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特開2024-103832物標位置検出装置、システム、プログラム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103832
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】物標位置検出装置、システム、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/34 20060101AFI20240726BHJP
   G01S 13/52 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G01S13/34
G01S13/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007746
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】笹原 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】城本 一馬
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB18
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AE09
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK14
5J070BA01
(57)【要約】
【課題】本開示は、移動状態の物標の距離、速度及び方向を検出するとともに、微動状態の物標の距離及び方向も検出することを目的とする。
【解決手段】本開示は、FMCWレーダのレンジドップラー方式を用いて、移動状態の物標の距離、速度及び方向を検出する。そして、FMCWレーダのフレーム間差分方式を用いて、微動状態の物標の距離を検出する。さらに、FMCWレーダのフレーム間差分方式による微動状態の物標の距離に基づいて、FMCWレーダのレンジドップラー方式による移動状態から微動状態への遷移段階での物標の距離及び方向を出力する。よって、移動状態の物標の距離、速度及び方向を検出するとともに、遷移段階の物標の距離及び方向を微動状態の物標の距離及び方向として出力することができる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各フレーム内において複数のチャープ信号を送信し、隣接フレーム間においてチャープ信号の送信を停止する、FMCWレーダを用いる物標位置検出装置であって、
(1)各フレーム内における各チャープ信号について、送受信間のビート信号を距離フーリエ変換し、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標の距離を検出し、(2)各フレーム内における全チャープ信号について、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル位相を速度フーリエ変換し、速度フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標の速度を検出し、(3)各フレーム内において、複数の受信アンテナについて、速度フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル位相の差分に基づいて、物標の方向を検出するレンジドップラー処理部と、
(4)異なるフレーム間における各チャープ信号について、送受信間のビート信号を距離フーリエ変換し、距離フーリエ変換スペクトルの差分スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標の距離を検出し、又は、(5)異なるフレーム間における各チャープ信号について、送受信間のビート信号の差分信号を距離フーリエ変換し、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標の距離を検出するフレーム間差分処理部と、
(6)物標の移動状態において、前記レンジドップラー処理部が検出する物標の距離、速度及び方向を出力し、(7)物標の微動状態において、前記フレーム間差分処理部が検出する物標の距離に基づいて、前記レンジドップラー処理部が物標の移動状態から微動状態への遷移段階で検出した物標の距離及び方向を出力する物標位置出力部と、
を備えることを特徴とする物標位置検出装置。
【請求項2】
前記レンジドップラー処理部及び前記フレーム間差分処理部は、物標の状態が移動状態又は微動状態のいずれであるかによらず、同時に処理を実行し、
物標の移動状態において、前記レンジドップラー処理部が検出する物標の距離及び方向と、前記フレーム間差分処理部が検出する物標の距離と、に基づいて、前記レンジドップラー処理部が検出する物標と、前記フレーム間差分処理部が検出する物標と、が同一の物標又は異なる物標のいずれであるかを判定する物標位置紐付部、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の物標位置検出装置。
【請求項3】
前記フレーム間差分処理部の処理実行後に、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル位相又はスペクトル振幅を微動フーリエ変換し、微動フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標の微動周期を検出する物標微動検出部、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の物標位置検出装置。
【請求項4】
前記フレーム間差分処理部は、異なるフレーム間における各チャープ信号について、処理を実行するにあたり、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル強度が所定閾値を超えるように、異なるフレーム間が有する間隔を設定する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の物標位置検出装置。
【請求項5】
前記フレーム間差分処理部は、異なるフレーム間における各チャープ信号について、処理を実行するにあたり、各フレーム内における送受信間のビート信号として、各フレーム内における送受信間の全ビート信号の平均ビート信号を適用する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の物標位置検出装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の物標位置検出装置と、前記FMCWレーダのレーダ送受信装置と、を備えることを特徴とする物標位置検出システム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の物標位置検出装置が備える各処理部が行なう各処理ステップをコンピュータに実行させるための物標位置検出プログラム。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の物標位置検出装置が備える各処理部が行なう各処理ステップを備えることを特徴とする物標位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動状態及び微動状態の物標の位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動状態の物標の位置を検出する技術として、移動状態の物標の距離及び速度を検出するFMCWレーダのレンジドップラー方式と、移動状態の物標の方向を検出するMIMOレーダの位相モノパルス方式と、が公知である。ここで、移動状態の物標として、手振り又は足運び等のマクロモーションを行なう、歩行中等の人体等の生体等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6111506号公報
【特許文献2】特開2021-085754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、FMCWレーダのレンジドップラー方式は、ドップラー信号を検出するため、微動状態の物標の位置を検出することはできない(図5を参照。)。ここで、微動状態の物標として、拍動、呼吸、体の揺らぎ又は手指の動き等のマイクロモーションを行なう、立ち止まり中、着座中、横臥中又は睡眠中等の人体等の生体等が挙げられる。
【0005】
微動状態の物標の存在を検出する技術として、微動状態の物標の速度を選別し、微動状態の物標の距離を検出する、ドップラーレーダのフィルタ方式及びFMCWレーダのフレーム間差分方式が公知である(特許文献1、2を参照。)。しかし、ドップラーレーダのフィルタ方式及びFMCWレーダのフレーム間差分方式は、微動状態の物標の方向を検出することができず、微動状態の物標の位置を検出することができない(図8を参照。)。
【0006】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、移動状態の物標の距離、速度及び方向を検出するとともに、微動状態の物標の距離及び方向も検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、FMCWレーダのレンジドップラー方式を用いて、移動状態の物標の距離、速度及び方向を検出する。そして、FMCWレーダのフレーム間差分方式を用いて、微動状態の物標の距離を検出する。さらに、FMCWレーダのフレーム間差分方式による微動状態の物標の距離に基づいて、FMCWレーダのレンジドップラー方式による移動状態から微動状態への遷移段階での物標の距離及び方向を出力する。
【0008】
具体的には、本開示は、各フレーム内において複数のチャープ信号を送信し、隣接フレーム間においてチャープ信号の送信を停止する、FMCWレーダを用いる物標位置検出装置であって、(1)各フレーム内における各チャープ信号について、送受信間のビート信号を距離フーリエ変換し、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標の距離を検出し、(2)各フレーム内における全チャープ信号について、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル位相を速度フーリエ変換し、速度フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標の速度を検出し、(3)各フレーム内において、複数の受信アンテナについて、速度フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル位相の差分に基づいて、物標の方向を検出するレンジドップラー処理部と、(4)異なるフレーム間における各チャープ信号について、送受信間のビート信号を距離フーリエ変換し、距離フーリエ変換スペクトルの差分スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標の距離を検出し、又は、(5)異なるフレーム間における各チャープ信号について、送受信間のビート信号の差分信号を距離フーリエ変換し、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標の距離を検出するフレーム間差分処理部と、(6)物標の移動状態において、前記レンジドップラー処理部が検出する物標の距離、速度及び方向を出力し、(7)物標の微動状態において、前記フレーム間差分処理部が検出する物標の距離に基づいて、前記レンジドップラー処理部が物標の移動状態から微動状態への遷移段階で検出した物標の距離及び方向を出力する物標位置出力部と、を備えることを特徴とする物標位置検出装置である。
【0009】
この構成によれば、移動状態の物標の距離、速度及び方向を検出するとともに、遷移段階の物標の距離及び方向を微動状態の物標の距離及び方向として出力することができる。
【0010】
また、本開示は、前記レンジドップラー処理部及び前記フレーム間差分処理部は、物標の状態が移動状態又は微動状態のいずれであるかによらず、同時に処理を実行し、物標の移動状態において、前記レンジドップラー処理部が検出する物標の距離及び方向と、前記フレーム間差分処理部が検出する物標の距離と、に基づいて、前記レンジドップラー処理部が検出する物標と、前記フレーム間差分処理部が検出する物標と、が同一の物標又は異なる物標のいずれであるかを判定する物標位置紐付部、をさらに備えることを特徴とする物標位置検出装置である。
【0011】
この構成によれば、複数の物標が存在するときでも、遷移段階の各々の物標の距離及び方向を微動状態の各々の物標の距離及び方向として混同なく出力することができる。
【0012】
また、本開示は、前記フレーム間差分処理部の処理実行後に、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル位相又はスペクトル振幅を微動フーリエ変換し、微動フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標の微動周期を検出する物標微動検出部、をさらに備えることを特徴とする物標位置検出装置である。
【0013】
この構成によれば、物標の微動周期(心拍数又は呼吸数等)を検出することができる。
【0014】
また、本開示は、前記フレーム間差分処理部は、異なるフレーム間における各チャープ信号について、処理を実行するにあたり、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル強度が所定閾値を超えるように、異なるフレーム間が有する間隔を設定することを特徴とする物標位置検出装置である。
【0015】
この構成によれば、物標の微動振幅の大きさに応じて、異なるフレーム間の間隔を設定するため、物標の微動振幅の大きさによらず、微動状態の物標を検出することができる。
【0016】
また、本開示は、前記フレーム間差分処理部は、異なるフレーム間における各チャープ信号について、処理を実行するにあたり、各フレーム内における送受信間のビート信号として、各フレーム内における送受信間の全ビート信号の平均ビート信号を適用することを特徴とする物標位置検出装置である。
【0017】
この構成によれば、各フレーム内における送受信間の全ビート信号の平均ビート信号を適用するため、微動状態の物標の距離を安定して検出することができる。
【0018】
また、本開示は、以上に記載の物標位置検出装置と、前記FMCWレーダのレーダ送受信装置と、を備えることを特徴とする物標位置検出システムである。
【0019】
この構成によれば、以上の効果を有するシステムを提供することができる。
【0020】
また、本開示は、以上に記載の物標位置検出装置が備える各処理部が行なう各処理ステップをコンピュータに実行させるための物標位置検出プログラムである。
【0021】
この構成によれば、以上の効果を有するプログラムを提供することができる。
【0022】
また、本開示は、以上に記載の物標位置検出装置が備える各処理部が行なう各処理ステップを備えることを特徴とする物標位置検出方法である。
【0023】
この構成によれば、以上の効果を有する処理手順を提供することができる。
【0024】
なお、上記各開示の発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0025】
このように、本開示は、移動状態の物標の距離、速度及び方向を検出するとともに、微動状態の物標の距離及び方向も検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の物標位置検出処理の概要を示す図である。
図2】本開示の物標位置検出システムの構成を示す図である。
図3】本開示のFMCWレーダ送信処理の具体例を示す図である。
図4】本開示の物標位置検出処理の手順を示す図である。
図5】本開示のレンジドップラー処理の具体例を示す図である。
図6】本開示のレンジドップラー処理の具体例を示す図である。
図7】本開示のフレーム間差分処理の具体例を示す図である。
図8】本開示のフレーム間差分処理の具体例を示す図である。
図9】本開示の物標移動状態の距離フーリエ変換スペクトルを示す図である。
図10】本開示の物標微動状態の距離フーリエ変換スペクトルを示す図である。
図11】本開示の物標位置出力処理の手順を示す図である。
図12】本開示の物標位置出力処理の具体例を示す図である。
図13】本開示の物標位置紐付処理の具体例を示す図である。
図14】本開示の物標微動検出処理の具体例を示す図である。
図15】本開示の移動微動判定処理の手順を示す図である。
図16】本開示の移動微動判定処理の原理を示す図である。
図17】本開示の移動微動判定特性の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0028】
(本開示の物標位置検出処理の概要)
本開示の物標位置検出処理の概要を図1に示す。物標Tは、移動状態と微動状態との間で、その状態を繰り返し遷移している。移動状態の物標Tとして、手振り又は足運び等のマクロモーションを行なう、歩行中等の人体等の生体等が挙げられる。微動状態の物標Tとして、拍動、呼吸、体の揺らぎ又は手指の動き等のマイクロモーションを行なう、立ち止まり中、着座中、横臥中又は睡眠中等の人体等の生体等が挙げられる。
【0029】
本開示の物標位置検出システムの構成を図2に示す。本開示のFMCWレーダ送信処理の具体例を図3に示す。物標位置検出システムSは、物標位置検出装置1及びFMCWレーダ送受信装置2を備える。物標位置検出装置1は、図4、11、15に示した物標位置検出プログラムを、コンピュータにインストールし実現することができる。
【0030】
FMCWレーダ送受信装置2は、PLL回路21、発振器22、分配器23、増幅器24、ローパスフィルタ25、送信アンテナ26、受信アンテナ27-1、27-2、27-3、増幅器28-1、28-2、28-3、増幅器29、ミキサ回路30-1、30-2、30-3、増幅器31-1、31-2、31-3及びA/D変換器32を備える。
【0031】
FMCWレーダでは、各フレーム内においてn個のチャープ信号を送信し(チャープ周波数f~f、チャープ時間t、チャープ間隔t)、隣接フレーム間においてチャープ信号の送信を停止する(フレーム間隔t)。ここで、FMCWレーダのレンジドップラー方式では、各フレーム内において処理を実行するため、移動状態の物標Tの速度を高速度しか検出することができないが、受信チャープ信号の記憶容量及び処理負担を低減することができる。一方で、FMCWレーダのフレーム間差分方式では、異なるフレーム間において処理を実行するため、受信チャープ信号の記憶容量及び処理負担を低減することができないが、微動状態の物標Tの動きを低速度まで検出することができる。
【0032】
物標位置検出装置1は、レンジドップラー処理部11、フレーム間差分処理部15、物標位置紐付部18及び物標位置出力部19を備える。レンジドップラー処理部11は、物標距離検出部12、物標速度検出部13及び物標方向検出部14を備える。フレーム間差分処理部15は、物標距離検出部16及び物標微動検出部17を備える。
【0033】
本開示では、FMCWレーダのレンジドップラー方式を用いて、移動状態の物標Tの距離、速度及び方向を検出する。そして、FMCWレーダのフレーム間差分方式を用いて、微動状態の物標Tの距離を検出する。さらに、FMCWレーダのフレーム間差分方式による微動状態の物標Tの距離に基づいて、FMCWレーダのレンジドップラー方式による移動状態から微動状態への遷移段階での物標Tの距離及び方向を出力する。
【0034】
(本開示の物標位置検出処理の手順)
本開示の物標位置検出処理の手順を図4に示す。まず、レンジドップラー処理部11の検出処理を説明する。次に、フレーム間差分処理部15の検出処理を説明する。
【0035】
本開示のレンジドップラー処理の具体例を図5、6に示す。物標距離検出部12は、各フレーム内における各チャープ信号について、送受信間のビート信号を距離フーリエ変換し、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標Tの距離を検出する(ステップS1、図5)。ここで、物標距離検出部12は、送受信間のビート信号からトレンド成分を除去し、距離フーリエ変換スペクトルからDC成分を除去する。
【0036】
物標速度検出部13は、各フレーム内における全チャープ信号について、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル位相を速度フーリエ変換し、速度フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標Tの速度を検出する(ステップS2、図5)。ここで、物標速度検出部13は、チャープ時間t+チャープ間隔tで決まるナイキスト周波数に応じて、物標Tの最高検出速度を制限し、フレーム時間n(t+t)の一周期又は半周期に応じて、物標Tの最低検出速度を制限する。
【0037】
物標方向検出部14は、各フレーム内において、複数の受信アンテナ27-1、27-2、27-3について、速度フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル位相の差分に基づいて、物標Tの方向を検出する(ステップS3、図6)。
【0038】
よって、レンジドップラー処理部11は、移動状態の物標Tの距離、速度及び方向を検出することはできるが、微動状態の物標Tの距離及び方向を検出することはできない。
【0039】
本開示のフレーム間差分処理の具体例を図7、8に示す。フレーム間差分処理部15は、以下の二種類の方法により、物標Tの距離を検出することができる。
【0040】
第一の方法として、物標距離検出部16は、異なるフレーム間(図7では、隣接フレーム間であるが、離れたフレーム間でもよい。)における各チャープ信号について、送受信間のビート信号を距離フーリエ変換し、距離フーリエ変換スペクトルの差分スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標Tの距離を検出する(ステップS4、図7の左欄)。
【0041】
第二の方法として、物標距離検出部16は、異なるフレーム間(図7では、隣接フレーム間であるが、離れたフレーム間でもよい。)における各チャープ信号について、送受信間のビート信号の差分信号を距離フーリエ変換し、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標Tの距離を検出する(ステップS5、図7の右欄)。
【0042】
なお、フレーム間差分処理部15は、ステップS3とほぼ同様にして、複数の受信アンテナ27-1、27-2、27-3について、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル位相又はスペクトル振幅の時間変化を検出し、これらの時間変化の位相差に基づいて、物標Tの方向を検出することが考えられる(図8を参照。)。
【0043】
ここで、図8の上段に示したように、物標Tが高速度で移動するときには、複数の受信アンテナ27-1、27-2、27-3について、前述の時間変化の時間差Δt(位相差2πΔt/t)は、前述の時間変化の周期tと比べて、等しいオーダーを有している。よって、フレーム間差分処理部15は、物標Tの方向を検出することができる。
【0044】
しかし、図8の中段に示したように、物標Tが低速度で移動するときには、複数の受信アンテナ27-1、27-2、27-3について、前述の時間変化の時間差Δt(位相差2πΔt/t)は、前述の時間変化の周期tと比べて、小さいオーダーを有している。よって、フレーム間差分処理部15は、物標Tの方向を検出することができない。
【0045】
そして、図8の下段に示したように、物標Tが心拍又は呼吸等で微動するときには、前述の時間変化は、長期間も不変となり得て、複数の受信アンテナ27-1、27-2、27-3について、前述の時間変化の時間差Δt(位相差2πΔt/t)は、検出不能となる。よって、フレーム間差分処理部15は、物標Tの方向を検出することができない。
【0046】
よって、フレーム間差分処理部15は、移動状態の物標Tの距離及び方向を検出することができ(ただし、フレーム間差分処理部15の検出精度は、レンジドップラー処理部11の検出精度と比べて、低いと考えられる。)、微動状態の物標Tの距離を検出することはできるが、微動状態の物標Tの方向を検出することはできない。
【0047】
本開示の物標移動状態の距離フーリエ変換スペクトルを図9、10に示す。図9に示したように、物標Tが移動するときには、レンジドップラー処理部11は、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数(∝物標Tの距離)を検出できているが、フレーム間差分処理部15は、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数を検出できていない。図10に示したように、物標Tが微動するときには、レンジドップラー処理部11は、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数を検出できていないが、フレーム間差分処理部15は、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数(∝物標Tの距離)を検出できている。
【0048】
(本開示の物標位置出力処理の手順)
本開示の物標位置出力処理の手順を図11に示す。まず、レンジドップラー処理部11及びフレーム間差分処理部15の切替検出処理を説明する。次に、レンジドップラー処理部11及びフレーム間差分処理部15の同時検出処理を説明する。
【0049】
レンジドップラー処理部11及びフレーム間差分処理部15の切替検出処理において、本開示の物標位置出力処理の具体例を図12に示す。レンジドップラー処理部11及びフレーム間差分処理部15は、物標Tの状態が移動状態又は微動状態のいずれであるかに応じて、切替で処理を実行する(ステップS1~S3及びステップS4、S5を切替)。
【0050】
物標Tの状態が移動状態又は微動状態のいずれであるかは、図15~17で後述するように判定することができる(ステップS6、詳細はステップS11~S17)。
【0051】
物標位置出力部19は、物標Tの移動状態において(ステップS6、移動状態)、レンジドップラー処理部11が検出する物標Tの距離、速度及び方向を出力する(ステップS8)。一方で、物標位置出力部19は、物標Tの微動状態において(ステップS6、微動状態)、フレーム間差分処理部15が検出する物標Tの距離に基づいて、レンジドップラー処理部11が物標Tの移動状態から微動状態への遷移段階で検出した物標Tの距離及び方向を出力する(ステップS9)。ここで、フレーム間差分処理部15が検出する物標Tの距離は、レンジドップラー処理部11が物標Tの遷移段階で検出した物標Tの距離と等しい。
【0052】
図12の左欄では、単数の物標T1が存在している。すると、物標位置出力部19は、物標T1の移動状態において、レンジドップラー処理部11が検出する物標T1の距離、速度及び方向を出力する。そして、物標位置出力部19は、物標T1の微動状態において、フレーム間差分処理部15が検出する物標T1の距離に最も近い、レンジドップラー処理部11が物標T1の遷移段階で検出した物標T1の距離及び方向を出力する。
【0053】
図12の右欄では、複数の物標T1、T2が存在している。すると、物標位置出力部19は、物標T1、T2の移動状態において、レンジドップラー処理部11が検出する物標T1、T2の距離、速度及び方向を出力する。そして、物標位置出力部19は、物標T1の微動状態において、フレーム間差分処理部15が検出する物標T1の距離に最も近い、レンジドップラー処理部11が検出した物標T2の距離及び方向を出力する可能性がある。つまり、物標位置出力部19は、物標T1の微動状態において、フレーム間差分処理部15が検出する物標T1の距離に最も近いはずである、レンジドップラー処理部11が物標T1の遷移段階で検出した物標T1の距離及び方向を出力しない可能性がある。
【0054】
レンジドップラー処理部11及びフレーム間差分処理部15の同時検出処理において、本開示の物標位置出力処理の具体例を図13に示す。レンジドップラー処理部11及びフレーム間差分処理部15は、物標Tの状態が移動状態又は微動状態のいずれであるかによらず、同時に処理を実行する(ステップS1~S3及びステップS4、S5を並行)。
【0055】
物標Tの状態が移動状態又は微動状態のいずれであるかは、図15~17で後述するように判定することができる(ステップS6、詳細はステップS11~S17)。
【0056】
物標位置紐付部18は、物標Tの移動状態において(ステップS6、移動状態)、レンジドップラー処理部11が検出する物標Tの距離及び方向と、フレーム間差分処理部15が検出する物標Tの距離と、に基づいて、レンジドップラー処理部11が検出する物標Tと、フレーム間差分処理部15が検出する物標Tと、が同一の物標又は異なる物標のいずれであるかを判定する(ステップS7)。ここで、物標位置紐付部18は、一瞬一瞬の物標Tの距離及び方向を考慮するのみではなく、物標Tの距離及び方向の時間変化も考慮したうえで、二種類の方式で検出された物標Tを同一の物標として紐付ける。そして、物標位置出力部19は、物標Tの移動状態において(ステップS6、移動状態)、レンジドップラー処理部11が検出する物標Tの距離、速度及び方向を出力する(ステップS8)。
【0057】
一方で、物標位置出力部19は、物標Tの微動状態において(ステップS6、微動状態)、フレーム間差分処理部15が検出する物標Tの距離に基づいて、レンジドップラー処理部11が物標Tの移動状態から微動状態への遷移段階で検出した物標Tの距離及び方向を出力する(ステップS9)。ここで、フレーム間差分処理部15が検出する物標Tの距離は、レンジドップラー処理部11が物標Tの遷移段階で検出した物標Tの距離と等しい。
【0058】
図13の左欄では、単数の物標T1が存在している。すると、図12の左欄と異なり、物標位置紐付部18は、物標T1の移動状態において、レンジドップラー処理部11が検出する物標T1の距離及び方向と、フレーム間差分処理部15が検出する物標T1の距離と、に基づいて、レンジドップラー処理部11が検出する物標T1と、フレーム間差分処理部15が検出する物標T1と、が同一の物標であると判定する。ここで、物標位置紐付部18は、一瞬一瞬の物標T1の距離及び方向を考慮するのみではなく、物標T1の距離及び方向の時間変化も考慮したうえで、二種類の方式で検出された物標T1を同一の物標として紐付ける。そして、物標位置出力部19は、物標T1の移動状態において、レンジドップラー処理部11が検出する物標T1の距離、速度及び方向を出力する。
【0059】
さらに、物標位置出力部19は、物標T1の微動状態において、フレーム間差分処理部15が検出する物標T1の距離に最も近い、レンジドップラー処理部11が物標T1の遷移段階で検出した物標T1の距離及び方向を出力する。ここで、物標位置紐付部18は、物標T1の移動状態において、二種類の方式で検出された物標T1を同一の物標として紐付ける。よって、物標位置出力部19は、物標T1の微動状態において、レンジドップラー処理部11が物標T1の遷移段階で検出した物標T1の距離及び方向を出力できる。
【0060】
図13の右欄では、複数の物標T1、T2が存在している。すると、図12の右欄と異なり、物標位置紐付部18は、物標T1、T2の移動状態において、レンジドップラー処理部11が検出する物標T1、T2の距離及び方向と、フレーム間差分処理部15が検出する物標T1、T2の距離と、に基づいて、レンジドップラー処理部11が検出する物標T1、T2と、フレーム間差分処理部15が検出する物標T1、T2と、がそれぞれ異なる物標であると判定する。ここで、物標位置紐付部18は、一瞬一瞬の物標T1、T2の距離及び方向を考慮するのみではなく、物標T1、T2の距離及び方向の時間変化も考慮したうえで、二種類の方式で検出された物標T1、T2を異なる物標として紐付ける。そして、物標位置出力部19は、物標T1、T2の移動状態において、レンジドップラー処理部11が検出する物標T1、T2の距離、速度及び方向を出力する。
【0061】
さらに、物標位置出力部19は、物標T1の微動状態において、フレーム間差分処理部15が検出する物標T1の距離に最も近い、レンジドップラー処理部11が物標T1の遷移段階で検出した物標T1の距離及び方向を出力する。ここで、物標位置紐付部18は、物標T1、T2の移動状態において、二種類の方式で検出された物標T1、T2を異なる物標として紐付ける。よって、物標位置出力部19は、物標T1の微動状態において、レンジドップラー処理部11が物標T1の遷移段階で検出した物標T1の距離及び方向を出力できる。つまり、物標位置出力部19は、物標T1の微動状態において、レンジドップラー処理部11が検出した物標T2の距離及び方向を出力しない。
【0062】
このように、移動状態の物標Tの距離、速度及び方向を検出するとともに、遷移段階の物標Tの距離及び方向を微動状態の物標Tの距離及び方向として出力することができる。そして、複数の物標Tが存在するときでも、遷移段階の各々の物標Tの距離及び方向を微動状態の各々の物標Tの距離及び方向として混同なく出力することができる。さらに、物標Tの状態が移動状態又は微動状態のいずれであるかを意識しなくてもよい。つまり、レンジドップラー処理部11及びフレーム間差分処理部15の検出処理のうち、いずれの検出処理が適切であるかを判定して、いずれかの処理に切り替えなくてもよい。
【0063】
本開示の物標微動検出処理の具体例を図14に示す。物標微動検出部17は、物標距離検出部16の処理実行後に、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル位相又はスペクトル振幅を微動フーリエ変換し、微動フーリエ変換スペクトルのピーク周波数に基づいて、物標Tの微動周期を検出する(ステップS10、図14)。ここで、物標微動検出部17は、物標Tの微動振幅がFMCWレーダの送信波長以下であれば、前述のスペクトル位相が0~2πを超えて折り返すことなく、物標Tの微動周期を検出できる。
【0064】
このように、物標Tの微動周期(心拍数又は呼吸数等)を検出することができる。そして、物標Tの状態が移動状態であるときには、物標Tの距離、速度及び方向を検出することができ、物標Tの状態が微動状態であるときには、遷移段階の物標Tの距離及び方向並びに微動状態の物標Tの微動周期を出力することができ、物標Tの状態が再び移動状態になったときには、物標Tの距離、速度及び方向を再び検出することができる。
【0065】
(本開示の移動微動判定処理の手順)
本開示の移動微動判定処理の手順を図15に示す。本開示の移動微動判定処理の原理を図16に示す。本開示の移動微動判定特性の具体例を図17に示す。
【0066】
物標位置出力部19は、レンジドップラー処理部11が検出する物標Tの速度が、所定閾値(=最低検出速度)以上であるときに(ステップS11、YES)、レンジドップラー処理部11が検出する物標Tの距離、速度及び方向を出力する(ステップS12)。
【0067】
物標位置出力部19は、レンジドップラー処理部11が検出する物標Tの速度が、所定閾値(=最低検出速度)より低いときに(ステップS11、NO)、フレーム間差分処理部15が検出する物標Tの距離を出力する(ステップS14、S16)。
【0068】
フレーム間差分処理部15は、異なるフレーム間における各チャープ信号について、処理を実行するにあたり、(1)距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル強度が所定閾値を超えるように、異なるフレーム間が有する間隔を設定するとともに(ステップS13、15)、(2)各フレーム内における送受信間のビート信号として、各フレーム内における送受信間の全ビート信号の平均ビート信号を適用する。
【0069】
図16の左欄では、隣接フレーム間(フレーム間隔=1)における各チャープ信号について、送受信間のビート信号(一ビート信号又は平均ビート信号)は、同一の周波数を有し、わずかに異なる位相を有する。よって、隣接フレーム間における各チャープ信号について、送受信間のビート信号の差分信号は、比較的小さな振幅を有する。
【0070】
図16の右欄では、非隣接フレーム間(フレーム間隔=n)における各チャープ信号について、送受信間のビート信号(一ビート信号又は平均ビート信号)は、同一の周波数を有し、大きく異なる位相を有する。よって、非隣接フレーム間における各チャープ信号について、送受信間のビート信号の差分信号は、比較的大きな振幅を有する。
【0071】
そこで、微動状態の物標Tの動きが速いときには、図16の左欄に示したように、隣接フレーム間における各チャープ信号について、送受信間のビート信号の差分信号を計算したとしても、送受信間のビート信号の差分信号は、比較的大きな振幅を有する。
【0072】
一方で、微動状態の物標Tの動きが遅いときには、図16の右欄に示したように、非隣接フレーム間における各チャープ信号について、送受信間のビート信号の差分信号を計算しなければ、送受信間のビート信号の差分信号は、比較的大きな振幅を有さない。
【0073】
図17では、異なるフレーム間における各チャープ信号について、送受信間のビート信号の差分信号を計算したときに、異なるフレーム間の間隔が短期間/長期間に設定されるほど、微動状態の物標Tの速度応答特性が高速度/低速度で向上している。なお、図17に示した微動状態の物標Tの速度応答特性は、特許文献2に基づいて評価されている。
【0074】
物標位置出力部19は、隣接フレーム間(フレーム間隔=1)における各チャープ信号について、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル強度が、所定閾値以上であるときに(ステップS13、YES)、フレーム間差分処理部15が隣接フレーム間(フレーム間隔=1)で検出する物標Tの距離を出力する(ステップS14)。
【0075】
物標位置出力部19は、隣接フレーム間(フレーム間隔=1)における各チャープ信号について、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル強度が、所定閾値より低いときに(ステップS13、NO)、ステップS15に進む。
【0076】
物標位置出力部19は、非隣接フレーム間(フレーム間隔=n)における各チャープ信号について、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル強度が、所定閾値以上であるときに(ステップS15、YES)、フレーム間差分処理部15が非隣接フレーム間(フレーム間隔=n)で検出する物標Tの距離を出力する(ステップS16)。
【0077】
物標位置出力部19は、非隣接フレーム間(フレーム間隔=n)における各チャープ信号について、距離フーリエ変換スペクトルのピーク周波数でのスペクトル強度が、所定閾値より低いときに(ステップS15、NO)、物標Tの静止状態を判定する(ステップS17)。なお、所定閾値は、ステップS15では、ステップS13より、低くすればよい。
【0078】
このように、物標Tの微動振幅の大きさに応じて、異なるフレーム間の間隔を設定するため、物標Tの微動振幅の大きさによらず、微動状態の物標Tを検出することができる。そして、各フレーム内における送受信間の全ビート信号の平均ビート信号を適用するため、微動状態の物標Tの距離を安定して検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本開示の物標位置検出装置、システム、プログラム及び方法は、(1)移動状態の物標(手振り又は足運び等のマクロモーションを行なう、歩行中等の人体等の生体等)の距離、速度及び方向を検出することができるとともに、(2)微動状態の物標(拍動、呼吸、体の揺らぎ又は手指の動き等のマイクロモーションを行なう、立ち止まり中、着座中、横臥中又は睡眠中等の人体等の生体等)の距離及び方向も検出することができる。
【符号の説明】
【0080】
S:物標位置検出システム
T、T1、T2:物標
1:物標位置検出装置
2:FMCWレーダ送受信装置
11:レンジドップラー処理部
12:物標距離検出部
13:物標速度検出部
14:物標方向検出部
15:フレーム間差分処理部
16:物標距離検出部
17:物標微動検出部
18:物標位置紐付部
19:物標位置出力部
21:PLL回路
22:発振器
23:分配器
24:増幅器
25:ローパスフィルタ
26:送信アンテナ
27-1、27-2、27-3:受信アンテナ
28-1、28-2、28-3:増幅器
29:増幅器
30-1、30-2、30-3:ミキサ回路
31-1、31-2、31-3:増幅器
32:A/D変換器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
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図17