(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010347
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】Co-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲット
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
C23C14/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111636
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】509352945
【氏名又は名称】田中貴金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】後藤 康之
(72)【発明者】
【氏名】江口 豊和
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 恭伸
(72)【発明者】
【氏名】田所 准
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BA43
4K029BD11
4K029CA05
4K029DC03
4K029DC04
4K029DC05
4K029DC09
4K029DC39
(57)【要約】
【課題】組成及び漏洩磁束密度を変更する方策によらずに、スパッタリング時の電圧を安定させることができるスパッタリングターゲット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】Coを50at.%以上、Crを0at.%超過20at.%以下、Ptを0at.%超過25at.%以下含み、残余が1種以上の酸化物並びに不可避不純物からなるCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットであって、(A)Co、Pt及び酸化物が相互に分散している複合相と(B)金属Cr相とを含み、観察倍率50倍のSEMによる1mm×1mmの観察視野内に円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相を10個以上含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Coを50at.%以上、Crを0at.%超過20at.%以下、Ptを0at.%超過25at.%以下含み、残余が1種以上の酸化物並びに不可避不純物からなるCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットであって、
(A)Co、Pt及び酸化物が相互に分散している複合相と、
(B)金属Cr相と、を含み、
観察倍率50倍のSEMによる1mm×1mmの観察視野内に、円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相を10個以上含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
【請求項2】
Coを50at.%以上、Crを0at.%超過20at.%以下、Ptを0at.%超過25at.%以下含み、残余が1種以上の酸化物並びに不可避不純物からなるCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットであって、
(A)Co、Pt及び酸化物が相互に分散している複合相と、
(B)金属Cr相と、
(C)Co又はPtを含む合金相と、
を含み、
観察倍率50倍のSEMによる1mm×1mmの観察視野内に、円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相を10個以上含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
【請求項3】
前記複合相は、B、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ge、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Re、Ir及びAuから選択した1種以上をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項4】
前記酸化物は、前記スパッタリングターゲット中に20vol.%以上50vol.%以下含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項5】
前記酸化物は、B、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ta、W、La、Ce、Nd、Sm、Gdから選択される1種又は2種以上の任意の組み合わせから選択される元素の酸化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項6】
前記酸化物は、少なくともホウ素酸化物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項7】
前記複合相は、B、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ge、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Re、Ir及びAuから選択した1種以上をさらに含み、かつ、
前記酸化物は、少なくともホウ素酸化物を含み、さらにMg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ta、W、La、Ce、Nd、Sm、Gdから選択される1種又は2種以上の任意の組み合わせから選択される元素の酸化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
平均粒径150μm以上1000μm以下のCr金属粉末及び酸化物粉末を含む原材料の粉末を混合撹拌してターゲット用混合粉末を調製し、
当該ターゲット用混合粉末を焼結することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
平均粒径10μm以上150μm以下のCr金属粉末を、予め混合撹拌した他の原料粉末及び酸化物粉末の混合粉末に添加してターゲット用混合粉末を調製し、
当該ターゲット用混合粉末を焼結することを特徴とする、スパッタリングターゲットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体の磁気記録層等に用いられる磁性体薄膜、特にグラニュラー膜の成膜に適したスパッタリングターゲットに関し、特に、スパッタリング時の放電安定性を向上させることができるCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
Co-Cr-Pt-酸化物を含むスパッタリングターゲットでは様々な組成が使用されている。例えば、WO2013/136962 A1(特許文献1)には、Co-Cr-Pt-酸化物を主な構成として、酸化物としてB、Si、Cr、Ti、Ta、W、Al、Mg、Mn、Ca、Zr、Yから選択した1成分以上の酸化物と、添加元素として、B、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Ru、Mo、Ta、W、Ag、Au、Cu、Cから選択した1元素以上を含有することが記載されている。
【0003】
これら絶縁体である酸化物を含むスパッタリングターゲットでは、異常放電を引き起こしパーティクルが発生する問題があった。この問題に対して、一般的には酸化物を微細に均一に組織中に存在させることによって異常放電の発生確率を抑制している。例えば同じく特許文献1では、Co-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットにおいて、酸化物の平均粒径を400nm以下と微細にすることで異常放電を抑制できることが記載されている。
【0004】
WO2013/125469 A1(特許文献2)には、酸化物粒子を微細にすることに加えて、酸化物粒子を真球又は真球に近い形状で存在させることによって、ターゲット表面の一定面積における酸化物の存在する場所と酸化物の存在しない場所との分布に差異を生じずに偏析が少なくなり、異常放電およびパーティクル発生を効果的に抑制できることが記載されている。
【0005】
他方、これら組成のスパッタリングターゲットの多くは強磁性を有し、漏洩磁束密度(PTF)が小さく、スパッタリング時に高電圧を印加する必要がある。スパッタリング時の電圧が高いと、電圧が不安定になりアーキングを生じやすくなるという問題が発生する。この問題に対して、PTFを向上させることによりスパッタリング時の必要電圧を低減させることが一般的な解決策である。PTF向上のための手法はいくつか公開されているが、例えば、特開2013-108110号公報(特許文献3)には、非磁性相と酸化物相とが分散しあっており、かつ磁性相と非磁性相を含むスパッタリングターゲットにおいて、Coを85at.%以上含むCo-Cr合金相からなる磁性相と、Coを0at.%より大きく75at.%以下含むCo-Cr合金相又はCoを0at.%より大きく73at.%以下含むCo-Cr-Pt合金相からなる非磁性相と、Coを12at.%以下含むCo-Pt合金相からなる非磁性相と、を含み、Coの含有割合によって各相の磁性を制御しPTFを向上させることが記載されている。
【0006】
WO2011/089760 A1(特許文献4)には、無機物材料を含む金属素地とCoを90wt.%以上含有する球形(特に直径が30~150μm)の相を有することによって、漏洩磁束を向上させることが記載されている。
【0007】
特開2016-176087号公報(特許文献5)には、Co-Cr-Pt-酸化物系強磁性スパッタリングターゲットにおいて、無機物材料を含む金属素地と最短径が10~150μmであるPtからなる相を有することによって、漏洩磁束を向上させることが記載されている。また、WO2012/081669 A1(特許文献6)には、Co-Cr-Pt-酸化物系強磁性スパッタリングターゲットにおいて、酸化物を分散させた金属素地(A)中に、直径10~150μmのCo-Pt合金相(B)と、直径が30~150μmで90mol%以上のCoを含むCo合金相(C)と、を有することにより、漏洩磁束密度を向上させてスパッタ時の電圧を安定させることが記載されている。
【0008】
WO2010/110033 A1(特許文献7)には、Co-Cr-Pt-酸化物系において合金の中に非磁性粒子が均一に微細分散した相(A)と、中心部がCr25mol%以上であって、中心部から外周部にかけてCrの含有量が中心部より低くなる組成の球形の合金相(B)とを有し、ターゲットに占める合金相(B)の体積を4%以上40%以下とすることで、漏洩磁束を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2013/136962 A1
【特許文献2】WO2013/125469 A1
【特許文献3】特開2013-108110号公報
【特許文献4】WO2011/089760 A1
【特許文献5】特開2016-176087号公報
【特許文献6】WO2012/081669 A1
【特許文献7】WO2010/110033 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
Co-Cr-Pt-酸化物系のスパッタリングターゲットは種々の組成が提案されている。
WO2013/125469 A1(特許文献2)は酸化物子を所定形状にすることによって異常放電及びパーティクルを抑制することを開示し、特開2013-108110号公報(特許文献3)は磁性相、非磁性相のCo含有割合を異ならせることによって、各相の磁性を制御しPTFを向上させることを開示するが、電圧の安定性は十分とは言い難い。
【0011】
WO2011/089760 A1(特許文献4)はCoを90wt.%以上含有する球形の相を存在させることにより、特開2016-176087号公報(特許文献5)はPtからなる相を存在させることにより、WO2012/081669 A1(特許文献6)はCo-Pt合金相(B)と、90mol%以上のCoを含むCo合金相(C)を所定のサイズや形状で存在させることにより、またWO2010/110033 A1(特許文献7)は中心部がCr25mol%以上であって、中心部から外周部にかけてCrの含有量が中心部より低くなる組成の球形の合金相(B)を存在させることにより、漏洩磁束密度を向上させ、スパッタ時の電圧を安定化させることを開示する。しかし、磁気記録媒体の製造に用いられているスパッタリングターゲットの組成及び漏洩磁束密度は、当該磁気記録媒体に必要な磁気特性を発揮し且つ量産体制に適した組成及び漏洩磁束密度に限定されており、容易に変更することはできないという問題がある。
【0012】
本発明は、組成及び漏洩磁束密度を変更する方策によらずに、スパッタリング時の電圧を安定させることができるスパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、スパッタリングターゲット断面に円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相を10個/mm2以上含む組織を有するスパッタリングターゲットを用いることにより、組成及び漏洩磁束密度を維持したまま、スパッタ時の電圧を低減して、放電を安定させることができることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明によれば、下記の特徴を有するCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットが提供される。
[1]Coを50at.%以上、Crを0at.%超過20at.%以下、Ptを0at.%超過25at.%以下含み、残余が1種以上の酸化物並びに不可避不純物からなるCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットであって、
(A)Co、Pt及び酸化物が相互に分散している複合相と、
(B)金属Cr相と、を含み、
観察倍率50倍のSEMによる1mm×1mmの観察視野内に、円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相を10個以上含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
[2]Coを50at.%以上、Crを0at.%超過20at.%以下、Ptを0at.%超過25at.%以下含み、残余が1種以上の酸化物並びに不可避不純物からなるCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットであって、
(A)Co、Pt及び酸化物が相互に分散している複合相と、
(B)金属Cr相と、
(C)Co又はPtを含む合金相と、
を含み、
観察倍率50倍のSEMによる1mm×1mmの観察視野内に、円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相を10個以上含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
[3]前記複合相は、B、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ge、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Re、Ir及びAuから選択した1種以上をさらに含むことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のスパッタリングターゲット。
[4]前記酸化物は、前記スパッタリングターゲット中に20vol.%以上50vol.%以下含まれることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか1に記載のスパッタリングターゲット。
[5]前記酸化物は、B、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ta、W、La、Ce、Nd、Sm、Gdから選択される1種又は2種以上の任意の組み合わせから選択される元素の酸化物であることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか1に記載のスパッタリングターゲット。
[6]前記酸化物は、少なくともホウ素酸化物を含むことを特徴とする上記[1]~[5]のいずれか1に記載のスパッタリングターゲット。
[7]上記[1]又は[2]に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、平均粒径150μm以上1000μm以下のCr金属粉末及び酸化物粉末を含む原材料の粉末を混合撹拌してターゲット用混合粉末を調製し、
当該ターゲット用混合粉末を焼結することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
[8]上記[1]又は[2]に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、平均粒径10μm以上150μm以下のCr金属粉末を、他の原料粉末及び酸化物を撹拌混合した混合粉末に添加することを特徴とする、スパッタリングターゲットの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットは、同じ組成及び漏洩磁束密度であっても、円相当径10μm超過100μm以下の面積を有する金属Cr相を含むスパッタ面を有するため、スパッタリング時の電圧を低減して、放電を安定化させ、アーキングの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】実施例1で得られたスパッタリングターゲット断面のEDXによる組成マッピング分析により各相を同定した組織写真。
【
図3】実施例1で得られたスパッタリングターゲット断面の観察倍率50倍のSEM画像から1mm×1mmの視野を拡大し、二値化処理した画像。
【
図4】比較例1で得られたスパッタリングターゲット断面のEDXによる組成マッピング分析により各相を同定した組織写真。
【
図5】比較例2で得られたスパッタリングターゲット断面のEDXによる組成マッピング分析により各相を同定した組織写真。
【
図6】実施例5で得られたスパッタリングターゲット断面のEDXによる組成マッピング分析により各相を同定した組織写真。
【好ましい実施形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
本発明のCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットは、観察倍率50倍のSEMによる1mm×1mmの観察視野内に、円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相を10個以上含むことを特徴とする。円相当径とは、
図1に示すように、形状が不特定である金属Cr相の面積と同等の円を想定した場合の直径を意味する。後述する実施例に示すように、粗大面積を有する金属Cr相が存在することにより、スパッタリング時の電圧が低下して、放電が安定化する。観察倍率50倍のSEMによる1mm×1mmの観察視野内において、金属Cr相は濃色または黒色であり、複合相は淡色すなわち灰色乃至白色である。SEM観察画像を二値化して画像処理することにより、濃色または黒色の金属Cr相を抽出してその面積を求め、円相当径を算出することができる。
【0019】
金属Cr相は、スパッタリングターゲットの断面のEDXによる組成マッピング分析により同定することができる。ターゲット含有組成の重量比を定量分析した際に、理想的には100wt.%Crとなる領域であるが、不可避的な分析誤差を考慮して、95wt.%以上、好ましくは97wt.%以上のCr及び不可避不純物からなる領域を「金属Cr相」とする。
【0020】
[第一実施形態]
第一実施形態のCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットは、Coを50at.%以上、Crを0at.%超過20at.%以下、Ptを0at.%超過25at.%以下含み、残余が1種以上の酸化物並びに不可避不純物からなるCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットであって、
(A)Co、Pt及び酸化物が相互に分散している複合相と、
(B)金属Cr相と、を含み、
観察倍率50倍のSEMによる1mm×1mmの観察視野内に、円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相を10個以上含むことを特徴とする。
【0021】
(B)金属Cr相は、円相当径10μm超過100μm以下、好ましくは円相当径が20μm以上、より好ましくは25μm以上であり、好ましくは円相当径が70μm以下、より好ましくは60μm以下である。金属Cr相が円相当径100μmよりも大きいと、スパッタレートの差に起因してスパッタリング中のターゲット表面に凹凸が顕著に現れ、パーティクルやアーキングなどの問題が発生しやすくなる。金属Cr相が円相当径10μm以下の場合には、スパッタリング時の電圧低減効果が得られにくくなり、また、金属Cr相の粒界で他の相との間で拡散反応が進みやすくなり、Cr合金相又はCr酸化物相が発生しやすくなる。
【0022】
上記範囲の面積を有する金属Cr相は、観察倍率50倍のSEMによる1mm×1mmの観察視野内に10個以上、好ましくは15個以上、より好ましくは20個以上、好ましくは300個以下、より好ましくは100個以下、存在する。金属Cr相が10個未満だとスパッタ時の電圧低減の効果が十分に得られない。1mm×1mmの観察視野内に10個以上存在することが確認できれば、金属Cr相がスパッタリングターゲット全域に均一に分散しているといえる。金属Cr相が300個を超過するとスパッタレートの差に起因してスパッタリング中のターゲット表面に凹凸が多数現れ、パーティクルやアーキングなどの問題が発生しやすくなる。なお、観察視野の端部に現れる不完全な金属Cr相はカウントしない。
【0023】
スパッタされた薄膜において、Coはグラニュラー構造の磁性粒子の形成において中心的な役割を果たす。本発明のCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットにおいて、ターゲット全体に対するCoの含有量は、50at.%以上、好ましくは55at.%以上、より好ましくは60at.%以上で、好ましくは90at.%以下、より好ましくは80at.%以下であり、磁気記録媒体における記録層として求められる含有量の範囲内とする。
【0024】
本発明のCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットにおけるターゲット全体に対するPtの含有量は、0at.%超過25at.%以下、好ましくは5at.%以上、より好ましくは10at.%以上、好ましくは23at.%以下、より好ましくは22at.%以下であり、磁気記録媒体における記録層として求められる含有量の範囲内とする。スパッタされた薄膜において、Ptはグラニュラー構造の磁性粒子であるCoと合金化することでCoの磁気モーメントを増加させる機能を有し、磁性粒子の磁性の強さを調整する役割を有する。
【0025】
本発明のCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットにおけるターゲット全体に対するCrの含有量は、0at.%超過20at.%以下、好ましくは1at.%以上、より好ましくは3at.%以上、好ましくは15at.%以下、より好ましくは10at.%以下であり、磁気記録媒体における記録層として求められる含有量の範囲内とする。スパッタされた薄膜において、Crはグラニュラー構造の磁性粒子であるCoと合金化することでCoの磁気モーメントを低下させる機能を有し、磁性粒子の磁性の強さを調整する役割を有する。
【0026】
スパッタされた薄膜において、酸化物はグラニュラー構造を形成するための合金相同士を隔離する隔壁として作用する。本発明のCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットにおいて、ターゲット全体に対する酸化物の含有量は20vol.%以上50vol.%以下、好ましくは25vol.%以上、より好ましくは30vol.%以上、45vol.%以下、より好ましくは40vol.%以下とすることが望ましく、磁気記録媒体における記録層として求められる含有量の範囲内とする。
【0027】
本発明のCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットは、(A)Co、Pt及び酸化物が相互に分散している複合相と、(B)金属Cr相とを含む。(A)複合相は、金属(Co、Cr、Ptなど)や合金と酸化物が相互に均一に分散されており、電圧安定性の観点から電気抵抗が高い酸化物は微細に分散されていることが望ましい。(B)金属Cr相は、非磁性材であるため、(A)複合相と分離したとしても磁気特性を維持でき、明確な理由は不明ではあるが、スパッタリング時の電圧を低減して放電を安定化させ、アーキングの発生を抑制することができる。
【0028】
(A)複合相に含まれる酸化物は、B、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ta、W、La、Ce、Nd、Sm、Gdから選択される1種又は2種以上の任意の組み合わせから選択される元素の酸化物であることが好ましく、少なくともホウ素酸化物を含むことが好ましい。酸化物としては、B2O3、SiO2、Co3O4、Cr2O3、CoO、TiO2、Ta2O5、MnO、Mn2O3、Nb2O5、ZnO、WO3、VO2、MgO、ZrO2、Al2O3、Y2O3などを好ましく挙げることができる。
【0029】
(A)複合相は、B、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ge、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Re、Ir及びAuから選択した1種以上をさらに含むことができる。上記の添加元素はCo及びPtとの合金として含まれていることが好ましい。スパッタリングにて製膜された薄膜において、上記の添加元素はグラニュラー構造の磁性粒子であるCoと合金化することで磁性粒子の磁性の強さを調整する役割を有する。特にRu、BはCoの磁気モーメントを調整することに効果的である。
【0030】
[第二実施形態]
第二実施形態のCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットは、Coを50at.%以上、Crを0at.%超過20at.%以下、Ptを0at.%超過25at.%以下含み、残余が1種以上の酸化物並びに不可避不純物からなるCo-Cr-Pt-酸化物系スパッタリングターゲットであって、
(A)Co、Pt及び酸化物が相互に分散している複合相と、
(B)金属Cr相と、
(C)Co又はPtを含む合金相と、
を含み、
観察倍率50倍のSEMによる1mm×1mmの観察視野内に、円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相を10個以上含むことを特徴とする。
【0031】
第二実施形態のスパッタリングターゲットは、(C)Co又はPtを含む合金相をさらに含む点を除いて、第一実施形態と同じであるから、第一実施形態と同じ説明は割愛する。
【0032】
第二実施形態においては、(C)Co又はPtを含む合金相を含むことにより、金属Co又は金属Ptや合金を構成する他の成分単体のうち最も高融点のものに比べて融点を下げることができる場合が多く、原料紛の融点が下がるため、焼結性を向上させることができ、結果として焼結温度を下げる効果がある。そのため、合金相を含まない場合の焼結温度と同一の温度で焼結した場合にはより高密度な焼結体が得られるし、他方、高密度を維持したまま焼結温度を下げることにより製造コストを下げることにも効果的である。
【0033】
(C)Co又はPtを含む合金相は、Co又はPtを主成分として含む合金相であり、酸化物を含まない。合金相は、Coを50at.%以上、好ましくは30at.%以上、より好ましくは10at.%以上含むCo合金相、Ptを50at.%以上、好ましくは30at.%以上、より好ましくは10at.%以上含むPt合金相、Coを50at.%以上とPtを50at.%以下含むCo-Pt合金相、Coを50at.%以下とPtを50at.%以上含むCo-Pt合金相から選択される1種又は2種以上の任意の組み合わせとすることができる。Co合金相又はPt合金相は、他の成分としてB、Cr、Si、Ti、Ru、Mn、Nb、Zn、W、V、Taを含むことができる。
【0034】
本発明のスパッタリングターゲットは、平均粒径150μm以上1000μm以下のCr金属粉末と、他の原材料粉末、及び酸化物を撹拌混合してターゲット用混合粉末を調製し、当該ターゲット用混合粉末を焼結することにより製造することができる。あるいは、他の原材料粉末及び酸化物の粉末を撹拌混合した後に、平均粒径10μm以上150μm以下、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下のCr金属粉末を撹拌混合してターゲット用混合粉末を調製し、当該ターゲット用混合粉末を焼結することにより製造することができる。なお、投入するCr金属粉末に比べてスパッタリングターゲット中の金属Cr相は、撹拌混合の過程を経てほとんどが同等かそれ以下の大きさになるが、ターゲット製造時の焼結などの過程においてCr金属粉末同士が拡散結合して、投入するCr金属粉末の粒径よりも大きな金属Cr相が存在することもある。
【0035】
合金粉末はガスアトマイズ法により作製したものでもよい。合金粉末としては、たとえばCo-Pt合金、Co-B合金、Pt-B合金、Co-Cr-Pt合金、Co-Ru合金、Co-Cr-Ru合金、Co-Si合金、Co-Cr合金、Co-Cr-Pt-B合金、Co-Cr-Pt-Ru合金、Co-Cr-Pt-Ru-B合金などを好適に用いることができる。
【0036】
次に、秤量した各原材料粉末をボールミルなどの撹拌粉砕装置に投入して、撹拌混合して、各原材料粉末を均一に混合して分散させ、混合粉末を得る。撹拌混合の条件は、各原材料粉末を均一に混合して分散させることができるように適宜調節することができる。たとえば、原材料粉末の粒径が目的の組織と近い場合には粉砕を抑制することが好ましく、粉砕媒体を使用せずに撹拌機や容器回転型の混合装置を使用することができるし、粉砕が必要である場合には粉砕媒体を使用するボールミルなどの混合装置を使用することができる。また、円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相を形成するためには、撹拌混合を2段階以上に分けて、平均粒径10μm以上150μm以下の金属Cr粉末を後から投入して、緩やかに撹拌することが好ましい。さらに、スパッタリングターゲットの設計組成におけるCr含有量が多い場合には、金属Cr粉末の投入を2段階以上に分けて、スパッタリングターゲットに存在する粗大な金属Cr相の個数を調節することができる。
【0037】
次に、スパッタリングターゲット用混合粉末を焼結して焼結体を得る。焼結条件は、相対密度90%以上の高密度の焼結体を得ることができれば、ホットプレス法、放電プラズマ焼結法(SPS)、熱間等方圧加圧(HIP)法など公知の焼結方法を用いることができる。焼結温度は組成や混合粉末の性状により異なるが、Co-Cr-Pt-酸化物系において一般的には600℃以上1200℃以下程度である。焼結中の加圧方向の変位を観測しながら昇温し、変位が安定する温度を焼結温度とすることもできる。
【実施例0038】
[スパッタリングターゲットの作製]
[実施例1]
表1に示す実施例1のスパッタリングターゲットの設計組成:63at.%Co-6at.%Cr-22at.%Pt-2at.%SiO2-1at.%Co3O4-6at.%B2O3となるように、50Co-50Pt合金粉末(「Co-50Pt合金粉末」と略すこともある。)、Co粉末、Cr粉末、SiO2粉末、Co3O4粉末、B2O3粉末をそれぞれ秤量した。Co-50Pt合金粉末およびCo粉末はガスアトマイズにより製造された粉末を使用した。Co-50Pt合金粉末、及びCo粉末は目開き106μmのふるいを通過したものを使用した。Cr粉末は目開き45μmのふるいを通過した平均粒径35μmのものを使用した。
【0039】
秤量した各粉末のうちCr粉末以外をボールミルポットへ投入し、十分に細かく分散し合うまで1度目の撹拌混合を行った。その後、Cr粉末をボールミルポットへ投入して、2度目の撹拌混合を行ない、焼結用混合粉末を得た。2度目の撹拌混合は、1度目の撹拌混合より投入エネルギーを小さくして、Cr相が微細化されないように制御した。具体的には、1度目の撹拌混合に対して2度目の撹拌混合では、総回転数を1/140とした。後述する実施例2~25の撹拌混合についても、1度目の撹拌混合に対して2度目の撹拌混合は総回転数を1/70以下としている。
【0040】
得られた混合粉末をカーボンダイスに充填し、ホットプレスを用いて焼結体を得た。焼結条件は、真空雰囲気下、焼結温度750℃、保持時間1時間とした。なお、相対密度95%以上の高密度を得るために焼結中の加圧方向の変位を観測しながら昇温し、変位が安定する温度を焼結温度とした。得られた焼結体の相対密度をアルキメデス法により測定し、相対密度99%の高密度な焼結体が得られたことを確認した。焼結体に外形加工を施すことにより直径165mm、厚さ6.4mmのスパッタリングターゲットを作製した。後述する実施例2~25、比較例1~19についても同様の手法で焼結温度を決めており、650℃~1200℃であった。
【0041】
[実施例2]
実施例2は、2度目の撹拌混合時の投入エネルギーを大きくした以外は実施例1と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。
【0042】
[実施例3]
実施利3は、2度目の撹拌混合時の投入エネルギーを実施例2よりも大きくした以外は実施例1と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。
【0043】
[実施例4]
原材料粉末のうちCr粉末は目開き1000μmのふるいを通過し、目開き150μmのふるいを通過しなかった大きな粉末を使用し、原材料粉末をすべて一緒にボールミルポットへ投入しボールミルを用いて1度に撹拌混合を行って混合粉末を得て、得られた混合粉末を実施例1と同様にして焼結し、スパッタリングターゲットを作製した。
【0044】
[比較例1]
実施例1と同じ原材料粉末をすべて一緒にボールミルポットへ投入しボールミルを用いて1度に撹拌混合を行って混合粉末を得て、得られた混合粉末を実施例1と同様にして焼結し、スパッタリングターゲットを作製した。
【0045】
[実施例5]
原材料粉末のうち、Co-50Pt合金粉末の代わりに、目開き106μmのふるいで分級したPt粉末を用いた以外は実施例1と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。
【0046】
[比較例2]
原材料粉末のうち、Co-50Pt合金粉末の代わりに、目開き106μmのふるいで分級したPt粉末を用いた以外は比較例1と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。
【0047】
[実施例6~25]
表1の実施例6~25に示すスパッタリングターゲット設計組成となるように各原材料粉末を秤量し、実施例1と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。実施例9及び15は、Co-50Pt合金粉末の代わりに、目開き106μmのふるいで分級したPt粉末を用いた。実施例17は、B粉末の代わりに、Co-18.5B合金粉末を用いた。実施例24は、Co-50Pt合金粉末の代わりに、Co-90Pt合金粉末を用いた。実施例25は、Co-50Pt合金粉末の代わりに、Co-10Pt合金粉末を用いた。
【0048】
[比較例3~22]
表1の比較例3~22に示すスパッタリングターゲット設計組成となるように各原材料粉末を秤量し、比較例1と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。比較例6及び12は、Co-50Pt合金粉末の代わりに、目開き106μmのふるいで分級したPt粉末を用いた。比較例14は、B粉末の代わりに、Co-18.5B合金粉末を用いた。比較例21は、Co-50Pt合金粉末の代わりに、Co-90Pt合金粉末を用いた。比較例22は、Co-50Pt合金粉末の代わりに、Co-10Pt合金粉末を用いた。
【0049】
[組織分析]
得られたスパッタリングターゲットから組織観察用試料片を切り出し、断面に鏡面研磨を施した後、含まれる各相について主要成分をEDXによる組成マッピング分析を行った。実施例1の結果を
図2に示す。スパッタリングターゲット断面は、金属と酸化物とが微細に分散した複合相(
図2の灰色の母相)と、Co-Pt合金相(
図2の白色の相)と、金属Cr相(
図2の黒色の相)からなること確認した。金属Cr相については、組成マッピングで主にCrのみが検出される相に対して、ターゲット含有組成の重量比を定量分析し、Cr及び不可避不純物からなることを確認した。次に、SEMにて、観察倍率50倍における1mm×1mmの視野範囲の画像を得て、画像解析ソフトを用いて、金属Cr相を黒色、その他の相を白色に二値化し、さらに円相当径の大きい方から10番目までの金属Cr相のみを抽出し、最大金属Cr相と10番目の金属Cr相の円相当径を求めた。実施例1の画像を
図3に示す。実施例1の結果を示す
図3において大きい方から10番目の金属Cr相の円相当径は37μmであり、最大金属Cr相の円相当径は50μmであった。確認できる金属Cr相が10個に満たない場合は測定不可であり、表1において「-」と表記する。
【0050】
スパッタリングターゲット断面の組織観察の結果、比較例1~22では円相当径10μm超過100μm以下の金属Cr相が確認できなかった。代表例として比較例1のターゲット断面の組織写真を
図4、比較例2のターゲット断面の組織写真を
図5に示す。
【0051】
実施例5、実施例9、実施例15では、Co-Pt合金相は確認できず、(A)Co、Pt及び酸化物からなる複合相と(B)金属Cr相のみが確認できた。10番目に大きな金属Cr相の円相当径は10μm超過であり、最大金属Cr相の円相当径は100μm以下であった。代表例として実施例5のターゲット断面の組織写真を
図6に示す。
【0052】
実施例1~4、6~8、10~14及び16~25では、(A)Co、Pt及び酸化物からなる複合相、(B)金属Cr相、及び(C)Co-Pt合金相が確認できた。10番目に大きな金属Cr相の円相当径は10μm超過であり、最大金属Cr相の円相当径は100μm以下であった。
【0053】
[漏洩磁束密度]
得られたスパッタリングターゲットについて、ASTM F2086-01に基づき、漏洩磁束密度(PTF)を測定した。漏洩磁束密度についての評価は、同じ組成であるが金属Cr相を含まないスパッタリングターゲット(比較例)で測定した漏洩磁束密度を基準として、-2%未満の低下で漏洩磁束密度を維持できた場合又は基準を上回る場合を良好と判断し、表1において「〇」で示す。実施例1~25において、それぞれ対応する同じ組成の比較例と比較して、PTFは同等もしくは向上していることが確認できた。
【0054】
[スパッタ放電電圧]
得られたスパッタリングターゲットをマグネトロンスパッタリング装置に取り付け、アルゴンガス圧1.0Paとなるようにアルゴンガスを流しつつ、投入電力1000Wでスパッタ放電を継続しながらデータロガーを用いてスパッタ放電電圧を測定した。データロガーの設定条件は、サンプリング周期2μ秒で15000点のデータを測定することを100回繰り返す条件とした。各測定回のデータの平均を算出し、さらにその平均値を100回分平均することで、その測定条件におけるスパッタ放電電圧値を算出した。同じ組成であるが金属Cr相を含まないスパッタリングターゲット(比較例)のスパッタ放電電圧値に対して20V以上低減できた場合に放電安定性が向上していると判断する。実施例1~25において、それぞれ対応する同じ組成の比較例との放電電圧差は、20V以上低くなっていることが確認できた。
【0055】
[相対密度]
すべての実施例及び比較例において、スパッタリングターゲットの相対密度は95%
以上であった。
【0056】