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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103435
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240725BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01L21/30 570
H01L21/30 563
G03F7/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131191
(22)【出願日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2023007596
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】下青木 剛
(72)【発明者】
【氏名】ダウエンドルファー アルノ アライン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】川上 真一路
(72)【発明者】
【氏名】亀井 佑矢
(72)【発明者】
【氏名】岡田 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 崇文
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA01
2H196CA01
2H196EA07
2H196FA01
2H196GA03
2H196JA04
5F146HA07
5F146LA18
5F146LA19
(57)【要約】
【課題】無機レジストの良好なパターンを得る。
【解決手段】基板処理方法であって、下地膜の上に無機レジストの被膜が形成され露光処理が施された基板を現像液により現像し、前記無機レジストのパターンを形成する工程と、現像された前記基板に埋め込み液を供給し、前記パターンにおける隣接する凸部の間を充填する工程と、充填された前記埋め込み液を乾燥させ、前記基板上に埋め込み膜を形成する工程と、紫外線により前記埋め込み膜の厚さを減らす工程と、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地膜の上に無機レジストの被膜が形成され露光処理が施された基板を現像液により現像し、前記無機レジストのパターンを形成する工程と、
現像された前記基板に埋め込み液を供給し、前記パターンにおける隣接する凸部の間を充填する工程と、
充填された前記埋め込み液を乾燥させ、前記基板上に埋め込み膜を形成する工程と、
紫外線により前記埋め込み膜の厚さを減らす工程と、を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記下地膜と前記埋め込み膜は、同種の有機膜である、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記下地膜の上に前記無機レジストの被膜が形成される前に、酸素含有雰囲気下で、前記下地膜に、紫外線を照射する工程を、さらに含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記下地膜の上に前記無機レジストの被膜が形成される前に、前記下地膜に水を供給し、または、前記下地膜をオゾン雰囲気に曝す工程を、さらに含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記埋め込み膜の厚さを減らす工程は、前記パターンの間の底部に前記埋め込み膜が残るよう、当該埋め込み膜を除去する、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記埋め込み膜の厚さを減らす工程後の前記パターンの状態を測定する工程と、
前記測定する工程での測定結果に基づいて、前記埋め込み膜に係る処理条件の決定を含む、パターン倒れに係る決定を行う工程と、を含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記埋め込み液は、当該埋め込み液に対する前記無機レジストの溶解性を向上させる成分を副成分として含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項8】
基板処理方法を基板処理装置によって実行させるように、当該基板処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体であって、
前記基板処理方法は、
下地膜の上に無機レジストの被膜が形成され露光処理が施された基板を現像液により現像し、前記無機レジストのパターンを形成する工程と、
現像された前記基板に埋め込み液を供給し、隣接する前記パターンの間を充填し、その後、充填した前記埋め込み液を乾燥させ、前記基板上に埋め込み膜を形成する工程と、
紫外線により前記埋め込み膜の厚さを減らす工程と、を含む、コンピュータ記憶媒体。
【請求項9】
基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を現像液により現像する現像部と、
前記基板に埋め込み液を供給する埋め込み部と、
前記基板に紫外線を照射する紫外線照射部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
下地膜の上に無機レジストの被膜が形成され露光処理が施された基板を現像液により現像し、前記無機レジストのパターンを形成する工程と、
現像された前記基板に前記埋め込み液を供給し、前記パターンにおける隣接する凸部の間を充填する工程と、
充填された前記埋め込み液を乾燥させ、前記基板上に埋め込み膜を形成する工程と、
紫外線により前記埋め込み膜の厚さを減らす工程と、を当該基板処理装置が実行するよう、制御を行う、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の半導体製造方法は、半導体基板上に形成された感光性膜を現像する工程又は前記感光性膜の現像後に前記半導体基板を洗浄する工程において、少なくとも、表面張力が純水よりも小さい現像液を用いて前記感光性膜を現像する工程か、表面張力が純水より小さい洗浄液を用いて前記半導体基板を洗浄する工程かの何れかを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-326392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、無機レジストの良好なパターンを得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、下地膜の上に無機レジストの被膜が形成され露光処理が施された基板を現像液により現像し、前記無機レジストのパターンを形成する工程と、現像された前記基板に埋め込み液を供給し、前記パターンにおける隣接する凸部の間を充填する工程と、充填された前記埋め込み液を乾燥させ、前記基板上に埋め込み膜を形成する工程と、紫外線により前記埋め込み膜の厚さを減らす工程と、を含む、基板処理方法である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、無機レジストの良好なパターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置の内部構成の概略を示す説明図である。
図2図1のウェハ処理装置の正面側の内部構成の概略を示す図である。
図3図1のウェハ処理装置の背面側の内部構成の概略を示す図である。
図4】現像モジュールの構成の概略を示す縦断面図である。
図5】現像モジュールの構成の概略を示す横断面図である。
図6図1のウェハ処理装置による処理の例の主な工程を示すフローチャートである。
図7図1のウェハ処理装置による処理の各工程におけるウェハWの状態を模式的に示す部分拡大断面図である。
図8】第2実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置における背面側の内部構成の概略を示す図である。
図9図8のウェハ処理装置による処理の例の主な工程を示すフローチャートである。
図10】第3実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置における正面側の内部構成の概略を示す図である。
図11図1のウェハ処理装置による処理の例の主な工程を示すフローチャートである。
図12】第4実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置の内部構成の概略を示す説明図である。
図13図12のウェハ処理装置の正面側の内部構成の概略を示す図である。
図14図12のウェハ処理装置によるパターン倒れに係る決定シーケンスの例を示すフローチャートである。
図15】第4実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置の内部構成の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスにおけるフォトリソグラフィでは、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)等の基板上に所望のレジストのパターンを形成するために一連の処理が行われる。上記一連の処理には、例えば、基板上にレジスト液を供給しレジストの被膜(以下、レジスト膜)を形成するレジスト塗布処理、レジスト膜を所定のパターンで露光する露光処理、露光されたレジスト膜内の化学反応を促進させること等を目的として露光後に基板を加熱するPEB(Post Exposure Bake)処理、露光されたレジスト膜を現像しレジストのパターンを形成する現像処理等が含まれる。
【0009】
従来、レジストとして、化学増幅型レジストが多く用いられていたが、近年では、非化学増幅型の無機レジスト(例えば、金属含有レジスト等)が用いられることがある。この無機レジストは、微細なパターンを形成する場合により適したレジストとして期待されている。ただし、無機レジストを用いた場合でも、パターンが倒れること、すなわち、欠陥の一種であるパターン倒れが生じることがある。
【0010】
そこで、本開示にかかる技術は、パターン倒れ等の欠陥の発生を抑制し、無機レジストの良好なパターンを得る。
【0011】
以下、本実施形態にかかる基板処理方法及び基板処理装置を、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置の内部構成の概略を示す説明図である。図2及び図3はそれぞれ、図1のウェハ処理装置の正面側と背面側の内部構成の概略を示す図である。
【0013】
図1のウェハ処理装置1は、基板としてのウェハWに、無機レジストのパターンを形成する。ウェハ処理装置1が用いる無機レジストは、例えば、金属含有レジストまたはシリコン(Si)含有レジストである。金属含有レジストは、例えば無機成分としてスズ酸化物を含み、Si含有レジストは無機成分としてシリコンを含む。
【0014】
ウェハ処理装置1は、図1図3に示すように、カセットステーション10と、処理ステーション11と、インターフェイスステーション12とを備え、露光装置Eと連結される。露光装置Eは、ウェハWに、露光処理を施し、具体的には、例えばEUV(Extreme Ultra-Violet)光を用いた露光処理を施す。カセットステーション10と、処理ステーション11と、インターフェイスステーション12とは、この順で水平方向に並ぶように設けられ、一体に接続されている。また、インターフェイスステーション12における処理ステーション11と反対側に露光装置Eが連結される。
【0015】
なお、以下では、インターフェイスステーション12と露光装置Eとの連結方向を幅方向といい、上面視で上記連結方向すなわち幅方向に垂直な方向を奥行き方向という。
【0016】
カセットステーション10は、ウェハWを複数収容可能に構成された収容容器であるカセットCが搬入出されるものである。
カセットステーション10は、例えば、幅方向一方側(図のY方向負側)の端部に、カセット載置台20が設けられている。カセット載置台20上には、複数、例えば4つの載置板21が設けられている。載置板21は奥行き方向(図のX方向)に一列に並べて設けられている。これらの載置板21には、ウェハ処理装置1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置することができる。
【0017】
また、カセットステーション10は、例えば、幅方向他方側(図のY方向正側)に、ウェハWを搬送する搬送モジュール23が設けられている。搬送モジュール23は、奥行き方向(図1のX方向)に移動自在に構成された搬送アーム23aを有する。また、搬送モジュール23の搬送アーム23aは、鉛直方向及び鉛直軸周りの方向にも移動自在に構成されている。この搬送モジュール23は、各載置板21上のカセットC及び後述の受け渡しタワー50の受け渡しモジュール51の間でウェハWを搬送できる。
【0018】
なお、カセットステーション10は、カセット載置台20の上方や、カセット載置台20より露光装置Eから遠い部分(図のY方向負側部分)に、カセットCが載置されて貯留される貯留部(図示せず)が設けられていてもよい。
【0019】
処理ステーション11は、現像処理等の所定の処理を施す各種処理モジュールを複数備えるものである。
【0020】
処理ステーション11は、それぞれが各種モジュールを備えた複数(図の例では2つ)のブロックに分割されている。インターフェイスステーション12側に処理ブロックBL1を有し、カセットステーション10側に受け渡しブロックBL2を有する。
【0021】
処理ブロックBL1は、例えば、手前側(図1のX方向負側)に第1のブロックG1を有し、奥側(図1のX方向正側)に第2のブロックG2を有する。
【0022】
例えば第1のブロックG1には、図2に示すように複数の液処理モジュール、例えば現像部及び埋め込み部としての現像モジュール30、下地膜形成モジュール31、レジスト塗布モジュール32が下からこの順に配置されている。
【0023】
現像モジュール30は、ウェハWを現像液により現像し、すなわち、湿式で現像する。現像液としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と酢酸の混合液や、2-ヘプタノン等が用いられる。
現像モジュール30の現像により、所定の形状の凸部を多数有する無機レジストのパターンがウェハW上に形成される。なお、無機レジストがネガ型の金属含有レジストの場合は、例えば、露光処理およびPEB処理後の金属含有レジストの膜において、縮合反応が進んだ領域が上記の現像液などの現像用流体に対して不溶化し、上記のパターンとして残る。
【0024】
また、現像モジュール30は、ウェハWに埋め込み処理を施す。埋め込み処理は、ウェハWに埋め込み液を供給し、隣り合う無機レジストのパターンにおける隣接する凸部の間を充填する。充填された埋め込みが乾燥されると、ウェハW上に埋め込み膜が形成される。
【0025】
下地膜形成モジュール31は、処理液である下地膜材料をウェハWに供給し、無機レジストの被膜(以下、無機レジスト膜)の下地膜を形成する。下地膜は、具体的には有機膜であり、より具体的にはカーボン含有率が80%以上90%以下であるスピンオンカーボン(SOC:Spin On Carbon)膜である。無機レジストのパターンをマスクとした下地膜のエッチングにフッ素系のガスが必要な場合、エッチング装置のチャンバが汚染されてしまうことがある。この点、下地膜を有機膜とした場合、酸素系のガスで下地膜をエッチングすることができるため、チャンバが汚染されるのを抑制することができる。またこのようなカーボン含有率が80%以上90%以下であるSOC膜を下地膜として形成することにより、その上に形成される無機レジスト膜との密着性が向上し、無機レジストの微小なパターンを倒壊させずに形成しやすくなることが考えられる。
【0026】
レジスト塗布モジュール32は、ウェハWに無機レジストを塗布して無機レジスト膜を形成するレジスト塗布部である。
【0027】
例えば現像モジュール30、下地膜形成モジュール31、レジスト塗布モジュール32は、それぞれ幅方向(図のY方向)に4つ並べて配置されている。なお、これら現像モジュール30、下地膜形成モジュール31、レジスト塗布モジュール32の数や配置は、任意に選択できる。
【0028】
これら現像モジュール30、下地膜形成モジュール31、レジスト塗布モジュール32では、例えばスピン塗布法でウェハW上に所定の処理液を塗布する。スピン塗布法では、例えば吐出ノズルからウェハW上に処理液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、処理液をウェハWの表面に拡散させる。なお、現像モジュール30の構成については後述する。
【0029】
例えば第2のブロックG2には、図3に示すように熱処理モジュール40が鉛直方向と幅方向(図のY方向)に複数並べて設けられている。熱処理モジュール40の数や配置についても、任意に選択できる。
熱処理モジュール40は、加熱処理や冷却処理といった熱処理をウェハWに施す。
【0030】
処理ブロックBL1は、図1に示すように、第1のブロックG1と第2のブロックG2との間の部分に、幅方向に延びる搬送路R1が設けられている。処理ブロックBL1では、この幅方向に延びる搬送路R1に沿って並ぶように、現像モジュール30や下地膜形成モジュール31、レジスト塗布モジュール32が複数配置されている。搬送路R1には、ウェハWを搬送する搬送モジュールR2が配置されている。
【0031】
搬送モジュールR2は、例えば幅方向(図のY方向)、鉛直方向及び鉛直軸周りの方向に移動自在な搬送アームR2aを有している。搬送モジュールR2は、ウェハWを保持した搬送アームR2aを搬送路R1内で移動させ、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、後述の受け渡しタワー50及び受け渡しタワー60内の所定のモジュールに、ウェハWを搬送できる。搬送モジュールR2は、例えば図3に示すように上下に複数台配置され、例えば、第1のブロックG1、第2のブロックG2、受け渡しタワー50、60それぞれの同程度の高さの所定のモジュールにウェハWを搬送できる。
【0032】
また、搬送路R1には、受け渡しタワー50と受け渡しタワー60との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送モジュールR3が設けられている。
【0033】
シャトル搬送モジュールR3は、支持したウェハWをY方向に直線的に移動させ、同程度の高さの受け渡しタワー50のモジュールと受け渡しタワー60のモジュールとの間でウェハWを搬送できる。
【0034】
受け渡しブロックBL2は、図1に示すように、奥行き方向(図のX方向)中央部に、受け渡しタワー50が設けられている。受け渡しタワー50は、具体的には、受け渡しブロックBL2における、処理ブロックBL1の搬送路R1と幅方向(図のY方向)に隣接する位置に、設けられている。受け渡しタワー50には、図3に示すように、複数の受け渡しモジュール51が鉛直方向に重なるように設けられている。
【0035】
また、図1に示すように、受け渡しブロックBL2の手前側の端部には、紫外線照射部としてのUV照射モジュール52が設けられている。図2に示すようにUV照射モジュール52も鉛直方向に重なるように設けられていてもよい。
【0036】
UV照射モジュール52は、ウェハWに紫外線を照射し、具体的には、酸素含有雰囲気下でウェハWの上面全体すなわち全面に紫外線を照射する。
【0037】
インターフェイスステーション12は、図1に示すように、処理ステーション11と露光装置Eとの間に設けられ、これらの間でウェハWの受け渡しを行うものである。
インターフェイスステーション12における、処理ブロックBL1の搬送路R1と幅方向(図のY方向)に隣接する位置に、受け渡しタワー60が設けられている。受け渡しタワー60には、図3に示すように、複数の受け渡しモジュール61が鉛直方向に重なるように設けられている。
【0038】
また、図1に示すように、インターフェイスステーション12には、搬送モジュールR4が設けられている。
【0039】
搬送モジュールR4は、受け渡しタワー60と幅方向(図のY方向)に隣接する位置に設けられ、例えば、奥行き方向(図のX方向)、鉛直方向及び鉛直軸周りの方向に移動自在な搬送アームR4aを有している。搬送モジュールR4は、搬送アームR4aにウェハWを保持して、受け渡しタワー60の複数の受け渡しモジュール61及び露光装置Eの間でウェハWを搬送できる。
【0040】
さらに、受け渡しブロックBL2には搬送モジュールR5、R6が設けられている。
【0041】
搬送モジュールR5は、受け渡しタワー50の奥側(図のX方向正側)に設けられ、例えば、鉛直方向に移動自在な搬送アームR5aを有している。搬送モジュールR5は、搬送アームR5aにウェハWを保持して、受け渡しタワー50の複数の受け渡しモジュール51の間でウェハWを搬送できる。
【0042】
搬送モジュールR6は、受け渡しタワー50とUV照射モジュール52との間に設けられ、例えば、鉛直方向及び鉛直軸周りの方向に移動自在な搬送アームR6aを有している。搬送モジュールR6は、搬送アームR6aにウェハWを保持して、受け渡しタワー50の複数の受け渡しモジュール51及びUV照射モジュール52の間でウェハWを搬送できる。
【0043】
さらに、ウェハ処理装置1は、搬送モジュールの制御を含む当該ウェハ処理装置1の制御を行う制御部3を有している。制御部3は、例えばCPU等のプロセッサやメモリを備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理装置1による処理を制御する指令を含むプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御部3にインストールされたものであってもよい。記憶媒体Hは、一時的なものであっても、非一時的なものであってもよい。
【0044】
<現像モジュール30>
次に、現像モジュール30の構成について図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5はそれぞれ、現像モジュール30の構成の概略を示す縦断面図及び横断面図である。
【0045】
現像モジュール30は、図4及び図5に示すように、内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100の搬送モジュールR2側の側面には、ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0046】
処理容器100内の中央部には、基板保持部としてのスピンチャック110が設けられている。スピンチャック110は、ウェハWを保持するものであり、回転自在に構成されている。また、スピンチャック110は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック110上に吸着保持できる。
【0047】
スピンチャック110の下方には、回転機構としてのチャック駆動部111が設けられている。チャック駆動部111は、例えばモータ等を備えており、スピンチャック110を所望の速度で回転させることができ、これにより、スピンチャック110に保持されたウェハWを所望の速度で回転させることができる。また、チャック駆動部111には、例えばシリンダ等の昇降駆動源が設けられており、これによりスピンチャック110が昇降自在になっている。
【0048】
スピンチャック110の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ112が設けられている。カップ112の下面には、回収した液体を排出する排出管113と、カップ112内の雰囲気を真空引きして排気する排気管114が接続されている。
【0049】
図5に示すようにカップ112のX方向負方向(図5中の下方向)側には、Y方向(図5中の左右方向)に沿って延伸するレール120、121が形成されている。レール120、121は、例えばカップ112のY方向負方向(図5中の左方向)側の外方からY方向正方向(図5中の右方向)側の外方まで形成されている。レール120、121にはそれぞれ、第1のアーム122、第2のアーム123が取り付けられている。
【0050】
第1のアーム122には、図4及び図5に示すように、現像液を吐出してウェハW上に供給する現像液ノズル124が支持されている。
【0051】
第1のアーム122は、図5に示すノズル駆動部125により、レール120上を移動自在である。これにより、現像液ノズル124は、カップ112のY方向正方向側の外方に設置された待機部126からカップ112内のウェハWの中心部上方まで移動できる。また、第1のアーム122は、ノズル駆動部125によって昇降自在であり、現像液ノズル124の高さを調節できる。
【0052】
現像液ノズル124には、現像液の供給源(図示せず)が接続されている。また、現像液ノズル124と上記現像液の供給源との間の供給管(図示せず)には、現像液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群が設けられている。
【0053】
第2のアーム123には、図4及び図5に示すように、埋め込み液を吐出してウェハW上に供給する埋め込み液ノズル127が支持されている。埋め込み液は、例えば、埋め込み膜として有機膜が形成される有機系の処理液であり、具体的には、例えば有機ポリマーを溶質とし有機溶媒を溶媒とした有機ポリマー溶液である。埋め込み液により形成される埋め込み膜と、下地膜形成モジュール31が形成する下地膜は同種の有機膜であってもよい。ここでの「同種」とは、酸素含有雰囲気下での紫外線照射によるエッチングに対する耐性が同程度である種類を意味する。
【0054】
第2のアーム123は、図5に示す移動機構としてのノズル駆動部128により、レール121上を移動自在である。これにより、埋め込み液ノズル127は、カップ112のY方向負方向側の外方に設置された待機部129からカップ112内のウェハWの周縁領域上方まで移動できる。また、第2のアーム123は、ノズル駆動部128によって昇降自在であり、埋め込み液ノズル127の高さを調節できる。
【0055】
埋め込み液ノズル127には、埋め込み液の供給源(図示せず)が接続されている。また、埋め込み液ノズル127と上記埋め込み液の供給源との間の供給管(図示せず)には、埋め込み液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群が設けられている。
【0056】
なお、下地膜形成モジュール31、レジスト塗布モジュール32の構成は、現像モジュール30の構成と同様である。ただし、下地膜形成モジュール31、レジスト塗布モジュール32と、現像モジュール30とでは、処理液を吐出する吐出ノズルの本数や吐出ノズルから供給される処理液は異なる。
【0057】
<ウェハ処理装置1による処理の例>
次に、ウェハ処理装置1による処理の一例について説明する。図6は、ウェハ処理装置1による処理の例の主な工程を示すフローチャートである。図7は、上記処理の各工程におけるウェハWの状態を模式的に示す部分拡大断面図である。なお、以下の各工程は、プログラム格納部(図示せず)に格納されたプログラムに基づく制御部3の制御の下、実行される。
【0058】
まず、ウェハ処理装置1内にウェハWが搬入される(ステップS1)。
具体的には、例えば、まず、搬送モジュール23によって、カセット載置台20上のカセットCからウェハWが取り出され、受け渡しブロックBL2の受け渡しタワー50の受け渡しモジュール51に搬送される。
【0059】
次に、ウェハWに下地膜形成処理が施され、ウェハW上に下地膜が形成される
具体的には、例えば、ウェハWが、搬送モジュールR2によって、処理ブロックBL1の下地膜形成モジュール31に搬送され、下地膜材料が、ウェハWの表面に回転塗布され、ウェハWの表面を覆うように、SOC膜等の下地膜が形成される。
【0060】
次いで、ウェハWにレジスト塗布処理が施され、ウェハW上に無機レジスト膜が形成される(ステップS3)。
具体的には、例えば、ウェハWが、搬送モジュールR2によって、レジスト塗布モジュール32に搬送され、無機レジストとしてネガ型の金属含有レジストが、ウェハWの表面に回転塗布され、ウェハWの表面を覆うように、金属含有レジストの被膜(以下、「金属含有レジスト膜」)等の無機レジスト膜が形成される。
【0061】
続いて、ウェハWに露光前加熱(PAB:Pre-Applied Bake)処理が施される(ステップS4)。
具体的には、ウェハWが、PAB処理用の熱処理モジュール40に搬送され、当該ウェハWに対し、加熱処理が施される。その後、ウェハWが、インターフェイスステーション12の受け渡しタワー60の受け渡しモジュール61に搬送される。
【0062】
次に、ウェハWに露光処理が施される(ステップS5)。
具体的には、例えば、ウェハWが、搬送モジュールR4によって、露光装置Eに搬送され、ウェハW上の無機レジスト膜に、EUV光により、マスクに形成された所定のパターンが転写される。上記所定のパターンは、例えば30nmピッチのラインアンドスペースのパターンである。その後、ウェハWが、搬送モジュールR4によって、受け渡しタワー60の受け渡しモジュール61に搬送される。
【0063】
次いで、ウェハWに、PEB処理(露光後加熱処理)が施される(ステップS6)。
具体的には、例えば、ウェハWが、搬送モジュールR2によって、PEB処理用の熱処理モジュール40に搬送され、当該ウェハWに対し、加熱処理が施される。
【0064】
続いて、ウェハWが現像される(ステップS7)。
具体的には、例えば、ウェハWが、搬送モジュールR2によって、現像モジュール30に搬送され、当該ウェハWに対して、現像液を用いた現像処理すなわち湿式の現像処理が施される。
【0065】
より具体的には、ウェハWが、搬送モジュールR2によって、現像モジュール30内に搬送され、スピンチャック110に吸着保持される。
続いて、待機部126上の現像液ノズル124が、スピンチャック110に吸着保持されたウェハWの中心部の上方まで移動する。その後、スピンチャック110によってウェハWが回転された状態で、現像液ノズル124から現像液が吐出され当該ウェハWの表面上に供給される。供給された現像液が遠心力によりウェハWの表面全面に拡散されて、当該ウェハWの表面全面を覆う現像液パドルが形成される。次に、現像液の吐出が停止され、ウェハWを予め定められた時間静止させる静止現像が行われる。これより、ウェハW上のレジスト膜の現像が進行し、図7(A)に示すように、ウェハWの下地膜U上に、所定の形状の凸部RP1を多数有する無機レジストのパターンRPが形成される。
【0066】
なお、その後、洗浄液ノズル(図示せず)から洗浄液がウェハWの表面上に供給され、現像液が除去されてもよい。
【0067】
また、一実施形態において、次工程のステップS8の埋め込み処理工程の開始まで、ウェハWは濡れたままの状態である。ウェハWが濡れたままの状態とは、具体的には、例えば、図7(A)に示すようにウェハW上全体に現像液Dが残ったままの状態を意味し、現像液供給後に洗浄液が供給される場合は、ウェハW上全体に洗浄液が残ったままの状態を意味する。
【0068】
現像後、ウェハWに埋め込み処理が施される(ステップS8)。すなわち、ウェハWに埋め込み液が供給され、無機レジストのパターンRPにおける隣接する凸部RP1の間が充填され、その後、埋め込み液が乾燥され、図7(B)に示すように、ウェハW上に埋め込み膜Fが形成される。
【0069】
埋め込み処理は現像モジュール30により行われる。
具体的には、例えば、待機部129上の埋め込み液ノズル127が、スピンチャック110に吸着保持されたウェハWの中心部の上方まで移動する。その後、上述のように濡れたままのウェハWがスピンチャック110によって回転された状態で、埋め込み液ノズル127から埋め込み液が吐出され、当該ウェハWの表面上に供給される。供給された埋め込み液が遠心力によりウェハWの表面全面に拡散され、当該ウェハWの表面全面において、無機レジストのパターンRPにおける隣接する凸部RP1の間が充填される。その後、埋め込み液の吐出が停止され、その状態で、ウェハWの回転が行われ、埋め込み液が乾燥され、図7(B)に示すように、ウェハWに埋め込み膜Fが形成される。形成された埋め込み膜Fの厚さは、例えば無機レジストのパターンRPが有する凸部RP1の高さの20%~90%である。
また、埋め込み膜Fは、有機膜である。埋め込み膜Fは前述のように下地膜Uと同種の有機膜であってもよい。炭素の含有率の関係は、無機レジスト膜(すなわち無機レジストのパターンRP)<埋め込み膜F<下地膜Uが好ましい一例である。
【0070】
このような埋め込み膜Fを形成することにより、無機レジストのパターンRPが倒れるのを抑制することができ、具体的には、無機レジストのパターンRPの凸部RP1が倒れるのを抑制することができる。より具体的には、無機レジストのパターンRPの凸部RP1が下地膜Uから剥がれて倒れるのを抑制することができる。
【0071】
次に、ウェハWに、ポストベーク処理が施される(ステップS9)。
具体的には、例えば、ウェハWが、搬送モジュールR2によって、ポストベーク処理用の熱処理モジュール40に搬送され、当該ウェハWに対して加熱処理が施される。これにより、無機レジストのパターンRPが固化される。すなわち、図7(C)に示すように、ウェハW上に、固化された凸部Rs1を有する無機レジストのパターンRsが形成される。無機レジストのパターンRPの固化により、無機レジストのパターンRsと下地膜Uの密着度も向上する。また、ポストベーク処理により、埋め込み膜Fがさらに乾燥する。
【0072】
続いて、埋め込み膜Fの厚さが減らされる(ステップS10)。
具体的には、例えば、ウェハWが、搬送モジュールR2によって、受け渡しブロックBL2の受け渡しタワー50の受け渡しモジュール51に搬送される。次いで、搬送モジュールR6によって、UV照射モジュール52に搬送され、ウェハWに対して紫外線照射処理が行われ、例えば図7(D)に示すように埋め込み膜F全体が除去される。UV照射モジュール52では、酸素含有雰囲気下(具体的には例えば大気ガス雰囲気下)でウェハWの全面に紫外線が照射され、ウェハW上の埋め込み膜Fが、周囲の雰囲気中の、紫外線により生成されたオゾンにより、除去される。紫外線照射処理後、ウェハWは、受け渡しタワー50の受け渡しモジュール51に搬送される。
【0073】
そして、ウェハWがウェハ処理装置1から搬出される(ステップS11)。
具体的には、ウェハWが、ステップS1とは逆の手順でカセットCに戻される。
【0074】
これでウェハ処理装置1による一連の処理は完了する。
【0075】
なお、ウェハWは、その後、例えば、ウェハ処理装置1の外部のエッチング装置(図示せず)に搬送される。外部のエッチング装置では、無機レジストのパターンをマスクとした下地膜Uのエッチング等が行われる。
また、埋め込み膜と下地膜が同種の有機膜である場合、ステップS10の埋め込み膜の低減工程において、無機レジストのパターンをマスクとした下地膜の除去すなわちエッチングが併せて行われてもよい。これにより、下地膜のさらに下層のエッチング対象膜を、無機レジストのパターンをマスクとしてエッチングするまでの、一連のプロセスを簡素化することができる。
【0076】
<第1実施形態の主な効果>
以上のように、ウェハ処理装置1は、下地膜Uの上に無機レジスト膜が形成され露光処理が施されウェハWを現像液により現像し、無機レジストのパターンを形成する工程を実行する。また、ウェハ処理装置1は、現像されたウェハに埋め込み液を供給し、無機レジストのパターンにおける隣接する凸部の間を充填する工程と、充填された埋め込み液を乾燥させ、ウェハW上に埋め込み膜を形成する工程と、を実行する。そのため、ウェハ処理装置1によれば、現像により形成された、無機レジストのパターンにおける凸部の少なくとも底部を、埋め込み膜で支えることができる。したがって、無機レジストのパターンに倒れが生じるのを抑制することをできる。具体的には、無機レジストのパターンが固化され下地膜との密着性が高まるまでの間に、無機レジストのパターンに倒れが生じるのを抑制することができる。より具体的には、少なくともポストベーク処理終了までの間に、下地膜からの剥がれ等により、無機レジストのパターンに倒れが生じるのを抑制することができる。
【0077】
ウェハ処理装置1は、埋め込み液を乾燥させて埋め込み膜を形成した後に、紫外線により埋め込み膜の厚さを減らす工程をさらに実行する。すなわち、ウェハ処理装置1では、埋め込み液を乾燥させてから除去している。これとは異なり、埋め込み液を乾燥させずに液体のまま除去することが考えられる。しかし、この方法では、埋め込み液による表面張力によって、すなわち埋め込み液に起因した毛細管現象によって、無機レジストのパターンが倒れるおそれがある。それに対し、上述のように、ウェハ処理装置1では埋め込み液を乾燥させてから除去しているため、除去の際に、埋め込みに液による表面張力が、無機レジストのパターンの凸部に作用するのを抑制することができるため、上記表面張力によって無機レジストのパターンが倒れるのを抑制することができる。
【0078】
このように、本実施形態によれば、無機レジストのパターンが倒れるのを抑制することができるため、無機レジストの良好なパターンを得ることができる。
本発明者らは、無機レジストのラインアンドスペースのパターンについて、本実施形態のように埋め込み膜を形成した場合と、形成しない場合とで、パターン倒れが生じない最小の線幅を比較した。埋め込み膜を形成しない場合、上記最小の線幅が約17.7nmであったのに対し、埋め込み膜を形成した場合、上記最小の線幅が約15.6nmであった。この結果からも、本実施形態によれば無機レジストのパターンが倒れるのを抑制することができるが分かる。
【0079】
また、本実施形態では、ウェハ処理装置1が、埋め込み膜の厚さを減らす工程を実行するため、ウェハ処理装置1の外部で埋め込み膜を除去する負担を低減することができる。例えば、ウェハ処理装置1の外部のエッチング装置で無機レジストのパターンをマスクとした下地膜のエッチングを行う場合、当該外部のエッチング装置で埋め込み膜を除去する負担を低減することができる。
【0080】
さらに、本実施形態では、濡れたままの状態のウェハWに埋め込み液が供給される。この場合、埋め込み液の供給前に現像液等の処理液による表面張力によって無機レジストのパターンが倒れるのを抑制することができる。
【0081】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置における背面側の内部構成の概略を示す図である。
【0082】
本発明者らが行った実験によれば、無機レジスト膜(具体的にはスズ含有レジスト膜)を形成する前の下地膜に紫外線を照射する場合、窒素雰囲気下で照射したときより、酸素含有雰囲気下(具体的には大気ガス雰囲気下)で照射したときの方が、パターン倒れの発生率が低かった。
これは、酸素含有雰囲気下での紫外線照射により、下地膜の表面においてOH基が増加し、すなわち、下地膜の表面の親水性が高くなり、その結果、無機レジストのパターンの凸部の下部が幅広となり、無機レジストのパターンと下地膜の密着性が向上したことが原因と考えられる。
【0083】
図8のウェハ処理装置1Aは、上述の実験結果を踏まえたものであり、図1等に示したウェハ処理装置1の構成に加えて、別の紫外線照射部としてのUV照射モジュール41を備える。UV照射モジュール41は、前述のUV照射モジュール52と同様、ウェハWに紫外線を照射し、具体的には、酸素含有雰囲気下でウェハWの上面全体すなわち全面に紫外線を照射する。
【0084】
UV照射モジュール41は、処理ステーション11Aの処理ブロックBL1Aの第2のブロックG2Aに、熱処理モジュール40と同様、鉛直方向と幅方向(図のY方向)に複数並べて設けられている。UV照射モジュール41の数や配置についても、任意に選択できる。
【0085】
<ウェハ処理装置1Aによる処理の例>
図9は、ウェハ処理装置1Aによる処理の例の主な工程を示すフローチャートである。
ウェハ処理装置1Aによる処理では、例えば、図9に示すように、ウェハ処理装置1による処理におけるステップS2の下地膜形成工程までが行われた後、ウェハWの全面すなわち下地膜全面に紫外線が照射される。
【0086】
具体的には、ウェハWが、搬送モジュールR2によって、UV照射モジュール41に搬送され、酸素含有雰囲気(具体的には例えば大気ガス雰囲気下)で、当該ウェハWの全面に紫外線が照射される。これにより、ウェハW上の下地膜の表面全体が、周囲の雰囲気中の、紫外線により生成されたオゾンにより親水化される。すなわち、上記オゾンにより、ウェハW上の下地膜の表面のOH基が増加する。
【0087】
その後、ウェハ処理装置1による処理におけるステップS3以降が行われる。
【0088】
<第2実施形態の主な効果>
本実施形態では、下地膜上に無機レジスト膜を形成する前に、酸素含有雰囲気下で、下地膜に紫外線が照射されるため、上述のように、ウェハW上の下地膜の表面を親水化させることができる。そのため、下地膜上に無機レジストのパターンを形成したときに、当該パターンの凸部の下部を幅広とすることができる。したがって、無機レジストのパターンと下地膜の密着性を向上させることができ、パターン倒れをさらに抑制することができる。
【0089】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置における正面側の内部構成の概略を示す図である。
【0090】
本発明者らが行った実験によれば、無機レジスト膜(具体的にはスズ含有レジスト膜)を形成する前の下地膜に、水またはオゾン水を供給した場合、供給しなかった場合に比べて、パターン倒れの発生率が低かった。
これは、水またはオゾン水の供給により、下地膜の表面においてOH基が増加し、すなわち、下地膜の表面の親水性が高くなり、その結果、無機レジストのパターンの凸部の下部が幅広となり、無機レジストのパターンと下地膜の密着性が向上したことが原因と考えられる。
【0091】
図10のウェハ処理装置1Bは、上述の実験結果を踏まえたものであり図1等に示したウェハ処理装置1の構成に加えて、親水化モジュール33を備える。親水化モジュール33は、下地膜を親水化させるための液(以下、親水化液)を処理液として、ウェハWに供給する。親水化液は、例えば、水またはオゾン水である。
【0092】
親水化モジュール33は、処理ステーション11Bの処理ブロックBL1Bの第1のブロックG1Bに、現像モジュール30等と同様、幅方向(図のY方向)に複数並べて設けられている。親水化モジュール33の数や配置についても、任意に選択できる。
また、親水化モジュール33では、現像モジュール30等と同様、例えばスピン塗布法でウェハW上に親水化液を塗布する。
なお、親水化モジュール33の構成は、現像モジュール30の構成と同様である。ただし、親水化モジュール33と、現像モジュール30とでは、処理液を吐出する吐出ノズルの本数や吐出ノズルから供給される処理液は異なる。
【0093】
<ウェハ処理装置1Bによる処理の例>
図11は、ウェハ処理装置1Bによる処理の例の主な工程を示すフローチャートである。
ウェハ処理装置1Aによる処理では、例えば、図11に示すように、ウェハ処理装置1による処理におけるステップS2の下地膜形成工程までが行われた後、親水化液による下地膜の親水化処理が行われる。
【0094】
具体的には、ウェハWが、搬送モジュールR2によって、親水化モジュール33に搬送され、親水化液が、回転するウェハWの表面に供給される。これにより、ウェハW上の下地膜の表面全体が、親水化液中のOHラジカルによって親水化される。すなわち、親水化液中のOHラジカルによって、ウェハW上の下地膜の表面全体のOH基が増加する。
【0095】
その後、ウェハ処理装置1による処理におけるステップS3以降が行われる。
【0096】
<第3実施形態の主な効果>
本実施形態では、下地膜上に無機レジスト膜を形成する前に、水やオゾン水等の親水化水が下地膜に供給されるため、上述のように、ウェハW上の下地膜の表面を親水化させることができる。そのため、下地膜上にレジストのパターンを形成したときに、レジストのパターンの凸部の下部を幅広とすることができる。したがって、レジストのパターンと下地膜に密着性を向上させることができる。
【0097】
(第3実施形態の変形例)
以上では、親水化水としてオゾン水を下地膜に供給することで、下地膜をオゾン雰囲気に曝していた。下地膜をオゾン雰囲気に曝す手法は、これに限られず、例えば、オゾンを含むガスを下地膜に供給する方法、具体的には2流体ノズルからオゾンを含むガスを下地膜に噴き付ける方法であってもよい。
また、以上では、親水化モジュール33とレジスト塗布モジュール32とは、別々のモジュールに構成されていたが、一体化され同一モジュールとされていてもよい。この場合、一体化されたモジュールは、親水化水とレジスト液とを個別に回収可能なハイブリッドカップを有することが好ましい。
【0098】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置の内部構成の概略を示す説明図である。図13は、図12のウェハ処理装置の正面側の内部構成の概略を示す図である。
【0099】
図12及び図13のウェハ処理装置1Dと、図1図3のウェハ処理装置1とは、以下の点で異なる。
・ウェハ処理装置1Dが、図8のウェハ処理装置1Bと同様、UV照射モジュール41を含む第2のブロックG2Aを有する点。
・ウェハ処理装置1Dが、測定モジュール53を有する点。
・ウェハ処理装置1Dにおいて、現像モジュール30Dが、現像液の吐出時の利用形態が互いに異なる複数種類の現像液ノズルを有し、また、無機含有レジストの溶解度が互いに異なる複数種類の現像液の中から、吐出する現像液を切り替え可能に構成されている点。
・ウェハ処理装置1Dにおいて、制御部3Dのプログラム格納部に、後述のパターン倒れに係る決定シーケンスのための指令を含むプログラムがさらに格納されている点。
【0100】
測定モジュール53は、ウェハ処理装置1Dにより形成された無機レジストのパターンの状態を測定する。具体的には、測定モジュール53は、UV照射モジュール52により埋め込み膜の厚さが減らされた後の無機レジストのパターンの状態を、大気圧雰囲気下で測定する。測定モジュール53による測定は例えばスキャトロメトリ法を用いて行われる。
測定モジュール53による測定結果は制御部3Dに出力される。
【0101】
測定モジュール53は、例えば、処理ステーション11Bの受け渡しブロックBL2Dに設けられる。具体的には、測定モジュール53は、例えば、図13に示すように、UV照射モジュール52と鉛直方向に重なるように複数設けられる。
【0102】
<ウェハ処理装置1Dによるパターン倒れに係る決定シーケンスの例>
図14は、ウェハ処理装置1Dによるパターン倒れ(パターンの剥がれを含む。)に係る決定シーケンスの例を示すフローチャートである。
ウェハ処理装置1Dによる上記決定シーケンスでは、埋め込み膜に係る処理条件の決定を含む、無機レジストのパターン倒れに係る決定が行われる。
【0103】
ウェハ処理装置1Dによる上記決定シーケンスでは、例えば、まず、図14に示すように、埋め込み膜に係る処理条件が決定される(ステップS51)。具体的には、条件出し用ウェハWについて、図6を用いて説明した、ステップS8の埋め込み処理工程を含むウェハ処理装置1による処理と同様な処理が行われ、金属含有レジストのパターンが形成される。また、形成された金属含有レジストのパターンの状態が測定され、その測定結果に基づいて、埋め込み膜に係る処理条件が決定される。埋め込み膜に係る処理条件とは、例えば、ステップS8の埋め込み処理工程における、埋め込み液の乾燥条件である。現像モジュール30Dにおいて、埋め込み液の種類や濃度を変更可能な場合には、埋め込み膜に係る処理条件は、埋め込み液の種類や濃度であってもよい。
【0104】
ステップS51では、より具体的には、例えば、まず、条件出し用ウェハWについて、図6のステップS1~ステップS11の各工程が行われる。この際、ステップS5の露光処理では、以下のようにして、露光が行われる。すなわち、ウェハWの表面を複数の領域に区画したときの各領域を分割露光領域としたとき、分割露光領域毎に、異なる露光条件(具体的にはフォーカスと露光量)で露光が行われる。また、この際、ステップS8の埋め込み処理工程の処理条件には、予め記憶された候補の中から選択されたものが用いられる。さらに、この際、ステップS10の埋め込み膜の厚さ低減工程後且つステップS11の搬出前に、測定モジュール53により、無機レジストのパターンの状態が、上記分割露光領域毎に、スキャトロメトリ法を用いて測定される。
【0105】
次いで、制御部3Dが、上記分割露光領域毎に、測定モジュール53によるスキャトロメトリ法を用いた測定結果に基づいて、パターン倒れの欠陥が発生しているか否かを判定する。
具体的には、制御部3Dが、上記分割露光領域毎に、測定モジュール53によるスキャトロメトリ法を用いた測定結果と、目標のパターン寸法に対応する、予め記憶されたモデルとの適合度(GOF:Goodness of Fit)を計算する。そして、制御部3Dは、上記適合度が所定の閾値未満である分割露光領域については、パターン倒れの欠陥が発生していると判定し、上記適合度が所定の閾値以上である分割露光領域については、パターン倒れの欠陥が発生していないと判定する。
【0106】
そして、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値以上の場合、すなわち、所望の状態の無機含有レジストのパターンを形成するための露光条件に所定の裕度を確保できる場合、条件出し用ウェハWに対しステップS8の埋め込み処理工程で用いられた処理条件の候補が、実際のウェハWに対する同工程の処理条件に決定される。
【0107】
一方、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値未満の場合、すなわち、所望の状態の無機含有レジストのパターンを形成するための露光条件に所定の裕度を確保できない場合は、確保できるまで、上述の各工程が繰り返される。ただし、繰り返す度に、ステップS8の埋め込み処理工程で用いる処理条件は、予め記憶された他の候補に変更される。
【0108】
なお、予め記憶された、ステップS8の埋め込み処理工程で用いる処理条件の候補の中に、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値以上となるものがない場合がある。すなわち、ステップS8の埋め込み処理工程の処理条件について予め設定された範囲内では、所望の状態の無機含有レジストのパターンを形成するための露光条件に所定の裕度を確保できない場合(図14のステップS52のNOの場合)がある。この場合は、現像液の種類がさらに決定される(ステップS53)。
【0109】
具体的には、条件出し用ウェハWについて、図6を用いて説明した、ステップS8の埋め込み処理工程を含むウェハ処理装置1による処理と同様な処理が行われ、金属含有レジストのパターンが形成される。また、形成された金属含有レジストのパターンの状態が測定され、その測定結果に基づいて、現像液の種類が決定される。
【0110】
ステップS53では、より具体的には、例えば、まず、条件出し用ウェハWについて、ステップS51と同様、図6のステップS1~ステップS11の各工程と、測定モジュール53による測定が行われる。この際、ステップS7の現像工程で用いられる現像液の種類は、予め記憶された候補の中から選択される。また、この際、ステップS8の埋め込み処理工程は、予め記憶された処理条件の候補のうち、ステップS51において上記適合度が最も高かった候補に基づいて、行われてもよい。
【0111】
次いで、制御部3Dが、ステップS51と同様に、上記分割露光領域毎に、測定モジュール53によるスキャトロメトリ法を用いた測定結果に基づいて、パターン倒れの欠陥が発生しているか否かを判定する。
【0112】
そして、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値以上の場合、用いられた現像液の種類が、実際のウェハWに対し用いられる現像液の種類に決定される。
【0113】
一方、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値未満の場合、すなわち、所望の状態の無機含有レジストのパターンを形成するための露光条件に所定の裕度を確保できない場合は、確保できるまで、上述の各工程が繰り返される。ただし、繰り返す度に、ステップS7で用いられる現像液の種類は、予め記憶された、他の種類に変更される。この際、ステップS7の現像工程で用いられる現像液の種類は、前述の適合度に応じて変更されてもよい。具体的には、適合度がやや小さくパターン倒れの欠陥が存在する場合は、ネガ型の無機レジストの溶解度に比例するハンセン溶解度パラメータの水素結合項がより小さい現像液の種類に変更され、適合度が非常に小さくパターン倒れの欠陥が多い場合は、上記水素結合項がさらに小さい現像液の種類に変更されてもよい。ハンセン溶解度パラメータの水素結合項は、現像液の種類と対応付けられて、記憶部(図示せず)に予め記憶されている。
【0114】
なお、予め記憶された、現像液の種類の中に、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値以上となるものがない場合がある。すなわち、現像液について予め設定された種類の中では、所望の状態の無機含有レジストのパターンを形成するための露光条件に所定の裕度を確保できない場合(図14のステップS54のNOの場合)がある。この場合は、図9を用いて説明した処理と同様、下地膜形成工程後、レジスト膜形成工程までの間に、下地膜に対する紫外線照射工程が行われることが決定されると共に、当該紫外線照射工程の処理条件がさらに決定される(ステップS55)。ここで決定される処理条件は、例えば、当該紫外線照射工程における単位時間当たりの露光量であり、また、露光時間であってもよい。
【0115】
ステップS55では、具体的には、例えば、まず、条件出し用ウェハWについて、ステップS53と同様、図6のステップS1~ステップS11の各工程と、測定モジュール53による測定が行われると共に、ステップS2とステップS3の間に図9のステップS21が行われる。この際、ステップS21の紫外線照射工程は、予め記憶された、処理条件の候補の中から選択された、上記候補に基づいて、行われる。また、この際に用いられる現像液の種類は、予め記憶された現像液の種類の候補のうち、ステップS53において前述の適合度が最も高かったものであってよい。
【0116】
次いで、制御部3Dが、上記分割露光領域毎に、測定モジュール53によるスキャトロメトリ法を用いた測定結果に基づいて、パターン倒れの欠陥が発生しているか否かを判定する。
【0117】
そして、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値以上の場合、条件出し用ウェハWに対しステップS21の紫外線照射工程で用いられた処理条件の候補が、実際のウェハWに対する同工程の処理条件に決定される。
【0118】
一方、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値未満の場合、すなわち、所望の状態の無機含有レジストのパターンを形成するための露光条件に所定の裕度を確保できない場合は、確保できるまで、上述の各工程が繰り返される。ただし、繰り返す度に、ステップS21の紫外線照射工程で用いる処理条件は、予め記憶された他の候補に変更される。
【0119】
なお、予め記憶された、ステップS21の紫外線照射工程で用いる処理条件の候補の中に、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値以上となるものがない場合がある。すなわち、ステップS21の紫外線照射工程の処理条件について予め設定された範囲内では、所望の状態の無機含有レジストのパターンを形成するための露光条件に所定の裕度を確保できない場合(図14のステップS56のNOの場合)がある。この場合は、現像液ノズルの種類がさらに決定される(ステップS57)。現像液ノズルは、その種類によって現像液の供給形態が異なるため、供給される現像液が無機レジストのパターンに与える衝撃がノズル毎に異なるため、現像液ノズルの種類の変更により、パターン倒れの抑制を図ることができる。
【0120】
ステップS57では、具体的には、例えば、まず、条件出し用ウェハWについて、ステップS55と同様、図6のステップS1~ステップS11の各工程と、測定モジュール53による測定が行われると共に、ステップS2とステップS3の間に図9のステップS21が行われる。この際、ステップS7の現像工程で用いられる現像液のノズルは、予め記憶された候補の中から選択される。また、この際、ステップS21の紫外線照射工程は予め記憶された処理条件の候補のうち、ステップS55において上記適合度が最も高かった候補に基づいて、行われてもよい。
【0121】
次いで、制御部3Dが、ステップS51と同様に、上記分割露光領域毎に、測定モジュール53によるスキャトロメトリ法を用いた測定結果に基づいて、パターン倒れの欠陥が発生しているか否かを判定する。
【0122】
そして、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値以上の場合、用いられた現像液ノズルの種類が、実際のウェハWに対し用いられる現像液ノズルの種類に決定される。
【0123】
一方、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値未満の場合、すなわち、所望の状態の無機含有レジストのパターンを形成するための露光条件に所定の裕度を確保できない場合は、確保できるまで、上述の各工程が繰り返される。ただし、繰り返す度に、ステップS7で用いられる現像液ノズルの種類は、予め記憶された、他の種類に変更される。
【0124】
次いで、制御部3Dが、ステップS51と同様に、上記分割露光領域毎に、測定モジュール53によるスキャトロメトリ法を用いた測定結果に基づいて、パターン倒れの欠陥が発生しているか否かを判定する。
【0125】
そして、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値以上の場合、条件出し用ウェハWに対し用いられた現像液ノズルの種の候補が、実際のウェハWに対すし用いられる現像液ノズルに決定される。
【0126】
一方、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値未満の場合、すなわち、所望の状態の無機含有レジストのパターンを形成するための露光条件に所定の裕度を確保できない場合は、確保できるまで、上述の各工程が繰り返される。ただし、繰り返す度に、ステップS7で用いられる現像液ノズルの種類は、予め記憶された、他の種類に変更される。
【0127】
なお、予め記憶された、現像液ノズルの種類の中に、パターン倒れの欠陥が発生していない分割領域の数が所定の閾値以上となるものがない場合がある。すなわち、現像液ノズルについて予め設定された種類の中では、所望の状態の無機含有レジストのパターンを形成するための露光条件に所定の裕度を確保できない場合(図14のステップS58のNOの場合)がある。この場合は、例えば、ウェハ処理装置1Dによるパターン倒れに係る決定シーケンスを完了することができなかった旨が報知される(ステップS59)。この報知は例えば液晶ディスプレイ等の表示デバイスを介して行われる。
【0128】
ウェハ処理装置1Dによるパターン倒れに係る決定シーケンスが完了した場合は、決定シーケンスにより決定された処理条件に基づいて、実際のウェハWが処理される。
【0129】
(第4実施形態の変形例)
以上では、「所望の状態の無機含有レジストのパターン」における「所望の状態」とは、パターン倒れの欠陥が発生していない状態を意味していた。上記「所望の状態」は、パターン倒れの欠陥が発生していない状態であって、さらに、所望の線幅を有している状態または無機含有レジストのパターンの除去処理により適切に除去される状態の少なくともいずれか一方を満たすことを意味してもよい。
なお、無機含有レジストのパターンの線幅は、制御部3Dにより、測定モジュール53による測定結果に基づいて算出される。
また、無機含有レジストのパターンの除去処理により適切に除去される状態か否かは例えば以下のようにして判定される。すなわち、ウェハ処理装置1Aの外部のエッチング装置で、無機含有レジストのパターンの除去処理が行われた後、ウェハ処理装置1Aの外部の測定装置で、ウェハWの状態が測定され、測定結果が、制御部3Dに出力される。そして、制御部3Dにより、上記測定結果に基づいて、無機含有レジストのパターンが、除去処理により適切に除去される状態か否か、判定される。
【0130】
また、以上の例では、現像モジュール30Dそれぞれに互いに異なる複数種類の現像ノズルが設けられていたが、現像ノズルの種類毎に互いに異なる現像モジュールに設けられていてもよい。
【0131】
以上の例では、第4実施形態において決定する、埋め込み膜に関する処理条件は、ステップS8の現像工程における処理条件であったが、ステップS9のポストベーク処理工程における処理条件(例えばウェハWの温度や加熱時間等)やステップS6のPEB処理工程における処理条件(例えばウェハWの温度や加熱時間等)であってもよい。
【0132】
制御部3Dにおける、少なくともパターン倒れに係る決定を行う部分は、ウェハ処理装置1Dと同種のウェハ処理装置を複数まとめて制御する制御装置に設けられていてもよい。
【0133】
(第5実施形態)
図15は、第5実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置の内部構成の概略を示す説明図である。
【0134】
図15のウェハ処理装置1Eは、湿式処理部2と、乾式処理部4と、第1中継搬送部5と、第2中継搬送部6と、を有する。
湿式処理部2は、カセットステーション10Eと、処理ステーション11Eと、インターフェイスステーション12と、を備える。前述のウェハ処理装置1の処理ステーション11の処理ブロックBL1の数は1つであった。それに対し、図15のウェハ処理装置1Eは、処理ステーション11Eに、幅方向(図のY方向)に沿って、複数(図の例では2つ)の処理ブロックBL3、BL4が中継ブロックBL5を間に挟んで設けられている。処理ブロックBL3は、カセットステーション10側に位置し、処理ブロックBL4は、インターフェイスステーション12E側に位置する。
【0135】
処理ブロックBL3、BL4はそれぞれ、図1等に示した処理ブロックBL1と略同様に構成される。具体的には、処理ブロックBL3、BL4はそれぞれ、例えば、手前側(図のX方向負側)に第1のブロックG1を有する。第1のブロックG1には、例えば、現像モジュール30、下地膜形成モジュール31及びレジスト塗布モジュール32がそれぞれ幅方向(図のY方向)に沿って複数並べて配置されている。また、処理ブロックBL3、BL4はそれぞれ、例えば奥側(図のX方向正側)に第2のブロックG2を有する。第2のブロックG2には、例えば、熱処理モジュール40が鉛直方向と幅方向(図のY方向)に複数並べて設けられている。
【0136】
なお、処理ブロックBL3と処理ブロックBL4とで、幅方向に並ぶ現像モジュール30の数は異なっていても同じであってもよい。下地膜形成モジュール31,レジスト塗布モジュール32及び熱処理モジュール40についても同様である。
【0137】
また、処理ブロックBL3、BL4は、第1のブロックG1と第2のブロックG2との間の部分に、幅方向に延びる搬送領域R7、R8が設けられている。搬送領域R7、R8にはそれぞれ、ウェハWを搬送する搬送モジュールR9、R10が配置されている。
【0138】
搬送モジュールR9は、周囲の液処理モジュール、熱処理モジュール40、受け渡しタワー50の受け渡しモジュール51及び後述の受け渡しタワー54の受け渡しモジュールに、ウェハWを搬送できる。搬送モジュールR10は、周囲の液処理モジュール、熱処理モジュール40、後述の受け渡しタワー54の受け渡しモジュール及び受け渡しタワー60の受け渡しモジュール61に、ウェハWを搬送できる。
【0139】
中継ブロックBL5は、奥行き方向(図のX方向)中央部に、受け渡しタワー54が設けられている。受け渡しタワー54には、複数の受け渡しモジュール(図示せず)が鉛直方向に重なるように設けられている。受け渡しタワー54の奥側(図のX方向正側)には、搬送モジュールR11が設けられている。搬送モジュールR11は、受け渡しタワー54の複数の受け渡しモジュール及び後述の受け渡しモジュール55の間でウェハWを搬送する。
【0140】
本例では、第1中継搬送部5と湿式処理部2との間での受け渡し用に、受け渡しモジュール55が搬送モジュールR11の奥側(図のX方向正側)に設けられている。
【0141】
また、本例では、第2中継搬送部6と湿式処理部2との間での受け渡し用に、受け渡しモジュール56が搬送モジュールR5の奥側(図のX方向正側)に設けられている。この例では、搬送モジュールR5は、受け渡しタワー50の複数の受け渡しモジュール51及び受け渡しモジュール56の間でウェハWを搬送できる。
【0142】
乾式処理部4は、ロードロックステーション200と、処理ステーション201と、ロードロックモジュール202と、を有する。
【0143】
ロードロックステーション200にはロードロックモジュール210が設けられている。ロードロックモジュール210、202はそれぞれ、内部雰囲気を減圧雰囲気と大気圧雰囲気とで切り替え可能に構成されている。
【0144】
処理ステーション201は、真空搬送室220と、処理モジュール221と、熱処理モジュール222と、を有する。
【0145】
真空搬送室220は、密閉可能に構成された筐体からなり、その内部が減圧状態(真空状態)に保たれる。
【0146】
処理モジュール221は、乾式処理モジュールであり、湿式処理部2の湿式処理モジュールと同種のウェハ処理を乾式で行い、具体的には、湿式処理部2の現像モジュール30が行う現像処理を乾式で行う。乾式とは、ガスを用いる方式であり、具体的には、減圧下でガスを用いる方式である。乾式処理はその処理目的となる作用を主にガスによって得るもので、湿式処理はその作用を主に液体によって得るものとも言える。
【0147】
熱処理モジュール222は、乾式の現像処理後のウェハWに加熱処理としてのポストベーク処理を行う。
【0148】
また、真空搬送室220の内部には、ウェハWを搬送する搬送モジュール223が設けられている。搬送モジュール223は、例えば幅方向(図のY方向)及び鉛直軸周りの方向に移動自在な搬送アーム223aを有している。搬送モジュール223は、搬送アーム223aにウェハWを保持して、処理モジュール221、熱処理モジュール222及びロードロックモジュール210、211の間でウェハWを搬送できる。
【0149】
第1中継搬送部5及び第2中継搬送部6はそれぞれ、湿式処理部2と乾式処理部4との間で、ウェハWを搬送する。
【0150】
この第1中継搬送部5は、中継ブロックBL5と奥行き方向(図のX方向)に隣接する位置に、搬送路230を有する。搬送路230には、搬送モジュール231が設けられている。搬送モジュール231は、受け渡しモジュール55とロードロックモジュール210との間でウェハWを搬送する。
【0151】
第2中継搬送部6は、受け渡しブロックBL2Eと奥行き方向(図のX方向)に隣接する位置に搬送路240を有する。搬送路240には、搬送モジュール241が設けられている。搬送モジュール231は、受け渡しモジュール56とロードロックモジュール202との間でウェハWを搬送する。
【0152】
<ウェハ処理装置1Eによる処理の例>
次に、ウェハ処理装置1Eによる処理の一例について説明する。
ウェハ処理装置1Eによる処理の一例では、例えば、まず図6のステップS1~ステップS8の各工程が行われる。これにより、ウェハW上には、例えば、目標の線幅より太い、無機レジストのパターンが形成されると共に、埋め込み膜が形成される。
【0153】
次に、熱処理モジュール40により2回目のPEB処理が行われる。これにより無機レジストのパターンの架橋が促進され、無機レジストのパターンが硬化される。
続いて、図6のステップS10が行われ、UV照射モジュール52により、埋め込み膜が除去される。
その後、乾式処理部4の処理モジュール221により、追加の現像処理が乾式で行われ、無機レジストのパターンの線幅が細くされ、目標の線幅の無機レジストのパターンが形成される。
【0154】
(第5実施形態の変形例)
UV照射モジュール52は、受け渡しブロックBL2Eに代えて、または、加えて、中継ブロックBL5に設けられていてもよい。
【0155】
<その他の変形例>
以上の例では、埋め込み膜の厚さを減らす際に、埋め込み膜を全て除去していたが、無機レジストのパターンにおける隣接する凸部の間の底部に埋め込み膜が残るようにしてもよい。例えば、無機レジストのパターンの凸部の高さの10%以上、埋め込み膜が残るようにしてもよい。
この場合、凸部RP1の間に残った埋め込み膜Fは、無機レジストのパターンをマスクとしエッチングガスを用いた下地膜Uのエッチングの際に、下地膜Uと一緒に除去される。埋め込み膜Fは、下地膜U用として一般的なエッチングガスに対し、下地膜Uよりエッチング耐性が低いことが好ましい。
上述のように埋め込み膜が一部残るようにすることで、無機レジストのパターンが倒れるのを、下地膜Uのエッチングまでの間、抑制することができる。
また、この場合、第4実施形態において、埋め込み膜に係る処理条件を決定する際に、埋め込み膜に係る処理条件として、埋め込み膜Fの厚さを減らす量を決定してもよい。
【0156】
以上の例では、ウェハWを現像する現像部と、ウェハWに埋め込み処理を施す埋め込み部とが、1つのモジュールにまとめられていたが、それぞれが別々のモジュールを構成してもよい。
【0157】
また、埋め込み膜除去用のUV照射モジュール52では、ウェハWを加熱しながら紫外線を照射してもよい。この場合、UV照射モジュール52は、熱処理モジュール40と同様、ウェハWが載置される熱板(図示せず)を有する。UV照射モジュール52と、熱処理モジュール40とは一体化され同一モジュールとされていてもよい。この場合、紫外線照射処理直前に行われる加熱処理(例えば図6の例におけるポストベーク処理または第5実施形態における2回目のPEB処理)と紫外線照射処理との両方を行うモジュールでは、紫外線照射処理直前の加熱処理と紫外線照射処理を連続して行ってもよい。具体的には、上記モジュールでは、紫外線照射処理直前の加熱処理が完了してから、ウェハWの熱板による加熱を継続しながら、熱板上のウェハWに向けて紫外線が照射されてもよい。
【0158】
以上の例では、無機レジストのパターンの状態が、スキャトロメトリ法を用いて測定されていた。これに代えて、無機レジストのパターンの表面を撮像モジュールにより撮像し、撮像結果に基づいて、無機レジストのパターンの状態が検出/測定されてもよい。
【0159】
本発明者らが試験を重ねたところによれば、処理液のハンセン溶解度パラメータの水素結合項が大きい場合、小さい場合に比べて、当該処理液に対するネガ型の無機レジストの溶解度が高く、すなわち、極性の処理液の方が、非極性の処理液に比べて、上記溶解度が高い。これは、ネガ型の無機レジストを露光したときに、配位子すなわちリガンドが外れて生じるレジスト中の水酸基を有する成分は、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が小さい処理液により溶けやすいため、すなわち、極性が高い処理液により溶けやすいため、と考えられる。
また、本発明者らが試験を重ねたところによれば、現像に用いる処理液のハンセン溶解度パラメータの水素結合項が小さい場合、大きい場合に比べて、ネガ型の無機レジストのパターンの倒れ(剥がれを含む)が生じにくく、すなわち、現像に用いる処理液が非極性の場合、極性の場合に比べて、上記倒れが生じにくい。その理由としては以下が考えられる。
【0160】
パターン露光後のネガ型の無機レジスト膜には、露光量が零である(または零に近い)未露光領域と、露光量が十分である露光領域とが存在し、未露光領域と露光領域との間の位置に、露光領域より露光量が少ない中間領域が存在する。中間露光領域では、露光光(具体的にはEUV光)の性質上、膜表面から遠い奥側における露光量が、膜表面側の露光量に比べて少なくなる。そのため、中間露光領域では、膜表面から遠い奥側において、ネガ型の無機レジストの縮合反応量も少なくなり、固化度合いも低くなる。
したがって、ネガ型の無機レジストの溶解度が高い、極性の処理液を現像に用いると、ネガ型の無機レジストの中間露光領域の奥側において膜表面側に比べて多くレジストが除去され、レジストパターンの根元が細くなる。その結果、パターンの倒れまたは剥がれが生じやすくなっているものと考えられる。
一方、ネガ型の無機レジストの溶解度が低い非極性の処理液を現像に用いると、ネガ型の無機レジストの中間露光領域の奥側と膜表面側とでレジストの除去量が殆ど変わらないため、レジストパターンの根元が細くなりにくい。その結果、パターンの倒れまたは剥がれが生じにくいものと考えられる。
【0161】
ただし、現像に用いる処理液が非極性の場合、当該処理液に対するネガ型の無機レジストの溶解度が低いため、現像により除去すべき無機レジストを除去しきれない虞、すなわち、残渣が生じる虞や、ブリッジ欠陥が生じる虞がある。
【0162】
これらを踏まえ、埋め込み液に、副成分として、当該埋め込み液に対する無機レジストの溶解性を向上させる成分である極性の処理液すなわち極性の溶媒を含ませてもよい。具体的には、埋め込み液の主成分を、非極性の有機溶媒を溶媒とする有機ポリマー溶液とし、埋め込み液の副成分を、極性の処理液としてもよい。
これにより、パターンの倒れ等を抑制するために現像液として非極性の処理液を用いた場合に、非極性の処理液を用いたことで残り得る無機レジストを、埋め込み時に埋め込み液に溶解させることができる。したがって、残渣やブリッジの発生を抑制しつつ、パターンの倒れや剥がれを抑制することができる。なお、埋め込み液に溶解した無機レジストは、埋め込み液が乾燥されて形成された埋め込み膜の除去時に、一緒に除去される。
【0163】
埋め込み液に副成分として含まれる極性の処理液は、例えば、N‐プロパノール、酢酸、水、乳酸エチル、アセトンまたはこれらの2以上の混合液である。
埋め込み液の主成分(具体的には有機ポリマー溶液)と、極性の処理液とが混ざり合わない場合、埋め込み液の副成分として、さらに、分散剤が含まれてもよい。
埋め込み液の分散剤は、溶媒として、例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール(NPA)、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサンまたはこれらの2以上の混合液を含む。また、分散剤は、界面活性剤として、例えば、非イオン系のものを含み、具体的には、ソルビタンモノオレエート、グリセロールα‐モノオレエート、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール直鎖アルキルエーテル、直鎖アルキル付加型のポリエチレングリコールフェニルエーテル、分岐鎖アルキル付加型のポリエチレングリコールフェニルエーテル、アセチレングリコールまたはこれらの組み合わせを含む。埋め込み液の分散剤は、界面活性剤として、陰イオン系のものを含んでもよく、具体的には、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0164】
また、例えば、埋め込み液中の主成分の割合は80%~95%、埋め込み液中の副成分(極性の処理液単体または極性の処理液と分散剤の合計)の割合は、5%~15%である。
なお、埋め込み液中の主成分である有機ポリマー溶液の溶媒には例えばPGMEAが用いられる。埋め込み液中の、有機ポリマー溶液の溶媒であるPGMEAの割合は、80%~90%であり、埋め込み液中の有機ポリマーの割合は例えば5%程度である。
【0165】
極性の処理液を副成分として含む埋め込み液と共に用いられる現像液は、非極性を示すものであり、具体的には、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以下であるものであり、より具体的には、PGMEA、2-ヘプタノン、シクロヘキサン、ノルマブチルアルコール、アセトンまたはこれらの2以上の混合液である。
【0166】
また、本発明者らが試験を重ねたところ、非極性の現像液に、水を添加した場合、無機レジストのパターンの倒れや剥がれがさらに生じにくくなることが判明した。
この試験結果を踏まえ、極性の処理液を副成分として含む埋め込み液と共に用いられる非極性の現像液に、水を添加するようにしてもよい。すなわち、主成分としての非極性の処理液と、副成分としての水との混合液を、上記現像液としてもよい。また、現像液の主成分としての非極性の処理液と、現像液の副成分としての水とが混ざり合わない場合、現像液の副成分として、さらに、分散剤が含まれてもよい。
【0167】
上述のように現像液が水を含む混合液である場合、当該現像液が高い極性を示さないよう、すなわち、現像液に対する無機レジストの溶解性が高くならないよう、例えば、現像液中の副成分(水単体または水と分散剤の合計)の割合は例えば20%以下とされ、具体的には、10%以上20%以下とされる。また、水との混合液である現像液のハンセン溶解度パラメータの水素結合項が11MPa1/2以下となるよう、現像液中の水の割合等が決定されてもよい。
【0168】
さらに、現像液が水を含む混合液である場合、現像液の主成分としての非極性の処理液には、例えば、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以下のものが用いられ、具体的には、PGMEA、2-ヘプタノン、シクロヘキサン、ノルマブチルアルコール、アセトンまたはこれらの2以上の混合液が用いられる。
また、現像液が副成分として含む分散剤は、溶媒として、例えば、現像液の主成分としての非極性の処理液と同じもの、すなわち、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以下のものが用いられる。また、現像液が副成分として含む分散剤は、界面活性剤として、例えば、前述の埋め込み液が副成分として含む分散剤に用いられる活性剤と同じものを用いることができる。
【0169】
現像処理を上記のように含有成分が調整された現像液をウェハWに供給して行うにあたり、パターンの凸部の底部を局所的に太くした状態、あるいは複数の凸部底部を繋げるように凸部に対して充分に薄いレジスト膜を残した状態にて現像処理を完了させ、パターン倒れを抑制してもよい。この凸部に対して充分に薄いレジスト膜の厚みに関しては、例えば、パターン凸部の高さの半分未満が挙げられる。
【0170】
また、今回開示されたウェハ処理装置は上記に説明した構成および動作に限定されるものではない。上記の実施に掛かる形態では、ウェハ処理装置が露光装置と直接的に接続され、インターフェイスステーション12と露光装置との間でウェハWを受け渡していたが、ウェハ処理装置は露光装置と直接的に接続されていなくともよい。その場合は、例えば、ウェハWがウェハ処理装置の処理ステーション11において必要な処理がなされた後に、カセットステーション12からウェハ処理装置の外部に搬出されてから、露光装置に搬送される。また、ウェハWに対して処理を行う装置(モジュール)として挙げたもののうち、必要としないものについては、ウェハ処理装置に設けられない、あるいはその装置(モジュール)における処理が行われなくともよい。
【0171】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0172】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0173】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)下地膜の上に無機レジストの被膜が形成され露光処理が施された基板を現像液により現像し、前記無機レジストのパターンを形成する工程と、
現像された前記基板に埋め込み液を供給し、前記パターンにおける隣接する凸部の間を充填する工程と、
充填された前記埋め込み液を乾燥させ、前記基板上に埋め込み膜を形成する工程と、
紫外線により前記埋め込み膜の厚さを減らす工程と、を含む、基板処理方法。
(2)前記下地膜と前記埋め込み膜は、同種の有機膜である、前記(1)に記載の基板処理方法。
(3)前記下地膜の上に前記無機レジストの被膜が形成される前に、酸素含有雰囲気下で、前記下地膜に、紫外線を照射する工程を、さらに含む、前記(1)または(2)に記載の基板処理方法。
(4)前記下地膜の上に前記無機レジストの被膜が形成される前に、前記下地膜に水を供給し、または、前記下地膜をオゾン雰囲気に曝す工程を、さらに含む、前記(1)~(3)のいずれか1に記載の基板処理方法。
(5)前記埋め込み膜の厚さを減らす工程は、前記パターンの間の底部に前記埋め込み膜が残るよう、当該埋め込み膜を除去する、前記(1)~(4)のいずれか1に記載の基板処理方法。
(6)前記埋め込み膜の厚さを減らす工程後の前記パターンの状態を測定する工程と、
前記測定する工程での測定結果に基づいて、前記埋め込み膜に係る処理条件の決定を含む、パターン倒れに係る決定を行う工程と、を含む、前記(1)~(5)のいずれか1に記載の基板処理方法。
(7)前記埋め込み液は、当該埋め込み液に対する前記無機レジストの溶解性を向上させる成分を副成分として含む、前記(1)~(6)のいずれか1に記載の基板処理方法。
(8)基板処理方法を基板処理装置によって実行させるように、当該基板処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体であって、
前記基板処理方法は、
下地膜の上に無機レジストの被膜が形成され露光処理が施された基板を現像液により現像し、前記無機レジストのパターンを形成する工程と、
現像された前記基板に埋め込み液を供給し、隣接する前記パターンの間を充填し、その後、充填した前記埋め込み液を乾燥させ、前記基板上に埋め込み膜を形成する工程と、
紫外線により前記埋め込み膜の厚さを減らす工程と、を含む、コンピュータ記憶媒体。
(9)基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を現像液により現像する現像部と、
前記基板に埋め込み液を供給する埋め込み部と、
前記基板に紫外線を照射する紫外線照射部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
下地膜の上に無機レジストの被膜が形成され露光処理が施された基板を現像液により現像し、前記無機レジストのパターンを形成する工程と、
現像された前記基板に前記埋め込み液を供給し、前記パターンにおける隣接する凸部の間を充填する工程と、
充填された前記埋め込み液を乾燥させ、前記基板上に埋め込み膜を形成する工程と、
紫外線により前記埋め込み膜の厚さを減らす工程と、を当該基板処理装置が実行するよう、制御を行う、基板処理装置。
【符号の説明】
【0174】
1、1A、1B、1D、1E ウェハ処理装置
3、3D 制御部
30、30D 現像モジュール
52 UV照射モジュール
F 埋め込み膜
H 記憶媒体
RP 無機レジストのパターン
RP1 凸部
Rs 無機レジストのパターン
Rs1 凸部
W ウェハ
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