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特開2024-105274デバイス製造における金属ハードマスクの形成のシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105274
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】デバイス製造における金属ハードマスクの形成のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20240730BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240730BHJP
   C23C 16/06 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C23C16/44 B
H01L21/302 105A
C23C16/06
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024065293
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2020544641の分割
【原出願日】2019-03-01
(31)【優先権主張番号】62/637,188
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミン, シアオチュアン
(72)【発明者】
【氏名】クルシュレシャータ, パラシャント クマール
(72)【発明者】
【氏名】リー, クァンドゥック ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】プラバカール, ビネイ ケー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハードマスク形成方法を提供する。
【解決手段】基板を配置する前に、チャンバ内で第1のプラズマ表面処理を実行し、その後、プロセスチャンバ内にシーズン材料を堆積させることを含む。プロセスチャンバ内に複数のシーズン材料を堆積させた後、基板が、チャンバ内に配置される。基板は、シーズン材料と接触してプロセスチャンバ内に配置される。基板処理が、実行される。基板処理は、基板上に金属ベースのハードマスク膜を形成する前に、第2のプラズマ表面処理を実行すること、基板上にバリア層を形成すること、または低周波RF処理を実行することのうちの1つ以上を含むことができる。金属ベースのハードマスク膜は、1つ以上の金属を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードマスクを形成する方法であって、
プロセスチャンバ内で第1のプラズマ表面処理を実行することと、
前記第1のプラズマ表面処理を実行した後、シーズン材料を前記プロセスチャンバの複数の露出表面上に堆積させることと、
前記シーズン材料を前記プロセスチャンバの前記複数の露出表面上に堆積させた後、基板を前記プロセスチャンバ内に前記シーズン材料と接触させて配置することと、
前記基板上で処理を実行することであって、
第2のプラズマ表面処理を実行することと、
前記基板上にバリア層を形成することと、
低周波RF処理を実行することと、
のうちの少なくとも1つを含む処理を実行することと、
少なくとも1つの処理を実行した後、前記基板上に金属ハードマスク膜を形成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記シーズン材料が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、およびそれらの組合せのうちの少なくとも2つを含み、前記シーズン材料が、前記基板の硬度の半分未満の硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプラズマ表面処理が、等しくない間隔を有する開口を備えるブロッカプレートを通して、前記プロセスチャンバ内にガスを導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バリア層を形成することが、第1の期間、前駆体に前記基板をソーキングして、目標バリア層厚さを形成することと、その後、第2の期間、プラズマ処理を実行することと、の少なくとも1つのサイクルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記目標バリア層厚さが、約3オングストロームから約50オングストロームである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の期間中に、前記プラズマ処理で使用される複数のガスが、所定のガス流時間にわたって目標ガス流量までランプアップされる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記所定のガス流時間が、約5秒から約30秒である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基板製造の方法であって、
プロセスチャンバを洗浄することと、
その後、前記プロセスチャンバ内で第1のプラズマ表面処理を実行することと、
前記第1のプラズマ表面処理を実行した後、酸化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、およびそれらの組合せのうちの少なくとも2つを含むシーズン材料を、前記プロセスチャンバの複数の露出表面上に堆積させることと、
基板を前記プロセスチャンバ内に前記シーズン材料と接触させて配置することと、
前記基板上に金属ハードマスク膜を形成することと、
を含む方法。
【請求項9】
前記金属ハードマスク膜が、タングステン(W)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、およびそれらの合金または組合せのうちの少なくとも1つと、ホウ素、炭素、窒素、およびケイ素のうちの少なくとも1つを含むドーパントとを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板を前記プロセスチャンバ内に配置した後、前記金属ハードマスク膜を形成する前に、前記基板上に処理を実行することを、さらに含み、前記処理が、
第2のプラズマ表面処理を実行することと、
前記基板上にバリア層を形成することと、
低周波RF処理を実行することと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記金属ハードマスク膜が、タングステン(W)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、イットリウム(Y)、またはジルコニウム(Zr)を含む第1の金属を含み、前記バリア層が、前記第1の金属を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記バリア層の形成中に、前記プロセスチャンバに複数のプロセスガスを導入することと、
前記バリア層の形成中にガスランピングを実行することと、
をさらに含み、前記ガスランピング中に、前記複数のプロセスガスの目標ガス流が、前記複数のプロセスガスを前記プロセスチャンバに導入した後、5秒から30秒の時間で、前記プロセスチャンバ内で達成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ケイ素基板と、
前記ケイ素基板上に形成された複数の交互の窒化ケイ素層および酸化ケイ素層を含む積層体と、
前記積層体上に形成されたバリア層と、
前記バリア層上に形成されたハードマスク膜と、
を備えるデバイス。
【請求項14】
前記ハードマスク膜が、タングステン(W)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、またはそれらの合金もしくは組合せを含む第1の金属と、ホウ素、炭素、窒素、およびケイ素のうちの少なくとも1つを含むドーパントとを含む、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記バリア層が、約5オングストロームから約30オングストロームの範囲内の厚さを有する、請求項14に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、一般に、メモリ用途およびロジック用途の両方のための半導体技術において使用される集積回路(IC)の製造に関する。これらのICの製造は、フォトリソグラフィーならびに製作されたパターンを基板に転写する転写プロセスを含むことができる。この転写プロセスは、マスキング膜を使用することができる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 半導体デバイスは、その中に高アスペクト比フィーチャが形成された膜積層体を含む。高アスペクト比フィーチャは、様々な工程で形成することができる。いくつかの高アスペクト比フィーチャは、先進的なロジックおよびメモリ構成要素の処理中に、膜積層体内にフィーチャを形成するためのハードマスク膜を使用して、形成することができる。ハードマスク膜は、製造されているデバイスのタイプに応じて、様々な金属材料、非金属材料、または材料の組合せを含むことができる。ハードマスク膜は、劣化することなく長いエッチングプロセスに耐えるように設計されている。ハードマスク膜は、さらに、他のマスキング材料と比較して、より高い機械的強度およびより低い応力を示す。しかしながら、従来のハードマスクには、処理中の剥離の問題がある。ハードマスクの剥離は、エッチングおよび下流の工程を含むデバイス製造に負の影響を与える可能性がある。
【0003】
[0003] したがって、改良されたハードマスクおよびハードマスク形成方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本開示は、一般に、デバイスを製造するために使用されるシステムの構成および準備を含む、金属ベースのハードマスクを使用するデバイスの製造のためのシステムおよび方法に関する。一例では、ハードマスクを形成する方法は、プロセスチャンバ内で第1のプラズマ表面処理を実行することを含み、第1のプラズマ表面処理を実行した後に、シーズン材料が、プロセスチャンバの複数の露出表面上に堆積される。さらに、この例では、シーズン材料をプロセスチャンバの複数の露出表面上に堆積させた後に、基板が、プロセスチャンバ内に配置され、基板は、シーズン材料と接触する。少なくとも1つの処理が、基板上で実行され、少なくとも1つの処理は、第2のプラズマ表面処理を実行すること、基板上にバリア層を形成すること、または低周波RF処理を実行することを含む。少なくとも1つの処理を実行した後に、金属ハードマスク膜が、基板上に形成される。
【0005】
[0005] 別の例では、基板製造方法は、プロセスチャンバを洗浄することと、その後、プロセスチャンバ内で第1のプラズマ表面処理を実行することとを含む。第1のプラズマ表面処理を実行した後に、シーズン材料をプロセスチャンバの複数の露出表面上に堆積させ、シーズン材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、またはそれらの組合せのうちの少なくとも2つを含み、シーズン材料と接触するようにプロセスチャンバ内に基板を配置し、基板上に金属ハードマスク膜を形成する。
【0006】
[0006] 一例では、デバイスは、ケイ素基板と、ケイ素基板上に積層体を形成するように配置された複数の交互に並ぶSiN-SiO層と、積層体上に形成されたバリア層と、バリア層上に形成されたハードマスク層とを含む。
【0007】
[0007] 本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかし、添付の図面は、例示的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態による基板製造方法のフローチャートである。
図2】本開示の実施形態に従ってバリア層および金属ベースのハードマスク膜が形成されたプロセスチャンバの部分断面図である。
図3A】本開示の実施形態によるシャワーヘッドの部分概略図である。
図3B】本開示の実施形態によるシャワーヘッドの部分概略図である。
図4】タングステンハードマスク膜を用いて本明細書で論じられるように製造された基板の前面の2つの欠陥走査画像の比較である。
【0009】
理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素は、可能であれば同一の参照番号を使用して示してある。1つの実施形態の要素および特徴は、さらなる列挙なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが、企図される。
【0010】
[0012] 集積回路(IC)製造業者は、デバイスの1個当たりの高容量化と低コスト化を達成するために、ロジックデバイス用途とメモリデバイス用途の両方について、処理中の臨界寸法(CD)サイズを縮小するための半導体技術を進歩させている。本明細書で論じられるような非倒壊性の高エッチング選択性ハードマスクが、臨界寸法がますます小さくなるデバイスを製造するために、フォトリソグラフィーからパターンを下にある基板に転写するために使用される。
【0011】
[0013] 本開示のシステムおよび方法の実施形態は、多種多様な基板タイプおよび基板形状上での欠陥のない金属ベースのハードマスクの形成(堆積)に関する。一実施形態では、「欠陥のない」とは、所定の厚さの半導体膜内または半導体膜上に存在することを容認される所定の直径の欠陥(例えば、粒子汚染物質)が、所定の数(「X」)未満であることを意味することができる。一例では、200mmまたは300mm直径の基板上の厚さ約200Åの半導体膜に対して、32nmより大きい欠陥が10個未満存在できる。別の例では、厚さ5kÅの膜に対して、90nmより大きい欠陥が30個未満存在できる。
【0012】
[0014] その上に金属ベースのハードマスク膜が形成される、本明細書で論じられる基板は、膜形成およびパターニングを含む工程のためにプロセスチャンバ内に配置されるデバイス基板を含むことができる。その上に金属ベースのハードマスク膜(またはハードマスク材料)が形成される、本明細書で論じられる基板は、シャワーヘッド、ブロッカプレート、およびプロセスチャンバに含まれる他の構成要素を含む、プロセスチャンバ表面ならびに構成要素を、さらに含むことができる。
【0013】
[0015] ハードマスキングに使用される現在使用されている膜は、基板密着性、バリア層の欠如または非効率、および裏面欠陥を含む望ましくない膜内欠陥を含む、様々な課題を有する可能性がある。ロジック用途およびメモリ用途(ロジック用途で使用される膜よりも厚い膜であり得る)で使用される従来の、金属を含むハードマスク膜は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリシリコン、アモルファスシリコンなどの基板を含む基板上で、例えば使用不可能または望ましくない、不十分な密着性を示す。不十分な密着性は、ハードマスク膜を通ってハードマスク-基板界面に向かうフッ素(F)ラジカル(一般に使用されるタングステン前駆体であるWFから生成される)の拡散の結果であり得る。ハードマスク-基板界面がFラジカルで飽和すると、飽和した界面は、下にある基板からのハードマスク膜の剥離を引き起こし、したがって、密着性を低下させる。
【0014】
[0016] 従来の用途とは異なり、本明細書で論じるハードマスク膜は、バリア層と共に使用される。バリア層は、本明細書では開始層とも呼ぶことができ、フッ素の拡散を防止するために、ハードマスク堆積の前に基板上に形成される。バリア層は、タングステンハードマスク膜を含む金属ハードマスク膜の、所望の基板上への十分な密着を、さらに容易にする。一例では、本明細書で論じるハードマスク膜は、単一層として形成することができる。別の例では、本明細書で論じるハードマスク膜は、2つ以上の層として形成することができる。一例では、ハードマスク膜は、一連のサブ工程において、デバイス基板上および/またはプロセスチャンバ構成要素上に形成されることができる。
【0015】
[0017] さらに、本明細書で論じるバリア層は、後続のバルクアモルファス金属ベースハードマスク(「金属ハードマスク」)膜堆積のための十分な核形成部位を提供するためのシード層として働く。バリア層は、ハードマスク膜の深さに沿った(を通った)、タングステンハードマスク膜などの金属ベースのハードマスク膜の均一な組成および形態の両方を促進する。本明細書で論じるバリア層は、バルクタングステンハードマスク膜と類似のエッチング挙動を示す。類似のエッチング挙動は、エッチング中のプロファイルの広がりや、エッチング後に残されたハードマスク残留物などの問題を防止する。類似のエッチング挙動はまた、本開示の様々な実施形態で使用されるバルク金属ハードマスク膜とは、それほど挙動が類似しない材料のバリア層によって提示される他の課題を軽減することができる。
【0016】
[0018] 本明細書で論じる金属ベースのハードマスクは、プラズマ堆積法および修正されたガス流分布スキームを用いて堆積させることができる。本明細書で論じるシステムおよび方法を使用して、広範囲のドーパント濃度(例えば、10%~80%)を有する金属ベースのハードマスク膜が形成される。本明細書で論じるハードマスク膜は、タングステン(W)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、もしくは他の金属などの1種以上の金属または金属の組合せおよび合金を含むことができる。金属ベースのハードマスク膜は、ホウ素、炭素、窒素、およびケイ素などのドーパントを含むように形成することができ、基板(例えば、酸化物、窒化物、アモルファスシリコン、酸化物-窒化物積層体、窒化チタン、ケイ素、ポリシリコンなど)上に堆積される。
【0017】
[0019] 本開示の実施形態に従って製造された金属ベースのハードマスク膜は、実行可能な密着性を示し、基板の前面および裏面の両方に欠陥がないか、または実質的にない。様々な例において、ドーパント含有量は、金属ハードマスク膜の総重量の10~80重量%であり得る。いくつかの実施態様において、金属ハードマスク膜が形成される基板は、Siベースの積層体を含み、例えば、32層~256層の範囲であり得る、酸化ケイ素(SiOx)および窒化ケイ素(SiNx)の交互の層を含む。積層体は、エッチングを含む方法によってパター二ングされるように製造される。本明細書で論じる金属ベースのハードマスクを含むマスクを使用して、これらのパターンを形成することができる。したがって、本明細書で論じる金属ベースのハードマスクは、従来のマスクよりも、より厚いスタック(例えば、96層以上の酸化ケイ素/窒化ケイ素層)のエッチングに耐えるように形成される。本明細書で論じる金属ベースのハードマスクは、スタックの表面からの剥離の可能性および重大度が低減されている。ハードマスクの剥離は、基板の欠陥、エッチング中のアンダーカット、および/またはスタックの層間のエッチング選択性の不十分または不整合をもたらす可能性がある。
【0018】
[0020] バリア層に戻ると、次世代ノード用途に適するように、バリア層は、バルクハードマスク材料(例えば、タングステンハードマスク)と類似の熱的および機械的特性ならびに化学量論組成を示すように選択される。特性および化学量論組成の類似性は、後続のエッチングプロセス中のプロファイルの広がりを防止することができ、予期せぬハードマスク残留物を防止することができ、デバイス歩留まりを改善する。同様に、本開示の実施形態に従って形成された膜は、実行可能な膜内欠陥(包含)パフォーマンスにより、将来の世代の用途に使用することができる。本明細書で論じるハードマスク膜の膜内欠陥パフォーマンスは、ハードマスクオープンエッチング工程中のミスアラインメントプロファイルの防止を容易にし、したがって、後続のエッチングプロファイルのミスアラインメントを緩和し、デバイス歩留まりを増加させる。
【0019】
[0021] 基板処理の間、タングステンハードマスク膜などの金属ハードマスク膜を形成するために使用される材料は、プロセスチャンバ内の上部電極表面(「シャワーヘッド表面」)上に蓄積する可能性がある。プロセスチャンバ内でのプラズマ処理工程中、堆積された金属ハードマスク膜の密着性が悪いと、上部電極から金属ハードマスク膜のフレーキングまたはピーリングが生じる。従来の金属ハードマスク膜は、基板上にフレーキングもしくはピーリングすることがあり、または基板上で実行されるエッチングもしくは他の後続プロセスを妨げる可能性のある、処理基板上の層内の膜内粒子欠陥として現れることがある。本明細書で論じるシステムおよび方法を使用して、金属ベースのハードマスク膜を形成するために、様々な方法を単独で、または組み合わせて使用することができる。96層より多い積層体を有するケイ素基板が、金属ベースのハードマスク材料の剥離のフレーキングを緩和しながら、上手くエッチングされ得る。
【0020】
[0022] 本明細書で説明するこれらのシステムおよび方法は、以下のような工程を含むことができる:(1)ガスをより均等に分配するように設計されたブロッカプレートを使用して、チャンバ内に基板を配置する前にチャンバを洗浄すること、(2)例えば、イオン化/ラジカル化窒素酸化物(例えば、NO)ならびにイオン化/ラジカル化酸素および/またはヘリウムを使用して、チャンバ内に基板を配置する前にチャンバ表面プラズマ処理を実行すること、(3)チャンバ内に基板を配置する前に、シリコンリッチ材料などのシーズン材料プラズマ堆積をチャンバ内で実行すること、(4)チャンバ内に基板を配置した後に、水素および/または窒素プラズマ表面処理を実行すること、(5)前駆体に基板をソーキングし、次いで、前駆体ソーキング後のプラズマ処理中にチャンバ内のガス流を一定流量に保持するのとは対照的なプロセスガスランピングを含んでもよいし、または含まなくてもよいプラズマ表面処理を実行するサイクルを実行することによって、(4)とは独立に、または(4)の後に、基板がチャンバ内にある間に、バリア層、例えば、窒化タングステンバリア層を形成すること、ならびに/または(6)基板がチャンバ内にあり、プロセスガスランピングを使用している間に、低周波RFを印加すること。上記では一例を説明したが、他の例も考えられる。例えば、工程(3)は、工程(2)の前に実行することができる。ある実施形態では、(1)で使用される1つ以上のガスは、アルゴン、NF、または酸素を含むことができる。
【0021】
[0023] 本明細書で論じるシステムおよび方法を使用して、シーズン(シャワーヘッド表面コンディショニング)材料の少なくとも1つの層を、バリア層と共に使用することができる。シャワーヘッド上のシード層としても機能するバリア層は、堆積される金属ハードマスク材料のための固定部位を提供することができる。さらに、タングステンハードマスクおよび/またはシーズン材料をピールオフ(剥離)させるシャワーヘッド表面へのフッ素拡散が、バリア層によって防止/抑制される。いくつかの実施形態では、基板をチャンバ内に配置する前に、チャンバ、したがって、シャワーヘッドのシーズニング中に、少なくとも酸化ケイ素および窒化ケイ素が、チャンバ構成要素の保護を容易にするために、種々の所定の比率で使用される。酸化ケイ素および/または窒化ケイ素を形成するために、ケイ素、酸素、および窒素前駆体が利用される。前駆体は、RF電力を用いてイオン化および/またはラジカル化され、シャワーヘッドへの酸化ケイ素および窒化ケイ素の密着が強化され、後述するAlFx形成の主要因となる。使用される酸化ケイ素:窒化ケイ素のパーセンテージの比率は、100:0、90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、または10:90までの他の範囲の比率を含むことができる。
【0022】
[0024] 金属ハードマスクの製造および使用に対するさらなる課題は、アルミニウム汚染によって引き起こされ得る裏面欠陥の発生である。例えば、プラズマ/NF洗浄プロセス中に、アルミニウム含有基板支持体またはヒータ表面が、部分的にAlFxに変換される。いくつかの例では、AlFxは、基板の裏面に運ばれて、したがって、基板の裏面に望ましくないアルミニウム汚染を引き起こす。さらに、形成されたAlFxは昇華し、シャワーヘッド表面などの低温のチャンバ内側表面上に堆積する。
【0023】
[0025] 従来のアプローチとは対照的に、シーズン材料の層が、プラズマ/NF洗浄プロセスの直後に、ヒータ表面上に堆積される。ヒータ表面から基板裏面へのアルミニウム拡散は、シーズン層によって遮断され、基板上のアルミニウム裏面汚染を除去または軽減する。シーズン層はまた、シャワーヘッド上の後続の層の密着性低下に寄与する、シャワーヘッド表面上へのAlFxの昇華を抑制することができる。さらに、酸化ケイ素および窒化ケイ素の使用は、酸化ケイ素および窒化ケイ素層の相対的な軟性により、基板の裏面上のスクラッチを減少させる。
【0024】
[0026] したがって、本明細書のシステムおよび方法を使用して、タングステンハードマスク膜とすることができるハードマスク膜の密着性が、(1)表面処理、(2)シーズン材料堆積、および(3)バリア/シード層堆積によって改善される。一例では、シャワーヘッドに適用される表面処理は、AlFx残留物を除去して、シーズン材料の密着性を高める。表面処理は、バリア/シード層上の金属ハードマスク膜の核形成を、さらに改善する。シーズン材料は、低い硬度を示し、シャワーヘッド表面に良好に密着し(さらなる処理を可能にするように)、上にバリア層が配置されたシャワーヘッドおよび他の表面上での金属ハードマスク膜堆積のための固定部位を提供する。本明細書中で論じられるシーズン材料の「低い」所望の硬度は、基板をスクラッチしないように、基板の硬度の50%未満である硬度として、本明細書中で定義され得る。別の例では、シーズン材料の硬度は、基板の硬度の33%未満、または基板の硬度の25%未満である。バリア層に目を向けると、一例では、バリア層は、エッチングプロセス中の類似の挙動を含む、バルク金属ハードマスク材料と類似の特性および化学量論組成を含む。
【0025】
[0027] 図1は、本開示の実施形態による基板製造方法100のフローチャートである。いくつかの例では、工程102において、プロセスチャンバは、例えば、塩素を含む1種以上のガスを使用して洗浄される。一例では、工程102は、基板または基板バッチをプロセスチャンバに配置する前に実行される。工程102におけるチャンバ洗浄に続いて、工程104において、第1のプラズマ表面処理が、プロセスチャンバ内で実行される。工程104におけるこの処理は、窒素酸化物(例えば、NO)および/または酸素とヘリウムガスとの混合物を含むことができる。高周波RF電流(例えば、~13.56MHz)を印加して、窒素酸化物および/または酸素とヘリウムガスとの混合物をイオン化またはラジカル化して、高周波プラズマを形成することができる。他の実施形態では、工程104において、窒素酸化物、窒素(例えば、N)、酸素(例えば、O)、ヘリウム、アンモニア(NH)、ジボラン(B)、またはプロペン(C)などの1種以上のガスが、単独で、または上述の1種以上のガスとの様々な組合せで使用されて、高周波RFプラズマを生成することができる。
【0026】
[0028] 工程104における第1のプラズマ処理中に、プロセスチャンバ内のシャワーヘッドの表面上のAlFx残留物は、酸化アルミニウム(AlOx)に変換される。工程104での第1のプラズマ処理に続いて、工程106において、プロセスチャンバ内に基板がない状態で、シーズン材料の1つ以上の層が、プロセスチャンバの内側の露出表面上に堆積される。工程106で堆積されるシーズン材料の1つ以上の層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスシリコン(a-Si)、酸化ケイ素と窒化ケイ素の1つ以上の交互の層、酸化ケイ素とアモルファスシリコンの1つ以上の交互の層、窒化ケイ素とアモルファスシリコンの1つ以上の交互の層などを含むことができる。露出表面は、シャワーヘッド表面、基板支持体表面、チャンバ底部、および/またはチャンバ側壁を含むことができる。AlFx残留物の酸化アルミニウムへの変換は、プロセスチャンバ表面およびシャワーヘッド上での、その後に堆積されるシーズン材料の密着性を増加させる。工程106で堆積されたシーズン層は、シャワーヘッドに密着して、後述する工程112での後続のハードマスク材料堆積のための固定部位を提供する。工程106で配置されるシーズン層は、50オングストローム未満、いくつかの例では30オングストローム未満、または約20オングストローム以下とすることができ、フッ素が、その後プロセスチャンバに導入され、シャワーヘッドが、それに曝されるときに、シャワーヘッド上へのフッ素ラジカルの拡散を防止する。上述のように、フッ素ラジカルの拡散は、フッ素とアルミニウムシャワーヘッドとの反応をもたらし、AlFxを形成し、その結果、シャワーヘッドからの材料の剥離またはフレーキングをもたらし、基板の前側表面上の欠陥を引き起こす可能性がある。
【0027】
[0029] 本明細書で論じるシーズン材料は、硬度の点で軟質である。一例では、本明細書で論じるシーズン材料は、基板の硬度の50%未満の硬度を有する。別の例では、本明細書で論じるシーズン材料は、基板硬度の3分の1未満の硬度を有する。基板の硬度に比べた、シーズン材料の硬度は、これに基板が接触しているときに、基板裏面スクラッチの低減に寄与する。より高い硬度の材料(例えば、工程106で使用されるシーズン材料として本明細書で論じられる材料よりも、基板の硬度に近いもの)が使用される場合、後続のリソグラフィプロセス中に裏面スクラッチが発生し得る。工程106で堆積されたシーズン材料は、基板のアルミニウム汚染をもたらす、基板支持体表面から基板裏面へのAlFxの拡散を抑制するように、さらに作用することができる。工程108において、基板または基板のバッチが、プロセスチャンバ内に配置され、堆積、エッチング、アニーリング、リソグラフィなどの1つ以上の処理工程が、基板処理工程110でのプリハードマスク処理の前に行われ得る。
【0028】
[0030] 基板処理工程110において、1つ以上の基板処理サブ工程を実行して、バリア層を形成することができる。本明細書で論じるように、バリア層の形成は、工程118(以下で論じる)での金属ハードマスク膜の形成を容易にし、促進する。本明細書で論じるハードマスク膜は、バリア層を介した基板へのハードマスク膜の密着性の改善により、エッチングおよびさらなる処理に耐えることができる。一実施形態では、基板処理工程110における第1のサブ工程112において、最初の水素および窒素プラズマ表面処理が、シーズン層に適用される。基板処理工程110で実行することができる1つ以上のサブ工程が、以下で説明するように、任意選択で、単独で、または組み合わせて実行することができる。いくつかの例では、基板処理工程110における1つ以上のサブ工程は、連続して実行される。
【0029】
[0031] 基板処理工程110における第1のサブ工程112での水素および窒素表面処理の間、水素(H)衝撃が、表面Si-H結合を生成する。Si-H結合は、その後のバリア層堆積(サブ工程114Aおよび114Bでの)および/または工程118(後述する)でのハードマスク層のためのバリア層上の核形成部位として機能する。WFなどの金属前駆体が、核形成部位と相互作用して、膜形成を促進する。水素および窒素処理がタングステン含有層上で起こるように、110が周期的プロセスで実行される場合、(サブ工程114Aおよび114Bの後の)水素衝撃が、さらに、処理された膜中に窒素空孔を生成し、金属ハードマスク堆積中、または続いてバリア層堆積中にフッ素ラジカルをトラップする。金属ハードマスクおよび/またはバリア層がタングステンを含む例では、水素衝撃は、タングステン層が窒化タングステン層に変換されるとき、タングステン層の水素化物含有量を、さらに増加させる。窒化タングステン層は、タングステンハードマスク膜、または本明細書で論じる他の金属ベースのハードマスク膜のバリア層として機能し、密着性および核形成を改善する。
【0030】
[0032] 本明細書の他の例および実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、基板処理工程110の第2のサブ工程114Aにおいて、WFなどの前駆体が導入され、(準)単分子層で基板表面上に吸着される。続いて、プラズマ水素および窒素表面処理が、基板処理工程110における第3のサブ工程114Bで実行されることができる。第3のサブ工程114Bは、基板を水素および窒素プラズマに曝露し、WFをタングステン(W)に還元する。さらに第3のサブ工程114Bでは、タングステン層が、窒化タングステンに変換される。本明細書の他の例と組み合わせることができる一例では、第1のサブ工程112は、第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bと組み合わせることができる。
【0031】
[0033] 基板処理工程110において、第1のサブ工程112の最初の水素および窒素表面処理の使用は、基板上にタングステン層を形成するための従来のホウ素(B)またはケイ素(Si)前駆体の使用を排除する。従来のプロセスにおけるホウ素またはケイ素含有前駆体の使用は、基板上に配置された材料のホウ素またはケイ素汚染により、プロセスフロー/デバイス製造の問題を引き起こす可能性がある。
【0032】
[0034] 基板処理工程110中に形成される窒化タングステン(WN)層の厚さは、プロセスサイクル数を調整することによって制御することができる。第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bの単一サイクルが、所定の厚さ範囲内の厚さを有するバリア層が形成されるまで、基板処理工程110中に複数回数繰り返されることができる。一実施形態では、第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bでタングステンを使用して金属ベースのバリア層を形成するために、複数の核形成部位が、タングステン核形成のために基板上に形成される。従来のプロセスでは、ホウ素またはケイ素前駆体が、基板表面に吸着し、次いで、タングステンと化学的に反応して、基板上にタングステンを核形成することができる。しかしながら、これは、未反応前駆体からのホウ素またはケイ素の残留を引き起こす可能性がある。ホウ素またはケイ素残留物の形成は、ハードマスク膜の形成を妨げ、下流の工程を妨げることがある。基板処理工程110の第1のサブ工程112でH/N処理を使用することによって、タングステン核形成部位として働く表面ダングリングボンドが形成される。この例では、ホウ素またはケイ素前駆体の使用が排除される。
【0033】
[0035] 一例では、第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bのサイクルは、厚さ約2Å~4Åのバリア層を形成することができる。周期的工程によるバリア層の厚さ制御は、より厚い膜層(例えば、20オングストローム~40オングストロームまたはそれ以上)の堆積に適合させることができるバルク堆積法とは対照的に、バリア層特性の調整可能性を改善する。第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bで利用される周期的堆積プロセスは、単独で、または基板処理工程110の第1のサブ工程112と組み合わせて使用することができる。別の例では、第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bで利用される周期的堆積プロセスは、単独で、または基板処理工程110での第4のサブ工程116と組み合わせて使用することができる。この例では、周期的堆積プロセスは、プラズマ分布に依存しない。むしろ、基板処理工程110における第2のサブ工程114Aでのソーキングの1つ以上のパラメータ、例えば、持続時間、前駆体の種類、および前駆体の濃度が、バリア層形成のオングストロームレベルの制御を可能にする。バリア層形成の調整可能性および制御は、プロセスチャンバ内のプラズマ分布とは無関係に、基板全体にわたって、本明細書で論じられるハードマスクなどの層形成を重ね合わせる際の一貫性を可能にする。
【0034】
[0036] 別の例では、第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bの1つ以上のサイクルによって形成されるバリア層は、約5Å~約50Åの厚さに形成することができる。他の例では、第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bの1つ以上のサイクルによって形成されるバリア層は、約15Å~約25Åの厚さに形成することができる。さらに他の例では、第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bの1つ以上のサイクルによって形成されるバリア層は、20Åの目標厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bの1つ以上のサイクルは、約13.56MHz以上の高周波(RF)環境で実行される。
【0035】
[0037] いくつかの実施形態では、基板処理工程110における第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bのうちの一方または両方において、ガスランピングを使用することができる。ガスランピングは、ガス流量が所定のガス流量範囲にわたって変化するように、プロセスチャンバ内への1つ以上の前駆体ガスの流量を調整することとして、本明細書では定義される。実施形態に応じて、基板処理工程110における第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bのうちの一方または両方の間、ガス流をランプアップさせる(ガス流を増加させる)および/またはランプダウンさせる(ガス流を減少させる)ことができる。従来使用されて来た瞬間的なガス流とは対照的に、本明細書で論じるガスランピングは、目標ガス流量を達成するのに5秒から30秒を要することができるように構成することができる。瞬間的なガス流の間、処理中のガス流の開始は、ガス流を開始するとすぐに目標流量または範囲に到達させる。本明細書の実施形態による、この比較的ゆっくりとしたランピングは、従来の方法とは対照的に、バリア層の核形成のための増加した、したがって十分な時間を促進し、可能にすることができる。一例では、ガスランピングは、17sscm/sのランピング速度を使用して、5秒以内にWFの流量を0sccmから85sccmに増加させることができる。いくつかの実施形態では、ガスランピングは、基板処理工程110の第1のサブ工程112において、先のプラズマ水素-窒素表面処理と共に実施される。この例では、基板処理工程110中に形成されるバリア層は、異なる基板上へのハードマスクの十分な密着を容易にし、バリア層が存在しない場合には、密着が低下したであろう。ランピング工程中に堆積されたバリア層は、その後そこに形成されるハードマスク膜と同じ組成および/または特性を示す。バリア層とバルクハードマスク膜との間の挙動の類似性は、エッチングプロセス後のプロファイルの広がり、またはハードマスク残留物の存在、または本明細書で論じるハードマスク形成の他の課題などの問題の重大化を防止または低減する。
【0036】
[0038] 任意選択で、第4のサブ工程116を利用することができる。基板処理工程110の第4のサブ工程116において、窒素および/または水素から形成されたプラズマがプロセスチャンバ内に存在している間に、低周波RF処理を使用することができる。この低周波RF処理は、13.56MHz未満、例えば、2MHz、350KHz、または様々な実施形態に適切な他の周波数で実行することができる。これは、約600W以上で起こることができる高周波RF処理と比較して、200W~300Wからの基板支持体へのバイアスの印加に対応できる。基板処理工程110の第4のサブ工程116での低周波RF処理は、第1のサブ工程112と共に、または独立して使用することができる。本明細書の他の例と組み合わせることができる別の例では、第4のサブ工程116は、基板処理工程110における第2のサブ工程114Aおよび第3のサブ工程114Bに加えて行うことができる。
【0037】
[0039] 工程118において、金属ハードマスク膜が、バリア層上に形成される。金属ハードマスク膜は、例えば、約0.2ミクロン~約2.0ミクロンの厚さに形成される。一例では、工程118で形成される金属ハードマスク膜は、約10%~約80%のドーパント濃度を有する。金属ハードマスク膜に含まれる1種以上のドーパントは、ホウ素、炭素、窒素、またはケイ素を含むことができる。工程118で形成されるハードマスク膜は、タングステン(W)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、もしくは他の金属などの1種以上の金属、または金属の組合せおよび合金を含むことができる。
【0038】
[0040] 本明細書で論じられるように、膜積層体および金属ベースのハードマスク膜を製造するために使用されるシステムは、コントローラを介して工程およびサブ工程を実行するために、様々な動作状態に構成することができる。コントローラは、プログラミング情報を、例えば、ヒータ素子、圧力素子、ガス流素子、および/または基板ハンドリング素子などの、システム内の種々の素子に送信する。
【0039】
[0041] 図2は、本開示の実施形態に従ってバリア層および金属ベースのハードマスク膜が形成されたプロセスチャンバ200の断面図である。プロセスチャンバ200は、基板支持体アセンブリ214と平行に配置され、基板支持体アセンブリ214から距離216だけ離されたシャワーヘッド202を含む。一実施形態では、基板支持体アセンブリ214は、ヒータ、および/または他の構成要素を含むことができ、そのいくつかを以下で説明する。基板支持体アセンブリ214は、第1のAlFx残留物層204Aと接触している。シャワーヘッド202は、第2のAlFx残留物層204Bと接触している。本明細書で論じるシーズン層は、第1のAlFx残留物層204A上の第1のシーズン層206Aおよび第2のAlFx残留物層204B上の第2のシーズン層206Bとして形成することができる。
【0040】
[0042] 基板210は、第1のシーズン層206A上に、第1のシーズン層206Aと直接接触して配置される。第1のバリア層208Aが、基板210の第1の面218上に形成される。第2のバリア層208Bが、第2のシーズン層206B上に形成される。第1の金属ハードマスク膜212Aが、第1のバリア層208A上に形成される。金属ハードマスク材料212Bもまた、第2のバリア層208B上に形成される。図2には様々な層の厚さが示されているが、これは、説明を容易にするためになされたものであり、示された構成要素の厚さまたは相対的な厚さを限定するものではない。
【0041】
[0043] 図2は一実施形態を示すが、他の実施形態も考えられる。例えば、他の実施形態では、基板210は、基板210の第1の面218の反対側にある基板210の底面(裏面)220上に形成された追加のバリア層(図示せず)を含むことができる。基板210の裏面220上の追加のバリア層は、基板製造方法100で説明したような、基板処理工程110でバリア層を形成するのに使用されるのと同様の方法で形成することができる。追加のバリア層は、裏面220をAlFx汚染から保護する。
【0042】
[0044] 図3Aおよび図3Bは、本開示の実施形態によるシャワーヘッドの部分概略図である。図3Aの例では、シャワーヘッド202は、ブロッカプレート304およびフェースプレート306を含む。図3Aは、ブロッカプレート304およびフェースプレート306の中央を通って配置された中心線330をさらに含む。
【0043】
[0045] 複数のブロッカプレート開口308が、ブロッカプレート304に形成されている。複数のフェースプレート開口322が、フェースプレート306に形成されている。一例では、ブロッカプレート304は、プレナムを画定する間隙を間に置いてフェースプレート306に結合されている。この例では、複数のフェースプレート開口322の各々の位置は、複数のブロッカプレート開口308の各々の位置に対応する(例えば、軸方向に整列する)。代替的に、ブロッカプレート開口308のいくつかまたは全てが、フェースプレート開口322からオフセットされている。他の例では、ブロッカプレート304とフェースプレート306との間に形成される間隙はないか、または最小限であり得る。本明細書の他の例と組み合わせることができるいくつかの例(ここでは図示せず)では、複数のブロッカプレート開口308の各ブロッカプレート開口の位置の全てより少ない位置が、複数のフェースプレート開口322の各々の位置に対応する。複数のブロッカプレート開口308は、互いに対して複数の異なる距離で離間され得る。図3Aは、第1の間隔310、第2の間隔312、および第3の間隔314を示す。複数のブロッカプレート開口308は、軸318に垂直であり、軸316に平行であるように図3Aに示されているが、代替の実施形態では、複数のブロッカプレート開口308のいくつかまたは全てが、軸318に対して90度以外の角度であってもよい。一実施形態では、複数のブロッカプレート開口308のいくつかまたは全てが、中心線302に向かって、または中心線から離れるように角度を付けられてもよい。
【0044】
[0046] 一実施形態では、複数のブロッカプレート開口308は、ブロッカプレート304の第1の縁部320Aから測定したときに、開口の第1の間隔310を有する。第2の縁部320Bも、第1の縁部320Aの反対側に参照のために示されている。中心線302の第1の側(例えば、第1の縁部320Aに近い側)に示される様々な特徴は、中心線302を挟んで鏡像になっている。一例では、複数のブロッカプレート開口308の隣接する開口間の第1の間隔310は、複数のブロッカプレート開口308の隣接するブロッカプレート開口間の第2の間隔312よりも小さい。本明細書の他の例と組み合わせることができる別の例では、複数のブロッカプレート開口308の隣接するブロッカプレート開口間の第2の間隔312は、隣接するブロッカプレート開口308間の第3の間隔314よりも小さくすることができる。この例では、複数のブロッカプレート開口308の相対的な間隔は、ブロッカプレート304の中心線302に向かって増加することができる。複数のブロッカプレート開口308は、プロセスチャンバ300内にガス(破線矢印で示す)を均等に分配するために、ブロッカプレートの異なる設計において様々な方法で構成することができる。この設計は、例えば、開口の等間隔分布を有するブロッカプレートとは対照的である。開口の等間隔分布により、ガスは、プロセスチャンバ300の中心領域、例えば、中心線302と同軸のプロセスチャンバ内の位置で、プロセスチャンバ300内に受け入れられ得る。したがって、開口の等間隔分布は、プロセスチャンバ300内でガスを均等に分配しない可能性がある。
【0045】
[0047] 図3Aにおける複数のブロッカプレート開口308は、ほぼ同様の直径であるように示されているが、複数のブロッカプレート開口308の各開口の直径は、ブロッカプレート内で異なり得ることが企図される。一例では、ブロッカプレート304は、「開口勾配」を含む。開口勾配を有するブロッカプレートでは、ブロッカプレート304の縁部320Aおよび320Bにより近い複数のブロッカプレート開口308は、ブロッカプレート304の中心線302により近く位置する複数のブロッカプレート開口308よりも大きな直径を有する。いくつかの例では、ブロッカプレートの開口勾配は、いくつかの例において、中心線302の近くよりも、ブロッカプレート304の縁部320Aおよび320Bの近くの方が、複数のブロッカプレート開口308における表面積当たりのブロッカプレート開口の密接度が高くなるように、構成することができる。ブロッカプレート304の開口勾配は、ブロッカプレート304の縁部320Aおよび320Bの近くで、ブロッカプレート開口308の表面積当たりの開口の密接度がより高くなるように構成することができる。このより高い密接度は、中心線302により近く位置する、複数のブロッカプレート開口308のブロッカプレート開口308と比較してである。ブロッカプレート304の開口勾配は、フェースプレート306の縁部320A/320Bに向かう改良されたガス流分布を含む、改良されたガス流を可能にし、促進するように調整することができる。
【0046】
[0048] 本明細書で説明されるシステムおよび方法を使用して、全体的なガスコンダクタンスが増加し、プロセスチャンバ内のガスおよびプラズマのガス分布が、総洗浄時間を短縮するために均一性を改善するように修正される。増加したガスコンダクタンスは、AlFx形成を抑制するように作用する。したがって、増加したガスコンダクタンスは、シャワーヘッド上のシーズン層の密着を改善し、膜内欠陥を減少させる。第1の縁部320Aおよび第2の縁部320Bにおけるプロセスガスの分布とは対照的に、特に中心線302において、プロセスガスの分布は、ブロッカプレート304の構成を介して調整することができる。プロセスガスの均一な分布の制御は、ハードマスク膜の均一性ならびにハードマスク膜の密着挙動の制御を可能にする。
【0047】
[0049] 図4A図4Bは、タングステンハードマスク膜を用いて本明細書に記載されるように作製された基板の前面の欠陥走査画像である。図4Aは、図1の工程104および106においてプラズマおよびシーズン処理なしで製造された基板410Aの第1の欠陥走査画像を示す。図4Aの基板は、基板の裏面に200を超える膜内欠陥を示す。対照的に、図4Bは、本開示の実施形態に従って製造された基板410Bの第2の欠陥走査画像を示す。図4Bに示される基板は、図1の工程104および106で議論されたものと同様であり得る水素および窒素プラズマならびにシーズン処理を使用して製造された。図4Bの基板は、4つの欠陥のみを示す。
【0048】
[0050] したがって、本明細書のシステムおよび方法を使用すると、金属ハードマスク膜の密着性が改善され、その結果、プロセスチャンバ構成要素の寿命が長くなり、基板欠陥の発生率および重大度が低減される。ハードマスク膜と基板との間にバリア層なしで表面に作製されたハードマスク膜は、密着性が悪く、剥離の可能性が高くなる。対照的に、本開示の実施形態による、バリア層上に形成された金属ハードマスク膜は、改善された密着性を示す。したがって、バリア層上に形成された金属ハードマスク膜は、ピーリングもしくは剥離を示さず、またはピーリングもしくは剥離の可能性および/もしくは重大度が低減される。本明細書で論じた金属ハードマスク膜は、プロセスチャンバ構成要素上だけでなく、半導体デバイス構成要素において使用される基板上にも形成されることができる。
【0049】
[0051] シャワーヘッドに適用される表面処理は、AlFx残留物を除去し、これは、シャワーヘッドへのシーズン材料の密着を増強し、ハードマスク膜および/または材料を含むその後に堆積される層の密着を改善する。シーズン材料は、シャワーヘッド表面に良好に密着し、フレーキングによる基板欠陥の可能性を減少させる。シーズン材料は、上にバリア層が配置されたシャワーヘッドおよびプロセスチャンバの他の表面上への金属ハードマスク膜堆積のための固定部位を、さらに提供する。バリア層が使用される場合、バリア層のために選択される1つ以上の材料は、金属ハードマスクに含まれる1つ以上の金属と実質的に類似の材料特性(例えば、エッチング選択性および/または化学量論組成)を有し得る。類似の材料特性および/または化学量論組成を有する材料の選択は、バリア層への金属ハードマスク膜の密着を改善する。
【0050】
[0052] 上記は、本開示の実施形態に向けられているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態が、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードマスクを形成する方法であって、
プロセスチャンバ内で第1のプラズマ表面処理を実行することと、
前記第1のプラズマ表面処理を実行した後、シーズン材料を前記プロセスチャンバの複数の露出表面上に堆積させることと、
前記シーズン材料を前記プロセスチャンバの前記複数の露出表面上に堆積させた後、基板を前記プロセスチャンバ内に前記シーズン材料と接触させて配置することと、
前記基板上で処理を実行することであって、
前記基板上にバリア層を形成すること、および
低周波RF処理を実行するこ
を含む処理を実行することと、
少なくとも1つの処理を実行した後、前記基板上に金属ハードマスク膜を形成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記シーズン材料が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、およびそれらの組合せのうちの少なくとも2つを含み、前記シーズン材料が、前記基板の硬度の半分未満の硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプラズマ表面処理が、等しくない間隔を有する開口を備えるブロッカプレートを通して、前記プロセスチャンバ内にガスを導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バリア層を形成することが、第1の期間、前駆体に前記基板をソーキングして、目標バリア層厚さを形成することと、その後、第2の期間、プラズマ処理を実行することと、の少なくとも1つのサイクルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記目標バリア層厚さが、約3オングストロームから約50オングストロームである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の期間中に、前記プラズマ処理で使用される複数のガスが、所定のガス流時間にわたって目標ガス流量までランプアップされる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記所定のガス流時間が、約5秒から約30秒である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基板製造の方法であって、
プロセスチャンバを洗浄することと、
その後、前記プロセスチャンバ内で第1のプラズマ表面処理を実行することと、
前記第1のプラズマ表面処理を実行した後、酸化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、およびそれらの組合せのうちの少なくとも2つを含むシーズン材料を、前記プロセスチャンバの複数の露出表面上に堆積させることと、
基板を前記プロセスチャンバ内に前記シーズン材料と接触させて配置することと、
前記基板上で処理を実行することであって、
第2のプラズマ表面処理を実行すること、および
前記基板上にバリア層を形成すること
を含む処理を実行することと、
前記基板上に金属ハードマスク膜を形成することと、
を含む方法。
【請求項9】
前記金属ハードマスク膜が、タングステン(W)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、およびそれらの合金または組合せのうちの少なくとも1つと、ホウ素、炭素、窒素、およびケイ素のうちの少なくとも1つを含むドーパントとを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板を前記プロセスチャンバ内に配置した後、かつ前記金属ハードマスク膜を形成する前に
低周波RF処理を実行するこ
を含む処理を、前記基板上に実行することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記金属ハードマスク膜が、タングステン(W)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、イットリウム(Y)、またはジルコニウム(Zr)を含む第1の金属を含み、前記バリア層が、前記第1の金属を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記バリア層の形成中に、前記プロセスチャンバに複数のプロセスガスを導入することと、
前記バリア層の形成中にガスランピングを実行することと、
をさらに含み、前記ガスランピング中に、前記複数のプロセスガスの目標ガス流が、前記複数のプロセスガスを前記プロセスチャンバに導入した後、5秒から30秒の時間で、前記プロセスチャンバ内で達成される、請求項10に記載の方法。
【外国語明細書】