(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105062
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板支持具の搬送方法、プログラム及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240730BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/31 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009603
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】油谷 幸則
(72)【発明者】
【氏名】大橋 直史
【テーマコード(参考)】
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
5F045AA06
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB08
5F045DP19
5F045EB08
5F045EB12
5F045EE14
5F045EJ10
5F045EK06
5F045EN05
5F131AA02
5F131BA02
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5F131CA02
5F131CA38
5F131CA39
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5F131DA22
5F131DA43
5F131DA63
5F131EC02
5F131HA02
5F131HA12
5F131HA15
5F131JA08
5F131JA09
5F131JA14
5F131JA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】処理炉内で基板を処理する場合、処理直後の基板は高温となるため、冷却するまで待機することとなり、スループットが低下してしまう場合があり、これを抑制しつつ、熱による影響を受けにくくする基板処理装置、基板処理装置に実行させるプログラム及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置10は、基板を処理する処理室201と、基板を支持する基板支持具としてのボート217a、ボート217bと、基板支持具を支持する支持部43a、43bと、複数の支持部を備えた回転台40と、複数の支持部の間で熱の伝導を抑制する熱伝導抑制部としての隔離部44と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記基板を支持する基板支持具と、
前記基板支持具を支持する支持部と、
複数の前記支持部を備えた回転台と、
複数の前記支持部の間で熱の伝導を抑制する熱伝導抑制部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記処理室と前記回転台との間で、複数の前記基板支持具の内、一つの前記基板支持具を移送する移送機構を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理室は、前記回転台の上方に配される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記熱伝導抑制部は、複数の前記基板支持具間を熱的に隔離する隔離部である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記隔離部は、複数の前記基板支持具のうち、少なくとも前記基板が載置される領域を熱的に隔離するように構成されている請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記隔離部は、板状に構成されている請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記隔離部は、真空断熱効果を有する構造である請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記熱伝導抑制部は、前記回転台に設置され、それぞれの前記基板支持具に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記不活性ガス供給部は、複数の前記基板支持具とともに回転するよう構成されている請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記回転台の上方には、複数の前記基板支持具の内、一方の基板支持具に基板を移送する第1領域と、前記処理室と前記回転台との間で、他方の基板支持具を移送する第2領域と、を有する請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記不活性ガス供給部から複数の前記基板支持具へそれぞれ供給される不活性ガスの供給量は、複数の前記基板支持具の内、一方の基板支持具が前記第1領域から前記第2領域へ移送するときの不活性ガスの供給量よりも、他方の基板支持具が前記第2領域から前記第1領域へ移送するときの不活性ガスの供給量を多くすることが可能なように構成されている請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記不活性ガス供給部は、複数の前記基板支持具の内、前記第2領域における基板支持具が処理前の基板を支持する場合に、前記第2領域における前記基板支持具が前記処理室へ移送されるまで、前記第1領域における基板支持具への不活性ガスの供給を停止することが可能なように構成されている請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項13】
基板を支持する複数の基板支持具の間で熱の伝導を抑制しながら、回転台が備えた支持部が前記基板支持具を支持した状態で、前記回転台を回転する工程を有する基板支持具の搬送方法。
【請求項14】
前記回転台に設置された不活性ガス供給部から複数の前記基板支持具へそれぞれ供給される不活性ガスの供給量は、複数の前記基板支持具の内、一方の基板支持具に基板を移送する第1領域から、処理室と前記回転台との間で、他方の基板支持具を移送する第2領域へ移送するときの不活性ガスの供給量よりも、前記第2領域から前記第1領域へ移送するときの不活性ガスの供給量を多くする請求項13に記載の基板支持具の搬送方法。
【請求項15】
前記回転台に設置された不活性ガス供給部は、複数の前記基板支持具の内、処理室と前記回転台との間で、一方の基板支持具を移送する第2領域における基板支持具が処理前の基板を支持する場合に、前記第2領域における前記基板支持具が前記処理室へ移送されるまで、他方の基板支持具に基板を移送する第1領域における基板支持具への不活性ガスの供給を停止する請求項13に記載の基板支持具の搬送方法。
【請求項16】
基板を支持する複数の基板支持具の間で熱の伝導を抑制しながら、回転台が備えた支持部が前記基板支持具を支持した状態で、前記回転台を回転する手順をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項17】
前記回転台に設置された不活性ガス供給部から複数の基板支持具へそれぞれ供給される不活性ガスの供給量は、複数の前記基板支持具の内、一方の基板支持具に基板を移送する第1領域から、処理室と前記回転台との間で、他方の基板支持具を移送する第2領域へ移送するときの不活性ガスの供給量よりも、前記第2領域から前記第1領域へ移送するときの不活性ガスの供給量を多くする請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記回転台に設置された不活性ガス供給部は、複数の基板支持具の内、処理室と前記回転台との間で、一方の基板支持具を移送する第2領域における基板支持具が処理前の基板を支持する場合に、前記第2領域における前記基板支持具が前記処理室へ移送されるまで、他方の基板支持具に基板を移送する第1領域における基板支持具への不活性ガスの供給を停止する請求項16に記載のプログラム。
【請求項19】
処理室に基板を搬入する工程と、
前記処理室で基板を処理する工程と、
前記処理室から基板を搬出する工程と、
前記基板を支持する複数の基板支持具の間で熱の伝導を抑制しながら、回転台が備えた支持部が前記基板支持具を支持した状態で、前記回転台を回転する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記回転する工程では、前記回転台に設置された不活性ガス供給部から複数の基板支持具へそれぞれ供給される不活性ガスの供給量は、複数の前記基板支持具の内、一方の基板支持具に基板を移送する第1領域から、前記処理室と前記回転台との間で、他方の基板支持具を移送する第2領域へ移送するときの不活性ガスの供給量よりも、前記第2領域から前記第1領域へ移送するときの不活性ガスの供給量を多くする請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記回転する工程では、前記回転台に設置された不活性ガス供給部は、複数の基板支持具の内、前記処理室と前記回転台との間で、一方の基板支持具を移送する第2領域における基板支持具が処理前の基板を支持する場合に、前記第2領域における前記基板支持具が前記処理室へ移送されるまで、他方の基板支持具に基板を移送する第1領域における基板支持具への不活性ガスの供給を停止する請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板支持具の搬送方法、プログラム及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板処理装置の処理炉内に基板を支持する基板支持具を搬入して、基板を処理する工程が行われることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、処理炉内で基板を処理する場合、処理直後の基板は高温となるため、冷却するまで待機することとなり、スループットが低下してしまう場合がある。
【0005】
本開示は、スループットを向上させつつ、熱による影響を受けにくくすることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記基板を支持する基板支持具と、
前記基板支持具を支持する支持部と、
複数の前記支持部を備えた回転台と、
複数の前記支持部の間で熱の伝導を抑制する熱伝導抑制部と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、スループットを向上させつつ、熱による影響を受けにくくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一態様における基板処理装置の平断面図である。
【
図2】
図2は、本開示の一態様における基板処理装置の側断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の一態様における基板支持具の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の一態様における基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の他の態様における基板処理装置の回転台の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の一態様>
以下、本開示の一態様について、主に、
図1~
図4を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
基板処理装置10で処理される基板としてのウエハ200は密閉構造の基板搬送容器としてのポッド12に所定枚数収容され、基板処理装置10に搬入され、搬出される。
【0011】
基板処理装置10は筐体14を有し、筐体14の前壁にはポッド載置台16に隣接する基板搬入出口18が設けられている。基板搬入出口18にはポッドオープナ20が設けられ、ポッドオープナ20によってポッド12の蓋が開閉され、基板搬入出口18を介してウエハ200が搬入出される。
【0012】
筐体14内は、搬送領域24と、搬送領域24の後方に隣接するロードロック室26と、ロードロック室26の上方に隣接し、処理炉202が配置される処理領域28により画成されている。
【0013】
すなわち、筐体14の内部後方にロードロック室26が設けられ、ロードロック室26の上方に処理炉202が連設されている。処理炉202の下端部に形成される炉口部は、炉口シャッタ30により開閉可能となっている。
【0014】
搬送領域24であって、ポッド載置台16とロードロック室26との間には、基板移載機131が設けられている。基板移載機131はウエハ200を所定枚数、例えば5枚保持してロードロック室26の前面開口部32を介して基板支持具としてのボート217a又はボート217bに装填、払出し可能である。すなわち、基板移載機131はポッド載置台16のポッド12と、後述する第1領域26aにおけるボート217a又はボート217b間でウエハ200の移載が可能となっている。
【0015】
前面開口部32はゲートバルブ33によって開閉され、閉状態では前面開口部32は気密に閉塞される様になっている。
【0016】
ロードロック室26には、主に回転台40と、ボート217a、217bと、移送機構としてのボートエレベータ115が設けられている。
【0017】
回転台40は、例えば円板形状である。回転台40の下面の略中心には、回転軸41が設けられている。回転軸41には、回転台40を回転させる回転台回転機構42が接続されている。また、回転台40の上面には、ボート217a、217bをそれぞれ支持する支持部43a、43bが設けられている。すなわち、回転台40には、2つのボート217a、217bが回転可能に設置されている。
【0018】
回転台40の、支持部43aと支持部43bの間には、熱伝導抑制部としての隔離部44が回転台40の上面に対して略垂直に設けられている。隔離部44は、板状に構成されている。また、隔離部44は、真空断熱効果を有する構造である。ここで、真空断熱効果を有するとは、隔離部44が、内部が真空状態となっている断熱材である真空断熱材である場合の他、真空断熱材と同等な効果を有するものを含む。
【0019】
また、隔離部44は、支持部43a、43bにそれぞれボート217a、217bが支持された状態におけるボート217a、217bの上端面よりも高い位置に隔離部44の上端が配置されるよう構成されている。隔離部44は、支持部43a、43b間で、支持部43aに支持されるボート217aと、支持部43bに支持されるボート217bとの間の熱の伝導を抑制し、ボート217aと、ボート217bとの間を熱的に隔離するように構成されている。
【0020】
ボート217a及びボート217bは、例えば
図3に示すように、複数枚のウエハ200を水平姿勢で多段に支持するように構成されている。隔離部44は、ボート217aとボート217bの、少なくともウエハ200が載置される領域を熱的に隔離するように構成されていればよい。
【0021】
処理炉202内である処理室201は、回転台40の上方であり、後述する第2領域26bの上方に配される。
【0022】
ロードロック室26内であって、回転台40の上方は、ボート217a又はボート217bと、ポッド12との間でウエハ200を移送する第1領域26aと、処理室201と回転台40上との間で、ボート217a又はボート217bを移送する第2領域26bとを有する。第1領域26aと第2領域26bは、隔離部44によって回転台40上が隔離される。つまり、第1領域26aと第2領域26bは、熱の伝導が抑制され、熱的に隔離される。
【0023】
ボートエレベータ115は、第2領域26bに配置されている。ボートエレベータ115は、処理炉202内の処理室201と回転台40上との間で、支持部43a又は支持部43bを支持することにより、支持部43a又は支持部43bに支持されたボート217a又はボート217bを移送するよう構成されている。
【0024】
支持部43a、43bは、それぞれ処理炉202の炉口部を気密に閉塞する封止部として用いられる。
【0025】
第2領域26bに配置されたボート217a又はボート217bは、ボートエレベータ115によって昇降され、処理炉202内に搬入され、処理炉202内から搬出されるように構成されている。
【0026】
ロードロック室26を構成する筐体14には、ロードロック室26内の雰囲気を排気する排気口46が設けられている。排気口46には排気管48が接続されている。排気管48には、筐体14内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ51および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ52を介して、真空排気装置としての真空ポンプ53が接続されている。APCバルブ52は、真空ポンプ53を作動させた状態で弁を開閉することで、ロードロック室26内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、さらに、真空ポンプ53を作動させた状態で、圧力センサ51により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、ロードロック室26内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管48、APCバルブ52、圧力センサ51により、排気系が構成される。真空ポンプ53を排気系に含めてもよい。
【0027】
(2)コントローラの構成
次に、制御部(制御手段)としてのコントローラ121の構成について説明する。
図4に示すように、コントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0028】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置10の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0029】
I/Oポート121dは、上述の圧力センサ51、APCバルブ52、真空ポンプ53、ゲートバルブ33、ボートエレベータ115、回転台回転機構42、基板移載機131等に接続されている。
【0030】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU121aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、圧力センサ51、APCバルブ52及び真空ポンプ53によるロードロック室26内の真空排気動作、ゲートバルブ33による開閉動作、基板移載機131によるウエハ200の搬送動作、回転台回転機構42による回転台40の回転動作、ボートエレベータ115によるボート217a又はボート217bの昇降動作等を制御するように構成されている。
【0031】
なお、コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、係る外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本態様に係るコントローラ121を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0032】
(3)基板処理工程
次に、半導体製造工程の一工程として、上述した構成の基板処理装置10による基板処理の概要について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0033】
ポッド12がポッド載置台16に搬送される。
【0034】
基板搬入出口18、ポッド12が開放され、ゲートバルブ33により前面開口部32が開放され、ウエハ200が基板移載機131により第1領域26aのボート217aに移載される。
【0035】
予め指定された枚数のウエハ200が第1領域26aのボート217aに装填されると、ボート217aは回転台40の回転により第2領域26bに移送される。そして、前面開口部32がゲートバルブ33によって閉じられ、ロードロック室26は排気管48から真空引きされることにより、減圧される。
【0036】
ロードロック室26が処理炉202内の圧力と同圧に減圧されると、炉口部が炉口シャッタ30によって開放される。続いてボートエレベータ115により支持部43a上のボート217aが処理炉202内へ搬入(ローディング)される。
【0037】
ローディング後は、処理炉202内である処理室201にてウエハ200に所定の処理が行われる。このとき、第1領域26aには、空のボート217bが配置されている。
【0038】
ボート217aのウエハ200の処理中に、次のポッド12がポッド載置台16に搬送され、上述した手順と同様の手順により、基板搬入出口18、ポッド12が開放され、ゲートバルブ33により前面開口部32が開放され、ウエハ200が基板移載機131により第1領域26aのボート217bに移載される。そして、前面開口部32がゲートバルブ33によって閉じられ、ロードロック室26は排気管48から真空引きされることにより、減圧される。
【0039】
処理後は、ボートエレベータ115によりボート217aが回転台40上に引出され、炉口部が炉口シャッタ30により閉塞される。このとき、回転台40の上には、基板処理後のウエハ200を支持するボート217aと、基板処理前のウエハ200を支持するボート217bが支持されている。すなわち、同じタイミングで処理後のウエハ200と処理前のウエハ200が、回転台40上に配置される。
【0040】
ここで、処理直後のウエハ200は高温であるため、処理直後のウエハ200と処理前のウエハ200との間隔が狭いと、熱の影響により処理前のウエハ200の表面が酸化されたり、ウエハ200の表面の結晶粒成長が生じてしまうことがある。また、処理直後のウエハ200と処理前のウエハ200との間隔を広くすると、フットプリントが大きくなってしまい、装置の大型化につながる。
【0041】
本態様においては、回転台40上の、ボート217aとボート217bとの間に、隔離部44が設けられているため、処理直後のウエハ200と処理前のウエハ200との間隔を狭くした場合であっても、ボート217aが配置された第2領域26bとボート217bが配置された第1領域26aとの間の熱の伝導を抑制することができる。すなわち、フットプリントを小さくして、装置の小型化を図りつつ、ボート217a、217b間を熱的に隔離することができる。よって、処理前のウエハ200に対して、処理直後のウエハ200による熱の影響を受けにくくすることができる。
【0042】
そして、回転台40の回転により処理後のウエハ200を支持するボート217aは、第2領域26bから第1領域26aに移送され、処理前のウエハ200を支持するボート217bは、第1領域26aから第2領域26bに移送される。すなわち、それぞれの領域における熱の伝導を抑制しながら、それぞれの支持部43a、43bに支持された状態で回転台40を回転することによってボート217a、217bの位置を入れ替える。
【0043】
そして、ボートエレベータ115によりボート217bが処理炉202内へ搬入(ローディング)される。
【0044】
ローディング後は、処理室201にてウエハ200に所定の処理が行われる。このとき、第1領域26aには、処理後のウエハ200を支持するボート217aが配置され、ボート217aに支持されるウエハ200が冷却されたら、ロードロック室26内部を大気圧に復圧させた後にゲートバルブ33が開かれる。その後は、上述の逆の手順で、ウエハ200及びポッド12が筐体14の外部へ払出され、上述と同様の手順により次のウエハ200がボート217aに移載される。
【0045】
以上のようにして、ロードロック室26において、複数のボートを支持する回転台40を設け、一方のボートに支持されたウエハ200の処理中に、他方のボートに処理前のウエハ200を移載することができる。すなわち、同じタイミングで、複数のボートを用いて基板処理と、基板移載処理を行うことが可能となる。これにより、基板処理速度が向上し、スループットを向上させることができる。さらに、回転台40上のそれぞれのボートを熱的に隔離することにより、処理前のウエハは、処理直後のボートからの熱影響を受けにくくなる。すなわち、処理前のウエハの表面が熱の影響により酸化されたり、表面の結晶粒成長が生じてしまうことを抑制することができる。
【0046】
<本開示の他の態様>
次に、本開示の他の態様に係る基板処理装置について、
図5を用いて説明する。なお、本態様における基板処理装置は、
図1~
図4に示す装置構成及び制御構成と同様に構成されており、
図1~
図3で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、本態様は、上述した基板処理装置10における回転台40の熱伝導抑制部として不活性ガス供給部54a、54bを用いる。
【0047】
(1)回転台の構成
本態様では、回転台40上の支持部43aと支持部43bとの間であって、ボート217aとボート217bとの間に、熱の伝導を遮断する熱伝導抑制部として不活性ガス供給部54a、54bを設ける。不活性ガス供給部54a、54bは、回転台40上のボート217a、217bのそれぞれに不活性ガスを供給するように設けられている。不活性ガス供給部54a、54bは、ウエハ200やボート217a、217bを冷却する冷却ガスを供給する冷却ガス供給部ということもできる。
【0048】
不活性ガス供給部54a、54bは、回転台40に設置され、不活性ガス供給部54a、54bは、ボート217a、217bとともに回転するよう構成されている。また、不活性ガス供給部54a、54bは、ボート217a、ボート217bとそれぞれ対向するように設けられている。また、不活性ガス供給部54aと不活性ガス供給部54bとは、回転台40の回転軸41を中心として点対称に配置されている。不活性ガス供給部54a、54bには、ボート217a、217bにそれぞれ支持されたウエハ200に対応する高さ位置に鉛直方向に複数の孔が形成され、この複数の孔からそれぞれのウエハ200に対して不活性ガスが供給されるように構成されている。すなわち、不活性ガス供給部54a、54bからそれぞれボート217a、217bに対して不活性ガスを供給することにより、ボート217a、217b間を熱的に隔離することができる。
【0049】
(2)基板処理工程
次に、半導体製造工程の一工程として、上述した構成の他の態様における回転台40を用いた場合の基板処理装置10による基板処理の概要について説明する
【0050】
ポッド12がポッド載置台16に搬送される。
【0051】
基板搬入出口18、ポッド12が開放され、ゲートバルブ33により前面開口部32が開放され、ウエハ200が基板移載機131により第1領域26aのボート217aに移載される。
【0052】
予め指定された枚数のウエハ200が第1領域26aのボート217aに装填されると、ボート217aは回転台40の回転により第2領域26bに移送される。このとき、不活性ガス供給部54a、54bによる不活性ガスの供給は停止されている。
【0053】
ロードロック室26が処理炉202内の圧力と同圧に減圧されると、炉口部が炉口シャッタ30によって開放される。続いてボートエレベータ115によりボート217aが処理炉202内へ搬入(ローディング)される。
【0054】
ローディング後は、処理炉202内にてウエハ200に所定の処理が行われる。このとき、第1領域26aには、空のボート217bが配置されている。
【0055】
ボート217aのウエハ200の処理中に、次のポッド12がポッド載置台16に搬送され、上述した手順と同様の手順により、基板搬入出口18、ポッド12が開放され、ゲートバルブ33により前面開口部32が開放され、ウエハ200が基板移載機131により第1領域26aのボート217bに移載される。そして、前面開口部32がゲートバルブ33によって閉じられ、ロードロック室26は排気管48から真空引きされることにより、減圧される。
【0056】
処理後は、ボートエレベータ115によりボート217aが回転台40上に引出され、炉口部が炉口シャッタ30により閉塞される。このとき、回転台40の上には、処理後のウエハ200を支持するボート217aと、処理前のウエハ200を支持するボート217bが配置されている。このとき、不活性ガス供給部54a、54bからそれぞれボート217a、217bに向けて不活性ガスが供給される。ボート217a、217bに向けて供給された不活性ガスは、排気管48を介して基板処理装置10外へ排気される。
【0057】
このとき、回転台40上の、ボート217aと、ボート217bのそれぞれに不活性ガスが供給されているため、処理後のウエハ200を支持するボート217aが配置された第2領域26bと、処理前のウエハ200を支持するボート217bが配置された第1領域26aとは、熱の伝導が抑制される。すなわち、不活性ガス供給部54a、54bからの不活性ガスの供給により、ボート217a、217b間を熱的に隔離することができる。
【0058】
そして、回転台40の回転により処理後のウエハ200を支持するボート217aは、第2領域26bから第1領域26aに移送され、処理前のウエハ200を支持するボート217bが第1領域26aから第2領域26bに移送される。このとき、不活性ガス供給部54a、54bのそれぞれからボート217a、217bへそれぞれ供給される不活性ガスの供給量は、処理前のウエハ200を支持するボート217bが第1領域26aから第2領域26bへ移送するときの不活性ガスの供給量よりも、処理直後のウエハ200を支持するボート217aが第2領域26bから第1領域26aへ移送するときの不活性ガスの供給量を多くする。すなわち、不活性ガス供給部54aから供給される不活性ガスの供給量を、不活性ガス供給部54bから供給される不活性ガスの供給量よりも多くする。これにより、処理直後の高温のボートの冷却時間を短縮することができ、基板処理速度を向上させることができる。また、このようにして処理直後のウエハの、大気との接触を避けることにより、基板処理によって形成された膜の酸化を抑制することができる。また、処理前の未処理のウエハに対して熱による影響を抑制することができる。
【0059】
そして、不活性ガス供給部54aは、第2領域26bにおけるボート217bが、処理前のウエハ200を支持する場合に、第2領域26bにおけるボート217bが処理室201へ移送されるまで、第1領域26aにおける処理直後のウエハ200を支持するボート217aへの不活性ガスの供給を停止する。すなわち、第2領域26bにおけるボート217bが処理室201へ移送されるまで、不活性ガス供給部54aからの不活性ガスの供給を停止する。これにより、第1領域26aの熱が第2領域26bに流れ込むのを抑制することができる。すなわち、処理前のウエハに対して、熱による影響を受けにくくすることができる。
【0060】
すなわち、それぞれの領域において不活性ガスを供給することにより熱の伝導を抑制しながら、それぞれの支持部43a、43bに支持された状態で回転台40を回転することによってボート217a、217bの位置を入れ替える。
【0061】
そして、ボートエレベータ115によりボート217bが処理炉202内へ搬入(ローディング)される。
【0062】
ローディング後は、処理室201にてウエハ200に所定の処理が行われる。このとき、第1領域26aには、処理後のウエハ200を支持するボート217aが配置され、ウエハ200が冷却されたら、ロードロック室26内部を大気圧に復圧させた後にゲートバルブ33が開かれる。その後は、上述の逆の手順で、ウエハ200及びポッド12が筐体14の外部へ払出され、上述と同様の手順により次のウエハ200がボート217aに移載される。
【0063】
本態様においても、上述の態様と同様の効果が得られる。また、本態様においては、さらに、工程に応じて不活性ガスの供給量を調整することにより、冷却効率をさらに向上させることができる。
【0064】
以上に、本開示の一態様を具体的に説明したが、本開示は上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0065】
例えば、上述した態様では、熱伝導抑制部として、回転台40上に、隔離部又は不活性ガス供給部を用いる場合を例にして説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、回転台40上に、隔離部44及び不活性ガス供給部54a、54bの両方を設けても良い。すなわち、ボート217a、217b間を隔離部44により隔離し、隔離されたボート217a、217bが配されるそれぞれの領域に不活性ガス供給部54a、54bを設けてもよい。本態様においても、上述の態様と同様の効果が得られる。また、本態様においては、工程に応じて不活性ガスの供給量を調整することにより、冷却効率をさらに向上させることができる。
【0066】
また、上述した態様では、回転台40上に、ボート217aとボート217bの2つのボートを配置する場合を例にして説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、回転台40上に3つ以上の複数のボートを配置する場合であっても、本開示を同様に適用することができる。
【0067】
また、上述した態様では、複数のボートのそれぞれに不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を設ける場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、不活性ガス供給部は1つでもよく、それぞれのボートの熱の伝導が抑制されればよい。例えば複数のボート間にエアカーテンを生成するようにしてもよい。
【0068】
また、各処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、各処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、各処理を迅速に開始できるようになる。
【0069】
また、上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更してもよい。
【0070】
また、上述した態様では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の態様では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
【0071】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の態様及び他の態様における処理手順、処理条件と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の態様及び他の態様と同様の効果が得られる。
【0072】
また、上述の態様及び他の態様は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の態様及び他の態様における処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【符号の説明】
【0073】
40 回転台
43 支持部
200 ウエハ(基板)
201 処理室
217 ボート(基板支持具)