IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧 ▶ 富士フイルム株式会社の特許一覧

特開2024-105078面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法
<>
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図1
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図2
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図3
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図4
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図5
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図6
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図7
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図8
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図9
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図10
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図11
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図12
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図13
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図14
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図15
  • 特開-面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105078
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/183 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H01S5/183
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009631
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関田 直也
(72)【発明者】
【氏名】皆見 健史
(72)【発明者】
【氏名】岩根 優人
(72)【発明者】
【氏名】水野 晃雅
(72)【発明者】
【氏名】武田 一隆
(72)【発明者】
【氏名】向井 厚史
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC03
5F173AC13
5F173AC35
5F173AC42
5F173AK22
5F173AP33
5F173AP67
5F173AR32
(57)【要約】
【課題】多層膜反射鏡の電流狭窄層に形成されるアパーチャの形状を線対称又は点対称にする場合と比較して、モードスイッチングの発生を抑制する。
【解決手段】面発光型半導体レーザ10は、基板11と、基板11上に形成された第1導電型の第1半導体多層膜反射鏡13、第1半導体多層膜反射鏡13上に形成された活性層14、及び、活性層14上に形成され、かつ、選択酸化層16を含む第2導電型の第2半導体多層膜反射鏡15を含むメサ構造体30であって、選択酸化層16に形成され、酸化狭窄されていない部分を表すアパーチャ16Aの形状が線対称又は点対称な部分がない形状であるメサ構造体30と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1導電型の第1多層膜反射鏡、前記第1多層膜反射鏡上に形成された活性層、及び、前記活性層上に形成され、かつ、電流狭窄層を含む第2導電型の第2多層膜反射鏡を含む構造体であって、前記電流狭窄層に形成され、酸化狭窄されていない部分を表すアパーチャの形状が線対称又は点対称な部分がない形状である前記構造体と、
を備えた面発光型半導体レーザ。
【請求項2】
前記構造体は、メサ構造体又はトレンチ構造体であり、
前記メサ構造体の外形又は前記トレンチ構造体の孔の並びは、円形ではない
請求項1に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項3】
前記メサ構造体の外形又は前記トレンチ構造体の孔の並びは、線形形状を含む
請求項2に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項4】
前記アパーチャの形状は、線形部分と、当該線形部分の両端と連結された円弧部分とを含む形状であり、
前記円弧部分を構成する複数の点のうち前記線形部分から最も離れた点が、前記メサ構造体の外形又は前記トレンチ構造体の孔の並びに含まれる前記線形形状を表す線分に直交し、当該線分の中心を通る中心線上にない
請求項3に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項5】
前記アパーチャの形状は、楕円の一部が欠けた形状である
請求項1に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項6】
前記構造体は、トレンチ構造体であり、
前記トレンチ構造体を構成する複数の孔の面積は、同一である
請求項1に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項7】
前記第2多層膜反射鏡は、第1屈折率の第1膜と、前記第1屈折率よりも低い第2屈折率の第2膜とを交互に積層したものであり、
前記電流狭窄層は、選択酸化層であり、
前記選択酸化層の膜厚は、前記第1膜の膜厚及び前記第2膜の膜厚の何れか薄い方の膜の膜厚よりも薄い
請求項1に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項8】
前記選択酸化層の前記膜厚は、20nmより薄い
請求項7に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れか1項に記載の面発光型半導体レーザと、
前記面発光型半導体レーザから出力される光を伝送する光伝送部と、
を備えた光伝送装置。
【請求項10】
基板上に第1導電型の第1多層膜反射鏡を形成し、
前記第1多層膜反射鏡上に活性層を形成し、
前記活性層上に、電流狭窄層を含む第2導電型の第2多層膜反射鏡を形成し、
前記第1多層膜反射鏡、前記活性層、及び、前記第2多層膜反射鏡を含む構造体の外形又は孔の並びを、線形形状を含み、かつ、円形ではない形状になるように形成し、
前記構造体の前記電流狭窄層を、酸化狭窄されない部分を表すアパーチャの形状が線対称又は点対称な部分がない形状になるように酸化させる
面発光型半導体レーザの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、アパーチャの形状が線対称な垂直共振型面発光レーザが記載されている。この垂直共振型面発光レーザは、III-V化合物半導体を備える主面を有する基板と、基板の主面に交差する第1軸の方向に配列された活性層及びキャリア狭窄構造を含むポストを有する半導体構造物と、を備える。基板の主面は(001)面であり、基板は、半導体構造物を搭載する。キャリア狭窄構造は、第1領域及び第2領域を含み、第1領域は第2領域の比抵抗より低い比抵抗を有し、第1領域及び第2領域は、第1軸の方向に交差する第1基準面に沿って配列される。
【0003】
第1基準面は、第1基準面と第1領域との交差によって規定される断面の縁上の第1点及び第2点を結ぶ第1基準線分において、第1軸の方向に延在する第2基準面に交差しており、第1基準線分は、断面の縁上の2点を結ぶ第1群の線分のうちの一線分であって、第1群の線分のうちの他の何れかの線分より短くなく、第1群の線分は、III-V化合物半導体の[1-10]方向に延在し、断面の縁は、第1点及び第2点によって区切られる第1部分及び第2部分を有する。
【0004】
第1基準線分は、縁の第1部分上の第3点を第1基準線分上の第4点に結ぶ第2基準線分に直角を成し、第2基準線分は、第1基準線分に直角を成し第3点及び第4点を結ぶ第2群の線分のうちの一線分であって、第2群の線分のうちの他の何れかの線分より短くなく、第1基準線分は、縁の第2部分上の第5点を第1基準線分上の第6点に結ぶ第3基準線分に直角を成す。第3基準線分は、第1基準線分に直角を成し第5点及び第6点を結ぶ第3群の線分のうちの一線分であって、第3群の線分のうちの他の何れかの線分より短くなく、第1基準線分は、第2基準線分の第2長及び第3基準線分の第3長の和より大きい第1長を有し、第3基準線分の第3長は、第2基準線分の第2長より小さくゼロ以上である。第1基準線分は、第2長に可能な最小値を与えるように、位置決めされ、断面の縁は、第2基準線分及び第3基準線分上を延在する単一の対称軸を有する一軸対称形状を有し、第1基準面に沿った断面において、ポストの縁は、単一の対称軸を有する一軸対称形状を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7087684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、アパーチャからマルチモードで発光させる場合、アパーチャに線対称又は点対称の部分があると、アパーチャから発振するモード(位置)が変わる場合がある、つまり、モードスイッチングが発生する場合があることを見出した。これは、アパーチャが線対称又は点対称であると、モード発振の条件が似たような箇所が複数存在することに起因すると考えられる。これにより特定の箇所で発振していた場合でも、似た条件の他の箇所での発振に変わってしまうと考えられる。
【0007】
モードスイッチングが発生すると、光出力に影響し、伝送品質の劣化を引き起こす場合があり、望ましくない。
【0008】
本開示は、多層膜反射鏡の電流狭窄層に形成されるアパーチャの形状を線対称又は点対称にする場合と比較して、モードスイッチングの発生を抑制することができる面発光型半導体レーザ、光伝送装置、及び面発光型半導体レーザの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1態様に係る面発光型半導体レーザは、基板と、前記基板上に形成された第1導電型の第1多層膜反射鏡、前記第1多層膜反射鏡上に形成された活性層、及び、前記活性層上に形成され、かつ、電流狭窄層を含む第2導電型の第2多層膜反射鏡を含む構造体であって、前記電流狭窄層に形成され、酸化狭窄されていない部分を表すアパーチャの形状が線対称又は点対称な部分がない形状である前記構造体と、を備える。
【0010】
また、第2態様に係る面発光型半導体レーザは、第1態様に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記構造体が、メサ構造体又はトレンチ構造体であり、前記メサ構造体の外形又は前記トレンチ構造体の孔の並びが、円形ではない。
【0011】
また、第3態様に係る面発光型半導体レーザは、第2態様に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記メサ構造体の外形又は前記トレンチ構造体の孔の並びが、線形形状を含む。
【0012】
また、第4態様に係る面発光型半導体レーザは、第3態様に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記アパーチャの形状が、線形部分と、当該線形部分の両端と連結された円弧部分とを含む形状であり、前記円弧部分を構成する複数の点のうち前記線形部分から最も離れた点が、前記メサ構造体の外形又は前記トレンチ構造体の孔の並びに含まれる前記線形形状を表す線分に直交し、当該線分の中心を通る中心線上にない。
【0013】
また、第5態様に係る面発光型半導体レーザは、第1態様に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記アパーチャの形状が、楕円の一部が欠けた形状である。
【0014】
また、第6態様に係る面発光型半導体レーザは、第1態様に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記構造体が、トレンチ構造体であり、前記トレンチ構造体を構成する複数の孔の面積が、同一である。
【0015】
また、第7態様に係る面発光型半導体レーザは、第1態様に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記第2多層膜反射鏡が、第1屈折率の第1膜と、前記第1屈折率よりも低い第2屈折率の第2膜とを交互に積層したものであり、前記電流狭窄層が、選択酸化層であり、前記選択酸化層の膜厚が、前記第1膜の膜厚及び前記第2膜の膜厚の何れか薄い方の膜の膜厚よりも薄い。
【0016】
また、第8態様に係る面発光型半導体レーザは、第7態様に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記選択酸化層の前記膜厚が、20nmより薄い。
【0017】
上記目的を達成するために、第9態様に係る光伝送装置は、第1態様~第8態様の何れか1態様に係る面発光型半導体レーザと、前記面発光型半導体レーザから出力される光を伝送する光伝送部と、を備える。
【0018】
上記目的を達成するために、第10態様に係る面発光型半導体レーザの製造方法は、基板上に第1導電型の第1多層膜反射鏡を形成し、前記第1多層膜反射鏡上に活性層を形成し、前記活性層上に、電流狭窄層を含む第2導電型の第2多層膜反射鏡を形成し、前記第1多層膜反射鏡、前記活性層、及び、前記第2多層膜反射鏡を含む構造体の外形又は孔の並びを、線形形状を含み、かつ、円形ではない形状になるように形成し、前記構造体の前記電流狭窄層を、酸化狭窄されない部分を表すアパーチャの形状が線対称又は点対称な部分がない形状になるように酸化させる。
【発明の効果】
【0019】
第1態様、第9態様、及び第10態様によれば、多層膜反射鏡の電流狭窄層に形成されるアパーチャの形状を線対称又は点対称にする場合と比較して、モードスイッチングの発生を抑制することができる、という効果を有する。
【0020】
第2態様によれば、メサ構造体の外形又はトレンチ構造体の孔の並びを円形でない形状にすることにより、アパーチャの形状を線対称又は点対称な部分がない形状にすることができる、という効果を有する。
【0021】
第3態様によれば、メサ構造体の外形又はトレンチ構造体の孔の並びが線形形状を含むことにより、アパーチャの形状を線対称又は点対称な部分がない形状にすることができる、という効果を有する。
【0022】
第4態様によれば、アパーチャの形状を線形部分と円弧部分とを含む形状にすることにより、モードスイッチングの発生を抑制することができる、という効果を有する。
【0023】
第5態様によれば、アパーチャの形状を楕円の一部が欠けた形状にすることにより、モードスイッチングの発生を抑制することができる、という効果を有する。
【0024】
第6態様によれば、電流狭窄層を酸化させる際にエッチングによる深さのバラツキを抑制することができる、という効果を有する。
【0025】
第7態様によれば、選択酸化層の膜厚を第2多層膜反射鏡の他の膜より薄くすることにより、アパーチャの外形を楕円又はひし形にする層構造を得ることができる、という効果を有する。
【0026】
第8態様によれば、選択酸化層の膜厚を20nmより薄くすることにより、アパーチャの外形を楕円又はひし形にする層構造を得ることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(A)は、第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザの構成の一例を示す平面図である。(B)は、第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザの構成の一例を示す断面図である。
図2】モードスイッチングの説明に供する図である。
図3】(A)は、第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザが備えるメサ構造体の一例を示す平面図である。(B)は、(A)に示すメサ構造体を長軸方向に切断したときの断面図である。(C)は、(A)に示すメサ構造体を短軸方向に切断したときの断面図である。
図4】GaAs基板の面方位及び結晶方位の関係を示す図である。
図5】(A)は、比較例に係るメサ構造体を示す平面図である。(B)は、線形形状を含まないメサ構造体の一例を示す平面図である。(C)は、線形形状を含むメサ構造体の一例を示す平面図である。
図6】(A)は、楕円形状のアパーチャを含むメサ構造体を示す図である。(B)は、ひし形状のアパーチャを含むメサ構造体を示す図である。
図7】第1の実施形態に係るアパーチャ形成工程の一例を概略的に示す断面図である。
図8】第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザの製造方法の一例を示す平面図及び断面図である。
図9】第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザの製造方法の一例を示す平面図及び断面図である。
図10】第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザの製造方法の一例を示す平面図及び断面図である。
図11】(A)は、第2の実施形態に係る面発光型半導体レーザが備えるトレンチ構造体の一例を示す平面図である。(B)は、(A)に示すトレンチ構造体を長軸方向に切断したときの断面図である。(C)は、(A)に示すトレンチ構造体を短軸方向に切断したときの断面図である。
図12】(A)は、第3の実施形態に係る面発光型半導体レーザの一例を示す平面図である。(B)は、第3の実施形態に係る面発光型半導体レーザの構成の一例を示す断面図である。
図13】(A)は、第3の実施形態に係るメサ構造体及び台座部の一例を示す平面図である。(B)は、第3の実施形態に係るメサ構造体、台座部、及び金属膜の一例を示す平面図である。
図14】(A)は、第3の実施形態に係るメサ構造体、台座部、金属膜、及びチップIDの一例を示す平面図である。(B)は、第3の実施形態に係るメサ構造体、台座部、複数の金属膜、及びチップIDの一例を示す平面図である。
図15】(A)及び(B)は、比較例に係る面発光型半導体レーザを示す平面図である。
図16】(A)は、第4の実施形態に係る面発光型半導体レーザの構成の一例を示す平面図である。(B)は、第4の実施形態に係る面発光型半導体レーザの構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態の一例について詳細に説明する。なお、動作、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。各図面は、本開示の技術を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本開示の技術は、図示例のみに限定されるものではない。また、本実施形態では、本開示の技術と直接的に関連しない構成や周知な構成については、説明を省略する場合がある。
【0029】
[第1の実施形態]
図1(A)は、第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザ10の構成の一例を示す平面図である。図1(B)は、第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザ10の構成の一例を示す断面図である。図1(B)は、図1(A)のXX断面を示す。本実施形態に係る面発光型半導体レーザ10は、例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)である。なお、以下では、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型として説明するが、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型として構成してもよい。
【0030】
図1(A)及び図1(B)に示すように、本実施形態に係る面発光型半導体レーザ10は、基板11と、コンタクト層12と、第1半導体多層膜反射鏡13と、活性層14と、第2半導体多層膜反射鏡15と、を含んで構成されている。第1半導体多層膜反射鏡13及び第2半導体多層膜反射鏡15はそれぞれ、第1多層膜反射鏡及び第2多層膜反射鏡の一例である。なお、本実施形態では多層膜反射鏡を半導体で構成したが、全体としては半導体レーザとなるようにしつつ、多層膜反射鏡自体は誘電体で構成してもよい。
【0031】
面発光型半導体レーザ10は、基板11上に形成されたコンタクト層12、コンタクト層12上に形成された第1半導体多層膜反射鏡13、第1半導体多層膜反射鏡13上に形成された活性層14、及び、活性層14上に形成され、かつ、選択酸化層16を含む第2半導体多層膜反射鏡15を含む各構成が構造体の一例であるメサ構造体30を形成し、メサ構造体30がレーザ部分を構成している。選択酸化層16は、電流狭窄層の一例である。電流狭窄の選択酸化以外に、例えば、層構造を積層していく際に一旦開口部に相当するパターンを形成して、選択的に開口部に電流が通りやすくすることや、イオン導入を行い、イオン導入された部分に電流が通りにくくすることなどで電流狭窄を行ってもよい。
【0032】
メサ構造体30を含む半導体層の周囲は無機絶縁膜としての層間絶縁膜19が着膜されている。層間絶縁膜19はメサ構造体30の側面から基板11の表面まで延伸され、電極パッド21Aの下部に配置されている。層間絶縁膜19は、一例として、シリコン窒化膜(SiN膜)で形成されている。なお、層間絶縁膜19の材料には、シリコン窒化膜に限らず、例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)、あるいはシリコン酸窒化膜(SiON膜)等を用いてもよい。
【0033】
層間絶縁膜19の開口部を介して配線20が設けられている。配線20の一端側はコンタクトメタル17に接続され、配線20の他端側はメサ構造体30の側面から基板11の表面まで延伸され、p側の電極パッド21Aを構成している。
【0034】
基板11には、半絶縁性のGaAs(ガリウムヒ素)基板が用いられる。半絶縁性のGaAs基板とは、不純物がドーピングされていないGaAs基板とされる。半絶縁性のGaAs基板は、抵抗率が非常に高く、基板のシート抵抗値は数MΩ程度の値を示す。なお、基板11の材料は、GaAs以外でもよく、例えば、GaN(窒化ガリウム)、InP(リン化インジウム)を用いてもよい。
【0035】
基板11上に形成されたコンタクト層12には、一例として、Siがドープされたn型GaAs層によって形成されている。コンタクト層12は、n型の第1半導体多層膜反射鏡13と接続され、n側の電極パッド21Bが形成されている。コンタクト層12は、メサ構造体30で構成されるレーザ部分に負電位を付与する機能を有する。なお、コンタクト層12は、サーマルクリーニング後、基板表面の結晶性を良好にするために設けられるバッファ層を兼ねてもよい。
【0036】
コンタクト層12上に形成されたn型の第1半導体多層膜反射鏡13は、下部DBR(Distributed Bragg Reflector)として構成される。第1半導体多層膜反射鏡13は、屈折率の互いに異なる2つの半導体膜を交互に繰り返し積層して構成される多層膜反射鏡である。具体的には、第1半導体多層膜反射鏡13は、Al0.90GaAsによるn型の低屈折率膜と、Al0.15GaAsによるn型の高屈折率膜と、を交互に繰り返し積層することにより構成されている。n型のAl0.90GaAsの屈折率は、n型のAl0.15GaAsの屈折率よりも低い。本実施形態では、例えば、低屈折率膜及び高屈折率膜の40ペアで構成される。
【0037】
第1半導体多層膜反射鏡13上に形成された活性層14は、例えば、下部スペーサ層、量子井戸活性層、及び上部スペーサ層を含んで構成されてもよい(図示省略)。活性層14は、共振器として機能し、共振器の長さを調整する機能を有している。
【0038】
活性層14上に形成されたp型の第2半導体多層膜反射鏡15は、上部DBRとして構成される。第2半導体多層膜反射鏡15は、屈折率の互いに異なる2つの半導体膜を交互に繰り返し積層して構成される多層膜反射鏡である。具体的には、第2半導体多層膜反射鏡15は、Al0.90GaAsによるp型の低屈折率膜と、Al0.15GaAsによるp型の高屈折率膜と、を交互に繰り返し積層することにより構成されている。p型のAl0.90GaAsの屈折率(第2屈折率に相当)は、p型のAl0.15GaAsの屈折率(第1屈折率に相当)よりも低い。本実施形態では、例えば、低屈折率膜及び高屈折率膜の22ペアで構成される。なお、高屈折率のAl0.15GaAs膜は第1膜の一例であり、低屈折率のAl0.90GaAs膜は第2膜の一例である。
【0039】
また、第2半導体多層膜反射鏡15は、選択酸化層16を含む。選択酸化層16を形成するアルミ含有材料の単位量当たりのアルミの量は、第2半導体多層膜反射鏡15を形成するアルミ含有材料の単位量当たりのアルミの量よりも多い。選択酸化層16は、例えば、AlAs(ヒ化アルミニウム)、Al0.98GaAs等で構成されている。選択酸化層16は、活性層14上に設けられている。選択酸化層16は、酸化狭窄されていない部分を表すアパーチャ16Aと、酸化狭窄された領域である酸化狭窄領域16Bと、を含んでいる。
【0040】
第2半導体多層膜反射鏡15上には、配線20と接続されるコンタクトメタル17が形成されている。コンタクトメタル17には、例えば、Ti/Auの積層膜が用いられる。また、コンタクトメタル17上には、光の出射面を保護する出射面保護層18が形成されている。出射面保護層18は、一例として、シリコン酸窒化膜(SiON膜)を着膜して形成される。なお、シリコン酸窒化膜(SiON膜)に限らず、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)等を用いてもよい。
【0041】
ところで、上述したように、アパーチャからマルチモードで発光させる場合、アパーチャに線対称又は点対称の部分があると、アパーチャから発振するモード(位置)が変わる場合がある、つまり、モードスイッチングが発生する場合があることを見出した。このモードスイッチングについて図2を参照して説明する。
【0042】
図2は、モードスイッチングの説明に供する図である。
【0043】
図2の(1)及び(2)には、モードスイッチングの近視野像(Near Field Pattern:NFP)のイメージ及び発振時の波長スペクトルを示している。(1)では、ある横モードで発振している場合の発光パターン及び発振時の波長スペクトルを示し、(2)では、別の横モードで発振している場合の発光パターン及び発振時の波長スペクトルを示している。モードスイッチングが生じると、(1)及び(2)に示すように、発光パターンが時間的に変化し、ピーク波長が変化する現象が生じる。モードスイッチングによって時間的な状態変化が生じると、時間的な光量のゆらぎΔP(Pは光の強度を表す。)につながり、相対強度雑音を表すRIN(Relative Intensity Noise)(=ΔP/P)が増加する要因となる。
【0044】
このため、本実施形態に係る面発光型半導体レーザ10は、メサ構造体30のアパーチャ16Aの形状が線対称又は点対称な部分がない形状とする。これにより、アパーチャ16Aの形状を線対称又は点対称にする場合と比較して、モードスイッチングの発生が抑制され、RINの増加が抑制される。
【0045】
図3(A)は、第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザ10が備えるメサ構造体30の一例を示す平面図である。図3(B)は、図3(A)に示すメサ構造体30を長軸方向に切断したときの断面図である。図3(C)は、図3(A)に示すメサ構造体30を短軸方向に切断したときの断面図である。但し、これらの平面図及び断面図は、構成要素を明瞭に表現するため、実物に対して誇張して記載されており、図面間のスケールは一致していないものとする。
【0046】
図3(A)に示すように、アパーチャ16Aの形状は、線対称又は点対称な部分がない形状とされる。アパーチャ16Aの形状は、例えば、楕円の一部が欠けた形状であることが望ましい。このとき、メサ構造体30の外形は、外周全てが真円や楕円で構成されたようないわゆる円形ではない。具体的に、メサ構造体30の外形は、例えば、線形形状を含む。
【0047】
図4は、GaAs基板の面方位及び結晶方位の関係を示す図である。
【0048】
図4に示すように、本実施形態に係る面発光型半導体レーザ10は、(100)面のGaAs基板上に形成される。GaAs基板のオリエンテーションフラットは(01-1)面となり、結晶方位は図4に示す関係となる。
【0049】
図5(A)は、比較例に係るメサ構造体300を示す平面図である。図5(B)は、線形形状を含まないメサ構造体30Aの一例を示す平面図である。図5(C)は、線形形状を含むメサ構造体30の一例を示す平面図である。なお、図5(A)において、[01-1]、[0-1-1]はGaAs基板の結晶方位を示す。
【0050】
図5(A)に示すメサ構造体300は、円形メサ(例えば真円メサ)である。メサ構造体300では、選択酸化層の厚さが20nm以上であるため、[01-1]方向(縦方向)の酸化速度と、[0-1-1]方向(横方向)の酸化速度とが略同じとなる。このため、円形メサに対するアパーチャ16Cの形状が等方的でかつ線対称な形状となる。この構造では、モードスイッチングが発生し、RINが増加する。
【0051】
図5(B)に示すメサ構造体30Aは、円形メサ(例えば真円メサ)である。メサ構造体30Aでは、選択酸化層の膜厚が、高屈折率のAl0.15GaAs膜及び低屈折率のAl0.90GaAs膜の何れか薄い方の膜の膜厚よりも薄い。具体的に、選択酸化層の膜厚は、例えば、20nmより薄い、望ましくは、15nmとする。
【0052】
また、選択酸化層の膜厚は、GaAs基板上に形成される半導体層の結晶方位による酸化速度の差が一定以上大きくなる膜厚としてもよい。例えば、GaAs基板の面方位が(100)面である場合、酸化速度は[0-1-1]方向のほうが[0-11]方向よりも遅く、線対称のないアパーチャの長軸方向は[00-1]方向であることが望ましい。
【0053】
上記により、選択酸化層に対して縦方向の酸化速度と、横方向の酸化速度との差を大きくすることが可能となる。このため、円形メサに対するアパーチャ16Dの形状が異方的でかつ線対称な形状となる。つまり、選択酸化層について縦方向の酸化速度と横方向の酸化速度との差が大きくなることにより、アパーチャ16Dの形状は、円形や正方形になるのではなく、楕円形状やひし形状になる。縦横比の差は、例えば、5%以上15%以下、望ましくは、10%とされる。
【0054】
図5(B)に示すメサ構造体30Aでは、図5(A)に示すメサ構造体300と比較して、モードスイッチングの発生が抑制され、RINの増加が抑制される。
【0055】
図5(C)に示すメサ構造体30では、上記メサ構造体30Aと同様に、選択酸化層の膜厚が、高屈折率のAl0.15GaAs膜及び低屈折率のAl0.90GaAs膜の何れか薄い方の膜の膜厚よりも薄い。そして更に、メサ構造体30の外形は、線分形状を含み、円形ではない形状とされる。換言すれば、メサ構造体30は、メサ構造体30Aの外形を、線分形状を含む形状としたものである。つまり、メサを長軸と短軸を有する異方的な形状とし、長軸を[00-1]方向とすることで、縦方向の酸化速度と横方向の酸化速度との差を大きくすることに加えて、更に、メサの異方的な形状が付加される。これにより、アパーチャ16Aを線対称又は点対称な部分がない非対称な形状とすることが可能となる。
【0056】
図5(C)に示すアパーチャ16Aの形状は、線形部分L1と、線形部分L1の両端と連結された円弧部分R1とを含む形状とされる。そして、円弧部分R1を構成する複数の点のうち線形部分L1から最も離れた点P1が、メサ構造体30の外形に含まれる線形形状を表す線分L2に直交し、線分L2の中心を通る中心線上にない。
【0057】
図6(A)は、楕円形状のアパーチャ16Dを含むメサ構造体30Aを示す図である。図6(B)は、ひし形状のアパーチャ16Dを含むメサ構造体30Aを示す図である。
【0058】
図6(A)に示すように、円形メサに対する楕円形状のアパーチャ形状は、長軸/短軸の関係が90°異なっていても良い。また、アパーチャ形状は、円に対して潰れた形状であれば良く、楕円形状でなくても、図6(B)に示すように、ひし形状としても良い。なお、ひし形状の場合、角は丸まっていても良い。
【0059】
ここで、長軸/短軸の関係は、GaAs基板の結晶方位、メサの長軸の向きによって制御することが可能である。例えば、同じ(100)面のGaAs基板上に面発光型半導体レーザ10を形成する場合であっても、GaAs基板のオリエンテーションフラットが(0-1-1)面となる場合、図4に示す結晶方位と90°回転した関係になるため、GaAs基板のオリエンテーションフラットに対する円形メサのアパーチャの向きは、90°回転した形状になる。
【0060】
図7は、第1の実施形態に係るアパーチャ形成工程の一例を概略的に示す断面図である。
【0061】
(S1)では、プロセス前のVCSELウエハWの断面を示す。VCSELウエハWは、基板11と、基板11上に形成されたコンタクト層12と、コンタクト層12上に形成された第1半導体多層膜反射鏡13と、第1半導体多層膜反射鏡13上に形成された活性層14と、活性層14上に形成された第2半導体多層膜反射鏡15とを含んで構成されている。
【0062】
(S2)では、VCSELウエハWに対してドライエッチングを行い、メサ構造体30を形成する。
【0063】
(S3)では、メサ構造体30に対して例えば水蒸気酸化処理を行い、アパーチャ16A及び酸化狭窄領域16Bを含む選択酸化層16を形成する。
【0064】
ここで、結晶方位に対して酸化速度が異なることは既知である。本実施形態では、選択酸化層16の膜厚、Al組成によって結晶方位に対する選択酸化層16の酸化速度差が変化することを利用して、アパーチャ16Aの形状を制御する。
【0065】
VCSELの場合、基板11にはGaAsを使用し、第2半導体多層膜反射鏡15には屈折率の異なる少なくとも2種のAlGaAsが使用される。第2半導体多層膜反射鏡15の一部にアパーチャ16Aを形成するための選択酸化層16を含む。選択酸化層16は、第2半導体多層膜反射鏡15を形成するAlGaAsと比べて、Al組成の高い層とされる。例えば、第2半導体多層膜反射鏡15をAl組成90%のAl0.9GaAsとAl組成15%のAl0.15GaAsのペアで形成する場合、選択酸化層16には、例えば、AlAsあるいはAl0.98GaAsが使用される。
【0066】
アパーチャ16Aは、上記の半導体積層構造をエッチングしてメサを形成した後、水蒸気酸化を行うことで形成される。Al組成の高い選択酸化層16は他の層に比べて酸化速度が速いため、この層のみが選択的に酸化されてアパーチャ16Aが形成される。
【0067】
次に、図8図10を参照して、第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザ10の製造方法について具体的に説明する。なお、本実施形態では、1枚のウエハ上に複数の面発光型半導体レーザ10が形成されるが、以下ではそのうちの1つの面発光型半導体レーザ10について図示して説明する。
【0068】
図8図10は、第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザ10の製造方法の一例を示す平面図及び断面図である。図8図10において断面図は平面図のXX断面を示す。なお、これらの平面図及び断面図は、構成要素を明瞭に表現するため、実物に対して誇張して記載されており、図面間のスケールは一致していないものとする。
【0069】
図8の(S11)では、まず、半絶縁性GaAsの基板11上に、n型のコンタクト層12、n型の第1半導体多層膜反射鏡13、活性層14、及び、p型の第2半導体多層膜反射鏡15をこの順にエピタキシャル成長させたVCSELウエハWを準備する。なお、第2半導体多層膜反射鏡15は、選択酸化層16(図示省略)を含む。選択酸化層16の膜厚は、上述したように、第2半導体多層膜反射鏡15を構成する高屈折率のAl0.15GaAs膜及び低屈折率のAl0.90GaAs膜の何れか薄い方の膜の膜厚よりも薄い。具体的に、選択酸化層16の膜厚は、例えば、20nmより薄い、望ましくは、15nmである。次に、VCSELウエハWのウエハ面上にコンタクトメタル17を形成する。具体的に、エピタキシャル成長されたウエハ面上に電極材料を成膜した後、成膜した電極材料を例えばフォトリソグラフィによるマスクを用いてドライエッチングし、コンタクトメタル17を形成する。コンタクトメタル17は、一例として、Ti/Auの積層膜を用いて形成される。
【0070】
(S12)では、ウエハ面上に出射面保護層となる材料を成膜した後、成膜した材料を例えばフォトリソグラフィによるマスクを用いてドライエッチングし、出射面保護層18を形成する。出射面保護層18の材料としては、一例として、シリコン窒化膜を用いる。
【0071】
(S13)では、フォトリソグラフィ及びエッチングによりウエハ面上にマスクを形成し、形成したマスクを用いて第2半導体多層膜反射鏡15及び活性層14を含む部分をドライエッチングし、メサ構造体30を形成する。つまり、メサ構造体30の外形を、一例として、上述の図3(A)に示すように、線形形状を含み、かつ、円形ではない形状になるように形成する。
【0072】
図9の(S14)では、ウエハに例えば水蒸気酸化処理を施して選択酸化層16を側面から選択酸化し、メサ構造体30内にアパーチャ16A及び酸化狭窄領域16Bを形成する。酸化狭窄領域16Bは酸化処理により酸化された領域であり、アパーチャ16Aは酸化されないで残された電流注入領域である。つまり、選択酸化層16を、一例として、上述の図3(A)に示すように、アパーチャ16Aの形状が線対称又は点対称な部分がない形状になるように酸化させる。より具体的には、アパーチャ16Aは、楕円の一部が欠けた形状とされる。このアパーチャ16Aにより、面発光型半導体レーザ10のp側電極とn側電極(図示省略)との間を流れる電流が絞られ、例えば、面発光型半導体レーザ10の発振における横モードが制御される。
【0073】
つまり、メサ構造体30を、予めアパーチャ16Aが酸化により楕円形状又はひし形状になるような層構造にした上で、上記(S13)にて、メサ構造体30の外形を、線形形状を含み、かつ、円形ではない形状にしてから、上記(S14)にて、選択酸化層16を酸化させて、アパーチャ16Aの形状を、線対称又は点対称な部分がない形状とする。
【0074】
(S15)では、フォトリソグラフィ及びエッチングによりウエハ面上にマスクを形成し、形成したマスクを用いて第1半導体多層膜反射鏡13を含む部分をドライエッチングし、メサ構造体30を形成する。
【0075】
(S16)では、フォトリソグラフィ及びエッチングによりウエハ面上にマスクを形成し、形成したマスクを用いてコンタクト層12をドライエッチングし、メサ構造体30を形成する。
【0076】
図10の(S17)では、コンタクト層12上に電極材料を成膜した後、成膜した材料を例えばフォトリソグラフィによるマスクを用いてドライエッチングし、n側電極となる電極パッド21Bを形成する。電極パッド21Bは、一例として、Ti/AuGe/Auの積層膜を用いて形成する。
【0077】
(S18)では、ウエハの出射面保護層18、コンタクトメタル17、及び電極パッド21Bを除く領域にシリコン窒化膜による層間絶縁膜19を成膜する。具体的には、層間絶縁膜19をウエハ面上に成膜した後、成膜した層間絶縁膜19を例えばフォトリソグラフィによるマスクを用いてドライエッチングし、ウエハの出射面保護層18、コンタクトメタル17、及び電極パッド21Bを除く領域に層間絶縁膜19を形成する。
【0078】
(S19)では、ウエハ面上に電極材料を成膜した後、成膜した電極材料を例えばフォトリソグラフィによるマスクを用いてドライエッチングし、p側の配線20及び電極パッド21Aを形成する。p側の配線20及び電極パッド21Aは、一例として、Ti/Auの積層膜を用いて形成する。本工程により、p側の配線20がコンタクトメタル17と接続される。なお、上記ではフォトリソグラフィによるマスクを用いてドライエッチングすることで電極材料のパターン形成(コンタクトメタル、電極パッド、配線)を説明したが、フォトリソグラフィによるマスクを形成した後、ウエハ面上に電極材料を成膜し、リフトオフプロセスによりパターンを形成しても良い。
【0079】
次に、図示しないダイシング領域においてダイシングし、面発光型半導体レーザ10を分離して個片化する。以上の工程により、本実施形態に係るメサ構造体30を備えた面発光型半導体レーザ10が製造される。
【0080】
なお、上記では、面発光型半導体レーザ10の実施形態について説明した。実施形態としては、面発光型半導体レーザ10を備えた光伝送装置の形態としてもよい。この光伝送装置は、面発光型半導体レーザ10から出力される光を伝送する光伝送部(図示省略)を備えている。
【0081】
このように本実施形態によれば、メサ構造体のアパーチャの形状が線対称又は点対称な部分がない形状とされる。これにより、アパーチャの形状を線対称又は点対称にする場合と比較して、モードスイッチングの発生が抑制され、RINの増加が抑制される。
【0082】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、メサによって線対称又は点対称な部分がないアパーチャ形状を形成する形態について説明した。第2の実施形態では、トレンチによって線対称又は点対称な部分がないアパーチャ形状を形成する形態について説明する。
【0083】
図11(A)は、第2の実施形態に係る面発光型半導体レーザ10Aが備えるトレンチ構造体40の一例を示す平面図である。図11(B)は、図11(A)に示すトレンチ構造体40を長軸方向に切断したときの断面図である。図11(C)は、図11(A)に示すトレンチ構造体40を短軸方向に切断したときの断面図である。但し、これらの平面図及び断面図は、構成要素を明瞭に表現するため、実物に対して誇張して記載されており、図面間のスケールは一致していないものとする。
【0084】
図11(A)に示すように、アパーチャ16Aの形状は、上記第1の実施形態に係るメサ構造体30の場合と同様に、線対称又は点対称な部分がない形状とされる。アパーチャ16Aの形状は、例えば、楕円の一部が欠けた形状であることが望ましい。本実施形態では、メサ構造体30に代えてトレンチ構造体40によって、アパーチャ16Aの形状を形成する。つまり、メサ構造体30の外形を、トレンチ構造体40の孔(トレンチ)の並びとして形成する。具体的に、トレンチ構造体40の孔の並びは、例えば、線形形状を含み、かつ、円形ではない形状とされる。
【0085】
トレンチ構造体40を構成する複数の孔の面積は、同一であることが望ましい。孔の面積(つまり、表面積)が同一でないと、エッチングによって深さのバラツキが生じる場合がある。このため、孔の面積を同一にすることが望ましい。なお、孔の形状は、同一でなくてもよく、孔の面積が同一であればよい。ここでいう「同一」とは、完全に同じであることに限定されるものではなく、予め定めた誤差を含んで略同じであればよい。
【0086】
また、トレンチ構造体40を形成する場合、互いに線対称の位置にならないように複数の孔を配置することが望ましい。
【0087】
このように本実施形態によれば、トレンチ構造体のアパーチャの形状が線対称又は点対称な部分がない形状とされる。これにより、アパーチャの形状を線対称又は点対称にする場合と比較して、モードスイッチングの発生が抑制され、RINの増加が抑制される。
【0088】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、メサ構造体の出射面の潰れを抑止可能な出射面潰れ抑止構造を備えた面発光型半導体レーザの形態について説明する。
【0089】
図12(A)は、第3の実施形態に係る面発光型半導体レーザ10Bの構成の一例を示す平面図である。図12(B)は、第3の実施形態に係る面発光型半導体レーザ10Bの構成の一例を示す断面図である。図12(B)は、図12(A)のYY断面を示す。なお、本実施形態に係るメサ構造体30は、円形状のメサとして説明するが、メサの形状は円形状に限定されない。また、アパーチャ16Aは、線対称又は点対称な部分がない非対称な形状としてもよいし、線対称又は点対称な部分を含む形状としてもよい。
【0090】
図12(A)及び図12(B)に示すように、本実施形態に係る面発光型半導体レーザ10Bは、n型コンタクト層パターンM1、n型DBR層パターンM2、出射部パターンM3、及び、出射部保護パターンM4を備えている。n型コンタクト層パターンM1は、コンタクト層12に対応し、電極パッド21Bを含むパターンである。n型DBR層パターンM2は、第1半導体多層膜反射鏡13に対応するパターンである。出射部パターンM3は、コンタクトメタル17、出射面保護層18、及び配線20に対応するパターンである。出射部保護パターンM4は、金属膜22A~22Cに対応するパターンである。また、電極パッド21Aは、配線20を介してコンタクトメタル17と接続され、基板11上に形成されている。
【0091】
電極パッド21A、21Bは共にチップ表面に形成され、かつ、電極パッド21A、21Bは共にメサ構造体30の最上部(出射面)よりも低い位置に形成されている。電極パッド21A、21Bが共に出射面よりも低い位置に形成されることで、裏面工程でのパッドダメージが回避される。しかし、この種の構造では、研磨、研削等のウエハを薄くする工程で出射面に負荷がかかり、出射面が潰れてしまう場合がある。出射面が潰れてしまうと、発光部及び発光部周辺の配線に負荷がかかり変形してしまう場合がある。
【0092】
このため、本実施形態に面発光型半導体レーザ10Bは、半導体領域としての台座部31を備えている。台座部31は、活性層14、選択酸化層16、第2半導体多層膜反射鏡15、及び層間絶縁膜19を含む。台座部31は、メサ構造体30と並んで形成されている。台座部31の高さは、メサ構造体30の高さ以上とされる。また、台座部31上には複数の金属膜22A~22Cが形成されている。複数の金属膜22A~22Cの各々の厚みは、配線20の厚み(以下、「配線厚」ともいう。)以上とされる。複数の金属膜22A~22Cは、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0093】
また、金属膜22A~22Cの各々の面積は、配線20の上端部の面積よりも大きいことが望ましい。また、配線20の上端部とチップ中心部(例えばコンタクトメタル17の中心)との距離は、金属膜22A~22Cの各々とチップ中心部(例えばコンタクトメタル17の中心)との距離よりも短いことが望ましい。
【0094】
上記のような構造とすることにより、出射面の潰れが抑止される。つまり、台座部31及び金属膜22A~22Cによって配線20への負荷が軽減され、変形、断線等が防止される。
【0095】
図13(A)は、第3の実施形態に係るメサ構造体30及び台座部31の一例を示す平面図である。図13(B)は、第3の実施形態に係るメサ構造体30、台座部31、及び金属膜22Dの一例を示す平面図である。
【0096】
図13(A)に示すように、出射面を形成するとメサ構造体30とは別に、メサ構造体30と同じ高さの半導体領域である台座部31を形成する。そして更に、図13(B)に示すように、台座部31上に配線厚と同じ厚みの金属膜22Dを形成することで、出射面以外の位置の出射面よりも高い位置に、特性に影響を及ぼさない構造物を形成でき、裏面工程での出射面へのダメージを回避することができる。なお、ここでいう「同じ」とは、完全に同じであることに限定されるものではなく、予め定めた誤差を含んで略同じであればよい。
【0097】
図13(B)に示すように、メサ構造体30と同じ高さの台座部31、及び、配線厚と同じ厚みの金属膜22Dを、メサ構造体30を囲うように形成する。図13(B)の例では、円弧状の金属膜22Dを、メサ構造体30の周囲1/3以上が囲まれるように形成する。これにより、裏面工程での出射面への負荷が分散され、より効果的にダメージが回避される。
【0098】
図14(A)は、第3の実施形態に係るメサ構造体30、台座部31、金属膜22A、及びチップID23の一例を示す平面図である。図14(B)は、第3の実施形態に係るメサ構造体30、台座部31、複数の金属膜22A~22C、及びチップID23の一例を示す平面図である。
【0099】
図14(A)に示すように、台座部31上に、配線厚と同じ厚みの1つの金属膜22Aを形成してもよい。台座部31の空いた領域には、チップを識別するためのチップID(Identification)23を形成してもよい。これにより、裏面工程におけるメサ構造体30への負荷を分散しつつ、チップの識別が可能になる。
【0100】
図14(B)に示すように、台座部31上に、配線厚と同じ厚みの複数の金属膜22A~22Cを、メサ構造体30を囲うように離して形成してもよい。複数の金属膜22A~22Cを離すことで空いた領域には、チップID23を形成してもよい。これにより、上記と同様に、裏面工程におけるメサ構造体30への負荷を分散しつつ、チップの識別が可能になる。
【0101】
なお、メサ構造体30の最上部から電極パッドまで例えば10μmを超えるような段差を形成する場合、メサ最上部と同じ高さに形成するチップID23が例えば「8」、「0」のような孤立パターンを有すると、フォトリソグラフィ工程のパターニング時に孤立パターンが飛んでしまい、IDの識別ができなくなる場合がある。そこで、パターンが孤立しないように切り欠きを入れるようにしてもよい。これにより、形成不良を回避し、外観不良が防止される。
【0102】
このように本実施形態によれば、出射面の潰れが抑止される。つまり、台座部及び金属膜によって配線への負荷が軽減され、変形、断線等が防止される。
【0103】
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、メサ構造体の下層に配置した電極パッドにつながる配線の断線を抑制する断線抑制構造を備えた面発光型半導体レーザの形態について説明する。
【0104】
図15(A)及び図15(B)は、比較例に係る面発光型半導体レーザ100を示す平面図である。
【0105】
図15(A)及び図15(B)に示すように、比較例に係る面発光型半導体レーザ100は、n型コンタクト層パターンM1、n型DBR層パターンM2、出射部パターンM3、及び、出射部保護パターンM4を備えている。上述の図12(A)及び図12(B)に示す面発光型半導体レーザ10Bと同様に、n型コンタクト層パターンM1は、コンタクト層12に対応し、電極パッド21Bを含むパターンである。n型DBR層パターンM2は、第1半導体多層膜反射鏡13に対応するパターンである。出射部パターンM3は、コンタクトメタル17、出射面保護層18、及び配線20に対応するパターンである。出射部保護パターンM4は、金属膜22A~22C(図示省略)に対応するパターンである。また、電極パッド21Aは、配線20を介してコンタクトメタル17と接続され、基板11上に形成されている。
【0106】
n型DBR層パターンM2の領域を拡大すると抵抗を低減することが可能となる。しかし、メサの下層に電極パッド21A、21Bを形成するため、出射部パターンM3のメサに対して、電極パッド21A、21Bと反対側にn型DBR層パターンM2の面積を拡大する。そして、出射部パターンM3と同じ高さの出射部保護パターンM4を形成することで、ウエハ裏面加工のウエハ固定時に生じる出射部パターンM3の出射面にかかる負荷が軽減される。
【0107】
しかしながら、出射部パターンM3と同じ高さの出射部保護パターンM4を形成して、出射部パターンM3の最上部から電極パッド21Aまで配線20を形成する際に、電極パッド21Aと同じ面に形成される配線20で断線が発生する場合がある。
【0108】
配線20を形成する際に、出射部パターンM3の最上部からパッド面まで例えば10μm程度の段差に対してフォトリソグラフィ工程で配線パターンをパターニングするが、レジスト塗布ではパッド形成位置のような段差の低い位置はレジスト厚が厚くなり、出射部上の高い位置はレジストが薄くなる。このため、段差の低い位置に配線20のような細いパターンの形成が困難になる。例えば、配線幅を太くすることで改善する可能性もあるが、配線容量が増加してしまい、応答性が低下するため応答性の面では不利になる。
【0109】
図16(A)は、第4の実施形態に係る面発光型半導体レーザ10Cの構成の一例を示す平面図である。図16(B)は、第4の実施形態に係る面発光型半導体レーザ10Cの構成の一例を示す断面図である。図16(B)は、図16(A)のZZ断面を示す。なお、本実施形態に係るメサ構造体30は、円形状のメサとして説明するが、メサの形状は円形状に限定されない。また、アパーチャ16Aは、線対称又は点対称な部分がない非対称な形状としてもよいし、線対称又は点対称な部分を含む形状としてもよい。
【0110】
上記の問題に対して、図16(A)及び図16(B)に示すように、本実施形態に係る面発光型半導体レーザ10Cは、n型コンタクト層パターンM1及びn型DBR層パターンM2をパッド側に広げて、n型DBR面での配線長aを長くし、パッド面での配線長bを短くする。これによりパッド面での断線不良が改善される。より望ましくは、半導体プロセスマージンを考慮して、電極パッド21Aと段差部を極力近づけることで、電極パッド21Aと配線20を直接接続するとよい。
【0111】
つまり、第1半導体多層膜反射鏡13(n型DBR層)上に形成された配線20の配線長aを、基板11上に形成された配線20の段差部から電極パッド21Aまでの配線長bよりも長くする(a>b)。ここでいう段差部とは、基板11とコンタクト層12との段差である。これによりパッド面での断線不良が改善される。
【0112】
また、配線長aの部分の面積を、上述の図15(A)及び図15(B)に示す比較例と比べて、大きくすることにより、第1半導体多層膜反射鏡13(n型DBR層)の面積が増加するため、電流経路が広くなり抵抗が低減される。
【0113】
なお、上記実施形態では、半絶縁性のGaAs基板を用いたGaAs系の面発光型半導体レーザを例示して説明したが、これに限られず、GaN(窒化ガリウム)による基板、あるいはInP(リン化インジウム)による基板を用いた形態としてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、基板にn型のコンタクト層を形成する形態を例示して説明したが、これに限られず、基板にp型のコンタクト層を形成する形態としてもよい。その場合には、上記の説明において、n型とp型を逆に読み替えればよい。
【0115】
以上の実施形態に関し、更に以下を開示する。
【0116】
(((1)))に係る面発光型半導体レーザは、基板と、前記基板上に形成された第1導電型の第1多層膜反射鏡、前記第1多層膜反射鏡上に形成された活性層、及び、前記活性層上に形成され、かつ、電流狭窄層を含む第2導電型の第2多層膜反射鏡を含む構造体であって、前記電流狭窄層に形成され、酸化狭窄されていない部分を表すアパーチャの形状が線対称又は点対称な部分がない形状である前記構造体と、を備える。
【0117】
(((2)))に係る面発光型半導体レーザは、(((1)))に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記構造体が、メサ構造体又はトレンチ構造体であり、前記メサ構造体の外形又は前記トレンチ構造体の孔の並びが、円形ではない。
【0118】
(((3)))に係る面発光型半導体レーザは、(((2)))に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記メサ構造体の外形又は前記トレンチ構造体の孔の並びが、線形形状を含む。
【0119】
(((4)))に係る面発光型半導体レーザは、(((3)))に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記アパーチャの形状が、線形部分と、当該線形部分の両端と連結された円弧部分とを含む形状であり、前記円弧部分を構成する複数の点のうち前記線形部分から最も離れた点が、前記メサ構造体の外形又は前記トレンチ構造体の孔の並びに含まれる前記線形形状を表す線分に直交し、当該線分の中心を通る中心線上にない。
【0120】
(((5)))に係る面発光型半導体レーザは、(((1)))~(((4)))の何れか1に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記アパーチャの形状が、楕円の一部が欠けた形状である。
【0121】
(((6)))に係る面発光型半導体レーザは、(((1)))~(((5)))の何れか1に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記構造体が、トレンチ構造体であり、前記トレンチ構造体を構成する複数の孔の面積が、同一である。
【0122】
(((7)))に係る面発光型半導体レーザは、(((1)))~(((6)))の何れか1に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記第2多層膜反射鏡が、第1屈折率の第1膜と、前記第1屈折率よりも低い第2屈折率の第2膜とを交互に積層したものであり、前記電流狭窄層は、選択酸化層であり、前記選択酸化層の膜厚が、前記第1膜の膜厚及び前記第2膜の膜厚の何れか薄い方の膜の膜厚よりも薄い。
【0123】
(((8)))に係る面発光型半導体レーザは、(((7)))に係る面発光型半導体レーザにおいて、前記選択酸化層の前記膜厚が、20nmより薄い。
【0124】
(((9)))に係る光伝送装置は、(((1)))~(((8)))の何れか1に係る面発光型半導体レーザと、前記面発光型半導体レーザから出力される光を伝送する光伝送部と、を備える。
【0125】
(((10)))に係る面発光型半導体レーザの製造方法は、基板上に第1導電型の第1多層膜反射鏡を形成し、前記第1多層膜反射鏡上に活性層を形成し、前記活性層上に、電流狭窄層を含む第2導電型の第2多層膜反射鏡を形成し、前記第1多層膜反射鏡、前記活性層、及び、前記第2多層膜反射鏡を含む構造体の外形又は孔の並びを、線形形状を含み、かつ、円形ではない形状になるように形成し、前記構造体の前記電流狭窄層を、酸化狭窄されない部分を表すアパーチャの形状が線対称又は点対称な部分がない形状になるように酸化させる。
【0126】
(((1)))、(((9)))、及び(((10)))によれば、多層膜反射鏡の電流狭窄層に形成されるアパーチャの形状を線対称又は点対称にする場合と比較して、モードスイッチングの発生を抑制することができる、という効果を有する。
【0127】
(((2)))によれば、メサ構造体の外形又はトレンチ構造体の孔の並びを円形でない形状にすることにより、アパーチャの形状を線対称又は点対称な部分がない形状にすることができる、という効果を有する。
【0128】
(((3)))によれば、メサ構造体の外形又はトレンチ構造体の孔の並びが線形形状を含むことにより、アパーチャの形状を線対称又は点対称な部分がない形状にすることができる、という効果を有する。
【0129】
(((4)))によれば、アパーチャの形状を線形部分と円弧部分とを含む形状にすることにより、モードスイッチングの発生を抑制することができる、という効果を有する。
【0130】
(((5)))によれば、アパーチャの形状を楕円の一部が欠けた形状にすることにより、モードスイッチングの発生を抑制することができる、という効果を有する。
【0131】
(((6)))によれば、電流狭窄層を酸化させる際にエッチングによる深さのバラツキを抑制することができる、という効果を有する。
【0132】
(((7)))によれば、選択酸化層の膜厚を第2多層膜反射鏡の他の膜より薄くすることにより、アパーチャの外形を楕円又はひし形にする層構造を得ることができる、という効果を有する。
【0133】
(((8)))によれば、選択酸化層の膜厚を20nmより薄くすることにより、アパーチャの外形を楕円又はひし形にする層構造を得ることができる、という効果を有する。
【符号の説明】
【0134】
10、10A、10B、10C 面発光型半導体レーザ
11 基板
12 コンタクト層
13 第1半導体多層膜反射鏡
14 活性層
15 第2半導体多層膜反射鏡
16 選択酸化層
16A アパーチャ
16B 酸化狭窄領域
17 コンタクトメタル
18 出射面保護層
19 層間絶縁膜
20 配線
21A、21B 電極パッド
22A~22D 金属膜
23 チップID
30 メサ構造体
31 台座部
40 トレンチ構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16