(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104282
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240726BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199463
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2023008238
(32)【優先日】2023-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽場 和樹
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
【Fターム(参考)】
2H072AA09
2H072AA16
2H072AA29
2H072AB06
2H072CA01
2H072CA05
2H270LA19
2H270LA22
2H270LA37
2H270LC19
2H270LD03
2H270MB16
2H270MB18
2H270MB25
2H270MB27
2H270MC55
2H270SA09
2H270SB04
2H270SC14
2H270SC15
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
(57)【要約】
【課題】画像の位置および用紙等の検出機能を高精度化できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明は、用紙上の画像の位置および用紙の長さの少なくとも一方を測定する検出部と、用紙の搬送方向において前記検出部の上流または下流に設けられ、ゴムベルトを使って用紙を搬送する第1搬送部と、前記搬送方向において前記第1搬送部の上流に設けられ、用紙にトナーを定着する定着部と、前記第1搬送部による用紙の搬送を制御する制御部と、を備え、前記第1搬送部は、駆動ローラと、当該駆動ローラの回転駆動により前記ゴムベルトを介して回転する従動ローラと、前記従動ローラの回転数を測定する測定部と、を備え、前記制御部は、前記測定部により測定される前記回転数に基づいて、前記第1搬送部による用紙の搬送線速を制御する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙上の画像の位置および用紙の長さの少なくとも一方を測定する検出部と、
用紙の搬送方向において前記検出部の上流または下流に設けられ、ゴムベルトを使って用紙を搬送する第1搬送部と、
前記搬送方向において前記第1搬送部の上流に設けられ、用紙にトナーを定着する定着部と、
前記第1搬送部による用紙の搬送を制御する制御部と、を備え、
前記第1搬送部は、駆動ローラと、当該駆動ローラの回転駆動により前記ゴムベルトを介して回転する従動ローラと、前記従動ローラの回転数を測定する測定部と、を備え、
前記制御部は、前記測定部により測定される前記回転数に基づいて、前記第1搬送部による用紙の搬送線速を制御する、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1搬送部は、前記搬送方向において前記検出部の上流に設けられ、
前記定着部は、前記搬送方向において前記第1搬送部の上流に設けられる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1搬送部は、用紙を冷却する冷却部を有する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送方向において前記検出部の上流および下流に設けられ、ローラのみで用紙を搬送する第2搬送部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、前記測定部により測定される前記回転数に基づいて、前記ローラによる用紙の搬送を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記測定部は、前記従動ローラの1回転毎に前記回転数を測定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートパイプローラを使った用紙冷却技術において、ヒートパイプローラを従動ローラとして、駆動側にゴムベルトを使用することで、ローラ同士のニップに比べてヒートパイプローラと用紙の接触面積を増やし、冷却性能を向上する技術が既に知られている。特許文献1には、ヒートパイプローラのような回転する冷却手段の温度を制御する目的で、近接部材の温度を測定し、その温度に基づいて冷却手段の制御を行う構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ゴムベルトを用いた用紙搬送では、薄いゴムベルトを使用するため、環境、経時劣化、個体差等による厚み、周長、表面性等の違いによって、常に安定的な線速で用紙搬送を行うことができず、上下流に用紙検出機能がある場合、線速のばらつきが検出誤差となってしまう場合がある。また、特許文献1記載の技術は、ゴムベルトをヒートパイプローラの駆動に使用した場合、用紙搬送の線速にばらつきが生じる場合がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像の位置および用紙等の検出機能を高精度化できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、用紙上の画像の位置および用紙の長さの少なくとも一方を測定する検出部と、用紙の搬送方向において前記検出部の上流または下流に設けられ、ゴムベルトを使って用紙を搬送する第1搬送部と、前記搬送方向において前記第1搬送部の上流に設けられ、用紙にトナーを定着する定着部と、前記第1搬送部による用紙の搬送を制御する制御部と、を備え、前記第1搬送部は、駆動ローラと、当該駆動ローラの回転駆動により前記ゴムベルトを介して回転する従動ローラと、前記従動ローラの回転数を測定する測定部と、を備え、前記制御部は、前記測定部により測定される前記回転数に基づいて、前記第1搬送部による用紙の搬送線速を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像の位置および用紙等の検出機能を高精度化できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する用紙搬送機構の構成の一例を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する用紙搬送機構のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、本実施の形態にかかる画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置における画像の位置の検出方法の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置における冷却部の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成装置において線速バラツキが発生することで用紙の線速に影響が出る理由の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成装置における線速の評価結果の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態にかかる画像形成装置における線速差の許容値と線速変動のピーク高さとの関係の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態にかかる画像形成装置における用紙搬送機構の特徴の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態にかかる画像形成装置の第1搬送部の線速制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1Aは、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する用紙搬送機構の構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかる画像形成装置が有する用紙搬送機構は、
図1Aに示すように、検出下流ローラ101、検出部102、検出上流ローラ103、ヒートパイプローラ104、搬送ゴムベルト105、定着ローラ106、駆動ローラ107、従動ローラ108等を有する。
【0010】
検出部102は、ラインセンサ等を有し、用紙上における画像の位置を測定する検出部の一例である。検出下流ローラ101は、用紙の搬送方向Aにおいて、検出部102の下流に設けられる。検出上流ローラ103は、搬送方向Aにおいて、検出部102の上流に設けられる。本実施の形態にかかる画像形成装置が有する用紙搬送機構は、エンコーダおよび透過型センサ等により、検出下流ローラ101の回転数を検出し、当該回転数に基づいて、用紙の長さを測定する検出部の一例を有していても良い。
【0011】
すなわち、検出部102は、搬送方向Aにおいて、搬送ゴムベルト105の駆動を用いた冷却手段(ヒートパイプローラ104)の下流に設けられ、かつ、搬送方向Aにおいて上下流がローラ(検出下流ローラ101、検出上流ローラ103)に挟まれた検出部として機能する。また、検出下流ローラ101および検出上流ローラ103は、搬送方向Aにおいて、検出部102の上流および下流に設けられ、ローラのみで用紙を搬送する第2搬送部の一例である。
【0012】
ヒートパイプローラ104、駆動ローラ107、および従動ローラ108は、搬送方向Aにおいて、検出部102の上流に設けられ、搬送ゴムベルト105(ゴムベルトの一例)を使って用紙を搬送する第1搬送部112(
図1B参照)の一例である。本実施の形態では、ヒートパイプローラ104、駆動ローラ107、および従動ローラ108は、搬送方向Aにおいて、検出部102の上流に設けられているが、検出部102の下流に設けられていても良い。また、ヒートパイプローラ104は、用紙を冷却する冷却部(冷却手段)の一例である。また、ヒートパイプローラ104は、駆動ローラ107の回転駆動により搬送ゴムベルト105(ゴムベルトの一例)を介して回転する従動ローラの一例である。
【0013】
定着ローラ106は、搬送方向Aにおいて、冷却手段の一例であるヒートパイプローラ104の上流に設けられ、発熱してトナーを用紙に定着させる定着部の一例である。定着ローラ106とヒートパイプローラ104とは、それぞれ別駆動での搬送をしている。
【0014】
図1Bは、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する用紙搬送機構のハードウェア構成の一例を示す図である。
図1Cは、本実施の形態にかかる画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。本実施の形態では、用紙搬送機構は、
図1Bに示すように、制御部110、および第1搬送部112を有する。第1搬送部112は、搬送ローラ113、および測定部111を有する。搬送ローラ113は、ヒートパイプローラ104、駆動ローラ107、および従動ローラ108を有する。
【0015】
ヒートパイプローラ104は、用紙の熱を吸熱する吸熱部であるヒートパイプと、当該ヒートパイプの熱を放熱する放熱フィンを含む冷却部材である。用紙搬送機構には、当該放熱フィンからの放熱効率を高めて、ヒートパイプローラ104の温度を下げるための気流を発生させる送風ファンである空冷ファンと、当該空冷ファンの回転数を制御する冷却制御部が設けられている。そして、冷却制御部により、空冷ファンの動作(回転数等)を制御して用紙を冷却する。
【0016】
測定部111は、エンコーダおよび透過型センサ701(
図7参照)等を有し、ヒートパイプローラ104の回転数を測定する測定部の一例である。
【0017】
制御部110は、第1搬送部112による用紙の搬送を制御する制御部の一例である。また、制御部110は、測定部111による測定されるヒートパイプローラ104の回転数に基づいて、第1搬送部112による用紙の搬送線速を制御する。本実施の形態では、制御部110は、
図1Cに示すように、検知時間算出部110a、回数算出部110b、平均値算出部110c、補正部110d、および異常検出部110eを有する。検知時間算出部110aは、測定部111によって検知するヒートパイプローラ104の回転数を示す信号に基づいて、フィラー702(
図7参照)のフィラー検知回数を算出する。検知時間算出部110aは、フィラー702の1回目の検知から、フィラー702の2回目の検知までの時間(検知時間)を取得する。回数算出部110bは、検知時間が狙いの時間に対して目標範囲内となった検知回数を算出する。平均値算出部110cは、検知回数が所定回数以上である場合、取得した検知時間の平均値を算出する。補正部110dは、算出した平均値の狙いの時間に対する補正値を算出し、その補正値に基づいて、第1搬送部112の駆動部(駆動ローラ107)の回転数の設定値を変更することで、第1搬送部112による用紙の搬送線速を制御する。これにより、搬送ゴムベルト105に部品差および経時での変動があった場合でも、用紙が通る表面の線速バラツキを測定し、狙いの線速に補正することが可能となる。その結果、搬送ゴムベルト105をヒートパイプローラ104の駆動を使用した用紙搬送手段の線速の安定性を高めることができかつ画像の位置および用紙等の検出機能を高精度化できる。さらに、制御部110は、測定部111により測定されるヒートパイプローラ104の回転数に基づいて、検出下流ローラ101および検出上流ローラ103による用紙の搬送を制御しても良い。また、測定部111で検出した結果が狙いに対して大きく外れていた場合は、異常検出部110eは、異常処理することで第1搬送部112の異常を検出しても良い。具体的には、異常検出部110eは、検知時間が狙いの時間に対して目標範囲内にならなかった非検知回数を算出する。そして、異常検出部110eは、非検知回数が所定回数に達した場合、異常処理として、第1搬送部112の異常を検出しても良い。
【0018】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置における画像の位置の検出方法の一例を説明するための図である。検出部102では、搬送中の用紙における、用紙先端から画像先端までの到達時間の差、および用紙後端から画像後端までの到達時間の差を測定している。そして、検出部102は、各到達時間に、狙いの線速を乗算することにより、用紙先端から画像先端までの距離、および用紙後端から画像後端までの距離を算出し、用紙上における画像の位置を検出している。
【0019】
そのため、検出部102は、検出中の用紙の線速が狙いの線速に対して遅い場合、実際の画像よりも長い画像が検出され、検出中の用紙の線速が狙いの線速に対して速い場合、実際の画像よりも短く画像が検出される。よって、用紙の線速がずれることが、画像の位置の検出精度に影響を与えてしまう。そのため、用紙線速の変動を減らすことが求められている。
【0020】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置における冷却部の一例を説明するための図である。本実施の形態にかかる画像形成装置では、搬送ゴムベルト105の内側に駆動ローラ107および従動ローラ108が設置されている。そして、搬送ゴムベルト105に対して、大径のヒートパイプローラ104を巻き付けることにより、搬送ゴムベルト105とヒートパイプローラ104とのニップを形成している。ヒートパイプローラ104を搬送ゴムベルト105に巻き付けることで、ヒートパイプローラ104とゴムローラとのニップよりも広いニップが作れるため、より長く用紙とヒートパイプローラ104が接触して高い冷却性能を達成することができる。
【0021】
しかし、搬送ゴムベルト105には薄いゴムベルトを駆動部として使用しているため、下記の表1に示すように、回転ムラ、環境、経時変化、部品差等によって、用紙の線速のばらつき(線速バラツキ)が発生する場合がある。
【表1】
【0022】
薄い搬送ゴムベルト105を使用した搬送を行う場合、回転ムラ、環境、経時変化、部品差等によって線速バラツキが発生する理由としては、搬送ゴムベルト105の厚みと周長等の部品差が発生するためである。また、環境、経時変化によっても、搬送ゴムベルト105の膨張および摩耗等が変化するためである。
【0023】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成装置において線速バラツキが発生することで用紙の線速に影響が出る理由の一例を説明するための図である。検出上流ローラ103とヒートパイプローラ104との間で用紙の線速に差(線速差)が発生した場合、検出上流ローラ103での用紙の線速の方が速い場合は、検出上流ローラ103とヒートパイプローラ104間で用紙の引張合が発生して、用紙の線速に影響が出る。
【0024】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成装置における線速の評価結果の一例を示す図である。
図5において、縦軸は、線速を表し、横軸は、時間を表す。線速差が大きい程、用紙の引張合の力を大きくなり、用紙後端がヒートパイプローラ104を抜けた際に用紙の線速が大きく変動してしまう。そのため、画像の位置の検出結果が、狙いの位置に対してずれた結果となってしまう。そのため、搬送方向Aにおける上下流のローラは、この線速変動が発生しないように線速差を調整する必要がある。
【0025】
図6は、本実施の形態にかかる画像形成装置における線速差の許容値と線速変動のピーク高さとの関係の一例を示す図である。
図6において、縦軸は、線速変動のピーク高さを表し、横軸は、線速差を表す。線速差の許容値としては、線速変動のピーク高さが3.0%以下となる場合、画像の位置の検出結果にほとんど影響が出ない。そのため、線速差は、0.5%を達成する必要がある。
【0026】
図7は、本実施の形態にかかる画像形成装置における用紙搬送機構の特徴の一例を説明するための図である。上記の目標を達成する方法として、従動ローラの一例であるヒートパイプローラ104に透過型センサ701とフィラー702とを設置し、測定部111によりヒートパイプローラ104の回転数を測定する。そして、制御部110は、測定部111によるヒートパイプローラ104の回転数の測定結果に基づいて、第1搬送部112による用紙の搬送を制御する。これにより、搬送ゴムベルト105に部品差および経時での変動があった場合でも、用紙が通る表面の線速バラツキを測定し、狙いの線速に補正することが可能となる。本構成で、定期的に搬送ゴムベルト105の表面の線速を測定することで、安定的に線速差を調整することが可能となり、高精度な画像の位置検出を行うことが可能となる。
【0027】
また、透過型センサ701を有する測定部111は、ヒートパイプローラ104の1回転毎にその回転数を測定しても良い。これにより、エンコーダのような常に回転数を高精度に測定する手段でなくても、より簡易的な検知する手段でも、回転数を測定して用紙の線速を補正することが可能となる。
【0028】
図8は、本実施の形態にかかる画像形成装置の第1搬送部の線速制御の流れの一例を示すフローチャートである。本実施の形態では、画像形成装置または用紙搬送機構等の機械の電源がオンされるか、またはドア(ドアの具体例を補充して下さい)が閉じられると(ステップS801)、制御部110は、ヒートパイプローラ104を回転させる駆動ローラ107(駆動部)の駆動を開始する(ステップS802)。次に、制御部110は、測定部111によってヒートパイプローラ104の回転数を示す信号を検知する(ステップS803)。
【0029】
次に、検知時間算出部110aは、測定部111により検知した信号に基づいて、フィラー検知回数が2回以上であるか否かを判断する(ステップS804)。フィラー検知回数が2回以上である場合(ステップS804:Yes)、検知時間算出部110aは、フィラー702の1回目の検知から、フィラー702の2回目の検知までの時間(検知時間)を取得する(ステップS805)。そして、回数算出部110bは、検知時間が狙いの時間に対して目標範囲(例えば、±5%)内であるか否かを判断する(ステップS806)。
【0030】
検知時間が狙いの時間に対して目標範囲内である場合(ステップS806:Yes)、回数算出部110bは、検知時間が狙いの時間に対して目標範囲内となった検知回数Naをインクリメントする(ステップS807)。次に、平均値算出部110cは、検知回数Naが所定回数(例えば、5回)に達したか否かを判断する(ステップS808)。
【0031】
検知回数Naが所定回数に達した場合(ステップS808:Yes)、平均値算出部110cは、取得した検知時間の平均値を算出する(ステップS809)。次に、補正部110dは、算出した平均値の狙いの時間に対する補正値を算出する(ステップS810)。さらに、補正部110dは、算出した補正値に基づいて、ヒートパイプローラ104の駆動ローラ107の回転数の設定値を変更する(ステップS811)。その後、制御部110は、駆動ローラ107を停止する(ステップS812)。
【0032】
検知回数Naが所定回数に達していない場合(ステップS808:No)、ステップS803に戻る。検知時間が狙いの時間に対して目標範囲内でない場合(ステップS806:No)、異常検出部110eは、検知時間が狙いの時間に対して目標範囲内にならなかった非検知回数Nbをインクリメントする(ステップS813)。次いで、異常検出部110eは、非検知回数Nbが所定回数(例えば、3回)に達したか否かを判断する(ステップS814)。非検知回数Nbが所定回数に達した場合(ステップS814:Yes)、異常検出部110eは、異常処理として、第1搬送部112の異常を検出し(ステップS815)、ステップS812に進む。非検知回数Nbが所定回数に達していない場合(ステップS814:No)、ステップS803に戻る。
【0033】
このように、本実施の形態にかかる画像形成装置によれば、ヒートパイプローラ104の回転数を測定することで、搬送ゴムベルト105に部品差および経時での変動があった場合でも、用紙が通る表面の線速バラツキを測定し、狙いの線速に補正することが可能となる。その結果、搬送ゴムベルト105をヒートパイプローラ104の駆動を使用した用紙搬送手段の線速の安定性を高めることができかつ画像の位置および用紙等の検出機能を高精度化できる。
【0034】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0035】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 用紙上の画像の位置および用紙の長さの少なくとも一方を測定する検出部と、
用紙の搬送方向において前記検出部の上流または下流に設けられ、ゴムベルトを使って用紙を搬送する第1搬送部と、
前記搬送方向において前記第1搬送部の上流に設けられ、用紙にトナーを定着する定着部と、
前記第1搬送部による用紙の搬送を制御する制御部と、を備え、
前記第1搬送部は、駆動ローラと、当該駆動ローラの回転駆動により前記ゴムベルトを介して回転する従動ローラと、前記従動ローラの回転数を測定する測定部と、を備え、
前記制御部は、前記測定部により測定される前記回転数に基づいて、前記第1搬送部による用紙の搬送線速を制御する、画像形成装置。
【0036】
<2> 前記第1搬送部は、前記搬送方向において前記検出部の上流に設けられ、
前記定着部は、前記搬送方向において前記第1搬送部の上流に設けられる、<1>に記載の画像形成装置。
【0037】
<3> 前記第1搬送部は、用紙を冷却する冷却部を有する、<1>または<2>に記載の画像形成装置。
【0038】
<4> 前記搬送方向において前記検出部の上流および下流に設けられ、ローラのみで用紙を搬送する第2搬送部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、前記測定部により測定される前記回転数に基づいて、前記ローラによる用紙の搬送を制御する、<1>から<3>のいずれか一に記載の画像形成装置。
【0039】
<5> 前記測定部は、前記従動ローラの1回転毎に前記回転数を測定する、<1>から<4>のいずれか一に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0040】
101 検出下流ローラ
102 検出部
103 検出上流ローラ
104 ヒートパイプローラ
105 搬送ゴムベルト
106 定着ローラ
107 駆動ローラ
108 従動ローラ
110 制御部
110a 検知時間算出部
110b 回数算出部
110c 平均値算出部
110d 補正部
110e 異常検出部
111 測定部
112 第1搬送部
701 透過型センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】