IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友化学株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-積層体 図1
  • 特開-積層体 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104733
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240729BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20240729BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240729BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20240729BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20240729BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20240729BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240729BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240729BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALN20240729BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/022
B32B7/023
B32B7/06
B32B7/12
B32B7/027
C09J7/38
C09J201/00
G02F1/1335 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002425
(22)【出願日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2023008766
(32)【優先日】2023-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 昇祐
(72)【発明者】
【氏名】佐▲瀬▼ 光敬
(72)【発明者】
【氏名】西上 由紀
(72)【発明者】
【氏名】坂口 哲生
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB27
2H149BA02
2H149CA04
2H149CA09
2H149DA02
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA12
2H149FA03W
2H149FA05X
2H149FA12X
2H149FA12Y
2H149FA69
2H149FB01
2H149FD25
2H149FD30
2H149FD33
2H149FD35
2H149FD43
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA94X
2H291FA94Z
2H291FA95X
2H291FA95Z
2H291FB05
2H291FD35
2H291GA08
2H291GA23
2H291PA07
2H291PA44
2H291PA53
2H291PA84
2H291PA86
4F100AK02
4F100AK21B
4F100AK25C
4F100AK42A
4F100AK42D
4F100AK51E
4F100AK53
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100CB04
4F100CB05C
4F100CB05E
4F100GB41
4F100JA05C
4F100JB06D
4F100JB14
4F100JJ03
4F100JK06A
4F100JK07C
4F100JL13C
4F100JL13E
4F100JL14D
4F100JN10B
4F100JN18B
4F100YY00C
4F100YY00D
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004CA04
4J004DB03
4J004EA06
4J004FA04
4J040DF021
4J040EF131
4J040EF181
4J040EF282
4J040GA05
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA26
4J040KA28
4J040KA31
4J040KA32
4J040KA35
4J040KA42
4J040LA02
4J040LA06
4J040MA10
4J040NA17
(57)【要約】
【課題】貯蔵弾性率が比較的小さい粘着剤層にセパレータが積層されている場合であっても、セパレータ及びプロテクトフィルムを良好に剥離することができる積層体を提供する。
【解決手段】積層体は、プロテクトフィルム、少なくとも直線偏光層を含む偏光板、第1粘着剤層、及び、セパレータをこの順に有する。第1粘着剤層の温度25℃における貯蔵弾性率Gは、0.030MPa以上0.060MPa以下である。プロテクトフィルムと偏光板との間の温度23℃、相対湿度50%における剥離力をH1[N/25mm]とし、第1粘着剤層とセパレータとの間の温度23℃、相対湿度50%における剥離力をH2[N/25mm]とするとき、下記式(1)~(3)の関係を満たす。
H1>H2 (1)
0.045<H1≦0.190 (2)
0.045≦H2≦0.120 (3)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテクトフィルム、少なくとも直線偏光層を含む偏光板、第1粘着剤層、及び、セパレータをこの順に有し、
前記第1粘着剤層の温度25℃における貯蔵弾性率Gは、0.030MPa以上0.060MPa以下であり、
前記プロテクトフィルムと前記偏光板との間の温度23℃、相対湿度50%における剥離力をH1[N/25mm]とし、前記第1粘着剤層と前記セパレータとの間の温度23℃、相対湿度50%における剥離力をH2[N/25mm]とするとき、下記式(1)~(3)の関係を満たす、積層体。
H1>H2 (1)
0.045<H1≦0.190 (2)
0.045≦H2≦0.120 (3)
【請求項2】
前記プロテクトフィルムは、基材層と、前記基材層上に形成された第2粘着剤層とを有する、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記第1粘着剤層のガラス転移温度は、-55℃以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記第1粘着剤層のゲル分率は、45%以上85%以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項5】
前記セパレータの前記第1粘着剤層側の表面の温度25℃における水接触角は、105°以上115°以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項6】
前記偏光板は、位相差層を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置及び有機EL表示装置等の表示装置には偏光板を用いることが知られている。偏光板は、その一方の表面に設けられた粘着剤層を介して表示パネル等の表示素子に貼合されることにより、表示装置に組み入れられる。そのため、表示装置を製造する際には、予め偏光板の一方の表面に粘着剤層及びセパレータがこの順に積層された積層体を用意し、この積層体からセパレータを剥離して露出した粘着剤層によって偏光板を表示パネルに貼合する。このような積層体には、偏光板の他方の表面にプロテクトフィルム(表面保護フィルム)を設けることが知られている(例えば、特許文献1~3)。
【0003】
プロテクトフィルムを有する積層体では通常、積層体からセパレータを剥離し、偏光板を表示素子に貼合した後にプロテクトフィルムを剥離する。そのため、セパレータを剥離する際には、粘着剤層とセパレータとの間で剥離が生じ、プロテクトフィルムから偏光板が剥離しないようにした積層体が提案されている(例えば、特許文献1及び3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-120119号公報
【特許文献2】特開2018-120120号公報
【特許文献3】特開2018-202656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置が屈曲可能な表示パネルを備えるフレキシブルディスプレイである場合、表示パネルに貼合される積層体には良好な屈曲性が求められる。良好な屈曲性を有する積層体が備える粘着剤層には、貯蔵弾性率の小さい粘着剤層を用いることがある。このような粘着剤層に積層されたセパレータは、貯蔵弾性率が相対的に大きい粘着剤層に積層された場合に比較すると、粘着剤層から剥離しにくいことが見出された。
【0006】
本発明は、貯蔵弾性率が比較的小さい粘着剤層にセパレータが積層されている場合であっても、セパレータ及びプロテクトフィルムを良好に剥離することができる積層体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の積層体を提供する。
〔1〕 プロテクトフィルム、少なくとも直線偏光層を含む偏光板、第1粘着剤層、及び、セパレータをこの順に有し、
前記第1粘着剤層の温度25℃における貯蔵弾性率Gは、0.030MPa以上0.060MPa以下であり、
前記プロテクトフィルムと前記偏光板との間の温度23℃、相対湿度50%における剥離力をH1[N/25mm]とし、前記第1粘着剤層と前記セパレータとの間の温度23℃、相対湿度50%における剥離力をH2[N/25mm]とするとき、下記式(1)~(3)の関係を満たす、積層体。
H1>H2 (1)
0.045<H1≦0.190 (2)
0.045≦H2≦0.120 (3)
〔2〕 前記プロテクトフィルムは、基材層と、前記基材層上に形成された第2粘着剤層とを有する、〔1〕に記載の積層体。
〔3〕 前記第1粘着剤層のガラス転移温度は、-55℃以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の積層体。
〔4〕 前記第1粘着剤層のゲル分率は、45%以上85%以下である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の積層体。
〔5〕 前記セパレータの前記第1粘着剤層側の表面の温度25℃における水接触角は、105°以上115°以下である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の積層体。
〔6〕 前記偏光板は、位相差層を含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の積層体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層体によれば、貯蔵弾性率が比較的小さい粘着剤層を備えながらも、セパレータ及びプロテクトフィルムを良好に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る積層体を模式的に示す概略断面図である。
図2】本発明の他の実施形態に係る積層体を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
(積層体)
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る積層体を示す概略断面図である。積層体1,2は、プロテクトフィルム10、少なくとも直線偏光層31を含む偏光板30、第1粘着剤層22、及び、セパレータ21をこの順に有する。積層体1,2において、第1粘着剤層22は通常、偏光板30及びセパレータ21に直接接している。偏光板30は、少なくとも直線偏光層31を含み、後述するように直線偏光板であってもよく、円偏光板であってもよい。プロテクトフィルム10は、図1及び図2に示すように、例えば第1基材層11(基材層)と第2粘着剤層12とを有することができる。
【0012】
積層体1,2に含まれる偏光板30及び第1粘着剤層22の積層構造部分は、後述するように、折曲げや巻回し等が可能な表示装置(フレキシブルディスプレイ)に適用することができる。上記積層構造部分は特に、偏光板30側が内側となるように屈曲させたときの屈曲性に優れる。
【0013】
積層体1,2において、第1粘着剤層22の温度25℃における貯蔵弾性率Gは、0.030MPa以上であり、0.032MPa以上であってもよく、0.035MPa以上であってもよく、0.040MPa以上であってもよく、0.045MPa以上であってもよい。第1粘着剤層22の上記貯蔵弾性率Gは、0.060MPa以下であり、0.058MPa以下であってもよく、0.055MPa以下であってもよく、0.050MPa以下であってもよい。第1粘着剤層22の上記貯蔵弾性率Gが上記した範囲にあることにより、積層体1,2に含まれる偏光板30及び第1粘着剤層22の積層構造部分は良好な屈曲性を有することができる。上記貯蔵弾性率Gは、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。第1粘着剤層22の上記貯蔵弾性率Gは、第1粘着剤層22を形成するための第1粘着剤組成物(後述)の組成等によって調整することができる。
【0014】
積層体1,2において、プロテクトフィルム10と偏光板30との間の温度23℃、相対湿度50%における剥離力H1[N/25mm]と、第1粘着剤層22とセパレータ21との間の温度23℃、相対湿度50%における剥離力H2[N/25mm]とは、下記式(1)~(3)の関係を満たす。
H1>H2 (1)
0.045<H1≦0.190 (2)
0.045≦H2≦0.120 (3)
【0015】
剥離力H1は、0.050N/25mm以上であってもよく、0.055N/25mm以上であってもよく、0.070N/25mm以上であってもよく、0.080N/25mm以上であってもよく、また、0.180N/25mm以下であってもよく、0.175N/25mm以下であってもよく、0.150N/25mm以下であってもよく、0.120N/25mm以下であってもよい。
【0016】
剥離力H2は、0.050N/25mm以上であってもよく、0.055N/25mm以上であってもよく、0.060N/25mm以上であってもよく、また、0.115N/25mm以下であってもよく、0.110N/25mm以下であってもよく、0.100N/25mm以下であってもよく、0.080N/25mm以下であってもよい。
【0017】
剥離力H1は、偏光板30とプロテクトフィルム10との間で分離するようにプロテクトフィルム10を剥離するときに要する力の大きさ測定し、剥離力H2は、第1粘着剤層22とセパレータ21との間で分離するようにセパレータ21を剥離するときに要する力の大きさとして測定する。剥離力H1及び剥離力2は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0018】
剥離力H1は、偏光板30のプロテクトフィルム10側の表面(貼合面)を構成する層の材質又は表面状態を調整する、プロテクトフィルム10が第2粘着剤層12を有する場合は、第2粘着剤層12を形成するために用いる第2粘着剤組成物(後述)の組成を調整する等によって、調整することができる。偏光板30の表面状態を調整する方法としては、コロナ処理及びプラズマ処理等の放電処理;火炎処理;UVオゾン処理;紫外線照射及び電子線照射等の電離活性線照射処理等の表面活性化処理が挙げられる。
【0019】
剥離力H2は、第1粘着剤層22を形成するために用いる第1粘着剤組成物(後述)の組成を調整する、セパレータ21の離型処理面を調整する等によって、調整することができる。セパレータ21の離型処理面を調整する方法としては、離型処理面を形成するために用いた離型処理剤の種類又は離型処理方法を調整する方法が挙げられる。
【0020】
上記式(1)~式(3)の関係を満たすことにより、第1粘着剤層22の貯蔵弾性率Gが上記した範囲にある場合であっても、積層体1,2からセパレータ21及びプロテクトフィルム10を良好に剥離することができる。特に、上記式(1)の関係を満たすことにより、積層体1,2からセパレータ21を剥離したときに、プロテクトフィルム10と偏光板30との間で剥離を生じさせずに、第1粘着剤層22とセパレータ21との間で剥離を生じさせやすくなる。また、剥離力H1及び剥離力H2が上記式(2)及び(3)の関係を満たすことにより、積層体1,2の検査、搬送、又は輸送等を行う際に、プロテクトフィルム10及びセパレータ21が部分的に剥離して浮きが生じる等の不具合の発生を抑制しやすくなり、また、積層体1,2からのセパレータ21の剥離、及び、偏光板30からのプロテクトフィルム10の剥離を良好に行いやすくなる。
【0021】
積層体1,2の厚みは、100μm以上であることが好ましく、150μm以上であってもよく、200μm以上であってもよく、また、2000μm以下であってもよく、1000μm以下であってもよく、500μm以下であってもよく、250μm以下であってもよい。
【0022】
(プロテクトフィルム)
プロテクトフィルム10は、偏光板30に対して剥離可能に設けられる。プロテクトフィルム10は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。プロテクトフィルム10は、例えば図1及び図2に示すように、第1基材層11と第2粘着剤層12とを含んでいてもよく、自己粘着性の基材層であってもよい。
【0023】
プロテクトフィルム10の厚みは、例えば10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、また、500μm以下であってもよく、200μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
【0024】
(第1基材層)
プロテクトフィルム10を構成する第1基材層11としては、偏光板30が有していてもよい保護フィルム(後述)を形成するために用いる熱可塑性樹脂から形成することができる。
【0025】
プロテクトフィルム10が自己粘着性を有する場合、自己粘着性の基材層を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂等が挙げられる。
【0026】
第1基材層11の厚みは、例えば10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、また、400μm以下であってもよく、200μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
【0027】
(第2粘着剤層)
第2粘着剤層12の温度25℃における貯蔵弾性率は、0.10MPa以上であることが好ましく、0.12MPa以上であってもよく、0.15MPa以上であってもよく、また、0.30MPa以下であることが好ましく、0.28MPa以下であってもよく、0.25MPa以下であってもよく、0.20MPa以下であってもよい。上記貯蔵弾性率は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。第2粘着剤層12の上記貯蔵弾性率は、第2粘着剤層12を形成するための第2粘着剤組成物(後述)の組成、第2粘着剤組成物がウレタン系ポリマーを含む場合、そのイソシアネート基(NCO基)と水酸基(OH基)との当量比(NCO価/OH価)等によって調整することができる。
【0028】
第2粘着剤層12の厚みは、例えば1μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、また、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。
【0029】
第2粘着剤層12は、第2粘着剤組成物を用いて形成することができ、例えば、第2粘着剤組成物それ自体又は第2粘着剤組成物の有機溶剤希釈液を第1基材層11上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。第2粘着剤組成物又はその有機溶剤希釈液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
【0030】
(第2粘着剤組成物)
第2粘着剤組成物は、上記した式(1)及び(2)の関係を満たす第2粘着剤層12を形成することができれば特に限定されない。第2粘着剤組成物として、例えば、(メタ)アクリルポリマー、ウレタンポリマー、シリコーンポリマー、ポリビニルエーテル等のベースポリマーを含有する粘着剤組成物を用いることができる。
【0031】
第2粘着剤組成物は、例えばウレタン系ポリマーを含むことができる。ウレタン系ポリマーを1種又は2種以上を用いることができる。ウレタン系ポリマーは、ウレタン結合を有する。ウレタン系ポリマーは、例えば、ポリオール化合物と多官能イソシアネート化合物との反応物として得ることができる。
【0032】
ポリオール化合物は、分子内に2以上の水酸基を有する化合物である。ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒマシ油ポリオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールであることが好ましい。ポリオール化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール;エチレンオキシド-プロピレンオキシド共重合体等のアルキレンオキシド共重合体等が挙げられる。ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、例えば250以上であってもよく、3000以上であってもよく、また、10000以下であってもよく、8000以下であってもよく、6000以下であってもよい。
【0034】
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール等のポリオールとポリカルボン酸との縮合重合物;ポリカプロラクトンポリオール等の環状エステルの開環重合物等が挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしては、ポリオールとホスゲンとの反応物;ポリオールとアルキレンカーボネート等の炭酸ジエステルとの反応物等が挙げられる。ヒマシ油ポリオールとしては、ポリオールとヒマシ油脂肪酸との反応物等が挙げられる。
【0035】
多官能イソシアネート化合物は、2以上のイソシアネート基を有する化合物である。多官能イソシアネートは、脂肪族イソシアネート化合物、脂環族イオシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物等が挙げられる。多官能イソシアネート化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0036】
脂肪族イソシアネート化合物としては、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イオシアネート化合物としては、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0037】
ウレタン系ポリマーは、例えば、ポリオール化合物と多官能イソシアネート化合物とを反応させることによって得ることができる。ポリオール化合物と多官能イソシアネート化合物との反応は、触媒、重合禁止剤等の存在下で行うことができる。
【0038】
触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン等の含窒素化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の金属塩;ジラウリン酸ジブチル錫、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機金属化合物等が挙げられる。
【0039】
重合禁止剤としては、3,5-ビス-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル(メトキノン)、パラ-tert-ブチルカテコールメトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルクレゾール、フェノチアジン、テトラメチルチラウムジスルフィド、ジフェニルアミン、ジニトロベンゼン、メトキシヒドロキノン等が挙げられる。
【0040】
ウレタン系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、3000以上であることが好ましく、4000以上であってもよく、5000以上であってもよく、また、10000以下であることが好ましく、9000以下であってもよく、8000以下であってもよい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)でポリスチレンを標準物質として測定した値である。
【0041】
ウレタン系ポリマーにおけるイソシアネート基(NCO基)と水酸基(OH基)との当量比(NCO価/OH価)は、1.0以上であることが好ましく、1.1以上であってもよく、1.2以上であってもよく、また、2.0以下であることが好ましく、1.9以下であってもよく、1.8以下であってもよい。
【0042】
第2粘着剤組成物中のウレタン系ポリマーの含有量は、50重量%以上であってもよく、70重量%以上であってもよく、80重量%以上であってもよく、また、99重量%以下であってもよく、95重量%以下であってもよく、90重量%以下であってもよい。
【0043】
第2粘着剤組成物は、溶剤、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、フィラー、光散乱性微粒子、イオン性化合物等の帯電防止剤を含んでいてもよい。
【0044】
(偏光板)
偏光板30は、少なくとも直線偏光層31を含むものであればよい。偏光板30は、直線偏光板であってもよく(図1)、円偏光板であってもよい(図2)。直線偏光板は、直線偏光層31の片面又は両面に保護フィルム32を有する。保護フィルム32は、直線偏光層31の片面又は両面に、貼合層(接着剤層又は粘着剤層)を介して設けることができる。直線偏光板は、図1及び図2に示すように、少なくとも直線偏光層31のプロテクトフィルム10側に保護フィルム32を有することが好ましい。
【0045】
図1及び図2に示す偏光板30では、直線偏光層31に貼合層を介して保護フィルム32が設けられている場合を示しているが、貼合層及び保護フィルム32に代えて、オーバーコート層を設けてもよい。オーバーコート層は、直線偏光層31に直接設けることができる。
【0046】
円偏光板は、図2に示すように、プロテクトフィルム10側から順に直線偏光層31及び第1位相差層33(位相差層)を有する。円偏光板は、直線偏光層31の片面又は両面に保護フィルム32を有する直線偏光板と、第1位相差層33とを有するものであってもよい。直線偏光層31又は直線偏光板と、第1位相差層33とは、貼合層37(接着剤層又は粘着剤層)を介して積層されていてもよい。第1位相差層33は、λ/4位相差層であり、逆波長分散性のλ/4位相差層であってもよい。
【0047】
円偏光板は、第1位相差層33に加えて、第2位相差層34(位相差層)を有していてもよい。第2位相差層34は、直線偏光層31と第1位相差層33との間に設けられてもよく、図2に示すように第1位相差層33の直線偏光層31側とは反対側に設けられてもよい。第2位相差層34は、λ/2位相差層又はポジティブC層であることが好ましい。第1位相差層33と第2位相差層34とは、貼合層38(接着剤層又は粘着剤層)を介して積層されていてもよい。
【0048】
図2に示すように円偏光板が直線偏光板を含む場合、直線偏光板は、直線偏光層31の片面に保護フィルム32を有するものであってもよい。この場合、直線偏光層31の保護フィルム32側とは反対側に、貼合層(接着剤層又は粘着剤層)37を介して第1位相差層33又は第2位相差層34を設けてもよい。
【0049】
(直線偏光層)
直線偏光層31は、無偏光の光を入射させたとき、吸収軸に直交する振動面をもつ直線偏光を透過させる性質を有する。直線偏光層は、ヨウ素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「PVA系フィルム」ということがある。)であってもよく、吸収異方性及び液晶性を有する化合物を含む組成物を基材フィルムに塗布して形成した液晶性の偏光層を含むフィルムであってもよい。吸収異方性及び液晶性を有する化合物は、吸収異方性を有する色素と液晶性を有する化合物との混合物であってもよく、吸収異方性及び液晶性を有する色素であってもよい。
【0050】
PVA系フィルムである直線偏光層は、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコールフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等のPVA系フィルムに、ヨウ素による染色処理、及び延伸処理が施されたもの等が挙げられる。必要に応じて、染色処理によりヨウ素が吸着配向したPVA系フィルムをホウ酸水溶液で処理し、その後に、ホウ酸水溶液を洗い落とす洗浄工程を行ってもよい。各工程には公知の方法を採用できる。
【0051】
ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」ということがある。)は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより製造できる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体との共重合体であることもできる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
【0052】
PVA系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。PVA系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等も使用可能である。PVA系樹脂の平均重合度は、通常1,000~10,000程度であり、好ましくは1,500~5,000程度である。PVA系樹脂のケン化度及び平均重合度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。平均重合度が1000未満では好ましい偏光性能を得ることが困難であり、10000超ではフィルム加工性に劣ることがある。
【0053】
PVA系フィルムである直線偏光層の製造方法は、基材フィルムを用意し、基材フィルム上にPVA系樹脂等の樹脂の溶液を塗布し、溶媒を除去する乾燥等を行って基材フィルム上に樹脂層を形成する工程を含むものであってもよい。なお、基材フィルムの樹脂層が形成される面には、予めプライマー層を形成することができる。基材フィルムとしては、後述する保護フィルムを形成するために用いる熱可塑性樹脂として説明する樹脂材料を用いたフィルムを使用できる。プライマー層の材料としては、直線偏光層に用いられる親水性樹脂を架橋した樹脂等を挙げることができる。
【0054】
次いで、必要に応じて樹脂層の水分等の溶媒量を調整し、その後、基材フィルム及び樹脂層を一軸延伸し、続いて、樹脂層をヨウ素で染色してヨウ素を樹脂層に吸着配向させる。次に、必要に応じてヨウ素が吸着配向した樹脂層をホウ酸水溶液で処理し、その後に、ホウ酸水溶液を洗い落とす洗浄工程を行う。これにより、ヨウ素が吸着配向された樹脂層、すなわち、直線偏光層となるPVA系フィルムが製造される。各工程には公知の方法を採用できる。
【0055】
ヨウ素が吸着配向したPVA系フィルム又は樹脂層を処理するホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、通常、水100重量部あたり、2~15重量部程度であり、5~12重量部が好ましい。このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、通常、水100重量部あたり、0.1~15重量部程度であり、5~12重量部程度が好ましい。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60~1,200秒程度であり、150~600秒程度が好ましく、200~400秒程度がより好ましい。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常、50℃以上であり、50~85℃が好ましく、60~80℃がより好ましい。
【0056】
PVA系フィルム、並びに、基材フィルム及び樹脂層の一軸延伸は、染色の前に行ってもよいし、染色中に行ってもよいし、染色後のホウ酸処理中に行ってもよく、これら複数の段階においてそれぞれ一軸延伸を行ってもよい。PVA系フィルム、並びに、基材フィルム及び樹脂層は、MD方向(フィルム搬送方向)に一軸延伸してもよく、この場合、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、PVA系フィルム、並びに、基材フィルム及び樹脂層は、TD方向(フィルム搬送方向に垂直な方向)に一軸延伸してもよく、この場合、いわゆるテンター法を使用することができる。また、上記延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤にてPVA系フィルム又は樹脂層を膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。直線偏光層の性能を発現するためには延伸倍率は4倍以上であり、5倍以上であることが好ましく、特に5.5倍以上が好ましい。延伸倍率の上限は特にないが、破断等を抑制する観点から8倍以下が好ましい。
【0057】
基材フィルムを用いる製造方法で作製した直線偏光層は、保護フィルムを積層した後に基材フィルムを剥離することで得ることができる。この方法によれば、直線偏光層のさらなる薄膜化が可能となる。
【0058】
PVA系フィルムである直線偏光層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、また、30μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよい。
【0059】
液晶性の直線偏光層を含むフィルムは、液晶性及び吸収異方性を有する色素を含む組成物、又は、吸収異方性を有する色素と重合性液晶とを含む組成物を基材フィルムに塗布して得られる直線偏光層が挙げられる。液晶性の直線偏光層は、重合性液晶化合物の硬化物であることができ、配向層を含んでいてもよい。配向層としては、後述する位相差層に含まれる配向層が挙げられる。液晶性の直線偏光層を含むフィルムは、液晶性の直線偏光層であってもよく、液晶性の直線偏光層と基材フィルムとの積層構造を有していてもよい。基材フィルムとしては、例えば後述する保護フィルムを形成するために用いる熱可塑性樹脂として説明する樹脂材料を用いたフィルムが挙げられる。液晶性の直線偏光層を含むフィルムとしては、例えば特開2013-33249号公報等に記載の偏光層が挙げられる。
【0060】
上記のようにして形成した基材フィルムと直線偏光層との合計厚みは小さい方が好ましいが、小さすぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向があるため、通常20μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは0.5~3μmである。
【0061】
(保護フィルム)
保護フィルムとしては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性、延伸性等に優れる熱可塑性樹脂から形成されたフィルムが用いられる。熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロンや芳香族ポリアミド等のポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂;シクロ系及びノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂ともいう);(メタ)アクリル樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、並びにこれらの混合物を挙げることができる。「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルのうちの少なくとも一方を表す。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。
【0062】
保護フィルムは、反射防止特性、防眩特性、ハードコート特性等を有するものであってもよい(以下、当該特性を有する保護フィルムを「機能性保護フィルム」ということがある。)。保護フィルムが機能性保護フィルムではない場合、直線偏光板の片面には、反射防止層、防眩層、ハードコート層等の表面機能層が設けられていてもよい。表面機能層は、保護フィルムに直接接するように設けられることが好ましい。表面機能層は、保護フィルムの直線偏光層側とは反対側に設けられることが好ましい。
【0063】
保護フィルムの厚みは、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、また、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
【0064】
(オーバーコート層)
オーバーコート層は、溶剤性、透明性、機械的強度、熱安定性、遮蔽性、及び等方性等に優れる組成物から形成することができる。オーバーコート層は、例えば、直線偏光層上に上記組成物を塗布することによって形成することができる。オーバーコート層を構成する材料としては、例えば、光硬化性樹脂や水溶性ポリマー等が挙げられ、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂等を用いることができる。オーバーコート層の厚みは、例えば0.1μm以上10μm以下であることができる。
【0065】
オーバーコート層は、反射防止特性、防眩特性、ハードコート特性等を有するものであってもよい。あるいは、上記の特性を有していないオーバーコート層である場合、直線偏光板の片面には、反射防止層、防眩層、ハードコート層等の表面機能層が設けられていてもよい。表面機能層は、オーバーコート層に直接接するように設けられることが好ましい。表面機能層は、オーバーコート層の直線偏光層側とは反対側に設けられることが好ましい。
【0066】
(第1位相差層、第2位相差層)
第1位相差層及び第2位相差層(以下、両者をまとめて「位相差層」ということがある。)は、延伸フィルムであってもよく、重合性液晶化合物の硬化物層を含むものであってもよいが、硬化物層であることが好ましい。
【0067】
位相差層が延伸フィルムである場合、延伸フィルムは従来公知のものを用いることができ、樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸することによって位相差を付与したものを用いることができる。樹脂フィルムとしては、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリメチル(メタ)アクリレート及びポリエチル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリノルボルネンフィルム等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
位相差層が延伸フィルムである場合、位相差層の厚みは、通常5μm以上200μm以下であり、好ましくは10μm以上80μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下である。
【0069】
位相差層が上記硬化物層を含むものである場合、重合性液晶化合物としては、公知の重合性液晶化合物を用いることができる。重合性液晶化合物は、少なくとも1つの重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。
【0070】
重合性液晶化合物の種類は特に限定されず、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。重合性液晶化合物を重合することによって形成される硬化物層は、重合性液晶化合物を適した方向に配向させた状態で硬化することにより位相差を発現する。棒状の重合性液晶化合物が、積層体の平面方向に対して水平配向又は垂直配向した場合は、該重合性液晶化合物の光軸は、該重合性液晶化合物の長軸方向と一致する。円盤状の重合性液晶化合物が配向した場合は、該重合性液晶化合物の光軸は、該重合性液晶化合物の円盤面に対して直交する方向に存在する。棒状の重合性液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報(請求項1等)に記載のものを好適に用いることができる。円盤状の重合性液晶化合物としては、特開2007-108732号公報(段落[0020]~[0067]等)、特開2010-244038号公報(段落[0013]~[0108]等)に記載のものを好適に用いることができる。
【0071】
重合性液晶化合物が有する重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。光重合性基とは、光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、スチリル基、アリル基等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。重合性液晶化合物が有する液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック液晶でもよく、サーモトロピック液晶を秩序度で分類すると、ネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。重合性液晶化合物の硬化物層を形成するために重合性液晶化合物を2種類以上を併用する場合、少なくとも1種類が分子内に2以上の重合性基を有することが好ましい。
【0072】
位相差層が上記硬化物層を含むものである場合、位相差層は配向層を含んでいてもよい。配向層は、重合性液晶化合物を所望の方向に配向させる配向規制力を有する。配向層は、重合性液晶化合物の分子軸を積層体の平面方向に対して垂直配向した垂直配向層であってもよく、重合性液晶化合物の分子軸を積層体の平面方向に対して水平配向した水平配向層であってもよく、重合性液晶化合物の分子軸を積層体の平面方向に対して傾斜配向させる傾斜配向層であってもよい。位相差層が2以上の配向層を含む場合、配向層は互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0073】
配向層としては、重合性液晶化合物を含む液晶層形成用組成物の塗工等により溶解しない溶媒耐性を有し、溶媒の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理に対する耐熱性を有するものが好ましい。配向層としては、配向性ポリマーで形成された配向性ポリマー層、光配向ポリマーで形成された光配向性ポリマー層、層表面に凹凸パターンや複数のグルブ(溝)を有するグルブ配向層を挙げることができる。
【0074】
上記硬化物層は、重合性液晶化合物と溶剤、必要に応じて各種添加剤を含む位相差層形成用の組成物を、配向層上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を固化(硬化)させることによって、重合性液晶化合物の硬化物層を形成することができる。あるいは、基材フィルム上に上記組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を基材フィルムとともに延伸することによって硬化物層を形成してもよい。上記組成物は、上記した重合性液晶化合物及び溶剤の他に、重合開始剤、反応性添加剤、レベリング剤、重合禁止剤等を含んでいてもよい。重合性液晶化合物、溶剤、重合開始剤、反応性添加剤、レベリング剤、重合禁止剤等は、公知のものを適宜用いることができる。
【0075】
基材フィルムとしては、樹脂材料で形成されたフィルムを用いることができ、例えば上記した保護フィルムを形成するために用いる熱可塑性樹脂として説明する樹脂材料を用いたフィルムを挙げることができる。基材フィルムの厚みは特に限定されないが、一般には強度や取扱い性等の作業性の点から1~300μm以下であることが好ましく、20~200μmであることがより好ましく、30~120μmであることがさらに好ましい。基材フィルムは、重合性液晶化合物の硬化物層とともに積層体に組み込まれていてもよく、基材フィルムを剥離して、重合性液晶化合物の硬化物層のみ、又は、当該硬化物層及び配向層が積層体に組み込まれていてもよい。
【0076】
(第1粘着剤層)
第1粘着剤層22の厚みは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、また、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であってもよく、75μm以下であってもよく、70μm以下であってもよい。
【0077】
第1粘着剤層22のガラス転移温度は、-55℃以下であることが好ましく、-57℃以下であってもよく、-59℃以下であってもよく、-60℃以下であってもよく、通常-80℃以上である。第1粘着剤層22が上記範囲のガラス転移温度を有することにより、高温耐久性、取扱い性、及び光学特性に優れた積層体1,2が得られやすい。第1粘着剤層22のガラス転移温度は、例えば、第1粘着剤組成物に含まれるポリマーの種類及び量、当該ポリマーを形成するために用いるモノマーの種類及び量等によって調整することができる。ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0078】
第1粘着剤層22のゲル分率は、45%以上であることが好ましく、50%以上であってもよく、55%以上であってもよく、60%以上であってもよく、また、85%以下であることが好ましく、80%以下であってもよく、75%以下であってもよい。第1粘着剤層22が上記範囲のゲル分率を有することにより、高温耐久性、取扱い性、及び光学特性に優れた積層体1,2が得られやすい。第1粘着剤層22のゲル分率は、例えば、第1粘着剤組成物に含まれるポリマーの種類及び量、当該ポリマーを形成するために用いるモノマーの種類及び量等によって調整することができる。ゲル分率は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0079】
第1粘着剤層22は、第1粘着剤組成物を用いて形成することができ、例えば、第1粘着剤組成物それ自体又は第1粘着剤組成物の有機溶剤希釈液をセパレータ21の離型処理層上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。第1粘着剤組成物又はその有機溶剤希釈液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
【0080】
セパレータ21の離型処理層上に塗布された第1粘着剤組成物に対して活性エネルギー線の照射処理又は加熱処理等を行って、第1粘着剤層22を形成してもよい。活性エネルギー線としては、紫外線及び電子線等が挙げられ、紫外線であることが好ましい。
【0081】
(第1粘着剤組成物)
第1粘着剤組成物は、温度25℃における貯蔵弾性率Gが上記した範囲の第1粘着剤層22を形成することができる組成物であれば特に限定されない。第1粘着剤組成物として、例えば、(メタ)アクリルポリマー、ウレタンポリマー、シリコーンポリマー、ポリビニルエーテル等のベースポリマーを含有する粘着剤組成物を用いることができる。ベースポリマーは、オリゴマーであってもよい。
【0082】
第1粘着剤組成物は、ウレタン系アクリルオリゴマーを含むことが好ましい。第1粘着剤組成物は、ウレタン系アクリルオリゴマーを1種又は2種以上含み、さらに(メタ)アクリル酸アルキルエステル、重合開始剤、及びフィラーを含んでいてもよい。
【0083】
ウレタン系アクリルオリゴマーは、ウレタン結合及びアクリロイル基を有するオリゴマーであり、例えば、ポリオール化合物と多官能イソシアネート化合物との反応生成物に、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、及び、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物以外の水酸基を有する化合物(以下、「他の水酸基を有する化合物」ということがある。)を反応させて得ることができる。ポリオール化合物、多官能イソシアネート化合物、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、及び、他の水酸基を有する化合物は、それぞれ独立して、1種又は2種以上を用いることができる。
【0084】
ポリオール化合物及び多官能イソシアネート化合物としては、第2粘着剤組成物において説明したポリオール化合物及び多官能イソシアネート化合物を用いることができる。
【0085】
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-又は3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0086】
他の水酸基を有する化合物としては、メタノール及びエタノール等のアルコールが挙げられる。
【0087】
ウレタン系アクリルオリゴマーは、例えば、ポリオール化合物と多官能イソシアネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、他の水酸基を有する化合物を順に反応させて得ることができる。ポリオール化合物と多官能イソシアネート化合物との反応は触媒の存在下で行うことができる。上記反応生成物と、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物及び他の水酸基を有する化合物との反応後に、重合禁止剤を添加してもよい。
【0088】
触媒及び重合禁止剤としては、上記したウレタン系ポリマーを得るために用いる触媒及び重合禁止剤として説明したものを用いることができる。
【0089】
第1粘着剤組成物中のウレタン系アクリルオリゴマーの含有量は、20重量%以上であってもよく、25重量%以上であってもよく、30重量%以上であってもよく、40重量%以上であってもよく、また、80重量%以下であってもよく、60重量%以下であってもよく、50重量%以下であってもよい。
【0090】
第1粘着剤組成物が含んでいてもよい(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数が1以上24以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
【0091】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ドコシル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0092】
第1粘着剤組成物中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、30重量%以上であってもよく、40重量%以上であってもよく、50重量%以上であってもよく、また、80重量%以下であってもよく、70重量%以下であってもよく、60重量%以下であってもよい。
【0093】
第1粘着剤組成物が含んでいてもよい重合開始剤としては、光重合開始剤及び熱重合開始剤等が挙げられる。重合開始剤は、1種又は2種以上を用いることができる。第1粘着剤組成物の固形分に対する重合開始剤の含有量は、例えば0.1重量%以上であり、1重量%以上であってもよく、また、10重量%以下であってもよく、5重量%以下であってもよい。
【0094】
光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン等が挙げられる。
【0095】
熱重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物、無機過酸化物等が挙げられる。アゾ系化合物としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
【0096】
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0097】
無機過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が挙げられる。
【0098】
第1粘着剤組成物が含んでいてもよいフィラーとしては、例えば金属元素を含むナノ粒子が挙げられる。ナノ粒子に含まれる金属元素としては、ケイ素、アルミニウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、ランタン、セリウム、ユウロピウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス等が挙げられる。これらの金属元素は、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属炭化物、金属塩の形態でナノ粒子に含まれていてもよい。
【0099】
第1粘着剤組成物中のフィラーの含有量(固形分量)は、0.1重量%以上であってもよく、0.5重量%以上であってもよく、1重量%以上であってもよく、また、15重量%以下であってもよく、10重量%以下であってもよく、5重量%以下であってもよい。
【0100】
第1粘着剤組成物は、架橋剤、シランカップリング剤、架橋触媒、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、光散乱性微粒子、イオン性化合物等の帯電防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0101】
架橋剤は、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。
【0102】
シランカップリング剤としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物;
3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;
3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物
等が挙げられる。
【0103】
(セパレータ)
セパレータ21は、例えば、第1粘着剤層22に対して剥離可能に設けられ、第1粘着剤層22の表面を被覆保護する。セパレータは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。セパレータ21は、例えば第2基材層及び離型処理層を有することができる。第2基材層は樹脂フィルムであってもよい。樹脂フィルムは、例えば、上記した保護フィルムを形成するために用いる熱可塑性樹脂から形成することができる。離型処理層は、公知の離型処理層であればよい。離型処理層としては、例えばフッ素化合物やシリコーン化合物等の離型剤を第2基材層にコーティングして形成された層、第2基材層の表面を改質処理等により離型性を付与した第2基材層の表面層等が挙げられる。
【0104】
セパレータ21の第1粘着剤層側の表面(離型処理層側の表面)の温度25℃における水接触角は、105°以上であることが好ましく、107°以上であってもよく、また、115°以下であることが好ましく、113°以下であってもよい。セパレータ21の水接触角が上記の範囲であることにより、剥離力H2を上記式(3)の範囲に調整しやすくなり、積層体1,2からセパレータ21を良好に剥離しやすくなる。温度25℃における水接触角は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。水接触角は、離型処理層を形成するための離型剤の組成、改質処理の種類、改質処理の強度等によって調整することができる。
【0105】
セパレータの厚みは、例えば10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、また、500μm以下であってもよく、200μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
【0106】
(貼合層)
貼合層は、粘着剤層又は接着剤層である。貼合層が粘着剤層である場合、粘着剤を用いて形成された粘着剤層である。粘着剤は、それ自体を被着体に貼り付けることで接着性を発現するものであり、いわゆる感圧型接着剤と称されるものである。粘着剤は、上記で説明した第1粘着剤組成物又は第2粘着剤組成物であってもよく、また、公知の光学的な透明性に優れる粘着剤を用いることができる。公知の粘着剤は、例えば、(メタ)アクリルポリマー、ウレタンポリマー、シリコーンポリマー、ポリビニルエーテル等のベースポリマーを含有する粘着剤を用いることができる。また、粘着剤は、活性エネルギー線硬化型粘着剤、又は、熱硬化型粘着剤等であってもよい。これらの中でも、透明性、粘着力、再剥離性(リワーク性)、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル樹脂をベースポリマーとした粘着剤が好適である。粘着剤層は、(メタ)アクリル樹脂、架橋剤、シランカップリング剤を含む粘着剤から構成されることが好ましく、その他の成分を含んでいてもよい。
【0107】
貼合層が粘着剤層である場合の厚みは特に限定されないが、好ましくは5μm以上であり、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、通常300μm以下であり、250μm以下であってもよく、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。
【0108】
貼合層が接着剤層である場合、接着剤層は、接着剤組成物中の硬化性成分を硬化させることによって形成することができる。接着剤層を形成するための接着剤組成物としては、感圧型接着剤(粘着剤)以外の接着剤であって、例えば、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。
【0109】
水系接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂を水に溶解、又は分散させた接着剤が挙げられる。水系接着剤を用いた場合の乾燥方法については特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥機や赤外線乾燥機を用いて乾燥する方法が採用できる。
【0110】
活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含む無溶剤型の活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。無溶剤型の活性エネルギー線硬化型接着剤を用いることにより、層間の密着性を向上させることができる。
【0111】
貼合層が接着剤層である場合の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であってもよく、また10μm以下であることが好ましく、5μm以下であってもよい。
【0112】
(表示装置)
積層体1,2からセパレータ21を剥離除去し、セパレータ21の除去により露出した第1粘着剤層22を表示素子に貼合することにより、偏光板30を表示装置に組み込むことができる。プロテクトフィルム10は、偏光板30を表示装置への組み込んだ後に、剥離除去することができる。
【0113】
表示装置は、屈曲可能であるフレキシブルディスプレイであることが好ましい。表示装置は、偏光板30側が内側となるように(第1粘着剤層22側が外側となるように)屈曲可能であることが好ましい。屈曲可能であるとは、気泡又は粘着剤の欠落を発生させることなく屈曲させ得ることを意味する。
【0114】
表示装置は、特に限定されないが、有機EL表示装置であることが好ましい。表示装置は、スマートフォンやタブレット等の携帯端末であってもよく、テレビ、デジタルフォトフレーム、電子看板、測定器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器等であってもよい。
【実施例0115】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0116】
[厚みの測定]
厚みは、接触式膜厚測定装置(株式会社ニコン製「ZC-101」)を用いて測定した。
【0117】
[貯蔵弾性率の測定]
(第1粘着剤層の貯蔵弾性率Gの測定)
第1粘着剤層の温度25℃における貯蔵弾性率Gは、粘弾性測定装置(MCR-301、Anton Paar社)を使用して測定した。後述する第1粘着剤層を有する粘着シートから第1粘着剤層を取り出して、厚みが150μmとなるように複数枚積層し、幅20mm×長さ20mmに切り出した。ステージ/第1粘着剤層/メジャーリングシステムがこの順に積層された状態となるように装置にセットし、この状態で-20℃から80℃の温度領域で周波数1.0Hz、変形量1%、荷重1N、昇温速度2℃/分の条件下にて測定を行い、第1粘着剤層の温度25℃における貯蔵弾性率Gを求めた。
【0118】
(第2粘着剤層の貯蔵弾性率の測定)
後述する第2粘着剤組成物を、シリコーン離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、温度80℃のオーブンで2分間乾燥して、厚みが25μmの第2粘着剤層を形成し、第2粘着剤層上に、シリコーン離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、第2粘着剤層を有する粘着シートを作製した。第1粘着剤層を有する粘着シートに代えて、第2粘着剤層を有する粘着シートを用いたこと以外は、第1粘着剤層の貯蔵弾性率Gの測定と同様の手順で、第2粘着剤層の温度25℃における貯蔵弾性率を求めた。
【0119】
[剥離力H1及び剥離力H2の測定]
実施例及び比較例で得た積層体から幅25mm×長さ100mmの大きさに切り出した測定用サンプルを用いて、次の手順で剥離力H1及び剥離力H2の測定を行った。
【0120】
(剥離力H1の測定)
測定用サンプルからセパレータを剥離し、露出した第1粘着剤層をガラス基板に貼り付けた。その後、プロテクトフィルムを長さ方向に端から50mm剥がした。この状態で、高速剥離試験機(VPA-H100、協和界面科学製)を用いて、当該高速剥離試験機の一方のつかみ部で、上記で剥がしたプロテクトフィルムの長さ方向の一端(幅25mmの一辺)をつかみ、当該高速剥離試験機の他方のつかみ部でガラス基板をつかみ、温度23℃、相対湿度50%の条件下、剥離速度2400mm/minで180°方向に引っ張って、プロテクトフィルムを偏光板から剥がし、そのときの剥離力をチャートに記録した。測定開始直後と測定終了直前はデータが安定しないため、測定開始後20%のデータと測定終了後20%のデータをカットし、比較的安定している中間部分60%の範囲のみから平均値を算出し、これを剥離力H1[N/25mm]とした。
【0121】
(剥離力H2の測定)
ガラス基板(EAGLE XG、コーニング社製)の片面の全面に幅25mm×長さ22cmの両面テープ(ナイスタック(商品名)、ニチバン(株)社製)を長辺方向に並行して貼りつけ、上記した測定用サンプルのプロテクトフィルム側の面を貼合した。その後、セパレータを長さ方向に端から50mm剥がした。この状態で高速剥離試験機(VPA-H100、協和界面科学製)を用いて、当該高速剥離試験機の一方のつかみ部で、上記で剥がしたセパレータの長さ方向の一端(幅25mmの一辺)をつかみ、当該高速剥離試験機の他方のつかみ部でガラス基板をつかみ、温度23℃、相対湿度50%の条件下、剥離速度2400mm/minで180°方向に引っ張って、セパレータを第1粘着剤層から剥がし、そのときの剥離力をチャートに記録した。測定開始直後と測定終了直前はデータが安定しないため、測定開始後20%のデータと測定終了後20%のデータをカットし、比較的安定している中間部分60%の範囲のみから平均値を算出し、これを剥離力H2[N/25mm]とした。
【0122】
[ガラス転移温度の測定]
後述する第1粘着剤層を有する粘着シートから取り出した第1粘着剤層のガラス転移温度を、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)「EXSTAR DSC6000」を用い、窒素雰囲気下、測定温度範囲-80~50℃、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
【0123】
[ゲル分率の測定]
後述する第1粘着剤層を有する粘着シートを幅80mm×長さ80mmに切り出した後、切り出した粘着シートに含まれる第1粘着剤層を試料とした。試料をポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、その質量を精密天秤を用いて秤量した。秤量した質量から上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、試料のみの質量M1を算出した。
【0124】
次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた第1粘着剤層を、室温下(23℃)で酢酸エチルに72時間浸漬し、試料を取り出した(以下、取り出した試料を「浸漬後の試料」という。)。浸漬後の試料を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに120℃のオーブン中にて4時間乾燥させた後、その質量を精密天秤を用いて秤量した。秤量した質量から上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、浸漬後の試料のみの質量M2を算出した。質量M1及び質量M2から、下記式にしたがってゲル分率を決定した。
ゲル分率[%]=(M2/M1)×100
【0125】
[水接触角の測定]
セパレータの離型処理層側の表面の水接触角を、温度25℃において、水接触角測定装置(OCA302、DATAPHYSICS社)を用いて測定した。
【0126】
[剥離試験]
実施例及び比較例で得た積層体から幅80mm×長さ50mmの大きさの試験サンプル(t1)を切り出した。高精度精密貼合機(ハルテックHAL650:三共社製)を用いて、試験サンプル(t1)のプロテクトフィルム側を、高精度精密貼合機の上吸盤側に吸着させた状態でセパレータを剥離した。セパレータを剥離したときにセパレータと第1粘着剤層との間で剥離が生じた試験サンプル(t1)については、露出した第1粘着剤層を、高精度精密貼合機のメッシュスクリーン側に配置した厚み75μmのポリイミドフィルム(ユーピレックス-S 75S;宇部興産製)に貼合した。貼合後の試験サンプル(t1)から、プロテクトフィルムを剥離した。剥離結果を次の基準で評価した。剥離試験は、温度23℃、相対湿度50%の条件下で行った。
A:セパレータを剥離したときにセパレータと第1粘着剤層との間で剥離が生じ、かつ、プロテクトフィルムを剥離したときにプロテクトフィルムと偏光板との間で剥離が生じた。
B:セパレータを剥離したときにセパレータと第1粘着剤層との間で剥離が生じなかった。
C:プロテクトフィルムを剥離したときにプロテクトフィルムと偏光板との間で剥離が生じなかった。
【0127】
[高温耐久性試験]
実施例及び比較例で得た積層体を幅100mm×長さ100mmの大きさに切り出し、試験サンプル(t2)とした。試験サンプル(t2)を、温度60℃のオーブンに入れて250時間保持した後、試験サンプル(t2)を目視で観察し、積層体の高温耐久性を次の基準で評価した。
A:試験サンプル(t2)には浮き、剥がれ、及び発泡は見られなかった。
B:試験サンプル(t2)において、プロテクトフィルムと偏光板との間、及び、第1粘着剤層とセパレータとの間のうちのいずれか一方に、浮き、剥がれ、又は発泡が見られた。
【0128】
[取扱い性の評価]
実施例及び比較例で得た積層体を幅25mm×長さ100mmの大きさに切り出し、試験サンプル(t3)とした。TP技研株式会社製の耐屈曲性試験機(円筒法マンドレル法)を用い、試験サンプル(t3)のプロテクトフィルム側が内側となるように、直径φが5mmの円筒状の心棒(マンドレル)の周りに試験サンプル(t3)を巻き付けて250時間保持する耐屈曲性試験を行った。試験後の試験サンプル(t3)を目視で観察して、積層体の取扱い性を次の基準で評価した。
A:試験サンプル(t3)には浮き、剥がれ、及び発泡は見られず、取扱い性に優れていた。
B:試験サンプル(t3)において、プロテクトフィルムと偏光板との間に、浮き、剥がれ、又は発泡が見られ、取扱い性に劣っていた。
【0129】
[光学特性(ヘーズ)の評価]
実施例及び比較例で得た積層体のヘーズを、濁度測定機器(HM-150、村上色彩技術研究所製)を用いて測定し、光学特性を次の基準で評価した。
A:積層体のヘーズが1.0未満であった。
B:積層体のヘーズが1.0以上であった。
【0130】
[プロテクトフィルムP1~P8の作製]
(第2粘着剤組成物C1~C6の調製)
表1に示すポリオール化合物、多官能イソシアネート化合物、触媒、重合禁止剤、及び溶剤を、表1に示す配合量で用いて第2粘着剤組成物C1~C6を調製した。具体的には、窒素ガスをフローしながら1Lの反応器に、ポリオール化合物、多官能イソシアネート化合物、及び重合禁止剤を投入し、これを撹拌しながら反応温度を40℃まで上昇させ、温度が一定に維持されたところで触媒を投入し、温度70℃に上昇させた後、6時間反応させた。FT-IRにおいて、NCO基の特性ピークである2250cm-1ピークが消滅したことを確認したら、反応を終結させてウレタン系ポリマーを得た。表1に示すウレタン系ポリマーと溶剤とを混合して第2粘着剤組成物C1~C6を得た。
【0131】
【表1】
【0132】
表1中の各符号は、次のとおりである。
(ポリオール化合物)
a-1:ポリエチレングリコール3000(Sigma Aldrich、Germany)
a-2:ポリエチレングリコール4000(東京化成工業(株))
a-3:ポリエチレングリコール6000(東京化成工業(株))
a-4:KF-6002(信越化学工業(株))
a-5:ポリエチレングリコール2000(東京化成工業(株))
(多官能イソシアネート化合物)
b-1:イソホロンジイソシアネート(分子量220、東京化成工業(株))
b-2:ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート(分子量262、東京化成工業(株))
(触媒)
c-1:ジラウリン酸ジブチル錫(東京化成工業(株))
(重合禁止剤)
d-1:メトキシヒドロキノン(東京化成工業(株))
(溶剤)
e-1:メチルエチルケトン(東京化成工業(株))
【0133】
(プロテクトフィルムP1~P8の作製)
第1基材層上に、第2粘着剤層の厚みが表2に示す厚みとなるように第2粘着剤組成物を塗布し、温度80℃のオーブンで2分間乾燥して第2粘着剤層を形成した。第1基材層として、表2に示す厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用い、第2粘着剤組成物として、表2に示す第2粘着剤組成物を用いた。第1基材層上に形成した第2粘着剤層上に、シリコーン離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「離型フィルム」ということがある。)を積層し、プロテクトフィルムP1~P8に離型フィルムが積層された離型フィルム付きプロテクトフィルムを得た。プロテクトフィルムP1~P8が有する第2粘着剤層について、上記した手順で貯蔵弾性率を測定した。結果を表2に示す。
【0134】
【表2】
【0135】
[偏光板の作製]
保護フィルム(シクロオレフィン系樹脂フィルム、厚み18μm)と、ヨウ素が吸着配向しているポリビニルアルコール系フィルムである直線偏光層(厚み8μm)とを水系接着剤を用いて貼合し、保護フィルム/接着剤層/直線偏光層の層構造を有する直線偏光板を得た。
【0136】
第1位相差層(厚み3μm)、接着剤層(厚み1μm)、及び第2位相差層(厚み2μm)がこの順に積層された位相差積層体を得た。第1位相差層は、λ/4位相差層であり、重合性液晶化合物の硬化物層であった。接着剤層は、光硬化型接着剤組成物であるエポキシ系接着剤の硬化物層であった。第2位相差層は、ポジティブC層であり、重合性液晶化合物の硬化物層であった。
【0137】
上記で得た直線偏光板の直線偏光層側と、位相差積層体の第1位相差層側とを、アクリル系粘着剤層(厚み5μm)を用いて貼合し、偏光板としての円偏光板を得た。偏光板(円偏光板)の層構造は、直線偏光板(保護フィルム/接着剤層/直線偏光層)/位相差積層体(第1位相差層/接着剤層/第2位相差層)であった。
【0138】
[粘着シートA1~A9の作製]
(ウレタン系アクリルオリゴマーD1及びD2の調製)
表3に示すポリオール化合物、多官能イソシアネート化合物、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、他の水酸基を有する化合物、触媒、及び重合禁止剤を、表3に示す配合量で用いてウレタン系アクリルオリゴマーD1及びD2を調製した。具体的には、窒素ガスをフローしながら1Lの反応器に、ポリオール化合物、多官能イソシアネート化合物、及び触媒を投入し、これを撹拌しながら反応温度を80℃まで上昇させ、6時間反応させた。続いて、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物を投入した後、撹拌しながら5時間反応させた。次に、他の水酸基を有する化合物を投入した後、撹拌しながら5時間反応させた。その後、重合禁止剤を投入した後、撹拌しながら2時間維持させた。FT-IRにおいてNCO基の特性ピークである2250cm-1ピークが消滅したことを確認したら、反応を終結させてウレタン系アクリルオリゴマーD1及びD2を得た。
【0139】
【表3】
【0140】
表3中の各符号は、次のとおりである。
(ポリオール化合物)
a-1:ポリエチレングリコール3000(Sigma Aldrich、Germany)
a-2:ポリエチレングリコール4000(東京化成工業(株))
(多官能イソシアネート化合物)
b-1:イソホロンジイソシアネート(分子量220、東京化成工業(株))
(水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物)
f-1:4-ヒドロキシブチルアクリレート(分子量144、東京化成工業(株))
(他の水酸基を有する化合物)
g-1:メタノール(分子量32、東京化成工業(株))
(触媒)
c-1:ジラウリン酸ジブチル錫(東京化成工業(株))
(重合禁止剤)
d-1:メトキシヒドロキノン(東京化成工業(株))
【0141】
(第1粘着剤組成物E1~E3の調製)
表4に示すウレタン系アクリルオリゴマー、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、重合開始剤、及びフィラーを、表4に示す配合量で配合して、第1粘着剤組成物E1~E3を調製した。表4中のフィラーの配合量は、メチルエチルケトン液としての値である。
【0142】
【表4】
【0143】
表4中の各符号の意味は次のとおりである。
((メタ)アクリル酸アルキルエステル)
2-EHA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル(東京化成工業(株))
BA:アクリル酸ブチル(東京化成工業(株))
(重合開始剤)
I-184:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(東京化成工業(株))
(フィラー)
MEK-AC-2140Z:オルガノシリカゾル(ナノ粒子、固形分40重量%のメチルエチルケトン液、日産化学(株))
MEK-ST-40:オルガノシリカゾル(ナノ粒子、固形分40重量%のメチルエチルケトン液、日産化学(株))
【0144】
(離型剤F1~F3の調製)
表5に示すポリオルガノシロキサン、ハイドロジェンシロキサン、ポリオール、及び触媒を、表5に示す配合量で混合し、離型剤の濃度が20重量%となるようにトルエンとヘプタンとの混合溶剤(トルエン:ヘプタン=6:5(重量比))で希釈して、離型剤F1~F3を調製した。表5中のポリオルガノシロキサン、ハイドロジェンシロキサン、及び触媒の配合量は、トルエン液としての値である。
【0145】
【表5】
【0146】
表5中の各符号は、次のとおりである。
(ポリオルガノシロキサン)
SD:SYL-OFF(登録商標)SD-7226 Dispersion(ダウ、固形分30重量%のトルエン液)
LTC:DOWSIL(登録商標)LTC-750A Dispersion(ダウ、固形分30重量%のトルエン液)
(ハイドロジェンシロキサン)
分子量3000、固形分50重量%以下のトルエン液
(ポリオール化合物)
a-6:ポリエチレングリコール300(東京化成工業(株))
a-7:ポリエチレングリコール1000(東京化成工業(株))
(触媒)
DOWSIL:DOWSIL(登録商標)3-6559 Cure Accelerator(ダウ、固形分1.0重量%以下のトルエン液)
【0147】
(セパレータG1~G6の作製)
第2基材層上に、離型剤を塗布し、温度110℃で1分間維持して、第2基材層上に離型処理層が形成されたセパレータG1~G6を作製した。第2基材層として、表6に示す厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用い、離型剤として、表6に示す離型剤を用いた。セパレータの離型処理層について、上記した手順で水接触角を測定した。結果を表6に示す。
【0148】
【表6】
【0149】
(粘着シートA1~A9の作製)
表7に示すセパレータの離型処理層側に、第1粘着剤層の厚みが表7に示す厚みとなるように、表7に示す第1粘着剤組成物を塗布し、剥離フィルム(離型処理面を有するポリエチレンテレフタレートフィルム)を積層した後、UV照射を行って、セパレータ/第1粘着剤層/剥離フィルムの層構造を有する粘着シートA1~A9を得た。UV照射は、積算光量が400mJ/cm、照度が1.8mW/cm(UVV基準)となるように行った。粘着シートA1~A9が有する第1粘着剤層について、上記した手順で貯蔵弾性率、ガラス転移温度(Tg)、ゲル分率を測定した。結果を表7に示す。
【0150】
【表7】
【0151】
〔実施例1~8、比較例1~5〕
上記で得た偏光板の直線偏光板側に、表8及び表9に示すプロテクトフィルムの第2粘着剤層側を貼合し、偏光板の位相差積層体側に、表8及び表9に示す粘着シートから剥離フィルムを剥離して露出した第1粘着剤層を貼合して、積層体(1)~(13)を得た。積層体の層構造は、プロテクトフィルム(第1基材層/第2粘着剤層)/直線偏光板(保護フィルム/接着剤層/直線偏光層)/位相差積層体(第1位相差層/接着剤層/第2位相差層)/第1粘着剤層/セパレータであった。得られた積層体について、上記した手順で剥離試験、高温耐久性試験、取扱い性の評価、光学特性の評価を行った。結果を表8及び表9に示す。
【0152】
【表8】
【0153】
【表9】
【符号の説明】
【0154】
1,2 積層体、10 プロテクトフィルム、11 第1基材層(基材層)、12 第2粘着剤層、21 セパレータ、22 第1粘着剤層、30 偏光板、31 直線偏光層、32 保護フィルム、33 第1位相差層(位相差層)、34 第2位相差層、37,38 貼合層。
図1
図2