IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日清オイリオグループ株式会社の特許一覧

特開2024-103322フライヤー及びフライヤーの制御方法
<>
  • 特開-フライヤー及びフライヤーの制御方法 図1
  • 特開-フライヤー及びフライヤーの制御方法 図2
  • 特開-フライヤー及びフライヤーの制御方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103322
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】フライヤー及びフライヤーの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A47J37/12 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007593
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守屋 ゆみ子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋介
(72)【発明者】
【氏名】横堀 友希
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和子
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AB02
4B059AD14
4B059AE04
4B059DA02
4B059DA06
4B059DA09
(57)【要約】
【課題】揚げ油の劣化を抑制することができると共に、加熱手段のエネルギー消費を抑制することができるフライヤー及びフライヤーの制御方法を提供する。
【解決手段】現在、揚げ作業が行われているか否かを判定する揚げ作業判定部31と、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われるか否かを推定する揚げ作業推定部32と、揚げ油Fの温度を揚げ温度に制御する揚げ温度モードと、揚げ油Fの温度を揚げ温度よりも低下させる降温モードとの間で切替可能に構成された油温制御部33と、を備え、油温制御部33は、揚げ作業判定部31によって、現在、揚げ作業が行われていないと判定され、かつ、揚げ作業推定部32によって、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われないと推定された場合、揚げ温度モードから降温モードに切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油槽に貯留された揚げ油の温度を揚げ温度にした状態で揚げ物の揚げ作業を行うフライヤーであって、
現在、前記揚げ作業が行われているか否かを判定する揚げ作業判定部と、
今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われるか否かを推定する揚げ作業推定部と、
前記揚げ油の温度を前記揚げ温度に制御する揚げ温度モードと、前記揚げ油の温度を前記揚げ温度よりも低下させる降温モードとの間で切替可能に構成された油温制御部と、を備え、
前記油温制御部は、前記揚げ作業判定部によって、現在、前記揚げ作業が行われていないと判定され、かつ、前記揚げ作業推定部によって、今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われないと推定された場合、前記揚げ温度モードから前記降温モードに切り替えることを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
前記揚げ作業推定部は、前記フライヤーによる調理スケジュールの情報であるスケジュール情報、店舗に来客している顧客の情報である来客情報、店舗の前記揚げ物の在庫数の情報である在庫情報、店舗の前記揚げ作業の準備情報、店舗の営業時間の情報である営業時間情報、及び、前記揚げ作業の履歴である揚げ作業履歴情報の少なくとも1つに基づいて、今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われるか否かを推定することを特徴とする請求項1に記載のフライヤー。
【請求項3】
前記油温制御部は、前記揚げ作業推定部によって、今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われると推定された場合、前記降温モードから前記揚げ温度モードに切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載のフライヤー。
【請求項4】
前記降温モードは、前記揚げ油の温度を前記揚げ温度よりも10℃以上低い所定の温度に制御するモード、又は、前記揚げ油の加熱を停止するモードであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフライヤー。
【請求項5】
油槽に貯留された揚げ油の温度を揚げ温度にした状態で揚げ物の揚げ作業を行うフライヤーの制御方法であって、
現在、前記揚げ作業が行われているか否かを判定する揚げ作業判定工程と、
今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われるか否かを推定する揚げ作業推定工程と、
前記揚げ作業判定工程によって、現在、前記揚げ作業が行われていないと判定され、かつ、前記揚げ作業推定工程によって、今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われないと推定された場合、前記揚げ油の温度の制御モードを、前記揚げ油の温度を前記揚げ温度に制御する揚げ温度モードから、前記揚げ油の温度を前記揚げ温度よりも低下させる降温モードに切り替えるモード切替工程と、を実行することを特徴とするフライヤーの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライヤー及びフライヤーの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フライヤーとして、ヒータのオン/オフ状態を切り替えることで、揚げ油(調理油)の温度を設定温度に調整するものがある(特許文献1参照)。このフライヤーは、油槽と、油槽中に貯留された揚げ油を加熱するヒータと、揚げ油の温度を検知する油温センサと、油温センサの検出温度に応じて、ヒータをオン状態からオフ状態に切り替えることで、揚げ油の温度を設定温度に調整する制御部と、を備えている。このフライヤーでは、食材等の投入時に揚げ油の熱が食材等に奪われて揚げ油の温度が低下するのを抑制することを目的とし、食材等の投入時に揚げ油を加熱するようにしたものである。また、このフライヤーでは、揚げ物の揚げ作業を行っていない間も、揚げ油の温度を150~180℃程度の揚げ温度(設定温度)に調整しておくことで、揚げ作業を行おうとしたとき、迅速に揚げ作業に移行できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-244672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のフライヤーでは、揚げ作業を行っていない間も、揚げ油を150~180℃程度の揚げ温度にしておく構成であるため、温度によって揚げ油の劣化が早まってしまうという問題や、加熱手段のエネルギー(電気やガス)消費が増大してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、揚げ油の劣化を抑制することができると共に、加熱手段のエネルギー消費を抑制することができるフライヤー及びフライヤーの制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、油槽に貯留された揚げ油の温度を揚げ温度にした状態で揚げ物の揚げ作業を行うフライヤーであって、現在、前記揚げ作業が行われているか否かを判定する揚げ作業判定部と、今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われるか否かを推定する揚げ作業推定部と、前記揚げ油の温度を前記揚げ温度に制御する揚げ温度モードと、前記揚げ油の温度を前記揚げ温度よりも低下させる降温モードとの間で切替可能に構成された油温制御部と、を備え、前記油温制御部は、前記揚げ作業判定部によって、現在、前記揚げ作業が行われていないと判定され、かつ、前記揚げ作業推定部によって、今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われないと推定された場合、前記揚げ温度モードから前記降温モードに切り替えることを特徴とするフライヤーを提供する。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、油槽に貯留された揚げ油の温度を揚げ温度にした状態で揚げ物の揚げ作業を行うフライヤーの制御方法であって、現在、前記揚げ作業が行われているか否かを判定する揚げ作業判定工程と、今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われるか否かを推定する揚げ作業推定工程と、前記揚げ作業判定工程によって、現在、前記揚げ作業が行われていないと判定され、かつ、前記揚げ作業推定工程によって、今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われないと推定された場合、前記揚げ油の温度の制御モードを、前記揚げ油の温度を前記揚げ温度に制御する揚げ温度モードから、前記揚げ油の温度を前記揚げ温度よりも低下させる降温モードに切り替えるモード切替工程と、を実行することを特徴とするフライヤーの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るフライヤー及びフライヤーの制御方法は、揚げ油の劣化を抑制することができると共に、加熱手段のエネルギー消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るフライヤーの構成例を示した構成図である。
図2】降温モード切替動作を示したフローチャートである。
図3】揚げ温度モード切替動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るフライヤー及びフライヤーの制御方法について説明する。このフライヤーは、揚げ油によって揚げ物を調理する調理装置である。特に、本フライヤーは、揚げ油の温度制御を適宜降温モードに切り替えることで、揚げ物の劣化を低減させ、かつ、揚げ油を加熱するヒータのエネルギー消費を低減させる機能を備えたものである。なお、本実施形態では、揚げ物として、例えば、コロッケ、メンチカツ、とんかつ、天ぷら、から揚げ、素揚げ等を調理することを想定し、フライヤーは、例えば、食品工場(揚げ物製造工場など)、レストラン、揚げ物専門店、コンビニ、ファーストフード店等に設置されるものを想定している。
【0011】
(フライヤーの構成)
図1に示すように、フライヤー1は、揚げ油Fを貯留し揚げ作業を行う油槽11と、油槽11に貯留された揚げ油Fを加熱するヒータ12と、油槽11に貯留された揚げ油Fの温度を検出する温度センサ13と、油槽11を撮像する撮像カメラ14と、各種情報を記憶する記憶部16と、ヒータ12を制御する制御部17と、を備えている。
【0012】
油槽11は、図外のハウジング又は設置台の上部に配設され、揚げ作業を行うための揚げ油Fを貯留する。フライヤー1の作業者(オペレータ)が、ヒータ12によって加熱された揚げ油Fに、揚げ物を投入し浸漬させることで、揚げ物を調理する。以下、この揚げ油Fに揚げ物を浸漬させることで揚げ物を調理する作業を「揚げ作業」と呼称する。
【0013】
ヒータ12は、油槽11に貯留された揚げ油Fを加熱する。なお、ヒータ12は、油槽11内に設置してもよいし、油槽11の外壁中又は外壁に設置されていてもよい。また、ヒータ12に代えて、例えば、ガスバーナー、電磁誘導加熱等の他の加熱手段を用いる構成であってもよい。
【0014】
温度センサ13は、一部が油槽11に貯留された揚げ油Fに浸漬されるように配設され、当該揚げ油Fの温度を検出する。
【0015】
撮像カメラ14は、例えば、CCDカメラやCMOSカメラ等で構成されており、油槽11の斜め上方から油槽11を撮像する。詳細は後述するが、撮像カメラ14の撮像結果は、現在、揚げ作業をしているか否かの判定に用いられる。
【0016】
記憶部16は、例えば、フラッシュROM等で構成されている。また、記憶部16は、フライヤー1による調理スケジュールであるスケジュール情報21を記憶している。
【0017】
制御部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成されている。また、制御部17は、所定のプログラムを実行することで、揚げ作業判定部31、揚げ作業推定部32及び油温制御部33として機能する。
【0018】
揚げ作業判定部31は、撮像カメラ14による撮像画像を解析して、現在、フライヤー1によって揚げ作業が行われているか否かを判定する。具体的には、例えば、撮像カメラ14による撮像画像を解析して、油槽11に貯留された揚げ油Fに揚げ物が投入された状態である否かを判定し、揚げ油Fに揚げ物が投入された状態の場合、現在、揚げ作業が行われていると判定し、揚げ油Fに揚げ物が投入されていない状態の場合、現在、揚げ作業が行われていないと判定する。揚げ油Fに揚げ物が投入された状態である否かを判定は、例えば、揚げ物の投入時点及び揚げ物の取出し時点を取得し、これらに基づいて判定を行う構成であってもよいし、投入された揚げ物から生じる泡の有無に基づいて、判定を行う構成であってもよい。なお、詳細は後述するが、撮像カメラ14による撮像画像に代えて、マイクによる油槽11周りの音の検出結果や、油槽11への揚げ物の投入装置(籠やコンベア等)の稼働情報、操作パネルの操作結果に基づいて、揚げ作業が行われているか否かを判定する構成であってもよい。
【0019】
揚げ作業推定部32は、記憶部16に記憶されたスケジュール情報21に基づいて、今後一定期間の間に、フライヤー1によって揚げ作業が行われるか否かを推定する。本実施形態では、例えば、一定期間を10分間とし、揚げ作業推定部32は、スケジュール情報21における調理スケジュールにおいて、現時点から10分以上揚げ作業が行われないことを確認した場合、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われないと推定する。一方、揚げ作業推定部32は、スケジュール情報21の調理スケジュールにおいて、現時点から10分以内に揚げ作業が行われることを確認した場合、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われると推定する。なお、詳細は後述するが、スケジュール情報21に代えて、来客情報や在庫情報、営業時間情報、揚げ作業準備情報、揚げ作業履歴情報に基づいて、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われるか否かを推定する構成であってもよい。
【0020】
油温制御部33は、温度センサ13の検出値に基づいて、ヒータ12を制御することで、油槽11に貯留された揚げ油Fの温度を制御する。また、油温制御部33は、揚げ温度モードと降温モードとの間で、揚げ油Fの温度の制御モードを切替可能に構成されている。油温制御部33は、揚げ温度モードでは、揚げ油Fの温度が、予め設定された揚げ温度(150℃~190℃、例えば160℃)になるように、ヒータ12を制御する。すなわち、油温制御部33は、揚げ温度モードでは、上記揚げ温度を、揚げ油Fの温度の目標温度に設定して、ヒータ12を制御することで、揚げ油Fの温度を揚げ温度に制御する。一方、油温制御部33は、降温モードでは、揚げ油Fの温度を揚げ温度より低下させ、揚げ油Fの温度が揚げ温度より10℃以上低い所定の温度(例えば100~170℃の範囲で揚げ温度よりも10℃以上低い温度)となるように、ヒータ12を制御する。すなわち、油温制御部33は、降温モードでは、上記所定の温度を、揚げ油Fの温度の目標温度に設定して、ヒータ12を制御することで、揚げ油Fの温度を揚げ温度より低下させ、揚げ油Fの温度を上記所定の温度に制御する。
【0021】
そして、油温制御部33は、揚げ作業判定部31によって、現在、揚げ作業が行われていないと判定され、かつ、揚げ作業推定部32によって、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われないと推定された場合、制御モードを、揚げ温度モードから降温モードに切り替える。すなわち、現在、揚げ作業が行われおらず、かつ、調理スケジュールにおいて現時点から10分以上揚げ作業が行われないことを確認した場合、制御モードを、揚げ温度モードから降温モードに切り替える。
【0022】
一方、油温制御部33は、揚げ作業推定部32によって、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われると推定された場合、制御モードを、降温モードから揚げ温度モードに切り替える。すなわち、調理スケジュールにおいて現時点から10分以内に揚げ作業が行われることを確認した場合、制御モードを、降温モードから揚げ温度モードに切り替える。
【0023】
(降温モード切替動作)
ここで図2を参照して、制御部17による降温モード切替動作について説明する。この降温モード切替動作は、条件を満たした場合に、油温制御部33における制御モードを、揚げ温度モードから降温モードに切り替える動作であり、制御モードが、揚げ温度モードになっている状態において、定期的(例えば1秒毎)に行われる動作である。なお、降温モード切替動作は、フライヤー1の制御方法の一例である。
【0024】
図2に示すように、降温モード切替動作では、まず、制御部17は、揚げ作業判定部31によって、現在、揚げ作業が行われているか否かを判定する(S1)(揚げ作業判定工程)。揚げ作業判定部31によって、現在、揚げ作業が行われていると判定された場合(S1:Yes)、本降温モード切替動作を終了する。
【0025】
一方、揚げ作業判定部31によって、現在、揚げ作業が行われていないと判定された場合(S1:No)、揚げ作業推定部32によって、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われるか否かを推定する(S2)(揚げ作業推定工程)。揚げ作業推定部32によって、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われると推定された場合(S2:Yes)、本降温モード切替動作を終了する。
【0026】
一方、揚げ作業判定部31によって、現在、揚げ作業が行われていないと判定され(S1:No)、かつ、揚げ作業推定部32によって、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われないと推定された場合(S2:No)、油温制御部33によって、制御モードを、揚げ温度モードから降温モードに切り替える(S3)(モード切替工程)。これによって、油温制御部33により、降温モードで揚げ油Fの温度制御が行われる。これにより、本降温モード切替動作を終了する。
【0027】
(揚げ温度モード切替動作)
次に図3を参照して、制御部17による揚げ温度モード切替動作について説明する。この揚げ温度モード切替動作は、条件を満たした場合に、油温制御部33における制御モードを、降温モードから揚げ温度モードに切り替える動作であり、制御モードが、降温モードになっている状態において、定期的(例えば1秒毎)に行われる動作である。
【0028】
図3に示すように、揚げ温度モード切替動作では、まず、制御部17は、揚げ作業推定部32によって、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われるか否かを推定する(S11)。揚げ作業推定部32によって、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われないと推定された場合(S11:No)、本揚げ温度モード切替動作を終了する。
【0029】
一方、揚げ作業推定部32によって、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われると推定された場合(S11:Yes)、油温制御部33によって、制御モードを、降温モードから揚げ温度モードに切り替える(S12)。これによって、油温制御部33により、揚げ温度モードで揚げ油Fの温度制御が行われる。これにより、本揚げ温度モード切替動作を終了する。
【0030】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、現在、揚げ作業が行われていないと判定され、かつ、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われないと推定された場合、揚げ温度モードから降温モードに切り替えるため、揚げ油Fの劣化を抑制することができると共に、加熱手段のエネルギー消費を抑制することができる。
【0031】
また、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われないと推定された場合のみ、揚げ温度モードから降温モードに切り替える構成や、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われると推定された場合、降温モードから揚げ温度モードに切り替える構成を有することで、揚げ作業を行うときには、揚げ油Fの温度を揚げ温度にしておくことができる。そのため、揚げ作業を行おうとしたとき、迅速に揚げ作業に移行することができる。
【0032】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0033】
例えば、上記実施形態においては、揚げ作業推定部32が、スケジュール情報21に基づいて、今後一定期間の間に揚げ作業が行われるか否かを推定する構成であったが、揚げ作業推定部32が、店舗に来客している顧客の情報である来客情報に基づいて、今後一定期間の間に揚げ作業が行われるか否かを推定する構成であってもよい。例えば、飲食店に設置するフライヤー1において、記憶部16が、上記来客情報を記憶し、揚げ作業推定部32が、来客情報における店舗に来客している顧客の数(又は増加数)が一定数以下である状態、未注文の顧客がいない状態、顧客が注文端末を操作していない状態、及び、顧客が携帯端末で注文画面を閲覧していない状態、のいずれかの1つ又は1つ以上の状態である場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われないと推定する。また、来客情報における店舗に来客している顧客の数(又は増加数)が一定数を超えている状態、未注文の顧客がいる状態、顧客が注文端末を操作している状態、及び、顧客が携帯端末で注文画面を閲覧している状態、のいずれか1つ又は1つ以上の状態である場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われると推定する構成であってもよい。また、特定のメニューが注文されたとき、その後、揚げ物を注文される傾向がある場合には、揚げ作業推定部32が、過去一定期間(例えば30分)の間に当該特定のメニューの注文があった場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われると推定し、過去一定期間の間に特定のメニューの注文がない場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われないと推定する構成であってもよい。
【0034】
また、揚げ作業推定部32が、店舗の揚げ物の在庫数の情報である在庫情報に基づいて、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われるか否かを推定する構成であってもよい。例えば、揚げ物の販売店に設置するフライヤー1において、記憶部16が、上記在庫情報を記憶し、揚げ作業推定部32が、在庫情報における店舗の揚げ物の在庫数が一定数以上である場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われないと推定し、在庫情報における店舗の揚げ物の在庫数が一定数未満である場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われると推定する構成であってもよい。かかる場合、在庫情報は、例えば、揚げ物が陳列されるショーケースを撮像し、その撮像結果を解析して取得する。なお、在庫情報に基づいて今後一定期間の間に揚げ作業が行われるか否かを推定させるのに、揚げ作業推定部32の参照情報を直接、スケジュール情報21から在庫情報に変えるのではなく、在庫情報に基づいて、調理スケジュールを変更することで、間接的に、在庫情報に基づいて、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われるか否かを推定させる構成であってもよい。
【0035】
また、揚げ作業推定部32が、店舗の営業時間の情報である営業時間情報に基づいて、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われるか否かを推定する構成であってもよい。例えば、記憶部16が、上記営業時間情報を記憶し、揚げ作業推定部32が、現在時刻が営業時間情報における営業終了時間の所定時間前以内(例えば、30分前以内)である場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われないと推定し、現在時刻が営業時間情報における営業終了時間の所定時間前以内でない場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われると推定する構成であってもよい。例えば、ラストオーダーの時刻を超えているか否かによって、今後一定期間の間に揚げ作業が行われるか否かを推定する構成であってもよい。
【0036】
また、揚げ作業推定部32が、店舗の揚げ作業の準備情報に基づいて、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われるか否かを推定する構成であってもよい。例えば、揚げ作業推定部32が、上記準備情報において、揚げ作業を行う食材の準備を開始した状態、又は、揚げ作業を行う食材の準備が一定量以上完了した状態である場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われると推定する構成であってもよい。
【0037】
また、揚げ作業推定部32が、フライヤー1による揚げ作業の履歴である揚げ作業履歴情報に基づいて、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われるか否かを推定する構成であってもよい。例えば、記憶部16が、上記揚げ作業履歴情報を記憶し、揚げ作業推定部32が、揚げ作業履歴情報における揚げ作業の履歴において、過去一定時間(例えば10分間)の間に揚げ作業が行われていないことを確認した場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われないと推定し、過去一定時間(例えば10分間)の間に揚げ作業が行われていることを確認した場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われると推定する構成であってもよい。また、例えば、記憶部16が、上記揚げ作業履歴情報を記憶し、揚げ作業推定部32が、揚げ作業履歴情報における揚げ作業の履歴において、過去一定期間(例えば前日、過去1週間、過去1月の同曜日等)の同時刻の間に揚げ作業が行われていないことを確認した場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われないと推定し、過去一定期間の同時刻の間に揚げ作業が行われていることを確認した場合、今後一定期間の間に揚げ作業が行われると推定する構成であってもよい。すなわち、揚げ作業推定部32が、上記揚げ作業履歴情報から、フライヤー1による調理スケジュールを推定し、推定した調理スケジュールに基づいて、今後一定期間の間に、揚げ作業が行われるか否かを推定する構成であってもよい。これらの場合、揚げ作業履歴情報は、例えば、揚げ作業判定部31の判定結果に基づいて取得する。
【0038】
すなわち、揚げ作業推定部32は、スケジュール情報21、来客情報、在庫情報、営業時間情報、準備情報及び揚げ作業履歴情報のいずれか1つに基づいて、今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われるか否かを推定する。なお、揚げ作業推定部32が、スケジュール情報21、来客情報、在庫情報、営業時間情報及び揚げ作業履歴情報のうちの2つ以上の情報に基づいて、今後一定期間の間に、前記揚げ作業が行われるか否かを推定する構成であってもよい。
【0039】
なお、上記実施形態においては、油温制御部33が、降温モードでは、揚げ油Fの温度が揚げ温度より低い所定の温度となるように、ヒータ12を制御する構成であったが、降温モードは、揚げ油Fの温度を揚げ温度より低下させるモードであれば、これに限るものではない。例えば、油温制御部33が、降温モードでは、揚げ油Fの温度の目標温度の設定なしに、ヒータ12による揚げ油Fの加熱を停止し、自然冷却により、揚げ油Fの温度を揚げ温度より低下させる構成(すなわち、温度制御を行わない構成)であってもよい。また、揚げ油Fの劣化抑制のみを考慮するのであれば、フライヤー1が、揚げ油Fを冷却する冷却手段を更に備え、油温制御部33が、降温モードでは、冷却手段を制御して、揚げ油Fの温度を、揚げ油Fが劣化しない温度まで下げる構成であってもよい。ただし、油槽11のサイズが大きい等の理由で、揚げ油Fを上昇させるのに時間がかかるフライヤー1については、降温モードにおいて、揚げ油Fの温度が120℃~170℃の範囲で揚げ温度より10℃以上低い所定の温度となるように、ヒータ12を制御することが好ましい。また、油槽11のサイズが小さい等の理由で、揚げ油Fを上昇させるのに時間がかからないフライヤー1については、上記実施形態と同様、降温モードにおいて、揚げ油Fの温度が100℃~140℃の所定の温度となるように、ヒータ12を制御することが好ましい。
【0040】
また、上記実施形態においては、揚げ作業推定部32が、揚げ作業が行われているか否かを推定する「一定期間」を、例えば10分と記載したが、当該「一定期間」は、任意である。ただし、当該「一定期間」は、降温モードから揚げ温度モードに切り替えたときの揚げ油Fが揚げ温度になるまでの時間を考慮して設定することが好ましい。そのため、例えば、降温モード時の目標温度や温度センサ13の検出値に基づいて、当該「一定期間」を適宜変更する構成であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、揚げ作業判定部31による、現在、揚げ作業が行われている否かの判定を、撮像カメラ14の撮像結果に基づいて行う構成であったが、これに限るものではない。例えば、フライヤー1が、油槽11周りの音を検出するマイクを備え、揚げ作業判定部31が、マイクによる検出結果に基づいて、現在、揚げ作業が行われている否かを判定する構成であってもよい。また、揚げ作業判定部31が、油槽11への揚げ物の投入装置(籠やコンベア等)の稼働情報に基づいて、現在、揚げ作業が行われている否かを判定する構成であってもよい。また、揚げ作業判定部31が、フライヤー1に設けられた操作パネルの操作結果に基づいて、現在、揚げ作業が行われている否かを判定する構成であってもよい。
【0042】
また、記憶部16、制御部17、揚げ作業判定部31、揚げ作業推定部32及び油温制御部33の全部又は一部が、フライヤー1に備えられている必要はなく、これらの全部又は一部が、フライヤー1の外部に備えられているであってもよい。これら記憶部16、制御部17、揚げ作業判定部31、揚げ作業推定部32及び油温制御部33の全部又は一部が、外部に備えられたものである場合、有線、無線、及び/又はネットワークを通じで単一のフライヤー1又は複数のフライヤー1と接続されている。これら記憶部16、制御部17、揚げ作業判定部31、揚げ作業推定部32及び油温制御部33の全部又は一部が、複数のフライヤー1に接続され、複数のフライヤー1を制御することもできる。その場合、複数のフライヤー1の状態を比較し、異常が見いだされた場合、警報を出すことができる。
【符号の説明】
【0043】
1:フライヤー、 11:油槽、 12:ヒータ、 13:温度センサ、 14:撮像カメラ、 16:記憶部、 17:制御部、 21:スケジュール情報、 31:揚げ作業判定部、 32:揚げ作業推定部、 33:油温制御部、 F:揚げ油
図1
図2
図3