(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010471
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】接続構造体、半導体装置及び接続構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240117BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240117BHJP
H05K 1/03 20060101ALN20240117BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
H01L23/12 Q
H01L23/12 Z
H05K1/03 610G
H05K1/03 610R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111825
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】相澤 光浩
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK02
5F044KK17
5F044KK18
5F044KK19
5F044LL01
5F044LL04
5F044QQ02
5F044QQ03
(57)【要約】
【課題】隣接する接続端子同士のショートを抑制できる接続構造体及び半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置10は、第1接続端子30と、第1接続端子30と対向する第2接続端子50と、第1接続端子30と第2接続端子50とを接合する接合部材60とを有する。接合部材60は、金属からなる析出物81が交錯して重なり合う構造を有するとともに内部に多数の空隙を有する粗面化銅金属膜80と、粗面化銅金属膜80の空隙に入り込んだはんだ層とにより形成された金属間化合物層70を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続端子と、
前記第1接続端子と対向する第2接続端子と、
前記第1接続端子と前記第2接続端子とを接合する接合部材と、を有し、
前記接合部材は、金属からなる析出物が交錯して重なり合う構造を有するとともに内部に多数の空隙を有する粗面化金属膜と、前記空隙に入り込んだはんだ層とにより形成された金属間化合物層を有する接続構造体。
【請求項2】
前記金属間化合物層は、前記接合部材の厚さ方向の全長にわたって延びる部分を有する請求項1に記載の接続構造体。
【請求項3】
前記金属間化合物層は、第1金属間化合物層と、前記第1金属間化合物層とは異なる第2金属間化合物層とが前記接合部材の厚さ方向に積層された構造を有している請求項1に記載の接続構造体。
【請求項4】
前記粗面化金属膜は、銅を含む金属材料からなり、
前記はんだ層は、錫を含む金属材料からなり、
前記第1金属間化合物層は、Cu6Sn5の金属間化合物からなり、
前記第2金属間化合物層は、Cu3Snの金属間化合物からなる請求項3に記載の接続構造体。
【請求項5】
前記第1金属間化合物層は、前記金属間化合物層の平面視における中央部において、前記接合部材の厚さ方向の全長にわたって延びるように形成されており、
前記第2金属間化合物層は、前記金属間化合物層の平面視における外縁部において、前記第1金属間化合物層と積層されている請求項3に記載の接続構造体。
【請求項6】
前記第1金属間化合物層は、前記第2金属間化合物層の全体と平面視で重なるように形成されている請求項3に記載の接続構造体。
【請求項7】
前記接合部材の側面は、シート状の前記析出物が交錯して重なり合う構造を有する請求項1に記載の接続構造体。
【請求項8】
前記接合部材の側面は、粒状の前記析出物が交錯して重なり合う構造を有する請求項1に記載の接続構造体。
【請求項9】
第1接続端子を有する配線基板と、
前記第1接続端子に対向する第2接続端子を有し、前記配線基板に実装された半導体素子と、
前記第1接続端子と前記第2接続端子とを接合する接合部材と、を有し、
前記接合部材は、金属からなる析出物が交錯して重なり合う構造を有するとともに内部に多数の空隙を有する粗面化金属膜と、前記空隙に入り込んだはんだ層とにより形成された金属間化合物層を有する半導体装置。
【請求項10】
第1対向面を有する第1接続端子を形成する工程と、
電解銅めっき法により、銅からなる析出物が前記第1対向面上に交錯して重なり合う構造を有するとともに内部に多数の空隙を有する粗面化銅金属膜を形成する工程と、
前記第1対向面と対向する第2対向面にはんだ層が設けられた第2接続端子を形成する工程と、
リフロー処理により、前記粗面化銅金属膜と前記はんだ層とを接合する工程と、を有し、
前記粗面化銅金属膜は、高分子化合物を添加した電解銅めっき浴をめっき浴として使用する電解銅めっき法により形成され、
前記粗面化銅金属膜と前記はんだ層とを接合する工程では、前記リフロー処理により溶融した前記はんだ層が前記粗面化銅金属膜の前記空隙に入り込み、前記はんだ層を構成する金属と前記粗面化銅金属膜を構成する金属とが反応して金属間化合物層が形成される接続構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続構造体、半導体装置及び接続構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子の有する電極パッドと、配線基板の有する接続端子とをはんだ層によって接合した半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、半導体素子の高性能化に伴って配線基板の接続端子の狭ピッチ化が進められている。しかし、接続端子の狭ピッチ化が進むと、隣接するはんだ層同士がリフロー後にショートしやすくなる。隣接するはんだ層同士がショートすると、隣接する接続端子同士がショートするという問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、第1接続端子と、前記第1接続端子と対向する第2接続端子と、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを接合する接合部材と、を有し、前記接合部材は、金属からなる析出物が交錯して重なり合う構造を有するとともに内部に多数の空隙を有する粗面化金属膜と、前記空隙に入り込んだはんだ層とにより形成された金属間化合物層を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、隣接する接続端子同士のショートを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の半導体装置を示す概略断面図である。
【
図2】第1実施形態の半導体装置の一部を示す概略断面図である。
【
図3】第1実施形態の半導体装置の一部を示す概略分解断面図である。
【
図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図7】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図8】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図9】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図10】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図11】第3実施形態の半導体装置を示す概略断面図である。
【
図12】第3実施形態の半導体装置の一部を示す概略断面図である。
【
図13】第3実施形態の半導体装置の一部を示す概略分解断面図である。
【
図14】変更例の半導体装置を示す概略分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。なお、本明細書において、「平面視」とは、対象物を
図1等の鉛直方向(図中上下方向)から見ることを言い、「平面形状」とは、対象物を
図1等の鉛直方向から見た形状のことを言う。本明細書における「上下方向」及び「左右方向」は、各図面において各部材を示す符号が正しく読める向きを正位置とした場合の方向である。また、本明細書における「平行」、「直交」や「垂直」は、厳密に平行、直交や垂直の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行、直交や垂直の場合も含まれる。
【0009】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図7に従って第1実施形態を説明する。
(半導体装置10の全体構成)
図1に示すように、半導体装置10は、配線基板20と、1つ又は複数(ここでは、1つ)の半導体素子40とを有している。配線基板20は、第1接続端子30を有している。半導体素子40は、第1接続端子30と対向する第2接続端子50を有している。半導体装置10は、第1接続端子30と第2接続端子50とを接合する接合部材60を有している。半導体装置10は、例えば、外部接続端子100を有している。
【0010】
(配線基板20の全体構成)
配線基板20は、例えば、基板本体21を有している。基板本体21の下面には、配線層22と、ソルダーレジスト層23とが順に積層されている。基板本体21の上面には、配線層24と、絶縁層25と、配線層26とが順に積層されている。
【0011】
基板本体21としては、例えば、絶縁樹脂層と配線層とが交互に積層された配線構造体を用いることができる。配線構造体は、例えば、コア基板を有してもよいし、コア基板を有していなくてもよい。絶縁樹脂層の材料としては、例えば、熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。熱硬化性の絶縁性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。また、絶縁樹脂層の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などの感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることもできる。絶縁樹脂層は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。
【0012】
基板本体21の配線層や配線層22,24の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。ソルダーレジスト層23の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などの感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層23は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。
【0013】
(配線層22の構造)
配線層22は、基板本体21の下面に形成されている。配線層22は、配線基板20の最下層の配線層である。
【0014】
(ソルダーレジスト層23の構造)
ソルダーレジスト層23は、配線層22の一部を被覆するように、基板本体21の下面に積層されている。ソルダーレジスト層23は、配線基板20の最外層(ここでは、最下層)の絶縁層である。
【0015】
ソルダーレジスト層23には、配線層22の下面の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための複数の開口部23Xが形成されている。外部接続用パッドP1には、配線基板20をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用される外部接続端子100が接続されている。
【0016】
開口部23Xの底部に露出する配線層22の下面には、必要に応じて、表面処理層が形成されている。表面処理層の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。表面処理層の他の例としては、Ni層/Pd層(Ni層とPd層をこの順番で積層した金属層)、Pd層/Au層(Pd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。ここで、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。これらAu層、Ni層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき層)や、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき層)を用いることができる。また、表面処理層としては、開口部23Xに露出する配線層22の下面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して形成されるOSP膜を用いることができる。OSP膜としては、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜を用いることができる。なお、配線層22の下面に表面処理層が形成されている場合には、その表面処理層が外部接続用パッドP1として機能する。
【0017】
本例では、配線層22の下面に外部接続端子100を設けるようにしたが、開口部23Xに露出する配線層22自体、又は配線層22の下面に表面処理層が形成されている場合にはその表面処理層自体を、外部接続端子としてもよい。
【0018】
(配線層24の構造)
配線層24は、基板本体21の上面に形成されている。配線層24は、例えば、基板本体21内の配線層や貫通電極を介して、配線層22と電気的に接続されている。
【0019】
(絶縁層25の構造)
絶縁層25は、配線層24の一部を被覆するように、基板本体21の上面に積層されている。絶縁層25は、配線基板20の最外層(ここでは、最上層)に設けられた最外絶縁層である。絶縁層25は、例えば、基板本体21で用いた絶縁樹脂層と同じ絶縁樹脂層とすることができる。また、絶縁層25としては、例えば、ソルダーレジスト層を用いることもできる。ソルダーレジスト層の材料としては、例えば、ソルダーレジスト層23と同様の材料を用いることができる。
【0020】
絶縁層25には、当該絶縁層25を厚さ方向(図中上下方向)に貫通して配線層24の上面の一部を露出する開口部25Xが形成されている。開口部25Xの平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。本例の開口部25Xの平面形状は、円形状に形成されている。本例の開口部25Xは、
図1において上側(絶縁層25の上面側)から下側(配線層24側)に向かうに連れて開口幅(開口径)が小さくなるテーパ状に形成されている。
【0021】
(配線層26の構造)
配線層26は、開口部25Xから露出された配線層24上に形成されている。配線層26は、例えば、開口部25X内に形成されたビア配線26Vと、ビア配線26Vを介して配線層24と電気的に接続されるとともに絶縁層25の上面に形成された第1接続端子30とを有している。第1接続端子30は、例えば、半導体素子40などの電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。
【0022】
ビア配線26Vは、例えば、開口部25Xを充填するように形成されている。ビア配線26Vは、開口部25Xと同様の形状に形成されている。ビア配線26Vは、例えば、上面の直径が下面の直径よりも大径となる逆円錐台形状に形成されている。
【0023】
第1接続端子30は、例えば、絶縁層25の上面から上方に突出するように柱状に形成されている。第1接続端子30は、例えば、金属ポストである。本例の第1接続端子30は、円柱状に形成されている。第1接続端子30は、例えば、ビア配線26Vと一体に形成されている。第1接続端子30の平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。第1接続端子30の平面形状は、例えば、直径が15μm以上40μm以下の範囲の円形状とすることができる。第1接続端子30の厚さは、例えば、2μm以上50μm以下の範囲とすることができる。
【0024】
第1接続端子30は、半導体素子40と対向する第1対向面31(ここでは、上面)を有している。第1接続端子30の第1対向面31は、例えば、平面に形成されている。第1対向面31は、例えば、基板本体21の上面と平行に広がるように形成されている。第1対向面31は、例えば、凹凸の少ない平滑面である。
【0025】
ここで、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0026】
ビア配線26V及び第1接続端子30の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。本例の第1接続端子30は、銅からなる。ビア配線26V及び第1接続端子30としては、例えば、無電解めっき層や電解めっき層を用いることができる。
【0027】
(半導体素子40の構成)
半導体素子40は、半導体素子40の回路形成面(ここでは、下面)に形成された複数の第2接続端子50を有している。半導体素子40は、配線基板20にフリップチップ実装されている。具体的には、半導体素子40の第2接続端子50は、配線基板20の第1接続端子30に電気的に接続されている。第2接続端子50は、接合部材60を介して第1接続端子30に電気的に接続されている。これにより、半導体素子40は、第2接続端子50及び接合部材60を介して第1接続端子30と電気的に接続されている。
【0028】
半導体素子40としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体素子40としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることができる。なお、配線基板20に複数の半導体素子40を搭載する場合には、ロジックチップとメモリチップとを組み合わせて配線基板20に搭載するようにしてもよい。
【0029】
(第2接続端子50の構造)
複数の第2接続端子50は、複数の第1接続端子30にそれぞれ対向するように設けられている。第2接続端子50は、例えば、半導体素子40の回路形成面から下方に突出するように柱状に形成されている。第2接続端子50は、例えば、金属ポストである。本例の第2接続端子50は、円柱状に形成されている。第2接続端子50の平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。第2接続端子50の平面形状は、例えば、直径が15μm以上40μm以下の範囲の円形状とすることができる。第2接続端子50の厚さは、例えば、2μm以上50μm以下の範囲とすることができる。
【0030】
第2接続端子50の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。本例の第2接続端子50は、銅からなる。第2接続端子50としては、無電解めっき層や電解めっき層を用いることができる。
【0031】
第2接続端子50は、第1接続端子30の第1対向面31と対向する第2対向面51(ここでは、下面)を有している。第2接続端子50の第2対向面51は、例えば、平面に形成されている。第2対向面51は、例えば、半導体素子40の回路形成面と平行に広がるように形成されている。第2対向面51は、例えば、凹凸の少ない平滑面である。
【0032】
(接合部材60の構造)
接合部材60は、例えば、第1接続端子30の第1対向面31に接合されるとともに、第2接続端子50の第2対向面51に接合されている。接合部材60は、第1接続端子30と第2接続端子50とを電気的に接続している。
【0033】
図2に示すように、接合部材60は、金属間化合物層70を有している。例えば、接合部材60の大部分は、金属間化合物層70により構成されている。本例の接合部材60は、第1対向面31側の外縁部以外の部分が金属間化合物層70により構成されている。金属間化合物層70は、例えば、接合部材60の厚さ方向の全長にわたって延びる部分を有している。換言すると、金属間化合物層70の一部は、接合部材60の厚さ方向において、第1対向面31から第2対向面51まで延びている。本例の金属間化合物層70は、接合部材60の平面視における中央部において、接合部材60の厚さ方向の全長にわたって延びている。
【0034】
金属間化合物層70は、例えば、第1金属間化合物層71と、第1金属間化合物層71と異なる第2金属間化合物層72とが接合部材60の厚さ方向に積層された構造を有している。第1金属間化合物層71は、例えば、第2金属間化合物層72よりもSnリッチな金属間化合物からなる。第1金属間化合物層71は、例えば、Cu6Sn5の金属間化合物からなる。第2金属間化合物層72は、例えば、第1金属間化合物層71よりもCuリッチな金属間化合物からなる。第2金属間化合物層72は、例えば、Cu3Snの金属間化合物からなる。なお、Cu3Snの金属間化合物は、Cu6Sn5の金属間化合物よりも抵抗値、融点、ヤング率、引張強度や熱伝導率などの物性値が優れている。
【0035】
第1金属間化合物層71は、例えば、第2対向面51から第1対向面31に向かって延びるように形成されている。本例の第1金属間化合物層71は、金属間化合物層70の平面視における中央部において、接合部材60の厚さ方向の全長にわたって延びるように形成されている。例えば、第1金属間化合物層71のうち金属間化合物層70の平面中心に設けられた部分は、第2対向面51から第1対向面31まで延びるように形成されている。第1金属間化合物層71は、例えば、第2対向面51全面を被覆するように形成されている。第1金属間化合物層71は、例えば、第1対向面31の一部のみを被覆するように形成されている。第1金属間化合物層71は、例えば、第1対向面31の中央部を被覆するように形成されている。第1金属間化合物層71は、接合部材60の厚さ方向において、第2対向面51から第1対向面31に近づくに連れて細くなるように形成されている。
【0036】
第2金属間化合物層72は、例えば、接合部材60の厚さ方向において、第1金属間化合物層71の一部と積層するように形成されている。本例の第2金属間化合物層72は、金属間化合物層70の平面視における外縁部において、第1金属間化合物層71と積層するように形成されている。すなわち、本例の第2金属間化合物層72は、第1金属間化合物層71の下面の外縁部に積層するように形成されている。換言すると、本例の第2金属間化合物層72は、第1金属間化合物層71の外縁部のみと平面視で重なるように設けられている。第2金属間化合物層72は、例えば、第1対向面31の一部を被覆するように形成されている。第2金属間化合物層72は、例えば、第1対向面31のうち第1金属間化合物層71に被覆される部分よりも外周側の部分を被覆するように形成されている。第2金属間化合物層72は、例えば、接合部材60の厚さ方向において、第1対向面31側(
図2の下側)のみに設けられている。第2金属間化合物層72は、例えば、第2対向面51を被覆していない。第2金属間化合物層72の体積は、例えば、第1金属間化合物層71の体積よりも小さい。
【0037】
図3に示すように、接合部材60は、第1接続端子30の第1対向面31上に形成された粗面化銅金属膜80と、第2接続端子50の第2対向面51上に形成されたはんだ層90とにより形成される。ここで、
図3は、半導体素子40が配線基板20に接合される前の状態、つまり第1接続端子30と第2接続端子50とが接合される前の状態における半導体装置10の一部の断面構造を示している。以下に、粗面化銅金属膜80及びはんだ層90の構造について説明する。
【0038】
(粗面化銅金属膜80の構造)
粗面化銅金属膜80は、例えば、第1対向面31全面を被覆するように形成されている。粗面化銅金属膜80は、例えば、第1接続端子30の側面を露出するように形成されている。換言すると、粗面化銅金属膜80は、例えば、第1接続端子30の表面のうち第1対向面31のみを被覆するように形成されている。粗面化銅金属膜80の厚さ(膜厚)は、例えば、1μm以上5μm以下の範囲とすることができる。
【0039】
粗面化銅金属膜80は、表面(上面及び側面、又は上面のみ)が粗面化されためっき膜である。粗面化銅金属膜80の表面は、微細な凹凸構造を有している。粗面化銅金属膜80は、第1接続端子30の第1対向面31上に、銅からなる析出物81が交錯して重なり合う構造を有している。粗面化銅金属膜80は、第1対向面31上に、銅からなる板状体の析出物81が交錯して重なり合う構造を有している。粗面化銅金属膜80は、電解銅めっき法により形成されためっき膜である。粗面化銅金属膜80は、例えば、銅のみのめっき膜からなる金属膜である。ここで、「銅からなる析出物81が交錯して重なり合う構造」とは、めっき金属である銅からなる多数の析出物81(電析物)がランダムな向きに交錯して重なり合い、金属膜(めっき膜)中に多数の空隙82が形成された構造(ポーラス構造)のことである。
【0040】
本実施形態の粗面化銅金属膜80は、銅からなるシート状(薄板状)の析出物81がさまざまな向きに折り重なる構造を有し、且つシート状の析出物81の間に空隙82が形成された構造を有している。ここで、シート状の析出物81の厚さは、例えば、20nm以上100nm以下の範囲とすることができる。シート状の析出物81の厚さは、例えば、20nm以上50nm以下の範囲とすることがより好ましい。粗面化銅金属膜80は、シート状の析出物81が多数の層状に積層された構造を有している。粗面化銅金属膜80は、ナノサイズの微細なシート状の析出物81がランダムな向きに交錯して多数の層状に折り重なって形成された三次元ナノ構造を有している。このような粗面化銅金属膜80は、粗面化銅金属膜80の厚さ方向の全体にわたって、シート状の析出物81が緻密に折り重なって内部に多数の空隙82が設けられた構造に形成されている。すなわち、粗面化銅金属膜80は、厚さ方向の全体にわたって、多数の微細な空隙82が内部に設けられた構造を有している。粗面化銅金属膜80では、例えば、厚さ方向において析出物81の密度が異なっている。換言すると、粗面化銅金属膜80では、例えば、厚さ方向において空隙率が異なっている。例えば、粗面化銅金属膜80では、厚さ方向において、第1対向面31に近づくに連れて析出物81の密度が高くなっている、つまり第1対向面31に近づくに連れて空隙率が低くなっている。なお、粗面化銅金属膜80全体における空隙率は、例えば、8%以上20%以下の範囲とすることができる。
【0041】
このように、粗面化銅金属膜80は、多数の析出物81が交錯して重なり合う構造を有することで、表面に凹凸を有するとともに厚さ方向に多数の空隙82を有する粗面構造を有している。このような粗面化銅金属膜80における粗面構造は、一般的な粗化処理、例えば薬液による粗化処理や物理的な加工によって形成される粗面構造とは異なる。なお、一般的な粗化処理としては、例えば、黒化処理、エッチング処理やブラスト処理などが挙げられる。詳述すると、第1接続端子30に対して一般的な粗化処理を施して形成される粗面構造は、第1接続端子30の表面のみに凹凸が形成された構造になる。このような粗面構造は、厚さ方向及び幅方向(つまり、厚さ方向と直交する方向)全体において、その粗面構造の内部の銅の析出物の密度は高い。このような粗面構造は、
図3に示したような析出物81が交錯して重なり合う構造を有しておらず、厚さ方向及び金属膜の内部に空隙82を有していない。そして、このような一般的な粗化処理により形成される粗面構造には、厚さ方向において空隙率が異なる構造はない。
【0042】
粗面化銅金属膜80は、例えば、第1接続端子30の第1対向面31に接合されている。ここで、第1接続端子30と粗面化銅金属膜80との界面(接合界面)には、金属間化合物が形成されていない。すなわち、銅からなる第1接続端子30と銅からなる粗面化銅金属膜80とは、銅以外の材料からなる他の部材を介さずに、互いに直接接合されている。粗面化銅金属膜80は、第1接続端子30と一体化されている。なお、各図面では、第1接続端子30及び粗面化銅金属膜80を判り易くするため、それら第1接続端子30と粗面化銅金属膜80とを実線にて区別している。実際には、第1接続端子30と粗面化銅金属膜80との界面は消失していることがあり、境界は明確ではないことがある。
【0043】
(はんだ層90の構造)
はんだ層90は、例えば、第2接続端子50の第2対向面51全面を被覆するように形成されている。はんだ層90は、例えば、粗面化銅金属膜80と対向するように設けられている。はんだ層90は、例えば、第2対向面51から粗面化銅金属膜80に向かって突出するように形成されている。
【0044】
はんだ層90の材料としては、例えば、鉛(Pb)フリーはんだを用いることができる。はんだ層90の材料としては、例えば、錫(Sn)を比較的多く含む鉛フリーはんだを用いることができる。はんだ層90の材料としては、例えば、錫(Sn)-銀(Ag)系、Sn-Cu系、Sn-Ag-Cu系の鉛フリーはんだを用いることができる。
【0045】
接合部材60は、例えば、リフロー処理により粗面化銅金属膜80とはんだ層90とが一体化されて形成されている。
図2に示した金属間化合物層70は、粗面化銅金属膜80を構成する金属(例えば、Cu)と、粗面化銅金属膜80の有する多数の空隙82に入り込んだはんだ層90を構成する金属(例えば、Sn)とが反応して形成される。ここで、
図2に示した第1金属間化合物層71及び第2金属間化合物層72は、例えば、はんだ層90よりも融点が高い。
【0046】
図2に示すように、本例の接合部材60は、粗面化銅金属膜80を有している。換言すると、本例の接合部材60では、粗面化銅金属膜80の一部が金属間化合物層70を形成せずに、銅からなるシート状の析出物81を有した状態でそのまま残っている。例えば、接合部材60の側面は、シート状の析出物81が交錯して重なり合う構造を有している。例えば、接合部材60の側面のうち第1対向面31側(図中下側)の部分は、シート状の析出物81が交錯して重なり合う構造に形成されている。すなわち、接合部材60の側面のうち第1対向面31側の部分は、粗面化銅金属膜80により構成されている。この粗面化銅金属膜80は、例えば、Cu単体からなる。
【0047】
接合部材60は、例えば、第1接続端子30の側面よりも外方に突出していない。すなわち、接合部材60は、平面方向(図中左右方向)において、はんだ層90(
図3参照)等が第1接続端子30の側面よりも外側に突出していない。ここで、平面方向は、例えば、粗面化銅金属膜80の厚さ方向と断面視で直交する方向である。接合部材60は、例えば、第2接続端子50の側面よりも外方に突出していない。この接合部材60により、第1接続端子30と第2接続端子50とが垂直に接合されている。
【0048】
以上説明した第1接続端子30と接合部材60と第2接続端子50とによって、接続構造体が構成されている。
(外部接続端子100の構造)
図1に示すように、外部接続端子100は、配線基板20の外部接続用パッドP1上に形成されている。外部接続端子100は、例えば、図示しないマザーボード等の実装基板に設けられたパッドと電気的に接続される接続端子である。外部接続端子100としては、例えば、はんだボールやリードピンを用いることができる。本実施形態では、外部接続端子100として、はんだボールを用いている。
【0049】
(半導体装置10の製造方法)
次に、
図4~
図7に従って、半導体装置10の製造方法について説明する。ここでは、接続構造体の製造方法について詳述する。
【0050】
まず、
図4に示すように、基板本体21の下面に配線層22とソルダーレジスト層23とが形成され、基板本体21の上面に配線層24と絶縁層25と配線層26とが形成された配線基板20を準備する。この配線基板20は、公知の製造方法により製造することが可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。ビア配線26V及び第1接続端子30を有する配線層26は、例えば、セミアディティブ法によって形成することができる。具体的には、まず、開口部25Xの内面と開口部25Xの底部に露出する配線層24の上面と絶縁層25の上面とを被覆するシード層(図示略)を形成した後、シード層上に第1接続端子30の形状に対応した開口部を有するレジストパターン(図示略)を形成する。その後、レジストパターンをめっきマスクとした電解銅めっき法により、ビア配線26V及び第1接続端子30を形成する。
【0051】
続いて、第1接続端子30の第1対向面31上に、粗面化銅金属膜80を形成する。粗面化銅金属膜80は、電解銅めっき法により形成することができる。粗面化銅金属膜80は、例えば、粗面化剤(添加剤)を添加した電解銅めっき浴をめっき浴として使用し、第1接続端子30等をめっき給電層に利用する電解銅めっき法により形成することができる。本工程の電解銅めっき法では、例えば、配線層26を形成する際に使用したレジストパターン(図示略)をめっきマスクとして利用することができる。また、電解銅めっき浴に添加する粗面化剤としては、例えば、高分子化合物を用いることができる。ここで、電解銅めっき法において使用するめっき浴の組成、電流密度や通電量等を調整することにより、粗面化銅金属膜80を所望の粗面構造、つまり銅からなる析出物81(
図3参照)が交錯して重なり合う構造に形成することができる。特に、電解銅めっき法における粗面化剤(添加剤)の濃度、電流密度、通電量、めっき浴の浴温度等を調整することによって、粗面化銅金属膜80における析出物81(
図3参照)の形状や密度を制御することができる。
【0052】
また、
図4に示す工程では、回路形成面に形成された第2接続端子50と、その第2接続端子50の下面に形成されたはんだ層90とを有する半導体素子40を準備する。
続いて、
図5に示す工程では、配線基板20の上方に、第2接続端子50及びはんだ層90を有する半導体素子40を配置する。このとき、第1接続端子30と第2接続端子50とが互いに対向するように、配線基板20及び半導体素子40を配置する。そして、粗面化銅金属膜80上に、はんだ層90を重ね合わせる。
【0053】
次いで、
図6に示す工程では、リフロー処理により、粗面化銅金属膜80とはんだ層90とを接合する。具体的には、粗面化銅金属膜80上にはんだ層90を重ね合わせた後に、リフロー処理を行ってはんだ層90を溶融させ、はんだ層90と粗面化銅金属膜80とを接合する。リフロー処理では、はんだ層90の融点よりも高い温度で加熱が行われる。リフロー処理では、溶融したはんだ層90が粗面化銅金属膜80の多数の空隙82に入り込む。このとき、溶融したはんだ層90が粗面化銅金属膜80の空隙82を通じて粗面化銅金属膜80の内部に染み込むため、溶融したはんだ層90が平面方向に広がることを抑制できる。すなわち、溶融したはんだ層90が粗面化銅金属膜80の空隙82を通じて粗面化銅金属膜80の厚さ方向に広がるため、その厚さ方向と直交する平面方向にはんだ層90が広がることを抑制できる。そして、粗面化銅金属膜80の空隙82に入り込んだはんだ層90を構成する金属(ここでは、Sn)と粗面化銅金属膜80を構成する金属(ここでは、Cu)とが反応して金属間化合物が形成される。具体的には、
図7に示すように、Cu
6Sn
5の金属間化合物からなり、第2接続端子50から第1接続端子30まで延びる第1金属間化合物層71が形成される。また、Cu
3Snの金属間化合物からなり、第1金属間化合物層71の下面の外縁部に積層する第2金属間化合物層72が形成される。本例では、粗面化銅金属膜80の一部は金属間化合物を形成せずに粗面化銅金属膜80の状態のまま残る。これにより、第1金属間化合物層71と第2金属間化合物層72とが積層された構造を有する金属間化合物層70と、粗面化銅金属膜80とを有する接合部材60が形成される。そして、接合部材60を介して第1接続端子30と第2接続端子50とが電気的に接続される。これにより、配線基板20の第1接続端子30上に、半導体素子40の第2接続端子50をフリップチップ接合することができる。
【0054】
なお、
図6に示した工程、つまりリフロー処理では、例えば、はんだ層90中の全てのSnが金属間化合物を形成するまで、はんだ層90の融点よりも高い温度による加熱が行われる。例えば、リフロー処理では、はんだ層90中の全てのSnが粗面化銅金属膜80のCuと反応してCu
6Sn
5又はCu
3Snの金属間化合物を形成するまで上述した加熱が行われる。例えば、リフロー処理では、溶融したはんだ層90の全てが金属間化合物を形成するまで上述した加熱が行われる。
【0055】
以上説明した工程により、半導体素子40を配線基板20に実装することができる。その後、
図5に示した外部接続用パッドP1上に、
図1に示した外部接続端子100を形成する。これにより、
図1に示した半導体装置10を製造することができる。
【0056】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1-1)第1接続端子30の第1対向面31に粗面化銅金属膜80を形成し、第2接続端子50の第2対向面51にはんだ層90を形成した。そして、粗面化銅金属膜80とはんだ層90とを接合して接合部材60を形成するようにした。粗面化銅金属膜80とはんだ層90とを接合する際のリフロー処理では、溶融したはんだ層90が粗面化銅金属膜80の空隙82に入り込む。このとき、溶融したはんだ層90が粗面化銅金属膜80の空隙82を通じて粗面化銅金属膜80の厚さ方向に広がるため、その厚さ方向と直交する平面方向にはんだ層90が広がることを抑制できる。これにより、第1接続端子30と第2接続端子50とを接合する接合部材60が平面方向に広がることを抑制できる。この結果、第1接続端子30の狭ピッチ化が進んだ場合であっても、隣接する接合部材60同士がショートすることを抑制でき、隣接する第1接続端子30同士がショートすることを好適に抑制できる。換言すると、隣接する第1接続端子30を狭ピッチに設計することができる。
【0057】
(1-2)接合部材60は、粗面化銅金属膜80とその粗面化銅金属膜80の空隙82に入り込んだはんだ層90とにより形成された金属間化合物層70を有する。金属間化合物層70は、はんだ層90よりも融点が高い。このため、接合部材60が高温環境に晒された場合であっても、接合部材60が再溶融することを好適に抑制できる。
【0058】
(1-3)粗面化銅金属膜80とはんだ層90とを接合する際のリフロー処理では、溶融したはんだ層90の全てが金属間化合物を形成するまで、はんだ層90の融点よりも高い温度による加熱が行われる。これにより、接合部材60が再溶融することをより好適に抑制できる。
【0059】
(1-4)金属間化合物層70は、接合部材60の厚さ方向の全長にわたって延びる部分を有する。すなわち、金属間化合物層70の一部は、接合部材60の厚さ方向において、第1接続端子30の第1対向面31から第2接続端子50の第2対向面51まで延びている。これにより、第1接続端子30と第2接続端子50とを安定した金属間化合物層70により接合することができるため、第1接続端子30と第2接続端子50との接続信頼性を向上させることができる。
【0060】
(1-5)金属間化合物層70は、第1金属間化合物層71と第2金属間化合物層72とが接合部材60の厚さ方向に積層された構造を有している。第1金属間化合物層71は、金属間化合物層70の平面視における中央部において、接合部材60の厚さ方向の全長にわたって延びるように形成されている。すなわち、第1金属間化合物層71の平面視における中央部は、第1接続端子30の第1対向面31から第2接続端子50の第2対向面51まで延びている。これにより、接合部材60の一部において、第1接続端子30と第2接続端子50とを単一層の第1金属間化合物層71により接合することができる。換言すると、接合部材60の平面中心では、第1対向面31と第2対向面51とを結ぶ直線上に第1金属間化合物層71のみが存在しており界面が存在しない。このため、接合部材60の平面中心では、接合部材60の物性値が第1金属間化合物層71の物性値のみによって決まる。したがって、接合部材60の平面中心では、接合部材60における抵抗値等の物性値を、第1対向面31から第2対向面51までにわたって一定にすることができる。
【0061】
(1-6)粗面化銅金属膜80は、銅からなるシート状(薄板状)の析出物81がさまざまな向きに折り重なる構造を有し、且つシート状の析出物81の間に空隙82が形成された構造を有している。この粗面化銅金属膜80は、比較的高い空隙率を有している。このため、リフロー処理において、溶融したはんだ層90が空隙82を通じて粗面化銅金属膜80の内部に染み込みやすい。これにより、はんだ層90のはんだ量を少なくすることができる。
【0062】
(第2実施形態)
以下、
図8~
図10に従って第2実施形態を説明する。この実施形態では、半導体装置の製造方法が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1~
図7に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0063】
まず、
図8に示す工程では、第1接続端子30の第1対向面31上に粗面化銅金属膜85を形成する。粗面化銅金属膜85は、
図3に示した粗面化銅金属膜80と粗面構造が異なる。以下に、粗面化銅金属膜85の構造について詳述する。
【0064】
粗面化銅金属膜85は、例えば、第1対向面31全面を被覆するように形成されている。粗面化銅金属膜85は、第1対向面31に直接接合されている。粗面化銅金属膜85は、第1接続端子30と一体化されている。なお、各図面では、第1接続端子30及び粗面化銅金属膜85を判り易くするため、それら第1接続端子30と粗面化銅金属膜85とを実線にて区別している。実際には、第1接続端子30と粗面化銅金属膜85との界面は消失していることがあり、境界は明確ではないことがある。なお、粗面化銅金属膜85の厚さ(膜厚)は、例えば、0.5μm以上2μm以下の範囲とすることができる。
【0065】
粗面化銅金属膜85の表面(上面及び側面、又は上面のみ)は、微細な凹凸構造を有している。粗面化銅金属膜85は、第1接続端子30の第1対向面31上に、めっき金属である銅からなる粒状の析出物86が交錯して重なり合う構造を有している。粗面化銅金属膜85は、粒状の析出物86の間に空隙87が形成された構造を有している。すなわち、粗面化銅金属膜85は、内部に多数の空隙87が形成された構造(ポーラス構造)を有している。粗面化銅金属膜85は、電解銅めっき法により形成されためっき膜である。粗面化銅金属膜85は、例えば、銅のみのめっき膜からなる金属膜である。
【0066】
粒状の析出物86は、例えば、球状に形成されている。ここで、粒状の析出物86の粒径は、例えば、20nm以上100nm以下の範囲とすることができる。粒状の析出物86の粒径は、例えば、20nm以上50nm以下の範囲とすることがより好ましい。粗面化銅金属膜85は、粒状の析出物86が多数の層状に積層された構造を有している。粗面化銅金属膜85は、ナノサイズの微細な粒状の析出物86がランダムな向きに交錯して多数の層状に折り重なって形成された三次元ナノ構造を有している。このような粗面化銅金属膜85は、粗面化銅金属膜85の厚さ方向の全体にわたって、粒状の析出物86が緻密に折り重なって内部に多数の空隙87が設けられた構造に形成されている。すなわち、粗面化銅金属膜85は、厚さ方向の全体にわたって、多数の微細な空隙87が内部に設けられた構造を有している。粗面化銅金属膜85では、例えば、厚さ方向において析出物86の密度が異なっている。例えば、粗面化銅金属膜85では、厚さ方向において、第1対向面31に近づくに連れて析出物86の密度が高くなっている。なお、粗面化銅金属膜85全体における空隙率は、例えば、10%以上25%以下の範囲とすることができる。
【0067】
このように、粗面化銅金属膜85は、多数の粒状の析出物86が交錯して重なり合う構造を有することで、表面に凹凸を有するとともに厚さ方向に多数の空隙87を有する粗面構造を有している。
【0068】
以上説明した構造を有する粗面化銅金属膜85は、上記第1実施形態と同様に、粗面化剤(添加剤)として高分子化合物を添加した電解銅めっき浴をめっき浴として使用し、第1接続端子30等をめっき給電層に利用する電解銅めっき法により形成することができる。ここで、電解銅めっき法において使用するめっき浴の組成、電流密度や通電量等を調整することにより、粗面化銅金属膜85を所望の粗面構造、つまり銅からなる析出物86(
図8参照)が交錯して重なり合う構造に形成することができる。特に、電解銅めっき法における粗面化剤(添加剤)の濃度、電流密度、通電量、めっき浴の浴温度等を調整することにより、粗面化銅金属膜85における析出物86の形状や密度を制御することができる。なお、上記第1実施形態とは、電解銅めっき法において使用するめっき浴の組成や電析条件が異なる。
【0069】
また、
図8に示す工程では、下面にはんだ層90が形成された第2接続端子50を有する半導体素子40を準備する。
続いて、
図9に示す工程では、粗面化銅金属膜85とはんだ層90とを接合し、第1接続端子30と第2接続端子50とを接合する接合部材65(
図10参照)を形成する。具体的には、粗面化銅金属膜85上にはんだ層90を重ね合わせた後に、リフロー処理を行ってはんだ層90を溶融させ、はんだ層90と粗面化銅金属膜85とを接合する。リフロー処理では、はんだ層90の融点よりも高い温度で加熱が行われる。リフロー処理では、溶融したはんだ層90が粗面化銅金属膜85の多数の空隙87に入り込む。このとき、溶融したはんだ層90が粗面化銅金属膜85の空隙87を通じて粗面化銅金属膜85の内部に染み込むため、溶融したはんだ層90が平面方向に広がることを抑制できる。すなわち、溶融したはんだ層90が粗面化銅金属膜85の空隙87を通じて粗面化銅金属膜85の厚さ方向に広がるため、その厚さ方向と直交する平面方向にはんだ層90が広がることを抑制できる。そして、粗面化銅金属膜85の空隙87に入り込んだはんだ層90を構成する金属(ここでは、Sn)と粗面化銅金属膜85を構成する金属(ここでは、Cu)とが反応して金属間化合物が形成される。
【0070】
具体的には、
図10に示すように、第2接続端子50側に第1金属間化合物層76が形成されるとともに、第1接続端子30側に第2金属間化合物層77が形成される。これら第1金属間化合物層76と第2金属間化合物層77とが積層された構造を有する金属間化合物層75が形成される。ここで、第1金属間化合物層76は、例えば、第2金属間化合物層77よりもSnリッチな金属間化合物からなる。第1金属間化合物層76は、例えば、Cu
6Sn
5の金属間化合物からなる。第2金属間化合物層77は、例えば、第1金属間化合物層76よりもCuリッチな金属間化合物からなる。第2金属間化合物層77は、例えば、Cu
3Snの金属間化合物からなる。本例では、粗面化銅金属膜85の一部は金属間化合物を形成せずに粗面化銅金属膜85の状態のまま残る。これにより、金属間化合物層75と粗面化銅金属膜85とを有する接合部材65が形成される。以下に、接合部材65の構造について詳述する。
【0071】
第1金属間化合物層76は、例えば、第2対向面51から第1対向面31に向かって延びるように形成されている。本例の第1金属間化合物層76は、第2対向面51から接合部材65の厚さ方向の途中まで延びるように形成されている。換言すると、本例の第1金属間化合物層76は、第1対向面31まで延びていない。第1金属間化合物層76は、例えば、第2対向面51全面を被覆するように形成されている。第1金属間化合物層76は、例えば、接合部材65の厚さ方向において、第2対向面51から第1対向面31に近づくに連れて細くなるように形成されている。第1金属間化合物層76の下面は、例えば、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。第1金属間化合物層76の下面は、接合部材65の外縁部から平面中心に近づくに連れて、第1対向面31に近づくように湾曲した曲面に形成されている。
【0072】
第2金属間化合物層77は、例えば、第1金属間化合物層76の下面に積層するように形成されている。第2金属間化合物層77は、例えば、第1金属間化合物層76の下面全面を被覆するように形成されている。本例の第2金属間化合物層77は、第1対向面31まで延びていない。換言すると、本例の第2金属間化合物層77は、第1対向面31を被覆していない。第2金属間化合物層77は、例えば、接合部材65の厚さ方向において、第1金属間化合物層76から第1対向面31に近づくに連れて細くなるように形成されている。第2金属間化合物層77の下面は、例えば、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。第2金属間化合物層77の下面は、接合部材65の外縁部から平面中心に近づくに連れて、第1対向面31に近づくように湾曲した曲面に形成されている。第2金属間化合物層77の体積は、例えば、第1金属間化合物層76の体積よりも小さい。
【0073】
接合部材65は、例えば、粗面化銅金属膜85を有している。換言すると、接合部材65では、粗面化銅金属膜85の一部が金属間化合物を形成せずに、銅からなる粒状の析出物86を有した状態でそのまま残っている。例えば、接合部材65の側面は、粒状の析出物86が交錯して重なり合う構造を有している。例えば、接合部材65の側面のうち第1対向面31側(図中下側)の部分は、粒状の析出物86が交錯して重なり合う構造に形成されている。すなわち、接合部材65の側面のうち第1対向面31側の部分は、粗面化銅金属膜85により構成されている。この粗面化銅金属膜85は、例えば、Cu単体からなる。粗面化銅金属膜85は、例えば、金属間化合物層75よりも第1対向面31側に設けられている。粗面化銅金属膜85は、例えば、第2金属間化合物層77の下面を被覆するように形成されている。粗面化銅金属膜85は、例えば、第2金属間化合物層77の下面全面を被覆するように形成されている。粗面化銅金属膜85は、例えば、第1対向面31全面を被覆するように形成されている。
【0074】
接合部材65は、例えば、第1接続端子30の側面よりも外方に突出していない。すなわち、接合部材65は、平面方向(図中左右方向)において、はんだ層90(
図9参照)等が第1接続端子30の側面よりも外側に突出していない。接合部材65は、例えば、第2接続端子50の側面よりも外方に突出していない。この接合部材65により、第1接続端子30と第2接続端子50とが垂直に接合されている。これにより、接合部材65を介して第1接続端子30と第2接続端子50とが電気的に接続される。以上説明した工程により、半導体素子40を配線基板20に実装することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、第1接続端子30と接合部材65と第2接続端子50とによって接続構造体が構成される。
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1-1)~(1-3)の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
【0076】
(2-1)第1金属間化合物層76は、第2金属間化合物層77の全体と平面視で重なるように形成されている。この構成によれば、金属間化合物層75の平面方向の全体にわたって、第1金属間化合物層76と第2金属間化合物層77とが層状に形成される。このように第1金属間化合物層76と第2金属間化合物層77とが層状になっていると、接合部材65の形成後に、Cu6Sn5からなる第1金属間化合物層76にCuが拡散して第1金属間化合物層76の一部がCu3Snの金属間化合物に変化しやすくなる。この場合には、Cu3Snからなる第2金属間化合物層77の領域が大きくなる。これにより、Cu6Sn5よりも抵抗値、融点、ヤング率、引張強度や熱伝導率などの物性値に優れたCu3Snからなる第2金属間化合物層77の領域を広げることができるため、接合部材65の物性値を向上させることができる。
【0077】
(第3実施形態)
以下、
図11~
図13に従って第3実施形態を説明する。この実施形態の半導体装置は、接続構造体の構成が第1実施形態及び第2実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1~
図10に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0078】
図11に示すように、本実施形態の配線基板20は、基板本体21上に形成された接合部材60を有している。本実施形態の半導体素子40は、半導体素子40の回路形成面(ここでは、下面)に形成された第2接続端子50を有している。第2接続端子50は、接合部材60と接合されている。本実施形態の半導体装置10では、接合部材60に第2接続端子50が接合されることにより、半導体素子40が配線基板20上に実装されている。換言すると、本実施形態の半導体装置10では、接合部材60が半導体素子40と接続される第1接続端子として機能する。すなわち、本実施形態の半導体装置10では、第1接続端子全体が接合部材60により構成されている。
【0079】
(接合部材60の構造)
接合部材60は、基板本体21の上面に形成されている。本実施形態の配線基板20では、基板本体21の上面に、複数の接合部材60が形成されている。各接合部材60は、基板本体21の上面の一部に部分的に設けられている。接合部材60は、例えば、基板本体21内の配線層や貫通電極(図示略)を介して、配線層22と電気的に接続されている。接合部材60の厚さ(膜厚)は、例えば、1μm以上20μm以下の範囲とすることができる。
【0080】
図12に示すように、接合部材60は、金属間化合物層70を有している。例えば、接合部材60の大部分は、金属間化合物層70により構成されている。本例の接合部材60は、基板本体21の上面側の外縁部以外の部分が金属間化合物層70により構成されている。金属間化合物層70は、例えば、接合部材60の厚さ方向の全長にわたって延びる部分を有している。換言すると、金属間化合物層70の一部は、接合部材60の厚さ方向において、第2対向面51から基板本体21の上面まで延びている。本例の金属間化合物層70は、接合部材60の平面視における中央部において、接合部材60の厚さ方向の全長にわたって延びている。
【0081】
金属間化合物層70は、例えば、第1金属間化合物層71と、第1金属間化合物層71と異なる第2金属間化合物層72とが接合部材60の厚さ方向に積層した構造を有している。第1金属間化合物層71は、例えば、Cu
6Sn
5の金属間化合物からなる。第2金属間化合物層72は、例えば、Cu
3Snの金属間化合物からなる。これら第1金属間化合物層71及び第2金属間化合物層72は、
図2に示した第1金属間化合物層71及び第2金属間化合物層72と同様の構造を有している。
【0082】
図13に示すように、接合部材60は、基板本体21の上面に形成された粗面化銅金属膜80と、第2接続端子50の第2対向面51上に形成されたはんだ層90とにより形成される。ここで、
図13は、半導体素子40が配線基板20に接合される前の状態における半導体装置10の一部の断面構造を示している。以下に、粗面化銅金属膜80及びはんだ層90の構造について説明する。
【0083】
(粗面化銅金属膜80の構造)
粗面化銅金属膜80は、基板本体21の上面に形成されている。本実施形態の配線基板20では、基板本体21の上面に、複数の粗面化銅金属膜80が形成されている。各粗面化銅金属膜80は、基板本体21の上面の一部に部分的に設けられている。粗面化銅金属膜80は、例えば、基板本体21内の配線層や貫通電極(図示略)を介して、
図11に示した配線層22と電気的に接続されている。粗面化銅金属膜80の厚さ(膜厚)は、例えば、1μm以上20μm以下の範囲とすることができる。
【0084】
粗面化銅金属膜80は、表面(上面及び側面、又は上面のみ)が粗面化されためっき膜である。粗面化銅金属膜80の表面は、微細な凹凸構造を有している。粗面化銅金属膜80は、基板本体21の上面に、めっき金属である銅からなるシート状の析出物81が交錯して重なり合う構造を有している。粗面化銅金属膜80は、シート状の析出物81の間に空隙82が形成された構造を有している。粗面化銅金属膜80は、電解銅めっき法により形成されためっき膜である。粗面化銅金属膜80は、例えば、銅のみのめっき膜からなる金属膜である。
【0085】
粗面化銅金属膜80は、例えば、基板本体21の上面に形成されたシード層(図示略)上に形成されている。粗面化銅金属膜80は、例えば、シード層と一体化されている。なお、シード層の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0086】
(はんだ層90の構造)
はんだ層90は、例えば、第2接続端子50の第2対向面51全面を被覆するように形成されている。はんだ層90は、例えば、粗面化銅金属膜80と対向するように設けられている。はんだ層90は、例えば、第2対向面51から粗面化銅金属膜80に向かって突出するように形成されている。
【0087】
接合部材60は、例えば、リフロー処理により粗面化銅金属膜80とはんだ層90とが一体化されて形成されている。
図12に示した金属間化合物層70は、粗面化銅金属膜80を構成する金属(例えば、Cu)と、粗面化銅金属膜80の有する多数の空隙82に入り込んだはんだ層90を構成する金属(例えば、Sn)とが反応して形成される。
図12に示すように、接合部材60は、例えば、粗面化銅金属膜80を有している。換言すると、接合部材60では、粗面化銅金属膜80の一部が金属間化合物層70を形成せずに、銅からなるシート状の析出物81を有した状態でそのまま残っている。例えば、接合部材60の側面のうち基板本体21側の部分は、粗面化銅金属膜80により構成されている。この粗面化銅金属膜80は、例えば、Cu単体からなる。
【0088】
接合部材60は、例えば、第2接続端子50の側面よりも外方に突出していない。すなわち、接合部材60は、平面方向(図中左右方向)において、はんだ層90(
図13参照)等が第2接続端子50の側面よりも外側に突出していない。
【0089】
以上説明した第2接続端子50と接合部材60とによって、接続構造体が構成されている。
(半導体装置10の製造方法)
次に、半導体装置10の製造方法について説明する。ここでは、粗面化銅金属膜80及び接合部材60を形成する工程について詳述する。
【0090】
図13に示すように、粗面化銅金属膜80は、基板本体21の上面に形成される。詳述すると、まず、基板本体21の上面を被覆するシード層(図示略)を形成する。シード層は、例えば、無電解銅めっき法やスパッタ法などにより形成することができる。続いて、シード層上に粗面化銅金属膜80の形状に対応した開口部を有するレジストパターン(図示略)を形成する。次いで、レジストパターンをめっきマスクとし、シード層をめっき給電層に利用する電解銅めっき法により、レジストパターンの開口部内に粗面化銅金属膜80を形成する。
【0091】
また、
図13に示すように、下面にはんだ層90が形成された第2接続端子50を有する半導体素子40を準備する。
続いて、リフロー処理により、粗面化銅金属膜80とはんだ層90とを接合する。具体的には、粗面化銅金属膜80上にはんだ層90を重ね合わせた後に、リフロー処理を行ってはんだ層90を溶融させ、はんだ層90と粗面化銅金属膜80とを接合する。これにより、
図12に示した接合部材60、つまり金属間化合物層70及び粗面化銅金属膜80を有する接合部材60を形成する。
【0092】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0093】
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、粗面化銅金属膜80,85を、第1接続端子30の表面のうち第1対向面31のみを被覆するように形成したが、これに限定されない。
【0094】
例えば
図14に示すように、第1接続端子30の側面及び第1対向面31を被覆するように粗面化銅金属膜80を形成するようにしてもよい。同様に、第1接続端子30の側面及び第1対向面31を被覆するように粗面化銅金属膜85(
図8参照)を形成するようにしてもよい。
【0095】
・上記第1実施形態及び第3実施形態における接合部材60の構造は適宜変更することができる。
例えば、接合部材60を金属間化合物層70のみにより構成してもよい。この場合には、例えばリフロー処理において、粗面化銅金属膜80の全てが金属間化合物層70に形成される。
【0096】
例えば、金属間化合物層70が、接合部材60の厚さ方向の全長にわたって延びる部分を有していなくてもよい。この場合の金属間化合物層70は、例えば、第2対向面51から接合部材60の厚さ方向の途中まで延びるように形成される。そして、金属間化合物層70と第1対向面31又は基板本体21の上面との間には粗面化銅金属膜80が設けられる。
【0097】
例えば、第1金属間化合物層71の体積は、第2金属間化合物層72の体積と等しくてもよいし、第2金属間化合物層72の体積よりも小さくてもよい。
・上記第2実施形態における接合部材65の構造は適宜変更することができる。
【0098】
例えば、金属間化合物層75が、接合部材65の厚さ方向の全長にわたって延びる部分を有していてもよい。この場合には、例えば、第2金属間化合物層77の少なくとも一部が第1対向面31を被覆するように形成される。
【0099】
例えば、接合部材65を金属間化合物層75のみにより構成してもよい。この場合には、例えばリフロー処理において、粗面化銅金属膜85の全てが金属間化合物層75に形成される。
【0100】
例えば、第1金属間化合物層76の体積は、第2金属間化合物層77の体積と等しくてもよいし、第2金属間化合物層77の体積よりも小さくてもよい。
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1接続端子30の第1対向面31に粗面化銅金属膜80,85を直接接合するようにしたが、これに限定されない。例えば、第1接続端子30の第1対向面31を被覆する表面処理層を形成し、その表面処理層上に粗面化銅金属膜80,85を形成するようにしてもよい。なお、表面処理層としては、例えば、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層などの金属層を用いることができる。
【0101】
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、配線層26の第1接続端子30上に粗面化銅金属膜80,85を形成するようにしたが、これに限定されない。例えば、配線層26全体を、粗面化銅金属膜80,85により構成するようにしてもよい。すなわち、ビア配線26V及び第1接続端子30を、粗面化銅金属膜80,85により構成するようにしてもよい。この場合には、開口部25Xから露出する配線層24の上面に粗面化銅金属膜80,85が形成される。すなわち、この場合の粗面化銅金属膜80,85は、開口部25Xから露出する配線層24の上面に、めっき金属である銅からなる析出物81,86が交錯して重なり合う構造に形成される。
【0102】
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、配線基板20の第1接続端子30上に粗面化銅金属膜80,85を形成し、半導体素子40の第2接続端子50上にはんだ層90を形成するようにしたが、これに限定されない。例えば、配線基板20の第1接続端子30上にはんだ層90を形成し、半導体素子40の第2接続端子50上に粗面化銅金属膜80,85を形成するようにしてもよい。
【0103】
・上記第3実施形態では、基板本体21の上面に粗面化銅金属膜80を形成し、半導体素子40の第2接続端子50上にはんだ層90を形成するようにしたが、これに限定されない。例えば、基板本体21の上面にはんだ層90を形成し、半導体素子40の第2接続端子50上に粗面化銅金属膜80を形成するようにしてもよい。
【0104】
・上記第3実施形態における接合部材60を接合部材65に変更してもよい。
・上記第3実施形態における粗面化銅金属膜80を粗面化銅金属膜85に変更してもよい。
【0105】
・上記各実施形態における粗面化銅金属膜80,85を、銅以外の金属材料により構成される粗面化金属膜に変更してもよい。
・上記各実施形態における配線基板20の構造は適宜変更することができる。
【0106】
・上記各実施形態における半導体素子40の構造は適宜変更することができる。
・上記第1実施形態及び第2実施形態における第1接続端子30は金属ポストに限定されない。
【0107】
・上記各実施形態における第2接続端子50は金属ポストに限定されない。
・上記第1実施形態及び第2実施形態における第1接続端子30を、銅以外の金属材料により構成するようにしてもよい。
【0108】
・上記各実施形態における第2接続端子50を、銅以外の金属材料により構成するようにしてもよい。
・上記各実施形態の半導体装置10における外部接続端子100を省略してもよい。
【符号の説明】
【0109】
10 半導体装置
20 配線基板
26 配線層
30 第1接続端子
31 第1対向面
40 半導体素子
50 第2接続端子
51 第2対向面
60,65 接合部材
70,75 金属間化合物層
71,76 第1金属間化合物層
72,77 第2金属間化合物層
80,85 粗面化銅金属膜
81,86 析出物
82,87 空隙
90 はんだ層