心G1dxは、位置計測センサ212の第1と第4象限面(C,D)で受光した各光量の和(Lc+Ld)から第2と第3象限面(A,B)で受光した各光量の和(La+Lb)を引いた値を第1から第4象限面(A,B,C,D)で受光した各光量の総光量(La+Lb+Lc+Ld)で除した値で定義され、以下の式(6)で表現できる。レーザ光のy方向の重心G1dyは、位置計測センサ212の第3と第4象限面(B,D)で受光した各光量の和(Lb+Ld)から第1と第2象限面(C,A)で受光した各光量の和(La+Lc)を引いた値を第1から第4象限面(A,B,C,D)で受光した各光量の総光量(La+Lb+Lc+Ld)で除した値で定義され、以下の式(7)で表現できる。
(6) G1dx={(Lc+Ld)-(La+Lb)}/(La+Lb+Lc+Ld)
(7) G1dy={(Lb+Ld)-(La+Lc)}/(La+Lb+Lc+Ld)
【0082】
同様に、位置計測センサ214で受光されたレーザ光のx方向の重心G2dxとy方向の重心G2dyを演算する。レーザ光のx方向の重心G2dxは、位置計測センサ214の第1と第4象限面(C,D)で受光した各光量の和(Lc+Ld)から第2と第3象限面(A,B)で受光した各光量の和(La+Lb)を引いた値を第1から第4象限面(A,B,C,D)で受光した各光量の総光量(La+Lb+Lc+Ld)で除した値で定義され、以下の式(8)で表現できる。レーザ光のy方向の重心G2dyは、位置計測センサ214の第3と第4象限面(B,D)で受光した各光量の和(Lb+Ld)から第1と第2象限面(C,A)で受光した各光量の和(La+Lc)を引いた値を第1から第4象限面(A,B,C,D)で受光した各光量の総光量(La+Lb+Lc+Ld)で除した値で定義され、以下の式(9)で表現できる。
(8) G2dx={(Lc+Ld)-(La+Lb)}/(La+Lb+Lc+Ld)
(9) G2dy={(Lb+Ld)-(La+Lc)}/(La+Lb+Lc+Ld)
【0083】
重心目標値設定工程(S154)として、重心目標設定回路135は、算出された重心位置(G1dx、G1dy)をミラー202の角度調整用の目標値に設定する。同様に、算出された重心位置(G2dx、G2dy)をミラー204の角度調整用の目標値に設定する。
【0084】
図13は、実施の形態1におけるレーザ光の受光位置と重心目標との一例を示す図である。設定されたミラー202,204の角度によって、ノイズ成分光10を除いた主たるレーザ光20の重心位置が位置計測センサ212,214のセンサ中心に位置する。しかしながら、絞り232,234を光路外に移動させた状態では、主たるレーザ光20とノイズ成分光10の合成光が位置計測センサ212,214によって受光される。そのため、主たるレーザ光20とノイズ成分光10の合成光の重心位置は、位置計測センサ212,214のセンサ中心から外れた位置となる。実施の形態1では、ノイズ成分光10を除いた主たるレーザ光20の重心位置が位置計測センサ212,214のセンサ中心に位置するようにミラー202,204の角度を調整した状態で、主たるレーザ光20とノイズ成分光10の合成光の重心位置(G1dx、G1dy)を求め、合成光の重心位置(G1dx、G1dy)を以降のミラー202の調整用の目標値に設定する。同様に、ノイズ成分光10を除いた主たるレーザ光20の重心位置が位置計測センサ212,214のセンサ中心に位置するようにミラー202,204の角度を調整した状態で、主たるレーザ光20とノイズ成分光10の合成光の重心位置(G2dx、G2dy)を求め、合成光の重心位置(G2dx、G2dy)を以降のミラー204の調整用の目標値に設定する。
【0085】
重心目標値が設定された以降は、光軸制御工程(S156)として、光軸調整回路136の制御のもと、ミラー制御回路121(第1のミラー制御部)は、絞り232が光路外に配置された状態で、位置計測センサ212により受光されるレーザ光の一方の少なくとも一部の重心位置が重心位置(G1dx、G1dy)になるように、ミラー202の反射面の角度を制御する。
同様に、光軸調整回路136の制御のもと、ミラー制御回路122(第2のミラー制御部)は、絞り234が光路外に配置された状態で、位置計測センサ214により受光されるレーザ光の一方の他の一部の重心位置が重心位置(G2dx、G2dy)になるように、ミラー204の反射面の角度を制御する。
【0086】
具体的には、重心演算回路132は、所定のサンプリング間隔で位置計測センサ212により受光されるレーザ光の重心位置を算出する。同様に、重心演算回路134は、所定のサンプリング間隔で位置計測センサ214により受光されるレーザ光の重心位置を算出する。そして、光軸調整回路136は、例えば、ミラー制御回路121を制御して、駆動機構224にミラー204の反射面の角度を移動させる。或いは、例えば、ミラー制御回路122を制御して、駆動機構222にミラー202の反射面の角度を移動させる。或いは、例えば、ミラー制御回路121,122を制御して、駆動機構222,224にミラー202,204の反射面の角度を移動させる。
【0087】
位置計測センサ212,214が絞り232,234を介したまま受光する場合、例えば、検査中に光軸がずれた際に、何も検出できない状態が起こり得る。これでは光軸のリカバーができなくなってしまう。そこで、実施の形態1では、実際に光軸調整を行う際には、絞り232,234を光路外に外す。これにより、ビーム位置の計測に必要な信号量を確保できる。例えば、検査中に光軸がずれた際に、位置計測センサ212,214で何らかの光が受光できれば位置をリカバーできる。
【0088】
パターン検査工程(S160)として、光学画像取得機構150は、光軸制御機構172によって、光軸が調整されたレーザ光を用いて、被検査試料のパターンの光学画像を取得する。そして、比較回路108は、参照画像を入力し、光学画像と参照画像とを比較する。以下、具体的に説明する。
【0089】
検査開始前に、まず、オートローダ制御回路113により制御されたオートローダ130により、パターン形成された被検査試料となるフォトマスク101は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能に設けられたXYθテーブル102上にロードされ、そして、XYθテーブル102上に載置される。また、フォトマスク101のパターン形成時に用いた設計パターンの情報(設計パターンデータ)は、装置外部からパターン検査装置100に入力され、記憶装置(記憶部)の一例である磁気ディスク装置109に記憶される。
【0090】
XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X-Y-θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、Xモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。そして、XYθテーブル102の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。また、XYθテーブル102上のフォトマスク101はオートローダ制御回路113により駆動されるオートローダ130から自動的に搬送され、検査終了後に自動的に排出されるものとなっている。また、拡大光学系104は、例えば圧電変換素子等によって駆動され、フォトダイオードアレイ105へと像の焦点が合わされる。
【0091】
図14は、実施の形態1における光学画像の取得手順を説明するための図である。被検査領域は、
図14に示すように、例えばY方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプに仮想的に分割される。そして、更にその分割された各検査ストライプが連続的に走査されるようにXYθテーブル102の動作が制御され、X方向に移動しながら光学画像が取得される。フォトダイオードアレイ105では、
図14に示されるようなスキャン幅Wの画像を連続的に入力する。そして、第1の検査ストライプにおける画像を取得した後、第2の検査ストライプにおける画像を今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの画像を連続的に入力する。そして、第3の検査ストライプにおける画像を取得する場合には、第2の検査ストライプにおける画像を取得する方向とは逆方向、すなわち、第1の検査ストライプにおける画像を取得した方向に移動しながら画像を取得する。このように、連続的に画像を取得していくことで、無駄な処理時間を短縮することができる。ここでは、フォワード(FWD)-バックワード(BWD)手法を用いているが、これに限るものではなくフォワード(FWD)-フォワード(FWD)手法を用いても構わない。
【0092】
フォトマスク101に形成されたパターンには、XYθテーブル102の上方に配置されている上述した光源103によって光が照射される。光源103から照射されるレーザ光20のうち、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の他方を、パターンが形成されたフォトマスク101(被検査試料)に照明する。具体的には、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の他方を、照明光学系170を介してフォトマスク101を照射する。照明によってフォトマスク101を透過した光は、拡大光学系104を介してフォトダイオードアレイ105に光学像として結像し、入射する。フォトダイオードアレイ105上に結像されたパターンの像は、フォトダイオードアレイ105によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログデジタル)変換される。フォトダイオードアレイ105には、例えばTDI(タイムディレイインテグレータ)センサのようなセンサが設置されている。以上のようにして、光学画像取得機構150は、被検査試料の検査ストライプ毎の光学画像データ(ストライプデータ)を取得する。
【0093】
センサ回路106出力された各検査ストライプの測定データ(光学画像データ)は、検査ストライプ毎に、順に、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるフォトマスク101の位置を示すデータとともに比較回路108に出力される。測定データは、画素毎に例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調を例えば0~255で表現している。これらの光源103、照明光学系170、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、及びセンサ回路106によって高倍率の検査光学系が構成されている。
【0094】
展開回路111(参照画像作成部の一例)は、所定の領域毎に、磁気ディスク装置109から制御計算機110を通して設計パターンデータを読み出し、読み出されたフォトマスク101の設計パターンデータを2値ないしは多値のイメージデータである設計画像データ(参照画像データ)に変換(展開処理)する。所定の領域は、比較対象となる光学画像に対応する画像の領域(エリア)とすればよい。
【0095】
設計パターンデータに定義されるパターンを構成する図形は長方形や三角形を基本図形としたもので、設計パターンデータには、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
【0096】
かかる図形データが展開回路111に入力されると、図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の画像データを展開する。そして、展開された画像データ(展開画像データ)は、回路内の図示しないパターンメモリ、或いは磁気ディスク装置109内に格納される。言い換えれば、設計パターンデータを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目ごとに設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを図示しないパターンメモリ、或いは磁気ディスク装置109に出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/28(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、展開された画像データは、各画素に対して8ビットの占有率データで定義されたエリア単位の画像データとしてパターンメモリ、或いは磁気ディスク装置109に格納される。
【0097】
そして、参照回路112(参照画像作成部の他の一例)は、展開された画像データに対してデータ処理(画像処理)を行い、適切なフィルタ処理を施す。光学画像データ(測定データ)は、拡大光学系104の解像特性やフォトダイオードアレイ105のアパーチャ効果等によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にある。そのため、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである展開画像データにも所定のモデルに沿ったフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。例えば、拡大或いは縮小処理をおこなうリサイズ処理、コーナー丸め処理、或いはぼかし処理といったフィルタ処理を施す。このようにして光学画像と比較する参照画像を作成する。所定の領域は、比較対象となる光学画像に対応する画像の領域(エリア)とすればよい。作成された参照画像データは比較回路108に出力される。
【0098】
そして、比較回路108(比較部)内では、ストライプ毎の光学画像データを読み出し、光学画像データを参照データと同じサイズの領域の画像となるように光学画像データを切り出す。そして、比較回路108は、所定の判定条件で、対応する光学画像データと参照データとを位置合わせをおこなってから画素毎に比較する。かかる検査手法は、ダイーツーデータベース検査である。そして、比較結果が出力される。比較結果は、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、或いはプリンタ119より出力されればよい。
【0099】
或いは、同一の設計パターンで描画された複数のパターン領域(被検査領域)が形成されているフォトマスク101を用いて、ダイーツーダイ検査を行なっても良い。かかる場合、例えば2つのパターン領域を合わせた全体が複数の検査ストライプに仮想分割される。そして、光学画像取得機構150によって、検査ストライプ毎に光学画像データ(測定データ)が取得される。そのため、1つの検査ストライプの測定データには、2つのパターン領域の両方の画像が含まれている。そして、2つの領域の一方の画像を検査対象画像とし、他方を参照画像として、ダイーツーダイ検査を行なっても良い。
【0100】
なお、光軸制御工程(S156)は、パターン検査工程を開始した後も、パターン検査工程と並行してリアルタイムで実施する。
【0101】
以上のように実施の形態1によれば、ノイズ成分光が存在する場合であっても、使用したい本来のレーザ光の光軸調整をより高精度に行うことができる。よって、かかる光軸が調整されたレーザ光を照明光として用いてパターン検査を行うことで高精度な検査ができる。
【0102】
実施の形態2.
実施の形態1では、複数のミラー202,204でレーザ光の光軸を調整する構成について説明したが、これに限るものではない。1つのミラーでレーザ光の光軸を調整しても良い。光源103から発生するレーザ光の光軸のずれ量が小さい場合、1枚のミラーで光軸調整でき得る。
【0103】
また、実施の形態2における検査装置100のうち、光軸制御機構172以外の構成は、
図2と同様である。また、以下、特に説明しない内容は、実施の形態1と同様である。
【0104】
図15は、実施の形態2における光軸調整機構の構成の一部を示す図である。
図15において、光軸制御機構172は、ミラー202、ハーフミラー230、絞り232、及び位置計測センサ212を備えている。なお、ミラー202の反射面の角度を移動させる駆動回路222,絞り232を光路上と光路外との間で移動させる駆動機構242、および光軸制御機構172を制御する各回路の図示は省略している。光軸制御機構172を制御する各回路として、
図1で示した、ミラー制御回路121、測定回路124、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置140、絞り1駆動制御回路128、絞り1径制御回路130、重心演算回路132、重心目標設定回路135、光軸調整回路136、総光量演算回路142、及び判定回路144を有する。
【0105】
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、データ伝送路となるバス120を介して、位置回路107、比較回路108、展開回路111、参照回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、プリンタ119、ミラー制御回路121、測定回路124、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置140、絞り1駆動制御回路128、絞り1径制御回路130、重心演算回路132、重心目標設定回路135、光軸調整回路136、総光量演算回路142、及び判定回路144に接続されている。
【0106】
また、実施の形態2における位置計測センサ212の入射面は、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の他方をパターンが形成された被検査試料101に照明する照明光学系170への入射面と共役な関係となる位置に配置される。位置計測センサ212は、レーザ光の一方の一部を受光し、受光されたレーザ光の一方の一部の位置を計測する。具体的には、レーザ光源103から発生したレーザ光は、ミラー202で反射される。反射されたレーザ光は、ハーフミラー230で分割され、分割された一部の光線が位置計測センサ212で受光される。分割された残りが照明光学系170へと入射される。
【0107】
また、位置計測センサ212として、上述したように、例えば、受光する光を第1から第4象限の4つの面で独立に受光する4分割面以上の複数の面を有する分割センサと、2次元PSD(位置検出素子)と、のうち一方が用いられる。分割センサとして、例えば、4分割センサを用いると好適である。
【0108】
また、ミラー202(第1のミラー)は、反射面の角度を変更可能に構成され、レーザ光源103から発生するレーザ光を反射して、レーザ光の光軸を調整する。具体的には、ミラー202の反射面は、サーボモータ等を用いた駆動機構222によって例えば2軸方向に移動させられるように構成される。実施の形態2では、ミラー202の反射面の角度を制御することで、照明光学系170に入射するレーザ光の光軸がずれないように調整する。
【0109】
また、絞り232(第1の絞り)は、駆動回路242(第1の駆動機構)によって光路上と光路外との間で移動させられる。絞り232は、光路上に配置される場合に、位置計測センサ212の手前であって位置計測センサ212との間に構造物を挟まない位置に配置され、レーザ光の一方の他の一部を受光する。具体的には、ハーフミラー230で分割されたレーザ光の一部の光線が絞り232で受光される。
【0110】
また、実施の形態2における検査方法の要部工程は、
図5及び
図6のうち、ミラー2のx軸仮設定工程(S130)と、センサ2の総光量計測工程(S132)と、判定工程(S134)と、ミラー2のx軸設定工程(S136)と、ミラー2のy軸仮設定工程(S140)と、センサ2の総光量計測工程(S142)と、判定工程(S144)と、ミラー2のy軸設定工程(S146)と、を除いたそれ以外の各工程を実施する。
【0111】
重心合わせ工程(S102)の内容は実施の形態1と同様である。但し、光軸調整用のミラー202が1つなので、ミラー202の重心合わせを実施する。
【0112】
絞り1,2光路搬入工程(S104)の内容は実施の形態1と同様である。但し、絞り232が1つなので、絞り232の光路上への搬入を実施する。
【0113】
絞り径設定工程(S104)の内容は実施の形態1と同様である。但し、絞り232が1つなので、絞り232の開口径の設定を実施する。
【0114】
絞り1,2光路から搬出工程(S150)の内容は実施の形態1と同様である。但し、絞り232が1つなので、絞り232の光路外への搬出を実施する。
【0115】
重心位置計測工程(S152)の内容は実施の形態1と同様である。但し、位置計測センサ212が1つなので、位置計測センサ212で受光されるレーザ光の重心位置を計測する。よって、重心演算回路132(第1の重心位置演算回路)は、絞り232が光路上に配置された場合に位置計測センサ212にて最大光量が受光される位置にミラー202の反射面の角度が調整された状態、かつ絞り232が光路外に配置された状態で、位置計測センサ212により受光されるレーザ光の一方の少なくとも一部の重心位置(G1dx、G1dy)(第1の重心位置)を演算する。
【0116】
重心目標値設定工程(S154)の内容は実施の形態1と同様である。但し、ミラー202と位置計測センサ212が1つずつなので、重心目標設定回路135は、算出された重心位置(G1dx、G1dy)をミラー202の角度調整用の目標値に設定する。
【0117】
光軸制御工程(S156)の内容は実施の形態1と同様である。但し、ミラー202と位置計測センサ212が1つずつなので、光軸調整回路136の制御のもと、ミラー制御回路121(第1のミラー制御部)は、絞り232が光路外に配置された状態で、位置計測センサ212により受光されるレーザ光の一方の少なくとも一部の重心位置が重心位置(G1dx、G1dy)になるように、ミラー202の反射面の角度を制御する。
【0118】
以上のように、実施の形態2によれば、1つのミラー202でレーザ光の光軸調整する場合でも、ノイズ成分光10を除いた主たるレーザ光20の重心位置を位置計測センサ212のセンサ中心に合わせることができる。よって、ノイズ成分光が存在する場合であっても、使用したい本来のレーザ光の光軸調整をより高精度に行うことができる。
【0119】
以上の説明において、「~回路」と記載したものは、処理回路を有する。かかる処理回路は、例えば、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置を含む。各「~回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いても良いし、或いは異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。また、プログラムを用いる場合、プログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録される。
【0120】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、実施の形態では、透過光を用いて透過型の光学系を用いているが、反射光あるいは、透過光と反射光を同時に用いる構成としてよい。
【0121】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
【0122】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての光軸制御機構、パターン検査装置、及び光軸調整方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0123】
10 ノイズ成分光
20 レーザ光
30,32,34,36,40,42,44,46 受光素子
100 パターン検査装置
101 フォトマスク
102 XYθテーブル
103 光源
104 拡大光学系
105 フォトダイオードアレイ
106 センサ回路
107 位置回路
108 比較回路
109,140 磁気ディスク装置
110 制御計算機
112 参照回路
113 オートローダ制御回路
114 テーブル制御回路
115 磁気テープ装置
116 FD
117 CRT
118 パターンモニタ
119 プリンタ
120 バス
121,122 ミラー制御回路
124,126 測定回路
128 絞り1駆動制御回路
129 絞り2駆動制御回路
130 絞り1径制御回路
131 絞り2径制御回路
132,134 重心演算回路
135 重心目標設定回路
136 光軸調整回路
142,143 総光量演算回路
144 判定回路
150 光学画像取得機構
160 制御系回路
170 照明光学系
172 光軸制御機構
202,204 ミラー
212,214 位置計測センサ
222,224 駆動機構
230,231 ハーフミラー
233 ミラー
232,234 絞り
242,244 駆動機構