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特開2024-104734制御システム、制御方法及び手動機器操作プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104734
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法及び手動機器操作プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G05B23/02 301N
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002429
(22)【出願日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2023008565
(32)【優先日】2023-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 悟
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 伸文
(72)【発明者】
【氏名】森 隆信
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA05
3C223BA04
3C223BB02
3C223CC04
3C223DD03
3C223EA06
3C223EB05
3C223FF06
3C223FF09
3C223FF15
3C223FF17
3C223FF43
3C223GG03
3C223HH02
(57)【要約】
【課題】プラント設備内の手動機器を、制御及び管理するための仕組みを提供する。
【解決手段】制御システムは、プラント設備内の手動機器に対する操作指示が入力された場合に、操作内容を作業者の携帯端末に送信する第1の送信部と、前記操作内容が送信されたことに応じて、前記携帯端末より手動機器の操作結果を受信する受信部と、を有し、前記携帯端末は、前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報が取得された場合に、前記操作内容に含まれる手動機器の識別情報と対応付けて表示する表示制御部と、前記作業者の操作予定の手動機器を操作することで状態が変化した場合の、前記手動機器の変化後の状態を示す情報を受け付ける受付部と、前記取得された識別情報と前記手動機器の変化後の状態を示す情報とを、前記操作結果として送信する第2の送信部とを更に有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント設備内の手動機器に対する操作指示が入力された場合に、操作内容を作業者の携帯端末に送信する第1の送信部と、
前記操作内容が送信されたことに応じて、前記携帯端末より手動機器の操作結果を受信する受信部と、を有し、
前記携帯端末は、
前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報が取得された場合に、前記操作内容に含まれる手動機器の識別情報と対応付けて表示する第1の表示制御部と、
前記作業者の操作予定の手動機器を前記作業者が操作することで状態が変化した場合の、前記手動機器の変化後の状態を示す情報の入力を受け付ける受付部と、
前記取得された識別情報と前記手動機器の変化後の状態を示す情報とを対応付けて、前記操作結果として送信する第2の送信部と
を更に有する制御システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、
前記操作内容が送信された場合に、前記操作内容に含まれる手動機器の位置までの経路を探索する探索部を更に有する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記操作指示は、運転員を通じて入力される、請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記操作指示は、制御シーケンスにおいて規定された制御条件を充足するタイミングで、または、AIが予測したタイミングで、前記運転員を通じて入力される、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御シーケンスにおいて規定された制御条件を充足するタイミングで、または、AIが予測したタイミングで、前記運転員に表示する第2の表示制御部を更に有する、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記受信部は、前記第2の送信部より、前記取得された識別情報と前記手動機器の変化後の状態を示す情報とが対応付けられた前記操作結果を受信し、
前記第2の表示制御部は、前記プラント設備内の操作端の状態を表示する画面において、前記手動機器の状態を表示し、前記受信部が前記手動機器の変化後の状態を示す情報を受信した場合に、前記手動機器の状態を変化後の状態に更新する、請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記受信部が受信した操作結果が、前記制御シーケンスにおいて規定された操作内容と同じであるか否かを確認する確認部を更に有し、
前記第2の表示制御部は、前記確認部により異なることが確認された場合に、メッセージを表示する、請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記操作指示は、制御シーケンスにおいて規定された制御条件を充足するタイミングで、または、AIが予測したタイミングで入力される、請求項1に記載の制御システム。
【請求項9】
前記プラント設備内の操作端の状態を表示する画面において、前記手動機器の状態を表示する第2の表示制御部を更に有し、
前記第2の表示制御部は、前記受信部が前記手動機器の変化後の状態を示す情報を受信した場合に、前記画面において、前記手動機器の状態を変化後の状態に更新する、請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
前記受信部が受信した操作結果が、前記制御シーケンスにおいて規定された操作内容と同じであるか否かを確認する確認部を更に有し、
前記第2の表示制御部は、前記確認部により異なることが確認された場合に、メッセージを表示する、請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記確認部は、前記制御シーケンスを送信する管理装置に対して、確認結果を送信する、請求項7または10に記載の制御システム。
【請求項12】
前記携帯端末は、
前記プラント設備のレイアウト情報を格納する格納部と、
現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、を更に有し、
前記探索部は、前記位置情報と前記レイアウト情報とに基づいて、前記手動機器の位置までの経路を探索する、請求項2に記載の制御システム。
【請求項13】
識別体の撮影を制御する撮影制御部を更に有し、前記識別体を撮影することで、前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報を取得する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項14】
前記識別体は前記作業者の操作予定の手動機器に取り付けられたQRコード(登録商標)であり、撮影されたQRコード(登録商標)を解析することで、前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報を取得する、請求項13に記載の制御システム。
【請求項15】
前記識別体は前記作業者の操作予定の手動機器に取り付けられたバーコードであり、撮影されたバーコードを解析することで、前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報を取得する、請求項13に記載の制御システム。
【請求項16】
前記識別体は前記作業者の操作予定の手動機器に取り付けられたタグプレートであり、撮影されたタグプレートを解析することで、前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報を取得する、請求項13に記載の制御システム。
【請求項17】
前記識別体は前記作業者の操作予定の手動機器を含む風景であり、撮影された風景と一致する風景の画像に対応付けられた識別情報を読み出すことで、前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報を取得する、請求項13に記載の制御システム。
【請求項18】
前記携帯端末は、RFID発信機能を有し、
前記作業者の操作予定の手動機器には、RFID受信用のICタグが取り付けられており、
前記携帯端末は、発信したRFID信号に基づいてICタグを起動させることで、前記ICタグより前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報を取得する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項19】
前記第2の送信部により送信された、前記手動機器の変化後の状態を示す情報を図面に反映させる、請求項1に記載の制御システム。
【請求項20】
前記作業者が操作すべき手動機器及び規定操作を、前記運転員が選択することで実行される制御シーケンスを、AIが提供する、請求項3に記載の制御システム。
【請求項21】
前記AIは、複数の制御シーケンスと、それぞれの制御シーケンスにおける一連の操作内容とを含む学習データを用いて学習されている、請求項20に記載の制御システム。
【請求項22】
プロセス変数が指定の制御範囲から外れた場合に、プロセス変数の指定の制御範囲を予め学習したAIが、警告を出力する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項23】
プロセス変数が指定の制御範囲から外れた場合に、指定の制御範囲に戻すための操作内容を予め学習したAIが、前記指定の制御範囲に戻すための操作内容を提供する、請求項22に記載の制御システム。
【請求項24】
プラント設備内の手動機器に対する操作指示が入力された場合に、操作内容を作業者の携帯端末に送信する第1の送信部と、
前記操作内容が送信されたことに応じて、前記携帯端末より手動機器の操作結果を受信する受信部と、を有する制御システムにおいて、
前記携帯端末のコンピュータが、
前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報が取得された場合に、前記操作内容に含まれる手動機器の識別情報と対応付けて表示する表示制御工程と、
前記作業者の操作予定の手動機器を前記作業者が操作することで状態が変化した場合の、前記手動機器の変化後の状態を示す情報の入力を受け付ける受付工程と、
前記取得された識別情報と前記手動機器の変化後の状態を示す情報とを対応付けて、前記操作結果として送信する送信工程と
を実行する制御方法。
【請求項25】
プラント設備内の手動機器に対する操作指示が入力された場合に、操作内容を作業者の携帯端末に送信する第1の送信部と、
前記操作内容が送信されたことに応じて、前記携帯端末より手動機器の操作結果を受信する受信部と、を有する制御システムにおいて、
前記携帯端末のコンピュータに、
前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報が取得された場合に、前記操作内容に含まれる手動機器の識別情報と対応付けて表示する表示制御工程と、
前記作業者の操作予定の手動機器を前記作業者が操作することで状態が変化した場合の、前記手動機器の変化後の状態を示す情報の入力を受け付ける受付工程と、
前記取得された識別情報と前記手動機器の変化後の状態を示す情報とを対応付けて、前記操作結果として送信する送信工程と
を実行させるための手動機器操作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システム、制御方法及び手動機器操作プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学プラント等の各種プラント設備においては、手動で操作される現場機器(手動機器と称す)が複数存在する。一般に、定常運転の際に、これらの手動機器が操作されることはなく、デフォルトの状態が維持される(例えば、手動バルブの場合にあっては、開状態または閉状態が維持される)。
【0003】
一方で、何らかの異常が発生した場合や、定期点検に際して休止する場合等、非定常運転を行うケースでは、手動機器を操作する必要が生じる。このようなケースでは、従来、運転員が作業者に連絡をとり、操作内容を指示することで対応していた。
【0004】
その際、作業者は、運転員に指示された操作内容に含まれる手動機器の位置を、事前に図面上で確認した上で、当該手動機器の位置まで移動し、操作前に運転員に操作する旨を無線等で連絡した上で、当該手動機器を操作していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-220102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、化学プラント等においては、形状の類似した複数の手動機器が近接して設置されていることが多く、また、手動機器を操作する際、作業者が操作しようとしている操作予定の手動機器が、運転員に指示された操作内容に含まれる手動機器と同一であるかを現場で確認する手段がない。このため、作業者は、運転員に指示された操作内容に含まれる手動機器とは異なる手動機器を操作する可能性がある。
【0007】
加えて、手動機器の場合、運転員は、作業者が指示どおりの操作(指示した操作内容に含まれる手動機器に対する操作、あるいは、指示した操作内容に含まれる操作方向への操作)を行ったか否かを、確認することができない。
【0008】
また、当該手動操作を正しく行うためには、作業者は操作内容や当該作業位置を熟知している必要があった。
【0009】
本開示は、プラント設備内の手動機器を、適切に制御及び管理するための仕組みを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、制御システムは、
プラント設備内の手動機器に対する操作指示が入力された場合に、操作内容を作業者の携帯端末に送信する第1の送信部と、
前記操作内容が送信されたことに応じて、前記携帯端末より操作結果を受信する受信部と、を有し、
前記携帯端末は、
前記作業者の操作予定の手動機器の識別情報が取得された場合に、前記操作内容に含まれる手動機器の識別情報と対応付けて表示する第1の表示制御部と、
前記作業者の操作予定の手動機器を前記作業者が操作することで状態が変化した場合の、前記手動機器の変化後の状態を示す情報の入力を受け付ける受付部と、
前記取得された識別情報と前記手動機器の変化後の状態を示す情報とを対応付けて、前記操作結果として送信する第2の送信部とを更に有する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、プラント設備内の手動機器を、適切に制御及び管理するための仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】制御システムのシステム構成の一例を示す第1の図である。
図2】制御システムのシステム構成の一例を示す第2の図である。
図3A】制御装置及び手動機器管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3B】携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】非定常運転時の制御システム全体の処理の流れを示すシーケンス図である。
図5】制御装置及び手動機器管理装置の機能構成の一例を示す図である。
図6】表示装置に表示される画面の一例を示す第1の図である。
図7】表示装置に表示される画面の一例を示す第2の図である。
図8】制御装置及び手動機器管理装置による手動制御処理の流れを示すフローチャートである。
図9】携帯端末の機能構成の一例を示す図である。
図10A】携帯端末のユーザインタフェースの具体例を示す第1の図である。
図10B】携帯端末のユーザインタフェースの具体例を示す第2の図である。
図11A】携帯端末のユーザインタフェースの具体例を示す第3の図である。
図11B】携帯端末のユーザインタフェースの具体例を示す第4の図である。
図12】携帯端末による手動制御処理の流れを示すフローチャートである。
図13】制御装置及び手動機器管理装置の機能構成の一例を示す第2の図である。
図14】複数のプラント設備が含まれる場合の全体システムのシステム構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
<制御システムのシステム構成>
はじめに、第1の実施形態に係る制御システムのシステム構成について、定常運転時と非定常運転時とに分けて説明する。
【0015】
(1)定常運転時
図1は、制御システムのシステム構成の一例を示す第1の図であり、化学プラント(プラント設備の一例)における定常運転時の制御システムのシステム構成の一例を示している。
【0016】
図1に示すように、定常運転時の制御システム100は、現場機器として、手動バルブ111、112と、反応器113と、制御機器群114と、中継装置115とを備える。
【0017】
手動バルブ111、112は、手動機器の一例である。手動バルブ111、112は、定常運転時には操作されずデフォルトの状態が維持され、非定常運転時に、例えば、作業者162により手動で開操作または閉操作が行われる。手動バルブ111、112には、それぞれの手動バルブを識別する識別情報が埋め込まれたQRコード(登録商標)151、152(識別体の一例)が取り付けられている。
【0018】
反応器113は、所定の反応条件のもとで化学反応を行わせる装置である。反応器113には、複数の配管が接続されており、反応器113への原料の供給や、反応器113からの生成物の取り出し等が行われる。
【0019】
制御機器群114は、反応器113内の状態を検出するための検出端である各種センサや、反応器113内の状態を制御するための操作端である制御バルブ等を含む。各種センサは、中継装置115を介して測定信号を制御装置120に送信する。制御バルブ等は、制御装置120から中継装置115を介して送信された制御信号に基づいて動作する。また、制御バルブ等は、動作状態(制御バルブの場合にあっては、バルブ開度)を示す信号を、中継装置115を介して制御装置120に送信する。
【0020】
また、図1に示すように、定常運転時の制御システム100は、運転室内または制御室内に設置される装置として、制御装置120と、表示装置121と、操作装置122とを備える。
【0021】
制御装置120は、不図示の管理装置から送信された定常運転時の制御法に従って制御バルブ等に制御信号を送信することで、反応器113において所定の反応条件のもとで化学反応が行われるよう制御する。また、制御装置120は、各種センサより受信した測定信号及び制御バルブ等より受信した動作状態を示す信号に基づいて、反応器113内の状態及び制御バルブ等の動作状態を管理する。
【0022】
表示装置121は、反応器113内の状態や制御バルブ等の動作状態を可視化し、運転員161に表示する。
【0023】
操作装置122は、運転員161から各種指示を受け付け、制御装置120に送信する。運転員161からの各種指示には、例えば、定常運転時の制御法の開始指示、終了指示等が含まれる。
【0024】
(2)非定常運転時
図2は、制御システムのシステム構成の一例を示す第2の図であり、非定常運転時の制御システムのシステム構成の一例を示している。
【0025】
図2に示すように、非定常運転時の制御システム200は、定常運転時の制御システム100に加えて、手動機器管理装置123と、操作装置124と、携帯端末130とを備える。なお、非定常運転時の制御システム200において、手動機器管理装置123と携帯端末130とは、ネットワーク140を介して通信可能に接続される。
【0026】
手動機器管理装置123は、制御装置120が、不図示の管理装置から非定常運転時の制御シーケンスを受信し非定常運転を開始した際に、手動機器(図2の例では、手動バルブ111、112)を適切に制御及び管理できるようにするための装置である。
【0027】
非定常運転において、手動機器管理装置123は、ネットワーク140を介して携帯端末130と通信することで、非定常運転時の制御シーケンスに従って作業者162が手動バルブ111、112を操作するよう、作業者162に操作内容を指示する。なお、作業者162への操作内容の指示(手動バルブ111、112に対する操作指示)は、例えば、表示装置121に表示された画面に基づき、運転員161によって操作装置124に入力されることで、手動機器管理装置123に入力される。このとき、表示装置121には、例えば、非定常運転時の制御シーケンスにおいて規定された制御条件を充足するタイミングで、非定常運転時の制御シーケンスにおいて規定された操作内容に基づく画面が表示されてもよい。あるいは、表示装置121には、例えば、非定常運転時の制御シーケンスにおいて規定された制御条件を充足させるために、AIが予測したタイミングで、非定常運転時の制御シーケンスにおいて規定された操作内容に基づく画面が表示されてもよい。なお、AIは、Artificial Intelligenceの略称であり、制御システム200内に搭載されている。
【0028】
あるいは、作業者162への操作内容の指示は、例えば、非定常運転時の制御シーケンスにおいて規定された制御条件を充足するタイミングで、または、AIが予測したタイミングで、制御装置120によって、直接、手動機器管理装置123に入力されてもよい。
【0029】
いずれの場合も、作業者162への操作内容の指示が手動機器管理装置123に入力されると、手動機器管理装置123では、操作内容を携帯端末130に送信することによって、作業者162に操作内容を指示する。
【0030】
また、非定常運転において、手動機器管理装置123は、ネットワーク140を介して携帯端末130と通信することで、携帯端末130より、手動バルブ111、112の状態を示す情報を取得し、制御装置120に通知する。これにより、制御装置120は、例えば、非定常運転時に表示装置121に表示される画面に、手動バルブ111、112の状態を示す情報を表示することができる。
【0031】
また、非定常運転において、携帯端末130は、作業者162が、指示された操作内容に含まれる手動バルブ(手動バルブ111または手動バルブ112)にたどり着けるよう、経路探索を行い、探索した経路情報を表示する。
【0032】
なお、図2の例は、操作内容として、手動バルブ112の閉操作が携帯端末130に送信されたことに伴い、作業者162が、手動バルブ112の位置まで正しく移動した様子を示している。
【0033】
このとき、作業者162は、操作前に、操作予定の手動バルブが、指示された操作内容に含まれる手動バルブ112であることを確認するために、操作予定の手動バルブに取り付けられたQRコード(登録商標)152を撮影する。これにより、携帯端末130は、操作予定の手動バルブの識別情報を取得する。また、携帯端末130は、取得した操作予定の手動バルブの識別情報を、指示された操作内容に含まれる手動バルブの識別情報と対応付けて、作業者162に表示する。これにより、作業者162は、表示内容を確認したうえで、手動バルブ112の操作(ここでは、閉操作)を行うことができる。
【0034】
その後、指示された操作内容に応じた操作(ここでは、閉操作)が完了すると、作業者162は、手動バルブ112の変化後の状態(ここでは閉状態)を示す情報を、携帯端末130に入力する。これにより、携帯端末130は、手動バルブ112の変化後の状態(ここでは、閉状態)を、手動機器管理装置123に送信することができる。
【0035】
なお、図2の例は、作業者162が、指示された操作内容に応じた操作(ここでは、閉操作)を行ったことで、手動バルブ112の状態が閉状態に変化した様子を示している。
【0036】
このように、非定常運転において、制御システム200は、制御装置120、手動機器管理装置123、携帯端末130が動作することで、化学プラント内の手動機器(手動バルブ111、112)を適切に制御及び管理することができる。
【0037】
また、携帯端末130によれば、作業者162は、化学プラント内の手動機器を、指示された操作内容に従って、誤りなく操作することができる。また、携帯端末130によれば、作業者162は、操作結果を誤りなく手動機器管理装置123に送信することができる。
【0038】
なお、制御装置120は、運転員161が、表示装置121に表示された画面に基づき、作業者162に操作させる手動機器と、当該手動機器に対する規定操作とを選択することで、非定常運転時の制御シーケンスが実行されるように構成されていてもよい。
【0039】
また、制御装置120が受信する非定常運転時の制御シーケンスは、AIによって提供されてもよい。この場合、表示装置121には、AIによって提供された制御シーケンスにおける、一連の操作内容が表示される。一連の操作内容が表示されると、運転員161及び作業者162のいずれか一方または両方は、表示された一連の操作内容が正しいか否かを確認する。一連の操作内容が正しいことを確認した場合、運転員161及び作業者162のいずれか一方または両方は、制御シーケンスの実行を指示する。なお、AIによって提供される制御シーケンスにおける一連の操作内容は、当該制御シーケンスの実行が完了するまで表示装置121に表示される。
【0040】
制御シーケンスには、作業者162が操作すべき手動機器と、当該手動機器に対する規定操作とが含まれる。規定操作には、化学プラントで一般的に実施される一連の操作内容のいずれかが含まれる。具体的には、規定操作には、物質を手動機器から取り出す操作(サンプリング)、2つ以上ある手動機器を切り替える操作、特定の配管または特定のバルブをバイパスさせる操作が含まれる。あるいは、規定操作には、手動機器を停止させる操作、手動機器を立ち上げる操作、特定の配管または特定の手動機器を除害する操作、特定のバルブの開度を調整する操作が含まれる。
【0041】
なお、上記特定の配管は、指定する配管の区間に、複数の手動機器やバルブが含まれる配管であってもよい。また、上記手動機器を停止させる操作とは、手動機器を停止させ、配管内を流れる流体の流れを停止させる操作を意味する。停止させる手動機器は、1つの機器であっても、連続する複数の機器であってもよい。また、上記手動機器を立ち上げる操作とは、手動機器を立ち上げ、配管内に流体を流す操作を意味する。立ち上げる手動機器は、1つの機器であっても、連続する複数の機器であってもよい。また、上記除害する操作とは、定常運転時に流れていた流体を除去する操作を意味する。流体を除去するための方法は、任意であり、例えば、圧力の差を利用して流体を抜き出す方法、ポンプなどの機器を使用して流体を抜き出す方法、定常運転時に流す流体とは異なる流体を流すことで、定常運転時に流れていた流体を押し出す方法などが挙げられる。
【0042】
なお、上記流体は、液体、気体のいずれかの流体であってもよいし、液体及び気体の両方を含む流体であってもよい。更に、上記流体は、固体を含んでいてもよい。また、上記除害する操作に使用する流体は、液体、気体のいずれかの流体であってもよいし、液体及び気体の両方を含む流体であってもよい。
【0043】
上記手動機器は、動機器または静機器からなる群より選ばれる少なくとも1つの機器である。動機器とは、例えば、ポンプ、圧縮機、撹拌機、回転機、タービン、または発電機など、一般的に化学プラントで使用される、モータなどの動力を使って動く機器を指す。また、静機器とは、反応器、蒸留塔、イオン交換塔、加熱炉、ボイラ、分離器、ドラム、タンク、熱交換器、配管、または、ろ過装置など、モータなどの動力を使用しない機器を指す。動機器及び静機器には、計装品などの付帯機器が設置されていてもよい。
【0044】
上記制御シーケンスは、1つの操作内容で完結するものであっても、複数の操作内容を経て完結するものであってもよい。
【0045】
上記AIによって提供される制御シーケンスは、予め登録された制御シーケンスであり、上記AIは、複数の制御シーケンスのうちのいずれの制御シーケンスを制御装置120に提供すべきかについて、予め学習されているものとする。また、新たな制御シーケンスが実行された場合、上記AIは、当該新たに実行された制御シーケンスも含む複数の制御シーケンスのうちのいずれの制御シーケンスを制御装置120に提供すべきかについて、追加で学習されるものとする。
【0046】
なお、登録されていない制御シーケンスを実行する場合、運転員161は、作業者162に操作させる手動機器を選択するとともに、予め登録された複数の制御シーケンスの中から、当該登録されていない制御シーケンスに類似する制御シーケンスを検索する。そして、運転員161は、検索した制御シーケンスに含まれる規定操作を、当該登録されていない制御シーケンスにおける規定操作として選択する。
【0047】
登録されていない制御シーケンスが実行されることで、上記AIは、追加で学習される際に用いられる学習データに、当該登録されていない制御シーケンスを含めることができる。また、登録されていない制御シーケンスが実行されることで、当該登録されていない制御シーケンスが、新たに登録されることになる。
【0048】
例えば、反応器113から物質を取り出すためのバルブの操作を、上記AIが規定操作として学習していたとする。この場合、上記AIは、反応器113とは異なる反応器から物質を取り出すためのバルブの操作を、新たな制御シーケンスとして、制御装置120に提供することができる。
【0049】
また、上記AIは、プロセス変数(流量、圧力、温度、組成)の指定の制御範囲を、予め学習していてもよい。これにより、上記AIは、例えば、作業者162による誤操作や、バルブの不具合等が原因でプロセス変数が指定の制御範囲から外れた場合に、運転員161に対して、警告を出力することができる。
【0050】
また、上記AIは、プロセス変数が指定の制御範囲から外れた場合に、指定の制御範囲に戻すための操作を、予め学習していてもよい。これにより、上記AIは、プロセス変数が指定の制御範囲から外れた場合に、指定の制御範囲に戻すための操作として、最適な操作を、制御装置120に提供することができる。
【0051】
また、上記AIは、バルブが故障した場合に、同様の遮断範囲を確保することができる代替バルブに関する情報を提供するように構成されていてもよい。ここでいう遮断範囲とは、閉止弁に囲まれた範囲を指す。
【0052】
また、上記AIは、プラントに設置されたバルブの位置、種類、サイズ、材質を予め学習していてもよい。また、上記AIは、各機器を流れる流体の種類、流体の温度、流体の圧力を予め学習していてもよい。
【0053】
これにより、上記AIによって提供された制御シーケンスが実行されている最中に、例えば、接触することによって材質に影響を及ぼす可能性のある流体が流れることになった場合に、上記AIは、当該材質に影響が及ぶことを運転員161に報知することができる。
【0054】
また、接触することによって材質に影響を及ぼす可能性のある流体が流れることを回避するための操作内容が複数存在する場合、上記AIは、当該複数の操作内容の中から、最適な操作内容を制御装置120に提供するように構成されていてもよい。あるいは、操作内容が複数存在する場合に、表示装置121に表示し、運転員161が、表示された複数の操作内容のうちのいずれかの操作内容を選択するように構成されていてもよい。
【0055】
<各装置のハードウェア構成>
次に、制御システム100または200が備える各装置のうち、制御装置120、手動機器管理装置123、携帯端末130のハードウェア構成について説明する。
【0056】
(1)制御装置、手動機器管理装置のハードウェア構成
図3Aは、制御装置及び手動機器管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図3Aに示すように、制御装置120は、プロセッサ301、メモリ302、補助記憶装置303、接続装置304、入出力装置305、通信装置306、ドライブ装置307を有する。なお、制御装置120に含まれる各ハードウェアは、バス308を介して相互に接続されている。
【0057】
プロセッサ301は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ301は、各種プログラム(例えば、制御プログラム等)をメモリ302上に読み出して実行する。
【0058】
メモリ302は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ301とメモリ302とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ301が、メモリ302上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0059】
補助記憶装置303は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ301によって実行される際に用いられる各種情報を格納する。
【0060】
接続装置304は、外部装置(操作装置122、表示装置121等)と接続する接続デバイスである。
【0061】
入出力装置305は、制御機器群114との間の信号を入出力する。例えば、入出力装置305は、操作端の動作状態を示す信号や検出端の測定信号を入力する。また、入出力装置305は、操作端に対する制御信号を出力する。
【0062】
通信装置306は、不図示の管理装置や、手動機器管理装置123との間で各種情報を送受信するための装置である。
【0063】
ドライブ装置307は記録媒体310をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体310には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体310には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0064】
なお、補助記憶装置303にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体310がドライブ装置307にセットされ、該記録媒体310に記録された各種プログラムがドライブ装置307により読み出されることでインストールされる。
【0065】
また、図3Aに示すように、手動機器管理装置123は、プロセッサ321、メモリ322、補助記憶装置323、接続装置324、第1通信装置325、第2通信装置326、ドライブ装置327を有する。なお、手動機器管理装置123に含まれる各ハードウェアは、バス328を介して相互に接続されている。
【0066】
このうち、プロセッサ321、メモリ322、補助記憶装置323、接続装置324、ドライブ装置327は、上記制御装置120のプロセッサ301、メモリ302、補助記憶装置303、接続装置304、ドライブ装置307と同様である。したがって、ここでは説明を省略する。また、ドライブ装置327にセットされる記録媒体330も、上記制御装置120のドライブ装置307にセットされる記録媒体310と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0067】
ただし、手動機器管理装置123の場合、プロセッサ321は、制御プログラムに代えて、例えば、手動機器管理プログラムをメモリ322上に読み出して実行する。
【0068】
第1通信装置325は、制御装置120との間で各種情報を送受信するための装置である。第2通信装置326は、携帯端末130との間で各種情報を送受信するための装置である。
【0069】
(2)携帯端末のハードウェア構成
図3Bは、携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図である。図3Bに示すように、携帯端末130は、プロセッサ341、メモリ342、補助記憶装置343、GPS装置344、撮像装置345、ユーザインタフェース装置346、通信装置347を有する。なお、携帯端末130に含まれる各ハードウェアは、バス348を介して相互に接続されている。
【0070】
このうち、プロセッサ341、メモリ342、補助記憶装置343、通信装置347は、上記手動機器管理装置123のプロセッサ321、メモリ322、補助記憶装置323、第2通信装置326と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0071】
ただし、携帯端末130の場合、プロセッサ341は、手動機器管理プログラムに代えて、例えば、手動機器操作プログラムをメモリ342上に読み出して実行する。また、通信装置347は、手動機器管理装置123との間で各種情報を送受信する。
【0072】
GPS装置344は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信することで、携帯端末130の現在位置を示す位置情報を取得する。
【0073】
撮像装置345は、被写体を撮影し、画像データを生成する。本実施形態において被写体は、QRコード(登録商標)151または152である。
【0074】
ユーザインタフェース装置346は、例えば、タッチパネルにより構成され、表示装置と位置入力装置とが組み合わされてなる装置である。
【0075】
<非定常運転時の制御システム全体の処理の流れ>
次に、非定常運転時の制御システム200全体の処理の流れについて説明する。図4は、非定常運転時の制御システム全体の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0076】
ステップS401において、制御装置120は、例えば、化学プラントにおいて異常が発生した場合や定期点検に際して休止する場合において、不図示の管理装置から定常運転時の制御シーケンスを終了する旨の指示を受信すると、定常運転時の制御法を終了させる。これにより、制御装置120は、制御機器群114の操作端である制御バルブ等に、終了時の制御信号を送信する。
【0077】
ステップS402において、制御機器群114の操作端である制御バルブ等は、終了動作を行う。また、ステップS403において、制御機器群114の検出端である各種センサは、測定を継続する。
【0078】
ステップS404において、制御装置120は、例えば、不図示の管理装置から非定常運転時の制御シーケンスを受信し、非定常運転を開始する。なお、ステップS404において受信する非定常運転時の制御シーケンスは、所定の制御条件を充足した場合に、手動バルブ111を閉操作すること、であるとする。
【0079】
ステップS405において、制御装置120は、所定の制御条件を充足したことを、各種センサからの測定信号に基づいて判定する。
【0080】
なお、上述したように、所定の制御条件を充足した後は、操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)を、運転員161から作業者162に指示しても、あるいは、制御装置120から作業者162に指示してもよい。ここでは、まず、運転員161から作業者162に指示するケースについて説明する。
【0081】
制御装置120は、所定の制御条件を充足したと判定すると、操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)を表示装置121に通知する。
【0082】
ステップS406において、表示装置121は、制御装置120より通知された操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)を表示する。これにより、運転員161は、作業者162に操作内容を指示可能であることを認識する。
【0083】
ステップS407において、運転員161は、表示された操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)の指示を入力し、操作装置124は、これを受け付ける。これにより、操作装置124から手動機器管理装置123に、操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)の指示が入力される。
【0084】
ステップS408において、手動機器管理装置123は、操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)を携帯端末130に送信する。
【0085】
続いて、操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)を、制御装置120から作業者162に指示するケースについて説明する。
【0086】
制御装置120は、所定の制御条件を充足したと判定すると、手動機器管理装置123に、操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)の指示を直接入力する。
【0087】
ステップS408において、手動機器管理装置123は、操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)を携帯端末130に送信する。これにより、作業者162に対して操作内容が指示される。なお、制御装置120から作業者162に操作内容を指示するケースにおいて、制御装置120は、作業者162に指示する前に、操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)を表示装置121に通知してもよい。
【0088】
ステップS409において、携帯端末130は、手動機器管理装置123より受信した操作内容(ここでは、手動バルブ111を閉操作)を表示する。また、携帯端末130は、現在位置から操作内容に含まれる手動機器(ここでは、手動バルブ111)の位置までの経路を探索し、経路情報を表示する。これにより、作業者162は、操作内容に含まれる手動機器、操作方向、操作内容に含まれる手動機器の位置までの経路を認識したうえで、操作内容に含まれる手動機器の位置まで移動することができる。
【0089】
ステップS410において、携帯端末130は、作業者162の操作予定の手動バルブ(ここでは、手動バルブ111)に取り付けられたQRコード(登録商標)(ここでは、QRコード(登録商標)151)を撮影し、操作予定の手動バルブの識別情報を取得する。また、携帯端末130は、取得した操作予定の手動バルブの識別情報を、操作内容に含まれる手動バルブ(ここでは、手動バルブ111)の識別情報と対応付けて表示する。
【0090】
これにより、作業者162は、操作予定の手動バルブが、操作内容に含まれる手動バルブ(ここでは、手動バルブ111)と同一であることを確認することができる。
【0091】
ステップS411において、作業者162は、手動バルブ111の閉操作を行う。
【0092】
ステップS412において、携帯端末130は、作業者162が操作したことにより状態が変化した、手動バルブ111の変化後の状態(ここでは、閉状態)を作業者162が入力した場合に、これを受け付ける。また、携帯端末130は、操作結果(取得した手動バルブ111の識別情報と入力を受け付けた手動バルブ111の変化後の状態を示す情報と)を、手動機器管理装置123に送信する。
【0093】
ステップS413において、手動機器管理装置123は、携帯端末130から送信された操作結果(手動バルブ111の識別情報と手動バルブ111の変化後の状態を示す情報と)を、制御装置120に送信する。
【0094】
ステップS414において、制御装置120は、手動機器管理装置123から送信された操作結果(手動バルブ111の識別情報と手動バルブ111の変化後の状態を示す情報と)に基づいて、表示装置121に表示する画面を更新する。具体的には、制御装置120は、手動バルブ111が開状態として表示されていた画面を、閉状態として表示される画面に更新する。
【0095】
ステップS415において、表示装置121は、更新後の画面を表示する。これにより、運転員161は、手動バルブ111が開状態から閉状態に切り替わったことを認識することができる。
【0096】
ステップS416において、制御装置120は、例えば、不図示の管理装置から非定常運転時の次の制御シーケンスを受信し、次の非定常運転を開始する。なお、ステップS416において受信する非定常運転時の次の制御シーケンスは、所定の制御条件を充足した場合に手動バルブ112を閉操作すること、であるとする。
【0097】
ステップS417において、制御装置120は、所定の制御条件を充足したことを、各種センサからの測定信号に基づいて判定する。
【0098】
なお、上述したように、所定の制御条件を充足した後は、操作内容(手動バルブ112を閉操作)を、運転員161から作業者162に指示しても、あるいは、制御装置120から作業者162に指示してもよい。ここでは、まず、運転員161から作業者162に指示するケースについて説明する。
【0099】
制御装置120は、所定の制御条件を充足したと判定すると、操作内容(ここでは、手動バルブ112を閉操作)を表示装置121に通知する。
【0100】
ステップS418において、表示装置121は、制御装置120より通知された操作内容(ここでは、手動バルブ112を閉操作)を表示する。これにより、運転員161は、作業者162に操作内容を指示可能であることを認識する。
【0101】
ステップS419において、運転員161は、表示された操作内容(ここでは、手動バルブ112を閉操作)の指示を入力し、操作装置124は、これを受け付ける。これにより、操作装置124から手動機器管理装置123に、操作内容(ここでは、手動バルブ112を閉操作)の指示が入力される。
【0102】
ステップS420において、手動機器管理装置123は、操作内容(ここでは、手動バルブ112を閉操作)を携帯端末130に送信する。
【0103】
続いて、操作内容(ここでは、手動バルブ112を閉操作)を、制御装置120から作業者162に指示するケースについて説明する。
【0104】
制御装置120は、所定の制御条件を充足したと判定すると、手動機器管理装置123に、操作内容(ここでは、手動バルブ112を閉操作)の指示を直接入力する。
【0105】
ステップS420において、手動機器管理装置123は、操作内容(ここでは、手動バルブ112を閉操作)を携帯端末130に送信する。これにより、作業者162に対して操作内容が指示される。なお、制御装置120から作業者162に操作内容を指示するケースにおいて、制御装置120は、作業者162に指示する前に、操作内容(ここでは、手動バルブ112を閉操作)を表示装置121に通知してもよい。
【0106】
ステップS421において、携帯端末130は、手動機器管理装置123より受信した操作内容(ここでは、手動バルブ112を閉操作)を表示する。また、携帯端末130は、現在位置から操作内容に含まれる手動機器(ここでは、手動バルブ112)の位置までの経路を探索し、経路情報を表示する。これにより、作業者162は、操作内容に含まれる手動機器、操作方向、操作内容に含まれる手動機器の位置までの経路を認識したうえで、操作内容に含まれる手動機器の位置まで移動することができる。
【0107】
ステップS422において、携帯端末130は、作業者162の操作予定の手動バルブ(ここでは、手動バルブ112)に取り付けられたQRコード(登録商標)(ここでは、QRコード(登録商標)152)を撮影し、操作予定の手動バルブの識別情報を取得する。また、携帯端末130は、取得した操作予定の手動バルブの識別情報を、操作内容に含まれる手動バルブ(ここでは、手動バルブ112)の識別情報と対応付けて表示する。
【0108】
これにより、作業者162は、操作予定の手動バルブが、操作内容に含まれる手動バルブ(ここでは、手動バルブ112)と同一であることを確認することができる。
【0109】
ステップS423において、作業者162は、手動バルブ112の閉操作を行う。
【0110】
ステップS424において、携帯端末130は、作業者162が操作したことにより状態が変化した、手動バルブ112の変化後の状態(ここでは、閉状態)を作業者162が入力した場合に、これを受け付ける。また、携帯端末130は、操作結果(取得した手動バルブ112の識別情報と入力を受け付けた手動バルブ112の変化後の状態を示す情報と)を、手動機器管理装置123に送信する。
【0111】
ステップS425において、手動機器管理装置123は、携帯端末130から送信された操作結果(手動バルブ112の識別情報と手動バルブ112の変化後の状態を示す情報と)を、制御装置120に送信する。
【0112】
ステップS426において、制御装置120は、手動機器管理装置123から送信された操作結果(手動バルブ112の識別情報と手動バルブ112の変化後の状態を示す情報と)に基づいて、表示装置121に表示する画面を更新する。具体的には、制御装置120は、手動バルブ112が開状態として表示されていた画面を、閉状態として表示される画面に更新する。
【0113】
ステップS427において、表示装置121は、更新後の画面を表示する。これにより、運転員161は、手動バルブ112が開状態から閉状態に切り替わったことを認識することができる。
【0114】
<制御装置及び手動機器管理装置の機能構成>
次に、制御装置120及び手動機器管理装置123の機能構成について説明する。図5は、制御装置及び手動機器管理装置の機能構成の一例を示す図である。
【0115】
上述したように、制御装置120には制御プログラムがインストールされており、非定常運転時に当該制御プログラムが実行されることで、制御装置120は、
・センサデータ取得部501、
・制御条件充足判定部502、
・表示制御部503(第2の表示制御部の一例)、
・制御シーケンス取得部504、
として機能する。また、上述したように、手動機器管理装置123には、手動機器管理プログラムがインストールされており、非定常運転時に当該手動機器管理プログラムが実行されることで、手動機器管理装置123は、
・指示受付部511、
・操作内容送信部512(第1の送信部の一例)、
・操作結果受信部513(受信部の一例)、
として機能する。
【0116】
センサデータ取得部501は、制御機器群114の検出端である各種センサから、測定信号を取得し、制御条件充足判定部502に通知する。
【0117】
制御条件充足判定部502は、制御シーケンス格納部505から、非定常運転時の制御シーケンスを読み出し、手動機器(例えば、手動バルブ111、112)を操作する制御条件を認識する。また、制御条件充足判定部502は、センサデータ取得部501から通知された測定信号が、認識した制御条件を充足しているか否かを判定する。また、制御条件充足判定部502は、認識した制御条件を充足していると判定した場合に、操作内容を表示制御部503に通知する。
【0118】
表示制御部503は、制御条件充足判定部502から、操作内容が通知された場合に、表示装置121に表示する。また、表示制御部503は、後述する操作結果受信部513から、操作結果(手動機器の識別情報と手動機器の変化後の状態を示す情報と)が通知された場合に、表示装置121に表示する。なお、ここでいう手動機器とは、例えば、手動バルブ111、112を指す。
【0119】
制御シーケンス取得部504は、不図示の管理装置から、非定常運転時の制御シーケンスを取得し、制御シーケンス格納部505に格納する。
【0120】
指示受付部511は、運転員161が操作装置124を介して、操作内容の指示を入力した場合に(あるいは、制御装置120が操作内容の指示を直接入力した場合に)、これを受け付ける。また、指示受付部511は、入力を受け付けた操作内容を操作内容送信部512に通知する。
【0121】
操作内容送信部512は、指示受付部511から通知された操作内容を携帯端末130に送信することで、作業者162に操作内容を指示する。
【0122】
操作結果受信部513は、携帯端末130より、操作結果(手動機器の識別情報と手動機器の変化後の状態を示す情報と)を受信し、表示制御部503に通知する。
【0123】
<表示装置の画面>
次に、非定常運転時に表示装置121に表示される画面について、図6及び図7を用いて説明する。図6及び図7は、表示装置に表示される画面の一例を示す第1及び第2の図である。本実施形態において、表示装置121の画面には、少なくとも化学プラント内の制御機器群114の操作端の動作状態が表示される。
【0124】
具体的には、図6及び図7の例では、表示装置121の画面には、現場機器のうち、手動バルブ111、112、反応器113、制御機器群114を模した図形が表示される。なお、手動バルブ111、112を模した図形、及び、制御機器群114に含まれる制御バルブを模した図形は、開状態の場合に白色で表し、閉状態の場合に黒色で表すものとする。ただし、開状態、閉状態の色は、同一でなければ、それぞれ何色で表してもよい。また、紙面の都合上、省略しているが、制御機器群114に含まれる検出端である各種センサを模した図形の近傍には、測定信号の値が表示されるものとする。また、反応器113を模した図形内には、反応器113内の状態を示す情報が表示されるものとする。
【0125】
図6において、画面610は、定常運転時に表示装置121に表示される画面を示している。画面610の表示中に、例えば、化学プラントにおいて異常が発生した場合や定期点検に際して休止する場合には、定常運転時の制御法を調整せず、もしくは調整しながら、非定常運転時の制御シーケンスを起動する。その際、表示装置121に表示される画面は、画面610から画面620へと遷移する。
【0126】
画面620において、符号621は、定常運転時の制御シーケンスが終了したことを示すメッセージである。なお、画面620の例は、定常運転時の制御法を調整しながら、非定常運転時の制御シーケンスを起動したことで、制御機器群114に含まれる制御バルブが、いずれも閉状態へと制御されたことを示している。
【0127】
ここで、画面620の表示中に、非定常運転時の制御シーケンス("所定の制御条件を充足したら手動バルブ111を閉操作")が開始されたとする。更に、作業者162に操作内容(手動バルブ111を閉操作)を指示するのに必要な制御条件を充足したとする。この場合、表示装置121に表示される画面は、画面620から画面630へと遷移する。
【0128】
画面630において、符号631は、手動バルブ111の閉操作を指示するメッセージである。運転員161は、符号631に示すメッセージを視認すると、操作装置124に、操作内容(手動バルブ111を閉操作)の指示を入力する。これにより、操作内容が作業者162の携帯端末130に送信され、作業者162は、指示された操作内容に応じた操作を行う。この結果、作業者162の携帯端末130から操作結果(手動バルブ111の識別情報と手動バルブ111の変化後の状態を示す情報と)が送信され、表示装置121に表示される画面は、画面630から画面710(図7)へと遷移する。
【0129】
画面710に示すように、手動バルブ111が閉状態になったことで、手動バルブ111を模した図形は黒色に更新される。また、符号711に示すように、手動バルブ111の閉操作が完了したことを示すメッセージが表示される。これにより、運転員161は、指示した操作内容に応じた操作が行われたことを、画面710を介して確認することができる。
【0130】
同様に、画面710の表示中に、非定常運転時の制御シーケンス("所定の制御条件を充足したら手動バルブ112を閉操作")が開始されたとする。更に、作業者162に操作内容(手動バルブ112を閉操作)を指示するのに必要な制御条件を充足したとする。この場合、表示装置121に表示される画面は、画面710から画面720へと遷移する。
【0131】
画面720において、符号721は、手動バルブ112の閉操作を指示するメッセージである。運転員161は、符号721に示すメッセージを視認すると、操作装置124に、操作内容(手動バルブ112を閉操作)の指示を入力する。これにより、操作内容が作業者162の携帯端末130に送信され、作業者162は、指示された操作内容に応じた操作を行う。この結果、作業者162の携帯端末130から操作結果(手動バルブ112の識別情報と手動バルブ112の変化後の状態を示す情報と)が送信され、表示装置121に表示される画面は、画面720から画面730へと遷移する。
【0132】
画面730に示すように、手動バルブ112が閉状態になったことで、手動バルブ112を模した図形は黒色に更新される。また、符号731に示すように、手動バルブ112の閉操作が完了したことを示すメッセージが表示される。これにより、運転員161は、指示した操作内容に応じた操作が行われたことを、画面730を介して確認することができる。
【0133】
<制御装置及び手動機器管理装置による処理の流れ>
次に、非定常運転時の制御装置120及び手動機器管理装置123による処理(手動制御処理と称す)の流れについて説明する。図8は、制御装置及び手動機器管理装置による手動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0134】
ステップS801において、制御装置120は、非定常運転時の制御シーケンスを取得する。
【0135】
ステップS802において、制御装置120は、検出端により測定された測定信号を取得する。
【0136】
ステップS803において、制御装置120は、測定信号が制御条件を充足しているか否かを判定する。
【0137】
ステップS804において、測定信号が制御条件を充足していないと判定した場合には(ステップS804においてNOの場合には)、制御条件を充足するまで待機する。
【0138】
一方、ステップS804において、制御条件を充足したと判定した場合には(ステップS804においてYESの場合には)、ステップS805に進む。
【0139】
ステップS805において、制御装置120は、表示装置121に操作内容を表示する。
【0140】
ステップS806において、手動機器管理装置123は、操作装置124を介して運転員161により入力された操作内容の指示、あるいは、制御装置120により直接入力された操作内容の指示を取得する。
【0141】
ステップS807において、手動機器管理装置123は、操作内容を携帯端末130に送信することで、作業者162に操作内容を指示する。
【0142】
ステップS808において、手動機器管理装置123は、操作結果(手動機器の識別情報と手動機器の変化後の状態を示す情報と)を取得する。また、制御装置120は、操作結果(手動機器の識別情報と手動機器の変化後の状態を示す情報と)に基づいて、画面を更新し、更新後の画面を表示装置121に表示する。
【0143】
ステップS809において、制御装置120は、非定常運転時の次の制御シーケンスがあるか否かを判定する。ステップS809において、非定常運転時の次の制御シーケンスがあると判定した場合には(ステップS809においてYESの場合には)、ステップS801に戻る。
【0144】
一方、ステップS809において、非定常運転時の次の制御シーケンスがないと判定した場合には(ステップS809においてNOの場合には)、手動制御処理を終了する。
【0145】
<携帯端末の機能構成>
次に、携帯端末130の機能構成について説明する。図9は、携帯端末の機能構成の一例を示す図である。上述したように、携帯端末130には手動機器操作プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、携帯端末130は、
・操作内容受信部901、
・位置情報取得部902、
・経路探索部903(探索部の一例)、
・表示制御部904(第1の表示制御部の一例)、
・操作受付部905、
・撮影制御部906、
・識別部907、
・状態情報受付部908(受付部の一例)、
・操作結果送信部909(第2の送信部の一例)、
として機能する。
【0146】
操作内容受信部901は、手動機器管理装置123より、操作内容(例えば、手動バルブ111を閉操作)を受信する。また、操作内容受信部901は、受信した操作内容を、経路探索部903及び表示制御部904に通知する。
【0147】
位置情報取得部902は、GPS装置344より、携帯端末130の現在位置を示す位置情報を取得し、経路探索部903に通知する。
【0148】
経路探索部903は、レイアウト情報格納部910(格納部の一例)より、化学プラント内のレイアウト情報を読み出し、操作内容に含まれる手動機器(例えば、手動バルブ111)の位置と、携帯端末130の現在位置とを確認する。また、経路探索部903は、携帯端末130の現在位置から、操作内容に含まれる手動機器(例えば、手動バルブ111)の位置までの最短経路をレイアウト情報にて探索し、探索した経路情報を表示制御部904に通知する。
【0149】
表示制御部904は、操作内容受信部901より通知された操作内容と、経路探索部903より通知された経路情報とを含み、更に、各種操作を行うための操作ボタンを含む画面を、ユーザインタフェース装置346に表示する。
【0150】
また、表示制御部904は、作業者162の操作予定の手動機器に取り付けられたQRコード(登録商標)を撮影するための画面をユーザインタフェース装置346に表示する。また、表示制御部904は、操作内容受信部901より通知された操作内容に含まれる手動機器の識別情報及びQRコード(登録商標)を撮影したことで識別した、操作予定の手動機器の識別情報を表示する画面をユーザインタフェース装置346に表示する。
【0151】
また、表示制御部904は、手動機器の変化後の状態を示す情報を入力するための画面をユーザインタフェース装置346に表示する。更に、表示制御部904は、操作結果(QRコード(登録商標)を撮影することで取得した手動機器の識別情報及び作業者162が操作した手動機器の変化後の状態を示す情報)を送信するための画面をユーザインタフェース装置346に表示する。
【0152】
なお、表示制御部904によりユーザインタフェース装置346に表示される画面は、操作受付部905からの通知に基づいて遷移する。
【0153】
操作受付部905は、表示制御部904によって表示された操作ボタンが押圧された場合、または、状態情報受付部908を介して手動機器の変化後の状態を示す情報が入力された場合に、これを受け付ける。
【0154】
なお、操作受付部905は、画面遷移を行うための操作ボタンが押圧された場合にあっては、表示制御部904に画面遷移を通知する。また、操作受付部905は、撮像装置345を起動させるための操作ボタンが押圧された場合にあっては、撮影制御部906に撮像装置345の起動を指示するとともに、表示制御部904に画面遷移を通知する。
【0155】
また、操作受付部905は、状態情報受付部908を介して手動機器の変化後の状態を示す情報が入力された場合にあっては、表示制御部904に画面遷移を通知する。更に、操作受付部905は、操作結果を送信するための操作ボタンが押圧された場合にあっては、操作結果を送信するよう、操作結果送信部909に指示する。
【0156】
撮影制御部906は、撮像装置345を起動させるための操作ボタンが押圧された場合に、撮像装置345を起動させる。また、作業者162の操作予定の手動機器に取り付けられたQRコード(登録商標)を撮影するための画面において、QRコード(登録商標)を撮影するための操作が行われた場合に、撮像装置345より撮影画像を取得し、識別部907に通知する。
【0157】
識別部907は、撮影制御部906より通知された撮影画像に含まれるQRコード(登録商標)を解析し、操作予定の手動機器を識別するための識別情報を取得する。また、識別部907は、取得した識別情報を表示制御部904及び操作結果送信部909に通知する。
【0158】
状態情報受付部908は、作業者162が操作した手動機器の変化後の状態を示す情報を入力するための画面において、作業者162が操作した手動機器の変化後の状態を示す情報が入力された場合に、これを受け付ける。また、状態情報受付部908は、入力を受け付けた手動機器の変化後の状態を示す情報を操作受付部905に通知する。
【0159】
操作結果送信部909は、操作受付部905からの指示に基づき、操作結果(識別部907より通知された識別情報と手動機器の変化後の状態を示す情報と)を、手動機器管理装置123に送信する。
【0160】
<携帯端末のユーザインタフェースの具体例>
次に、携帯端末130のユーザインタフェースの具体例について説明する。図10A乃至図11Bは、携帯端末のユーザインタフェースの具体例を示す第1乃至第4の図である。
【0161】
このうち、図10A及び図10Bは、操作内容として、"手動バルブ111を閉操作"が送信された場合のユーザインタフェースを示している。
【0162】
図10Aの(a)に示すように、画面1010は、操作内容を示すメッセージ1011と、経路情報1012と、撮像装置345を起動させるための操作ボタン1013とを含む。画面1010上で、操作ボタン1013が押圧されると、図10Aの(b)の画面1020へと遷移する。
【0163】
なお、経路情報1012において星印は、携帯端末130の現在位置を表しており、点線矢印は、現在位置から操作内容に含まれる手動バルブ111の位置までの最短経路を示している。作業者162は、経路情報1012に示された点線矢印に従って、操作内容に含まれる手動バルブ111の位置に移動する。
【0164】
図10Aの(b)に示すように、画面1020は、
・操作内容を示すメッセージ1011、
・作業者162の操作予定の手動バルブに取り付けられたQRコード(登録商標)を表示するための領域1021、
・撮影のための操作ボタン1022、
・画面遷移のための(画面1010に戻るための)操作ボタン1023、
を含む。
【0165】
画面1020上で、操作ボタン1022が押圧されると、領域1021に表示されているQRコード(登録商標)が撮影され、図10Aの(c)の画面1030へと遷移する。一方、画面1020上で、操作ボタン1023が押圧されると、画面1010に戻る。なお、QRコード(登録商標)が撮影されると、操作予定の手動バルブの識別情報が取得される。
【0166】
図10Aの(c)に示すように、画面1030は、
・操作内容を示すメッセージ1011、
・撮影されたQRコード(登録商標)を表示するための領域1021、
・作業者162の操作予定の手動バルブの識別情報1025、
・画面1020に戻るための操作ボタン1023、
・画面1040(図10Bの(a))に進むための操作ボタン1024、
を含む。
【0167】
このように、携帯端末130では、操作内容を示すメッセージ1011と、操作予定の手動バルブの識別情報1025とを対応付けて表示する。これにより、作業者162は、操作予定の手動バルブが、操作内容を示すメッセージ1011に含まれる手動バルブと同一であることを確認することができる。
【0168】
その後、操作内容に従って作業者162が手動バルブ111を操作した場合、手動バルブ111の変化後の状態は、"閉状態"となる。このため、作業者162は、操作ボタン1024を押圧する。これにより、画面1030は、画面1040(図10Bの(a))へと遷移する。
【0169】
図10Bの(a)に示すように、画面1040は、
・作業者162が操作することで状態が変化した、手動バルブの変化後の状態を示す情報を入力するための領域1041、
・作業者162が操作した手動バルブの識別情報1025、
を含む。
【0170】
作業者162は、画面1040上で、領域1041の閉ボタンを押圧することで、操作した手動バルブの変化後の状態を示す情報を入力する。これにより、画面1040は、画面1050へと遷移する。
【0171】
図10Bの(b)に示すように、画面1050は、
・作業者162が操作することで状態が変化した、手動バルブの変化後の状態を示す情報が入力された領域1041、
・作業者162が操作した手動バルブの識別情報1025、
・操作結果(作業者162が操作した手動バルブの識別情報1025と、作業者162が操作した手動バルブの変化後の状態(閉状態)を示す情報と)を手動機器管理装置123に送信するための操作ボタン1042、
を含む。図10Bの(b)の画面1050において、領域1041は、作業者162が操作した手動バルブの変化後の状態を示す情報として、"閉状態"が入力された様子を示している。
【0172】
なお、図10Bの(b)の例の場合、作業者162により操作ボタン1042が押圧されると、操作結果として、手動バルブ111の識別情報と手動バルブ111の変化後の状態(閉状態)を示す情報とが、手動機器管理装置123に送信される。
【0173】
同様に、図11A及び図11Bは、操作内容として、"手動バルブ112を閉操作"が送信された場合のユーザインタフェースを示している。
【0174】
図11Aの(a)に示すように、画面1110は、操作内容を示すメッセージ1111と、経路情報1112と、撮像装置345を起動させるための操作ボタン1113とを含む。画面1110上で、操作ボタン1113が押圧されると、図11Aの(b)の画面1120へと遷移する。
【0175】
なお、経路情報1112において星印は、携帯端末130の現在位置を表しており、点線矢印は、現在位置から操作内容に含まれる手動バルブ112の位置までの最短経路を示している。作業者162は、経路情報1112に示された点線矢印に従って、操作内容に含まれる手動バルブ112の位置に移動する。
【0176】
図11Aの(b)に示すように、画面1120は、
・操作内容を示すメッセージ1111、
・作業者162の操作予定の手動バルブに取り付けられたQRコード(登録商標)を表示するための領域1121、
・撮影のための操作ボタン1122、
・画面遷移のための(画面1110に戻るための)操作ボタン1123、
を含む。
【0177】
画面1120上で、操作ボタン1122が押圧されると、領域1121に表示されているQRコード(登録商標)が撮影され、図11Aの(c)の画面1130へと遷移する。一方、画面1120上で、操作ボタン1123が押圧されると、画面1110に戻る。なお、QRコード(登録商標)が撮影されると、操作予定の手動バルブの識別情報が取得される。
【0178】
図11Aの(c)に示すように、画面1130は、
・操作内容を示すメッセージ1111、
・撮影されたQRコード(登録商標)を表示するための領域1121、
・作業者162の操作予定の手動バルブの識別情報1125、
・画面1120に戻るための操作ボタン1123、
・画面1140(図11Bの(a))に進むための操作ボタン1124、
を含む。
【0179】
このように、携帯端末130では、操作内容を示すメッセージ1111と、操作予定の手動バルブの識別情報1125とを対応付けて表示する。これにより、作業者162は、操作予定の手動バルブが、操作内容を示すメッセージ1111に含まれる手動バルブと同一であることを確認することができる。
【0180】
その後、操作内容に従って作業者162が手動バルブ112を操作した場合、手動バルブ112の変化後の状態は、"閉状態"となる。このため、作業者162は、操作ボタン1124を押圧する。これにより、画面1130は、画面1140(図11Bの(a))へと遷移する。
【0181】
図11Bの(a)に示すように、画面1140は、
・作業者162が操作することで状態が変化した、手動バルブの変化後の状態を示す情報を入力するための領域1141、
・作業者162が操作した手動バルブの識別情報1125、
を含む。
【0182】
作業者162は、画面1140上で、領域1141の閉ボタンを押圧することで、操作した手動バルブの変化後の状態を示す情報を入力する。これにより、画面1140は、画面1150へと遷移する。
【0183】
図11Bの(b)に示すように、画面1150は、
・作業者162が操作することで状態が変化した、手動バルブの変化後の状態を示す情報が入力された領域1141、
・作業者162が操作した手動バルブの識別情報1125、
・操作結果(作業者162が操作した手動バルブの識別情報1125と、作業者162が操作した手動バルブの変化後の状態(閉状態)を示す情報と)を手動機器管理装置123に送信するための操作ボタン1142、
を含む。図11Bの(b)の画面1150において、領域1141は、作業者162が操作した手動バルブの変化後の状態を示す情報として、"閉状態"が入力された様子を示している。
【0184】
なお、図11Bの(b)の例の場合、作業者162により操作ボタン1142が押圧されると、操作結果として、手動バルブ112の識別情報と手動バルブ112の変化後の状態(閉状態)を示す情報とが、手動機器管理装置123に送信される。
【0185】
<携帯端末による処理の流れ>
次に、非定常運転時の携帯端末130による処理(手動制御処理)の流れについて説明する。図12は、携帯端末による手動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0186】
ステップS1201において、携帯端末130は、手動機器管理装置123より操作内容を受信したか否かを判定する。ステップS1201において、操作内容を受信していないと判定した場合には(ステップS1201においてNOの場合には)、ステップS1210に進む。
【0187】
一方、ステップS1201において、操作内容を受信したと判定した場合には(ステップS1201においてYESの場合には)、ステップS1202に進む。
【0188】
ステップS1202において、携帯端末130は、現在位置を示す位置情報を取得する。
【0189】
ステップS1203において、携帯端末130は、現在位置から、操作内容に含まれる手動機器の位置までの最短経路を探索する。
【0190】
ステップS1204において、携帯端末130は、受信した操作内容と、探索した経路情報とを表示する。
【0191】
ステップS1205において、携帯端末130は、撮影のための操作ボタンが押圧されたか否かを判定する。ステップS1205において、撮影のための操作ボタンが押圧されていないと判定した場合には(ステップS1205においてNOの場合には)、撮影のための操作ボタンが押圧されるまで待機する。
【0192】
一方、ステップS1205において、撮影のための操作ボタンが押圧されたと判定した場合には(ステップS1205においてYESの場合には)、ステップS1206に進む。
【0193】
ステップS1206において、携帯端末130は、操作予定の手動機器に取り付けられたQRコード(登録商標)を撮影することで、操作予定の手動機器の識別情報を取得する。
【0194】
ステップS1207において、携帯端末130は、画面遷移のための操作ボタンが押圧されたか否かを判定する。ステップS1207において、前の画面に戻るための操作ボタンが押圧された判定した場合には、ステップS1204に戻る。
【0195】
一方、ステップS1207において、次の画面に進むための操作ボタンが押圧されたと判定した場合には、ステップS1208に進む。
【0196】
ステップS1208において、携帯端末130は、作業者162が操作した手動機器の変化後の状態を示す情報の入力を受け付ける。
【0197】
ステップS1209において、携帯端末130は、操作結果(取得した手動機器の識別情報と、入力を受け付けた手動機器の変化後の状態を示す情報と)を、手動機器管理装置123に送信する。
【0198】
ステップS1210において、携帯端末130は、手動制御処理を終了するか否かを判定する。ステップS1210において、手動制御処理を継続すると判定した場合には(ステップS1210においてNOの場合には)、ステップS1201に戻る。一方、ステップS1210において、手動制御処理を終了すると判定した場合には(ステップS1210においてYESの場合には)、手動制御処理を終了する。
【0199】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る制御システム200は、
・化学プラント内の手動機器に対する操作指示が入力された場合に、操作内容を作業者の携帯端末に送信する。
・操作内容が送信されたことに応じて、携帯端末より操作結果を受信する。
【0200】
これにより、第1の実施形態に係る制御システム200によれば、化学プラント内の手動機器を適切に制御及び管理することができる。換言すると、第1の実施形態によれば、化学プラント内の手動機器を適切に制御及び管理するための仕組みを提供することができる。
【0201】
また、第1の実施形態に係る制御システム200に含まれる携帯端末130は、
・作業者の操作予定の手動機器の識別情報が取得された場合に、操作内容に含まれる手動機器の識別情報と対応付けて表示する。
・操作予定の手動機器を作業者が操作することで状態が変化した場合の、当該手動機器の変化後の状態を示す情報の入力を受け付ける。
・取得された手動機器の識別情報と、入力を受け付けた手動機器の変化後の状態を示す情報とを対応付けて、操作結果として送信する。
【0202】
これにより、第1の実施形態に係る制御システム200に含まれる携帯端末130によれば、作業者は、化学プラント内の手動機器を、誤りなく操作することができる。また、作業者は、操作結果を誤りなく手動機器管理装置に送信することができる。
【0203】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、受信した操作結果を表示装置121に表示するケースについて説明した。
【0204】
しかしながら、操作結果を受信した場合の処理はこれに限定されず、例えば、受信した操作結果を、不図示の管理装置に送信し、これをトリガとして非定常運転時の次の制御シーケンスを取得するように構成してもよい。
【0205】
また、受信した操作結果が、例えば、非定常運転時の制御シーケンスにおいて規定された操作内容と同じであるか否かを、制御装置120が確認する構成としてもよい。更に、非定常運転時の制御シーケンス等において規定された操作内容と異なることを確認した場合には、制御装置120が、確認結果に基づくメッセージを、運転員161に報知する構成としてもよい。あるいは、制御装置120が、確認結果を不図示の管理装置に送信し、代替の制御シーケンスを取得する構成としてもよい。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0206】
<制御装置及び手動機器管理装置の機能構成>
はじめに、第2の実施形態に係る制御システム200における、制御装置120及び手動機器管理装置123の機能構成について説明する。図13は、制御装置及び手動機器管理装置の機能構成の一例を示す第2の図である。
【0207】
図13に示す機能構成と、上記第1の実施形態において図5を用いて説明した機能構成との相違点は、図13に示す機能構成の場合、制御装置120が操作結果確認部1301(確認部の一例)を有する点である。
【0208】
操作結果確認部1301は、操作結果受信部513より、操作結果として、
・操作が行われた手動機器の識別情報と、
・操作が行われた手動機器の変化後の状態を示す情報と、
・操作が行われた時刻情報(例えば、操作が行われた手動機器の変化後の状態を示す情報が携帯端末130に入力された時刻)と、
を取得する。
【0209】
また、操作結果確認部1301は、制御シーケンス格納部505より、非定常運転時の制御シーケンスを取得し、センサデータ取得部501より、非定常運転時の制御シーケンスにおいて規定された制御条件に対応する各種センサの測定信号を取得する。
【0210】
また、操作結果確認部1301は、非定常運転時の制御シーケンスにおいて規定された制御条件を充足した後に、操作内容に含まれる手動機器が操作されたか否かを確認する。
【0211】
また、操作結果確認部1301は、操作内容に含まれる操作方向に、操作内容に含まれる手動機器が操作されたか否かを確認する。例えば、操作結果確認部1301は、制御条件を充足した後に、手動バルブ111に対して閉操作が行われたか否かを確認する。
【0212】
また、操作結果確認部1301は、確認結果を表示制御部503に通知し、表示制御部503では、確認結果を表示装置121に表示する。これにより、運転員161に対しては、表示装置121を介して、例えば、
・制御条件を充足した後に、手動バルブ111が閉操作されたことを示すメッセージ、あるいは、
・手動バルブ111が閉操作されたが、制御条件を充足する前であったことを示すメッセージ、あるいは、
・制御条件を充足した後で手動バルブ111が操作されたが、閉操作ではなかったことを示すメッセージ、あるいは、
・制御条件を充足した後で閉操作が行われたが、手動バルブ111ではなかったことを示すメッセージ、
等を報知することができる。
【0213】
更に、操作結果確認部1301は、確認結果を不図示の管理装置に送信する。これにより、管理装置では、例えば、
・制御条件を充足した後で手動バルブ111が閉操作されたことを示す確認結果が送信された場合には、非定常運転時の次の制御シーケンスを、制御装置120に送信する。
・手動バルブ111が閉操作されたが、制御条件を充足する前であったことを示す確認結果が送信された場合には、制御条件を充足する前であったことによる不具合をカバーするための非定常運転時の制御シーケンスを、制御装置120に送信する。
・制御条件を充足した後で手動バルブ111が操作されたが、閉操作ではなかったことを示す確認結果が送信された場合には、非定常運転時の制御シーケンスを、再度、制御装置120に送信する。
・制御条件を充足した後で閉操作が行われたが、手動バルブ111ではなかったことを示す確認結果が送信された場合には、操作が行われた手動機器が異なっていたことにより生じる不具合をカバーするための非定常運転時の制御シーケンスを送信する。更に、既に送信した非定常運転時の制御シーケンスを、再度、制御装置120に送信する。
【0214】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係る制御システム200は、
・受信した操作結果が、非定常運転時の制御シーケンスにおいて規定されたとおりの操作であったか否かを確認する。
・確認結果を運転員161に報知する。
・確認結果を管理装置に送信し、確認結果に応じた非定常運転時の制御シーケンスを取得する。
【0215】
これにより、第2の実施形態に係る制御システム200によれば、上記第1の実施形態と同様の効果を享受することができる。加えて、第2の実施形態に係る制御システム200によれば、非定常運転時に適切な制御シーケンスのもとで手動機器を制御することができる。
【0216】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、化学プラントが1つであるケースについて説明した。しかしながら、事業所内のプラント設備は1つに限定されず、複数あってもよい。以下、第3の実施形態について、上記第1及び第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0217】
<プラント設備が複数ある場合のシステム構成>
はじめに、プラント設備が複数ある場合の全体システムのシステム構成について説明する。図14は、複数のプラント設備が含まれる全体システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0218】
図14の例は、複数のプラント設備それぞれが、制御システム200を有するケースを示している。ただし、図14では、説明の簡略化のため、制御システム200に含まれる各装置のうち、制御装置のみを図示している。図14の例では、プラント設備がN個あるため、全体システムには、N台の制御装置(制御装置120_1~120_N)が含まれる。
【0219】
図14に示すように、N台の制御装置(制御装置120_1~120_N)は、それぞれのネットワーク1410を介して、管理装置1400と通信可能に接続される。
【0220】
管理装置1400は、非定常運転時の全体制御シーケンスを構築する。具体的には、管理装置1400は、非定常運転時に、各プラント設備をどのように動作させるかを決定し、各プラント設備の制御シーケンスを規定するとともに、各プラント設備の制御シーケンスを実行させる順序を規定する。
【0221】
図14の例は、非定常運転時に、はじめに、プラント設備1の1番目の制御シーケンス("非定常運転時の制御シーケンス1-1")を実行させることを示している。続いて、プラント設備2の1番目の制御シーケンス("非定常運転時の制御シーケンス2-1")を実行させることを示している。続いて、プラント設備2の2番目の制御シーケンス("非定常運転時の制御シーケンス2-2")と、プラント設備Nの1番目の制御シーケンス("非定常運転時の制御シーケンスN-1")を実行させることを示している。続いて、プラント設備1の2番目の制御シーケンス("非定常運転時の制御シーケンス1-2")を実行させることを示している。
【0222】
このため、図14の例の場合、管理装置1400は、はじめに、制御装置120_1に"非定常運転時の制御シーケンス1-1"を送信する。続いて、管理装置1400は、プラント設備1の1番目の制御シーケンスが適切に実行された場合に、制御装置120_2に"非定常運転時の制御シーケンス2-1"を送信する。続いて、管理装置1400は、プラント設備2の1番目の制御シーケンスが適切に実行された場合に、制御装置120_2に"非定常運転時の制御シーケンス2-2"を、制御装置120_Nに"非定常運転時の制御シーケンスN-1"を送信する。続いて、管理装置1400は、プラント設備2の2番目の制御シーケンスと、プラント設備Nの1番目の制御シーケンスとが適切に実行された場合に、制御装置120_1に"非定常運転時の制御シーケンス1-2"を送信する。
【0223】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第3の実施形態に係る制御システム200は、
・他のプラント設備の制御システムとともに管理装置1400に接続され、管理装置1400により管理された全体制御シーケンスのもとで、非定常運転時の個別の制御シーケンスを取得する。
・取得した制御シーケンスを実行するごとに、確認結果を管理装置1400に通知し、非定常運転時の次の個別の制御シーケンスを取得する。
【0224】
これにより、第3の実施形態に係る制御システム200によれば、上記第1及び第2の実施形態と同様の効果を享受することができる。加えて、第3の実施形態に係る制御システム200によれば、管理装置1400により管理された全体制御シーケンスのもとで、個別の制御シーケンスを実行することができる。
【0225】
[第4の実施形態]
上記各実施形態では、化学プラントの詳細について言及しなかったが、上記各実施形態に係る制御システムは、任意の化学プラントに適用可能である。また、上記各実施形態に係る制御システムが適用される化学プラントにおいて製造される製品は、特に限定されるものではないが、一例として、有機化学製品、無機化学製品が挙げられる。
【0226】
有機化学製品には、石油化学分野、天然ガス化学分野、石炭化学分野、高分子化学分野、油脂分野、精密有機化学分野で製造される製品が含まれる。
【0227】
石油化学分野で製造される製品としては、特に限定されるものではないが、ナフサをはじめとする石油成分を接触分解することによって得られる低分子量のアルケン、芳香族化合物、さらには、これらを原料とした単量体(モノマー)が挙げられる。なお、石油化学製品とは、石油成分を原料として製造される化学物質や製品を総称したものを指すが、原料は石油に限定されず、バイオマス、プラスチック、二酸化炭素であってもよい。また、単量体の混合物の分離、精製のみを実施する場合においても、上記各実施形態に係る制御システムが適用されうる。低分子量アルケンを原料とする製品としては、例えば、プロピレンを原料とする場合、アクリル酸、プロピレンオキサイド、プロピレンカーボネート、アクリロニトリル、プロピレングリコールなどが挙げられる。なお、プロピレンオキサイドの製造方法は、クロロヒドリン法とハルコン法とに大別することができる。ハルコン法は、イソブテン、エチルベンゼン、または、クメンを酸化して得られた有機過酸化物、または、過酸化水素を酸化剤とし、プロピレンと反応させてプロピレンオキサイドを得る方法である。このように、各製品は多岐にわたる方法によって製造されるが、上記各実施形態に係る制御システムは、特定の製法に限定されることなく適用することができる。
【0228】
天然ガス化学分野で製造される製品としては、天然ガスの主成分であるメタンを主成分とする原料を用いて製造される、合成ガス、メタノール、アンモニアが挙げられる。また、天然ガス化学分野で製造される製品としては、これら合成ガス、メタノール、アンモニアを原料として製造される製品が挙げられる。
【0229】
石炭化学分野で製造される製品としては、コークス、石炭ガス、石炭タール、アセチレン、及び、これらを原料とした製品が挙げられる。
【0230】
高分子化学分野で製造される製品としては、プラスチック製品、合成繊維、ゴム製品、接着剤、医療材料、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなど、単量体を重合させて樹脂にした製品などが挙げられる。
【0231】
油脂分野で製造される製品としては、乳化剤、バイオディーゼル、石鹸、マーガリン、食用油、化粧品などが挙げられる。
【0232】
精密有機化学分野で製造される製品としては、医薬品・医薬中間体、香料、フレーバー、液晶材料、光反応性材料、錯体触媒、精密有機合成によって製造された高分子材料などが挙げられる。
【0233】
無機化学製品としては、固体触媒、無機酸化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、無機ガス等が挙げられる。無機ガスとしては、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素、水素が挙げられるが、これらを化学プラントで製造、使用する場合においても、上記各実施形態に係る制御システムが適用されうる。
【0234】
[その他の実施形態]
上記第1の実施形態では、定常運転時の制御シーケンスが終了した場合に、制御機器群114の操作端である制御バルブ等は、終了動作を行い、非定常運転時の制御シーケンスでは動作しないものとして説明した。しかしながら、制御機器群114の操作端である制御バルブ等は、非定常運転時の制御シーケンスにおいても所定の動作を行うように構成してもよい。
【0235】
また、上記第1及び第2の実施形態では、プラント設備が化学プラントであるとして説明したが、化学プラント以外のプラント設備であってもよい。
【0236】
また、上記第3の実施形態では、管理装置1400による全体制御シーケンスの構築方法について言及しなかった。しかしながら、非定常運転時の全体制御シーケンスは、例えば、過去の実績データに基づいて学習処理を行うことで、予め学習済みモデルを生成しておき、生成しておいた当該学習済みモデルを用いることで構築されてもよい。また、非定常運転時の全体制御シーケンスを構築するタイミングは、例えば、いずれかのプラント設備において異常が発生したタイミングであってもよい。
【0237】
また、上記第3の実施形態では、それぞれの制御システム200が、非定常運転時の個別の制御シーケンスを適切に実行するものとして説明した。しかしながら、非定常運転時の個別の制御シーケンスが常に適切に実行されるとは限られず、適切に実行されないことも想定される。このように、非定常運転時の個別の制御シーケンスが適切に実行されなかった場合、管理装置1400では、例えば、上記学習済みモデルを用いて、以降の全体制御シーケンスを再構築するように構成してもよい。
【0238】
また、上記各実施形態では、携帯端末130の機能構成の一例として、図9を挙げたが、携帯端末130の機能構成はこれに限定されず、図9に示した機能以外の機能を有していてもよいし、図9に示した機能の一部は有していなくてもよい。
【0239】
例えば、携帯端末130は、経路探索部903を有していなくてもよい。この場合、携帯端末130の画面1010(または画面1110)には、経路情報1012(または経路情報1112)は表示されず、レイアウト情報と現在位置とが表示される。
【0240】
あるいは、携帯端末130は、位置情報取得部902を有していなくてもよい。この場合、携帯端末130の画面1010(または画面1110)には、経路情報1012(または経路情報1112)も、レイアウト情報及び現在位置情報も表示されない。
【0241】
また、上記各実施形態では、制御システム200において、制御装置120と手動機器管理装置123とを別体として構成したが、制御装置120と手動機器管理装置123とは一体として構成してもよい。なお、制御装置120と手動機器管理装置123とを一体として構成する場合、上記各実施形態で説明した制御装置120の機能及び手動機器管理装置123の機能は、例えば、制御プログラムが実行されることで実現されてもよい。
【0242】
同様に、上記各実施形態では、制御システム200において、表示装置121と操作装置122とを別体として構成したが、表示装置121と操作装置122とは一体として構成してもよい。
【0243】
同様に、上記各実施形態では、制御システム200において、操作装置122と操作装置124とは別体として構成したが、操作装置122と操作装置124とは一体として構成してもよい。
【0244】
また、上記各実施形態において説明した、制御装置120の機能の一部または全部は、手動機器管理装置123において実現されてもよい。あるいは、上記各実施形態において説明した手動機器管理装置123の機能の一部または全部は、制御装置120において実現されてもよい。
【0245】
また、上記各実施形態では、手動機器にQRコード(登録商標)が取り付けられるものとして説明した。しかしながら、手動機器に取り付けられる識別体は、QRコード(登録商標)に限定されず、手動機器の識別情報を取得することが可能な識別体であれば、他の識別体を利用してもよい。
【0246】
他の識別体を利用するケースとしては、例えば、バーコードや、手動機器を特定できる名前を記載したタグプレートであってもよい。
【0247】
また、他の識別体を利用するケースとしては、例えば、携帯端末130がRFID発信機能を有し、かつ、手動機器がRFID受信用のICタグを有するケースが考えられる。当該ケースによれば、携帯端末130より発信されたRFID信号に基づいてICタグが起動されるため、携帯端末130は、識別体としてのICタグより手動機器の識別情報を取得することができる。
【0248】
また、他の識別体を利用するケースは、手動機器に取り付けられる特定の物体を利用するケースに限定されない。例えば、予め手動機器を含む風景を撮影した画像を、当該手動機器の識別情報と対応付けて携帯端末130に保持しておき、作業者162が操作予定の手動機器を含む風景を撮影した際に、予め保持した画像のいずれと一致するかを判定するケースが考えられる。なお、ここでいう画像とは、距離情報を含む3次元画像である。当該ケースによれば、携帯端末130は、一致する画像に対応付けられた識別情報を取得することができる。つまり、この場合、手動機器を含む風景全体が識別体となる。
【0249】
また、上記各実施形態では、手動機器の一例として、手動バルブを挙げたが、手動バルブ以外の手動機器であってもよい。
【0250】
また、上記各実施形態では、表示装置121に表示される画面の一例を図6図7等に示したが、表示装置121に表示される画面は、これらに限定されない。例えば、図6図7の例では、画面630、画面720に、操作内容を指示するメッセージ(符号631、符号721)を表示したが、操作内容を指示するメッセージは、他の画面に表示してもよい。あるいは、不図示の他の表示装置に表示してもよい。
【0251】
また、上記各実施形態では、作業者162が操作することで状態が変化した、手動機器の変化後の状態を示す情報を、表示装置121に表示する構成とした。しかしながら、手動機器の変化後の状態を示す情報の反映先は表示装置121の画面に限定されず、例えば、化学プラント内の制御機器群114が記載された図面に反映されてもよい。このように、手動機器の変化後の状態を示す情報が反映された図面を作成する構成とすることで、次のような効果が得られる。例えば、運転員161または作業者162が、他の運転員または他の作業者に化学プラント内の手動機器の状態を引き継ぐ際に、当該図面を作成することで、その時点での手動機器の状態を他の運転員または他の作業者に正しく伝達することができる。
【0252】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0253】
100 :制御システム
111、112 :手動バルブ
120 :制御装置
121 :表示装置
122 :操作装置
123 :手動機器管理装置
124 :操作装置
130 :携帯端末
151、152 :QRコード(登録商標)
200 :制御システム
501 :センサデータ取得部
502 :制御条件充足判定部
503 :表示制御部
504 :制御シーケンス取得部
511 :指示受付部
512 :操作内容送信部
513 :操作結果受信部
901 :操作内容受信部
902 :位置情報取得部
903 :経路探索部
904 :表示制御部
905 :操作受付部
906 :撮影制御部
907 :識別部
908 :状態情報受付部
909 :操作結果送信部
1301 :操作結果確認部
1400 :管理装置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14