(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010453
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】封入装置、封入システム及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 29/60 20060101AFI20240117BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B65H29/60 B
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111794
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】高山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】東海枝 秀斗
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 日奈子
【テーマコード(参考)】
3F048
3F053
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA28
3F048BB02
3F048BB05
3F048CA04
3F048DC12
3F048EB30
3F048EB37
3F053EA01
3F053EB04
3F053ED12
3F053LA01
3F053LB03
3F053LB05
(57)【要約】
【課題】連続して実行される封入処理において、先行の封入物と後続の封入物の搬送間隔が狭まることを防止する封入装置を提供する。
【解決手段】封入物を封入待機位置に搬送して封筒に封入する封入処理を連続して実行し、封入待機位置に封筒を搬送する封筒搬送経路において、当該封筒の搬送中に、当該封筒のフラップが開いたか否かを判定するフラップ開状態判定手段と、封入待機位置に連続して搬送されてくる封入物の搬送時間の間隔を、フラップ開状態判定手段における判定結果に基づいて算出する封入物搬送間隔算出手段と後続の封入物に係る間隔を封入待機位置に当該封入物を搬送するための搬入元となる外部装置に通知する封入物搬送間隔通知手段と、を有する封入装置による。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入物を封入待機位置に搬送して封筒に封入する封入処理を連続して実行する封入装置であって、
前記封入待機位置に前記封筒を搬送する封筒搬送経路において、当該封筒の搬送中に、当該封筒のフラップが開いたか否かを判定するフラップ開状態判定手段と、
前記封入待機位置に連続して搬送されてくる封入物の搬送時間の間隔を、前記フラップ開状態判定手段における判定結果に基づいて算出する封入物搬送間隔算出手段と
後続の封入物に係る前記間隔を前記封入待機位置に当該封入物を搬送するための搬入元となる外部装置に通知する封入物搬送間隔通知手段と、
を有することを特徴とする封入装置。
【請求項2】
前記封入物搬送間隔算出手段は、前記フラップが開いていないとする判定に基づくとき、前記間隔を延長するための間隔延長量を算出する、
請求項1に記載の封入装置。
【請求項3】
前記フラップ開状態判定手段は、前記封筒搬送経路に配置されるフラップ開部材よりも搬送方向上流側において前記封筒を検出する第一封筒検出手段と、当該フラップ開部材よりも搬送方向下流側において前記封筒を検出する第二封筒検出手段と、による前記封筒の検出結果に基づいて、前記フラップの開閉状態を判定し、当該開閉状態において当該フラップが開いていないときには当該フラップ開部材によるフラップ開処理を再度実行させ、
前記封入物搬送間隔算出手段は、当該フラップ開処理の実行回数に基づいて前記間隔延長量を算出する、
請求項2に記載の封入装置。
【請求項4】
封入物を封入待機位置に搬送して封筒に封入する封入処理を連続して実行する封入装置と、当該封入装置に前記封入物を供給する封入物供給装置と、を備える封入システムであって、
前記封入装置は、
前記封入待機位置に前記封筒を搬送する封筒搬送経路において、当該封筒の搬送中に、当該封筒のフラップが開いたか否かを判定するフラップ開状態判定手段と、
前記封入待機位置に連続して搬送されてくる封入物の搬送間隔を、前記フラップ開状態判定手段における判定結果に基づいて算出する封入物搬送間隔算出手段と
前記封入待機位置に前記封入物を供給する供給元となる前記封入物供給装置に、当該封入待機位置へ連続して搬送されてくる複数の封入物に係る前記搬送間隔を通知する封入物搬送間隔通知手段と、
を有し、
前記封入物供給装置は、
前記搬送間隔に基づいて、前記封入物の排出間隔を調整する排出間隔調整手段と、
前記排出間隔に基づいて前記封入物を前記封入装置へと排出する封入物排出手段と、
を有することを特徴とする封入システム。
【請求項5】
前記封入物供給装置は、前記封入物に折り処理を行う折り装置であり、
前記排出間隔調整手段は、前記排出間隔を前記折り処理の内容によって調整する、
請求項4に記載の封入システム。
【請求項6】
前記排出間隔調整手段は、前記排出間隔を前記折り処理における前記封入物の搬送速度によって調整する、
請求項5に記載の封入システム。
【請求項7】
前記排出間隔調整手段は、前記排出間隔を前記折り処理において利用する退避経路での搬送停止時間によって調整する、
請求項5に記載の封入システム。
【請求項8】
前記排出間隔調整手段は、前記排出間隔の調整を前記折り処理における増し折りを行うときの前記封入物の搬送停止時間の調整により行う、
請求項5に記載の封入システム。
【請求項9】
前記排出間隔調整手段は、前記排出間隔を前記折り処理における増し折りの回数によって調整する、
請求項8に記載の封入システム。
【請求項10】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記媒体を封入物として封筒に挿入する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の封入装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封入装置、封入システム及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
封筒に封入物を封入する封入装置が知られている。また、封筒に封入物を封入し、さらに封緘まで行なう封入封緘装置も知られている。そして、封入物となる媒体に折り処理を行う折り処理装置と、封入装置又は封入封緘装置を連携させて、折られた封入物を封入して封緘する封入システムや、封入物となる媒体に画像を形成する画像形成装置、折り処理装置、封入装置又は封入封緘装置を連携させて、画像形成され折られた封入物を封入して封緘する画像形成システムも知られている。
【0003】
封入封緘装置と画像形成装置とをインライン接続して一つのシステムとした場合、封入物を封筒へ安定して封入できるようにするために、画像形成装置において封入物へ画像形成タイミングを変更することで封入物の搬送間隔を調整する構成が開示されている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、封入封緘装置内の封入待機位置に連続して封入物を搬送し、封入処理を連続して行う際、封入待機位置に搬送される封入物と、これに対する後続の封入物との間隔が徐々に狭くなる。封入待機位置に搬送される封入物の搬送間隔が狭くなると、先行の封入物の封入処理が完了する前に、後続の封入物が封入待機位置に搬送されてきてしまい、当該封入物に対応する封筒の封入待機位置への搬送とのタイミングが合わなくなる。その影響によって、封筒への封入物を挿入する処理を失敗することになるなど、封入処理の精度低下の要因になる。すなわち、従来技術を適用すると、安定して封入処理を継続することに関して課題がある。
【0005】
本発明は、連続して実行される封入処理において、先行の封入物と後続の封入物の搬送間隔が狭まることを防止する封入装置を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、封入物を封入待機位置に搬送して封筒に封入する封入処理を連続して実行する封入装置に関し、前記封入待機位置に前記封筒を搬送する封筒搬送経路において、当該封筒の搬送中に、当該封筒のフラップが開いたか否かを判定するフラップ開状態判定手段と、前記封入待機位置に連続して搬送されてくる封入物の搬送時間の間隔を、前記フラップ開状態判定手段における判定結果に基づいて算出する封入物搬送間隔算出手段と後続の封入物に係る前記間隔を前記封入待機位置に当該封入物を搬送するための搬入元となる外部装置に通知する封入物搬送間隔通知手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、連続して実行される封入処理において、先行の封入物と後続の封入物の搬送間隔が狭まることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る画像形成システムの実施形態を示す正面外観図。
【
図2】上記実施形態に係る制御構成の例を示すブロック図。
【
図3】本発明に係る封入封緘装置の実施形態の内部構成図。
【
図4】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図5】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図6】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図7】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図8】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図9】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図10】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図11】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図12】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図13】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図14】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図15】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図16】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図17】封入封緘装置の実施形態が備えるフラップ開機構の概略構成図。
【
図18】上記フラップ開機構のフラップ開動作の例を示す図。
【
図19】上記フラップ開機構のフラップ開動作の別例を示す図。
【
図20】上記封入封緘装置が備える制御部の機能ブロック図。
【
図21】上記フラップ開機構のフラップ開動作の異常例を示す図。
【
図22】上記フラップ開機構の第一実施形態の一部を示す概略構成図。
【
図23】上記フラップ開機構の第一実施形態を他の一部を示す概略構成図。
【
図24】上記フラップ開機構の第二実施形態を示す概略構成図。
【
図25】上記封入封緘装置における封筒と封入物の搬送タイミングを説明する図。
【
図26】上記封入封緘装置における封筒と封入物の搬送タイミングを説明する図。
【
図27】上記封入封緘装置における封筒と封入物の搬送タイミングを説明する図。
【
図28】上記制御部において実行される封筒搬送処理の流れを示すフローチャート。
【
図29】上記実施形態に適用可能な折り処理部の例を示す内部構成図。
【
図30】上記実施形態に適用可能な折り処理部の別例を示す内部構成図。
【
図31】上記実施形態に適用可能な折り処理部の別例を示す内部構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[封入システム及び画像形成システムの実施形態]
まず、本発明に係る封入システム及び画像形成システムの実施形態について説明する。
図1は、封入システム及び画像形成システムの一例としてのプリントシステム1の内部構成を概略的に示す正面図である。プリントシステム1は、画像形成装置200と、シート処理装置としての折り処理装置300と、折り処理装置300と連携して本発明に係る封入システムの実施形態を構成する封入封緘処理装置100と、後処理装置400と、を有している。
【0010】
なお、プリントシステム1は、画像形成装置200、折り処理装置300、封入封緘処理装置100、後処理装置400、をインライン接続して連携可能に構成されたものであり、本発明に係る画像形成装置の一実施形態に相当する。また、折り処理装置300と封入封緘処理装置100をインライン接続して連携可能に構成したものは、本発明に係る封入システムの一実施形態に相当する。
【0011】
プリントシステム1において、画像形成装置200、折り処理装置300は、封入装置としての封入封緘処理装置100に対し、後述する封入物を共通する封入物供給装置に相当する。封入物供給装置は、封入封緘処理装置100に対し上流側に配置される装置であって、封入物となる媒体に対して所定の処理を施して下流へと排出する機能を有する。
【0012】
画像形成装置200は、所定の画像形成方式を用いて、シート状の媒体に画像を形成し排出する装置の一例である。以下、シート状の媒体を、単に「シートS」と表記する。また、後述する折り処理装置300において、所定の折り処理が施されたシートSを「折りシートSf」とする。すなわち、本実施形態の説明に係る「封入物」には、画像形成装置200から下流に排出されて折り処理を行わずに封入封緘処理装置100に搬入されたシートSと、折り処理が施された折りシートSfのいずれも含まれる。なお、シートS又は折りシートSfに画像形成処理が施されている場合、及び画像形成処理は施されていない場合、いずれも、本実施形態には含まれる。
【0013】
本実施形態において、封入待機位置に搬送され、封入される予定の封入物を封入予定物と表記することがある。
【0014】
画像形成装置200から排出されたシートSに対する折り処理の実施又は不実施の指示は、画像形成装置200が備える制御部(後述するプリンタ制御部260)に対する制御指示に含まれる。この制御指示は、プリントシステム1の利用者が入力する情報に基づいて当該プリンタ制御部260から送出される。または、折り処理装置300が備える折り制御部320に対し、プリントシステム1の利用者が入力した情報に基づく指示による。
【0015】
封入封緘処理装置100は、シートSが搬入される方向(搬送方向)の上流側に配置される装置(画像形成装置200又は折り処理装置300)から排出された封入物としてのシートSや折りシートSfを封筒Eに封入する封入処理を行なう。そして、封入物が挿入された封筒Eを封緘する封緘処理も行なう。なお、シートSや折りシートSfを下流側に配置される装置に対して直接排出して、シートSや折りシートSfの封入処理などを行わない処理もある。
【0016】
封入封緘処理装置100は、折りシートSfを、封筒Eに対して適切な向きで封入する処理を施すこともできる。ここで「適切な向き」とは、封入物としての折りシートSfに形成された宛先などの情報を封入後に封筒Eの外側からも視認できるように、封筒Eに予め形成されている透明窓ewに対応する向きをいう。折りシートSfに施される折り処理の種類(折り種)は複数あり、折り種によって宛先などの情報が搬送方向に対する向きが異なる状態になる。
【0017】
そこで、封入封緘処理装置100では、折り種に応じて、折りシートSfの搬送時に搬送方向に対する直交方向への向き反転の要否を判定する。そして、反転が必要な場合は、封入待機位置の上流側の搬送経路を利用して折りシートSfを反転させてから封入待機位置へと搬送する搬送機構を備える。折りシートSfに対する反転制御及び搬送制御の詳細は後述する。なお、封入封緘処理装置100は、折り処理が施されていない封入物としてのシートSも、同様に封入することができる。
【0018】
後処理装置400は、上流側の装置で排出されたシートSや折りシートSfに対して、ステイプル処理など、制御部を介して指示された後処理を施す装置である。
【0019】
[本実施形態で参照する座標軸]
ここで、本発明に係る実施形態の説明において参照するための「座標軸」について説明する。
図1にて示すように、プリントシステム1の載置面と平行する軸であって、プリントシステム1を構成する各装置の並び方向に沿う軸をY軸とする。そして、Y軸を示す矢印の方向を「+Y方向」とし、逆方向を「-Y方向」とする。画像形成装置200において画像が形成されたシートSは、+Y方向に搬出され、その後、+Y方向の下流側に配置される各装置へと搬送される。
【0020】
また、同じくプリントシステム1の載置面と平行する軸であって、プリントシステム1の奥行き方向に沿う軸をX軸とする。そして、X軸を示す矢印の方向を「+X方向」とし、逆方向を「-X方向」とする。
【0021】
またX軸とY軸に直交する軸であって、プリントシステム1の高さ方向に沿う軸をZ軸とする。そして、Z軸を示す矢印の方向を「+Z方向」とし、逆方向を「-Z方向」とする。
【0022】
以下の説明において用いる図面にも、上記と同様の座標軸を付記しているときは、その説明に用いられる方向の定義は、上記と同様のものとする。
【0023】
画像形成装置200において画像が形成されたシートSは、+Y方向に排出され、その後、下流側に配置される各装置へと搬送される。したがって、+Y方向が搬送方向とほぼ同義である。しかし、封入封緘処理装置100においては、シートSの搬入方向が+Y方向であるが、シートS及び折りシートSfの封入封緘動作における搬送方向はZ方向である。
【0024】
すなわち、プリントシステム1において、封筒Eを封入待機位置へと搬送するときの主な搬送方向と、封入物を封入待機位置へと搬送するときの主な搬送方向は異なり、封筒Eの搬送方向は「Z方向」であり、封入物の搬送方向はこれに直交する「Y方向」である。また、封入待機位置へ封筒Eを搬送するときの主な搬送方向は「+Z方向」であるが、封筒Eを封入待機位置から排出位置まで搬送するときの主な搬送方向は「-Z方向」である。
【0025】
[プリントシステム1の機能ブロック]
プリントシステム1の全体の機能ブロックについて、
図2を用いて説明する。以下の説明において、封入待機位置へと搬送される封入物は、画像形成装置200において画像が形成され、折り処理装置300において所定の折り処理が行なわれた折りシートSfを前提にする。
図2では折りシートSfの移動経路(搬送経路)を破線で表示し、各機能ブロック間で信号の送受に用いられる通信路は実線で表示している。なお、シートSの移動経路(搬送経路)も破線で表示されている。
【0026】
画像形成装置200は、例えば、既知の電子写真プロセスによりシートSに画像を形成する装置である。画像形成装置200は、表示部210と、操作部220と、給シート部230と、作像部240と、定着部250と、プリンタ制御部260と、を備える。
【0027】
表示部210は、ユーザーに各種機能の状態や操作内容を知らせるための表示をする。操作部220は、ユーザーが処理動作モードや処理部数の設定、及び封入封緘処理装置100において封入する際に反転を必要とする設定等の設定操作を行うための操作インターフェースに相当する。給シート部230は、シートSをストックして一枚毎に分離して給送するシート給送機構を備える。作像部240は、感光体に潜像を形成しシートSへと画像を転写させる。定着部250は、シートSに転写された画像を定着させる。プリンタ制御部260は、上記の各ブロック機能ブロックの動作を制御する。
【0028】
本実施形態に係る折り処理装置300は、シート折り部310と、折り制御部320と、を有する。シート折り部310は、後述する複数の異なる折り処理を実行可能な構成を備える。折り制御部320は、シート折り部310において、ユーザーが指定した折り処理、折り回数を実行するように制御する。また、折り制御部320は、後述するように、封入物の搬送間隔を調整するために、増し折り処理の制御や、増し折り処理回数の制御も行う。なお、折り制御部320は、シート折り部310において実行する折り処理において、ユーザーが指定した位置に折り目が形成されるように、折り目調整制御処理も実行する。
【0029】
[封入封緘処理装置100の説明]
封入封緘処理装置100は、封入物搬送部110と、封入装置としての封入処理部120と、封緘処理部130と、報知部190及び封入封緘制御部150を有する。
【0030】
封入物搬送部110は、シート折り部310から搬入された折りシートSfの画像形成面Psの向きに応じて、封入待機位置へと折りシートSfを搬送するシート搬送処理を実行する。ここで「シート搬送処理」とは、折り制御部320から通信ライン105を通じて封入封緘制御部150に伝えられた制御モード(折り方の種類、印字面の位置などを含む)に応じた処理である。言い換えると、封入物搬送部110では、折りシートSfを搬送方向下流へ搬送する搬送処理、折りシートSfの搬送方向端部を入れ換える反転処理などを行う。搬送処理及び反転処理によって折りシートSfは、封入処理部120もしくは後処理装置400へと搬送される。
【0031】
封入処理部120は、封入物搬送部110から搬送されてきた折りシートSfを封入可能な位置に封筒Eを移動させて、その封筒Eを所定の位置で待機させ、待機している封筒Eに封入物を封入させる機構を備える。また、封入処理部120は、所定の位置に至る前に、封筒Eの開口が開放された状態になるようにフラップefを開けるフラップ開処理を行なうための機構を備える。また、所定の位置に至る前に、封筒Eの長さ(封入物が封入される方向における寸法)や、フラップefの長さを算出する機構も備える。これら機構により、所定の位置で保持されて開口が開放されている状態の封筒Eに対して折りシートSfの封入処理が実行される。そして、この封入処理を、様々な種類及び大きさの封筒Eに対して適切に行うことができる。
【0032】
封緘処理部130は、折りシートSfが封入された封筒Eのフラップefを閉じてから、封緘した封筒Eを封筒排出トレイ134へ排出する処理を行う。封筒排出トレイ134への排出動作は、封入動作が異常になったときに封筒Eへ封入物の封入を停止して、封筒Eを排出するためにも用いられ、封入待機位置とは異なる排出位置に相当する。
【0033】
報知手段としての報知部190は、封入封緘制御部150において制御される封入物搬送処理、封入処理及び封緘処理に異常が生じた場合、プリントシステム1及び封入封緘処理装置100の利用者に対して、異常の発生を知らせる機能を備える。
【0034】
封入封緘制御部150は、封入物搬送部110、封入装置としての封入処理部120及び封緘処理部130を構成する複数の搬送ローラ対の動作や、封筒Eの搬送経路を切り替える切替爪の動作を制御する。また、封入封緘制御部150は、上記の構成の制御において異常を検出したときに報知部190を介して異常状態を報知する。
【0035】
すなわち、封入封緘制御部150は、折りシートSfの反転制御や封入制御を含む搬送制御を行う制御手段である。当該制御部としての封入封緘制御部150は、プリンタ制御部260及び折り制御部320から、折りシートSfに関する情報としての「封入対象情報」を受け取る。そして、受け取った封入対象情報に含まれる各情報で示されている内容に基づいて搬送制御を行う。
【0036】
なお、「封入対象情報」とは、封入物であるシートS及び折りシートSfに関する情報であって、より詳細には、封筒Eへの封入されるときのシートSや折りシートSfの先頭となる端部を、所望する側の端部となるように制御するための情報を含む。また、例えば、折りシートSfに対する折り処理の種類を規定する「折種情報」が含まれる。また、上流側装置の一つである画像形成装置200からの動作指示情報として、後述する反転搬送処理の要否を規定する「反転要否情報」が含まれる。また、例えば、折りシートSfに対し画像が形成されている画像形成面を示す印字面情報が含まれる。また、例えば、折り処理を行なうシート折り部310が、異なる種類の折り処理を実行可能な構成を備えるものであれば、使用された折り処理の種類を示す「折り処理装置情報」が含まれる。
【0037】
後処理装置400は、後処理部410と、後処理制御部420と、を有する。後処理部410は、上流側から搬送されてきたシートSに対し、後処理制御部420の制御により、所定の後処理を実行する。後処理制御部420は、プリンタ制御部260、折り制御部320、及び封入封緘制御部150から通信ライン403を通じて伝えられた動作モードにより、後処理制御部420における後処理動作を制御する。
【0038】
プリンタ制御部260、折り制御部320、封入封緘制御部150及び後処理制御部420は、相互に連結されていて、各通信ライン(207、105、403)を介して制御に必要な情報のやり取りが行なわれるように構成されている。したがって、各制御部(260、320、150、420)の連携によって、シートS及び折りシートSfに対してユーザーが行うことを要求する処理モードに関する情報や、シートサイズが相互に共有される。これによって、各機構が所定のタイミングと所定の工程によって所定の処理を実行可能とする制御情報がプリントシステム1全体において共有される。
【0039】
本実施形態において中心的な制御動作を行う封入封緘制御部150は、演算処理部としてのCPU(Central Processing Unit)、記憶部としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。そして、各搬送ローラへの制御信号を出力し、各搬送ローラからの信号を入力とするインターフェース、及び、各センサの出力信号を受け取るインターフェースなども備える。これらハードウェア資源を用いて制御処理を実行可能な制御プログラムによって、封入封緘処理装置100の動作は制御される。封入封緘制御部150の機能ブロックの詳細については、後述する。
【0040】
また、プリンタ制御部260、折り制御部320及び後処理制御部420も、封入封緘制御部150と同様に、CPU、ROM、RAM等によって構成されるハードウェア資源を用いて、それぞれの機能を実現する制御プログラムによって、ハードウェア機構の動作を制御する。
【0041】
なお、
図1及び
図2においてプリントシステム1の構成例として、封入封緘処理装置100の下流に後処理装置400が接続された例を示した。代表的な後処理装置400としてはステイプル処理を行うフィニッシャや、スタッカ、製本機などがある。また、プリントシステム1のシステム構成としては封入封緘処理装置100が最下流となる構成でもよい。
【0042】
[プリントシステム1における制御動作の例]
ここで、プリントシステム1に係る制御動作の実施形態について説明する。当該実施形態は、後述する封入処理部120によって算出される封筒Eの封筒長や、フラップefのフラップ長に基づく制御処理を含み、封筒Eを封入待機位置に搬送するまでにフラップefが正常に開いていることを判定する処理も含む。そして、フラップefが正常に開いていないときには、フラップefを開く処理(フラップ開処理)を再度実行し、フラップefが開いてから封入待機位置への搬送を行なうリトライ処理を含む。
【0043】
封入封緘制御部150は、制御処理プログラムによって、封筒Eを待機位置に搬送させるまでの間に、封筒Eの長さ(封筒長)と、封筒Eが備えるフラップefの長さ(フラップ長)を算出する処理を実行する。また、封入封緘制御部150は、算出した封筒長とフラップ長を、折り制御部320や後処理制御部420、及び、折り制御部320を介してプリンタ制御部260にも通知する処理を実行する。
【0044】
なお、本実施形態において、封筒長とは、封筒Eを封入待機位置に搬送するときの搬送方向における、封筒Eの前方の端部(先端)から後方の端部(後端)までの長さをいう。後述するように、封筒Eは、積載されている位置から封入待機位置に搬送されるまでに、搬送方向の前方と後方が入れ替わる搬送(スイッチバック搬送)が行われるので、搬送中に先端と後端が入れ替わる。また、搬送の途中においてフラップefを開くので、フラップefが開いていない状態での両端部は、いずれも封筒Eの本体部分の端部であるが、フラップefが開いた状態では、一方の端部がフラップefの端部となる。
【0045】
以下の説明では、封筒Eの搬送状態に応じて適宜先端と後端を述べるが、フラップefが閉じた状態での先端から後端までの長さを「第一封筒長」とする。また、フラップefが開いた状態での先端から後端までの長さを「第二封筒長」とする。
【0046】
したがって、第一封筒長とは、いわゆる封筒Eの天地寸法に相当し、封筒Eの底部からフラップefを折り曲げ位置までの長さに相当するので、以下の説明では、この長さのことを「本体長」と表記することもある。また、第二封筒長は、封筒Eの底部からフラップefを開いた状態のフラップefの先端までの長さに相当する。すなわち、第二封筒長は、本体長にフラップefの長さを合算した長さに相当する。したがって、第二封筒長から第一封筒長を差し引いた値が、フラップefの搬送方向における長さに相当するので、以下の説明では、この距離を「フラップ長」と表記することもある。
【0047】
本体長及びフラップ長に基づいて封筒Eの搬送量を制御することで、封筒Eを封入待機位置に搬送する封筒搬送制御を行なうことができる。
【0048】
また、フラップ長の算出結果に基づけば、フラップefが正常に開いた状態になっているか否かを判定することができる。そして、フラップefが正常に開いた状態になっていると判定したときは封入待機位置に搬送することができる。また、フラップefが正常に開いていない状態であると判定したときは、フラップefを開くための動作を繰り返し行なうリトライ処理の制御を行なうことができる。
【0049】
また、スラップ開処理のリトライ処理が実行されることで、封入待機位置に封筒Eを搬送して、この封筒Eに対する封入処理が終了した後に次の封筒Eが封入待機位置に搬送されるまでの時間(封筒準備時間)が長くなることがある。封入物が給シート部230から取り出されて封入待機位置に搬送されるまでの時間(封入物搬送時間)に対して、封筒準備時間が長くなりすぎると、封入待機位置において実行する封入処理が失敗する可能性が高くなる。
【0050】
そこで、本実施形態に係る封入封緘制御部150において算出可能な封筒準備時間と、プリンタ制御部260、折り制御部320、封入封緘制御部150の連携にて算出可能な封入物搬送時間に基づいて、封入待機位置に封入物が搬送されるタイミングを変更する。封入待機位置に封入予定物が搬送されるタイミングの変更は、封筒Eが搬送されるタイミングに対して封入物の搬送タイミングが合うように、封入予定物の搬送状態を調整する制御処理によって実現される。
【0051】
本実施形態に係るプリントシステム1において、連続的に封入処理を行うことを含むジョブを実行するときに、封筒Eの搬送異常を復旧するための処理を行うことで封筒Eの搬送タイミングが遅くなる場合、封入予定物の搬送タイミングも遅らせる方向で調整する。この調整処理によって、封入予定物が封入待機位置に到達するタイミングと、封筒Eが封入待機位置に到達するタイミングを合わせることができ、封入処理を安定して行うことができるようになる。
【0052】
仮に、封筒Eの封入待機位置への搬送タイミングが乱れて、封入待機位置への封入物の搬送タイミングと合わなくなると、封筒Eが到着するまで封入物を封入待機位置で保持し続けてから、封入処理のための搬送を再開することになるので、封入物に傷がつきやすくなる。
【0053】
[封入封緘処理装置100における動作]
次に封入封緘処理装置100が有する封入物搬送部110と、封入処理部120と、封緘処理部130と、を構成する搬送ローラや、搬送物の搬送路及び搬送方向を切り替えるための機構について、
図3を用いて説明する。
【0054】
[封入物搬送部110の構成]
図3に示すように封入物搬送部110は、搬入路1100、第一搬送路1101、第二搬送路1102、スイッチバック搬送路1103、第四搬送路としての封入搬送路1104、シート搬出路1109として区別される複数の搬送経路を有する。
【0055】
封入物搬送部110は、搬送物の向きを封筒Eへの封入時に適切な向きにする処理を実行する。そして、折り処理装置300から搬入された折りシートSf等に対して、後述する封入処理を行なわないときは、入口ローラ101によって搬入された折りシートSf等を搬入路1100から第一搬送路1101へと通過させる。そして、シート搬出路1109を介して下流側の装置へと排出される。
【0056】
また、折り処理装置300から搬入された折りシートSf等に対して、後述する封入処理を行なうときは、折りシートSf等は、第一搬送路1101から分岐して、封筒Eを保持する封入ローラ121へと続く第四搬送路としての封入搬送路1104へ搬送させる。封入搬送路1104は後述するとおり、封筒封入搬送路1105へと連続するように構成されている。
【0057】
[封入処理部120の構成]
図3に示すように封入処理部120には、封入物搬送部110から封入物であるシートS又は折りシートSfを受け入れて封筒Eへの封入を行うための封入搬送路1104に連結する封筒封入搬送路1105が設けられている。
【0058】
封筒封入搬送路1105には、折りシートSfを封筒Eに挿入する位置(封入待機位置)に封筒Eを搬送するための第一縦搬送ローラ122と第二縦搬送ローラ123が配置されている。封筒封入搬送路1105において、折りシートSfを受け入れる位置に搬送されてきた封筒Eは、封入ローラ121によって保持される。
【0059】
封入待機位置は、封入ローラ121と第一縦搬送ローラ122の間の位置に相当する。そして、封入待機位置には、封筒封入搬送路1105の側方に、封入支援部160が配置されている。
【0060】
封入手段としての封入支援部160は、封入待機位置において封入物を封筒Eに挿入しやすい状態を形成するために、搬送されてくる封入物にとっては障害物になりうる封筒Eのフラップefを、封筒封入搬送路1105から退避させる機能を有する。封入支援部160によって、フラップefが封筒封入搬送路1105から退避することで、封入物が封筒Eに向かって搬送される搬送経路上においてフラップefが封入物の挿入を邪魔することを防止できる。これによって、封入待機位置において封入物の封入が円滑になるように支援することができる。
【0061】
封入支援部160は、フラップefを封筒封入搬送路1105から離れた退避位置において保持する。これによって、封入物の封筒Eへの進入(封入)をフラップefが邪魔しない状態を形成する。そして、封入支援部160は、フラップefを退避位置にて維持したまま封筒Eの間口を拡張し、封入物の封入が円滑に行われるように、封入動作の支援になる動作を行う。
【0062】
封筒封入搬送路1105は、封入物が封入された封筒Eに対して封緘処理を行うための封緘搬送路1106へ連結している。封筒封入搬送路1105は、封入搬送路1104と封緘搬送路1106と連結して封筒搬送経路を構成する。
【0063】
そして、封筒封入搬送路1105から封緘搬送路1106への続く連結位置には、フラップ開ローラ124が配置されている。フラップ開ローラ124には、フラップefを開くためのフラップ開部材としての、フラップ開爪181が設けられている。封筒Eが封筒セットトレイ127から搬出されて、封筒搬入路1107を通過して通って封筒封入搬送路1105へと合流するときに、フラップ開爪181が作用してフラップefを開く処理(フラップ開処理)が行なわれる。
【0064】
フラップ開爪181を用いてフラップefを開く動作を行なう一連の機構として、封筒Eを搬送しながらフラップefを開くフラップ開処理と、フラップ開処理においてフラップefが正常に開かなかったとき、フラップ開処理を再度実行するリカバリ処理が行われる。フラップ開処理とリカバリ処理は、いずれも、フラップ開機構180において実行される。
【0065】
フラップ開機構180は、封筒搬入路1107と封筒封入搬送路1105との合流位置の近傍に配置されている。フラップ開機構180には、フラップ開ローラ124に対する搬送方向上流側に配置されるセンサが含まれる。このセンサは、フラップefが閉じている状態の封筒Eを検出するセンサであって、封筒Eの搬送方向の端部を検出して第一封筒長を算出するための第一封筒検出手段としての分離センサ128である。
【0066】
また、フラップ開機構180には、フラップ開ローラ124に対する搬送方向下流側に配置されるセンサが含まれる。このセンサは、フラップ開爪181によってフラップefが開いたはずの状態における封筒Eを検出するセンサであって、封筒Eの搬送方向の端部を検出して第二封筒長を算出するための第二封筒検出手段としてのフラップ開センサ129が含まれる。
【0067】
すなわち、フラップ開機構180が備える複数のセンサの検出結果に基づくことで、第一封筒長及び第二封筒長を算出することができ、これら複数の算出結果に基づいて、封筒Eのフラップefが正常に開いているか否かを判定することができる。なお、フラップ開機構180の詳細な構成は、後述する。
【0068】
封筒封入搬送路1105に封筒搬入路1107が合流する合流点には、封筒Eの搬送方向を切り替えるための封筒スイッチバック切替爪21が配置されている。この封筒スイッチバック切替爪21も、フラップ開機構180に含まれる。
【0069】
封筒封入搬送路1105へと封筒Eを供給するための封筒搬入路1107には、分離ローラ125と、封筒搬送ローラ126と、第一封筒長検出手段としての分離センサ128が配置されている。また、封筒搬入路1107の端部には、封筒セットトレイ127が配置されている。封筒封入搬送路1105とともに、封筒搬入路1107も封筒搬送経路を構成する。
【0070】
封筒セットトレイ127には、複数の封筒Eが載置されている。封筒セットトレイ127に載置されている封筒Eは、フラップefの反対端となる底部が、分離ローラ125側に向けられている。したがって、封筒セットトレイ127から搬出されるときの封筒Eの搬送方向における先端は、封筒Eの底部となる。したがって、フラップefが設けられている側の端部が後端となる。
【0071】
封筒セットトレイ127に載置されている複数の封筒Eから、分離ローラ125によって、ピックアップされた一つの封筒Eは、分離ローラ125、封筒搬送ローラ126によって封筒搬入路1107を通過し、封筒スイッチバック切替爪21を超える位置まで搬送される。そして、フラップ開ローラ124による搬送も合わせて、封筒Eの搬送方向後端が封筒スイッチバック切替爪21の先端(回動する端部)を超えた位置に至ったとき、封筒スイッチバック切替爪21は、回動して封筒Eをスイッチバック搬送可能な状態に切り替わる。
【0072】
すなわち、封筒スイッチバック切替爪21は、封筒セットトレイ127から取り出された封筒Eが封筒封入搬送路1105を通過して封緘搬送路1106にまで一旦搬送させるための第一位置と、封筒封入搬送路1105において封入物搬送部110側に封筒Eを搬送するための第二位置との間で回動する。封筒スイッチバック切替爪21が、第一位置にあるとき、封筒スイッチバック切替爪21の先端は封筒搬入路1107を跨がない位置にあり、封筒Eが封筒封入搬送路1105へと移動できる状態を形成する。そして、封筒スイッチバック切替爪21が、第二位置にあるとき、封筒スイッチバック切替爪21の先端は封筒搬入路1107を跨ぐ位置にあり、封筒Eがスイッチバック搬送されて封緘搬送路1106から封筒封入搬送路1105へと移動できる状態を形成する。封筒スイッチバック切替爪21によって、封筒封入搬送路1105における封筒Eの搬送方向が切り替わる。
【0073】
第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123は、封筒Eを封筒封入搬送路1105の所定の位置としての封入待機位置に搬送して保持する。ここでの封入待機位置は、後述するように、封筒Eの開口の位置(フラップefの位置)が封入ローラ121よりも下方であり、第一縦搬送ローラ122よりも上方に相当する位置である。
【0074】
封入ローラ121は、封入物搬送部110から搬送されてきた折りシートSfを封筒Eへと封入する方向に回転する搬送ローラの一種である。
【0075】
[封緘処理部130の構成]
図3に示すように封緘処理部130には、封緘搬送路1106に第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が配置されている。そして、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132の間には、封入物が封入された状態の封筒Eのフラップefを閉じる封緘手段としての封緘部135が配置されている。
【0076】
第三縦搬送ローラ131及び第四縦搬送ローラ132は、封筒Eを封緘搬送路1106の所定の位置に搬送して保持する。
【0077】
また、封緘搬送路1106から分岐する封筒排出路1108の分岐位置には、封筒排出切替爪31が配置されている。封筒排出路1108の端部には、封筒排出ローラ133が配置されている。封筒排出ローラ133は、封筒排出トレイ134に向けて封筒Eを排出するローラである。封筒排出トレイ134は、排出された封筒Eを載置するトレイである。
【0078】
封筒排出切替爪31は、封入搬送路1104においてフラップ開ローラ124側から第三縦搬送ローラ131へと封筒Eを搬送する位置と、封入搬送路1104から封筒排出路1108へ封筒Eを搬送する位置と、の間で回動し、封筒Eの搬送方向を切り替える部材である。
【0079】
以上説明したとおり、封入封緘処理装置100は、封入物搬送部110から、封入処理部120と封緘処理部130へと折りシートSfを搬送する搬送経路が、縦方向(Z方向)において連結されて配置されている。折りシートSfの搬送経路でもあり封筒Eの搬送経路でもあるこの搬送経路は、封入処理部120の封筒封入搬送路1105と封緘処理部130の封緘搬送路1106を、縦方向(Z方向)において連結した縦搬送経路に相当する。
【0080】
[封入封緘処理の流れ]
次に、封入封緘処理装置100における封入動作及び封緘動作の一連の流れの例について、
図4から
図16を用いて説明する。以下説明をする封入動作及び封緘動作を合わせて封入封緘処理と表記する。また、封入動作を行うにあたり、封入封緘制御部150が実行する制御処理を封入処理と表記し、同じく封緘動作に対応して封緘処理と表記する。また、封入処理と封緘処理を合わせて封入封緘処理と表記する。以下の各図において、各動作段階の説明に用いられる構成にのみ符号等を付している。
【0081】
まず、
図4に示すように、分離ローラ125が回転して、封筒セットトレイ127に積載されている複数の封筒Eから一つずつ分離させて封筒搬入路1107へと送り出される。そして、封筒搬入路1107に配置されている封筒搬送ローラ126によって、分離された封筒Eがフラップ開ローラ124へと搬送される。
【0082】
このとき、封筒Eの搬送方向の先端(搬送方向先端)と搬送方向の後端(搬送方向後端)が、搬送とともに分離センサ128によって検出される。この検出結果に基づいて、後述するように第一封筒長が算出される。
【0083】
封筒Eが封筒搬入路1107を搬送されてくるとき、封筒スイッチバック切替爪21は、
図4に例示するように、封筒Eが封筒搬入路1107から封筒封入搬送路1105へと搬送可能な方向に向けられている。また封筒排出切替爪31は、
図4に例示するように、封筒Eが封筒封入搬送路1105から封緘搬送路1106へと進入可能な方向に向けられている。
【0084】
また、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132は、封筒Eを-Z方向へと搬送させる方向に回転している。これによって、封筒Eは封筒搬入路1107から封筒封入搬送路1105に至る。
【0085】
続いて、
図5に示すように、封筒Eがフラップ開ローラ124を通過するときに、フラップ開爪181によってフラップefが開いた状態になる。このとき、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132の回転を継続する。
【0086】
その後、
図6に示すように、開いたフラップefの端部がフラップ開センサ129を通過したときに、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132の回転は一旦停止し、封筒Eを封筒封入搬送路1105においてスイッチバック搬送するように移行する。
【0087】
ここで、
図4、
図5及び
図6に至る封筒Eの搬送動作におけるフラップ開機構180の動作及び封筒長の算出処理の概要について説明する。まず、
図4に示すようにフラップ開ローラ124に向けて搬送されてきた封筒Eは、フラップ開ローラ124のニップに向かう途中において、その搬送方向の先端が分離センサ128によって検出される。
【0088】
そして、フラップ開ローラ124によって
図5に例示する位置に封筒Eが搬送されるまでの間に、フラップefが閉じている封筒Eの搬送方向後端も分離センサ128によって検出される。すなわち
図4から
図5に至る過程において、分離センサ128によって封筒Eの搬送方向先端が検出されてから搬送方向後端が検出されるまでの時間(搬送方向端部の検出時刻の差)、封筒Eの搬送速度又は封筒搬送ローラ126の回転数などに基づくことで、フラップefが閉じている封筒の封筒長としての第一封筒長を算出することができる。
【0089】
また、
図5に示すように、封筒Eの搬送方向の先端(底部)がフラップ開ローラ124のニップを通過ながら-Z方向へと移動するとき、フラップ開爪181の先端部分は、封筒封入搬送路1105を塞ぐような定常位置にある。その結果、封筒Eの搬送方向先端がフラップ開爪181に接触し、搬送されながらフラップ開ローラ124を押すことになる。押されたフラップ開ローラ124は回動して、封筒Eが封筒封入搬送路1105を進行可能な状態になる。
【0090】
さらに、
図6に示すように、封筒Eがフラップ開ローラ124によって搬送されると、回動したフラップ開爪181によってフラップefが開いた状態になって、さらに封筒Eは搬送方向へと搬送される。
【0091】
図6に続いて、
図7に示すように、封筒Eのフラップefが開いた状態であり、かつ、フラップefがフラップ開ローラ124を抜けた位置に至った後において、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が逆転する。これによって、封筒Eは、封緘搬送路1106と封筒封入搬送路1105において、+Z方向へと搬送される。
【0092】
この搬送を「スイッチバック搬送」とする。なお、スイッチバック搬送が開始される前、または同時に、封筒スイッチバック切替爪21が
図7で示す方向に回動し、先端が封筒封入搬送路1105を跨いでいた位置から移動する。これによって、封筒封入搬送路1105の上方に向けて封筒Eを搬送することができる状態になる。その結果、封筒Eが、スイッチバック搬送にされて封入処理部120の封入待機位置へと搬送される。
【0093】
スイッチバック搬送される封筒Eは、まず、開いた状態のフラップefの端部(搬送方向後端)が、フラップ開センサ129によって検出され、その後、封筒Eの底部(搬送方向先端)がフラップ開センサ129によって検出される。なお、スイッチバック搬送のときは、フラップefの端部が搬送方向の先頭になるが、表現を統一するために、以下の説明においても、フラップefの端部は、実際の封筒Eの移動方向(搬送方向)に関係なく「搬送方向後端」と表記する。また、封筒Eの底部側は搬送方向先端と表記する。
【0094】
したがって、フラップefが第一縦搬送ローラ122に至るまでに、フラップefの端部(搬送方向後端)と、封筒Eの底部(搬送方向先端)がいずれもフラップ開センサ129によって検出される。すなわち、フラップefが開いている封筒Eの搬送方向の先端と後端がフラップ開センサ129によって検出される。このフラップ開センサ129の検出結果に基づいて、搬送方向後端(フラップefの端部)が検出されてから搬送方向後端(封筒Eの底部)が検出されるまでの時間と、封筒Eの搬送速度か第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132の回転数に基づき、フラップefが開いているときの封筒長(第二封筒長)も算出できる。
【0095】
そして、フラップefが開いているときの封筒長(第二封筒長)から、フラップefが閉じているときの封筒長(第一封筒長)を差し引くことで、フラップefの長さ(フラップ長)を算出できる。
【0096】
続いて、
図8に示すように、フラップ長に応じた封入待機位置に至るまで、第二縦搬送ローラ123と第一縦搬送ローラ122によって封筒Eが搬送される。フラップefが第一縦搬送ローラ122を抜けた位置であって、フラップ長に応じた封入待機位置に至れば、第二縦搬送ローラ123と第一縦搬送ローラ122の回転を停止させて、封入待機動作に入る。
【0097】
この封入待機動作に入るための位置に封筒Eを搬送する制御において、分離ローラ125が封筒Eを取り出してからの各搬送ローラの回転量から封筒Eの搬送量を算出し、搬送量と搬送経路長に基づいて、封筒封入搬送路1105内での封筒Eの位置を判断してもよい。
【0098】
続いて、封入待機位置に封入物を搬送するときの動作について説明する。なお、封入物を封入待機位置に搬送する動作は、
図3から
図8を用いて説明した封筒Eの搬送動作と平行して(同時に)実行されてもよい。ここでは、
図9に示すように、封筒Eを封入待機位置にて封入待機状態にした状態で、封入封緘処理装置100は、上流側装置(折り処理装置300)から折りシートSfを入口ローラ101で受け入れて第一搬送路1101へと搬送するケースを例にしている。
【0099】
続いて、
図10に示すように、折りシートSfを第一中間搬送ローラ114と第一搬送ローラ111によって下流に搬送する。このとき、第一切替爪11と第三切替爪13は、
図11に示す状態になっているので、折りシートSfは、第一搬送路1101から封入搬送路1104へと搬送される。
【0100】
その後、
図11に示すように、封入搬送路1104から封筒封入搬送路1105へと搬送された折りシートSfは、封入ローラ121によって、さらに-Z方向へと搬送される。その結果、折りシートSfは、第一縦搬送ローラ122などによって、封筒封入搬送路1105の所定の封入待機位置で保持されて、封入待機状態になっている封筒Eへと封入される。以上のように、封入物が封筒Eに挿入される。これに続いて封緘動作が実行される。
【0101】
図12に示すように、第一縦搬送ローラ122と第二縦搬送ローラ123を回転させて、封筒Eを下方に搬送して、
図13に示すように、封筒Eを第四縦搬送ローラ132まで搬送する。封入後の封筒Eは、フラップefが封筒排出切替爪31を抜ける位置に至るまで搬送される。
【0102】
その後、
図14に示すように、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132との間で、封緘部135によってフラップefを閉じて、封筒Eを封緘する。
【0103】
その後、
図15に示すように、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132を逆転して、封緘された封筒Eを第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132によってスイッチバック搬送する。第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が逆転する以前に、封筒排出切替爪31を回動させて、
図23に示す状態にする。これによって、封入された封筒Eは、封入搬送路1104から封筒排出路1108へと搬送される。
【0104】
その結果、
図16に示すように、封緘された封筒Eが封筒排出ローラ133により、封筒排出トレイ134に排出される。以上のように、封入物が入った封筒Eの封緘がなされて封筒排出トレイ134へと至ることで、封入封緘動作が完了する。
【0105】
プリントシステム1において、連続して封入封緘動作を行うようなジョブが実行されたときは、
図3~
図16を用いて説明した流れを繰り返す。このとき、封入物を封入待機位置に搬送する処理の処理間隔(封入物の搬送間隔)によっては、封入物が封入待機位置に至るタイミングよりも封筒Eが封入待機位置に至るタイミングが大幅に遅れることがある。特に後述するように、フラップ開機構180においてフラップ開処理を実行したときに、フラップefが正常に開かずにリトライ処理が行われると、その分、封筒Eが封入待機位置に至るまでの時間を要することになる。
【0106】
[フラップ開機構180]
次に、フラップ開手段としてのフラップ開爪181を含むフラップ開機構180について
図17を用いて詳細に説明する。
図17において、黒塗りの太矢印hが示す方向は、フラップ開機構180における封筒Eの搬送方向である。フラップ開機構180は、封筒搬入路1107において、搬送方向の上流側から順に、封筒搬送ローラ126、分離センサ128、封筒スイッチバック切替爪21が配置されている。また、封筒搬入路1107と合流する封筒封入搬送路1105に、フラップ開ローラ124とフラップ開センサ129も配置されている。すなわち、フラップ開機構180は、封筒搬入路1107と封筒封入搬送路1105にまたがって配置されるセンサ、搬送方向切替爪及び回動部材によって構成されている。
【0107】
また、フラップ開ローラ124を構成するローラ対の一方のローラの回転軸には、フラップ開爪181が回動可能な状態で取り付けられている。
【0108】
図17(a)に示すフラップ開機構180は、フラップ開爪181の搬送方向の先端側に相当する一方の端部としてのフラップ開先端部181tが、搬送経路としての封筒封入搬送路1105を跨ぐ位置になるように保持されている。そして、封筒スイッチバック切替爪21の先端である切替先端部21tが、封筒搬入路1107に接近してはいる位置で保持されている。
【0109】
また、
図17(b)に示すフラップ開機構180では、フラップ開爪181の搬送方向の後端側に相当する他方の端部としてのフラップ開後端部181rが、搬送経路としての封筒搬入路1107に接近する位置で保持されている。なお、フラップ開先端部181tは、搬送経路としての封筒封入搬送路1105を跨ぐ位置ではなく、封筒封入搬送路1105から離れた位置に保持されている。そして、
図17(b)に示すフラップ開機構180では、封筒スイッチバック切替爪21の切替先端部21tは、円弧状の封筒搬入路1107の接線方向に沿う位置であって、封筒搬入路1107から少し離れた位置に保持されている。
【0110】
本実施形態に係るフラップ開機構180では、封筒Eのフラップefを開くためのフラップ開動作を実行する前の定常時の状態として、
図17(a)に例示した状態、
図17(b)に例示した状態のいずれも採用できる。
【0111】
[ラップ開動作の第一例]
次に、
図18を参照しながら、フラップ開機構180の動作の流れの第一例について説明する。
図18(a)の状態は、すでに説明をした
図17(a)と同様の状態であって、封筒Eが搬送されてくる前の初期状態である。
【0112】
続いて、
図18(b)に示すように、封筒Eが封筒搬入路1107において搬送方向の上流から下流ヘと搬送されてくる。封筒Eの底部(搬送方向先端)が、切替先端部21tを通過してさらに搬送されると
図18(c)の状態に至る。
【0113】
図18(c)に示すように、フラップ開ローラ124が封筒Eを挟持してさらに搬送すると、封筒Eのフラップefがフラップ開後端部181rの外側を搬送方向に移動する状態になる。これは、封筒搬入路1107が円弧状に形成されていること、及び切替先端部21tが封筒搬入路1107に接近した位置にあることで、封筒Eの搬送方向先端が封筒搬入路1107から飛び出すことなく搬送方向先端がフラップ開ローラ124側に促されるからである。その結果、円弧状の封筒搬入路1107に沿うことで封筒Eが湾曲し、その曲がりの中心側にフラップefがあることで、封筒Eの本体からフラップefが離れやすい状態になる。
【0114】
また、封筒Eの搬送方向先端がフラップ開爪181の封筒封入搬送路1105側の面に当接し、さらに搬送されると、封筒Eがフラップ開爪181を
図18(c)に示すように回動させる。この回動によってフラップ開爪181のフラップ開後端部181rが封筒搬入路1107に接近する方向へ移動して、封筒搬入路1107において、フラップ開後端部181rが切替先端部21tをオーバーラップした位置に至る。その結果、封筒Eの中腹部を封筒搬入路1107の円弧状のルートからZ方向に沿う方向へと押し出す状態になる。これによって、フラップefが封筒Eの本体部分から離れて、フラップefが開くきっかけが作られる。
【0115】
その後、続いて、封筒Eを搬送すると、
図18(d)に示すように、封筒Eの本体とフラップefの境界部分にフラップ開後端部181rが当接する。さらに封筒Eが搬送されことで、
図18(e)に示すように、フラップefがフラップ開後端部181rをなぞるように移動する。
【0116】
そして、
図18(f)に示すように、フラップefが開いた状態の封筒Eが封筒封入搬送路1105を搬送されて、フラップefが開いた状態になる。
【0117】
この状態で、封筒Eは封筒搬入経路をスイッチバック搬送するときに、フラップefの端部と封筒Eの底部がフラップ開センサ129によって検出されて、第二封筒長が算出されて、フラップ長が算出される。
【0118】
[フラップ開動作の第二例]
次に、
図19を参照しながら、フラップ開機構180の動作の流れの第二例について説明する。
図19(a)の状態は、すでに説明をした
図17(b)と同様の状態であって、封筒Eが搬送されてくる前の初期状態である。
【0119】
続いて、
図19(b)に示すように、封筒Eが封筒搬入路1107において搬送方向の上流から下流ヘと搬送されてくる。封筒Eの底部(搬送方向先端)が、切替先端部21tを通過してさらに搬送されると
図19(c)の状態に至る。
【0120】
図19(c)に示すように、封筒Eの底部がフラップ開後端部181rを通過し、ある程度の位置に至ると、切替先端部21tが封筒搬入路1107を跨ぐ位置へと回動する。この結果、封筒Eのフラップefがフラップ開後端部181rの外側を搬送方向に移動する状態になる。これは、封筒搬入路1107が円弧状に形成されていること、及び切替先端部21tが封筒搬入路1107を跨ぐことで、封筒Eの本体部分を封筒搬入路1107の内側へと移動させるからである。
【0121】
これによって、フラップefが封筒Eの本体部分から離れた状態になり、フラップefが開くきっかけが作られる。
【0122】
その後続いて、封筒Eを搬送すると、
図19(d)に示すように、封筒Eの本体とフラップefの境界部分がフラップ開後端部181rに当たり、さらに搬送されると、
図19(e)に示すように、封筒Eの搬送に応じてフラップefがフラップ開後端部181rをなぞるように移動する。
【0123】
そして、
図19(f)に示すように、フラップefが開いた状態の封筒Eが封筒封入搬送路1105を搬送されて、フラップefが開いた状態になる。
【0124】
この状態で、封筒Eは封筒搬入経路をスイッチバック搬送するときに、フラップefの端部と封筒Eの底部がフラップ開センサ129によって検出されて、第二封筒長が算出されて、フラップ長が算出される。
【0125】
[封入封緘制御部150の機能ブロック]
次に、上記の封入動作等を制御する封入封緘制御部150の機能ブロックについて、説明する。
図20に示すように、封入封緘制御部150の機能ブロックとして、演算処理手段としてのCPU151と、CPU151において実行される制御プログラムを格納するROM152と、CPU151が制御プログラムを実行して所定の制御処理を実現するときのワークエリアに相当するRAM153を、備えている。
【0126】
CPU151において制御プログラムが実行されることで、封筒搬送制御部1511、フラップ長算出部1512、フラップ開判定部1513、開動作リトライ制御部1514、封入物搬送間隔算出部1515、封入物搬送間隔通知部1516からなる搬送処理機能が実現される。
【0127】
封筒搬送手段を構成する封筒搬送制御部1511は、封筒Eを搬送する複数の搬送ローラ対の駆動源となる搬送モータ170の回転を制御する。搬送モータ170は、すでに説明した搬送ローラ対の各々の回転の駆動源として、封入封緘処理装置100に適宜配置されている。封筒搬送制御部1511は、封入動作を含むジョブが開始されてから、封筒Eを封筒セットトレイ127からピックアップして、フラップefが開いた状態の封筒Eが封入待機位置に搬送されるまでの時間(次封筒準備時間)も算出する。
【0128】
封筒搬送制御部1511は、搬送モータ170の回転速度や回転量を制御しつつ、その情報をフラップ長算出部1512に通知する。
【0129】
フラップ開手段を構成するフラップ長算出部1512は、分離センサ128とフラップ開センサ129がそれぞれ、封筒Eの搬送方向先端と搬送方向後端を検出した信号を受け取る。そして、フラップ長算出部1512は、分離センサ128とフラップ開センサ129からの信号と、封筒搬送制御部1511からの通知に基づいて、第一封筒長と第二封筒長を算出し、さらにフラップ長を算出して、フラップ開判定部1513に通知する。
【0130】
フラップ開状態判定手段を構成するフラップ開判定部1513は、通知されてきたフラップ長に基づいて封筒Eのフラップefが正常に開いたか否かを判定する。フラップ開判定部1513は、判定結果が、封筒Eのフラップefが正常に開いていないとするものであるとき(異常状態であると判定したとき)、報知部190の構成の一例に相当するディスプレイ191に異常であることを知らせる情報を表示させる。また、フラップefの状態を示す情報を開動作リトライ制御部1514に通知する。
【0131】
フラップ開状態判定手段に含まれる開動作リトライ制御部1514は、フラップefが正常に開いていないことが検知されたとき、封筒Eのフラップ開動作を再度実行するように、封筒搬送制御部1511に対してリカバリ動作のための搬送制御を通知する。リカバリ動作の詳細は、後述する。
【0132】
封入物搬送間隔算出手段を構成する封入物搬送間隔算出部1515は、封入動作を伴うジョブが実行されるとき、一の封入物が封入待機位置に搬送されて封入された後に続けて他の封入物(次封入物)が封入待機位置に搬送されるまでの時間に相当する搬送時間の間隔を算出する。
【0133】
封入物搬送間隔算出部1515は、連続して封入待機位置に搬送(供給)される封入物同士の搬送間隔として時間に換算して算出される「封入物搬送時間」と、封筒搬送制御部1511において算出される「次封筒準備時間」との関係に基づいて、封入物が上流の装置から供給される時間間隔に相当する排出間隔の調整の元になる間隔延長量を算出する。
【0134】
封入物搬送間隔通知手段を構成する封入物搬送間隔通知部1516は、封入物搬送間隔算出部1515において算出された間隔延長量と、上流側の装置に相当する折り処理装置300、画像形成装置200に通知する。
【0135】
間隔延長量は、封入物搬送時間(X)と次封筒準備時間(Y)を対比し、「X<Y」であるとき、「Y-X」に相当する時間だけ、封入物が封入待機位置に到達するタイミングを遅らせるための処理に相当する。例えば、折り制御部320に対して間隔延長量を通知すると、折り制御部320では、後述する増し折りにおける搬送待ち処理や、封入物を一旦退避させる退避経路を利用する搬送待ち処理などを実行し、間隔延長量に相当する分の時間を搬送間隔に設けるようにする。
【0136】
また、折り処理装置300、画像形成装置200において封入物を搬送する搬送速度を調整することで、折り処理装置300,画像形成装置200から下流に向けて封入物を排出する間隔(排出間隔)を、間隔延長量に基づいて調整する。
【0137】
[フラップ開動作の失敗例]
ここで、フラップ開動作においてフラップefを正常に開くことができない場合の例を説明する。
図21は、
図18を用いて説明したフラップ開機構180の動作の流れの第一例において、フラップefが正常に開かないときを例示する図である。
図21(a)の状態は、すでに説明をした
図17(a)及び
図18(a)と同様の状態であって、封筒Eが搬送されてくる前の初期状態である。
【0138】
続いて、
図21(b)に示すように、封筒搬入路1107において、封筒Eが搬送方向の上流から下流ヘと搬送されてくる。封筒Eの底部(搬送方向先端)が、切替先端部21tを通過してさらに搬送される。このとき、フラップefが封筒Eに密着していると、切替先端部21tを回動させて封筒搬入路1107を跨ぐようにしても、フラップefと封筒Eとの間に隙間が形成されない。すなわち、封筒搬入路1107が円弧状に形成されていても、フラップefがフラップ開後端部181rの外側に変位せずに、内側にとどまる状態で搬送が続くことになる。言い換えると、フラップefと封筒Eとの間にフラップ開後端部181rが入る隙間が形成されない状態で封筒Eが搬送されることになる。
【0139】
その結果、
図21(c)に示すように、フラップefが封筒Eに密着したままでさらに搬送されて、
図21(d)に示すように封筒Eの本体とフラップefが密着したままでフラップ開後端部181rを通過する。さらに搬送されると、
図21(e)に示すように、封筒Eとフラップefが密着したまま、すなわち、フラップefが開かないままで搬送される。その後、
図6から
図8に示したように、スイッチバック搬送によって、フラップefが開いていない封筒Eの先端と後端がフラップ開センサ129によって検知されることになる。
【0140】
この場合、第一封筒長と第二封筒長は同等の値になるため、フラップ長はゼロになる。すなわち、フラップ長がゼロであるか否かによって、フラップefが正常に開いたか否かを判定することができる。
【0141】
なお、分離センサ128やフラップ開センサ129の検出のバラツキや、制御プログラムによる演算誤差を考慮して、「フラップefが正常に開いていない」と判定するための判定基準を、「フラップ長=ゼロ」とするのではなく、数ミリメートルのマージンをもって判定してもよい。
【0142】
[リトライ処理の第一例]
次に、フラップ開機構におけるフラップ開動作のリトライ処理に係る第一例について
図22及び
図23を用いて説明する。第一例は、フラップ開動作においてフラップefを正常に開くことができなかった場合に行われるフラップ開処理を再実行するリトライ処理の例である。
【0143】
第一例に係るフラップ開機構180は、封筒スイッチバック切替爪21の切替先端部21tが封筒搬入路1107を跨ぐ状態で維持されるように付勢する切替バネ183を備えている。また、封筒封入搬送路1105をスイッチバック搬送される封筒Eを封筒スイッチバック切替爪21の方向に傾斜させるように、封筒封入搬送路1105の一部を突出させた搬送路突出部184を備えている。
【0144】
搬送路突出部184は、封筒封入搬送路1105を構成するガイド部材の一部に形成される凸部である。そして、搬送路突出部184は、フラップ開手段の一部を構成する封筒スイッチバック切替爪21と対向する側のガイド部材に形成されていて、ガイド部材のギャップである搬送ギャップを狭める方向に飛び出している。
【0145】
搬送路突出部184は、フラップ開爪181のフラップ開後端部181r(フラップefと本体部の隙間に挿入される端部側)の近傍に設けられている。搬送路突出部184は、フラップefを開くことができなかったときに、封筒Eのスイッチバック搬送を繰り返すが、スイッチバック搬送の搬送区間は、フラップの先端部がフラップ開後端部181rを超える位置と、封筒Eがフラップ開センサ129を超える位置の間で設定される。
【0146】
図22(b)に示すように、封筒搬入路1107を介して封筒Eが搬送されてきたとき、封筒Eの搬送方向先端(底部)が封筒スイッチバック切替爪21を押す状態になる。これによって、切替バネ183の付勢に抗う方向へと封筒スイッチバック切替爪21が回動し、封筒Eが封筒搬入路1107をさらに進む。
【0147】
その後、
図22(c)に示すように、フラップefがフラップ開後端部181rに引っ掛からずに搬送された場合、フラップefが開いていない状態で封筒封入搬送路1105に至ることになる。その後、
図22(d)に示すように、フラップefが開いていない状態の封筒Eがスイッチバック搬送をする状況になるので、フラップefが開いていないままで封筒Eがフラップ開センサ129を通過する。すなわち、分離センサ128を通過するときと同様の状態で封筒Eがフラップ開センサ129を通過するので、算出されるはずの封筒長は、第一封筒長と同様の値になり、フラップ長は略ゼロになる。
【0148】
この場合、スイッチバック搬送するときに、
図22(e)に示すように、フラップefの先端が封筒スイッチバック切替爪21の切替先端部21tを超える位置まで搬送する。この搬送制御は、フラップ開センサ129を封筒Eの搬送方向先端(フラップefと本体部の接合部分)が通過してからのフラップ開ローラ124の回転量を制御するものになる。この搬送制御によって、フラップefの先端位置が判別されていなくても、所定の位置まで搬送できる。例えば、封筒Eの搬送方向後端(この場合、底部)がフラップ開ローラ124を通過する10mm程度手前まで搬送する。
【0149】
この搬送によって、搬送路突出部184を超える位置に封筒Eの先端(フラップefと本体部の接合部分)が至るまでに封筒Eが屈曲して、フラップefの先端がフラップ開爪181のフラップ開後端部181rを超える方向に変位する。
【0150】
その後、
図22(f)に示すように、再度、スイッチバック搬送をする。この場合の再スイッチバック搬送は、封筒封入搬送路1105において封筒Eを封入待機位置から遠ざける方向への搬送に該当する。この再スイッチバック搬送によって本体部分とフラップefの隙間にフラップ開後端部181rが入って引っ掛かった状態で、封筒Eがフラップ開センサ129を通過する方向に搬送される状態になる。
【0151】
その後、
図23(a)に示すように、フラップefがフラップ開後端部181rに引っ掛かった状態で再スイッチバック搬送がされて、フラップefを開いた状態で、フラップ開センサ129を通過する。
【0152】
その後、
図24(b)に示すように、封入待機位置へ再々スイッチバック搬送をするために、封筒Eがフラップ開センサ129を通過すれば、算出される第二封筒長が第一封筒長よりも長くなるため、フラップefが正常に開いたことを判定される。そして、フラップefが正常に開いたことが判定された後、封筒Eを封入待機位置に搬送して封入処理を行なう。
【0153】
以上のように、フラップefを開く処理が異常になった場合、封筒封入搬送路1105と封筒搬入路1107の合流位置近傍において、封筒Eのスイッチバック搬送を繰り返し実行することで、フラップefを正常に開くことができる。
【0154】
[リトライ処理の第一例]
次に、フラップ開機構におけるフラップ開動作のリトライ処理に係る第二例について
図24を用いて説明する。本実施形態は、フラップ開動作においてフラップefを正常に開くことができなかった場合に行われるフラップ開処理を再実行するリトライ処理の例である。
【0155】
第二例に係るフラップ開機構180は、封筒スイッチバック切替爪21を回動する駆動機構を備える。また、封筒スイッチバック切替爪21は、すでに説明をした
図18の例と同様に、定常時では、切替先端部21tが封筒搬入路1107に接近した状態になっている。
【0156】
図24(a)は、
図23(b)と同様に、封筒搬入路1107を介して封筒Eが搬送されてきたときの状態を例示している。その後、
図24(b)に示すように、フラップefがフラップ開後端部181rに引っ掛からずに搬送された場合、フラップefが開かない状態で封筒封入搬送路1105に至ることになる。
【0157】
その後、
図24(c)に示すように、フラップefが開いていない状態の封筒Eがスイッチバック搬送をする状況になるので、フラップefが開いていないままで封筒Eがフラップ開センサ129を通過する。すなわち、分離センサ128を通過するときと同様の状態で封筒Eがフラップ開センサ129を通過するので、算出される第二封筒長は、第一封筒長と同様の値になるので、その差分は略ゼロになる。その結果、フラップefが正常に開いていないことが判定されるので、封筒スイッチバック切替爪21の切替先端部21tが封筒封入搬送路1105を跨ぐ位置に至るように回動させる。
【0158】
その後、封筒Eをスイッチバック搬送すると、搬送方向先端(フラップefと本体部の接合部分)が封筒スイッチバック切替爪21に当接して、封筒搬入路1107の方向に湾曲する。
【0159】
そして、
図24(e)に示すように、フラップefの先端がフラップ開後端部181rの近傍に至るまで搬送する。この搬送制御は、フラップ開センサ129を封筒Eの搬送方向先端(フラップefと本体部の接合部分)が通過してからのフラップ開ローラ124の回転量を制御するものになる。この搬送制御によって、フラップefの先端位置が判別されていなくても、所定の位置まで搬送できる。例えば、封筒Eの搬送方向後端(この場合、底部)がフラップ開ローラ124を通過する10mm程度手前まで搬送する。
【0160】
その後、
図24(f)に示すように、再度、スイッチバック搬送をする。このとき、封筒スイッチバック切替爪21を回動させて、切替先端部21tが封筒搬入路1107を跨ぐ位置に至るように回動させる。その結果、
図19(c)を用いて説明したとおり、切替先端部21tがフラップ開後端部181rをオーバーラップした状態になり、この状態で封筒Eを封筒封入搬送路1105へと再度スイッチバック搬送をする。この再スイッチバック搬送によって本体部分とフラップefの隙間にフラップ開後端部181rが入って引っ掛かった状態で、封筒Eがフラップ開センサ129を通過する方向に搬送される状態になる。
【0161】
その後、
図23(a)及び
図23(b)にて示した状態と同様に、フラップefがフラップ開後端部181rに引っ掛かった状態で再スイッチバック搬送がされて、フラップefを開いた状態で、フラップ開センサ129を通過する。そして、その後、封入待機位置へ再々スイッチバック搬送をするために、封筒Eがフラップ開センサ129を通過すれば、算出される第二封筒長が第一封筒長よりも長くなるため、フラップefが正常に開いたことを判定される。そして、フラップefが正常に開いたことが判定された後、封筒Eを封入待機位置に搬送して封入処理を行なう。
【0162】
以上のように、フラップefを開く処理が異常になった場合、封筒封入搬送路1105と封筒搬入路1107の合流位置近傍において、封筒Eのスイッチバック搬送を繰り返し実行することで、フラップefを正常に開くことができる。
【0163】
なお、第一例及び第二例として説明したリカバリ処理は、フラップefが正常に開くまで繰り返し実行することができる。この場合、リカバリ処理の実行回数の上限(リトライ上限)を予め設定しておき、リトライ上限を超えてもフラップefが正常に開いたことが判定されないときは、その封筒Eを封筒排出トレイ134に排出すればよい。
【0164】
[封筒Eの搬送と封入物の搬送のタイミング]
封入封緘処理を実行する場合において、封筒Eが封入物を受け入れる準備が完了してから、封入物が搬送されて封入処理を開始するまでの時間が短いほど、プリントシステム1の生産性を高くすることができる。したがって、
図25に例示するように、封筒Eを封入待機位置に搬送する処理を行っている最中に、封入待機位置に封入物の搬送が完了している方が封入処理の無駄をより省略することができ、生産性を高めることに寄与する。
【0165】
以上のように生産性の観点から、封入処理の実行中に含まれるタイムロスを低減することを考える。まず、封入物は、給シート部230からシートSが抽出されてから作像部240と定着部250を経て画像形成処理を完了し、その後、シート折り部310を経て封入物搬送部110を介して封入待機位置に至る。一枚のシートSが給シート部230から封入待機位置に至るまでの時間が「封入物搬送時間(X)」に相当する。
【0166】
封入物搬送時間(X)の算出に必要な情報を、プリンタ制御部260及び折り制御部320が封入封緘制御部150に対して通知することで、封入封緘制御部150において封入物搬送時間(X)を算出することができる。
【0167】
一方、次封筒準備時間(Y)は、プリンタ制御部260から通知されるジョブの内容に基づいて、封入封緘処理を連続して実行するか否かを判断し、連続して封入封緘処理を実行する必要があるジョブであれば算出される。次封筒準備時間(Y)は、先に実行されるジョブにおいて封入待機位置に搬送された封筒Eに対する封入処理が実行されて、封筒排出トレイ134へと排出され、次のジョブのための封筒Eが封筒待機位置に至り、フラップefが開いた状態で封入物の挿入が可能な状態になるまでの時間に相当する。すなわち、先のジョブにおいて
図26に例示する状態で封入処理を開始してから、後のジョブにおいて
図27に例示する状態に至るまでの時間に相当する。
【0168】
封入物搬送時間(X)と次封筒準備時間(Y)を比較した結果、「封入物搬送時間(X)≧次封筒準備時間(Y)」であるときは、画像形成装置200及び折り処理装置300は、それぞれが最も生産性の高い状態で処理を実行し、封入物を封入封緘処理装置100に向けて排出すればよい。
【0169】
封入物搬送時間(X)と次封筒準備時間(Y)を比較した結果、「封入物搬送時間(X)<次封筒準備時間(Y)」であるときは、その差分となる時間だけ、画像形成装置200及び折り処理装置300から封入待機位置に封入物が至る時間間隔(封入物搬送時間)を長くする必要がある。
【0170】
この時間の調整をせずに、封入物の搬入元に相当する上流装置(外部装置)から封入封緘処理装置100に対して封入物を排出し続けた場合、封入待機位置にある封入物と後続のジョブによって排出されて来た封入物との間隔が徐々に狭くなり、封入待機位置での受け入れに失敗することになる。例えば、先行のジョブに係る封入物の封入処理が完了する前に、後続のジョブに係る封入物が封入待機位置に到着するなどが起き得る状態になる。
【0171】
「封入物搬送時間(X)と次封筒準備時間(Y)の関係」
ここで、封入物搬送時間(X)と次封筒準備時間(Y)の関係式について説明する。封入物搬送時間(X)には、封入物の数(折りシートSfの枚数)、封入物に対する折り処理が影響する。そして、次封筒準備時間(Y)には、封筒Eのフラップ開処理のリトライ回数が影響する。当然ながら、リトライ回数が多いほど、次封筒準備時間(Y)は長くなる。
【0172】
すなわち、封入封緘処理を含むジョブが実行されたとき、ある枚数の封入物に対して、ある種類の折り処理を行うときを想定すると、フラップ開処理のリトライ処理の回数が1回の場合は、「封入物搬送時間(X)≧次封筒準備時間(Y)」となるとする。この場合、同じ封入物の枚数及び折り処理であっても、リトライ処理の回数が2回の場合は、「封入物搬送時間(X)<次封筒準備時間(Y)」となる可能性がある。すなわち、「封入物搬送時間(X)と次封筒準備時間(Y)の関係式」は、封入物の数、その封入物に対する折り処理の種類、フラップ開処理のリトライ処理の回数によって変化する。
【0173】
[封筒搬送処理の処理フロー]
次に、上記にて説明した「封入物搬送時間(X)と次封筒準備時間(Y)の関係式」を反映させた、封入封緘処理装置100の動作の一つである封筒搬送処理の流れについて、フローチャートを用いて説明する。
図28において示す封筒搬送処理は、封筒封入処理の実行において、フラップefが正常に開いていないときのリカバリ処理を実行し、それに基づいて、封入物搬送間隔を算出して、折り制御部320等に通知する処理を含む封入処理の例である。
【0174】
当該封入処理では、封入に使用する封筒Eを封入待機位置に搬送するための「封筒搬送制御(F1)」と、封筒Eに封入する封入物を封入待機位置に搬送する「封入物搬送制御(F2)」が並行して実行される。
【0175】
封入ジョブが開始された後、封筒搬送制御(F1)では、まず、封筒セットトレイ127から封筒Eをピックアップして封筒搬入路1107を介して搬送する(S2801)。続いて、フラップ開処理の失敗回数を判定するためのパラメータとしての失敗回数パラメータを初期化する(S2801)。この初期化処理によって、失敗回数パラメータはゼロに設定される。失敗回数パラメータは、フラップ開処理のリトライ回数を許容範囲内とするための上限数との対比に用いられる。ここで、上限数を例えば「3」とすれば、フラップ開処理は三回まで再処理(リトライ処理)を行なうことができることになる。
【0176】
続いて、封筒セットトレイ127からピックアップされた封筒Eが封筒搬入路1107を介して搬送されながら、分離センサ128が封筒Eの搬送方向先端と搬送方向後端をそれぞれ検出する。この検出結果に基づいて封入封緘制御部150は第一封筒長を算出する(S2803)。
【0177】
続いて、
図18及び
図19を用いて説明したように、フラップefを開くフラップ開処理を実行する(S2804)。その後、フラップ開処理を経た封筒Eの搬送方向先端と搬送方向後端のそれぞれをフラップ開センサ129が検出し、この検知結果に基づいて封入封緘制御部150が第二封筒長を算出する(S2805)。
【0178】
続いて、封入封緘制御部150は、第二封筒長と第一封筒長の差分を算出してフラップefが正常に開いたか否かを判定する。具体的には、第二封筒長が第一封筒長よりも長いか否かの判定処理を行なう(S2806)。第二封筒長が第一封筒長よりも長いとき(S2806:Yes)、より詳しくは、第二封筒長が第一封筒長よりも、所定のマージン以上の長さあればフラップefは正常に開いていると判定する。そこで、封筒Eをスイッチバック搬送して、封入支援部160が配置されている封入待機位置へと搬送する(S2807)。
【0179】
その後、すでに説明をしたとおり(
図8など参照)、封筒Eを封入待機位置に搬送して、フラップefを開いた状態で保持し、封入物が挿入される準備状態にする(S2808)。
【0180】
一方、封入ジョブが開始された後、封入物搬送制御(F2)では、まず、
図9を用いて説明したように、封入物を第一搬送路1101に受け入れる。封入物が受け入れられるまで処理をループする(S2814:NO)。封入物が第一搬送路1101を介して受け入れられたとき(S2814:Yes)、
図10を用いて説明したように、封入物を封入搬送路1104に向けて搬送する(S2815)。
【0181】
封入物が封入待機位置に至るまで搬送処理を継続する(S2816:No、S2815)。封入物が封入待機位置に至ったとき(S2816:Yes)、
図11を用いて説明したように、封入物を封筒Eに挿入する封入処理を行い(S2817)、続いて、
図12から
図16を用いて説明した封緘処理を実行して、封筒Eを封筒排出トレイ134へと排出する(S2818)。
【0182】
S2806において、第二封筒長が第一封筒長よりも所定のマージン分以上の長さではないとき(S2806:NO)、フラップefは正常に開いた状態ではないので、フラップ開処理が失敗していると判定する。そこで、失敗回数パラメータの値に1を加算する(S2809)。
【0183】
続いて、失敗回数パラメータの値がリトライ上限値を超えている否かを判定する(S2810)。失敗回数パラメータの値がリトライ上限を超えているときは(S2810:NO)、複数回のフラップ開処理のリトライ処理を行ってもフラップefが正常に開かないことになるので、封入ジョブは失敗として、封筒Eを排出する処理を異常終了する(S2813)。
【0184】
失敗回数パラメータの値がリトライ上限を超えていないときは(S2810:Yes)、
図22から
図24を用いて説明をしたように、再度、フラップefを開くことができる位置に封筒Eを搬送して、フラップ開処理のリトライ処理を実行する。リトライ処理を行うと、次封筒準備時間(Y)が長くなるので、より長い封入物搬送間隔を必要とする状況に至る場合がある。仮に、リトライ処理が生ずることを想定し、ある程度のマージンを加味した次封筒準備時間(Y)に対応する封入物搬送間隔を設定した場合、リトライ処理が生じなかったときの生産性低下を招くことになる。
【0185】
そこで、S2810においてリトライ処理の実行が決まった段階で(S2810:Yes)、既に説明をした関係式に基づいて、新たな封入物搬送間隔を調整するための間隔延長量を算出して、プリンタ制御部260と折り制御部320に通知する(S2811)。なお間隔延長量は、
図22から
図24を用いて説明をした処理に要する時間を事前に把握しておき、リトライ処理の回数分を足し合わせることで算出することができる。これによって、次のジョブにおいて、封入物の供給元でもある上流側の装置から排出される排出間隔が調整されて、調整後の排出間隔に基づいて封入物が封入待機位置に搬送されて来るまでの時間が調整される。
【0186】
以上の処理により、リトライ処理が発生したときだけ、封入物搬送間隔を更新する処理が行われ、それ以外では、既定値の封入物搬送間隔をもってジョブを実行することができる。
【0187】
リトライ処理を実行した後、処理をS2805に戻して、リトライ処理後の封筒Eの搬送方向先端と搬送方向後端をフラップ開センサ129において検出して、再度、第二封筒長を算出する。以下、第一封筒長よりも長い第二封筒長が算出されるまで、そして、リトライ上限を超えるまで、フラップ開処理のリトライ処理を実行し、その都度、封入物搬送間隔を更新する処理を実行する(S2806~S2812)。
【0188】
以上説明したとおり、本実施形態に係る封入処理部120によれば、封筒Eのフラップefを開くことに失敗した場合、連続して行われるジョブにおいて封入物の搬送間隔が狭くなって封入処理が失敗に至ることを避けることができ、封入処理を安定して継続できる。すなわち、封入処理の信頼性を向上できる。
【0189】
[封入物搬送間隔の調整例]
上記にて説明した封入処理において、フラップ開処理が失敗してリトライ処理が実行されることになった場合、連続するジョブのうち、現在実行中のジョブの次のジョブ(封入予定の封入物がnジョブ目のものの場合、n+1ジョブ目)の封入予定の封入物が既に給シート部230から供給されて作像部240などに搬送されている場合がある。
【0190】
この場合、さらに次のジョブ(n+2ジョブ目)の封入予定物の供給タイミングを遅らせることで封入物搬送間隔が狭くなりすぎることを防ぐことはできる。しかし、処理中のジョブに係る封入予定物と、次ジョブに係る封入予定物の搬送間隔(封入物搬送間隔)を画像形成装置200の内部で調整することには困難さがある。
【0191】
例えば、シートSの搬送線速(搬送速度)を遅らせたり、定着部250の前後の位置でシートSの搬送を停止したり、などという手法が想定できる。しかし、これらはいずれも画像形成品質を低下させる要因となる。すなわち、画像形成装置200において実行される画像形成処理において封入物としてのシートSが下流側の装置に排出される時間間隔(排出間隔)を調整しようとすると、シートSに対する画像形成位置の位置ずれや、画像不良の要因になり得る。
【0192】
さらに、プリンタ制御部260において、数ジョブ先の制御が開始されることもあり得るので、画像形成装置200において封入物搬送間隔を調整する場合、リトライ処理の発生したジョブに対する数ジョブ後のジョブからでなければ、封入待機位置への封入物の到達タイミングを遅らせることができない可能性がある。
【0193】
[シート折り部310における封入物搬送間隔の調整例]
そこで、排出間隔調整手段としてのシート折り部310において実行する折り処理を制御することで、間隔延長量の通知を受けて封入物搬送間隔が更新されたときに、次ジョブに係る封入物を、折り処理装置300から排出する時間間隔(排出間隔)を遅らせるように調整すればよい。
【0194】
例えば、
図29及び
図30に例示するような、いわゆるコンソール型のシート折り部310を有する折り処理装置300を想定する。封入物を下流装置に排出する封入物排出手段としての折り処理装置300では、複数のシートSを重ね合わせて折り処理を行う「重ね折り」を可能にする構成を備える。なお、
図29及び
図30においてシート折り部310の構成に付した符号は共通する機能や動作、及び効果をもたらす構成であっても、異なる符号を付している場合がある。
【0195】
図29(a)~(f)は、シート折り部310の重ね処理部によるシートSの重ね合わせ動作について説明する図である。
図29(a)に示すように、先行するジョブに係る予定封入物としての一枚目の先行シートP1を折り処理搬送経路W2に搬送する。折り処理搬送経路W2に搬送されてきた先行シートP1は、先端がレジストローラ対15に突き当たりスキュー補正される。なお、このスキュー補正は、行なわなくてもよい。
【0196】
次に、レジストローラ対15と、第一押圧ローラ17aと第一折りローラ17bとからなる第一搬送部材たる第一搬送ローラ対117aとにより、一枚目の先行シートP1を正搬送(所定方向の搬送)する。次に、先行シートP1後端が折り処理搬送経路W2とスイッチバック搬送路W3との分岐部を抜けたら、シートの搬送を停止する。次に、第二分岐爪14を図中時計回りに回転させ、シートをスイッチバック搬送路W3へガイドする姿勢に切り替える。
【0197】
次に、
図29(b)に示すように、レジストローラ対15、第一搬送ローラ対117a、及び、スイッチバック搬送ローラ対113を逆回転させる。これにより、一枚目の先行シートP1が逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)され、先行シートP1がスイッチバック搬送路W3へ搬送される。先行シートP1の正搬送(所定方向の搬送)時の先端が、スイッチバック搬送路W3に搬送されたら、スイッチバック搬送ローラ対113のシート搬送を停止する。
【0198】
停止後、
図29(c)に示すように、スイッチバック搬送ローラ対113により一枚目の先行シートP1を正搬送(所定方向に搬送)し、先行シートの先端をレジストローラ対15に突き当ててスキュー補正した状態で待機させる。
【0199】
このように、先行シートP1をスイッチバック搬送路W3へ搬送し、折り処理搬送経路W2から退避させることで、先行シートP1が後続シートの搬送を邪魔することがなく、良好に後続シートP2を搬送することができる。
【0200】
次に、二枚目の後続シートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てる。
図29(d)に示すように、後続シートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てた後も搬送ローラ対12による後続シートP2のシート搬送を続け、後続シートを撓ませ、スキュー補正を行う。
【0201】
後続シートが所定の撓み量となる所定時間経過したら、
図29(e)に示すようにレジストローラ対15、スイッチバック搬送ローラ対113、及び、第一搬送ローラ対117aを回転させて、レジストローラ対15により先行シートP1と後続シートP2とを重ね合わせて搬送する(
図29(f))。
【0202】
ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達しているときは、折り処理部Bによる重ね折り処理へ移行する。一方、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たないときは、重ね合わせシートの後端が分岐爪を抜けたタイミングで逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)してスイッチバック搬送路W3へ退避させる。重ね合わせる枚数に応じて以上の動作を繰り返すことで用紙重ねを行うことができる。
【0203】
本実施形態においては、上述したように、後続シートP2のスキュー補正において、搬送ローラ対12の回転を停止せず、後続シートP2の撓み量が所定量となったら、レジストローラ対15の回転を開始することで、生産性を落とさずに、先行シートP1と後続シートP2との重ね合わせを行なうことができる。
【0204】
また、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たない枚数の重ね合わせ処理は、レジストローラ対15によるスキュー補正を行わない重ね合わせ処理とし、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達する際の重ね合わせ処理は、スキュー補正を行なう重ね合わせ処理としてもよい。なお、スキュー補正を行なう重ね合わせ処理とは、先行シートP1(シート束)の先端をレジストローラ対に突き当ててスキュー補正した状態で待機し、後続のシートをレジストローラ対に突き当ててスキュー補正した後に重ね合わせてシートを搬送する処理である。一方、スキュー補正を行なわない重ね合わせ処理とは、先行シートP1(シート束)の先端をスイッチバック搬送路W3に退避した状態で待機させる。そして、後続シートP2がレジストローラ対15に到達するタイミングでスイッチバック搬送路W3に退避した先行シート(シート束)もレジストローラ対15に到達するように、スイッチバック搬送ローラ対113の搬送を開始し、シートSを重ね合わせて、レジストローラ対15により搬送する処理である。
【0205】
図30(a)~(d)は、シートSに対してZ折り処理をする際の一般的な動作を説明するための説明図である。レジストローラ対15により搬送されてきた重ね合わせ処理されたシート束Ptの先端は、第一折りローラ17bと第一押圧ローラ17aとからなる第一搬送ローラ対117aに進入する。次に、シート束Ptが予め決められた搬送量(第一搬送量)の搬送がされたら、折り機構17を駆動する駆動モータを逆回転させる。このときの突出量は、シート束Ptのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。
【0206】
折り機構17を駆動する駆動モータを逆回転させることで、第一搬送ローラ対117aに挟まれたシート束Ptが逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)される。これにより、レジストローラ対15と第一搬送ローラ対117aとの間のシート束部分に撓みが形成される(
図30(a))。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一折りローラ17bと第二折りローラ17cとからなる第一折りローラ対117bのニップに進入することで、その折り返し部分に第一折り部が形成される。第一折りローラ17bのニップを通過した第一折り部は、第二搬送部材としての第二搬送ローラ対18に向けて搬送される。
【0207】
そして、シート束Ptの第一折り部は、第二搬送ローラ対18のニップに進入し、シート束Ptが予め決められた搬送量(第二搬送量)の搬送がされたら、第二搬送ローラ対18を逆回転させ、第二搬送ローラ対18に挟まれたシートを逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)する。このときの第二搬送量も、シート束Ptのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。
【0208】
第二搬送ローラ対18に挟まれたシート束Ptが逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されることで、第一折りローラ対117bと第二搬送ローラ対18との間のシート部分に撓みが形成される。
【0209】
そして、
図30(b)に示すように、この撓み部分(折り返し部分)が第二折りローラ17cと第二押圧ローラ17dとからなる第二折り部材たる第二折りローラ対117cのニップに進入することで、その折り返し部分に第二折り部が形成される。
【0210】
第二折りローラ対117cのニップを通過した2つの折り部が形成されたシート束Ptは、
図30(c)に示すように、中間搬送ローラ対19により増し折りローラ20に向けて搬送される。
【0211】
図30(d)に示すように、第二折り部が増し折りローラ20と対向位置に到達したら、シート束Ptの搬送を停止する。次に、増し折りローラ20を回転させ、第二折り部の折り目を強化した後、シート束Ptの搬送を再開し、第一折り部が増し折りローラ20と対向したら、シート束Ptの搬送を停止する。そして、増し折りローラ20により第一折り部の折り目を強化したら、シート束Ptの搬送を再開し、搬送ローラ対211,221によりシート束Ptを搬送し、後処理装置へ排出する。
【0212】
なお、上記では、重ね合わせ処理されたシート束Ptを折る場合について説明したが、シート一枚を折る場合の折り処理動作も同様である。また、上記では、Z折りについて説明したが、上記第一搬送量及び上記第二搬送量を適宜変更することで、Z折り処理と同様の動作によりシートに対して内三つ折り、外三つ折りを行なうことができる。二つ折り処理については、第三分岐爪16を図中時計回りに回転し、シートを第一折りローラ対117bへガイドする姿勢にし、レジストローラ対15から搬送されてきたシートを第一折りローラ対117bへ搬送する。そして、上記第二折り部を形成する動作と同様の動作で、シートの搬送方向中央の折り部を形成することで、二つ折りを行うことができる。
【0213】
以上説明したとおり、
図29及び
図30に例示したシート折り部310において、重ね合わせのためにシートSを退避させるスイッチバック搬送路W3は、次のシートSが搬送されるまで、退避したシートSを停止させている。そこで、先行するシートSをスイッチバック搬送路に退避した後、次のシートSが搬送されなかった場合には、退避した先行するシートSだけで折り処理をすることができる。これを利用することで、画像形成装置200において調整ができなかった封入予定物の封入物搬送間隔(排出間隔)を、スイッチバック搬送路W3への退避を利用して調整することができる。すなわち、連続して実行される封入処理を含むジョブにおいて、連続して搬送待機位置に搬送される封入予定物を、上流装置(折り処理装置300)から排出する排出間隔を調整することで、封入物搬送間隔を更新することができる。
【0214】
以上のように、シート折り部310において、ジョブとジョブの間でシートSの折り処理に係る退避処理を活用することで、通常の搬送線速を遅くすることで封入待機位置への到達タイミングを調整することや、正常な処理であれば停止させない位置で封入予定物の搬送を停止するなどを行うことなく、封入物搬送間隔を調整できる。すなわち、折り処理の精度(折り目の位置のズレ)や、画像形成面に搬送部材の跡(コロ跡)が付くなどの悪影響を最小限に抑えることができる。
【0215】
[増し折り機構を利用した封入物搬送間隔の調整例]
また、シート折り部310は、
図31に示す増し折り手段としての増し折り機構も備える。
図31(a)に示すように、増し折り機構は、複数の搬送ローラ対(71,72,74,75)を備え、これらが配列されて形成される搬送経路の途中に、増し折りローラ73が配置されている。増し折りローラ73は、シートSに対して一旦形成された折り目に再度の押圧をする処置としての「増し折り処理」を行なうための機構を備える。
【0216】
図31(b)に示すように、画像形成装置200から排出され、シート折り部310において折り処理が施された折りシートSfが、増し折り機構に対する搬送方向上流から搬送されてくる。説明の便宜上、折りシートSfには「外三つ折り」処理がなされているものとする。
【0217】
折りシートSfの搬送方向の先頭部分が増し折りローラ73に到達したとき、折りシートSfの搬送を一旦停止させる。そして、折りシートSfの先頭部分の折り目が増し折りローラ73の位置にある状態で、増し折りローラ73を回転させて、折り目部分に押圧する。この押圧によって、一旦形成されている折り目に対して、再度折る方向に圧力が加わり、折り目がより明確に形成される。この増し折り処理によって、折りシートSfの折り目部分の高さ(厚み)を低く(薄く)することができる。増し折りローラ73の回転量が多ければ多いほど、折り目部分の高さを軽減させることができる。
【0218】
搬送方向の先頭部分の折り目に対する増し折りが行われた後、
図31(d)に示すように、折りシートSfの搬送を再開させる。この搬送によって折りシートSfを下流へと搬送し、搬送方向の後端部分(最後尾)の折り目が増し折りローラ73に到達したときに、再度、搬送を停止させる。そして、折りシートSfの後端部分の折り目が増し折りローラ73の位置にある状態で、増し折りローラ73を回転させて、折り目部分に押圧する。
【0219】
増し折りローラ73によって、折りシートSfの折り目を追加で押圧する処理が完了したら、折りシートSfの搬送を再開させて、下流側へと搬送させる。以上のように、折りシートSfに形成されている折り目を押圧して増し折り処理を行った後に、封入封緘処理装置100へ排出する。
【0220】
なお、増し折りの回数は一回に限定されるものではない。例えば、ユーザーが操作部220を介してプリンタ制御部260に増し折り回数を設定する機能をプリントシステム1が有するならば、その設定された増し折り回数を示す情報をプリンタ制御部260が折り制御部320に通知する。そして、折り制御部320は、通知された増し折り回数に応じて、
図31(c)と
図31(d)に示した動作を繰り返し行なう。
【0221】
したがって、シート折り部310において退避処理と増し折り処理を組み合わせることで、次のジョブに係る予定封入物と、さらに次のジョブに係る予定封入物の排出間隔を間隔延長量に基づいて封入物搬送間隔を調整し、封入物同士の搬送時間間隔を適切な値に更新することが可能となる。
【0222】
増し折り機構における封入物搬送間隔の調整は、折りシートSfに形成されている折り目に対して増し折り処理を行うときに、折りシートSfに形成されている折り目が増し折りローラ73の位置に至ったときに、搬送を一旦停止する時間(搬送停止時間)を調整することで行う。例えば、折り種類が「三つ折り」の場合は、搬送方向の前後に折り目が形成されているので、前方の折り目に対する増し折りを行うときの搬送停止時間と、後方の折り目に対する増し折りを行うときの搬送停止時間と、をそれぞれ長くすればよい。
【0223】
この場合、搬送停止時間の調整を行う方法としては、幾つかの手法を適宜選択すればよい。例えば、先方の折り目を増し折りするときの搬送停止時間と後方の折り目を増し折りするときの搬送停止時間を均等に長くするように調整してもよい。また、前方又は後方の一方の増し折りのときの搬送停止時間を長くして他方を形成するときを短く設定してもよい。また、先方の増し折りか後方の増し折りのいずれかにおいてのみ、折り目を増し折りするときの搬送停止時間だけ長して、他方の増し折のときの搬送停止時間は既定値のままにしてもよい。いずれの調整方法を適用した場合でわっても、封入封緘処理装置100に向けて封入予定物を排出する排出間隔を増し折りの工程において適宜調整できればよい。
【0224】
また、排出間隔を調整するために延長した搬送停止時間が、一回の増し折り処理に必要な搬送停止時間よりも長いときは、延長した停止時間を利用して増し折り回数を増やしてもよい。この場合、増し折り回数を増やすことで、折り高さが低減されて、封筒Eに封入しやすくなる効果を得られる。
【0225】
なお、折り処理装置300において、スイッチバック搬送路W3に相当する構成を備えない場合や、増し折り機構を備えない場合、内部でシートSを搬送する時間を遅くすることで排出間隔を調整してもよい。
【0226】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
【0227】
<1>封入物を封入待機位置に搬送して封筒に封入する封入処理を連続して実行する封入装置であって、
前記封入待機位置に前記封筒を搬送する封筒搬送経路において、当該封筒の搬送中に、当該封筒のフラップが開いたか否かを判定するフラップ開状態判定手段と、
前記封入待機位置に連続して搬送されてくる封入物の搬送時間の間隔を、前記フラップ開状態判定手段における判定結果に基づいて算出する封入物搬送間隔算出手段と
後続の封入物に係る前記間隔を前記封入待機位置に当該封入物を搬送するための搬入元となる外部装置に通知する封入物搬送間隔通知手段と、
を有することを特徴とする封入装置である。
【0228】
<2>前記封入物搬送間隔算出手段は、前記フラップが開いていないとする判定に基づくとき、前記間隔を延長するための間隔延長量を算出する、前記<1>に記載の封入装置である。
【0229】
<3>前記フラップ開状態判定手段は、前記封筒搬送経路に配置されるフラップ開部材よりも搬送方向上流側において前記封筒を検出する第一封筒検出手段と、当該フラップ開部材よりも搬送方向下流側において前記封筒を検出する第二封筒検出手段と、による前記封筒の検出結果に基づいて、前記フラップの開閉状態を判定し、当該開閉状態において当該フラップが開いていないときには当該フラップ開部材によるフラップ開処理を再度実行させ、
前記封入物搬送間隔算出手段は、当該フラップ開処理の実行回数に基づいて前記間隔延長量を算出する、前記<2>に記載の封入装置である。
【0230】
<4>封入物を封入待機位置に搬送して封筒に封入する封入処理を連続して実行する封入装置と、当該封入装置に前記封入物を供給する封入物供給装置と、を備える封入システムであって、
前記封入装置は、
前記封入待機位置に前記封筒を搬送する封筒搬送経路において、当該封筒の搬送中に、当該封筒のフラップが開いたか否かを判定するフラップ開状態判定手段と、
前記封入待機位置に連続して搬送されてくる封入物の搬送間隔を、前記フラップ開状態判定手段における判定結果に基づいて算出する封入物搬送間隔算出手段と
前記封入待機位置に前記封入物を供給する供給元となる前記封入物供給装置に、当該封入待機位置へ連続して搬送されてくる複数の封入物に係る前記搬送間隔を通知する封入物搬送間隔通知手段と、
を有し、
前記封入物供給装置は、
前記搬送間隔に基づいて、前記封入物の排出間隔を調整する排出間隔調整手段と、
前記排出間隔に基づいて前記封入物を前記封入装置へと排出する封入物排出手段と、
を有することを特徴とする封入システムである。
【0231】
<5>前記封入物供給装置は、前記封入物に折り処理を行う折り装置であり、
前記排出間隔調整手段は、前記排出間隔を前記折り処理の内容によって調整する、前記<4>に記載の封入システムである。
【0232】
<6>前記排出間隔調整手段は、前記排出間隔を前記折り処理における前記封入物の搬送速度によって調整する、前記<5>に記載の封入システムである。
【0233】
<7>前記排出間隔調整手段は、前記排出間隔を前記折り処理において利用する退避経路での搬送停止時間によって調整する、前記<5>又は前記<6>に記載の封入システムである。
【0234】
<8>前記排出間隔調整手段は、前記排出間隔の調整を前記折り処理における増し折りを行うときの前記封入物の搬送停止時間の調整により行う、前記<5>乃至前記<7>のいずれかに記載の封入システムである。
【0235】
<9>前記排出間隔調整手段は、前記排出間隔を前記折り処理における増し折りの回数によって調整する、前記<8>に記載の封入システムである。
【0236】
<10>シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記媒体を封入物として封筒に挿入する前記<1>乃至前記<3>のいずれかに記載の封入装置と、を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【0237】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0238】
1 :プリントシステム
100 :封入封緘処理装置
120 :封入処理部
121 :封入ローラ
122 :第一縦搬送ローラ
123 :第二縦搬送ローラ
124 :フラップ開ローラ
125 :分離ローラ
126 :封筒搬送ローラ
127 :封筒セットトレイ
128 :分離センサ
129 :フラップ開センサ
130 :封緘処理部
135 :封緘部
150 :封入封緘制御部
160 :封入支援部
180 :フラップ開機構
200 :画像形成装置
260 :プリンタ制御部
300 :折り処理装置
310 :シート折り部
320 :折り制御部
400 :後処理装置
420 :後処理制御部
1511 :封筒搬送制御部
1512 :フラップ長算出部
1513 :フラップ開判定部
1514 :開動作リトライ制御部
1515 :封入物搬送間隔算出部
1516 :封入物搬送間隔通知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0239】