IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特開-液体吐出装置および運搬装置 図1
  • 特開-液体吐出装置および運搬装置 図2
  • 特開-液体吐出装置および運搬装置 図3
  • 特開-液体吐出装置および運搬装置 図4
  • 特開-液体吐出装置および運搬装置 図5
  • 特開-液体吐出装置および運搬装置 図6
  • 特開-液体吐出装置および運搬装置 図7
  • 特開-液体吐出装置および運搬装置 図8
  • 特開-液体吐出装置および運搬装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103241
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】液体吐出装置および運搬装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/02 20060101AFI20240725BHJP
   B41J 23/00 20060101ALI20240725BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20240725BHJP
   B41J 3/44 20060101ALI20240725BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B41J29/02
B41J23/00
B41J3/407
B41J3/44
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007462
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】砂押 雅之
【テーマコード(参考)】
2C055
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C055EE00
2C056EB29
2C056EB37
2C056EC28
2C056HA60
2C061AP10
2C061AQ05
2C061BB35
2C061DD01
(57)【要約】
【課題】印刷装置を設置面と吐出ヘッドとの間の距離を規定範囲内に収めつつ迅速に設置面に対して位置固定することができる液体吐出装置および運搬装置を提供する。
【解決手段】設置面に対して印刷する印刷装置と、前記印刷装置を昇降可能とし、該印刷装置を移動可能とする運搬装置と、前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に当接して該印刷装置を支持する少なくとも3つ以上の第1支持部材と、前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に対して所定の付勢力を与えた状態で該印刷装置を支持する第2支持部材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に対して印刷する印刷装置と、
前記印刷装置を昇降可能とし、該印刷装置を移動可能とする運搬装置と、
前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に当接して該印刷装置を支持する少なくとも3つ以上の第1支持部材と、
前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に対して所定の付勢力を与えた状態で該印刷装置を支持する第2支持部材と、
を備えた液体吐出装置。
【請求項2】
前記第2支持部材は、
前記印刷装置に設置された軸部材と、
前記軸部材の軸方向の両端のうち前記設置面側の一端に取り付けられ、該設置面に当接して前記印刷装置を支持する土台部と、
前記軸部材が挿通することにより、前記土台部を設置面に対して付勢する弾性体と、
前記軸部材が挿通する孔が設けられ、前記弾性体を上部から押さえる前記印刷装置に固定された位置規定部材と、
前記軸部材の軸方向での位置を固定する固定部材と、
を備えた請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第2支持部材は、
前記印刷装置に設置された軸部材と、
前記軸部材の軸方向の両端のうち前記設置面側の一端に取り付けられ、該設置面に当接して前記印刷装置を支持する土台部と、
前記軸部材を昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構による昇降動作を実現する電動機と、
を備え、
前記電動機の回転駆動を制御する駆動制御部と、
前記土台部の前記設置面に対する付勢力を検出する検出部と、
をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記検出部により検出された前記付勢力が所定値となるように前記土台部を前記設置面に当接させる請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記運搬装置により該印刷装置が下降される場合に、前記印刷装置が備えるキャリッジは所定位置に位置する請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記所定位置は、前記キャリッジの吐出ヘッドに対する維持処理を行うための位置である請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記運搬装置により該印刷装置が下降される場合に、3つの前記第1支持部材の位置で規定される三角形状の領域に前記印刷装置の重心が含まれる請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
設置面に対して印刷する印刷装置を移動可能とする運搬装置であって、
前記印刷装置を昇降可能とし、
前記印刷装置は、
前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に当接して該印刷装置を支持する少なくとも3つ以上の第1支持部材と、
前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に対して所定の付勢力を与えた状態で該印刷装置を支持する第2支持部材と、
を備えた、運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置および運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路面上等に白線、文字または記号等を印刷する場合、印刷装置にある吐出ヘッドを搭載したキャリッジの移動領域を超える大きな印刷領域となることが多々あるため、印刷領域を分割し,各分割した印刷領域に印刷装置を移動させながら複数の画像をつなげて印刷する必要がある。このように、路面上に印刷する場合は、印刷装置自体の移動と印刷処理とを交互に行うことが求められるのが一般的である。このとき、印刷装置で印刷するには、道路面等(以下、設置面と称する場合がある)と吐出ヘッドとの距離を規定範囲内に調整すると共に、キャリッジの走査に伴う印刷装置自体の振動を抑制する必要があるため、凹凸のある路面形状の中で迅速に印刷装置を路面に対して位置固定することが求められている。
【0003】
このような路面に対して位置固定するため技術として、複数のユニットで構成される複合装置において、基準ユニットの水準器出力および他のユニットの水準器出力から、他ユニットの水準ずれ量が小さくなるように自動で高さ調整を行う技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、ユニット内で設置面と吐出ヘッドとの間の距離が決められた中での調整であり、凹凸のある路面形状等に対して装置(液体吐出装置)を印刷面である設置面と吐出ヘッドとの間の距離を規定範囲内に調整しながら位置固定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷装置を設置面と吐出ヘッドとの間の距離を規定範囲内に収めつつ迅速に設置面に対して位置固定することができる液体吐出装置および運搬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、設置面に対して印刷する印刷装置と、前記印刷装置を昇降可能とし、該印刷装置を移動可能とする運搬装置と、前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に当接して該印刷装置を支持する少なくとも3つ以上の第1支持部材と、前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に対して所定の付勢力を与えた状態で該印刷装置を支持する第2支持部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷装置を設置面と吐出ヘッドとの間の距離を規定範囲内に収めつつ迅速に設置面に対して位置固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る液体塗布装置の全体構成を示す外観の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る液体塗布装置における印刷装置についてキャリッジが維持ポジションにある状態の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る液体塗布装置のキャリッジの移動機構の構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る液体塗布装置の調整スタンドの構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る液体塗布装置の調整スタンドの構成の別の例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る液体塗布装置の台車の構成の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る液体塗布装置において台車で印刷装置を運んでいる状態の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る液体塗布装置において台車から印刷装置を設置面に設置した状態の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る液体塗布装置においてスタンドの位置と重心との位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る液体吐出装置および運搬装置の実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
(液体塗布装置の構成)
図1は、実施形態に係る液体塗布装置の全体構成を示す外観の一例を示す図である。図2は、実施形態に係る液体塗布装置についてキャリッジが維持ポジションにある状態の一例を示す図である。図1および図2を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1の全体構成について説明する。
【0011】
図1および図2に示す液体塗布装置1は、道路面等の設置面の広範囲な液体塗布領域を複数の印刷領域に分割して各印刷領域に順次移動し、液体塗布領域に印刷するための印刷データを複数の印刷画像に分割して印刷する装置である。なお、液体塗布装置1は、本発明の「液体吐出装置」に相当する。また、「印刷」は、設置面に対するインクの塗布、または、吹き付けを行うことにより画像を形成する動作をいうものとする。また、図2では、印刷装置10の内部の構造を示すため、図2の紙面視手前側のパネルを取り外した状態を示している。図1に示すように、液体塗布装置1は、印刷装置10と、台車20と、を備えている。
【0012】
印刷装置10は、台車20により運搬可能であり、吐出ヘッドを搭載したキャリッジの走査により設置面に印刷を行う装置である。印刷装置10は、図1および図2に示すように、印刷装置本体11と、制御装置12と、インク供給システム13と、3つの固定スタンド14(第1支持部材)と、1つの調整スタンド15(第2支持部材の一例)と、キャリッジ16と、維持システム16aと、を備えている。
【0013】
印刷装置本体11は、印刷装置10の本体である印刷装置本体11では、その内部においてキャリッジ16が主走査方向および副走査方向に走査し、その上面において制御装置12およびインク供給システム13等の各種部品が搭載されている。
【0014】
制御装置12は、印刷装置10の印刷動作を制御するコントローラである。具体的には、制御装置12は、キャリッジ16の主走査方向および副走査方向の走査、キャリッジ16に搭載された吐出ヘッドのインクの吐出動作、およびインク供給システム13からの当該吐出ヘッドへのインクの供給動作等を制御する。
【0015】
インク供給システム13は、印刷装置本体11の上面に設置され、キャリッジ16の吐出ヘッドにインクを供給するための機構である。具体的には、インク供給システム13は、インクを貯留するためのタンクを備え、当該タンクからチューブ等の供給路を介して、キャリッジ16の吐出ヘッドにインクを供給する。
【0016】
固定スタンド14は、全体的に直方体形状を呈する印刷装置本体11の底面の四隅のうちの3つの箇所に設置され、設置面を接することによって印刷装置10を支持するための支持部材である。図2では、3つの固定スタンド14のうち2つのみが図示されているが、手前側の固定スタンド14が設置された箇所の対角の箇所に図示しない残りの固定スタンド14が設置されている。なお、固定スタンド14は、3つに限定されるものではなく、4つ以上であってもよい。
【0017】
調整スタンド15は、印刷装置本体11の底面の四隅のうち固定スタンド14が設置された3つの箇所以外の残りの1つ箇所に設置され、後述するように土台部の高さが調整可能であり、高さが調整された土台部により印刷装置10を支持する支持部材である。調整スタンド15の構成の詳細については、図4および図5で後述する。
【0018】
キャリッジ16は、インクを吐出する図示しない吐出ヘッドを搭載し、後述する移動機構により主走査方向および副走査方向に走査する部材である。キャリッジ16の走査は、制御装置12により制御される。
【0019】
維持システム16aは、キャリッジ16に搭載された吐出ヘッドのノズル面のクリーニング等の維持処理を行うための機構である。例えば、図2に示すように、印刷装置10は、キャリッジ16を維持ポジション30に移動させた状態で、維持システム16aにより維持処理を実行する。
【0020】
台車20は、印刷装置10を底面からリフトアップ(持ち上げ)することによって、印刷装置10に印刷させる印刷領域に運搬するための運搬装置である。台車20は、図1に示すように、台車フレーム21と、昇降装置22と、昇降装置23と、前輪24と、後輪25と、ハンドル部26と、を備えている。
【0021】
台車フレーム21は、矩形に囲む形状のフレーム部材であり、印刷装置10を昇降させる際に印刷装置10を底面から支持するフレーム部材である。
【0022】
昇降装置22は、印刷装置10のハンドル部26側(後方側)の部分を支持して、印刷装置10を昇降させる装置である。
【0023】
昇降装置23は、印刷装置10のハンドル部26側とは反対側(前方側)の部分を支持して、印刷装置10を昇降させる装置である。
【0024】
前輪24および後輪25は、台車20を前後左右に移動させるための車輪である。
【0025】
ハンドル部26は、台車20の後方側に取り付けられ、ユーザ(作業者)によって把持されるハンドル部材である。ユーザは、ハンドル部26を把持することにより、台車20を前後左右に自由に移動させることができる。
【0026】
(印刷装置のキャリッジの移動機構の構成)
図3は、実施形態に係る液体塗布装置のキャリッジの移動機構の構成の一例を示す図である。図3を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1のキャリッジ16を走査するための移動機構の構成を説明する。
【0027】
図3に示すように、印刷装置10は、キャリッジ16を走査するための移動機構として、フレーム11aと、主走査ガイド17と、主走査モータ17aと、副走査ガイド18と、副走査モータ18aと、タイミングベルト18bと、を備えている。当該移動機構は、印刷装置本体11の底面の周縁部を構成するフレーム11aに設置された3つの固定スタンド14と、1つの調整スタンド15とによって支持されている。
【0028】
フレーム11aは、印刷装置本体11の底面の四辺を構成するフレーム部材である。このように印刷装置本体11の底面の四辺を構成するフレーム11aにおいて、図3に示すように、当該底面の四隅のうちの3つの箇所に固定スタンド14が設置され、残りの1つの箇所に調整スタンド15が設置されている。
【0029】
主走査ガイド17は、図3に示す主走査方向に延設され、キャリッジ16を主走査方向に摺動可能に支持するガイド部材である。
【0030】
主走査モータ17aは、主走査ガイド17に沿って主走査方向にキャリッジ16を往復移動させるためのモータである。
【0031】
副走査ガイド18は、図3に示す副走査方向に延びるフレーム11a上に設置され、主走査ガイド17を副走査方向に摺動可能に支持するガイド部材である。副走査ガイド18は、図3に示すように、主走査方向に延びる主走査ガイド17の端部近傍を支持するように、対向する副走査方向に延びる2つフレーム11aそれぞれに設けられている。
【0032】
副走査モータ18aは、副走査ガイド18に沿って副走査方向に主走査ガイド17を往復移動させるためのモータである。この場合、副走査モータ18aによって回転されるプーリと、それに従動するプーリに架け渡されたタイミングベルト18bが、当該副走査モータ18aの回転によって駆動することにより、主走査ガイド17が副走査方向に往復移動する。
【0033】
このように、吐出ヘッドを搭載したキャリッジ16は、4つのフレーム11aで囲われる面上を主走査方向および副走査方向に自由に移動することができる。
【0034】
(調整スタンドの構成)
図4は、実施形態に係る液体塗布装置の調整スタンドの構成の一例を示す図である。図5は、実施形態に係る液体塗布装置の調整スタンドの構成の別の例を示す図である。図4および図5を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1の調整スタンドの構成について説明する。
【0035】
調整スタンド15は、印刷装置本体11の底面の四隅のうち固定スタンド14が設置された3つの箇所以外の残りの1つ箇所に設置され、後述するように土台部の高さ位置が調整可能であり、高さが調整された土台部で印刷装置10を支持するスタンドである。調整スタンド15は、図4に示すように、軸部材151と、土台部152と、付勢ばね153と、位置規定部材154と、ストッパ155と、を有する。
【0036】
軸部材151は、印刷装置本体11の底面と垂直となるように位置規定部材154に挿通して設置された棒状の部材である。軸部材151は、付勢ばね153の伸縮に伴って、位置規定部材154の挿通孔を介して軸方向(上下方向)に移動が可能となっている。
【0037】
土台部152は、軸部材151の軸方向の両端のうち印刷装置10を設置する設置面側の一端に取り付けられた、印刷装置10を支持する土台である。
【0038】
付勢ばね153は、土台部152と位置規定部材154との間に設置され、軸部材151に挿通されることにより、土台部152を設置面に対して付勢することができるばね部材である。なお、付勢ばね153は、ばね部材に限定されず、土台部152を設置面に対して付勢することができる弾性体であればよい。
【0039】
位置規定部材154は、軸部材151が挿通し、フレーム11aに固定される板状部の部材である。位置規定部材154は、軸部材151が挿通した付勢ばね153の上部から押さえることにより、付勢ばね153の付勢力を土台部152に伝達させる。
【0040】
ストッパ155は、軸部材151の周面に対して垂直な方向に押さえることによる摩擦力によって、軸部材151の軸方向(上下方向)の移動を不可として当該軸部材151の位置を固定するための固定部材である。したがって、凹凸等のある設置面において、まず、ストッパ155は解放した状態で、付勢ばね153の所定の付勢力によって土台部152を設置面に押し付け、その状態でストッパ155により軸部材151を固定することにより、調整スタンド15による印刷装置10を下方から支持することが可能となる。
【0041】
なお、図4に示した調整スタンド15の構成に限定されるものではなく、例えば、調整スタンド15の代わりに図5に示す調整スタンド15a(第2支持部材の一例)を用いてもよい。調整スタンド15aは、調整スタンド15と同様に、土台部152の高さ位置を調整可能であり、高さが調整された土台部152で印刷装置10を支持することが可能な支持部材である。調整スタンド15aは、図5に示すように、軸部材151aと、土台部152と、昇降機構156と、モータ157と、を有する。
【0042】
軸部材151aは、印刷装置本体11の底面と垂直となるようにフレーム11aに設置された棒状の部材である。軸部材151aは、昇降機構156による昇降動作に伴って、軸方向(上下方向)に移動が可能となっている。土台部152は、軸部材151aの軸方向の両端のうち印刷装置10を設置する設置面側に取り付けられた、印刷装置10を支持する土台である。昇降機構156は、軸部材151aを軸方向(上下方向)に昇降させるための機構である。昇降機構156は、例えば、モータ157の回転軸に取り付けられた歯車等による送り動作により軸部材151aを軸方向に昇降させる。モータ157は、回転軸の回転により昇降機構156の昇降動作を実現するための電動機である。一方で、モータ157は、その回転を停止することにより、軸部材151a軸方向(上下方向)の位置を固定することができる。モータ157は、図5に示すように、印刷装置10に備えられたモータ制御部120によって回転制御される。
【0043】
モータ制御部120は、駆動制御部121と、電流検出部122(検出部)と、エンコーダ信号受信部123と、を有する。駆動制御部121は、モータ157の回転駆動を制御する駆動回路である。電流検出部122は、モータ157に流れる電流を検出する回路である。電流検出部122は、検出した電流値により、土台部152の設置面に対する付勢力(すなわち調整スタンド15aに係る荷重)を算出することが可能である。エンコーダ信号受信部123は、モータ157の回転に伴って受信するエンコーダ信号により、軸部材151aの位置、すなわち土台部152の高さ位置を算出する回路である。
【0044】
したがって、凹凸等のある設置面において、まず、駆動制御部121は、昇降機構156の昇降動作により軸部材151aおよび土台部152を下方に移動させることによって土台部152を設置面に押し付け、その状態でモータ157の回転を停止させて軸部材151aを固定することにより、調整スタンド15aによる印刷装置10を下方から支持することが可能となる。この場合、駆動制御部121は、電流検出部122により検出される電流値に基づいて、土台部152の設置面に対して所定の付勢力とすることができ、調整スタンド15aにかかる荷重を所定値に調整することができる。
【0045】
(液体塗布装置の台車の構成)
図6は、実施形態に係る液体塗布装置の台車の構成の一例を示す図である。図6を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1の台車20の構成の詳細について説明する。
【0046】
上述したように、台車20は、台車フレーム21と、昇降装置22と、昇降装置23と、前輪24と、後輪25と、ハンドル部26と、を備えている。台車20は、ハンドル部26を介したユーザの操作によって、前輪24および後輪25により前後左右に自由に移動が可能である。図6に示すように、昇降装置22および昇降装置23は、矩形に囲む台車フレーム21を昇降させることができ、これにより、台車フレーム21に設置された印刷装置10を昇降させることができる。
【0047】
(台車による印刷装置の運搬動作および昇降動作について)
図7は、実施形態に係る液体塗布装置において台車で印刷装置を運んでいる状態の一例を示す図である。図8は、実施形態に係る液体塗布装置において台車から印刷装置を設置面に設置した状態の一例を示す図である。図7および図8を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1における、台車20による印刷装置10の運搬動作および昇降動作について説明する。
【0048】
図7に示す液体塗布装置1では、台車20により印刷装置10をリフトアップし、固定スタンド14および調整スタンド15を設置面から離間させた状態で、印刷装置10を運搬している状態を示している。印刷装置10の固定スタンド14および調整スタンド15はそれぞれ設置面から離間した状態となっているため、台車20により印刷装置10を前後左右に自由に運搬することができる。これによって、印刷装置10を所望の印刷領域に移動させることができる。
【0049】
図8に示す液体塗布装置1では、台車20により印刷装置10を下方に移動させ、固定スタンド14および調整スタンド15が設置面に接する状態とすることにより、固定スタンド14および調整スタンド15により印刷装置10を支持する状態としたものである。このように、固定スタンド14および調整スタンド15により指示された印刷装置10は、設置面に対して固定した状態となるため、キャリッジ16の主走査方向および副走査方向の走査により印刷を実行することが可能となる。
【0050】
(液体塗布装置においてスタンドの位置と重心との位置関係について)
図9は、実施形態に係る液体塗布装置においてスタンドの位置と重心との位置関係を説明する図である。図9を参照しながら、本実施形態に係る液体塗布装置1において3つの固定スタンド14および1つの調整スタンド15の位置と、印刷装置10の重心との位置関係について説明する。
【0051】
図9では、印刷装置10を上方から見た平面視の状態を示している。図9に示す例では、印刷装置10において、図9の紙面視の左上、右上および右下に対応する箇所に3つの固定スタンド14が配置されており、同紙面視の左下に対応する箇所に調整スタンド15が配置されている。
【0052】
上述のように、台車20により印刷装置10を下降させる場合には、印刷装置10の重心の位置が固定されるように、キャリッジ16の位置を所定の位置(例えば維持ポジション30の位置)に移動させておく。図9では、キャリッジ16を当該所定の位置に移動させた場合の重心Gの位置を示しており、3つの固定スタンド14の位置で規定される図9に示す三角形状の領域に当該重心Gが含まれている。そして、この状態で台車20により印刷装置10を下降させることにより、3つの固定スタンド14を設置面に対して安定した荷重でかけた状態で印刷装置10を当該設置面に設置することができる。また、この3つの固定スタンド14が設置面へ当接することにより、キャリッジ16の吐出ヘッドと設置面との距離が規定されることになる。
【0053】
また、調整スタンド15についてはストッパ155を解放した状態で台車20により印刷装置10を下降させることにより、調整スタンド15が設置面に対して所定の付勢力により付勢された状態で当接させる。このように、調整スタンド15の付勢ばね153による付勢力により設置面に土台部152を付勢させながら、3つの固定スタンド14および調整スタンド15が設置面に当接した状態を実現することができる。そして、3つの固定スタンド14および調整スタンド15が設置面に当接することにより印刷装置10を支持することができる状態となった時点で、ストッパ155により軸部材151の軸方向(上下方向)の位置を固定する。これによって、図9に示す印刷領域PARにおいてキャリッジ16が移動することによる印刷時に、印刷装置10の重心Gの位置の重心移動範囲GARにおける変化、および、キャリッジ16の移動に伴うフレーム11aの変形等によって、固定スタンド14および調整スタンド15にかかる荷重が抜けないようにすることができる。また、印刷装置10について安定した固定状態で印刷を実行することができ、印刷品質を確保することができる。また、印刷装置10を設置面と吐出ヘッドとの間の距離を規定範囲内に収めつつ迅速に設置面に対して位置固定することができる。
【0054】
本発明の態様は、以下の通りである。
設置面に対して印刷する印刷装置と、
<1>前記印刷装置を昇降可能とし、該印刷装置を移動可能とする運搬装置と、
前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に当接して該印刷装置を支持する少なくとも3つ以上の第1支持部材と、
前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に対して所定の付勢力を与えた状態で該印刷装置を支持する第2支持部材と、
を備えた液体吐出装置である。
<2>前記第2支持部材は、
前記印刷装置に設置された軸部材と、
前記軸部材の軸方向の両端のうち前記設置面側の一端に取り付けられ、該設置面に当接して前記印刷装置を支持する土台部と、
前記軸部材が挿通することにより、前記土台部を設置面に対して付勢する弾性体と、
前記軸部材が挿通する孔が設けられ、前記弾性体を上部から押さえる前記印刷装置に固定された位置規定部材と、
前記軸部材の軸方向での位置を固定する固定部材と、
を備えた前記<1>に記載の液体吐出装置である。
<3>前記第2支持部材は、
前記印刷装置に設置された軸部材と、
前記軸部材の軸方向の両端のうち前記設置面側の一端に取り付けられ、該設置面に当接して前記印刷装置を支持する土台部と、
前記軸部材を昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構による昇降動作を実現する電動機と、
を備え、
前記電動機の回転駆動を制御する駆動制御部と、
前記土台部の前記設置面に対する付勢力を検出する検出部と、
をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記検出部により検出された前記付勢力が所定値となるように前記土台部を前記設置面に当接させる前記<1>に記載の液体吐出装置である。
<4>前記運搬装置により該印刷装置が下降される場合に、前記印刷装置が備えるキャリッジは所定位置に位置する前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の液体吐出装置である。
<5>前記所定位置は、前記キャリッジの吐出ヘッドに対する維持処理を行うための位置である前記<4>に記載の液体吐出装置である。
<6>前記運搬装置により該印刷装置が下降される場合に、3つの前記第1支持部材の位置で規定される三角形状の領域に前記印刷装置の重心が含まれる前記<1>~<5>のいずれか一項に記載の液体吐出装置である。
<7>設置面に対して印刷する印刷装置を移動可能とする運搬装置であって、
前記印刷装置を昇降可能とし、
前記印刷装置は、
前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に当接して該印刷装置を支持する少なくとも3つ以上の第1支持部材と、
前記印刷装置の下部に取り付けられ、前記運搬装置により該印刷装置が下降された場合に、前記設置面に対して所定の付勢力を与えた状態で該印刷装置を支持する第2支持部材と、
を備えた、運搬装置である。
【符号の説明】
【0055】
1 液体塗布装置
10 印刷装置
11 印刷装置本体
11a フレーム
12 制御装置
13 インク供給システム
14 固定スタンド
15、15a 調整スタンド
16 キャリッジ
16a 維持システム
17 主走査ガイド
17a 主走査モータ
18 副走査ガイド
18a 副走査モータ
18b タイミングベルト
20 台車
21 台車フレーム
22、23 昇降装置
24 前輪
25 後輪
26 ハンドル部
30 維持ポジション
120 モータ制御部
121 駆動制御部
122 電流検出部
123 エンコーダ信号受信部
151、151a 軸部材
152 土台部
153 付勢ばね
154 位置規定部材
155 ストッパ
156 昇降機構
157 モータ
G 重心
GAR 重心移動範囲
PAR 印刷領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2021-92540号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9