IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特開2024-104205シート折り装置、画像形成装置、及び画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104205
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】シート折り装置、画像形成装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/06 20060101AFI20240726BHJP
   B65H 45/16 20060101ALI20240726BHJP
   B65H 45/18 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B65H37/06
B65H45/16
B65H45/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008319
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】廣野 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】篠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】東海枝 秀斗
(72)【発明者】
【氏名】平田 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】藤田 涼香
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直文
(72)【発明者】
【氏名】高山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕史
(72)【発明者】
【氏名】野崎 航
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 日奈子
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA08
3F108BA09
3F108BB02
3F108BB05
3F108CC02
3F108CD04
3F108CD07
3F108EA09
3F108GA01
3F108GB04
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で多様の折り種類に対応可能なシート折り装置を提供する。
【解決手段】シート折り装置は、主搬送路を挟んで対向配置された第一折りローラ及び第二折りローラと、主搬送路から分岐した分岐搬送路を挟んで第二折りローラに対向配置された第三折りローラと、第一折りローラ及び第二折りローラの挟持位置より搬送方向の上流側に回転可能に配置された第一ガイド部材及び第二ガイド部材と、第二折りローラを回転させるモータの回転駆動力を第一ガイド部材及び第二ガイド部材に伝達する駆動力伝達機構とを備える。駆動力伝達機構は、第二折りローラの前記順回転に連動して、第一ガイド部材を前記第一ガイド姿勢に向けて回転させ、且つ第二ガイド部材を第二退避姿勢に向けて回転させ、第二折りローラの逆回転に連動して、第一ガイド部材を第一退避姿勢に向けて回転させ、且つ第二ガイド部材を第二ガイド姿勢に向けて回転させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主搬送路に沿ってシートを搬送方向に搬送する搬送部と、
前記主搬送路を挟んで対向配置された第一折りローラ及び第二折りローラと、
前記第一折りローラ及び前記第二折りローラの挟持位置よりも前記搬送方向の上流側の分岐位置で前記主搬送路から分岐した分岐搬送路を挟んで前記第二折りローラに対向配置された第三折りローラと、
前記主搬送路上の前記シートを前記搬送方向に搬送すると共に前記分岐搬送路上の前記シートを前記分岐位置を通じて前記主搬送路に進入させる順回転、または前記順回転と逆向きとなる逆回転のいずれにも、前記第二折りローラを回転させるモータと、
前記挟持位置より前記搬送方向の上流側に回転可能に配置された第一ガイド部材及び第二ガイド部材と、
前記モータの回転駆動力を前記第一ガイド部材及び前記第二ガイド部材に伝達する駆動力伝達機構とを備え、
前記第一ガイド部材は、
前記主搬送路上を前記搬送方向に搬送される前記シート及び前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路から前記主搬送路に進入する前記シートを、前記挟持位置に導く第一ガイド姿勢と、
前記主搬送路上の前記シートが前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路に進入するのを許容する第一退避姿勢とに切替可能であり、
前記第二ガイド部材は、
前記主搬送路上の前記シートを前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路に導く第二ガイド姿勢と、
前記主搬送路上を前記搬送方向に搬送される前記シート及び前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路から前記主搬送路に進入する前記シートが前記挟持位置に到達するのを許容する第二退避姿勢とに切替可能であり、
前記駆動力伝達機構は、
前記第二折りローラの前記順回転に連動して、前記第一ガイド部材を前記第一退避姿勢から前記第一ガイド姿勢に向けて回転させ、且つ前記第二ガイド部材を前記第二ガイド姿勢から前記第二退避姿勢に向けて回転させ、
前記第二折りローラの前記逆回転に連動して、前記第一ガイド部材を前記第一ガイド姿勢から前記第一退避姿勢に向けて回転させ、且つ前記第二ガイド部材を前記第二退避姿勢から前記第二ガイド姿勢に向けて回転させることを特徴とするシート折り装置。
【請求項2】
前記第一ガイド部材の回転中心から先端までの第一距離D1と、前記第二ガイド部材の回転中心から先端までの第二距離D2とは、異なることを特徴とする請求項1に記載のシート折り装置。
【請求項3】
前記第二距離D2は、前記第一距離D1より長いことを特徴とする請求項2に記載のシート折り装置。
【請求項4】
前記第一ガイド姿勢及び前記第一退避姿勢の間の前記第一ガイド部材の第一回転角度θ1と、前記第二ガイド姿勢及び前記第二退避姿勢の間の前記第二ガイド部材の第二回転角度θ2とは、異なることを特徴とする請求項1に記載のシート折り装置。
【請求項5】
前記第二回転角度θ2は、前記第一回転角度θ1より大きいことを特徴とする請求項4に記載のシート折り装置。
【請求項6】
前記駆動力伝達機構は、前記モータの回転駆動力を、第一伝達比R1で前記第一ガイド部材に伝達し、第二伝達比R2で前記第二ガイド部材に伝達し、
前記第一伝達比R1及び前記第二伝達比R2の比と、前記第一回転角度θ1及び前記第二回転角度θ2の比とは、等しいことを特徴とする請求項4に記載のシート折り装置。
【請求項7】
前記駆動力伝達機構は、前記モータの回転駆動力を、第一伝達比R1で前記第一ガイド部材に伝達し、第二伝達比R2で前記第二ガイド部材に伝達し、
前記第一伝達比R1及び前記第二伝達比R2の比と、前記第一回転角度θ1及び前記第二回転角度θ2の比とは、異なることを特徴とする請求項4に記載のシート折り装置。
【請求項8】
前記第一伝達比R1に対する前記第二伝達比R2の比は、前記第一回転角度θ1に対する前記第二回転角度θ2の比より大きいことを特徴とする請求項7に記載のシート折り装置。
【請求項9】
前記第一伝達比R1に対する前記第二伝達比R2の比は、前記第一回転角度θ1に対する前記第二回転角度θ2の比より小さいことを特徴とする請求項7に記載のシート折り装置。
【請求項10】
前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラの回転を制御するコントローラを備え、
前記第一折りローラは、前記主搬送路上の前記シートを前記搬送方向に搬送する順回転、及び前記順回転と逆向きの逆回転が可能であり、
前記第三折りローラは、前記分岐搬送路上の前記シートを前記分岐位置を通じて前記主搬送路に進入させる順回転、及び前記順回転と逆向きの逆回転が可能であり、
前記コントローラは、
前記搬送部によって前記搬送方向に搬送される前記シートの第一折り位置が前記分岐位置に到達するまで、前記第一折りローラ及び前記第二折りローラを前記順回転させ、
前記第一折り位置が前記分岐位置に到達したタイミングで、前記挟持位置から、前記分岐搬送路上の前記シートの先端までの距離及び前記第一折り位置よりも前記搬送方向の上流側の第二折り位置までの距離が等しくなるまで、前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラを前記逆回転させ、
前記挟持位置から前記シートの先端までの距離及び前記第二折り位置までの距離が等しくなったタイミングで、前記シートの後端が前記挟持位置を前記搬送方向に通過するまで、前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラを前記順回転させることを特徴とする請求項1に記載のシート折り装置。
【請求項11】
前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラの回転を制御するコントローラを備え、
前記第一折りローラは、前記主搬送路上の前記シートを前記搬送方向に搬送する順回転、及び前記順回転と逆向きの逆回転が可能であり、
前記第三折りローラは、前記分岐搬送路上の前記シートを前記分岐位置を通じて前記主搬送路に進入させる順回転、及び前記順回転と逆向きの逆回転が可能であり、
前記コントローラは、
前記搬送部によって前記搬送方向に搬送される前記シートの折り位置が前記分岐位置に到達するまで、前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラを前記逆回転させ、
前記シートの前記折り位置が前記分岐位置に到達したタイミングで、前記シートの後端が前記挟持位置を前記搬送方向に通過するまで、前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラを前記順回転させることを特徴とする請求項1に記載のシート折り装置。
【請求項12】
筐体と、
前記筐体に収容されてシートに画像を形成する画像形成部と、
前記筐体に着脱可能に支持されて、前記画像形成部によって画像が形成された前記シートを折る請求項1に記載のシート折り装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に接続された請求項1に記載のシート折り装置とを備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート折り装置、画像形成装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成されたシートを所定の形状(例えば、Z折り、外三つ折り、二つ折り)に折るシート折り装置が知られている。ここで、既存の画像形成装置にシート折り装置を接続して画像形成システムを構成すると、システム全体が大型化するという課題がある。
【0003】
このような課題を解決することを目的として、特許文献1、2には、画像形成装置の胴内排紙部に設けられる後処理装置において、折りローラ対のニップ位置に用紙を案内するガイド部材を用いて、Z折り及び二つ折りの両方を実現する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2では、折り処理を実現する構成要素が大きく且つ複雑なので、胴内空間の大部分を占有してしまう。そのため、折り処理に加えて、胴内空間でステープル処理などの他の後処理を実現するのは難しいという課題がある。
【0005】
本発明は、簡易な構成で多様の折り種類に対応可能なシート折り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、主搬送路に沿ってシートを搬送方向に搬送する搬送部と、前記主搬送路を挟んで対向配置された第一折りローラ及び第二折りローラと、前記第一折りローラ及び前記第二折りローラの挟持位置よりも前記搬送方向の上流側の分岐位置で前記主搬送路から分岐した分岐搬送路を挟んで前記第二折りローラに対向配置された第三折りローラと、前記主搬送路上の前記シートを前記搬送方向に搬送すると共に前記分岐搬送路上の前記シートを前記分岐位置を通じて前記主搬送路に進入させる順回転、または前記順回転と逆向きとなる逆回転のいずれにも、前記第二折りローラを回転させるモータと、前記挟持位置より前記搬送方向の上流側に回転可能に配置された第一ガイド部材及び第二ガイド部材と、前記モータの回転駆動力を前記第一ガイド部材及び前記第二ガイド部材に伝達する駆動力伝達機構とを備え、前記第一ガイド部材は、前記主搬送路上を前記搬送方向に搬送される前記シート及び前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路から前記主搬送路に進入する前記シートを、前記挟持位置に導く第一ガイド姿勢と、前記主搬送路上の前記シートが前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路に進入するのを許容する第一退避姿勢とに切替可能であり、前記第二ガイド部材は、前記主搬送路上の前記シートを前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路に導く第二ガイド姿勢と、前記主搬送路上を前記搬送方向に搬送される前記シート及び前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路から前記主搬送路に進入する前記シートが前記挟持位置に到達するのを許容する第二退避姿勢とに切替可能であり、前記駆動力伝達機構は、前記第二折りローラの前記順回転に連動して、前記第一ガイド部材を前記第一退避姿勢から前記第一ガイド姿勢に向けて回転させ、且つ前記第二ガイド部材を前記第二ガイド姿勢から前記第二退避姿勢に向けて回転させ、前記第二折りローラの前記逆回転に連動して、前記第一ガイド部材を前記第一ガイド姿勢から前記第一退避姿勢に向けて回転させ、且つ前記第二ガイド部材を前記第二退避姿勢から前記第二ガイド姿勢に向けて回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構成で多様の折り種類に対応可能なシート折り装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の外観図。
図2】シート折りユニット及びシート綴じユニットの内部構成を示す図。
図3】第二折りローラ、第一ガイド板、及び第二ガイド板を、主搬送路上のシートに直交する方向から見た図。
図4】シート折りユニットをシートの幅方向から見た図。
図5】ガイド板の回転角度を示す図。
図6】ガイド板の回転中心から先端までの距離を示す図。
図7】シート折りユニットのハードウェア構成図。
図8】シート折りユニットで実現可能な折り方のバリエーションを説明する図。
図9】三つ折り処理のフローチャート。
図10】第一折り位置が分岐位置に到達したときのシート折りユニットの状態を示す図。
図11】第二折りローラ及び第三折りローラに第一折り位置が挟持される直前のシート折りユニットの状態を示す図。
図12】第一折りローラ及び第二折りローラの挟持位置から、シートの先端及び第二折り位置までの距離が等しくなったときのシート折りユニットの状態を示す図。
図13】第二折り位置でシートを折った後のシート折りユニットの状態を示す図。
図14】二つ折り処理のフローチャート。
図15】シートの先端が分岐搬送路に進入したときのシート折りユニットの状態を示す図。
図16】折り位置でシートを折った後のシート折りユニットの状態を示す図。
図17】シートが搬送ローラ対に到達するまでのシート綴じユニットの状態を示す図。
図18】綴じ処理を施さずにシートを排出トレイに排出する場合のシート綴じユニットの状態を示す図。
図19】綴じ処理を行うシート綴じユニットの状態を示す図。
図20図19(B)のときのシート綴じユニットをシートの厚み方向から見た図。
図21】綴じ処理が施されたシート束を排出トレイに排出する場合のシート綴じユニットの状態を示す図。
図22】パンチ孔穿設ユニットの内部構成を示す図。
図23】画像形成システムの外観図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成装置10について、図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成装置10の外観図である。画像形成装置10は、シートS(典型的には、用紙)に画像を形成する装置である。図1に示すように、画像形成装置10は、筐体11と、画像形成部12とを備える。
【0010】
筐体11は、画像形成装置10の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状である。また、筐体11には、画像形成装置10の外部からアクセス可能な胴内空間13が形成されている。胴内空間13は、例えば、筐体11の上下方向の中央よりやや上方に位置している。また、胴内空間13は、筐体11の外側壁が切り欠かれて、外部に露出されている。さらに、胴内空間13には、シート折りユニット20(シート折り装置)、シート綴じユニット30(後処理部)、及び後述するパンチ孔穿設ユニット50(図22参照)が取り付け可能になっている。
【0011】
画像形成部12は、トレイに収容されたシートSに画像を形成し、画像を形成したシートSを、シート折りユニット20、シート綴じユニット30、またはパンチ孔穿設ユニット50に排出する。画像形成部12は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成部12の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0012】
シート折りユニット20は、画像形成部12からシート綴じユニット30に至るシートSの搬送経路(図1に破線の矢印で示す経路)のうち、画像形成部12よりも下流側で且つシート綴じユニット30よりも上流側において、画像形成装置10の胴内空間13に取り付けられる。すなわち、画像形成部12によって画像が形成されたシートSは、まずシート折りユニット20に引き渡されて後述する折り処理が施され、その後にシート綴じユニット30に引き渡されて後述する綴じ処理が施される。
【0013】
また、シート折りユニット20は、画像形成装置10に着脱可能に構成されている。シート折りユニット20が取り外されると、画像形成部12によって画像が形成されたシートSは、直接シート綴じユニット30に引き渡されて綴じ処理が施される。さらに、胴内空間13のシート折りユニット20が取り外された位置には、パンチ孔穿設ユニット50が着脱可能に構成されている。パンチ孔穿設ユニット50が取り付けられると、画像形成部12によって画像が形成されたシートSは、まずパンチ孔穿設ユニット50に引き渡されて後述する穿設処理が施され、その後にシート綴じユニット30に引き渡されて綴じ処理が施される。なお、胴内空間13のシート折りユニット20が取り外された位置には、パンチ孔穿設ユニットに限定されず、シートSに任意の処理を施すユニットを取り付け可能である。
【0014】
図2は、シート折りユニット20及びシート綴じユニット30の内部構成を示す図である。シート折りユニット20及びシート綴じユニット30は、各々がユニット化されており、シートSの入出力インタフェースが接続可能になっている。すなわち、シート折りユニット20の入力インタフェースINは、画像形成部12の出力インタフェースに接続可能に構成されている。また、シート綴じユニット30の入力インタフェースは、画像形成部12の出力インタフェース及びシート折りユニット20の出力インタフェースOUTに接続可能に構成されている。
【0015】
シート折りユニット20は、画像形成部12によって画像が形成されたシートSを所定の形状(例えば、Z折り、外三つ折り、二つ折り)に折る折り処理を実行する。図2に示すように、シート折りユニット20は、筐体21と、搬送ローラ対22(搬送部)と、第一折りローラ23と、第二折りローラ24と、第三折りローラ25と、第一ガイド板26(第一ガイド部材)と、第二ガイド板27(第二ガイド部材)と、第一ガイド側ストッパ26a及び第一退避側ストッパ26b(図4参照)と、第二ガイド側ストッパ27a及び第二退避側ストッパ27b(図4参照)と、駆動力伝達機構28(図3参照)とを備える。
【0016】
筐体21は、シート折りユニット20の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状である。また、筐体21の内部空間には、シートSが通過する空間である主搬送路Ph1及び分岐搬送路Ph2が形成されている。主搬送路Ph1は、画像形成部12に接続される入力インタフェースINからシート綴じユニット30に接続される出力インタフェースOUTに至る搬送路である。以下、主搬送路Ph1上において、入力インタフェースINから出力インタフェースOUTに向かう方向を「搬送方向」と表記する。分岐搬送路Ph2は、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置より搬送方向の上流側の分岐位置Aで主搬送路Ph1から分岐した搬送路である。一方、分岐搬送路Ph2の分岐位置Aとは反対側の端部は、閉塞されている(すなわち、行き止まり)。
【0017】
搬送ローラ対22は、主搬送路Ph1に沿ってシートSを搬送方向に搬送する。搬送ローラ対22は、分岐位置Aよりも搬送方向の上流側において、主搬送路Ph1を挟んで対向配置された駆動ローラ22a及び従動ローラ22bで構成されている。駆動ローラ22a及び従動ローラ22bは、筐体21に回転可能に支持されている。駆動ローラ22aは、搬送モータ22c(図7参照)の回転駆動力が伝達されて、シートSを搬送方向に搬送する方向(図2の時計回り)に順回転する。従動ローラ22bは、主搬送路Ph1を挟んで駆動ローラ22aに対向配置され、駆動ローラ22aの回転に伴って従動する。そして、駆動ローラ22a及び従動ローラ22bがシートSを挟持した状態で、搬送モータ22cが駆動されることによって、シートSが主搬送路Ph1に沿って搬送方向に搬送される。
【0018】
第一折りローラ23は、主搬送路Ph1に対面する位置において、筐体21に回転可能に支持されている。第二折りローラ24は、主搬送路Ph1及び分岐搬送路Ph2の両方に対面する位置において、筐体21に回転可能に支持されている。第三折りローラ25は、分岐搬送路Ph2に対面する位置において、筐体21に回転可能に支持されている。また、第一折りローラ23及び第二折りローラ24は、分岐位置Aよりも搬送方向の下流側において、主搬送路Ph1を挟んで対向配置されている。さらに、第二折りローラ24及び第三折りローラ25は、分岐搬送路Ph2を挟んで対向配置されている。
【0019】
第一折りローラ23は、第一折りモータ23a(図7参照)の回転駆動力が伝達されることによって、順回転及び逆回転する。第一折りローラ23の順回転は、主搬送路Ph1上のシートSを搬送方向に搬送する向きの回転である。第一折りローラ23の逆回転は、順回転と逆向きの回転である。第一折りモータ23aは、第一折りローラ23を順回転させる正転と、第一折りローラ23を逆回転させる逆転とが可能に構成されている。
【0020】
第二折りローラ24は、第二折りモータ24a(図7参照)の回転駆動力が伝達されることによって、順回転及び逆回転する。第二折りローラ24の順回転は、主搬送路Ph1上のシートSを搬送方向に搬送すると共に、分岐搬送路Ph2上のシートSを分岐位置Aを通じて主搬送路Ph1に進入させる向きの回転である。第二折りローラ24の逆回転は、順回転と逆向きの回転である。第二折りモータ24a(モータ)は、第二折りローラ24を順回転させる正転と、第二折りローラ24を逆回転させる逆転とが可能に構成されている。
【0021】
第三折りローラ25は、第三折りモータ25a(図7参照)の回転駆動力が伝達されることによって、順回転及び逆回転する。第三折りローラ25の順回転は、分岐搬送路Ph2上のシートSを分岐位置Aを通じて主搬送路Ph1に進入させる向きの回転である。第三折りローラ25の逆回転は、順回転と逆向きの回転である。第三折りモータ25aは、第三折りローラ25を順回転させる正転と、第三折りローラ25を逆回転させる逆転とが可能に構成されている。
【0022】
第一ガイド板26及び第二ガイド板27は、分岐位置Aの近傍において、筐体21に回転可能に支持されている。より詳細には、第一ガイド板26及び第二ガイド板27は、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置より搬送方向の上流側に配置されいている。そして、第一ガイド板26は、図4(A)に示す第一ガイド姿勢と、図4(B)に示す第一退避姿勢とに切替(回転)可能に構成されている。また、第二ガイド板27は、図4(B)に示す第二ガイド姿勢と、図4(A)に示す第二退避姿勢とに切替(回転)可能に構成されている。
【0023】
第一ガイド姿勢は、主搬送路Ph1上を搬送方向に搬送されるシートS及び分岐位置Aを通じて分岐搬送路Ph2から主搬送路Ph1に進入するシートSを、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置に導く第一ガイド板26の姿勢である。また、第一ガイド姿勢は、主搬送路Ph1上のシートSが分岐位置Aを通じて分岐搬送路Ph2に進入するのを阻止する第一ガイド板26の姿勢である。第一退避姿勢は、主搬送路Ph1上のシートSが分岐位置Aを通じて分岐搬送路Ph2に進入するのを許容する第一ガイド板26の姿勢である。
【0024】
第二ガイド姿勢は、主搬送路Ph1上のシートSを分岐位置Aを通じて分岐搬送路Ph2に導く第二ガイド板27の姿勢である。また、第二ガイド姿勢は、主搬送路Ph1上のシートSが分岐位置Aを通過して、搬送ローラ対22側または第一折りローラ23側に移動するのを阻止する第二ガイド板27の姿勢である。第二退避姿勢は、主搬送路Ph1上を搬送方向に搬送されるシートS及び分岐位置Aを通じて分岐搬送路Ph2から主搬送路Ph1に進入するシートSが、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置に到達するのを許容する第二ガイド板27の姿勢である。
【0025】
なお、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置(ニップ位置)とは、第一折りローラ23及び第二折りローラ24がシートSを挟持(ニップ)する主搬送路Ph1上の位置を指す。同様に、第二折りローラ24及び第三折りローラ25の挟持位置(ニップ位置)とは、第二折りローラ24及び第三折りローラ25がシートSを挟持(ニップ)する分岐搬送路Ph2上の位置を指す。
【0026】
図4(A)に示すように、第一ガイド側ストッパ26aは、第一ガイド姿勢の第一ガイド板26に当接して、第一ガイド板26が第一退避姿勢から遠ざかる方向(図4(A)の時計回り)に回転するのを阻止する。図4(B)に示すように、第一退避側ストッパ26bは、第一退避姿勢の第一ガイド板26に当接して、第一ガイド板26が第一ガイド姿勢から遠ざかる方向(図4(B)の反時計回り)に回転するのを阻止する。これにより、第一ガイド板26は、第一ガイド姿勢及び第一退避姿勢の間(換言すれば、第一ガイド側ストッパ26a及び第一退避側ストッパ26bの間)のみで回転する。換言すれば、第一ガイド側ストッパ26a及び第一退避側ストッパ26bは、第一ガイド板26の回転範囲を規制する。
【0027】
図4(B)に示すように、第二ガイド側ストッパ27aは、第二ガイド姿勢の第二ガイド板27に当接して、第二ガイド板27が第二退避姿勢から遠ざかる方向(図4(B)の反時計回り)に回転するのを阻止する。図4(A)に示すように、第二退避側ストッパ27bは、第二退避姿勢の第二ガイド板27に当接して、第二ガイド板27が第二ガイド姿勢から遠ざかる方向(図4(A)の時計回り)に回転するのを阻止する。これにより、第二ガイド板27は、第二ガイド姿勢及び第二退避姿勢の間(換言すれば、第二ガイド側ストッパ27a及び第二退避側ストッパ27bの間)のみで回転する。換言すれば、第二ガイド側ストッパ27a及び第二退避側ストッパ27bは、第二ガイド板27の回転範囲を規制する。
【0028】
図3は、第二折りローラ24、第一ガイド板26、及び第二ガイド板27を、主搬送路Ph1上のシートSに直交する方向から見た図である。図4は、シート折りユニット20をシートSの幅方向から見た図である。図5は、ガイド板26、27の回転角度θ1、θ2を示す図である。図6は、ガイド板26、27の回転中心から先端までの距離D1、D2を示す図である。
【0029】
図3に示すように、第二折りローラ24、第一ガイド板26、及び第二ガイド板27の回転軸24x、26x、27xは、シートSの幅方向に延設されている。そして、回転軸24x、26x、27xは、筐体21の内部に設けられた隔壁21aを貫通している。図3には図示を省略するが、第一折りローラ23及び第三折りローラ25の回転軸23x、25xについても同様である。そして、駆動力伝達機構28は、隔壁21aを挟んで第一折りローラ23、第二折りローラ24、第三折りローラ25、第一ガイド板26、及び第二ガイド板27と反対側に配置されている。
【0030】
駆動力伝達機構28は、第二折りモータ24aの回転駆動力を、第二折りローラ24、第一ガイド板26、及び第二ガイド板27に分配することによって、第二折りローラ24、第一ガイド板26、及び第二ガイド板27を連動して駆動(回転)させる。より詳細には、駆動力伝達機構28は、第二折りローラ24が順回転するのに連動して、第一ガイド板26を第一退避姿勢から第一ガイド姿勢に向けて回転させ、且つ第二ガイド板27を第二ガイド姿勢から第二退避姿勢に回転させる。また、駆動力伝達機構28は、第二折りローラ24が逆回転するのに連動して、第一ガイド板26を第一ガイド姿勢から第一退避姿勢に向けて回転させ、且つ第二ガイド板27を第二退避姿勢から第二ガイド姿勢に回転させる。図3に示すように、駆動力伝達機構28は、例えば、ギヤ28a、28bと、第一及び第二トルクリミッタギヤ26y、27yと、第一及び第二従動ギヤ26z、27zとで構成される。
【0031】
第二折りモータ24aの出力軸は、ギヤ28a、28bを介して第二折りローラ24の回転軸24xに接続されている。第一及び第二トルクリミッタギヤ26y、27yは、第二折りローラ24の回転軸24xに取り付けられて、第二折りローラ24と一体回転する。第一従動ギヤ26zは、第一ガイド板26の回転軸26xに取り付けられて、第一ガイド板26と一体回転する。また、第二従動ギヤ27zは、第二ガイド板27の回転軸27xに取り付けられて、第二ガイド板27と一体回転する。そして、第一トルクリミッタギヤ26y及び第一従動ギヤ26zは、互いに噛合されている。また、第二トルクリミッタギヤ27y及び第二従動ギヤ27zは、互いに噛合されている。
【0032】
これにより、第二折りモータ24aの回転駆動力は、第二折りローラ24に伝達されると共に、第一トルクリミッタギヤ26y及び第一従動ギヤ26zを通じて第一ガイド板26に伝達され、第二トルクリミッタギヤ27y及び第二従動ギヤ27zを通じて第二ガイド板27に伝達される。より詳細には、第二折りモータ24aが正転することによって、第二折りローラ24が順回転すると共に、第一ガイド板26が第一退避姿勢から第一ガイド姿勢に向けて回転し、且つ第二ガイド板27が第二ガイド姿勢から第二退避姿勢に向けて回転する。一方、第二折りモータ24aが逆転することによって、第二折りローラ24が逆回転すると共に、第一ガイド板26が第一ガイド姿勢から第一退避姿勢に向けて回転し、且つ第二ガイド板27が第二退避姿勢から第二ガイド姿勢に向けて回転する。
【0033】
また、第一トルクリミッタギヤ26yは、回転トルクが閾値未満(すなわち、第一ガイド板26が第一ガイド側ストッパ26a及び第一退避側ストッパ26bから離間している)のときに、第二折りモータ24aの回転駆動力を第一従動ギヤ26z(換言すれば、第一ガイド板26)に伝達する。一方、第一トルクリミッタギヤ26yは、回転トルクが閾値以上(すなわち、第一ガイド板26が第一ガイド側ストッパ26aまたは第一退避側ストッパ26bに当接している)のときに、第二折りモータ24aから第一従動ギヤ26z(換言すれば、第一ガイド板26)への回転駆動力の伝達を解除(すなわち、空転)する。第二トルクリミッタギヤ27yについても同様である。回転駆動力の伝達及び伝達解除を切り替える第一及び第二トルクリミッタギヤ26y、27yの構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0034】
さらに、第一トルクリミッタギヤ26yの歯数Z11は、第一従動ギヤ26zの歯数Z12よりも多くなっている(Z11>Z12)。その結果、駆動力伝達機構28は、第二折りモータ24aの回転を増速して、第一ガイド板26に伝達する。より詳細には、第二折りモータ24aが1回転したとき、第二折りローラ24が第一回転数(例えば、1回転)だけ回転するのに対して、第一ガイド板26は第一回転数よりも多い第二回転数(例えば、Z11/Z12)だけ回転する。すなわち、駆動力伝達機構28は、第二折りモータ24aの回転駆動力を、第一伝達比R1(=Z11/Z12)で第一ガイド板26に伝達する。これにより、第一ガイド板26を素早く姿勢変化させることができる。
【0035】
同様に、第二トルクリミッタギヤ27yの歯数Z21は、第二従動ギヤ27zの歯数Z22よりも多くなっている(Z21>Z22)。その結果、駆動力伝達機構28は、第二折りモータ24aの回転を増速して、第二ガイド板27に伝達する。より詳細には、第二折りモータ24aが1回転したとき、第二折りローラ24が第一回転数(例えば、1回転)だけ回転するのに対して、第二ガイド板27は第一回転数よりも多い第三回転数(例えば、Z21/Z22)だけ回転する。すなわち、駆動力伝達機構28は、第二折りモータ24aの回転駆動力を、第二伝達比R2(=Z21/Z22)で第二ガイド板27に伝達する。これにより、第二ガイド板27を素早く姿勢変化させることができる。なお、第二回転数及び第三回転数(すなわち、第一伝達比R1及び第二伝達比R2)は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
なお、図10図13図15図16に示すように、シートSは分岐位置Aの近傍を通過する際に撓みを生じる。そのため、撓んだ状態のシートSが余裕をもって通過するには、第一ガイド板26及び第二ガイド板27の先端(搬送方向の下流側の端部)の間隔が広いのが望ましい。但し、図4(B)に示すように、第一退避位置の第一ガイド板26は第三折りローラ25に近接する。また、第二ガイド板27が主搬送路Ph1上のシートSを分岐搬送路Ph2に導くためには、図4(B)に示すように、第二ガイド板27の先端が第二折りローラ24及び第三折りローラ25の挟持位置に近接するのが望ましい。そのため、このときに第一ガイド板26及び第二ガイド板27の先端の間隔を広げるのは難しい。
【0037】
そこで、本実施形態では、第一ガイド姿勢の第一ガイド板26の先端及び第二退避姿勢の第二ガイド板27の先端の間隔(図4(A))を、第一退避姿勢の第一ガイド板26の先端及び第二ガイド姿勢の第二ガイド板27の先端の間隔(図4(B))より広く設定している。そして、前述の関係を満たすためには、第一ガイド姿勢及び第一退避姿勢の間の第一ガイド板26の第一回転角度θ1(図5(A))と、第二ガイド姿勢及び第二退避姿勢の間の第二ガイド板27の第二回転角度θ2(図5(B))とを異ならせればよい。より詳細には、第二回転角度θ2を第一回転角度θ1より大きくすればよい。なお、第一ガイド姿勢、第一退避姿勢、第二ガイド姿勢、及び第二退避姿勢の位置は、ストッパ26a、26b、27a、27bの位置によって調整することができる。
【0038】
また、第一回転角度θ1及び第二回転角度θ2を異ならせることに起因して、第一ガイド板26及び第二ガイド板27の回転速度を調整してもよい。例えば、第一ガイド板26の回転中心(回転軸26x)から先端までの第一距離D1(図6(A))と、第二ガイド板27の回転中心(回転軸27x)から先端までの第二距離D2とを異ならせてもよい。より詳細には、第二距離D2を第一距離D1より長くしてもよい。これにより、第二ガイド板27の回転速度を、第一ガイド板26の回転速度より速くすることができる。
【0039】
または、第一回転角度θ1及び第二回転角度θ2に合わせて、第一伝達比R1(=Z11/Z12)及び第二伝達比R2(=Z21/Z22)を調整してもよい。一例として、第一伝達比R1及び第二伝達比R2の比(R2/R1)と、第一回転角度θ1及び第二回転角度θ2の比(θ2/θ1)とを同一としてもよい(R2/R1=θ2:θ1)。これにより、第二折りモータ24aが正転すると、第一ガイド板26が第一ガイド位置に到達するのと同時に、第二ガイド板27が第二退避位置に到達する。また、第二折りモータ24aが逆転すると、第一ガイド板26が第一退避位置に到達するのと同時に、第二ガイド板27が第二ガイド位置に到達する。
【0040】
他の例として、第一伝達比R1及び第二伝達比R2の比(R2/R1)と、第一回転角度θ1及び第二回転角度θ2の比(θ2/θ1)とを異ならせてもよい(R2/R1≠θ2:θ1)。すなわち、第一伝達比R1に対する第二伝達比R2の比(R2/R1)を、第一回転角度θ1に対する第二回転角度θ2の比(θ2/θ1)より大きくしてもよい。これにより、第二折りモータ24aが正転すると、第一ガイド板26が第一ガイド位置に到達する前に、第二ガイド板27が第二退避位置に到達する。また、第二折りモータ24aが逆転すると、第一ガイド板26が第一退避位置に到達する前に、第二ガイド板27が第二ガイド位置に到達する。一方、第一伝達比R1に対する第二伝達比R2の比(R2/R1)を、第一回転角度θ1に対する第二回転角度θ2の比(θ2/θ1)より小さくしてもよい。これにより、第二折りモータ24aが正転すると、第一ガイド板26が第一ガイド位置に到達した後に、第二ガイド板27が第二退避位置に到達する。また、第二折りモータ24aが逆転すると、第一ガイド板26が第一退避位置に到達した後に、第二ガイド板27が第二ガイド位置に到達する。
【0041】
シート折りユニット20は、主搬送路Ph1上または分岐搬送路Ph2上の所定位置にシートSが到達したことを検知するシートセンサ29(図7参照)と、各ローラ22a、23、24、25の回転数を検知するロータリエンコーダ22e、23e、24e、25e(図7参照)とを備える。後述するコントローラ100は、シートセンサ29及びロータリエンコーダ22e、23e、24e、25eの検知結果に基づいて、主搬送路Ph1及び分岐搬送路Ph2におけるシートSの位置を把握することができる。
【0042】
より詳細には、コントローラ100は、シートセンサ29によってシートSが検知されてから、ロータリエンコーダ22e、23e、24e、25eから出力されたパルス信号の数に基づいて、シートSの位置を把握する。これにより、後述するステップS902、S904、S906、S1402、S1404のタイミングを検知する。なお、シートセンサ29の設置位置は、一箇所に限定されず、複数個所でもよい。
【0043】
シート綴じユニット30は、画像形成部12によって画像が形成された複数のシートS(以下、「シート束Sb」と表記する。)を束ねて綴じる綴じ処理(後処理)を施す。本実施形態では、後処理部の一例としてシート綴じユニット30を説明するが、後処理部(後処理)の具体例はこれに限定されない。図2に示すように、シート綴じユニット30は、筐体31と、排出トレイ32と、複数の搬送ローラ対33、34、35、36と、内部トレイ37と、叩きコロ38と、戻しコロ39と、エンドフェンス40L、40Rと、サイドフェンス41L、41R(図20参照)と、綴じ処理部42とを備える。
【0044】
筐体31は、シート綴じユニット30の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状である。また、筐体31の内部空間には、シートSが通過する空間である搬送路Ph3が形成されている。排出トレイ32は、筐体31の外側面に支持されている。排出トレイ32は、搬送ローラ対33~36によって搬送されたシートSまたはシート束Sbを支持する。
【0045】
搬送ローラ対33~36は、搬送路Ph3上に所定の間隔を隔てて配置されている。搬送ローラ対33~36は、搬送路Ph3に沿ってシートSを搬送する。搬送ローラ対33~36の基本的な構成は、シート折りユニット20の搬送ローラ対22と共通する。但し、搬送ローラ対36は、駆動ローラ36aと、駆動ローラ36aに接離可能な従動ローラ36bとで構成される。また、搬送ローラ対35は、シートSを幅方向にずらして排出トレイ32に排出するソート処理を実現するために、幅方向にスライド可能に構成されていてもよい。
【0046】
内部トレイ37は、搬送路Ph3上を順番に搬送される複数のシートSを一時的に支持(積載)する。叩きコロ38は、内部トレイ37の上方において、回動アームの先端に支持されている。叩きコロ38は、回動アームが回動することによって、搬送ローラ対36に挟持されたシートSを内部トレイ37に供給する。戻しコロ39は、内部トレイ37に支持されたシートSの上面に当接して回転することによって、シートSをエンドフェンス40L、40Rに向けて案内する。
【0047】
エンドフェンス40L、40Rは、内部トレイ37に支持されたシートSの搬送方向の下流側の端部に当接して、シートSの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス41L、41Rは、内部トレイ37に支持されたシートSの幅方向の両端部に当接して、当該シートSの幅方向の位置を揃える。綴じ処理部42は、内部トレイ37に支持されたシート束Sbを綴じる綴じ処理を実行する。綴じ処理部42が実行する綴じ処理は、シート束Sbに綴じ針を貫通させて綴じる針綴じ処理でもよいし、シート束Sbを加圧変形させて綴じる圧着綴じ処理でもよい。また、シート綴じユニット30は、幅方向に離間した位置で互いに独立して動作可能な、針綴じ処理を実行する針綴じ処理部と、圧着処理を実行する圧着綴じ処理部とを備えていてもよい。
【0048】
また、筐体31の綴じ処理部42に対面する位置には、マニュアルステープル用スリットが設けられていてもよい。そして、ユーザは、マニュアルステープル用スリットを通じてシート束を綴じ処理部42に挿入して、後述する操作パネル110のマニュアルステープルボタン押下することによって、綴じ処理部42に綴じ処理を実行させることができるように構成されていてもよい。
【0049】
図7は、シート折りユニット20のハードウェア構成図である。図7に示すように、シート折りユニット20は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0050】
CPU101は演算手段であり、シート折りユニット20全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0051】
シート折りユニット20は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、シート折りユニット20の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、シート折りユニット20に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、シート折りユニット20の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、シート折りユニット20の動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0052】
I/F105は、搬送モータ22c、第一折りモータ23a、第二折りモータ24a、第三折りモータ25a、シートセンサ29、ロータリエンコーダ22e、23e、24e、25e、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、シートセンサ29、ロータリエンコーダ22e、23e、24e、25e、操作パネル110から情報を取得し、搬送モータ22c、第一折りモータ23a、第二折りモータ24a、第三折りモータ25aを動作させる。
【0053】
なお、図7にはシート折りユニット20の構成部品のみを図示しているが、コントローラ100は、画像形成部12及びシート綴じユニット30の動作も制御してもよい。また、コントローラ100は、画像形成部12の動作を制御するコントローラ、及びシート綴じユニット30の動作を制御するコントローラと相互に通信することによって、画像形成部12及びシート綴じユニット30と連動してシート折りユニット20を動作させてもよい。
【0054】
操作パネル110は、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてオペレータから情報を取得し、ディスプレイを通じてオペレータに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。
【0055】
図8は、シート折りユニット20で実現可能な折り方のバリエーションを説明する図である。図8(A)は、搬送方向の全長LのシートSを、先端からL/4の第一折り位置C1と、先端からL/2(すなわち、第一折り位置よりも搬送方向の上流側)の第二折り位置C2とで互いに逆向きに折ることによって、所謂「Z折り」した図である。図8(B)は、搬送方向の全長LのシートSを、先端からL/3の第一折り位置C1と、先端から2L/3(すなわち、第一折り位置よりも搬送方向の上流側)の第二折り位置C2とで互いに逆向きに折ることによって、所謂「外三つ折り」した図である。図8(C)は、搬送方向の全長LのシートSを、先端からL/2の折り位置Cで折ることによって、所謂「二つ折り」した図である。
【0056】
次に、図9図13を参照して、シートSを三つ折りする三つ折り処理を説明する。図9は、三つ折り処理のフローチャートである。図10は、第一折り位置C1が分岐位置Aに到達したときのシート折りユニット20の状態を示す図である。図11は、第二折りローラ24及び第三折りローラ25に第一折り位置C1が挟持される直前のシート折りユニット20の状態を示す図である。図12は、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置から、シートSの先端及び第二折り位置C2までの距離が等しくなったときのシート折りユニット20の状態を示す図である。図13は、第二折り位置C2でシートSを折った後のシート折りユニット20の状態を示す図である。
【0057】
コントローラ100は、入力インタフェースINを通じて画像形成部12からシートSが供給されたことに応じて、図9に示す三つ折り処理を開始する。なお、シートSの折り方(換言すれば、搬送方向における折り位置C1、C2の場所)は、操作パネル110を通じてユーザから指示されてもよいし、通信ネットワークを通じて外部装置から指示されてもよい。すなわち、折り位置C1、C2を搬送方向にずらせば、図8(A)に示すZ折りと、図8(B)に示す外三つ折りの両方が実現できる。
【0058】
まず、コントローラ100は、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を順回転させる(S901)。これにより、図10に示すように、第一ガイド板26は第一ガイド姿勢に姿勢変化し、第二ガイド板27は第二退避姿勢に姿勢変化する。また、入力インタフェースINを通じて供給されたシートSは、搬送ローラ対22によって搬送方向に搬送され、第一ガイド姿勢の第一ガイド板26によって第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置に導かれる。そして、コントローラ100は、第一折り位置C1が分岐位置Aに到達するまで(S902:No)、ステップS901の処理を継続する。
【0059】
次に、コントローラ100は、第一折り位置C1が分岐位置Aに到達したタイミングで(S902:Yes)、搬送ローラ対22を順回転させ、第一折りローラ23、第二折りローラ24、及び第三折りローラ25を逆回転させる(S903)。これにより、図11に示すように、第一ガイド板26は第一退避姿勢に姿勢変化し、第二ガイド板27は第二ガイド姿勢に姿勢変化する。また、搬送ローラ対22と第一折りローラ23及び第二折りローラ24とに挟持されたシートSは、第二ガイド姿勢の第二ガイド板27によって第一折り位置C1を先頭にして分岐搬送路Ph2に導かれて、第二折りローラ24及び第三折りローラ25に挟持される。その結果、シートSは、第一折り位置C1で折られる。そして、図12に示すように、コントローラ100は、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置から、シートSの先端までの距離と、第二折り位置C2までの距離とが等しくなるまで(S904:No)、ステップS903の処理を継続する。
【0060】
次に、コントローラ100は、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置から、シートSの先端までの距離と、第二折り位置C2までの距離とが等しくなったタイミングで(S904:Yes)、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を順回転させる(S905)。これにより、図13に示すように、第一ガイド板26は第一ガイド姿勢に姿勢変化し、第二ガイド板27は第二退避姿勢に姿勢変化する。また、搬送ローラ対22と第二折りローラ24及び第三折りローラ25とに挟持されたシートSは、第一ガイド姿勢の第一ガイド板26によって、シートSの先端と第二折り位置C2とを先頭にして第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置に導かれる。その結果、シートSは、第二折り位置C2で折られて、Z折りが完成する。
【0061】
そして、コントローラ100は、シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過するまで(S906:No)、すなわち、三つ折りされたシートSの排出が完了するまで、ステップS905の処理を継続する。さらに、コントローラ100は、シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過したタイミングで(S906:Yes)、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を停止させて、三つ折り処理を終了する。
【0062】
次に、図14図16を参照して、シートSを二つ折りする二つ折り処理を説明する。図14は、二つ折り処理のフローチャートである。図15は、シートSの先端が分岐搬送路Ph2に進入したときのシート折りユニット20の状態を示す図である。図16は、折り位置CでシートSを折った後のシート折りユニット20の状態を示す図である。なお、三つ折り処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0063】
まず、コントローラ100は、搬送ローラ対22を順回転させ、第一折りローラ23、第二折りローラ24、及び第三折りローラ25を逆回転させる(S1401)。これにより、図15に示すように、第一ガイド板26は第一退避姿勢に姿勢変化し、第二ガイド板27は第二ガイド姿勢に姿勢変化する。また、搬送ローラ対22によって搬送方向に搬送されるシートSは、第二ガイド姿勢の第二ガイド板27によってシートSの先端を先頭にして分岐搬送路Ph2に導かれて、第二折りローラ24及び第三折りローラ25に挟持される。そして、コントローラ100は、折り位置Cが分岐位置Aに到達するまで(S1402:No)、ステップS1401の処理を継続する。
【0064】
次に、コントローラ100は、折り位置Cが分岐位置Aに到達したタイミングで(S1402:Yes)、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、第二折りローラ24、及び第三折りローラ25を順回転させる(S1403)。これにより、図16に示すように、第一ガイド板26は第一ガイド姿勢に姿勢変化し、第二ガイド板27は第二退避姿勢に姿勢変化する。搬送ローラ対22と第二折りローラ24及び第三折りローラ25とに挟持されたシートSは、第一ガイド姿勢の第一ガイド板26によって、折り位置Cを先頭にして第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置に導かれる。そして、コントローラ100は、シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過するまで(S1404:No)、すなわち、二つ折りされたシートSの排出が完了するまで、ステップS1403の処理を継続する。さらに、コントローラ100は、シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過したタイミングで(S1404:Yes)、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を停止させて、二つ折り処理を終了する。
【0065】
なお、コントローラ100は、画像形成部12によって画像が形成された全てのシートSに対して、三つ折り処理または二つ折り処理を実行する必要はない。シートSを折らずに排出する場合、コントローラ100は、入力インタフェースINを通じて画像形成部12からシートSが供給されたことに応じて、当該シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過するまで、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を順回転させればよい。
【0066】
画像形成部12によって画像が形成されたシートSを、シート折りユニット20で折ってからシート綴じユニット30に引き渡すコントローラ100の制御は、「第一制御」の一例である。一方、画像形成部12によって画像が形成されたシートSを、シート折りユニット20で折らずにシート綴じユニット30に引き渡すコントローラ100の制御は、「第二制御」の一例である。そして、コントローラ100は、操作パネル110を通じたユーザからの指示、または通信ネットワークを通じた外部装置からの指示に基づいて、第一制御及び第二制御を切替可能に構成されていてもよい。
【0067】
次に、図17図21を参照して、シート綴じユニット30の動作を説明する。図17は、シートSが搬送ローラ対36に到達するまでのシート綴じユニット30の状態を示す図である。図18は、綴じ処理を施さずにシートSを排出トレイ32に排出する場合のシート綴じユニット30の状態を示す図である。図19は、綴じ処理を行うシート綴じユニット30の状態を示す図である。図20は、図19(B)のときのシート綴じユニット30をシートSの厚み方向から見た図である。図21は、綴じ処理が施されたシート束Sbを排出トレイ32に排出する場合のシート綴じユニット30の状態を示す図である。
【0068】
まず、図17に示すように、シート綴じユニット30は、搬送ローラ対33~35を順回転させることによって、シート折りユニット20から供給されたシートSを、搬送路Ph3に沿って搬送方向に搬送する。このとき、搬送ローラ対36は、駆動ローラ36aと従動ローラ36bとが離間した状態となっている。
【0069】
次に、シートSに綴じ処理を施さない場合、図18(A)に示すように、シート綴じユニット30は、駆動ローラ36a及び従動ローラ36bにシートSを挟持させる。そして、図18(B)に示すように、シート綴じユニット30は、搬送ローラ対36を順回転させることによって、シートSを排出トレイ32に排出する。
【0070】
一方、シートSに綴じ処理を施す場合、図19に示すように、シート綴じユニット30は、搬送ローラ対35を通過した後のシートSに叩きコロ38及び戻しコロ39を当接させて回転させることによって、当該シートSを内部トレイ37に収容する。また、図20に示すように、シート綴じユニット30は、サイドフェンス41L、41Rを幅方向に移動させることによって、内部トレイ37に収容されたシートSの幅方向の位置を揃える。そして、シート綴じユニット30は、図17図19、及び図20に示す処理を繰り返すことによって、内部トレイ37上でシート束Sbを構成する。
【0071】
次に、シート綴じユニット30は、綴じ処理部42を駆動することによって、内部トレイ37に支持されたシート束Sbを綴じる。次に、図21(A)に示すように、シート綴じユニット30は、駆動ローラ36a及び従動ローラ36bにシート束Sbを挟持させる。そして、図21(B)に示すように、シート綴じユニット30は、搬送ローラ対36及び戻しコロ39を順回転させることによって、シート束Sbを排出トレイ32に排出する。
【0072】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0073】
上記の実施形態によれば、3つの折りローラ23、24、25の順回転及び逆回転を組み合わせることによって、様々な種類の折り方を実現できる。また、第一ガイド板26及び第二ガイド板27の姿勢を切り替えることによって、シートSを所望の方向に適切に搬送することができる。さらに、駆動力伝達機構28によって第二折りローラ24、第一ガイド板26、及び第二ガイド板27を連動して回転させることによって、第一ガイド板26及び第二ガイド板27を回転させるための駆動源を省略できる。その結果、簡易な構成で多様の折り種類に対応可能なシート折りユニット20を実現することができる。
【0074】
また、上記の実施形態によれば、第一距離D1及び第二距離D2を異ならせることによって、ガイド板26、27の回転速度に差が生じる。これにより、ガイド板26、27が連動して姿勢変化する際に、ガイド板26、27の先端同士の間隔が広がる(狭まる)速度を調整することができる。特に、第二距離D2を第一距離D1より長くすることによって、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置にシートSを導くときに、ガイド板26、27の先端同士の間隔が広がる速度を速くできるので、シートSの撓みに対する余裕度が向上する。
【0075】
また、上記の実施形態によれば、第一回転角度θ1及び第二回転角度θ2を異ならせることによって、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置にシートSを導く場合(図4(A))と、第二折りローラ24及び第三折りローラ25の挟持位置にシートSを導く場合(図4(B))とで、ガイド板26、27の先端同士の間隔を変更することができる。特に、第二回転角度θ2を第一回転角度θ1より大きくすることによって、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置にシートSを導くときに、ガイド板26、27の先端同士の間隔が広がる速度を速くできるので、シートSの撓みに対する余裕度が向上する。
【0076】
また、上記の実施形態によれば、伝達比R1、R2の比と回転角度θ1、θ2の比とを等しくすることによって(R2/R1=θ2:θ1)、第一ガイド板26が第一ガイド位置に到達し且つ第二ガイド板27が第二退避位置に到達するタイミングを一致させ、第一ガイド板26が第一退避位置に到達し且つ第二ガイド板27が第二ガイド位置に到達するタイミングを一致させることができる。これにより、図4(A)及び図4(B)の場合に、ガイド板26、27の先端同士の空間的な余裕度をバランスさせることができる。
【0077】
また、上記の実施形態によれば、伝達比R1、R2の比と回転角度θ1、θ2の比とを異ならせることによって(R2/R1≠θ2:θ1)、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置にシートSを導く場合(図4(A))と、第二折りローラ24及び第三折りローラ25の挟持位置にシートSを導く場合(図4(B))とで、ガイド板26、27の先端同士の空間的な余裕度に差を持たせることができる。
【0078】
一例として、R2/R1>θ2:θ1とすることによって、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置にシートSを導く場合(図4(A))に、第二折りローラ24及び第三折りローラ25の挟持位置にシートSを導く場合(図4(B))より、ガイド板26、27の先端同士の空間的な余裕度を優先させることができる。
【0079】
他の例として、R2/R1<θ2:θ1とすることによって、第二折りローラ24及び第三折りローラ25の挟持位置にシートSを導く場合(図4(B))に、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置にシートSを導く場合(図4(A))より、ガイド板26、27の先端同士の空間的な余裕度を優先させることができる。
【0080】
また、上記の実施形態によれば、ガイド板26、27の回転数を第二折りローラ24の回転数よりも多くすることによって、ガイド板26、27を速やかに姿勢変化させることができる。これにより、シートSの撓み等の意図しない挙動を防止して、折り処理の安定性及び精度を向上させることができる。
【0081】
また、上記の実施形態によれば、ガイド板26、27の可動範囲をストッパ26a、26b、27a、27bで制限すると共に、駆動力伝達機構28にトルクリミッタギヤ26y、27yを含めることによって、シンプルな構成で第二折りローラ24及びガイド板26、27を連動して回転させることができる。これにより、シート折りユニット20をさらに小型化できる。
【0082】
また、上記の実施形態によれば、折りローラ23~25及びガイド板26、27と、駆動力伝達機構28とを隔壁21aを挟んで反対側に配置することによって、駆動力伝達機構28から出た粉塵でシートSが汚染されるのを防止できる。また、シートSから出た粉塵が駆動力伝達機構28に詰まって回転駆動力のスムーズな伝達が阻害されるのを防止できる。
【0083】
また、上記の実施形態に係るシート折りユニット20は、スペースが限られた画像形成装置10の胴内空間13に取り付けられることによって、特に有利な効果を奏する。但し、胴内空間13に取り付けられるのは、シート折りユニット20に限定されない。また、シート折りユニット20の取付位置は、胴内空間13に限定されない。
【0084】
[変形例1]
図22は、パンチ孔穿設ユニット50(パンチ孔穿設部)の内部構成を示す図である。図22に示すパンチ孔穿設ユニット50は、胴内空間13のシート折りユニット20が取り外された位置に着脱可能に構成されている。すなわち、画像形成装置10は、シート折りユニット20及びパンチ孔穿設ユニット50を、用途に応じて交換可能に構成されている。なお、パンチ孔穿設ユニット50の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略するが、例えば以下のような構成であってもよい。
【0085】
図22に示すように、パンチ孔穿設ユニット50は、筐体51と、シートセンサ52と、穿孔ピン53a、53bと、パンチ屑ホッパ54とを備える。筐体51は、パンチ孔穿設ユニット50の構成部品を収容する内部空間を備える。また、筐体51の内部空間には、画像形成部12によって画像が形成されたシートが通過する搬送路が形成されている。シートセンサ52は、画像形成部12から供給されたシートSが所定の位置に到達したことを検知する。穿孔ピン53a、53bは、シートセンサ52によって検知されたシートSにパンチ孔を穿つ。シートSから脱落したパンチ屑は、パンチ屑ホッパ54内に落下する。これにより、シートSにパンチ孔を穿設する穿設処理が実現される。
【0086】
[変形例2]
図23は、画像形成システム1の外観図である。図23に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置10と、シート折り装置20’と、シート綴じ装置30’とで構成される。画像形成装置10、シート折り装置20’、及びシート綴じ装置30’は、各々が独立して動作可能な装置であると共に、相互に接続可能に構成されている。また、シート折り装置20’の構成は前述したシート折りユニット20と共通し、シート綴じ装置30’の構成は前述したシート綴じユニット30と共通する。
【0087】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0088】
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1> 主搬送路に沿ってシートを搬送方向に搬送する搬送部と、
前記主搬送路を挟んで対向配置された第一折りローラ及び第二折りローラと、
前記第一折りローラ及び前記第二折りローラの挟持位置よりも前記搬送方向の上流側の分岐位置で前記主搬送路から分岐した分岐搬送路を挟んで前記第二折りローラに対向配置された第三折りローラと、
前記主搬送路上の前記シートを前記搬送方向に搬送すると共に前記分岐搬送路上の前記シートを前記分岐位置を通じて前記主搬送路に進入させる順回転、または前記順回転と逆向きとなる逆回転のいずれにも、前記第二折りローラを回転させるモータと、
前記挟持位置より前記搬送方向の上流側に回転可能に配置された第一ガイド部材及び第二ガイド部材と、
前記モータの回転駆動力を前記第一ガイド部材及び前記第二ガイド部材に伝達する駆動力伝達機構とを備え、
前記第一ガイド部材は、
前記主搬送路上を前記搬送方向に搬送される前記シート及び前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路から前記主搬送路に進入する前記シートを、前記挟持位置に導く第一ガイド姿勢と、
前記主搬送路上の前記シートが前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路に進入するのを許容する第一退避姿勢とに切替可能であり、
前記第二ガイド部材は、
前記主搬送路上の前記シートを前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路に導く第二ガイド姿勢と、
前記主搬送路上を前記搬送方向に搬送される前記シート及び前記分岐位置を通じて前記分岐搬送路から前記主搬送路に進入する前記シートが前記挟持位置に到達するのを許容する第二退避姿勢とに切替可能であり、
前記駆動力伝達機構は、
前記第二折りローラの前記順回転に連動して、前記第一ガイド部材を前記第一退避姿勢から前記第一ガイド姿勢に向けて回転させ、且つ前記第二ガイド部材を前記第二ガイド姿勢から前記第二退避姿勢に向けて回転させ、
前記第二折りローラの前記逆回転に連動して、前記第一ガイド部材を前記第一ガイド姿勢から前記第一退避姿勢に向けて回転させ、且つ前記第二ガイド部材を前記第二退避姿勢から前記第二ガイド姿勢に向けて回転させることを特徴とするシート折り装置である。
<2> 前記第一ガイド部材の回転中心から先端までの第一距離D1と、前記第二ガイド部材の回転中心から先端までの第二距離D2とは、異なることを特徴とする前記<1>に記載のシート折り装置である。
<3> 前記第二距離D2は、前記第一距離D1より長いことを特徴とする前記<2>に記載のシート折り装置である。
<4> 前記第一ガイド姿勢及び前記第一退避姿勢の間の前記第一ガイド部材の第一回転角度θ1と、前記第二ガイド姿勢及び前記第二退避姿勢の間の前記第二ガイド部材の第二回転角度θ2とは、異なることを特徴とする前記<1>乃至前記<3>のいずれか1つに記載のシート折り装置である。
<5> 前記第二回転角度θ2は、前記第一回転角度θ1より大きいことを特徴とする前記<4>に記載のシート折り装置である。
<6> 前記駆動力伝達機構は、前記モータの回転駆動力を、第一伝達比R1で前記第一ガイド部材に伝達し、第二伝達比R2で前記第二ガイド部材に伝達し、
前記第一伝達比R1及び前記第二伝達比R2の比と、前記第一回転角度θ1及び前記第二回転角度θ2の比とは、等しいことを特徴とする前記<4>に記載のシート折り装置である。
<7> 前記駆動力伝達機構は、前記モータの回転駆動力を、第一伝達比R1で前記第一ガイド部材に伝達し、第二伝達比R2で前記第二ガイド部材に伝達し、
前記第一伝達比R1及び前記第二伝達比R2の比と、前記第一回転角度θ1及び前記第二回転角度θ2の比とは、異なることを特徴とする前記<4>に記載のシート折り装置である。
<8> 前記第一伝達比R1に対する前記第二伝達比R2の比は、前記第一回転角度θ1に対する前記第二回転角度θ2の比より大きいことを特徴とする前記<7>に記載のシート折り装置である。
<9> 前記第一伝達比R1に対する前記第二伝達比R2の比は、前記第一回転角度θ1に対する前記第二回転角度θ2の比より小さいことを特徴とする前記<7>に記載のシート折り装置である。
<10> 前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラの回転を制御するコントローラを備え、
前記第一折りローラは、前記主搬送路上の前記シートを前記搬送方向に搬送する順回転、及び前記順回転と逆向きの逆回転が可能であり、
前記第三折りローラは、前記分岐搬送路上の前記シートを前記分岐位置を通じて前記主搬送路に進入させる順回転、及び前記順回転と逆向きの逆回転が可能であり、
前記コントローラは、
前記搬送部によって前記搬送方向に搬送される前記シートの第一折り位置が前記分岐位置に到達するまで、前記第一折りローラ及び前記第二折りローラを前記順回転させ、
前記第一折り位置が前記分岐位置に到達したタイミングで、前記挟持位置から、前記分岐搬送路上の前記シートの先端までの距離及び前記第一折り位置よりも前記搬送方向の上流側の第二折り位置までの距離が等しくなるまで、前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラを前記逆回転させ、
前記挟持位置から前記シートの先端までの距離及び前記第二折り位置までの距離が等しくなったタイミングで、前記シートの後端が前記挟持位置を前記搬送方向に通過するまで、前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラを前記順回転させることを特徴とする前記<1>乃至前記<9>のいずれか1つに記載のシート折り装置である。
<11> 前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラの回転を制御するコントローラを備え、
前記第一折りローラは、前記主搬送路上の前記シートを前記搬送方向に搬送する順回転、及び前記順回転と逆向きの逆回転が可能であり、
前記第三折りローラは、前記分岐搬送路上の前記シートを前記分岐位置を通じて前記主搬送路に進入させる順回転、及び前記順回転と逆向きの逆回転が可能であり、
前記コントローラは、
前記搬送部によって前記搬送方向に搬送される前記シートの折り位置が前記分岐位置に到達するまで、前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラを前記逆回転させ、
前記シートの前記折り位置が前記分岐位置に到達したタイミングで、前記シートの後端が前記挟持位置を前記搬送方向に通過するまで、前記第一折りローラ、前記第二折りローラ、及び前記第三折りローラを前記順回転させることを特徴とする前記<1>乃至前記<9>のいずれか1つに記載のシート折り装置である。
<12> 筐体と、
前記筐体に収容されてシートに画像を形成する画像形成部と、
前記筐体に着脱可能に支持されて、前記画像形成部によって画像が形成された前記シートを折る前記<1>乃至前記<11>のいずれか1つに記載のシート折り装置とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
<13> シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に接続された前記<1>乃至前記<11>のいずれか1つに記載のシート折り装置とを備える画像形成システムである。
【符号の説明】
【0089】
1 :画像形成システム
10 :画像形成装置
11 :筐体
12 :画像形成部
13 :胴内空間
20 :シート折りユニット
20’ :シート折り装置
21,31,51 :筐体
21a :隔壁
22 :搬送ローラ対
22a,36a :駆動ローラ
22b,36b :従動ローラ
22c :搬送モータ
22e,23e,24e,25e :ロータリエンコーダ
23 :第一折りローラ
23a :第一折りモータ
23x,24x,25x,26x,27x :回転軸
24 :第二折りローラ
24a :第二折りモータ
25 :第三折りローラ
25a :第三折りモータ
26 :第一ガイド板
26a :第一ガイド側ストッパ
26b :第一退避側ストッパ
26y :第一トルクリミッタギヤ
26z :第一従動ギヤ
27 :第二ガイド板
27a :第二ガイド側ストッパ
27b :第二退避側ストッパ
27y :第二トルクリミッタギヤ
27z :第二従動ギヤ
28 :駆動力伝達機構
28a,28b :ギヤ
29,52 :シートセンサ
30 :シート綴じユニット
30’ :シート綴じ装置
32 :排出トレイ
33-36 :搬送ローラ対
37 :内部トレイ
38 :叩きコロ
39 :戻しコロ
40L,40R :エンドフェンス
41L,41R :サイドフェンス
42 :綴じ処理部
50 :パンチ孔穿設ユニット
53a,53b :穿孔ピン
54 :パンチ屑ホッパ
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特許6318696号公報
【特許文献2】特許6759602号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23