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特開2024-104278基板処理方法、基板処理装置及びコンピュータ記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104278
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】基板処理方法、基板処理装置及びコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
H01L21/30 569H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188825
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2023008311
(32)【優先日】2023-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】吉原 孝介
(72)【発明者】
【氏名】寺下 裕一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 幸信
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 慎介
(72)【発明者】
【氏名】只友 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直樹
【テーマコード(参考)】
5F146
【Fターム(参考)】
5F146LB07
5F146LB09
(57)【要約】
【課題】金属含有レジストの良好なパターンを得る。
【解決手段】金属含有レジストの被膜が形成され露光処理及び前記露光処理後の加熱処理が施された基板を現像する工程を含み、前記現像する工程は、大気圧以上の圧力下で、弱酸のガスを含有する雰囲気である酸雰囲気に前記基板を暴露する工程と、前記金属含有レジストと前記弱酸のガスとの反応により生じる生成物を、前記基板を加熱して除去する工程と、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有レジストの被膜が形成され露光処理及び前記露光処理後の加熱処理が施された基板を現像する工程を含み、
前記現像する工程は、
大気圧以上の圧力下で、弱酸のガスを含有する雰囲気である酸雰囲気に前記基板を暴露する工程と、
前記金属含有レジストと前記弱酸のガスとの反応により生じる生成物を、前記基板を加熱して除去する工程と、を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記除去する工程における前記基板の温度は、前記露光処理後の加熱処理時の基板の温度以下である、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記暴露する工程において、
前記基板に向けて、前記弱酸のガスを含む処理ガスを吐出し、
前記処理ガス中の前記弱酸のガスの濃度または前記処理ガスの流量の少なくともいずれか一方が、前記基板の径方向で互いに異なる、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記暴露する工程において、前記基板に向けて、前記弱酸のガスを含む処理ガスを吐出し、
前記現像する工程により金属含有レジストのパターンを形成した後に、前記暴露する工程及び前記加熱して除去する工程を行い、その際、前記基板の径方向に沿った複数の領域それぞれについて、前記処理ガス中の前記弱酸のガスの濃度、前記処理ガスの流量または前記基板を加熱する熱板の温度の少なくともいずれか1つを調節する、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記現像する工程後、前記現像する工程により形成された前記金属含有レジストのパターンの表面を平滑化する工程をさらに含み、
前記平滑化する工程は、
有機溶剤のガスを含有する雰囲気である溶剤雰囲気に前記基板を暴露し、前記金属含有レジストのパターンの表面の流動性を高める工程と、
その後、前記基板を加熱し、前記金属含有レジストのパターンの表面を固化する工程と、を含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記酸雰囲気は、前記弱酸のガス及び前記有機溶剤のガスの両方を含み、
前記溶剤雰囲気は、前記酸雰囲気に比べて、前記弱酸のガスの濃度が低い、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記現像する工程は、
前記暴露する工程の前に、前記金属含有レジストの被膜における現像による除去対象部分の一部が残るよう、現像液により前記基板を現像する工程を含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記露光処理後の加熱処理の後、当該加熱処理を施したユニットから前記基板を搬送せずに、前記現像する工程を行う、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項9】
基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を現像する現像ユニットと、
制御部と、を備え、
前記現像ユニットは、
基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内の前記基板を加熱する熱板と、
前記チャンバ内に弱酸のガスを吐出するガス吐出部と、を有し、
前記制御部は、金属含有レジストの被膜が形成され露光処理及び前記露光処理後の加熱処理が施された前記基板を現像させる工程を、当該基板処理装置が実行するよう、制御を行い、
前記現像させる工程は、
大気圧以上の圧力下で、前記弱酸のガスを含有する雰囲気である酸雰囲気に、前記露光処理後の加熱処理が施された前記基板を暴露させる工程と、
前記金属含有レジストと前記弱酸のガスとの反応により生じた生成物を、前記基板の加熱により除去させる工程と、を含む、基板処理装置。
【請求項10】
基板処理方法を基板処理装置によって実行させるように、当該基板処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体であって、
前記基板処理方法は、金属含有レジストの被膜が形成され露光処理及び前記露光処理後の加熱処理が施された基板を現像する工程を含み、
前記現像する工程は、
大気圧以上の圧力下で、弱酸のガスを含有する雰囲気である酸雰囲気に前記基板を暴露する工程と、
前記金属含有レジストと前記弱酸のガスとの反応により生じる生成物を、前記基板を加熱して除去する工程と、を含む、コンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法、基板処理装置及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の現像処理を行う現像方法であって、金属含有塗布膜が所定のパターンに露光された前記基板に有機溶剤を含む現像液を供給する工程を含む方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-96081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、金属含有レジストの良好なパターンを得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、金属含有レジストの被膜が形成され露光処理及び前記露光処理後の加熱処理が施された基板を現像する工程を含み、前記現像する工程は、大気圧以上の圧力下で、弱酸のガスを含有する雰囲気である酸雰囲気に前記基板を暴露する工程と、前記金属含有レジストと前記弱酸のガスとの反応により生じる生成物を、前記基板を加熱して除去する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、金属含有レジストの良好なパターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態にかかる基板処理装置としての塗布現像装置の内部構成の概略を示す説明図である。
図2図1の塗布現像装置の正面側の内部構成の概略を示す図である。
図3図1の塗布現像装置の背面側の内部構成の概略を示す図である。
図4】現像ユニットの構成の概略を模式的に示す縦断面図である。
図5】上チャンバの構成の概略を模式的に示す下面図である。
図6】熱板の構成の概略を示す平面図である。
図7】処理シーケンスの例1の主な工程を示すフローチャートである。
図8図4の現像ユニットの動作を示す説明図である。
図9図1の塗布現像装置により実行される処理シーケンスの例2における、図4の現像ユニットの動作を示す説明図である。
図10】シャワーヘッドの他の例の概略を示す平面図である。
図11】処理シーケンスの例5の主な工程を示すフローチャートである。
図12】現像ユニットの他の例の概略を模式的に示す縦断面図である。
図13】現像ユニットのさらに他の例の概略を模式的に示す縦断面図である。
図14】第2実施形態にかかる基板処理装置を含む基板処理システムとしてのウェハ処理システムの構成の概略を示す説明図である。
図15図14のウェハ処理システムが備える装置の構成の概略を示す説明図である。
図16】第3実施形態にかかる基板処理装置を含む基板処理システムとしてのウェハ処理システムの構成の概略を示す説明図である。
図17】第4実施形態にかかる基板処理装置を含む基板処理システムとしてのウェハ処理システムの構成の概略を示す説明図である。
図18】第5実施形態にかかる基板処理装置を含む基板処理システムとしてのウェハ処理システムの構成の概略を示す説明図である。
図19】第6実施形態にかかる基板処理装置を含む基板処理システムとしてのウェハ処理システムの構成の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスにおけるフォトリソグラフィでは、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)等の基板上に所望のレジストのパターンを形成するために一連の処理が行われる。上記一連の処理には、例えば、基板上にレジスト液を供給しレジストの被膜(以下、レジスト膜)を形成するレジスト塗布処理、レジスト膜を所定のパターンで露光する露光処理、露光されたレジスト膜内の化学反応を促進させること等を目的として露光後に基板を加熱するPEB(Post Exposure Bake)処理、露光処理後の基板を現像しレジストのパターンを形成する現像処理等が含まれる。
【0009】
上述の現像処理では、例えば基板上に現像液が供給され、基板表面上に現像液の液膜が形成されて、基板が現像される。また、この場合、その後に基板上に純水等の洗浄液が供給され、基板が高速回転されて洗浄されることもある。
【0010】
ところで、近年、露光技術等の進歩により半導体デバイスの微細化すなわちレジストパターンの微細化が一層進行している。微細なレジストパターンでは、上述の現像処理の際に現像液や洗浄液が基板上に残ると問題が生じることがある。例えば、パターン間に現像液や洗浄液が残ったときに、この残った現像液や洗浄液の表面張力により、いわゆるパターン倒れが発生することがある。
【0011】
また、従来、レジストとして、化学増幅型レジストが多く用いられていたが、近年では、非化学増幅型の金属含有レジストが用いられることがある。この金属含有レジストは、微細なパターンを形成する場合により適したレジストとして期待されている。ただし、金属含有レジストを用いた場合でも、現像液等の処理液を用いて基板を現像し微細なレジストパターンをしようとすると、パターンが倒れること、すなわち、欠陥の一種であるパターン倒れが生じることがある。
【0012】
そこで、本開示にかかる技術は、パターン倒れ等の欠陥の発生を抑制し、金属含有レジストの良好なパターンを得る。
【0013】
以下、本実施形態にかかる基板処理方法及び基板処理装置を、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
<塗布現像装置>
図1は、第1実施形態にかかる基板処理装置としての塗布現像装置の内部構成の概略を示す説明図である。図2及び図3はそれぞれ、塗布現像装置の正面側と背面側の内部構成の概略を示す図である。
【0015】
図1の塗布現像装置1は、基板としてのウェハWに、金属含有レジストのパターンを形成する。塗布現像装置1が用いる金属含有レジストは例えばネガ型である。なお、金属含有レジストに含まれる金属は任意であるが、例えばスズである。
【0016】
塗布現像装置1は、図1図3に示すように、ウェハを複数収容可能な容器であるカセットCが搬入出されるカセットステーション2と、レジスト塗布処理等の所定の処理を施す各種処理ユニットを複数備えた処理ステーション3と、を有する。また、塗布現像装置1は、処理ステーション3のY方向正側(図1の右側)に隣接して設けられ露光装置4との間でウェハWを受け渡すインターフェイスステーション5を有する。上述のカセットステーション2と処理ステーション3とインターフェイスステーション5とは一体に接続されている。
【0017】
カセットステーション2は、例えばカセット搬入出部10とウェハ搬送部11に分かれている。例えばカセット搬入出部10は、塗布現像装置1のY方向負側(図1の左側)の端部に設けられている。カセット搬入出部10には、カセット載置台12が設けられている。カセット載置台12上には、複数、例えば4つの載置板13が設けられている。載置板13は、水平方向のX方向(図1の上下方向)に一列に並べて設けられている。これらの載置板13には、カセットC内と塗布現像装置1内との間でウェハWを搬送する際に、カセットCが載置される。
【0018】
ウェハ搬送部11には、ウェハWを搬送する搬送ユニット20が設けられている。搬送ユニット20は、X方向に延びる搬送路21を移動自在に構成されている。搬送ユニット20は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各載置板13上のカセットCと、後述する処理ステーション3の第3のブロックG3の受け渡しユニットとの間でウェハWを搬送できる。
【0019】
処理ステーション3には、各種ユニットを備えた複数、例えば第1~第4の4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1のX方向負側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のX方向正側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3のカセットステーション2側(図1のY方向負側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション3のインターフェイスステーション5側(図1のY方向正側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0020】
第1のブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えば現像ユニット30、反射防止膜形成ユニット31、レジスト塗布ユニット32が下からこの順に配置されている。現像ユニット30は、ウェハWに現像処理を施す。具体的には、現像ユニット30は、露光処理後の加熱処理すなわちPEB処理が施されたウェハWの金属含有レジスト膜に現像処理を施す。反射防止膜形成ユニット31は、ウェハWの金属含有レジスト膜の下層に反射防止膜を形成する。レジスト塗布ユニット32は、ウェハWに金属含有レジストを塗布して金属含有レジストの被膜すなわち金属含有レジスト膜を形成する。
【0021】
例えば現像ユニット30、反射防止膜形成ユニット31、レジスト塗布ユニット32は、それぞれ水平方向に3つ並べて配置されている。なお、これら現像ユニット30、反射防止膜形成ユニット31、レジスト塗布ユニット32の数や配置は、任意に選択できる。
【0022】
現像ユニット30、反射防止膜形成ユニット31、レジスト塗布ユニット32では、例えばスピン塗布法でウェハW上に所定の処理液を塗布する。スピン塗布法では、例えば吐出ノズルからウェハW上に処理液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、処理液をウェハWの表面に拡散させる。
【0023】
例えば第2のブロックG2には、図3に示すように、熱処理ユニット40や、現像ユニット41が上下方向と水平方向に並べて設けられている。
熱処理ユニット40は、ウェハWの加熱や冷却といった熱処理をウェハWに施す。
現像ユニット41は、後述するように、弱酸のガス及びウェハWの加熱により、ウェハW(具体的にはPEB処理が施されたウェハWの金属含有レジスト膜)を現像する。
【0024】
これら熱処理ユニット40、現像ユニット41の数や配置についても、任意に選択できる。なお、熱処理ユニット40では、レジスト塗布処理後のウェハWを加熱処理するプリベーキング処理(以下、「PAB処理」という。)、露光処理後のウェハWを加熱処理するPEB処理、現像処理後のウェハWを加熱処理するポストベーキング処理(以下、「POST処理」という。)等を行う。
【0025】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡しユニット50、51、52、53、54、55、56が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡しユニット60、61、62が下から順に設けられている。
【0026】
図1に示すように第1のブロックG1~第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばウェハWを搬送する基板搬送ユニットとしての搬送ユニット70が配置されている。
【0027】
搬送ユニット70は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム70aを有している。搬送ユニット70は、ウェハWを保持した搬送アーム70aをウェハ搬送領域D内で移動させ、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定のユニットに、ウェハWを搬送できる。搬送ユニット70は、例えば図3に示すように上下に複数台配置され、例えば各ブロックG1~G4の同程度の高さの所定のユニットにウェハWを搬送できる。
【0028】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送ユニット80が設けられている。
【0029】
シャトル搬送ユニット80は、支持したウェハWをY方向に直線的に移動させ、同程度の高さの第3のブロックG3の受け渡しユニット52と第4のブロックG4の受け渡しユニット62との間でウェハWを搬送できる。
【0030】
図1に示すように第3のブロックG3のX方向正側には、搬送ユニット90が設けられている。搬送ユニット90は、例えばθ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム90aを有している。搬送ユニット90は、ウェハWを保持した搬送アーム90aを上下に移動させ、第3のブロックG3内の各受け渡しユニットに、ウェハWを搬送できる。
【0031】
インターフェイスステーション5には、搬送ユニット100と受け渡しユニット101が設けられている。搬送ユニット100は、例えばθ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム100aを有している。搬送ユニット100は、搬送アーム100aにウェハWを保持して、第4のブロックG4内の各受け渡しユニット、受け渡しユニット101及び露光装置4との間でウェハWを搬送できる。
【0032】
以上の塗布現像装置1には、図1に示すように制御部200が設けられている。制御部200は、例えばCPU等のプロセッサやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、上述の各種処理ユニットや各種搬送ユニット等の駆動系の動作を制御して、後述の処理シーケンスのための指令を含むプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な非一時的な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御部200にインストールされたものであってもよい。記憶媒体Hは、一時的なものであっても、非一時的なものであってもよい。
【0033】
<現像ユニット41>
次に、現像ユニット41について説明する。図4は、現像ユニット41の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。図5は、後述の上チャンバ301の構成の概略を模式的に示す下面図である。図6は、後述の熱板340の構成の概略を示す平面図である。
【0034】
図4の現像ユニット41は、後述の熱板340上の処理空間Kを覆い熱処理時にウェハWを収容するチャンバ300が設けられている。チャンバ300は、上側に位置する上チャンバ301と、下側に位置して上チャンバ301と一体となって内部を密閉可能な下チャンバ302と、を有している。
【0035】
上チャンバ301は、昇降機構(図示せず)によって昇降自在に構成されている。昇降機構は、上チャンバ301の昇降のための駆動力を発生するモータ等の駆動源(図示せず)を有する。この昇降機構は制御部200により制御される。
【0036】
また、上チャンバ301は、例えば、下面が開口した略円筒形状に形成されている。上チャンバ301は天井部310を有する。天井部310は、下方に処理空間Kを形成しており、後述の熱板340上のウェハWに対向するように設けられる。また、天井部310には、ガス吐出部としてのシャワーヘッド311が設けられている。
【0037】
シャワーヘッド311は、チャンバ300内に弱酸のガスを含む処理ガスを吐出する。具体的には、天井部310から熱板340に向けて、弱酸のガスを含む処理ガスを吐出する。弱酸のガスは、例えば、弱酸のカルボン酸のガスである。また、弱酸のカルボン酸のガスは、例えば酢酸の蒸気であってよい。本開示において「弱酸」とは、酸解離定数(pka)の値が4以上(例えば約5)である酸を意味する。また、弱酸のガスを含む処理ガスは、例えば、弱酸のカルボン酸と有機溶剤の混合溶液の気化物すなわち蒸気とキャリアガスを含む。また、弱酸のガスを含む処理ガスは、弱酸のカルボン酸単体からの気化物とキャリアガスを含むものであってもよい。弱酸のカルボン酸は具体的には例えば酢酸である。有機溶剤は例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)である。キャリアガスは例えば窒素ガスやアルゴン(Ar)等の不活性ガスである。
【0038】
また、シャワーヘッド311は、複数の吐出孔312と、ガス分配空間313と、を有する。
吐出孔312はそれぞれ、シャワーヘッド311の下面に形成されている。吐出孔312は、例えば、図5に示すように、シャワーヘッド311の下面中央部における、後述する排気口317以外の部分に、略均一に配置されている。
ガス分配空間313は、シャワーヘッド311に導入された弱酸のガスを含む処理ガスを分配して各吐出孔312に供給する。図4に示すように、シャワーヘッド311には、供給管314を介して、供給機構330が接続されている。
【0039】
供給機構330は、弱酸のガスを含む処理ガスを、シャワーヘッド311(具体的にはガス分配空間313)に供給する。また、供給機構330は、例えば、弱酸のガスの原料として弱酸のカルボン酸と有機溶剤の混合溶液を貯留するタンク331と、タンク331にキャリアガスを供給する供給管332と、を有する。タンク331には、上記混合溶液の気化を促進させるため、上記混合溶液を加熱するヒータ(図示せず)が設けられていてもよい。また、タンク331にてキャリアガスを上記混合溶液のバブリングに用いて上記混合溶液の気化を行ってもよい。供給管332には、キャリアガスの流通を制御する開閉弁や流量調節弁等を含む供給機器群333が設けられている。
また、供給管314には、弱酸のガスを含む処理ガスの流通を制御する開閉弁や流量調節弁等を含む供給機器群315が設けられている。
供給機器群315、333は制御部200により制御される。
【0040】
さらに、上チャンバ301の天井部310には中央排気部316が設けられている。この中央排気部316と後述の周縁排気部322が、チャンバ300内すなわち処理空間K内を排気する排気部を構成する。
【0041】
中央排気部316は、天井部310における、熱板340上のウェハWの上面視中央寄りの位置から(図の例では上記中央の位置から)、チャンバ300内における熱板340の上方の処理空間K内を排気する。中央排気部316は排気口317を有する。排気口317は、図5に示すように、シャワーヘッド311の下面における、熱板340上のウェハWの上面視中央寄りの位置(図の例では上記中央の位置)に設けられており、下方に開口している。中央排気部316は、この排気口317を介して処理空間K内を排気する。
【0042】
図4に示すように、中央排気部316は、排気口317から上方向に延伸するように形成された中央排気路318を有する。中央排気路318には、排気管319を介して、真空ポンプ等の排気装置320が接続されている。排気管319には、排気量を調整するバルブ等を有する排気機器群321が設けられている。排気装置320及び排気機器群321は制御部200により制御される。
【0043】
また、上チャンバ301の天井部310には周縁排気部322が設けられている。周縁排気部322は、天井部310における、上面視で中央排気部316よりも熱板340上のウェハWの周縁部側から、処理空間K内を排気する。周縁排気部322は、排気口323を有する。排気口323は、図5に示すように、シャワーヘッド311の外周を囲むように、天井部310の下面から、下方に開口している。排気口323は、複数の排気孔をシャワーヘッド311の外周に沿って並べたものであってもよい。周縁排気部322は、この排気口323を介して、処理空間K内を排気する。
【0044】
排気口323は、例えば、上面視で、当該排気口323の周端が熱板340上のウェハWの周端と重なる位置と、その内側10mmの位置との間に、設けられる。
【0045】
図4の周縁排気部322は、排気口323から延びる周縁排気路を有する。周縁排気路には、排気管324を介して、真空ポンプ等の排気装置325が接続されている。排気管324には、排気量を調整するバルブ等を有する排気機器群326が設けられている。排気装置325及び排気機器群326は制御部200により制御される。
【0046】
下チャンバ302は、例えば、熱板340の周囲(具体的には熱板340の側方及び下方)を囲むように設けられる。
【0047】
熱板340は、ウェハWを加熱するものである。また、熱板340は、ウェハWを支持可能に構成されている。この熱板340は、厚みのある円盤形状を有する。熱板340には、例えばヒータ341が内蔵されている。ヒータ341は、例えば抵抗加熱ヒータである。熱板340の温度は例えば制御部200によるヒータ341の制御により調整され、これにより、例えば、熱板340上に載置されたウェハWが所定の温度に加熱される。
さらに、熱板340は、当該熱板340にウェハWを吸着するための吸着孔(図示せず)が例えば複数設けられている。
【0048】
熱板340は、ウェハWの径方向でウェハWの温度が異なるよう、加熱可能に構成されていてもよい。具体的には、熱板340は、図6に示すように構成されていてもよい。
【0049】
図6の熱板340は複数、例えば7つの領域R~Rに区画されている。領域Rは、平面視において熱板340の中央部に設けられた円形の領域である。領域R~Rは、平面視において領域Rの外側にある環状領域を2等分した円弧状の領域である。領域R~Rは、平面視において領域R~Rのさらに外側にある環状領域(外周領域)を周方向に4等分した円弧状の領域である。以下の説明においては、領域Rを第1領域、領域R~Rの環状領域を第2領域、領域R~Rの環状領域を第3領域とすると、第1領域、第2領域、第3領域はそれぞれ、熱板340と同心円状に配置されている。
【0050】
熱板340の各領域R~Rには、ヒータ341が個別に内蔵されている。ヒータ341は、各領域R~Rを個別に加熱できる。また、各領域R~Rには、温度センサ(図示せず)が個別に設けられていてもよい。温度センサは、当該温度センサが設けられた領域R~Rの温度を個別に測定する。各領域R~Rのヒータ341の発熱量は、例えば200により、領域R~R毎に、それぞれの温度センサで測定される温度が設定温度となるように調整される。
なお、熱板340において区画される領域の数や配置は、任意に選択できる。
【0051】
また、下チャンバ302内には、熱板340の下方に、ウェハWを下方から支持し昇降させる昇降ピン350が例えば3本設けられている。昇降ピン350は、昇降機構351により昇降される。昇降機構351は、昇降ピン350の昇降のための駆動力を発生するモータ等の駆動源(図示せず)を有する。この昇降機構351は制御部200により制御される。熱板340の中央部には、上記昇降ピンが通過する貫通孔342が形成されている。昇降ピン350は、貫通孔342を通過し、熱板340の上面から突出可能である。
【0052】
熱板340は、例えば、下チャンバ302の底壁に支持される。具体的には、熱板340は、例えば、支持部360を介して、下チャンバ302の底壁に支持される。
【0053】
<処理シーケンスの例1>
次に、塗布現像装置1により実行される処理シーケンスの一例について説明する。図7は、処理シーケンスの例1の主な工程を示すフローチャートである。図8は、現像ユニット41の動作を示す説明図である。なお、以下の各工程は、前述のプログラム格納部(図示せず)に格納されたプログラムに基づく制御部200の制御の下、実行される。
【0054】
(ステップS1)
まず、塗布現像装置1内にウェハWが搬入される。
具体的には、複数のウェハWを収納したカセットCが、塗布現像装置1のカセットステーション2に搬入され、載置板13に載置される。その後、搬送ユニット20によりカセットC内の各ウェハWが順次取り出され、ウェハ搬送部11内に搬入され、処理ステーション3の第3のブロックG3の受け渡しユニット53に搬送される。
【0055】
(ステップS2)
次に、ウェハWに反射防止膜形成処理が施され、ウェハW上に反射防止膜が形成される。
具体的には、例えば、ウェハWが、搬送ユニット70によって反射防止膜形成ユニット31に搬送され、反射防止膜材料が、ウェハWの表面に回転塗布され、ウェハWの表面を覆うように、金属含有レジストの下地膜として、反射防止膜が形成される。このステップS2は省略されてもよい。
【0056】
(ステップS3)
次いで、ウェハWにレジスト塗布処理が施され、ウェハW上に金属含有レジスト膜が形成される。
具体的には、ウェハWが、搬送ユニット70によってレジスト塗布ユニット32に搬送され、金属含有レジストが、ウェハWの表面に回転塗布され、下地膜としての反射防止膜を覆うように、ネガ型の金属含有レジスト膜が形成される。
【0057】
(ステップS4)
続いて、ウェハWにPAB処理が施される。
具体的には、ウェハWが、搬送ユニット70によって、PAB処理用の熱処理ユニット40に搬送されて、PAB処理が施される。次いで、ウェハWが、搬送ユニット70によって第3のブロックG3の受け渡しユニット56に搬送された後、搬送ユニット90によって受け渡しユニット52に搬送され、シャトル搬送ユニット80によって第4のブロックG4の受け渡しユニット62に搬送される。
【0058】
(ステップS5)
次に、ウェハWに露光処理が施される。
具体的には、ウェハWが、インターフェイスステーション5の搬送ユニット100によって露光装置4に搬送され、ウェハW上のレジスト膜がEUV光を用いて所定のパターンで露光される。その後、ウェハWは、搬送ユニット100によって第4のブロックG4の受け渡しユニット60に搬送される。
【0059】
(ステップS6)
次いで、ウェハWに、PEB処理が施される。
具体的には、ウェハWが、搬送ユニット70によって、PEB処理用の熱処理ユニット40に搬送されて、PEB処理が施される。
【0060】
(ステップS7)
続いて、ウェハWが現像される(ステップS7)。
具体的には、以下のステップS7a、S7bが行われる。
【0061】
(ステップS7a)
本工程では、大気圧以上の圧力下で、弱酸のガスを含有する雰囲気である酸雰囲気に、ウェハWを暴露させる。
【0062】
具体的には、まず、搬送ユニット70によって、現像ユニット41内にウェハWが移動された後、昇降ピン350の上昇及び搬送ユニット70の搬送アーム70aの抜き出しが行われ、ウェハWが昇降ピン350に支持される。その後、上チャンバ301が下降され、上チャンバ301及び下チャンバ302により処理空間Kが画成される。このとき、ウェハWは、図8(A)に示すように、例えば、引き続き、昇降ピン350に支持され熱板340から離間した状態にある。また、この段階で、熱板340は所定の温度に調整されている。
【0063】
その後、図8(B)に示すように、シャワーヘッド311からの、弱酸のガスを含有する処理ガスのウェハWに向けた吐出、中央排気部316による排気及び周縁排気部322による排気が行われる。これにより、ウェハWが、処理空間K内において、大気圧以上の所定の圧力下で、弱酸のガスを含有する酸雰囲気に曝される。ウェハW上のネガ型の金属含有レジスト膜は、上記酸雰囲気に曝されると、未露光部が弱酸のガスと反応し、低分子化する。
なお、「大気圧」とは、例えば670Torr~760Torrである。
また、本工程で酸雰囲気にウェハWを暴露させる期間の一部において、処理空間Kの外部よりも圧力を下げる減圧排気を行ってもよい。上記「暴露させる期間の一部」とは、当該期間の初期または終期などである。金属含有レジスト膜は従来の化学増幅型レジストと性質が異なり、膜周辺の雰囲気に含まれる酸によって膜質が変化して現像処理後のパターンのCD(Critical Dimension)が変動しやすい。この点を鑑み、上記の減圧排気を行うことで、処理空間K内の酸雰囲気が外部に漏出することが防止されるので、処理空間Kの外部にあって現像処理前の状態である別の基板の金属含有レジスト膜において、酸によるCD変動を抑制する効果が期待できる。なお、減圧排気は、例えば、処理空間K内の圧力がその外部の圧力よりも低い0.01Torr~500Torrに達するまで行われてもよい。
【0064】
本ステップでは、中央排気部316による排気及び周縁排気部322による排気は、例えば、弱酸のガスを含む処理ガスがチャンバ300外に漏れ出ず、且つ、チャンバ300外の雰囲気ガスがチャンバ300内に流入しないように行われる。具体的には、シャワーヘッド311から処理空間Kへの処理ガスの吐出流量L1が、周縁排気部322による処理空間Kからの排気流量L2と、中央排気部316による排気L3との和が等しくなるよう、すなわち、L3=L1+L2となるよう、制御が行われる。このように制御が行われることで、弱酸のガスがチャンバ300外の部材に悪影響を及ぼすのを抑制することができる。また、チャンバ300外の雰囲気ガスに含まれる水分や酸素が、金属含有レジスト膜に悪影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0065】
(ステップS7b)
一方、本工程では、金属含有レジストと弱酸のガスとの反応により生じた生成物を、ウェハWの加熱により除去させる。
具体的には、例えば、図8(C)に示すように、ウェハWがチャンバ300外に搬出されることなく、中央排気部316による排気及び周縁排気部322による排気が継続された状態で、シャワーヘッド311からの処理ガスの供給が停止される。また、ウェハWを支持した昇降ピン350が下降され、ウェハWが熱板340に受け渡され載置される。その後、吸着孔(図示せず)を介したウェハWの熱板340への吸着が行われる。これにより、熱板340に支持されたウェハWに対する加熱処理が開始され、所定時間経過すると、終了する。加熱処理が終了すると、ウェハWの熱板340への吸着が停止された後、ウェハWが、昇降ピン350により、熱板340上から取り除かれ、搬送ユニット70に受け渡され、現像ユニット41の外部へ搬出される。
【0066】
本工程において、ウェハWが加熱されると、ウェハW上のネガ型の金属含有レジスト膜のうち、弱酸のガスとの反応により低分子化した未露光部が昇華し、金属含有レジストのパターンが形成される。例えば、弱酸のガスが酢酸ガスであり、金属含有レジスト膜が金属としてスズを含有する場合、酢酸スズが昇華する。
【0067】
また、本工程では、例えば、ウェハWの温度が所定の設定温度で面内均一になるように、熱板340により加熱される。さらに、本工程におけるウェハWの温度は、PEB処理時のウェハWの温度以下としてもよい。
【0068】
さらに、本工程では、金属含有レジスト膜の未露光部の昇華を促進するため、処理空間K内が低圧になるように、処理空間Kの排気が行われてもよい。具体的には、弱酸のガスが酢酸ガスであり、金属含有レジスト膜が金属としてスズを含有する場合、処理空間K内の圧力が、ウェハWの設定温度に対する酢酸スズの蒸気圧以下となるように、中央排気部316による排気及び周縁排気部322による排気が行われてもよい。
【0069】
なお、熱板340によるウェハWの加熱は、ウェハWが熱板340に支持された状態でなくても行われる。例えば、上述の例のステップS7aのように、ウェハWが昇降ピン350に支持され熱板340から離間した状態であっても、ウェハWは熱板340により加熱される。そして、ウェハWが熱板340から離間した状態であっても、金属含有レジストと弱酸のガスとの反応により生じた生成物は昇華され除去される。したがって、ステップS7aの弱酸ガスによる低分子化工程とステップS7bの昇華工程は並行して行われている、といえる。
【0070】
(ステップS8)
現像後、ウェハWに、POST処理が施される。
具体的には、ウェハWが、POST処理用の熱処理ユニット40に搬送されて、POST処理が施される。このステップS8は省略されてもよい。
【0071】
(ステップS9)
そして、ウェハWが塗布現像装置1から搬出される。
具体的には、ウェハWが、ステップS1と逆の手順でカセットCに戻される。
【0072】
これで一連の処理シーケンスが完了する。
【0073】
<処理シーケンスの例1の主な作用効果>
以上のように、本例では、金属含有レジスト膜が形成されたウェハWを現像させる工程が、弱酸のガスを含有する酸雰囲気に、PEB処理が施されたウェハWを暴露させる工程と、金属含有レジストと弱酸のガスとの反応により生じた生成物を、ウェハの加熱により除去させる工程と、を含む。すなわち、本例では、金属含有レジスト膜の現像により除去すべき部分を、現像液や洗浄液等の処理を用いずに、酢酸のガスと熱により除去し、金属含有レジストのパターンを形成している。そのため、処理液の表面張力によるパターン倒れが発生することがない。したがって、本例によれば、金属含有レジストのパターン倒れを抑制することができるため、金属含有レジストの良好なパターンを得ることができる。
また、本例では、弱酸のガスを含む処理ガスを用いているため、強酸のガスを含む処理ガスを用いる場合に比べて、処理ガスにより、チャンバ300の内壁等、現像ユニット41の構成部材がダメージを受けるのを抑制することができる。
【0074】
さらに、本例では、酸雰囲気にウェハWを暴露させる工程すなわち弱酸ガスによる金属含有レジスト膜の低分子化工程と、上記生成物をウェハの加熱により除去させる工程(すなわち低分子化物の昇華工程との間で、チャンバ300外にウェハWが搬出されない。本発明者らが試験を重ねたところによれば、これら低分子化工程と昇華工程との間に、チャンバ300外にウェハWが搬出されると、昇華工程で上記生成物を除去しにくくなる場合がある。本例によれば、このように昇華工程で上記生成物が除去しにくくなるのを避けることができる。
【0075】
前述のように、ステップS7b時のウェハWの温度は、PEB処理時のウェハWの温度以下としてもよい。これにより、ステップS7b時のウェハWの温度を、PEB処理時のウェハWの温度より高くする場合に比べて、現像により除去すべき金属含有レジスト膜の未露光部において、脱水縮合反応による架橋が生じるのを抑制することができる。したがって、上記未露光部で残渣が生じるのを抑制することができる。
【0076】
<処理シーケンスの例2>
図9は、塗布現像装置1により実行される処理シーケンスの例2における、現像ユニット41の動作を示す説明図である。
処理シーケンスの例1では、ウェハWが熱板340で支持された状態では、シャワーヘッド311からの弱酸のガスを含む処理ガスの吐出が行われなかった。それに対し、本例では、図9に示すように、ウェハWが熱板340で支持されてから、シャワーヘッド311からの上記処理ガスの吐出が行われる。なお、本例では、ウェハWが熱板340で支持された状態で、処理空間K内の排気(具体的には中央排気部316による排気及び周縁排気部322による排気)が行われる。
【0077】
また、処理ガスの吐出はレジストパターンが形成されるまで行われる。すなわち、本例では、弱酸ガスによる金属含有レジスト膜の低分子化工程と低分子化物の昇華工程が、金属含有レジストのパターンが形成されるまで並行して行われる。
それに対し、前述の処理シーケンスの例1では、上記低分子化工程と上記昇華工程が並行して行われるのは、金属含有レジストのパターン形成の途中までである。
なお、本例において、現像工程の前後に行われる工程は、処理シーケンスの例1と同様である。
【0078】
<処理シーケンスの例3>
本例では、処理シーケンスの例2と同様、上記低分子化工程と低分子化物の上記昇華工程が、レジストパターンが形成されるまで並行して行われる。ただし、本例では、ウェハWが昇降ピン350で支持された状態で、上記処理ガスの吐出が行われ、その後のウェハWが熱板340で支持された状態でも、上記処理ガスの吐出が行われる。
【0079】
ウェハWの温度はウェハWが昇降ピン350で支持された状態よりもウェハWが熱板で支持された状態の方が高い。また、処理ガスの吐出が行われているときに、ウェハWの温度が高い方が、現像は強く、すなわち、単位時間当たりのレジストの除去速度が速い。
そのため、本例では弱い現像が行われた後に強い現像が行われる、ということができる。
なお、本例において、現像工程の前後に行われる工程は、処理シーケンスの例1と同様である。
【0080】
<処理シーケンスの例4>
本例では、処理シーケンスの例2、3と同様、上記低分子化工程と上記昇華工程が、レジストパターンが形成されるまで並行して行われる。ただし、本例では、まず、ウェハWが熱板340で支持された状態で、上記処理ガスの吐出が行われ、その後、ウェハWが昇降ピン350で支持された状態で、上記処理ガスの吐出が行われる。
すなわち、本例では、強い現像が行われた後に弱い現像が行われる。
【0081】
<処理シーケンスの例3、4の適用例>
現像工程では、未露光部だけでなく露光部でも未露光部よりも弱い程度に、僅かに現像が進む。また、現像による金属含有レジストの除去速度すなわち金属含有レジストの現像レートは、未露光部では現像の強弱による差が比較的小さいが、露光部では現像の強弱による差が比較的大きくなりうる。さらに、現像レートは金属含有レジスト膜の厚さ方向で異なり得る。例えば、現像レートが膜表層付近では速いが下部では遅い場合や、それとは逆の場合もある。このような金属含有レジスト膜の厚さ方向で現像レートの違いは、金属含有レジストのパターンを形成するための、現像工程までの一連の処理における処理条件や、金属含有レジスト液の組成等の影響により、金属含有レジストの反応の進行程度が金属含有レジスト膜内の部分により異なることで、生じ得る。
【0082】
処理シーケンスの例3、すなわち、弱い現像が行われた後に強い現像が行われるシーケンスは、例えば、現像レートが膜表層付近では速いが下部では遅い場合に行われる。これにより、弱い現像のみを行う場合に比べて現像処理の時間が長くなるのを抑制しながら、強い現像のみを行う場合に比べて金属含有レジスト膜の露光部が薄くなる(すなわち金属含有レジストを構成する凸部が低くなる)のを抑制することができる。
一方、処理シーケンスの例4、すなわち、強い現像が行われた後に弱い現像が行われるシーケンスは、例えば、現像レートが膜表層付近では遅いが下部では速い場合に行われる。これにより、現像処理の時間が長くなるのを抑制しながら、金属含有レジスト膜の露光部が薄くなるのを抑制することができる。
【0083】
<処理シーケンスの例3、4の変形例>
本例でも、処理シーケンスの例3、4のように、高温での強い現像と低温での弱い現像の両方が行われる。ただし、本例では、高温での強い現像時に、処理ガス中の弱酸のガスの濃度が高くされてさらに現像が強くされ、低温での弱い現像時に、同濃度が低くされてさらに現像が弱くされる。
処理ガス中の弱酸のガスの濃度は、タンク331にヒータを設け、タンク331内の弱酸のガスの原料の温度を調整することで、変化させることができる。
【0084】
また、処理ガス中の弱酸のガスの濃度に代えて、または、加えて、高温での強い現像時に、シャワーヘッド311からの処理ガスの吐出流量が高くされてさらに現像が強くされ、低温での弱い現像時に、同吐出流量が高流量で吐出され、てもよい。
【0085】
<処理シーケンスの例1~4の変形例1>
現像の際、以下の(A)~(C)の少なくともいずれか1つが、ウェハWの径方向で互いに異なっていてもよい。
【0086】
(A)シャワーヘッド311から吐出される処理ガス中の弱酸のガスの濃度
(B)シャワーヘッド311からの処理ガスの吐出流量
(C)ウェハWの温度
【0087】
これにより、金属含有レジストのパターンの寸法の、ウェハWの面内における均一性を向上させることができる。
【0088】
上記(A)をウェハWの径方向で互いに異ならせる場合、例えば、図10に示すように、シャワーヘッド311Aが、ウェハWの径方向に沿って、複数、例えば3つの領域R11~R13に区画される。そして、領域R11~R13それぞれに、前述のガス分配空間313、供給管314、供給機器群315及び供給機構330と同様のガス分配空間、供給管、供給機器群及び供給機構が設けられる。そして、例えば、各供給機構のタンクにヒータを設け、3つの領域R11~R13それぞれについて、タンク内の弱酸のガスの原料の温度を調整することで、上記(A)を、ウェハWの径方向で互いに異ならせることができる。
【0089】
また、上記(B)をウェハWの径方向で互いに異ならせる場合も同様に、シャワーヘッド311Aが、ウェハWの径方向に沿って、複数、例えば3つの領域R11~R13に区画される。そして、領域R11~R13それぞれに、ガス分配空間313、供給管314、供給機器群315及び供給機構330と同様のガス分配空間、供給管、供給機器群及び供給機構が設けられる。これにより、上記(B)を、ウェハWの径方向で互いに異ならせることができる。
【0090】
上記(C)は、図6の熱板340を用いることで、ウェハWの径方向で互いに異ならせることができる。
【0091】
<処理シーケンスの例1~4の変形例2>
また、処理シーケンスの例1~4のようにして金属含有レジストのパターンを形成した後、弱酸ガスによる金属含有レジスト膜の低分子化工程及び低分子化物の昇華工程が追加で行われるようにしてもよい。具体的には、例えば、処理シーケンスの例1~4にしたがって、ネガ型の金属含有レジスト膜の未露光部が除去されネガ型の金属含有レジストのパターンが形成された後、上記低分子化工程及び上記昇華工程が追加で行われるようにしてもよい。この追加で行われる工程により、ネガ型の金属含有レジスト膜の露光部も若干ではあるが除去されるため、ネガ型の金属含有レジストのパターンの線幅を細くすることができる。
【0092】
また、上記低分子化工程及び上記昇華工程が追加で行われる際、ウェハWの径方向に沿った領域それぞれについて、上記(A)~(C)の少なくともいずれか1つが調節されてもよい。これにより、ネガ型の金属含有レジストのパターンの線幅をウェハWの面内でより均一にすることができる。すなわち、上記低分子化工程及び上記昇華工程が追加で行われる際、ネガ型の金属含有レジストのパターンの線幅をウェハWの面内でより均一になるように、ウェハWの径方向に沿った領域それぞれについて、上記(A)~(C)の少なくともいずれか1つが調節されてもよい。
【0093】
<処理シーケンスの例5>
図11は、処理シーケンスの例5の主な工程を示すフローチャートである。
本例では、ウェハWを現像する工程であるステップS7Aにおいて、上記低分子化工程及(ステップS7a)び上記昇華工程(ステップS7b)の前に、金属含有レジスト膜における現像による除去対象部分の一部が残るよう、現像液によりウェハWが現像される(ステップS11)。
【0094】
ステップS11では、具体的には、例えば、現像ユニット30により、ネガ型の金属含有レジスト膜における未露光部の下部がウェハW上に残るよう、現像液によるウェハWの現像が行われる。
その後、現像ユニット41を用いて、上記低分子化工程及び上記昇華工程が行われる。これにより、ネガ型の金属含有レジスト膜における残りの未露光部が除去され、ネガ型の金属含有レジストのパターンが形成される。
【0095】
現像液を用いると、弱酸のガスを用いる場合に比べて、現像は高速に進む。そのため、本例によれば、現像に要する時間を短縮することができる。
なお、本例において、ステップS7Aの現像工程の前後に行われる工程は、例えば、処理シーケンスの例1と同様である。
【0096】
<現像ユニットの他の例及び処理シーケンスの例6>
図12は、現像ユニットの他の例の概略を模式的に示す縦断面図である。
図12の例の現像ユニット41Aでは、シャワーヘッド311に、供給管314を介して、供給機構400が接続されている。供給機構400は、弱酸のガスを含む処理ガスと、PEB処理用のガス(例えば酸素を含有する温湿度調整ガス)のいずれか一方を選択的に、シャワーヘッド311(具体的にはガス分配空間313)に供給可能に構成されている。供給機構400は制御部200により制御される。
【0097】
現像ユニット41Aを備える塗布現像装置により実行される処理シーケンスの例6では、前述の処理シーケンスの例1と同様、ステップS1~S5が行われる。ただし、処理シーケンスの例1では、ウェハWに対するPEB処理が、熱処理ユニット40により施されていたのに対し、本例では、現像ユニット41Aにより施される。
現像ユニット41AによるPEB処理の際、供給機構400からのPEB処理用のガスが、シャワーヘッド311からウェハWに向けて吐出される。
【0098】
そして、本例では、PEB処理後、現像ユニット41AからウェハWが搬送されずに、同じ現像ユニット41Aにより現像処理が続いて施され、すなわち、同じ現像ユニット41Aを用いて、上記低分子化工程及び上記昇華工程が続いて行われる。
この場合、上記低分子化工程及び上記昇華工程において、PEB処理時より、ウェハWの温度を低くする必要があるときは、ウェハWが、熱板340ではなく昇降ピン350により支持され熱板340から離隔された状態で、上記低分子化工程及び上記昇華工程が行われてもよい。
【0099】
本例の処理シーケンスによれば、PEB処理から現像開始までの待機時間を短くすることができる。そのため、上記待機時間が長くなることによって、金属含有レジストのパターンのCDが変動するのを抑制することができる。また、本例の処理シーケンスによれば、上記待機時間をウェハW間で略同一にすることができるため、上記待機時間が金属含有レジストのパターンのCDに与える影響をウェハW間で略同一にすることができる。したがって、本例の処理シーケンスによれば、金属含有レジストのパターンのCDがウェハW間でばらつくのを抑制することができる。
なお、本例において、現像工程の後に行われる工程は、例えば、処理シーケンスの例1と同様である。
【0100】
<現像ユニットのさらに他の例及び処理シーケンスの例7>
図13は、現像ユニットのさらに他の例の概略を模式的に示す縦断面図である。
図13の例の現像ユニット41Bでは、シャワーヘッド311に、供給管314を介して、供給機構410が接続されている。供給機構410は、弱酸のガスを含む処理ガスと、有機溶剤の蒸気すなわちガスのいずれか一方を選択的に、シャワーヘッド311(具体的にはガス分配空間313)に供給可能に構成されている。供給機構410は制御部200により制御される。
【0101】
現像ユニット41Bを備える塗布現像装置により実行される処理シーケンスの例6では、前述の処理シーケンスの例1と同様、ステップS1~S7が行われる。ただし、処理シーケンスの例1では、ステップS7の現像工程後、現像工程により形成された金属含有レジストのパターンの表面が平滑化される。具体的には、現像ユニット41BによるステップS7の現像工程後、現像ユニット41BからウェハWが搬送されずに、同じ現像ユニット41Bにより、金属含有レジストのパターンの表面が平滑化される。
【0102】
平滑化工程は、有機溶剤のガスを含有する雰囲気である溶剤雰囲気にウェハWが暴露され、有機含有レジストのパターンの表面の流動性が高められる工程を含む。
この工程では、具体的には、例えば、チャンバ300内においてウェハWが昇降ピン350に支持され熱板340から離隔された状態で、供給機構410からの有機溶剤のガスが、シャワーヘッド311からウェハWに向けて吐出される。これにより、ウェハW上の金属含有レジストのパターンの表面が、有機溶剤のガスによって溶け、当該表面の流動性が高くなる。
【0103】
また、平滑化工程は、流動性が高められる工程の後、ウェハWが加熱され、金属含有レジストのパターンの表面が固化される工程を含む。
この工程では、具体的には、シャワーヘッド311から有機溶剤のガスの吐出が停止されると共に、昇降ピン350が下降され、ウェハWが熱板340に支持され加熱される。これにより、流動性が高くなっていた金属含有レジストのパターンの表面が固化される。
【0104】
本例によれば、金属含有レジストのパターンの表面のラフネスを改善することができる。
なお、本例の処理シーケンスでは、平滑化工程後、例えば、処理シーケンスの例1におけるステップS8及びステップS9が行われる。
【0105】
平滑化工程には、図4の構成の現像ユニット41を用いてもよい。この場合、現像ユニット41は、前述の低分子化工程において、弱酸と有機溶剤の混合液の気化物を含む処理ガスをシャワーヘッド311から吐出させる。そして、現像ユニット41は、平滑化工程においても、弱酸と有機溶剤の混合液の気化物を含む処理ガスをシャワーヘッド311から吐出させる。ただし、平滑化工程では、現像ユニット41においてシャワーヘッド311から吐出される処理ガス中の有機溶剤のガスの濃度が、前述の低分子化工程に比べて高い。
【0106】
すなわち、前述の低分子化工程における酸雰囲気は、弱酸のガスと有機溶剤のガスの両方を含み、平滑化工程における溶剤雰囲気では、上記酸雰囲気に比べて、雰囲気中の有機溶剤のガスの濃度が高く弱酸のガス濃度が低い。
平滑化工程における溶剤雰囲気に弱酸のガスが含まれている場合、平滑化工程においても現像が進む。この場合、平滑化工程において、溶剤雰囲気中の溶剤の濃度が高いことで、レジストパターンを構成する各凸部の上部が、各凸部の下部に比べて有機溶剤が現像によってより侵食され細くなる。この作用を利用して、レジストパターンの形状を整えることができる。具体的には、例えば、各凸部が上部から下部にかけて細い形状のレジストパターンが得られやすい場合、レジストパターンが倒れやすくなるため、上述の作用によって、各凸部において上部から下部にかけて太さの変化が小さいパターン形状とすることで、倒れの少ない良好なパターンを得ることができる。
【0107】
<第1実施形態の変形例>
塗布現像装置1が行う処理シーケンスに応じて、塗布現像装置1の構成要素は、適宜省略してもよい。すなわち、塗布現像装置1が、上述した処理シーケンスの例のうち一部のみを行う場合、当該行う処理シーケンスでは利用されない塗布現像装置1の構成要素については省略してもよい。
【0108】
また、以上の例では、現像ユニットにおいて、熱板340の側面とチャンバ300(具体的には下チャンバ302)の内周面との間の隙間は塞がれていなかった。これに代えて、上記隙間を塞ぐような部材が設けられていてもよい。この部材は、チャンバ300とは別体の部材であってもよいし、チャンバ300から熱板340に向けて突出するようにチャンバ300と一体に形成された部材であってもよい。
【0109】
供給機構330において、以上で説明したキャリアガスとは異なる第2のガスがさらに混合溶液に対し供給され、加熱またはバブリングによって別の酸性ガスが作成され、この別の酸性ガスが弱酸のガスと同様にシャワーヘッド311に供給されて現像処理が行われてもよい。この場合、例えば、供給機構330は、タンク331に第2のガスを供給する供給管(図示せず)をさらに有する。弱酸のカルボン酸と有機溶剤の混合溶液が貯留されたタンク331に、キャリアガスと第2のガスが供給され、加熱またはバブリングにより、弱酸のカルボン酸と有機溶剤、キャリアガスと第2のガスを含む別の酸性ガスが作成される。
【0110】
このように第2のガスが使われることで、別の酸性ガス中の弱酸のカルボン酸や有機溶剤の濃度が調整されてもよい。また、第2のガスが金属含有レジスト膜に対する現像作用を持ち、現像作用の強さが弱酸のカルボン酸と異なるものの場合は、第2のガスにより、カルボン酸や有機溶剤の濃度の調整と共に、金属含有レジスト膜に対する現像作用の強さも調整可能である。別の酸性ガスは弱酸のガスと同等の酸性に調整されていてもよい。第2のガスは、例えば、ドライエア、HBr(臭化水素)であってもよい。HBrは金属含有レジスト膜に対する現像作用を持つ第2のガスである。
【0111】
処理シーケンスの例3、4等における、処理の途中で強い現像と弱い現像との切り替えは、別の酸性ガスにおける第2のガスの濃度が変更されることで行われてもよい。次にその例を示す。まず、シーケンスの例3においては、処理の途中から別の酸性ガスにおけるHBrの濃度を高くして強い現像に切り替えられる。また、シーケンスの例4においては、処理の途中から別の酸性ガスにおけるHBrの濃度を低くして弱い現像に切り替えられる。
【0112】
(第2実施形態)
<ウェハ処理システム>
図14は、第2実施形態にかかる基板処理装置を含む基板処理システムとしてのウェハ処理システムの構成の概略を示す説明図である。図15は、後述の装置D3の構成の概略を示す説明図である。
第1実施形態では、1つの塗布現像装置1により、金属含有レジストのパターニングを行っていた。それに対し、図14のウェハ処理システムSTは、互いに独立している装置D1~D3により、金属含有レジストのパターニングを行う。
ここでの「独立している」とは、剥き出しのウェハWが当該装置に対し搬送されずに、カセットCに格納された状態でウェハWが搬送される構成となっていることを意味する。
また、ここでの「金属含有レジストのパターニング」とは、金属含有レジスト膜の形成から、金属レジストのパターンをマスクとした金属含有レジスト膜の下層膜のエッチングを最初に行う前の最後の処理までの一連の処理を意味する。
【0113】
ウェハ処理システムSTでは、カセットCが装置D1~D3を順に搬送され、各装置においてカセットCからウェハWが取り出されて処理が施されることで、金属含有レジストのパターンが形成される。装置D1~D3間におけるカセットCの搬送は、ウェハ処理システムSTの設置対象の工場に設けられたOHT(Overhead Hoist Transport)501によって行われる。
【0114】
装置D1~D3には、金属含有レジストのパターニングに含まれる処理をウェハWに施す各種の処理ユニットが割り振られて設けられている。このように割り振られて設けられているため、一部の処理ユニットがメンテナンス等により使用不可となって、当該処理ユニットを含む装置での処理が行えなくなっても、他の装置では処理を継続することができる。そのため、生産性の低減が抑制される。なお、装置D2は露光装置4に接続されている。
【0115】
また、装置D1~D3は、カセットC、装置内の処理ユニット、露光装置4等に対するウェハWの搬送を行う搬送機構を備える。
さらに、カセットCの搬入出を行うためのロードポートLPを備える。
【0116】
装置D1~D3は互いに類似した構成を有する。まず、装置D3について説明する。
装置D3は、図15に示すように、装置内にウェハWを搬入出するための搬入出ブロックB1と、金属含有レジストのパターニング用の処理ユニットが配置される処理ブロックB2と、を備える。搬入出ブロックB1と処理ブロックB2とはY方向に並ぶように接続されている。
【0117】
搬入出ブロックB1及び処理ブロックB2はそれぞれ筐体を有しており、外部の大気雰囲気から内部を気密に保つように構成されている。上記筐体内に、ウェハWの搬送領域や処理ユニットの配置領域が形成されている。
【0118】
搬入出ブロックB1は、図1の塗布現像装置1のカセットステーション2と同様に構成される。
搬入出ブロックB1には、ロードポートLPがX方向に複数並べて設けられ、各ロードポートLPには載置板13が設けられている。
搬入出ブロックB1の筐体内には搬送領域R1が形成されている。搬送領域R1には前述の搬送ユニット20が設けられている。
【0119】
搬入出ブロックB1の筐体の外側で、載置板13の上方に、カセットCの搬入出用の棚(図示せず)が設けられ、棚にOHT501がカセットCを受け渡してもよい。搬入出ブロックB1のX方向負側には、棚511が例えば複数段設けられていてもよい。棚511と搬入出ブロックB1との間には移載機構521が設けられる。移載機構521は、載置板13の上方の棚と、棚511と、載置板13との間で、カセットCを移動させ、これらにカセットCを載置することができる。
【0120】
また、搬入出ブロックB1は、載置板13に載置されたカセットC内に、反応抑制ガス及び反応促進ガスのうちの少なくともいずれか一方を供給し、カセットC内のウェハWの周囲を上記少なくともいずれか一方のガスの雰囲気とすることが可能に構成されていてもよい。
反応抑制ガスは、ウェハW上で金属含有レジストの脱水縮合反応が進行するのを抑制するガスである。具体的には、反応抑制ガスは例えば不活性ガスであるN(窒素)ガスである。反応抑制ガスはNガス以外の不活性ガス(例えばアルゴン(Ar)ガス等)であってもよい。
反応促進ガスは、ウェハW上で金属含有レジストの反応(具体的には例えば脱水縮合反応)が進行するのを促進させるガスである。反応促進ガスには、例えば飽和水蒸気圧に近づけるように加湿された高湿度の空気、具体的には、ウェハ処理システムSTが設置される部屋の湿度よりも高い湿度の空気を用いることができる。反応促進ガスとして、ウェハ処理システムSTが設置される部屋の空気(大気)よりも二酸化炭素や酸素の濃度を高くした空気を用いてもよい。さらに、反応促進ガスとして、二酸化炭素ガスや酸素ガス等を用いてもよい。
【0121】
棚511は、当該棚511に載置されたカセットC内に、反応抑制ガス及び反応促進ガスのうちの少なくともいずれか一方を供給し、カセットC内のウェハWの周囲を上記少なくともいずれか一方のガスの雰囲気とすることが可能に構成されていてもよい。
【0122】
処理ブロックB2は、その筐体内における搬入出ブロックB1側端に、搬送領域R2が形成されている。搬送領域R2には、前述の第3のブロックG3と搬送ユニット90が設けられている。
【0123】
また、処理ブロックB2の筐体内には、平面視で第3のブロックG3からY方向に延びる搬送領域R3が設けられている。搬送領域R3には、前述のウェハ搬送領域Dと同様に、搬送ユニット70が設けられている。
【0124】
搬送領域R3のX方向負側には、現像ユニット41、41A、41Bのいずれかが設けられた弱酸ガス現像ブロックDEVが配置されている。弱酸ガス現像ブロックDEVには例えば現像ユニット41、41A、41Bのいずれかが、上下方向と水平方向に並べて設けられている。
【0125】
搬送領域R3のX方向正側には、熱処理ユニット40が設けられた加熱ブロックPOSTが設けられている。加熱ブロックPOSTには、例えばPOST処理用の熱処理ユニット40が上下方向と水平方向に並べて設けられている。
【0126】
なお、搬入出ブロックB1及び処理ブロックB2のうちの少なくともいずれか一方に、カセットCと同様にウェハWを上下に並べて格納する格納部であるバッファユニット(図示せず)が設けられていてもよい。このバッファユニットが設けられたブロックは、バッファユニット内に、反応抑制ガス及び反応促進ガスのうちの少なくともいずれか一方を供給し、バッファユニット内のウェハWの周囲を上記少なくともいずれか一方のガスの雰囲気とすることが可能に構成されていてもよい。
バッファユニットには、次の処理を待機するウェハWが格納される。、
【0127】
また、搬入出ブロックB1の搬送領域R1、処理ブロックB2の搬送領域R2、R3、処理ユニットが設けられた領域それぞれに対し、ガス供給部(図示せず)が設けられていてもよい。上方から下方に向けてガスを供給するガス供給部が設けられている。ガス供給部は、ウェハ処理システムSTが設置される部屋の大気雰囲気が、ダクト(図示せず)を介して供給される。ダクトには、成分除去部である除去フィルタが介在していてもよい。
【0128】
除去フィルタは、パーティクルの他に、大気中に含まれる所定のガス成分を除去することが可能なケミカルフィルタである。所定のガス成分は、アンモニア(NH)、アミン、酸性ガス及び有機ガスである。酸性ガスには、例えば、二酸化炭素、硫化水素、塩化水素、塩素、硝酸、二酸化窒素、二酸化硫黄が含まれる。有機ガスには、アルコールやアセトン等の揮発性有機化合物により構成されるガスが含まれる。除去フィルタによって清浄化されたガスは、ガス供給部から下方へ向けて供給され気流を形成する。
【0129】
装置D1、D2については、装置D3との相違点を中心に説明する。
【0130】
装置D1は、図14に示すように、処理ブロックB2における搬送領域R3のX方向負側に、前述のレジスト塗布ユニット32が設けられた塗布ブロックCOTが配置されている。塗布ブロックCOTには反射防止膜形成ユニット31が設けられていてもよい。塗布ブロックCOTには、例えば、レジスト塗布ユニット32及び反射防止膜形成ユニット31それぞれが水平方向に並べて設けられている。
装置D1の処理ブロックB2における搬送領域R3のX方向正側には、PAB処理用の加熱ブロックPABが配置されている。加熱ブロックPABには、PAB処理用の熱処理ユニット40が例えば上下方向と水平方向に並べて設けられている。
【0131】
装置D2は、処理ブロックB2における搬送領域R3のX方向負側と正側の両方に、PEB処理用の加熱ブロックPEBが設けられている。加熱ブロックPEBには、PEB処理用の熱処理ユニット40が例えば上下方向と水平方向に並べて設けられている。なお、処理ブロックB2における搬送領域R3のX方向負側と正側のいずれかの加熱ブロックPEBに代えて、PAB処理用の加熱ブロックPABが設けられてもよい。
また、装置D2の処理ブロックB2のY方向正側には、インターフェイスブロックIFBを介して、露光装置4が接続されている。図示は省略するが、インターフェイスブロックIFBには、例えば、前述の第4のブロックG4と、搬送ユニット100とが設けられている。
なお、装置D2には、載置板13の上方の棚や、棚511、移載機構521が設けられていない。装置D2のロードポートLPには、OHT501からカセットCが直接受け渡される。
【0132】
また、装置D1~D3それぞれには、制御部Uが設けられている。制御部Uは、対応する装置の各部を制御する。制御部Uは、例えばCPU等のプロセッサやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、上述の各種処理ユニットや各種搬送ユニット等の駆動系の動作を制御して金属含有レジストのパターンを形成するための指令を含むプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な非一時的な記憶媒体Kに記録されていたものであって、当該記憶媒体Kから制御部Uにインストールされたものであってもよい。記憶媒体Hは、一時的なものであっても、非一時的なものであってもよい。
各制御部Uは、工場のホストコンピュータ(図示せず)に接続されている。ホストコンピュータはOHT501の動作を制御する。OHT501によるカセットCの搬送状況に合わせて、各装置D1~D3でウェハWに対し処理が施される。ホストコンピュータHも、例えばCPU等のプロセッサやメモリ等を備えたコンピュータである。ホストコンピュータのプログラム格納部(図示せず)に前述のプログラムが格納されていてもよい。
【0133】
<ウェハ処理システムSTによる処理シーケンスの例>
ウェハ処理システムSTにより実行される処理シーケンスでは、例えば、装置D1の載置板13上のカセットC内の各ウェハWが、塗布ブロックCOT→レジスト塗布ユニット32が設けられた塗布ブロックCOT→加熱ブロックPAB内のPAB処理用の熱処理ユニット40と、順に搬送される。これにより、金属含有レジスト膜の形成と、PAB処理とが行われる。PAB処理後のウェハWは載置板13上のカセットCに戻される。
【0134】
次いで、カセットCが、OHT501により、装置D2の搬入出ブロックB1に搬送される。そして、各ウェハWが、載置板13上のカセットCから、露光装置4→加熱ブロックPEB内のPEB処理用の熱処理ユニット40と、順に搬送される。これにより、ウェハW上の金属含有レジスト膜が所定のパターンで露光されると共に、ウェハWがPEB処理される。PEB処理後のウェハWは載置板13上のカセットCに戻される。
【0135】
その後、カセットCが、OHT501により、装置D3の搬入出ブロックB1に搬送される。そして、各ウェハWが、載置板13上のカセットCから、弱酸ガス現像ブロックDEV内の現像ユニット41、41A、41Bのいずれか→加熱ブロックPOST内のPOST処理用の熱処理ユニット40と、順に搬送される。これにより、現像ユニット41、41A、41Bのいずれかによる弱酸のガスを用いた現像と、POST処理がウェハWに施され、金属含有レジストのパターンが形成される。POST処理後のウェハWは載置板13上のカセットCに戻される。そして、カセットCは、OHT501によって、次工程を行う装置に搬送される。
【0136】
<ウェハ処理システムSTによる処理シーケンスの例の変形例>
以下のタイミングTm1~Tm6で、カセットC内が反応抑制ガスの雰囲気となるよう、カセットCに反応抑制ガスが供給されてもよい。
Tm1:装置D1のカセットCへ処理後のウェハWを戻す際
Tm2:装置D1から装置D2へのカセットCの搬送中
Tm3:装置D2のカセットCから当該装置D2にウェハWを搬入する際
Tm4:装置D2のカセットCへ処理後のウェハWを戻す際
Tm5:装置D2から装置D3へのカセットCの搬送中
Tm6:装置D3のカセットCから当該装置D3にウェハWを搬入する際
【0137】
すなわち、金属含有レジスト膜の形成処理後から現像処理前までの間のウェハWについては、当該ウェハWを収容するカセットC内が反応抑制ガスの雰囲気とされてもよい。これにより、金属含有レジストのパターンの線幅の不要な拡張を抑制することができる。
【0138】
さらに、上記のタイミングTm1~Tm6で、カセットC内が反応促進ガスの雰囲気となるよう、カセットCに反応促進ガスが供給されてもよい。
すなわち、金属含有レジスト膜の形成処理後から現像処理前までの間のウェハWについては、当該ウェハWを収容するカセットC内が反応促進ガスの雰囲気とされてもよい。これにより、現像が行われる前までに金属含有レジスト膜で起こり得る各種の反応を飽和させることができ、その結果、パターンの線幅がウェハW間でばらつくのを抑制することができる。
【0139】
また、金属含有レジスト膜の形成処理後から露光処理前までの間のウェハWについては、当該ウェハWを収容するカセットC内が反応抑制ガスの雰囲気とされ、露光処理後から現像処理前までの間のウェハWについては、当該ウェハWを収容するカセットC内が反応促進ガスの雰囲気とされてもよい。これにより、露光処理後から現像処理前までの間のウェハWについても反応促進ガスを供給する場合に比べて、露光部と未露光部とでの反応の進み具合のコントラストを高くすることができる。
【0140】
なお、金属含有レジスト膜の形成処理後から現像処理前までの間に、ウェハWが、前述のバッファモジュールに一時的に格納されてもよい。そして、バッファモジュール内が、反応抑制ガスの雰囲気または反応促進ガスの雰囲気とされてもよい。
【0141】
さらに、搬入出ブロックB1の搬送領域R1、処理ブロックB2の搬送領域R2、R3、処理ユニットが設けられた領域それぞれに対し、前述の除去フィルタにより清浄化されたガスの下方に向かう気流が形成されてもよい。これにより、搬送中や処理中に不要な反応が抑制されるため、金属含有レジストのパターンの線幅の不要な拡張を、より確実に抑制することができる。
【0142】
(第3実施形態)
<ウェハ処理システム>
図16は、第3実施形態にかかる基板処理装置を含む基板処理システムとしてのウェハ処理システムの構成の概略を示す説明図である。なお、図16では、OHT501の図示を省略している。
【0143】
図16のウェハ処理システムSTAは、装置D1A~D4Aで構成されている。
装置D1Aは、棚511や移載機構521が設けられていない点でのみ、ウェハ処理システムSTの装置D1と異なる。
装置D2Aは、処理ブロックB2における搬送領域R3のX方向正側には、PAB処理用の加熱ブロックPABが配置され、X方向負側には、PEB処理用の加熱ブロックPEBが設けられている。
装置D3Aは、搬入出ブロックB1のY方向正側に、インターフェイスブロックIFBを介して、露光装置4が接続されている。
装置D4Aは、棚511と、POST処理用の加熱ブロックPOSTとが設けられていないことを除いて、ウェハ処理システムSTの装置D3と同様の構成を有する。
【0144】
<ウェハ処理システムSTAによる処理シーケンスの例>
ウェハ処理システムSTAにより実行される処理シーケンスでは、例えば、カセットCが、装置D1A→装置D2A→装置D3A→装置D2A→装置D4Aの順で搬送される。これにより、ウェハWに対し、金属含有レジスト膜の塗布処理、PAB処理、露光処理、PEB処理、弱酸のガスを用いた現像が順に施される。
【0145】
(第4実施形態)
<ウェハ処理システム>
図17は、第4実施形態にかかる基板処理装置を含む基板処理システムとしてのウェハ処理システムの構成の概略を示す説明図である。
【0146】
図17のウェハ処理システムSTBは、装置D1B~D3Bで構成され、装置D1B、装置D3B、装置D2BがX方向に沿ってこの順で並んでいる。
【0147】
装置D1Bは、装置D1Aの搬入出ブロックB1のY方向正側にインターフェイスブロックIFBを介して露光装置4が接続されたものである。
装置D3Bは、処理ブロックB2における搬送領域R3のX方向負側には、PEB処理用の加熱ブロックPEBが設けられ、X方向正側には、弱酸ガス現像ブロックDEVが設けられている。
装置D2Bは、装置D3Bと同様、処理ブロックB2における搬送領域R3のX方向負側には、PEB処理用の加熱ブロックPEBが設けられ、X方向正側には、弱酸ガス現像ブロックDEVが設けられている。ただし、装置D2Bは、装置D3と異なり、棚511と移載機構521が設けられている。
【0148】
<ウェハ処理システムSTBによる処理シーケンスの例>
ウェハ処理システムSTBにより実行される処理シーケンスでは、例えば、カセットCが、装置D1B→装置D3B→装置D2Bの順で搬送される。これにより、ウェハWに対し、金属含有レジスト膜の塗布処理、PAB処理、露光処理、1回目のPEB処理、1回目の弱酸のガスを用いた現像、2回目のPEB処理、2回目の弱酸のガスを用いた現像が順に施される。
この場合、例えば、1回目の現像で、目標の寸法より大きいレジストパターンが形成され、2回目の現像で、目標の寸法より大きい部分を除去し、目標の寸法のレジストパターンを形成する。
【0149】
なお、1回目の弱酸のガスを用いた現像及び2回目の弱酸のガスを用いた現像のうちいずれか一方が、現像液を用いた現像すなわちウェット現像または弱酸のガス以外のガスを用いた従来の現像すなわちドライ現像となるよう、装置D2Bまたは装置D3Bが構成されていてもよい。
この場合、1回目の弱酸のガスを用いた現像が施された後、2回目のPEB処理を経て、2回目の現像として、減圧下でプラズマを用いたドライ現像とすることが好ましい。減圧下でプラズマを用いたドライ現像では、2回目のPEBにより凝縮が進んだ除去すべき部分も、容易に除去することができる。
【0150】
(第5実施形態)
<ウェハ処理システム>
図18は、第5実施形態にかかる基板処理装置を含む基板処理システムとしてのウェハ処理システムの構成の概略を示す説明図である。なお、図18では、OHT501の図示を省略している。
【0151】
図18のウェハ処理システムSTCは、装置D1C、D2Cで構成される。
【0152】
装置D1Cは、PAB処理用の加熱ブロックPABに、PEB処理用の熱処理ユニット40が設けられ、塗布ブロックCOTにウェット現像を施す現像ユニット30と同様の現像ユニットWDEVが設けられることを除いて、ウェハ処理システムSTBの装置D1Bと同様の構成を有する。
装置D2Cは、処理ブロックB2における搬送領域R3のX方向正側に、PEB処理用の加熱ブロックPEBが設けられ、X方向負側に、弱酸ガス現像ブロックDEVが設けられたものである。
【0153】
<ウェハ処理システムSTCによる処理シーケンスの例>
ウェハ処理システムSTCにより実行される処理シーケンスでは、例えば、カセットCが、装置D1C→装置D2Cの順で搬送される。これにより、ウェハWに対し、金属含有レジスト膜の塗布処理、PAB処理、露光処理、1回目のPEB処理、1回目の現像としてのウェット現像、2回目のPEB処理、2回目の現像としての弱酸のガスを用いた現像が順に施される。
なお、装置D1Cの塗布ブロックCOTに現像ユニットWDEVを設けずに、PAB処理用の加熱ブロックPABに、現像ユニット41、41A、41Bのいずれかを設けてもよい。そして、1回目の現像として、弱酸のガスを用いた現像が行われてもよい。その際、装置D2Cに、ドライ現像を施す現像ユニットを設け、2回目の現像としてドライ現像が行われてもよい。
【0154】
(第6実施形態)
<ウェハ処理システム>
図19は、第6実施形態にかかる基板処理装置を含む基板処理システムとしてのウェハ処理システムの構成の概略を示す説明図である。なお、図19では、OHT501の図示を省略している。
【0155】
図19のウェハ処理システムSTDは、ウェハ処理システムSTAの装置D1Aと、装置D2Dで構成される。
【0156】
装置D2Dは、処理ブロックB2における搬送領域R3のX方向正側に、PEB処理用の加熱ブロックPEBが設けられ、X方向負側に、弱酸ガス現像ブロックDEVが設けられている。
また、装置D2Dは、搬入出ブロックB1のY方向正側にインターフェイスブロックIFBを介して露光装置4が接続されている。
【0157】
<ウェハ処理システムSTDによる処理シーケンスの例>
ウェハ処理システムSTDにより実行される処理シーケンスでは、例えば、カセットCが、装置D1A→装置D2Dの順で搬送される。これにより、ウェハWに対し、金属含有レジスト膜の塗布処理、PAB処理、露光処理、PEB処理、弱酸のガスを用いた現像が順に施される。
【0158】
(第6実施形態の変形例)
ウェハ処理システムSTDは、以下の2つの装置のうちの少なくともいずれか一方をさらに備えていてもよい。
図16のウェハ処理システムSTAの装置D2Aと同様に熱処理ユニット40のみが設けられた装置(以下、加熱単体機という。)
図18ウェハ処理システムSTCの装置D2CからPEB処理用の熱処理ユニット40を削除した、現像ユニットのみが設けられた装置(現像単体機)
【0159】
ウェハ処理システムSTDが、加熱単体機と現像単体機との両方をさらに備える場合、装置D2Dの熱処理ユニット及び現像ユニットが1回目のPEB処理及び現像処理に用いられ、加熱単体機及び現像単体機が1回目のPEB処理及び現像処理に用いられる。
【0160】
<ウェハ処理システムSTA~STDによる処理シーケンスの例の変形例>
ウェハ処理システムSTA~STDによる処理シーケンスでは、ウェハ処理システムSTによる処理シーケンスと同様、金属含有レジスト膜の形成処理後から現像処理前までの間のウェハWについて、当該ウェハWを収容するカセットC内が反応抑制ガスまたは反応促進ガスの雰囲気とされてもよい。2回現像処理が施される場合は、金属含有レジスト膜の形成処理後から2回目の現像処理前までの間のウェハWについて、当該ウェハWを収容するカセットC内が反応抑制ガスまたは反応促進ガスの雰囲気とされてもよい。
【0161】
さらに、ウェハ処理システムSTA~STDによる処理シーケンスでは、ウェハ処理システムSTによる処理シーケンスと同様、金属含有レジスト膜の形成処理後から現像処理前(2回現像処理が施される場合は2回目の現像処理前)までの間に、ウェハWが、前述のバッファモジュールに一時的に格納されてもよい。そして、バッファモジュール内が、反応抑制ガスの雰囲気または反応促進ガスの雰囲気とされてもよい。
【0162】
さらに、ウェハ処理システムSTA~STDによる処理シーケンスでは、ウェハ処理システムSTによる処理シーケンスと同様、搬送領域R1~R3、処理ユニットが設けられた領域それぞれに対し、前述の除去フィルタにより清浄化されたガスの下方に向かう気流が形成されてもよい。
【0163】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0164】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0165】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)金属含有レジストの被膜が形成され露光処理及び前記露光処理後の加熱処理が施された基板を現像する工程を含み、
前記現像する工程は、
大気圧以上の圧力下で、弱酸のガスを含有する雰囲気である酸雰囲気に前記基板を暴露する工程と、
前記金属含有レジストと前記弱酸のガスとの反応により生じる生成物を、前記基板を加熱して除去する工程と、を含む、基板処理方法。
(2)前記除去する工程における前記基板の温度は、前記露光処理後の加熱処理時の基板の温度以下である、前記(1)に記載の基板処理方法。
(3)前記暴露する工程において、
前記基板に向けて、前記弱酸のガスを含む処理ガスを吐出し、
前記処理ガス中の前記弱酸のガスの濃度または前記処理ガスの流量の少なくともいずれか一方が、前記基板の径方向で互いに異なる、前記(1)または(2)に記載の基板処理方法。
(4)前記暴露する工程において、前記基板に向けて、前記弱酸のガスを含む処理ガスを吐出し、
前記現像する工程により金属含有レジストのパターンを形成した後に、前記暴露する工程及び前記加熱して除去する工程を行い、その際、前記基板の径方向に沿った複数の領域それぞれについて、前記処理ガス中の前記弱酸のガスの濃度、前記処理ガスの流量または前記基板を加熱する熱板の温度の少なくともいずれか1つを調節する、前記(1)~(3)のいずれか1に記載の基板処理方法。
(5)前記現像する工程後、前記現像する工程により形成された前記金属含有レジストのパターンの表面を平滑化する工程をさらに含み、
前記平滑化する工程は、
有機溶剤のガスを含有する雰囲気である溶剤雰囲気に前記基板を暴露し、前記金属含有レジストのパターンの表面の流動性を高める工程と、
その後、前記基板を加熱し、前記金属含有レジストのパターンの表面を固化する工程と、を含む、前記(1)~(4)のいずれか1に記載の基板処理方法。
(6)前記酸雰囲気は、前記弱酸のガス及び前記有機溶剤のガスの両方を含み、
前記溶剤雰囲気は、前記酸雰囲気に比べて、前記弱酸のガスの濃度が低い、前記(5)に記載の基板処理方法。
(7)前記現像する工程は、
前記暴露する工程の前に、前記金属含有レジストの被膜における現像による除去対象部分の一部が残るよう、現像液により前記基板を現像する工程を含む、前記(1)~(6)のいずれか1に記載の基板処理方法。
(8)前記露光処理後の加熱処理の後、当該加熱処理を施したユニットから前記基板を搬送せずに、前記現像する工程を行う、前記(1)~(7)のいずれか1に記載の基板処理方法。
(9)基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を現像する現像ユニットと、
制御部と、を備え、
前記現像ユニットは、
基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内の前記基板を加熱する熱板と、
前記チャンバ内に弱酸のガスを吐出するガス吐出部と、を有し、
前記制御部は、金属含有レジストの被膜が形成され露光処理及び前記露光処理後の加熱処理が施された前記基板を現像させる工程を、当該基板処理装置が実行するよう、制御を行い、
前記現像させる工程は、
大気圧以上の圧力下で、前記弱酸のガスを含有する雰囲気である酸雰囲気に、前記露光処理後の加熱処理が施された前記基板を暴露させる工程と、
前記金属含有レジストと前記弱酸のガスとの反応により生じた生成物を、前記基板の加熱により除去させる工程と、を含む、基板処理装置。
(10)基板処理方法を基板処理装置によって実行させるように、当該基板処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体であって、
前記基板処理方法は、金属含有レジストの被膜が形成され露光処理及び前記露光処理後の加熱処理が施された基板を現像する工程を含み、
前記現像する工程は、
大気圧以上の圧力下で、弱酸のガスを含有する雰囲気である酸雰囲気に前記基板を暴露する工程と、
前記金属含有レジストと前記弱酸のガスとの反応により生じる生成物を、前記基板を加熱して除去する工程と、を含む、コンピュータ記憶媒体。
【符号の説明】
【0166】
1 塗布現像装置
41、41A、41B 現像ユニット
200 制御部
311、311A シャワーヘッド
340 熱板
D1C、D2B、D2C、D2D、D3、D3B、D4A 装置
H 記憶媒体
K 処理空間
W ウェハ
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