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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104946
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02255 20210101AFI20240730BHJP
   H01S 5/02326 20210101ALI20240730BHJP
【FI】
H01S5/02255
H01S5/02326
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009403
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北島 忠征
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA10
5F173MC01
5F173MC02
5F173MC03
5F173MD14
5F173ME22
5F173ME77
5F173ME85
5F173MF03
5F173MF28
(57)【要約】
【課題】発光素子と反射部材とを精度良く配置できる発光装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る発光装置は、凹部と、平面である上面とを有する基部と、前記上面に配置され、出射端面から光を側方に出射する発光素子と、前記凹部を挟んで前記発光素子の前記側方に配置される反射部材であって、前記上面と同じ平面に配置され、前記光を上方に反射する反射面を備えた反射部材と、を備え、上面視で、前記反射面の少なくとも一部は、前記凹部に重なり、前記上面に垂直な法線方向において、前記反射面の下端は、前記上面よりも下方、かつ前記凹部の底面よりも上方に位置する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部と、平面である上面とを有する基部と、
前記上面に配置され、出射端面から光を側方に出射する発光素子と、
前記凹部を挟んで前記発光素子の前記側方に配置される反射部材であって、前記上面と同じ平面に配置され、前記光を上方に反射する反射面を備えた反射部材と、を備え、
上面視で、前記反射面の少なくとも一部は、前記凹部に重なり、
前記上面に垂直な法線方向において、前記反射面の下端は、前記上面よりも下方、かつ前記凹部の底面よりも上方に位置する、発光装置。
【請求項2】
前記反射部材は、下面において前記基部の前記上面に配置され、
前記反射面は、前記下面に対して傾斜しており、前記法線方向において、少なくとも一部が前記下面の最下点よりも下方に位置する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
上面視で、前記下面の少なくとも一部は前記凹部と重なり、
上面視で、前記発光素子は前記凹部と重ならない、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記反射部材は、前記凹部内に位置し、前記下面と接続し、前記下面に対して傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記反射面の反対側に位置する、請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記傾斜面は、前記反射面に平行であり、
前記傾斜面の面積は、前記下面の面積の1/2よりも小さい、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記凹部は、前記底面と、前記上面と交わり当該上面から下方に延伸する1又は複数の側面によって規定され、
前記反射部材の下端は、前記凹部を規定するいずれの面とも離隔する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記1又は複数の側面は、前記底面に対して傾斜しており、前記底面に対する前記側面の傾斜角は、前記底面に対する前記反射面の傾斜角よりも大きい、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記法線方向において、前記光の光軸と前記反射面との交点は、前記反射面の中点よりも下方に位置する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記反射面の中点は、前記上面よりも上方に位置し、前記上面に垂直な方向において、前記反射面のうち、前記凹部より上方に位置する部分の面積は、前記凹部内に位置する部分の面積よりも大きい、請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記法線方向において、前記底面から前記上面までの長さは、前記発光素子の厚みの6倍以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
前記上面に設けられ、前記発光素子が配置される金属部をさらに有し、
前記金属部は、前記出射端面と同じ方向を向く側面を有し、
前記金属部の前記側面は、上面視で前記凹部とは重ならず、
前記出射端面に垂直な方向において、前記金属部の前記側面と前記出射端面との距離は、50μm以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項12】
前記出射端面に垂直な方向において、前記凹部の最も前記発光素子に近い点と前記金属部の前記側面までの距離は、0μm以上150μm以下である、請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記基部に交わり、前記上面から上方に延伸する1又は複数の側壁部と、
前記側壁部の上方に配置される蓋部と、をさらに備え、
前記蓋部は、前記反射面で反射された光が入射する光入射面を有し、
前記法線方向において、前記光入射面から前記上面までの長さと、前記反射面の上端から前記下端までの長さの差は、200μm以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項14】
前記反射部材は、シリコンを主材料として形成される、請求項1に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、主表面及び主表面に設けられた凹部を含む基板と、主表面に対して固定され、主表面に沿ってレーザ光を出射する出射面を有するレーザ発振部と、凹部の底面に対して固定され、レーザ光を反射する位置に主表面に対して斜めに傾いた傾斜面を有する反射部材と、を備えたレーザ装置が開示されている。
【0003】
このレーザ装置では、レーザ発振部と反射部材とが基板の異なる面に配置されるため、底面から主表面までの高さのばらつきがレーザ発振部と反射部材との実装位置に影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-90044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、発光素子と反射部材とを精度良く配置できる発光装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る発光装置は、凹部と、平面である上面とを有する基部と、前記上面に配置され、出射端面から光を側方に出射する発光素子と、前記凹部を挟んで前記発光素子の前記側方に配置される反射部材であって、前記上面と同じ平面に配置され、前記光を上方に反射する反射面を備えた反射部材と、を備え、上面視で、前記反射面の少なくとも一部は、前記凹部に重なり、前記上面に垂直な法線方向において、前記反射面の下端は、前記上面よりも下方、かつ前記凹部の底面よりも上方に位置する。
【発明の効果】
【0007】
発光素子と反射部材とを精度良く配置できる発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る発光装置を例示する斜視図である。
図2図1に示す発光装置から側壁部及び蓋部を取り除いた状態の斜視図である。
図3図1に示す発光装置から側壁部及び蓋部を取り除いた状態の上面図である。
図4図1のIV-IV断面線における発光装置の断面図である。
図5】第1実施形態に係る発光装置を例示する下面図である。
図6】基部に設けられる金属膜及びビア配線について説明する上面図である。
図7】本実施形態に係る反射部材を例示する斜視図である。
図8】本実施形態に係る反射部材の製造方法を例示する断面図(その1)である。
図9】本実施形態に係る反射部材の製造方法を例示する断面図(その2)である。
図10図4に示す発光装置について、発光素子及び反射部材とその近傍を拡大した拡大断面図である。
図11】第2実施形態に係る発光装置を例示する斜視図である。
図12図11に示す発光装置から側壁部及び蓋部を取り除いた状態の斜視図である。
図13図11に示す発光装置から側壁部及び蓋部を取り除いた状態の上面図である。
図14図11のXIV-XIV断面線における発光装置の断面図である。
図15】第2実施形態に係る発光装置を例示する下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる。しかし、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が過度に制限されるものではない。例えば、「上面」と記載した場合に、常に上を向くように発明が用いられなければならないわけではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0010】
また、本開示において、三角形や四角形等の多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本開示で記載される"多角形"の解釈に含まれるものとする。
【0011】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸等、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、"辺"の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない"多角形"や"辺"を、加工された形状と区別する場合は"厳密な"を付して、例えば、"厳密な四角形"等と記載するものとする。
【0012】
さらに、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置等を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施形態において説明する内容は、他の実施形態や変形例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。さらに、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略した模式図を用いたり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりすることがある。
【0013】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る発光装置は、基部と、発光素子と、反射部材と、を有する。図1から図7を参照して、第1実施形態に係る発光装置200の構造例を説明する。
【0014】
図1は、第1実施形態に係る発光装置200を例示する斜視図である。図2は、図1に示す発光装置200から側壁部213及び蓋部214を取り除いた状態の斜視図である。図3は、図1に示す発光装置200から側壁部213及び蓋部214を取り除いた状態の上面図である。図4は、図1のIV-IV断面線における発光装置200の断面図である。図5は、第1実施形態に係る発光装置200を例示する下面図である。図6は、基部211に設けられる金属膜及びビア配線について説明する上面図である。図7は、本実施形態に係る反射部材240を例示する斜視図である。
【0015】
本実施形態に係る発光装置200は、基部211、発光素子220、金属部231、下側金属部232、及び反射部材240を備える。図示される例では、発光装置200は、さらに側壁部213、蓋部214、保護素子250、及び配線270を備える。なお、発光装置200は、これらの構成要素の全てを備えなくてもよい。
【0016】
発光装置200の各構成要素について説明する。なお、発光装置200に関して、金属部231及び下側金属部232については、基部211と合わせて説明する。
【0017】
図1から図7には、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸と平行な方向を、それぞれ第1方向X、第2方向Y、第3方向Zとしている。第1方向X及び第2方向Yは基部211の上面211aに平行であり、第3方向Zは基部211の上面211aに垂直である。
【0018】
(基部211、金属部231、下側金属部232)
基部211は、上面211a、下面211b、及び凹部217を有している。上面211aは平面である。図示する例で、下面211bは平面である。なお、下面211bは、平面でなくてもよい。上面211aと下面211bとは、例えば平行である。ここで、基部211の面に関して「平行」と記述する場合、±5度の差を許容するものとする。凹部217は、上面211aに開口している。凹部217は、底面217bと、上面211aと交わり上面211aから下方に延伸する1又は複数の側面によって規定される。凹部217は、例えば、上面視で矩形であり、矩形の第2方向Yの長さが第1方向Xの長さよりも長い。
【0019】
図示する例で、凹部217の複数の側面と、基部211の上面211aとが交わる辺をそれぞれ217c、217d、217e、及び217fとする。本明細書では、第1方向Xにおいて対向し、第2方向Yに延伸する2辺を、第1方向Xの正方向側に位置する側の辺からそれぞれ217c、217dとする。さらに、第2方向Yにおいて対向し、第1方向Xに延伸する2辺を、第2方向Yの正方向側に位置する側の辺からそれぞれ217e、217fとする。
【0020】
底面217bは、上面211aよりも面粗度が大きくてもよい。凹部217を規定する1又は複数の側面は、底面217bに対して傾斜している。底面217bに対する各側面の傾斜角は、例えば、60度以上90度以下である。なお、凹部の1又は複数の側面は、底面217bに対して垂直でもよい。
【0021】
また、基部211は、上面211a及び下面211bと接続する1又は複数の側面を有している。1又は複数の側面は、上面211aの外縁と下面211bの外縁とを接続する。基部211は、例えば、直方体又は立方体である。この場合、基部211の上面211a及び下面211bは何れも矩形であり、基部211は4つの矩形の側面を有する。なお、特に正方形を除外するような言及がされていない限り、矩形には正方形も含まれてよいものとする。基部211は、直方体又は立方体でなくてもよい。例えば、基部211は、上面視で任意の形状を有する板状であってもよい。なお、基部211は、板状には限定されず、上面視で円形、楕円形、多角形等の任意の形状であってもよい。
【0022】
基部211は、例えば、絶縁性を有する材料を含有する。基部211は、例えば、セラミックスを主材料として形成することができる。例えば、セラミックスとして、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いることができる。なお、基部211を形成する主材料を、導電性を有する材料としてもよい。例えば、アルミニウム、金、銀、銅、タングステン、鉄、ニッケル、コバルト、若しくはそれらの合金等の金属や、ダイヤモンド、銅ダイヤモンド等の複合材料が挙げられる。
【0023】
基部211の上面211aには、金属部231が設けられている。金属部231を形成する材料は、例えば、銅である。金属部231を形成する他の材料として、例えば、銅-タングステン等が挙げられる。金属部231の厚さT1は、基部211の厚さT3よりも小さい。金属部231の厚さT1は、例えば、30μm以上120μm以下である。このような厚さにすることにより、発光素子220の発する熱を金属部231で効率よく放熱することができる。
【0024】
金属部231は、上面視で、矩形である上面211aの長辺方向において対向する短辺の一辺側に寄って設けられる。より具体的には、上面211aの2つの短辺のうち、第1方向Xの負方向側の短辺に寄って設けられる。図示する例で、金属部231は、上面視で凸形状を有する。より詳細には、金属部231は、上面視で上面211aの長辺方向(第1方向X)において上面211aの中心側に突出する凸部を有する。また、説明の便宜上、金属部231に関して、上面視で突出する凸部に対して第1方向Xの負方向側にへこんでいる部分を凹部と呼ぶ。図示する例では、突出する金属部231の凸部の側面231cが、金属部231の凹部の側面231dに対して上面211aのより中心側に位置する。なお、金属部231は、上面視で矩形であってもよい。
【0025】
ここで、金属部231の凸部及び凹部についてさらに説明する。金属部231は、側面231c及び側面231dに接続する側面231eを有する。金属部231の凸部は、上面視で側面231eを通り、側面231eと平行な直線よりも側面231c側に位置する部分全体である。金属部231の凹部は上面視で側面231eを通り、側面231eと平行な直線よりも側面231d側に位置する部分全体である。
【0026】
上面211aの長辺方向(第1方向X)において、金属部231の凸部の長さは、凹部の長さよりも長い。金属部231の凹部の長さは、金属部231の凸部の長さの例えば0.2倍以上0.7倍以下である。また、上面211aの短辺方向(第2方向Y)におけて、金属部231の凸部の長さは、金属部231の凹部の長さよりも長い。金属部231の凹部の長さは、凸部の長さの例えば0.3倍以上0.7倍以下である。
【0027】
基部211の上面211aには、さらに金属膜261が設けられてもよい。上面視で、金属膜261は、金属部231と離隔して設けられる。金属膜261は、第3方向Zにおいて、その厚さが金属部231の厚さT1の1/3よりも薄いことが好ましい。
【0028】
金属膜261は、上面211aの長辺方向(第1方向X)において、金属部231が寄って配置されている短辺とは反対側の短辺に寄って設けられる。また、金属膜261は、凹部217を挟んで金属部231の反対側に設けられる。
【0029】
図示する例で、金属膜261は、上面視で第1方向Xにおいて金属部231側(負方向側)に突出する凸形状を有する。説明の便宜上、上面視で突出する凸部に対してへこんでいる金属膜261の部分を凹部とする。図3に示す例において、金属膜261の凹部と凸部の境界を破線で示す。第1方向Xにおいて、金属部231の凸部と金属膜261の凹部が上面視で凹部217を挟んで対向する。金属部231の凹部と金属膜261の凸部が上面視で対向する。金属部231の凹部と金属膜261の凸部の間には、凹部217は設けられていない。より具体的には、上面視で、金属部231の側面231cは、凹部217の辺217dと対向する。金属膜261の凹部の辺261cは、凹部217の辺217cと対向する。金属膜261の凸部の辺261eは、凹部217の辺217e及び金属部231の側面231eと対向する。また、金属部231の側面231dは、金属膜261の辺261dと対向する。金属膜261の凸部は、凹部217の第2方向に対向する2辺の一方の辺側に位置する。金属膜261の凸部は、他方の辺側には設けられない。図示する例では、金属膜261の凸部は、凹部217よりも第2方向Yの正方向側に設けられ、負方向側には設けられない。
【0030】
基部211の下面211bには、1又は複数の下側金属部232が設けられてもよい。基部211の下面211bに下側金属部232を設ける場合、下側金属部232の厚さT2は、基部211の厚さT3よりも小さい。また、下側金属部232の厚さT2は、金属部231の厚さT1に対して0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。これにより、基部211の上面211a側と下面211b側の応力の偏りを抑制することができ、基部211に反りが生じることを抑制できる。下側金属部232の厚さT2は、例えば25μm以上150μm以下である。
【0031】
図示の例では、1又は複数の下側金属部232は、第1下側金属部232A、第2下側金属部232B、及び第3下側金属部232Cを有する。図5に示すように、下面視で、第1下側金属部232Aの四隅の一角は、矩形である下面211bの四隅の一角、あるいはその近傍に位置する。より具体的には、第1下側金属部232Aは、下面211bにおいて、第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの負方向側に配置されている。下面視で、第2下側金属部232Bは、下面211bの短辺方向に延伸する辺よりも長辺方向に延伸する辺が長い矩形の形状を有する。第2下側金属部232Bは、第1下側金属部232Aよりも第2方向Yの正方向側に配置される。下面視で、第1下側金属部232Aと第2下側金属部232Bは、下面211bの短辺方向(第2方向Y)において互いに離隔している。長辺方向(第1方向X)において、第2下側金属部232Bは、第1下側金属部232Aよりも長い。また、短辺方向(第2方向Y)において、第2下側金属部232Bは、第1下側金属部232Aよりも短い。
【0032】
下面視で、第3下側金属部232Cは、下面211bの長辺方向(第1方向X)において第1下側金属部232Aと離隔し、短辺方向(第2方向Y)において第2下側金属部232Bと離隔する。より具体的には、第3下側金属部232Cは、第1下側金属部232Aよりも第1方向Xの負方向側、かつ第2下側金属部232Bよりも第2方向Yの負方向側に配置されている。下面視で、長辺方向(第1方向X)において、第3下側金属部232Cは、第2下側金属部232Bよりも短く、第1下側金属部232Aよりも長い。また、短辺方向において、第3下側金属部232Cは、第2下側金属部232Bよりも長い。
【0033】
第1下側金属部232Aは上面視で、金属膜261と部分的に重なる。より詳細には、第1下側金属部232Aは、上面視で金属膜261の凹部と部分的に重なる。第1下側金属部232Aは、上面視で凹部217とは重ならない。第1下側金属部232Aは、上面視で金属膜261の凸部及び金属部231とは重ならない。
【0034】
第2下側金属部232Bは、上面視で金属部231及び金属膜261と部分的に重なる。より詳細には、第2下側金属部232Bは、上面視で金属部231の凹部及び金属膜261の凸部と部分的に重なる。図示する例では、第2下側金属部232Bは、上面視で凹部217とは重ならない。なお、第2下側金属部232Bは、上面視で凹部217と部分的に重なっていてもよい。
【0035】
第3下側金属部232Cは、上面視で金属部231と部分的に重なる。より詳細には、第3下側金属部232Cは、上面視で金属部231の凸部と部分的に重なる。第3下側金属部232Cは、上面視で凹部217と部分的に重なる。第3下側金属部232Cは、上面視で金属膜261とは重ならない。
【0036】
図5及び図6に示すように、基部211には、金属膜261に接続し、基部211を貫通する貫通孔233に設けられる第1ビア配線233Vが設けられてもよい。上面視で、第1ビア配線233Vは、金属膜261の凹部に包含される位置において金属膜261と接続する。また、基部211には、金属部231に接続し、基部211を貫通する貫通孔234に設けられる第2ビア配線234Vが設けられてもよい。上面視で、第2ビア配線234Vは、金属部231の凹部に包含される位置において金属部231と接続する。貫通孔233及び貫通孔234は、基部211の上面211aから下面211bに亘って貫通する。また、図示の例では、第1ビア配線233V及び第2ビア配線234Vは、それぞれ2個である。なお、第1ビア配線233V及び第2ビア配線234Vは、それぞれ1個でもよいし、3個以上でもよい。貫通孔233及び234は、上面視で、例えば、円形、楕円形、矩形等である。
【0037】
第1ビア配線233Vは、第1下側金属部232Aと接続する。金属膜261は、第1ビア配線233Vを介して、第1下側金属部232Aと導通する。第2ビア配線234Vは、第2下側金属部232Bと接続する。金属部231は、第2ビア配線234Vを介して、第2下側金属部232Bと導通する。なお、第3下側金属部232Cには、ビア配線は接続されなくてよい。第3下側金属部232Cは、電気的にフローティングされていてもよい。
【0038】
図6に示すように、基部211には、上面視で、金属膜261及び金属部231を囲む矩形枠状の金属膜262が設けられてもよい。また、上面視で、金属膜262の上面には、後述する側壁部213と接合するための金属接着剤263が設けられる。金属接着剤263の例としては、AuSnが挙げられる。上面視で、金属膜262は、金属膜261及び金属部231と離隔している。なお、図6では、便宜上、金属接着剤263をドットパターンで示している。
【0039】
金属膜261及び262としては、例えば、Ni/Au(Ni、Auの順で積層した金属膜)やTi/Pt/Au(Ti、Pt、Auの順で積層した金属膜)等が挙げられる。金属膜262の厚さは、金属膜261の厚さと同程度であり得る。
【0040】
(側壁部213、蓋部214)
1又は複数の側壁部213は、基部211に交わり、上面211aから上方に延伸する。側壁部213は、上面213a、下面213b、内側面、及び外側面を有している。側壁部213は、例えば、上面視で矩形の枠状である。側壁部213の内側面及び外側面は、基部211の上面211aと交わる。
【0041】
蓋部214は、側壁部213の上方に配置される。蓋部214は、上面214a、及び下面214bを有する。蓋部214の形状は、例えば平板形状である。上面214aと下面214bとは、平行であってもよいし、平行でなくてもよい。また、蓋部214は、上面214a及び下面214bと接続する1又は複数の側面を有している。1又は複数の側面は、上面214aの外縁と下面214bの外縁とに接続する。蓋部214は、例えば、直方体又は立方体である。この場合、蓋部214の上面214a及び下面214bは何れも矩形であり、蓋部214は4つの矩形の側面を有する。蓋部214は、直方体又は立方体でなくてもよい。すなわち、蓋部214は、上面視で矩形には限定されず、上面視で円形、楕円形、多角形等の任意の形状とすることが可能である。
【0042】
側壁部213の下面213bと基部211の上面211aとが接合されている。また、側壁部213の上面213aと蓋部214の下面214bとが接合されている。側壁部213と基部211及び蓋部214との接合には、例えば、金属接着剤を用い得る。金属接着剤としては、例えば、AuSnや金属ペーストが挙げられる。側壁部213と基部211及び蓋部214との接合に樹脂接着剤を用いてもよい。
【0043】
側壁部213は、例えば、シリコンを主材料として形成することができる。なお、側壁部213の他の主材料として、例えばサファイア、石英、ガラス、セラミックス等が挙げられる。セラミックスとしては、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いることができる。蓋部214は、例えば、サファイア、石英、炭化ケイ素、ガラス、シリコン等で形成することができる。蓋部214は、所定波長の光を透過させる光透過領域を有する。蓋部214の全体が光透過領域であってもよい。なお、側壁部213と蓋部214は、同一の主材料で一体に形成してもよい。
【0044】
(発光素子220)
発光素子220は、例えば、半導体レーザ素子である。発光素子220は、半導体レーザ素子に限らず、例えば、発光ダイオード(LED)や有機発光ダイオード(OLED)などであってもよい。図示する発光装置200では、発光素子220として、半導体レーザ素子が採用されている。
【0045】
発光素子220は、例えば、上面視で長方形の外形を有する。また、長方形の2つの短辺のうちの一辺と交わる側面が、発光素子220から放射される光の出射端面220aとなる。また、発光素子220の上面及び下面は、出射端面220aよりも面積が大きい。発光素子220の上面には、金属膜が設けられてもよい。この金属膜には、例えば他の部材と導通するための配線等が設けられる。なお、発光素子220の上面には、金属膜が設けられていなくてもよい。
【0046】
ここで、発光素子220が半導体レーザ素子である場合について説明する。発光素子220から放射される光(レーザ光)は拡がりを有し、出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。ここで、FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布を示す。
【0047】
発光素子220から出射される楕円形状の光に基づき、楕円形状の長径を通る方向をFFPの速軸方向、楕円形状の短径を通る方向をFFPの遅軸方向とする。発光素子220におけるFFPの速軸方向は、発光素子220の活性層を含む複数の半導体層が積層される積層方向と一致し得る。
【0048】
また、発光素子220のFFPの光強度分布に基づいて、ピーク強度値に対する1/e以上の強度を有する光を、主要部分の光と呼ぶものとする。また、この光強度分布において1/eの強度に相当する角度を拡がり角と呼ぶものとする。FFPの速軸方向における拡がり角は、FFPの遅軸方向における拡がり角よりも大きい。
【0049】
また、FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光、あるいは、光軸を通る光、と呼ぶものとする。また、FFPの楕円形状の中心を進む光の光路を、その光の光軸、と呼ぶものとする。
【0050】
発光素子220として、出射される光が可視光である発光素子を用いることができる。可視光を出射する発光素子としては、例えば青色光、緑色光、及び赤色光を出射する発光素子が挙げられる。ここで、青色光、緑色光、及び赤色光を出射する発光素子とは、出射される光の発光ピーク波長がそれぞれ、405nm~494nm、495nm~570nm、及び605nm~750nmの範囲にある発光素子を指すものとする。青色光又は緑色光を出射する発光素子220としては、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、又はAlGaNを用いることができる。また、赤色光を出射する発光素子220として、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。
【0051】
なお、発光素子220から出射される光の発光ピークは、これに限らなくてよい。例えば、発光素子220から出射される光は、前述した色以外の可視光であってもよく、可視光以外に、紫外光、赤外光等を出射する発光素子を用いても良い。
【0052】
(反射部材240)
図7に示すように、反射部材240は、光を上方に反射する反射面240aと、下面240bと、傾斜面240cと、第1側面240dと、第2側面240eと、第3側面240fと、第4側面240gと、第5側面240hとを備える。図示される発光装置200では、反射部材240が備える各面は平面である。
【0053】
図1図6に図示される発光装置200では、反射面240aは矩形である。反射面240aは、下面240bに対して傾斜している。例えば、下面240bを他の部材に対する配置面(載置面)とした場合に、下面240bに垂直な法線方向において、反射部材240の少なくとも一部が下面240bの最下点よりも下方に位置する。このような形状により、例えば発光装置200において、反射部材240の下面240bを基部211の上面211aに接合し、かつ、反射面240aの一部を凹部217内に配置することが可能となる。下面240bに対する反射面240aの傾斜角は、例えば、45度である。なお、傾斜角の具体的な角度について述べる場合、製造精度を考慮して、製造品についてはその具体的な角度から±5度の差を含むものとする。平行及び垂直についても同様である。
【0054】
反射面240aは、第1側面240d、第2側面240eと、第3側面240f、及び第4側面240gと接続する。反射面240aは、下面240b、傾斜面240c、及び第5側面240hとは接続しない。
【0055】
傾斜面240cは、下面240bに対して傾斜する。傾斜面240cは、反射面240aの反対側に位置する。傾斜面240cが、下面240bに対して傾斜する角度は、例えば45度であり、反射面240aと同じであってよい。図示の例では、傾斜面240cは、反射面240aに平行である。傾斜面240cは、下面240bと接続する。また、傾斜面240cは、第1側面240d、第2側面240e、及び第3側面240fと接続する。傾斜面240cは、反射面240a、第4側面240g、及び第5側面240hとは接続しない。傾斜面240cは、例えば矩形である。傾斜面240cの面積は、反射面240aの面積よりも小さい。また、傾斜面240cの面積は、下面240bの面積よりも小さい方が好ましい。傾斜面240cの面積は、下面240bの面積の1/2より小さい方がより好ましい。これにより、基部211に接合する下面240bの面積を十分に確保することができる。
【0056】
第1側面240d及び第2側面240eは、反射面240aの短手方向において、反射面240aを挟んで互いに対向する。第1側面240d及び第2側面240eは、6つの辺を有し、各辺において6つの面と接続する。図示の例では、第1側面240d及び第2側面240eは、それぞれ下面240bに対して垂直である。図示の例では、第1側面240dと第2側面240eとは、平行である。図示する例で、第1側面240d及び第2側面240eは、XZ平面と平行であり、互いに同じ形状を有する。また、図示する例で、第1側面240dの面積は、第2側面240eの面積と同じである。なお、第1側面240d及び第2側面240eの形状及び面積は、これに限定されない。
【0057】
第3側面240f及び第4側面240gは、下面240bに対して傾斜する。第3側面240f及び第4側面240gは、反射面240aの長手方向において、反射面240aを挟んで対向する。第3側面240fは、反射面240a、傾斜面240c、第1側面240d、及び第2側面240eと接続する。第4側面240gは、反射面240a、第1側面240d、第2側面240e、及び第5側面240hと接続する。図示の例では、第3側面240fと第4側面240gとは、平行である。図示する例で、第3側面240f及び第4側面240gは同じ形状を有し、例えば矩形である。第3側面240fの面積は、第4側面240gの面積よりも小さい。
【0058】
第5側面240hは、下面240bに対して傾斜する。第5側面240hは、反射面240aの反対側に位置する。第5側面240hは、下面240b、第1側面240d、第2側面240e、及び第4側面240gと接続する。図示の例では、第5側面240hと反射面240aとは平行である。また、図示の例では、第5側面240hと傾斜面240cと反射面240aは平行である。第5側面240hの面積は、反射面240aの面積よりも小さい。第5側面240hの形状は、例えば矩形である。
【0059】
反射面240aは、曲面であってもよいし、平面と曲面とが混在してもよい。また、反射面240aは、入射する光を所望の方向に反射できれば、矩形でなくてもよい。同様に、反射部材240が有する他の面も、上述した形状に限定されない。
【0060】
反射部材240は、その外形を形成する主材料に、ガラスや金属などを使用できる。主材料は熱に強い材料がよく、例えば、石英やBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属、又はシリコンを用いることができる。また、反射面240aは、例えば、Ag、Al等の金属やTa/SiO、TiO/SiO、Nb/SiO等の誘電体多層膜を用いて形成することができる。
【0061】
(保護素子250)
保護素子250は、半導体レーザ素子等の特定の素子を保護するための構成要素である。例えば保護素子250は、半導体レーザ素子等の特定の素子に過剰な電流が流れて破壊されることを防ぐための構成要素である。保護素子250としては、例えば、Siで形成されたツェナーダイオードを使用できる。また例えば、保護素子250は、特定の素子が温度環境によって故障しないように温度を測定するための構成要素であってもよい。このような温度測定素子としては、サーミスタを使用できる。温度測定素子は、発光素子220の出射端面の近くに配置するのがよい。
【0062】
(配線270)
配線270は、両端を接合部とする線状の形状を有する導電体から構成される。言い換えると、配線270は、線状部分の両端に、他の構成要素と接合する接合部を有する。配線270は、2つの構成要素間の電気的な接続に用いられる。配線270としては、例えば、金属のワイヤを用いることができる。金属としては、例えば、金、アルミニウム、銀、銅、タングステンなどが挙げられる。
【0063】
(反射部材240の製造方法)
図8及び図9を参照して、本実施形態に係る反射部材240の製造方法について説明する。図8及び図9は、本実施形態に係る反射部材240の製造方法を例示する断面図である。まず、図8の矢印上側に示すように、厚さが一定のシリコンウェハ240Wを準備し、シリコンウェハ240Wに、シリコンウェハ240Wの上面を部分的に露出する開口部を備えたマスク600を形成する。マスク600は、例えば、シリコンウェハ240Wの表面を熱酸化して形成したシリコン酸化膜である。マスク600の開口部は、例えば、シリコン酸化膜の一部を反応性イオンエッチング等で除去することにより形成することができる。以下、図8及び図9に示すシリコンウェハ240Wにおいて、マスク600が設けられる側の面を上面、その反対側の面を下面として説明する。
【0064】
次に、図8の矢印下側に示すように、マスク600の開口部内に露出するシリコンウェハ240Wの一部をエッチングにより除去する。エッチング後、シリコンウェハ240Wの上面には複数の凹部が形成される。それぞれの凹部は、2つの傾斜面と底面によって規定される。傾斜面は、上面と接続して上面に対して傾斜する面であり、傾斜角は例えば45度である。底面は、2つの傾斜面に接続する面であり、例えば上面及び下面に対して平行である。底面は、後述する個片化後に反射部材240の傾斜面240cとなり、傾斜面は、個片化後に反射部材240の下面240bとなる。
【0065】
上面の法線方向において、上面から底面までの長さは、底面から下面までの長さよりも長い。より好ましくは、上面から底面までの長さは、底面から下面までの長さの2倍以上である。このよう長さ関係とすることにより、個片化後の反射部材240において、下面240bの面積を十分に確保することができる。また、上面視において、底面の面積を上面の面積と同程度になるようにエッチングを行う。底面をこのような面積とすることにより、個片化後の反射部材240において、傾斜面240cの大きさを確保することができる。
【0066】
次に、シリコンウェハ240Wの下面に反射膜240Mを形成する。反射膜240Mは、例えば、Ag、Al等の金属やTa/SiO、TiO/SiO、Nb/SiO等の誘電体多層膜を用いて形成することができる。反射膜240Mは、例えば、スパッタ法により形成することができる。反射膜240Mが形成された下面は、個片化後の反射部材240の反射面240aとなる。
【0067】
次に、反応性イオンエッチング、ウェットエッチング、ドライエッチング等によりマスク600を除去する。その後、図9の矢印上側に示す一点鎖線の位置でシリコンウェハ240Wを切断することにより、図9の矢印下側に示すようにシリコンウェハ240Wが個片化される。これにより、複数の反射部材240が形成される。シリコンウェハ240Wの切断には、例えば、ブレードやレーザ等を用いることができる。
【0068】
図8の矢印下側において、シリコンウェハ240Wのエッチングには、例えば、水酸化カリウム水溶液(KOH)、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイト液(TMAH)、エチレンジアミンピロカテコール水(EDP)等のアルカリ性水溶液を用いた異方性エッチングを適用できる。このとき、シリコンウェハ240Wの上面および下面が(100)面であれば、平坦な(111)面を斜面とする形状が形成され、(111)面と(100)面とがなす角は約54.7°となる。つまり、図9の矢印下側において、下面240bに対する反射面240aの傾斜角は約54.7°となる。また、シリコンウェハ240Wの上面および下面の(100)面からのオフ角が9.7°であれば、上面および下面に対して約45°の斜面を形成できる。つまり、図9の矢印下側において、下面240bに対する反射面240aの傾斜角は約45°となる。
【0069】
また、シリコンウェハ240Wのエッチングに、例えば、水酸化カリウム水溶液(KOH)にイソプロピルアルコールを添加したエッチング液を用いた異方性エッチングを適用することもできる。このとき、シリコンウェハ240Wの上面および下面が(100)面であれば、平坦な(110)面を斜面とする形状が形成され、(110)面と(100)面とがなす角は約45°となる。つまり、図9の矢印下側において、下面240bに対する反射面240aの傾斜角は約45°となる。
【0070】
ここまで、本実施形態に係る反射部材240の製造方法について説明したが、反射部材240の製造方法は、これに限定されない。
【0071】
(発光装置200)
次に、発光装置200について説明する。
【0072】
発光素子220は、基部211の上面211aに配置される。より具体的には、発光素子220は、金属部231を介して基部211の上面211aに配置される。発光素子220は、金属部231の上面231aに接合される。同様に、保護素子250は、金属部231を介して上面211aに配置される。また、例えば、発光素子220は下面に金属膜を有し、金属部231の上面231aに設けられた金属膜に接合される。そして、これらの金属膜同士が、例えば金属接着剤を介して接合される。この接合に用いる金属接着剤としては、例えばAuSnが挙げられる。発光素子220の下面に設けられる金属膜、上面231aに設けられる金属膜の厚さは、金属膜261の厚さと同程度であり得る。
【0073】
図示される例では、上面211aの垂直方向から見る上面視で、発光素子220は、側壁部213によって側方を囲まれる。これ以降、発光装置についての説明については、「上面視」は、特に言及がない限り、基部211の上面211aの垂直方向における「上面視」を指す。発光素子220は、出射端面220aから光を側方に出射する。図示する例では、出射端面220aから側方に出射された光の光軸は、第1方向Xと平行である。発光素子220から出射される光は、例えば青色光、緑色光、赤色光といった可視光である。なお、発光素子220から出射される光は可視光に限定されず、例えば発光素子220として、紫外光や赤外光を出射する発光素子を用いてもよい。また、図示される例において、発光素子220は、半導体レーザ素子である。
【0074】
発光素子220は、出射端面220aが、金属部231の1つの側面231cと同じ方向を向くように配置される。発光素子220の出射端面220aは、第1方向Xに垂直である。また、発光素子220の出射端面220aは、例えば、側壁部213の1つの内側面又は1つの外側面と平行又は垂直であり得る。上面視で、発光素子220は凹部217と重ならない。また、発光素子220の全体が、金属部231の上面231a上に位置することが好ましい。これにより、発光素子220の放熱性を高めることができる。
【0075】
発光素子220は上面視で、金属部231の上面231aにおいて、凸部の上面に配置される。また、保護素子250は、金属部231の凸部及び凹部にまたがって配置される。より詳細には、発光素子220と保護素子250は、金属部231の凸部の上面において第2方向Yに関して並んで配置される。また、上面視で、発光素子220は、側面231dと重なり側面231dに平行な仮想面と重なる。保護素子250は、前述の仮想面と重ならない。発光素子220は、上面視で金属膜261とは重ならない。発光素子220は、辺261dの延長仮想線と、上面視で重なる。保護素子250は、前述の延長仮想線とは重ならない。
【0076】
反射部材240は、基部211の上面211aと同じ平面に配置される。より詳細には、反射部材240は、発光素子220が配置される平面と同じ平面である上面211aに配置される。つまり、発光素子220と反射部材240は、同じ平面上に配置される。発光素子220と反射部材240とを同じ平面である基部211の上面211aに配置することにより、発光素子220と反射部材240とを精度良く配置できる。このような配置により、例えば発光素子220から出射された光を、その光軸を上面211aに垂直な方向に向けて、反射面240aで精度よく反射することができる。また、反射部材240は、凹部217を挟んで発光素子220の側方に配置される。反射部材240の反射面240aは、発光素子220の出射端面220aの方向を向く。反射面240aは、発光素子220の出射端面220aから出射された光を上方に反射する。
【0077】
反射部材240は、下面240bにおいて基部211の上面211aに配置される。反射部材240は、上面211aにおいて直下に設けられた金属膜261に配置され得る。この場合、反射部材240の下面240bは、金属部231の上面231aよりも下方に位置する。
【0078】
例えば、反射部材240は下面240bに金属膜を有し、この金属膜と金属膜261とが、例えば金属接着剤を介して接合され得る。この接合に用いる金属接着剤としては、例えばAuSnが挙げられる。反射部材240の下面240bに設けられる金属膜の厚さは、金属膜261の厚さと同程度であり得る。また、反射部材240の下面240bは、上面視で金属膜261の凹部に配置される。反射部材240は、上面視で金属膜261の凸部とは重ならない。
【0079】
上面視で、反射面240aの少なくとも一部は、凹部217に重なる。また、上面視で、下面240bの少なくとも一部は凹部217と重なる。図示する例において、反射面240aは、上面視で、その一部が凹部217の内側に位置し、その他の部分が凹部217の外側に位置している。第1方向Xにおいて、反射面240aの長さは、凹部217の長さよりも長い。第2方向Yにおいて、反射面240aの長さは、凹部217の長さよりも短い。
【0080】
上面視で、反射面240aの最も第1方向Xの正方向側に位置する点は、凹部217の辺217cよりも反射部材240側(第1方向Xの正方向側)に位置する。また、上面視で、反射面240aの最も第1方向Xの負方向側に位置する点は、凹部217の辺217dよりも反射部材240側(第1方向Xの正方向側)に位置する。一方、上面視で、傾斜面240cの最も第1方向Xの正方向側に位置する点は、凹部217の辺217cよりも発光素子220側(第1方向Xの負方向側)に位置する。なお、傾斜面240cの最も第1方向Xの負方向側に位置する点は、凹部217の辺217dよりも反射部材240側(第1方向Xの正方向側)に位置する。
【0081】
上面211aに垂直な法線方向において、反射面240aの下端は、上面211aよりも下方、かつ凹部217の底面217bよりも上方に位置する。また、傾斜面240cは、凹部217内に位置する。具体的には、傾斜面240cの下端は、凹部217内に位置し、上面211aよりも下方、かつ、底面217bよりも上方に位置する。つまり、第3方向Zにおいて、反射部材240の下端は、凹部217を規定するいずれの面とも離隔する。凹部217の底面217bと、反射部材240の下端との間には、空間が存在する。底面217bと反射部材240の下端を結んだ直線上に空間が存在する。
【0082】
反射面240aに関して、上面211aよりも上方(第3方向Zの正方向)に位置する部分の面積は、上面211aよりも下方に位置する部分の面積よりも大きい。言い換えると、反射面240aのうち、凹部217よりも上方に位置する部分の面積は、凹部217内に位置する部分の面積よりも大きい。一方で、傾斜面240cに関して、上面211aよりも上方に位置する部分の面積は、上面211aよりも下方に位置する部分の面積よりも小さい。図示する例において、傾斜面240cは、下面240bと交わる辺が上面211aと同じ高さに位置し、その他の部分は全て上面211aよりも下方に位置する。
【0083】
このように、発光装置200では、反射部材240の反射面240aの一部が凹部217内に配置される。この構造では、反射部材240の全体を凹部217の底面217bに配置する場合と異なり、凹部217の底面217bを上面211aに対して平行にする厳密性が要求されないため、凹部217を形成する際の加工が容易となる。また、凹部217の大きさを小さくできるため、基部211の強度の低下を少なくすることができる。
【0084】
また、反射部材240の下端が凹部217の底面217bよりも上方に位置することにより、凹部217の底面217bの粗度が反射部材240の配置精度に影響しないため、凹部217の底面217bの平坦化が不要となる。また、反射部材240の下端が凹部217を規定するいずれの面とも離隔する場合、凹部217を規定するいずれの面の面精度も反射部材240の配置精度に影響しない。
【0085】
凹部217の1又は複数の側面のうち、反射部材240の下面240bと接続する側面は、その底面217bに対する傾斜角が、反射面240aの底面217bに対する傾斜角よりも大きい。つまり、辺217cを含む側面の傾斜角は、反射面240aの傾斜角よりも大きい。また、底面217bに対する凹部217の各側面の傾斜角が大きいほど、第1方向X及び第2方向Yにおいて凹部217を小型化することができる。その結果、第1方向X及び第2方向Yにおいて発光装置200を小型化することができる。
【0086】
凹部217の底面217bの面積は、反射部材240の下面240bの面積よりも小さいことが好ましい。また、出射端面220aに垂直な方向において、凹部217の長さは、反射部材240の下面240bの長さよりも短いことが好ましい。また、凹部217の深さは、基部211の厚さの1/2以下であることが好ましい。このような構造により、凹部217の大きさを小さくできるため、凹部217を形成する際の加工が容易となる。また、凹部217の大きさを小さくできるため、基部211の強度の低下を少なくすることができる。
【0087】
図10は、図4に示す発光装置200について、発光素子220及び反射部材240とその近傍を拡大した拡大断面図である。図10に示すように、発光装置200では、反射部材240の反射面240aの一部が凹部217内に配置されている。そのため、出射端面220aから出射された光の主要部分のうち、光軸OAよりも下方に向かって出射した光の一部は、凹部217内に配置された反射面240aに照射され、上方に反射される。そのため、発光装置200では、発光素子220を配置するサブマウントを用いる必要がない。その結果、発光装置200の部材点数を少なくでき、ひいては発光装置200を小型化することができる。
【0088】
また、図10に示すように、第3方向Zにおいて、発光素子220の出射する光の光軸OAと反射面240aとの交点P1は、反射面240aの中点P2よりも下方に位置する。また、反射面240aの中点P2は、上面211aよりも上方に位置する。例えば、反射面240aの中点P2が上面211aよりも上方に位置するため、反射面のうち凹部217内に位置する部分の面積を最小限にすることができる。これにより、凹部217の大きさを小さくできるため、凹部217を形成する際の加工が容易となる。また、凹部217の大きさを小さくできるため、基部211の強度の低下を少なくすることができる。
【0089】
第3方向Zにおいて、凹部217の底面217bから上面211aまでの長さT4は、発光素子220の厚みT5の6倍以下であることが好ましい。このように、凹部217の深さを浅くすることにより、凹部217を形成する際の加工が容易となる。また、凹部217の深さを浅くすることで、基部211の強度の低下を少なくすることができる。
【0090】
出射端面220aから出射された光の主要部分のうち、光軸OAよりも下方に向かって出射した光は、反射面240aの第3方向Zにおける中点P2よりも下方において反射面240aに照射される。光軸OAよりも下方に向かって出射した光は、凹部217内に位置する反射面240aに照射されてもよい。光軸OAよりも下方に向かって出射した光は、中点P2よりも上方において反射面240aには照射されない。
【0091】
図10に示すように、第1方向Xにおいて、金属部231の側面231cは、上面視で凹部217とは重ならないことが好ましい。また、出射端面220aに垂直な方向において、金属部231の側面231cと出射端面220aとの距離L3は、例えば、50μm以下である。出射端面220aは、側面231cよりも反射部材240側に突出するように配置し得る。この場合、出射端面220aから出射された光が金属部231の上面に照射されることを抑制できる。出射端面220aに垂直な方向において、凹部217の最も発光素子220に近い点P3と金属部231の側面231cまでの距離L4は、例えば、0μm以上150μm以下である。
【0092】
図示する例では、金属部231及び金属膜261は、凹部217を囲むように設けられる。より具体的には、凹部217の辺217cよりも第1方向Xの正方向側に、金属膜261の凹部が位置する。辺217eよりも第2方向Yの正方向側に、金属膜261の凸部が位置する。辺217dよりも第1方向Xの負方向側に金属部231の凸部が位置する。辺217fよりも第2方向Yの負方向側には、金属部231及び金属膜261は設けられない。また、第1方向Xに関して、金属部231及び金属膜261は、凹部217よりも長い。このように、金属部231及び金属膜261は、凹部217と重ならないように設けられる。また、金属部231の凸部と金属膜261の凸部が近接するように、凹部217の周囲を囲むように設けられる。このように設けることで、後述する配線270の接続を容易にしている。
【0093】
図3に示す例では、発光素子220に複数の配線270が接合される。これらの複数の配線270は、一端が、発光素子220の上面に接合され、他端が、金属膜261の凸部のうち辺261cよりも発光素子220側(第1方向Xの負方向側)に接合される。これにより、金属膜261と発光素子220とを接続する配線270の長さを短くすることができる。
【0094】
さらに、図6を参照して、各部材の配置を説明する。凹部217を通り、第2方向Yに平行な仮想線は、上面視で金属膜261を通過する。より詳細には、この仮想線は金属膜261の凸部を通過する。この仮想線は、金属膜261の凹部は通過しない。さらに、凹部217を通り、第1方向Xに平行な仮想線は、上面視で発光素子220及び反射部材240を通過する。
【0095】
発光素子220と接続する複数の配線270の少なくとも一部は、上面視で凹部217と重なる。具体的には、発光素子220の上面に接合される複数の配線270のうち、最も反射部材240側に接合される配線は、他の配線と比して金属膜261の凸部の最も反射部材240側において接合される。この配線が、上面視で凹部217と重なる。図示する例では、この配線以外の配線は、凹部217と上面視で重ならない。
【0096】
図3に示す例では、保護素子250に配線270が接合される。一端が保護素子250に接合される配線270は、他端が金属膜261の凸部のうち辺261cよりも発光素子220側において接合される。保護素子250に接続する配線270は、発光素子220に接続する配線270よりも保護素子250側において金属膜261の凸部に接合される。
【0097】
発光素子220と外部電源との電気的な接続には、例えば、基部211の下面211bに設けられた第1下側金属部232A及び第2下側金属部232Bを利用することができる。
【0098】
側壁部213の下面213bは、基部211の上面211aの外縁に接合されている。例えば、側壁部213の下面213bに設けられた金属膜と、基部211の上面211aに設けられた金属膜262とが金属接着剤263を介して接合し固定される。側壁部213の上面213aは、蓋部214の下面214bの外縁に接合されている。例えば、側壁部213の上面213aに設けられた金属膜と、蓋部214の下面214bに設けられた金属膜262とが金属接着剤を介して接合し固定される。側壁部213及び蓋部214が基部211に接合されることで、基部211、側壁部213、及び蓋部214に囲まれた封止空間が形成される。この封止空間は、気密封止された状態で形成されてもよい。この封止空間が気密封止されることで、発光素子220の出射端面220aに有機物等が集塵することを抑制できる。
【0099】
蓋部214は、反射部材240の上方に反射された光を透過させて外部に出射させる光透過領域を有する。反射部材240の上方に反射された光は、蓋部214の光透過領域を透過して、上面214aから発光装置200の外部に出射される。光透過領域において、蓋部214の下面214bは、反射部材240の反射面240aで反射された光が入射する光入射面となる。蓋部214の上面214aは、光入射面に入射した光を発光装置200の外部に出射する光出射面となる。蓋部214の全体が光透過領域であってもよい。蓋部214の光透過領域は、反射部材240の上方に反射された光の70%以上を透過させる。図4に示すように、第3方向Zにおいて、光入射面となる蓋部214の下面214bから基部211の上面211aまでの長さL1と、反射面240aの上端から下端までの長さL2の差は、例えば、200μm以下である。このような構造により、発光装置200を第3方向Zにおいて小型化することができる。
【0100】
発光装置200の第1方向Xにおける長さは、例えば2500μm以上4000μm以下である。第2方向Yにおける長さは、例えば1800μm以上2500μm以下である。第3方向Zにおける長さは、例えば1500μm以上2100μm以下である。このように、本明細書に開示の発光装置200は、小型化に適した発光装置である。また、発光装置200は、金属部や基部とは別にさらに放熱用の部材、例えばサブマウントを個別に配置することなく設計が可能である。これにより、発光装置200全体の部材点数を少なくすることができる。結果として、発光装置200の製造の際の生産性を向上できる。
【0101】
<第2実施形態>
次に、図11から図15を参照して、第2実施形態に係る発光装置300を説明する。第2実施形態に係る発光装置300は、複数の発光素子320、及び1又は複数の反射部材340を備え、さらに基部211Aが凹部317及び複数の金属部331を有する点で、少なくとも第1実施形態に係る発光装置200と相違する。
【0102】
図11は、第2実施形態に係る発光装置300を例示する斜視図である。図12は、図11に示す発光装置300から側壁部213及び蓋部214を取り除いた状態の斜視図である。図13は、図11に示す発光装置300から側壁部213及び蓋部214を取り除いた状態の上面図である。図14は、図11のXIV-XIV断面線における発光装置300の断面図である。図15は、第2実施形態に係る発光装置300を例示する下面図である。
【0103】
まず、各部材について説明する。なお、第1実施形態と重複する内容は、適宜省略する。
【0104】
(基部211A)
基部211Aは、上面211a、下面211b、及び凹部317を有している。凹部317は、上面211aに開口している。凹部317は、底面317bと、上面211aと交わり上面211aから下方に延伸する1又は複数の側面によって規定される。凹部317は、例えば、上面視で矩形であり、矩形の第2方向Yの長さが第1方向Xの長さよりも長い。凹部317において、上面視で、第2方向Yの長さは第1方向Xの長さの3倍以上であってよい。
【0105】
底面317bと上面211aとは、平行であってもよいし、平行でなくてもよい。底面317bは、上面211aよりも面粗度が大きくてもよい。凹部317を規定する1又は複数の側面は、底面317bに対して傾斜してもよいし、底面317bに対して垂直であってもよい。底面317bに対する各側面の傾斜角は、例えば、60度以上90度以下である。
【0106】
(複数の発光素子320)
複数の発光素子320は、例えば、第1実施形態に係る発光素子220と同様に、半導体レーザ素子である。複数の発光素子320は、第1発光素子320A、第2発光素子320Bを備える。第1発光素子320A及び第2発光素子320Bは、共に同じ色の光を出射するものであってよいし、それぞれ異なる色の光を出射するものであってもよい。なお、複数の発光素子は、半導体レーザ素子に限らず、例えば、発光ダイオード(LED)や有機発光ダイオード(OLED)などであってもよい。なお、複数の発光素子320は、2つに限定されず、第1発光素子320A及び第2発光素子320Bの他に、さらに発光素子を備えるものであってもよい。
【0107】
(1又は複数の反射部材340)
1又は複数の反射部材340は、図7に示した第1実施形態に係る反射部材240と同様の構造を有し得る。例えば発光装置300が複数の反射部材340を有する場合、それぞれの反射部材340の外形や材料は、反射部材240と同じであり得る。図示する例で、複数の反射部材340は、第1反射部材340A、第2反射部材340Bを有する。なお、例えば反射部材340は1つの反射部材であってもよく、その場合は、反射部材240よりも反射面340aの一辺の長さが長いものを用いることができる。
【0108】
(第1金属部331A、第2金属部331B)
第1金属部331A、及び第2金属部331Bは、基部211Aの上面211aに互いに離隔して設けられている。第1金属部331Aの厚さT6は、30μm以上120μm以下であり得る。第2金属部331Bの厚さは、第1金属部331Aの厚さと同じであり得る。第1金属部331A及び第2金属部331Bの材料は、例えば第1実施形態の金属部231の材料と同じであり得る。
【0109】
図示する発光装置300の第1金属部331A及び第2金属部331Bは、上面視で矩形である。基部211Aの上面211aの長辺方向(第1方向X)において、第1金属部331Aは、第2金属部331Bよりも長い。上面211aの短辺方向(第2方向Y)において、第1金属部331Aは、第2金属部331Bよりも短い。図示する例において、第1金属部331Aは、第2金属部331Bよりも第2方向Yの負方向側に位置する。また、基部211Aを貫通する貫通孔333に設けられた第3ビア配線333Vが、第1金属部331Aと第3接続箇所において接続する。
【0110】
(下側金属部332)
基部211Aの下面211bには、1又は複数の下側金属部332が設けられてもよい。下側金属部232の厚さT7は、基部211Aの厚さT8よりも小さい。また、下側金属部232の厚さT8は金属部231の厚さT6に対して例えば0.8倍以上1.2倍以下である。厚さT7は、厚さT8と同じ厚さであることが好ましい。これにより、第1実施形態に係る下側金属部232の場合と同様の効果を奏する。
【0111】
図示の例では、基部211Aの下面211bに、第1下側金属部332A、第2下側金属部332B、及び第3下側金属部332Cを有する複数の下側金属部332が設けられている。図15に示すように、下面視で、第1下側金属部332A及び第2下側金属部332Bは、共に下面211bの2つ短辺の1辺に寄って配置される。また、第1下側金属部332A及び第2下側金属部332Bは、短辺方向(第2方向Y)において対向するように配置される。図示する例では、第1下側金属部332Aは、第1方向Xの負方向側で、かつ第2方向Yの負方向側に配置されている。第2下側金属部332Bは、第1方向Xの負方向側で、かつ第1下側金属部332Aよりも第2方向Yの正方向側に配置されている。第1方向X、及び第2方向Yにおいて、第1下側金属部332A及び第2下側金属部332Bは、同じ大きさであってよい。
【0112】
下面視で、第3下側金属部332Cは、第1下側金属部332A及び第2下側金属部332Bと、長辺方向(第1方向X)において対向するように配置される。より具体的には、第1方向Xの正方向側に配置され、第1方向Xにおいて、第1下側金属部332A及び第2下側金属部332Bと対向するように配置される。また、下面視で、第3下側金属部332Cは、第1下側金属部332A及び第2下側金属部332Bと第1方向Xにおいて離隔している。下面211bの長辺方向(第1方向X)及び短辺方向(第2方向Y)において、第3下側金属部332Cは、第1下側金属部332A、第2下側金属部332Bのそれぞれよりも長い。また、下面視で、第3下側金属部332Cの面積は、第1下側金属部332A及び第2下側金属部332Bの合計の面積よりも大きい。なお、放熱性の向上のため、第3下側金属部332Cの面積は、基部211Aの下面211bの面積の1/2よりも大きいことが望ましい。
【0113】
上面視(あるいは下面視)で、第1下側金属部332Aは、凹部317と重ならない。同様に、第2下側金属部332Bは、上面視で凹部317と重ならない。第3下側金属部332Cは、上面視で凹部317と少なくとも一部が重なる。図示する例において、第3下側金属部332Cは、上面視で凹部317の全面と重なる。
【0114】
(金属膜361)
基部211Aの上面211aには、金属膜361が設けられる。金属膜361の厚さは、第1実施形態の金属膜261と同一の厚さとしてもよい。また、金属膜361の上面に、金属接着剤363が設けられる。金属接着剤363として、例えばAuSnを用いることができる。上面視で、金属膜361は、第1金属部331A、第2金属部331B、及び凹部317の周囲を囲むように設けられる。金属膜361は、上面視で第1金属部331A、第2金属部331B、及び凹部317と重ならない。
【0115】
基部211Aを貫通する貫通孔334に設けられる第4ビア配線334Vは、第4接続箇所において金属膜361と接続する。第4接続箇所は、上面視で第1金属部331Aに重ならない。第4接続箇所は、上面視で第2金属部331Bに重ならない。
【0116】
第1金属部331Aと接続する第3ビア配線333Vは、第1下側金属部332Aと接続する。第3接続箇所は、下面視で第1下側金属部332Aと重なる。また、金属膜361と接続する第4ビア配線334Vは、第2下側金属部332Bと接続する。第4接続箇所は、下面視で第2下側金属部332Bと重なる。なお、第3下側金属部332Cには、ビア配線は接続されなくてよい。第3接続箇所は、下面視で第3下側金属部332Cと重ならない。第4接続箇所は、下面視で第3下側金属部332Cと重ならない。なお、第3下側金属部332Cは、電気的にフローティングされていてもよい。
【0117】
(発光装置300)
次に、発光装置300について説明する。
【0118】
第1発光素子320A及び第2発光素子320Bは、それぞれ第1金属部331A、及び第2金属部331Bを介して基部211Aの上面211aに配置される。第1発光素子320A及び第2発光素子320Bは、それぞれ第1出射端面320a及び第2出射端面320bから光を側方に出射する。第1出射端面320a及び第2出射端面320bは、互いに同じ方向を向く。図示する例において、第1発光素子320Aから出射される光と第2発光素子320Bから出射される光の光軸は、互いに平行であり得る。また、第1出射端面320aと第2出射端面320bは、互いに平行であり得る。なお、ここでの「平行」とは、±5°の誤差を許容するものとする。第1発光素子320Aから出射される光の光軸方向(第1方向X)において、第1出射端面320aと第2出射端面320bとの距離は、例えば50μm以下であり得る。また、第1出射端面320a及び第2出射端面320bは、例えば、側壁部213の1つの内側面又は1つの外側面と平行/垂直であり得る。
【0119】
第1方向Xにおいて、第1金属部331Aの長さは、第2金属部331Bの長さよりも長い。また、第1方向Xにおいて、第1発光素子320Aの長さ及び第2発光素子320Bの長さは、第2金属部331Bの長さよりも短い。第1方向Xにおける、第1発光素子320Aと第2発光素子320Bの長さの差は、例えば50μm以下である。第1方向Xにおいて、第1金属部331Aの第1反射部材340A側の側面と、第2金属部331Bの第2反射部材340B側の側面との間の距離は、100μm以下である。また、第1方向Xにおいて、第1金属部331Aの第1反射部材340Aと反対側の側面と、第2金属部331Bの第2反射部材340Bと反対側の側面との距離は200μm以上である。
【0120】
第1反射部材340A及び第2反射部材340Bは、基部211Aの上面211aと同じ平面において、凹部317を挟んでそれぞれ第1発光素子320A及び第2発光素子320Bの側方に配置される。第1反射部材340Aの反射面340aは、第1発光素子320Aの第1出射端面320aの方向を向く。第2反射部材340Bの反射面340bは、第2発光素子320Bの第2出射端面320bの方向を向く。反射面340a及び反射面340bは、それぞれ第1発光素子320A及び第2発光素子320Bから出射された光を上方に反射する。
【0121】
上面視で、反射面340a及び340bのそれぞれの少なくとも一部は、凹部317に重なる。また、上面視で、第1反射部材340A及び第2反射部材340Bのそれぞれの下面の少なくとも一部は凹部317と重なる。上面211aに垂直な法線方向において、反射面340a及び340bのそれぞれの下端は、上面211aよりも下方、かつ凹部317の底面317bよりも上方に位置する。また、第1反射部材340A及び第2反射部材340Bのそれぞれの傾斜面は、凹部317内に位置する。第3方向Zにおいて、第1反射部材340A及び第2反射部材340Bのそれぞれの下端は、凹部317を規定するいずれの面とも離隔することが好ましい。
【0122】
このように、発光装置300では、第1反射部材340Aの反射面340a及び第2反射部材340Bの反射面340bのそれぞれの一部が凹部317内に配置される。これにより、第1実施形態の場合と同様の効果を奏する。また、第1反射部材340A及び第2反射部材340Bのそれぞれの下端が凹部317の底面317bよりも上方に位置することにより、第1実施形態の場合と同様の効果を奏する。なお、基部211Aは、第1反射部材340Aの一部が配置される第1凹部と、第2反射部材340Bの一部が配置される第2凹部を備えてもよい。
【0123】
側面視で、第1反射部材340A及び第2反射部材340Bは、その大部分が重なる。より詳細には、第1方向Xにおいて、第1反射部材340Aの第1発光素子320A側の端点と、第2反射部材340Bの第2発光素子320B側の端点との距離は、例えば50μm以下である。このような配置とすることで、第1発光素子320Aから出射した光が反射面340aに入射するまでの距離と、第2発光素子320Bから出射した光が反射面340bに入射するまでの距離の差を小さくすることができる。例えば第1発光素子320A及び第2発光素子320Bから出射するそれぞれの光の光路長を揃えることができる。
【0124】
第2金属部331Bは、第2反射部材340Bを向く側面331dを有する。側面331dは、第2出射端面320bと同じ方向を向く。第2金属部331Bは、第1金属部331Aと、光軸方向に垂直な方向(第2方向Y)において互いに離隔している。側面331dは、第1金属部331Aの側面331cと平行であり得る。第1方向Xにおいて、側面331cと側面331dとの間の距離は50μm以下であり得る。
【0125】
図12及び図13に示すように、第1発光素子320Aの上面にその一端が接合する配線270の他端が、第2金属部331Bの上面331bに接合される。例えば複数の配線270が第2金属部331Bに接合され、図示する例では、3つの配線270が接合される。また、第1反射部材340A及び第2反射部材340Bが配置される金属膜361の上面には、第2発光素子320Bの上面にその一端が接合される配線270が接合される。例えば複数の配線270が金属膜361の上面に接合され、図示する例では、3つの配線270が接合される。さらに、金属膜361の上面には、保護素子250に電気的に接続する配線270が接合される。このように、保護素子250と電気的に接続する配線270が、第2金属部331Bではなく、金属膜361に接合される。このように接合することにより、電気的に直列に接続している2つの発光素子320に対し、保護素子250が並列に接続するため、順方向バイアス、逆方向バイアスのいずれの印加電流においても、2つの発光素子320を保護することができる。
【0126】
第1発光素子320Aから出射される光のうち、主要部分の光は、側方に進行し、第1反射部材340Aの反射面340aに入射する。反射面340aに入射した光は、第1反射部材340Aの上方に反射され、蓋部214の光透過領域を透過して発光装置300の外部に出射される。同様に、第2発光素子320Bから出射される光のうち、主要部分の光は、側方に進行し、第2反射部材340Bの反射面340bに入射する。反射面340bに入射した光は、第2反射部材340Bの上方に反射され、蓋部214の光透過領域を透過して発光装置300の外部に出射される。
【0127】
発光装置200及び300は、例えば、プロジェクターに利用できる。また、発光装置200及び300は、これに限らず、照明、車載ヘッドライト、ヘッドマウントディスプレイ、その他ディスプレイのバックライト等の光源に利用できる。
【0128】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、前述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、前述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0129】
以上の実施形態に加えて、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
凹部と、平面である上面とを有する基部と、
前記上面に配置され、出射端面から光を側方に出射する発光素子と、
前記凹部を挟んで前記発光素子の前記側方に配置される反射部材であって、前記上面と同じ平面に配置され、前記光を上方に反射する反射面を備えた反射部材と、を備え、
上面視で、前記反射面の少なくとも一部は、前記凹部に重なり、
前記上面に垂直な法線方向において、前記反射面の下端は、前記上面よりも下方、かつ前記凹部の底面よりも上方に位置する、発光装置。
(付記2)
前記反射部材は、下面において前記基部の前記上面に配置され、
前記反射面は、前記下面に対して傾斜しており、前記法線方向において、少なくとも一部が前記下面の最下点よりも下方に位置する、付記1に記載の発光装置。
(付記3)
上面視で、前記下面の少なくとも一部は前記凹部と重なり、
上面視で、前記発光素子は前記凹部と重ならない、付記2に記載の発光装置。
(付記4)
前記反射部材は、前記凹部内に位置し、前記下面と接続し、前記下面に対して傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記反射面の反対側に位置する、付記2又は3に記載の発光装置。
(付記5)
前記傾斜面は、前記反射面に平行であり、
前記傾斜面の面積は、前記下面の面積の1/2よりも小さい、付記4に記載の発光装置。
(付記6)
前記凹部は、前記底面と、前記上面と交わり当該上面から下方に延伸する1又は複数の側面によって規定され、
前記反射部材の下端は、前記凹部を規定するいずれの面とも離隔する、付記1から5のいずれか1に記載の発光装置。
(付記7)
前記1又は複数の側面は、前記底面に対して傾斜しており、前記底面に対する前記側面の傾斜角は、前記底面に対する前記反射面の傾斜角よりも大きい、付記6に記載の発光装置。
(付記8)
前記法線方向において、前記光の光軸と前記反射面との交点は、前記反射面の中点よりも下方に位置する、付記1から7のいずれか1に記載の発光装置。
(付記9)
前記反射面の中点は、前記上面よりも上方に位置し、前記上面に垂直な方向において、前記反射面のうち、前記凹部より上方に位置する部分の面積は、前記凹部内に位置する部分の面積よりも大きい、付記1から8のいずれか1に記載の発光装置。
(付記10)
前記法線方向において、前記底面から前記上面までの長さは、前記発光素子の厚みの6倍以下である、付記1から9のいずれか1に記載の発光装置。
(付記11)
前記上面に設けられ、前記発光素子が配置される金属部をさらに有し、
前記金属部は、前記出射端面と同じ方向を向く側面を有し、
前記金属部の前記側面は、上面視で前記凹部とは重ならず、
前記出射端面に垂直な方向において、前記金属部の前記側面と前記出射端面との距離は、50μm以下である、付記1から10のいずれか1に記載の発光装置。
(付記12)
前記出射端面に垂直な方向において、前記凹部の最も前記発光素子に近い点と前記金属部の前記側面までの距離は、0μm以上150μm以下である、付記11に記載の発光装置。
(付記13)
前記基部に交わり、前記上面から上方に延伸する1又は複数の側壁部と、
前記側壁部の上方に配置される蓋部と、をさらに備え、
前記蓋部は、前記反射面で反射された光が入射する光入射面を有し、
前記法線方向において、前記光入射面から前記上面までの長さと、前記反射面の上端から前記下端までの長さの差は、200μm以下である、付記1から12のいずれか1に記載の発光装置。
(付記14)
前記反射部材は、シリコンを主材料として形成される、付記1から13のいずれか1に記載の発光装置。
【符号の説明】
【0130】
200,300 発光装置
211,211A 基部
211a 上面
211b 下面
213 側壁部
213a 上面
213b 下面
214 蓋部
214a 上面
214b 下面
217,317 凹部
217b,317b 底面
220 発光素子
220a 出射端面
231 金属部
231a 上面
231c,231d,231e 側面
232 下側金属部
232A 第1下側金属部
232B 第2下側金属部
232C 第3下側金属部
233,234 貫通孔
233V 第1ビア配線
234V 第2ビア配線
240 反射部材
240a 反射面
240b 下面
240c 傾斜面
240d 第1側面
240e 第2側面
240f 第3側面
240g 第4側面
240h 第5側面
250 保護素子
261,262 金属膜
263 金属接着剤
270 配線
320A 第1発光素子
320a 第1出射端面
320B 第2発光素子
320b 第2出射端面
331A 第1金属部
331a 上面
331c 側面
331B 第2金属部
331b 上面
331d 側面
333,334 貫通孔
333V 第3ビア配線
334V 第4ビア配線
340A 第1反射部材
340a 反射面
340B 第2反射部材
340b 反射面
361 金属膜
363 金属接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15