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特開2024-104094ダイシング装置及びダイシング装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104094
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ダイシング装置及びダイシング装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240726BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240726BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240726BHJP
   B26D 3/06 20060101ALI20240726BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20240726BHJP
   B26D 7/22 20060101ALI20240726BHJP
   G01B 11/22 20060101ALI20240726BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B24B27/06 M
B24B49/12
B26D3/06
B26D7/26
B26D7/22 A
G01B11/22 G
G01B11/24 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008141
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】田母神 崇
【テーマコード(参考)】
2F065
3C021
3C034
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
2F065AA25
2F065AA52
2F065BB01
2F065CC19
2F065FF51
2F065GG24
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065MM11
2F065QQ01
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
3C021HA07
3C021JA03
3C021JA09
3C034AA19
3C034BB93
3C034CA05
3C034CA22
3C034DD10
3C158AA03
3C158AC02
3C158BA01
3C158BB09
3C158CB06
3C158DA17
5F063AA36
5F063AA48
5F063CA01
5F063CA04
5F063CC32
5F063DD19
5F063DE12
5F063DE16
5F063DE18
5F063DE33
5F063DE36
(57)【要約】
【課題】ダイアタッチフィルムの未分断不良を発見可能なダイシング装置及びダイシング装置の制御方法を提供する。
【解決手段】ダイアタッチフィルム(DAF7)を介してダイシングテープ9に貼付されたワークWのストリートをダイシング加工して、ストリートに沿ってワークW及びダイアタッチフィルムを切断するダイシング装置10において、ダイシング加工により形成された加工溝19の断面プロファイルを取得する断面プロファイル取得部(白色干渉顕微鏡24、処理部64)と、断面プロファイル取得部が取得した断面プロファイルに基づいて、ダイシング加工によるダイアタッチフィルムへの切込み量Δdを検出する切込み量検出部72と、切込み量検出部72が検出した切込み量に基づいて、ダイアタッチフィルムが未分断状態であるか否かを判定する分断判定部74と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアタッチフィルムを介してダイシングテープに貼付されたワークのストリートをダイシング加工して、前記ストリートに沿って前記ワーク及び前記ダイアタッチフィルムを切断するダイシング装置において、
前記ダイシング加工により形成された加工溝の断面プロファイルを取得する断面プロファイル取得部と、
前記断面プロファイル取得部が取得した前記断面プロファイルに基づいて、前記ダイシング加工による前記ダイアタッチフィルムへの切込み量を検出する切込み量検出部と、
前記切込み量検出部が検出した前記切込み量に基づいて、前記ダイアタッチフィルムが完全切断されていない未分断状態であるか否かを判定する分断判定部と、
を備えるダイシング装置。
【請求項2】
前記断面プロファイル取得部が、
白色光を測定光と参照光とに分割して、前記測定光を前記加工溝に向けて照射し、前記加工溝にて反射された前記測定光と参照面にて反射された前記参照光との干渉光を撮像して干渉信号を出力する白色干渉顕微鏡と、
前記白色干渉顕微鏡を前記ワークの表面に対して垂直方向に相対的に走査する走査機構と、
前記走査機構による前記白色干渉顕微鏡の走査中に前記白色干渉顕微鏡から出力された前記干渉信号に基づいて、前記断面プロファイルを演算する断面プロファイル演算部と、
を備える請求項1に記載のダイシング装置。
【請求項3】
前記分断判定部が、前記切込み量検出部により検出された前記切込み量が予め定められた閾値未満であるか否かに基づいて、前記未分断状態であるか否かを判定する請求項2に記載のダイシング装置。
【請求項4】
前記分断判定部が、前記切込み量検出部が検出した前記切込み量と、前記白色干渉顕微鏡から出力された前記干渉信号の中で前記加工溝の底部から得られる前記干渉信号の信号強度と、に基づいて、前記未分断状態であるか否かを判定する請求項2に記載のダイシング装置。
【請求項5】
ダイアタッチフィルムを介してダイシングテープに貼付されたワークのストリートをダイシング加工して、前記ストリートに沿って前記ワーク及び前記ダイアタッチフィルムを切断するダイシング装置において、
白色光を測定光と参照光とに分割して、前記測定光を前記ダイシング加工により形成された加工溝に向けて照射し、前記加工溝にて反射された前記測定光と参照面にて反射された前記参照光との干渉光を撮像して干渉信号を出力する白色干渉顕微鏡と、
前記白色干渉顕微鏡を前記ワークの表面に対して垂直方向に相対的に走査する走査機構と、
前記走査機構による前記白色干渉顕微鏡の走査中に前記白色干渉顕微鏡から出力された前記干渉信号の中で前記加工溝の底面から得られる前記干渉信号の信号強度に基づいて、前記ダイアタッチフィルムが完全切断されていない未分断状態であるか否かを判定する分断判定部と、
を備えるダイシング装置。
【請求項6】
前記分断判定部が前記未分断状態であると判定した場合に、警告情報を報知する報知部を備える請求項1から5のいずれか1項に記載のダイシング装置。
【請求項7】
前記ダイシング加工を実行する加工部と、
前記分断判定部が前記未分断状態であると判定した場合に、前記加工部を制御して、前記未分断状態の前記ダイアタッチフィルムに対する前記ダイシング加工を実行させる加工制御部と、
を備える請求項1から5のいずれか1項に記載のダイシング装置。
【請求項8】
ダイアタッチフィルムを介してダイシングテープに貼付されたワークのストリートをダイシング加工して、前記ストリートに沿って前記ワーク及び前記ダイアタッチフィルムを切断するダイシング装置の制御方法において、
前記ダイシング加工により形成された加工溝の断面プロファイルを取得する断面プロファイル取得ステップと、
前記断面プロファイル取得ステップで取得した前記断面プロファイルに基づいて、前記ダイシング加工による前記ダイアタッチフィルムへの切込み量を検出する切込み量検出ステップと、
前記切込み量検出ステップで検出した前記切込み量に基づいて、前記ダイアタッチフィルムが完全切断されていない未分断状態であるか否かを判定する分断判定ステップと、
を有するダイシング装置の制御方法。
【請求項9】
ダイアタッチフィルムを介してダイシングテープに貼付されたワークのストリートをダイシング加工して、前記ストリートに沿って前記ワーク及び前記ダイアタッチフィルムを切断するダイシング装置の制御装置において、
白色光を測定光と参照光とに分割して、前記測定光を前記ダイシング加工により形成された加工溝に向けて照射し、前記加工溝にて反射された前記測定光と参照面にて反射された前記参照光との干渉光を撮像して干渉信号を出力する白色干渉顕微鏡を、前記ワークの表面に対して垂直方向に相対的に走査する走査ステップと、
前記白色干渉顕微鏡の走査中に前記白色干渉顕微鏡から出力された前記干渉信号の中で前記加工溝の底面から得られる前記干渉信号の信号強度に基づいて、前記ダイアタッチフィルムが完全切断されていない未分断状態であるか否かを判定する分断判定ステップと、
を有するダイシング装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアタッチフィルムを介してダイシングテープに貼付されたワークのストリートをダイシング加工するダイシング装置、及びダイシング装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等のワークは、複数のデバイスが格子状のストリートによって格子状に区画されている。このワークをストリートに沿って分割することにより個々のデバイスが製造される。ワークを複数のデバイス(チップ)に分割するダイシング装置として、ブレードダイサがよく知られている(特許文献1参照)。このブレードダイサには、ダイアタッチフィルムを介してダイシングテープに貼付されたワークがセットされる。そして、ブレードダイサは、ワークに対して高速回転するブレードを相対移動させつつこの高速回転するブレードによりストリートに沿って加工溝を形成、すなわちストリートに沿ってワーク及びダイアタッチフィルムを分断するダイシング加工(切削加工)を実行する。
【0003】
特許文献1のダイシング装置は、白色干渉顕微鏡を用いた白色干渉法により、加工溝の形状を測定する。また、特許文献2及び特許文献3に記載のダイシング装置では、白色干渉顕微鏡以外に、レーザ変位計、又は共焦点顕微鏡等の各種3次元形状測定部を用いて加工溝の形状を測定する。これにより、加工溝の品質及び位置精度を確認可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-084201号公報
【特許文献2】特開2015-085397号公報
【特許文献3】特開2015-099026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のダイシング装置によりダイシング加工されたワークは、公知のエキスパンド工程でダイシングテープがエキスパンドされることで、個々のチップに分割される。そして、公知のピックアップ工程で個々のチップがピックアップされる。この際に、上記各特許文献に記載のダイシング装置では各種3次元形状測定部を用いて加工溝の形状を管理しているが、ダイシング加工によってダイアタッチフィルムが完全切断(分断)されていない未分断状態が発生するおそれがある。この場合には、ピックアップ工程で大量のダイアタッチフィルムの未分断不良が発生してしまうので、事前にダイアタッチフィルムの未分断不良を発見することが望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ダイアタッチフィルムの未分断不良を発見可能なダイシング装置及びダイシング装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するためのダイシング装置は、ダイアタッチフィルムを介してダイシングテープに貼付されたワークのストリートをダイシング加工して、ストリートに沿ってワーク及びダイアタッチフィルムを切断するダイシング装置において、ダイシング加工により形成された加工溝の断面プロファイルを取得する断面プロファイル取得部と、断面プロファイル取得部が取得した断面プロファイルに基づいて、ダイシング加工によるダイアタッチフィルムへの切込み量を検出する切込み量検出部と、切込み量検出部が検出した切込み量に基づいて、ダイアタッチフィルムが完全切断されていない未分断状態であるか否かを判定する分断判定部と、を備える。
【0008】
このダイシング装置によれば、ダイアタッチフィルムの未分断状態を発見することができる。
【0009】
本発明の他の態様に係るダイシング装置において、断面プロファイル取得部が、白色光を測定光と参照光とに分割して、測定光を加工溝に向けて照射し、加工溝にて反射された測定光と参照面にて反射された参照光との干渉光を撮像して干渉信号を出力する白色干渉顕微鏡と、白色干渉顕微鏡をワークの表面に対して垂直方向に相対的に走査する走査機構と、走査機構による白色干渉顕微鏡の走査中に白色干渉顕微鏡から出力された干渉信号に基づいて、断面プロファイルを演算する断面プロファイル演算部と、を備える。これにより、加工溝の断面プロファイルを取得することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係るダイシング装置において、分断判定部が、切込み量検出部により検出された切込み量が予め定められた閾値未満であるか否かに基づいて、未分断状態であるか否かを判定する。これにより、ダイアタッチフィルムの未分断状態を発見することができる。
【0011】
本発明の他の態様に係るダイシング装置において、分断判定部が、切込み量検出部が検出した切込み量と、白色干渉顕微鏡から出力された干渉信号の中で加工溝の底部から得られる干渉信号の信号強度と、に基づいて、未分断状態であるか否かを判定する。これにより、ダイアタッチフィルムが未分断状態であるか否かを判定する判定精度を向上させることができる。
【0012】
本発明の目的を達成するためのダイシング装置は、ダイアタッチフィルムを介してダイシングテープに貼付されたワークのストリートをダイシング加工して、ストリートに沿ってワーク及びダイアタッチフィルムを切断するダイシング装置において、白色光を測定光と参照光とに分割して、測定光をダイシング加工により形成された加工溝に向けて照射し、加工溝にて反射された測定光と参照面にて反射された参照光との干渉光を撮像して干渉信号を出力する白色干渉顕微鏡と、白色干渉顕微鏡をワークの表面に対して垂直方向に相対的に走査する走査機構と、走査機構による白色干渉顕微鏡の走査中に白色干渉顕微鏡から出力された干渉信号の中で加工溝の底面から得られる干渉信号の信号強度に基づいて、ダイアタッチフィルムが完全切断されていない未分断状態であるか否かを判定する分断判定部と、を備える。
【0013】
このダイシング装置によれば、ダイアタッチフィルムが未分断状態であるか否かを判定する処理負荷を低減して、短時間で判定を実行することができる。
【0014】
本発明の他の態様に係るダイシング装置において、分断判定部が未分断状態であると判定した場合に、警告情報を報知する報知部を備える。これにより、オペレータにダイアタッチフィルムの未分断状態の発生を知らせることができるので、ダイシング加工後のワークを後工程に搬送すること、すなわち後工程でワークが不良になることが防止される。
【0015】
本発明の他の態様に係るダイシング装置において、ダイシング加工を実行する加工部と、分断判定部が未分断状態であると判定した場合に、加工部を制御して、未分断状態のダイアタッチフィルムに対するダイシング加工を実行させる加工制御部と、を備える。これにより、ダイアタッチフィルムの未分断状態が解消されるため、後工程でワークが不良になることが防止される。
【0016】
本発明の目的を達成するためのダイシング装置の制御方法は、ダイアタッチフィルムを介してダイシングテープに貼付されたワークのストリートをダイシング加工して、ストリートに沿ってワーク及びダイアタッチフィルムを切断するダイシング装置の制御方法において、ダイシング加工により形成された加工溝の断面プロファイルを取得する断面プロファイル取得ステップと、断面プロファイル取得ステップで取得した断面プロファイルに基づいて、ダイシング加工によるダイアタッチフィルムへの切込み量を検出する切込み量検出ステップと、切込み量検出ステップで検出した切込み量に基づいて、ダイアタッチフィルムが完全切断されていない未分断状態であるか否かを判定する分断判定ステップと、を有する。
【0017】
本発明の目的を達成するためのダイシング装置の制御方法は、ダイアタッチフィルムを介してダイシングテープに貼付されたワークのストリートをダイシング加工して、ストリートに沿ってワーク及びダイアタッチフィルムを切断するダイシング装置の制御装置において、白色光を測定光と参照光とに分割して、測定光をダイシング加工により形成された加工溝に向けて照射し、加工溝にて反射された測定光と参照面にて反射された参照光との干渉光を撮像して干渉信号を出力する白色干渉顕微鏡を、ワークの表面に対して垂直方向に相対的に走査する走査ステップと、白色干渉顕微鏡の走査中に白色干渉顕微鏡から出力された干渉信号の中で加工溝の底面から得られる干渉信号の信号強度に基づいて、ダイアタッチフィルムが完全切断されていない未分断状態であるか否かを判定する分断判定ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ダイアタッチフィルムの未分断不良を発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態のダイシング装置の斜視図である。
図2】ダイシング加工前及びダイシング加工後のワークの断面図である。
図3】加工部の外観斜視図である。
図4】白色干渉顕微鏡の一例を示した断面図である。
図5】第1実施形態のダイシング装置のブロック図である。
図6】切込み量検出部によるDAF(ダイアタッチフィルム)の切込み量の検出と、分断判定部によるの未分断状態の有無の判定と、を説明するための説明図である。
図7】切込み量検出部により検出される切込み量の検出結果の一例を示した表である。
図8】報知制御部による警告情報の報知を説明するための説明図である。
図9】第1実施形態のダイシング装置によるワークのダイシング加工、特にDAFの未分断状態の確認処理の流れを示したフローチャートである。
図10】第2実施形態のダイシング装置のブロック図である。
図11】投影データ生成部による2次元投影データの生成を説明するための説明図である。
図12】第2実施形態の断面プロファイル演算部による加工溝の断面プロファイル86の演算を説明するための説明図である。
図13】第3実施形態のダイシング装置のブロック図である。
図14】干渉信号の信号強度と、加工溝の底部の材質との関係を説明するための説明図である。
図15】第4実施形態のダイシング装置のブロック図である。
図16】ワークの厚みが厚い場合の課題を説明するための説明図である。
図17】ワークの厚みが厚い場合の切込み量の検出箇所を説明するための説明図である。
図18図17に示した検出箇所Qにおける加工溝の断面の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のダイシング装置10の斜視図である。図2は、ダイシング加工前(符号2A参照)及びダイシング加工後(符号2B参照)のワークWの断面図である。なお、図中のXYZ方向は互いに直交する方向であり、XY方向が水平方向に平行な方向であり、Z方向が水平方向に直交な方向(本発明の垂直方向)である。
【0021】
図1に示すように、ダイシング装置10は、シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)等の平板状のワークWをダイシング加工する。このダイシング装置10は、ロードポート12と搬送機構14と加工部16と洗浄部18とを備える。
【0022】
ロードポート12には、フレームFにマウントされたワークWを多数枚収納したカセットが載置される。搬送機構14はワークWを搬送する。加工部16はワークWのダイシング加工を行う。洗浄部18はダイシング加工済みのワークWをスピン洗浄する。また、ダイシング装置10の筐体10Aの内部には、ダイシング装置10の各部の動作を制御する制御装置60(図5参照)等が設けられている。なお、制御装置60が筐体10Aの外部に設けられていてもよい。
【0023】
ロードポート12に載置されたカセット内に収納されている未加工のワークWは、搬送機構14により加工部16に搬送され、個々のチップに分断するために加工部16にて切断あるいは溝入れ加工等のダイシング加工が施される。そして、加工部16による加工済みのワークWは搬送機構14により洗浄部18に搬送され、洗浄部18により洗浄された後、搬送機構14によりロードポート12に搬送されてカセット内に収納される。
【0024】
図2の符号2A,2Bに示すように、ダイシング装置10は、ワークWに格子状に形成されたストリート(図示は省略)に沿ってダイシング加工を行うことで、各ストリートに沿って加工溝19を形成する。また、ワークWの表面(デバイス形成面)とは反対側の裏面には、ダイアタッチフィルム(Die Attach Film)であるDAF7及び粘着層8を介して、ダイシングテープ9(基材ともいう)が貼付されている。なお、DAF7、粘着層8、及びダイシングテープ9の各々の素材及び品種等については公知の半導体製造工程で用いられるものであれば特に限定はされない。
【0025】
図3は、加工部16の外観斜視図である。図3及び既述の図2に示すように、加工部16は、ツインスピンドルダイサであり、一対のブレード21A,21Bと、ブレードカバー(不図示)と、一対のスピンドル22A,22Bと、顕微鏡23と、白色干渉顕微鏡24と、テーブル31と、を備える。
【0026】
ブレード21A,21Bは円盤状に形成されている。また、ブレード21A,21Bの先端形状、すなわちブレード21A,21Bの径方向に沿ったブレード外周部(刃先部)の断面形状は矩形状(V字形状等の他の形状でも可)である。ブレード21A,21Bは、Y方向において対向配置されており、それぞれY方向に平行なブレード回転軸を中心として回転自在にスピンドル22A,22Bに保持されている。
【0027】
スピンドル22A,22Bは、高周波モータを内蔵しており、ブレード回転軸を中心としてブレード21A,21Bを高速回転させる。これにより、ワークWの表面(デバイス形成面)側からブレード21A,21BによってワークWの各ストリートがダイシング加工(切削加工)される。その結果、各ストリートに沿ってワークW及びDAF7が切断されることで加工溝19が形成される(図2の符号2B参照)。
【0028】
顕微鏡23は、例えばスピンドル22A(スピンドル22Bでも可)と一体にZキャリッジ44に設けられており、Yキャリッジ43及びZキャリッジ44によってスピンドル22Aと一体にYZ方向に移動自在に保持されている。顕微鏡23は、ワークWの表面側からワークWの表面のパターン及び加工溝19を撮影する。この顕微鏡23により撮影されたワークWの表面の撮影画像は、ワークWのストリートに対するブレード21A,21Bのアライメントと、加工溝19の位置を確認するカーフチェックと、に用いられる。
【0029】
白色干渉顕微鏡24は、スピンドル22B(スピンドル22Aでも可)と一体にZキャリッジ44に設けられており、Yキャリッジ43及びZキャリッジ44によってYZ方向に移動自在に保持されている。白色干渉顕微鏡24は、加工溝19の形状(立体形状)を表す3次元座標データ群(点群データともいう)の取得に用いられる。3次元座標データ群は、加工溝19の断面プロファイルの演算及びDAF7の未分断状態の確認に用いられる。
【0030】
なお、本実施形態では顕微鏡23と白色干渉顕微鏡24とが別体で設けられているが、両者が一体化されていてもよい。
【0031】
テーブル31は、ポーラス状(多孔質状)に形成されたワーク保持面31aを有しており、このワーク保持面31aによりワークWの裏面側からダイシングテープ9等を介してワークWを吸着保持する。なお、テーブル31は、後述のXキャリッジ36によりX方向に移動自在に保持され、且つ後述の回転ユニット37により回転軸CAを中心として回転自在に保持されている。
【0032】
加工部16には、Xベース32と、Xガイド34と、X駆動部35と、Xキャリッジ36と、回転ユニット37と、が設けられている。Xベース32は、X方向に延びた平板形状を有しており、且つそのZ方向の上面にはXガイド34が設けられている。Xガイド34は、X方向に延びた形状を有し、Xキャリッジ36をX方向に沿ってガイドする。X駆動部35は、例えばリニアモータ等のアクチュエータが用いられ、Xガイド34に沿ってXキャリッジ36をX方向に移動させる。
【0033】
回転ユニット37は、Xキャリッジ36の上面に設けられている。また、回転ユニット37の上面には、テーブル31が設けられている。回転ユニット37は、モータ及びギヤ等により構成される不図示の回転駆動部によって回転駆動される。これにより、回転ユニット37は、テーブル31をその回転軸CAを中心としてθ方向に回転させる。
【0034】
また、加工部16には、Yベース41と、Yガイド42と、一対のYキャリッジ43と、一対のZキャリッジ44と、が設けられている。Yベース41は、Y方向においてXベース32を跨ぐような門型形状を有している。このYベース41のX方向側の側面には、Yガイド42が設けられている。Yガイド42は、Y方向に延びた形状を有し、一対のYキャリッジ43をそれぞれY方向に沿ってガイドする。一対のYキャリッジ43は、例えばステッピングモータ及びボールスクリュー等により構成されるY駆動部45(図5参照)により、Yガイド42に沿って独立して移動される。
【0035】
一対のYキャリッジ43の各々には、ステッピングモータ等のアクチュエータにより構成されるZ駆動部46(本発明の走査機構に相当、図5参照)を介して、Zキャリッジ44がZ方向に移動自在に設けられている。そして、Zキャリッジ44の一方にはスピンドル22A及び顕微鏡23が設けられ、Zキャリッジ44の他方にはスピンドル22B及び白色干渉顕微鏡24が設けられている。
【0036】
ワークWのダイシング加工時には、加工部16の各部を駆動して、ワークWのX方向(加工送り方向)への切削送りと、ブレード21A,21BのY方向のインデックス送り及びZ方向の切込み送りと、を実行することで、ワークWの各ストリートに沿って加工溝19が形成される。
【0037】
図4は、本発明の断面プロファイル取得部の一部として機能する白色干渉顕微鏡24の一例を示した断面図である。図4に示すように、白色干渉顕微鏡24はミラウ型白色干渉計であり、白色干渉法による加工溝19の断面プロファイルの測定、及びその測定結果に基づいたDAF7の未分断状態の確認に使用される。この白色干渉顕微鏡24は、ハウジング50と、白色光源51と、第1ビームスプリッタ52と、対物レンズ53と、ガラスプレート54と、第2ビームスプリッタ55と、撮像ユニット56と、を備える。
【0038】
ハウジング50は、第1ビームスプリッタ52と、対物レンズ53と、ガラスプレート54と、第2ビームスプリッタ55と、を収納する。このハウジング50内において、Z方向の下方側から上方側に向かって第2ビームスプリッタ55、ガラスプレート54、対物レンズ53、及び第1ビームスプリッタ52が設けられている。また、ハウジング50の側面には、第1ビームスプリッタ52の側方側の位置に白色光源51が取り付けられている。さらに、ハウジング50の上面には、第1ビームスプリッタ52の上方側の位置に撮像ユニット56が取り付けられている。
【0039】
白色光源51は、テーブル31(ワークW)に対して白色干渉顕微鏡24が相対的にZ方向に垂直走査される間、第1ビームスプリッタ52に向けて白色光L1を出射する。第1ビームスプリッタ52は、白色光源51から入射した白色光L1の一部を対物レンズ53に向けて反射する。また、第1ビームスプリッタ52は、対物レンズ53から入射した後述の干渉光L4の一部を透過して撮像ユニット56に向けて出射する。
【0040】
対物レンズ53は、第1ビームスプリッタ52から入射した白色光L1をワークWに集光させる。
【0041】
ガラスプレート54は、その中央部に参照面として機能するミラー54aを備える。ガラスプレート54(ミラー54aを除く)は、対物レンズ53から入射した白色光L1をそのまま透過して第2ビームスプリッタ55に向けて出射する。
【0042】
第2ビームスプリッタ55は、対物レンズ53によって集光された白色光L1を測定光L2と参照光L3とに分割し、測定光L2を透過してワークWの表面に向けて照射すると共に参照光L3をミラー54aに向けて反射する。第2ビームスプリッタ55を透過した測定光L2は、ワークWの表面及び加工溝19の表面(溝壁面及び溝底面)で反射されて第2ビームスプリッタ55に入射する。また、ミラー54aで反射された参照光L3は、第2ビームスプリッタ55に入射してこの第2ビームスプリッタ55にてその一部が反射される。これにより、測定光L2と参照光L3との干渉光L4が生成される。この干渉光L4は、ガラスプレート54、対物レンズ53、及び第1ビームスプリッタ52を経て撮像ユニット56に入射する。
【0043】
ここで参照光L3の光路長は一定であるが、測定光L2の光路長は白色干渉顕微鏡24の垂直走査に応じて変化する。なお、公知のように、対物レンズ53の焦点が各種被測定物[ここではワークW及び加工溝19の表面]に合った場合に、測定光L2及び参照光L3の光路長差がゼロ(ほぼゼロを含む)となり、測定光L2及び参照光L3の干渉が強め合う。その結果、干渉光L4の信号強度が高くなる。
【0044】
撮像ユニット56は、複数の画素(受光素子)がXY方向に2次元配列されたCCD(Charge Coupled Device)型又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の2次元撮像素子を備える。この撮像ユニット56は、Z駆動部46(図5参照)により白色干渉顕微鏡24が1回又は複数回だけZ方向に垂直走査される間、第1ビームスプリッタ52から入射した干渉光L4を2次元撮像素子の画素ごとに撮像することで、画素ごとに干渉光L4を検出(取得)して画素ごとの干渉光L4を制御装置60へ出力する。
【0045】
なお、本実施形態では、白色干渉顕微鏡24としてミラウ型干渉計を例に挙げて説明したが、例えばマイケルソン型干渉計などの各種被測定物の形状測定に使用される各種干渉計(干渉顕微鏡)を使用してもよい。
【0046】
図5は、第1実施形態のダイシング装置10のブロック図である。なお、図5では、ダイシング装置10の各構成の中で、後述のDAF7の未分断状態の確認に関係がない構成については適宜図示を省略している(後述の図10図13図15参照)。
【0047】
図5に示すように、ダイシング装置10の制御装置60は、ダイシング装置10の各部を統括制御する。この制御装置60には、既述のロードポート12、搬送機構14、加工部16、及び洗浄部18(図5では加工部16以外は図示を省略)の他に、記憶部48及びモニタ49が接続されている。
【0048】
記憶部48は、メモリなどの公知の各種記憶媒体が用いられる。この記憶部48には、制御装置60を動作させるための動作プログラム(図示は省略)の他に、後述のDAF7の未分断状態の判定に用いられる閾値75が記憶されている。
【0049】
モニタ49は、液晶ディスプレイのなどの公知の表示装置が用いられ、ダイシング装置10の各種動作画面及び各種設定画面の他に、後述の警告情報78(図8参照)の表示を実行する。
【0050】
制御装置60は、例えばPC(Personal Computer)が用いられ、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置60の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0051】
制御装置60は、不図示の制御プログラムを実行することで、装置制御部62及び処理部64として機能する。なお、制御装置60は、既述の白色干渉顕微鏡24及びZ駆動部46と共に本発明の断面プロファイル取得部として機能する。
【0052】
装置制御部62は、ワークWのダイシング加工時には、加工部16の各部(各駆動部35,45,46、顕微鏡23、及びスピンドル22A,22B等)を制御して、公知のアライメントを実行した後、各ストリートに沿った切削加工により加工溝19の形成(ワークW及びDAF7の切断)を実行する。なお、ダイシング加工の具体的な方法は公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する(例えば特開2020-37171号公報参照)。
【0053】
また、装置制御部62は、ワークWの1以上のストリート又は全ストリートのダイシング加工後に、加工部16の各部(各駆動部35,45,46及び白色干渉顕微鏡24等)を制御して、公知の白色干渉法を用いた加工溝19の形状測定を実行する。
【0054】
例えば装置制御部62は、各駆動部35,45,46を制御して、加工溝19のZ方向上方側に白色干渉顕微鏡24が位置するようにワークWに対する白色干渉顕微鏡24の位置調整を実行する。次いで、装置制御部62は、Z駆動部46を制御して白色干渉顕微鏡24をZ方向に垂直走査させながら、白色光源51からの白色光L1の出射と、撮像ユニット56による干渉光L4の撮像及び干渉信号の出力と、を連続的に実行させる。白色干渉顕微鏡24の垂直走査が実行されている間、撮像ユニット56の2次元撮像素子からその画素ごとに干渉信号が制御装置60へ連続的に出力される。そして、装置制御部62は、ワークWの任意のストリートについて加工溝19の形状測定が実行されるように、ワークWに対する白色干渉顕微鏡24のXY方向の位置変更と、白色干渉顕微鏡24の垂直走査と、撮像ユニット56による干渉光L4の撮像及び干渉信号の出力と、を繰り返し実行させる。
【0055】
さらに、装置制御部62は、後述の分断判定部74によりDAF7が未分断状態と判定された場合には、加工部16の各部(各駆動部35,45,46、顕微鏡23、及びスピンドル22A,22B等)を制御して、未分断状態のDAF7のダイシング加工(再加工)を実行する。この場合には、装置制御部62が本発明の加工制御部として機能する。
【0056】
処理部64は、白色干渉顕微鏡24の垂直走査中に撮像ユニット56の2次元撮像素子から画素ごとに出力される干渉信号に基づいて加工溝19の断面プロファイルの演算を実行し、さらにこの断面プロファイルに基づいてDAF7の未分断状態の有無を判定する。この処理部64は、座標データ取得部66と、3次元データ生成部68と、断面プロファイル演算部70と、切込み量検出部72と、分断判定部74と、報知制御部76として機能する。
【0057】
座標データ取得部66は、白色干渉顕微鏡24の垂直走査中に撮像ユニット56の2次元撮像素子から画素(XY座標)ごとに出力される干渉信号に基づいて、公知の方法で加工溝19の3次元形状を表す複数の3次元座標データ(XYZ座標データ)により構成される3次元座標データ群を取得する(上記特許文献1参照)。
【0058】
3次元データ生成部68は、座標データ取得部66が取得した加工溝19の3次元座標データ群に基づいて、公知の方法で加工溝19の3次元データ(3次元モデル)を生成する(上記特許文献1参照)。
【0059】
断面プロファイル演算部70は、3次元データ生成部68が生成した加工溝19の3次元データから、任意の断面或いはユーザに指定された断面を切り出すことで、加工溝19の断面プロファイル(図12参照)を演算する。
【0060】
図6は、切込み量検出部72によるDAF7の切込み量Δdの検出と、分断判定部74によるDAF7の未分断状態の有無の判定と、を説明するための説明図である。なお、図6の符号6Aはダイシング加工によりDAF7が完全切断(分断)されている状態を示し、符号6Bはダイシング加工によりDAF7の未分断が発生している状態を示す。
【0061】
図6の符号6A及び符号6Bと、既述の図5とに示すように、切込み量検出部72は、断面プロファイル演算部70が演算した加工溝19の断面プロファイルに基づいて、ダイシング加工によるDAF7へのZ方向の切込み量Δdを検出する。この切込み量Δdは、DAF7の表面(ワークW側の面)からのDAF7(粘着層8を含む)に対するZ方向の切込み深さである。
【0062】
例えば、切込み量検出部72は、加工溝19の断面プロファイルからワークWとDAF7との境界面を判別可能である場合には、この境界面よりもZ方向下方側の加工溝19の深さを切込み量Δdとして検出する。また逆に、切込み量検出部72は、加工溝19の断面プロファイルからワークWとDAF7との境界面を判別不能である場合には、最初に、断面プロファイルから加工溝19の深さ(ワークWの表面から加工溝19の底面までのZ方向の長さ)を検出する。次いで、切込み量検出部72は、加工溝19の深さから既知のワークWの厚みを減算した値を切込み量Δdとして検出する。
【0063】
図7は、切込み量検出部72により検出される切込み量Δdの検出結果の一例を示した表である。図7に示すように、ダイシング装置10により、DAF7の膜厚(10μm、20μm、40μm)が異なる複数のワークWに対して、DAF7が完全切断される分断状態と完全切断されない未分断状態とになるようにダイシング加工を実行した。
【0064】
具体的には、DAF7の膜厚が10μmのワークWに対しては、切込み量Δdの狙い値が25μm(分断状態)及び5μm(未分断状態)になるようにダイシング加工を実行した。また、DAF7の膜厚が20μmのワークWに対しては、切込み量Δdの狙い値が35μm(分断状態)及び15μm(未分断状態)になるようにダイシング加工を実行した。さらに、DAF7の膜厚が40μmのワークWに対しては、切込み量Δdの狙い値が60μm(分断状態)及び35μm(未分断状態)になるようにダイシング加工を実行した。
【0065】
そして、上述のように、これらのダイシング加工で形成された加工溝19の断面プロファイルを測定して、切込み量検出部72による切込み量Δdの検出を実行して、切込み量Δdの平均値(Avg)、最大値(Max)、最小値(Min)、及び3σを演算した。その結果、DAF7の分断状態と未分断状態とにおいて切込み量Δdの差異が確認された。このため、切込み量Δdの閾値75(図5参照)を適切に設定することで、切込み量検出部72が検出した切込み量Δdと閾値75とを比較した結果に基づいて、DAF7が分断状態であるか或いは未分断状態であるかを判定可能であることが確認された。この閾値75は、予め実験又はシミュレーションを実行することで、ワークW及びDAF7の種類ごとに求められて記憶部48に記憶されている。
【0066】
図5及び図6に戻って、分断判定部74は、切込み量検出部72が検出した切込み量Δdが記憶部48内の閾値75未満であるか否かに基づいて、DAF7が未分断状態であるか否かを判定する。そして、分断判定部74は、DAF7が未分断状態であると判定した場合には、その判定結果を報知制御部76に出力する。また、分断判定部74は、DAF7が未分断状態であると判定した場合には、この未分断状態が発生したストリートの位置を示すストリート位置情報を装置制御部62に出力する。これにより、装置制御部62は、分断判定部74から入力されたストリート位置情報に基づいて、加工部16の各部(各駆動部35,45,46、顕微鏡23、及びスピンドル22A,22B等)を制御して、未分断状態のDAF7のダイシング加工(再加工)を実行する。
【0067】
図8は、報知制御部76による警告情報78の表示(報知)を説明するための説明図である。図8及び既述の図5に示すように、報知制御部76は、モニタ49と共に本発明の報知部として機能する。報知制御部76は、分断判定部74からDAF7が未分断状態であるとの判定結果が入力された場合には、その旨を示す警告情報78をモニタ49に表示させることで、オペレータに対して警告情報78を報知する。なお、警告情報78をモニタ49に表示させる代わりに或いは表示させると共に、不図示のスピーカから警告情報78を音声出力してもよい。
【0068】
[第1実施形態の作用]
図9は、本発明のダイシング装置10の制御方法に係る、第1実施形態のダイシング装置10によるワークWのダイシング加工、特にDAF7の未分断状態の確認処理の流れを示したフローチャートである。
【0069】
図9に示すように、テーブル31のワーク保持面31aにワークWがセットされると、装置制御部62は、加工部16の各部を制御して、ワークWのストリートの加工開始位置に対するブレード21A,21Bのアライメントと、ストリートに沿ったダイシング加工による加工溝19の形成と、を任意のストリートごとに繰り返し実行する(ステップS1)。
【0070】
次いで、装置制御部62は、X駆動部35及びY駆動部45を制御して白色干渉顕微鏡24を位置調整することで、ストリートに沿って形成された加工溝19の一端に白色干渉顕微鏡24の光軸を位置合わせする(ステップS2)。
【0071】
そして、装置制御部62は、Z駆動部46を制御して白色干渉顕微鏡24の垂直走査を開始させる(ステップS3)。また同時に、装置制御部62は、撮像ユニット56による干渉光L4の撮像及び干渉信号ISの出力と、を実行させる。これにより、制御装置60の座標データ取得部66は、白色干渉顕微鏡24の垂直走査中に撮像ユニット56からその画素ごとに干渉信号を連続的に取得する(ステップS4、ステップS5でNO)。
【0072】
白色干渉顕微鏡24の垂直走査が完了すると(ステップS5でYES)、座標データ取得部66が、白色干渉顕微鏡24の垂直走査中に撮像ユニット56から画素ごとに出力される干渉信号に基づいて加工溝19の3次元座標データ群を取得する(ステップS6)。次いで、3次元データ生成部68が加工溝19の3次元座標データ群に基づいて加工溝19の3次元データを生成し(ステップS7)、さらに断面プロファイル演算部70が加工溝19の3次元データに基づいて加工溝19の断面プロファイルを演算する(ステップS8)。なお、ステップS2からステップS8は、本発明の断面プロファイル取得ステップに相当する。
【0073】
加工溝19の断面プロファイルの演算が完了すると、切込み量検出部72が、既述の図6に示したように加工溝19の断面プロファイルに基づいてダイシング加工によるDAF7への切込み量Δdを検出する(ステップS9、本発明の切込み量検出ステップに相当)。
【0074】
次いで、分断判定部74は、切込み量検出部72が検出した切込み量Δdと記憶部48内の閾値75とを比較して、切込み量Δdが閾値75未満であるか否かに基づいて、DAF7が未分断状態であるか否かを判定する(ステップS10、本発明の分断判定ステップに相当)。そして、分断判定部74によりDAF7が未分断状態ではない(分断状態である)と判定された場合には、後述のステップS14に進む(ステップS11でNO)。
【0075】
一方、分断判定部74によりDAF7が未分断状態であると判定された場合には(ステップS11でYES)、その判定結果が分断判定部74から報知制御部76へ出力されると共に、DAF7の未分断状態が発生したストリートのストリート位置情報が分断判定部74から装置制御部62へ出力される。
【0076】
そして、報知制御部76は、分断判定部74から入力された判定結果に基づいて、警告情報78をモニタ49に表示させることで、オペレータに対して警告情報78を報知する(ステップS12)。これにより、オペレータにDAF7の未分断状態の発生を知らせることができるので、このワークWを後工程に搬送すること、すなわち後工程でワークWが不良になることが防止される。
【0077】
また、装置制御部62は、分断判定部74から入力されたストリート位置情報に基づいて、加工部16の各部を制御して、未分断状態のDAF7のダイシング加工(再加工)を実行する(ステップS13)。これにより、DAF7の未分断状態が解消されるため、ワークWが不良になることが防止される。
【0078】
次いで、装置制御部62は、X駆動部35及びY駆動部45を制御して、加工溝19の次の測定領域に対する白色干渉顕微鏡24の位置調整を実行する(ステップS14でNO、ステップS2)。そして、既述のステップS3からステップS13までの処理が繰り返し実行される。以下同様に、任意のストリートの加工溝19に対するDAF7の未分断状態の有無の判定と、DAF7の未分断状態が発生した場合の警告情報78の報知及び再加工と、が繰り返し実行され、ワークWのダイシング工程が全て完了する(ステップS14でYES)。
【0079】
以上のように第1実施形態のダイシング装置10では、ワークWの各ストリートのダイシング加工後に加工溝19の断面プロファイルの取得と、DAF7への切込み量Δdの検出と、DAF7の未分断状態の有無の判定とを実行することで、ワークWのダイシング工程中にDAF7の未分断不良を発見することができる。その結果、後工程(エキスパンド工程、ピックアップ工程)でのDAF7の未分断不良の発見が防止されるので、後工程でワークWが不良になることが防止される。
【0080】
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態のダイシング装置10のブロック図である。上記第1実施形態のダイシング装置10では、断面プロファイル演算部70が加工溝19の3次元データに基づいて加工溝19の断面プロファイルを演算しているが、第2実施形態のダイシング装置10では第1実施形態と異なる方法で加工溝19の断面プロファイルを演算する。
【0081】
なお、第2実施形態のダイシング装置10は、制御装置60の処理部64が第1実施形態の3次元データ生成部68の代わりに投影データ生成部68Aとして機能する点を除けば、上記第1実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0082】
図11は、投影データ生成部68Aによる2次元投影データ84の生成を説明するための説明図である。なお、図11では、投影データ生成部68Aによる加工溝19の3次元座標データ群80の2次元平面上への投影をイメージで説明するために、符号XIAに示した3次元座標データ群80を3次元データ(イメージ)で表しているが、第2実施形態では加工溝19の3次元データを生成してはいない。
【0083】
図11に示すように、投影データ生成部68Aは、座標データ取得部66が取得した加工溝19の3次元座標データ群80(点群)の各ドットを、加工送り方向であるX方向に対して垂直な仮想のYZ平面である2次元平面82上に投影する(符号XIA参照)。これにより、投影データ生成部68Aは、加工溝19の2次元投影データ84を生成する(符号XIB参照)。
【0084】
2次元投影データ84には、X方向に沿った加工溝19の形状ばらつき、及び白色干渉顕微鏡24による加工溝19の形状測定時の振動等によるデータのばらつきが発生している。このため、2次元投影データ84には、X方向に沿った加工溝19の形状ばらつきが反映されている。このような2次元投影データ84は、3次元座標データ群80の各ドットを2次元平面82に投影するだけで生成可能であるので、第1実施形態のような3次元データ(3次元モデル)よりも生成処理の負荷が小さい。
【0085】
図12は、第2実施形態の断面プロファイル演算部70による加工溝19の断面プロファイル86の演算を説明するための説明図である。図12の符号XIIAに示すように、第2実施形態の断面プロファイル演算部70は、投影データ生成部68Aが生成した2次元投影データ84に基づいて、符号XIIBに示すような加工溝19の断面プロファイル86を演算する。具体的には、断面プロファイル演算部70は、2次元投影データ84に対してノイズ除去処理及び統計処理などを施すことで断面プロファイル86を演算する。
【0086】
ここで、白色干渉顕微鏡24による加工溝19の形状測定中に振動が生じると、その形状測定結果(3次元座標データ群80のドットデータ)にばらつきが生じてしまう。例えば、ダイシング装置10には、高精度・高耐久性を目的としてXガイド34及びX駆動部35にエアガイド/リニアモータを用いる場合があるが、この場合にはX方向の規制力が弱くなる。このため、ダイシング装置10の設置床環境での外乱振動、及びダイシング装置10に搭載された他ユニット(スピン洗浄等)による振動などにより、加工溝19の形状測定中にX軸が微揺動する場合には、加工溝19の形状測定結果に誤差(ばらつき)が生じてしまう。
【0087】
このような問題に対しては高剛性のステージを設計する必要があるが、第2実施形態のように断面プロファイル86を演算することで、ダイシング装置10が許容できる精度レベルの振動抑制を行っておけば、X方向の形状測定データを積算・投影する効果により統計的な解析が可能となり、ロバスト性の向上を実現できる。また、従来の3次元データを測定する場合と比較して精度の高い断面プロファイル86の測定が可能になる。
【0088】
以下、上記第1実施形態と同様に、断面プロファイル演算部70が演算した断面プロファイル86に基づいて、切込み量検出部72によるDAF7の切込み量Δdの検出と、分断判定部74によるDAF7の未分断状態の有無の判定と、が実行される。
【0089】
以上のように第2実施形態のダイシング装置10では、加工溝19の3次元座標データ群80から2次元投影データ84を生成して、この2次元投影データ84から断面プロファイル86を演算することにより、従来のように3次元データを生成してこの3次元データから断面を切り出す必要が無くなる。その結果、制御装置60の処理負荷が低減されるため、断面プロファイル86の演算速度が向上する。また、加工溝19の形状測定中に振動が発生した場合でも精度の高い断面プロファイル86の測定が可能になる。さらに上記第1実施形態のダイシング装置10と同様の効果が得られる。
【0090】
[第3実施形態]
図13は、第3実施形態のダイシング装置10のブロック図である。上記各実施形態のダイシング装置10では、分断判定部74が切込み量検出部72による切込み量Δdの検出結果に基づいてDAF7が未分断状態であるか否かを判定している。これに対して第3実施形態のダイシング装置10では、切込み量検出部72が検出した切込み量Δdと、座標データ取得部66が白色干渉顕微鏡24から取得した干渉信号と、に基づいてDAF7が未分断状態であるか否かを判定する。
【0091】
第3実施形態のダイシング装置10は、制御装置60の処理部64がさらに干渉信号取得部73として機能し、記憶部48にさらに閾値75Aが記憶されている点を除けば、上記各実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0092】
干渉信号取得部73は、座標データ取得部66と同様に、白色干渉顕微鏡24の垂直走査中に撮像ユニット56からその画素ごとに出力された干渉信号IS(図14参照)を連続的に取得する。
【0093】
図14は、干渉信号ISの信号強度と、加工溝19の底部(底面)の材質との関係を説明するための説明図である。図14の符号XIVAに示すように、DAF7が分断状態である場合には加工溝19の底部の材質(組成)は粘着層8になる。一方、図14の符号XIVBに示すようにDAF7が分断状態である場合には加工溝17の底部の材質(組成)はDAF7になる。従って、DAF7が分断状態であるか或いは未分断状態であるのかに応じて、加工溝19の底部の材質が変化する。
【0094】
この際に、白色干渉顕微鏡24が加工溝19の底部から取得する干渉信号ISの信号強度は、加工溝19の底部の材質によって変化する。このため、白色干渉顕微鏡24が取得した干渉信号ISの信号強度がDAF7を測定対象として得られる干渉信号ISの信号強度に近い場合には、DAF7が未分断状態であると判断可能である。従って、干渉信号ISの信号強度の閾値75A(図13参照)を適切に設定することで、干渉信号取得部73が取得した干渉信号ISと閾値75Aとを比較した結果に基づいて、DAF7が分断状態であるか或いは未分断状態であるかを判定可能である。この閾値75Aは、予め実験又はシミュレーションを実行することでDAF7及び粘着層8の種類ごとに求められて記憶部48に記憶されている。これにより、干渉信号ISの信号強度が閾値75Aを満たすか否かに基づいて、DAF7が未分断状態であるか否かを判定可能である。
【0095】
図13に戻って、第3実施形態の分断判定部74は、切込み量検出部72が検出した切込み量Δdと、干渉信号取得部73が取得した干渉信号ISと、に基づいて、DAF7が未分断状態であるか否かを判定する。具体的には分断判定部74は、上記各実施形態と同様に、分断判定部74は、切込み量検出部72が検出した切込み量Δdが記憶部48内の閾値75未満であるか否かを判定する。
【0096】
また、分断判定部74は、干渉信号取得部73が取得した撮像ユニット56の画素ごとの干渉信号ISの中から、加工溝19の底部から得られる干渉信号ISの信号強度を判別する。例えば、分断判定部74は、撮像ユニット56の画素のアドレス(XY座標)、及び干渉信号ISの信号強度分布などに基づいて、加工溝19の底部から得られる干渉信号ISの信号強度を判別する。次いで、分断判定部74は、加工溝19の底部から得られる干渉信号ISの信号強度が記憶部48内の閾値75Aを満たすか否かを判定する。
【0097】
そして、分断判定部74は、切込み量Δdが閾値75未満である場合、干渉信号ISの信号強度が閾値75Aを満たす場合、又はその双方である場合には、DAF7が未分断状態であると判定する。また逆に、分断判定部74は、切込み量Δdが閾値75以上であって且つ干渉信号ISの信号強度が閾値75Aを満たさない場合には、DAF7が分断状態であると判定する。
【0098】
以上のように第3実施形態のダイシング装置10では、分断判定部74が2つのパラメータ(切込み量Δd、干渉信号ISの信号強度)に基づいてDAF7が未分断状態であるか否かを判定するので、上記各実施形態よりも判定の精度を向上させることができる。また、白色干渉顕微鏡24が取得した干渉信号ISを利用するので、別途装置を追加する必要がなく、コスト増加が防止される。さらに、上記各実施形態のダイシング装置10と同様の効果が得られる。
【0099】
[第4実施形態]
図15は、第4実施形態のダイシング装置10のブロック図である。なお、第4実施形態のダイシング装置10は、処理部64の機能が一部省略されている点を除けば上記第3実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成であるので、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0100】
上記第3実施形態のダイシング装置10では、分断判定部74が2つのパラメータ(切込み量Δd、干渉信号ISの信号強度)に基づいてDAF7が未分断状態であるか否かを判定している。これに対して図15に示すように、第4実施形態のダイシング装置10では、処理部64を干渉信号取得部73、分断判定部74、及び報知制御部76として機能させている。これにより、第4実施形態の分断判定部74は、干渉信号ISの信号強度が閾値75Aを満たすか否かのみに基づいて、DAF7が未分断状態であるか否かを判定する。その結果、既述の図9に示した上記第1実施形態のフローチャートにおいて、ステップS6からステップS9までの処理を省略することができる。なお、第4実施形態では図9のステップS3の処理が本発明の走査ステップに相当する。
【0101】
以上のように第4実施形態のダイシング装置10では、加工溝19の断面プロファイル86の演算を省略可能であるので、制御装置60の処理負荷を低減して短時間で分断判定部74の判定を実行可能である。
【0102】
[その他]
上記第1実施形態から上記第3実施形態では、白色干渉法を用いて加工溝19の断面プロファイル86を取得しているが、レーザ顕微鏡(レーザ変位計)或いは合焦法(フォーカスバリエーション法)などの公知の方法を用いて断面プロファイル86を取得してもよい。
【0103】
上記各実施形態では、Z駆動部46を駆動して白色干渉顕微鏡24のZ方向の垂直走査を実行しているが、例えばテーブル31をZ方向に往復動させることで、ワークWの表面に対して白色干渉顕微鏡24を相対的にZ方向に垂直走査させてもよい。
【0104】
上記各実施形態ではダイシング装置10としてブレードダイサを例に挙げて説明したが、例えばレーザ加工を行うレーザ加工装置にも本発明を適用可能である。
【0105】
上記各実施形態では、ダイシング装置10においてDAF7が未分断状態であるか否かを判定しているが、ダイシング装置10とは別体の判定装置でDAF7が未分断状態であるか否かを判定してもよい。また、この判定装置が既述の後工程(エキスパンド工程、ピックアップ工程)の装置と一体化されていてもよい。
【0106】
図16は、ワークWの厚みが厚い場合の課題を説明するための説明図である。図17は、ワークWの厚みが厚い場合の切込み量Δdの検出箇所Qを説明するための説明図である。図18は、図17に示した検出箇所Qにおける加工溝19の断面の一例を示した図である。なお、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0107】
上記各実施形態では、ワークWの表面上での白色干渉顕微鏡24の垂直走査と、加工溝19の3次元座標データ群の取得と、加工溝19の3次元データの生成と、加工溝19の断面プロファイル86の生成とを実行しているが、図16に示すようにワークWの厚みが厚い場合にはDAF7の切込み量Δdの検出に必要なアスペクト比の断面プロファイル86が得られないおそれがある。
【0108】
そこで、例えば図17に示すように、ワークWよりも外側の切り代部(DAF7)に切込み量Δdの検出箇所Qを設定して、この検出箇所Q上で白色干渉顕微鏡24の垂直走査と、加工溝19の3次元座標データ群の取得と、加工溝19の3次元データの生成と、加工溝19の断面プロファイルの生成とを実行してもよい。これにより、図18に示すように、ワークW越しではなく、DAF7に形成された加工溝19を直接測定して断面プロファイル86を生成することができる。その結果、上述のアスペクト比の制約がなくなり、また白色干渉顕微鏡24等を垂直走査する際の走査量を減らして測定時間を短縮することができる。
【0109】
なお、ワークWの厚みに関係なく、検出箇所Qで切込み量Δdの検出を実行してもよい。
【符号の説明】
【0110】
7…ダイアタッチフィルム(DAF)
8…粘着層
9…ダイシングテープ
10…ダイシング装置
10A…筐体
12…ロードポート
14…搬送機構
16…加工部
17…加工溝
18…洗浄部
19…加工溝
21A…ブレード
21B…ブレード
22A…スピンドル
22B…スピンドル
23…顕微鏡
24…白色干渉顕微鏡
31…テーブル
31a…ワーク保持面
32…Xベース
34…Xガイド
35…X駆動部
36…Xキャリッジ
37…回転ユニット
41…Yベース
42…Yガイド
43…Yキャリッジ
44…Zキャリッジ
45…Y駆動部
46…Z駆動部
48…記憶部
49…モニタ
50…ハウジング
51…白色光源
52…第1ビームスプリッタ
53…対物レンズ
54…ガラスプレート
54a…ミラー
55…第2ビームスプリッタ
56…撮像ユニット
60…制御装置
62…装置制御部
64…処理部
66…座標データ取得部
68…3次元データ生成部
68A…投影データ生成部
70…断面プロファイル演算部
72…切込み量検出部
73…干渉信号取得部
74…分断判定部
75…閾値
75A…閾値
76…報知制御部
78…警告情報
80…3次元座標データ群
82…2次元平面
84…2次元投影データ
86…断面プロファイル
CA…回転軸
F…フレーム
IS…干渉信号
L1…白色光
L2…測定光
L3…参照光
L4…干渉光
W…ワーク
Δd…切込み量
Q…検出箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18