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特開2024-104742半導体製造加工のための重り付きリフトピン構造
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  • 特開-半導体製造加工のための重り付きリフトピン構造 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104742
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】半導体製造加工のための重り付きリフトピン構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240729BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240729BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H01L21/68 N
C23C16/44 B
C23C14/50 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006811
(22)【出願日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】63/440,726
(32)【優先日】2023-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロハン・ヴィジャイ・レーン
(72)【発明者】
【氏名】アンキト・キムティー
(72)【発明者】
【氏名】トッド・ロバート・ダン
(72)【発明者】
【氏名】アクシャイ・パドニス
(72)【発明者】
【氏名】カイル・フォンデュルリア
(72)【発明者】
【氏名】スダンシュ・ビヤニ
(72)【発明者】
【氏名】ムン・ピョー・ウォン
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
5F131
【Fターム(参考)】
4K029BD01
4K029JA01
4K029KA01
4K030CA04
4K030GA02
4K030KA45
4K030KA46
4K030KA47
4K030LA12
4K030LA15
5F131AA02
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA17
5F131CA45
5F131CA47
5F131EA03
5F131EA04
5F131EB72
(57)【要約】
【課題】半導体製造加工のための重り付きリフトピン構造を提供する。
【解決手段】開示の通りの重り付きリフトピン構造は、半導体製造加工装置とともに使用されてもよい。重り付きリフトピン構造は、リフトピンと、リフトピンの端に沿って配置された重り要素とを備える。重り要素は、クリップ要素と、Oリング要素と、異なるように構成されたリフトピンおよび重り要素のねじ付きセクションとでありうる保持要素によって、リフトピン上に取り外し可能に保持されている。クリップ要素またはOリング要素が使用される時に、重り要素は重り要素の開口部の端に隣接するカラーを含み、リフトピン上に使用されている時に、その中にクリップまたはOリング要素の定置を受け入れて、それによって重り要素に対するリフトピンの軸方向の定置を維持する。こうした軸方向の定置の維持はまた、異なるように構成されたリフトピンと重り付き要素のねじ付きセクションの間の干渉係止係合によって達成されうる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバと、
半導体基材を上に定置するために、前記反応チャンバの中に配置されたサセプタであって、前記サセプタの軸方向に貫通孔を有する、サセプタと、
前記サセプタの上方に前記半導体基材を持ち上げるために、前記それぞれの貫通孔の中に摺動可能に配置されたリフトピンと、を備え、前記リフトピンが、前記サセプタの下方に配置されている前記リフトピンの端に沿って配置された重り要素を備え、クリップ要素と、Oリング要素と、異なるように構成されたリフトピンおよび重り要素のねじ付きセクションとから成る群から選択される保持要素によって、前記重り要素が前記リフトピン上に取り外し可能に保持されている、半導体製造加工装置。
【請求項2】
前記重り要素が、前記重りの上部軸端からある距離に延在するフランジセクションと、前記フランジセクションから離れて前記重りの底部軸端まで軸方向に延在するスリーブセクションとを備え、前記スリーブセクションが、前記フランジセクションよりも小さくサイズ設定された外径を有し、前記重り要素が、その中に前記リフトピンの定置を受け入れるために、前記上部軸端から少なくとも一部の距離だけ軸方向に延在する開口部を備える、請求項1に記載の半導体製造加工装置。
【請求項3】
前記スリーブセクションが、前記重り要素の全軸方向長さの大部分に沿って延在する、請求項2に記載の半導体製造加工装置。
【請求項4】
前記重り要素が、上部軸端から底部軸端まで軸方向に貫通して延在する開口部を備える、請求項1に記載の半導体製造加工装置。
【請求項5】
前記リフトピンが、その上に前記クリップ要素または前記Oリング要素のうちの一つの定置を受け入れるために底部軸端に隣接して構成されていて、前記リフトピン上に設置された時に、前記クリップ要素および前記Oリング要素が、前記重り要素に対する前記リフトピンの軸方向定置を保持するために、前記重り要素の前記底部軸端に隣接した前記開口部よりも大きくサイズ設定された外径を有する、請求項4に記載の半導体製造加工装置。
【請求項6】
前記重り要素が、前記開口部に接続されている、かつ前記重り要素の底部軸端から一部の長さだけ軸方向に延在するカラーを備え、前記カラーが、前記開口部よりも大きくサイズ設定された直径を有し、前記カラーが、前記リフトピン上に配置された際に、その中に前記クリップ要素または前記Oリング要素の定置を受け入れるようにサイズ設定されている、請求項5に記載の半導体製造加工装置。
【請求項7】
前記リフトピンが、前記リフトピンに対する前記クリップ要素またはOリング要素の軸方向移動を保持するように動作する、前記底部軸端に隣接した表面特徴を備える、請求項5に記載の半導体製造加工装置。
【請求項8】
前記保持要素が前記クリップ要素である時に、前記表面特徴が、前記クリップ要素の内径よりも大きくサイズ設定された直径を有する、外向きにフレア状の構成を有する前記底部軸端によって提供されている、請求項7に記載の半導体製造加工装置。
【請求項9】
前記保持要素がOリング要素である時に、前記表面特徴が、前記底部軸端に隣接する前記リフトピンの周りに円周方向に延在する、かつその中に前記Oリング要素の内径の定置を受け入れるようにサイズ設定されている陥凹セクションを備える、請求項7に記載の半導体製造加工装置。
【請求項10】
前記リフトピンが、前記Oリング要素の前記リフトピン上への軸方向の定置を受け入れるために、前記陥凹セクションから前記底部軸端まで延在する、半径方向内向きに先細りしたセクションを備える、請求項9に記載の半導体製造加工装置。
【請求項11】
前記リフトピンに対する前記重りの軸方向の定置を保持するために、前記リフトピンと前記重り要素の間に螺合された時に、前記リフトピンに前記重り要素との係止係合を形成させるように、前記リフトピンのねじ付き部分と異なるように構成されているねじ付きセクションを前記重り要素開口部が備える、請求項1に記載の半導体製造加工装置。
【請求項12】
前記重り要素の前記ねじ付きセクションが、前記係止係合を提供するために、前記リフトピンの前記ねじ付き部分と異なるように構成されている傾斜面を備える、請求項11に記載の半導体製造加工装置。
【請求項13】
前記リフトピンがモリブデンから作製されていて、前記リフトピンが、外部表面上に二硫化モリブデンの潤滑層を有するように処理されていて、前記貫通孔の中の前記リフトピンの軸方向移動を容易にする、請求項1に記載の半導体製造加工装置。
【請求項14】
反応チャンバと、半導体基材をその上に定置するために前記反応チャンバの中に配置された、かつサセプタの軸方向に貫通孔を有するサセプタとを備える半導体製造加工装置で使用する重り付きリフトピンであって、
前記サセプタの上方に前記半導体基材を持ち上げるために、前記それぞれの貫通孔の中に摺動可能に配置されることができるリフトピンと、
前記リフトピンに接続された、かつ前記サセプタの下方に配置されることができる重り要素であって、少なくとも部分的にそれを通って延在する開口部を備え、前記重り要素の上部軸端に半径方向外向きにフレア状のセクションと、前記重り要素の底部軸端まで延在する前記フレア状のセクションに対して減少した直径を有するスリーブセクションとを備える、重り要素と、
前記リフトピンに対する前記重り要素の軸方向の定置を保持するように構成された保持要素であって、クリップ要素と、Oリング要素と、傾斜ねじ付き要素とから成る群から選択される、保持要素と、を備える、重り付きリフトピン。
【請求項15】
前記重り要素が、前記開口部から軸方向に、かつ前記開口部よりも大きい直径を有するように構成されている前記開口部の軸方向底部端に隣接して延在するカラーを備える、請求項14に記載の重り付きリフトピン。
【請求項16】
前記クリップ要素が、前記リフトピンの底部端に隣接する前記リフトピンの上方に半径方向に摺動するように構成されていて、前記リフトピンの底部端が、前記底部端を越える前記クリップ要素の軸方向移動を防止するように構成された表面特徴を有する、請求項15に記載の重り付きリフトピン。
【請求項17】
前記クリップ要素が前記リフトピン上に設置されていて、前記重り要素カラーの中に定置されている時に、前記リフトピンに対する前記重り要素の軸方向の定置が保持されるように、前記クリップ要素が、前記スリーブの中に嵌まる前記開口部よりも大きくサイズ設定された外径を有する、請求項16に記載の重り付きリフトピン。
【請求項18】
前記クリップ要素が三日月形状の構成を有し、セラミック材料から形成されている、請求項14に記載の重り付きリフトピン。
【請求項19】
前記Oリング要素が、前記リフトピンの底部端に隣接する前記リフトピンの陥凹セクション内で前記リフトピンの周りに円周方向に適合するように構成されていて、前記Oリング要素が前記リフトピン上に設置されていて、かつ前記重り要素カラーの中に定置されている時に、前記リフトピンに対する前記重り要素の軸方向の定置が保持されるように、前記Oリング要素が、前記スリーブの中に嵌まるようにサイズ設定された外径を有し、前記外径が前記開口部よりも小さくサイズ設定されている、請求項15に記載の重り付きリフトピン。
【請求項20】
前記リフトピンに対する前記重りの軸方向の定置を保持するために、前記リフトピンおよび重り要素が螺合されている時に、係止干渉を提供するように、前記リフトピンのねじ付きセクションと異なるように構成されている傾斜セクションを有するねじ付きセクションを前記重り要素の開口部が備える、請求項14に記載の重り付きリフトピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の通りの重り付きリフトピン構造は、半導体製造加工に使用される重り付きリフトピンに関し、より具体的に、半導体製造加工に使用される反応器における組立の容易さを促進するように、かつこうした半導体製造加工中の確実な使用を促進するように特別に構成された重り付きリフトピン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造加工におけるリフトピンの使用は既知であり、一実施例において、こうしたリフトピンは、半導体ウエハなどの基材に接触させる、かつ後続の半導体加工(材料の原子層堆積、化学処理など)のために反応チャンバの中に配置されたサセプタ上への基材の定置(例えば、相対的な上向きおよび下向きの移動)を誘導する目的で使用される。リフトピンは、例えばリフトピン自体の重量を使用して、重力によってサセプタに対して下向きに移動されうる。特定のタイプの半導体製造加工において、リフトピン自体の重量は、リフトピンの適切な下向きの移動を確実にするために十分ではなく、これはリフトピンが中に配置されている貫通孔の中の材料の存在に起因する場合があり、こうした材料の存在は、材料堆積プロセス等の結果でありうる。従って、こうした問題に対処するために、リフトピンはまた、半導体製造加工中の適切な下向きの重力移動を確実にするために、ばねまたは追加の重量を利用することが知られている。
【0003】
それ故に、重り要素を備えるリフトピンが知られていて、こうした重り付きリフトピンは、リフトピン自体と、リフトピンに十分な重量を加えて、それによって重力による所望の下向きの移動を確実にするためにリフトピンに取り付けられている重り要素とを備える。こうした既知の重り付きリフトピンは、リフトピンと重り要素の間の螺合を頼りにするものを含み、重り要素は、リフトピン上のものに相補的なねじ山を有するねじ付き開口部を有し、重り要素は、重り要素を回転させてリフトピン上にねじ込むことによってリフトピンに取り付けられている。このタイプの既知の重り付きリフトピン構造に存在する問題は、リフトピンおよび重り要素が螺合および接続されている時に起こりうる金属削りくず、粒子、またはこれに類するものを発生することである。こうした金属削りくずまたは粒子を反応チャンバの中に発生および存在させることは、半導体製造プロセスに汚染物質を生じさせるため、望ましくない。
【0004】
また、重り要素をリフトピン上に固定するために止めねじを使用しない場合、後続の半導体製造プロセス中に重り要素が回転またはスピンする場合があり、これは加工されている半導体ウエハに、および/または周囲の加工設備に損傷をもたらす可能性がある、重り付きリフトピンの不適切な動作をもたらしうる。これはまた最終的に、重り要素がリフトピンから分離するという結果をもたらす場合があり、これはまた、半導体ウエハへの損傷および/または半導体加工設備への損傷を引き起こす場合があり、重量リフトピン交換のためのダウンタイムを必要とすることになる。止めねじが使用される場合、利用可能な作業空間が非常に限定される反応チャンバの中でタスクが行われ、それによって小さい止めねじを慎重に取り扱う必要があるため、止めねじの設置は困難であり、面倒であり、時間がかかる。止めねじが誤って落下した場合、反応チャンバ内から止めねじを取り出すプロセスは、追加の時間がかかる工程を取ることを必要とする。さらに、止めねじを利用するこうした重り付きリフトピンは、複数の半導体製造プロセスにわたる使用中の熱サイクルに起因する、止めねじの焼け付きのため、取り外しおよび交換が困難であることが知られている。
【0005】
従って、半導体製造加工で使用する重り付きリフトピンは、既知の重り付きリフトピンに関連する上述の問題を回避して、それによって、こうした重り付きリフトピンを反応チャンバという制限の中で容易に設置することを可能にし、かつこうした既知の重り付きリフトピンと比較した時に、繰り返される信頼できる重り付きリフトピン機能および耐用年数を確実にする様態で特別に構築されることが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に開示の通りの重り付きリフトピン構造は、半導体製造加工装置とともに使用するために構成されている。一実施例において、装置は反応チャンバと、半導体基材を上に定置するための反応チャンバの中に配置されたサセプタとを備え、サセプタは、サセプタの軸方向に貫通孔を有する。本明細書に開示の通りの重り付きリフトピンは、半導体基材をサセプタの上に持ち上げるために、それぞれの貫通孔の中に摺動可能に配置されているリフトピンを備える。リフトピンは、サセプタの下方に配置されているリフトピンの端に沿って配置された重り要素を備え(それによって重り付きリフトピン構造を形成する)、重り要素は保持要素によってリフトピン上に取り外し可能に保持されている。一実施例において、保持要素は、クリップ要素と、Oリング要素と、異なるように構成されたリフトピンおよび重り要素のねじ付きセクションとを含んでもよく、またはそれらから成る群から選択されてもよい。一実施例において、リフトピンはモリブデンから作製されてもよい。リフトピンは、貫通穴の中のリフトピンの軸方向移動を容易にするために、外側表面上に二硫化モリブデンの潤滑層を有するように処理されてもよい。
【0007】
一実施例において、重り付きリフトピンの重り要素は、重りの上部軸端からある距離だけ延在するフランジセクションと、フランジセクションから離れて重りの底部軸端まで軸方向に延在するスリーブセクションとを備えてもよい。こうした実施例において、スリーブセクションは、フランジセクションよりも小さくサイズ設定された外径を有し、重り要素は、その中にリフトピンの定置を受け入れるために、上部軸端から少なくとも一部の距離だけ軸方向に延在する開口部を備える。こうした一実施例において、スリーブセクションは、重り要素の軸方向全長の大部分に沿って延在する。
【0008】
一実施例において、重り付きリフトピンの重り要素は、上部軸端から底部軸端まで軸方向に貫通して延在する開口部を備える。こうした実施例において、リフトピンは、その上にクリップ要素またはOリング要素のうちの一つの定置を受け入れるために底部軸端に隣接して構成されている。リフトピン上に設置された時に、クリップ要素およびOリング要素は、重り要素に対してリフトピンの軸方向定置を保持するために、重り要素の底部軸端に隣接する開口部よりも大きくサイズ設定された外径を有する。こうした一実施例において、重り付きリフトピン重量要素は、開口部と接続されている、かつ重り要素の底部軸端から一部の長さだけ軸方向に延在するカラーを備える。一実施例において、カラーは、リフトピン上に配置された際に、その中にクリップ要素またはOリング要素の定置を受け入れるために、開口部よりも大きくサイズ設定された直径を有する。こうした実施例において、リフトピンは、リフトピンに対するクリップ要素またはOリング要素の軸方向移動を保持するように動作する、底部軸端に隣接する表面特徴を備える。
【0009】
こうした実施例において、保持要素がクリップ要素である時に、表面特徴は、クリップ要素の内径よりも大きくサイズ設定された直径を有する、外向きにフレア状の構成を有する底部軸端によって提供されている。一実施例において、クリップ要素は、三日月形状の構成を有し、セラミック材料から形成されうる。一実施例において、保持要素がOリング要素である時に、表面特徴は、底部軸端に隣接するリフトピンの周りに円周方向に延在する、かつその中にOリング要素の内径の定置を受け入れるようにサイズ設定されている陥凹セクションを備える。一実施例において、Oリング要素は、リフトピンの陥凹セクション内のリフトピンの周りに円周方向に適合するように構成されていて、Oリング要素がリフトピン上に設置されていて、かつ重り要素カラーの中に定置されている時に、リフトピンに対する重り要素の軸方向の定置が保持されるように、Oリング要素は、スリーブの中に嵌まるようにサイズ設定された外径を有し、外径は開口部よりも小さくサイズ設定されている。一実施例において、保持要素がOリング要素である場合、リフトピンは、リフトピン上へのOリング要素の軸方向の定置を受け入れるために、陥凹セクションから底部軸端まで延在する、半径方向内向きに先細りしたセクションを備える。
【0010】
一実施例において、リフトピンに対する重りの軸方向の定置を保持するために、リフトピンと重り要素の間に螺合された時に、リフトピンに重り要素との係止係合を形成させるように、リフトピンのねじ付き部分と異なるように構成されているねじ付きセクションを重り付きリフトピンの重り要素開口部は備える。こうした実施例において、係止係合を提供して、リフトピンに対する重りの所望の軸方向定置を保持するために、リフトピンのねじ式部分またはセクションと異なるように構成されている傾斜面またはセクションを重り要素のねじ付きセクションは備える。
【0011】
本明細書に開示の通りの重り付きリフトピン構造は、重り付きリフトピンを反応チャンバという制限の中で容易に設置することを可能するように、かつ上述の通りの既知の重り付きリフトピンと比較した時に、繰り返される信頼できる重り付きリフトピンの機能および耐用年数を確実にするように特別に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に開示の通りの半導体製造加工のために使用される重り付きリフトピン構造のこれらおよび他の特徴および利点は、添付図面に関連して考慮される時に、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるにつれて、認識されるであろう。
【0013】
図1A図1Aは、半導体製造加工で使用する、第一の位置にある、本明細書に開示の通りの例示的な重り付きリフトピン構造の概略断面図である。
図1B図1Bは、第二の位置にある、図1Aの例示的な重り付きリフトピン構造の概略断面図である。
図2A図2Aは、図1Aおよび図1Bの例示的な重り付きリフトピン構造で使用される、例示的な重り要素の上面斜視図である。
図2B図2Bは、図1Aおよび図1Bの例示的な重り付きリフトピン構造で使用される、例示的な重り要素の底面斜視図である。
図3図3は、図1Aおよび図1Bの重り付きリフトピン構造のセクションの概略断面図である。
図4図4は、半導体製造加工で使用する、本明細書に開示の通りの別の例示的な重り付きリフトピン構造の概略断面図である。
図5図5は、図4の例示的な重り付きリフトピン構造の斜視図であり、それを形成する要素を組み立てられていない状態で示す。
図6図6は、図4の例示的な重り付きリフトピン構造の概略上面図であり、例示的な重り要素および例示的な保持クリップ要素を組み立てられていない状態で示す。
図7図7は、半導体製造加工で使用する、本明細書に開示の通りの別の例示的な重り付きリフトピン構造の概略断面図である。
図8図8は、図7の例示的な重り付きリフトピン構造の概略断面図である。
図9図9は、図7の例示的な重り付きリフトピン構造の拡大セクションの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に開示の通りの重り付きリフトピン構造は概して、半導体製造加工に使用される反応チャンバの限定された空間的制限の中での容易な取り付けを促進するように構成されている保持要素の使用を通して、重り要素に取り付けられているリフトピンを備えるように構成されていて、その一方でまた、反応チャンバに入りうる、かつ汚染源となりうる金属削りくずまたは粒子を生成する可能性を低減または排除する。
【0015】
図1Aは、装置内に配置されている、開示の通りの例示的な重り付きリフトピン102を中に備える半導体製造加工装置100を図示する。一実施例において、重り付きリフトピン102は、上部端106から底部端108まで軸方向に延在するリフトピン104を備え、一実施例において、上部端106は、その上への半導体ウエハの定置を受け入れてそれを支持するように形作られている。一実施例において、上部端106は平坦であってもよい。一実施例において、リフトピン104は円筒形状を有し、半導体製造加工装置100の中の装置112の一部分を通して軸方向に延在する貫通穴110内に定置するようにサイズ設定されている。一実施例において、貫通穴110は、装置100の反応チャンバ114の中に配置されているサセプタ112の一部分を通って延在する。貫通穴110は、その中に配置された、かつリフトピン104と貫通穴110の間に介在するブッシングを含んでもよく、含まなくてもよい。一実施例において、貫通穴110は、その中のリフトピン104の軸方向上下の自由な摺動を可能にするようにサイズ設定されている。
【0016】
リフトピン上部端106は、サセプタ112の上方に位置付けられていて、その上にシリコンウエハの定置を受け入れる。リフトピン104は、底部端108がサセプタ112の下方に配置されているように、貫通穴110を通って延在する。重り要素116は、サセプタ112の下方のリフトピン104に取り付けられていて、かつその中において一部の深さに延在する重り要素116の上部端120を通って軸方向に配置された開口部118を備える。一実施例において、重り付きリフトピン102は、重り要素116をリフトピン102にしっかりと取り付けるように構成された保持要素を備える。一実施例において、保持要素は、図3に関して以下でより詳細に記載の通り、その間に連動螺合を形成するために非相補的であるように特別に構成されている、底部端108に隣接するリフトピンのねじ付きセクション122と、開口部の中に配置された重り要素のねじ付きセクション124との形態で提供されている。
【0017】
図1Aは、サセプタ112とは別々に重り付きリフトピン102を移動させるように構成されたデバイスによって引き起こされる、重り付きリフトピンに対するサセプタ112の上向きの移動、またはサセプタ112に対する重り付きリフトピン102の下向きの移動のいずれかに応答して、製造加工のために、シリコンウエハをサセプタ112の上へとその後下向きに移動させるために、重り付きリフトピン102が、サセプタ112の上方のその上にシリコンウエハの定置を受け入れるために上位置にある、装置100の状態を図示する。
【0018】
図1Bは、上述の通り、かつ図1Aに図示した通りの装置100および重り付きリフトピン102を図示する。ただし、重り付きリフトピン102は、上部端106がサセプタ110により近く軸方向に移動した下位置にある。上述の通り、装置内の重り付きリフトピン102の軸方向位置の変化は、サセプタ112の軸方向の上下移動によって、または重り付きリフトピンの重り要素116の底部端126に接触する、デバイスの軸方向の上下移動によって発生しうる。一実施例において、リフトピン104は、約2~6mmの直径を有してもよく、特定の一実施例において、およそ4mmの直径を有し、約75~150mmの軸方向長さを有してもよく、特定の一実施例において、およそ99mmの軸方向長さを有する。
【0019】
図2Aおよび図2Bは、上部端120を備える、かつ開口部118がその中に延在する、開示した、かつ図1Aおよび図1Bに図示した例示的な重り付きリフトピン102の例示的な重り要素116を図示する。一実施例において、重り要素116は、軸方向長さに沿って上部端120から延在する半径方向外向きにフレア状のセクション128を備えるように構成されている。一実施例において、フレア状のセクション128は、約30~60mmの直径を有し、特定の一実施例において、およそ45mmの直径を有する。一実施例において、フレア状のセクション128は、約2~15mmの軸方向長さに延在し、特定の一実施例において、およそ5mmの軸方向長さを有する。一実施例において、重り要素116は、フレア状のセクション128から離れてある距離だけ軸方向に延在する、かつフレア状のセクションから離れると直径が減少する先細りセクション130(図2Bに最も良く示される)を備える。一実施例において、先細りセクション130は、約15~25mmの初期直径を有し、特定の一実施例において、およそ20mmの初期直径を有し、約3~9mmの最終直径を有し、特定の一実施例において、およそ6mmの最終直径を有する。一実施例において、先細りセクション130は、約4~12mmの軸方向長さに延在し、特定の一実施例において、およそ8mmの軸方向長さを有する。一実施例において、重り要素116は、先細りセクション130の最終直径と同じ一定の直径を有するスリーブセクション132を備え、スリーブセクション132は先細りセクション130から底部端126まで軸方向に延在する。例示的な一実施形態において、スリーブセクションは、約24~32mmの軸方向長さを有し、特定の一実施例において、およそ28mmの軸方向長さを有する。リフトピンおよび重り要素の異なるセクションの特定の寸法が提供されている一方で、リフトピンおよび重り要素セクションの寸法は、例えば半導体製造加工装置のサイズまたはスケールに応じて、開示したものと異なる場合があることと、リフトピンおよび重り要素の寸法のこうした変動は、本明細書に開示の通りの重り付きリフトピン構造の範囲内であるように意図されていることとが理解されるべきである。
【0020】
一実施例において、重り要素116は、同じ量の下向き重力が本明細書に開示の通りの重り付きリフトピンに作用することを確実にして、既存の半導体製造加工設備との後付け使用を可能にするために、既存の重り付きリフトピンとともに使用される既存の重り要素に類似する重さを有するように構成されていて、それによって、費用がかかる、かつ時間がかかる設備の改造または変更を実施する必要性を回避し、本明細書に開示の通りの重り付きリフトピンの容易な交換可能な設置および使用を促進する。一実施例において、重り要素116の開口部118のねじ付きセクション124は、フランジセクション130内に配置されていて、フランジセクション130は、追加的な周囲の機械的支持をそこに提供し、それとのリフトピンのねじ式セクション122の螺合中に、ねじ付きセクション124が半径方向外向きに脱落しないことを確実にし、それによってそれらの間の所望の連動螺合を促進するように動作する。一実施例において、重り要素116は、変形しない、ガス放出しない、またはさもなければいかなる形態の汚染物質も導入しない、かつ半導体加工中に遭遇する温度にて、および化学物質への曝露時に、孔食、すきま腐食、および応力腐食割れに抵抗性のある、半導体製造プロセス環境での使用に適した構造的に堅牢な材料から形成されてもよい。一実施例において、重り要素は金属または金属合金材料から形成されていて、特定の一実施例において、重り要素はオーステナイト系ニッケル-クロム-モリブデン-タングステン合金から形成されている。
【0021】
図3は、重り要素開口部118のねじ付きセクション124およびリフトピン104のねじ付きセクション122を備える、上記に開示した、かつ図1Aおよび図1Bに図示した重り付きリフトピン102のセクション134を図示する。一実施例において、ねじ付きセクションのうちの少なくとも一つは、それらの間に連動係合を引き起こす目的で、その他のねじ付きセクションを補完しないように構成されている。一実施例において、重り要素開口部118のねじ付きセクション124は、リフトピンねじ付きセクション122の表面特徴と合致しない、またはそれを補完しない表面特徴126を有するように構成されている。特定の一実施例において、表面特徴126は、リフトピンのねじの平坦な頂点140構成と合致しない、ねじの頂点部分138に沿って位置付けられたくさび傾斜面の形態で提供されている。一実施例において、くさび傾斜面は、頂点138からおよそ30度の半径方向内向きの離脱角を有する。くさび傾斜面は、ねじの頂点から軸方向に、ねじの隣接する壁部分142だけ延在する。このように構成されたくさび傾斜面126は、リフトピンが重り要素と螺合されている際に、リフトピンのねじ付きセクションとの結合連動係合を形成し、それによって止めねじなどの別個の構成要素を必要とせずに、リフトピン104と重り要素116の間の自己係止接続を提供するように動作する。上記に開示した、かつ図1A図1B図3に図示した重り付きリフトピンは、上述の連動螺合機構を提供するためのねじ付きセクションの特定の構成を図示している一方で、その変形または修正が存在してもよく、例えば係止係合を提供する表面特徴は、くさび傾斜部と異なるように構成されてもよく、および/または表面特徴は、重り要素開口部のねじ付きセクション上にではなく、リフトピンのねじ付きセクション上に提供されてもよいことと、こうしたねじ式連動係合を促進するように機能するこうした変形または修正のすべては、本明細書に開示の通りの重り付きリフトピンの範囲内であるように意図されていることとを理解すべきである。
【0022】
図4は、反応チャンバ214と、その中に軸方向に延在する貫通孔210を有するサセプタ212とを備える、上述した、かつ図1Aおよび図1Bに図示したものに類似の半導体製造加工装置200を図示するが、例示的な重り付きリフトピン202は異なるように構成されている。重り付きリフトピン202は、上部端206から底部端208まで軸方向に延在する、かつサセプタ212の貫通穴210内に配置されているリフトピン204を備える一方で、重り要素216の構成、およびリフトピン202が重り要素216に取り付けられている様態は、図1Aおよび図1Bに図示した重りリフトピンについて上述したものと異なる。この実施例において、重り要素216は、上部端220から軸方向に重り要素216を通って底部端216まで延在する開口部218を備え、リフトピン部分222は開口部218内に配置されていて、リフトピン底部端206は重り要素底部端226に隣接して配置されている。この実施例において、重り付きリフトピン220は、半導体製造加工装置内で上述した同じ様態で機能して、サセプタに対して軸方向にシリコンウエハを受け入れて移動させる。
【0023】
一実施例において、重り付きリフトピン202は、リフトピンと重り要素の間のねじ式連動取り付けを伴わない別個の保持要素の使用によって、リフトピン204と重り要素216の間の取り付けを容易にするように構成されている。一実施例において、リフトピン202は、底部端208に隣接して位置付けられている、かつ重り要素をリフトピン202に保持または固定するために、重り要素を通る開口部218の直径よりも大きい外径を有するようにサイズ設定されている、保持要素228の取り付けを受け入れるように構成されている。一実施例において、重り要素216は、上述の通り、かつ図2Aおよび図2Bに図示されている通り、フレア状のセクション230、先細りセクション232、およびスリーブセクション234(図4を参照)を備えて構成されてもよい。一実施例において、リフトピン204および重り要素216は、上述した、かつ図1Aおよび図1Bに図示した例示的なリフトピンおよび重り要素と同じまたは類似の寸法を有してもよい。一実施例において、リフトピン204は、重り要素開口部218を通って延在するために、上述の軸方向長さよりも大きい軸方向長さを有してもよい。一実施例において、リフトピン204は、約75~150mmの軸方向長さを有してもよく、特定の一実施例において、およそ99mmの軸方向長さを有する。繰り返しになるが、リフトピンおよび/または重り要素の寸法は、開示したものと異なる場合があることと、こうした変動は、本明細書に開示の重り付きリフトピン構造の範囲内であるように意図されていることとが理解される。
【0024】
図5は、リフトピン202と、重り要素216と、保持要素228とを備える、組み立てられていない状態の図4の例示的な重り付きリフトピン202を図示する。一実施例において、保持要素228は、底部端208に隣接するリフトピン202の円周部分の上にかぶさるか、またはパチンと閉まるように構成されている三日月形状のクリップの形態である。一実施例において、保持クリップの内径は、リフトピンの外向きにフレア状の底部端208の外径よりも小さくサイズ設定されているため、(底部端208が重り要素底部端226から延在し、保持クリップがフレア状の底部端208の上方のリフトピン202上に設置されているように、リフトピンが重り要素開口部218を通して挿入された後に)、保持クリップ228がリフトピンから滑り落ちるのを防止するために、リフトピン底部端208は半径方向外向きにフレア状になっている。保持クリップは、半導体製造加工中に、ガス放出またはさもなければ汚染物質粒子を発生することなく、高温条件に耐えることができる所望の度合いの構造的剛性を有する材料から形成されうる。一実施例において、保持クリップは、金属材料またはセラミック材料から形成されてもよく、特定の一実施例において、セラミック材料から形成されている。特定の形状を有する保持要素228が記述されている一方で、同じまたは類似の様態で機能するために、異なる形状の保持要素を使用してもよいことと、こうした異なる形状の保持要素はすべて、本明細書に開示の通りの重りリフトピンの範囲内であるように意図されていることとが理解されるべきである。
【0025】
図6は、上述した、かつ図4および図5に図示した例示的な重り要素216および保持クリップ228を図示する。一実施例において、重り要素216は、底部端226から重り要素の中に軸方向に延在するカラー236を備えてもよい。一実施例において、カラー236は、開口部218と軸方向に整列していて、開口部の内径よりも大きくサイズ設定されている内径を有する。一実施例において、カラー236は、リフトピン上に設置された際に、その中に保持クリップ228の定置を受け入れるために、例えば内径および軸方向長さを有するようにサイズ設定されていて、これは、さもなければ保持クリップ228がリフトピンから半径方向に離脱しないことを確実にするために望ましい場合がある。上述の様態で構成された、保持クリップ228を利用する例示的な重り付きリフトピン202は、容易な設置を可能にして、半導体加工装置の空間的制約内でのリフトピン202への重り付き要素216の取り付けを促進し、螺合を必要とせず、かつ半導体製造加工中に望ましくない汚染を引き起こしうる望ましくない粒子を発生しない。
【0026】
図7は、反応チャンバ314と、その中に軸方向に延在する貫通孔310を有するサセプタ312とを備える、上述した、かつ図1A図1Bおよび図4に図示したものに類似の半導体製造加工装置300を図示するが、例示的な重り付きリフトピン302は異なるように構成されている。重り付きリフトピン302は、上部端306から底部端308まで軸方向に延在する、かつサセプタ212の貫通穴310内に配置されているリフトピン304を備える一方で、重り要素316の構成、およびリフトピン302が重り要素316に取り付けられている方法は、前述した、かつ図示した実施例と異なる。図4の重り付きリフトピンの実施例と同様に、例示的な重り付きリフトピン302は、重り要素316の開口部318を完全に貫通して延在するリフトピン304を備え、リフトピン304を重り要素316に取り付けるために、底部端308に隣接するリフトピン304に取り付けられている別個の保持要素328を利用する。
【0027】
図8は、リフトピン304と重り要素316が組み合わせられて取り付けられている様態をより良く示すために、半導体加工装置から取り外された、図7の重り付きリフトピン302を図示する。上述の通り、リフトピン302は、重り要素上部端320から重り要素底部端326に延在する開口部318を通って軸方向に延在する。一実施例において、保持要素328は、リフトピンの底部端308に隣接するリフトピンの外径の周りに円周方向に適合するように構成されている。保持要素328に隣接する重り付きリフトピン302のセクションを図示する図9でより良く示される通り、保持要素328は、リフトピンの周りに設置されると、重り要素がリフトピンから軸方向に外れるのを防止するために、リフトピン304を重り要素316に取り付けるように動作するように、開口部318の直径よりも大きくサイズ設定された外径を有する。
【0028】
図9を参照すると、一実施例において、リフトピン304は、ある深さだけ半径方向内向きに延在する、かつリフトピン304の周りに円周方向に延在する陥凹セクション340を備えるように構成されている。一実施例において、陥凹セクション340は、リフトピンの底部端308に隣接して位置する。一実施例において、陥凹セクション340は、保持要素328が陥凹セクション340の中のリフトピン304上に軸方向定置位置を保持することを確実にする様態で、その上に保持要素328の定置を受け入れるようにサイズ設定されている外径を有する。一実施例において、保持要素328は、エラストマー材料から作製されたOリングの形態で提供されている。一実施例において、Oリング328は、所望の耐薬品性、および熱安定性を有する、すなわち半導体製造プロセスに関連する化学物質および/または温度条件に供された時に、そのエラストマー特性を保持し、変形せず、ガス放出せず、またはさもなければ潜在的に汚染する粒子を発生しない能力を有するエラストマー材料から作製される。一実施例において、Oリング328は、フッ素ポリマーまたはフルオロエラストマー材料から形成されていて、特定の一実施例において、Oリングはパーフォフルオロエラストマー(FFKM)から形成されている。
【0029】
一実施例において、Oリング328は、リフトピン304の外径よりも小さい内径を有するようにサイズ設定されている。リフトピン上へのOリング328の設置を容易にし促進するために、リフトピン304は、底部端308から陥凹セクション340まで軸方向に延在する先細りセクション344を有するように構成されてもよい。一実施例において、リフトピン底部端308は、底部端308の上にOリングを容易に設置できるように、内径Oリングよりも小さく、またはそれに類似してサイズ設定されているリフトピンの残りの部分と比べて減少した直径を有する。底部端308から延在する先細りセクションは、陥凹セクションを除いて、リフトピンの残りの直径と同じまたはそれに類似の直径まで、直径が徐々に増加する。このように構成された先細りセクションは、Oリングの周りが収縮して、リフトピン304上に据え付けられる陥凹セクション340にOリングが入るまで、Oリングを軸方向に移動する際に、Oリングを徐々に弾性的に拡張することによって、陥凹セクション340の中へのOリングの移動を容易にするように機能する。一実施例において、Oリング328は、約2~4mmの内径を有してもよく、特定の一実施例において、およそ2.5mmの内径を有する。一実施例において、リフトピン304は、図4に図示した例示的な重り付きリフトピンについて上述した通りの直径および長さを有してもよい。特定の一実施例において、リフトピンは、およそ4mmの外径を有し、リフトピン底部端308は、およそ2.75mmの外径を有し、陥凹セクション340は、およそ2.8mmの外径を有し、先細りセクション344は、リフトピン底部端308からおよそ6.5mmの軸方向長さに延在する。
【0030】
一実施例において、重り付きリフトピン302の重り要素316は、底部端226から重り要素の中に軸方向に延在するカラー342を備えてもよい。一実施例において、カラー432は、開口部318と軸方向に整列していて、開口部318の内径よりも大きくサイズ設定されている内径を有する。一実施例において、カラー342は、リフトピン304上に設置された際に、その中にOリング228の定置を受け入れるために、例えば内径および軸方向長さを有するようにサイズ設定されていて、これは、さもなければOリングがリフトピンから半径方向に離脱しないことを確実にするために望ましい場合がある。上述の様態で構成された、Oリング328を利用する例示的な重り付きリフトピン302は、容易な設置を可能にして、半導体加工装置の空間的制約内でのリフトピン302への重り付き要素316の取り付けを促進し、螺合を必要とせず、かつ半導体製造加工中に望ましくない汚染を引き起こしうる望ましくない粒子を発生しない。
【0031】
本明細書に開示の通りのリフトピンは、半導体製造加工に関連する化学物質および高温に供された時に、分解および/またはガス放出せず、またはさもなければ望ましくない粒子状物質を発生しないように、化学的に耐性があり、かつ熱的に安定である構造材料から作製されてもよい。一実施例において、本明細書に開示の通りのリフトピンは、金属または金属合金から形成されてもよく、特定の一実施例において、チタンまたはチタン合金から形成されてもよい。こうした一実施例において、耐摩耗性、耐薬品性などの所望の強化された表面特性を提供する目的で、リフトピン上にコーティングまたはフィルムを提供することが望ましい場合がある。リフトピンがチタンから形成されている一実施例において、窒化チタン(TiN)から作製されたコーティングを提供することが望ましい場合がある。
【0032】
本明細書に開示の通りの重り付きリフトピン構造と、他のリフトピン構成および構造との両方で使用されるリフトピンは、表面摩擦の度合いの低減または表面潤滑の度合いの増加を提供する様態で形成されてもよい。一実施例において、リフトピンは、動作中に貫通孔内で自由に移動し、貼り付かない、またはさもなければ滑らかに上下に移動しないことがないことが望ましい。グリースおよび他のタイプの従来の潤滑剤は、反応チャンバの潜在的な汚染のため、半導体製造加工で使用されるリフトピンでの使用に適していない。例示的な一実施形態において、リフトピンは、わずか数マイクロメートルの厚さでありうる表面処理によって提供された黒鉛様の表面構造を有することが望ましい。一実施例において、この目的を達成するために、モリブデンからリフトピンを形成することが望ましい場合がある。一実施例において、モリブデンリフトピンの表面は、モリブデンジスルフィド膜または層をその上に提供または形成するために処理されてもよく、これは、潜在的な汚染を最小化または回避しながら、リフトピンの所望の滑らかな動作を確実にするために、低減された度合いの摩擦および改善された度合いの表面潤滑を有するリフトピン表面を提供するように動作する。一実施例において、二硫化モリブデンコーティングまたは膜は、約0.1~10マイクロメートルの厚さを有してもよい。低減した表面摩擦特性を有するリフトピンを形成する目的で特定の材料が開示されている一方で、他のタイプの材料を使用して、同一または類似の機能を提供するように動作するリフトピンを形成およびコーティングすることができることと、こうした材料すべては、本明細書に開示の通りの低減した表面摩擦を有するリフトピンの範囲内であるように意図されていることとが理解されるべきである。
【0033】
半導体製造加工で使用される重り付きリフトピンの少数の例示的な実施形態が上記で詳細に開示されているものの、当業者であれば、本明細書に開示の通りの例示的なシステムおよび方法の意図および目的から実質的に逸脱することなく、多くの修正が例示的な実施形態において可能であることを容易に理解するであろう。例えば、特定の外部構成を有する重り要素が開示されている一方で、記載された様態でリフトピンに取り付けられうる異なる外部構成を有する重り要素は、本明細書に開示の通りの重り付きリフトピンの範囲内であるように意図されていることが理解されるべきである。従って、重り付きリフトピンのこうしたすべての修正は、以下の特許請求の範囲に定義される通り、本開示の範囲内に含まれるように意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】