(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103239
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】液体吐出装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240725BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240725BHJP
B41J 3/28 20060101ALI20240725BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20240725BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20240725BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240725BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B41J2/01 303
B41J2/01 201
B41J3/28
B41J3/407
B05D1/26 Z
B05D3/00 B
B05D3/00 D
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007460
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】砂押 雅之
【テーマコード(参考)】
2C055
2C056
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C055AA00
2C055AA03
2C055AA06
2C055AA08
2C056EC79
2C056FA15
2C056FB01
2C056HA38
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075CA47
4D075CA48
4D075DC05
4D075EA05
4D075EA33
4F041AA08
4F041AB01
4F041BA23
4F042AA16
4F042AB00
4F042BA08
4F042DH09
4F042ED09
(57)【要約】
【課題】液体吐出装置に対向する立設面の近傍にも印刷をすることができる液体吐出装置および制御方法を提供する。
【解決手段】移動可能であり、移動先で印刷する液体吐出装置であって、液体を吐出する吐出ヘッドと、吐出ヘッドを保持するキャリッジと、キャリッジが第1方向に走査できるように摺動可能に保持する主走査ガイドと、主走査ガイドが第1方向と交差する第2方向に走査できるように、主走査ガイドの第1方向の両側を摺動可能に保持する一対の副走査ガイドと、一対の副走査ガイド同士の位置関係を保持する保持部材と、を備え、一対の副走査ガイドの少なくとも一方の端部側が開放された構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能であり、移動先で印刷する液体吐出装置であって、
液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドを保持するキャリッジと、
前記キャリッジが第1方向に走査できるように摺動可能に保持する主走査ガイドと、
前記主走査ガイドが前記第1方向と交差する第2方向に走査できるように、前記主走査ガイドの前記第1方向の両側を摺動可能に保持する一対の副走査ガイドと、
前記一対の副走査ガイド同士の位置関係を保持する保持部材と、
を備え、
前記一対の副走査ガイドの少なくとも一方の端部側が開放された構成とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記キャリッジの少なくとも一部は、前記主走査ガイドの前記一方の端部側に位置している請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記キャリッジは、前記一方の端部より外側に移動が可能である請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記保持部材は、前記一対の副走査ガイドの前記一方の端部とは反対側の端部近傍を接続する保持ステーである請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記一対の副走査ガイドの外側側面に接続され上方に立設された一対の板状部材それぞれの上端が互いに架け渡された構成の保持フレームである請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記主走査ガイドは、前記一対の副走査ガイドの上面に配置された請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記一対の副走査ガイドは、前記液体吐出装置の移動を可能とする車輪を備えた請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記液体吐出装置が印刷する印刷可能範囲に印刷するための印刷画像データに対して、該印刷画像データに含まれる印刷要素が前記一方の端部側に寄せるように補正する画像処理部を、さらに備え、
前記吐出ヘッドは、前記画像処理部により補正された前記印刷画像データに基づいて、前記液体を吐出して印刷する請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
移動可能であり、移動先で印刷する液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体吐出装置は、
液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドを保持するキャリッジと、前記キャリッジが第1方向に走査できるように摺動可能に保持する主走査ガイドと、前記主走査ガイドが前記第1方向と交差する第2方向に走査できるように、前記主走査ガイドの前記第1方向の両側を摺動可能に保持する一対の副走査ガイドと、前記一対の副走査ガイド同士の位置関係を保持する保持部材と、を備え、
前記一対の副走査ガイドの少なくとも一方の端部側が開放された構成とし、
前記キャリッジを、前記一方の端部より外側に移動させるステップを、有した制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路面上等に白線、文字、記号等を印刷する場合、印刷装置に搭載されたキャリッジの移動領域を超えるような大きな印刷領域となるため、印刷領域を分割し、各印刷領域に印刷装置自体を移動させて印刷し、複数の印刷画像をつなげる技術が知られている。印刷方法としては、インク吐出ヘッドに設けられたノズル列からインクを吐出するインクジェット方式があり、インク吐出ヘッドを保持したキャリッジを主走査方向および副走査方向に吐出を制御しながら走査することによって画像を形成するシリアルスキャン方式が知られている。また、装置構成として、キャリッジを摺動可能に保持する主走査ガイドと、主走査方向に対して直角な副走査方向となるよう設置された1対の副走査ガイドとを備え、主走査ガイドが副走査ガイドに摺動可能に保持された構成が知られている。
【0003】
このような主走査方向および副走査方向にキャリッジを往復移動させてインクを吐出するための構成として、副走査方向に延びる対となるガイドレール間に主走査ガイドを設け、主走査ガイドに設けられたガイドレールに印刷機構を摺動可能となるように設けた3Dプリンタの構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、副走査方向に延びるガイドレールの端部同士を固定するために、主走査方向に延びる接続ロッドを介して接続される構成となっており、インク吐出ヘッドから当該接続ロッドの下側部分の印刷媒体にはインクを吐出することができず、また、当該接続ロッドの存在によってインク吐出ヘッドの副走査方向の移動が阻害される場合もある。これによって、壁等の垂直面の近傍の路面等に印刷を行う場合に、接続ロッドが占める領域分だけ垂直面から離れた位置の路面等からにしか印刷ができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、液体吐出装置に対向する立設面の近傍にも印刷をすることができる液体吐出装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、移動可能であり、移動先で印刷する液体吐出装置であって、液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドを保持するキャリッジと、前記キャリッジが第1方向に走査できるように摺動可能に保持する主走査ガイドと、前記主走査ガイドが前記第1方向と交差する第2方向に走査できるように、前記主走査ガイドの前記第1方向の両側を摺動可能に保持する一対の副走査ガイドと、前記一対の副走査ガイド同士の位置関係を保持する保持部材と、を備え、前記一対の副走査ガイドの少なくとも一方の端部側が開放された構成とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液体吐出装置に対向する立設面の近傍にも印刷をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る液体塗布装置の全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施液体に係る液体塗布装置がキャリッジ走査範囲外へ印刷する場合の動作の概要を説明する図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る液体塗布装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る液体塗布装置の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る液体塗布装置の要部構成の一例の平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る液体塗布装置の要部構成の一例の正面図である。
【
図7】
図7は、従来の液体塗布装置の印刷可能範囲を説明する図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る液体塗布装置の印刷可能範囲を説明する図である。
【
図9】
図9は、変形例1に係る液体塗布装置の要部構成の一例の平面図である。
【
図10】
図10は、変形例1に係る液体塗布装置の要部構成の一例の正面図である。
【
図11】
図11は、変形例2に係る液体塗布装置の印刷画像を補正する動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る液体吐出装置および制御方法の実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
また、コンピュータソフトウェアとは、コンピュータの動作に関するプログラム、その他コンピュータによる処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものをいう(以下、コンピュータソフトウェアは、ソフトウェアという)。アプリケーションソフトとは、ソフトウェアの分類のうち、特定の作業を行うために使用されるソフトウェアの総称である。一方、オペレーティングシステム(OS)とは、コンピュータを制御し、アプリケーションソフト等がコンピュータ資源を利用可能にするためのソフトウェアのことである。オペレーティングシステムは、入出力の制御、メモリやハードディスク等のハードウェアの管理、プロセスの管理といった、コンピュータの基本的な管理・制御を行っている。アプリケーションソフトウェアは、オペレーティングシステムが提供する機能を利用して動作する。プログラムとは、コンピュータに対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わせたものをいう。また、プログラムに準ずるものとは、コンピュータに対する直接の指令ではないためプログラムとは呼べないが、コンピュータの処理を規定するという点でプログラムに類似する性質を有するものをいう。例えば、データ構造(データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造)がプログラムに準ずるものに該当する。
【0011】
(液体塗布装置の全体構成)
図1は、実施形態に係る液体塗布装置の全体構成の一例を示す図である。
図1を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1の全体構成について説明する。
【0012】
図1に示す液体塗布装置1は、道路等の路面等の広範囲な液体塗布領域を複数の印刷領域に分割して各印刷領域に順次移動し、液体塗布領域に印刷するための印刷データを複数の印刷画像に分割して印刷する装置である。すなわち、印刷画像とは、印刷データを分割した画像データであるものとして以下説明する。なお、液体塗布装置1は、本発明の「液体吐出装置」に相当する。
図1(a)は液体塗布装置1の側面図であり、
図1(b)は液体塗布装置1を上方から見た平面図である。なお、「印刷」は、道路、壁面、車体(の側面)または屋根等に対するインクの塗布、または、吹き付けを行うことをいうものとする。
【0013】
図1に示すように、液体塗布装置1は、印刷ユニット21と、制御ユニット22と、を備える。なお、液体塗布装置1では、印刷ユニット21と制御ユニット22とがそれぞれ別体であるシステム構成であってもよい。
【0014】
印刷ユニット21は、移動しつつ、インクを吐出して道路の路面等の液体塗布装置1の下方の面(以下、単に「路面」と称する場合がある)に印刷を行うためのユニットである。なお、「インク」は、道路等の路面に対して塗布、または、吹き付けられる液体の一例である。また、インクの吐出対象は、路面に限定されず、液体塗布装置1の下方の面としての所定の印刷メディアの面等であってもよい。印刷ユニット21は、
図1に示すように、キャリッジ2と、主走査ガイド3と、二次元カメラ8と、GNSS受信器9と、タイヤ10と、副走査ガイド11と、構造物12と、保持ステー14と、を備えている。
【0015】
キャリッジ2は、後述するインク吐出ヘッド2aを保持し、主走査ガイド3に沿って主走査方向(
図1(b)に示す矢印A)に移動し、当該主走査ガイド3が副走査方向(
図1(b)に示す矢印B)に移動することによって副走査方向に移動する部材である。キャリッジ2は、ベルト、プーリーおよびモータ等により構成されたヘッド移動機構23(後述の
図3参照)により、主走査ガイド3に沿って主走査方向に往復移動する。キャリッジ2は、
図1に示すように、主走査ガイド3の前方側(保持ステー14の反対側、一対の副走査ガイド11の開放された端部側)の側面に設置されている。
【0016】
主走査ガイド3は、キャリッジ2を主走査方向(第1方向)に移動させるために支持し、副走査方向に移動可能に副走査ガイド11に水平に支持されたレール部材である。主走査ガイド3は、ベルト、プーリーおよびモータ等により構成されたレール移動機構24(後述の
図3参照)により、主走査方向に直交する副走査方向(第2方向)に副走査ガイド11上を往復移動する。なお、主走査ガイド3は、副走査ガイド11と必ずしも直交していることを要するものではなく、少なくとも交差している構成であってもよい。
【0017】
すなわち、インク吐出ヘッド2aを搭載したキャリッジ2は、液体塗布装置1の一対の副走査ガイド11および保持ステー14で囲われる水平面上を前後方向(副走査方向)および左右方向(主走査方向)に自由に移動することができる。
【0018】
二次元カメラ8は、路面および当該路面に印刷した印刷画像の近傍を撮像する撮像装置である。したがって、二次元カメラ8の撮像方向は、下方向となっている。二次元カメラ8は、撮像した撮像画像をコントローラユニット6へ送信する。なお、二次元カメラ8は、自身に搭載しているバッテリから給電するものとしてもよく、連続運転を想定して電源供給系5から給電される方式としてもよい。
【0019】
GNSS受信器9は、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)に基づき、測位衛星から地球上の現在位置を測定するための測位信号を受信する受信装置である。GNSS受信器9は、受信した測位信号をコントローラユニット6へ送信する。
【0020】
タイヤ10は、副走査ガイド11の下部に複数取り付けられ、作業者による手押し等によって印刷ユニット21を移動させるための車輪部材である。これによって、液体塗布装置1は、前後左右の4方向に移動させることが可能である。また、インク吐出ヘッド2aのインクの吐出による印刷時に、タイヤ10はロックされることにより、印刷中の液体塗布装置1の移動を防止している。なお、タイヤ10は、副走査ガイド11の下部に限らず、例えば、副走査ガイド11の外側側面から外側に延びるシャフトにより設置されるものとしてもよい。
【0021】
副走査ガイド11は、印刷ユニット21の土台を構成する副走査方向に延びた一対のガイド部材である。副走査ガイド11は、主走査ガイド3および構造物12等を下方から支持する。また、副走査ガイド11の側面に、GNSS受信器9が取り付けられている。
【0022】
構造物12は、四角錐形状にパイプ等を組んだ構造物である。構造物12は、その頂点に二次元カメラ8を搭載している。
【0023】
保持ステー14は、副走査方向に延びる一対の副走査ガイド11の後方側の端部近傍を接続して、一対の副走査ガイド11同士の位置関係を保持する保持部材である。したがって、副走査ガイド11の前方側の端部は、保持ステー14のようなステー部材により接続されていない開放された構成となっている。すなわち、保持ステー14が1部材と副走査ガイド11の2部材とが接続された構成により、上面から見た場合(平面視の場合)にコの字状(またはUの字状)となっている。
【0024】
制御ユニット22は、
図1に示すように、インク供給系4と、電源供給系5と、コントローラユニット6と、を備えている。
【0025】
インク供給系4は、インクの流路であるパイプ4aを介してキャリッジ2のインク吐出ヘッド2aに対して、印刷に使用するインクを供給するユニットである。なお、本実施形態においては、インク供給系4は、印刷ユニット21に従動して移動するものとするが、これに限定されるものではなく、印刷ユニット21から独立して自走するものであってもよい。
【0026】
電源供給系5は、制御ユニット22、ヘッド移動機構23、レール移動機構24およびインク吐出ヘッド2a等を駆動させるための電源を供給するユニットである。
【0027】
コントローラユニット6は、液体塗布装置1の動作を制御するための制御ユニットである。コントローラユニット6は、例えば、ヘッド移動機構23、レール移動機構24およびインク吐出ヘッド2aの動作を制御したり、GNSS受信器9により受信した測位信号から液体塗布装置1の位置を推定したりする。また、コントローラユニット6は、GNSS受信器9により受信された測位信号を、液体塗布装置1の累積移動量等のオドメトリ情報として記憶する。なお、液体塗布装置1はGNSS受信器9を複数備え、コントローラユニット6は複数のGNSS受信器9により受信された測位信号から位置情報について補正してもよい。
【0028】
なお、
図1に示す液体塗布装置1は、原則として作業者による手押し等によって移動するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、液体塗布装置1は、タイヤ10の回転制御が可能なモータ等を備えた自走式の装置であってもよい。
【0029】
(液体塗布装置の全体動作の概要)
図2は、実施液体に係る液体塗布装置がキャリッジ走査範囲外へ印刷する場合の動作の概要を説明する図である。
図2を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1の全体動作の概要について説明する。
【0030】
上述したように液体塗布装置1は、前後左右の4方向に移動可能である。すなわち、インク吐出ヘッド2aを搭載したキャリッジ2は、液体塗布装置1の一対の副走査ガイド11および保持ステー14で囲われる水平面上を前後左右の4方向に自由に移動することができる。これによって、液体塗布装置1は、インク吐出ヘッド2aに対して走査範囲外の路面に対して印刷させる場合、
図2に示すように、路面における印刷する全体領域である液体塗布領域を複数の印刷領域に分割し、当該液体塗布領域に印刷する全体の印刷データを、各印刷領域に対応する複数の印刷画像に分割し、当該液体塗布領域を前後方向および左右方向に移動しながら、各印刷画像をこれらのつなぎ目を目立ちにくくなるようにつなぎ合わせながら印刷して、印刷データに基づく全体の画像の印刷を完成させる。
【0031】
ただし、各印刷領域で印刷された印刷画像のつなぎ目を目立ちにくくするためには、各印刷領域に移動させた後、液体塗布装置1の位置のずれ量(変位量・変位角)を精度よく特定し、当該ずれ量により印刷する印刷画像を補正する必要がある。そこで、本実施形態に係る液体塗布装置1では、液体塗布装置1を次に印刷する印刷領域に移動させた後における液体塗布装置1の理想的な位置からのずれ量(変位量・変位角)を特定し、当該ずれ量により当該印刷領域に対応する印刷画像を補正し、補正した印刷画像によって路面に対して印刷を行う。ここで、液体塗布装置1を次に印刷する印刷領域に移動させた後に、液体塗布装置1の理想的な位置からのずれ量(変位量・変位角)を特定するためには、例えば、GNSS受信器9により受信された測定信号に基づいて推定された位置、タイヤ10の回転方向および回転量から検出される位置、または、その他のセンサにより検出・推定される液体塗布装置1の位置等に基づいて、理想的な位置からのずれ量を特定(算出)するものとすればよい。また、液体塗布装置1は、移動前に二次元カメラ8により撮像された撮像画像および移動後の撮像画像を用いて、当該ずれ量を特定する動作を行うこともできる。
【0032】
そして、液体塗布装置1は、特定(算出)したずれ量(変位量・変位角)に基づいて、次に印刷すべき印刷画像を移動および回転させる補正を行う。そして、液体塗布装置1は、補正した印刷画像を用いて路面に印刷を行う。これによって、前回路面に印刷した印刷画像と、今回印刷した印刷画像とのつなぎ目を略一致させることができる。このように、特定したずれ量(変位量・変位角)に基づいて補正した印刷画像により印刷を行うことによって、印刷された各印刷画像のつなぎ目を目立たなくすることができる。
【0033】
(液体塗布装置のハードウェア構成)
図3は、実施形態に係る液体塗布装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1のハードウェア構成について説明する。
【0034】
図3に示すように、液体塗布装置1は、キャリッジ2と、コントローラユニット6と、三次元カメラ7と、二次元カメラ8と、GNSS受信器9と、ヘッド移動機構23と、レール移動機構24と、を備えている。
【0035】
キャリッジ2は、路面にインクを吐出するインク吐出ヘッド2aを搭載し、
図1に示した主走査ガイド3に沿って主走査方向に移動し、当該主走査ガイド3が副走査方向に移動することによって副走査方向に移動する。
【0036】
コントローラユニット6は、CPU(Central Processing Unit)61と、メモリ62と、I/F63と、ユニット制御回路64と、を有する。
【0037】
CPU61は、液体塗布装置1の動作を統括的に制御する演算装置である。CPU61は、バスを介して、メモリ62、I/F63およびユニット制御回路64とデータ通信を行う。また、CPU61は、ユニット制御回路64を介して、ヘッド移動機構23、レール移動機構24およびインク吐出ヘッド2aの駆動制御を行ったり、GNSS受信器9により受信された測位信号から液体塗布装置1の自己位置を推定したりする。
【0038】
メモリ62は、CPU61の駆動に用いられるプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。また、メモリ62は、CPU61のワークエリアとして使用される。
【0039】
I/F63は、タブレット端末、スマートフォン、PC(Personal Computer)、サーバ、ノートPC等の各種の外部機器30を接続するための通信インタフェースである。
【0040】
ユニット制御回路64は、CPU61による制御に従って、ヘッド移動機構23、レール移動機構24およびインク吐出ヘッド2aの動作を制御する制御回路である。
【0041】
三次元カメラ7は、例えば構造物12に支持され(上述の
図1では図示せず)、液体塗布装置1の周囲を撮像する周囲計測用の三次元形状計測装置である。なお、三次元カメラ7は、自身に搭載しているバッテリから給電するものとしてもよく、連続運転を想定して電源供給系5から給電される方式としてもよい。
【0042】
三次元カメラ7および二次元カメラ8は、それぞれ撮像した撮像画像を、コントローラユニット6のCPU61に送信する。
【0043】
GNSS受信器9は、GNSSに基づき、測位衛星から地球上の現在位置を測定するための測位信号を受信し、当該測位信号をコントローラユニット6のCPU61へ送信する。
【0044】
ヘッド移動機構23は、ベルト、プーリーおよびモータ等により構成され、ユニット制御回路64による制御に従って、主走査ガイド3に沿ってキャリッジ2を主走査方向に往復移動させる機構である。
【0045】
レール移動機構24は、ベルト、プーリーおよびモータ等により構成され、ユニット制御回路64による制御に従って、主走査ガイド3を主走査方向に直交する副走査方向に副走査ガイド11上を往復移動させる機構である。これによって、主走査ガイド3に支持されたキャリッジ2が、副走査方向に往復移動する。
【0046】
なお、
図3に示した液体塗布装置1のハードウェア構成は一例であり、他の構成機器を備えているものとしてもよい。
【0047】
(液体塗布装置の機能ブロックの構成および動作)
図4は、実施形態に係る液体塗布装置の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図4を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1の機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0048】
液体塗布装置1は、
図4に示すように、撮像部101と、取得部102と、方向特定部103と、記憶部104と、画像処理部110と、作像部120と、を有する。
【0049】
撮像部101は、液体塗布装置1が移動した各印刷領域を含むそれぞれの撮像領域を対象にして撮像する機能部である。これによって、撮像部101は、当該撮像領域を撮像した撮像画像を得る。撮像部101は、
図3に示した二次元カメラ8によって実現される。
【0050】
取得部102は、撮像部101により撮像された撮像画像を取得する機能部である。取得部102は、例えば、
図3に示したCPU61によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0051】
方向特定部103は、液体塗布装置1の移動方向を特定する機能部である。方向特定部103は、例えば、固定の方向(例えば
図1に示す三次元カメラ7の撮像方向である前方方向等)を特定してもよく、作業者による液体塗布装置1に対する操作に応じて移動方向を特定するものとしてもよく、タイヤ10の向きおよび回転方向を検出することによって特定するものとしてもよく、または、GNSS受信器9により受信された測位信号により推定される液体塗布装置1の位置の移動方向を特定するものとしてもよい。方向特定部103は、例えば、
図3に示したCPU61によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0052】
記憶部104は、印刷データ、当該印刷データを分割した複数の印刷画像、および画像処理部110により特定(算出)されたずれ量等の情報を記憶する機能部である。記憶部104は、
図3に示したメモリ62によって実現される。
【0053】
画像処理部110は、例えば、GNSS受信器9により受信された測定信号に基づいて推定された位置、タイヤ10の回転方向および回転量から検出される位置、その他のセンサにより検出・推定される液体塗布装置1の位置、方向特定部103により特定された移動方向、または、撮像部101により撮像された撮像画像に対する画像処理等によって、理想的な位置からのずれ量を特定(算出)し、当該ずれ量により印刷領域に対応する印刷画像を補正する機能部である。このように、画像処理部110により特定されたずれ量に基づいて補正した印刷画像により印刷を行うことによって、印刷された各印刷画像のつなぎ目を目立たなくすることができる。このようなつながり目を目立たなくすることに加え、意図(印刷の連続性、描画の整合等)する印刷ができ、より端部までも正確に印刷することができる。
【0054】
作像部120は、キャリッジ2を主走査方向および副走査方向に移動させながら、画像処理部110により補正された印刷画像に基づいてインク吐出ヘッド2aからのインクの吐出制御を行うことにより、路面に当該印刷画像の印刷を行う機能部である。作像部120は、
図3に示したユニット制御回路64によって実現される。なお、ユニット制御回路64は、
図3においてハードウェア回路として示しているが、これに限定されるものではなく、CPU61によりプログラムが実行されることによって実現されるものとしてもよい。この場合、作像部120は、
図3に示したCPU61によりプログラムが実行されることによって実現されることになる。作像部120は、
図4に示すように、キャリッジ制御部121と、吐出制御部122と、を有する。
【0055】
キャリッジ制御部121は、ヘッド移動機構23およびレール移動機構24を制御することによって、インク吐出ヘッド2aを搭載したキャリッジ2の主走査方向および副走査方向の往復移動を制御する機能部である。キャリッジ制御部121は、画像処理部110により補正された印刷画像に基づいて、キャリッジ2を移動させる。
【0056】
吐出制御部122は、インク吐出ヘッド2aのインクの吐出動作を制御する機能部である。吐出制御部122は、画像処理部110により補正された印刷画像に基づいて、インク吐出ヘッド2aからインクを吐出させる。
【0057】
なお、取得部102、方向特定部103および画像処理部110の機能部の一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路(集積回路)によって実現されてもよい。
【0058】
また、
図4に示す機能部のうち、画像処理部110における画像処理で撮像画像を使用しない場合、撮像部101(二次元カメラ8)および取得部102は、備えていなくてもよい。
【0059】
また、
図4に示す液体塗布装置1の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す液体塗布装置1で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す液体塗布装置1で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0060】
(液体塗布装置の要部構成の詳細)
図5は、実施形態に係る液体塗布装置の要部構成の一例の平面図である。
図6は、実施形態に係る液体塗布装置の要部構成の一例の正面図である。
図5および
図6を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1の要部構成について説明する。
【0061】
上述のように、キャリッジ2は、
図5に示すように、主走査ガイド3の前方側(保持ステー14の反対側)の側面に設置されている。キャリッジ2は、
図6に示すように、主走査ガイド3の主走査レール3aに摺動可能に取り付けられており、ヘッド移動機構23により主走査方向の双方向に走査(移動)が可能となっている。
【0062】
上述のように、主走査ガイド3は、主走査ガイド3の軸方向と直交する副走査方向に延びる一対の副走査ガイド11に水平に支持されている。主走査ガイド3は、
図5および
図6に示すように、それぞれの副走査ガイド11の上部に設けられた副走査レール11aに摺動可能に取り付けられおり、レール移動機構24により副走査方向の双方向に走査(移動)が可能となっている。このように主走査ガイド3は副走査レール11aを介して一対の副走査ガイド11の上面に配置している。副走査ガイド11は一般に剛性が高く主走査ガイド3の素材よりも比重の高い素材で構成されているため、上述のように主走査ガイド3よりも路面に近い位置に配置させることによって、液体塗布装置1の重心を低くすることができるため、キャリッジ2の走査による振動の影響を抑制することができる。また、キャリッジ2のインク吐出ヘッド2aは、主走査ガイド3と一対の副走査ガイド11とで囲まれた状態でインクを吐出することができるため、外気・送風の影響を抑えることができる。また、
図6に示すように、インク吐出ヘッド2aの最下端が、副走査ガイド11の底面の位置よりも上方に位置しているため、同様に外気・送風の影響を抑えることができる。
【0063】
以上のような構成によって、液体塗布装置1は、インク吐出ヘッド2aからインクを吐出させながらキャリッジ2を主走査方向に走査させた後に、副走査方向に主走査ガイド3を移動させ、再度インク吐出ヘッド2aからインクを吐出させながらキャリッジを主走査方向に走査させることを繰り返すことにより、路面に対して図柄等を印刷することができる。
【0064】
インク吐出ヘッド2aは、主走査レール3aに取り付けられたキャリッジ2の下面に取り付けられ、インクを吐出するノズル面が路面に対して露出するように取り付けられている。
図5および
図6に示すように、インク吐出ヘッド2aによるインクの吐出により印刷が行われる印刷範囲においては、インク吐出ヘッド2aと路面との間に遮蔽物が存在しない構成となっている。また、キャリッジ2は、インク吐出ヘッド2aのノズル面と路面との距離を調整できるように、インク吐出ヘッド2aの位置を上下方向に調整することが可能な機構を備えている。この場合、インク吐出ヘッド2aによるインクの吐出が行われる場合に、
図6に示すように、インク吐出ヘッド2aのノズル面が、路面にインクを吐出するのに最適な高さ位置に調整されるものとしてもよい。なお、当該機構が備えられることは、任意である。
【0065】
上述のように、保持ステー14は、
図5に示すように、副走査方向に延びる一対の副走査ガイド11の後方側の端部近傍を接続して保持する。したがって、副走査ガイド11の前方側の端部は、保持ステー14のようなステー部材により接続されていない開放された構成となっている。なお、
図5に示す例では、保持ステー14は、副走査ガイド11の後方側の端部に設置されて接続している構成を示しているが、端部に設置されることに限定されるものではなく、インク吐出ヘッド2aによる印刷可能範囲について後方側を画定するように設置され、副走査ガイド11同士を接続するものとすればよい。
【0066】
(液体塗布装置の印刷可能範囲について)
図7は、従来の液体塗布装置の印刷可能範囲を説明する図である。
図8は、実施形態に係る液体塗布装置の印刷可能範囲を説明する図である。
図7および
図8を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1の印刷可能範囲について説明する。
【0067】
図7では、従来の液体塗布装置における印刷可能範囲を示している。従来の液体塗布装置では、
図7に示すように、副走査方向に延びる一対の副走査ガイド11の後方側の端部近傍を接続する保持ステー14だけでなく、副走査ガイド11の前方側の端部近傍を接続する保持ステー14aを備えている。このような従来の構成の場合、印刷可能範囲PAR1は、一対の副走査ガイド11、保持ステー14および保持ステー14aで囲まれた範囲に限定される。したがって、
図7に示すように壁W等の垂直面近傍の路面に印刷することを要したとしても、保持ステー14aの存在により、インク吐出ヘッド2aを搭載した主走査ガイド3の副走査方向における前方側への移動が阻害され、当該垂直面近傍の路面で印刷ができない範囲が生じる。
【0068】
なお、ここで壁W等の垂直面とは、例えば、建物の外壁もしくは内壁、段差部の垂直面、または、縁石の側面等の面である。さらに、垂直面のように路面に対して垂直である面に限定されず、液体塗布装置1の移動を阻害する立体物(建物、段差部または縁石等)における、液体塗布装置1と対向する立設面、および液体塗布装置1の移動方向に位置する立設面をも含む概念である。
【0069】
一方、本実施形態に係る液体塗布装置1では、
図8に示すように、副走査ガイド11の前方側の端部は、保持ステー14のようなステー部材により接続されていない開放された構成となっているため、
図7に示した保持ステー14aがない分、主走査ガイド3の副走査方向の移動範囲を前方側に拡張して印刷可能範囲PARとすることができるため、インク吐出ヘッド2aを主走査方向に沿って壁W等の垂直面の近傍まで走査させることができる。これによって、従来技術と比較して、垂直面近傍の路面までインク吐出ヘッド2aにより印刷を行うことができる。
【0070】
さらに、液体塗布装置1では、キャリッジ2は、
図8に示すように、主走査ガイド3の前方側(保持ステー14の反対側)の側面に設置されているため、副走査ガイド11の前方側(保持ステー14とは反対側)の端部よりも前方(外側)に移動することが可能となり、より垂直面近傍の路面までインク吐出ヘッド2aにより印刷を行うことができる。また、例えば、壁W等の垂直面に凹部が存在しても、インク吐出ヘッド2aを当該凹部の内部にまで副走査方向に移動させることができるため、当該凹部の路面にも印刷を行うことが可能となる。なお、この場合、キャリッジ2は、インクを吐出する動作の場合、または液体塗布装置1が固定(停止)された場合に、副走査ガイド11の前方側(保持ステー14とは反対側)の端部よりも前方(外側)に移動することができるようにしてもよい。これによって、インクを吐出する動作をしていない場合、または、液体塗布装置1が固定されていない場合に、キャリッジ2が、外部の壁面等に衝突することを抑制することができる。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る液体塗布装置1では、移動可能であり、移動先で印刷する液体塗布装置であって、インク吐出ヘッド2aは、液体を吐出し、キャリッジ2は、インク吐出ヘッド2aを保持し、主走査ガイド3は、キャリッジ2が主走査方向に走査できるように摺動可能に保持し、一対の副走査ガイド11は、主走査ガイド3が主走査方向と交差する副走査方向に走査できるように、主走査ガイド3の主走査方向の両側を摺動可能に保持し、保持ステー14は、一対の副走査ガイド11同士の位置関係を保持し、一対の副走査ガイド11の少なくとも一方の端部側が開放された構成としている。これによって、液体塗布装置に対向する壁等の立設面の近傍にも印刷をすることができる。
【0072】
(変形例1)
変形例1に係る液体塗布装置1について、実施形態に係る液体塗布装置1と相違する点を中心に説明する。なお、本変形例に係る液体塗布装置1の
図3に示したハードウェア構成、および
図4に示した機能ブロックの構成は、上述の実施形態で説明した構成と同様である。
【0073】
図9は、変形例1に係る液体塗布装置の要部構成の一例の平面図である。
図10は、変形例1に係る液体塗布装置の要部構成の一例の正面図である。
図9および
図10を参照しながら、本変形例に係る液体塗布装置1の要部構成について説明する。
【0074】
図9および
図10に示すように、本変形例に係る液体塗布装置1では、副走査方向に垂直な断面の形状がコの字形状の部材であって、一対の副走査ガイド11の外側側面に接続された板状部材が主走査ガイド3と干渉しないように上向きに立設され、双方の当該板状部材が上端で互いに架け渡される態様で連結した保持フレーム15(保持部材の一例)が設けられている。これによって、キャリッジ2のインク吐出ヘッド2aは、保持フレーム15により囲まれた状態(上下方向も保持フレーム15と路面とで囲まれた状態となっている)でインクを吐出することができるため、外気・送風の影響を抑えることができる。当該保持フレーム15が一対の副走査ガイド11同士の位置関係を保持しているため、上述の実施形態に係る液体塗布装置1の保持ステー14は備えられていない。したがって、本変形例に係る液体塗布装置1では、上述の実施形態に係る液体塗布装置1が奏する効果と同様の効果を奏すると共に、保持ステー14が備えられていない分、副走査方向のサイズを小さくすることができる。
【0075】
なお、液体塗布装置1の剛性を高めるために、上述の構成に加え、副走査ガイド11の後方側の端部近傍を接続して保持する保持ステー14が備えられていてもよい。この場合でも、上述の実施形態に係る液体塗布装置1が奏する効果と同様の効果を奏する。
【0076】
また、
図9および
図10に示す構成の例では、保持フレーム15は副走査ガイド11の外側側面の全域に亘って接続された構成を示しているが、インク吐出ヘッド2aの主走査方向および副走査方向の往復移動に耐え得る強度および剛性を有する範囲において、当該外側側面の一部に接続されているものとしてもよい。
【0077】
(変形例2)
変形例2に係る液体塗布装置1について、実施形態に係る液体塗布装置1と相違する点を中心に説明する。なお、本変形例に係る液体塗布装置1の
図3に示したハードウェア構成、および
図4に示した機能ブロックの構成は、上述の実施形態で説明した構成と同様である。また、本変形例に係る液体塗布装置1の要部構成は、
図5および
図6に示した実施形態に係る液体塗布装置1の要部構成、または
図9および
図10に示した変形例1に係る液体塗布装置1の要部構成のいずれであってもよい。
【0078】
図11は、変形例2に係る液体塗布装置の印刷画像を補正する動作を説明する図である。
図11を参照しながら、本変形例に係る液体塗布装置1の印刷画像を補正する動作について説明する。
【0079】
図11においては、説明を簡潔にするため、液体塗布装置1の要部構成のうち、副走査ガイド11および保持ステー14以外を図示していない。
図11に示すように、一対の副走査ガイド11および保持ステー14に囲まれた液体塗布装置1の印刷可能領域に対して印刷するための印刷画像が小さい場合、または、データとしての印刷画像が当該印刷可能領域と同じサイズであったとしても、実質的に路面に印刷される図形等の印刷要素が当該印刷可能領域よりも小さい場合、当該印刷画像を使用してそのまま印刷すると、壁W等の垂直面近傍の路面に印刷要素を印刷することができない場合がある。そこで、本変形例に係る液体塗布装置1の画像処理部110は、当該印刷可能領域に印刷画像を印刷する場合、当該印刷画像について、当該印刷画像に含まれる印刷要素を垂直面、すなわち保持ステー14とは反対側(一対の副走査ガイド11の開放された端部側)に寄せる補正を行う。ここで、印刷画像に含まれる印刷要素を垂直面に寄せる補正とは、印刷可能領域に対して印刷するための印刷画像が小さい場合には、当該印刷画像自体を垂直面に寄せて印刷されるようにする処理をも含む。そして、液体塗布装置1の作像部120は、画像処理部110により補正された印刷画像に基づいて、当該印刷可能領域に対して印刷を行う。これによって、
図11に示すように、印刷要素を垂直面近傍に寄せた態様で印刷することが可能となる。
【0080】
なお、上述の実施形態および各変形例において、液体塗布装置1の機能の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態および各変形例において、液体塗布装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態および各変形例において、液体塗布装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態および各変形例において、液体塗布装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態および各変形例において、液体塗布装置1で実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上述の記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【0081】
本発明の態様は、以下の通りである。
<1>移動可能であり、移動先で印刷する液体吐出装置であって、
液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドを保持するキャリッジと、
前記キャリッジが第1方向に走査できるように摺動可能に保持する主走査ガイドと、
前記主走査ガイドが前記第1方向と交差する第2方向に走査できるように、前記主走査ガイドの前記第1方向の両側を摺動可能に保持する一対の副走査ガイドと、
前記一対の副走査ガイド同士の位置関係を保持する保持部材と、
を備え、
前記一対の副走査ガイドの少なくとも一方の端部側が開放された構成とする液体吐出装置である。
<2>前記キャリッジは、前記主走査ガイドの前記一方の端部側の側面に保持されている前記<1>に記載の液体吐出装置である。
<3>前記キャリッジは、前記一方の端部より外側に移動が可能である前記<2>に記載の液体吐出装置である。
<4>前記保持部材は、前記一対の副走査ガイドの前記一方の端部とは反対側の端部近傍を接続する保持ステーである前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の液体吐出装置である。
<5>前記保持部材は、前記一対の副走査ガイドの外側側面に接続され上方に立設された一対の板状部材それぞれの上端が互いに架け渡された構成の保持フレームである前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の液体吐出装置である。
<6>前記主走査ガイドは、前記一対の副走査ガイドの上面に配置された前記<1>~<5>のいずれか一項に記載の液体吐出装置である。
<7>前記一対の副走査ガイドは、前記液体吐出装置の移動を可能とする車輪を備えた前記<1>~<6>のいずれか一項に記載の液体吐出装置である。
<8>前記液体吐出装置が印刷する印刷可能範囲に印刷するための印刷画像データに対して、該印刷画像データに含まれる印刷要素が前記一方の端部側に寄せるように補正する画像処理部を、さらに備え、
前記吐出ヘッドは、前記画像処理部により補正された前記印刷画像データに基づいて、前記液体を吐出して印刷する前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の液体吐出装置である。
<9>移動可能であり、移動先で印刷する液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体吐出装置は、
液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドを保持するキャリッジと、前記キャリッジが第1方向に走査できるように摺動可能に保持する主走査ガイドと、前記主走査ガイドが前記第1方向と交差する第2方向に走査できるように、前記主走査ガイドの前記第1方向の両側を摺動可能に保持する一対の副走査ガイドと、前記一対の副走査ガイド同士の位置関係を保持する保持部材と、を備え、
前記一対の副走査ガイドの少なくとも一方の端部側が開放された構成とし、
前記キャリッジを、前記一方の端部より外側に移動させるステップを、有した制御方法である。
【符号の説明】
【0082】
1 液体塗布装置
2 キャリッジ
2a インク吐出ヘッド
3 主走査ガイド
3a 主走査レール
4 インク供給系
4a パイプ
5 電源供給系
6 コントローラユニット
7 三次元カメラ
8 二次元カメラ
9 GNSS受信器
10 タイヤ
11 副走査ガイド
11a 副走査レール
12 構造物
14 保持ステー
14a 保持ステー
15 保持フレーム
21 印刷ユニット
22 制御ユニット
23 ヘッド移動機構
24 レール移動機構
30 外部機器
61 CPU
62 メモリ
63 I/F
64 ユニット制御回路
101 撮像部
102 取得部
103 方向特定部
104 記憶部
110 画像処理部
120 作像部
121 キャリッジ制御部
122 吐出制御部
PAR 印刷可能範囲
PAR1 印刷可能範囲
W 壁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】