(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104914
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】トナー容器、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240730BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G03G15/08 343
G03G21/16 176
G03G21/16 133
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009351
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】久保 達哉
(72)【発明者】
【氏名】野寺 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 秀男
(72)【発明者】
【氏名】大平 達也
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AA03
2H077AA09
2H077AA12
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AB18
2H077AC02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077DA10
2H077DA15
2H077DA34
2H077DA42
2H077DA72
2H077EA03
2H077GA04
2H171FA03
2H171FA14
2H171FA28
2H171GA12
2H171HA23
2H171JA07
2H171JA45
2H171KA09
2H171KA16
2H171KA22
2H171KA23
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QB35
2H171QB36
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC37
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171WA07
2H171WA21
2H171WA26
(57)【要約】
【課題】ユーザーによってトナー容器が画像形成装置本体から引き出されるときに、トナー容器の姿勢が崩れる不具合を生じにくくする。
【解決手段】画像形成装置本体100のレール部72(設置部)に対して、水平方向を着脱方向として手動で着脱可能なトナー容器32Yであって、レール部72への着脱時における姿勢のトナー容器32Yにおける底部34Y1において最も下方に突出するように形成されて、レール部72への着脱時にレール部72の表面上で滑動される突出部34Y10が設けられている。そして、底部34Y1は、着脱方向における装着方向の下流側の端部から突出部34Y10までの距離Xが、37.5mm~80mmの範囲内になるように形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体の設置部に対して、水平方向を着脱方向として手動で着脱可能なトナー容器であって、
前記設置部への着脱時における姿勢の前記トナー容器における底部において最も下方に突出するように形成されて、前記設置部への着脱時に前記設置部の表面上で滑動される突出部を備え、
前記底部は、前記着脱方向における装着方向の下流側の端部から前記突出部までの距離が、37.5mm~80mmの範囲内になるように形成されたことを特徴とするトナー容器。
【請求項2】
前記着脱方向を回転軸方向として回転して、内部に収容したトナーを開口部に向けて搬送する略筒状の容器本体と、
前記開口部が形成された前記容器本体の頭部が内挿されるとともに、前記開口部から排出されたトナーを容器外に排出するためのトナー排出口を前記底部に具備したキャップ部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のトナー容器。
【請求項3】
前記トナー容器は、前記容器本体に対して前記キャップ部を先頭にして前記設置部に装着され、
前記底部は、前記キャップ部に形成されたことを特徴とする請求項2に記載のトナー容器。
【請求項4】
前記設置部への着脱時における姿勢の前記トナー容器において、前記キャップ部の前記底部における前記突出部の下端は、前記容器本体よりも下方に位置することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のトナー容器。
【請求項5】
前記底部は、内部に収容されるトナーの色、及び、前記画像形成装置本体の機種、のうち少なくとも1つに応じて、形状が異なるように形成された非互換形状部を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトナー容器。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のトナー容器が前記画像形成装置本体の前記設置部に着脱可能に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー容器を前記設置部に着脱するときに開閉される開閉ドアを備え、
前記開閉ドアが開放されたときに、前記画像形成装置本体の内部に露呈する前記設置部と、前記開閉ドアと、の間に、前記設置部に対して前記開閉ドアが下方に位置するような段差が生じることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部にトナーが収容されたトナー容器と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、画像形成装置本体に着脱可能に設置されるトナー容器が多く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1において、トナー容器は、主として、略筒状の容器本体と、キャップ部と、で構成されている。容器本体は、頭部に開口部が形成されて、内周面に螺旋状の突起が形成されている。キャップ部は、その底部にトナー排出口(補給口)が形成されて、容器本体の頭部が内挿される。また、キャップ部の底部は、その一部が下方に突出するように形成されている。
このようなトナー容器は、キャップ部の側を先頭にして、画像形成装置本体のレール部を滑るように手動で押し込まれてセットされる。
そして、画像形成装置本体にセットされたトナー容器は、容器本体が回転駆動されることで、容器本体内のトナーが開口部に向けて搬送される。そして、容器本体の開口部から排出されたトナーが、非回転のキャップ部のトナー排出口を介して容器外に排出される。そして、トナー容器から排出されたトナーは、トナー補給装置によって、現像装置に補給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトナー容器は、ユーザーによって画像形成装置本体から引き出されるときに、トナー容器の姿勢が大きく崩れる不具合が生じやすかった。そして、そのように、トナー容器の姿勢が大きく崩れてしまうと、トナー容器内に残存したトナーが外部に漏出してしまうことがあった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ユーザーによって画像形成装置本体から引き出されるときに、トナー容器の姿勢が崩れる不具合が生じにくい、トナー容器、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるトナー容器は、画像形成装置本体の設置部に対して、水平方向を着脱方向として手動で着脱可能なトナー容器であって、前記設置部への着脱時における姿勢の前記トナー容器における底部において最も下方に突出するように形成されて、前記設置部への着脱時に前記設置部の表面上で滑動される突出部を備え、前記底部は、前記着脱方向における装着方向の下流側の端部から前記突出部までの距離が、37.5mm~80mmの範囲内になるように形成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザーによって画像形成装置本体から引き出されるときに、トナー容器の姿勢が崩れる不具合が生じにくい、トナー容器、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図3】トナー補給装置にトナー容器が設置された状態を示す模式図である。
【
図4】設置部にトナー容器が設置された状態を示す概略斜視図である。
【
図6】トナー容器を装着方向下流側からみた正面図である。
【
図7】トナー容器が画像形成装置本体から引き出される動作を示す概略図である。
【
図8】比較例としての、トナー容器が画像形成装置本体から引き出される動作を示す概略図である。
【
図9】トナー容器におけるキャップ部の底部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にあるトナー容器収容部70(
図4参照)には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナー容器32Y、32M、32C、32Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。これらのトナー容器32Y、32M、32C、32Kは、ユーザーなどの操作者によって手動で画像形成装置本体100に装着されたり取り出されたりするものである。
トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
トナー容器32Y、32M、32C、32Kの下方には、それぞれ、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kが配設されている。そして、トナー容器32Y、32M、32C、32Kに収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kによって、作像部6Y、6M、6C、6Kの現像装置内に供給(補給)される。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、除電装置、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Yの表面にイエロー画像が形成されることになる。
【0012】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、駆動モータによって
図2の時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(
図1参照)から発せられるレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び第1転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上の残留電位が除去される(除電工程である。)。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の下方に配設された露光装置7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、
図1を参照して、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写バックアップローラ12、複数のテンションローラ、中間転写クリーニング装置、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材によって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材12の回転駆動によって
図1中の矢印方向に無端移動される。
【0018】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0020】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙装置26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置26には、用紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0021】
レジストローラ対28に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0022】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
その後、シートPは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0023】
次に、
図2にて、作像部における現像装置の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Y、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Y、現像剤収容部53Y、54Y内に配設された2つの搬送スクリュ55Y、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Y、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部53Y、54Y内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64Yに連通している。
【0024】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、
図2の矢印方向に回転する。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。
【0025】
ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、トナー補給装置60Y(
図3参照)を介して現像剤収容部54Y内に補給される。なお、トナー補給装置の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0026】
その後、現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、2つの現像剤収容部53Y、54Yを循環する(
図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0027】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0028】
次に、
図3及び
図4を用いて、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kについて詳述する。
図3を参照して、装置本体100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32Y、32M、32C、32K内のトナーは、各色の現像装置内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kによって適宜に各現像装置内に補給される。
なお、4つのトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kやトナー容器32Y、32M、32C、32Kは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、イエローに対応したトナー補給装置60Yやトナー容器32Yのみの説明をおこない、他の3つの色に対応したトナー補給装置60M、60C、60Kやトナー容器32M、32C、32Kの説明を適宜に省略する。
【0029】
図4に示すように、トナー容器32Y、32M、32C、32Kが装置本体100のトナー容器収容部70(設置部としてのレール部72が設けられている。)に装着(矢印Q方向の移動である。)されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Y、32M、32C、32Kのシャッタ部材34dが移動してトナー排出口Wが開放されるとともに、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kのトナー補給口73w(
図3参照)とトナー排出口Wとが連通する。これにより、トナー容器32Y、32M、32C、32K内に収容されたトナーが、トナー排出口Wから排出されて、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kのトナー補給口73wからトナータンク部61Y内に貯溜されることになる。
ここで、
図3を参照して、トナー容器32Yは、略円筒状のトナーボトルであって、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持されるキャップ部34Yと、ギア33cが一体的に形成された容器本体33Y(ボトル本体)と、で構成される。容器本体33Yは、キャップ部34Yに対して相対的に回転可能に保持されていて、駆動部91(駆動モータ、駆動ギア81等で構成されている。)によって
図3の矢印方向に回転駆動される。そして、容器本体33Y自体が回転することで、容器本体33Yの内周面に螺旋状に形成された突起33bによって、トナー容器32Y(容器本体33Y)の内部に収容されたトナーが長手方向に搬送されて(
図3の左方から右方への搬送である。)、キャップ部34Yのトナー排出口Wからトナーが排出される。すなわち、駆動部91によってトナー容器32Yの容器本体33Yが適宜に回転駆動されることで、トナータンク部61Yにトナーが適宜に供給される。なお、トナー容器32Y、32M、32C、32Kは、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったときである。)に新品のものに交換される。
【0030】
図3を参照して、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kは、トナー容器収容部70、トナータンク部61Y、トナー搬送スクリュ62Y、撹拌部材65Y、トナーエンドセンサ66Y、駆動部91、等で構成されている。
トナータンク部61Yは、トナー容器32Yのトナー排出口Wの下方に配設されていて、トナー容器32Yのトナー排出口Wから排出されたトナーが貯留される。トナータンク部61Yの底部は、トナー搬送スクリュ62Yの上流部に接続されている。
また、トナータンク部61Yの壁面(底部から所定高さの位置である。)には、トナータンク部61Yに貯留されたトナーが所定量以下になったことを検知するトナーエンドセンサ66Yが設置されている。トナーエンドセンサ66Yとしては、圧電センサ等を用いることができる。そして、トナーエンドセンサ66Yによってトナータンク部61Yに貯留されたトナーが所定量以下になったことが制御部90にて検知(トナーエンド検知)されると、制御部90の制御により駆動部91(駆動ギア81)によってトナー容器32Yの容器本体33Yを所定時間回転駆動してトナータンク部61Yへのトナー補給をおこなう。さらに、このような制御を繰り返してもトナーエンドセンサ66Yによるトナーエンド検知が解除されない場合には、トナー容器32Y内にトナーがないものとして、装置本体100の表示パネルにトナー容器32Yの交換を促す旨の表示をおこなう。
【0031】
また、トナータンク部61Yの中央(トナーエンドセンサ66Yの近傍である。)には、トナータンク部61Yに貯留されたトナーの凝集を防ぐ撹拌部材65Yが設置されている。撹拌部材65Yは、軸部に可撓性部材が設置されたものであって、
図3の時計方向に回転することによりトナータンク部61Y内のトナーを撹拌する。さらに、撹拌部材65Yの可撓性部材の先端が、回転周期でトナーエンドセンサ66Yの検知面に摺接することで、トナーエンドセンサ66Yの検知面にトナーが固着して検知精度が低下する不具合を抑止している。
【0032】
トナー搬送スクリュ62Yは、トナータンク部61Yに貯留されたトナーを斜め上方に搬送するものである。詳しくは、トナー搬送スクリュ62Yは、トナータンク部61Yの底部(最下点)から現像装置5Yの上方に向けてトナーを直線的に搬送する。そして、トナー搬送スクリュ62Yによって搬送されたトナーは、トナー落下搬送経路64Y(
図2参照)を自重落下して現像装置5Y(現像剤収容部54Y)内に補給される。
【0033】
また、
図4を参照して、トナー容器収容部70は、主として、トナー容器32Yのキャップ部34Yを保持するためのキャップ受部73と、トナー容器32Yの容器本体33Yを保持するための設置部(載置部)としてのレール部72と、トナー容器32Yの装着動作時における挿入口となる挿入口部71と、で構成されている。
【0034】
ここで、
図1を参照して、装置本体100の手前側(
図1の紙面垂直方向手前側である。)に設置された開閉ドア110(
図4、
図7参照)を開放すると、トナー容器収容部70(挿入口部71、レール部72)が露呈される。そして、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kの長手方向(回転軸方向)を水平方向とした状態で、装置本体100の手前側から各トナー容器32Y、32M、32C、32Kの着脱(トナー容器の長手方向(回転軸方向)を着脱方向とする着脱操作である。)がおこなわれる。
ここで、レール部72(設置部)は、その長手方向の長さが、容器本体33Yの長手方向の長さに対して同等(又は、それよりも僅かに長く)になるように形成されている。また、キャップ受部73はレール部72における長手方向の一端側(装着方向下流側)に設けられ、挿入口部71はレール部72における長手方向の他端側(装着方向上流側)に設けられている。そのため、トナー容器32Yの装着動作にともない、キャップ部34Yは、挿入口部71を通過した後に、しばらくレール部72上を滑動して、その後にキャップ受部73にセットされることになる。
【0035】
次に、
図5等にて、トナー容器32Y、32M、32C、32Kについて詳述する。
図5に示すように、トナー容器32Yは、主として、略筒状の容器本体33Y(ボトル本体)と、その頭部が内挿されるキャップ部34Y(ボトルキャップ)と、で構成される。
略筒状の容器本体33Yは、トナー容器32Yの着脱方向(
図3の左右方向である。)を回転軸方向として回転して、内部に収容したトナー(粉体)を開口部Aに向けて搬送するものである。
キャップ部34Yは、開口部Aが形成された容器本体33Yの頭部が内挿されるとともに、開口部Aから排出されたトナーを容器外に排出するためのトナー排出口Wが底部34Y1に設けられたものである。
【0036】
図2を参照して、略筒状の容器本体33Yの頭部には、容器本体33Yとともに一体的に回転するギア33cと、開口部Aと、が回転軸方向(
図2の左右方向であって、
図6の紙面垂直方向である。)の一端側に設けられている。開口部Aは、容器本体33Yの頭部(装着動作において先方となる位置である。)に設けられていて、容器本体33Y内に収容されたトナーをキャップ部34Y内のスペース(空洞)に向けて排出するためのものである。
なお、容器本体33Y内からキャップ部34Y内の空洞へのトナー搬送(容器本体33Yの回転駆動)は、キャップ部34Y内におけるトナーが所定の喫水線を下回らない程度に適宜におこなわれる。
【0037】
容器本体33Yのギア33cは、装置本体100のトナー容器収容部70に設けられた駆動ギア81と噛合して、容器本体33Yを長手方向を回転軸方向として
図2の矢印方向に回転駆動させるためのものである。
詳しくは、ギア33cは、開口部Aの周りを1周するように形成されていて、容器本体33Yの回転中心に対して放射状に複数の歯が形成されている。そして、ギア33cは、その一部が、キャップ部34Yに形成された切欠部から露呈して、斜め下方の噛合位置で装置本体100の駆動ギア81と噛合する。そして、駆動ギア81からギア33cに駆動力が伝達されて、容器本体33Yが所定方向に回転することになる。
【0038】
図4及び
図5を参照して、容器本体33Yの長手方向他端側(装着方向の上流側の端部である。)には、トナー容器32Yの着脱作業をおこなう際にユーザーが把持するための把持部33dが設けられている。ユーザーは把持部33dを把持しながら、画像形成装置本体100(レール部72)に対してトナー容器32Yの装着をおこなうことになる(
図5の矢印方向へのトナー容器32Yの移動である。)。
【0039】
また、容器本体33Yの内周面には、螺旋状の突起33b(
図5参照)が設けられている(外周面側から見ると螺旋状の溝となっている。)。この螺旋状の突起33bは、容器本体33Yを長手方向を回転軸方向として回転して、容器本体33Yの内部に収容されたトナーを開口部Aに向けて搬送して開口部Aから排出するためのものである。
このように構成された容器本体33Yは、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂材料で形成されていて、その周面上に配設されるギア33cや把持部33dとともにブロー成形にて一体的に製造することができる。
【0040】
図3、
図5、
図6等を参照して、トナー容器32Yのキャップ部34Yは、その底部34Y1に、シャッタ部材34d、突出部34Y10、等が設けられている。
キャップ部34Yは、容器本体33Yの開口部Aが内挿される。キャップ部34Yの底部34Y1には、容器本体33Yの開口部Aから排出されたトナーを容器外であって鉛直方向下方に排出(自重落下)させるためのトナー排出口Wが形成されている。そして、キャップ部34Yの底部34Y1には、トナー排出口Wの開閉をおこなうためのシャッタ部材34d(
図2、
図6等参照)が、スライド移動可能に保持されている。具体的に、シャッタ部材34dは、キャップ部34Yの側から容器本体33Yの側への長手方向の相対的な移動(
図5の矢印方向の逆方向への移動である。)によりトナー排出口Wを開放して、容器本体33Yの側からキャップ部34Yの側への長手方向の相対的な移動(
図5の矢印方向への移動である。)によりトナー排出口Wを閉鎖する。シャッタ部材34dの開閉動作(トナー排出口Wの開閉動作である。)は、トナー容器収容部70(レール部72)へのトナー容器32Yの長手方向(回転軸方向)の着脱動作に連動しておこなわれる。
【0041】
このように構成されたキャップ部34Yは、開口部Aを介して容器本体33Yに連通していて、開口部Aから排出されたトナーをトナー排出口Wから排出する(
図3中の破線矢印方向の移動である。)。
ここで、本実施の形態では、キャップ部34Yの内部に、長手方向に延在するように略円柱状の空洞(スペース)が形成されている。さらに、キャップ部34Yの内部には、略円柱状の空洞の下方の周面からトナー排出口Wに向けて一定の流路面積(流路断面積)にて柱状に形成されたトナー落下経路が設けられている。これによって、容器本体33Yの開口部Aからキャップ部34Yの空洞に排出されたトナーは、柱状のトナー落下経路を自重落下してトナー排出口Wから容器外(トナータンク部61Y)にスムーズに排出されることになる。
【0042】
以下、本実施の形態におけるトナー容器32Y(32M、32C、32K)の、特徴的な構成・動作について説明する。
先に
図1~
図5等を用いて説明したように、本実施の形態におけるトナー容器32Yは、画像形成装置本体100の設置部としてのレール部72に対して、水平方向を着脱方向として手動で着脱可能に形成されている。
具体的に、画像形成装置本体100(レール部72)にセットされた状態のトナー容器32Yを画像形成装置本体100から取り出すとき、まず、
図7(A)に示すように、開閉ドア110が開放される。そして、開閉ドア110が開放されて、レール部72上に載置されたトナー容器32Yが露呈した状態で、
図7(B)~(D)に示すように、把持部33d(
図5等参照)が片手で把持された状態でトナー容器32Yが矢印方向に引き出されることになる。具体的に、レール部72上をキャップ部34Y(突出部34Y10)が滑動しながら、トナー容器32Yが取り出されることになる。
なお、画像形成装置本体100(レール部72)にトナー容器32Yを手動で装着するときには、上述した
図7(A)~(D)の手順と逆の手順で手動操作がおこなわれることになる。
【0043】
ここで、
図6(及び、
図5、
図7等)を参照して、本実施の形態におけるトナー容器32Yには、設置部としてのレール部72への着脱時における姿勢(
図3~
図7等で示す姿勢である。)のトナー容器32Yにおける底部32Y1において最も下方に突出するように、突出部34Y10が形成されている。そして、この突出部34Y10は、レール部72(設置部)への着脱時にレール部72の表面上で滑動されることになる。
このように、突出部34Y10のみをレール部72上で滑動させながらトナー容器32Yを着脱することで、キャップ部34Yの底部34Y1の全体(又は、トナー容器32Yの底全体)をレール部72上で滑動させながら着脱する場合に比べて、小さな抵抗力でスムーズに着脱操作することができる。なお、そのような効果をさらに向上させるために、突出部34Y10の底面を低摩擦材料で形成することもできる。
【0044】
具体的に、トナー容器32Yが、容器本体33Yに対してキャップ部34Yを先頭にしてレール部72(設置部)に手動で装着されるときに、キャップ部34Yに形成された底部34Y1において下方に突出する突出部34Y10が、レール部72上を滑るようにスライド移動することになる。
また、本実施の形態において、突出部34Y10は、
図6に示すように、キャップ部34Yの底部34Y1において短手方向(長手方向に直交する方向であって、
図6の左右方向である。)の両側にそれぞれ突き出すように形成されている。また、突出部34Yの底面は、水平に形成されている。
また、突出部34Y10は、
図6に示すように、回転軸方向にみたときに、シャッタ部材34dを挟むように形成されるともに、シャッタ部材34dより下方に突出するように形成されている。
また、
図7等に示すように、突出部34Y10は、キャップ部34Yの底部34Y1において、装着方向上流側(
図7の右側であって、容器本体33Yも側である。)の端部に形成されている。また、キャップ部34Yの底部34Y1において、突出部34Y10から装着方向下流側(
図7の左側)の端部までの範囲(距離Xの範囲である。)は、突出部34Yの底面に対して平行であって、水平に形成されている。
【0045】
ここで、
図5、
図7を参照して、本実施の形態において、キャップ部34Yの底部34Y1は、着脱方向における装着方向(
図5の矢印方向である。)の下流側(
図7の左側である。)の端部から突出部34Y10までの距離Xが、37.5mm~80mmの範囲内になるように形成されている。
すなわち、トナー容器32Yを長手方向にみたときに、キャップ部34Yの底部34Y1の先端(装着方向下流側の端面)から突出部34Y10までの距離Xが、37.5mm~80mmの範囲内になるように形成されている。
【0046】
このように構成することで、ユーザー(操作者)によってトナー容器32Yが画像形成装置本体100から引き出されるときに、レール部72(レール状の設置部である。)から突出部34Y10が脱落しても、トナー容器32Yの姿勢が大きく崩れる不具合が生じにくくなる。そのため、トナー容器32Y(突出部34Y10)がレール部72から脱落して、姿勢が崩れてトナー容器32Y内に残存したトナーが外部に漏出してしまう不具合も生じにくくなる。
【0047】
以下、さらに詳しく説明する。
一般的に、平均的な人間の反射時間(平均的な反射神経を有する人間が五感のうち少なくとも1つで現象を把握してから行動をおこすまでに要する時間である。)は、0.2~0.25秒とされている。
また、本願発明者らは、トナー容器32Yの取出し作業に不慣れなユーザーが画像形成装置本体100からトナー容器32Yを取り出すときの引抜き速度を測定する実験をしたところ、多くの人の引抜き速度が150mm/秒以下であることを知得した。
これらのことから、トナー容器32Yの引出し作業中に、ユーザーが何らかの異変を感じてから引出し作業を止めるまでに、37.5mm(=0.25秒×150mm)程度の距離だけ余計に引き抜かれてしまうことになる。
したがって、
図8(A)~(D)に比較例と示すトナー容器132Yのように、キャップ部134Yの底部134Y1において先端から突出部134Y10までの距離Wを37.5mm未満に設定してしまうと、ユーザーが把持部33d(
図3~
図5参照)を片手で把持してトナー容器132Yを引き出すときに、トナー容器132Yがレール部72から完全に抜け切った瞬間に、キャップ部134Yの側の支えが無くなりバランスを崩してレール部72から脱落したトナー容器132Y(キャップ部134Yの側)を、もう一方の手(把持部33dを把持している手ではない、もう一方の手である。)で支えるタイミングを逃してしまうことになる。すなわち、トナー容器132Y(突出部134Y10)がレール部72から脱落した直後に、
図8(D)に示すようにトナー容器132Yの姿勢が全体的に大きく崩れて(水平の姿勢が維持できずに、大きく傾斜した姿勢になって)、トナー容器132Y内に残存したトナーが外部に漏出しやすくなる。特に、姿勢が崩れたトナー容器32Yを床面まで落下させてしまった場合には、トナーの漏出が顕著になってしまう。
これに対して、本実施の形態では、
図7(A)~(D)に示すように、キャップ部34Yの底部34Y1において先端から突出部34Y10までの距離Xを37.5mm以上に設定しているので、ユーザーが把持部33d(
図3~
図5参照)を片手で把持してトナー容器32Yを引き出すときに、突出部34Y10がレール部72から完全に抜け切った瞬間に、突出部34Y10の支えが無くなっても、キャップ部34Yにおいて突出部34Y10から先端部に至る部分(距離Xの部分である。)がレール部72上に載置された状態になり、トナー容器32Yの水平な姿勢が大きく崩れることなく、トナー容器32Y(キャップ部34Yの側)を、もう一方の手(把持部33dを把持している手ではない、もう一方の手である。)で支えるのに要する時間が充分に確保されることになる。そのため、トナー容器32Y(突出部34Y10)がレール部72から脱落しても、そのときに
図7(D)に示すように姿勢が大きく崩れることなく(水平の姿勢が維持されて)、トナー容器32Y内に残存したトナーが外部に漏出しにくくなる。
【0048】
さらに、本願発明者らは、多くのユーザーは、画像形成装置本体100からトナー容器32Yを取り出す作業中に、何らかの異変を感じると、把持部33dを片手で把持して引き抜いていたトナー容器32Yに対してもう一方の手を添えることになるが、異変を感じてからトナー容器32Yを80mm程度引き抜いても何も起きない場合には、添えていたもう一方の手を外してしまうことを知得した。
このことから、本実施の形態では、キャップ部34Yの底部34Y1の先端(装着方向下流側の端面)から突出部34Y10までの距離Xの上限値を80mm以下に設定している。
【0049】
ここで、
図7(及び、
図4)を参照して、本実施の形態における画像形成装置100には、トナー容器32Yをレール部72(設置部)に着脱するときに開閉される開閉ドア110が、支軸を中心に回動可能に設けられている。
そして、開閉ドア110が開放されたときに、画像形成装置本体100の内部に露呈するレール部72(設置部)と、開閉ドア110と、の間に、レール部72に対して開閉ドア110が下方に位置するような段差(
図7(B)において破線で囲んだ部分である。)が生じるように構成されている。
このように段差が形成されることにより、段差が形成されない場合に比べて、
図8(D)に示すように、トナー容器132Yの突出部134Y10がレール部72を抜けたときに、その段差によってトナー容器32Yの姿勢が大きく崩れやすくなる。
したがって、上述した本発明の効果(キャップ部34Yの底部34Y1の先端から突出部34Y10までの距離Xを長く設定することによる効果である。)がさらに発揮されやすくなる。
【0050】
ここで、
図6等を参照して、本実施の形態では、レール部72(設置部)への着脱時における姿勢のトナー容器32Yにおいて、キャップ部34Yの底部34Y1における突出部34Y10の下端は、容器本体33Yよりも下方に位置するように構成している。
このように構成することで、トナー容器32Yの着脱時にレール部72上を突出部34Y10がスムーズに滑動しやすくなる。
【0051】
ここで、本実施の形態において、キャップ部34Yの底部34Y1は、内部に収容されるトナーの色、及び、画像形成装置本体100の機種、のうち少なくとも1つに応じて、形状が異なるように形成された非互換形状部としての嵌合部34Y10aが設けられている。
詳しくは、
図9(A)に示すように、イエロートナーが収容されるイエロー用のトナー容器32Yは、キャップ部34Yの底部34Y1において、略長方体状の嵌合部34Y10a(非互換形状部)が、突出部34Y10の上部の最両端部にそれぞれ形成されている。また、イエロー用のトナー容器32Yがセットされるレール部72には、イエロー用の嵌合部34Y10a(非互換形状部)に嵌合する被嵌合部72a(設置部側の非互換形状部)が形成されている。
これに対して、
図9(B)に示すように、マゼンタトナーが収容されるマゼンタ用のトナー容器32Mは、キャップ部34Mの底部34M1において、略長方体状の嵌合部34M10a(非互換形状部)が、突出部34M10の上部の最両端部から中央部側にズレた位置にそれぞれ形成されている。また、マゼンタ用のトナー容器32Mがセットされるレール部72には、マゼンタ用の嵌合部34M10a(非互換形状部)に嵌合する被嵌合部72b(設置部側の非互換形状部)が形成されている。
また、
図9(C)に示すように、シアントナーが収容されるシアン用のトナー容器32Cは、キャップ部34Cの底部34C1において、略長方体状の嵌合部34C10a(非互換形状部)が、突出部34C10の上部の最両端部からさらに中央部側にズレた位置にそれぞれ形成されている。また、シアン用のトナー容器32Cがセットされるレール部72には、シアン用の嵌合部34C10a(非互換形状部)に嵌合する被嵌合部72c(設置部側の非互換形状部)が形成されている。
さらに、
図9(D)に示すように、黒色トナーが収容されるブラック用のトナー容器32Kは、キャップ部34Kの底部34K1において、略長方体状の嵌合部34K10a(非互換形状部)が、突出部34K10の上部の最両端部から中央部側に最もズレた位置にそれぞれ形成されている。また、ブラック用のトナー容器32Kがセットされるレール部72には、ブラック用の嵌合部34K10a(非互換形状部)に嵌合する被嵌合部72d(設置部側の非互換形状部)が形成されている。
【0052】
このような構成により、4色のトナー容器32Y、32M、32C、32Kは、互いに異なる色用のレール部には設置できずに、非互換性が担保されることになる。そのため、ユーザーが異なる色用のトナー容器を、間違えて設置してしまう不具合を防止することができる。また、4色のトナー容器32Y、32M、32C、32Kには、いずれも、適正な距離Xに突出部34Y10、34M10、34C10、34K10が設けられているため、トナー容器32Y、32M、32C、32Kが画像形成装置本体100から引き出されるときに、トナー容器32Y、32M、32C、32Kの姿勢が崩れる不具合を生じにくくすることができる。
なお、突出部34Y1、34M1、34C1、34K1に形成される非互換形状部は、
図9(A)~(D)のものに限定されず、種々の形状や数のものを用いることができる。
また、
図9(A)~(D)の例では、トナー容器の内部に収容されるトナーの色に応じて形状が異なるように非互換形状部を形成したが、画像形成装置本体100の機種(仕向け地、OEMの有無、バージョンなどである。)に応じて形状が異なるように非互換形状部を形成することもできるし、その双方に応じて形状が異なるように非互換形状部を形成することもできる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態におけるトナー容器32Yは、画像形成装置本体100のレール部72(設置部)に対して、水平方向を着脱方向として手動で着脱可能なトナー容器32Yであって、レール部72への着脱時における姿勢のトナー容器32Yにおける底部34Y1において最も下方に突出するように形成されて、レール部72への着脱時にレール部72の表面上で滑動される突出部34Y10が設けられている。そして、底部34Y1は、着脱方向における装着方向の下流側の端部から突出部34Y10までの距離Xが、37.5mm~80mmの範囲内になるように形成されている。
これにより、ユーザーによってトナー容器32Yが画像形成装置本体100から引き出されるときに、トナー容器32Yの姿勢が崩れる不具合を生じにくくすることができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、トナー容器32Y、32M、32C、32K内にトナーのみを収容したが、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を現像装置に適宜に供給する画像形成装置に対してはトナー容器32Y、32M、32C、32K内に2成分現像剤を収容することもできる。
また、本実施の形態では、略筒状(ボトル状)のトナー容器32Yに対して本発明を適用したが、本発明が適用されるトナー容器はこれに限定されることなく、例えば、箱状のトナー容器などであっても、底部に突出部が設けられたものであれば、本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、上述した本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、本実施の形態において、作像部6Y、6M、6C、6Kの一部又は全部をプロセスカートリッジとすることもできる。その場合であっても、上述した本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0056】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0057】
なお、本願明細書等において、「水平」は、水平に近い状態(略水平)も含むものと定義する。
【符号の説明】
【0058】
5Y 現像装置、
32Y、32M、32C、32K トナー容器(粉体収容器)、
33Y 容器本体、
34Y キャップ部、
34Y1 底部、
34Y10 突出部、
34Y10a 嵌合部(非互換形状部)、
60Y、60M、60C、60K トナー補給装置、
70 トナー容器収納部、
72 レール部(設置部)、
72a 被嵌合部(設置部側の非互換形状部)、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
110 開閉ドア。
【0059】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~7の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
画像形成装置本体の設置部に対して、水平方向を着脱方向として手動で着脱可能なトナー容器であって、
前記設置部への着脱時における姿勢の前記トナー容器における底部において最も下方に突出するように形成されて、前記設置部への着脱時に前記設置部の表面上で滑動される突出部を備え、
前記底部は、前記着脱方向における装着方向の下流側の端部から前記突出部までの距離が、37.5mm~80mmの範囲内になるように形成されたことを特徴とするトナー容器。
(付記2)
前記着脱方向を回転軸方向として回転して、内部に収容したトナーを開口部に向けて搬送する略筒状の容器本体と、
前記開口部が形成された前記容器本体の頭部が内挿されるとともに、前記開口部から排出されたトナーを容器外に排出するためのトナー排出口を前記底部に具備したキャップ部と、
を備えたことを特徴とする付記1に記載のトナー容器。
(付記3)
前記トナー容器は、前記容器本体に対して前記キャップ部を先頭にして前記設置部に装着され、
前記底部は、前記キャップ部に形成されたことを特徴とする付記2に記載のトナー容器。
(付記4)
前記設置部への着脱時における姿勢の前記トナー容器において、前記キャップ部の前記底部における前記突出部の下端は、前記容器本体よりも下方に位置することを特徴とする付記2又は付記3に記載のトナー容器。
(付記5)
前記底部は、内部に収容されるトナーの色、及び、前記画像形成装置本体の機種、のうち少なくとも1つに応じて、形状が異なるように形成された非互換形状部を具備したことを特徴とする付記1~付記4のいずれかに記載のトナー容器。
(付記6)
付記1~付記5のいずれかに記載のトナー容器が前記画像形成装置本体の前記設置部に着脱可能に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
(付記7)
前記トナー容器を前記設置部に着脱するときに開閉される開閉ドアを備え、
前記開閉ドアが開放されたときに、前記画像形成装置本体の内部に露呈する前記設置部と、前記開閉ドアと、の間に、前記設置部に対して前記開閉ドアが下方に位置するような段差が生じることを特徴とする付記6に記載の画像形成装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】