IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インテグリス・インコーポレーテッドの特許一覧

特開2024-105267エッチング後残留物を除去するための洗浄組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105267
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】エッチング後残留物を除去するための洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240730BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20240730BHJP
   C11D 7/36 20060101ALI20240730BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
C11D7/32
C11D7/36
H01L21/308 F
H01L21/308 G
H01L21/304 647A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024064491
(22)【出願日】2024-04-12
(62)【分割の表示】P 2021117592の分割
【原出願日】2017-11-21
(31)【優先権主張番号】62/426,443
(32)【優先日】2016-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ペイン, マコーネン
(72)【発明者】
【氏名】クーパー, エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】キム, ウォンラエ
(72)【発明者】
【氏名】ホン, エリック
(72)【発明者】
【氏名】キム, ショーン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体の製造におけるエッチング後残留物の除去を助ける洗浄組成物を提供する。
【解決手段】水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基と、腐食抑制剤と、少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせとを含むストック組成物であって、少なくとも1種の多塩基酸又はその塩がリンを含有する。腐食抑制剤は、5-メチルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、ジメチルベンゾトリアゾール又はこれらの組み合わせを含む、
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基と;
腐食抑制剤と;
少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせと
を含むストック組成物であって、少なくとも1種の前記多塩基酸又はその塩がリンを含有する組成物。
【請求項2】
前記少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせが、リン酸、ホスホン酸又はこれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせが、リン酸、ジホスホン酸又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせが、ポリカルボン酸又はその塩を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリカルボン酸又はその塩が、シュウ酸及びアルキルジアミン四酢酸の1つ又は複数を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
複素環式アミンN-オキシドを含む酸化剤を含む、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基及び複素環式アミンN-オキシドを含む酸化剤が、合わせて組成物の10重量%-35重量%の間を構成する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記複素環式アミンN-オキシドが5重量%-15重量%の量で存在する、請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
前記複素環式アミンN-オキシドが4-エチルモルホリン-N-オキシド、N-メチルピペリジン-N-オキシド、3-メチルピリジンN-オキシド、NMMO、又はこれらの組み合わせを含む、請求項6から8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基の量が5重量%-20重量%の間である、請求項1から9の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基が式[NR]OH(式中、R、R、R及びRは互いに同じ又は異なり、H、及びC-Cアルキルからなる群から選択される)を有し、前記第四級トリアルキルアルカノールアミンが式[RNROH][OH](式中、R、R、R及びRはそれぞれ、メチル、エチル、又はプロピルなどの低級アルキル基である)を有する、請求項1から10の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記腐食抑制剤が5-メチルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、ジメチルベンゾトリアゾール、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1から11の何れか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記腐食抑制剤の量が0.1重量%-5重量%の間である、請求項1から12の何れか一項に記載の組成物。
【請求項14】
有機溶媒を含む、請求項1から13の何れか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記溶媒がグリコールエーテルを含み、組成物中の前記溶媒の量が10重量%-30重量%の範囲である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
バランスをとる量の水を含む、請求項1から15の何れか一項に記載の組成物。
【請求項17】
3重量部-12重量部の間の希釈酸化剤で希釈された、1重量部の請求項1から16の何れか一項に記載の組成物を含む希釈組成物。
【請求項18】
前記希釈酸化剤が30重量%の過酸化水素を含む、請求項17に記載の希釈組成物。
【請求項19】
マイクロ電子デバイスからエッチング後残留物及び/又はチタン含有ハードマスク材料を除去する方法であって、請求項1から18の何れか一項に記載の組成物を、任意選択的にチタン含有ハードマスク材料とAlN、Cu及びCoの1つ又は複数とを含む前記デバイスと接触させることを含む方法。
【請求項20】
AlNエッチングを最小限にしながら、マイクロ電子デバイスからエッチング後残留物及び/又はチタン含有ハードマスク材料を除去するための、請求項1から18の何れか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロ電子デバイスからエッチング後残留物及び/又はチタン含有ハードマスク材料を除去するための組成物、並びにこれらを調製及び使用する方法に関する。該組成物は、マイクロ電子デバイス上の窒化アルミニウム及び金属相互接続材料と比較して、チタン含有材料に対して高い選択性を有し得る。
【背景技術】
【0002】
高度な半導体製造においてデバイスノードが10ナノメートル(nm)未満に縮小するにつれて、より優れたデバイス性能及び製造可能性のために新規な材料が導入されている。検討中の新規な材料の例としては、コバルトビアコンタクト(cobalt via contact)、窒化アルミニウムエッチング停止層(etch stop layer)及び窒化チタンバリア層が挙げられる。
【0003】
窒化チタンは、ハードマスク、金属バリア、導電性電極、金属ゲート他多数などの、半導体産業における種々の用途を有する。窒化チタンは、バリア材料にとって望ましい優れた金属拡散阻止特性を有し、またアニール後に約30-70μΩcmの低抵抗率を有する。窒化チタン膜は、物理蒸着及び化学蒸着プロセスによって製造することができる。
【0004】
コバルト、窒化アルミニウム及び窒化チタンバリア材料と互換性があるエッチング後洗浄化学物質は、より小さくより進歩したノードでの製造プロセスを可能にする。バックエンド(back end of line)(BEOL)では、銅(Cu)が依然として相互接続金属ラインとして使用されているので、銅並びに新規な材料と互換性がある洗浄化学配合物が有利である。コバルト、銅、窒化アルミニウム、低誘電率材料及び窒化チタンバリア材料を含み得るデバイス内の他の膜よりも制御されたエッチング速度及び窒化チタンハードマスク材料に対する選択性を有する洗浄組成物が継続して必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
コバルトビアコンタクト、窒化チタンバリア材料及び銅相互接続、窒化アルミニウムエッチング停止層、並びに窒化チタンハードマスク材料を利用するマイクロ電子デバイスの製造中のエッチング後残留物除去の課題は、窒化チタンハードマスクに対する高いエッチング速度選択性、制御可能であるが、低い窒化アルミニウムエッチング速度、並びに低いが実質的に等しくされた銅及びコバルトエッチング速度を有する組成物によって解決され得る。理想的には、組成物は低誘電率材料とも互換性があり得る。
【0006】
一態様から、本発明は、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基と;腐食抑制剤と;少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせとを含むストック組成物であって、少なくとも1種の前記多塩基酸又はその塩がリンを含有する組成物を提供する。
【0007】
任意選択的に、少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせは、リン酸、ホスホン酸又はこれらの塩を含む、からなる、又はから本質的になることができる。適切には、組み合わせは、リン酸、ジホスホン酸又はこれらの組み合わせを含む、からなるか、又はから本質的になることができる。
【0008】
適切には、少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせは、ポリカルボン酸又はその塩を含み得る。任意選択的に、ポリカルボン酸はポリアミノカルボン酸であり得る。ポリカルボン酸又はその塩は、例えば、シュウ酸及びアルキルジアミン四酢酸の1つ又は複数を含むことができる。任意選択的に、少なくとも2種以上の多塩基酸の組み合わせは、複数のこのようなポリカルボン酸又はその塩を含み得る。
【0009】
組成物のいくつかのバージョンでは、少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩がアルキルジアミン四酢酸を含み得、リン含有多塩基酸又はその塩がジホスホン酸又はリン酸であり得る。組成物の他のバージョンでは、少なくとも3種以上の多塩基酸又はその塩がアルキルジアミン四酢酸を含み得、リン含有多塩基酸又はその塩がジホスホン酸又はリン酸であり得る。
【0010】
有利には、組成物が酸化剤を含み得る。酸化剤は、適切には複素環式アミンN-オキシドを含み得る。
【0011】
組成物のいくつかのバージョンでは、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基及び複素環式アミンN-オキシドを含む酸化剤が、合わせて組成物の10重量%-35重量%の間を構成する。
【0012】
任意選択的に、複素環式アミンN-オキシドは5重量%-15重量%の量で存在し得る。種々の実施態様では、複素環式アミンN-オキシドが、4-エチルモルホリン-N-オキシド、N-メチルピペリジン-N-オキシド、3-メチルピリジンN-オキシド、NMMO、又はこれらの組み合わせを含む、からなる、又はから本質的になり得る。種々の実施態様では、複素環式アミンN-オキシドがNMMOを含む、からなる、又はから本質的になり得る。
【0013】
組成物中の水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級水酸化トリアルキルアルカノールアミン塩基の量は、適切には5重量%-20重量%の間となり得る。
【0014】
水酸化テトラアルキルアンモニウムを含む塩基は、式[NR]OH(式中、R、R、R及びRは互いに同じ又は異なり、H及びC-Cアルキルからなる群から選択される)を有し得る。第四級水酸化トリアルキルアルカノールアミン塩基は、式[RNROH][OH](式中、R、R、R及びRはそれぞれメチル、エチル又はプロピルなどの低級アルキル基である)を有し得る。
【0015】
組成物のバージョンでは、腐食抑制剤が、5-メチルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、ジメチルベンゾトリアゾール、又はこれらの組み合わせを含む、から本質的になる、又はからなり得る。
【0016】
組成物のバージョンでは、腐食抑制剤が、5-メチルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、又は5-メチルベンゾトリアゾールとトリルトリアゾールの混合物であり得る。組成物中の腐食抑制剤の量は、任意選択的に0.1重量%-5重量%の間、例えば0.2重量%-5重量%の間又は0.4重量%-5重量%の間であり得る。
【0017】
組成物は任意選択的に有機溶媒を含み得る。適切には、有機溶媒は極性非プロトン性溶媒を含み得る。組成物中の有機溶媒の量は、例えば、10重量%-30重量%の範囲であり得る。種々の実施態様では、有機溶媒が、グリコールエーテル、例えばテトラグリム又はブチルカルビトールを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0018】
好都合には、組成物は水を含み得る。水は組成物中のバランスをとる量を構成し得る。組成物中の水の量は、例えば、60重量%-90重量%の間であり得る。
【0019】
未希釈組成物のpHは、適切には10-14の間であり得る。
【0020】
1重量部の組成物を、0.3-12重量部の間の希釈酸化剤とさらに組み合わせる又は希釈酸化剤で希釈して、希釈組成物を形成することができる。本開示のいくつかのバージョンでは、希釈酸化剤が30重量%の過酸化水素である。過酸化物希釈組成物のpHは、7-14の間、いくつかのバージョンでは10-14の間であり得る。
【0021】
種々の実施態様では、酸化剤で希釈して窒化チタンバリア材料よりも窒化チタンハードマスクに対する高いエッチング速度選択性、制御可能な窒化アルミニウムエッチング速度、並びに低いが実質的に等しくされた銅及びコバルトエッチング速度を有する希釈組成物を提供することができ、低誘電率材料と互換性があるストック組成物が上に定義される通りであり得る。種々の実施態様では、組成物が、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基及び複素環式アミンN-オキシドを含む酸化剤と、5-メチルベンゾトリアゾールを含む腐食抑制剤と、少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせとを含む、からなる、又はから本質的になり得、多塩基酸又はその塩の少なくとも1種がリンを含有する。
【0022】
別のバージョンでは、酸化剤で希釈して窒化チタンバリア材料よりも窒化チタンハードマスクに対する高いエッチング速度選択性、制御可能な窒化アルミニウムエッチング速度、並びに低いが実質的に等しくされた銅及びコバルトエッチンク速度を有する希釈組成物を提供することができ、低誘電率材料と互換性があり、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基と、複素環式アミンN-オキシドを含む酸化剤と、5-メチルベンゾトリアゾールを含む腐食抑制剤と、少なくとも3種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせとを含む、からなる、又はから本質的になるストック組成物であって、多塩基酸又はその塩の少なくとも1種がリンを含有するストック組成物。
【0023】
希釈酸化剤で希釈した又は希釈酸化剤と組み合わせた組成物は、以下を特徴とし得る:少なくとも200Å/分の速度での基板上に物理蒸着によって堆積されたTiNハードマスク材料膜のエッチング速度;100Å/分未満の速度での化学蒸着プロセスによって基板上に堆積されたTiNバリア材料膜のエッチング速度;50Å/分未満の速度でのAlN層のエッチング;2Å/分以下のエッチング速度での銅層のエッチング速度;2Å/分以下のエッチング速度でのコバルト層のエッチング速度、又はこれらのエッチング速度の1つ若しくは複数若しくは任意の組み合わせ。希釈酸化剤で希釈した又は希釈酸化剤と組み合わせた組成物のエッチング速度は、TiNハードマスククーポンについては30秒間;TiNバリア材料膜クーポンについては30秒間;AlNクーポンについては1分間;並びに銅及びコバルト膜クーポンについてはそれぞれ30分間、浸される組成物を含む50℃のビーカーに浸した材料のクーポン試料で特性評価及び測定することができる。この組成物及び過酸化物希釈組成物は、低誘電率材料と互換性がある。
【0024】
本開示の1つのバージョンは、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級水酸化トリアルキルアルカノールアミン塩基及び複素環式アミンN-オキシドを含む酸化剤と(水酸化テトラアルキルアンモニウムと酸化剤は、合わせて組成物の15重量%-30重量%の間を構成する)、5-メチルベンゾトリアゾールを含む腐食抑制剤と、少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせ、いくつかのバージョンでは、少なくとも3種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせとを含む、からなる、又はから本質的になる組成物であって、前記各多塩基酸又は塩がシュウ酸、リン酸、ジホスホン酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、及び水からなる群から選択される組成物である。組成物のpHは12-14の間であり得る。
【0025】
この組成物は、0.3重量部-12重量部の間、いくつかのバージョンでは、3重量部-10重量部の間の30重量%の過酸化水素(すなわち、水中30重量%過酸化水素溶液)で希釈することができる。酸化剤で希釈した又は酸化剤と組み合わせた組成物は、pH10-14の間を有し得、以下を特徴とし得る:少なくとも200Å/分の速度での基板上に物理蒸着によって堆積されたTiNハードマスク材料膜のエッチング速度;100Å/分未満の速度での化学蒸着によって基板上に堆積されたTiNバリア材料膜のエッチング;50Å/分未満の速度でのAlN材料膜のエッチング速度;2Å/分以下のエッチング速度での銅層膜のエッチング速度;2Å/分のエッチング速度でのコバルト層膜のエッチング速度、又はこれらのエッチング速度の1つ若しくは複数若しくは任意の組み合わせ。酸化剤で希釈した又は酸化剤と組み合わせた組成物のエッチング速度は、TiNハードマスク材料膜クーポンについては30秒間;TiNバリア材料膜クーポンについては30秒間;AlN材料膜クーポンについては1分間;並びに銅及びコバルト膜クーポンについてはそれぞれ30分間、組成物を含む50℃のビーカーに浸した材料のクーポン試料で特性評価及び測定することができる。この組成物及び過酸化物希釈組成物は、低誘電率材料と互換性があり得る。
【0026】
別の態様から、本発明は、マイクロ電子デバイスからエッチング後残留物及び/又はチタン含有ハードマスク材料を除去する方法であって、本発明の任意の態様又は実施態様による組成物をデバイスと接触させることを含む方法を提供する。デバイスは、適切にはチタン含有ハードマスク材料と、AlN、Cu、及びCoの1つ又は複数とを含み得る。
【0027】
さらに別の態様から、本発明は、AlNエッチングを最小限にしながら、マイクロ電子デバイスからエッチング後残留物及び/又はチタン含有ハードマスク材料を除去するための、本発明の任意の態様又は実施態様による組成物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
マイクロ電子デバイス中の他の膜よりも窒化チタンハードマスク材料に対する高いエッチング速度及び選択性を有する洗浄組成物の必要性は、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミンと、任意選択的に複素環式アミンN-オキシドを含む酸化剤を含む組成物と、任意選択的に5-メチルベンゾトリアゾールを含む腐食抑制剤と、少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩、いくつかのバージョンでは、3種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせとを含む組成物であって、多塩基酸又はその塩の少なくとも1種がリンを含有する組成物によって満たされ得る。組成物を過酸化水素などの酸化剤で希釈すると、希釈組成物は、ハードマスクの下にある低誘電率材料と互換性もありながら、窒化チタンバリア材料よりも窒化チタンハードマスクに対する高いエッチング速度選択性、制御可能であるが低い窒化アルミニウムエッチング速度、並びに低いが実質的に等しくされた銅及びコバルトエッチング速度を有し得る。
【0029】
本開示のバージョンの組成物は、1種又は複数のエッチャント化合物を含有する。本開示のいくつかのバージョンでは、エッチャントが水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基を含み得る。より一般的には、テトラアルキルアンモニウムカチオンは、式[NR(式中、R、R、R及びRは互いに同じ又は異なり、H、C-Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、C6-C10アリール(例えば、ベンジル)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される)を有し得る。1つのバージョンのテトラアルキルアンモニウムカチオンは、(R=R=R=R=CH)を有し得る。例えば、本開示のバージョンの水酸化テトラアルキルアンモニウムは、式[NR]OH(式中、R、R、R及びRは互いに同じ又は異なり、H、C-Cアルキルからなる群から選択される)であり得る。水酸化テトラアルキルアンモニウムの例としては、それだけに限らないが、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化アンモニウム、及びこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0030】
本開示のいくつかのバージョンでは、エッチャント化合物が、式[RNROH][OH](式中、R、R、R及びRはそれぞれ、メチル、エチル、又はプロピルなどの低級アルキル基である)を有する第四級トリアルキルアルカノールアミンであり得る。水酸化コリンは、R、R、及びRがそれぞれメチル基であり、Rがエチル基である、上記の式による第四級エタノールアミン化合物である。トリアルキルアルカノールアミンの例としては、それだけに限らないが、トリメチルプロパノールアミン、トリエチルエタノールアミン、ジメチルエチルエタノールアミン、ジエチルメチルエタノールアミン、ジメチルエチルプロパノールアミン、ジエチルメチルプロパノールアミン、トリエチルプロパノールアミンが挙げられる。
【0031】
1種又は複数のエッチャント化合物が任意選択的に組成物の1重量%-20重量%の間を構成してもよい。いくつかのバージョンでは、1種又は複数のエッチャント化合物が、組成物の5重量%-20重量%の間を構成し得る。他のバージョンでは、1種又は複数のエッチャント化合物が、組成物の8重量%-12重量%の間を構成し得る。
【0032】
本開示のバージョンのストック組成物は、複素環式アミンN-オキシドを含む酸化剤を含み得る。複素環式アミンN-オキシド酸化剤は、3,5-ジメチルピリジンN-オキシド、3-メチルピリジンN-オキシド、4-メチルモルホリン-4-オキシド、2-メチルピリジンN-オキシド、N-メチルピペリジン-N-オキシド、4-エチルモルホリン-N-オキシド、及びこれらの1つ又は複数の組み合わせを含む、からなる、又はから本質的になり得る。いくつかのバージョンでは、複素環式アミンN-オキシドが、酸化剤の存在下で未酸化前駆体分子を用いてその場で調製され得る。例えば、4-メチルモルホリンを十分な酸化剤と反応させて4-メチルモルホリン-4-オキシドを形成し、N-メチルピペリジンを酸化剤と反応させてN-メチルピペリジン-N-オキシドを形成し、4-エチルモルホリンを十分な酸化剤と反応させて4-エチルモルホリン-N-オキシドを形成することができる。いくつかのバージョンでは、未酸化前駆体を、水酸化テトラアルキルアンモニウム又は第四級トリアルキルアルカノールアミン、抑制剤、並びに2種以上の多塩基酸及びその塩(いくつかのバージョンでは、3種以上の多塩基酸及びその塩)と組み合わせる又は混合してストック組成物を形成することができる。ストック組成物中の複素環式アミンN-オキシドの量は、1重量%-15重量%の間であり得る。いくつかのバージョンでは、ストック組成物中の複素環式アミンN-オキシドの量が、8重量%-12重量%の間であり得る。本開示のいくつかのバージョンでは、複素環式アミンN-オキシドの量が、複素環式アミンN-オキシドが存在しない又は低濃度(1重量%未満)である組成物と比較して、ストック組成物のための溶媒としても作用することができる、又は希釈組成物中の側壁残留物のエッチング後洗浄を改善することができるほど十分に高い。
【0033】
腐食抑制剤又は腐食抑制剤系を使用して、Cu及びCoなどの接触金属を保護することができる。腐食抑制剤は、5-メチルベンゾトリアゾール(mBTA)、4-異性体と5-異性体の混合物であるトリトリアゾール、又はmBTA及びトリトリアゾールを含むものの組み合わせを含む1種又は複数の腐食抑制剤を含む、からなる、又はから本質的になり得る。いくつかのバージョンでは、ストック組成物中の1種又は複数の腐食抑制剤の量が、0.4重量%-5重量%であり得る。他のバージョンでは、ストック組成物中の1種又は複数の腐食抑制剤の量が、0.5重量%-2重量%であり得る。さらに他のバージョンでは、腐食抑制剤の量が1.3重量%-1.5重量%であり得る。
【0034】
ストック組成物中の抑制剤の量の範囲は、銅クーポンについて30分間及びコバルトクーポンについて30分間、50℃で、3部の30%H-10部の30%Hで希釈したストック組成物の組成物を含むビーカーに浸したクーポン試料で測定される、本質的に抑制剤非依存性の2Å/分以下のCuエッチング速度及び2Å/分以下のコバルトエッチング速度を提供する量である。また、過酸化物希釈ストック組成物中の抑制剤のこの濃度範囲では、銅とコバルトのエッチング速度が互いに1Å/分以下以内であり得、いくつかのバージョンでは、銅とコバルトのエッチング速度が互いに0.25Å/分以下以内である。
【0035】
2種以上、いくつかのバージョンでは、3種以上の多塩基酸及びその塩、ポリカルボン酸及びその塩、又は多塩基酸とポリカルボン酸及びその塩の組み合わせのキレート化又は金属錯化系をストック組成物に使用することができる。ポリカルボン酸は任意選択的にポリアミノポリカルボン酸であり得る。ストック組成物の金属錯化系は、これらの酸、その塩、又はこれらの組み合わせを含む、からなる、又はから本質的になり得る。いくつかのバージョンでは、多塩基酸及びその塩、(ポリアミノ)ポリカルボン酸及びその塩、又は多塩基酸と(ポリアミノ)ポリカルボン酸及びその塩の組み合わせが、アルキルジアミン四酢酸、例えばそれだけに限らないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びシクロヘキサンジアミン四酢酸、リン酸塩、リン酸、式(CR)((OH)P=O)(式中、R及びRは同じであっても異なっていてもよい)のジホスホン酸、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかのバージョンでは、ジホスホン酸が、式(CR)((OH)P=O)(式中、R及びRは、(-H及び-H)、又は(-H及び-OH)、又は(-CH及び-OH)であり得る)を有し得る。R及びRが(-CH及び-OH)である場合、ビスホスホン酸は、エチドロン酸又は1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)と呼ばれ得る。多塩基酸の各々は、1E-2以下のKa1を有し得る。いくつかのバージョンでは、多塩基酸、(ポリアミノ)ポリカルボン酸、これらの組み合わせ及びその塩が、シュウ酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、リン酸、及びエチドロン酸であり得る。
【0036】
ストック組成物中の抑制剤の量の1つの適切な範囲は、約5Å/分以下(高濃度の抑制剤)から約50Å/分(高濃度の1/4倍の低濃度の抑制剤)まで制御可能に変化し得る抑制剤濃度依存性AlNエッチング速度をもたらす範囲である。適切には、多量の抑制剤は、少量の抑制剤を含むストック組成物と比較して、TiN PVD材料エッチング速度を最小で10%未満減少させながら、90%低いAlNエッチング速度をもたらし得る。4重量部の30重量%の過酸化水素で希釈した場合に、リンを含有する多塩基酸の量と共に変化するAlNエッチング速度を有し得るストック組成物のバージョンを調製することができる。4倍量のリン含有多塩基酸が存在する場合、AlNエッチング速度は5Å/分未満(例えば、0Å/分、1Å/分、2Å/分、3Å/分、4Å/分)であり得;3倍量のリン含有多塩基酸が存在する場合、AlNエッチング速度は10Å/分未満であり得;2倍量のリン含有多塩基酸が存在する場合、AlNエッチング速度は25Å/分未満であり得;1倍量のリン含有多塩基酸が存在する場合、AlNエッチング速度は約50Å/分以下であり得る。リンを含有する多塩基酸がなければ、AlNエッチング速度は約125Å/分であり得る。低いAlNエッチング速度により、AlNの最小限のエッチングでのTiNハードマスクの除去が可能になる。
【0037】
ストック組成物中の多塩基酸、多塩基酸の塩、(ポリアミノ)ポリカルボン酸及びその塩、又はこれらの組み合わせの量は、0重量%より多く、任意選択的に1重量%未満であり得る。いくつかのバージョンでは、ストック組成物中の多塩基酸、多塩基酸の塩、(ポリアミノ)ポリカルボン酸及びその塩、又はこれらの組み合わせの量が、0.1重量%-3重量%の間、例えば0.1重量%-1重量%の間である。他のバージョンでは、ストック組成物中の多塩基酸、酸の塩、ポリアミノポリカルボン酸及びその塩、又はこれらの組み合わせの量が、0.15重量%-0.85重量%の間である。ストック組成物中のリン含有多塩基酸又はその塩の濃度は、0.15重量%を超えてもよい。いくつかのバージョンでは、ストック組成物中のリン含有多塩基酸又はその塩の濃度が、0.15重量%-0.7重量%の間であり得る。ストック組成物中のリン含有多塩基酸又はその塩の量は、プロセスツール内で再循環される組成物中0.7重量%を超えてもよい。ストック組成物のバージョンでは、多塩基酸又は酸塩の量(重量%)が、抑制剤の量(重量%)よりも少ない。
【0038】
ストック組成物を、追加の希釈酸化剤、例えば、5重量%-15重量%超の量の複素環式アミンN-オキシドで希釈して、希釈組成物を形成することができる。希釈組成物は、例えば、過酸化水素をストック組成物に添加することによって調製することができる。例えば、希釈組成物は、1部のストック組成物を0.3部の30%(w/w)H-最大12部の30%Hと混合することによって調製することができる。いくつかのバージョンでは、ストック溶液を、1部のストック組成物を3部の30%(w/w)H-最大10部の30%(w/w)Hと混合することによって希釈することができる。
【0039】
本開示のバージョンでは、エッチャント組成物が、組成物の5重量%-20重量%の量の水酸化テトラアルキルアンモニウム又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基及び組成物の5重量%-15重量%の量の複素環式アミンN-オキシドを含む、からなる、又はから本質的になる酸化剤(合わせて組成物の10重量%-35重量%の間を構成する)を含む、からなる、又はから本質的になる。
【0040】
組成物のいくつかのバージョンでは、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基及び複素環式アミンN-オキシドを含む酸化剤が、合わせて組成物の15重量%-30重量%の間を構成する。
【0041】
5-メチルベンゾトリアゾールを含む、からなる、又はから本質的になる腐食抑制剤系は、組成物の0.4重量%-2重量%であり得、2種、いくつかのバージョンでは、3種以上の多塩基酸、多塩基酸の塩、ポリアミノポリカルボン酸及びその塩のキレート剤系は組成物の0.1重量%-1重量%であり得る。ストック組成物の残りは水であり得る。ストック組成物のバージョンでは、水の量が組成物の約60重量%-約90重量%に及び得、ストック組成物の他のバージョンでは、ストック組成物中の水の量が62重量%-87重量%に及び得、さらに他のバージョンでは、ストック組成物中の水の量が70重量%-82重量%に及び得る。
【0042】
酸の塩は、それだけに限らないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リチウムマグネシウム、アンモニウムなどの無機、又は上記のテトラアルキルアンモニウムなどの有機であり得る。ストック組成物中の成分が塩である場合、塩は水和されていても無水でもよい。
【0043】
水は、30重量%又は50重量%の過酸化水素などの酸化剤組成物で希釈する前に、ストック組成物の約60重量%-約90重量%を構成し得る。
【0044】
ストック組成物のpHは10以上、いくつかのバージョンでは、pH12以上であり得、さらに他のバージョンでは、およそpH14又はpH14である。過酸化水素(水中30重量%H)などの過酸化物で希釈したストック組成物のpHは8以上であり得、いくつかのバージョンでは、過酸化水素(30重量%H)などの過酸化物で希釈したストック組成物のpHは10以上である。さらに他のバージョンでは、過酸化水素(水中30重量%H)などの過酸化物で希釈したストック組成物のpHが12以上であり得る。なおさらに他のバージョンでは、過酸化水素(水中30重量%H)などの過酸化物で希釈したストック組成物のpHが12-14の間であり得る。
【0045】
ストック組成物を過酸化水素又は他の強酸化剤と混合して、エッチング後残留物除去に使用することができる組成物を形成することができる。例えば、1部のストック組成物を、例えば、3部の酸化剤-10部の酸化剤で希釈することができる。本開示の1つのバージョンでは、1部のストック組成物を、例えば、3部の30%H-10部の30%Hで希釈して、希釈洗浄組成物を形成することができる。希釈洗浄組成物を、エッチング後残留物除去に使用することができる。酸化剤は、製造元においてバルクで、又は希釈組成物を基板上のデバイスと接触させる直前に化学的ブレンドによってストック組成物と混合することができる。
【0046】
本開示のバージョンのストック組成物及び希釈洗浄組成物は安定であり、相分離せず、これらは均質であり、成分は完全に混和性である。ストック組成物又は希釈ストック組成物は、実験室規模を用いて種々の成分を重量で混合することによって調製することができる。これらの組成物を使用して、PVD TiNハードマスク、銅相互接続ライン及びコバルトビアコンタクトと一緒のAlN停止エッチング層、並びにCVD TiNバリア材料を含むウェハからエッチング後残留物を除去することができる。
【0047】
少なくとも1種の有機溶媒は、少なくとも1種の水混和性有機溶媒を含み得る。有機溶媒及び水は任意選択的に、合わせて組成物の約60重量%-約90重量%の間を構成する水と有機溶媒の溶媒系を形成してもよい。適切な溶媒には、例えばグリコールエーテルが含まれる。いくつかのバージョンでは、有機溶媒がテトラグリムを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0048】
TiNハードマスク材料、TiNバリア材料、AlNエッチング停止材料、コバルト及び銅は、TiNxなどの非化学量論的材料を含み得る。これらの非化学量論的膜材料は堆積中に形成され得る。炭素、酸素、及びケイ素などの他の不純物もこれらの材料中に存在し得る。本明細書に記載される組成物、エッチング速度クーポンテスト特性評価、及びマイクロ電子デバイスを処理する方法を使用して、化学量論的又は非化学量論的材料を処理することができる。
【0049】
本開示の1つのバージョンは、その上に残留物及び/又はハードマスクを有するマイクロ電子デバイスからプラズマエッチング後残留物及び/又はハードマスク材料を除去する方法であって、マイクロ電子デバイスを、(例えば)過酸化水素などの酸化剤で希釈したストック組成物と、マイクロ電子デバイスから前記残留物及び/又はハードマスクを少なくとも部分的に洗浄するのに十分な時間接触させることを含む方法である。
【0050】
ストック組成物は、本明細書の任意の態様又は実施態様に関して記載される通りであり得る。例えば、酸化剤で希釈したストック溶液は、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基と、少なくとも1種のアミン-N-オキシド酸化剤と、5-メチルベンゾトリアゾールを含む抑制剤と、2種以上の多塩基酸又はその塩のキレート剤系と、水とを含み得、酸化剤希釈組成物のpHは、約10-約14の範囲である。本方法は、過酸化物希釈組成物を、TiNハードマスクを有する1つ又は複数のマイクロ電子デバイスを有する基板と、約1分-約60分の範囲の接触時間、約30℃-約70℃の範囲の酸化剤希釈組成物の温度、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される条件下で接触させることを含み得る。マイクロ電子デバイスは、チタン含有層、低誘電率層、銅相互接続、コバルト、及びAlNなどのアルミニウム含有エッチング停止層、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される層を含み得る。本方法は、以下からなる群から選択されるプロセスによって酸化剤希釈組成物を接触させることを含み得る:酸化剤希釈組成物をマイクロ電子デバイスの表面に噴霧すること;マイクロ電子デバイスを十分な量の酸化剤希釈組成物中に浸漬すること;マイクロ電子デバイスの表面を、酸化剤希釈組成物で飽和されている別の材料と接触させること;及びマイクロ電子デバイスを酸化剤希釈組成物の循環浴と接触させること。
【0051】
理論に縛られることを望まないが、酸又はその塩の組み合わせは酸化剤を安定化し、エッチングプロセスによって残された再堆積Cuを除去し、またデバイスからのエッチング停止層の制御を遅らせ、可能にするエッチング停止材料AlNを保護する。
【0052】
一次洗浄組成物のバージョンは、TMAHなどのエッチャント及びNMMOなどの酸化剤を含み、これらは他の成分と一緒になって化学蒸着TiN材料、AlN層、並びに相互接続に使用される銅及びコバルト材料と比較して高いエッチング速度でPVD堆積TiN層を選択的に除去する。エッチャント及び酸化剤に加えて、一次洗浄組成物は、Cu及びCoを保護する腐食抑制剤混合物と、酸化剤を安定化し、エッチングプロセスによって残された再堆積Cuを除去し、デバイスからのエッチング停止材料の除去を遅らせる/制御するキレート剤混合物とを含む。
【実施例0053】
実施例1
ストック参照組成物、マサチューセッツ州ビレリカのEntegris Incから入手可能なTitanKlean(登録商標)9C(TK9C)を、参照希釈洗浄組成物として使用した。9部の30%Hを1部のTK9C組成物に添加して、参照希釈洗浄組成物TK9C(H)を調製した。
【0054】
水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基及び複素環式アミンN-オキシドを含む酸化剤(水酸化テトラアルキルアンモニウム及び酸化剤は、合わせて組成物の15重量%-30重量%の間を構成していた)と;5-メチルベンゾトリアゾールを含む腐食抑制剤と;シュウ酸、リン酸、ジホスホン酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸及び水から選択される少なくとも2種以上の多塩基酸又は塩の組み合わせとを含むさらなるストック組成物を、4部の30重量%過酸化水素に希釈した。ストック組成物中の水の量は70重量%-82重量%であった。
【0055】
TiN、AlN、Cu、及びCo上の過酸化物希釈ストック溶液及び参照希釈組成物TK9C(H)のエッチング速度を、これらの材料のコーティングを有するクーポン試料で測定した。クーポン試料を、50℃に加熱した希釈洗浄組成物を含有するビーカーに浸した。クーポン試料を、TiNクーポン(PVD又はCVD)については30秒間、AlNクーポンについては1分間、銅及びコバルトクーポンについては30分間浸した。クーポン膜エッチング速度を、AlN、Cu、及びCoクーポンについては(x線蛍光)XRF、TiNクーポンについては偏光解析法を用いて測定した。
【0056】
TK9C(H)及び代表的な過酸化物希釈ストック組成物のPVD TiN及びAlNエッチング速度を評価した。代表的な過酸化物希釈ストック洗浄組成物についてのエッチング速度の結果を、1倍量、2倍量、3倍量及び4倍量の添加AlN阻害剤(リン酸塩)を用いて評価した。
【0057】
試験結果は、TK9C(H)組成物(リン酸塩を添加していない)について100Å/分超の高いAlNエッチング速度を示している。
【0058】
リン酸塩化合物を過酸化物希釈ストック溶液に添加すると、AlNエッチング速度を制御することが観察された。AlNエッチング速度はAlN阻害剤の量によってうまく制御されたが、他の膜のエッチング速度は変化しなかった。AlNのエッチング速度は抑制剤の濃度に応じて変化した。4倍濃度の抑制剤を使用した場合、AlNエッチング速度は5Å/分未満であることが観察され;3倍濃度の抑制剤を使用した場合、AlNエッチング速度は10Å/分未満であることが観察され;2倍濃度の抑制剤を使用した場合、AlNエッチング速度は25Å/分未満であることが観察され;1倍濃度の抑制剤を使用した場合、AlNエッチング速度は約50Å/分以下であることが観察された。抑制剤なしでは、AlNエッチング速度が約125Å/分であった。
【0059】
PVD TiNエッチング速度は、TK9C(H)組成物(リン酸塩を添加していない)と1倍量-4倍量の間のリン酸塩抑制剤を含む過酸化物希釈ストック溶液の両方について、約200Å/分-250Å/分の間であった。
【0060】
CVDによるTiN材料堆積物よりもPVDにより堆積されたTiNについて観察された選択性は、1倍量-4倍量の間のリン酸塩抑制剤を含む過酸化物希釈ストック溶液について1:2-1:3又は約65Å/分-100Å/分の間-約100Å/分-150Å/分の間であった。
【0061】
これらの配合物は、2Å/分以下の銅エッチング速度及び2Å/分のコバルトエッチング速度を与えた。銅及びコバルトのエッチング速度は、1倍量-4倍量の間のリン酸塩抑制剤を含む過酸化物希釈ストック溶液では、互いに約0.25Å/分-0.5Å/分の間であることが観察された。
【0062】
実施例2
比較ストック組成物(CE-1、CE-2及びCE-3)、及び14の実施例ストック組成物(E1-14)を表1に従って調製した:
表1
【0063】
以下の表2に示すように、組成物を、1:9又は1:4(組成物:H)の比で、Hで希釈した。TiN、AlN、Cu、及びCo上の希釈組成物のエッチング速度を、これらの材料のコーティングを有するクーポン試料で測定した。クーポン試料を、希釈洗浄組成物を含有するビーカーに浸し、50℃に加熱し、360rpmで攪拌した。クーポン試料を、TiNクーポン(物理蒸着によって形成)については30秒間、AlNクーポンについては1分間、銅及びコバルトクーポンについては30分間浸した。クーポン膜エッチング速度を、AlN、Cu、及びCoクーポンについては(x線蛍光)XRF、TiNクーポンについては偏光解析法を用いて測定した。結果を表2に示す:
表2
【0064】
PVD TiNエッチング速度は、全ての組成物について約200Å/分-400Å/分の間であった。銅及びコバルトのエッチング速度は、一貫して低い又は存在しないことが観察された。
【0065】
AlNエッチング速度はリン酸の添加によって制御されたが、他のエッチング速度は有意には変化しなかった。
【0066】
結果は、テトラグリム又はブチルカルビトールを有機溶媒として、酸化剤NMMOの非存在下で使用した場合にも、AlNエッチング速度に対するリン酸の効果が見られることを示している。
【0067】
実施例3
この実施例は、表3に示される重量%により試薬を混合することによって調製したさらなるストック洗浄組成物E15~17の調製を例示している。
表3
【0068】
組成物E15-17及び追加の組成物E18-21の具体的な配合を表4に示す:
表4
DIW:脱イオン水
TMAH:水酸化テトラメチルアンモニウム
NMMO:N-メチルモルホリンオキシド
CDTA:シクロヘキサンジアミン四酢酸
HEDP:1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸
5m-BTA:5-メチル-ベンゾトリアゾール
【0069】
以下の表5に示すように、組成物を、1:9又は1:4(組成物:H)の比で、Hで希釈した。TiN、AlN、Cu、及びCo上の希釈組成物のエッチング速度を、これらの材料のコーティングを有するクーポン試料で測定した。クーポン試料を、50℃に加熱した希釈洗浄組成物を含有するビーカーに浸した。クーポン試料を、TiNクーポン(物理蒸着によって形成)については30秒間、AlNクーポンについては1分間、銅及びコバルトクーポンについては30分間浸した。クーポン膜エッチング速度を、AlN、Cu、及びCoクーポンについては(x線蛍光)XRF、TiNクーポンについては偏光解析法を用いて測定した。結果を表5に示す:
表5
【0070】
結果は、リン酸の代わりにビスホスホネートを用いて調製した組成物E-6が、わずかに増加したCu及びCoエッチング速度を伴うが、特に低いAlNエッチング速度を示したことを示す。
【0071】
本開示のバージョンの組成物は、例えばPVD堆積TiNハードマスク(HM)及びエッチング後残留物を、TiN HMの下にある低誘電率材料、AlNエッチング停止層、銅相互接続、コバルトビアコンタクト及び化学蒸着TiNバリア材料(BM)を含む基板から除去するエッチング後残留物除去洗浄プロセスに使用され得る。本開示のバージョンの酸化剤で希釈した組成物は、低誘電率材料と互換性があり、エッチング後残留物を除去し、高いTiN HMエッチング速度を有し、TiN BM、AlN、銅及びコバルト材料よりも高いエッチング選択性を有する。
【0072】
種々の組成物及び方法を記載しているが、これらは変化し得るので、本発明は記載されている特定の分子、組成物、設計、方法論又はプロトコルに限定されないことを理解すべきである。本明細書で使用される用語は、特定のバージョン又は実施態様を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解すべきである。
【0073】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含むことにも留意しなければならない。よって、例えば、「キレート剤」への言及は、1種又は複数のキレート剤及び当業者に知られているそれらの等価物への言及などであり得る。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を本発明の実施態様の実施又は試験に使用することができる。本明細書で言及される全ての刊行物は、全体が出典明示により援用される。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明のためにこのような開示に先行する権利がないことの自認として解釈されるべきではない。「任意選択の」又は「任意選択的に」又は「有利には」又は「適切には」は、後に記載される事象又は状況が発生してもしなくてもよく、その記載にその事象が発生した場合及び発生しなかった場合が含まれることを意味する。本明細書における全ての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語によって修飾され得る。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と等価である(すなわち、同じ機能又は結果を有する)とみなすであろう数の範囲を指す。いくつかの実施態様では、「約」という用語が表示値の±10%を指し、他の実施態様では「約」という用語が表示値の±2%を指す。組成物及び方法を種々の構成要素又は工程を「含む」(「それだけに限らないが、含む」を意味すると解釈される)という点で記載しているが、組成物及び方法は、種々の構成要素及び工程「から本質的になる」又は「からなる」こともできる。よって、いくつかの実施態様では、このような用語は本質的に閉じた又は閉じた要素群として解釈されるべきである。
【0074】
本発明を1つ又は複数の実施態様に関して示し、記載してきたが、本明細書及び付属の図面を読んで理解すれば、同等の変更及び修正が当業者には思い浮かぶであろう。本発明は全てのこのような修正及び変更を含み、以下の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。さらに、本発明の特定の特徴又は態様をいくつかの実行のうちの1つのみに関して開示してきたが、このような特徴又は態様を、任意の所与の又は特定の適用のために所望され、有利となり得るように、他の実行の1つ又は複数の他の特徴又は態様と組み合わせることができる。さらに、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、又はこれらの変形が詳細な説明又は特許請求の範囲の何れかで使用される限り、このような用語は「含む(comprising)」という用語と同様に包括的であることが意図される。また、「例示的」という用語は、最良ではなくむしろ一例を意味することを単に意図している。また、本明細書に描かれる特徴、層及び/又は要素は、単純さ及び理解を容易にするために互いに対して特定の寸法及び/又は配向で示されており、実際の寸法及び/又は配向は本明細書に示されるものから実質的に異なっていてもよいことも認識されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化テトラアルキルアンモニウム塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基と;
腐食抑制剤と;
少なくとも2種以上の多塩基酸又はその塩の組み合わせと
を含むストック組成物であって、少なくとも1種の前記多塩基酸又はその塩がリンを含有する組成物。
【外国語明細書】