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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010418
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
G01N35/00 B
G01N35/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111745
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松澤 光宏
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇人
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】大草 武徳
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058BB02
2G058BB07
2G058BB12
2G058BB18
2G058BB24
2G058CE08
2G058EA04
2G058HA02
(57)【要約】
【課題】保冷チャンバ内に熱源となるファンを設けることなく、容器出入口から外部の熱や水分が侵入するのを抑制した保冷庫を備える自動分析装置を提供する。
【解決手段】液体を保冷する保冷庫を備えた自動分析装置であって、前記保冷庫は、前記液体を保持する保冷チャンバと、冷却空気を生成して前記保冷チャンバに供給する冷却装置と、を有し、前記保冷チャンバは、液体を収容する容器を支持して回転可能なディスクと、前記ディスクを収納するジャケットと、前記ジャケットの上方を覆うカバーと、を備え、前記カバーには、前記容器を出し入れする容器出入口と、前記容器出入口の下方を横切る空気の流れを発生させる流路と、が形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を保冷する保冷庫を備えた自動分析装置であって、
前記保冷庫は、前記液体を保持する保冷チャンバと、冷却空気を生成して前記保冷チャンバに供給する冷却装置と、を有し、
前記保冷チャンバは、液体を収容する容器を支持して回転可能なディスクと、前記ディスクを収納するジャケットと、前記ジャケットの上方を覆うカバーと、を備え、
前記カバーには、前記容器を出し入れする容器出入口と、前記容器出入口の下方を横切る空気の流れを発生させる流路と、が形成されていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記流路は、前記保冷チャンバ内の空気の一部を取り入れて、前記容器出入口の下方へ向けて水平方向に吹き出すことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記カバーは、空気を外径側へ案内する案内部を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動分析装置において、
前記案内部は、前記流路の高さ寸法が内径側より外径側の方が大きくなる形状であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項3に記載の自動分析装置において、
前記案内部は、前記流路の途中に形成される、内径側の流れを阻害する邪魔板であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記容器出入口は、内径側から外径側へ延びる長孔の形状を有しており、
前記流路に導かれた空気は、前記長孔の長手方向に対して、垂直に吹き出されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記容器出入口を挟んで前記流路と対向する部分には、前記カバーの下面に傾斜が形成されており、前記容器出入口に近づくに従って前記カバーが薄くなることを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記保冷チャンバは、前記ジャケット内に配置されて前記ジャケット内の空気を整流するソケットをさらに備え、
前記流路の入口は、前記容器出入口よりも外径側にあって、前記ソケットと面する部分に形成されていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項8に記載の自動分析装置において、
前記ジャケットには、前記冷却装置から供給される冷却空気を取り込む入口と、前記保冷チャンバ内を循環して前記容器を冷却した空気を前記冷却装置へ回収する出口と、が形成されており、
前記ソケットには、前記入口から前記ジャケット内に取り込まれた冷却空気を流入させる空気流入口と、前記出口のある空間へと空気を流出させる空気流出口と、が形成されており、
前記空気流入口から取り込まれた冷却空気の主流は、前記容器を冷却して前記空気流出口に至り、
冷却空気の主流から分岐した空気が、前記流路に取り入れられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
液体を保冷する保冷庫を備えた自動分析装置であって、
前記保冷庫は、前記液体を保持する保冷チャンバと、冷却空気を生成して前記保冷チャンバに供給する冷却装置と、を有し、
前記保冷チャンバは、液体を収容する容器を支持して回転可能なディスクと、前記ディスクを収納するジャケットと、前記ジャケットの上方を覆うカバーと、を備え、
前記カバーには、前記容器を出し入れする容器出入口が形成され、
前記カバーの上面には、前記容器出入口の上方を横切る空気の流れを発生させるファンが設けられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項10に記載の自動分析装置において、
前記容器出入口に対して空気の下流側では、前記カバーの上面に傾斜が形成されており、前記容器出入口に近づくに従って前記カバーが薄くなることを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項10に記載の自動分析装置において、
前記ファンは、水平方向に対して上方へ傾斜させた向きに空気を吹き出すことを特徴とする自動分析装置。
【請求項13】
請求項10に記載の自動分析装置において、
前記ファンのある側と前記容器出入口を挟んで反対側には、前記ファンとは別のファンが前記カバーの上面に設けられていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項14】
請求項10に記載の自動分析装置において、
前記容器出入口の下面と前記ディスクとの距離が、前記カバーの底面と前記ディスクとの距離よりも大きいことを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置には、一般に、試薬を収容する試薬容器を保冷するための保冷庫が設けられており、保冷庫のカバーには、試薬容器を出し入れするための開口部(容器出入口)が形成されている。この開口部から高温かつ多湿の外気が保冷庫内に流入すると、保冷庫内で結露が発生する可能性があるため、外気の流入を抑制するための技術が考えられている。例えば、特許文献1には、「試薬保冷庫の試薬カバーに設けられた試薬出し入れ用の開口部に、開閉扉が開放したときに外気と庫内冷気を遮断可能な空気層のエアーカーテンを生成するエアーカーテン装置を設ける」(要約)と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-139269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された保冷庫は、エアーカーテン装置自体が熱を発生させる可能性があり、その場合、保冷庫内の温度が上昇したり、保冷庫内の温度分布が不均一となったりする問題があった。
【0005】
本発明の目的は、保冷チャンバ内に熱源となるファンを設けることなく、容器出入口から外部の熱や水分が侵入するのを抑制した保冷庫を備える自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、代表的な手段は、液体を保冷する保冷庫を備えた自動分析装置であって、前記保冷庫は、前記液体を保持する保冷チャンバと、冷却空気を生成して前記保冷チャンバに供給する冷却装置と、を有し、前記保冷チャンバは、液体を収容する容器を支持して回転可能なディスクと、前記ディスクを収納するジャケットと、前記ジャケットの上方を覆うカバーと、を備え、前記カバーには、前記容器を出し入れする容器出入口と、前記容器出入口の下方を横切る空気の流れを発生させる流路と、を形成したものである。
【0007】
さらに代表的な手段は、液体を保冷する保冷庫を備えた自動分析装置であって、前記保冷庫は、前記液体を保持する保冷チャンバと、冷却空気を生成して前記保冷チャンバに供給する冷却装置と、を有し、前記保冷チャンバは、液体を収容する容器を支持して回転可能なディスクと、前記ディスクを収納するジャケットと、前記ジャケットの上方を覆うカバーと、を備え、前記カバーには、前記容器を出し入れする容器出入口が形成され、前記カバーの上面には、前記容器出入口の上方を横切る空気の流れを発生させるファンを設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保冷チャンバ内に熱源となるファンを設けることなく、容器出入口から外部の熱や水分が侵入するのを抑制した保冷庫を備える自動分析装置を提供できる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る自動分析装置の保冷庫の全体構成を示す図。
図2】保冷チャンバの分解図。
図3】保冷チャンバの中心軸と容器出入口を含む面で切断した断面図。
図4図3におけるA-A断面と容器出入口の位置関係を示した平面図。
図5】保冷チャンバの中心軸を含み図3と異なる面で切断した断面を簡略化するとともに、保冷チャンバ内の空気の流れを示した図。
図6図3におけるB-B断面図。
図7】ソケットの上部とカバーを斜め上方から見た斜視図。
図8図7を裏側から(View A)から見た斜視図。
図9】実施例2に係る自動分析装置のカバーの流路付近を拡大した図。
図10】実施例3に係る自動分析装置のカバーの水平断面図。
図11】実施例4の図6に相当する断面図。
図12】実施例5の図6に相当する断面図。
図13】実施例6の図6に相当する断面図。
図14】実施例7の図6に相当する断面図。
図15】実施例8の図6に相当する断面図。
図16】実施例9の図6に相当する断面図。
図17】実施例10の図6に相当する断面図。
図18】流速比V2/V1と保冷チャンバ内へ流れ込む空気の流量の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、本実施形態は、複数の実施例が含まれるが、共通する構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0011】
自動分析装置は、保冷庫100の他、図示しない、試料ディスク、試料分注機構、試薬分注機構、恒温槽および光度計などを備える。保冷庫100は、試薬が周囲環境により変性するのを防止するために、その内部を低温に温度制御する。試料ディスクは、その円周上に試料を収容する複数の試料容器を支持するとともに回転可能である。また、試料ディスクの回転により特定の試料容器が試料吸引位置に移動したとき、試料分注機構(試料分注プローブ)は、下降して当該試料容器から試料を吸引した後、上昇して所定位置まで水平移動し、再び下降して、反応容器に吸引した試料を吐出する。
【0012】
一方、保冷庫100の内部には、試薬ディスクが配置されており、この試薬ディスクは、放射状に複数の試薬容器(チューブ27)を支持するとともに、モータなどの駆動部によって回転可能である。試薬分注機構(試薬分注プローブ)は、試薬吸引位置まで水平移動した後に下降し、保冷庫100の上面のカバー11に形成された吸引用孔(図示せず)を介して、試薬容器に挿入し、試薬を吸引する。さらに、試薬分注機構は、上昇した後、所定位置まで水平移動し、再び下降して、反応容器に吸引した試薬を吐出する。試料と試薬の入った反応容器は、一定温度に制御された恒温槽の中で化学反応を促進され、この反応過程を光度計によって測定することで、試料の分析が行われる。
【0013】
ここで、保冷庫100は、試薬容器を保持する保冷チャンバ10と、冷却空気を生成して保冷チャンバ10に供給する冷却装置50と、を有する。また、保冷チャンバ10に設けられるカバー11には、試薬容器を出し入れする容器出入口16が形成されている。本実施形態のカバー11は、容器出入口16から外気が流入するのを抑制するために、エアーカーテンを生成する構造を備える。ただし、本実施形態では、熱の発生源であるファンを保冷チャンバ10内に設置することなく、エアーカーテンを生成する構造を採用しているので、保冷チャンバ10内の温度上昇や温度不均一の抑制が可能となっている。
【0014】
実施例1~4は、保冷チャンバ10のカバー11に、ファンを用いずにエアーカーテンを生成する構造、すなわち、容器出入口16の下方を横切る空気の流れを発生される流路23、を形成するものである。一方、実施例5~10は、保冷チャンバ10のカバー11の外側(上側)に、エアーカーテンを生成する機構、すなわち、容器出入口16の上方を横切る空気の流れを発生させる外部ファン40、を設けるものである。以下、各実施例について、具体的に説明する。
【実施例0015】
実施例1に係る自動分析装置について、図1図8を用いて説明する。図1は、実施例1に係る自動分析装置の保冷庫の全体構成を示す図である。保冷庫100は、試薬類を保冷保管するための保冷チャンバ10、保冷チャンバ10に冷却空気を供給するための冷却装置50、から主に構成される。冷却装置50は、例えば冷凍サイクルを利用した装置やペルチェ素子を利用した装置である。
【0016】
図2は、保冷チャンバの分解図である。保冷チャンバ10は、ジャケット15、ソケット14、試薬ディスク(ディスク下13、ディスク上12)、カバー11、から主に構成される。ジャケット15は、ソケット14とともに試薬ディスクを収納するものである。ソケット14は、ジャケット15内に配置されてジャケット15内の空気を整流するものであり、その外周側面には空気流入口17が形成されている。ディスク下13は、回転軸19を介して駆動部の動力が伝達され、ディスク上12とともに回転できるようになっている。なお、本実施形態の試薬ディスクは、ディスク上12とディスク下13を組み合わせて構成されているが、一体で構成されていても良い。カバー11は、ジャケット15の上方を覆うものであり、保冷チャンバ10の内と外との間でチューブ27を出し入れするための容器出入口が形成されている。ジャケット15およびカバー11は、熱伝導率の小さい断熱材で形成されるのが望ましい。一方、ディスク上12、ディスク下13およびソケット14は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイドおよびポリエステルなどの樹脂で形成される。
【0017】
次に、図1図6を用いて空気の流れを説明する。図3は、保冷チャンバの中心軸と容器出入口を含む面で切断した断面図、図4は、図3におけるA-A断面と容器出入口の位置関係を示した平面図、図5は、保冷チャンバの中心軸を含み図3と異なる面で切断した断面を簡略化するとともに、保冷チャンバ内の空気の流れを示した図である。
【0018】
冷却装置50で冷却された空気は、冷却装置50の一部を構成するファン(図示せず)により流れが生じ、図1の矢印31に示すように、保冷チャンバ10内に流入する。このとき、冷却装置50から供給される空気は、図4に示すように、ジャケット15の下部に形成された保冷チャンバ入口21を介して、保冷チャンバ10内に取り込まれる。なお、ジャケット15の下部には、保冷チャンバ入口21の他、保冷チャンバ10内を循環して試薬の冷却に寄与した空気を冷却装置50へ回収するための保冷チャンバ出口22も形成されている。
【0019】
保冷チャンバ10内に流入した空気は、仕切り26の外径側に沿って、図4の矢印33のように、反時計回りに流れる。ここで、仕切り26は、ジャケット15の底面から上方へ突出するように形成され、保冷チャンバ入口21が設けられている外径側の空間と、保冷チャンバ出口22が設けられている内径側の空間と、を区画している。空気は、周方向に流れながら、図5の矢印34のように、ソケット14の外周側面に形成された空気流入口17を介して、ソケット14の内側の空間、すなわち、試薬ディスクおよびチューブ27が存在する空間に流入する。チューブ27を冷却した空気は、図5の矢印35のように、ソケット14の内周側面に形成された空気流出口18を介して、ソケット14の外側(下側)、かつ、仕切り26の内径側の空間に送り出される。その後、空気は、図4の矢印35のように、反時計回りに流れて保冷チャンバ出口22から保冷チャンバ10外へ流出し、図1の矢印32のように、冷却装置50へ回収される。
【0020】
なお、保冷チャンバ10内での空気の流れは、前述したものに限られない。例えば、保冷チャンバ入口21を内径側の空間に設け、保冷チャンバ出口22を外径側の空間に設けた場合、保冷チャンバ10内での空気の流れは、時計回りとなる。この場合、空気流入口17がソケット14の内周側面に形成され、空気流出口18がソケット14の外周側側面に形成される。
【0021】
以上述べた保冷チャンバ10内での空気の流れは、冷却装置50内のファンにより生じる流れの主流であるが、本実施例では、保冷チャンバ10の流路23により、主流の一部を分岐してエアーカーテンを生成する。すなわち、本実施例の流路23は、図6に示すように、保冷チャンバ10内の空気の一部を取り入れて、容器出入口16の下方へ向けて水平方向に吹き出す。図6は、図3におけるB-B断面図である。
【0022】
流路23の入口24は、容器出入口16よりも外径側にあって、カバー11がソケット14と面する部分に形成される。具体的には、ソケット14の上部に形成される貫通孔と、カバー11の下面に形成される開口と、を接続させることで、流路23へ空気が取り込まれるようにしている。すなわち、入口24はカバー11の外径側に形成されているので、保冷チャンバ10内を流れる主流のうち、特に流れの強い(流速の高い)空気を流路23へ取り込める。
【0023】
次に、図7および図8を用いてカバーの構成の詳細を説明する。図7は、ソケットの上部とカバーを斜め上方から見た斜視図であり、図8は、図7を裏側から(View A)から見た斜視図である。なお、各図の矢印37は、図中の矢印37は、入口24から流路23を通り容器出入口16に向かって流れる空気の様子を示している。
【0024】
前述のように、保冷チャンバ10内の空気の主流が反時計回りの場合、主流が分岐して流れる流路23も主流の向きに近づけると、強いエアーカーテンが生成できると考えられる。したがって、流路23の入口24は、容器出入口16よりも、主流の上流側に近い位置とするのが望ましい。
【0025】
容器出入口16は、内径側から外径側へ延びる長孔の形状を有している。そして、流路23は、容器出入口16の長孔の長手方向に対して垂直となるように形成される。これにより、流路23から吹き出された空気の流れも、容器出入口16の長手方向に対して垂直になり、容器出入口16を斜めに横切る場合と比べて、横切る距離が短くなるので、容器出入口16の上方から外気が入り難くなる。
【0026】
ただし、入口24から流路23に取り込まれた空気の流れは、内径側に向かい易い傾向がある。したがって、流路23から吹き出される空気の流れを、容器出入口16の長手方向に垂直に維持するためには、空気を外径側へ意図的に案内する案内部も設けることが望ましい。そこで、本実施例では、図8に示すように、カバー11の下面のうち、容器出入口16を挟んで流路23と反対側に、案内部として、容器出入口16の長手方向と垂直な方向に延びる段差20を形成している。
【0027】
本実施例によれば、容器出入口16の下方を空気が塞ぐように流れるエアーカーテンが生成されるため、容器出入口16を介した外部からの熱および水分の侵入が抑制される。さらに、エアーカーテンを生成するためのファンなどの熱源を保冷チャンバ10内に設置する必要がないため、保冷チャンバ10内の温度上昇が防止できる。その結果、保冷チャンバ10内の結露が抑制できるだけでなく、温度上昇や温度不均一も抑制が可能となっている。
【実施例0028】
実施例2に係る自動分析装置について、図9を用いて説明する。図9は、実施例2に係る自動分析装置のカバーの流路付近を拡大した図である。本実施例は、空気を外径側へ意図的に案内する案内部として、流路23の高さ寸法23Wが内径側より外径側の方が大きくなるような形状を採用したものである。これにより、内径側に向かい易い傾向のある空気の流れが整流され、容器出入口16を横切る空気の流速が、径方向について均一となる。すなわち、容器出入口16の長手方向に圧力差がなくなり、保冷チャンバ10外からの空気の侵入を防ぐ効果が高まる。
【実施例0029】
実施例3に係る自動分析装置について、図10を用いて説明する。図10は、実施例3に係る自動分析装置のカバーの水平断面図である。本実施例は、空気を外径側へ意図的に案内する案内部として、内径側の流れを阻害する邪魔板28を、流路23の途中に形成したものである。これにより、内径側に向かい易い傾向のある空気の流れが整流され、容器出入口16を横切る空気の流速が、径方向について均一となる。すなわち、容器出入口16の長手方向に圧力差がなくなり、保冷チャンバ10外からの空気の侵入を防ぐ効果が高まる。
【実施例0030】
実施例4に係る自動分析装置について、図11を用いて説明する。図11は、実施例4の図6に相当する断面図である。本実施例は、容器出入口16を挟んで流路23と対向する部分において、カバー11の下面に傾斜25を形成し、容器出入口16に近づくに従ってカバー11が薄くなるようにしたものである。
【0031】
本実施例によれば、流路23から吹き出された空気は、容器出入口16の下流側の側壁29に衝突し難くなるため、保冷チャンバ10の外への流出が防止され、保冷チャンバ10内に導かれ易くなる。すなわち、保冷チャンバ10外からの空気の侵入を防ぐ効果が高まる。
【実施例0032】
実施例5に係る自動分析装置について、図12を用いて説明する。図12は、実施例5の図6に相当する断面図である。本実施例は、前述の実施例1~4と異なり、保冷チャンバ10のカバー11の上面に、容器出入口16の上方を横切る空気の流れを発生させる外部ファン40を設けるものである。なお、外部ファン40は、例えば、軸流ファン、貫流ファン、遠心ファンなどで構成される。
【0033】
本実施例によれば、容器出入口16の上方を空気が塞ぐように流れるエアーカーテンが生成されるため、容器出入口16を介した外部からの熱および水分の侵入が抑制される。また、本実施例の外部ファン40は、保冷チャンバ10外に設置されているため、外部ファン40自体が発する熱によって保冷チャンバ10内が温度上昇するのを防止できる。その結果、保冷チャンバ10内の結露が抑制できるだけでなく、温度上昇や温度不均一も抑制が可能となっている。また、本実施例では、実施例1~4と異なり、カバー11に流路23を形成する必要がないので、カバー11やソケット14の構造が簡単になる。
【0034】
さらに、本実施例では、外部ファン40によってカバー上面41付近の流速が大きくなるため、カバー上面41と外気と間の熱伝達率が高くなり、容器出入口16を囲う側壁(下流側の側壁29および上流側の側壁30)の温度が上昇する。この作用により、容器出入口16を囲う側壁の温度が、容器出入口16付近の空気温度より高くなることで、容器出入口16を囲う側壁における結露発生をより抑制できる。
【実施例0035】
実施例6に係る自動分析装置について、図13を用いて説明する。図13は、実施例6の図6に相当する断面図である。本実施例は、実施例5と異なり、容器出入口16に対して空気の下流側において、カバー11の上面に傾斜42を形成し、容器出入口16に近づくに従ってカバー11が薄くなるように形成したものである。
【0036】
本実施例によれば、外部ファン40から吹き出された空気は、容器出入口16の下流側の側壁29に衝突し難くなるため、保冷チャンバ10内への流入が防止され、保冷チャンバ10外に導かれ易くなる。すなわち、保冷チャンバ10外からの空気の侵入を防ぐ効果が高まる。
【実施例0037】
実施例7に係る自動分析装置について、図14を用いて説明する。図14は、実施例7の図6に相当する断面図である。本実施例の外部ファン40は、実施例5の外部ファン40と異なり、水平方向に対して上方へ傾斜させた向きに空気を吹き出す。
【0038】
本実施例によっても、外部ファン40から吹き出された空気は、容器出入口16の下流側の側壁29に衝突し難くなるため、保冷チャンバ10内への流入が防止され、保冷チャンバ10外に導かれ易くなる。すなわち、保冷チャンバ10外からの空気の侵入を防ぐ効果が高まる。
【実施例0039】
実施例8に係る自動分析装置について、図15を用いて説明する。図15は、実施例8の図6に相当する断面図である。本実施例は、実施例5と異なり、外部ファン40のある側と容器出入口16を挟んで反対側に、別の外部ファン43をカバー11の上面に設けたものである。なお、外部ファン40と、別の外部ファン43とは、流量が同等であることが望ましい。
【0040】
本実施例によれば、外部ファン40から吹き出された空気38は、流れの広がりが抑制され、別の外部ファン43に流入する。その結果、外部ファン40から吹き出された空気は、容器出入口16の下流側の側壁29に衝突し難くなるため、保冷チャンバ10内への流入が防止され、保冷チャンバ10外に導かれ易くなる。すなわち、保冷チャンバ10外からの空気の侵入を防ぐ効果が高まる。
【実施例0041】
実施例9に係る自動分析装置について、図16を用いて説明する。図16は、実施例9の図6に相当する断面図である。本実施例は、実施例8と異なり、別の外部ファン43の上流側に治具44が設けられている。この治具44は、下流側から上流側にかけて流路断面積が縮小するように構成される。
【0042】
本実施例によれば、外部ファン40から吹き出された空気は、縮流して治具44に流入することになるので、流れの広がりが抑制される。その結果、外部ファン40から吹き出された空気は、容器出入口16の下流側の側壁29に衝突し難くなるため、保冷チャンバ10内への流入が防止され、保冷チャンバ10外に導かれ易くなる。すなわち、保冷チャンバ10外からの空気の侵入を防ぐ効果が高まる。
【実施例0043】
実施例10に係る自動分析装置について、図17を用いて説明する。図17は、実施例10の図6に相当する断面図である。本実施例は、実施例5と異なり、容器出入口16の下面と試薬ディスク(ディスク上12)との距離を、カバー11の底面と試薬ディスク(ディスク上12)との距離よりも長くし、容器出入口16の下方の空間を大きくしたものである。つまり、本実施例では、カバー11の底面とディスク上12の上面との距離をH1とし、容器出入口16の下面とディスク上12の上面との距離をH2とした場合、H2>H1となるようにした。
【0044】
本実施例のようなカバー11の場合、保冷チャンバ10の外から容器出入口16を通過して保冷チャンバ10内に流入する空気の流量は、図18の関係となる。ここで、V2は、外部ファン40の下流側の空気の流速、V1は、容器出入口16の下側(保冷チャンバ10側)の空気の流速、V0は、試薬ディスクに支持されたチューブ27付近を流れる空気の流速とする。図18のように、V2/V1が所定の値の場合、V1は小さい方が流入量は小さくなる。一方、V0が小さいと、保冷庫全体の冷却能力が低下し、保冷チャンバ10内の温度のばらつきも大きくなるため、V0は大きい方が好ましい。したがって、V0は大きくしつつ、V1を小さくすることが好ましい。
【0045】
本実施例によると、容器出入口16の下側の空間のみ大きくしているため、V0は大きいまま、V1を小さくすることができ、容器出入口16を通過して保冷チャンバ10内に流入する空気の流量を小さくできる。また、容器出入口16とディスク上12との距離が長くなるため、ディスク上12やディスク下13、チューブ27などに生じる結露がさらに抑制される。
【0046】
前述の各実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えたり、追加したりすることが可能である。
【0047】
さらに、本発明は、前述した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、カバー11には、容器出入口16よりは小さいが、吸引用孔も形成されているので、当該吸引用孔の下方を横切る空気の流れを発生させる流路や、当該吸引用孔の上方を横切る空気の流れを発生させるファンが設けられても良い。また、前述の実施例5~10では、保冷チャンバ10内の空気の流れ(図4の矢印33参照)に対し、容器出入口16の上流側に外部ファン40を設置したが、容器出入口16の下流側に外部ファン40を設置しても良い。
【0048】
さらに、前述の各実施例では、容器出入口16に蓋が設置されていない図を用いて説明したが、容器出入口16に蓋が設置されていても良い。特に、実施例5~10において容器出入口16に蓋を設置する場合、蓋が開放されると外部ファン40などが作動し、蓋が閉鎖されると外部ファン40などが停止するような制御が行われても良い。また、前述の各実施例では、試薬を保冷する保管庫を例に挙げて説明したが、保冷庫は、試薬以外の液体(例えば試料)を保冷するものであっても良い。
【符号の説明】
【0049】
10…保冷チャンバ、11…カバー、12…ディスク上、13…ディスク下、14…ソケット、15…ジャケット、16…容器出入口、17…空気流入口、18…空気流出口、19…回転軸、20…段差、21…保冷チャンバ入口、22…保冷チャンバ出口、23…流路、24…入口、25…傾斜、26…仕切り、27…チューブ、28…邪魔板、29…容器出入口の下流側の側壁、30…容器出入口の上流側の側壁、40…外部ファン、41…カバー上面、42…傾斜、43…別の外部ファン、44…治具、50…冷却装置、100…保冷庫
図1
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