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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104481
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ラミネート処理システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/02 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
B29C63/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008707
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】高井直樹
(72)【発明者】
【氏名】緑川瑠樹
(72)【発明者】
【氏名】下舘一輝
(72)【発明者】
【氏名】加藤裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】浅野翔
(72)【発明者】
【氏名】西東洋輔
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AD06
4F211AG01
4F211AG03
4F211AR07
4F211SA08
4F211SC07
4F211SD01
4F211SD11
4F211SJ11
4F211SP04
(57)【要約】
【課題】ラミネート処理システムにおいて、シート剥離装置と市販のラミネート定着装置を使ってラミネート処理するための手間を省き、設置スペースを小さくするためにラミネート定着装置をシート剥離装置上に載置するときの位置合わせを簡単にする。
【解決手段】2枚重ねシートを剥離して、そこに中紙Pを挿入したシートSpを作成するシート剥離装置であって、ラミネート定着装置20を設置可能な上面を有するシート剥離装置100を有し、前記シート剥離装置100は、前記シートの搬送方向に直交する方向における前記ラミネート定着装置20の位置を規制する第一位置決め部材160を複数有し、前記第一位置決め部材160はそれぞれ移動可能である、ことを特徴とするラミネート処理システム200を提案する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚重ねシートを剥離して、そこに中紙を挿入したシートを作成するシート剥離装置であって、ラミネート定着装置を設置可能な上面を有するシート剥離装置を有し、
前記シート剥離装置は、前記シートの搬送方向に直交する方向における前記ラミネート定着装置の位置を規制する第一位置決め部材を複数有し、
前記第一位置決め部材はそれぞれ移動可能である、ことを特徴とするラミネート処理システム。
【請求項2】
前記シート剥離装置は、前記シートの搬送方向における前記ラミネート定着装置の位置を規制する第二位置決め部材を複数有し、前記第二位置決め部材はそれぞれ移動可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート処理システム。
【請求項3】
前記シート剥離装置から前記シートを前記ラミネート定着装置に搬送する搬送部を有し、
前記搬送部は前記ラミネート定着装置に対して着脱可能である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラミネート処理システム。
【請求項4】
前記搬送部と前記ラミネート定着装置が接触することで、前記ラミネート定着装置の移動が規制される、ことを特徴とする請求項3に記載のラミネート処理システム。
【請求項5】
前記搬送部が回転駆動可能なローラを有する、ことを特徴とする請求項3に記載のラミネート処理システム。
【請求項6】
前記搬送部が鉛直方向に伸縮可能である、ことを特徴とする請求項3に記載のラミネート処理システム。
【請求項7】
前記搬送部の排出口の角度が調整可能である、ことを特徴とする請求項3に記載のラミネート処理システム。
【請求項8】
前記シート剥離装置は、その上面に、前記ラミネート定着装置の設置方向を示す目印を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラミネート処理システム。
【請求項9】
前記シート剥離装置は、前記ラミネート定着装置を鉛直方向に調整する鉛直方向調整機構を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラミネート処理システム。
【請求項10】
前記ラミネート定着装置の前記搬送部に対する平行度を調整する平行度調整機構を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラミネート処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ラミネートフィルム内に、印刷物を挿入し、熱と圧力を加えて、ラミネートフィルムと印刷物を接着するラミネート処理が知られている。ラミネート処理により、掲示物やメニュー表などの印刷物をフィルムに挟むことで、印刷物の強度を高めるとともに汚れから守ることができる。しかしながら、ラミネート処理のためにはユーザーが手作業でフィルムを剥離し、挟み込みたい印刷物を正確な位置に挟み、その後ラミネート加工機によりラミネート処理を行う必要があるため、手間を要する作業である。
【0003】
このため、特許文献1では、自動で2枚重ねのラミネートフィルムを剥離し、印刷物を挿入するシート剥離装置が開示されている。このシート剥離装置では、出力物(ラミネートフィルムに印刷物を挿入したもの)をラミネート処理するために別途ラミネータを用意する必要があり又はラミネータとして機能する熱加圧ローラを備える必要があり、ラミネータを個別に設置するための設置スペースを確保する必要がある。ラミネータの設置スペースを確保したとしても、手作業によって出力物をラミネータへ通す必要があるため、手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラミネータの設置スペースを小さくしながら、自動でラミネート処理を行うにはシート剥離装置の上にラミネータを載せて両者を連結すればよいが、シート剥離装置から搬送された出力物を案内するための案内経路が必要となる。また、シート剥離装置の出力物をラミネータに搬送するためには、シート剥離装置からの出力物の搬送経路に対してラミネータの位置合わせを行わなければならない。
【0005】
しかし、多様なラミネータが市販されているため、長手方向におけるシート剥離装置の搬送ローラの中心がラミネータの外郭の中心と一致しなかったり、短手方向ではラミネータの外郭からシートの挿入口までの距離がラミネータ毎に異なったり、鉛直方向ではラミネータの設置面からシートの挿入口までの距離がラミネータ毎に異なったりする。このため、簡単にラミネータの位置合わせができなかった。
【0006】
そこで本発明は、ラミネート処理システムにおいて、シート剥離装置と市販のラミネート定着装置を使ってラミネート処理するための手間を省き、設置スペースを小さくするためにラミネート定着装置をシート剥離装置上に載置するときの位置合わせを簡単にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、2枚重ねシートを剥離して、そこに中紙を挿入したシートを作成するシート剥離装置であって、ラミネート定着装置を設置可能な上面を有するシート剥離装置を有し、前記シート剥離装置は、前記シートの搬送方向に直交する方向における前記ラミネート定着装置の位置を規制する第一位置決め部材を複数有し、前記第一位置決め部材はそれぞれ移動可能である、ことを特徴とするラミネート処理システムにより解決される。
【発明の効果】
【0008】
ラミネート処理システムにおいて、シート剥離装置と市販のラミネート定着装置を使ってラミネート処理するための手間を省き、設置スペースを小さくするためにラミネート定着装置をシート剥離装置上に載置するときの位置合わせを簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るラミネート処理システムの全体構成図である。
図2】ラミネート処理システム200の概略図である。
図3】ラミネート処理システム200の概略平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るラミネート処理システムの概略構成図である。
図5】本発明の一実施形態に係るラミネート処理システムの概略構成図である。
図6図4の矢印C方向に見た搬送部30の概略斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略構成図である。
図8】本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略構成図である。
図9】本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略構成図である。
図10】排出角度調整レバー43が設けられた搬送部30の概略斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略平面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略構成図である。
図13】本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略構成図である。
図14】平行度調整前後のラミネート処理システム200の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について説明する前に、実施形態の理解を容易にするための予備的事項について説明する。
【0011】
特許文献1に開示されているラミネート処理装置は、シート剥離装置の搬送方向下流に熱加圧部材(定着装置)が水平に配置されているため、横幅(フットプリント)が大きいという問題があった(特許文献1の図26参照)。
【0012】
そのため、本発明者らは、占有面積を小さくし、かつ、既存のラミネータを有効活用する目的で、ラミネータ(ラミネート定着装置)をシート剥離装置の上に搭載し、それらの間で2枚重ねシートを搬送する搬送路を設ける構成を検討している。
【0013】
この構成の場合、既存のラミネータを用いることで、一連のラミネート処理を低コストで自動化することができる。
【0014】
ところで、ラミネータは、ラミネート機器として既に様々なメーカから市販されている。それらのサイズは多種多様であり、ラミネート処理能力(搬送速度など)も様々なものがある。そのため、シート剥離装置とラミネータを連結しても、それぞれの搬送速度に差がある場合、搬送されるラミネートシートにシワ、又はスキュー(斜め搬送)が生じ、適切に熱定着できないおそれがあった。
【0015】
この場合、別のラミネータを用いるか、ラミネータの仕様に応じて搬送路を調整(再設計)する必要があり、利便性を損なうという問題があった。
【0016】
以下の実施形態では、シート剥離装置とラミネート定着装置の間の搬送速度差を吸収することで、シート状媒体を挟持した2枚重ねシートのシワ、又はスキューの発生を防止できるラミネート処理システムについて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係るラミネート処理システムの全体構成図である。図1(a)は、ラミネート処理システムの平面図、図1(b)は、ラミネート処理システムの正面図である。ラミネート処理システム200は、2枚重ねシート(以下、シートSという)の給送、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を1台で実施できる構成である。この一連の動作を、人手を要さずに自動で実施でき、従来技術よりも利便性を向上できる。
【0018】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0019】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0020】
図1に示すように、ラミネート処理システム200は、シートSの2枚のシートを剥離し、中紙Pを挟み込むシート剥離装置100であって、ラミネート定着装置20を設置可能な上面を有するシート剥離装置100を有する。ここでラミネート定着装置20は、ユーザーが好みに合わせて選択した、シート剥離装置100とは別筐体の市販の装置であり、シート剥離装置100の上面に設置されている。ラミネート定着装置20は、中紙Pを挟持したシートS(以下、シートSpという)を加熱及び加圧可能である。また、ラミネート処理システム200は、シート剥離装置100の排出口115から、シートSpをラミネート定着装置20の入口21まで搬送する搬送部30を備える。
【0021】
上述したように、本実施形態のラミネート処理システム200では、シート剥離装置100の上方にラミネート定着装置20が設けられている。また、シート剥離装置100の搬送方向下流に配置された搬送部30は、シートSpを180°反転させてラミネート定着装置20へ搬送する搬送路32を有する。したがって、ラミネート定着装置20の搬送方向Cは、シート剥離装置100の搬送方向Aに対し、反対方向である。
【0022】
続いて、本実施形態のラミネート処理システム200による、シートSの給送、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を説明する。
【0023】
ここで、本出願人は、シートSを剥離する技術(回転部材に2枚重ねシート(シートS)を巻き付け、幾何学的な関係から内周側シートと外周側シートの間に巻き付け周長差を生じさせることで、2枚重ねシートの2枚のシートを剥離する)について、特許文献1として出願済みである。以下では、本発明に必要な構成及び動作について説明する。
【0024】
(シート剥離装置)
シート剥離装置100は、シートSを積載するシートトレイ102と、シートトレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、入口ローラ対108とを備える。またシート剥離装置100は、中紙Pを積載する給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを備える。
【0025】
さらにシート剥離装置100は、ピックアップローラ105及びピックアップローラ106の下流に、入口ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、従動ローラ110とからなるローラ対と、出口ローラ対113などを備える。
【0026】
本実施形態のシート剥離装置100は、図1(b)に示すように、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載する。ここで、シートSは、シートトレイ102上にシートSの2枚のシートが接合された一部がそのシートSにおけるピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流流側に位置するように積載する。
【0027】
シート剥離装置100は、シートSをピックアップローラ105にてピックアップし、巻付けローラ109と従動ローラ110とからなるローラ対によって矢印Aの方向へ搬送し、出口ローラ対113に送る。
【0028】
次に、出口ローラ対113と巻付けローラ109は回転方向を反転し、シートSを矢印Bの方向へ搬送する。矢印B方向へ搬送されたシートSは巻付けローラ109に巻き付けられる。シートSを巻付けローラ109に1周以上巻き付けると、シートSの搬送方向先端(シートの接合されていない側)は、巻付けローラ109に対し固定される。
【0029】
さらにシートを巻付けローラ109に巻き付けると、シートの2枚のシートである内周側にあるシートと外周側にあるシートに周長差(巻き付け量の差)が生じ、出口ローラ対113と巻付けローラ109の間で、シートSが剥離し始める。
【0030】
そして、出口ローラ対113と巻付けローラ109の間に、内周側シートの弛みが集まることで、内周側シートと外周側シートの間に隙間(空間)を生じさせることができる。
【0031】
この後、シート剥離装置100は、シートSに生じた隙間に対し、両側から剥離爪を挿入し、更に搬送を続けることで、シートSを大きく開口させる。なお、この巻き付け工程についての詳細な説明は、特許文献1(段落[0039]~[0053])を参照されたい。
【0032】
次いで、シート剥離装置100は、入口ローラ対108を回転し、シートトレイ102から搬送された中紙Pを出口ローラ対113に向けて搬送方向A方向に向けて搬送する。そして、中紙Pは、シートSに接合部に突き当たるように挿入される。そして、シート剥離装置100は、出口ローラ対113を時計回りに回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
【0033】
中紙Pが挿入されたシートS(シートSp)は、シート剥離装置100の排出口115から搬送部30内の搬送路32を通過して、ラミネート定着装置20へ搬送される。
【0034】
図1に示すラミネート処理システム200は、2枚重ねシートを剥離して、そこに中紙Pを挿入したシートSpを作成するシート剥離装置100と、シート剥離装置100の上面に設置されたラミネート定着装置20とを有する。シート剥離装置100は、その上面に、シート搬送方向に直交する方向におけるラミネート定着装置20の位置(以下、適宜「ラミネート定着装置20の直交方向位置」という)を規制する第一位置決め部材160と、シート搬送方向におけるラミネート定着装置20の位置(以下、適宜「ラミネート定着装置20の搬送方向位置」という)を規制する第二位置決め部材170を有する。第一位置決め部材160は複数設けられており、そのそれぞれがシートSpの搬送方向に直交する方向に移動可能である。第一位置決め部材160はそれぞれ、シートSpの搬送方向に斜めに交差する方向に移動可能であってもよい。第二位置決め部材170は複数設けられており、そのそれぞれがシートSpの搬送方向に移動可能である。第二位置決め部材170はそれぞれ、シートSpの搬送方向に斜めに交差する方向に移動可能であってもよい。
【0035】
ラミネート定着装置20の搬送方向の位置が定まらないと、シート剥離装置100から搬送されてきたシートSpをラミネート定着装置20に安定的に受け渡すことができない。そこで、シート剥離装置100の上面に、ラミネート定着装置20の直交方向位置を規制する第一位置決め部材160を、シートSpの搬送方向と直交する方向に移動可能に設けている。これにより、ユーザーは、シート剥離装置100に対してラミネート定着装置20を位置合わせでき、シート剥離装置100に位置決めされた搬送部30によって、シート剥離装置100からのシートSpを、搬送部30を経由してラミネート定着装置20に安定的に受け渡すことができる。シート剥離装置と市販のラミネータ装置を使ってラミネート処理するための手間を省き、設置スペースを小さくするためにラミネータ装置をシート剥離装置上に載置するときの位置合わせを簡単にすることができる。
【0036】
また、ラミネート定着装置20の搬送方向位置を規制する第二位置決め部材170を、シートSpの搬送方向に移動可能に設けている。第二位置決め部材170により第一位置決め部材160とは異なる方向を規制することで、シート剥離装置100の上面にラミネート定着装置20を安定的に設置することができる。また、搬送部30を取り付ける際に、ラミネート定着装置20の外郭からフィルム挿入口である入口21までの距離Xが一定でない市販のラミネート装置に対しても、その位置を調整して設置することが可能になり、フィルムの剥離からラミネート完了までを自動化することができる。
【0037】
図1(a)には、ラミネート定着装置20の搬送方向と直交する方向における、ラミネート定着装置20の搬送中心Vとシート剥離装置100の搬送中心Wが示されている。
図1(b)において、ラミネート定着装置20の搬送方向におけるラミネート定着装置20の位置は、第二位置決め部材170によって搬送部30に合わされている。
【0038】
(ラミネート定着装置)
図1のラミネート処理システム200において、ラミネート定着装置20はシート剥離装置100上に載置されている。ラミネート定着装置20は、ラミネート(熱定着)するシートのシート挿入口である入口21と、加熱手段を有する熱加圧ローラ対22などを備える。ラミネート定着装置20は、シート剥離装置100とは別筐体であり、市販の(既存の)いわゆるラミネート機器を用いることができる。
【0039】
ラミネート機器は、様々なメーカから市販されており、サイズ及び/又はラミネート(定着)処理速度も様々なものがある。処理速度に関しては、例えば、1分あたり1枚~3枚のものが主流である。
【0040】
図2は、ラミネート処理システム200の概略図である。ここで、図1の搬送部30とシート剥離装置100の内部構成とトレイを省略している。図2(a)は、ラミネート処理システム200の平面図、図2(b)は、ラミネート処理システム200の正面図である。
搬送方向と直交する方向に延びる第1レール181及び搬送方向に延びる第2レール182が、シート剥離装置100の上部に設けられている。第一位置決め部材160及び第二位置決め部材170はそれぞれ、第1レール181及び第2レール182に設けられており、これらレールに沿って移動可能でありながら、その位置を固定することが可能である。
【0041】
これらの部材を用いたラミネート定着装置20の位置合わせ方法について説明する。
ユーザーは、ラミネート定着装置20をシート剥離装置100の天面に置き、第一位置決め部材160を第1レール181に沿って移動させてラミネート定着装置20の外郭に接触させ、この位置で固定することで、ラミネート定着装置20の直交方向位置を固定することができる。その後、ユーザーは、第二位置決め部材170を第2レール182に沿って移動させてラミネート定着装置20の外郭に接触させ、この位置で固定することで、ラミネート定着装置20の搬送方向位置をも固定することができ、ラミネート定着装置20をシート剥離装置100に対して位置合わせすることが可能となる。
【0042】
また第一位置決め部材160及び第二位置決め部材170を固定する位置は、シート剥離装置100に対してラミネート定着装置20の位置決めをして搬送部30を取り付けた状態でシート搬送を行うことで、搬送不良が起きないように調整することが可能である。
【0043】
図3は、ラミネート処理システム200の概略平面図である。ここで、図1の搬送部30とシート剥離装置100の内部構成とトレイを省略している。図3(a)は、位置決め部材を用いたラミネート定着装置20の搬送中心V及びシート剥離装置100の搬送中心Wの位置合わせ前の状態を示し、図3(b)は搬送中心V,Wの位置合わせ後の状態を示す。
図2で示したように、第一位置決め部材160をそれぞれ移動可能に設けているため、ラミネート定着装置20をシート剥離装置100に対して任意の直交方向位置に固定することが可能である。図3(a)に示すように、ラミネート定着装置20の搬送中心V及びシート剥離装置100の搬送中心Wがずれている場合に生じる問題の一例として、シート剥離装置100から送られるシートSpがラミネート定着装置20の定着ローラ幅よりも外側に送られてしまい、シートSpの端部のラミネート処理が不完全になる品質不良が挙げられる。しかし図3(b)に示すように、本実施形態によればラミネート定着装置20の搬送中心Vとシート剥離装置100の搬送中心Wを調整できるため、品質不良の発生を防ぐことができる。このように、第一位置決め部材160の固定位置は、品質不良の発生有無を確認しながら調整可能である。
【0044】
図4図5及び図6は、ラミネート定着装置20に対して着脱可能な、シート剥離装置100の排出口115からシートSpをラミネート定着装置20の入口21まで案内する搬送部30の構成を示す概略構成図である。
図4の実施形態では、搬送部30は、ラミネート定着装置20に対して回転可能な回転支点34を有する。このように、シート剥離装置100との間に回転支点34を設けることで、搬送部30を、ラミネート定着装置20に対して回転支点34を中心に矢印Yの方向に回転させ、着脱させることが可能となる。搬送部30を着脱可能に設けることで、多種多様なラミネート定着装置20に合わせて搬送部30を使用することができる。また、シート剥離装置100のみを必要とするユーザーに対して、部品削減による装置の小サイズ化と低コスト化を実現することができる。
【0045】
図5の実施形態では、搬送部30はそのシート剥離装置100への装着面35に位置決めボス36を有し、シート剥離装置100は位置決めボス36に対応する差し込み穴37を有する。搬送部30の位置決めボス36はシート剥離装置100の差し込み穴37に差し込み可能且つ抜き取り可能であり、したがって搬送部30はシート剥離装置100に対して、図中矢印Zで示す水平方向に着脱可能であり、ひいてはラミネート定着装置20に対して着脱可能である。
【0046】
図6は、図4の矢印C方向に見た搬送部30の概略斜視図である。図6の実施形態では、搬送部30は第二位置決め部材170を収容する収容領域38を有しており、よって搬送部30の装着時における第二位置決め部材170と搬送部30の干渉が回避される。これは図7に示されている。図6に示すように収容領域38は凹部として構成されており、図7に示すように搬送部30の装着時に第二位置決め部材170を収容することができる。搬送部30の下部には、シートSpのための挿入口31が設けられ、搬送部30の上部には、シートSpのための排出口33が設けられている。
【0047】
搬送部30がラミネート定着装置20に対して着脱可能であるため、シート剥離装置100に対するラミネート定着装置20の設置や交換が容易になるほか、シートSpが詰まった際にもシートSpの取り出しが容易になる。さらに、シート剥離装置100のみを必要とするユーザーに対して、部品削減による装置の小サイズ化と低コスト化を実現することができる。
【0048】
また、図1,4及び5の実施形態において、搬送部30が装着時にラミネート定着装置20に接触することで、ラミネート定着装置20の移動が規制される。搬送部30がラミネート定着装置20の位置決め機能を有することで、部品点数削減による装置の小サイズ化と低コスト化を実現することができる。
【0049】
図7は、本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略構成図である。図7(a)は、同ラミネート処理システムの概略平面図、図7(b)は、同ラミネート処理システムの概略正面図を示す。
本実施形態では、シートSpの傾きを補正するラミネート前ローラ39が搬送部30の搬送路32の搬送方向下流部に設けられている。シート剥離装置100内の入口ローラ対108や出口ローラ対113などの搬送ローラの搬送力は、搬送ローラの外径差などのばらつきによって、搬送ローラの長手方向で偏差が生じる。この搬送力の偏差が要因となり長手方向で搬送速度差が生じ、出力物が搬送ローラの長手方向に対して傾いて搬送される場合がある。シートSpをシート剥離装置100からラミネート定着装置20に送る場合、シートSpの傾きが大きいとシートSpが詰まるなどして品質不良が生じ得る。
【0050】
そこで、シートSpの傾きを補正するローラ39が搬送路32に設けられている。ローラ39は、装置内に設けられた駆動源からの動力供給によって回転駆動可能である。シートSpがローラ39に突き当たることで、シートSpの先端がラミネート定着装置20への突入前にラミネート定着装置20に対して整列する、すなわちシートSpがスキュー補正される。よって、搬送不良に起因する品質不良の発生を防ぐことができる。
【0051】
図8は、本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略構成図を示す。図8(a)は、搬送部30の鉛直位置調整前の概略正面図、図8(b)は、同搬送部の鉛直位置調整後の概略正面図を示す。
本実施形態では、搬送部30が、上側搬送部30aと下側搬送部30bに分かれており、鉛直方向に伸縮可能である。上側搬送部30aには鉛直方向調整ラック41が設けられており、下側搬送部30bには、鉛直方向調整ラック41に噛み合うピニオン42と、これに結合した鉛直方向調整ノブが設けられている。鉛直方向調整ノブは搬送部30の外側に位置しており、ユーザーがそれを操作できる。
【0052】
鉛直方向調整ノブを回すと、鉛直方向調整ラック41とピニオン42の噛み合いによって、上側搬送部30aが下側搬送部30bに対して上下に移動する。よって、例えばラミネート定着装置20のフィルム挿入口である入口21と搬送部30の排出口33の高さが異なる場合に(図8(a))、鉛直方向調整ノブを回すことで、搬送部30の排出口33をラミネート定着装置20の入口21に合わせ、高さ調整することが可能になる(図8(b))。言い換えれば、ラミネート定着装置20と搬送ガイド板の鉛直方向のずれを修正できる。この高さ調整によって、入口21の高さが異なる複数種類のラミネート定着装置20の設置が可能となる。よって、ユーザーが仕着せのものではなくラミネート定着装置20を選択でき、またシートSpの入口21への受け渡し不良による品質不良が抑制される。
【0053】
図9は、本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略構成図を示す。図9(a)は、排出口33の排出角度が上向きである状態を示し、図9(b)は、排出口33の排出角度が下向きである状態を示す。
市販のラミネート定着装置20は、その設置面から熱加圧ローラ対22のニップ部まで様々な距離を有する。よって、本実施形態では様々な距離に対応できるように搬送部30の排出口33の角度が調整可能である。排出口33の角度調整によって、シート剥離装置100から送られてきたシートSpをラミネート定着装置20のニップ部に案内し、ラミネート定着装置20に確実に受け渡すことができる。よって、複数種類のラミネート定着装置20の設置が可能となり、ユーザーがラミネート定着装置20を選択可能となり、またシートSpをラミネート定着装置20の入口21に確実に受け渡すことによる品質向上効果が得られる。
【0054】
図10は、排出角度調整レバー43が設けられた搬送部30の概略斜視図を示す。
排出角度調整レバー43は搬送部30の側面に設けられており、ユーザーは排出角度調整レバー43を上下に移動させることで排出口33の排出角度を上下に調整することができる。
【0055】
図11は、本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略平面図を示す。ここで、搬送部30の図示省略されている。
本実施形態では、ラミネート定着装置の設置方向を示す目印45がシート剥離装置100の上面に設けられている。ラミネート定着装置20の設置方向を誤ると、搬送部30とラミネート定着装置20の間で搬送不良が生じる。目印45によって、ユーザーはラミネート定着装置20の搬送方向を目印45(の方向)に一致させることができ、ユーザーによるラミネート定着装置20の誤設置が防止される。
【0056】
図12は、本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略構成図を示す。図12(a)は、ラミネート定着装置20と搬送部30の鉛直位置がずれた状態を示し、図12(b)は、鉛直位置を合わせた状態を示す。ここで、シート剥離装置100の内部構成とトレイを省略している。
本実施形態では、ラミネート定着装置20のための鉛直方向調整機構50がシート剥離装置100に設けられている。鉛直方向調整機構50は、鉛直方向に移動可能なステージ51を有し、ステージ51上には第一位置決め部材160、第二位置決め部材170、ラミネート定着装置20などが載置されている。搬送部30の搬送路延長線47とラミネート定着装置20の搬送路48の間に鉛直方向のずれUがある場合に(図12(a))、ステージ51を操作してラミネート定着装置20の搬送路48を搬送部30の搬送路延長線47に一致させることで(図12(b))、品質不良の発生を防ぐことができる。両者の位置合わせは、搬送部30のラミネート処理システム200への取り付け成否や品質不良の発生有無を介して行うことができる。ステージ51によって、多種多様なラミネート定着装置20に対応可能なラミネート処理システム200が実現される。
【0057】
図13は、本発明の一実施形態に係るラミネート処理システム200の概略構成図を示す。図13(a)は、ラミネート処理システム200の概略平面図、図13(b)は、ラミネート処理システム200の概略正面図である。
図14は平行度調整前後のラミネート処理システム200の概略平面図であり、図14(a)は平行度調整前の状態、図13(b)は平行度調整後の状態を示している。
図13において、ラミネート処理システム200は、ラミネート定着装置20の搬送部30に対する平行度を調整する平行度調整機構60を有する。これにより、搬送部30の搬送中心に対する直交線61に対する平行度を合わせることが可能になり、皺などの発生が防止される。ここで図13(a)を参照して、平行度とは、搬送部30の搬送中心に対する直交線61と、ラミネート定着装置20の搬送中心Vに対する直交線63の平行度合いを意味する。
【0058】
ステージ51と第一位置決め部材160及び第二位置決め部材170は、シート剥離装置100に対して一体に取り付けられている。平行度調整機構60は、ステージ51及び平行度調整ノブ62を有し、ユーザーは平行度調整ノブ62を図中矢印方向に回転させることでステージ51を移動させ、ステージ51上に載置されたラミネート定着装置20の搬送中心に対する直交線63を、搬送部30の搬送中心に対する直交線61と平行に整列させることができる。
【0059】
市販のラミネート定着装置20は様々な外装形状を有するため、外装形状によっては位置決め部材によるラミネート定着装置20の位置決めが不十分となり得る。しかし、平行度調整機構60によって、位置決め部材と一体に構成されたステージ51を左右方向に調整することができる。そのため、ラミネート定着装置20の搬送中心に対する直交線63の微調整が可能となり、搬送不良に起因する品質不良の発生を防ぐことができる。調整は搬送部30のラミネート処理システム200への取り付け成否や品質不良の発生有無を介して行うことができる。
【0060】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
(態様1)
2枚重ねシートを剥離して、そこに中紙を挿入したシートを作成するシート剥離装置であって、ラミネート定着装置を設置可能な上面を有するシート剥離装置を有し、
前記シート剥離装置は、前記シートの搬送方向に直交する方向における前記ラミネート定着装置の位置を規制する第一位置決め部材を複数有し、
前記第一位置決め部材はそれぞれ、前記シートの搬送方向に直交する方向に移動可能である、ことを特徴とするラミネート処理システム。
(態様2)
前記シート剥離装置は、前記シートの搬送方向における前記ラミネート定着装置の位置を規制する第二位置決め部材を有し、前記第二位置決め部材は前記シートの搬送方向に移動可能である、ことを特徴とする態様1に記載のラミネート処理システム。
(態様3)
前記シート剥離装置から前記シートを前記ラミネート定着装置に搬送する搬送部を有し、
前記搬送部は前記ラミネート定着装置に対して着脱可能である、ことを特徴とする態様1又は2に記載のラミネート処理システム。
(態様4)
前記搬送部と前記ラミネート定着装置が接触することで、前記ラミネート定着装置の移動が規制される、ことを特徴とする態様3に記載のラミネート処理システム。
(態様5)
前記搬送部が回転駆動可能なローラを有する、ことを特徴とする態様3又は4に記載のラミネート処理システム。
(態様6)
前記搬送部が鉛直方向に伸縮可能である、ことを特徴とする態様3~5のいずれか一つに記載のラミネート処理システム。
(態様7)
前記搬送部の排出口の角度が調整可能である、ことを特徴とする態様3~6のいずれか一つに記載のラミネート処理システム。
(態様8)
前記シート剥離装置は、その上面に、前記ラミネート定着装置の設置方向を示す目印を有する、ことを特徴とする態様1~7のいずれか一つに記載のラミネート処理システム。
(態様9)
前記シート剥離装置は、前記ラミネート定着装置を鉛直方向に調整する鉛直方向調整機構を有する、ことを特徴とする態様1~8のいずれか一つに記載のラミネート処理システム。
(態様10)
前記ラミネート定着装置の前記搬送部に対する平行度を調整する平行度調整機構を有する、ことを特徴とする態様1~9のいずれか一つに記載のラミネート処理システム。
【符号の説明】
【0061】
20 ラミネート定着装置
30 搬送部
33 排出口
39 ローラ
45 目印
50 鉛直方向調整機構
60 平行度調整機構
100 シート剥離装置
160 第一位置決め部材
170 第二位置決め部材
200 ラミネート処理システム
P 中紙
Sp シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2020-121868号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14