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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104319
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】アンテナ装置、及び、無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20240729BHJP
   H01P 1/18 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01P1/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008457
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】奥田 崚太
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA06
5J047AA13
5J047EF01
(57)【要約】
【課題】液晶層を紫外線から保護できるアンテナ装置、及び、無線通信装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、窓ガラスの主面に配置される、又は、前記主面から離間して配置されるアンテナと、前記アンテナに対する前記窓ガラスとは反対側、又は、前記窓ガラスと前記アンテナとの間に設けられる液晶移相器と、前記液晶移相器よりも屋外側に配置される第1粘着層とを含み、前記液晶移相器は、液晶層と、前記液晶層を挟む第1基材及び第2基材とを有し、前記第1基材は、前記液晶層と前記第1粘着層との間に設けられており、前記第1粘着層は、波長が400nmの光に対する光学濃度が1以上であり、前記第1粘着層の屋内側の表面と前記液晶層の屋内側の表面との間の厚さをtとすると、前記第1粘着層の外縁の少なくとも一部は、平面視で前記液晶層の外縁よりも3t以上外側に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスの主面に配置される、又は、前記主面から離間して配置されるアンテナと、
前記アンテナに対する前記窓ガラスとは反対側、又は、前記窓ガラスと前記アンテナとの間に設けられる液晶移相器と、
前記液晶移相器よりも屋外側に配置される第1粘着層と
を含み、
前記液晶移相器は、液晶層と、前記液晶層を挟む第1基材及び第2基材とを有し、
前記第1基材は、前記液晶層と前記第1粘着層との間に設けられており、
前記第1粘着層は、波長が400nmの光に対する光学濃度が1以上であり、
前記第1粘着層の屋内側の表面と前記液晶層の屋内側の表面との間の厚さをtとすると、
前記第1粘着層の外縁の少なくとも一部は、平面視で前記液晶層の外縁よりも3t以上外側に位置する、アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1粘着層の平面視における上側の外縁の全体は、前記液晶層の平面視における上側の外縁よりも3t以上外側に位置する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1粘着層の平面視における前記上側の外縁以外の2辺の外縁は、前記液晶層の平面視において対応する2辺の外縁よりも2t以上外側に位置し、
前記液晶移相器は、前記液晶層の前記上側の外縁、及び、前記対応する2辺の外縁以外の外縁に、液晶を注入するための注入口を有する、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記注入口は、前記液晶層の下側の外縁に位置し、
前記液晶層の前記対応する2辺の外縁は、側方の外縁である、請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナは、透明である、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記液晶移相器は、前記第1粘着層の外縁が前記液晶層の外縁よりも外側に位置する部分と平面視で重なる部分に、前記液晶層を封止する封止部を有する、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記封止部は、平面視で前記第1粘着層の外縁よりも内側に位置する、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記液晶移相器に対する前記第1粘着層とは反対側に設けられる第2粘着層をさらに含み、
前記第2粘着層は、波長が400nmの光に対する光学濃度が1以上である、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第2粘着層の外縁の少なくとも一部は、平面視で前記第1粘着層の外縁よりも内側に位置する、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第2粘着層の外縁は、前記液晶移相器の外縁よりも外側にある、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第2粘着層の光学濃度は、前記第1粘着層の光学濃度よりも低い、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記第2粘着層の厚さは、前記第1粘着層の厚さよりも薄い、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記アンテナは、前記窓ガラスの屋内側に設けられ、
前記液晶移相器は、前記アンテナに対する前記窓ガラスとは反対側に設けられる、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のアンテナ装置と、
前記アンテナ装置に接続される伝送路と、
前記伝送路を介して前記アンテナ装置に接続される無線通信部と
を含み、
前記伝送路は、前記アンテナ装置の前記窓ガラス側とは反対側の部分に接続される、無線通信装置。
【請求項15】
前記アンテナは、前記窓ガラスの屋内側に設けられ、
前記液晶移相器は、前記アンテナに対する前記窓ガラスとは反対側に設けられ、
前記液晶移相器は、前記液晶層と前記第1基材との間に設けられるグランド層を有し、
前記グランド層は、平面視で前記アンテナと重なる位置に、スロットを有し、
前記スロットは、前記伝送路と結合される、請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項16】
前記第1粘着層に対して第1基材とは反対側に設けられる第3基材をさらに含み、
前記アンテナは、前記窓ガラスの屋内側に設けられ、
前記液晶移相器は、前記アンテナに対する前記窓ガラスとは反対側に設けられ、
前記液晶移相器は、前記第1粘着層と前記第3基材との間に設けられるグランド層を有し、
前記グランド層は、平面視で前記アンテナと重なる位置に、スロットを有し、
前記スロットは、前記伝送路と結合される、請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項17】
前記アンテナ装置は、前記窓ガラスと前記アンテナとの間に設けられる整合層をさらに含む、請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項18】
前記無線通信部は、前記窓ガラスの窓枠、又は、前記窓ガラスの周囲の構造物に設けられる、請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項19】
前記アンテナは、フェーズドアレイアンテナである、請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項20】
前記アンテナが送信又は受信する電波は、Sub-6、又は、ミリ波帯の電波である、請求項14に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置、及び、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、平面状の連続的に操縦可能な位相アレーアンテナであって、給電ネットワーク、電極を含む少なくとも1つの移相器、バイアスネットワーク、少なくとも2つの放射素子を含み、前記移相器が電子式可変誘電体材料を含む、位相アレーアンテナがある。電子式可変誘電体層は、液晶および/またはチタン酸バリウムストロンチウムである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014-531843号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液晶は紫外線によって劣化する。しかしながら、従来の透明位相アレーアンテナ(アンテナ装置)は、液晶層を紫外線から保護することは行っていない。
【0005】
そこで、液晶層を紫外線から保護できるアンテナ装置、及び、無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態のアンテナ装置は、窓ガラスの主面に配置される、又は、前記主面から離間して配置されるアンテナと、前記アンテナに対する前記窓ガラスとは反対側、又は、前記窓ガラスと前記アンテナとの間に設けられる液晶移相器と、前記液晶移相器よりも屋外側に配置される第1粘着層とを含み、前記液晶移相器は、液晶層と、前記液晶層を挟む第1基材及び第2基材とを有し、前記第1基材は、前記液晶層と前記第1粘着層との間に設けられており、前記第1粘着層は、波長が400nmの光に対する光学濃度が1以上であり、前記第1粘着層の屋内側の表面と前記液晶層の屋内側の表面との間の厚さをtとすると、前記第1粘着層の外縁の少なくとも一部は、平面視で前記液晶層の外縁よりも3t以上外側に位置する。
【発明の効果】
【0007】
液晶層を紫外線から保護できるアンテナ装置、及び、無線通信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のアンテナ装置を含む無線通信装置が設けられた窓を設置した建物の一例を平面視で示す図である。
図2】実施形態のアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
図3図2のA-A矢視断面に含まれる構成要素のうちのアンテナ、液晶移相器、第1粘着層、第2粘着層、及び2つの基材の断面構成の一例を示す図である。
図4】無線装置の回路構成の一例を示す図である。
図5A】建物の窓に設けられる窓ガラスを透過して屋内側に入射する太陽光と太陽高度の関係の一例を説明する図である。
図5B図5Aにおける窓ガラスを拡大し、比較用のアンテナ装置の液晶移相器、第1粘着層、第2粘着層、及び、2つの基材を配置した状態の一例を示す図である。
図5C図5Bの一部を拡大して示す図である。
図6A】実施形態のアンテナ装置の第1粘着層の構成の一例を説明する図である。
図6B】実施形態のアンテナ装置の第1粘着層の構成の一例を説明する図である。
図7】実施形態のアンテナ装置の第1粘着層の上端の位置の計算例を説明する図である。
図8図3に示す断面構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のアンテナ装置、及び、無線通信装置を適用した実施形態について説明する。以下では、同一の要素に同一の号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
【0010】
以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。XYZ座標系は、直交座標系の一例である。また、以下では構成が分かりやすくなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。また、平行、直角、直交、水平、垂直、上下等の文言は、実施形態の効果を損なわない程度のずれを許容するものとする。
【0011】
また、以下の説明で、「電波」とは電磁波の一種であり、一般的に、3THz以下の電磁波は電波と呼ばれている。以下では、屋外の基地局又は中継局から放射された3THz以下の電磁波を「電波」と呼び、電磁波一般について言及するときは「電磁波」と呼ぶ。
【0012】
実施形態のアンテナ装置を含む無線通信装置が中継する電波は、Sub-6の周波数帯や第五世代移動通信システム(5G)等のミリ波帯を含む1GHz~40GHzの周波数帯域の電波であると好適である。実施形態のアンテナ装置を含む無線通信装置は、屋外の基地局等から到来する電波を屋内に中継する中継機として機能する。また、中継機は、屋外の基地局等から到来する電波を受信し、基地局等から到来した電波の通信規格とは異なる通信規格の電波に変換して屋内に中継する機能を有していてもよい。
【0013】
また、実施形態のアンテナ装置を含む無線通信装置が中継する電波は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、UMB(Ultra Mobile Broadband)、又はCBRS(Citizens Broadband Radio Service)であってもよい。また、実施形態の無線通信装置が中継する電波は、IEEE802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE802.20、UWB(Ultra-Wideband)、Bluetooth(登録商標)、又はLPWA(Low Power Wide Area)等であってもよい。
【0014】
実施形態のアンテナ装置は、中継機として利用可能な無線通信装置に含まれ、アンテナで受信する電波の電力(受信電力)が最大になる整合層を容易に選択可能にする構成を有する。以下、その詳細について説明する。受信電力は、電波の強度(受信強度)と同義である。
【0015】
<実施形態>
図1は、実施形態のアンテナ装置を含む無線通信装置200が設けられた窓10を設置した建物1の一例を平面視で示す図である。図1には、建物1及び無線通信装置200の他に、基地局BS、PC(Personal Computer)50、及びスマートフォン60を示す。
【0016】
建物1は、戸建住宅、ビル、又はマンション等の他に、ショッピングモールやデパート等の商業施設、空港、工場、電力施設、庁舎、駅(駅舎)、又はバス停の建屋等であってもよい。窓10は、これらの建物1に用いられる。窓10は、窓ガラスと窓枠(建物1側の窓枠)とを含む。無線通信装置200は、中継機としての機能を有する。
【0017】
無線通信装置200のアンテナは、窓10の窓ガラスに設けられていることが好ましく、アンテナ以外の部分は、窓10又は窓10の付近の壁1Aや出窓のフレーム等に設けられていてもよい。無線通信装置200のアンテナとは、無線通信装置200に含まれる実施形態のアンテナ装置のアンテナである。また、無線通信装置200のアンテナ以外の部分は、窓10の付近の壁1A、天井、又は出窓のフレーム等に固定されていなくてもよく、例えば、平坦な場所等に置かれているだけでもよい。
【0018】
屋外の基地局BSから放射されるSub-6の周波数帯や第五世代移動通信システム(5G)等のミリ波帯の電波は、建物1の窓10の窓ガラスのみを通って屋内に入るが、高い直進性を有するために、屋内の一部にしか到達せず、不感地帯が発生しやすくなる。窓10の窓ガラスは、建物1における電波の侵入口である。
【0019】
Sub-6の周波数帯や第五世代移動通信システム(5G)等のミリ波帯の電波は、屋内での良好な通信環境を整えることが難しいため、窓10に無線通信装置200のアンテナを設けて受信環境を改善し、通信エリアを拡張する。ここで、窓10に無線通信装置200を設けるとは、上述のように、アンテナは窓ガラスに設けられ、アンテナ以外の部分については、窓10又は窓10の付近の壁1Aや出窓のフレーム等に設けられてもよいことを意味する。無線通信装置200は、電波を中継する際に、窓10の窓ガラスを通じてアンテナで電波を受信し、増幅して屋内に放射する。図1では、無線通信装置200は窓10の屋内側に配置されているが、窓10の屋外側に配置されていてもよい。
【0020】
無線通信装置200は、窓10の外から到来する電波を中継する際に、受信した電波を増幅し、増幅した電波をアレイアンテナ等で所定の放射角で屋内に放射する。増幅された電波は、屋内の広い範囲に放射されるので、屋内の端末での電波の受信が容易になる。
【0021】
一例として、無線通信装置200は、電波を中継する際に、複数の周波数の電波を受信し、増幅して放射してもよい。複数の周波数の電波を中継することにより、増幅された電波を屋内のさらに広い範囲に放射したり、通信性能を向上させたりすることができる。
【0022】
また、Sub-6の周波数帯や第五世代移動通信システム(5G)等のミリ波帯の電波が窓10の窓ガラスを透過する際には、電波が減衰する。電波の減衰(損失)を抑制するためには、整合層を用いることが好ましい。整合層を用いれば、無線通信装置200が電波を中継する際に、窓ガラスを透過する前又は後で電波の電気長を調整してインピーダンスを整合させることで、損失を低減することができる。
【0023】
<無線通信装置200及び窓10の構成>
図2は、無線通信装置200及び窓10の構成の一例を示す図である。無線通信装置200は、アンテナ装置100を含み、窓10に取り付けられる。窓10は、窓ガラス11と、窓枠12とを含む。
【0024】
ここでは、窓10の構成、無線通信装置200の構成と窓10への取り付け構造、及び、アンテナ装置100の構成の順番に説明する。
【0025】
<窓10の構成>
以下では、一例として、窓10がFIX窓(fixed window)である形態について説明するが、開閉自在な引き違い窓、又は開き窓等であってもよい。また、窓枠によって保持される窓ガラス11は、1枚又は複数枚のいずれであってもよい。
【0026】
窓ガラス11は、屋内側の主面11Aと、屋外側の主面とを有する。窓ガラス11は、一般的に入手可能なガラスでよく、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス等を用いることができる。また、窓ガラス11は、ガラス板に限定されずポリカーボネート又はアクリル等の樹脂製の面材等であってもよい。
【0027】
窓枠12は、窓ガラス11の縁を囲む額縁状の部材であり、アルミニウム等の金属、又は、樹脂等で作製される。以下では、一例として窓枠12が金属製である形態について説明する。
【0028】
窓10の窓ガラス11及び窓枠12は、水平面に対して垂直な壁1Aに設けられている。窓ガラス11の屋内側の主面11Aは窓枠12の屋内側の表面12Aと平行であり、窓ガラス11及び窓枠12の厚さ(Z方向の厚さ)は一定である。
【0029】
<無線通信装置200の構成と窓10への取り付け構造>
無線通信装置200は、アンテナ装置100、導波管170、無線装置210、及びブラケット220を含む。導波管170は、伝送路の一例である。ブラケット220は、固定具の一例である。無線通信装置200は、一例として建物1(図1参照)の屋内側に設けられている。
【0030】
なお、ここでは一例として、無線通信装置200が導波管170を含む形態について説明するが、導波管170の代わりに次のような伝送路を用いてもよい。例えば、同軸ケーブル、又は、ポリイミド製等のフレキシブル基板に形成したマイクロストリップライン(MSL)やコプレーナウェイブガイド(CPW)等の伝送線路を有するFPC(Flexible printed circuits)伝送路を用いてもよい。FPC伝送路は、フレキシブル基板と、フレキシブル基板に形成されたMSLやCPW等の伝送線路とを有する伝送路の一例である。
【0031】
ここでは、無線装置210が取り付けられる窓枠12の屋内側の表面12Aを基準にXYZ座標系を定義している。X軸は第1軸の一例であり、Y軸は第2軸の一例であり、Z軸は第3軸の一例である。X方向は第1軸方向の一例であり、Y方向は第2軸方向の一例であり、Z方向は第3軸方向の一例である。
【0032】
窓枠12の屋内側の表面12Aは、X方向及びY方向を含む面である。表面12Aは、XY平面に平行であり、第1面の一例である。Z方向は、表面12Aから垂直に離間する方向であり、表面12Aの法線の向きである。表面12Aの+Z方向側は、屋内側である。このようなXYZ座標系のY方向は、無線装置210と窓ガラス11とを結ぶ方向である。また、X方向は、無線装置210の窓枠12への固定位置で窓枠12が窓ガラス11の外縁11Eに沿って延在する方向である。無線装置210の窓枠12への固定位置とは、枠状の窓枠12のうち2つのブラケット220が取り付けられる位置であり、図2では、窓枠12のうち、窓ガラス11に対して+Y方向側にあり、X方向に延在する部分である。窓ガラス11の外縁11Eは、窓ガラス11をXY面視(平面視)したとき外側の縁であり、無線装置210の窓枠12への固定位置における窓ガラス11の外縁11Eとは、窓ガラス11の外縁11Eのうち、窓ガラス11に対して+Y方向側にあり、X方向に延在する部分である。なお、ここでは窓ガラス11が平面視で矩形状であり、窓枠12が平面視で枠状(矩形環状)である形態について説明するが、窓ガラス11は平面視で矩形状に限らず、例えば円形又は楕円形等のように、外縁11Eが湾曲している形状であってもよい。この場合に、窓枠12は、このような湾曲した外縁11Eを有する窓ガラス11を囲む枠状の部材であればよい。
【0033】
なお、窓ガラス11を平面視(XY面視)するとは、窓ガラス11を主面と正対する方向から視ることをいい、アンテナ装置100及び無線通信装置200においても、窓ガラス11及び窓枠12に取り付けた状態において、窓ガラス11を主面と正対する方向から視ることを平面視と称す。
【0034】
図2におけるX方向及びZ方向は、水平方向であり、XZ平面は水平面に平行である。Y方向は鉛直方向であり、+Y方向は鉛直上方向であり、-Y方向は鉛直下方向である。以下では、+Y方向側を上側、-Y方向側を下側として説明する。
【0035】
導波管170は、アンテナ装置100と無線装置210との間に2本設けられている。2本の導波管170は、X方向に間隔をおいて、平行に配置されており、互いに等しい長さを有する。アンテナ装置100と無線装置210とのX方向の相対位置は、2本の導波管170によって規定されている。一例として、水平偏波と垂直偏波の2系統の電波(高周波信号)を導くように構成してもよい。
【0036】
導波管170は、アンテナ装置100の液晶移相器130に接続される端部151と、無線装置210に接続される端部(不図示)とを有し、アンテナ装置100によって受信された電波を導く。ここでは、一例として、無線通信装置200が2本の導波管170を含む形態について説明するが、導波管170の数は1本でもよいし、3本以上であってもよい。また、4つのアンテナ110に対応させて4本の導波管170を設けてもよい。なお、導波管170が1本である場合にも、アンテナ装置100と無線装置210との相対位置をX方向においては調整しなくてよいので、アンテナ装置100と無線装置210とのX方向の相対位置は、1本の導波管170によって規定されていることになる。
【0037】
なお、上述のように、導波管170の代わりに、同軸ケーブル又はFPC伝送路を用いることが可能である。この場合には、例えば、アンプのようなRF部品を透明なアンテナ装置100側に搭載してもよい。また、アンテナ装置100と無線装置210とのX方向の相対位置は、FPC伝送路によって規定されていることになる。
【0038】
導波管170は、一例として折り曲げ可能な導波管であり、アンテナ装置100の液晶移相器130から+Z方向側に延在し、+Y方向に折り曲げられて、無線装置210の下端に延在している。導波管170は、殆ど伸縮しないが、端部151と、無線装置210に接続される端部との間の任意の位置で折り曲げ可能である。このような折り曲げ可能な導波管170としては、例えばフレキシブル導波管を用いることができる。
【0039】
無線装置210は、窓枠12の屋内側の表面12Aに取り付けられる2つのブラケット220に対して、ネジ240によって固定されている。すなわち、無線装置210は、2本のネジ240と、2つのブラケット220とによって窓枠12の屋内側の表面12Aに取り付けられている。ネジ240は、無線装置210の筐体231からX方向に突出する突起部の一例である。なお、ネジ240の代わりに、筐体231に一体的に形成され、X方向に突出する突起部を設けてもよい。
【0040】
無線装置210は、アレイアンテナ210A及び放熱部210Bと、筐体231との他に、無線通信部を有する。アレイアンテナ210A、放熱部210B、及び無線通信部は、筐体231の内部に配置されている。筐体231は、一例として直方体状の樹脂製のケースである。筐体231は、ネジ240によってブラケット220に固定される。アレイアンテナ210Aは、筐体231内の+Z方向側に設けられており、放熱部210Bは、筐体231内の-Z方向側に設けられている。ここでは、無線通信部を省略する。無線通信部については、図4を用いて後述する。
【0041】
無線通信部は、導波管170の端部(無線装置210に接続される端部)に接続されており、導波管170を介してアンテナ装置100から受信した電波を増幅してアレイアンテナ210Aに出力する処理や、アレイアンテナ210Aが電波を放射する放射方向を制御する処理等を行う。このため、無線通信部は、増幅器やマイクロコンピュータ等を含む。また、無線通信部は、放熱部210Bに対して熱伝導可能に接続されており、放熱部210Bを介して放熱する。
【0042】
放熱部210Bは、無線装置210がブラケット220によって窓枠12に取り付けられた状態で、窓枠12の屋内側の表面12Aに対向する。このため、無線通信部が発する熱を放熱部210Bから窓枠12に放熱することができる。なお、放熱部210Bと窓枠12との間に、熱伝導性の高い部材を設けてもよい。
【0043】
ブラケット220は、一例として、両面テープを介して、図2に示すように窓枠12の屋内側の表面12Aに固定されている。ブラケット220は、樹脂又は金属等で作製されている。ブラケット220は、無線装置210の筐体231の+X方向側と-X方向側とに1つずつ設けられており、無線装置210の±X方向側の端部を挟むように1つずつ配置されている。なお、ブラケット220は、窓枠12に対してネジ等で固定してもよい。特に、窓枠12の表面12Aが平坦面ではない場合や、材質的に両面テープでは固定し難い場合等に、ネジでの固定が有効的である。
【0044】
ブラケット220は、平板部220P、リブ220R、及びガイド溝221を有する。ガイド溝221は、ガイド部の一例である。平板部220Pは、YZ平面に略平行な平板状の部分である。平板部220Pは、YZ面視で略台形の形状を有する。平板部220Pには、YZ面視でX字型のガイド溝221が形成されている。リブ220Rは、YZ平面に略平行な平板部220Pの周囲と、ガイド溝221の近傍とに補強のために形成されている。
【0045】
ガイド溝221は、平板部220PをX方向に貫通するX字型の溝である。ガイド溝221のX字形状は、YZ面視でY軸及びZ軸に対して45度の角度をなす4つの方向に延在している。
【0046】
無線通信装置200を窓10に取り付ける場合に、建物1(図1参照)の屋内側に配置した方が、風雨や塵埃等から保護しやすく、長期にわたって安定的に稼働させることができる。このため、無線通信装置200を屋内に配置する。
【0047】
また、無線通信装置200を窓10に取り付ける場合に、アンテナ装置100は、窓ガラス11を透過する電波を効率的に受信するために、窓ガラス11と重なる部分に設けることが好ましい。このため、実施形態では、一例として、アンテナ装置100の各部を透明な構成として、アンテナ装置100を窓ガラス11に貼り付けることで、屋外から伝搬する電波の効率的な受信と、窓ガラス11の視界の妨害の抑制とを実現している。
【0048】
一方、無線装置210は、増幅処理やアレイアンテナ210Aの制御等によって増幅器やマイクロコンピュータ等が発熱するため、窓ガラス11に貼り付けると、熱によって窓ガラス11の損傷や破損が生じる可能性がある。また、無線装置210自体を光の透過性を有する構成にすることは難しい。このような理由から、無線装置210は窓枠12に取り付ける方が都合がよい。特に、窓枠12が金属製である場合は、窓枠12を介して無線装置210が発する熱を放熱することが可能である。
【0049】
以上のような理由から、実施形態では、アンテナ装置100を窓ガラス11に取り付け、無線装置210を窓枠12に取り付ける。ここでは、一例として、窓ガラス11及び窓枠12の上側(+Y方向側)にアンテナ装置100及び無線装置210をそれぞれ取り付ける形態について説明する。しかしながら、窓ガラス11及び窓枠12の下側(-Y方向側)又は横側(+X方向側又は-X方向側)にアンテナ装置100及び無線装置210をそれぞれ取り付ける形態においても同様である。
【0050】
なお、ここでは、無線装置210が窓枠12に設けられる形態について説明するが、無線装置210は、窓ガラス11の近くに位置する壁等の構造部に設けられていてもよい。また、無線装置210は、窓付近の机や、出窓のフレーム等に設けられていてもよい。
【0051】
<アンテナ装置100の構成>
アンテナ装置100は、アンテナ110、整合層120、液晶移相器130、及びホルダ160を含む。ホルダ160は、保持部の一例である。アンテナ110は、1つであってもよいが、ここでは一例として、MIMO(Multi Input Multi Output)通信が可能な構成として、複数のアンテナ110を含む構成について説明する。図2では、アンテナ110は、一例として、4つある。
【0052】
アンテナ110、整合層120、及び液晶移相器130を保持するホルダ160は、一例として、両面テープによって、窓ガラス11の屋内側の主面11Aに接着される。一例として、このような構成で、アンテナ装置100は、窓ガラス11に対する屋内側に配置される。なお、ホルダ160は、アンテナ110、整合層120、及び液晶移相器130の他に、図示を省略する基材や粘着層等を保持するが、図2では省略する。このような基材や粘着層等については、図3を用いて後述する。
【0053】
なお、アンテナ装置100は、窓ガラス11の屋外側に設けられていてもよい。この場合は、窓ガラス11の屋外側の主面にホルダ160を両面テープ等で固定し、屋外側から窓ガラス11の屋外側にかけて、整合層120、アンテナ110、及び液晶移相器130が位置する構成にすればよい。
【0054】
<アンテナ110>
アンテナ110は、窓ガラス11の屋内側に配置され、一例として、窓ガラス11から離間して配置されている。アンテナ110は、整合層120及び液晶移相器130とともにホルダ160によって保持されることで、窓ガラス11から離間して配置されている。
【0055】
なお、一例として、アンテナ装置100が整合層120を含まない場合に、窓ガラス11の屋内側の主面11Aにアンテナ110が直接貼り付けられた構成であってもよい。
【0056】
4つのアンテナ110の構成は互いに等しく、窓ガラス11の主面11Aからの距離は互いに等しい。各アンテナ110は、一例として、フェーズドアレイアンテナで実現可能である。フェーズドアレイアンテナは、複数のアンテナエレメントを有する。
【0057】
4つのアンテナ110は、液晶移相器130及び導波管170を介して無線装置210に接続されている。アンテナ110と液晶移相器130とは電磁界的に結合しているため、液晶移相器130及び無線装置210の間は、電波を伝送可能な伝送路で接続すればよく、一例として導波管170で接続されている。
【0058】
4つのアンテナ110は、窓ガラス11及び整合層120を透過した電波を受信する。また、4つのアンテナ110が放射する電波は、整合層120及び窓ガラス11を透過して建物1の屋外に送信される。
【0059】
アンテナ110は、屋外の基地局BS等から放射される電波を受信する。アンテナ110は、一例として、基板111の-Z方向側の表面に形成されている。基板111は、透明であることが好ましい。透明とは、ここでは可視光に対して透明であることをいう。
【0060】
アンテナ110は、窓ガラス11の近くに配置されることが好ましい。窓ガラス11に近い方が電波を受信しやすいからである。アンテナ110と窓ガラス11の屋内側の主面11Aとの間のZ方向の距離は、一例として、10mm~50mm程度であることが好ましく、20mm~30mmであることがより好ましい。
【0061】
基板111は、屋外の基地局から放射される電波に対して透明で、かつ、アンテナ110を担持することのできる任意の材料で形成されている。「透明」とは、視感透過率が少なくとも40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上であることをいう。一例として、基板111に樹脂基材を用いる。上記の条件を満たす樹脂材料として、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)等を用いることができる。また、基板111は、ガラス板であってもよい。
【0062】
アンテナ110は、導体で形成される。アンテナ装置100は窓10と重ねて配置されるため、アンテナ110は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化インジウム・酸化スズ(IZO)等の透明導電膜、窒化チタン(TiN)や窒化クロム(CrN)等の金属窒化物、又はLow-e(low emissivity)ガラス用のLow-e膜で形成されるのが望ましい。しかしながら、アンテナ110は、銅、ニッケル、又は金等の金属薄膜で形成されていてもよい。金属薄膜の場合は、メッシュ状にしておくことが視認性の観点から好ましい。
【0063】
<整合層120>
整合層120は、窓ガラス11の屋内側に取り付けられたホルダ160によって保持されている板状の部材である。整合層120は、一例として、上端側及び下端側がホルダ160によって保持されている。
【0064】
整合層120は、窓ガラス11と4つのアンテナ110との間に配置されており、ホルダ160によって窓ガラス11から所定距離の位置で保持されている。整合層120は、窓ガラス11側を向く表面、及び、屋内側を向く表面を有する。整合層120は、窓ガラス11側の表面が窓ガラス11の屋内側の主面11Aから所定距離だけ離れた位置に配置されている。
【0065】
整合層120は、アンテナ110に入射する電波の電気長を調整して、インピーダンスを整合させるために設けられている。整合層120は、屋外の基地局から放射される電波に対して透明な材料で作製されていればよい。「透明」とは、視感透過率が少なくとも40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上であることをいう。整合層120は、一例として、ポリカーボネート、アクリル、COP(シクロオレフィンポリマー)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリスチレン、又はガラス等で作製可能である。
【0066】
整合層120は、撓みの発生を抑制する観点から、1mm以上の厚さを有することが好ましい。整合層120が撓むと、電波の電気長を調整する特性がXY面内で不均一になり、インピーダンスの整合度合にばらつきが生じるおそれがあるからである。
【0067】
整合層120のZ方向の厚さは、一例として、全体において一定である。整合層120の厚さは、視感透過率を高くする観点からは、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましい。また、整合層120の厚さは、2mm~12mmであることがさらに好ましい。整合層120は、1枚であってもよいが、複数枚を重ねた構成、又は、複数枚を間隔を空けて配置した構成であってもよい。
【0068】
整合層120と窓ガラス11との間隔は、0mmよりも大きく、40mm以下の範囲で調整可能であると好ましく、1mm以上で30mm以下の範囲で調整可能であることがさらに好ましい。
【0069】
整合層120は、アンテナ110に入射する電波の電気長を調整するため、比誘電率によって実効厚さが異なる。比誘電率によって電波の波長の短縮効果の度合が異なるからである。このため、整合層120の実効厚さについては、電波のインピーダンスを整合させる観点からは、インピーダンスを整合可能な適切な実効厚さにすればよい。
【0070】
また、整合層120は、XY面視でアンテナ110に対向可能なサイズを有する。XY面視でアンテナ110に対向可能なサイズとは、XY面視においてアンテナ110よりも大きく、アンテナ110から放射される電波のうち、放射強度が無線通信に必要な強度以上の領域をカバーできるサイズをいう。
【0071】
<液晶移相器130>
液晶移相器130は、アンテナ110の+Z方向側に設けられており、アンテナ110及び整合層120とともにホルダ160によって保持されている。液晶移相器130については、図2に加えて図3を用いて説明する。
【0072】
図3は、図2のA-A矢視断面に含まれる構成要素のうちのアンテナ110、液晶移相器130、第1粘着層140A、第2粘着層140B、基材150A及び150Bの断面構成の一例を示す図である。基材150Aは、第3基材の一例である。また、図3には、フェーズドアレイアンテナで構成されるアンテナ110が有する複数のアンテナエレメント110Aのうちの1つを示す。図3では、窓ガラス11、整合層120、及びホルダ160を省略する。
【0073】
液晶移相器130は、アンテナ110と導波管170との間に設けられている。液晶移相器130は、第1基材131、第2基材132、液晶層133、及びシーラント135を有する。シーラント135は、封止部の一例である。第1基材131及び第2基材132は、液晶層133を挟んでいる。換言すれば、液晶層133の両面に第1基材131及び第2基材132が設けられている。また、液晶移相器130は、一例として平面視で矩形状である。このため、液晶層133は、平面視で矩形状であり、四辺を有する。換言すれば、平面視における液晶層133の外縁は矩形状であり、四辺を有する。なお、液晶移相器130の平面視における形状は矩形状に限らず、湾曲した辺を有する形状等の様々な形状であってよい。これは、液晶層133についても同様である。
【0074】
第1基材131は、+Z方向側の表面にグランド層131Aを有する。グランド層131Aは、複数のスロット131A1を有する。グランド層131Aは、第1基材131と液晶層133との間に設けられている。図3には、複数のスロット131A1のうちの1つを示す。
【0075】
複数のスロット131A1は、一例として、平面視でアンテナ110が有する複数のアンテナエレメント110Aにそれぞれ対応して設けられている。スロット131A1は、各アンテナエレメント110Aの+Z方向側に1つずつ設けられている。各アンテナエレメント110Aと各スロット131A1は電磁界的に結合している。
【0076】
第2基材132は、-Z方向側の表面に複数のマイクロストリップライン132Aを有する。マイクロストリップライン132Aは、第2基材132と液晶層133との間に設けられている。図3には、複数のマイクロストリップライン132Aのうちの1つを示す。複数のマイクロストリップライン132Aは、複数のスロット131A1に対応してそれぞれ設けられている。マイクロストリップライン132Aは、各スロット131A1の+Z方向側に1つずつ設けられている。各マイクロストリップライン132Aは、各スロット131A1と電磁界的に結合している。また、各マイクロストリップライン132Aは、導波管170に接続されており、導波管170を介して無線装置210(図2参照)に接続されている。
【0077】
第1基材131及び第2基材132は、透明であればよく、一例としてガラス板で構成される。第1基材131及び第2基材132は、屋外の基地局から放射される電波に対して透明で、かつ、液晶層133を担持することのできる材料で形成されていればよい。「透明」とは、視感透過率が少なくとも40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上であることをいう。また、第1基材131及び第2基材132として樹脂基材を用いてもよい。樹脂材料として、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)等を用いることができる。
【0078】
また、液晶層133のスロット131A1及びマイクロストリップライン132Aが1つずつ設けられている領域には、液晶層133に電圧を印加する電極(図示を省略)が配置されている。このような電極は、スロット131A1及びマイクロストリップライン132Aの数と同じ数だけ設けられている。各電極に別々に電圧を印加することで、液晶層133の液晶の誘電率を変化させることができる。
【0079】
このような液晶層133は、第1基材131及び第2基材132の端部をシーラント135で封止した状態で、シーラント135の一部に設けられる注入口から、第1基材131、第2基材132、及びシーラント135で封止された内部空間に液晶の分子を注入し、注入口を封じることによって作製される。液晶としては、例えば、特許第6158169号に記載された液晶を用いることができる。また、液晶は、電界の印加によって誘電率が変化する液晶であればよく、特許第6158169号に記載された液晶以外の液晶であってもよい。なお、注入口は、一例として、平面視で矩形状の液晶層133の下端の側面に設ければよい。
【0080】
液晶移相器130は、アンテナ装置100が電波を送信する際には、アンテナ110の複数のアンテナエレメント110Aから放射する電波の位相をシフト(移相)するために、各スロット131A1と各マイクロストリップライン132Aとの間の部分の誘電率が設定される。
【0081】
また、液晶移相器130は、アンテナ装置100が電波を受信する際には、アンテナ110の複数のアンテナエレメント110Aで受信する電波の位相をシフト(移相)して無線装置210に伝送するために、各スロット131A1と各マイクロストリップライン132Aとの間の部分の誘電率が設定される。
【0082】
なお、図3に示すように、第1基材131のZ方向の厚さと、液晶層133のZ方向の厚さとの合計の厚さをtとする。一例として、第1基材131の厚さは300μm、液晶層133の厚さは8.6μmである。また、第1基材131と窓ガラス11の屋内側の主面11Aとの間の距離は、一例として8mmである。なお、厚さtは、第1粘着層140Aの屋内側の表面と、液晶層133の屋内側の表面との間の厚さであってもよい。
【0083】
<第1粘着層140A及び第2粘着層140B>
第1粘着層140Aは、第1基材131と基材150Aとを接着している。第1基材131の-Z方向側の表面には複数のアンテナエレメント110Aが設けられているため、第1粘着層140Aは、アンテナエレメント110Aが存在しない部分では、第1基材131と基材150Aとを接着し、アンテナエレメント110Aが存在する部分では、アンテナエレメント110Aと基材150Aとを接着している。また、第2粘着層140Bは、第2基材132と基材150Bとを接着している。
【0084】
第1粘着層140A及び第2粘着層140Bとしては、一例として、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、又はシリコーン系粘着剤で構成されるOCA(Optical Clear Adhesive)を用いることができる。第1粘着層140A及び第2粘着層140Bは、屋外の基地局から放射される電波に対して透明であればよい。「透明」とは、視感透過率が少なくとも40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上であることをいう。
【0085】
なお、第1粘着層140A及び第2粘着層140Bは、Sub-6の周波数帯や5G等のミリ波帯の電波を送受信するアンテナ装置100に用いるため、誘電正接が低いことが好ましい。第1粘着層140A及び第2粘着層140Bとして用いるOCAの厚さは、10μm~50μm、特に15μm~35μmであることが、接着性や耐久性の面で好ましい。
【0086】
OCAの材料は、その性質上、低誘電正接と密着力とがトレードオフになることが多い。本実施形態では、低誘電正接と密着力との双方を両立できるような構成となっている点でアンテナ装置100に用いるのに好ましい。液晶層133が外光に暴露されるような用途においては、液晶の保護のため、第1粘着層140A及び第2粘着層140Bとして用いるOCAの波長が400nmの光に対する光学濃度が1以上であることが好ましい。
【0087】
なお、第2粘着層140Bの光学濃度は、第1粘着層140Aの光学濃度よりも低くてもよい。第1粘着層140Aには窓ガラス11を透過した日射が直接的に入射するが、液晶移相器130よりも屋内側に位置する第2粘着層140Bには、屋内で反射した光が入射する。このため、第2粘着層140Bに入射する光の光量は、第2粘着層140Aに入射する光の光量に比べて少ない。このため、第2粘着層140Bの光学濃度は、第1粘着層140Aの光学濃度よりも低くてもよい。
【0088】
また、第2粘着層140Bの厚さは、第1粘着層140Aの厚さよりも薄くてもよい。第2粘着層140Bの厚さが第1粘着層140Aの厚さよりも薄いことで、第2粘着層140Bの光学濃度が第1粘着層140Aの光学濃度よりも低くなっていてもよい。
【0089】
なお、第1粘着層140Aの上端(+Y方向側の端部)は、液晶移相器130の上端(+Y方向側の端部)よりも上方に位置するが、この詳細については、図6A及び図6Bを用いて後述する。
【0090】
<基材150A及び150B>
基材150Aは、第1粘着層140Aの窓ガラス11側(屋外側)に設けられ、第1粘着層140Aによって液晶移相器130の第1基材131に貼り付けられている。基材150Bは、第2粘着層140Bの屋内側に設けられ、第2粘着層140Bによって液晶移相器130の第2基材132に貼り付けられている。
【0091】
基材150A及び150Bは、屋外の基地局から放射される電波に対して透明な任意の材料で形成されている。「透明」とは、視感透過率が少なくとも40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上であることをいう。一例として、基材150A及び150Bに樹脂基材を用いる。樹脂材料としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)等を用いることができる。また、基材150A及び150Bは、ガラス板であってもよい。
【0092】
また、基材150Aは、アンテナ110及び液晶移相器130を保護する保護膜としての機能を有していてもよい。同様に、基材150Bは、液晶移相器130を保護する保護膜としての機能を有していてもよい。また、アンテナ110は、基材150Aの上面又は下面に設けられていてもよい。アンテナ110が基材150Aの上面に設けられる場合には、グランド層131Aの位置を第1基材131の下面から基材150Aの下面に変更してもよい。
【0093】
なお、基材150Aの上端(+Y方向側の端部)は、液晶移相器130の上端(+Y方向側の端部)よりも上方に位置するが、この詳細については、図6A及び図6Bを用いて後述する。
【0094】
<ホルダ160>
ホルダ160は、窓ガラス11の屋内側の主面11Aに取り付けられており、一例として、整合層120の上端及び下端を保持している。ホルダ160は、透明なガラス製又は樹脂製である。透明とは、ここでは可視光に対して透明であることをいう。なお、ホルダ160は、整合層120の上端及び下端を保持する構成に限らず、例えば、+X方向側と-X方向側とを保持する構成であってもよい。
【0095】
ホルダ160は、アンテナ110、整合層120、液晶移相器130、第1粘着層140A、第2粘着層140B、及び、基材150A及び150Bを保持し、整合層120については窓ガラス11から所定距離の位置で保持する。所定距離は、窓ガラス11の屋内側の主面11Aと、窓ガラス11側の表面との間の距離である。また、ホルダ160は、整合層120から所定距離の位置で液晶移相器130、第1粘着層140A、第2粘着層140B、及び、基材150A及び150Bを保持する。
【0096】
<無線装置210>
無線装置210については、図2に加えて図4を用いて説明する。図4は、無線装置210の回路構成の一例を示す図である。図4には、無線装置210の全体の構成のうちの1つのアンテナ110に対応する部分の構成を示す。アンテナ110は、液晶移相器130及び導波管170を介して無線装置210に接続されている。
【0097】
液晶移相器130及び無線装置210の間の距離が長いと、液晶移相器130及び無線装置210の間における電波の伝送損失が増大する。このため、電波の伝送損失を低減するために、窓ガラス11、又は、窓10の周囲の壁1Aや天井等に無線装置210を取り付けることが好ましい。
【0098】
また、液晶移相器130及び無線装置210の間における電波の伝送損失を低減するために、液晶移相器130及び無線装置210の間を接続する伝送路として、一例として、折り曲げ可能な導波管170を用いている。折り曲げ可能な導波管170を用いれば、液晶移相器130と無線装置210との間において、伝送損失が少ない状態で効率的に電波を伝搬させることができる。
【0099】
無線装置210は、無線モジュール211、スイッチ212、LNA(Low Noise Amplifier)213、ミキサ214、ADC(Analog to Digital Converter)215、DAC(Digital to Analog Converter)216、ミキサ217、及びPA(Power Amplifier)218を有する。無線モジュール211からPA218は、無線装置210の無線通信部の一例である。
【0100】
無線装置210のうち、スイッチ212、LNA213、ミキサ214、ADC215、DAC216、ミキサ217、及びPA218は、1つのアンテナ110に対して1つずつ設けられている。無線装置210は、スイッチ212からPA218までの構成要素をアンテナ110の数と同じ数だけ含む。無線モジュール211については、一例として、4つのアンテナ110に対して共通であり、1つである。
【0101】
無線モジュール211は、一例としてMCU(Micro Controller Unit)で構成され、制御部211Aと、中継処理を行う中継部211Bとを有する。制御部211A及び中継部211Bは、MCUが実行する機能を表した機能ブロックである。
【0102】
制御部211Aは、アンテナ110で電波を受信する際には、3端子型のスイッチ212を切り換えて、アンテナ110とLNA213とを接続する。また、制御部211Aは、アンテナ110で電波を送信する際には、3端子型のスイッチ212を切り換えて、アンテナ110とPA218を接続する。
【0103】
中継部211Bは、一例としてBluetooth(登録商標)の通信部を含むとともに、アレイアンテナ210Aに接続されており、ADC215から入力されるデジタル信号をアレイアンテナ210Aから建物1の内部に送信する。中継部211Bがアレイアンテナ210Aを介して信号を建物1の内部に送信することにより、アンテナ110が基地局BSから受信した電波が中継され、無線通信装置200が配置されている建物1の内部に電波が放射される。これにより、建物1の内部の広い範囲に電波が放射され、屋内にあるスマートフォン60等の端末で電波を受信しやすくなる。なお、中継部211Bが屋内側に中継する電波を放射する通信部は、Bluetoothに限らず、Wi-Fi等であってもよい。
【0104】
LNA213は、スイッチ212とミキサ214との間に設けられ、アンテナ110で受信した電波を増幅し、信号とノイズの比の劣化を防ぎながら出力する。
【0105】
ミキサ214は、LNA213から出力される電波をローカル信号(LO)と混合して復調し、IF(Intermediate Frequency)信号を出力する。IF信号に変換することで、ADC215でデジタル変換を容易に行うことができる。
【0106】
ADC215は、ミキサ214から出力されるIF信号をデジタル変換して無線モジュール211に出力する。
【0107】
DAC216は、無線通信装置200がアンテナ110から信号を送信する際に、無線モジュール211が出力する信号をアナログ変換してIF信号をミキサ217に出力する。
【0108】
ミキサ217は、IF信号をローカル信号(LO)と混合して変調し、PA218に出力する。
【0109】
PA218は、ミキサ217から出力される信号を増幅して、スイッチ212を介してアンテナ110に出力する。
【0110】
なお、無線装置210が扱う電波がSub-6の場合に、無線装置210は、ミキサ214及び217を含まない場合がある。この場合には、ADC215に入力される信号、及び、DAC216から出力される信号は、IF信号ではなく、Sub-6の周波数帯の信号である。
【0111】
<窓ガラス11を透過して入射する太陽光と太陽高度>
図5Aは、建物1の窓10に設けられる窓ガラス11を透過して屋内側に入射する太陽光と太陽高度の関係の一例を説明する図である。図5Aには、一例として、東京都内に位置する建物1を示し、左側が南(S)、右側が北(N)である。
【0112】
図5Aには、東京での夏至、春分及び秋分、及び、冬至の南中時の太陽の位置と、窓ガラス11を透過して屋内に入射する太陽光とを示す。夏至の太陽光を実線で示し、春分及び秋分の太陽光を破線で示し、冬至の太陽光を一点鎖線で示す。東京での夏至の南中時の太陽高度は78.5°であり、東京での春分及び秋分の南中時の太陽高度は54.9°であり、東京での冬至の南中時の太陽高度は31.6°である。
【0113】
図5Bは、図5Aにおける窓ガラス11を拡大し、比較用のアンテナ装置の液晶移相器130、第1粘着層14A、第2粘着層140B、及び、基材15A及び150Bを配置した状態の一例を示す図である。比較用のアンテナ装置は、第1粘着層14A及び基材15Aの上端(+Y方向側の端部)の位置が液晶移相器130の上端と等しい。第1粘着層14A及び基材15Aは、実施形態の第1粘着層140A及び基材150Aと同様の構成を有するが、上端の位置が異なり、上端の位置が液晶移相器130の上端と等しい。図5Bでは、比較用のアンテナ装置のうちのアンテナ110及び整合層120を省略する。アンテナ110及び整合層120は、基材15Aと窓ガラス11との間に位置する。
【0114】
図5Cは、図5Bの一部を拡大して示す図である。図5Cでは、窓ガラス11を省略し、液晶移相器130、第1粘着層14A、第2粘着層140B、及び、基材15A及び150Bの上端の部分を図5Bよりもさらに拡大して示す。
【0115】
このような比較用のアンテナ装置では、図5B及び図5Cに示すように、窓ガラス11を透過した太陽光は、基材15A及び第1粘着層14Aを透過して、液晶移相器130の液晶層133の上端側面(+Y方向側の端の側面)に到達する。液晶層133の側面は、シーラント135(図3参照)で封止されているが、光はシーラント135を透過するため、液晶層133の上端側面から内部に太陽光が侵入(入射)する。
【0116】
ここで、液晶層133には、-Z方向側(屋外側)から太陽光が侵入するが、第1粘着層14Aによって光量が低減される。特に、400nm以下のエネルギが比較的高い帯域の太陽光の光量を低減するため、太陽光に含まれる紫外線による液晶層133の劣化は抑制される。また、液晶層133には、屋内で反射された光が+Z方向側(屋内側)から侵入するが、第2粘着層140Bによって光量が低減される。特に、400nm以下のエネルギが比較的高い帯域の太陽光の光量を低減するため、太陽光に含まれる紫外線による液晶層133の劣化は抑制される。
【0117】
これに対して、液晶層133の上端側面は、第1粘着層14AのようなOCAによって光量が低減されないため、窓ガラス11、基材15A、及び第1粘着層14Aを透過した比較的光量の大きい太陽光が液晶層133に侵入することになる。図5B及び図5Cに示すように、冬至は太陽高度が低いため、液晶層133の内部までは太陽光が届き難いが、夏至のように太陽高度が高いと、液晶層133の内部まで太陽光が侵入する。春分及び秋分においても、液晶層133のある程度内部まで太陽光が侵入する。
【0118】
また、液晶層133の平面視における四辺に対応する4つの側面のうち、太陽光が最も侵入しやすいのは上端側面であるが、朝夕のように太陽が傾いているときには、左右の側面から液晶層133の内部に太陽光が侵入することが有り得る。また、反射光が下端側面から液晶層133の内部に侵入することが有り得る。
【0119】
このように液晶層133の内部にOCAによって光量が低減されない太陽光が侵入すると、太陽光に含まれる紫外線による液晶層133の劣化の進行が早まり、液晶層133の誘電率の変化特性が変化して、比較用のアンテナ装置の特性が劣化するおそれがある。
【0120】
そこで、実施形態のアンテナ装置100は、このような液晶層133の側面からの太陽光の侵入を低減することで、太陽光に含まれる紫外線による液晶層133の劣化を抑制する。図6A及び図6Bを用いて、液晶層133を紫外線から保護できるアンテナ装置100について説明する。
【0121】
<実施形態の第1粘着層140Aの構成>
図6A及び図6Bは、実施形態のアンテナ装置100の第1粘着層140Aの構成の一例を説明する図である。図6A及び図6Bには、図5B及び図5Cに対応する断面において、アンテナ装置100のうちの液晶移相器130、第1粘着層140A、第2粘着層140B、及び、基材150A及び150Bの上端の部分を簡略化して示す。図6Aでは、アンテナ装置100のうちのアンテナ110及び整合層120を省略する。アンテナ110及び整合層120は、基材150Aと窓ガラス11との間に位置する。
【0122】
図6Bは、図6Aの一部を拡大して示す図である。図6Bでは、窓ガラス11を省略し、液晶移相器130、第1粘着層140A、第2粘着層140B、及び、基材150A及び150Bの上端の部分を図6Aよりもさらに拡大して示す。
【0123】
図6A及び図6Bに示すように、第1粘着層140A及び基材150Aの上端(+Y方向側の端部)は、液晶移相器130の上端よりも上方に位置する。一例として、第1粘着層140A及び基材150Aの上端は、夏至の南中時の太陽光の光路上に位置するように上方に伸ばされている。
【0124】
このように、第1粘着層140A及び基材150Aの上端を上方に伸ばすのは、OCAで構成される第1粘着層140Aを太陽光の光路上に位置させることで、第1粘着層140Aで太陽光の光量を低減して、液晶移相器130の液晶層133に侵入する光量を抑制するためである。基材150Aの上端を第1粘着層140Aの上端と揃えているのは、第1粘着層140Aを構成するOCAは、単独で形状を保持することが困難であるため、第1粘着層140Aを保持する部分として、基材150Aの上端を伸ばしている。
【0125】
上述したように、太陽光が最も侵入しやすいのは液晶層133の上端側面であるが、左右の側面又は下端側面から液晶層133の内部に太陽光が侵入することが有り得る。このため、第1粘着層140Aの外縁は、上端側面以外の左右の側面又は下端側面においても、図6A及び図6Bに示すように、液晶層133の端部(外縁)よりも平面視における外側に位置すればよい。
【0126】
また、ここでは、液晶移相器130及び液晶層133の平面視における形状が矩形状である形態について説明するが、湾曲した辺を有する形状等の様々な形状である場合においても同様である。すなわち、第1粘着層140Aの外縁は、液晶層133の外縁よりも平面視における外側に位置すればよい。液晶移相器130及び液晶層133の平面視における外縁が湾曲している場合には、上述した上端側面に相当する部分は、液晶移相器130及び液晶層133の外縁のうち、液晶移相器130を鉛直上方から見て、直接的に視認できる部分である。例えば、液晶移相器130及び液晶層133の平面視における外縁が円形である場合には、上述した上端側面に相当する部分は、円形の外縁のうちの鉛直上方から見て直接的に視認できる半円の部分である。
【0127】
ここでは、基材150Aが第1粘着層140Aを保持するため、平面視において第1粘着層140A及び基材150Aの外縁の位置が一致しているが、基材150Aの外縁は、平面視で第1粘着層140Aの外縁よりも外側にあってもよい。また、第1粘着層140Aが基材150A以外の部材によって保持される場合には、平面視における基材150Aの外縁のうちの少なくとも一部は、第1粘着層140Aの外縁よりも内側に位置していてもよい。
【0128】
ここで、第1粘着層140Aの上端を液晶層133よりもどの程度上側に位置させるかについて、図7を用いて説明する。図7は、第1粘着層140Aの上端の位置の計算例を説明する図である。
【0129】
図7には、第1粘着層140A、第1基材131、及び液晶層133を示す。上述したように、一例として、第1基材131のZ方向の厚さは300μm、液晶層133のZ方向の厚さは8.6μmである。
【0130】
ここで、東京において、液晶層133の上端側面から太陽光が入射する条件のうちの最も厳しい条件として、夏至の南中時の太陽光(矢印参照)について検討する。第1粘着層140Aによって太陽光の光量が低減されることを考えるため、第1粘着層140Aの上端(+Y方向側の端部)の+Z方向側の角をかすめた太陽光が、矢印で示すように入射した場合に、液晶層133の内部を通らない条件を計算する。
【0131】
YZ面視において、第1粘着層140Aの+Z方向側の表面と、東京での夏至の南中時の太陽光とがなす角度は、11.5°である。東京での夏至の南中時の太陽高度が78.5°だからである。
【0132】
液晶層133の上端(+Y方向側の端部)から、第1粘着層140Aの上端までのY方向の長さをY1とすると、Y1は次のように求まる。
Y1=(300μm+8.6μm)/tan11.5°=1543μm≒1.5mm
【0133】
このため、東京での夏至の南中時の太陽光が第1粘着層140Aを通らずに液晶層133の上端側面を透過しないようにするためには、第1粘着層140Aの上端が、液晶層133の上端よりも約1.5mmだけ上方に位置するようにすればよい。
【0134】
また、米国のニューヨークシティにおける夏至の南中時の太陽高度は72.7°である。この場合には、Y1は次のような値を取る。
Y1=(300μm+8.6μm)/tan18.3°≒0.9mm
【0135】
以上より、上述した厚さt(第1基材131のZ方向の厚さと、液晶層133のZ方向の厚さとの合計の厚さ)を用いて、東京での夏至の南中時の太陽高度を基準に考えると、第1粘着層140Aの上端が、液晶層133の上端よりも5t以上上方(外側)に位置すればよい。また、米国のニューヨークシティでの夏至の南中時の太陽高度を基準に考えると、第1粘着層140Aの上端が、液晶層133の上端よりも3t以上上方(外側)に位置すればよい。なお、厚さtは、第1粘着層140Aの屋内側の表面と、液晶層133の屋内側の表面との間の厚さであってもよい。
【0136】
このような場合に、上述のように第1粘着層140Aの上端の全体ではなく、第1粘着層140Aの上端のうちの少なくとも一部が、液晶層133の上端よりも3t以上上方(外側)に位置していればよい。液晶層133への紫外線の侵入を抑制できるからである。
【0137】
また、第1粘着層140Aの外縁のうちの上端側面以外の左右の側面又は下端側面の外縁についても、液晶層133の端部(外縁)よりも平面視における外側に位置すればよい。反射光等の液晶層133への侵入を低減するためである。上述した厚さtを用いると、第1粘着層140Aの外縁のうちの上端側面以外の左右の側面又は下端側面の外縁は、液晶層133の端部(外縁)よりも平面視で、2t以上外側に位置すればよい。なお、第1粘着層140Aの外縁のうちの上端側面以外の左右の側面が、液晶層133の平面視において対応する2辺の外縁(左右の側面)よりも外側に位置し、第1粘着層140Aの下端側面は、液晶層133の下端側面よりも外側に位置していない構成であってもよい。
【0138】
なお、液晶層133の平面視における外縁には、図3に示すシーラント135が設けられる。すなわち、アンテナ装置100は、第1粘着層140Aの外縁が液晶層133の外縁よりも外側に位置する部分と平面視で重なる部分に、液晶層133を封止するシーラント135を有する。シーラント135の幅(図3におけるY方向の幅)は、1.5mm程度である。このため、図7におけるY1の位置に、シーラント135が位置するように、第1粘着層140Aの長さY1と、シーラント135のY方向の幅とを揃えてもよい。また、液晶層133に電圧を印加する電極(図示を省略)やマイクロストリップライン132A等に接続される端子をアンテナ装置100の外側に引き出すために、第1粘着層140A及びシーラント135の+Y方向側の端部よりも、第1基材131の+Y方向側の端部の方が、+Y方向側に突出していてもよい。
【0139】
また、液晶層133には、屋内側で反射された光が上端側面、左右の側面、又は、下端側面から侵入する場合がある。このため、第2粘着層140Bの外縁が平面視で液晶層133の外縁よりも外側に位置するようにしてもよい。この場合に、第2粘着層140Bの外縁の少なくとも一部が平面視で液晶層133の外縁よりも外側に位置するようにしてもよい。
【0140】
図8は、図3に示す断面構成の変形例を示す図である。図8では、シーラント135が第1基材131及び第2基材132の外縁に対して内側にオフセットしている。すなわち、シーラント135は、平面視で第1粘着層140Aの外縁よりも内側に位置している。アンテナ装置100の液晶移相器130は、このような構成であってもよい。
【0141】
<効果>
アンテナ装置100は、窓ガラス11の主面に配置される、又は、主面から離間して配置されるアンテナ110と、アンテナ110に対する窓ガラス11とは反対側、又は、窓ガラス11とアンテナ110との間に設けられる液晶移相器130と、液晶移相器130よりも屋外側に配置される第1粘着層140Aとを含み、液晶移相器130は、液晶層133と、液晶層133を挟む第1基材131及び第2基材132とを有し、第1基材131は、液晶層133と第1粘着層140Aとの間に設けられており、第1粘着層140Aは、波長が400nmの光に対する光学濃度が1以上であり、液晶層133の厚さと、第1基材131の厚さとの合計の厚さをtとすると、第1粘着層140Aの外縁の少なくとも一部は、平面視で液晶層133の外縁よりも3t以上外側に位置する。
【0142】
したがって、液晶層133を紫外線から保護できるアンテナ装置100を提供することができる。
【0143】
また、第1粘着層140Aの平面視における上側の外縁の全体は、液晶層133の平面視における上側の外縁よりも3t以上外側に位置してもよい。このため、液晶層の上側の外縁の全体において、液晶層への紫外線の侵入を第1粘着層で抑制することができ、液晶層133を紫外線からより確実に保護できるアンテナ装置100を提供することができる。
【0144】
また、第1粘着層140Aの平面視における上側の外縁以外の2辺の外縁は、液晶層133の平面視において対応する2辺の外縁よりも2t以上外側に位置し、液晶移相器130は、液晶層133の上側の外縁、及び、対応する2辺の外縁以外の外縁に、液晶を注入するための注入口を有してもよい。このため、第1粘着層の平面視における前記上側の外縁以外の2辺の外縁においても、液晶層への紫外線の侵入を第1粘着層で抑制することができ、液晶層133を紫外線からより確実に保護できるアンテナ装置100を提供することができる。
【0145】
また、注入口は、液晶層133の下側の外縁に位置し、液晶層133の対応する2辺の外縁は、側方の外縁であってもよい。このため、第1粘着層の平面視における上側と側方の2つの外縁とにおいて、液晶層への紫外線の侵入を第1粘着層で抑制することができ、液晶層133を紫外線からより確実に保護できるアンテナ装置100を提供することができる。
【0146】
また、アンテナ110は、透明であってもよい。このため、窓ガラス11と重ねて配置しても目立ち難く、液晶層133を紫外線から保護できるとともに、視界を損ねにくいアンテナ装置100を実現できる。
【0147】
また、液晶移相器130は、第1粘着層140Aの外縁が液晶層133の外縁よりも外側に位置する部分と平面視で重なる部分に、液晶層133を封止するシーラント135(封止部)を有してもよい。このため、第1粘着層が液晶層の外縁よりも外側に位置する部分に、シーラント(封止部)を配置でき、空間の利用効率を向上させた構成で、液晶層133を紫外線からより確実に保護できるアンテナ装置100を提供することができる。
【0148】
また、シーラント135は、平面視で第1粘着層140Aの外縁よりも内側に位置してもよい。第1粘着層140Aのうちの液晶層133に侵入する太陽光の光路上に位置する部分がシーラント135と重ならない構成になり、第1粘着層140Aのうちの液晶層133に侵入する太陽光の光路上に位置する部分の厚さ等の管理を行いやすくなり、液晶層133を紫外線からより確実に保護できるアンテナ装置100を提供することができる。
【0149】
また、液晶移相器130に対する窓ガラス11側とは反対側に設けられる第2粘着層140Bをさらに含み、第2粘着層140Bは、波長が400nmの光に対する光学濃度が1以上であってもよい。このため、屋内側に入射してから液晶移相器130に向かって反射した反射光が液晶層133に侵入することを抑制でき、液晶層133を紫外線からより効果的に保護できるアンテナ装置100を提供することができる。
【0150】
また、第2粘着層140Bの外縁の少なくとも一部は、平面視で第1粘着層140Aの外縁よりも内側に位置してもよい。このため、第2粘着層140Bを小型化できる。
【0151】
また、第2粘着層140Bの外縁は、液晶移相器130の外縁よりも外側にあってもよい。第2粘着層140Bは、液晶移相器130の屋内側に位置するので、第1粘着層140Aのように太陽光が直接的に入射する位置には存在しない。しかしながら、第2粘着層140Bの外縁は、液晶移相器130の外縁よりも外側にあることで、屋外側からの反射光等が液晶層133に侵入することを効果的に抑制でき、液晶層133を紫外線からより効果的に保護できるアンテナ装置100を提供することができる。
【0152】
また、第2粘着層140Bの光学濃度は、第1粘着層140Aの光学濃度よりも低くてもよい。第2粘着層140Bは、液晶移相器130の屋内側に位置し、第1粘着層140Aに入射する太陽光よりも光量が少ない反射光等が入射するため、第1粘着層140Aよりも光が透過しやすい構成で実現できる。また、これにより、第2粘着層140Bの視感透過率を向上させることができ、アンテナ装置100が目立たなくなり、より透明なアンテナ装置100を提供できる。
【0153】
また、第2粘着層140Bの厚さは、第1粘着層140Aの厚さよりも薄くてもよい。第2粘着層140Bは、液晶移相器130の屋内側に位置し、第1粘着層140Aに入射する太陽光よりも光量が少ない反射光等が入射するため、第1粘着層140Aよりも薄くすることにより、第2粘着層140Bの視感透過率を向上させることができる。また、アンテナ装置100が目立たなくなり、より透明なアンテナ装置100を提供できる。
【0154】
また、アンテナ110は、窓ガラス11の屋内側に設けられ、液晶移相器130は、アンテナ110に対する窓ガラス11とは反対側に設けられてもよい。アンテナ110を屋内側に配置することで、風雨や塵埃等からアンテナ110を保護しやすくなり、より信頼性の高いアンテナ装置100を提供できる。
【0155】
無線通信装置200は、上述のアンテナ装置100と、アンテナ装置100に接続される導波管170と、導波管170を介してアンテナ装置100に接続される無線装置210(無線通信部)とを含み、導波管170は、アンテナ装置100の窓ガラス11側とは反対側の部分に接続される。
【0156】
したがって、液晶層133を紫外線から保護できる無線通信装置200を提供することができる。
【0157】
また、アンテナ110は、窓ガラス11の屋内側に設けられ、液晶移相器130は、アンテナ110に対する窓ガラス11とは反対側に設けられ、液晶移相器130は、液晶層133と第1基材131との間に設けられるグランド層131Aを有し、グランド層131Aは、平面視でアンテナ110と重なる位置に、スロット131A1を有し、スロット131A1は、導波管170と結合されてもよい。このため、アンテナ110を屋内側に配置することで、風雨や塵埃等からアンテナ110を保護しやすくなり、より信頼性の高い無線通信装置200を提供できる。また、アンテナ110と導波管170との間を第1基材131のグランド層131Aに設けられるスロット131A1を介して接合できる。
【0158】
また、第1粘着層140Aに対して第1基材131とは反対側に設けられる基材150Aをさらに含み、アンテナ110は、窓ガラス11の屋内側に設けられ、液晶移相器130は、アンテナ110に対する窓ガラス11とは反対側に設けられ、液晶移相器130は、第1粘着層140Aと基材150Aとの間に設けられるグランド層を有し、グランド層は、平面視でアンテナ110と重なる位置に、スロットを有し、スロットは、伝送路170と結合されてもよい。このため、アンテナ110を屋内側に配置することで、風雨や塵埃等からアンテナ110を保護しやすくなり、より信頼性の高い無線通信装置200を提供できる。また、アンテナ110と導波管170との間を基材150Aのグランド層131Aに設けられるスロット131A1を介して接合できる。
【0159】
また、アンテナ装置100は、窓ガラス11とアンテナ110との間に設けられる整合層120をさらに含んでもよい。このため、窓ガラス11を透過する際に電波の電気長を調整してインピーダンスを整合させることで、電波の減衰(損失)を低減することができる。
【0160】
また、無線装置210は、窓ガラス11の窓枠、又は、窓ガラス11の周囲の構造物に設けられてもよい。このため、無線通信部が窓ガラス11の視界を妨げること無く、液晶層133を紫外線から保護できる無線通信装置200を提供することができる。
【0161】
また、アンテナ110は、フェーズドアレイアンテナであってもよい。このため、フェーズドアレイアンテナでビームフォーミングを行うことができ、様々な方向にビームを放射することができる。
【0162】
また、アンテナ110が送信又は受信する電波は、Sub-6、又は、ミリ波帯の電波であってもよい。このため、Sub-6や第五世代移動通信システム(5G)等の周波数帯域の電波を送受信可能で、液晶層を紫外線から保護できる無線通信装置200を提供することができる。
【0163】
以上、本開示の例示的なアンテナ装置、及び、無線通信装置について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0164】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
窓ガラスの主面に配置される、又は、前記主面から離間して配置されるアンテナと、
前記アンテナに対する前記窓ガラスとは反対側、又は、前記窓ガラスと前記アンテナとの間に設けられる液晶移相器と、
前記液晶移相器よりも屋外側に配置される第1粘着層と
を含み、
前記液晶移相器は、液晶層と、前記液晶層を挟む第1基材及び第2基材とを有し、
前記第1基材は、前記液晶層と前記第1粘着層との間に設けられており、
前記第1粘着層は、波長が400nmの光に対する光学濃度が1以上であり、
前記第1粘着層の屋内側の表面と前記液晶層の屋内側の表面との間の厚さをtとすると、
前記第1粘着層の外縁の少なくとも一部は、平面視で前記液晶層の外縁よりも3t以上外側に位置する、アンテナ装置。
(付記2)
前記第1粘着層の平面視における上側の外縁の全体は、前記液晶層の平面視における上側の外縁よりも3t以上外側に位置する、付記1に記載のアンテナ装置。
(付記3)
前記第1粘着層の平面視における前記上側の外縁以外の2辺の外縁は、前記液晶層の平面視において対応する2辺の外縁よりも2t以上外側に位置し、
前記液晶移相器は、前記液晶層の前記上側の外縁、及び、前記対応する2辺の外縁以外の外縁に、液晶を注入するための注入口を有する、付記2に記載のアンテナ装置。
(付記4)
前記注入口は、前記液晶層の下側の外縁に位置し、
前記液晶層の前記対応する2辺の外縁は、側方の外縁である、付記3に記載のアンテナ装置。
(付記5)
前記アンテナは、透明である、付記1乃至4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記6)
前記液晶移相器は、前記第1粘着層の外縁が前記液晶層の外縁よりも外側に位置する部分と平面視で重なる部分に、前記液晶層を封止する封止部を有する、付記2に記載のアンテナ装置。
(付記7)
前記封止部は、平面視で前記第1粘着層の外縁よりも内側に位置する、付記6に記載のアンテナ装置。
(付記8)
前記液晶移相器に対する前記第1粘着層とは反対側に設けられる第2粘着層をさらに含み、
前記第2粘着層は、波長が400nmの光に対する光学濃度が1以上である、付記1乃至7のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記9)
前記第2粘着層の外縁の少なくとも一部は、平面視で前記第1粘着層の外縁よりも内側に位置する、付記8に記載のアンテナ装置。
(付記10)
前記第2粘着層の外縁は、前記液晶移相器の外縁よりも外側にある、付記8に記載のアンテナ装置。
(付記11)
前記第2粘着層の光学濃度は、前記第1粘着層の光学濃度よりも低い、付記8に記載のアンテナ装置。
(付記12)
前記第2粘着層の厚さは、前記第1粘着層の厚さよりも薄い、付記8に記載のアンテナ装置。
(付記13)
前記アンテナは、前記窓ガラスの屋内側に設けられ、
前記液晶移相器は、前記アンテナに対する前記窓ガラスとは反対側に設けられる、付記1乃至12のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記14)
付記1乃至13のいずれか1項に記載のアンテナ装置と、
前記アンテナ装置に接続される伝送路と、
前記伝送路を介して前記アンテナ装置に接続される無線通信部と
を含み、
前記伝送路は、前記アンテナ装置の前記窓ガラス側とは反対側の部分に接続される、無線通信装置。
(付記15)
前記アンテナは、前記窓ガラスの屋内側に設けられ、
前記液晶移相器は、前記アンテナに対する前記窓ガラスとは反対側に設けられ、
前記液晶移相器は、前記液晶層と前記第1基材との間に設けられるグランド層を有し、
前記グランド層は、平面視で前記アンテナと重なる位置に、スロットを有し、
前記スロットは、前記伝送路と結合される、付記14に記載の無線通信装置。
(付記16)
前記第1粘着層に対して第1基材とは反対側に設けられる第3基材をさらに含み、
前記アンテナは、前記窓ガラスの屋内側に設けられ、
前記液晶移相器は、前記アンテナに対する前記窓ガラスとは反対側に設けられ、
前記液晶移相器は、前記第1粘着層と前記第3基材との間に設けられるグランド層を有し、
前記グランド層は、平面視で前記アンテナと重なる位置に、スロットを有し、
前記スロットは、前記伝送路と結合される、付記14に記載の無線通信装置。
(付記17)
前記アンテナ装置は、前記窓ガラスと前記アンテナとの間に設けられる整合層をさらに含む、付記14乃至16のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記18)
前記無線通信部は、前記窓ガラスの窓枠、又は、前記窓ガラスの周囲の構造物に設けられる、付記14乃至17のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記19)
前記アンテナは、フェーズドアレイアンテナである、付記14乃至18のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記20)
前記アンテナが送信又は受信する電波は、Sub-6、又は、ミリ波帯の電波である、付記14乃至19のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【符号の説明】
【0165】
1 建物
1A 壁
10 窓
11 窓ガラス
12 窓枠
100 アンテナ装置
110 アンテナ
120 整合層
130 液晶移相器
131 第1基材
131A グランド層
131A1 スロット
132 第2基材
132A マイクロストリップライン
133 液晶層
135 シーラント(封止部の一例)
140A 第1粘着層
140B 第2粘着層
150A、150B 基材
160 ホルダ(保持部の一例)
170 導波管(伝送路の一例)
200 無線通信装置
210 無線装置(無線通信部の一例)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8