特開 2024-10465 コネクタホルダ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024010465

(43)【公開日】2024-01-24

(54)【発明の名称】コネクタホルダ

(51)【国際特許分類】

   H01R 13/46 20060101AFI20240117BHJP

   H01R 13/73 20060101ALI20240117BHJP

   H01R 13/52 20060101ALI20240117BHJP

   H02G 3/04 20060101ALI20240117BHJP

   H02G 3/16 20060101ALI20240117BHJP

   H02G 3/14 20060101ALI20240117BHJP

   H05K 5/00 20060101ALI20240117BHJP

【ＦＩ】

H01R13/46 304M

H01R13/73 Z

H01R13/52 D

H02G3/04 037

H02G3/04 087

H02G3/16

H02G3/14

H05K5/00 C

【審査請求】未請求

【請求項の数】14

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022111813

(22)【出願日】2022-07-12

(71)【出願人】

【識別番号】000005290

【氏名又は名称】古河電気工業株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】391045897

【氏名又は名称】古河ＡＳ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100121603

【弁理士】

【氏名又は名称】永田 元昭

(74)【代理人】

【識別番号】100141656

【弁理士】

【氏名又は名称】大田 英司

(74)【代理人】

【識別番号】100182888

【弁理士】

【氏名又は名称】西村 弘

(74)【代理人】

【識別番号】100196357

【弁理士】

【氏名又は名称】北村 吉章

(74)【代理人】

【識別番号】100067747

【弁理士】

【氏名又は名称】永田 良昭

(72)【発明者】

【氏名】森野 智

【テーマコード（参考）】

4E360

5E087

5G357

5G361

【Ｆターム（参考）】

4E360AB12

4E360BA03

4E360BC06

4E360EA27

4E360ED03

4E360ED12

4E360ED23

4E360EE02

4E360GA08

4E360GA28

5E087FF02

5E087FF12

5E087MM05

5E087RR12

5E087RR15

5G357DA10

5G357DB01

5G357DB02

5G357DB03

5G357DC12

5G357DC20

5G357DD02

5G357DD06

5G357DE05

5G357DE08

5G357DE10

5G357DF01

5G357DG01

5G361AA06

5G361AB12

5G361AC02

5G361AC03

5G361AC13

5G361AD01

5G361BA07

5G361BB01

5G361BC01

5G361BC02

(57)【要約】

【課題】収容空間に収容されたコネクタのガタつきを防止できるコネクタホルダを提供する。
【解決手段】本実施形態に係るコネクタホルダ１は、コネクタ５を収容する収容空間Ｓが設けられている。そして、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５を把持する把持構造２６を有している。把持構造２６は、一対のコネクタ把持部２６Ａ，２６Ｂにより構成され、少なくとも一方のコネクタ把持部２６Ａが、収容空間Ｓに収容されるコネクタ５に押されて変形することにより、他方のコネクタ把持部２６Ｂに向かってコネクタ５を付勢するバネ板２６１を有する。
【選択図】図９

【特許請求の範囲】

【請求項1】

コネクタを収容する収容空間が設けられたコネクタホルダであって、
前記収容空間に収容された前記コネクタを把持する把持構造を有し、
前記把持構造は、一対の把持体により構成され、
少なくとも一方の前記把持体が、前記収容空間に収容される前記コネクタに押されて変形することにより、他方の前記把持体に向かって前記コネクタを付勢する付勢部を有する
コネクタホルダ。

【請求項2】

前記付勢部は、基端側から先端側に向かうにつれて他方の前記把持体の側に傾斜するバネ板である
請求項１に記載のコネクタホルダ。

【請求項3】

前記コネクタにおける所定方向の一方側から電線が延出され、
前記バネ板は、基端側から先端側に向かう方向が前記所定方向の一方側から他方側に向かう方向に沿って配置されている
請求項２に記載のコネクタホルダ。

【請求項4】

一対の前記把持体による前記コネクタの把持方向が、前記コネクタの収容方向に対して交差する交差方向に沿う
請求項２に記載のコネクタホルダ。

【請求項5】

前記収容空間を構成する一対の側方部を有し、
一対の前記側方部のそれぞれに前記把持体が設けられ、
前記バネ板は、基端側から先端側に向かう方向が前記収容空間の開口側から底方側に向かう方向に沿って配置されている
請求項４に記載のコネクタホルダ。

【請求項6】

前記収容空間を構成する一対の側方部を有し、
一対の側方部のそれぞれに前記把持体が設けられ、
前記バネ板は、基端側から先端側に向かう方向が前記コネクタの収容方向に対して交差する交差方向に沿って配置されており、
前記バネ板における開口側端縁が、基端側から先端側に向かうにつれて収容空間の開口側から底方側に傾斜している
請求項４に記載のコネクタホルダ。

【請求項7】

一対の前記把持体による前記コネクタの把持方向が、前記コネクタの収容方向に沿う
請求項２に記載のコネクタホルダ。

【請求項8】

前記収容空間を構成する底部と、
前記収容空間の開口を塞ぐ蓋部とを有し、
前記底部及び前記蓋部のそれぞれに前記把持体が設けられ、
少なくとも一方の前記把持体が前記バネ板を有する
請求項７に記載のコネクタホルダ。

【請求項9】

前記収容空間を構成する底部と、
前記収容空間を構成する側方部とを有し、
前記底部及び前記側方部のそれぞれに前記把持体が設けられ、
前記底部に設けられた前記把持体が前記バネ板を有し、
前記側方部に設けられた前記把持体が前記収容空間に収容された前記コネクタを係止する係止部である
請求項７に記載のコネクタホルダ。

【請求項10】

複数の前記把持構造を有しており、
少なくとも一の前記把持構造は、一対の前記把持体のいずれもが前記付勢部を有しておらず、少なくとも一方の前記把持体が前記収容空間に前記コネクタを圧入することで当該コネクタとの当接部分が変形する圧入変形部を有する
請求項１に記載のコネクタホルダ。

【請求項11】

複数の前記把持構造を有しており、
一の前記把持構造による前記コネクタの把持方向と他の前記把持構造による前記コネクタの把持方向とが交差している
請求項１に記載のコネクタホルダ。

【請求項12】

前記収容空間を構成する底部を有しており、
前記底部に前記収容空間の内側から外側まで貫通する貫通孔が設けられた
請求項１に記載のコネクタホルダ。

【請求項13】

請求項１に記載のコネクタホルダにコネクタを収容した
コネクタユニット。

【請求項14】

請求項１に記載のコネクタホルダを有する
プロテクタ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

この発明は、コネクタを収容する収容空間が設けられたコネクタホルダに関する。

【背景技術】

【0002】

従来より、コネクタを収容する収容空間が設けられたコネクタホルダが公知とされている。特許文献１に開示されたコネクタホルダには、コネクタの位置を規制するリブと、コネクタを係止する係止構造とが設けられている。

【0003】

ところで、このようなコネクタホルダであっても、収容されたコネクタに振動が伝わることで、コネクタがガタついてしまうおそれがあった。例えば、コネクタホルダの振動がコネクタに伝わったり、電線の振動がコネクタに伝わったりすることで、コネクタがガタついてしまうおそれがあった。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０２１－８７２５１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

本願発明は、収容空間に収容されたコネクタのガタつきを防止できるコネクタホルダを提供することを目的としている。

【課題を解決するための手段】

【0006】

この発明は、コネクタを収容する収容空間が設けられたコネクタホルダであって、収容空間に収容されたコネクタを把持する把持構造を有し、把持構造は、一対の把持体により構成され、少なくとも一方の把持体が、収容空間に収容されるコネクタに押されて変形することにより、他方の把持体に向かってコネクタを付勢する付勢部を有することを特徴としている。
なお、本発明における一対の把持体とは、収容空間に収容されたコネクタを把持すべく、収容空間を隔てて配置された複数一組の把持体を意味している。そのため、一方の把持体と他方の把持体とがともに一つずつ存在することに限定されない。すなわち、一方の把持体と他方の把持体の数が異なっていてもよい。

【0007】

また、この発明には、前述のコネクタホルダにコネクタを収容したコネクタユニットならびに前述のコネクタホルダを有するプロテクタが含まれる。ここで、コネクタホルダを有するプロテクタとは、コネクタホルダとして機能する部分を備えたプロテクタであることを意味している。かかるプロテクタには、電気接続箱、すなわちジャンクションボックスが含まれるものとする。

【0008】

この発明によれば、収容空間に収容されたコネクタのガタつきを防止することができる。
詳述すると、本願発明に係るコネクタホルダは、収容空間に収容されたコネクタを把持する把持構造を有している。かかる把持構造は、一対の把持体により構成され、少なくとも一方の把持体が、収容空間に収容されるコネクタに押されて変形することにより、他方の把持体に向かってコネクタを付勢する付勢部を有する。そのため、収容空間に収容されたコネクタを挟み込むことができる。つまり、収容空間に収容されるコネクタに押されて付勢部が変形すると、付勢部が元の形状に戻ろうとしてコネクタの側面に付勢力を作用させる。このとき、コネクタの反対側の側面には、少なくとも付勢力によって押されたことに対する反作用としてコネクタを押し返す力である対向力が作用することとなる。こうして、互いに相対する付勢力と対向力によってコネクタを挟み込むことが可能となる。したがって、収容空間に収容されたコネクタのガタつきを防止することができる。

【0009】

この発明の態様として、付勢部は、基端側から先端側に向かうにつれて他方の把持体の側に傾斜するバネ板であってもよい。
なお、本発明における他方の把持体の側とは、一方の把持体を基準として収容空間を隔てて配置される他方の把持体に近接する側を意味している。

【0010】

この発明により、簡素な構造でありながらコネクタの側面に確実に付勢力を作用させることができる。このとき、コネクタの反対側の側面には、少なくともコネクタを押し返す力である対向力が確実に作用することとなる。こうして、互いに相対する付勢力と対向力によってコネクタを挟み込むことが可能となる。したがって、収容空間に収容されたコネクタのガタつきを防止することができる。また、バネ板の板長、板幅、板厚を変更することにより、付勢力ならびに対向力を適切に調節することが可能となる。

【0011】

またこの発明の態様として、コネクタにおける所定方向の一方側から電線が延出され、バネ板は、基端側から先端側に向かう方向が所定方向の一方側から他方側に向かう方向に沿って配置されてもよい。

【0012】

この発明により、バネ板の基端側が電線に近接する側に位置し、収容空間の内部に突出するバネ板の先端側が電線から離間する側に位置する。そのため、コネクタから延出された電線を配索しつつ、コネクタを収容空間に収容する際に、電線がバネ板に引っ掛かりにくくなる。したがって、コネクタを収容する作業が容易となる。

【0013】

またこの発明の態様として、一対の把持体によるコネクタの把持方向が、コネクタの収容方向に対して交差する交差方向に沿ってもよい。
なお、本発明における交差方向に沿ってとは、一方の把持体による付勢力と他方の把持体による対向力がそれぞれ交差方向に沿って作用すればよいことを意味している。そのため、互いに相対する付勢力と対向力が一の直線上で作用することに限定されない。すなわち、互いに相対する付勢力と対向力が所定の間隔を隔てて並行して作用してもよい。

【0014】

この発明により、コネクタの収容方向に対して交差する交差方向にコネクタを挟み込むことができる。つまり、交差方向に沿って相対する付勢力と対向力が作用し、コネクタを挟み込むことが可能となる。したがって、特に交差方向へのコネクタのガタつきを防止することができる。

【0015】

またこの発明の態様として、収容空間を構成する一対の側方部を有し、一対の側方部のそれぞれに把持体が設けられ、バネ板は、基端側から先端側に向かう方向が収容空間の開口側から底方側に向かう方向に沿って配置されてもよい。

【0016】

この発明により、バネ板の基端側が収容空間の開口側に位置し、収容空間の内部に突出するバネ板の先端側が収容空間の底方側に位置する。そのため、コネクタを収容空間の開口側から底方側に向かって押し込んで、コネクタを収容空間に収容する際に、かかるコネクタがバネ板に引っ掛かりにくくなる。したがって、コネクタを収容する作業が容易となる。

【0017】

またこの発明の態様として、収容空間を構成する一対の側方部を有し、一対の側方部のそれぞれに把持体が設けられ、バネ板は、基端側から先端側に向かう方向がコネクタの収容方向に対して交差する交差方向に沿って配置されており、バネ板における開口側端縁が、基端側から先端側に向かうにつれて収容空間の開口側から底方側に傾斜してもよい。

【0018】

この発明により、バネ板の基端側における開口側端縁が収容空間の開口側に位置し、収容空間の内側に突出するバネ板の先端側における開口側端縁が収容空間の底方側に位置する。そのため、コネクタを収容空間の開口側から底方側に向かって押し込んで、コネクタを収容空間に収容する際に、かかるコネクタがバネ板に引っ掛かりにくくなる。したがって、コネクタを収容する作業が容易となる。

【0019】

またこの発明の態様として、一対の把持体によるコネクタの把持方向が、コネクタの収容方向に沿ってもよい。
なお、本発明における収容方向に沿ってとは、一方の把持体による付勢力と他方の把持体による対向力がそれぞれ収容方向に沿って作用すればよいことを意味している。そのため、互いに相対する付勢力と対向力が一の直線上で作用することに限定されない。すなわち、互いに相対する付勢力と対向力が所定の間隔を隔てて並行して作用してもよい。

【0020】

この発明により、コネクタの収容方向にコネクタを挟み込むことができる。つまり、収容方向に沿って相対する付勢力と対向力が作用し、コネクタを挟み込むことが可能となる。したがって、特に収容方向へのコネクタのガタつきを防止することができる。

【0021】

またこの発明の態様として、収容空間を構成する底部と、収容空間の開口を塞ぐ蓋部とを有し、底部及び蓋部のそれぞれに把持体が設けられ、少なくとも一方の把持体がバネ板を有してもよい。

【0022】

この発明により、コネクタを収容空間に収容する際に、かかるコネクタに対して互いに相対する付勢力と対向力が作用しない。そのため、コネクタを収容する作業が容易となる。そして、コネクタを収容空間に収容した状態で蓋部を閉じると、バネ板が変形して付勢力と対向力が作用することとなる。したがって、コネクタを収容する作業を容易としつつ、収容空間に収容されたコネクタのガタつきを防止することができる。

【0023】

またこの発明の態様として、収容空間を構成する底部と、収容空間を構成する側方部とを有し、底部及び側方部のそれぞれに把持体が設けられ、底部に設けられた把持体がバネ板を有し、側方部に設けられた把持体が収容空間に収容されたコネクタを係止する係止部であってもよい。

【0024】

この発明により、コネクタを収容空間に収容するだけで、収容方向にコネクタを挟み込むことができる。つまり、コネクタを収容空間に収容するだけで、収容方向に沿って相対する付勢力と対向力が作用し、コネクタを挟み込むことが可能となる。また、コネクタを係止したときの節度感が得られるため、コネクタを収容する作業が完了したことが分かる。

【0025】

またこの発明の態様として、複数の把持構造を有しており、少なくとも一の把持構造は、一対の把持体のいずれもが付勢部を有しておらず、少なくとも一方の把持体が収容空間にコネクタを圧入することでコネクタとの当接部分が変形する圧入変形部を有してもよい。

【0026】

この発明により、収容空間にコネクタを圧入することにより、圧入変形部がコネクタに押されて潰されるため、コネクタと把持体との間に公差に起因する隙間が生じることを防止できる。したがって、収容空間に収容されたコネクタのガタつきを確実に防止することができる。

【0027】

またこの発明の態様として、複数の把持構造を有しており、一の把持構造によるコネクタの把持方向と他の把持構造によるコネクタの把持方向とが交差してもよい。
この発明により、収容空間に収容されたコネクタを多方向に拘束できる。したがって、収容空間に収容されたコネクタのガタつきを確実に防止することができる。

【0028】

またこの発明の態様として、収容空間を構成する底部を有し、底部に収容空間の内側から外側まで貫通する貫通孔が設けられてもよい。
この発明により、電線等を伝って侵入した水や埃を貫通孔から排出することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0029】

【図1】コネクタホルダの斜視図。

【図2】コネクタホルダの分解斜視図。

【図3】ロアケースの斜視図。

【図4】ロアケースの平面図。

【図5】図４における領域Ｒａの拡大図及びＡ－Ａ矢視断面図。

【図6】ケースカバーの斜視図。

【図7】ケースカバーの底面図。

【図8】図７における領域Ｒｂの拡大図及びＢ－Ｂ矢視断面図。

【図9】ロアケースにコネクタを収容する状況を示す概略説明図。

【図10】ロアケースにケースカバーを取り付ける状況を示す概略説明図。

【図11】他の実施形態に係るコネクタホルダのロアケースの部分断面図。

【図12】他の実施形態に係るコネクタホルダのロアケースの部分断面図。

【図13】他の実施形態に係るコネクタホルダのロアケースの部分断面図。

【発明を実施するための形態】

【0030】

本願においては、全ての図面でコネクタホルダ１の方向を示している。詳しくは、矢印Ｆが前方側を示し、矢印Ｂが後方側を示し、矢印Ｒが右方側を示し、矢印Ｌが左方側を示している。そして、矢印Ｕが上方側を示し、矢印Ｄが下方側を示している。加えて、本願においては、前後方向をＸ、左右方向をＹ、上下方向をＺとして説明する。

【0031】

図１はコネクタホルダ１の斜視図である。図２はコネクタホルダ１の分解斜視図である。図３はロアケース２の斜視図であり、図４はロアケース２の平面図であり、図５は図４における領域Ｒａの拡大図及びＡ－Ａ矢視断面図である。また、図６はケースカバー３の斜視図であり、図７はケースカバー３の底面図であり、図８は図７における領域Ｒｂの拡大図及びＢ－Ｂ矢視断面図である。

【0032】

さらに、図９はロアケース２にコネクタ５を収容する状況を示す概略説明図である。図９（ａ）はロアケース２にコネクタ５を収容する前の状態を示し、図９（ｂ）はロアケース２にコネクタ５を収容した後の状態を示している。図９（ａ）及び（ｂ）は、図５におけるＣ－Ｃ矢視断面における概略説明図である。そして、図９（ｃ）は図９（ｂ）におけるＤ－Ｄ矢視断面図を示している。

【0033】

さらに、図１０はロアケース２にケースカバー３を取り付ける状況を示す概略説明図である。図１０（ａ）はロアケース２にケースカバー３を取り付ける前の状態を示し、図１０（ｂ）はロアケース２にケースカバー３を取り付けた後の状態を示している。図１０（ａ）及び（ｂ）は、図５におけるＣ－Ｃ矢視断面における概略説明図である。そして、図１０（ｃ）は図１０（ｂ）におけるＥ－Ｅ矢視断面図を示している。

【0034】

図１及び図２に示すように、本実施形態に係るコネクタホルダ１は、コネクタ５を収容するものである。コネクタホルダ１は、主にロアケース２とケースカバー３とで構成されている。以下に、ロアケース２とケースカバー３の構造を説明し、ロアケース２にコネクタ５を収容する状況ならびにロアケース２にケースカバー３を取り付ける状況について述べる。

【0035】

まず、図２を用いて、コネクタ５について簡単に説明する。
コネクタ５は、電線４を電気的に接続するものである。コネクタ５は、主にソケットハウジング５１とインサートハウジング５２とで構成されている。ソケットハウジング５１に対してインサートハウジング５２を挿入すると、電線４につながっているそれぞれに収容されたバスバが接触するため、電気的に接続することができる。

【0036】

次に、図３から図５を用いて、ロアケース２について説明する。
ロアケース２は、底壁部２０と、底壁部２０の外周端部に配置された各壁部２１～２４とを有している。底壁部２０は、前後方向Ｘならびに左右方向Ｙに広がる板状部分であり、主に左後方側から導入されて右前方側から導出されるワイヤーハーネスの幹線Ｗｍ（図１参照）ならびに幹線Ｗｍから分岐して左前側から導出される枝線Ｗｂ（図１参照）に沿うように形成されている。

【0037】

前壁部２１は、底壁部２０の前端縁に沿って設けられた段差部分２０１から上下方向Ｚに延設された部位を指す。段差部分２０１よりも上方側Ｕの前壁部２１には、ロアケース２の内側に向かって突出するリブ２１１が形成されており、前壁部２１の上端部分には、ロアケース２の外側に向かって突出する係止環２１２が形成されている。係止環２１２は、前壁部２１の外側面に対して僅かな隙間を隔てて平行に延びる係止板を有している。

【0038】

後壁部２２は、底壁部２０の後端縁に沿って設けられた段差部分２０２から上下方向Ｚに延設された部位を指す。段差部分２０２よりも上方側Ｕの後壁部２２には、ロアケース２の内側に向かって突出するリブ２２１が形成されており、最も右方側Ｒのリブ２２１が後壁部２２の内側面から所定距離を隔てた位置に平行に形成された内壁部２２０につながっている。つまり、最も右方側Ｒのリブ２２１は、二重壁構造の外壁（後壁部２２）と内壁（内壁部２２０）とをつないでいる。また、後壁部２２の上端部分には、ロアケース２の外側に向かって突出する係止環２２２が形成されている。係止環２２２は、後壁部２２の外側面に対して僅かな隙間を隔てて平行に延びる係止板を有している。

【0039】

右壁部２３は、底壁部２０の右端縁に沿って設けられた段差部分２０３から上下方向Ｚに延設された部位を指す。段差部分２０３よりも上方側Ｕの右壁部２３には、ロアケース２の内側に向かって突出するリブ２３１が形成されており、全てのリブ２３１が右壁部２３の内側面から所定距離を隔てた位置に平行に形成された内壁部２３０につながっている。つまり、全てのリブ２３１は、二重壁構造の外壁（右壁部２３）と内壁（内壁部２３０）とをつないでいる。また、右壁部２３の上端部分には、ロアケース２の外側に向かって突出する係止環２３２が形成されている。係止環２３２は、右壁部２３の外側面に対して僅かな隙間を隔てて平行に延びる係止板を有している。

【0040】

なお、右壁部２３は、前壁部２１の右方側端部に連結されておらず、かかる隙間が幹線Ｗｍ（図１参照）を導出するための開口孔Ｈａとされている。底壁部２０は、その一部が下方側Ｄに向かって延設されており、開口孔Ｈａから導出される幹線Ｗｍを図示しない結束バンド等を用いて巻き留めることを可能としている。

【0041】

左壁部２４は、底壁部２０の左端縁に沿って設けられた段差部分２０４から上下方向Ｚに延設された部位を指す。段差部分２０４よりも上方側Ｕの左壁部２４には、ロアケース２の内側に向かって突出するリブ２４１が形成されており、左壁部２４の上端部分には、ロアケース２の外側に向かって突出する係止環２４２が形成されている。係止環２４２は、左壁部２４の外側面に対して僅かな隙間を隔てて平行に延びる係止板を有している。

【0042】

なお、左壁部２４は、前壁部２１の左方側端部に連結されておらず、かかる隙間が枝線Ｗｂ（図１参照）を導出するための開口孔Ｈｂとされている。底壁部２０は、その一部が下方側Ｄに向かって延設されており、開口孔Ｈｂから導出される枝線Ｗｂを図示しない結束バンド等を用いて巻き留めることを可能としている。

【0043】

また、左壁部２４は、後壁部２２の左方側端部に連結されておらず、かかる隙間が幹線Ｗｍ（図１参照）を導入するための開口孔Ｈｃとされている。底壁部２０及び左壁部２４は、その一部が後方側Ｂに向かって延設されており、開口孔Ｈｃから導入される幹線Ｗｍを図示しない結束バンド等を用いて巻き留めることを可能としている。

【0044】

ところで、ロアケース２の内側には、四つのコネクタ収容部２５が形成されている。これらのコネクタ収容部２５は、前述の内壁部２３０に沿うようにして配置されている。そして、最も前方側Ｆのコネクタ収容部２５は、前述の開口孔Ｈａに隣接し、最も後方側Ｂのコネクタ収容部２５は、前述の内壁部２２０に隣接している。ここでは、前方側Ｆから三番目に設けられたコネクタ収容部２５に着目して説明する。

【0045】

図５に示すように、コネクタ収容部２５は、コネクタ５を収容するための収容空間Ｓが設けられた部位を指す。収容空間Ｓは、底壁部２０と、内壁部２３０と、底壁部２０から上方側Ｕに向かって延設された各板部２５１，２５２，２５４とによって形成されている。以降においては、説明の簡単化のため、収容空間Ｓを形成する内壁部２３０の一部を右板部２５３とし、同じく収容空間Ｓを形成する底壁部２０の一部を底板部２５５として説明する。

【0046】

前板部２５１は、左右方向Ｙならびに上下方向Ｚに広がる板状部分であり、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５の前側面に沿うように形成されている。前板部２５１には、把持構造２６を構成する一方のコネクタ把持部２６Ａが形成されている。コネクタ把持部２６Ａは、上方側Ｕから視て後方側Ｂに向かって突出した突出部である。コネクタ把持部２６Ａにおける上下方向Ｚの中途部分には、バネ板２６１が形成されている。バネ板２６１については後に詳しく説明する。

【0047】

後板部２５２は、前板部２５１から収容空間Ｓを前後方向Ｘに隔てた位置に配置されている。後板部２５２は、左右方向Ｙならびに上下方向Ｚに広がる板状部分であり、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５の後側面に沿うように形成されている。後板部２５２には、前方側Ｆに向かって突出する突出部等は設けられていないものの、把持構造２６を構成する他方のコネクタ把持部２６Ｂとして機能する。但し、コネクタ把持部２６Ｂは、前方側Ｆに向かって突出する突出部であってもよいし、さらには上下方向Ｚの中途部分にバネ板が形成されていてもよい。

【0048】

右板部２５３は、前板部２５１と後板部２５２の間に挟まれた内壁部２３０の一部である。右板部２５３は、前後方向Ｘならびに上下方向Ｚに広がる板状部分であり、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５の右側面に沿うように形成されている。右板部２５３には、左方側Ｌに向かって突出する突出部等は設けられていないものの、把持構造２７を構成する一方のコネクタ把持部２７Ａとして機能する。但し、コネクタ把持部２７Ａは、左方側Ｌに向かって突出する突出部であってもよいし、さらには上下方向Ｚの中途部分にバネ板が形成されていてもよい。

【0049】

なお、前述の前板部２５１と右板部２５３の連接部分には、それぞれに対して垂直に交わる角柱部２５ｃが設けられている。角柱部２５ｃを設けたのは、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５の窪み部分に嵌合させることにより、かかるコネクタ５の安定性の向上を図るためである。

【0050】

左板部２５４は、右板部２５３から収容空間Ｓを左右方向Ｙに隔てた位置に配置されている。左板部２５４は、前後方向Ｘならびに上下方向Ｚに広がる板状部分であり、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５の左側面に沿うように形成されている。左板部２５４には、右方側Ｒに向かって突出する突出部等は設けられていないものの、把持構造２７を構成する他方のコネクタ把持部２７Ｂとして機能する。但し、コネクタ把持部２７Ｂは、右方側Ｒに向かって突出する突出部であってもよいし、さらには上下方向Ｚの中途部分にバネ板が形成されていてもよい。

【0051】

なお、左板部２５４は、前板部２５１の左方側端部に連結されておらず、かかる隙間がコネクタ５から延出される電線４を配索するための開口孔Ｈｄとされている。加えて、前述の後板部２５２と左板部２５４の連接部分には、それぞれに対して滑らかにつながる円弧部２５ｒが形成されている。円弧部２５ｒを形成したのは、後方側Ｂに収容されたコネクタ５の電線４が角当たりして、かかる電線４の被覆がむけてしまうことの防止を図るためである。

【0052】

底板部２５５は、前板部２５１と後板部２５２と右板部２５３と左板部２５４とに囲まれた底壁部２０の一部である。底板部２５５は、前後方向Ｘならびに左右方向Ｙに広がる板状部分であり、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５の底側面に沿うように形成されている。底板部２５５には、上方側Ｕに向かって突出する突出部等は設けられていないものの、把持構造２８を構成する一方のコネクタ把持部２８Ａが形成されている。コネクタ把持部２８Ａにおける前後方向Ｘ及び左右方向Ｙの中途部分には、バネ板２８１が形成されている。バネ板２８１についても後に詳しく説明する。

【0053】

なお、底板部２５５における前後方向Ｘ及び左右方向Ｙの中途部分には、収容空間Ｓの内側から外側まで貫通する貫通孔２５ｈが形成されている。かかる貫通孔２５ｈは、電線４等を伝って侵入した水や埃を排出するという効果を発揮する。また、貫通孔２５ｈは、前述のバネ板２６１，２８１を形成するための型抜き孔をも兼ねた形状とされている。バネ板２８１の基端側２８ｂを下方側Ｄに窪ませたのは、水が底板部２５５の上に溜まらないように意図したものである。

【0054】

コネクタ把持部２６Ａを構成するバネ板２６１は、基端側２６ｂから先端側２６ｔに向かうにつれて対向するコネクタ把持部２６Ｂの側に傾斜している。換言すると、バネ板２６１は、その基端側２６ｂが前板部２５１に形成された突出部の左方側端部につながっており、左方側端部から右方側端部に向かうにつれて右斜め後方側に傾斜している。そのため、バネ板２６１における先端側２６ｔは、前板部２５１に形成された突出部に対して収容空間Ｓの内部（後方側Ｂ）に突出している。

【0055】

なお、バネ板２６１は、基端側２６ｂから先端側２６ｔに向かう方向が、コネクタ５の収容方向である上下方向Ｚに対して直交する左方側Ｌから右方側Ｒに向かう直交方向に沿って配置されている。そして、バネ板２６１における開口側端縁２６ｕは、基端側２６ｂから先端側２６ｔに向かうにつれて開口側（上方側Ｕ）から底方側（下方側Ｄ）に傾斜している。

【0056】

コネクタ把持部２８Ａを構成するバネ板２８１は、基端側２８ｂから先端側２８ｔに向かうにつれて後述するケースカバー３に設けられたコネクタ把持部２８Ｂの側に傾斜している。換言すると、バネ板２８１は、その基端側２８ｂが底板部２５５に形成された貫通孔２５ｈの右端縁につながっており、右端縁から左端縁に向かうにつれて左斜め上方側に傾斜している。そのため、バネ板２８１における先端側２８ｔは、貫通孔２５ｈの左端縁近傍において、収容空間Ｓの内部（上方側Ｕ）に突出している。

【0057】

なお、バネ板２８１は、基端側２８ｂから先端側２８ｔに向かう方向が、コネクタ５の収容方向である上下方向Ｚに対して直交する右方側Ｒから左方側Ｌに向かう直交方向に沿って配置されている。但し、バネ板２８１については、基端側２８ｂから先端側２８ｔに向かう方向を右方側Ｒから左方側Ｌに向かう直交方向に限定するものではない。そのため、左方側Ｌから右方側Ｒに向かう直交方向、あるいは前方側Ｆから後方側Ｂに向かう直交方向、あるいは後方側Ｂから前方側Ｆに向かう直交方向に沿って配置されてもよい。

【0058】

次に、図６から図８を用いて、ケースカバー３について説明する。
ケースカバー３は、蓋板部３０と、蓋板部３０の外周端部に配置された各縁部３１～３４とを有している。蓋板部３０は、前後方向Ｘならびに左右方向Ｙに広がる板状部分であり、ロアケース２の開口を塞ぐように形成されている。すなわち、蓋板部３０は、ロアケース２に対してケースカバー３を取り付けた状態において、底壁部２０に対向するとともに各壁部２１～２４に囲まれた開口を塞ぐように形成されている。

【0059】

前縁部３１は、蓋板部３０の前端縁から上下方向Ｚに延設された部位を指す。前縁部３１は、その下端部分に下方側Ｄに向かって突出する係止片３１２が形成されている。係止片３１２の下方側端部には、ケースカバー３の外側に向かって突出する係止爪が形成されている。そのため、ロアケース２に対してケースカバー３を取り付けると、前縁部３１がロアケース２を構成する前壁部２１の上端部分に外嵌するとともに、係止片３１２の係止爪がロアケース２に形成された係止環２１２の係止板に引っ掛かることとなる。

【0060】

後縁部３２は、蓋板部３０の後端縁から上下方向Ｚに延設された部位を指す。後縁部３２は、その下端部分に下方側Ｄに向かって突出する係止片３２２が形成されている。係止片３２２の下方側端部には、ケースカバー３の外側に向かって突出する係止爪が形成されている。そのため、ロアケース２に対してケースカバー３を取り付けると、後縁部３２がロアケース２を構成する後壁部２２の上端部分に外嵌するとともに、係止片３２２の係止爪がロアケース２に形成された係止環２２２の係止板に引っ掛かることとなる。

【0061】

右縁部３３は、蓋板部３０の右端縁から上下方向Ｚに延設された部位を指す。右縁部３３は、その下端部分に下方側Ｄに向かって突出する係止片３３２が形成されている。係止片３３２の下方側端部には、ケースカバー３の外側に向かって突出する係止爪が形成されている。そのため、ロアケース２に対してケースカバー３を取り付けると、右縁部３３がロアケース２を構成する右壁部２３の上端部分に外嵌するとともに、係止片３３２の係止爪がロアケース２に形成された係止環２３２の係止板に引っ掛かることとなる。

【0062】

左縁部３４は、蓋板部３０の左端縁から上下方向Ｚに延設された部位を指す。左縁部３４は、その下端部分に下方側Ｄに向かって突出する係止片３４２が形成されている。係止片３４２の下方側端部には、ケースカバー３の外側に向かって突出する係止爪が形成されている。そのため、ロアケース２に対してケースカバー３を取り付けると、左縁部３４がロアケース２を構成する左壁部２４の上端部分に外嵌するとともに、係止片３４２の係止爪がロアケース２に形成された係止環２４２の係止板に引っ掛かることとなる。

【0063】

ところで、蓋板部３０は、ロアケース２の開口を塞ぐと同時に、各コネクタ収容部２５の開口を塞ぐことができる。蓋板部３０における各コネクタ収容部２５に対向する部分は、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５の上側面に沿うように形成されている。そして、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５の上側面に対向する位置には、把持構造２８を構成する他方のコネクタ把持部２８Ｂが形成されている。

【0064】

コネクタ把持部２８Ｂは、前後方向Ｘ及び左右方向Ｙから視て下方側Ｄに向かって突出する一つのリブ２８２である。リブ２８２は、下方側Ｄから視て略四角形状に形成されている。そのため、ロアケース２に対してケースカバー３を取り付けた状態において、四つの各辺が収容空間Ｓに収容されたコネクタ５に対して当接することとなる。但し、複数のリブ２８２であってもよいし、他の形状に形成されていてもよい。

【0065】

次に、図９を用いて、ロアケース２にコネクタ５を収容する状況について述べる。
コネクタ５の収容方向は、上下方向Ｚであり、より詳しくは、上方側Ｕから下方側Ｄに向かう方向である。収容空間Ｓにコネクタ５を収容すると、かかるコネクタ５に押されてバネ板２６１が変形することとなる。すると、バネ板２６１が元の形状に戻ろうとしてコネクタ５の前側面に付勢力を作用させる（矢印Ｆａ参照）。このとき、コネクタ５の反対側の後側面には、少なくともコネクタ５を押し返そうとする反作用による付勢力が作用することとなる（矢印Ｆｂ参照）。

【0066】

次に、図１０を用いて、ロアケース２にケースカバー３を取り付ける状況について述べる。
ケースカバー３の取付方向は、上下方向Ｚであり、より詳しくは、上方側Ｕから下方側Ｄに向かう方向である。ロアケース２にケースカバー３を取り付けると、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５が押されてバネ板２８１が変形することとなる。すると、バネ板２８１が元の形状に戻ろうとしてコネクタ５の底側面に付勢力を作用させる（矢印Ｆａ参照）。このとき、コネクタ５の反対側の上側面には、少なくともコネクタ５を押し返そうとする反作用による付勢力が作用することとなる（矢印Ｆｂ参照）。

【0067】

以上のように、本実施形態に係るコネクタホルダ１は、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５を把持する把持構造２６，２８を有している。把持構造２６，２８は、一対のコネクタ把持部２６Ａ，２６Ｂ，２８Ａ，２８Ｂにより構成され、少なくとも一方のコネクタ把持部２６Ａ，２８Ａが、収容空間Ｓに収容されるコネクタ５に押されて変形することにより、他方のコネクタ把持部２６Ｂ，２８Ｂに向かってコネクタ５を付勢するバネ板２６１，２８１を有する。

【0068】

このようなコネクタホルダ１によれば、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５のガタつきを防止することができる。
詳述すると、本願発明に係るコネクタホルダ１は、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５を把持する把持構造２６，２８を有している。かかる把持構造２６，２８は、一対のコネクタ把持部２６Ａ，２６Ｂ，２８Ａ，２８Ｂにより構成され、少なくとも一方のコネクタ把持部２６Ａ，２８Ａが、収容空間Ｓに収容されるコネクタ５に押されて変形することにより、他方のコネクタ把持部２６Ｂ，２８Ｂに向かってコネクタ５を付勢するバネ板２６１，２８１を有する。そのため、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５を挟み込むことができる。つまり、収容空間Ｓに収容されるコネクタ５に押されてバネ板２６１，２８１が変形すると、バネ板２６１，２８１が元の形状に戻ろうとしてコネクタ５の側面（前側面及び底側部）に付勢力を作用させる。このとき、コネクタ５の反対側の側面（後側面及び上側面）には、付勢力によって押されたことに対する反作用としてコネクタ５を押し返す力である対向力が作用することとなる。こうして、互いに相対する付勢力と対向力によってコネクタ５を挟み込むことが可能となる。したがって、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５のガタつきを防止することができる。

【0069】

また、本実施形態に係るコネクタホルダ１において、バネ板２６１，２８１は、基端側２６ｂ，２８ｂから先端側２６ｔ，２８ｔに向かうにつれて他方のコネクタ把持部２６Ｂ，２８Ｂの側に傾斜するバネ板２６１，２８１である。

【0070】

このようなコネクタホルダ１によれば、簡素な構造でありながらコネクタ５の側面（前側面及び底側部）に確実に付勢力を作用させることができる。このとき、コネクタ５の反対側の側面（後側面及び上側面）には、少なくともコネクタ５を押し返す力である対向力が確実に作用することとなる。こうして、互いに相対する付勢力と対向力によってコネクタ５を挟み込むことが可能となる。したがって、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５のガタつきを防止することができる。また、バネ板２６１，２８１の板長、板幅、板厚を変更することにより、付勢力ならびに対向力を適切に調節することが可能となる。

【0071】

また、本実施形態に係るコネクタホルダ１において、コネクタ５における左右方向Ｙの左方側Ｌから電線４が延出され、バネ板２６１は、基端側２６ｂから先端側２６ｔに向かう方向が左右方向Ｙの左方側Ｌから右方側Ｒに向かう方向に沿って配置されている。

【0072】

このようなコネクタホルダ１によれば、バネ板２６１の基端側２６ｂが電線４に近接する側に位置し、収容空間Ｓの内部に突出するバネ板２６１の先端側２６ｔが電線４から離間する側に位置する。そのため、コネクタ５から延出された電線４を配索しつつ、コネクタ５を収容空間Ｓに収容する際に、電線４がバネ板２６１に引っ掛かりにくくなる。したがって、コネクタ５を収容する作業が容易となる。

【0073】

また、本実施形態に係るコネクタホルダ１において、一対のコネクタ把持部２６Ａ，２６Ｂによるコネクタ５の把持方向が、コネクタ５の収容方向である上下方向Ｚに対して直交する前後方向Ｘに沿っている。

【0074】

このようなコネクタホルダ１によれば、コネクタ５の収容方向である上下方向Ｚに対して直交する前後方向Ｘにコネクタ５を挟み込むことができる。つまり、前後方向Ｘに沿って相対する付勢力と対向力が作用し、コネクタ５を挟み込むことが可能となる。したがって、特に前後方向Ｘへのコネクタ５のガタつきを防止することができる。

【0075】

また、本実施形態に係るコネクタホルダ１において、収容空間Ｓを構成する前板部２５１及び後板部２５２を有し、前板部２５１及び後板部２５２のそれぞれにコネクタ把持部２６Ａ，２６Ｂが設けられ、バネ板２６１は、基端側２６ｂから先端側２６ｔに向かう方向がコネクタ５の収容方向である上下方向Ｚに対して直交する左右方向Ｙに沿って配置されており、バネ板２６１における開口側端縁２６ｕが、基端側２６ｂから先端側２６ｔに向かうにつれて収容空間Ｓの開口側（上方側Ｕ）から底方側（下方側Ｄ）に傾斜している。

【0076】

このようなコネクタホルダ１によれば、バネ板２６１の基端側２６ｂにおける開口側端縁２６ｕが収容空間Ｓの開口側に位置し、収容空間Ｓの内側に突出するバネ板２６１の先端側２６ｔにおける開口側端縁２６ｕが収容空間Ｓの底方側に位置する。そのため、コネクタ５を収容空間Ｓの開口側から底方側に向かって押し込んで、コネクタ５を収容空間Ｓに収容する際に、かかるコネクタ５がバネ板２６１に引っ掛かりにくくなる。したがって、コネクタ５を収容する作業が容易となる。また、コネクタ５に対するバネ板２６１の当接部分がコネクタ５の収容方向である上下方向Ｚに沿った直線状となるため、特にコネクタ５の収容方向である上下方向Ｚに対して直交する左右方向Ｙを回転中心としたガタつきを抑えることが可能となる。

【0077】

また、本実施形態に係るコネクタホルダ１において、一対のコネクタ把持部２８Ａ，２８Ｂによるコネクタ５の把持方向が、コネクタ５の収容方向である上下方向Ｚに沿っている。

【0078】

このようなコネクタホルダ１によれば、コネクタ５の収容方向である上下方向Ｚにコネクタ５を挟み込むことができる。つまり、上下方向Ｚに沿って相対する付勢力と対向力が作用し、コネクタ５を挟み込むことが可能となる。したがって、特に上下方向Ｚへのコネクタ５のガタつきを防止することができる。

【0079】

また、本実施形態に係るコネクタホルダ１において、収容空間Ｓを構成する底板部２５５と、収容空間Ｓの開口を塞ぐ蓋板部３０とを有し、底板部２５５及び蓋板部３０のそれぞれにコネクタ把持部２８Ａ，２８Ｂが設けられ、コネクタ把持部２８Ａがバネ板２８１を有している。

【0080】

このようなコネクタホルダ１によれば、コネクタ５を収容空間Ｓに収容する際に、かかるコネクタ５に対して互いに相対する付勢力と対向力が作用しない。そのため、コネクタ５を収容する作業が容易となる。そして、コネクタ５を収容空間Ｓに収容した状態でケースカバー３を閉じると、バネ板２８１が変形して付勢力と対向力が作用することとなる。したがって、コネクタ５を収容する作業を容易としつつ、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５のガタつきを防止することができる。

【0081】

また、本実施形態に係るコネクタホルダ１において、二つの把持構造２６，２８を有しており、一の把持構造２６によるコネクタ５の把持方向（前後方向Ｘ）と他の把持構造２８によるコネクタ５の把持方向（上下方向Ｚ）とが交差している。

【0082】

このようなコネクタホルダ１によれば、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５を二方向（前後方向Ｘ及び上下方向Ｚ）に拘束できる。したがって、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５のガタつきを確実に防止することができる。

【0083】

また、本実施形態に係るコネクタホルダ１において、収容空間Ｓを構成する底板部２５５を有しており、底板部２５５に収容空間Ｓの内側から外側まで貫通する貫通孔２５ｈが設けられている。

【0084】

このようなコネクタホルダ１によれば、電線４等を伝って侵入した水や埃を貫通孔から排出することが可能となる。

【0085】

この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
コネクタホルダはコネクタホルダ１に対応し、
蓋部はケースカバー３に対応し、
電線は電線４に対応し、
コネクタはコネクタ５に対応し、
側方部は各板部２５１，２５２に対応し、
底部は底板部２５５に対応し、
貫通孔は貫通孔２５ｈに対応し、
係止部は係止部２５ｆに対応し、
把持構造は把持構造２６，２８に対応し、
把持体はコネクタ把持部２６Ａ，２６Ｂ，２８Ａ，２８Ｂに対応し、
付勢部はバネ板２６１，２８１に対応し、
基端側は基端側２６ｂ，２８ｂに対応し、
先端側は先端側２６ｔ，２８ｔに対応し、
開口側端縁は開口側端縁２６ｕに対応し、
蓋部は蓋板部３０に対向し、
収容空間は収容空間Ｓに対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。

【0086】

例えば、本実施形態に係るコネクタホルダ１において、バネ板２６１は、基端側２６ｂから先端側２６ｔに向かう方向が、コネクタ５の収容方向である上下方向Ｚに対して直交する左方側Ｌから右方側Ｒに向かう直交方向に沿って配置されている（図５参照）。しかし、図１１に示すように、基端側２６ｂから先端側２６ｔに向かう方向が、収容空間Ｓの開口側（上方側Ｕ）から底方側（下方側Ｄ）に向かう方向に沿って配置されてもよい。

【0087】

このようなコネクタホルダ１によれば、バネ板２６１の基端側２６ｂが収容空間Ｓの開口側（上方側Ｕ）に位置し、収容空間Ｓの内部に突出するバネ板２６１の先端側２６ｔが収容空間Ｓの底方側（下方側Ｄ）に位置する。そのため、コネクタ５を収容空間Ｓの開口側から底方側に向かって押し込んで、コネクタ５を収容空間Ｓに収容する際に、かかるコネクタ５がバネ板２６１に引っ掛かりにくくなる。したがって、コネクタ５を収容する作業が容易となる。また、コネクタ５に対するバネ板２６１の当接部分がコネクタ５の収容方向である上下方向Ｚに対して直交する直交方向に沿った直線状となるため、特にコネクタ５の収容方向である上下方向Ｚを回転中心としたガタつきを抑えることが可能となる。

【0088】

また、本実施形態に係るコネクタホルダ１においては、ケースカバー３を有しており、ケースカバー３における蓋板部３０にコネクタ把持部２８Ｂが設けられている（図８参照）。しかし、図１２に示すように、例えば、後板部２５２の上端部分に収容空間Ｓに収容されたコネクタ５を係止する係止部２５ｆが設けられていてもよい。

【0089】

このようなコネクタホルダ１によれば、コネクタ５を収容空間Ｓに収容するだけで、収容方向である上下方向Ｚにコネクタ５を挟み込むことができる。つまり、コネクタ５を収容空間Ｓに収容するだけで、収容方向である上下方向Ｚに沿って相対する付勢力と対向力が作用し、コネクタ５を挟み込むことが可能となる。また、コネクタ５を係止したときの節度感が得られるため、コネクタ５を収容する作業が完了したことが分かる。

【0090】

また、本実施形態に係るコネクタホルダ１においては、二つの把持構造２６，２８を有しており、前後方向Ｘ及び上下方向Ｚにコネクタ５を把持する。しかし、図１３に示すように、例えば、把持構造２６は、一対のコネクタ把持部２６Ａ，２６Ｂのいずれもがバネ板２６１を有しておらず、これらコネクタ把持部２６Ａ，２６Ｂが収容空間Ｓにコネクタ５を圧入することでコネクタ５との当接部分が変形する圧入変形部２５ｄを有してもよい。

【0091】

このようなコネクタホルダ１によれば、収容空間Ｓにコネクタ５を圧入することにより、圧入変形部２５ｄがコネクタ５に押されて潰されるため、コネクタ５とコネクタ把持部２６Ａ，２６Ｂとの間に公差に起因する隙間が生じることを防止できる。したがって、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５のガタつきを確実に防止することができる。

【0092】

最後に、本願発明には、コネクタホルダ１にコネクタ５を収容したコネクタユニットならびにコネクタホルダ１を有するプロテクタが含まれる。ここで、コネクタホルダ１を有するプロテクタとは、コネクタホルダ１として機能する部分を備えたプロテクタであることを意味している。かかるプロテクタには、電気接続箱、すなわちジャンクションボックスが含まれるものとする。

【0093】

これらにおいても、本実施形態に係るコネクタホルダ１と同様の効果を奏する。すなわち、収容空間Ｓに収容されたコネクタ５のガタつきを防止することができる。その他にも、前述の実施形態において説明したものと同様の効果を得ることができる。

【符号の説明】

【0094】

１…コネクタホルダ
３…ケースカバー
４…電線
５…コネクタ
２５１…前板部
２５２…後板部
２５５…底板部
２５ｈ…貫通孔
２５ｆ…係止部
２６…把持構造
２８…把持構造
２６Ａ…コネクタ把持部
２６Ｂ…コネクタ把持部
２８Ａ…コネクタ把持部
２８Ｂ…コネクタ把持部
２６１…バネ板
２６ｂ…基端側
２６ｔ…先端側
２８１…バネ板
２８ｂ…基端側
２８ｔ…先端側
２６ｕ…開口側端縁
３０…蓋板部
Ｓ…収容空間

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】