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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103945
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240726BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240726BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01L21/30 562
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007903
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】酒田 洋司
(72)【発明者】
【氏名】香月 信吾
(72)【発明者】
【氏名】藤瀬 遼平
(72)【発明者】
【氏名】松山 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 慎介
(72)【発明者】
【氏名】岩城 浩之
(72)【発明者】
【氏名】只友 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 智也
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
5F146
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197CD23
2H197CE01
2H197CE10
2H197GA01
2H197HA03
5F131AA02
5F131BA12
5F131BA13
5F131BA14
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA06
5F131CA70
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB54
5F131DB58
5F131DB76
5F131DD42
5F131DD82
5F131DD85
5F131GA03
5F131GA33
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F146CD01
5F146CD05
5F146JA22
5F146LA19
(57)【要約】
【課題】MOR膜が形成された基板において良好なパターンを得ること。
【解決手段】ウェハ処理システム1は、MOR膜形成後且つ露光処理実施前のウェハWの搬送経路である第1搬送経路と、露光処理実施後のウェハWの搬送経路である第2搬送経路と、を備える。ウェハ処理システム1は、第1搬送経路及び第2搬送経路の少なくともいずれか一方に設けられ、雰囲気の窒素濃度が空気よりも高く設定された環境でウェハWを載置する窒素雰囲気載置部(例えば、窒素雰囲気載置部51,53,54,70等)を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MOR膜形成後且つ露光処理実施前の基板の搬送経路である第1搬送経路と、
露光処理実施後の基板の搬送経路である第2搬送経路と、
前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路の少なくともいずれか一方に設けられ、雰囲気の窒素濃度が空気よりも高く設定された環境で基板を載置する一または複数の窒素雰囲気載置部と、を備える基板処理装置。
【請求項2】
露光装置との間で基板の受け渡しを行うブロック内に設けられ、複数の収容スペースが上下多段に形成されたタワーと、
大気環境で基板を載置する一または複数の大気雰囲気載置部と、を更に備え、
少なくとも1つの前記窒素雰囲気載置部は、前記タワーにおけるいずれかの前記収容スペースに設けられ、
少なくとも1つの前記大気雰囲気載置部は、前記タワーにおける前記収容スペースの内、前記窒素雰囲気載置部が設けられていないいずれかの前記収容スペースに設けられている、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記窒素雰囲気載置部は、
基板を支持する支持面を囲むように設けられた蓋体と、
前記蓋体に設けられ、前記支持面及び前記蓋体によって区画される空間内に窒素を供給する第1窒素供給部と、を有するチャンバ構造である、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記窒素雰囲気載置部は、
基板が収まる複数のスロットを画定する複数のスロット区分部と、
前記スロットに収まった基板の周囲四方の内、基板の導入口である開口部を除いた三方に設けられた壁部と、
前記壁部における前記開口部に対向する領域に形成され、前記開口部方向に向かって窒素を供給する第2窒素供給部と、を有するスロット構造である、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記窒素雰囲気載置部は、前記開口部において開閉部を備え、
前記開閉部は、複数の通過領域が上下方向に並べて設けられたシャッターが複数、奥行方向に並んで設けられており、それぞれの前記シャッターが前記上下方向に相対的に移動することで、前記開口において前記複数のスロットのうち一部のスロットに対向する領域が開放される、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記窒素雰囲気載置部は、処理ブロック内の熱処理ユニットに設けられている、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記窒素雰囲気載置部は、処理ブロックと基板の搬入出部との間に設けられている、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項8】
少なくとも1つの前記窒素雰囲気載置部は、前記第1搬送経路に設けられており、
少なくとも1つの前記窒素雰囲気載置部は、前記第2搬送経路に設けられており、
前記第1搬送経路に設けられている前記窒素雰囲気載置部は、前記第2搬送経路に設けられている前記窒素雰囲気載置部よりも、窒素濃度が低く設定されている、請求項1~7のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項9】
MOR膜形成後且つ露光処理実施前の基板を処理または搬送する第1工程と、
露光処理実施後の基板を処理または搬送する第2工程と、
前記第1工程及び前記第2工程の少なくともいずれか一方と共に実施され、雰囲気の窒素濃度が空気よりも高く設定された環境で基板を待機させる第3工程と、を含む基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォトリゾグラフィにおいて、ウェハにレジストを塗布してレジスト膜を形成すること、現像液を供給して露光済みのレジスト膜を現像すること等を実施する基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-219434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、MOR(MetalOxide Resist)膜が形成された基板において、良好なパターンを得ることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る基板処理装置は、MOR膜形成後且つ露光処理実施前の基板の搬送経路である第1搬送経路と、露光処理実施後の基板の搬送経路である第2搬送経路と、第1搬送経路及び第2搬送経路の少なくともいずれか一方に設けられ、雰囲気の窒素濃度が空気よりも高く設定された環境で基板を載置する一または複数の窒素雰囲気載置部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、MOR膜が形成された基板において良好なパターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、ウェハ処理システムの構成の概略を模式的に示す平面図である。
図2図2は、ウェハ処理システムの構成の概略を模式的に示す正面図である。
図3図3(a)は第5のブロックの受け渡し装置のレイアウトの一例を模式的に示す正面図であり、図3(b)は第5のブロックの受け渡し装置のレイアウトの他の例を模式的に示す正面図である。
図4図4は、第5のブロックの受け渡し装置内に配置されたスロット構造の窒素雰囲気載置部を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、スロット構造の窒素雰囲気載置部を模式的に示す平面図である。
図6図6は、スロット構造の窒素雰囲気載置部におけるサイドフローを説明する図である。
図7図7は、変形例に係るスロット構造の窒素雰囲気載置部を模式的に示す側面図である。
図8図8(a)は「OPEN-A」モードのシャッター状態を示す斜視図であり、図8(b)は「OPEN-A」モードのシャッター状態を示す正面図であり、図8(c)は「OPEN-A」モードの各シリンダのUPorDOWNを示す表である。図8(d)は「OPEN-B」モードのシャッター状態を示す斜視図であり、図8(e)は「OPEN-B」モードのシャッター状態を示す正面図であり、図8(f)は「OPEN-B」モードの各シリンダのUPorDOWNを示す表である。図8(g)は「FULL-CLOSE」モードのシャッター状態を示す斜視図であり、図8(h)は「FULL-CLOSE」モードのシャッター状態を示す正面図である。図8(i)は「FULL-CLOSE」モードの各シリンダのUPorDOWNを示す表である。
図9図9(a)は「OPEN-A」モードのシャッター状態を模式的に示す側面図であり、図9(b)は「OPEN-B」モードのシャッター状態を模式的に示す側面図である。図9(c)は「FULL-CLOSE」モードのシャッター状態を模式的に示す側面図である。
図10図10は、第5のブロックの受け渡し装置内に配置されたチャンバ構造の窒素雰囲気載置部を模式的に示す正面図である。
図11図11(a)はチャンバ構造の窒素雰囲気載置部を模式的に示す断面図であり、図11(b)は天板の平面図であり、図11(c)は流路形成板の平面図である。
図12図12は、熱板に連結された冷却板に配置されたチャンバ構造の窒素雰囲気載置部を模式的に示す断面図である。
図13図13(a)は独立して設けられた冷却板に配置されたチャンバ構造の窒素雰囲気載置部の一例を模式的に示す断面図であり、図13(b)は独立して設けられた冷却板に配置されたチャンバ構造の窒素雰囲気載置部の他の例を模式的に示す断面図である。
図14図14(a)(b)は、ダウンフロー発生部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係る基板処理装置としてのウェハ処理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0009】
<ウェハ処理システム>
先ず、本実施形態にかかるウェハ処理システムの構成について説明する。図1、2は、それぞれウェハ処理システム1の構成の概略を模式的に示す平面図、正面図である。本実施形態においては、ウェハ処理システム1がウェハWに対してレジスト膜の形成処理及び現像処理を行うフォトリソグラフィー処理システムである場合を一例として説明する。
【0010】
ウェハ処理システム1は、図1に示されるように複数枚のウェハWを収容したカセットCが搬入出されるカセットステーション2と、ウェハWに所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション3と、を有する。そしてウェハ処理システム1は、カセットステーション2と、処理ステーション3と、処理ステーション3とは反対側に隣接する露光装置(不図示)との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション4とを一体に接続した構成を有する。なお、処理ステーション3は、図1に示されるようにカセットステーション2とインターフェイスステーション4との間に2基設置されているが、1基のみ設置されていてもよく、また、3基以上設置されていてもよい。
【0011】
カセットステーション2には、複数のカセット載置台21とウェハ搬送装置22,23とが設けられている。カセットステーション2では、ウェハ搬送装置22またはウェハ搬送装置23によって、カセット載置台21に載置されたカセットCと処理ステーション3との間でウェハが搬送される。そのために、ウェハ搬送装置22,23は、各々がX方向、Y方向、上下方向、鉛直軸回り(θ方向)といった方向の駆動機構が必要に応じて備わっており、全ての方向の駆動機構を備えていてもよい。ウェハ搬送装置22,23の少なくともいずれか一方は、カセットCとの間でウェハWの受け渡しが可能であり、また、処理ステーション3との間でウェハWの受け渡し動作が可能である。なお、処理ステーション3との間におけるウェハWの受け渡し動作とは、例えば、後述する処理ステーション3内のウェハ搬送装置33がアクセス可能な受け渡し装置を備える第3のブロックG3との間でウェハの受け渡しを行うことである。第3のブロックG3内の受け渡し装置とは、例えば、複数の収容スペースが上下多段に形成されたタワー状の受け渡し装置103(図2参照)であってもよい。
【0012】
なお、ウェハ搬送装置22,23の少なくともいずれか一方がアクセス可能な位置に、ウェハWに対して検査を行う検査装置(図示無し)を備えていてもよい。
【0013】
処理ステーション3には、複数のブロック、例えば第1のブロックG1、第2のブロックG2、及び第4のブロックG4が設けられている。また、図2に示されるように第1のブロックG1及び第2のブロックG2を備える層31が複数、上下方向に積層されている。例えば処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。処理ステーション3のインターフェイスステーション4側(図1のY方向正方向側)あるいは隣接する別の処理ステーション3との接続部分には、第4のブロックG4が設けられている。第4のブロックG4は、受け渡し装置を備えていてもよい。第4のブロックG4内の受け渡し装置とは、例えば、複数の収容スペースが上下多段に形成されたタワー状の受け渡し装置104(図2参照)であってもよい。また、前述の第3のブロックG3が処理ステーション3内に設けられていてもよい。
【0014】
第1のブロックG1には、複数の液処理装置、例えば共に図示されないパターニング用膜形成装置や現像処理装置が配置される。パターニング用膜形成装置としては、例えば、レジスト膜形成装置のほか、反射防止膜形成装置を含むことができる。
【0015】
例えば複数の処理装置が水平方向に並べて配置されている。なお、これら処理装置の数や配置、種類は、任意に選択できる。
【0016】
これらパターニング用膜形成装置や現像処理装置では、例えばウェハW上に所定の処理液を供給すること、または、所定のガスを供給することが行われる。そのようにして、パターニング用膜形成装置では、下層側の膜のパターンを形成する際のマスクとして利用されるレジスト膜の形成や、露光処理を一例とする光照射処理を効率的に行うための反射防止膜等の形成が行われる。また一方、現像処理装置では、露光されたレジスト膜の一部を除去して上記マスクとしての凹凸形状が形成される。
【0017】
例えば第2のブロックG2には、ウェハWの加熱や冷却といった熱処理を行う熱処理ユニット(図示無し)が上下方向及び水平方向に並べて設けられている。また第2のブロックG2には、いずれも図示しないが、レジスト液とウェハWとの定着性を高めるために疎水化処理を行う疎水化処理装置、及び、ウェハWの外周部を露光する周辺露光装置が上下方向(図2のZ方向)及び水平方向に並べて設けられている。これら熱処理ユニット、疎水化処理装置、及び周辺露光装置の数や配置についても、任意に選択できる。
【0018】
図1に示されるように平面視において第1のブロックG1と第2のブロックG2とに挟まれた領域には、ウェハ搬送領域32が形成されている。ウェハ搬送領域32には、例えばウェハ搬送装置33が配置されている。
【0019】
ウェハ搬送装置33は、例えばY方向、前後方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有する。ウェハ搬送装置33は、ウェハ搬送領域32内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2や、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハWを搬送できる。図1のように処理ステーション3が複数ある場合、インターフェイスステーション4側に位置する処理ステーション3に設けられたウェハ搬送装置33は、第1のブロックG1、第2のブロックG2、及び第3のブロックG3にウェハWを搬送できる。また、ウェハ搬送装置33は、後述の第5のブロックG5内の所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0020】
ウェハ搬送装置33は、上下に複数台配置されてもよい。1つのウェハ搬送装置33は、上下に積層された複数の層31(図2参照)のうち、上側における複数の層31の高さに位置する所定の装置にウェハWを搬送できる。それらの層31より下方に位置する複数の層31の高さに位置する所定の装置に対しては、別のウェハ搬送装置33がウェハWを搬送できる。このようなウェハWの搬送を可能とするように複数のウェハ搬送領域32(図2参照)が設けられる。なお、ウェハ搬送装置33を1つの層31ごとに設けるなど、ウェハ搬送装置33の数や、1つのウェハ搬送装置33に対応する層31の数は、任意に選択できる。
【0021】
また、ウェハ搬送領域32あるいは第1のブロックG1や第2のブロックG2には、シャトル搬送装置(図示無し)があってもよい。シャトル搬送装置は、処理ステーション3の一方に隣接する空間とその反対側に隣接する別の空間との間で直線的にウェハWを搬送する。
【0022】
インターフェイスステーション4には、複数の受け渡し装置を備える第5のブロックG5と、ウェハ搬送装置41,42が設けられている。インターフェイスステーション4は、ウェハ搬送装置33によってウェハWの受け渡しが行われる第5のブロックG5と露光機との間で、ウェハ搬送装置41またはウェハ搬送装置42を用いてウェハWを搬送する。そのために、ウェハ搬送装置41,42は、各々がX方向、Y方向、上下方向、鉛直軸回り(θ方向)といった方向の駆動機構が必要に応じて備わっており、全ての方向の駆動機構を備えていてもよい。ウェハ搬送装置41,42の少なくともいずれか一方が、ウェハWを支持して、第5のブロックG5内の受け渡し装置及び露光装置の間でウェハWを搬送できる。第5のブロックG5内の受け渡し装置とは、例えば、複数の収容スペースが上下多段に形成されたタワー状の受け渡し装置105(タワー)(図2参照)であってもよい。
【0023】
ウェハWの表面を洗浄する洗浄装置や、前述した周辺露光装置が、インターフェイスステーション4内で、ウェハ搬送装置41,42の少なくともいずれか一方がアクセス可能な位置に設けられていても良い。
【0024】
以上のウェハ処理システム1には、制御装置100が設けられている。制御装置100は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(不図示)を有する。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1におけるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、ウェハ処理システム1におけるウェハ処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置100にインストールされたものであってもよい。
【0025】
<ウェハ処理システムの動作>
ウェハ処理システム1は以上のように構成されている。次に、以上のように構成されたウェハ処理システム1を用いて行われるウェハ処理の一例について説明する。
【0026】
先ず、複数のウェハWを収納したカセットCが、ウェハ処理システム1のカセットステーション2に搬入され、カセット載置台21に載置される。次に、ウェハ搬送装置22またはウェハ搬送装置23によりカセットC内の各ウェハWが順次取り出され、第3のブロックG3の受け渡し装置103に搬送される。
【0027】
第3のブロックG3の受け渡し装置103に搬送されたウェハWは、ウェハ搬送装置33で支持されて第2のブロックG2内に設けられた疎水化処理装置に搬送され、疎水化処理が行われる。次いで、ウェハ搬送装置33によって、レジスト膜形成装置に搬送されてウェハW上にレジスト膜が形成され、その後に熱処理ユニットに搬送されてプリベーク処理された後で、第5のブロックG5の受け渡し装置105に搬送される。なお、図1、2のように処理ステーション3が複数ある場合は、ウェハWは第5のブロックG5の受け渡し装置105に搬送される前に第4のブロックG4の受け渡し装置104に一度置かれてから、複数のウェハ搬送装置33との間での受け渡しがなされる。また、ウェハWは必要に応じて、ウェハ搬送装置33によって周辺露光装置に搬送され、ウェハWの周縁部に対する露光処理が実施されても良い。
【0028】
第5のブロックG5の受け渡し装置105に搬送されたウェハWは、ウェハ搬送装置41,42によって、露光装置に搬送され、所定のパターンで露光処理される。なお、露光処理の前に洗浄装置でウェハWを洗浄してもよい。
【0029】
露光処理されたウェハWは、ウェハ搬送装置41,42によって第5のブロックG5の受け渡し装置105に搬送される。その後、ウェハ搬送装置33によって熱処理ユニットに搬送され、露光後ベーク処理される。
【0030】
露光後ベーク処理されたウェハWは、ウェハ搬送装置33によって現像処理装置に搬送され、現像される。現像終了後、ウェハWは、ウェハ搬送装置33によって熱処理ユニットに搬送され、ポストベーク処理される。
【0031】
その後ウェハWは、ウェハ搬送装置33によって第3のブロックG3の受け渡し装置103に搬送され、カセットステーション2のウェハ搬送装置22またはウェハ搬送装置23によって所定のカセット載置台21のカセットCに搬送される。こうして、一連のフォトリソグラフィー工程が終了する。
【0032】
<窒素雰囲気載置部>
次に、図3図13を参照して、窒素雰囲気載置部について説明する。本実施形態では、ウェハWにパターンを形成するレジストとして、メタルオキサイドレジスト(MOR:Metal Oxide Resist)が用いられる。MORは、金属酸化物の反応を利用して、露光部及び非露光部の溶解性を変化させてパターンを形成するレジストである。基板に形成されるMOR膜はリガンド(配位子)を持つ金属化合物を含む。一例として、ネガ現像用の工程では、MOR膜の露光部において金属化合物の一部のリガンドが分離し、その後に縮合反応によってその金属同士が互いに結合した状態になることでネガ現像液に不溶となる。MORは、解像力が高いため、EUVリソグラフィで用いられる。
【0033】
上記のMOR膜の一部のリガンドの分離から縮合反応までを、MOR膜の一連の反応と呼ぶとする。ウェハWに形成されたMOR膜は、そのウェハWが存在する空間の雰囲気における湿度などの水分量や様々なガス種の濃度が、上記のMOR膜の一連の反応の進行に影響を与える。ここで、通常の大気環境(空気)においてMOR膜形成後のウェハW(露光処理前後のウェハW)が待機する場合、その待機時間等によってCD(Critical Dimension)がばらつき、ウェハWの良好なパターンが得られないことが考えられる。本実施形態に係るウェハ処理システム1では、CDのばらつきを抑制するための構成として、窒素雰囲気載置部が設けられている。窒素雰囲気載置部は、露光処理前後のウェハWの搬送経路上に設けられており、雰囲気の窒素濃度が空気よりも高く(すなわち、酸素及び二酸化炭素の濃度が空気よりも低く)設定された環境でウェハWを載置する構成である。ここでの窒素としては、例えばドライ窒素が用いられてもよい。ウェハ処理システム1においては、複数の窒素雰囲気載置部が設けられている。以下では、各窒素雰囲気載置部の一例について、説明する。
【0034】
窒素雰囲気載置部の一例として、最初に、第5のブロックG5の受け渡し装置105に設けられた窒素雰囲気載置部51(図3(a)及び図3(b)参照)について説明する。図3(a)は、第5のブロックG5の受け渡し装置105のレイアウトの一例を模式的に示す正面図である。
【0035】
受け渡し装置105は、露光装置との間でウェハWの受け渡しを行う第5のブロックG5内に設けられ(図2参照)、図3(a)に示されるように、複数の収容スペースが上下多段に形成されたタワー状の装置である。受け渡し装置105は、複数の収容スペースとして、例えば、窒素雰囲気載置部51,51と、露光前冷却部52と、大気雰囲気載置部55と、を有する。図3(a)に示される例では、受け渡し装置105において、最上段及び最上段の1つ下の段にそれぞれ窒素雰囲気載置部51,51が設けられている。また、受け渡し装置105において、最下段に露光前冷却部52が設けられており、窒素雰囲気載置部51及び露光前冷却部52の間に大気雰囲気載置部55が設けられている。
【0036】
窒素雰囲気載置部51は、上述したように、受け渡し装置105における2つの収容スペースに設けられている。窒素雰囲気載置部51は、ウェハWを載置した状態で窒素を供給することにより、雰囲気の窒素濃度が大気(空気)よりも高く設定された環境でウェハWを載置する構成である。窒素雰囲気載置部51は、MOR膜形成後且つ露光処理前のウェハWが載置される構成である。詳細には、窒素雰囲気載置部51は、例えば、MOR膜が形成され、その後に熱処理ユニットに搬送されてプリベーク処理されたウェハWであって、露光処理前であるウェハWを載置する。このように、窒素雰囲気載置部51は、MOR膜形成後且つ露光処理前のウェハWの搬送経路である第1搬送経路に設けられた窒素雰囲気載置部である。窒素雰囲気載置部51は、複数のウェハWを載置可能に構成されている。
【0037】
大気雰囲気載置部55は、MOR膜形成後且つ露光処理前のウェハWが載置される構成であり、大気環境でウェハWを載置する。大気雰囲気載置部55は、例えば、MOR以外のレジスト膜が形成されたウェハであって、大気環境において待機させられることが好ましいウェハを載置する構成である。このようなレジスト膜としては、例えばCAR(Chemical Amplification Resist)膜等が挙げられる。大気雰囲気載置部55は、受け渡し装置105における収容スペースの内、窒素雰囲気載置部51が設けられていない1つの収容スペースに設けられている。大気雰囲気載置部55は、露光処理前のウェハWが載置される点で窒素雰囲気載置部51と共通しているが、大気環境でウェハWを載置する点で窒素雰囲気載置部51と異なっている。大気雰囲気載置部55は、複数のウェハWを載置可能に構成されている。大気雰囲気載置部55は、窒素の供給に係る構成を有していない点を除き、概ね、後述する窒素雰囲気載置部51と共通の構成を有する。
【0038】
露光前冷却部52は、MOR膜が形成され、その後に熱処理ユニットに搬送されてプリベーク処理されたウェハWについて、露光処理前に冷却するクールプレートを有する構成である。露光前冷却部52は、複数のウェハWを冷却可能に構成されている。
【0039】
なお、図3(a)に示される受け渡し装置105が用いられる場合、例えば第5のブロックG5内において、露光処理実施後のMOR膜が形成されたウェハWを載置する窒素雰囲気載置部(不図示)が設けられていてもよい。このような露光処理後のウェハWを載置する窒素雰囲気載置は、上述した窒素雰囲気載置部51と同様の構成とされてもよい。
【0040】
受け渡し装置105のレイアウトについては、図3(a)に示される態様に限定されない。受け渡し装置105のレイアウトは、例えば図3(b)に示される態様であってもよい。図3(b)は、第5のブロックG5の受け渡し装置105のレイアウトの他の例を模式的に示す正面図である。
【0041】
図3(b)に示される例では、受け渡し装置105において、最上段に大気雰囲気載置部55が設けられており、その下の2段にそれぞれ窒素雰囲気載置部51,51が設けられており、最下段に露光前冷却部52が設けられている。また、窒素雰囲気載置部51及び露光前冷却部52の間に、露光処理実施後のMOR膜が形成されたウェハWを載置する窒素雰囲気載置部54が設けられている。このように、図3(b)に示される例では、図3(a)に示される例においては受け渡し装置105外に設けられていた、露光処理実施後のMOR膜が形成されたウェハWを載置する窒素雰囲気載置部54が、受け渡し装置105内に設けられている。窒素雰囲気載置部54は、上述した窒素雰囲気載置部51と同様の構成とされてもよい。
【0042】
次に、受け渡し装置105に設けられた窒素雰囲気載置部51の詳細について、図4図9を参照して説明する。図4は、第5のブロックG5の受け渡し装置105内に配置されたスロット構造の窒素雰囲気載置部51を模式的に示す斜視図である。図5は、スロット構造の窒素雰囲気載置部51を模式的に示す平面図である。なお、図5においては、窒素雰囲気載置部51の一部の構成(後述するスロット区分部516等)の図示を省略している。
【0043】
図4に示されるように、窒素雰囲気載置部51は、基部511と、壁部512,513,514と、屋根部515と、複数のスロット区分部516と、を有する。基部511は、壁部512,513,514が立設される底部である。壁部512,513は、互いに対向するように上下方向に延びる部分である。壁部514は、壁部512,513に交差する向きに設けられており、上下方向に延びる部分である。壁部514に対向する領域には、ウェハWを導入する開口部517が形成されている。屋根部515は、基部511に対向するように設けられており、壁部512,513,514の上面に蓋をするように設けられている。基部511と、壁部512,513,514と、屋根部515とによって区画される空間が、ウェハWを収容する収容空間518である。上述したように、収容空間518にウェハWを導入する部分には、開口部517が形成されている。スロットに収まったウェハWの周囲四方の内、ウェハWの導入口である開口部517を除いた三方に、それぞれ壁部512,513,514が設けられている。
【0044】
複数のスロット区分部516は、ウェハWが収まる複数のスロットを画定する部分である。複数のスロット区分部516は、壁部512と開口部517との境界部分、壁部512と壁部514との境界部分、壁部513と壁部514との境界部分、及び、壁部513と開口部517との境界部分に、それぞれ設けられている。複数のスロット区分部516は、それぞれウェハWの中心側に向かって延びている。上述した4つの境界部分からウェハWの中心側に向かって延びるスロット区分部516であって、同一高さの4つのスロット区分部516を1セットとして、該1セットのスロット区分部516に、1つのウェハWが載置される。このようにして、上下方向の異なる高さにおいて、それぞれウェハWを載置することができる。窒素雰囲気載置部51は、このように各スロットにウェハWを収容するいわゆるスロット構造の載置部である。なお、図4においては、最下段のスロット区分部516に載置された1つのウェハWのみが図示されている。
【0045】
更に、窒素雰囲気載置部51は、図5に示されるように、収容空間518に窒素を供給する窒素供給部519(第2窒素供給部)を有する。窒素供給部519は、開口部517に対向する領域である壁部514に形成されており、開口部517方向に向かって窒素を供給することにより、収容空間518に窒素を供給する。窒素供給部519は、例えば、壁部514に形成された孔部であり、窒素供給源(不図示)から送られた窒素を開口部517方向に向かってガイドする構成であってもよい。このような構成によれば、スロット構造によって複数のウェハWを効率的に収容しながら、開口部517を除いた三方の壁部512,513,514に囲まれた空間に窒素を送り込み、窒素濃度が高い環境でウェハWを待機させることができる。
【0046】
図6は、スロット構造の窒素雰囲気載置部51におけるサイドフローを説明する図である。図6においては、収容空間518の各ウェハW間における窒素の流れ(矢印で示される流れ)が模式的に示されている。図6に示されるように、窒素供給部519から供給された窒素は、各ウェハW間を流れて、開口部517にまで到達し、開口部517において下方向に排気される。
【0047】
スロット構造の窒素雰囲気載置部51は、上述した態様に限定されない。図7は、変形例に係るスロット構造の窒素雰囲気載置部51を模式的に示す側面図である。図7に示される窒素雰囲気載置部51では、一部(例えば上側の2枚)のウェハWが、壁部512,513,514に囲まれた収容空間518よりも上方に配置されている。このような構成によれば、例えば搬送装置が開口部517方向以外からもアクセスするような態様において、上側の2枚のウェハWに対応する領域においては、壁部512,513,514に邪魔されることなく、複数方向からの搬送装置のアクセスが可能になる。このような変形例に係るスロット構造の窒素雰囲気載置部51は、例えば、第3のブロックG3の受け渡し装置103に設けられていてもよい。
【0048】
また、スロット構造の窒素雰囲気載置部51の開口部517には、更に、開閉部として4枚のシャッター520(図8(a)等参照)が設けられていてもよい。図8(a)等に示されるように、4枚のシャッター520は、それぞれ、搬送装置のアクセスを許容する通過領域520xが上下方向に4つずつ並べて形成されている。4つの通過領域520xの上下には、それぞれ、搬送装置のアクセスを許容しない遮蔽部520yが設けられている。すなわち、上下方向で隣り合う通過領域520x,520x間には、遮蔽部520yが設けられている。4枚のシャッターは、窒素雰囲気載置部51における開口部517からその内部に向かう方向(奥行方向)にずれた位置に並んで設けられている。それぞれのシャッター520が上下方向に相対的に移動することにより、開口部517において複数のスロットのうち一部のスロットに対向する領域が開放される。4枚のシャッター520を開閉させる構成として、シリンダI,II,III,IVが設けられている。シリンダIは、4枚のシャッター520の内、対応する2枚のシャッター520を上下動させるシリンダである。シリンダIIは、4枚のシャッター520の内、シリンダIによって上下動させられない2枚のシャッター520を上下動させるシリンダである。シリンダIIIは、シリンダIによって上下動させられる2枚のシャッター520の内、一方のシャッター520のみを上下動させるシリンダである。また、シリンダIIIは、その全体がシリンダIの上下動作に伴い同じ距離だけ上下動作するように、シリンダIに対して固定されている。シリンダIVは、シリンダIIによって上下動させられる2枚のシャッター520の内、一方のシャッター520のみを上下動させるシリンダである。また、シリンダIVは、その全体がシリンダIIの上下動作に伴い同じ距離だけ上下動作するように、シリンダIIに対して固定されている。各シリンダI,II,III,IVによる、1度の上下動によるシャッター520の上下動幅は、互いに同じである。つまり、シリンダIに対応する2枚のシャッターの双方間の相対的な位置は、シリンダIIIの上下動作によって調整され、シリンダIIに対応する他の2枚のシャッターの双方間の相対的な位置は、シリンダIVの上下動作によって調整される。
【0049】
上述したシャッター520は、例えば、3つのモードによって、搬送装置のアクセスが許容される領域が切り替えられてもよい。ここでは、3つのモードとして、「OPEN-A」モード、「OPEN-B」モード、「FULL-CLOSE」モードがあるとして説明する。図8(a)は「OPEN-A」モードのシャッター状態を示す斜視図であり、図8(b)は「OPEN-A」モードのシャッター状態を示す正面図であり、図8(c)は「OPEN-A」モードの各シリンダのUPorDOWNを示す表である。図8(d)は「OPEN-B」モードのシャッター状態を示す斜視図であり、図8(e)は「OPEN-B」モードのシャッター状態を示す正面図であり、図8(f)は「OPEN-B」モードの各シリンダのUPorDOWNを示す表である。図8(g)は「FULL-CLOSE」モードのシャッター状態を示す斜視図であり、図8(h)は「FULL-CLOSE」モードのシャッター状態を示す正面図である。図8(i)は「FULL-CLOSE」モードの各シリンダのUPorDOWNを示す表である。図9(a)は「OPEN-A」モードのシャッター状態を模式的に示す側面図であり、図9(b)は「OPEN-B」モードのシャッター状態を模式的に示す側面図である。図9(c)は「FULL-CLOSE」モードのシャッター状態を模式的に示す側面図である。
【0050】
図8(c)に示されるように、「OPEN-A」モードでは、全てのシリンダI,II,III,IVがDown状態とされている。この場合、図9(a)に示されるように、4つのシャッター520は、全て互いに同じ高さ位置に位置し、互いの通過領域520x同士が重なり、互いの遮蔽部520y同士が重なっている。図8(b)に示されるように、例えば、収容空間518において最大18枚のウェハWが収容され得るとする。この場合、下から1番目、2番目、5番目、6番目、9番目、10番目、13番目、14番目、17番目、18番目のウェハWが各通過領域520xから収容可能とされる。そして、下から3番目、4番目、7番目、8番目、11番目、12番目、15番目、16番目のウェハWが遮蔽部520yによって収容不可とされる。
【0051】
図8(f)に示されるように、「OPEN-B」モードでは、シリンダI,IIがUP状態とされ、シリンダIII,IVがDown状態とされている。この場合、図9(b)に示されるように、4つのシャッター520は、全て互いに同じ高さ位置に位置し、互いの通過領域520x同士が重なり、互いの遮蔽部520y同士が重なっている。一方で、シリンダI,IIがUP状態とされているため、図9(a)に示される状態と比べて、4つのシャッター520が1段ずつ上に動いている。この場合、図8(e)に示されるように、例えば、下から3番目、4番目、7番目、8番目、11番目、12番目、15番目、16番目のウェハWが各通過領域520xから収容可能とされる。そして、下から1番目、2番目、5番目、6番目、9番目、10番目、13番目、14番目、17番目、18番目のウェハWが遮蔽部520yによって収容不可とされる。
【0052】
図8(i)に示されるように、「FULL-CLOSE」モードでは、シリンダIのみDown状態とされ、シリンダII,III,IVがUP状態とされている。この場合、図9(c)に示されるように、4つのシャッター520は、全て互いに別の高さ位置に位置している。このため、4つのシャッター520の通過領域520xは、いずれも、図9(c)に示されるように、他のシャッター520の遮蔽部520yと重なることになる。この場合、図8(h)に示されるように、いずれのウェハWも、遮蔽部520yによって収容空間518にアクセス不可(収容不可)とされる。
【0053】
「OPEN-A」モードや「OPEN-B」モードは、それぞれ搬送装置のアクセスが許容される領域が異なる窒素雰囲気載置部51の開放形態と言える。また「FULL-CLOSE」モードは窒素雰囲気載置部51の1つの閉塞形態と言える。つまり、図8(a)等に示されるスロット構造の窒素雰囲気載置部51は、搬送装置がアクセスする収容場所に応じて、複数のシャッターの通過領域が重なる高さ位置が異なる複数の開放形態のうちのいずれかが設定される。そして、複数のシャッターの通過領域の高さ位置がずれた状態で閉塞形態が設定される。
【0054】
このような構成によれば、各シャッター520に対応するシリンダI,II,III,IVのUP/Downの2値制御によって、簡易に、搬送装置がアクセス可能な領域を制御することができる。開閉の切り替えの際の各シリンダによる上下動作の距離は、上下に並ぶ通過領域のピッチから決まる。そこで、それぞれのシャッターに対して複数の遮蔽部により上下に並ぶ複数の通過領域が設けられていることから、1つのシリンダの上下動作の距離が抑制されて、つまりはシリンダを含むシャッターの上下動作機構がコンパクトになっている。なお、本実施例では1枚のシャッターにおいて、1つの遮蔽部の上下方向幅は、1つの通過領域のそれよりも小さくなっている。また、シャッター520を4枚ではなく2枚等とすることもできるが、開口部517をより効果的に遮蔽する観点やシャッターの剛性を担保する観点からは、4枚とすることが好ましい。このようなシャッター520によって搬送装置がアクセス可能な領域を限定することにより、搬送装置が動くこと等による外乱影響が収容空間518に収容されたウェハWに及ぼされることを効果的に抑制することができる。
【0055】
また、上述の様に複数のシャッターは奥行方向にずれた位置に設けられているが、全ての開放形態および閉塞形態において、全てのシャッターが互いに非接触であってもよい。例えば、図9のように2つのシャッターの間に奥行方向の隙間を設けて配置されていてもよい。閉塞形態であっても、内部に継続的にガス(窒素)が供給されているときに、供給されるガスの濃度が所望の程度維持されていれば良いので、内部空間を完全に密閉する必要は無い。例えば、全てのシャッターを互いに微小な隙間を設けて非接触にしつつ、供給されるガスの濃度が所望の程度維持されるために充分な流量で、ガスが供給される。この時の所望の程度とは、そのガスの空気における濃度よりも高く、MORのパターン不良を発生させない条件として各種プロセス条件(膜厚や目標CDなど)に応じて適宜設定される値である。
【0056】
なお、上述したように、MOR形成後且つ露光処理実施前のウェハWの搬送経路である第1搬送経路上に窒素雰囲気載置部51を設けることに加えて、露光処理実施後の搬送経路である第2搬送経路上に窒素雰囲気載置部54を設けてもよい。この場合において、第1搬送経路上の窒素雰囲気載置部51は、第2搬送経路上の窒素雰囲気載置部54よりも、窒素濃度が低く設定されていてもよい。例えば、上述したシャッターについて、第1搬送経路上の窒素雰囲気載置部51には設けずに、第2搬送経路上の窒素雰囲気載置部54にのみ設けてもよい。これにより、第1搬送経路上の窒素雰囲気載置部51よりも第2搬送経路上の窒素雰囲気載置部54の窒素濃度を高くしてもよい。
【0057】
次に、窒素雰囲気載置部の他の例として、第5のブロックG5の受け渡し装置105における露光前冷却部52に設けられた窒素雰囲気載置部53(図10及び図11参照)について説明する。窒素雰囲気載置部53は、チャンバ構造の窒素雰囲気載置部である(詳細は後述)。
【0058】
図10は、第5のブロックG5の受け渡し装置105内に配置されたチャンバ構造の窒素雰囲気載置部53を模式的に示す正面図である。図11は、チャンバ構造の窒素雰囲気載置部53を模式的に示す断面図である。ここでは、チャンバ構造の窒素雰囲気載置部53が、露光前冷却部52に設けられるとして説明するが、チャンバ構造の窒素雰囲気載置部53は、上述したスロット構造の窒素雰囲気載置部51に代えて設けられていてもよい。
【0059】
図10に示されるように、窒素雰囲気載置部53は、受け渡し装置105内に複数設けられた露光前冷却部52のそれぞれに対応するように、露光前冷却部52の上方に設けられている。
【0060】
図11に示されるように、露光前冷却部52は、主たる構成として、冷却板521と、リフトピン522と、駆動部523と、位置決め部524と、を有する。冷却板521は、ウェハWを載置することによりウェハWを冷却する円板状のクールプレートである。冷却板521は、例えば、冷媒供給部(不図示)から供給される冷媒によって低温状態を維持し、載置されてウェハWを冷却する。リフトピン522は、ウェハWを昇降させるピンである。リフトピン522は、冷却板521を貫通するように上下方向に沿って延びている。複数の(例えば3つ)リフトピン522は、冷却板521の中心まわりの周方向に沿って等間隔に配置されていてもよい。駆動部523は、制御装置100の動作指示に基づいて、リフトピン522を昇降させる。駆動部523は、例えば、電動モータ等の駆動源を含んでいる。位置決め部524は、後述する窒素雰囲気載置部53の蓋体531の側壁部531bに接触することにより、蓋体531がそれ以上下降しないようにして蓋体531の位置決めを行う構成である。位置決め部524は、冷却板521の側面側から上下方向に沿って延びている。
【0061】
図11に示されるように、窒素雰囲気載置部53は、蓋体531と、窒素供給部532(第1窒素供給部)と、を有する。
【0062】
蓋体531は、ウェハWを支持する支持面である冷却板521を囲むように設けられている。蓋体531は、天板531aと、側壁部531bと、流路形成板531cと、を有する。天板531aは、冷却板521と同程度の直径を有する円板状に構成されている。天板531aは、冷却板521と上下方向において対向するように配置されている。側壁部531bは、天板531aの外縁から下方に延びるように構成されている。側壁部531bは、蓋体531が下方に移動させられる際に、その一部が位置決め部524に当接することにより、それ以上蓋体531が下方に移動しないように構成されている。なお、側壁部531bにおける位置決め部524に当接する部分は削除されて、その分、蓋体531全体が薄くされて、蓋体531の昇降動作に要するスペースが減らされてもよい。
【0063】
流路形成板531cは、天板531a及び側壁部531bに囲われた空間内において、天板531aに平行に延びる板状部材であって、複数の貫通孔531yが形成された部材である。図11(b)及び図11(c)に示されるように、天板531aには、その中央を囲む複数の位置(例えば4か所)に貫通孔531xが形成されている。また、流路形成板531cには、ウェハ表面の大部分を覆う広い領域に多数の貫通孔531yが形成されている。貫通孔531yの間隔は、貫通孔531xの間隔よりも小さく設定されている。後述する窒素供給部532から供給される窒素は、天板531aの貫通孔531x、及び、流路形成板531cの貫通孔531yを経て、ウェハWの広域に満遍なく供給される。
【0064】
窒素供給部532は、天板531aの中央付近に設けられており、冷却板521及び蓋体531(詳細には天板531a及び側壁部531b)によって区画される空間533に窒素を供給する構成である。窒素供給部532は、例えば供給管(不図示)を介して窒素供給源(不図示)に接続されている。窒素供給部532は、空間533に窒素を送り込むことにより、窒素濃度が高い環境で、露光前冷却部52によるウェハWの冷却を行うことができる。なお、図11(a)に示されるように、位置決め部524が設けられていることによって、蓋体531のクローズ状態においてウェハWの側面側までは蓋体531によって囲われずに、隙間がある状態で窒素供給部532から窒素が供給されていてもよい。この場合には、昇降する蓋体531を薄型化することができ、搬送機構が冷却板521の上方にアクセスするために蓋体531が上昇するためのストロークを短くできるので所要スペースが小さくなり、上下多段に窒素雰囲気載置部53を設けやすくなる。
【0065】
次に、窒素雰囲気載置部の他の例として、第2のブロックG2内の熱処理ユニットU2に設けられた窒素雰囲気載置部70(図12及び図13参照)について説明する。窒素雰囲気載置部70は、チャンバ構造の窒素雰囲気載置部である。窒素雰囲気載置部70は、露光処理実施後のウェハWの搬送経路である第2搬送経路上に設けられている。
【0066】
図12は、熱処理ユニットU2の熱板91に連結された冷却板81に配置されたチャンバ構造の窒素雰囲気載置部70を模式的に示す断面図である。熱処理ユニットU2は、加熱処理と冷却処理とを含む熱処理をウェハWに対して施すように構成されている。図12に示されるように、熱処理ユニットU2は、窒素雰囲気載置部70と、冷却部80と、加熱部90と、有する。なお、冷却部80及び加熱部90を含む構成は、筐体(不図示)によって囲われていてもよい。
【0067】
加熱部90は、ウェハWを加熱する加熱処理をウェハWに対して施す。加熱部90は、例えば、熱板91と、蓋体92と、複数のリフトピン93と、駆動部94と、を有する。熱板91は、載置されたウェハWに対する加熱を行うプレートである。熱板91は、例えば円板状に形成されている。熱板91におけるウェハWを載置する面の反対側の面には、ヒータ(不図示)が設けられている。ヒータに電流が流れヒータが発熱することにより、熱板91の温度が上昇する。これにより、熱板91に載置されたウェハWが加熱される。蓋体92は、熱板91の載置面を囲むように構成されている。リフトピン93は、ウェハWを昇降させるピンである。リフトピン93は、熱板91を貫通するように上下方向に沿って延びている。複数(例えば3つ)のリフトピン93は、熱板91の中心まわりの周方向に沿って等間隔に配置されている。駆動部94は、制御装置100の動作指示に基づいて、リフトピン93を昇降させる。駆動部94は、例えば、電動モータ等の駆動源を含んでいる。
【0068】
冷却部80は、ウェハWの温度を目標温度に低下させる冷却処理を処理態様のウェハWに対して施す。冷却部80は、熱処理ユニットU2の外部のウェハ搬送装置33との間でウェハWの受け渡しを行う。冷却部80は、例えば、冷却板81と、連結ブラケット82と、駆動部83と、を有する。冷却板81は、ウェハWに対する冷却を行うプレート(クールプレート)である。冷却板81は、加熱部90により加熱された後のウェハWが上方に位置した状態で、そのウェハWを目標温度まで冷却する。冷却板81は、円板状に形成されていてもよい。冷却板81は、アルミ、銀、または銅などの金属によって構成されていてもよい。冷却板81の内部には、冷却用の水または冷却用の気体等の冷媒を流通させる冷媒流路(不図示)が形成されている。冷却板81内を流れる冷媒が、ウェハWから熱を奪うことにより、ウェハWの温度が低下する。連結ブラケット82は、冷却板81に連結されている。連結ブラケット82は、水平な一方向に沿って移動可能となるように構成されている。連結ブラケット82は、例えば加熱部90の間に延びるガイドレール(不図示)に沿って移動可能である。駆動部83は、制御装置100の動作指示に基づいて動作し、連結ブラケット82を水平な一方向に沿って往復移動させる。駆動部83は、例えば、電動モータ等の駆動源を含んでいる。
【0069】
窒素雰囲気載置部70は、冷却板81上に配置されている。窒素雰囲気載置部70の構成は、上述した窒素雰囲気載置部53の構成と概ね同様である。窒素雰囲気載置部70は、蓋体701と、窒素供給部702と、を有する。
【0070】
蓋体701は、ウェハWを支持する支持面である冷却板81を囲むように設けられている。蓋体701は、天板701aと、側壁部701bと、を有する。天板701aは、冷却板81と同程度の直径を有する円板状に構成されている。天板701aは、冷却板81と上下方向において対向するように配置されている。側壁部701bは、天板701aの外縁から下方に延びるように構成されている。なお、蓋体701は、上述した窒素雰囲気載置部53の流路形成板531c,531dに相当する構成を有していてもよい。
【0071】
窒素供給部702は、天板701aの中央付近に設けられており、冷却板81及び蓋体701(詳細には天板701a及び側壁部701b)によって区画される空間703に窒素を供給する構成である。窒素供給部702は、例えば供給管(不図示)を介して窒素供給源(不図示)に接続されている。窒素供給部702は、空間703に窒素を送り込むことにより、窒素濃度が高い環境で、冷却部80によるウェハWの冷却を行うことができる。
【0072】
なお、冷却板に対応して配置されるチャンバ構造の窒素雰囲気載置部は、上述した窒素雰囲気載置部70に限定されない。上述したような熱板91に連結された冷却板81以外の、例えば独立して設けられた冷却板に対応して、窒素雰囲気載置部が配置されていてもよい。図13(a)は、独立して設けられた冷却板111に配置されたチャンバ構造の窒素雰囲気載置部の一例を模式的に示す断面図である。図13(b)は独立して設けられた冷却板131に配置されたチャンバ構造の窒素雰囲気載置部の他の例を模式的に示す断面図である。これらの冷却板111,131は、上述した冷却板81と比べて、ウェハWの各領域における温度分布等まで考慮した高精度冷却に係るクールプレートであってもよい。
【0073】
図13(a)に示される例では、第4のブロックG4の受け渡し装置104(図2参照)内に設けられた冷却板111に対応して、チャンバ構造の窒素雰囲気載置部120が設けられている。冷却板111は、例えば、上述した熱板91に連結された冷却板81における工程よりも後の工程において、ウェハWを載置してウェハWを冷却する。窒素雰囲気載置部120の構成は、窒素雰囲気載置部70と同様である。
【0074】
図13(b)に示される例では、第3のブロックG3の受け渡し装置103(図2参照)内に設けられた冷却板131に対応して、チャンバ構造の窒素雰囲気載置部140が設けられている。この場合、窒素雰囲気載置部140は、熱処理等を実施する第2のブロックG2(処理ブロック)と、ウェハWの搬入出部であるカセットステーション2との間に設けられることとなる。冷却板131は、例えば、上述した熱板91に連結された冷却板81における工程よりも後の工程において、ウェハWを載置してウェハWを冷却する。窒素雰囲気載置部140の構成は、窒素雰囲気載置部70と同様である。
【0075】
また、ウェハ処理システム1は、ガスを吐出し下方向のガス気流(ダウンフロー)を生じさせるダウンフロー発生部を備えている。ダウンフロー発生部にガス供給路(図示無し)で接続されたガス供給源(図示無し)から、ダウンフロー発生部に向けてガスが供給される。ガス供給源は例えば、ウェハ処理システム1の外部に設けられていてもよいし、ウェハ処理システム1の内部に設けられていてもよい。図14に示されるように、ダウンフロー発生部199は、例えば、カセットステーション2のウェハ搬送装置22,23及び第3のブロックG3が設けられた空間に設けられていてもよい。或いは、ダウンフロー発生部199は、処理ステーション3の各々の層31及びウェハ搬送領域32、第4のブロックG4、並びに第5のブロックG5の、それぞれの天井部に設けられていてもよい。ガス供給源から供給されるガスは、例えば空気であり、その内に様々な成分のガスを含みうる。
【0076】
ダウンフロー発生部とガス供給源とを接続するガス供給路は、例えば主に配管、ダクト、チューブ等で構成されており、その途中にケミカルフィルタ(図示無し)が接続される。ケミカルフィルタは、例えば微小隙間を有する部材またはガスが通過可能な繊維部材を含む。ケミカルフィルタをガス供給源から供給されるガスが通過することで、アンモニアまたは/及びアミン等の不要ガスや微小異物のほか、酸性ガスおよび有機ガスが、ケミカルフィルタに捕集され、ガス供給源から共有されるガスから除去される。これらの不要ガスや酸性ガスおよび有機ガスが除去されたガスがダウンフローとして基板が存在する空間に供給されることで、MOR膜の一連の反応の進行がばらつきにくく、安定して良好なMOR膜のパターンを形成し易くなる。
【0077】
<作用効果>
次に、本実施形態に係るウェハ処理システム1の作用効果について説明する。
【0078】
ウェハ処理システム1は、MOR膜形成後且つ露光処理実施前のウェハWの搬送経路である第1搬送経路と、露光処理実施後のウェハWの搬送経路である第2搬送経路と、を備える。ウェハ処理システム1は、第1搬送経路及び第2搬送経路の少なくともいずれか一方に設けられ、雰囲気の窒素濃度が空気よりも高く設定された環境でウェハWを載置する窒素雰囲気載置部(例えば、窒素雰囲気載置部51,53,54,70等)を備える。
【0079】
本実施形態に係るウェハ処理システム1では、上述した第1搬送経路及び第2搬送経路の少なくともいずか一方に、窒素濃度が空気よりも高く設定された窒素雰囲気載置部が設けられている。例えば、通常の大気環境(空気)においてMOR膜形成後のウェハW(露光処理前後のウェハW)が待機する場合、その待機時間等によってCDがばらつき、良好なパターンが得られないことが考えられる。この点、露光処理前後のウェハWの搬送経路に、窒素濃度が空気よりも高く設定された窒素雰囲気載置部が設けられており、該窒素雰囲気載置部に基板が載置されて待機されることにより、CDがばらつくことを抑えることができる。以上のように、本実施形態に係るウェハ処理システム1によれば、MOR膜が形成されたウェハWにおいて良好なパターンを得ることができる。
【0080】
ウェハ処理システム1は、露光装置との間でウェハWの受け渡しを行う第5のブロックG5内に設けられ(図2参照)、図3(a)に示されるように、複数の収容スペースが上下多段に形成されたタワー状の受け渡し装置105を備える。また、ウェハ処理システム1は、大気環境でウェハWを載置する一または複数の大気雰囲気載置部55を備える。そして、窒素雰囲気載置部53は、受け渡し装置105におけるいずれかの収容スペースに設けられ、大気雰囲気載置部55は、受け渡し装置105における収容スペースの内、窒素雰囲気載置部53が設けられていないいずれかの収容スペースに設けられている。
【0081】
このような構成によれば、露光装置との間でウェハWの受け渡しを行う第5のブロックG5内の受け渡し装置105に、窒素濃度が高い環境でウェハWを載置する窒素雰囲気載置部53と、大気雰囲気載置部55とを、設けることができる。これにより、例えば、窒素濃度が高い環境で待機させたいMOR膜が形成されたウェハWを窒素雰囲気載置部53で待機させると共に、大気環境で待機させたい例えばCAR膜が形成されたウェハW等を大気雰囲気載置部55で待機させることができる。これにより、形成されたレジスト膜の種類に応じて、適切な個所でウェハWを待機させることが可能になっている。
【0082】
窒素雰囲気載置部53は、ウェハWを支持する支持面である冷却板521を囲むように設けられする蓋体531と、蓋体531に設けられ、冷却板521及び蓋体531によって区画される空間533内に窒素を供給する窒素供給部532と、を有する。窒素雰囲気載置部53は、チャンバ構造である。このようなチャンバ構造によれば、冷却板521及び蓋体531によって区画される空間533内に窒素を充満させることができ、窒素濃度が高い環境を適切に作ることができる。
【0083】
窒素雰囲気載置部51は、ウェハWが収まる複数のスロットを画定する複数のスロット区分部516と、スロットに収まったウェハWの周囲四方の内、ウェハWの導入口である開口部517を除いた三方に設けられた壁部512,513,514と、を有する。また、窒素雰囲気載置部51は、開口部517に対向する壁部514に形成され、開口部517方向に向かって窒素を供給する窒素供給部519と、を有するスロット構造である。このようなスロット構造によれば、複数のウェハWを各スロットに効率的に収容しながら、開口部517を除いた三方の壁部512,513,514に囲まれた空間533に窒素を送り込み、窒素濃度が高い環境を適切に作ることができる。
【0084】
窒素雰囲気載置部70は、第2のブロックG2内の熱処理ユニットU2に設けられている。これにより、熱処理ユニットU2における待機期間において、窒素濃度が高い環境でウェハWを待機させることができる。
【0085】
窒素雰囲気載置部140は、第2のブロックG2とウェハWの搬入出部であるカセットステーション2との間に設けられている。これにより、例えばウェハWの搬入出前後の待機期間において、窒素濃度が高い環境でウェハWを待機させることができる。
【0086】
第1搬送経路上の窒素雰囲気載置部51は、第2搬送経路上の窒素雰囲気載置部54よりも、窒素濃度が低く設定されていてもよい。これにより、大気環境においてCDばらつきの影響が出やすい露光後において、より窒素濃度を高くすることができ、MOR膜が形成されたウェハWにおいて良好なパターンを得ることができる。
【0087】
上述したように、本実施形態に係る基板処理方法は、MOR膜形成後且つ露光処理実施前のウェハWを処理または搬送する第1工程と、露光処理実施後のウェハWを処理または搬送する第2工程と、を含む。また、基板処理方法は、第1工程及び第2工程の少なくともいずれか一方と共に実施され、雰囲気の窒素濃度が空気よりも高く設定された環境でウェハWを待機させる第3工程を含む。
【0088】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。例えば、「雰囲気の窒素濃度が空気よりも高く設定された環境で基板を載置する一または複数の窒素雰囲気載置部」が窒素を供給するとして説明したが、窒素以外のガスが供給されてもよい。具体的には、ウェハWのMOR膜のパターン形成に影響があるガスとして、アンモニア、酸素又は二酸化炭素が調整された空気、酢酸含有などの酸性ガス、低湿度エアー等が供給されてもよい。
【0089】
最後に、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E8]に記載する。
【0090】
[E1]
基板処理装置は、MOR膜形成後且つ露光処理実施前の基板の搬送経路である第1搬送経路と、露光処理実施後の基板の搬送経路である第2搬送経路と、を備える。基板処理装置は、第1搬送経路及び第2搬送経路の少なくともいずれか一方に設けられ、雰囲気の窒素濃度が空気よりも高く設定された環境で基板を載置する一または複数の窒素雰囲気載置部を備える。
【0091】
[E2]
基板処理装置は、露光装置との間で基板の受け渡しを行うブロック内に設けられ、複数の収容スペースが上下多段に形成されたタワーと、大気環境で基板を載置する一または複数の大気雰囲気載置部と、を更に備える。少なくとも1つの窒素雰囲気載置部は、タワーにおけるいずれかの収容スペースに設けられる。少なくとも1つの大気雰囲気載置部は、タワーにおける収容スペースの内、窒素雰囲気載置部が設けられていないいずれかの収容スペースに設けられている、[E1]記載の基板処理装置。
【0092】
[E3]
少なくとも1つの窒素雰囲気載置部は、基板を支持する支持面を囲むように設けられた蓋体と、蓋体に設けられ、支持面及び蓋体によって区画される空間内に窒素を供給する第1窒素供給部とを有するチャンバ構造である、[E1]又は[E2]記載の基板処理装置。
【0093】
[E4]
少なくとも1つの窒素雰囲気載置部は、基板が収まる複数のスロットを画定する複数のスロット区分部と、記スロットに収まった基板の周囲四方の内、基板の導入口である開口部を除いた三方に設けられた壁部と、を有する。窒素雰囲気載置部は、壁部における開口部に対向する領域に形成され、開口部方向に向かって窒素を供給する第2窒素供給部と、を有するスロット構造である、[E1]又は[E2]記載の基板処理装置。
【0094】
[E5]
窒素雰囲気載置部は、開口部において開閉部を備え、開閉部は、複数の通過領域が上下方向に並べて設けられたシャッターが複数、奥行方向に並んで設けられており、それぞれのシャッターが上下方向に相対的に移動する。これにより、開口において複数のスロットのうち一部のスロットに対向する領域が開放される、[E4]記載の基板処理装置。
【0095】
[E6]
少なくとも1つの窒素雰囲気載置部は、処理ブロック内の熱処理ユニットに設けられている、[E1]~[E5]のいずれか一項記載の基板処理装置。
【0096】
[E7]
少なくとも1つの前記窒素雰囲気載置部は、処理ブロックと基板の搬入出部との間に設けられている、[E1]~[E5]のいずれか一項記載の基板処理装置。
【0097】
[E8]
少なくとも1つの窒素雰囲気載置部は、第1搬送経路に設けられており、少なくとも1つの窒素雰囲気載置部は、第2搬送経路に設けられている。第1搬送経路に設けられている窒素雰囲気載置部は、第2搬送経路に設けられている窒素雰囲気載置部よりも、窒素濃度が低く設定されている、[E1]~[E7]のいずれか一項記載の基板処理装置。
【0098】
[E9]
基板処理方法は、MOR膜形成後且つ露光処理実施前の基板を処理または搬送する第1工程と、露光処理実施後の基板を処理または搬送する第2工程と、を含む。また、基板処理方法は、第1工程及び第2工程の少なくともいずれか一方と共に実施され、雰囲気の窒素濃度が空気よりも高く設定された環境で基板を待機させる第3工程と、を含む。
【符号の説明】
【0099】
1…ウェハ処理システム(基板処理装置)、2…カセットステーション(搬入出部)、51,53,54,70,120,140…窒素雰囲気載置部、55…大気雰囲気載置部、105…受け渡し装置(タワー)、512,513,514…壁部、516…スロット区分部、517…開口部、519…窒素供給部(第2窒素供給部)、521…冷却板(支持部)、531…蓋体、533…空間、701…蓋体、702…窒素供給部(第1窒素供給部)、G2…第2のブロック、G5…第5のブロック、U2…熱処理ユニット、W…ウェハ。
図1
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