(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103323
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】揚げ油管理装置及び揚げ油管理方法
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A47J37/12 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007594
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠井 通雄
(72)【発明者】
【氏名】平原 伸悟
(72)【発明者】
【氏名】大芝 純輝
(72)【発明者】
【氏名】飯田 浩子
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AB02
4B059AD14
4B059AE04
4B059BB11
4B059DA01
4B059DA09
(57)【要約】
【課題】揚げ油を効率的に利用することができる揚げ油管理装置及び揚げ油管理方法を提供する。
【解決手段】揚げ油Fの劣化指標を判定する劣化指標判定部31と、揚げ物の種類毎の、劣化指標における閾値を記憶する劣化閾値データベース21と、劣化指標判定部31によって判定された劣化指標と、劣化閾値データベース21に記憶された揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、各種類の揚げ物について、揚げ油Fが揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する揚げ油判定部32と、揚げ油判定部32によって揚げ油Fを揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類を報知する判定結果報知部33と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油を管理する揚げ油管理装置であって、
前記揚げ油の劣化指標を判定する劣化指標判定部と、
前記揚げ物の種類毎の、前記劣化指標における閾値を記憶する閾値記憶部と、
前記劣化指標判定部によって判定された前記劣化指標と、前記閾値記憶部に記憶された前記揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、各種類の前記揚げ物について、前記揚げ油が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する揚げ油判定部と、
前記揚げ油判定部によって前記揚げ油を揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類、又は、前記揚げ油を揚げ作業に使用可能でないと判定された前記揚げ物の種類を報知する判定結果報知部と、を備えたことを特徴とする揚げ油管理装置。
【請求項2】
前記判定結果報知部は、前記揚げ油判定部によって前記揚げ油を揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類を、前記閾値が低い順に並べて報知することを特徴とする請求項1に記載の揚げ油管理装置。
【請求項3】
前記判定結果報知部は、前記揚げ油判定部によって前記揚げ油を揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類のうちの前記閾値が最も低い前記揚げ物の種類を報知することを特徴とする請求項1に記載の揚げ油管理装置。
【請求項4】
揚げ作業を行っている前記揚げ物の種類を判定する揚げ物判定部と、
前記揚げ物判定部によって判定された前記揚げ物の種類が、前記揚げ油判定部によって前記揚げ油を揚げ作業に使用可能でないと判定された前記揚げ物の種類である場合、揚げ作業を中止する揚げ作業中止部と、を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の揚げ油管理装置。
【請求項5】
相互に異なる前記揚げ物の種類が対応付けられた油槽間で前記揚げ油を移送する揚げ油移送部を、更に備え、
前記揚げ油移送部は、前記揚げ油を貯留した前記油槽に対応付けられた前記揚げ物の種類が、前記揚げ油判定部によって前記揚げ油を揚げ作業に使用可能でないと判定された前記揚げ物の種類である場合、揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類のうちの前記閾値が最も低い前記揚げ物の種類に対応付けられた前記油槽に、前記揚げ油を移送することを特徴とする請求項1に記載の揚げ油管理装置。
【請求項6】
揚げ作業を行っている前記揚げ物の種類を判定する揚げ物判定部と、
前記劣化指標判定部によって判定された前記劣化指標と、前記閾値記憶部に記憶された前記揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、前記揚げ物判定部によって判定された種類の揚げ物について、前記揚げ油によって揚げ作業が可能な回数又は時間を判定する揚げ可能量判定部と、
前記揚げ可能量判定部によって判定した、揚げ作業が可能な回数又は時間を報知する揚げ可能量報知部と、を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の揚げ油管理装置。
【請求項7】
前記劣化指標判定部は、複数種類の前記劣化指標を判定し、
前記閾値記憶部は、前記複数種類の劣化指標のうちの、前記揚げ物の種類毎に異なる種類の前記劣化指標における閾値を記憶し、
前記揚げ油判定部は、前記複数種類の劣化指標と、前記揚げ物の種類毎に異なる種類の前記劣化指標における閾値と、に基づき、各種類の揚げ物について、前記揚げ油が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の揚げ油管理装置。
【請求項8】
前記劣化指標は、酸価、色、粘度、粘度上昇量、アニシジン価、極性化合物量、カルボニル価、ヨウ素価、発煙点、揮発成分量、揮発成分組成、風味成分組成、トコフェロール含量、屈折率及び泡立ち量の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の揚げ油管理装置。
【請求項9】
前記劣化指標判定部は、揚げ作業による前記揚げ油への負荷量に基づいて、前記劣化指標を判定することを特徴とする請求項1に記載の揚げ油管理装置。
【請求項10】
揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油を管理する揚げ油管理装置であって、
前記揚げ油の劣化指標を判定する劣化指標判定部と、
前記揚げ物の種類毎の、前記劣化指標における閾値を記憶する閾値記憶部と、
前記劣化指標判定部によって判定された前記劣化指標と、前記閾値記憶部に記憶された前記揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、各種類の前記揚げ物について、前記揚げ油が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する揚げ油判定部と、
揚げ作業を行っている前記揚げ物の種類が、前記揚げ油判定部によって前記揚げ油を揚げ作業に使用可能であると判定されたか否かの情報を報知する判定結果報知部と、を備えたことを特徴とする揚げ油管理装置。
【請求項11】
揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油を管理する揚げ油管理方法であって、
前記揚げ油の劣化指標を判定する劣化指標判定工程と、
前記劣化指標判定工程によって判定された前記劣化指標と、前記揚げ物の種類毎に設定された閾値と、に基づき、各種類の前記揚げ物について、前記揚げ油が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する揚げ油判定工程と、
前記揚げ油判定工程によって、前記揚げ油を揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類、又は、前記揚げ油を揚げ作業に使用可能でないと判定された前記揚げ物の種類を報知する判定結果報知工程と、を実行することを特徴とする揚げ油管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚げ油管理装置及び揚げ油管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、揚げ油管理装置として、油槽から発生する油煙や油塵等の粒子発生量に基づいて、油槽内の揚げ油の劣化度合いを判定するフライヤー一体型電気集塵ユニットがある(特許文献1参照)。このフライヤー一体型電気集塵ユニットは、油槽内の揚げ油の温度を検知する油温検知部と、油槽から発生する油煙や油塵等の粒子発生量を検知する油煙検知部と、を備え、油温検知部により検知した揚げ油の温度が140℃まで低下した時に、油煙検知部により検知した油煙の発生量が所定量を超えている場合、油劣化信号を出力する。すなわち、このフライヤー一体型電気集塵ユニットでは、揚げ油の劣化指標として、油煙や油塵等の粒子発生量を検知し、揚げ油の劣化指標が閾値を超えている場合、揚げ油が使用不可であると判定し、油劣化信号を出力する構成を有している。この油劣化信号の出力を受けて、油槽内の揚げ油を交換することで、許容値を超えて劣化した揚げ油を使用して、揚げ物の調理が行われるのを防止することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、調理に使用可能な揚げ油の劣化度合いは、揚げ物の種類によって異なっている。そのため、揚げ油を複数の種類の揚げ物に対して使用する場合、共通の閾値を用いて使用可否判定を行う従来の構成では、揚げ物の種類によっては使用できる揚げ油を破棄してしまうことになる。そのため、揚げ油の利用効率が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、揚げ油を効率的に利用することができる揚げ油管理装置及び揚げ油管理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油を管理する揚げ油管理装置であって、前記揚げ油の劣化指標を判定する劣化指標判定部と、前記揚げ物の種類毎の、前記劣化指標における閾値を記憶する閾値記憶部と、前記劣化指標判定部によって判定された前記劣化指標と、前記閾値記憶部に記憶された前記揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、各種類の前記揚げ物について、前記揚げ油が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する揚げ油判定部と、前記揚げ油判定部によって前記揚げ油を揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類、又は、前記揚げ油を揚げ作業に使用可能でないと判定された前記揚げ物の種類を報知する判定結果報知部と、を備えたことを特徴とする揚げ油管理装置を提供する。なお、ここにいう「揚げ作業に使用可能」とは、揚げ作業への使用を許容できることを示すものであり、物理的に使用できることを示すものではない。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油を管理する揚げ油管理装置であって、前記揚げ油の劣化指標を判定する劣化指標判定部と、前記揚げ物の種類毎の、前記劣化指標における閾値を記憶する閾値記憶部と、前記劣化指標判定部によって判定された前記劣化指標と、前記閾値記憶部に記憶された前記揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、各種類の前記揚げ物について、前記揚げ油が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する揚げ油判定部と、前記揚げ作業を行っている前記揚げ物の種類が、前記揚げ油判定部によって前記揚げ油を揚げ作業に使用可能であると判定されたか否かの情報を報知する判定結果報知部と、を備えたことを特徴とする揚げ油管理装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記目的を達成するため、揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油を管理する揚げ油管理方法であって、前記揚げ油の劣化指標を判定する劣化指標判定工程と、前記劣化指標判定工程によって判定された前記劣化指標と、前記揚げ物の種類毎に設定された閾値と、に基づき、各種類の前記揚げ物について、前記揚げ油が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する揚げ油判定工程と、前記揚げ油判定工程によって、前記揚げ油を揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類、又は、前記揚げ油を揚げ作業に使用可能でないと判定された前記揚げ物の種類を報知する判定結果報知工程と、を実行することを特徴とする揚げ油管理方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る揚げ油管理装置及び揚げ油管理方法は、揚げ油を効率的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフライヤーの構成例を示した構成図である。
【
図3】揚げ油管理動作を示したフローチャートである。
【
図4】変形例のフライヤーにおける構成例を示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る揚げ油管理装置及び揚げ油管理方法を適用したフライヤーについて説明する。このフライヤーは、揚げ油によって揚げ物を調理する調理装置である。特に、本フライヤーは、揚げ油の劣化指標を検出して揚げ油の使用可否判定を行う機能を備えると共に、揚げ物の種類毎の閾値を用いて、揚げ物の種類毎に揚げ油の使用可否判定を行うものである。なお、本実施形態では、揚げ物として、例えば、コロッケ、メンチカツ、とんかつ、天ぷら、から揚げ、素揚げ等を調理することを想定し、フライヤーは、例えば、レストラン、揚げ物専門店、コンビニ、ファーストフード店等に設置されるものを想定している。
【0012】
(フライヤーの構成)
図1に示すように、フライヤー1は、揚げ油Fを貯留し揚げ作業を行う油槽11と、油槽11に貯留された揚げ油Fを加熱するヒータ12と、油槽11に貯留された揚げ油Fの劣化指標を検出する劣化指標検出センサ13と、を備えている。
【0013】
また、フライヤー1は、各種情報を表示するディスプレイ14と、各種操作を行う操作パネル15と、各種データベースを記憶する記憶部16と、ヒータ12及びディスプレイ14を制御する制御部17と、を備えている。なお、揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油Fを管理する揚げ油管理装置は、劣化指標検出センサ13、ディスプレイ14、操作パネル15、記憶部16及び制御部17によって構成されている。すなわち、劣化指標検出センサ13、ディスプレイ14、操作パネル15、記憶部16及び制御部17は、揚げ油管理装置の一例である。
【0014】
油槽11は、図外のハウジング又は設置台の上部に配設され、揚げ作業を行うための揚げ油Fを貯留する。フライヤー1の作業者(オペレータ)が、ヒータ12によって加熱された揚げ油Fに、揚げ物を投入し浸漬させることで、揚げ物を調理する。以下、この揚げ油Fに揚げ物を浸漬させることで揚げ物を調理する作業を「揚げ作業」と呼称する。
【0015】
ヒータ12は、油槽11に貯留された揚げ油Fを加熱する。なお、ヒータ12は、油槽11内に設置してもよいし、油槽11の外壁中又は外壁に設置されていてもよい。また、ヒータ12に代えて、例えば、ガスバーナー、電磁誘導加熱等の他の加熱手段を用いる構成であってもよい。
【0016】
劣化指標検出センサ13は、油槽11に貯留された揚げ油Fの劣化指標を検出する。本実施形態では、劣化指標検出センサ13は、一部が当該揚げ油Fに浸漬されるように配設された極性化合物測定器で構成され、劣化指標として、揚げ油Fの極性化合物量を検出(測定)する。劣化指標検出センサ13によって検出した揚げ油Fの極性化合物量の値は、揚げ油Fの使用可否判定に用いられる。なお、詳細は後述するが、劣化指標として、揚げ油Fの酸価や粘度、粘度上昇量、アニシジン価、カルボニル価、ヨウ素価、トコフェロール含量等を検出し、これらを揚げ油Fの使用可否判定に用いる構成であってもよい。
【0017】
ディスプレイ14は、液晶パネル等で構成されており、フライヤー1の作業者からディスプレイ14が視認できる位置に配置されている。そして、ディスプレイ14は、各種情報を表示することで、フライヤー1の作業者に各種情報を報知する。
【0018】
操作パネル15は、揚げ作業を行う揚げ物の種類を選択するための操作部であり、例えば、揚げ物の種類を対応する複数のメニューボタンを有している。作業者は、操作パネル15を操作して、揚げ作業を行う揚げ物の種類を選択した状態で揚げ作業を行う。
【0019】
記憶部16は、例えば、フラッシュROM等で構成されている。また、記憶部16は、揚げ油Fの管理に用いられる劣化閾値データベース21を有している。なお、劣化閾値データベース21は、閾値記憶部の一例である。
【0020】
図2に示すように、劣化閾値データベース21は、揚げ物の種類と、劣化指標としての極性化合物量における閾値と、を対応付けて記憶する。すなわち、劣化閾値データベース21は、揚げ物の種類毎に設定された、揚げ作業に使用可能な揚げ油Fの極性化合物量の閾値を記憶したものである。なお、詳細には、劣化指標の閾値は、食用油として摂食可能な摂食可能限界値以下の値として設定されたものである。好ましくは、劣化指標の閾値は、食用油として摂食可能な摂食可能限界値以下の値であり、且つ、揚げ物における許容できる風味の限界に対応した許容値として設定されたものである。また、劣化指標の閾値は、食用油として摂食可能な摂食可能限界値以下の値であり、且つ、揚げ物における許容できる風味及び色の限界に対応した許容値として設定されたものであってもよい。本実施形態では、劣化閾値データベース21は、天ぷらと、パン粉を衣として用いる、エビフライやコロッケ等のパン粉フライと、から揚げと、の3種類の揚げ物に対する極性化合物量の閾値を記憶する。なお、揚げ作業に使用可能な揚げ油Fの極性化合物量の値は、天ぷら、パン粉フライ、から揚げ、の順に高くなる。そのため、劣化閾値データベース21に記憶された極性化合物量の閾値は、天ぷら、パン粉フライ、から揚げ、の順に高くなるように設定されている。なお、本実施形態では、衣の種類によって揚げ物を分類しているが、衣の種類に加え、揚げ物の食材によって揚げ物を分類する構成であってもよい。特に、天ぷらは、食材が野菜であるか魚介類であるかによって、揚げ油Fを揚げ作業に使用可能な劣化度合いが異なるため、野菜の天ぷらと、魚介類との天ぷらとで別種類として扱い、野菜の天ぷらと、魚介類との天ぷらとで異なる閾値を用いることが好ましい。無論、野菜の天ぷらと魚介類の天ぷらとを同一の種類とし、共通の閾値を用いる構成であってもよい。
【0021】
制御部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成されている。また、
図1に示すように、制御部17は、所定のプログラムを実行することで、劣化指標判定部31、揚げ油判定部32、判定結果報知部33、揚げ物判定部34及び揚げ作業中止部35として機能する。
【0022】
劣化指標判定部31は、劣化指標検出センサ13による検出値を受け付けて、油槽11に貯留された揚げ油Fの現在の劣化指標を判定する。本実施形態では、劣化指標判定部31は、劣化指標検出センサ13によって検出した揚げ油Fの現在の極性化合物量の値を、劣化指標として取得する。
【0023】
揚げ油判定部32は、劣化指標判定部31によって判定した現在の極性化合物量の値と、劣化閾値データベース21に記憶された揚げ物の種類毎の閾値と、に基づいて、劣化閾値データベース21に登録された各種類において、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する。すなわち、劣化閾値データベース21に登録された各種類について、劣化指標判定部31によって判定した現在の極性化合物量が、それぞれの閾値を超えているか否かを判定し、現在の極性化合物量が閾値を超えていると判定された場合には、その種類の揚げ物の揚げ作業に現在の揚げ油Fを使用可能でないと判定し、現在の極性化合物量が閾値を超えていないと判定された場合には、その種類の揚げ物の揚げ作業に現在の揚げ油Fを使用可能であると判定する。
【0024】
判定結果報知部33は、揚げ油判定部32による判定結果をディスプレイ14に表示する。具体的には、判定結果報知部33は、揚げ油判定部32によって現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類をディスプレイ14に表示して、これを報知する。なお、このとき、揚げ油判定部32によって現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類の全てを表示する構成であってもよいし、揚げ油判定部32によって現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類のうち、閾値が最も低いもののみを表示する構成であってもよい。また、揚げ油判定部32によって現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類の全てを表示する構成の場合、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類を、劣化閾値データベース21に記憶された閾値が低い順に並べて表示することが好ましい。なお、揚げ油判定部32によって現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類がない場合は、揚げ油Fを交換(廃棄)する旨の表示をして、作業者に揚げ油Fの交換(廃棄)を促すことが好ましい。
【0025】
揚げ物判定部34は、操作パネル15による入力情報に基づき、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類を判定する。なお、操作パネル15による入力情報に代えて、フライヤー1の調理スケジュールや、油槽11を撮像する撮像カメラによる撮像画像に基づいて、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類を判定する構成であってもよい。
【0026】
揚げ作業中止部35は、揚げ油判定部32による判定結果と、揚げ物判定部34の判定結果とに基づき、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類が、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能でないと判定された揚げ物の種類である場合、揚げ作業を中止する。すなわち、揚げ物判定部34によって判定された、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類と、揚げ油判定部32によって判定された、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能な揚げ物の各種類と、を照合することで、現在、揚げ作業を行っている揚げ物の種類が、現在の揚げ油Fを使用可能な種類であるか否かを判定し、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類が、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能でない揚げ物の種類であると判定された場合、揚げ作業を中止する。例えば、揚げ作業の中止処理では、警報を出力すると共に、同じ種類の揚げ物を連続して揚げることを想定し、次回の揚げ作業における揚げ油Fへの揚げ物の投入を中止(停止)して、次回の揚げ作業を中止する。また、今回の揚げ作業の完了後、ヒータ12を停止する。その後、揚げ作業を行う揚げ物の種類の変更や、揚げ油Fの交換が確認できるまで、揚げ作業の中止状態(禁止状態)を維持する。これによって、現在の揚げ油Fを使用可能でない種類の揚げ物が、当該揚げ油Fに投入されるのを避けることができる。
【0027】
(揚げ油管理動作)
次に
図3を参照して、制御部17による揚げ油管理動作について説明する。この揚げ油管理動作は、油槽11に貯留された揚げ油Fを管理する動作であり、フライヤー1の駆動中、一定時間毎(例えば、1秒毎)に行われるものである。なお、揚げ油管理動作は、揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油Fを管理する揚げ油管理方法の一例である。
【0028】
図3に示すように、揚げ油管理動作では、まず、制御部17は、劣化指標判定部31によって、油槽11に貯留された揚げ油Fの現在の極性化合物量を判定する(S1)(劣化指標判定工程)。すなわち、劣化指標検出センサ13からの検出値を受け付けて、揚げ油Fの現在の極性化合物量を取得する。
【0029】
現在の極性化合物量を取得したら、揚げ油判定部32によって、S1で判定した揚げ油Fの現在の極性化合物量と、劣化閾値データベース21に記憶された揚げ物の各種類の閾値と、に基づき、劣化閾値データベース21に登録されている各種類について、S1で判定した現在の極性化合物量が、それぞれの閾値を超えているか否かを判定する(S2)(揚げ油判定工程)。これによって、現在の揚げ油Fを各種類の揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する。
【0030】
現在の揚げ油Fを各種類の揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定したら、判定結果報知部33によって、S2の判定結果に基づき、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能な揚げ物の種類を表示する(S3)(判定結果報知工程)。すなわち、S2の判定によって、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類をディスプレイ14に表示する。これによって、作業者に対し、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能な揚げ物の種類を報知する。
【0031】
その後、揚げ物判定部34によって、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類を判定する(S4)。すなわち、操作パネル15による入力情報に基づき、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類を判定する。
【0032】
現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類を判定したら、揚げ作業中止部35によって、S4で判定した揚げ物の種類が、S2で判定した現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能な揚げ物の種類であるか否かを判定する(S5)。すなわち、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類が、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能な揚げ物の種類であるか否かを判定する。そして、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類が、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能な揚げ物の種類でないと判定された場合(S5:No)、現在行っている揚げ作業を中止する(S6)。すなわち、警報を出力すると共に、次回の揚げ作業における揚げ物の投入を停止する。また、今回の揚げ作業の完了後、ヒータ12を停止する。
【0033】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、揚げ物の種類毎の閾値を用いて揚げ物の種類毎に揚げ油Fの使用可否判定を行い、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能な揚げ物の種類を報知する構成であるため、現在揚げ作業を行っている揚げ物に、現在の揚げ油Fを使用できるか否かを把握することができると共に、現在の揚げ油Fをどの揚げ物なら使用できるかについて把握することができる。そのため、揚げ物の種類によっては使用可能な揚げ油Fが破棄されてしまうのを避けることができ、揚げ油Fを効率的に利用することができる。
【0034】
また、判定結果報知部33が、現在の揚げ油Fが使用できる揚げ物の種類のうちの、最も閾値が低い揚げ物の種類を報知することにより、作業者が次に当該揚げ油Fを使用すべき揚げ物の種類を把握することができる。なお、判定結果報知部33が、現在の揚げ油Fが使用できる揚げ物の種類のうちの最も閾値が低い揚げ物の種類に加え、2番目に閾値が低い揚げ物の種類も報知する構成であってもよい。また、上記最も閾値が低い揚げ物の種類を単に報知するのではなく、揚げ油Fを、上記最も閾値が低い揚げ物の種類に使用するよう指示する指示メッセージを報知する構成であってもよい。
【0035】
また、揚げ油判定部32の判定結果に基づき、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類が、現在の揚げ油Fの揚げ作業に使用可能ではない場合、揚げ作業を中止することで、揚げ作業を精度良く行うことができる。
【0036】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0037】
例えば、上記実施形態においては、判定結果報知部33が、揚げ油判定部32の判定結果に基づき、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能な揚げ物の種類を報知する構成であったが、判定結果報知部33が、揚げ油判定部32の判定結果に基づき、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能でない揚げ物の種類を報知する構成であってもよい。また、判定結果報知部33が、揚げ物の種類毎に、現在の揚げ油Fを揚げ作業に使用可能か否かを報知する構成であってもよい。また、判定結果報知部33が、現在揚げ作業を行っている揚げ物の種類が、揚げ油判定部32によって揚げ油Fを揚げ作業に使用可能であると判定されたか否かの情報を報知する構成であってもよい。
【0038】
また、上記実施形態においては、揚げ油Fの劣化指標として、揚げ油Fの極性化合物量を用いる構成であったが、揚げ油Fの劣化指標として、揚げ油Fの酸価、粘度、粘度、アニシジン価、カルボニル価、ヨウ素価、発煙点、揮発成分量、揮発成分組成、風味成分組成、トコフェロール含量及び屈折率の少なくとも1つを用いる構成であってもよい。具体的には、揚げ油Fの酸価、粘度、粘度上昇量、アニシジン価、カルボニル価、ヨウ素価、発煙点、揮発成分量、揮発成分組成、風味成分組成、トコフェロール含量及び屈折率の少なくとも1つを劣化指標検出センサ13あるいは別途測定により検出し、劣化閾値データベース21は、揚げ油Fの酸価、粘度、粘度上昇量、アニシジン価、カルボニル価、ヨウ素価、発煙点、揮発成分量、揮発成分組成、風味成分組成、トコフェロール含量及び屈折率の少なくとも1つにおける閾値を記憶し、劣化指標判定部31は、劣化指標検出センサ13あるいは別途測定による検出値を受け付けて、揚げ油Fの酸価、粘度、粘度上昇量、アニシジン価、カルボニル価、ヨウ素価、発煙点、揮発成分量、揮発成分組成、風味成分組成、トコフェロール含量及び屈折率の少なくとも1つを判定し、揚げ油判定部32は、揚げ油Fの酸価、粘度、粘度上昇量、アニシジン価、カルボニル価、ヨウ素価、発煙点、揮発成分量、揮発成分組成、風味成分組成、トコフェロール含量及び屈折率の少なくとも1つを用いて、使用可否判定を行う。なお、風味成分組成の検出値は、味覚センサ及び/又は風味センサの検出値に置き換えることもできる。
【0039】
また、劣化指標として、揚げ油Fの色や泡立ち量を用いる構成であってもよい。かかる場合、フライヤー1が、油槽11又は揚げ油Fを撮像する撮像カメラを備え、撮像カメラによって、揚げ油Fの色や泡立ち量を検出する。
【0040】
すなわち、揚げ油Fの劣化指標は、揚げ油Fの酸価、粘度、粘度上昇量、アニシジン価、極性化合物量、カルボニル価、ヨウ素価、発煙点、揮発成分量、揮発成分組成、風味成分組成、トコフェロール含量、屈折率、色及び泡立ち量の少なくとも1つである。
【0041】
また、ここでは、センサや撮像カメラによって、劣化指標を直接取得する構成を例示したが、劣化指標判定部31が、揚げ作業による揚げ油Fへの負荷量に基づいて、劣化指標を判定する構成であってもよい。すなわち、揚げ作業の回数や時間、揚げ油Fの加熱時間等に基づいて揚げ油Fの現在の劣化指標を推定し、推定した劣化指標に基づいて、揚げ油Fの使用可否判定を行う構成であってもよい。かかる場合、例えば、揚げ作業の回数や時間、揚げ油Fの加熱時間等と、揚げ油Fの劣化指標との相関関係データを予め記憶しておき、現在の揚げ作業の回数や時間、揚げ油Fの加熱時間等と当該相関関係データとに基づいて現在の劣化指標を推定する。
【0042】
また、上記実施形態においては、揚げ物の各種類について、同じ種類の劣化指標における閾値を記憶し、同じ種類の劣化指標によって揚げ油Fの使用可否判定を行う構成であったが、揚げ物の各種類について、異なる種類の劣化指標における閾値を記憶し、異なる種類の劣化指標によって揚げ油Fの使用可否判定を行う構成であってもよい。詳細には、劣化指標判定部31が、複数種類の劣化指標を判定し、劣化閾値データベース21が、上記複数種類の劣化指標のうちの、揚げ物の種類毎に異なる種類の劣化指標における閾値を記憶し、揚げ油判定部32が、判定した複数種類の劣化指標と、記憶した揚げ物の種類毎に異なる種類の劣化指標における閾値と、に基づき、各種類の揚げ物について、揚げ油Fが揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する構成とする。例えば、色を重視する天ぷらにおける揚げ油Fの使用可否判定では、揚げ油Fの色を劣化指標として用い、色を重視しない天ぷらやパン粉フライにおける揚げ油Fの使用可否判定では、揚げ油Fの酸価又は極性化合物量を劣化指標として用い、から揚げにおける揚げ油Fの使用可否判定では、揚げ油Fの酸価、極性化合物量又は屈折率を劣化指標として用いる。かかる場合、揚げ物の種類毎に最適な劣化指標を用いることができ、揚げ油Fの使用可否判定の精度を向上させることができる。
【0043】
また、上記実施形態においては、揚げ油判定部32の判定結果を受けて、判定結果の報知や揚げ作業の中止処理を行う構成であったが、揚げ油判定部32の判定結果に基づき、異なる揚げ物の種類が対応付けられた油槽11間の揚げ油Fの移送を行う構成であってもよい。詳細には、
図4に示すように、フライヤー1が、相互に異なる揚げ物の種類が対応付けられた複数の油槽11と、複数の油槽11間で揚げ油Fを移送する揚げ油移送機構51を備え、制御部17は、揚げ油Fを貯留した油槽11に対応付けられた揚げ物の種類が、揚げ油判定部32によって揚げ油Fを揚げ作業に使用可能でないと判定された揚げ物の種類である場合、揚げ油移送機構51を制御して、揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類のうちの閾値が最も低い揚げ物の種類に対応付けられた油槽11に、揚げ油Fを移送する構成であってもよい。なお、揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類のうちの閾値が最も低い揚げ物の種類に対応付けられた油槽11において、既に揚げ油Fがある場合、閾値が次に低い揚げ物の種類に対応付けられた油槽11に、揚げ油Fを移送する構成であってもよい。あるいは、揚げ作業に使用可能であると判定された揚げ物の種類のうちの閾値が最も低い揚げ物の種類に対応付けられた油槽11において、既に揚げ油Fがある場合、当該油槽11に揚げ油Fを移送する前に、当該油槽11にある揚げ油Fを、閾値が次に低い揚げ物の種類に対応付けられた油槽11に移送する構成であってもよい。これらの場合、揚げ油移送部は、制御部17及び揚げ油移送機構51によって構成されている。なお、かかる場合、制御部17が、揚げ油移送機構51を制御して揚げ油Fを移送するのに代えて、閾値が最も低い揚げ物の種類に対応付けられた油槽11への揚げ油Fの移送を促す指示メッセージを報知する構成であってもよい。
【0044】
また、
図4に示すように、フライヤー1が、相互に異なる揚げ物の種類が対応付けられた複数の油槽11と、複数の油槽11間で揚げ油Fを移送する揚げ油移送機構51を備える場合、油槽11に対応する揚げ物の種類の閾値が低い順に並べて油槽11を設置することが好ましい。かかる場合、揚げ油判定部32は、揚げ油Fを揚げ作業中の揚げ物に使用可能であるか否かの判定を行い、揚げ油Fを揚げ作業に使用可能でないと判定された場合、揚げ油移送機構51を制御して、次の油槽11に、揚げ油Fを移送する。この時、前の油槽11と次の油槽11の揚げ油Fの滞留時間が著しく異なる場合、滞留時間が長くなる方の油槽11の閾値を下げて、各油槽11の揚げ油Fの滞留時間が同じになるように調整することができる(例えば、前の油槽11より次の油槽11の揚げ油Fの滞留時間が著しく長い場合、前の油槽11から次の油槽11に揚げ油Fを移送する前に、次の油槽11の揚げ油Fの一部を次の次の油槽11に移送する)。なお、次の油槽11がない場合は、揚げ油Fを廃棄する。なお、かかる場合も、制御部17が、揚げ油移送機構51を制御して揚げ油Fを移送するのに代えて、揚げ油Fの移送、又は、揚げ油Fの廃棄を促す指示メッセージを報知する構成であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、異なる揚げ物の種類が対応付けられた油槽11の複数又は全ての判定や報知等の制御を一つの制御部17で行うことができるが、制御部17を、油槽11毎にそれぞれ有してもよい。かかる場合、各制御部17に接続される記憶部16は、同一のものであってもよく、各制御部17にそれぞれ別の記憶部16が接続されていてもよい。なお、各油槽11の揚げ物の種類が固定化されている場合、各制御部17に接続されている個々の記憶部16の劣化閾値データベース21は、一つの揚げ物種類の閾値のみ記憶していればよく、その場合、揚げ物の種類の情報を省略することができる。
【0046】
また、上記実施形態においては、劣化指標判定部31の判定結果と、劣化閾値データベース21に記憶された揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、揚げ油Fの使用可否判定を行う構成であったが、劣化指標判定部31の判定結果と、劣化閾値データベース21に記憶された揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、揚げ油Fにおける揚げ作業が可能な回数又は時間を判定する構成であってもよい。詳細には、制御部17が、
図1に記載の各部に加え、揚げ可能量判定部及び揚げ可能量報知部として機能し、揚げ可能量判定部は、劣化指標判定部31によって判定された揚げ油Fの劣化指標と、劣化閾値データベース21に記憶された揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、揚げ物判定部34によって判定された種類の揚げ物について、揚げ油Fによって揚げ作業が可能な回数又は時間を判定し、揚げ可能量報知部は、揚げ可能量判定部によって判定した、揚げ作業が可能な回数又は時間を報知する構成であってもよい。なお、劣化閾値データベース21に登録されている全ての揚げ物の種類について、揚げ油Fによって揚げ作業が可能な回数又は時間を判定、報知する構成であってもよい。
【0047】
また、記憶部16、制御部17、劣化指標判定部31、揚げ油判定部32、判定結果報知部33、揚げ物判定部34及び揚げ作業中止部35の全部又は一部が、フライヤー1に備えられている必要はなく、これらの全部又は一部が、フライヤー1の外部に備えられているであってもよい。これら記憶部16、制御部17、劣化指標判定部31、揚げ油判定部32、判定結果報知部33、揚げ物判定部34及び揚げ作業中止部35の全部又は一部が、外部に備えられたものである場合、有線、無線、及び/又はネットワークを通じで単一のフライヤー1又は複数のフライヤー1と接続されている。これら記憶部16、制御部17、劣化指標判定部31、揚げ油判定部32、判定結果報知部33、揚げ物判定部34及び揚げ作業中止部35の全部又は一部が、複数のフライヤー1に接続され、複数のフライヤー1を制御することもできる。その場合、複数のフライヤー1の状態を比較し、異常が見いだされた場合、警報を出すことができる。
【0048】
(実施形態のまとめ)
次に、以上説明した実施形態から把握される技術思想について、実施形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、請求の範囲における構成要素を実施形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0049】
《1》揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油(F)を管理する揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)であって、前記揚げ油(F)の劣化指標を判定する劣化指標判定部(31)と、前記揚げ物の種類毎の、前記劣化指標における閾値を記憶する閾値記憶部(21)と、前記劣化指標判定部(31)によって判定された前記劣化指標と、前記閾値記憶部(21)に記憶された前記揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、各種類の前記揚げ物について、前記揚げ油(F)が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する揚げ油判定部(32)と、前記揚げ油判定部(32)によって前記揚げ油(F)を揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類、又は、前記揚げ油(F)を揚げ作業に使用可能でないと判定された前記揚げ物の種類を報知する判定結果報知部(33)と、を備えたことを特徴とする揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)。
《2》前記判定結果報知部(33)は、前記揚げ油判定部(32)によって前記揚げ油(F)を揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類を、前記閾値が低い順に並べて報知することを特徴とする《1》に記載の揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)。
《3》前記判定結果報知部(33)は、前記揚げ油判定部(32)によって前記揚げ油(F)を揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類のうちの前記閾値が最も低い前記揚げ物の種類を報知することを特徴とする《1》に記載の揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)。
《4》揚げ作業を行っている前記揚げ物の種類を判定する揚げ物判定部(34)と、前記揚げ物判定部(34)によって判定された前記揚げ物の種類が、前記揚げ油判定部(32)によって前記揚げ油(F)を揚げ作業に使用可能でないと判定された前記揚げ物の種類である場合、揚げ作業を中止する揚げ作業中止部(35)と、を更に備えたことを特徴とする《1》乃至《3》のいずれか1つに記載の揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)。
《5》相互に異なる前記揚げ物の種類が対応付けられた油槽(11)間で前記揚げ油(F)を移送する揚げ油移送部(17、51)を、更に備え、前記揚げ油移送部(17、51)は、前記揚げ油(F)を貯留した前記油槽(11)に対応付けられた前記揚げ物の種類が、前記揚げ油判定部(32)によって前記揚げ油(F)を揚げ作業に使用可能でないと判定された前記揚げ物の種類である場合、揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類のうちの前記閾値が最も低い前記揚げ物の種類に対応付けられた前記油槽(11)に、前記揚げ油(F)を移送することを特徴とする《1》乃至《4》のいずれか1つに記載の揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)。
《6》揚げ作業を行っている前記揚げ物の種類を判定する揚げ物判定部(34)と、前記劣化指標判定部(31)によって判定された前記劣化指標と、前記閾値記憶部(21)に記憶された前記揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、前記揚げ物判定部(34)によって判定された種類の揚げ物について、前記揚げ油(F)によって揚げ作業が可能な回数又は時間を判定する揚げ可能量判定部と、前記揚げ可能量判定部によって判定した、揚げ作業が可能な回数又は時間を報知する揚げ可能量報知部と、を更に備えたことを特徴とする《1》乃至《5》のいずれか1つに記載の揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)。
《7》前記劣化指標判定部(31)は、複数種類の前記劣化指標を判定し、前記閾値記憶部(21)は、前記複数種類の劣化指標のうちの、前記揚げ物の種類毎に異なる種類の前記劣化指標における閾値を記憶し、前記揚げ油判定部(32)は、前記複数種類の劣化指標と、前記揚げ物の種類毎に異なる種類の前記劣化指標における閾値と、に基づき、各種類の揚げ物について、前記揚げ油(F)が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定することを特徴とする《1》乃至《6》のいずれか1つに記載の揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)。
《8》前記劣化指標は、酸価、色、粘度、粘度上昇量、アニシジン価、極性化合物量、カルボニル価、ヨウ素価、発煙点、揮発成分量、揮発成分組成、風味成分組成、トコフェロール含量、屈折率及び泡立ち量の少なくとも1つであることを特徴とする《1》乃至《7》のいずれか1つに記載の揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)。
《9》前記劣化指標判定部(31)は、揚げ作業による前記揚げ油(F)への負荷量に基づいて、前記劣化指標を判定することを特徴とする《1》乃至《8》のいずれか1つに記載の揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)。
《10》揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油(F)を管理する揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)であって、前記揚げ油(F)の劣化指標を判定する劣化指標判定部(31)と、前記揚げ物の種類毎の、前記劣化指標における閾値を記憶する閾値記憶部(21)と、前記劣化指標判定部(31)によって判定された前記劣化指標と、前記閾値記憶部(21)に記憶された前記揚げ物の種類毎の閾値と、に基づき、各種類の前記揚げ物について、前記揚げ油(F)が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する揚げ油判定部(32)と、前記揚げ作業を行っている前記揚げ物の種類が、前記揚げ油判定部(32)によって前記揚げ油を揚げ作業に使用可能であると判定されたか否かの情報を報知する判定結果報知部(33)と、を備えたことを特徴とする揚げ油管理装置(13、14、15、16、17)。
《11》揚げ物の揚げ作業に使用される揚げ油(F)を管理する揚げ油管理方法であって、前記揚げ油(F)の劣化指標を判定する劣化指標判定工程(S1)と、前記劣化指標判定工程(S1)によって判定された前記劣化指標と、前記揚げ物の種類毎に設定された閾値と、に基づき、各種類の前記揚げ物について、前記揚げ油(F)が前記揚げ物の揚げ作業に使用可能であるか否かを判定する揚げ油判定工程(S2)と、前記揚げ油判定工程(S2)によって、前記揚げ油(F)を揚げ作業に使用可能であると判定された前記揚げ物の種類、又は、前記揚げ油(F)を揚げ作業に使用可能でないと判定された前記揚げ物の種類を報知する判定結果報知工程(S3)と、を実行することを特徴とする揚げ油管理方法。
【符号の説明】
【0050】
11:油槽、 13:劣化指標検出センサ、 14:操作パネル、 15:ディスプレイ、 16:記憶部、 17:制御部、 21:劣化閾値データベース、 31:劣化指標判定部、 32:揚げ油判定部、 33:判定結果報知部、 34:揚げ物判定部、 35:揚げ作業中止部、 51:揚げ油移送機構、 F:揚げ油